説明

容器詰め液製品検査装置および容器詰め液製品検査方法

【課題】容器詰め液製品の検査において、未検査品の再検査や被検体の複数回検査を、人手を介することなくスムーズに行えるようにする。
【解決手段】被検体画像検査装置20は、検査ロータ10の外周部近傍に設けられ、検査ロータ10の保持部に保持されて移動する被検体の外観画像を取得して、その外観画像に基づきその被検体における不良の有無を検査する。検査制御装置30は、被検体画像検査装置20の検査結果の基づき、その被検体が良品、不良品および未検査品のいずれであるかを判定し、未検査品と判定した被検体については、被検体分別用スターホイル60を制御して、その被検体を被検体回帰用スターホイル70へ受け渡させ、その被検体が検査ロータ10に戻るように制御する。また、そのときには、検査制御装置30は、投入被検体搬送装置40に設けられた搬送抑制ゲート制御して、被検体の被検体供給用スターホイル50への搬送を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に薬液や飲料が充填された容器詰め液製品について、その液中の異物および容器の外観不良などを検査する容器詰め液製品検査装置および容器詰め液製品検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透明な容器に薬液が充填されて販売されるアンプル、バイアルなどの薬液製品や健康飲料製品について、液中の異物や容器の外観不良を検出する製品検査には、しばしば、検査ロータと呼ばれる循環型の容器搬送装置が用いられる(例えば、特許文献1、特許文献2など参照)。
【0003】
この検査ロータの外縁部には、検査対象の薬液や飲料などが充填された容器(以下、被検体という)を保持する容器保持部が設けられており、その容器保持部に保持された被検体は、検査ロータの回転に伴って検査ロータの外縁部に沿って移動する。また、検査ロータの外縁部の外側(以下、外周部という)には、カメラなどの撮像装置が設けられており、その撮像装置で撮像された被検体の外観画像(この外観画像には、容器が透明であるため、液中の異物も撮像される)に基づき、液中の異物や容器の外観不良が検出される。
【0004】
このような容器詰め液製品の検査において、液中の異物と容器の外観不良とは、通常、分別して検出される。その分別を行うために、検査ロータの外周部には、さらに、被検体である薬液容器をスピン(自転)させるスピン機構が設けられている。以下、簡単に、液中の異物と容器の外観不良とを分別する方法について説明する。
【0005】
まず、検査ロータが回転して、その容器保持部に保持された被検体が、スピン機構が設けられた第1の位置に差し掛かると、スピン機構は、被検体をスピンさせ、その後、スピンを停止させ、容器保持部の元の位置に戻す。このとき、被検体の中の液は、そのスピンによってかくはんされ、その液中に異物があれば、その異物は、スピン停止後も、一定の間、液中を動き回る。
【0006】
続いて、容器保持部に保持された被検体が、撮像装置が設けられた第2の位置に差し掛かると、その撮像装置は、時間をわずかにずらしながら、被検体の複数の外観画像を取得する。そこで、撮像装置に付属する画像処理装置は、その取得された複数の外観画像を比較し、複数の外観画像のいずれにも標準画像との相違箇所がなければ、その被検体は、良品であると判断する。また、標準画像との相違箇所が複数の外観画像で同じ位置にあったときには、容器の外観不良と判断し、標準画像との相違箇所が複数の外観画像でそれぞれ異なる位置にあったときには、液中の異物と判断する。
【0007】
このようにして、検査ロータの容器保持部に保持された各被検体は、検査ロータが回転するとともに、検査ロータの外縁部に沿って搬送されながら容器の外観不良や液中の異物の検査が行われる。従って、この検査を制御する検査制御装置は、検査ロータから排出されるそれぞれの薬液容器について、その検査結果を識別することができ、その識別結果に基づき、検査ロータから排出される薬液容器を、それぞれ、良品、外観不良品、異物不良品などに分別することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−107011号公報
【特許文献2】特開2005−98832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、以上のような容器詰め液製品の検査装置においては、何らかの原因、例えば、いずれかの撮像装置が故障して被検体の外観画像が取得できなくなったような場合、あるいは、下流工程(例えば、良品の薬液容器にラベルを貼付したり、箱詰めしたりする工程)に異常が生じて、良品として分別された被検体を下流工程へ排出不能となったような場合には、検査ロータを緊急に停止させ、検査を一時中止する必要がある。
【0010】
その場合、検査制御装置は、検査ロータに回転停止を指示する。ところが、検査ロータは、当該検査装置の中では、最も大きく重量のある回転構造物である。そのため、検査制御装置が検査ロータに停止を指示しても、検査ロータは、慣性のため、すぐには止まれない。同様に、検査制御装置が回転開始を指示しても、検査ロータが定常の回転速度になるまでには、ある一定の時間がかかる。
【0011】
さらに、以上の容器詰め液製品の検査では、被検体は、検査ロータの外縁部の第1の位置でスピンさせられ、その後、第2の位置でその外観画像が取得される。そして、その外観画像の検査の結果に基づき、不良の有無の検査が行われる。この検査においては、薬液容器をスピンさせてから外観画像を取得するまでの時間は、検査ロータの回転速度が定常値であるときに適正な時間になるよう設定されている。
【0012】
従って、検査ロータの回転が減速しているときや、加速しているときには、その時間は、適正な時間とはいえなくなり、正しい検査が行えなくなる。例えば、被検体のスピン停止後、所定時間以上、時間が経過して外観画像を取得すると、液中の異物が沈殿してしまい、液中の異物は撮像されないことになる。
【0013】
その結果、検査制御装置が検査ロータに対し、回転停止を指示したときから、その後、検査ロータの回転の再開を指示し、検査ロータの回転速度が定常値に達し、検査が再開されるときまでに、スピン機構および撮像装置の少なくとも一方が設けられた位置を、スピンもされず、または、撮像もされずに通過した被検体は、検査が実施されなかったことになる。
【0014】
検査制御装置は、被検体を検査ロータから排出するとき、検査されなかった被検体については、良品および不良品の分別に際して、未検査品として分別し、未検査品トレイに排出する。そして、未検査品トレイに排出された被検体は、人手を介して、検査対象の新たな被検体とともに、当該容器詰め液製品の検査装置の被検体投入口へ再投入される。すなわち、従来は、未検査品が出るたびに、その未検査品を再検査するために、被検体投入口へ再投入するという、余分な人手作業が掛かるという問題があった。
【0015】
また、未検査品の再検査とは異なる問題ではあるが、容器詰め液製品の検査装置に対しては、その検査の精度を向上させるために、同じ検査を複数回実施したり、より多数の項目の検査を実施したりするニーズが存在していた。
【0016】
以上のような従来技術の課題に鑑み、本発明の目的は、未検査品の再検査や被検体の複数回検査を、人手を介することなく、スムーズに行うことを可能にした容器詰め液製品検査装置および容器詰め液製品検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記発明の目的を達成するために、本発明に係る容器詰め液製品検査装置は、所定の液が容器に充填された容器詰め液製品を被検体とするものであって、前記被検体を保持する被検体保持部が閉じた搬送路上に複数個設けられ、前記被検体保持部が前記閉じた搬送路上を循環移動するように構成された循環形状搬送装置と、前記閉じた搬送路上の近傍に配置され、前記被検体の外観画像を撮像して、その外観画像に基づき、前記被検体の不良を検出する被検体画像検査装置と、外部から供給される被検体を搬送して、前記循環形状搬送装置に受け渡す被検体供給搬送装置と、前記被検体画像検査装置の不良検出結果に基づき、前記被検体を良品、不良品および未検査品のいずれであるかを判定する検査制御装置と、前記循環形状搬送装置から受け渡された前記被検体を、前記検査制御装置による判定結果に基づき、良品、不良品および未検査品に分別する被検体分別搬送装置と、前記未検査品に分別された前記被検体を、前記被検体供給搬送装置または前記循環形状搬送装置のいずれかに受け渡して再検査に供する被検体回帰用搬送装置と、を備え、前記被検体回帰用搬送装置が前記未検査品に分別された前記被検体を前記被検体供給搬送装置に受け渡すものである場合には、前記検査制御装置は、外部からの前記被検体よりも、前記被検体回帰用搬送装置からの前記未検査品に分別された前記被検体を優先して前記被検体供給搬送装置に受け渡し、前記被検体回帰用搬送装置が前記未検査品に分別された前記被検体を前記循環形状搬送装置に受け渡すものである場合には、前記検査制御装置は、前記被検体供給搬送装置からの前記被検体よりも、前記被検体回帰用搬送装置からの前記未検査品に分別された前記被検体を優先して前記循環形状搬送装置に受け渡すことを特徴とする。
【0018】
本発明に係る容器詰め液製品検査装置においては、被検体は、被検体保持部に保持されて閉じた循環形状の搬送路上を移動する中で検査される。その被検体は、いったん、被検体分別搬送装置へ受け渡されるが、被検体分別搬送装置は、検査制御装置の判定に基づき、未検査品と判定された被検体を循環形状搬送装置へ受け渡す。また、そのときには、検査制御装置は、被検体供給搬送装置を制御して、被検体の循環形状搬送装置への受け渡しを停止させる。従って、本発明に係る容器詰め液製品検査装置を用いれば、人手を煩わせることなく、未検査品となった被検体をスムーズに循環形状搬送装置へ戻すことができるようになり、容易に再検査や複数回検査を行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、容器詰め液製品の検査において、未検査品の再検査や被検体の複数回検査を、人手を介することなく、スムーズに行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る容器詰め液製品検査装置の構成の例を示した図。
【図2】本発明の実施形態に係る容器詰め液製品検査装置の要部において被検体が搬送される様子を模式的に示した図。
【図3】被検体画像検査装置によって行われる被検体画像検査の手順の例を示した図。
【図4】被検体回帰用スターホイルを用いて、未検査品を検査ロータへ戻す場合に生じる問題点を模式的に示した図。
【図5】被検体の衝突が回避される場合について、被検体が搬送されている状況の例を模式的に示した図。
【図6】被検体の衝突回避のための制御を行った場合について、各位置における被検体の有無をタイムチャートとして示した図。
【図7】第1の搬送抑制ゲートの開閉する制御で発生した問題点を説明するための模式図。
【図8】第1の搬送抑制ゲートの開閉する制御で発生した問題点を解決する手段を説明するための模式図。
【図9】検査制御装置が記憶装置に記憶して管理する被検体分別情報管理テーブルの構成の例を示した図。
【図10】複数回検査を行う場合の被検体分別情報管理テーブルの構成の例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
まず、図1および図2を参照して、本発明の実施形態に係る容器詰め液製品検査装置の構成、並びに、その容器詰め液製品検査装置において被検体が搬送される様子について説明する。ここで、図1は、本発明の実施形態に係る容器詰め液製品検査装置の構成の例を示した図、図2は、その容器詰め液製品検査装置の要部において被検体が搬送される様子を模式的に示した図である。なお、本実施形態では、容器詰め液製品は、アンプル、バイアルなどの容器に入れられた薬液製品であるとし、以下、検査対象の薬液が入れられた容器を、単に、被検体という。
【0023】
図1に示すように、容器詰め液製品検査装置100は、検査ロータ10、被検体画像検査装置20、検査制御装置30、投入被検体搬送装置40、被検体供給用スターホイル50、被検体分別用スターホイル60、被検体回帰用スターホイル70などを含んで構成される。
【0024】
検査ロータ10は、図2に示すように、円板または円筒の周縁部に被検体101を保持する複数の被検体保持部102が等間隔に設けられて構成され、その搬送路が円環状をした搬送装置(循環形状搬送装置)であり、その円板または円筒の中心を軸に一方向に回転し、被検体101を、例えば、右回りの方向(図1では、矢印つきの太線で表示)に搬送する。なお、検査ロータ10は、円環状の搬送装置に限定されるものではなく、搬送路が循環形状で、被検体保持部102が、その循環形状の搬送路上に等間隔に設けられ、その循環形状の搬送路上を所定の速度で移動するものであれば、どのような形態のものであってもよい。
【0025】
被検体画像検査装置20は、検査ロータ10の外周部近傍の検査ロータ10から離間した位置に設けられ、被検体保持部102に保持された被検体101がその前面を通過するときに、その被検体101の外観画像を図示しないカメラなどの撮像装置によって取得し、その取得した外観画像を用いて、被検体101における液中の異物および容器の外観不良などを検出する(その不良検出の詳細については、後記にて説明)。
【0026】
なお、本実施形態では、複数の被検体画像検査装置20が検査ロータ10の外周部の複数の位置にそれぞれ設けられ(図1の例では、IM1〜IM4の4つの被検体画像検査装置20が設けられている)、そのそれぞれの被検体画像検査装置20は、被検体101のそれぞれ異なる状態の外観画像を取得し、その不良を検出する。
【0027】
また、本実施形態では、被検体画像検査装置20は、検査ロータ10の外周部に設けるとしているが、検査ロータ10の内周部に設けてもよい。その場合、検査ロータ10は、被検体保持部102が円環状の搬送路上に等間隔に設けられた形態のものであり、その搬送路の内側は移動しない。
【0028】
検査制御装置30は、CPU(Central Processing Unit)および記憶装置を少なくとも有するコンピュータによって構成され、各被検体画像検査装置20からの検査結果の報告を受けて、その検査結果に基づき、各被検体101が良品または不良品のいずれであるかを判別するとともに、被検体画像検査装置20から検査結果の報告が得られなかった被検体101については、未検査品と判定する。
【0029】
なお、不良品は、外観不良品、異物不良品などのように、さらに細分化して分別してもよい。以下、本実施形態では、不良品は、外観不良品と異物不良品とに細分化されるものとしている。また、検査制御装置30は、各被検体101について、良品、不良品または未検査品に分別した分別情報を、記憶装置に記憶しておくとともに、被検体分別用スターホイル60へ通知する。
【0030】
投入被検体搬送装置40は、被検体投入部41から投入された被検体101を検査ロータ10の方へ搬送する搬送装置であり、供給コンベア42、供給スクリュー43などによって構成される。供給コンベア42は、ベルト式のコンベアなどで構成され、被検体投入部41から被検体101を搬出し、搬送し、搬送した被検体101を供給スクリュー43へ受け渡す。
【0031】
供給スクリュー43は、図2に示すように、いわゆるウォームスクリューによって構成され、被検体101は、ウォームスクリューの溝に挟まれ、ウォームスクリューが回転するのに伴って、搬送される。なお、供給コンベア42が被検体を供給スクリュー43へ受け渡す供給コンベア42側の部分には、第1の搬送抑制ゲート421が設けられている。この第1の搬送抑制ゲート421の機能については、別途、詳しく説明する。
【0032】
被検体供給用スターホイル50は、投入被検体搬送装置40の搬送スクリューから被検体101を受け取り、その受け取った被検体101を検査ロータ10の位置まで搬送し、検査ロータ10の被検体保持部102に受け渡す。本実施形態では、被検体供給用スターホイル50は、3つのスターホイルSS1〜SS3によって構成される。
【0033】
なお、スターホイルとは、図2に示したスターホイルSS1〜SS3のように、その周縁部に収容部110を有する円形歯車状の搬送装置をいう。すなわち、スターホイルは、その円形歯車状の歯溝の部分に被検体101を収容し、被検体101は、そのスターホイルの回転とともに、スターホイルの外縁部を搬送路として搬送される。なお、スターホイルにおいて、被検体101が搬送される搬送路部分には、被検体101が収容部110から飛び出さないようにガイド部材120が設けられている。
【0034】
被検体分別用スターホイル60は、検査ロータ10から排出される被検体101を受け取り、その受け取った被検体101を検査制御装置30から通知されるその被検体101についての分別情報に基づき、良品、外観不良品、異物不良品および未検査品のいずれかに分別して排出する。
【0035】
ここで、被検体分別用スターホイル60は、図1に示すように、5つのスターホイルCS1〜CS5によって構成される。スターホイルCS1は、検査ロータ10から排出される被検体101を受け取り、その被検体101がスターホイルCS2との分岐点()に差しかかったとき、検査制御装置30から通知された分別情報に基づき、その被検体101が良品、不良品および未検査品のうちのいずれかであるかを判定し、未検査品であった場合には、その被検体101をスターホイルCS2へ受け渡す。一方、その被検体101が未検査品でなかった場合には、その被検体101を保持したまま回転を続ける。
【0036】
なお、スターホイルCS1における分岐点とは、それぞれのスターホイルCS1,CS2の外縁部に設けられた搬送路が最近接する位置をいい、その分岐点には、被検体101をいずれの搬送路に搬送するかを選択する分岐機構が設けられている。そして、その分岐機構では、分岐させる条件に応じて、例えば、空気など噴出させることにより一方の収容部110に吸引力を発生させ、吸引力を発生させた側の収容部110に被検体101を移動させる。
【0037】
同様に、スターホイルCS1は、検査制御装置30からの分別情報に基づき、スターホイルCS3との分岐点では、その被検体101が外観不良品であるか否かを判定し、外観不良品であった場合には、その被検体101をスターホイルCS3へ受け渡す。また、スターホイルCS1は、検査制御装置30からの分別情報に基づき、スターホイルCS4との分岐点では、その被検体101が異物不良品であるか否かを判定し、異物不良品であった場合には、その被検体101をスターホイルCS4へ受け渡す。
【0038】
また、スターホイルCS1は、スターホイルCS5との分岐点では、搬送されてきた被検体101をすべて良品としてスターホイルCS5へ受け渡す。スターホイルCS5は、その受け取った被検体101を良品コンベア61に受け渡し、良品コンベア61は、その被検体101を次の工程へ搬送する。
【0039】
また、スターホイルCS3は、スターホイルCS1から受け取った被検体101を外観不良品として、外観不良品トレイ62に排出する。同様に、スターホイルCS4は、スターホイルCS1から受け取った被検体101を異物不良品として、異物不良品トレイ63に排出する。
【0040】
また、スターホイルCS2は、スターホイルCS1から受け取った被検体101を未検査品として、被検体回帰用スターホイル70(RS1)に受け渡し、さらに、被検体回帰用スターホイル70は、その受け取った被検体101を被検体供給用スターホイル50(SS2)へ受け渡す。すなわち、本実施形態では、被検体回帰用スターホイル70を設けたことにより、未検査品の被検体101は、被検体供給用スターホイル50へ戻すことが可能となり、検査ロータ10によって、再度、搬送され、被検体画像検査装置20によって再度検査されることになる。
【0041】
なお、本実施形態では、被検体回帰用スターホイル70は、未検査品を被検体供給用スターホイル50へ戻すような回帰用搬送路の構成をとっているが、例えば、被検体回帰用スターホイル70が、未検査品を直接検査ロータ10へ戻すことが可能な構成であってもよい。
【0042】
図3は、被検体画像検査装置20(図1参照)によって行われる被検体画像検査の手順の例を示した図である。ここで、とくには図示しないが、被検体画像検査装置20は、被検体101を被検体保持部102から取り出してスピン(自転)させ、停止させた後、もとの被検体保持部102へ戻すスピン機構と、被検体保持部102に保持された被検体101の外観画像を撮像する撮像装置と、撮像装置で撮像した外観画像を処理して容器の外観不良や液内の異物を検出する画像処理装置を含んで構成されるものとする。
【0043】
被検体画像検査装置20は、図3に示すS1〜S4の手順に従って被検体画像検査を実施する。
【0044】
[S1] 上流側から被検体101が搬送されて、被検体画像検査装置20が設けられた位置の近傍の第1の位置に差し掛かると、スピン機構は、被検体101をスピンさせ、その後、スピンを停止させる。
【0045】
[S2] 次に、被検体101が、前記第1の位置から下流側に所定の距離離間した第2の位置に差し掛かると、撮像装置が、被検体101の外観画像を、時間をわずかにずらしながら複数枚撮像する。このとき、被検体101の容器は、相対的には、静止した状態にあるが、容器内の液は、スピンされて、まだ、動いている状態にあるものとする。従って、容器のキズや汚れは、前記撮像した複数の外観画像で同じ位置に現れ、液内の異物は、その複数の外観画像で異なる位置に現れる。
【0046】
[S3] そこで、画像処理装置は、撮像された複数の外観画像について差分処理を実施し、その差分処理で除去された同じ位置に現れた不良を、容器のキズや汚れなどによる外観不良と判定し、また、その差分処理で除去されなかった不良を、液内の異物による異物不良と判定する。
【0047】
[S4] さらに、画像処理装置は、差分処理で除去されなかった液内の異物については、その大きさなどを特定し、最大のものについてラベリングをして、後での詳細な不良解析に備える。
【0048】
なお、本実施形態では、被検体画像検査装置20は、IM1〜IM4の4台が設けられるとしているが、そのそれぞれの被検体画像検査装置20における検査内容は、すべて異なるものであっても、一部が異なるものであっても、すべてが同じものであってもよい。また、その検査手順についても、原則は、前記説明したS1〜S2の手順に従うものであるとするが、その手順に限定されるものではない。例えば、一部の被検体画像検査装置20でスピン動作が省略されてもよい。
【0049】
以上のようにして行われた各被検体101についての被検体画像検査の検査結果は、被検体画像検査装置20から検査制御装置30へ報告される。検査制御装置30は、検査ロータ10の外周部に設けられたすべての被検体画像検査装置20(図1の例では、IM1〜IM4)から被検体画像検査の検査結果の報告を受けたとき、そのすべての検査結果に基づき、各被検体101について、良品、外観不良品、異物不良品、未検査品のいずれであるかを判定する。
【0050】
すなわち、検査制御装置30は、すべての被検体画像検査装置20から、外観不良も異物不良も検出しなかった旨の報告を受けた被検体101については、その被検体101を良品と判定する。また、少なくとも1つの被検体画像検査装置20から、外観不良のありの報告を受けた被検体101については、その被検体101を外観不良品と判定する。同様に、少なくとも1つの被検体画像検査装置20から、異物不良のありの報告を受けた被検体101については、その被検体101を異物不良品と判定する。
【0051】
また、少なくとも1つの被検体画像検査装置20において、所定の検査条件が整わず、被検体画像検査を行うことができなかった被検体101については、その被検体101を未検査品と判定する。なお、「所定の検査条件が整わず」とは、具体的には、撮像装置が故障して被検体101の外観画像そのものを取得できなかった場合、スピン機構が故障して被検体101をスピンさせることができなかった場合、検査ロータ10が緊急停止したため、被検体101をスピンさせてから、その外観画像を取得するまでの時間があらかじめ定められた規定時間を超えたような場合などを指す。
【0052】
検査制御装置30は、以上のようにして判定した各被検体101についての、良品、外観不良品、異物不良品、未検査品の情報を、分別情報として記憶装置に記憶するとともに、その分別情報を被検体分別用スターホイル60に通知する。そして、その分別情報の通知を受けた被検体分別用スターホイル60(CS1)は、スターホイルCS2との分岐点では、未検査品と判定された被検体101をスターホイルCS2へ受け渡し、スターホイルCS2は、未検査品として受け取った被検体101を被検体回帰用スターホイル70へ受け渡す。さらに、被検体回帰用スターホイル70は、その受け取った被検体101を被検体供給用スターホイル50へ受け渡す。
【0053】
こうして、未検査品と判定された被検体101は、被検体供給用スターホイル50から、再度、検査ロータ10へ戻され、再検査される。ところで、このように被検体回帰用スターホイル70を用いて、未検査品を検査ロータ10へ戻す搬送路の構成には、次に、図4を用いて示すような問題が生じる。
【0054】
図4は、被検体回帰用スターホイル70を用いて、未検査品を検査ロータ10へ戻す場合に生じる問題点を模式的に示した図である。図4に示すように、被検体回帰用スターホイル70(RS1)を介して、未検査品の被検体101が被検体供給用スターホイル50(SS2)に受け渡された場合には、その未検査品の被検体101は、供給コンベア42および供給スクリュー43側から搬送されてくる被検体101と、その合流点81で衝突することになる。その場合には、両者の容器は、破損したり傷ついたりすることになる。
【0055】
そこで、本実施形態では、このような事態になるのを避けるため、供給コンベア42が被検体101を供給スクリュー43へ受け渡す位置に、第1の搬送抑制ゲート421を設けている。そして、検査制御装置30からの指示に基づき、その第1の搬送抑制ゲート421を、適宜、開閉し、未検査品の被検体101が合流点81を通過する間は、供給コンベア42側から搬送される被検体101が合流点81に達しないようにする。
【0056】
次に、図5および図6を参照して、合流点81における被検体101の衝突を回避させる第1の搬送抑制ゲート421の制御方法について説明する。図5は、被検体101の衝突が回避される場合について、被検体101が搬送されている状況の例を模式的に示した図、図6は、被検体101の衝突回避のための制御を行った場合について、各位置における被検体101の有無をタイムチャートとして示した図である。
【0057】
検査制御装置30は、まず、分別情報確定点82を設定する。ここで、分別情報確定点82とは、検査制御装置30が、ある被検体101について、すべての被検体画像検査装置20(IM1〜IM4)からの被検体画像検査装置20の検査結果の報告を受けて、その被検体101についての分別情報(良品、外観不良品、異物不良品、未検査品)を確定させたとき、その被検体101が搬送されている位置をいう。なお、図5では、分別情報確定点82は、被検体分別用スターホイル60(CS1)上に設定されているが、分別情報確定点82は、検査ロータ10の被検体保持部102(図2参照)にあってもよい。
【0058】
次に、検査制御装置30は、分別情報確定点82から合流点81へ到る搬送距離を求める。なお、本実施形態においては、供給スクリュー43以降の、検査ロータ10、被検体供給用スターホイル50、検査ロータ10、被検体分別用スターホイル60、被検体回帰用スターホイル70のいずれの搬送装置においても、その搬送の動作は、一斉に同期して行われる。そこで、本実施形態では、2つに位置の搬送距離を、その2つの位置をつなぐ搬送路上に形成される収容部110または被検体保持部102の個数で表す。ここでは、分別情報確定点82から合流点81へ到る搬送距離をR個であるとする。
【0059】
次に、検査制御装置30は、第1の搬送抑制ゲート421から合流点81へ到る搬送距離を求める。この場合にも、その搬送距離を、供給スクリュー43に形成された収容部および被検体供給用スターホイル50上の搬送路に形成された収容部110の数で表し、その搬送距離をK個とする。また、R>Kであるとする。
【0060】
ここで、分別情報確定点82に位置する被検体101が未検査品となった場合には、その被検体101は、R時間後には(ここでいう時間は、1単位の搬送動作が行われる単位時間を意味し、前記の被検体が1搬送距離搬送される時間に相当する)、合流点81に達する。また、第1の搬送抑制ゲート421に位置する被検体101は、K時間後には、合流点81に達する。
【0061】
そこで、図6に示すように、検査制御装置30は、時刻T(0)において、分別情報確定点82で未検査品の被検体101を検知した場合には、その時刻T(0)からR−K時間後の時刻T(R−K)において、第1の搬送抑制ゲート421を閉じる制御をする。また、時刻T(0)において、未検査品の被検体101を検知しなかった場合には、その時刻からR−K時間後の時刻T(R−K)において、第1の搬送抑制ゲート421を開ける制御をする。
【0062】
すなわち、時刻T(0)において、分別情報確定点82で未検査品の被検体101を検知した場合には、その時刻T(0)からR−K時間後の時刻T(R−K)において、供給コンベア42から供給スクリュー43への被検体101の受け渡しが抑制される。従って、そのK時間後の時刻T(R)では、被検体101が供給スクリュー43側から合流点81に搬送されることはない。よって、合流点81における被検体101の衝突は回避されることになる。
【0063】
なお、図6において、丸印(○)は、搬送中の被検体101が存在することを意味し、中点(・)は、搬送中の被検体101が存在しないことを意味する。また、四角の枠は、単位の搬送動作が行われる単位時間を意味する。
【0064】
また、本実施形態では、図5に示すように、被検体101の通過を検知する被検体検知センサ85を、被検体回帰用スターホイル70上のいずれかの位置に設ける。そして、その被検体検知センサ85によって予期しない被検体101が検知されたときには、検査制御装置30は、検査ロータ10を緊急停止させ、そのとき被検体画像検査装置20が行っている検査を中止させる。
【0065】
ここで、予期しない被検体101とは、未検査品でない被検体101が機械的な誤動作によって誤って被検体回帰用スターホイル70に搬送されたり、人為的に誤って被検体回帰用スターホイル70に差し込まれたりした被検体101をいう。従って、本実施形態では、このような誤りによって被検体回帰用スターホイル70に混入した被検体101が合流点81で供給スクリュー43側から搬送された被検体101と衝突するのを避けることができる。
【0066】
なお、本実施形態では、検査制御装置30が分別情報確定点82を設定した時点を基準に第1の搬送抑制ゲート421を開閉する制御を行ったが、被検体検知センサ85が設けられた位置から合流点81へ到る搬送距離をP個であり、P>Kである場合には、別の実施形態として、被検体検知センサ85で被検体101を検知したか否かの情報に基づき、そのP−K時間後に、第1の搬送抑制ゲート421の開閉を制御するようにしてもよい。このような制御によっても、合流点81における被検体101の衝突を避けることができる。そして、この場合には、予期しない被検体101であっても、衝突を避けることができる。
【0067】
ただし、一般的な容器詰め液製品検査装置100においては、そのハードウエアの構造上、P>Kとすることが困難である場合が多い。そこで、本実施形態では、第1の搬送抑制ゲート421を閉じる制御を、検査制御装置30が分別情報確定点82を設定した時点を基準にして行うようにしたものである。
【0068】
図7は、第1の搬送抑制ゲート421の開閉する制御で発生した問題点を説明するための模式図、図8は、その問題点を解決する手段を説明するための模式図である。
【0069】
従来技術の課題の項でも言及したように、容器詰め液製品検査装置100では、本実施形態の場合も含め、未検査品の被検体101は、検査ロータ10が緊急停止されたような場合に生じる。そして、その場合には、検査制御装置30が緊急停止を指示しても、検査ロータ10がすぐには停止できないため、未検査品の被検体101は、数個ないし10数個の行列となる。
【0070】
そのため、その行列をなした未検査品の被検体101を被検体供給用スターホイル50へ流し込む場合には、図7(a)に示すように、供給コンベア42を介して搬送されてくる被検体101は、第1の搬送抑制ゲート421によって供給コンベア42上に、しばらくの間留め置かれることになる。
【0071】
その場合、図7(b)に示すように、先頭の被検体101が、たまたま、第1の搬送抑制ゲート421に中途半端に挟み込まれたような状態になったときには、その先頭の被検体101が後続する留め置かれた被検体101からの押圧力を受け、第1の搬送抑制ゲート421から不定期に抜け出るようなことが生じていた。そのときには、その抜け出た被検体101は、未検査品の被検体101と衝突する事態となる。
【0072】
そのような事態になるのを避けるために、本実施形態では、図8に示すように、供給コンベア42上の第1の搬送抑制ゲート421の手前の位置、すなわち、供給コンベア42上の被検体投入部41から第1の搬送抑制ゲート421へ到る途中の位置に、第2の搬送抑制ゲート422を設けた。以下、図8を用いて、第2の搬送抑制ゲート422が果たす機能について説明する。
【0073】
まず、図8(a)に示すように、第1の搬送抑制ゲート421および第2の搬送抑制ゲート422の両方が開いているときには、供給コンベア42上に供給スクリュー43への受け渡し待ちの被検体101が多数あっても、その被検体101は、供給スクリュー43へ問題なく受け渡される。しかしながら、受け渡し待ちの被検体101が多数あったときに第1の搬送抑制ゲート421を閉じようとすると、先頭の被検体101が後続する多数の被検体101からの押圧力を受けて、供給スクリュー43側に飛び出た状態になり易い。そのため、図7(b)で説明したように、その先頭の被検体101は、第1の搬送抑制ゲート421に中途半端に挟み込まれ易くなる。
【0074】
そこで、図8(b)に示すように、第1の搬送抑制ゲート421を閉じようとするときには、その動作に先行して、まず、第2の搬送抑制ゲート422を閉じる。そして、第1の搬送抑制ゲート421と第2の搬送抑制ゲート422との間の供給コンベア42上にあって、供給スクリュー43への受け渡し待ちをしている被検体101の数を、所定数(例えば、5個)以下になるようにする。
【0075】
なお、このような第2の搬送抑制ゲート422の開閉制御は、被検体検知センサを用いた行列の最後尾センサ(図示省略)などによって容易に実現することができる。例えば、供給コンベア42上の第1の搬送抑制ゲート421から所定の行列長となる位置(例えば、5個の被検体101が行列したときの5個目の被検体の位置)に被検体検知センサを設け、その被検体センサが所定の時間(例えば、2秒)以上、被検体101を検知し続けた場合には、5個の被検体101の行列ができたと判定し、第2の搬送抑制ゲート422を閉じる。また、所定の時間(例えば、2秒)以上、被検体101を検知しなくなった場合には、第2の搬送抑制ゲート422を開ける。
【0076】
以上のようにして、供給スクリュー43への受け渡し待ちをしている被検体101の数を制限することができるようになる。従って、その先頭の被検体101が後続する被検体101から受ける押圧力を減ずることができるので、先頭の被検体101が供給スクリュー43側に飛び出し勝ちになり、第1の搬送抑制ゲート421に中途半端に挟み込まれことを防止することができる。その結果、その挟み込まれた被検体101が第1の搬送抑制ゲート421から供給スクリュー43へ不定期に抜け出るようなことはなくなる。
【0077】
次に、図8(c)に示すように、第1の搬送抑制ゲート421がいったん被検体101を中途半端に挟み込むことなく閉じてしまえば、受け渡し待ちの被検体101が多数になったとしても、第1の搬送抑制ゲート421によりしっかり受け止められるので、第2の搬送抑制ゲート422を開放する。
【0078】
なお、第2の搬送抑制ゲート422の開閉制御は、以上のような制御の方法に限定されない。例えば、第1の搬送抑制ゲート421の状態に関わりなく、単に、行列の最後尾センサによって、供給スクリュー43への受け渡し待ちをしている被検体101の行列の長さが所定の長さ(例えば、5個)以上になった場合には、第2の搬送抑制ゲート422を閉じ、その行列長が所定の長さ(例えば、5個)未満になった場合には、第2の搬送抑制ゲート422を開くような制御にしてもよい。
【0079】
次に、容器詰め液製品検査装置100において、未検査品の再検査回数を制限する方法について説明する。図9は、検査制御装置30が記憶装置に記憶して管理する被検体分別情報管理テーブルの構成の例を示した図である。図9に示すように、被検体分別情報管理テーブルは、被検体位置識別情報、被検体識別情報、分別情報、通知分別情報、未検査回数の各フィールドによって構成される。
【0080】
ここで、被検体位置識別情報は、被検体101の位置を特定する情報、被検体識別情報は、被検体101そのものを識別する情報である。また、分別情報は、前記の被検体識別情報で識別される被検体101についての被検体画像検査装置20の検査結果に基づく分別情報、通知分別情報は、当該被検体101について検査制御装置30が被検体分別用スターホイル60に通知する場合の分別情報である。
【0081】
検査制御装置30は、検査ロータ10が被検体供給用スターホイル50から被検体101を受け取るたびに、被検体分別情報管理テーブルの最初の行に新しい行を追加し、その受け取った被検体101についての被検体位置識別情報、被検体識別情報および未検査回数を格納する。ここで、検査制御装置30は、被検体位置識別情報として、例えば、その日の始業時から検査ロータ10が回転した量を表す情報(以下に説明する、移動量カウンタの現在値)を格納する。
【0082】
本実施形態では、検査制御装置30は、検査ロータ10の被検体保持部102の回転移動量をカウントする移動量カウンタ(図示せず)を有するものとする。ここで、回転移動量とは、検査ロータ10の被検体保持部102が移動した移動量であり、以下では、単に、移動量という。例えば、検査ロータ10に180個の被検体保持部102が設けられ、検査ロータ10が90度回転した場合には、その移動量は「45」となる。また、検査ロータ10が5回と90度回転した場合には、その移動量は「945」となる。なお、移動量「945」を(5,45)で表してもよい。
【0083】
すなわち、検査制御装置30は、検査ロータ10の被検体保持部102が被検体保持部102の1個分、回転移動するたびに、移動量カウンタを1つずつカウントアップする。この移動量カウンタは、毎日、始業時にリセット(ゼロクリア)されるものとするが、検査ロータ10が緊急停止してもリセットされず、1日を通してカウントアップが続けられる。なお、検査制御装置30における移動量カウンタのカウントアップは、例えば、検査ロータ10に取り付けられた回転量を検知するロータリエンコーダなどからの信号に基づき行われる。
【0084】
検査制御装置30は、その移動量カウンタの現在値と各被検体101に付与された被検体位置識別情報から、その被検体101の現在位置を得ることができる。例えば、移動量カウンタの現在値が「t」で、ある被検体101の被検体位置識別情報が「t−p」であれば、その被検体101は、検査ロータ10が被検体101を被検体供給用スターホイル50から受け取った位置から、検査ロータ10の回転方向に沿って、被検体保持部102の数でp個先に位置していることが分かる。
【0085】
また、検査制御装置30は、被検体識別情報のフィールドには、被検体供給用スターホイル50から受け取った被検体101が、被検体投入部41から投入された新たな被検体101である場合には、被検体位置識別情報と同じく、その日の検査ロータ10の移動量カウンタの現在値を格納する。一方、その被検体101が被検体回帰用スターホイル70を介して再検査品として戻ってきた被検体101である場合には、再検査品である被検体101にそれまでに付与されていた被検体識別情報を格納する。
【0086】
なお、被検体供給用スターホイル50から受け取った被検体101が再検査品であるか否かは、当該被検体分別情報管理テーブルの被検体位置識別情報が「t−u」である行の分別情報が未検査品であるか否かによって判定することができる。ここで、「u」は、被検体供給用スターホイル50から検査ロータ10へ受け渡された被検体101が、検査ロータ10、被検体分別用スターホイル60、被検体回帰用スターホイル70および被検体供給用スターホイル50の各搬送路を経由して、再び、検査ロータ10へ戻るまでの1回帰移動量(搬送距離)である。
【0087】
さらに、検査制御装置30は、被検体供給用スターホイル50から受け取った被検体101が、被検体投入部41から投入された新たな被検体101である場合には、未検査回数のフィールドに「0」を格納し、被検体回帰用スターホイル70を介して再検査品として戻ってきた被検体101である場合には、再検査品である当該被検体101に対してそれまでに記憶されていた未検査回数を格納する(コピーする)。なお、それまでに記憶されていた未検査回数は、被検体分別情報管理テーブルの被検体位置識別情報が「t−u」である行の未検査回数のフィールドから得ることができる。
【0088】
また、検査制御装置30は、被検体101ごとに、その被検体101について、すべての被検体画像検査装置20から検査結果の報告を受けたとき、その報告に基づき、その被検体101についての分別情報を定め、まずは、そのとき定めた分別情報を、被検体分別情報管理テーブルにおける分別情報および通知分別情報の両フィールドの値として格納する。さらに、検査制御装置30は、その被検体分別情報管理テーブルに格納した当該被検体101についての分別情報が「未検査品」であった場合には、当該被検体101についての未検査回数を1つカウントアップする。また、その時点で、その未検査回数があらかじめ定められた検査制限回数(例えば、3回)を超えた場合には、被検体分別情報管理テーブルにおける通知分別情報フィールドの値を「不良品(外観不良品または異物不良品のいずれでもよい)」に書き換える。
【0089】
検査制御装置30は、以上のようにして被検体分別情報管理テーブルを作成し、その通知分別情報フィールドの値を分別情報として被検体分別用スターホイル60に通知する。そして、その通知される分別情報は、未検査回数があらかじめ定められた検査制限回数を超えた場合には、被検体画像検査の結果が「未検査品」であっても「不良品」に変更されたものとなっている。従って、被検体分別用スターホイル60は、その被検体101を、「不良品」として外観不良品トレイ62または異物不良品トレイ63に排出する。このようにして、被検体101が所定回数を超えて再検査品となった場合には、その被検体101を不良品として分別することができる。
【0090】
被検体101がとくに薬液容器であるような場合には、その薬液の種類によっては、再検査を繰り返すことによって薬液が劣化する場合がある。また、本実施形態の場合、未検査といっても、複数の被検査画像検査装置による一部の検査は行われるので、未検査が繰り返されれば、何度も検査したことに相当する。しかしながら、本実施形態では、以上に説明したように、未検査回数を制限することができるので、再検査による薬液の劣化を防止し、劣化した薬液製品が良品に分別されないようにすることができる。
【0091】
以上、本実施形態によれば、未検査品の再検査を、人手を介することなくスムーズに行うことができるようになる。
【0092】
(実施形態の変形例)
以上に説明した実施形態は、未検査品の再検査を可能にしたものであるが、同様の構成を用いて、被検体101の複数回検査を実現することができる。ここで、複数回検査とは、同一の被検体101を検査ロータ10の外周部に設けられた被検体画像検査装置20の前を複数回通過させ、同じ被検体画像検査を複数回実施することをいう。同じ被検体画像検査を複数回実施することにより、不良検出の精度を向上させることができる。
【0093】
図10は、複数回検査を行う場合の被検体分別情報管理テーブルの構成の例を示した図である。図10の被検体分別情報管理テーブルの構成は、図9に示した被検体分別情報管理テーブルの構成に検査回数のフィールドが追加されたものとなっている。検査回数のフィールドには、実施中の検査が何回目の検査であるかを表す情報が格納される。
【0094】
すなわち、検査制御装置30は、検査ロータ10が被検体供給用スターホイル50から被検体101を受け取った時点で、その被検体101が被検体投入部41から投入された新たな被検体101である場合には、検査回数のフィールドに「1」を格納し、また、その被検体101が被検体回帰用スターホイル70を介して再検査品として戻ってきた被検体101である場合には、その検査回数のフィールドには、被検体分別情報管理テーブルの被検体位置識別情報が「t−u」である行の検査回数のフィールドから読み出した値に「1」を加算した値を格納する。
【0095】
そして、検査制御装置30は、被検体101ごとに、その被検体101について、すべての被検体画像検査装置20から検査結果の報告を受けたとき、その報告された検査結果および前回までの検査結果(ただし、2回目以降の検査の場合)に基づき、その被検体101についての分別情報を定め、まずは、そのとき定めた分別情報を、被検体分別情報管理テーブルにおける分別情報および通知分別情報の両フィールドの値として格納する。次に、検査制御装置30は、そのときの検査回数を検査回数フィールドから読み出し、その回数があらかじめ定められた検査規定回数に達していなかった場合には、被検体分別情報管理テーブルにおける通知分別情報フィールドの値を「未検査品」に書き換える。
【0096】
検査制御装置30は、この通知分別情報フィールドの値を分別情報として被検体分別用スターホイル60に通知する。その通知される分別情報は、検査回数があらかじめ定められた検査規定回数未満であった場合には、被検体画像検査による分別情報の如何に関わらず、「未検査品」に変更されたものとなっている。従って、被検体分別用スターホイル60は、その分別情報が通知された被検体101を、「未検査品」として被検体回帰用スターホイル70へ受け渡す。従って、検査回数が検査規定回数に達していない被検体101については、再度、検査ロータ10へ戻されることとなるので、被検体101の複数回検査が実現される。
【0097】
なお、以上に説明した複数回検査では、各回の検査において、前回と同じ検査をするものではあるが、それぞれの回で異なる条件の検査を行うようにしてもよい。例えば、1回目の検査と2回目以降の検査とで、被検体画像検査装置20に含まれる撮像装置が被検体101の異なる部分の画像を取得し、そのそれぞれの画像に基づき、被検体画像検査を行ってもよい。また、1回目の検査と2回目以降の検査とで、被検体101に当てる照明の色を変えるようにしてもよい。さらには、1回目の検査と2回目以降の検査とで、被検体画像検査装置20に含まれるスピン機構が被検体101に与えるスピン動作(スピンする加減速時間やスピン速度など)を変えるようにしてもよい。
【0098】
このように2回目以降で異なる条件の検査をする場合には、前記の検査制御装置30は、被検体分別情報管理テーブルから検査対象の被検体101に対応する検査回数フィールドの値(すなわち、検査回数)を読み出し、それぞれの被検体画像検査装置20に対し、その検査回数を通知する。そして、各被検体画像検査装置20は、その通知された検査回数に応じてあらかじめ設定された実施する。
【0099】
このようなそれぞれの回で異なる条件の検査を行う複数回検査は、より多種類の被検体画像検査が可能になるので、検査の精度や信頼性を向上させることができる。また、別の観点では、より少ない数の被検体画像検査装置20で多種類の被検体画像検査が可能になるので、容器詰め液製品検査装置100の装置価格の低減を図ることができる。
【0100】
なお、以上に説明した実施形態の変形例においても、その被検体分別情報管理テーブルには、未検査回数のフィールドが含まれており、その未検査回数フィールドに記憶される値(未検査回数)は、先に説明した実施形態の場合と全く同じ役割を果たす。ただし、この実施形態の変形例では、未検査回数と検査回数とは互いに独立にカウントされる。そこで、薬液などの検査でその検査回数に検査制限回数が設定されている場合には、検査制限回数に達したか否かの判定は、未検査回数と検査回数との合計が検査制限回数に達したか否かによって判定するものとする。
【符号の説明】
【0101】
10 検査ロータ(循環形状搬送装置)
20 被検体画像検査装置
30 検査制御装置
40 投入被検体搬送装置(被検体供給搬送装置)
41 被検体投入部
42 供給コンベア
43 供給スクリュー
50 被検体供給用スターホイル(被検体供給搬送装置)
60 被検体分別用スターホイル(被検体分別搬送装置)
61 良品コンベア
62 外観不良品トレイ
63 異物不良品トレイ
70 被検体回帰用スターホイル(被検体回帰用搬送装置)
81 合流点
82 分別情報確定点
85 被検体検知センサ
100 容器詰め液製品検査装置
101 被検体
102 被検体保持部
110 収容部
120 ガイド部材
421 第1の搬送抑制ゲート
422 第2の搬送抑制ゲート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の液が容器に充填された容器詰め液製品を被検体とする容器詰め液製品検査装置であって、
前記被検体を保持する被検体保持部が閉じた搬送路上に複数個設けられ、前記被検体保持部が前記閉じた搬送路上を循環移動するように構成された循環形状搬送装置と、
前記閉じた搬送路上の近傍に配置され、前記被検体の外観画像を撮像して、その外観画像に基づき、前記被検体の不良を検出する被検体画像検査装置と、
外部から供給される被検体を搬送して、前記循環形状搬送装置に受け渡す被検体供給搬送装置と、
前記被検体画像検査装置の不良検出結果に基づき、前記被検体が良品、不良品および未検査品のいずれであるかを判定する検査制御装置と、
前記循環形状搬送装置から受け渡された前記被検体を、前記検査制御装置による判定結果に基づき、良品、不良品および未検査品に分別する被検体分別搬送装置と、
前記未検査品に分別された前記被検体を、前記被検体供給搬送装置または前記循環形状搬送装置のいずれかに受け渡して再検査に供する被検体回帰用搬送装置と、
を備え、
前記被検体回帰用搬送装置が前記未検査品に分別された前記被検体を前記被検体供給搬送装置に受け渡すものである場合には、
前記検査制御装置は、
外部からの前記被検体よりも、前記被検体回帰用搬送装置からの前記未検査品に分別された前記被検体を優先して前記被検体供給搬送装置に受け渡し、
前記被検体回帰用搬送装置が前記未検査品に分別された前記被検体を前記循環形状搬送装置に受け渡すものである場合には、
前記検査制御装置は、
前記被検体供給搬送装置からの前記被検体よりも、前記被検体回帰用搬送装置からの前記未検査品に分別された前記被検体を優先して前記循環形状搬送装置に受け渡すこと
を特徴とする容器詰め液製品検査装置。
【請求項2】
所定の液が容器に充填された容器詰め液製品を被検体とし、円形の搬送路上に前記被検体を保持する被検体保持部が等間隔に設けられて構成され、前記被検体保持部が前記円形の搬送路上を所定の速度で移動して前記被検体を搬送する検査ロータと、
前記検査ロータの外周部または内周部に前記検査ロータから離間して設けられ、前記被検体保持部に保持された前記被検体が自身の前面を通過するときに、内蔵された撮像装置によって前記被検体の外観画像を取得し、前記取得した外観画像を用いて、前記被検体における液中の異物および容器の外観不良の少なくとも一方の不良状態を検出する不良検出処理を実行する被検体画像検査装置と、
前記被検体画像検査装置による前記不良検出処理の実行結果に基づき、前記被検体を良品または不良品と判定し、さらに、前記被検体画像検査装置による前記不良検出処理の実行ができなかった前記被検体については、前記被検体を未検査品と判定し、前記判定した当該被検体についての良品、不良品または未検査品の情報を、分別情報として記憶装置に記憶する検査制御装置と、
検査対象の被検体が投入される被検体投入部から前記投入された被検体を前記検査ロータの方へ搬送する投入被検体搬送装置と、
前記投入被検体搬送装置から前記被検体を受け取るとともに、前記受け取った被検体を前記検査ロータの被検体保持部に受け渡す被検体供給用スターホイルと、
前記検査ロータから排出される前記被検体を受け取り、前記受け取った被検体を、前記検査制御装置から通知される当該被検体についての分別情報に基づき、良品、不良品および未検査品のいずれかに分別して排出する被検体分別用スターホイルと、
前記被検体分別用スターホイルから排出される未検査品を受け取り、前記受け取った未検査品を前記被検体供給用スターホイルへ受け渡す被検体回帰用スターホイルと、
を備え、
前記投入被検体搬送装置は、
前記搬送した被検体を前記被検体供給用スターホイルへ受け渡す手前の部分に、その受け渡しの対象となる被検体の搬送を抑制する第1の搬送抑制ゲートを有しており、
前記検査制御装置は、
前記判定において、前記被検体が未検査品と判定されたときには、前記未検査品と判定された前記被検体が前記被検体分別用スターホイルおよび前記被検体回帰用スターホイルを経由して前記被検体供給用スターホイルへ搬送され、前記投入被検体搬送装置から前記被検体供給用スターホイルへ受け渡された被検体と合流する、前記被検体供給用スターホイル上の合流点までの移動タイミング量を計算し、
前記計算した移動タイミング量と前記投入被検体搬送装置上の前記第1の搬送抑制ゲート位置から前記合流点までの移動タイミング量を差し引いて求められるタイミングで、前記第1の搬送抑制ゲートに対し、そのゲートを閉じるように制御すること
を特徴とする容器詰め液製品検査装置。
【請求項3】
前記検査制御装置は、
前記被検体それぞれについての分別情報に加え、当該被検体が前記検査ロータによって複数回搬送されることに基づく複数回検査が行なわれた場合には、その検査回数を記憶装置に記憶し、
前記被検体に対して前記記憶装置に記憶されている検査回数があらかじめ定められた検査規定回数未満である場合には、前記被検体分別用スターホイルに対して前記被検体についての分別情報を通知するとき、前記通知する分別情報を、前記記憶装置に記憶されている分別情報の如何に関わらず、未検査品として通知すること
を特徴とする請求項2に記載の容器詰め液製品検査装置。
【請求項4】
前記検査制御装置は、
前記被検体それぞれについての分別情報および検査回数に加え、当該被検体が未検査品となった未検査回数を記憶装置に記憶し、
前記記憶装置に記憶されている前記未検査回数と前記検査回数との合計があらかじめ定められた検査制限回数に達した場合には、前記被検体分別用スターホイルに対して前記被検体についての分別情報を通知するとき、前記通知する分別情報を、前記記憶装置に記憶されている分別情報の如何に関わらず、不良品として通知すること
を特徴とする請求項3に記載の容器詰め液製品検査装置。
【請求項5】
前記検査制御装置は、
前記被検体画像検査装置に対し、前記記憶装置に記憶されている前記被検体についての検査回数を通知し、前記通知された検査回数ごとに異なる条件で前記被検体の画像を取得することを指示すること
を特徴とする請求項3または請求項5に記載の容器詰め液製品検査装置。
【請求項6】
前記検査ロータは、
前記被検体保持部に保持された被検体を取り出してスピンさせ、その後すぐにスピンを停止させ、元の被検体保持部の保持位置に戻すスピン機構を有しており、
前記検査制御装置は、
前記スピン機構に対し、前記検査回数ごとに異なる条件でのスピン動作を指示すること
を特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載の容器詰め液製品検査装置。
【請求項7】
前記投入被検体搬送装置は、
前記被検体投入部から前記第1の搬送抑制ゲートに到る搬送路の途中に、第2の搬送抑制ゲートを有しており、
前記検査制御装置は、
前記第2の搬送抑制ゲートと前記第1の搬送抑制ゲートとの間の搬送路部部分に存在する前記被検体の数があらかじめ定められた数を超えないように、前記第2の搬送抑制ゲートの開閉を制御すること
を特徴とする請求項3ないし請求項6のいずれか1項に記載の容器詰め液製品検査装置。
【請求項8】
所定の液が容器に充填された容器詰め液製品を被検体として、前記被検体を保持する被検体保持部が閉じた搬送路上に複数個設けられ、前記被検体保持部が前記閉じた搬送路上を循環移動するように構成された循環形状搬送装置と、
前記閉じた搬送路上の近傍に配置され、前記被検体の外観画像を撮像して、その外観画像に基づき、前記被検体の不良を検出する被検体画像検査装置と、
外部から供給される被検体を搬送して、前記循環形状搬送装置に受け渡す被検体供給搬送装置と、
前記被検体画像検査装置の不良検出結果に基づき、前記被検体が良品、不良品および未検査品のいずれであるかを判定する検査制御装置と、
前記循環形状搬送装置から受け渡された前記被検体を、前記検査制御装置による判定結果に基づき、良品、不良品および未検査品に分別する被検体分別搬送装置と、
前記未検査品に分別された前記被検体を、前記被検体供給搬送装置または前記循環形状搬送装置のいずれかに受け渡して再検査に供する被検体回帰用搬送装置と、
を備えて構成された容器詰め液製品検査装置における容器詰め液製品検査方法であって、
前記被検体回帰用搬送装置が前記未検査品に分別された前記被検体を前記被検体供給搬送装置に受け渡すものである場合には、
前記検査制御装置は、
外部からの前記被検体よりも、前記被検体回帰用搬送装置からの前記未検査品に分別された前記被検体を優先して前記被検体供給搬送装置に受け渡し、
前記被検体回帰用搬送装置が前記未検査品に分別された前記被検体を前記循環形状搬送装置に受け渡すものである場合には、
前記検査制御装置は、
前記被検体供給搬送装置からの前記被検体よりも、前記被検体回帰用搬送装置からの前記未検査品に分別された前記被検体を優先して前記循環形状搬送装置に受け渡すこと
を特徴とする容器詰め液製品検査方法。
【請求項9】
所定の液が容器に充填された容器詰め液製品を被検体とし、円形の搬送路上に前記被検体を保持する被検体保持部が等間隔に設けられて構成され、前記被検体保持部が前記円形の搬送路上を所定の速度で移動して前記被検体を搬送する検査ロータと、
前記検査ロータの外周部または内周部に前記検査ロータから離間して設けられ、前記被検体保持部に保持された前記被検体が自身の前面を通過するときに、内蔵された撮像装置によって前記被検体の外観画像を取得し、前記取得した外観画像を用いて、前記被検体における液中の異物および容器の外観不良の少なくとも一方の不良状態を検出する不良検出処理を実行する被検体画像検査装置と、
前記被検体画像検査装置による前記不良検出処理の実行結果に基づき、前記被検体を良品または不良品と判定し、さらに、前記被検体画像検査装置による前記不良検出処理の実行ができなかった前記被検体については、前記被検体を未検査品と判定し、前記判定した当該被検体についての良品、不良品または未検査品の情報を、分別情報として記憶装置に記憶する検査制御装置と、
検査対象の被検体が投入される被検体投入部から前記投入された被検体を前記検査ロータの方へ搬送する投入被検体搬送装置と、
前記投入被検体搬送装置から前記被検体を受け取るとともに、前記受け取った被検体を前記検査ロータの被検体保持部に受け渡す被検体供給用スターホイルと、
前記検査ロータから排出される前記被検体を受け取り、前記受け取った被検体を、前記検査制御装置から通知される当該被検体についての分別情報に基づき、良品、不良品および未検査品のいずれかに分別して排出する被検体分別用スターホイルと、
前記被検体分別用スターホイルから排出される未検査品を受け取り、前記受け取った未検査品を前記被検体供給用スターホイルへ受け渡す被検体回帰用スターホイルと、
を備えて構成された容器詰め液製品検査装置における容器詰め液製品検査方法であって、
前記投入被検体搬送装置は、
前記搬送した被検体を前記被検体供給用スターホイルへ受け渡す手前の部分に、その受け渡しの対象となる被検体の搬送を抑制する第1の搬送抑制ゲートを有しており、
前記検査制御装置は、
前記判定において、前記被検体が未検査品と判定されたときには、前記未検査品と判定された前記被検体が前記被検体分別用スターホイルおよび前記被検体回帰用スターホイルを経由して前記被検体供給用スターホイルへ搬送され、前記投入被検体搬送装置から前記被検体供給用スターホイルへ受け渡された被検体と合流する、前記被検体供給用スターホイル上の合流点までの移動タイミング量を計算する処理と、
前記計算した移動タイミング量と前記投入被検体搬送装置上の前記第1の搬送抑制ゲート位置から前記合流点までの移動タイミング量を差し引いて求められるタイミングで、前記第1の搬送抑制ゲートに対し、そのゲートを閉じるように制御する処理と、
を実行すること
を特徴とする容器詰め液製品検査方法。
【請求項10】
前記検査制御装置は、
前記被検体それぞれについての分別情報に加え、当該被検体が前記検査ロータによって複数回搬送されることに基づく複数回検査が行なわれた場合には、その検査回数を記憶装置に記憶する処理と、
前記被検体に対して前記記憶装置に記憶されている検査回数があらかじめ定められた検査規定回数未満である場合には、前記被検体分別用スターホイルに対して前記被検体についての分別情報を通知するとき、前記通知する分別情報を、前記記憶装置に記憶されている分別情報の如何に関わらず、未検査品として通知する処理と、
を実行すること
を特徴とする請求項9に記載の容器詰め液製品検査方法。
【請求項11】
前記検査制御装置は、
前記被検体それぞれについての分別情報および検査回数に加え、当該被検体が未検査品となった未検査回数を記憶装置に記憶する処理と、
前記記憶装置に記憶されている前記未検査回数と前記検査回数との合計があらかじめ定められた検査制限回数に達した場合には、前記被検体分別用スターホイルに対して前記被検体についての分別情報を通知するとき、前記通知する分別情報を、前記記憶装置に記憶されている分別情報の如何に関わらず、不良品として通知する処理と、
を実行すること
を特徴とする請求項10に記載の容器詰め液製品検査方法。
【請求項12】
前記検査制御装置は、
前記被検体画像検査装置に対し、前記記憶装置に記憶されている前記被検体についての検査回数を通知し、前記通知された検査回数ごとに異なる条件で前記被検体の画像を取得することを指示する処理を実行すること
を特徴とする請求項10または請求項11に記載の容器詰め液製品検査方法。
【請求項13】
前記検査ロータは、
前記被検体保持部に保持された被検体を取り出してスピンさせ、その後すぐにスピンを停止させ、元の被検体保持部の保持位置に戻すスピン機構を有しており、
前記検査制御装置は、
前記スピン機構に対し、前記検査回数ごとに異なる条件でのスピン動作を指示する処理を実行すること
を特徴とする請求項10ないし請求項12のいずれか1項に記載の容器詰め液製品検査方法。
【請求項14】
前記投入被検体搬送装置は、
前記被検体投入部から前記第1の搬送抑制ゲートに到る搬送路の途中に、第2の搬送抑制ゲートを有しており、
前記検査制御装置は、
前記第2の搬送抑制ゲートと前記第1の搬送抑制ゲートとの間の搬送路部部分に存在する前記被検体の数があらかじめ定められた数を超えないように、前記第2の搬送抑制ゲートの開閉を制御する処理を実行すること
を特徴とする請求項10ないし請求項13のいずれか1項に記載の容器詰め液製品検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−202767(P2012−202767A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66318(P2011−66318)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000153443)株式会社日立情報制御ソリューションズ (359)
【Fターム(参考)】