説明

容器分別回収装置

【課題】プラスチック容器を素材毎に分別回収可能であり、コンパクトで、例えばスーパー等に設置可能であり、素材の知識が無くとも利用可能なプラスチック製包装用容器分別回収装置の提供。更には、対象外の異物投入にも対応可能なプラスチック製包装用容器分別回収装置の提供。
【解決手段】使用済包装用容器を投入するための投入口と、前記投入口から投入された投入物が回収対象の容器かそれ以外の異物かを判定する異物判定手段と、前記投入口から投入された投入物の素材を判別する素材判別手段と、前記投入物を所定期間留置させ、前記異物判定手段及び前記素材判別手段により前記投入物の性状を判別するための判別領域と、投入物の性状毎に設けられた複数個の容器収容体と、前記投入物の性状に応じて前記投入物を前記複数個の前記容器収容体のうちの一つに振分ける投入物振分け手段とを有することを特徴とする容器分別回収装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プラスチック製包装用容器、特に食品包装用容器として用いられるプラスチック製包装用容器を素材毎に分別する包装用容器分別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現代人の消費活動が益々活発になる中、地球環境の危機的な状況が多々報告されている。環境問題の大きな一局面として、地球温暖化が挙げられる。二酸化炭素排出量の削減に関する国際合意が締結される中、一般消費者一人ひとりの取り組みの重要性が叫ばれている。循環型社会を形成していくために必要な3R(リデュース・リユース・リサイクル)の取り組みを総合的に推進するための法律も施行されたり、クールビズ・ウォームビズといった消費電力抑制の社会運動が広く行われている。
【0003】
消費者個々人の環境問題への取り組みの典型的な一手法として、廃品回収が挙げられる。新聞・雑誌・牛乳パックといった紙資源や空き瓶・空き缶などの容器類について自治体や地域コミュニティぐるみで行なわれており、現に回収率の向上に寄与している。
【0004】
これら紙資源や空き瓶・空き缶などが回収された後の効率的な分別収集・再利用を可能にする技術として、種々の容器分別装置に関する技術が開示されている。例えば特許文献1には、ガラス製容器分別装置に関する技術が開示されており、これによればガラス瓶の色ごとに分別する作業を効率的に行うことができる。また特許文献2には、空き缶やペットボトルを材質別に分別して回収する回収装置に関する技術が開示されている。また、特許文献3には、紙容器を連続的に分別・洗浄・脱水する移送手段が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特許第3035803号
【特許文献2】特開2000−172909
【特許文献3】特開2004−323138
【0006】
ところで、食肉、魚介類、惣菜類、弁当など、食品容器を中心とする種々の包装用容器には多種多様な素材が用いられている。その多くはプラスチック製包装用容器であり、こうしたプラスチック製容器も、その素材毎に回収することが再利用率の向上に不可欠である。かかる観点から実際、プラスチック製包装容器には各々の素材を示すマークが容器に付されている。
しかし、このようなマークがついていてもなお、適切な分別回収が行われていないという実情がある。一部自治体においてゴミ収集でも細かな分類による収集や廃品回収をおこなっているが、異なる素材の包装用容器が混在して廃棄されているのが実情であり、効果が乏しい。これは一口でプラスチック製包装用容器といっても、食品容器に多く用いられる熱可塑性樹脂だけを取り上げても、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)、PVS(ポリ塩化ビニル)、PET(ポリエチレンテフタレート)など極めて多岐にわたり、これらを一般家庭において判別することが困難であることがその一因である。
加えて、廃品回収や定期的なゴミ収集という資源回収形態も、回収率及び再利用率の向上に負の影響を与えている。これは、回収種類の多様化により個々のゴミの回収頻度が減り、家庭でゴミを保管しなければならない期間が長くなってしまい、それゆえ資源を混在させたまま(例えば最も回収頻度の多い「燃えるゴミ」の日に)廃棄するケースが多いためである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、スーパーや商店街、駅構内など、定期的に訪れる場所に効率的な素材別回収装置を設置することができれば、一般消費者は例えば外出の都度家庭内の資源ゴミを回収サイクルに載せることができ、都合がよい。そこで本発明の課題は、プラスチック容器を、素材毎に分別回収可能であり、コンパクトで、例えばスーパーや商店街、駅構内等に設置可能であり、一般家庭の利用者が、素材の知識が無くとも利用可能なプラスチック製包装用容器分別回収装置を提供することにある。更には、上述したような公共の場に設置する場合、本来投入されるべきでない異物が投入される可能性も想定されるため、対象外の異物投入に対する対応も可能なプラスチック製包装用容器分別回収装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような構成を有する。
【0009】
すなわち本発明にかかる容器分別回収装置は、使用済のプラスチック製包装用容器を分別回収するための容器分別回収装置であって、使用済包装用容器を投入するための投入口と、前記投入口から投入された投入物が回収対象の容器かそれ以外の異物かを判定する異物判定手段と、前記投入口から投入された投入物の素材を判別する素材判別手段と、前記投入物を所定期間留置させ、前記異物判定手段及び前記素材判別手段により前記投入物の性状を判別するための判別領域と、投入物の性状毎に設けられた複数個の容器収容体と、前記異物判定手段によって分別回収対象と判定された場合に、前記判別された投入物の性状に応じて前記投入物を前記複数個の前記容器収容体のうちの一の容器収容体に振分ける投入物振分け手段とを有することを特徴とする(請求項1)。
【0010】
かかる構成により、素材判別手段により素材毎に容器を区別して認識し、この認識に基づいて投入物の振分けを行い、素材の種類毎に各々設けられた各容器収容体にわけて回収することができる。また判別領域を設け、その判別結果に応じてその判別領域と容器収容体とを直接繋ぐ流路を設け、その流路上又は流路に沿った機構によって投入物の振分けを行う構成としたことで、装置全体の小サイズ化を図ることが可能となり、スーパーや商店街など人の行き来が多い場所に設置するにあたっても無駄にスペースをとることがない。
【0011】
また前記異物判定手段は、前記判別領域内を撮影するためのカメラと、前記カメラから出力される画像情報から判定領域内の投入物の形状を認識する形状認識手段と、回収対象の容器の形状閾値を記憶する形状閾値記憶手段とを有し、前記形状認識手段で認識された形状が前期形状閾値の範囲内である場合に、回収対象の容器であると判定するように構成しても良い(請求項2)。
【0012】
かかる構成により、投入物が回収対象となる包装用容器であるかそれ以外の異物であるかを、投入物の形状に基づいて判定することが可能となり、容器回収に際しての障害を速やかに取り除くことが可能となる。
【0013】
更に、前記素材判別手段は、近赤外スペクトル分析により素材を判別するよう構成しても良い(請求項3)。かかる構成により、容器に接触したり容器を破壊することなくその素材を瞬時に特定することができ、装置の効率が向上する。
【0014】
また、色調判別手段を更に有し、投入物の性状認識にあたって素材に加えて色調も考慮するよう構成しても良い(請求項4)。これにより、容器の分別精度が向上し、リサイクル効率の一層の向上に寄与する。
【0015】
また投入物振分け手段の具体的態様として、前記判定領域と前記複数個の容器収容体との間に配された流路内に設けられ、前記素材判別手段による判別結果に応じて前記投入物の流れる流路を切替える誘導部材と、前記誘導部材による流路の切替えの後、前記判別領域から投入物を排出し、重力を利用して前記流路へと送り出す投入物送り出し機構とを有する構成とすることができる(請求項5)。
【0016】
かかる構成によれば、回収対象である包装用容器の性状を判別し、その性状に応じた流路の切替えが行われた後に包装用容器が流路に送り出されるから、重力により、その素材に応じた容器収容体に確実に収納される。
【0017】
あるいは、前記投入口から投入された投入物を搬送するための移送手段を有し、前記異物判定手段及び前記素材判別手段は前記移送手段に沿って配置されており、前記投入物振分け手段は、前記移送手段脇に設置されたアーム付き部材であり、前記素材判別手段の判別結果に基づいて駆動し、移送手段によって搬送されてきた前記投入物を対応する容器収容体へ誘導することを特徴とする構成としても良い(請求項6)。
【0018】
この構成にあっても、回収対象である包装用容器は、移送手段で搬送される過程においてその性状が特定され、特定された性状に応じたタイミングでアームが作動し、容器収容体へと収納されることとなる。
【0019】
あるいはまた、投入物振分け手段は、前記移送手段に沿って配置されたエアー噴出装置であり、前記素材判別手段の判別結果に基づいて駆動し、移送手段によって搬送されてきた前記投入物を対応する容器収容体へ誘導することを特徴とするよう構成しても良い(請求項7)。
【0020】
この構成にあっても、回収対象である包装用容器は、移送手段で搬送される過程においてその性状が特定され、特定された性状に応じた態様でエアー噴出がなされ、この風圧により各々適切な容器収容体へと収納されることとなる。
【0021】
更には、異物判定手段で投入物が異物と判定された場合に、その投入物を排出する異物排出手段を更に設けてもよく(請求項8)、あるいは異物が投入された旨を報知する報知手段を設けても良い(請求項9)。
【0022】
(用語の定義)
ここで、「プラスチック製包装用容器」及び「回収対象の容器」としては、例えばPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PS(ポリスチレン)、PVC(塩化ビニル)、PET(ポリエチレンテフタレート)などの熱可塑性樹脂素材の主として食品容器を想定しているが、これらに限定されることはなく、例えばPUR(ポリウレタン)、EP(エポキシ樹脂)といった熱硬化性樹脂素材の容器であってもよい。また食品容器に限定される趣旨ではなく、判別対象となりうる素材からなり、画一的な回収対象となる形状・大きさであれば、容器それ自体の用途は限定されず、例えば日用品を包装している容器であってもよい。
【0023】
また「投入口」とは、回収対象の容器を装置内に入れるための開口部を意味し、常時開口している必要はなく、例えば開閉可能な蓋が設けられていても良い。この場合、容器に残存付着した食材の匂いが装置外に漏れることを防ぐことができる。「所定期間留置させ」とは、投入物を異物判定及び素材判別にあたって必要な状態にとどめ置くことを意味し、必ずしも静止させる必要はないが、性状判別の結果に基づいて投入物振分け手段が適切な動作をするまでの間時間的猶予が設けられる必要があり、最低限その時間的バッファを設け、その間に性状判別が行われる必要がある。
【0024】
「投入物の性状」とは、投入物が異物であるか否か、及びその素材が何であるかを意味する。更には投入物の外表面の色調(例えば、具体的な個々の色調であってもよく、それよりも大まかなカテゴライズ、例えば「透明」「白色」「着色」「模様」といった色調上の分類)をも性状として認識させることもできる。「近赤外スペクトル分析」とは、近赤外領域、主として0.8〜25μmの波長領域の光を物質に照射し、拡散光より得られるスペクトルを元に物質の赤外光の吸収特性を得て、これにより成分・素材を推測する物質性状測定手法をいう。例えばドイツIoSys社製のプラスチック識別装置「sIRoLine」を適用することができる。
【0025】
「流路」とは、投入された投入物の移動経路を意味し、例えば投入物を自由落下させるための空間であってもよく、また重力を用いて投入物を移動させるための斜面であっても良い。
「移送手段」とは、投入された投入物を投入口から判別領域、更には投入物振分け手段が位置する部位へと移動させるためのものであればよく、例えばベルトコンベアが適用可能である。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかる容器分別回収装置により、一般消費者自身は、自らが投入しようとする包装用容器の素材を特段意識することなく、投入口から対象となるプラスチック製包装用容器を投入しさえすればよいから、一般消費者に過度の負担を生じさせることがなく、従来技術においては実現されていなかったプラスチック資源リサイクル効率の向上が期待され、地球温暖化防止、環境保護に寄与する。また一般消費者自身が資源回収に関与することにより環境問題への関与を実感することができ、一層環境問題への意識が高まるという副次的効果も期待できる。
【0027】
なお、異物判定手段を設け、この判定結果に基づいて異物排出ないし報知を行なう手段を設けたことにより、多数の利用者が想定される本発明にかかる分別回収装置にあって想定されるいたずらなどによる装置の稼動停止を一定程度防止することができる可能性がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を実施するに当たっての最良の形態を、図示しつつ説明する。
【0029】
図1は、本発明の第一の実施例に係る容器分別回収装置1の概念ブロック構成図である。プラスチック包装用容器Cには、種々の原材料(素材)からなるものがあり、また様々な形状が存在する。一般消費者は、使用済みの包装用容器Cを投入口101から投入する。この投入口101には、中の臭気が外に漏れることを防止するために、手動または自動の蓋を備えることができる。また投入口101の大きさ或いは形状を特定の大きさ或いは形状とすることにより、後述する異物判定に依存せずとも、ある程度、本来投入されるべきでない物品が誤って投入されることを防止することができる。例えば、食品用包装用容器のうち、食肉或いは鮮魚等に用いられる容器に特化して回収を促進しようとする場合には、これらの形状としては縦横に比して高さの比率が相対的に低い形状のものが殆どであることから、投入口101にかかる形状に限定するアダプタ(図示しない)を設けても良い。
【0030】
留置エリア102には、そのエリア内を撮像するための投入物認識カメラ103と、留置エリア内に戴置された包装用容器Cの素材を判別するプラスチック判別センサ104とが、それぞれステージ(開閉口)105上を捉えるように配置されている。ここでは投入物認識カメラ103としてCCD(Charge Coupled Device)カメラを用いている。より精緻な形状認識のためには複数点からの撮像によることが望ましいが、本実施例においては、投入物が分別回収の対象となる包装用容器Cであるか否かの判定が可能であればよく、必ずしも多視点による撮像処理を行う必要はない。投入口101を通じて留置エリア102に至った包装用容器Cは、この留置エリア102内においてその性状の判別がなされる。
【0031】
ステージ(開閉口)105は、投入された包装用容器Cが戴置されるべき場所である。このステージ(開閉口)105は、素材判別処理手段106及び撮像判定処理手段110からの信号に基づいて稼動するアクチュエータ(図示しない)により開閉可能に構成されている。これにより、戴置された投入物が適切なタイミングで流路107へと送り出される。ステージ(開閉口)105は投入物送り出し機構に該当し、留置エリア102及びステージ(開閉口)105は、投入物を所定期間留置させ、異物判定手段及び素材判別手段により投入物の性状を判別するための判別領域に該当する。
【0032】
素材判別処理手段106及び撮像判定処理手段110は、いずれも演算装置、記憶手段及び入出力ポートを備えたマイクロコンピュータである。素材判別処理手段106は、プラスチック判別センサ104と接続されており、プラスチック判別センサ104から出力される素材に関する情報を処理し、素材の同定を行う。また撮像判定処理手段110は、投入物認識カメラ103と接続されており、同カメラからの画像出力情報に基づいて投入物が回収対象か異物かの判定を行うとともに、包装用容器Cの色調を認識し記憶する。なお構成図上両者は別異のものとして記載しているが、物理的に同一の構成とすることを妨げない。
【0033】
図2は、投入物が投入されてから分別回収されるまでの流れを示すフローチャートである。本実施例においては、包装用容器Cの分別回収は、上述のように一般消費者によって包装用容器Cが投入され、回収スイッチS(図示しない)が押下されることにより開始される(ステップS201)。まず投入物の形状判定が行われる(ステップS202)。
【0034】
図3は、形状判定の流れを示すサブルーチンである。まず投入物認識カメラ103でステージ105上に戴置された投入物の撮像認識を行う(ステップS301)。この段階で、投入物の有無の認識を行う(ステップS302)。これは一般消費者が投入物を投入することなく投入スイッチSを押下してしまうことや、投入物を不適切に投入した結果ステージ105上に撮像可能に戴置されないことも考えられるためであり、仮に投入物を認識できない場合(ステップS302:NO)、その旨を一般消費者に報知する(ステップS303)。
【0035】
投入物を認識した場合(ステップS302:YES)、投入物の形状測定を行う(ステップS304)。具体的には、撮像された画面を所定の縦横幅にて分割し、投入物画像の縦横の長さの最大値をそれぞれ認識し、その縦横比を求め、撮像判定処理手段110内の一時記憶領域に記憶する。次に、前述の縦横比と、予め撮像判定処理手段110内に記憶されている形状閾値とを比較する(ステップS305)。ここで形状閾値としては、包装用容器が一般に備えている形状的特長を踏まえ、これを撮像したときに捉えられうる縦横比の上限と下限とを規定したものである。ここでは、形状閾値Xとして、0.3<X<1.8と予め定められているものとする。
【0036】
例えば図4(a)においては、撮像された画面における縦長Mと横長Nとの比(M/N)は略0.52であり、予め定められた閾値の範囲内である。一方図4(b)においては、撮像された画面における縦長M’と横長N’との比(M’/N’)は略0.18であり、予め定められた閾値の範囲外となる。比率が閾値内である場合には(ステップS305:YES)、投入物が回収対象であると判定し、メインフローに戻る。比率が閾値外である場合には(ステップS305:NO)、包装用容器が通常有する形状の範囲外であるとみなし、撮像判定処理手段110から投入物を排出する旨の信号がステージ(開閉口)105及び異物排出口111に出力され、投入物は重力により流路107を経由して異物排出口111より装置外に排出される(ステップS306)。このように、投入物認識カメラ103及び撮像判定処理手段110は、異物判定手段に該当する。
【0037】
図2に戻り、次に包装用容器Cの色調判別が行われる(ステップS203)。投入物認識カメラ103によって撮像認識されたデータは、画像出力情報として撮像判定処理手段110に出力される。撮像判定処理手段110内の記憶領域には、予め色認識用のルックアップテーブル(図示しない)が記憶されており、画像出力情報と対比することによりいずれの色調であるかを同定する。本実施例では、「透明」「白色」「着色」「模様」の4種の識別を行う。色調の同定が行われると、撮像判定処理手段110は撮像同定信号を誘導部材制御手段112に出力する。
【0038】
誘導部材制御手段112は、撮像判定処理手段110から出力された撮像同定信号、及び後述する素材同定信号に基づいて、誘導部材108をその配置を変更するように駆動させる。このように本実施例においては、投入物認識カメラ103及び撮像判定処理手段110は、色調判定手段としても機能している。もちろん各判定手段に応じた個別のカメラ及び処理機構(マイクロコンピュータ)を設けても良い。
【0039】
次に包装用容器Cの素材判別が行われる(ステップS204)。このステップは、具体的には図5に示すサブルーチンの流れに沿って行われる。
【0040】
まず、近赤外光の照射が行われ(ステップS501)、包装用容器Cにおいて反射した拡散光の受光を行う(ステップS502)。これによって得られたデータに基づいて、素材の同定を行う(ステップS503)。具体的には、波数(10,000/波長(μm)の計算式により単位長さ(1cm)あたりの振動数を表す数値)を横軸とし、それぞれの領域の光の透過率(%)を縦軸とした連続した曲線(スペクトルチャート)を得、これと予め素材判別処理手段106に記憶された各素材毎のスペクトルチャートとを対比して、もっとも近似なチャート形状を包装用容器Cの素材をして同定する。
【0041】
上記により素材の同定がなされると、素材判別処理手段106は素材同定信号を誘導部材制御手段112に出力する(ステップS504)。素材同定信号を受信した誘導部材制御手段112は、受信した信号が示す素材の容器収容体109へと落下してきた包装用容器Cを誘導すべく、誘導部材108の配置を変更するよう駆動させる。このように、プラスチック判別センサ104及び素材判別処理手段106は、素材判別手段に該当する。
【0042】
再び図2に戻り、投入物の送出しが行われる(ステップS205)。本実施例では、素材判別処理手段から素材の同定が行われた旨の信号がステージ(開閉口)105へと出力される。これに応じてステージ(開閉口)105は開放するように駆動する。ステージ(開閉口)105に戴置されていた包装用容器Cは、重力に従って落下し、流路107を介して誘導部材108によって導かれ、性状毎に設けられた容器収容体109・・・109のうち適切な容器収容体109へと分別回収される(ステップS206)。このように、誘導部材制御手段112及び誘導部材108は、投入物振分け手段に該当する。
【0043】
なお本実施例においては一般消費者が回収スイッチSを押下することで装置が駆動するものとしたが、当然ながらこれに限られず、例えば投入物認識カメラ103を常時起動させておき、これにより投入物の存在が認識されることで回収装置が駆動する構成とすることもできる。また本実施例では、包装用容器Cは自然落下するように流路107が構成されているが、これに代えて斜めのスロープとし、傾斜面を滑落するように構成しても良い。
【0044】
次に、本発明に係る第二の実施例につき図示しつつ説明する。なお第一の実施例と共通する構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0045】
図6は、第二の実施例に係る容器分別回収装置の概念図である。上部は装置を側面から見た図、下部は装置を上部から俯瞰した図である。投入口101から投入された投入物は、コンベア605によって徐々に搬送される。本実施例においては投入物認識カメラ103及びプラスチック判別センサ104はコンベアに沿って、より具体的には、コンベアに戴置された投入物を最もよく撮像及び認識できるよう、コンベアの上面側から映し出すことが可能に配置されている。第一の実施例同様、投入物認識カメラ103及びプラスチック判別センサ104は、コンベアによって流されてくる投入物の性状を判定すべく撮像、解析を行う。この実施例においては、図示する判別エリア602が判別領域に該当する。
【0046】
ここで異物と判定された場合、異物返却機構611において投入物がコンベア上からはじかれる。具体的には、当該部位のコンベア内のローラにポップアップ機構を設けておき、撮像判定処理手段110から異物である旨の出力信号を受信した異物返却機構611において、該ポップアップ機構を駆動させてコンベア上から除外させることができる。
【0047】
またこの実施例においては、包装用容器Cをその性状に応じた容器収容体109に誘導するための投入物振分け手段として、アーム付き部材608A及びエアー噴出装置608Bを用いている。これは投入物がコンベアによって順次搬送されてくる一方、振り分けられる包装用容器Cは総じて軽量であることからとりうる構成である。
【0048】
アーム付き部材608Aについては、撮像判定処理手段110からの色調同定信号、及び素材判別処理手段106からの素材同定信号を受け、包装用容器Cが所定の位置、例えば判別エリア602を通過した段階で駆動する。ここでは対応する素材の容器収容体109の入り口に設けられたアーム付き部材608Aがコンベア上に向かって、コンベアの搬送方向に逆行する方向に斜めに伸長し、コンベアの回転に伴ってアームに沿って包装用容器Cが所定の容器収容体109に収容される。ここでアーム付き部材は608Aは、投入物振分け手段に該当する。
【0049】
またエアー噴出装置608Bについては、撮像判定処理手段110からの色調同定信号、及び素材判別処理手段106からの素材同定信号を受け、当該包装用容器Cが所定の位置、すなわち対応する素材の容器収容体109前まで搬送されてきたタイミングで、コンベアを挟んで対向する位置に設置されたエアー噴出装置608BがエアーABを噴出するよう駆動して、包装用容器Cを所定の容器収容体109に誘導する。ここでエアー噴出装置608Bは、投入物振分け手段に該当する。
【0050】
なお、この第二の実施例においては、投入物振分け手段の具体的な構成として、アーム付き部材608Aとエアー噴出装置608Bとが併存する装置を例として説明したが、当然ながら両構成に有機的な関連性はなく、コンベア搬送型の容器分別回収装置において適用可能な投入物振分け手段を例示したに過ぎない。従って、例えば実装する投入物振分け手段の具体的構成がアーム付き部材608Aのみであっても良いし、またエアー噴出装置608Bのみであっても良い。
【0051】
また上記各実施例において、撮像判定処理手段110における色調判別を性状判別の一要素としたが、これに限られることはなく、例えば素材のみによって分別回収をする構成としてもよい。
【0052】
また、実施例として掲げた各構成は本発明を例示するものであって当該構成のみに限定する趣旨ではない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第一の実施例に係る容器分別回収装置の概念ブロック図である。
【図2】本発明の第一の実施例に係る容器分別回収装置において、投入物が投入されてから分別回収されるまでのメインフローである。
【図3】異物判定のサブルーチンである。
【図4a】投入物の形状が判定される概念図であり、回収対象である容器が投入された場合の撮像イメージ図である。
【図4b】同じく、異物が投入された場合の撮像イメージ図である。
【図5】素材判別のサブルーチンである。
【図6】本発明の第二の実施例に係る容器分別回収装置の概念図である。
【符号の説明】
【0054】
1 容器分別回収装置
101 投入口
102 留置エリア(判別領域)
103 投入物認識カメラ
104 プラスチック判別センサ
105 ステージ(開閉口)
106 素材判別処理手段
107 流路
108 誘導部材
109 容器収容体
110 撮像判定処理手段
111 異物排出口
112 誘導部材制御手段
6 容器分別回収装置
602 判別エリア(判別領域)
605 コンベア
608A アーム付き部材
608B エアー噴出装置
611 異物返却機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済のプラスチック製包装用容器を分別回収するための容器分別回収装置であって、
使用済包装用容器を投入するための投入口と、
前記投入口から投入された投入物が回収対象の容器かそれ以外の異物かを判定する異物判定手段と、
前記投入口から投入された投入物の素材を判別する素材判別手段と、
前記投入物を所定期間留置させ、前記異物判定手段及び前記素材判別手段により前記投入物の性状を判別するための判別領域と、
投入物の性状毎に設けられた複数個の容器収容体と、
前記異物判定手段によって分別回収対象と判定された場合に、前記判別された投入物の性状に応じて前記投入物を前記複数個の前記容器収容体のうちの一の容器収容体に振分ける投入物振分け手段と
を有することを特徴とする、容器分別回収装置。
【請求項2】
前記異物判定手段は、
前記判別領域内を撮影するためのカメラと、
前記カメラから出力される画像情報から判定領域内の投入物の形状を認識する形状認識手段と、
回収対象の容器の形状閾値を記憶する形状閾値記憶手段と
を有し、
前記形状認識手段で認識された形状が前期形状閾値の範囲内である場合に、回収対象の容器であると判定すること
を特徴とする、請求項1に記載の容器分別回収装置。
【請求項3】
前記素材判別手段は、近赤外スペクトル分析により素材を判別することを特徴とする、
請求項1又は請求項2に記載の容器分別回収装置。
【請求項4】
前記投入物の外表面の色調を判別する色調判別手段を更に有し、
前記投入物の性状には前記色調判別手段によって判別された色調も含まれること
を特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の容器分別回収装置。
【請求項5】
前記投入物振分け手段は、
前記判定領域と前記複数個の容器収容体との間に配された流路内に設けられ、前記素材判別手段による判別結果に応じて前記投入物の流れる流路を切替える誘導部材と、
前記誘導部材による流路の切替えの後、前記判別領域から投入物を排出し、重力を利用して前記流路へと送り出す投入物送り出し機構と
を有することを特徴とする、
請求項1から請求項4のいずれかに記載の容器分別回収装置。
【請求項6】
前記投入口から投入された投入物を搬送するためのコンベアを有し、
前記異物判定手段及び前記素材判別手段は前記コンベアに沿って配置されており、
前記投入物振分け手段は、
前記コンベア脇に設置されたアーム付き部材であり、前記素材判別手段の判別結果に基づいて駆動し、コンベアによって搬送されてきた前記投入物を対応する容器収容体へ誘導することを特徴とする、
請求項1から請求項4のいずれかに記載の容器分別回収装置。
【請求項7】
前記投入口から投入された投入物を
搬送するための移送手段を有し、
前記異物判定手段及び前記素材判別手段は前記移送手段に沿って配置されており、
前記投入物振分け手段は、
前記移送手段に沿って配置されたエアー噴出装置であり、前記素材判別手段の判別結果に基づいて駆動し、移送手段によって搬送されてきた前記投入物を対応する容器収容体へ誘導することを特徴とする、
請求項1から請求項4のいずれかに記載の容器分別回収装置。
【請求項8】
前記異物判定手段で前記投入物が異物と判定された場合、当該投入物を排出する異物排出手段を有することを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれかに記載の容器分別回収装置。
【請求項9】
前記異物判定手段で前記投入物が異物と判定された場合、その旨を報知する報知手段を有することを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれかに記載の容器分別回収装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−95718(P2009−95718A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−267805(P2007−267805)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(391011825)中央化学株式会社 (32)
【Fターム(参考)】