説明

容器トレー、トレーベース、及び観察ユニット

【課題】容器の位置及び姿勢が所定の位置及び姿勢からずれ難い容器トレー、該容器トレーと共に使用されるトレーベース、及び観察ユニットを提供する。
【解決手段】本発明に係る容器トレー8は、容器7が載置されるべき載置面811を有する載置板81と、弾性体82と、付勢機構とを具えている。ここで、弾性体82は、載置板81の載置面811の内、容器7が載置されるべき載置領域Rの周囲に設置されている。付勢機構は、弾性体82の周囲に設置されて、該弾性体82に対して外側から押圧力を付与することにより弾性体をその内側へ付勢した付勢状態と、該弾性体82への付勢を解除した付勢解除状態との間で状態を変更することが可能である。そして、付勢機構が付勢解除状態に設定されているとき、弾性体82は、容器7の載置領域Rとの間に僅かな隙間を有する。本発明に係る観察ユニットは、上記容器トレー8と、該容器トレー8が設置されるトレーベース9とを具えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞等の試料を観察するための観察ユニットに用いられる容器トレー、該容器トレーと共に使用されるトレーベース、及び観察ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の観察ユニットは、インキュベータ等の保存庫内で使用され、細胞等の試料が培地と共に収容された容器が載置されるべき載置台と、該載置台を水平面に沿って移動させる駆動機構と、容器内の試料を観察して該試料の観察像を取得する観察装置とを具えている。又、観察装置は、載置台に対して上下に移動することが可能である。この観察ユニットでは、載置台を水平面に沿って移動させると共に、観察装置を上下に移動させてフォーカスを調整することにより、容器中の試料の観察が行われる。
【0003】
又、上記観察ユニットにおいては、観察像を取得せんとする試料の座標及びフォーカス位置等を試料情報としてメモリに記録しておくことにより、該試料情報に基づいて、観察像を取得せんとする1又は複数の試料を一定周期毎に観察装置によって観察すると共に観察毎に該試料の観察像を取得するタイムラプス動作を実行することが可能である。
【0004】
タイムラプス動作の開始から所定期間が経過すると、試料の成長に伴って容器内の培地が汚れ、又、培地に含まれている栄養分が減少することになる。従って、容器内の培地を交換又は補給する必要がある。この交換又は補給の作業(以下、「交換作業」という)を行う場合、容器は、載置台から別の場所へ移動され、交換作業の完了後、再び載置台に載置されることになる。このとき、容器を、培地の交換作業前の位置及び姿勢と同じ位置及び姿勢で載置台に載置することは困難である。このため、培地の交換作業の前後において容器の位置及び姿勢がずれることになる。従って、メモリに記録されている試料情報が無効となり、タイムラプス動作を継続するためには試料情報を改めて設定しなければならなかった。
【0005】
これに対し、保存庫に窓を設け、該窓から手を入れることにより、載置台上の容器を動かさずに培地の交換作業を行うことが考えられる。しかしながら、窓からの作業では作業範囲が狭く、容器を動かさずに培地の交換作業を行うことは困難である。又、容器にマーカーを設け、培地の交換作業の実行前後で容器の位置及び姿勢がずれた場合、マーカーの位置に基づいて、メモリに記録されている座標及びフォーカス位置と対応する試料の座標及びフォーカス位置を算出することが考えられる。しかしながら、使用可能な容器が、マーカーが設けられた特定の容器に限定されるため、汎用性が低くなる。
【0006】
そこで、上記駆動機構に取り付けられたトレーベースと、該トレーベースに着脱可能に取り付けられた容器トレーとを具えた観察ユニットが提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、容器トレーは、トレーベースに対してピンにより所定位置に位置決めされている。又、容器トレーには、容器を挿入するための挿入孔が設けられ、該挿入孔の内面には、弾性を有する複数の凸部が形成されている。従って、容器が挿入孔に挿入された場合、各凸部が弾性変形し、これにより、各凸部から容器に向けて付勢力(弾性力)が付与されることになる。その結果、複数の凸部により容器が挟持され、容器が容器トレーに固定されることになる。
【0007】
又、容器トレーに対して容器を固定する他の技術として、容器をスライドピンで固定する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。具体的には、容器トレーには、容器を挿入するための挿入孔が設けられており、該挿入孔の内面には横穴が設けられ、該横穴内にスライドピンがスライド可能に収容されている。該スライドピンは、バネにより挿入孔の内側に向けて付勢され、その先端が容器用孔の内面から突出している。スライドピンにはスライド操作用のノブが取り付けられている。又、挿入孔の内面には、複数の固定ピンが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−330143号公報
【特許文献2】特開2006−189470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記観察ユニット(特許文献1)においては、容器内の培地の交換作業を実行する場合、容器トレーに容器を固定した状態のまま、容器トレーがトレーベースから取り外される。そして、交換作業の完了後、容器トレーがトレーベースに再び取り付けられる。このとき、容器トレーは、ピンによりトレーベースの所定位置に位置決めされることになる。又、容器は、容器トレーに固定された状態のままである。従って、上記観察ユニットによれば、上述した従来の観察ユニットに比べて、交換作業の実行前後において容器の位置及び姿勢がずれ難くなっていると考えられる。
【0010】
しかしながら、上記観察ユニットにおいて容器を挿入孔に挿入する際、容器は、その側面に凸部からの付勢力を受けながら押し込まれることになる。このため、容器の側面と凸部との間に摩擦力が発生し、この摩擦力により、凸部が容器の挿入方向に弾性変形することになる。従って、容器には、これを挿入孔から押し出さそうとする力が凸部から付与され、その結果、容器が容器トレーの所定位置から浮き上がり、又、これにより凸部による容器の保持力が低下して容器が挿入孔内で回転する虞がある。容器の位置及び/又は姿勢が所定の位置及び/又は姿勢からずれると、従来の観察ユニットと同様、メモリに記録されている試料情報が無効になる虞があり、タイムラプス動作を継続するために試料情報を改めて設定しなければならない場合がある。
【0011】
又、上述した他の技術(特許文献2)においては、容器を挿入孔に挿入する場合、先ずユーザがノブを操作することにより、バネの付勢力に抗してスライドピンをスライドさせて該スライドピンの先端を横穴内に埋没させる。これにより、容器を挿入する際、該容器は、スライドピンからの付勢力を受けないと考えられる。その後、ユーザがノブを放すことにより、バネの付勢力によってスライドピンがスライドし、その結果、該スライドピンの先端が容器の側面に当接することになる。これにより、容器は、バネの付勢力により、スライドピンと固定ピンとによって挟持され、容器が容器トレーに固定されることになる。
【0012】
しかしながら、上記他の技術においては、スライドピンが横穴内にスライド可能に収容されている。従って、スライドピンにはガタが発生し易いと考えられる。よって、容器を容器トレーに固定した場合でも、スライドピンのガタの分だけ容器の位置及び/又は姿勢が所定の位置及び/又は姿勢からずれる虞がある。容器の位置及び/又は姿勢が所定の位置及び/又は姿勢からずれると、従来の観察ユニットと同様、メモリに記録されている試料情報が無効になる虞があり、タイムラプス動作を継続するために試料情報を改めて設定しなければならない場合がある。
【0013】
容器には、フラスコ型であってキャップ付きのものや、円形のディッシュ型であって蓋付きのものなどが存在している。又、容器の材質には、プラスチックやガラス等、様々な材質が用いられている。ここで、円形のディッシュ型の容器は、開口が広いため、容器内の試料が扱い易い(例えば、剥離作業が容易である)点で試料の培養等に適している。しかしながら、容器の形状が円形である場合、上述した従来の技術では、容器の回転を規制することが困難であると考えられる。又、容器の側面が傾斜している場合、上述した技術では、容器を挿入孔から押し出そうとする力が、凸部やスライドピンから付与され易いと考えられる。
【0014】
そこで本発明の目的は、容器の位置及び姿勢が所定の位置及び姿勢からずれ難い容器トレー、該容器トレーと共に使用されるトレーベース、及び観察ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る容器トレーは、容器が載置されるべき載置面を有する載置板と、弾性体と、付勢機構とを具えている。ここで、前記弾性体は、前記載置板の載置面の内、前記容器が載置されるべき載置領域の周囲に設置されている。前記付勢機構は、前記弾性体の周囲に設置されて、該弾性体に対して外側から押圧力を付与することにより弾性体をその内側へ付勢した付勢状態と、該弾性体への付勢を解除した付勢解除状態との間で状態を変更することが可能である。そして、前記付勢機構が前記付勢解除状態に設定されているとき、前記弾性体は、前記容器の載置領域との間に僅かな隙間を有する。
【0016】
上記容器トレーにおいて、容器を載置板の載置面に載置する場合、付勢機構が付勢解除状態に設定される。このとき、弾性体は、容器の載置領域との間に僅かな隙間を有する。このため、容器を載置領域に載置する際、容器の側面が弾性体に接触することが殆どなく、従って、容器の側面と弾性体との間に摩擦力が発生して弾性体が下方に向けて弾性変形することもない。よって、容器は、該容器を載置面から浮き上がらせようとする付勢力を弾性体から受けることなく、載置面に密着して載置されることになる。
【0017】
次に、付勢機構が付勢状態に設定される。このとき、弾性体に対して外側から押圧力が付与されて、弾性体がその内側へ付勢されることになる。これにより、弾性体は容器の側面に押し付けられて該側面に密着し、その結果、容器は弾性体によって拘持されることになる。従って、容器は、載置面上の載置領域に弾性体によって固定されることになる。ここで、弾性体は、付勢機構によって容器の側面に押し付けられているときには、殆どガタを生じることがない。
【0018】
よって、上記容器トレーによれば、載置板の載置面上に容器が固定されると共に、該容器は載置面に密着した状態で維持されることになる。従って、容器の位置及び姿勢が、該容器を容器トレーに固定したときに決まる所定の位置及び姿勢からずれ難くなる。
【0019】
上記容器トレーの具体的構成において、前記付勢機構には、前記弾性体が前記載置面に対して垂直な方向へ移動することを阻止する阻止部材が設けられている。
【0020】
上記容器トレーにおいては、付勢機構が付勢状態に設定されて、弾性体が容器の側面に押し付けられた場合、弾性体には、該弾性体を載置面から浮き上がらせようとする力が生じる虞がある。しかし、上記具体的構成によれば、弾性体の浮き上がりが、阻止部材によって防止されることになる。よって、容器は、載置面に密着した状態で維持されることになる。
【0021】
上記容器トレーの他の具体的構成において、前記弾性体は、前記容器の載置領域の外周縁に沿ってC字状に延びた形状を有し、或いは、前記容器の載置領域の周囲に設置された複数の弾性体片から構成されている。
【0022】
本発明に係るトレーベースは、上記容器トレーが設置される設置面と、該設置面上の所定位置に前記容器トレーを着脱可能に固定するための位置決め部とを有している。
【0023】
上記トレーベースにおいては、容器内の培地の交換作業を実行する場合、容器トレーに容器を固定した状態のまま、容器トレーをトレーベースから取り外すことが出来る。そして、交換作業の完了後、容器トレーをトレーベースに再び取り付けることが出来る。この様に容器トレーをトレーベースから取り外した場合でも、再び容器トレーをトレーベースに取り付けるときには、容器トレーは、トレーベースの位置決め部により設置面上の所定位置に位置決めされることになる。
【0024】
本発明に係る観察ユニットは、前記容器が載置されるべき載置台と、前記載置台を駆動する駆動機構と、前記載置台に載置された容器中の試料を観察する観察装置とを具えている。ここで、前記載置台は、上記容器トレーと、該容器トレーが設置されるトレーベースとから構成され、前記容器トレーとトレーベースとには、該トレーベースに対して容器トレーを所定位置に着脱可能に固定するための位置決め機構が設けられている。
【0025】
上記観察ユニットにおいては、載置台に載置されている容器内の培地の交換作業を実行する場合、容器トレーに容器を固定した状態のまま、容器トレーをトレーベースから取り外すことが出来る。そして、交換作業の完了後、容器トレーをトレーベースに再び取り付けることが出来る。この様に容器トレーをトレーベースから取り外した場合でも、再び容器トレーをトレーベースに取り付けるときには、容器トレーは、位置決め機構によりトレーベースの所定位置に位置決めされることになる。又、容器は、容器トレーに固定された状態のまま、その位置及び姿勢が所定の位置及び姿勢からずれることがない。従って、上記観察ユニットによれば、培地の交換作業の実行前後において容器の位置及び姿勢がずれ難い。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る容器トレー、トレーベース、及び観察ユニットによれば、容器の位置及び姿勢が所定の位置及び姿勢からずれ難い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る観察ユニットを具えた観察システムを示す図である。
【図2】図2は、該観察ユニットを示す斜視図である。
【図3】図3は、該観察ユニットを示す正面図である。
【図4】図4は、図3に示されるIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図5(a)は、容器を示す斜視図であり、図5(b)は、該容器の鉛直断面図である。
【図6】図6は、上記観察ユニットが具えるX軸駆動部及びY軸駆動部を示す斜視図である。
【図7】図7は、上記観察ユニットが具える載置台を示す斜視図である。
【図8】図8は、該載置台について、トレーベースに容器トレーが設置された状態を示した上面図である。
【図9】図9は、該載置台について、トレーベースから容器トレーが取り外された状態を示した上面図である。
【図10】図10は、上記載置台が具える容器トレーの付勢機構について、その付勢状態を説明するための上面図である。
【図11】図11は、該付勢機構について、その付勢解除状態を説明するための上面図である。
【図12】図12(a)及び図12(b)は、容器トレーに対して容器を取り付ける方法について、その第1工程の説明に用いられる鉛直断面図である。
【図13】図13は、容器トレーに対して容器を取り付ける方法について、その第2工程の説明に用いられる鉛直断面図である。
【図14】図14は、トレーベースに対して容器トレーを取り付ける方法について、その第1工程の説明に用いられる側面図である。
【図15】図15は、トレーベースに対して容器トレーを取り付ける方法について、その第2工程の説明に用いられる側面図である。
【図16】図16は、トレーベースに対して容器トレーを取り付ける方法について、その第3工程の説明に用いられる側面図である。
【図17】図17は、トレーベースに対して容器トレーを取り付ける方法について、その第2工程の説明に用いられる上面図である。
【図18】図18(a)及び図18(b)は、容器のサイズに合わせて載置台の取り替えが可能であることの説明に用いられる斜視図である。
【図19】図19は、上記観察システムにて実行される観察動作手続きを示すフローチャートである。
【図20】図20は、上記載置台の第1変形例を示す上面図である。
【図21】図21は、上記載置台の第2変形例を示す上面図である。
【図22】図22は、図21に示されるB−B線に沿う断面図である。
【図23】図23は、上記載置台の第3変形例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
1.観察システム
図1は、本発明の一実施形態に係る観察ユニットを具えた観察システムを示す図である。図1に示す様に、観察システムは、観察ユニット(100)、中継制御部(102)、及びパーソナルコンピュータ(103)を具えている。
【0029】
観察ユニット(100)は、細胞等の試料を培養又は保存するための保存庫(101)内に設置することが可能である。ここで、保存庫(101)には、該保存庫(101)内の環境を試料の培養に適した環境に設定することが可能なインキュベータや、該保存庫(101)内の環境を無菌状態で維持することが可能なアイソレータ等を採用することが出来る。観察ユニット(100)の詳細については、後述の「2.観察ユニット」にて説明する。
【0030】
保存庫(101)の内部には棚(104)が配備されており、観察ユニット(100)は棚(104)上に設置して使用される。尚、図1に示される保存庫(101)内には1つの棚(104)が設けられているに過ぎないが、保存庫(101)内に複数の棚が配備されていてもよい。この保存庫(101)においては、複数の棚に複数の容器を置き、各容器内に試料を収容して該試料を培養又は保存することが出来る。尚、本実施形態の観察システムにおいては、付着細胞等、容器の底面に付着する試料が、容器に収容されている。
【0031】
中継制御部(102)及びパーソナルコンピュータ(103)は、保存庫(101)の外部に設置されており、中継制御部(102)には、観察ユニット(100)から引き出されたケーブル(105)が接続されている。又、パーソナルコンピュータ(103)には、中継制御部(102)から引き出されたケーブル(106)が接続されている。中継制御部(102)及びパーソナルコンピュータ(103)の詳細については、後述の「3.中継制御部」及び「4.パーソナルコンピュータ」にて説明する。
【0032】
2.観察ユニット
2−1.観察ユニットの全体構成
図2は、観察ユニット(100)を示す斜視図である。図3は、該観察ユニット(100)を示す正面図である。又、図4は、図3に示されるIV−IV線に沿う断面図である。図2〜図4に示す様に、観察ユニット(100)は、試料が収容された容器(7)が載置されるべき載置台(4)と、載置台(4)をX軸方向に沿って移動させるX軸駆動部(2)と、載置台(4)をY軸方向に沿って移動させるY軸駆動部(3)と、容器(7)内の試料を観察して該試料の観察像を取得する観察装置(5)と、該観察装置(5)による試料の観察時に該試料を照明する照明装置(6)と、観察装置(5)をZ軸方向に沿って移動させるZ軸モータ(56)と、これらの構成要素を配備するための筐体(1)とを具えている。尚、X軸方向及びY軸方向は、水平面内で互いに直交する2つの方向であり、Z軸方向は、鉛直方向である。
【0033】
本実施形態の観察ユニット(100)においては、X軸駆動部(2)とY軸駆動部(3)とにより、載置台(4)を駆動する駆動機構が構成されている。又、容器(7)は、図5(a)に示す如く円形のディッシュ型であって、容器(7)の開口(71)(図5(b)参照)を塞ぐ蓋体(70)を有している。又、容器(7)は、図5(b)に示す様に、その側面(72)が傾斜することにより容器(7)の開口(71)が底面(73)よりも拡がっている。
【0034】
図4に示す様に、筐体(1)の内部の空間は、載置台(4)から水平方向にずれた位置を略鉛直方向に拡がる第1空間(11)と、載置台(4)の下方に位置する第2空間(12)と、載置台(4)の上方に位置する第3空間(13)とから構成されている。
【0035】
2−2.X軸駆動部及びY軸駆動部
図6は、X軸駆動部(2)及びY軸駆動部(3)を示す斜視図である。2つの駆動部(2)(3)の内、先ずY軸駆動部(3)の構成について説明する。図6に示す様に、Y軸駆動部(3)は、Y軸モータ(30)と、一対のプーリ(31)(32)と、タイミングベルト(33)と、逆L字状のY軸スライド体(34)と、ガイド部材(35)とを具えている。ここで、Y軸駆動部(3)の内、Y軸モータ(30)は、図4に示す様に筐体(1)の第1空間(11)内に設置され、その回転軸をX軸に沿う方向に向けている。又、Y軸モータ(30)にはステッピングモータが採用されている。
【0036】
一対のプーリ(31)(32)の内、一方のプーリ(31)はY軸モータ(30)の回転軸に固定されており、Y軸モータ(30)の回転に伴って一方のプーリ(31)はY軸モータ(30)の回転中心軸周りに回転する。他方のプーリ(32)は、一方のプーリ(31)からY軸方向にずれた位置に、回転自在に設置されている。
【0037】
一対のプーリ(31)(32)にはタイミングベルト(33)が掛けられており、該タイミングベルト(33)には、一対のプーリ(31)(32)間の領域にY軸スライド体(34)が連結されている。又、Y軸スライド体(34)の上辺部分(341)は、載置台(4)が配置される空間内をX軸方向に沿って延びている。
【0038】
ガイド部材(35)は、一対のプーリ(31)(32)間をY軸方向に沿って延びており、該ガイド部材(35)には、Y軸スライド体(34)が摺動自在に連結されている。従って、Y軸スライド体(34)の移動可能な方向が、Y軸方向に沿って規定されている。
【0039】
上記Y軸駆動部(3)においては、一方のプーリ(31)が回転することによりタイミングベルト(33)が回転し、これによりタイミングベルト(33)は、一対のプーリ(31)(32)間をY軸方向に沿って移動することになる。従って、一方のプーリ(31)の回転運動が、タイミングベルト(33)によってY軸方向に沿った並進運動に変換されることになる。よって、上記Y軸駆動部(3)によれば、Y軸モータ(30)の回転力がY軸方向の並進力に変換されてY軸スライド体(34)に付与され、その結果、Y軸スライド体(34)がY軸方向に沿って移動することになる。
【0040】
図6に示す様に、X軸駆動部(2)は、X軸モータ(20)と、歯車機構(21)と、Y軸方向に延びたシャフト(22)と、一対のプーリ(23)(24)と、タイミングベルト(25)と、L字状のX軸スライド体(26)と、ガイド部材(27)とを具えている。ここで、X軸駆動部(2)の内、X軸モータ(20)は、図4に示す様に筐体(1)の第1空間(11)内に設置され、その回転軸をX軸に沿う方向に向けている。又、X軸モータ(20)にはステッピングモータが採用されている。
【0041】
歯車機構(21)は、X軸モータ(20)の回転力をシャフト(22)の中心軸周りの回転力に変換し、該回転力をシャフト(22)に付与する。シャフト(22)は、Y軸駆動部(3)のY軸スライド体(34)の上辺部分(341)に回転自在に支持されており、歯車機構(21)に対してスライドすることが可能である。
【0042】
一対のプーリ(23)(24)の内、一方のプーリ(23)はシャフト(22)の先端部に固定されており、該一方のプーリ(23)は、シャフト(22)の回転に伴って該シャフト(22)と同じ中心軸周りに回転する。他方のプーリ(24)は、一方のプーリ(23)からX軸方向にずれた位置にて、Y軸スライド体(34)の上辺部分(341)に回転自在に設置されている。
【0043】
一対のプーリ(23)(24)にはタイミングベルト(25)が掛けられており、該タイミングベルト(25)には、一対のプーリ(23)(24)間の領域にX軸スライド体(26)が連結されている。又、X軸スライド体(26)の下辺部分(261)には、載置台(4)がネジ留めにより固定されている。
【0044】
ガイド部材(27)は、一対のプーリ(23)(24)間をX軸方向に延びており、該ガイド部材(27)には、X軸スライド体(26)が摺動自在に連結されている。従って、X軸スライド体(26)の移動可能な方向が、X軸方向に沿って規定されている。
【0045】
上記X軸駆動部(2)においては、一方のプーリ(23)が回転することによりタイミングベルト(25)が回転し、これによりタイミングベルト(25)は、一対のプーリ(23)(24)間をX軸方向に沿って移動することになる。従って、一方のプーリ(23)の回転運動が、タイミングベルト(25)によってX軸方向に沿った並進運動に変換されることになる。よって、上記X軸駆動部(2)によれば、X軸モータ(20)の回転力がX軸方向の並進力に変換されてX軸スライド体(26)に付与され、その結果、X軸スライド体(26)はX軸方向に沿って移動することとなる。
【0046】
よって、X軸スライド体(26)に固定された載置台(4)は、X軸モータ(20)の回転によりX軸方向に沿って移動し、Y軸モータ(30)の回転によりY軸方向に沿って移動することになる。従って、X軸モータ(20)とY軸モータ(30)の回転動作をそれぞれ独立に制御することにより、載置台(4)をXY座標系内の様々な位置へ移動させることが可能である。
【0047】
図6に示す様に、X軸駆動部(2)はX軸原点センサ(28)を更に具え、Y軸駆動部(3)はY軸原点センサ(36)を更に具えている。X軸原点センサ(28)は、X軸スライド体(26)に固定されている被検知板(281)の近接/離間によってオン/オフが切り替わるセンサである。又、Y軸原点センサ(36)は、Y軸スライド体(34)に固定されている被検知板(361)の近接/離間によってオン/オフが切り替わるセンサである。
【0048】
ここで、X軸原点センサ(28)は、それがオンに切り替わったときに載置台(4)の位置がX軸の原点に合致する様に設置され、Y軸原点センサ(36)は、それがオンに切り替わったときに載置台(4)の位置がY軸の原点に合致する様に設置されている。従って、上記X軸原点センサ(28)及びY軸原点センサ(36)によれば、載置台(4)を、可動域内にてXY座標系の原点からずれた何れの位置からでも、該原点に復帰させることが可能である。
【0049】
2−3.照明装置
図4に示す様に、照明装置(6)は、筐体(1)の第3空間(13)内に設置されており、光を発するLED(Light Emitting Diode)(61)と、該LED(61)から発せられた光を鉛直下方へ反射する反射ミラー(62)とを具えている。
【0050】
筐体(1)の第3空間(13)を形成する下面壁(17)には、反射ミラー(62)の下方位置に光透過部(171)が形成されている。従って、反射ミラー(62)で反射された光は、光透過部(171)を透過した後、載置台(4)が配置される空間を下方へ通過することになる。
【0051】
ここで、載置台(4)が配置される空間には、反射ミラー(62)で反射された光が通過する位置に試料の観察点Mが設定されている。従って、上記観察ユニット(100)においては、観察点Mに配置された試料を照明装置(6)によって照明することが可能である。
【0052】
2−4.観察装置
本実施形態においては、観察装置(5)として位相差顕微鏡が採用されている。図4に示す様に、観察装置(5)は、観察対象となる試料の拡大像を形成する対物レンズ(51)と、該対物レンズ(51)によって形成された拡大像をズームレンズ(53)へ導く反射ミラー(52)と、試料の拡大像を更に拡大するズームレンズ(53)と、ズームレンズ(53)によって拡大された拡大像を撮像することにより試料の観察像を取得するCCD(Charge Coupled Device)カメラ(54)と、ズームレンズ(53)を駆動して該ズームレンズ(53)の拡大倍率を変更する駆動モータ(50)とを具えている。
【0053】
上記観察装置(5)において、CCDカメラ(54)及び駆動モータ(50)は筐体(1)の第1空間(11)内に設置され、対物レンズ(51)及び反射ミラー(52)は筐体(1)の第2空間(12)内に設置されている。又、ズームレンズ(53)は、第1空間(11)と第2空間(12)とに亘って設置されている。対物レンズ(51)は、観察点Mの下方位置に配置されている。
【0054】
筐体(1)の第2空間(12)を形成する上面壁(16)には、観察点Mの下方位置に光透過部(15)が形成されており、照明装置(6)の反射ミラー(62)で反射された光は、観察点Mを通過した後、光透過部(15)を透過して観察装置(5)の対物レンズ(51)に入射することになる。よって、上記観察ユニット(100)によれば、照明装置(6)によって試料を照明しながら、観察装置(5)によって該試料を観察し、又、該試料の観察像を取得することが可能である。
【0055】
図4に示す様に、観察装置(5)による試料の観察倍率は、対物レンズ(51)の拡大倍率とズームレンズ(53)の拡大倍率とによって決定されるものであり、駆動モータ(50)によってズームレンズ(53)を駆動して該ズームレンズ(53)の拡大倍率を変更することにより、試料の観察倍率が変更される。
【0056】
観察装置(5)によって試料を観察するときのフォーカシングは、Z軸モータ(56)によって観察装置(5)をZ軸方向に沿って移動させることにより実行される。尚、Z軸モータ(56)は、図4に示す様に、筐体(1)の第1空間(11)内に設置されている。
【0057】
図4に示す様に、観察装置(5)はズーム用原点センサ(55)を更に具えている。ズーム用原点センサ(55)は、ズームレンズ(53)に固定されている被検知板(図示せず)の近接/離間によってオン/オフが切り替わるセンサである。ここで、ズーム用原点センサ(55)は、それがオンに切り替わったときにズームレンズ(53)の位置が所定位置に合致する様に設置されている。ズーム用原点センサ(55)によれば、ズームレンズ(53)を、可動域内にて所定位置からずれた何れの位置からでも、該所定位置に復帰させることが出来る。
【0058】
更に、筐体(1)の第1空間(11)にはZ軸原点センサ(57)が設置されている。Z軸原点センサ(57)は、観察装置(5)に固定されている被検知板(図示せず)の近接/離間によってオン/オフが切り替わるセンサである。ここで、Z軸原点センサ(57)は、それがオンに切り替わったときに観察装置(5)の位置がZ軸の原点に合致する様に設置されている。Z軸原点センサ(57)によれば、観察装置(5)を、可動域内にてZ軸方向の原点からずれた何れの位置からでも、該原点に復帰させることが出来る。
【0059】
2−5.載置台
<載置台の全体構成>
図7は、載置台(4)を示す斜視図である。又、図8及び図9は、載置台(4)の上面図である。尚、図8及び図9では、容器(7)の蓋体(70)の図示を省略している。図7〜図9に示す様に、載置台(4)は、容器(7)を固定するための容器トレー(8)と、該容器トレー(8)が設置されるトレーベース(9)とから構成される。ここで、図7及び図8では、トレーベース(9)に容器トレー(8)が設置された状態が示され、図9では、トレーベース(9)から容器トレー(8)が取り外された状態が示されている。
【0060】
図9に示す様に、容器トレー(8)は、容器(7)が載置されるべき載置面(811)を有する載置板(81)を具えている。該載置板(81)には、容器(7)の載置領域Rの内側に貫通孔(810)が開設されている。ここで、容器(7)の載置領域Rは、載置面(811)に容器(7)が載置されたとき、該容器(7)の底部が重なることとなる領域である。又、トレーベース(9)には、該トレーベース(9)に容器トレー(8)が設置されたときに容器トレー(8)の貫通孔(810)が対向することとなる領域に、貫通孔(910)が開設されている。
【0061】
従って、図4に示す様に、照明装置(6)の反射ミラー(62)で反射した光は、2つの貫通孔(810)(910)を通って、観察装置(5)の対物レンズ(51)に入射することになる。即ち、載置台(4)に載置された容器(7)内の試料の観察が、載置台(4)によって妨げられることがない。
【0062】
<容器トレー>
図7〜図9に示す様に、容器トレー(8)において、載置板(81)の載置面(811)上には、容器(7)の載置領域Rの周囲であって且つ載置領域Rの外側に、該載置領域Rの外周縁に沿って弾性体(82)が設置されており、該弾性体(82)にはスリット(821)が形成されている。従って、本実施形態においては、弾性体(82)は、載置領域Rの外周縁に沿ってC字状に延びた形状を有している。尚、弾性体(82)の形状としてC字状はほんの一例であり、弾性体(82)には、容器(7)の形状に応じて様々な形状を採用することが出来る。
【0063】
更に弾性体(82)の周囲には、該弾性体(82)の外周面に沿ってU字状に延びた第1板バネ部材(83)が設置されている。ここで、第1板バネ部材(83)は、弾性体(82)のスリット(821)を跨ぐ様に配置されている。又、第1板バネ部材(83)の両端部(831)(832)は、外側へ向けて屈曲している。尚、第1板バネ部材(83)は、弾性体(82)の外周面の外側にて該外周面との間に隙間が形成されることとなる位置に設置されていてもよい。
【0064】
該載置板(81)の載置面(811)上には更に、該載置面(811)上に弾性体(82)を押付けて固定するための押付け部材(84)が固定されている。具体的には、該押付け部材(84)は、弾性体(82)の内、スリット(821)の形成領域とは逆側の領域を、載置面(811)との間に挟み込んで該載置面(811)に押し付けており、これにより弾性体(82)は、スリット(821)の形成領域とは逆側の領域が、押付け部材(84)と載置板(81)とによって挟持されている。
【0065】
押付け部材(84)には、一対のネジ部材(841)(842)がそれぞれ第1板バネ部材(83)の両端部(831)(832)を貫通して捻じ込まれている。ここで、一対のネジ部材(841)(842)の内、第1板バネ部材(83)の基端部(831)を貫通している第1ネジ部材(841)は、押付け部材(84)に締め付けられており、従って、第1板バネ部材(83)の基端部(831)は押付け部材(84)に固定されている。
【0066】
一方、一対のネジ部材(841)(842)の内、第1板バネ部材(83)の先端部(832)を貫通している第2ネジ部材(842)は、その捻じ込み量の調整が可能な状態で押付け部材(84)に捻じ込まれている。従って、第2ネジ部材(842)の捻じ込み量を調整することにより、第1板バネ部材(83)は、その基端部(831)を固定点として弾性変形することになる。
【0067】
具体的には、図10に示す様に、第2ネジ部材(842)を押付け部材(84)に捻じ込んで該第2ネジ部材(842)の捻じ込み量を大きくすることにより、第1板バネ部材(83)が弾性変形することになる。このとき、弾性体(82)には外側から押圧力が付与され、その結果、弾性体(82)はその内側へ付勢されることになる。一方、図11に示す様に、第2ネジ部材(842)の捻じ込みを緩めて該第2ネジ部材(842)の捻じ込み量を小さくすることにより、第1板バネ部材(83)の弾性変形が緩和され、或いは第1板バネ部材(83)が弾性変形から開放され、その結果、弾性体(82)への付勢が解除されることになる。
【0068】
斯くして、第1板バネ部材(83)及び第2ネジ部材(842)により、弾性体(82)に対して外側から押圧力を付与することにより弾性体(82)をその内側へ付勢した付勢状態(図10参照)と、弾性体(82)への付勢を解除した付勢解除状態(図11参照)との間で状態を変更することが可能な付勢機構が構成されることになる。
【0069】
ここで、弾性体(82)は、付勢機構が付勢解除状態に設定されているときに容器(7)の載置領域Rとの間に僅かな隙間Gを有することとなる形状を有している(図11参照)。このため、付勢機構が付勢解除状態に設定されているときに容器(7)を載置領域Rに載置した場合、容器(7)の側面(72)が弾性体(82)に接触することが殆どなく(図12(b)参照)、従って、容器(7)の側面(72)と弾性体(82)との間に摩擦力が発生して弾性体(82)が下方に向けて弾性変形することもない。よって、容器(7)は、該容器(7)を載置面(811)から浮き上がらせようとする付勢力を弾性体(82)から受けることなく、載置面(811)に密着して載置されることになる。
【0070】
弾性体(82)を構成する材料には、シリコーンゴムやクロロプレンゴム等、エラストマが使用されており、従って、弾性体(82)は、適度な柔軟性と、適度な大きさの摩擦係数と、適度な粘着性とを有している。
【0071】
又、弾性体(82)は、載置面(811)上の載置領域Rに容器(7)が載置されたときに該容器(7)の蓋体(70)に接触しない厚さ寸法を有している。従って、載置面(811)上の載置領域Rに容器(7)が載置されたとき、容器(7)の蓋体(70)には弾性体(82)が接触することがなく、従って、蓋体(70)が容器(7)から浮き上がることがない。よって、容器(7)内には、試料を汚染する物質が侵入することがない。
【0072】
図7〜図9に示す様に、載置板(81)の載置面(811)上には、弾性体(82)のスリット(821)側の領域に、載置板(81)の外周縁に沿って固定された直方体状の固定体(85)が設けられている。該固定体(85)には、弾性体(82)側の表面(851)に凹部(852)が開設される一方、該表面(851)とは反対側の表面(853)の中央領域に凸部(854)が突設されている。
【0073】
そして、第1板バネ部材(83)には、固定体(85)の凹部(852)に係合する突起部(833)が形成されている。第1板バネ部材(83)の突起部(833)と固定体(85)の凹部(852)との係合により、第1板バネ部材(83)が載置面(811)から浮き上がることが防止されている。
【0074】
第1板バネ部材(83)には更に、弾性体(82)が載置面(811)に対して垂直な方向(載置面(811)から浮き上がる方向)へ移動することを阻止する左右一対の阻止部材(834)(834)が設けられている。
【0075】
図7〜図9に示す様に、載置板(81)には、左右一対の把持部(87)(87)が形成されている。又は、載置板(81)の外周端面には、弾性体(82)のスリット(821)側の領域に、左右一対の突起部(86)(86)が形成されている。
【0076】
上述した容器トレー(8)の構成は簡易である。従って、容器トレー(8)の分解と組み立てが容易である。よって、容器トレー(8)に容器(7)を載置する前に、容器トレー(8)の各構成部品を洗浄することが出来る。ここで、洗浄には有機溶剤が用いられるので、容器トレー(8)の各構成部品には、有機溶剤への耐性を有する材料を使用することが好ましい。
【0077】
<トレーベース>
図7〜図9に示す様に、トレーベース(9)は、2つのネジ部材(90)(90)により、X軸スライド体(26)の下辺部分(261)に着脱可能に連結されている。トレーベース(9)は、容器トレー(8)が設置される設置面(91)を有し、該設置面(91)上には、X軸スライド体(26)の連結領域の両側に、左右一対の第2板バネ部材(92)(92)が固定されている。ここで、各第2板バネ部材(92)は、弾性変形したときにY軸方向の弾性力を有することとなる様に配置されている。又、各第2板バネ部材(92)は、設置面(91)に容器トレー(8)が設置されたときに容器トレー(8)の押付け部材(84)に当接することとなる位置又は形状を有している。
【0078】
図7に示す様に、トレーベース(9)には、Y軸方向についての先端縁(93)に屈曲部(94)が設けられている。ここで、屈曲部(94)は、トレーベース(9)を設置面(91)に対して略垂直に屈曲させることにより形成されている。屈曲部(94)には、その中央領域に嵌合凹部(941)が形成されており、該嵌合凹部(941)には、設置面(91)に容器トレー(8)が設置されたとき、該容器トレー(8)の凸部(854)が嵌合する。屈曲部(94)には更に、嵌合凹部(941)の形成領域の両側に左右一対の係合受け部(942)(942)が形成されている。該一対の係合受け部(942)(942)には、設置面(91)に容器トレー(8)が設置されたとき、該容器トレー(8)の一対の突起部(86)(86)がそれぞれ係合する。
【0079】
トレーベース(9)の設置面(91)に容器トレー(8)が設置されているとき、トレーベース(9)の一対の第2板バネ部材(92)(92)が、容器トレー(8)の押付け部材(84)によって押圧されて弾性変形し、その結果、容器トレー(8)は、一対の第2板バネ部材(92)(92)の弾性力によってY軸方向に付勢されることになる。
【0080】
これにより、トレーベース(9)の嵌合凹部(941)に容器トレー(8)の凸部(854)が嵌合すると共に、トレーベース(9)の各係合受け部(942)に、これに対応する容器トレー(8)の突起部(86)が係合することになる。又、トレーベース(9)の屈曲部(94)に、容器トレー(8)の載置板(81)又は固定体(85)が当接することになる。従って、嵌合凹部(941)への凸部(854)の嵌合により、トレーベース(9)に対する容器トレー(8)のX軸方向の位置が規定され、屈曲部(94)への容器トレー(8)の当接により、トレーベース(9)に対する容器トレー(8)のY軸方向の位置が規定され、各係合受け部(942)と突起部(86)との係合により、トレーベース(9)に対する容器トレー(8)のZ軸方向の位置が規定されることになる。その結果、容器トレー(8)は、トレーベース(9)に対して所定位置(即ち、トレーベース(9)の設置面(91)上の所定位置)に着脱可能に位置決めされることになる。
【0081】
斯くして、容器トレー(8)とトレーベース(9)とには、容器トレー(8)の凸部(854)及び突起部(86)と、トレーベース(9)の一対の第2板バネ部材(92)(92)、嵌合凹部(941)及び一対の係合受け部(942)(942)とにより、トレーベース(9)に対して容器トレー(8)を所定位置に着脱可能に固定するための位置決め機構が構成されることになる。又、トレーベース(9)には、該トレーベース(9)の一対の第2板バネ部材(92)(92)、嵌合凹部(941)及び一対の係合受け部(942)(942)により、設置面(91)上の所定位置に容器トレー(8)を着脱可能に固定するための位置決め部が構成されることになる。
【0082】
<容器トレーに対して容器を取り付ける方法>
ここで、容器トレー(8)に対して容器(7)を取り付ける方法について、図面に沿って具体的に説明する。図12(a)及び図12(b)は、容器トレー(8)に対して容器(7)を取り付ける方法について、その第1工程の説明に用いられる鉛直断面図である。図13は、容器トレー(8)に対して容器(7)を取り付ける方法について、その第2工程の説明に用いられる鉛直断面図である。尚、これらの図は、図11に示されるA−A線に沿って得られる断面図である。又、第1工程には、図11に示す上面図が対応し、第2工程には、図10に示す上面図が対応している。
【0083】
先ず第1工程では、図11に示す様に、第2ネジ部材(842)の捻じ込みを緩めて該第2ネジ部材(842)の捻じ込み量を小さくすることにより、付勢機構を付勢解除状態に設定する。このとき、弾性体(82)は、図12(a)に示す様に、容器(7)の載置領域Rとの間に僅かな隙間Gを有する。このため、図12(b)に示す様に、容器(7)を載置領域Rに載置する際、容器(7)の側面(72)が弾性体(82)に接触することが殆どなく、従って、容器(7)の側面(72)と弾性体(82)との間に摩擦力が発生して弾性体(82)が下方に向けて弾性変形することもない。よって、容器(7)は、該容器(7)を載置面(811)から浮き上がらせようとする付勢力を弾性体(82)から受けることなく、載置面(811)に密着して載置されることになる。
【0084】
次に第2工程では、図10に示す様に、第2ネジ部材(842)を押付け部材(84)に捻じ込んで該第2ネジ部材(842)の捻じ込み量を大きくすることにより、付勢機構を付勢状態に設置する。このとき、第1板バネ部材(83)の弾性変形により弾性体(82)には外側から押圧力が付与されて、弾性体(82)はその内側へ付勢されることになる。これにより、弾性体(82)は、図13に示す様に容器(7)の側面(72)に押し付けられて該側面(72)に密着し、その結果、容器(7)は弾性体(82)によって拘持されることになる。従って、容器(7)は、載置面(811)上の載置領域Rに弾性体(82)によって固定されることになる。
【0085】
ここで、弾性体(82)は、付勢機構によって容器(7)の側面(72)に押し付けられているときには、殆どガタを生じることがない。又、弾性体(82)は、適度な柔軟性と、適度な大きさの摩擦係数と、適度な粘着性とを有している。従って、容器(7)の側面(72)が傾斜している場合でも、容器(7)には、これを押し上げようとする力が生じ難い。よって、容器(7)が弾性体(82)によって拘持されたとき、該容器(7)は、載置面(811)から浮き上がることがない。
【0086】
よって、上記容器トレー(8)によれば、載置板(81)の載置面(811)上に容器(7)が固定されると共に、該容器(7)は載置面(811)に密着した状態で維持されることになる。従って、容器(7)の位置及び姿勢が、該容器(7)を容器トレー(8)に固定したときに決まる所定の位置及び姿勢からずれ難くなる。
【0087】
又、上記容器トレー(8)においては、付勢機構が付勢状態に設定されて、弾性体(82)が容器(7)の側面(72)に押し付けられた場合、弾性体(82)には、該弾性体(82)を載置面(811)から浮き上がらせようとする力が生じる虞がある。しかし、上記容器トレー(8)には、第1板バネ部材(83)に一対の阻止部材(834)(834)が設けられている。従って、弾性体(82)の浮き上がりが、一対の阻止部材(834)(834)によって防止されることになる。よって、容器(7)は、載置面(811)に密着した状態で維持されることになる。
【0088】
更に、容器トレー(8)の載置板(81)には左右一対の把持部(87)(87)が設けられているので、容器トレー(8)への容器(7)の着脱が容易である。
【0089】
<トレーベースに対して容器トレーを取り付ける方法>
次に、トレーベース(9)に対して容器トレー(8)を取り付ける方法について、図面に沿って具体的に説明する。図14〜図16はそれぞれ、トレーベース(9)に対して容器トレー(8)を取り付ける方法について、その第1工程〜第3工程の説明に用いられる側面図である。図17は、第2工程に対応する上面図である。又、第1工程の説明には図9も用いられる。
【0090】
先ず第1工程では、図9に示す様に、トレーベース(9)に対してY軸方向から、容器トレー(8)を、その押付け部材(84)をトレーベース(9)の一対の第2板バネ部材(92)(92)の方へ向けながら近づける。そして、図14に示す様に、トレーベース(9)の設置面(91)上で容器トレー(8)をスライドさせることにより、トレーベース(9)の一対の第2板バネ部材(92)(92)に、容器トレー(8)の押付け部材(84)を当接させる。このとき、容器トレー(8)の載置板(81)の背面(812)にはトレーベース(9)の屈曲部(94)の先端が当接し、従って、容器トレー(8)は斜めに傾いている。
【0091】
第2工程では、図15及び図17に示す様に、トレーベース(9)の一対の第2板バネ部材(92)(92)の弾性力に抗して、容器トレー(8)をY軸方向とは反対方向へ押圧することにより、トレーベース(9)の設置面(91)上で容器トレー(8)を更にスライドさせる。これにより、第2板バネ部材(92)(92)は弾性変形することになる。
【0092】
このとき、容器トレー(8)を、その一対の突起部(86)(86)の先端がトレーベース(9)の屈曲部(94)の内側に到達する迄、Y軸方向とは反対方向へスライドさせる。これにより、容器トレー(8)を押し下げて、容器トレー(8)の載置板(81)の背面(812)をトレーベース(9)の設置面(91)に密着させることが可能となる。
【0093】
第3工程では、図16に示す様に、容器トレー(8)の載置板(81)の背面(812)をトレーベース(9)の設置面(91)に密着させた後、トレーベース(9)の一対の第2板バネ部材(92)(92)の弾性力を利用して、容器トレー(8)を、設置面(91)に密着させたままY軸方向へスライドさせる。これにより、図7に示す様に、トレーベース(9)の嵌合凹部(941)に容器トレー(8)の凸部(854)が嵌合すると共に、トレーベース(9)の各係合受け部(942)に、これに対応する容器トレー(8)の突起部(86)が係合することになる。又、トレーベース(9)の屈曲部(94)に、容器トレー(8)の載置板(81)又は固定体(85)が当接することとなる。その結果、容器トレー(8)は、トレーベース(9)に対して所定位置に着脱可能に位置決めされることになる。
【0094】
容器トレー(8)をトレーベース(9)から取り外す場合、上記第1工程〜第3工程を逆の順番で実行すればよい。
【0095】
上記載置台(4)においては、該載置台(4)に載置されている容器(7)内の培地の交換作業を実行する場合、容器トレー(8)に容器(7)を固定した状態のまま、容器トレー(8)をトレーベース(9)から取り外すこと出来る。そして、交換作業の完了後、容器トレー(8)をトレーベース(9)に再び取り付けることが出来る。この様に容器トレー(8)をトレーベース(9)から取り外した場合でも、容器トレー(8)をトレーベース(9)に再び取り付けるときには、容器トレー(8)は、上述した様にトレーベース(9)の所定位置に位置決めされることになる。又、容器(7)は、容器トレー(8)に固定された状態のまま、その位置及び姿勢が所定の位置及び姿勢からずれることがない。
【0096】
よって、後述する様に(図19のステップS11,S12参照)、タイムラプス動作の実行中に該タイムラプス動作を一時的に停止して、培地の交換作業を実行した場合でも、培地の交換作業の実行前後において容器(7)の位置及び姿勢がずれ難い。具体的には、容器(7)の位置及び姿勢がずれたとしても、そのずれ量は数μm程度であり、数百μmの大きさを有する試料の観察には殆ど影響しない。即ち、交換作業の前後で、観察像を取得せんとする試料の座標及びフォーカス位置が、メモリに試料情報として記録されている座標及びフォーカス位置から殆どずれることがない。従って、タイムラプス動作の実行に必要な試料情報を改めて設定する必要がない。
【0097】
更に、上記載置台(4)においては、容器トレー(8)の載置板(81)に左右一対の把持部(87)(87)が設けられている。従って、トレーベース(9)への容器トレー(8)の着脱が容易である。
【0098】
図18(a)及び図18(b)は、容器(7)のサイズに合わせて載置台(4)の取り替えが可能であることの説明に用いられる斜視図である。図18(a)及び図18(b)に示す様に、容器(7)の載置領域Rの面積が異なる複数の載置台(4)を用意してもよい。この場合、使用する容器(7)のサイズに合わせて、載置台(4)を取り替えることが出来る。
【0099】
2−6.探索モードとタイムラプスモードについて
上記観察ユニット(100)には、該観察ユニット(100)を用いて試料の観察を行うための2つのモードが用意されており、観察ユニット(100)には該2つのモードを選択的に設定することが可能である。
【0100】
ここで、2つのモードの内、一方のモードは、観察装置(5)によって観察像を取得せんとする1又は複数の試料を、ユーザが該観察装置(5)を用いて探索して決定し、決定された試料毎に変化する試料情報をパーソナルコンピュータ(103)のメモリに記録する探索モードである。ここで、試料情報には、試料の座標、ズーム倍率、及びフォーカス位置等が含まれる。以下、探索モード設定時に観察ユニット(100)によって実行される観察動作を「探索動作」と呼ぶ。
【0101】
2つのモードの内、他方のモードは、パーソナルコンピュータ(103)のメモリに記録されている試料情報に基づいて、観察像を取得せんとする1又は複数の試料を一定周期毎に観察装置(5)によって繰り返し観察すると共に、観察毎に該試料の観察像を取得する観察モードである。以下、この観察モードを「タイムラプスモード」と呼び、タイムラプスモード設定時に観察ユニット(100)によって実行される観察動作を「タイムラプス動作」と呼ぶ。
尚、該タイムラプス動作は、試料情報の他に、ユーザによって予め設定される設定情報に基づいて実行される。ここで、設定情報には、タイムラプス動作を実行する観察点リスト、開始時刻、終了時刻、タイムラプス周期、観察像の保存場所等が含まれている。
【0102】
3.中継制御部
中継制御部(102)は、パーソナルコンピュータ(103)から出力される制御信号に基づいて、観察ユニット(100)の動作を制御する。具体的には、中継制御部(102)は、観察ユニット(100)のLED(61)の発光動作、観察ユニット(100)及びその各構成要素の通電/非通電をそれぞれ独立に切り替えるリレー動作、観察ユニット(100)の各モータの回転動作をそれぞれ制御する。
【0103】
4.パーソナルコンピュータ
4−1.パーソナルコンピュータの構成
パーソナルコンピュータ(103)は、観察ユニット(100)を制御する制御装置と、メモリとを有している。メモリには、観察ユニット(100)のタイムラプス動作を制御するために必要な試料情報や、観察ユニット(100)のCCDカメラ(54)によって取得される試料の観察像等が記録される。パーソナルコンピュータの制御装置からは、観察ユニット(100)を制御するための制御信号が出力され、該制御信号は、ケーブル(106)を通じて中継制御部(102)に入力される。
【0104】
パーソナルコンピュータ(103)において、観察ユニット(100)に設定せんとするモードとして探索モードがユーザによって選択された場合、パーソナルコンピュータ(103)の制御装置は、観察ユニット(100)の探索動作を制御することが可能な状態へ移行する。斯くして、観察ユニット(100)は探索モードに設定されることになる。このとき、制御装置は、パーソナルコンピュータ(103)にてユーザが入力する操作指令に基づいて、中継制御部(102)を介して観察ユニット(100)の探索動作を制御する。これにより、ユーザから入力される操作指令に応じて観察ユニット(100)の各モータの回転動作が制御され、その結果、観察点Mに配置される試料の座標、ズーム倍率、及びフォーカス位置が変更されることになる。
【0105】
そして、ユーザが、観察装置(5)によって観察像を取得せんとする試料を決定するべくパーソナルコンピュータ(103)にて決定指令を入力したとき、パーソナルコンピュータ(103)の制御装置は該決定指令を受けて、そのときに観察点Mに配置されている試料に関する試料情報をメモリ(70)に記録する。
【0106】
一方、パーソナルコンピュータ(103)において、観察ユニット(100)に設定せんとするモードとしてタイムラプスモードがユーザによって選択された場合、パーソナルコンピュータ(103)の制御装置は、観察ユニット(100)のタイムラプス動作を制御することが可能な状態へ移行する。斯くして、観察ユニット(100)はタイムラプスモードに設定されることになる。このとき、制御装置は、メモリに記録されている試料情報及び設定情報を読み込み、該試料情報及び設定情報に基づいて観察ユニット(100)のタイムラプス動作を制御する。これにより、試料情報及び設定情報に従って観察ユニット(100)の各モータの回転動作、及び観察ユニット(100)のCCDカメラ(54)の撮像動作が制御され、その結果、ユーザが観察像を取得せんとする全ての試料の観察像が取得されることになる。
【0107】
4−2.観察動作手続きの流れ
図19は、観察システムにて実行される観察動作手続きを示すフローチャートである。観察システムにて観察動作手続きが開始されると、先ずステップS1において、ユーザが、中継制御部(102)に設けられている電源スイッチ(図示せず)を操作することにより、観察ユニット(100)の主電源がオフからオンに切り替えられる。
【0108】
その後、ステップS2において、ユーザにより載置台(4)に容器(7)が載置される。具体的には、上述した「容器トレーに対して容器を取り付ける方法」及び「トレーベースに対して容器トレーを取り付ける方法」を用いて、載置台(4)に容器(7)が固定される。
【0109】
次にステップS3において、ユーザの操作により、パーソナルコンピュータ(103)にて観察用ソフトが起動される。その後、ステップS4において、パーソナルコンピュータ(103)の制御装置により、原点復帰制御が実行される。具体的には、制御装置は、X軸原点センサ(28)及びY軸原点センサ(36)を用いて、載置台(4)をXY座標系の原点に復帰させる。又、制御装置は、Z軸原点センサ(57)を用いて観察装置(5)をZ軸方向の原点に復帰させると共に、ズーム用原点センサ(55)を用いてズームレンズ(53)を所定位置に復帰させる。
【0110】
次にステップS5において、観察ユニット(100)に設定せんとするモードとして探索モードがユーザによって選択される。これにより、パーソナルコンピュータ(103)の制御装置は、観察ユニット(100)の探索動作を制御することが可能な状態へ移行し、観察ユニット(100)は探索モードに設定される。
【0111】
その後、ステップS6において、パーソナルコンピュータ(103)の制御装置により、探索動作制御が実行される。具体的には、ユーザが、観察装置(5)を用いて、該観察装置(5)によって観察像を取得せんとする1又は複数の試料を探索して決定する。そして、制御装置は、決定された試料毎に変化する試料情報(試料の座標、ズーム倍率、及びフォーカス位置等)をパーソナルコンピュータ(103)のメモリに記録する
【0112】
ステップS6の実行後、ステップS7において、ユーザにより、タイムラプスモードへの移行、観察装置(5)によって観察像を取得せんとする試料の探索の継続、又は観察動作手続きの終了の何れかの選択肢が選択される。ステップS7にて試料探索の継続が選択された場合、観察動作手続きはステップS6に戻って、パーソナルコンピュータ(103)の制御装置により探索動作制御が再び実行される。そして、ステップS7にて試料探索の継続とは別の選択肢が選択される迄、ステップS6が繰り返し実行され、観察せんとする複数の試料の試料情報がメモリに記録されることになる。一方、ステップS7にて観察動作手続きの終了が選択された場合、観察動作手続きが終了する。
【0113】
これらに対し、ステップS7にてタイムラプスモードへの移行が選択された場合、ステップS8において、観察ユニット(100)に設定せんとするモードとしてタイムラプスモードがユーザによって選択される。これにより、パーソナルコンピュータ(103)の制御装置は、観察ユニット(100)のタイムラプス動作を制御することが可能な状態へ移行し、観察ユニット(100)はタイムラプスモードに設定される。
【0114】
その後、ステップS9において、ユーザの操作により、観察ユニット(100)にてタイムラプス動作を実行させるために必要な設定情報(観察点リスト、開始時刻、終了時刻、タイムラプス周期、観察像の保存場所等)が入力される。そして、ステップS10において、ユーザの操作によりタイムラプス動作の実行を開始する開始指令がパーソナルコンピュータ(103)の制御装置に入力されると、ステップS11において、制御装置によりタイムラプス動作制御が実行される。
【0115】
具体的にステップS11では、パーソナルコンピュータ(103)のメモリに記録されている試料情報及び設定情報に基づいて、観察像を取得せんとする1又は複数の試料が一定周期毎に観察装置(5)によって繰り返し観察されると共に、観察毎に該試料の観察像が取得される。そして、取得された観察像は、パーソナルコンピュータ(103)のメモリに記録される。
【0116】
ステップS11では、タイムラプス動作制御の実行を一時的に停止し、その後、ステップS12において、容器トレー(8)をトレーベース(9)から取り外して、培地の交換作業を実行することが可能である。又、ステップS12の実行後、容器トレー(8)をトレーベース(9)に再び取り付けて、タイムラプス動作制御の実行を再開させることが可能である。
【0117】
ステップS11の実行後、ステップS13において、ユーザの操作により、パーソナルコンピュータ(103)にて観察用ソフトが終了される。その後、ステップS14にて、ユーザが、中継制御部(102)に設けられている電源スイッチ(図示せず)を操作することにより、観察ユニット(100)の主電源がオンからオフに切り替えられる。これにより、観察システムにおいて観察動作手続きが終了する。
【0118】
5.変形例
本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。以下、3つの変形例について具体的に説明する。
【0119】
5−1.第1変形例
図20は、上記載置台(4)の第1変形例を示す上面図である。図20に示す様に、容器トレー(8)には、第1板バネ部材(83)に代えて、Y軸方向に沿ってスライド可能な可動体(88)が設けられていてもよい。可動体(88)には凹部(881)が形成され、該凹部(881)の内面が、弾性体(82)の外周面に沿ってU字状に湾曲している。ここで、可動体(88)は、凹部(881)の内面が弾性体(82)のスリット(821)を跨ぐ様に配置されている。
【0120】
又、凹部(881)の内面には、弾性体(82)の外縁部の一部を覆うU字状の鍔部(880)が形成されており、本変形例においては、該鍔部(880)が、弾性体(82)が載置面(811)に対して垂直な方向(載置面(811)から浮き上がる方向)へ移動することを阻止する阻止部材として機能している。
【0121】
又、可動体(88)には、Y軸方向に拡がった縦長の左右一対の貫通孔(882)(882)が設けられ、該一対の貫通孔(882)(882)にはそれぞれ一対のネジ部材(883)(883)が貫挿されている。各ネジ部材(883)は、その捻じ込み量の調整が可能な状態で容器トレー(8)の載置板(81)に捻じ込まれている。
【0122】
従って、一対のネジ部材(883)(883)を緩めて各ネジ部材(883)の捻じ込み量を小さくすることにより、可動体(88)のスライドが可能となる。一方、一対のネジ部材(883)(883)を捻じ込んで各ネジ部材(883)の捻じ込み量を大きくすることにより、可動体(88)は載置板(81)の載置面(811)上に固定されることになる。よって、可動体(88)は、その可動域の様々な位置に固定することが可能である。
【0123】
上記可動体(88)によれば、可動体(88)をY軸方向とは反対方向へスライドさせてその凹部(881)の内面を弾性体(82)に押し付けた後、可動体(88)を載置面(811)上に固定することにより、弾性体(82)には外側から押圧力が付与され、その結果、弾性体(82)はその内側へ付勢されることになる(付勢状態)。一方、可動体(88)をY軸方向へスライドさせることにより、弾性体(82)への付勢が解除されることになる(付勢解除状態)。
【0124】
従って、第1変形例においては、可動体(88)により、上記付勢状態と付勢解除状態との間で状態を変更することが可能な付勢機構が構成されることになる。
【0125】
第1変形例に係る載置台(4)においても、図7及び図8に示す載置台(4)と同様、容器(7)の位置及び姿勢が、該容器(7)を容器トレー(8)に固定したときに決まる所定の位置及び姿勢からずれ難くなる。
【0126】
5−2.第2変形例
図21は、上記載置台(4)の第2変形例を示す上面図である。又、図22は、図21に示されるB−B線に沿う断面図である。容器トレー(8)とトレーベース(9)とには、図7及び図8に示す載置台(4)が有する位置決め機構に代えて、別の位置決め機構が設けられていてもよい。具体的には図21に示す様に、トレーベース(9)の設置面(91)上の4箇所にピン部材(95)が突設される一方、容器トレー(8)の載置板(81)に、その背面(812)側から各ピン部材(95)が貫挿されるピン受け部(89)が形成されている。
【0127】
図22に示す様に、各ピン部材(95)の外周面には環状の溝(950)が形成されており、溝(950)には、弾性を有するリング体(951)が嵌め込まれている。一方、各ピン受け部(89)の内周面には、該ピン受け部(89)に貫挿されたピン部材(95)のリング体(951)が係止される係止溝(890)が凹設されている。ここで、該係止溝(890)は、載置板(81)の背面(812)がトレーベース(9)の設置面(91)に密着したときにリング体(951)が係止されることとなる位置に形成されている。
【0128】
第2変形例に係る載置台(4)においては、各ピン受け部(89)に、これに対応するピン部材(95)が貫挿されることにより、トレーベース(9)に対する容器トレー(8)のX軸方向及びY軸方向の位置が規定され、リング体(951)が係止溝(890)に係止されることにより、トレーベース(9)に対する容器トレー(8)のZ軸方向の位置が規定されることになる。その結果、各ピン受け部(89)にピン部材(95)を貫挿させるだけで、容器トレー(8)は、トレーベース(9)に対して所定位置に着脱可能に位置決めされることになる。
【0129】
5−3.第3変形例
図23は、上記載置台(4)の第3変形例を示す上面図である。図23に示す様に、載置台(4)は、フラスコ型であってキャップ付きの容器等、角型容器(74)に適用可能な構成を有していてもよい。具体的には、弾性体(82)が4つの弾性体片(821)〜(821)から構成され、該4つの弾性体片(821)〜(821)が、角型容器(74)の載置領域Rの周囲に該角型容器(74)の4つの角に対応して設置されている。
【0130】
又、第1板バネ部材(83)が、4つの弾性体片(821)〜(821)を包囲して略長方形の枠状に延びている。そして、第1板バネ部材(83)の一方の端部(831)が、他方の端部(832)に対向する様に外側へ向けて屈曲している。一方の端部(831)には、1つのネジ部材(843)が、他方の端部(832)を貫通して捻じ込まれている。ここで、該ネジ部材(843)は、その捻じ込み量の調整が可能な状態で一方の端部(831)に捻じ込まれている。従って、ネジ部材(843)の捻じ込み量を調整することにより、第1板バネ部材(83)は弾性変形することになる。
【0131】
又、本変形例の第1板バネ部材(83)には、その4箇所に、各弾性体片(821)が載置面(811)に対して垂直な方向(載置面(811)から浮き上がる方向)へ移動することを阻止する阻止部材(834)が設けられている。
【0132】
第3変形例に係る載置台(4)においては、ネジ部材(843)を一方の端部(831)に捻じ込んで該ネジ部材(843)の捻じ込み量を大きくすることにより、第1板バネ部材(83)が弾性変形することになる。このとき、4つの弾性体片(821)〜(821)には外側から押圧力が付与され、その結果、4つの弾性体片(821)〜(821)はこれらの内側へ付勢されることになる(付勢状態)。一方、ネジ部材(843)の捻じ込みを緩めて該ネジ部材(843)の捻じ込み量を小さくすることにより、第1板バネ部材(83)の弾性変形が緩和され、或いは第1板バネ部材(83)が弾性変形から開放され、その結果、4つの弾性体片(821)〜(821)への付勢が解除されることになる(解除状態)。
【0133】
第1変形例に係る載置台(4)においても、図7及び図8に示す載置台(4)と同様、角型容器(74)の位置及び姿勢が、角型容器(74)を容器トレー(8)に固定したときに決まる所定の位置及び姿勢からずれ難くなる。
【0134】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、付勢状態と付勢解除状態との間で状態を変更することが可能な付勢機構の構成は、上述した構成に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。又、阻止部材(834)の形状及び設置位置は、上述した構成に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。更に、弾性体(82)は、図8に示す様に容器の載置領域Rの外周縁に沿ってC字状に延びた形状を有していてもよいし、或いは、図23に示す様に容器の載置領域Rの周囲に設置された複数の弾性体片から構成されていてもよい。
【0135】
上記容器トレー(8)は、複数の容器(7)を固定することが可能な構成を有していてもよい。又、容器トレー(8)のトレーベース(9)への取り付けを自動化してもよい。
【0136】
上記観察ユニット(100)に採用した各種構成は、保存庫(101)内で使用される観察ユニットに限らず、保存庫(101)外で使用される観察システムにも適用することが出来る。又、上記観察ユニット(100)に採用した各種構成は、X軸駆動部(2)及び/又はY軸駆動部(3)のない構成を有する観察ユニットにも適用することが出来る。
【符号の説明】
【0137】
(100) 観察ユニット
(1) 筐体
(2) X軸駆動部
(3) Y軸駆動部
(4) 載置台
(5) 観察装置
(6) 照明装置
(7) 容器
(70) 蓋体
(72) 側面
(8) 容器トレー
(81) 載置板
(811) 載置面
(812) 背面
(82) 弾性体
(821) 弾性体片
(83) 第1板バネ部材
(833) 突起部
(834) 阻止部材
(84) 押付け部材
(841) 第1ネジ部材
(842) 第2ネジ部材
(843) ネジ部材
(85) 固定体
(852) 凹部
(854) 凸部
(86) 突起部
(87) 把持部
(88) 可動体
(880) 鍔部
(881) 凹部
(882) 貫通孔
(883) ネジ部材
(89) ピン受け部
(890) 係止溝
(9) トレーベース
(90) ネジ部材
(91) 設置面
(92) 第2板バネ部材
(94) 屈曲部
(941) 嵌合凹部
(942) 係合受け部
(95) ピン部材
(950) 溝
(951) リング体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器が載置されるべき載置面を有する載置板と、
前記載置板の載置面の内、前記容器が載置されるべき載置領域の周囲に設置された弾性体と、
前記弾性体の周囲に設置されて、該弾性体に対して外側から押圧力を付与することにより弾性体をその内側へ付勢した付勢状態と、該弾性体への付勢を解除した付勢解除状態との間で状態を変更することが可能な付勢機構
とを具え、前記付勢機構が前記付勢解除状態に設定されているとき、前記弾性体は、前記容器の載置領域との間に僅かな隙間を有する容器トレー。
【請求項2】
前記付勢機構には、前記弾性体が前記載置面に対して垂直な方向へ移動することを阻止する阻止部材が設けられている請求項1に記載の容器トレー。
【請求項3】
前記弾性体は、前記容器の載置領域の外周縁に沿ってC字状に延びた形状を有し、或いは、前記容器の載置領域の周囲に設置された複数の弾性体片から構成されている請求項1又は請求項2に記載の容器トレー。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の容器トレーが設置される設置面と、該設置面上の所定位置に前記容器トレーを着脱可能に固定するための位置決め部とを有するトレーベース。
【請求項5】
前記容器が載置されるべき載置台と、
前記載置台を駆動する駆動機構と、
前記載置台に載置された容器中の試料を観察する観察装置
とを具え、前記載置台は、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の容器トレーと、該容器トレーが設置されるトレーベースとから構成され、前記容器トレーとトレーベースとには、該トレーベースに対して容器トレーを所定位置に着脱可能に固定するための位置決め機構が設けられている観察ユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2011−197040(P2011−197040A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60454(P2010−60454)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】