説明

容積型膨張機

【課題】従来の容積型膨張機では、作動流体として体積弾性係数が大きく圧縮性に乏しい作動流体を吸入するので、流速変動に伴う作動流体の運動量の変化による作動流体中の圧力の上昇に起因して、吸入管において非常に大きな圧力脈動を生じ、容積型膨張機の振動騒音の原因や、吸入管の破損の原因となっていた。
【解決手段】吸入管117に振動子201、コイルばね202、台座203から成る動吸振器200を設ける。振動子201は吸入管117と同心円状の円筒形状であり、吸入管117の軸方向に往復動自在に嵌められている。コイルばね202の内径は吸入管117よりも大きく形成されており、振動子201を両側から挟むように吸入管117に嵌められている。コイルばね202の一方の端面は振動子201に、他方の端面は吸入管117に固定された台座203に接している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯機や空調機等の冷凍サイクル装置に用いるレシプロ型やロータリ型、スクロール型等の容積型膨張機の防振機構に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍サイクル装置の作動流体が膨張する際の膨張エネルギーを回収する目的で用いられる容積型膨張機として、特許文献1に示すような2段ロータリ型が知られている。以下、特許文献1に示されるような従来の2段ロータリ型膨張機の構成について説明する。ただし、特許文献1においては、膨張機と圧縮機が一体に構成され、膨張機で回収した動力はシャフトにより圧縮機に伝達されているが、以下の説明では、膨張機は発電機を駆動し、電気エネルギーを圧縮機の駆動エネルギーの一部に用いるものとする。
【0003】
図5は従来の2段ロータリ型膨張機100の構成を示す縦断面図であり、図6(a)は図5の2段ロータリ型膨張機100のD1−D1線における横断面図、図6(b)は図5の2段ロータリ型膨張機100のD2−D2線における横断面図である。発電機101は、密閉容器102に固定されたステータ101aと、シャフト103に固定されたロータ101bからなる。シャフト103は、中板104によってそれぞれ独立するように仕切られた第1のシリンダ105と第2のシリンダ106を貫通し、軸受107、108によって回転自在に支持されている。シャフト103には、第1の偏心部103aと第2の偏心部103bが設けられ、第1の偏心部103aには第1のシリンダ105の内部に配置された第1のピストン109が、第2の偏心部103bには第2のシリンダ106の内部に配置された第2のピストン110が嵌合する。
【0004】
第1のシリンダ105と第1のピストン109、および、第2のシリンダ106と第2のピストン110の高さや径は、第1のシリンダ105と第1のピストン109により形成される三日月形状の空間が、第2のシリンダ106と第2のピストン110により形成される三日月形状の空間よりも小さくなるように設定されている。また、第1のシリンダ105および第2のシリンダ106には、ベーン溝105a、106aがそれぞれ形成されている。ベーン溝105a、106aにより、それぞれ往復動自在に保持された第1のベーン111および第2のベーン112は、それぞれの背面側に設けたばね113、114のばね力および差圧力により、先端側が各ピストン109、110に密着している。第1のシリンダ105と第1のピストン109により形成される三日月形状の空間は、仕切り部材である第1のベーン111により吸入側空間の作動室115aと吐出側空間の作動室115bに、また、第2のシリンダ106と第2のピストン110により形成される三日月形状の空間は、仕切り部材である第2のベーン112により吸入側空間の作動室116aと吐出側空間の作動室116bに区画される。第1のシリンダ105に設けられた吸入孔105bは、作動室115aに連通しており、第2のシリンダ106に設けられた吐出孔106bは、作動室116bに連通している。また、作動室115bと作動室116aは、中板104に設けられた連通孔104aで連通して一つの空間を形成している。
【0005】
高圧の作動流体は、吸入管117から吸入孔105bを経て、第1のシリンダ105の作動室115aに吸入される。シャフト103の回転運動に伴って作動室115aの容積は拡大し、やがて、作動室115bへと移行すると吸入行程が終了する。作動室115bは、連通孔104aを通じて第2のシリンダ106の作動室116aと連通して一つの作動室を形成しており、高圧の作動流体は、連通した作動室全体の容積が増加する方向、すなわち、作動室115bの容積が減少し、作動室116aの容積が増加する方向へとシャフト103を回転させ、発電機101を駆動する。シャフト103の回転に伴って作動室115bは消滅し、作動室116aは吐出孔106bと連通する作動室116bへと移行すると膨張行程が終了する。そして、低圧となった作動流体は吐出孔106bから吐出管118へと吐出される。
【0006】
図7(a)はシャフト103の回転角と吸入行程における作動室115aの容積変化の関係を示す図である。作動室115aの容積は、シャフト103の回転角が増加するとともに、正弦波状に増加する。そして、シャフト103の回転角が360deg.に達すると、作動室115aは吸入行程を終了すると同時に作動室115bへと完全に移行し、作動室115aは消滅する。このように、吸入行程の作動室115aの容積は、シャフト103の回転角360deg.を周期とする変化を繰り返す。
【0007】
図7(b)はシャフト103の回転角と吸入孔105bを流れる作動流体の流速の関係を示す図である。吸入孔105bを流れる作動流体の流速は、正弦波状に変化する作動室115aの容積変化の割合に応じて変化する。従って、シャフト103の回転角360deg.を周期として流速がゼロとなる正弦波状の変化となる。
【0008】
図8は容積型膨張機を用いた冷凍サイクル装置120である。作動流体としては二酸化炭素を用いるものとする。冷凍サイクル装置120は、圧縮機121、ガスクーラ122、容積型膨張機123、蒸発器124の順に配管125で接続されている。また、圧縮機121には電動機121aが備えられており、容積型膨張機123の発電機123aで回収されたエネルギーは、電動機121aを駆動するエネルギーの一部として用いられる。圧縮機121は常温低圧のガス相の作動流体を高温高圧の超臨界相へと圧縮し、ガスクーラ122は高温高圧の超臨界相の作動流体を常温高圧の超臨界相へと冷却し、容積型膨張機123では常温高圧の超臨界相の作動流体を低温低圧の気液二相へと膨張減圧し、蒸発器124では低温低圧の気液二相の作動流体を常温低圧のガス相まで加熱する。容積型膨張機123に吸入される作動流体は常温高圧の超臨界相の作動流体であり、冷凍サイクル装置120を循環する作動流体の中で最も体積弾性係数が大きい状態となる。冷凍サイクル装置120を給湯機に用いる場合、圧縮機121の入口では、作動流体の圧力と温度はそれぞれおよそ4MPa、10℃であり、このときの体積弾性係数が2.4MPaであるのに対し、容積型膨張機123の入口では、作動流体の圧力と温度はそれぞれおよそ10MPa、20℃であり、このときの体積弾性係数は70MPaとなる。体積弾性係数の逆数は圧縮率であり、その大きさが圧縮性の大小を表す指標となることを考慮すると、容積型膨張機123の入口の作動流体の圧縮性は、圧縮機121の入口の作動流体の圧縮性のおよそ1/29となり、作動流体は、圧縮機121の場合と比べて非圧縮性流体に近いことがわかる。図8の容積型膨張機123として、2段ロータリ型膨張機100を用いる場合、図7(b)で示したように、吸入孔105bを流れる作動流体の流速は、周期的に流速がゼロとなり、堰き止められる。非圧縮性の作動流体の流れが堰き止められると、運動量が非常に短い時間の間にゼロとなるので作動流体中に圧力の上昇が起こり、後から続いて流れてくる作動流体も次々と堰き止められるので、圧力の上昇は圧力波となって上流側である吸入管117の作動流体に伝わってゆく。このように、2段ロータリ型膨張機100の吸入管117には圧力波による圧力脈動が生じていた。
【0009】
以上は2段ロータリ型膨張機100を例として説明したが、容積型膨張機123として、レシプロ型やロータリ型、スクロール型等の容積型を用いる場合も同様であり、吸入孔を通過する作動流体の流速が周期的に変化するので、もし、速度がゼロとならない場合であっても、流速変動に伴う作動流体の運動量の変化による作動流体中の圧力の上昇に起因して、非常に大きな吸入管への圧力脈動を生じていた。
【特許文献1】特開2005−106046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
吸入管117の内部の作動流体の圧力脈動は、吸入管117および容積型膨張機123の振動の原因となり、冷凍サイクル装置120の振動騒音や、吸入管117の破損の原因となっていた。本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、吸入管117の軸方向に単振動する振動子とバネから成る防振装置を膨張機に備えることにより、振動騒音が少なく、かつ、吸入管117の破損がなく、信頼性の高い膨張機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明に係る容積型膨張機は、密閉容器と、密閉容器内に収容されて作動流体を膨張させる作動室と、作動室に作動流体を導く吸入管と、バネと吸入管の軸方向に単振動する振動子とを含む防振装置とを備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、容積型膨張機において、吸入管の圧力脈動に伴う膨張機の振動、騒音を抑えることができ、また、振動による吸入管の破損を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、いずれの実施の形態も容積型膨張機の例として2段ロータリ型膨張機を用いて説明を行うが、これに限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における2段ロータリ型膨張機の構成は、吸入管117に設けた動吸振器200(防振装置)を除いて図5、図6を用いて説明した従来の2段ロータリ型膨張機100と同様の構成である。同一機能部品については同一番号を使用し、従来例と同一の構成および作用の説明は省くことにする。
【0015】
図1は本発明の実施の形態1における2段ロータリ型膨張機の横断面図であり、図5の2段ロータリ型膨張機100のD1−D1線における断面に相当する。本実施の形態1では、吸入管117に振動子201、コイルばね202、台座203から成る動吸振器200を設けている。図2(a)は図1に示す2段ロータリ型膨張機の動吸振器200のD3−D3線における断面図である。振動子201は吸入管117と同心円状の円筒形状であり、吸入管117の軸方向に往復動自在に嵌められている。コイルばね202の内径は吸入管117よりも大きく形成されており、振動子201を両側から挟むように吸入管117に嵌められている。コイルばね202の一方の端面は振動子201に、他方の端面は吸入管117に固定された台座203に接している。コイルばね202は、振動子201の往復運動に伴い、台座203が振動子201から離れないように、予加重により十分に圧縮された状態で取り付けられている。振動子201とコイルばね202は吸入管117を密閉容器102に接続する前に、あるいは、冷凍サイクル装置120の配管125に接続する前に取り付ける。なお、振動子201は、直径方向に2分割したものを、吸入管117に取り付けてからネジ等で一体化してもよい。
【0016】
以上のような構成とすることにより、吸入管117の内部の体積弾性係数が大きく圧縮性が乏しい作動流体が作動室115aに間欠的に吸入されることで生じる圧力脈動に起因する振動を、動吸振器200により打ち消すことができ、振動騒音が少なく、吸入管117の破損がなく、信頼性を向上させることができる。
【0017】
また、振動子201を吸入管117と同心円状の円筒形状としたことにより、振動子201の吸入管117に垂直な断面の重心が、吸入管117の中心に一致するために、振動子201による2次振動を発生させることが無く、圧力脈動に起因する振動をより効果的に打ち消すことができる。
【0018】
また、振動子201を吸入管117と同心円状の円筒形状とし、振動子201とコイルばね202を吸入管117に嵌める構成としたことにより、簡単な構成で、振動子201の重心が吸入管117の中心に一致する動吸振器200を構成することができる。また、振動子201の運動を容易に吸入管117の軸方向のみに拘束することができるので、圧力脈動に起因する振動をより効果的に打ち消すことができる。
【0019】
なお、振動子201は必ずしも円筒形状である必要は無く、振動子201の吸入管117に垂直な断面の重心が、吸入管117の中心に一致していれば、同様の効果が得られることは言うまでも無い。図2(b)に、別の形状の振動子204を用いた場合の動吸振器200のD3−D3線における断面図を示す。振動子204は吸入管117の上側と当接する凹部を有する一方、吸入管117の下側には、吸入管117の直径以上離れた2つの側面部を有している。この側面図を適切な形状とすることにより、振動子201の重心が吸入管117の中心に一致する動吸振器200を構成することができる。このような構成にすることにより、吸入管117を密閉容器102と冷凍サイクル120の配管125に接続した後からでも振動子204を吸入管117に取り付けることが可能であり、例えば、動吸振器200の共振周波数を調整するために振動子204を交換することが容易となる。
【0020】
また、2段ロータリ型膨張機100が一定の回転数で運転されることが多い場合、振動子201の質量mとコイルばね202のばね定数kにより決定される動吸振器200の共振周波数fを、2段ロータリ型膨張機100の回転数の近傍に設定することにより、圧力脈動に起因する振動を、より効果的に打ち消すことができる。
【0021】
また、2段ロータリ型膨張機100の回転数が一定ではない場合、動吸振器200の共振周波数fを吸入管117の固有振動数の近傍に設定することにより、吸入管117の振動が最も大きくなり破損の危険が大きい周波数において、圧力脈動に起因する振動を、より効果的に打ち消すことができる。
【0022】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における2段ロータリ型膨張機の構成は、吸入管117に設けた動吸振器300(防振装置)を除いて図5、図6を用いて説明した従来の2段ロータリ型膨張機100と同様の構成である。同一機能部品については同一番号を使用し、従来例と同一の構成および作用の説明は省くことにする。
【0023】
図3は本発明の実施の形態2における2段ロータリ型膨張機の横断面図であり、図5の2段ロータリ型膨張機100のD1−D1線における断面に相当する。本実施の形態2では、吸入管117に振動子301、板ばね302、板ばね302の台座303から成る動吸振器300を設けている。板ばね302は、吸入管117に対して軸対象な形状をしており、中央を吸入管117が貫通し、吸入管117に固定された台座303に挟まれて吸入管117に固定されている。板ばね302は、吸入管117を密閉容器102に接続する前に、あるいは、冷凍サイクル装置120の配管125に接続する前に取り付けておく。また、板ばね302の両端には振動子301が取り付けられている。なお、板ばね302の形状は吸入管117を冷凍サイクル装置120の配管125に取り付けた後に設置できるような形状にしてもよい。
【0024】
以上のような構成とすることにより、吸入管117が軸方向に振動すると、板ばね302の中央に加振力が作用するために、両端に設けた振動子301は吸入管117の軸方向に振動し、吸入管117の内部の体積弾性係数が大きく圧縮性が乏しい作動流体が作動室115aに間欠的に吸入されることで生じる圧力脈動に起因する振動を、動吸振器300により打ち消すことができ、振動騒音が少なく、吸入管117の破損がなく、信頼性を向上させることができる。
【0025】
また、板ばね302を吸入管117に対して軸対象な形状とし、その両端に振動子301を設けたことにより、複数の振動子301による重心が、吸入管117の中心に一致するために、振動子301による2次振動を発生させることが無く、圧力脈動に起因する振動をより効果的に打ち消すことができる。
【0026】
また、2段ロータリ型膨張機100が一定の回転数で運転されることが多い場合、振動子301の質量mと板ばね302のばね定数kにより決定される動吸振器300の共振周波数fを、2段ロータリ型膨張機100の回転数の近傍に設定することにより、圧力脈動に起因する振動を、より効果的に打ち消すことができる。
【0027】
また、2段ロータリ型膨張機100の回転数が一定ではない場合、動吸振器300の共振周波数fを吸入管117の固有振動数の近傍に設定することにより、吸入管117の振動が最も大きくなり破損の危険が大きい周波数において、圧力脈動に起因する振動を、より効果的に打ち消すことができる。
【0028】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3における2段ロータリ型膨張機の構成は、密閉容器102に設けた動吸振器400(防振装置)を除いて図5、図6を用いて説明した従来の2段ロータリ型膨張機100と同様の構成である。同一機能部品については同一番号を使用し、従来例と同一の構成および作用の説明は省くことにする。
【0029】
図4は本発明の実施の形態3の2段ロータリ型膨張機の横断面図であり、図5の2段ロータリ型膨張機100のD1−D1線における断面に相当する。本実施の形態3では、密閉容器102に振動子401、コイルばね402、台座403から成る動吸振器400を、吸入管117と同一平面内に2個設けている。振動子401は、動吸振器400のケーシングを兼ねた台座403に固定された2つのコイルばね402に振動方向を挟まれて支持されており、振動子401の振動方向は吸入管117の軸方向と一致させている。
【0030】
以上のような構成とすることにより、吸入管117の内部の体積弾性係数が大きく圧縮性が乏しい作動流体が作動室115aに間欠的に吸入されることで生じる圧力脈動に起因する振動を、動吸振器400により打ち消すことができ、振動騒音が少なく、吸入管117の破損がなく、信頼性を向上させることができる。
【0031】
また、動吸振器400を吸入管117と同一平面内に2個設けることにより、2つの振動子401による重心が吸入管117の延長線上と一致するので、振動子401による2次振動を発生させることが無く、圧力脈動に起因する振動をより効果的に打ち消すことができる。
【0032】
なお、動吸振器400は必ずしも2つである必要は無く、3つ以上設けた場合でも、複数の振動子401の重心が吸入管117の延長線上にあれば同様の効果を得ることができるのは言うまでもない。
【0033】
また、2段ロータリ型膨張機100が一定の回転数で運転されることが多い場合、振動子401の質量mとコイルばね402のばね定数kにより決定される動吸振器400の共振周波数fを、2段ロータリ型膨張機100の回転数の近傍に設定することにより、圧力脈動に起因する振動を、より効果的に打ち消すことができる。
【0034】
また、2段ロータリ型膨張機100の回転数が一定ではない場合、動吸振器400の共振周波数fを吸入管117の固有振動数の近傍に設定することにより、吸入管117の振動が最も大きくなり破損の危険が大きい周波数において、圧力脈動に起因する振動を、より効果的に打ち消すことができる。
【0035】
以上、実施の形態1〜3では、2段ロータリ型膨張機の場合を例にとって説明してきたが、必ずしもこの限りでは無く、レシプロ型やロータリ型、スクロール型等の容積型であれば同様であることは言うまでも無い。
【0036】
また、冷凍サイクル装置の作動流体がフロンの場合と比べて密度が高い二酸化炭素の場合の方が、圧力脈動に起因する振動が大きくなるので、振動を打ち消す効果が顕著になるが、作動流体としてフロンを用いても同様の効果が得られることは言うまでも無い。
【0037】
一般的に、容積型膨張機は高圧の作動流体を低圧へと膨張させるので、圧縮機の場合と比べて吸入管117の作動流体の密度が高くなる。従って、容積型膨張機をランキンサイクル装置等、冷凍サイクル装置120以外に用いる場合でも、同様の効果が得られることは言うまでも無い。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の容積型膨張機は、冷凍サイクル装置における作動流体の膨張エネルギーを回収する動力回収手段として有用であるとともに、冷凍サイクル装置以外の作動流体からのエネルギー回収手段として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態1における2段ロータリ型膨張機の横断面図
【図2】(a)図1に示す2段ロータリ型膨張機の動吸振器のD3−D3線における断面図(b)図1に示す2段ロータリ型膨張機の動吸振器のD3−D3線における断面図
【図3】本発明の実施の形態2における2段ロータリ型膨張機の横断面図
【図4】本発明の実施の形態3における2段ロータリ型膨張機の横断面図
【図5】従来の2段ロータリ型膨張機の縦断面図
【図6】(a)図5に示す2段ロータリ型膨張機のD1−D1線における横断面図(b)図5に示す2段ロータリ型膨張機のD2−D2線における横断面図
【図7】(a)シャフトの回転角と吸入行程における作動室の容積変化の関係を示す図(b)シャフトの回転角と吸入孔を流れる作動流体の流速の関係を示す図
【図8】容積型膨張機を用いた冷凍サイクル装置の構成図
【符号の説明】
【0040】
100 2段ロータリ型膨張機
101 発電機
102 密閉容器
103 シャフト
103a 第1の偏心部
103b 第2の偏心部
104 中板
104a 連通孔
105 第1のシリンダ
106 第2のシリンダ
109 第1のピストン
110 第2のピストン
115a,116a (吸入側空間の)作動室
115b,116b (吐出側空間の)作動室
117 吸入管
120 冷凍サイクル装置
121 圧縮機
122 ガスクーラ
123 容積型膨張機
124 蒸発器
125 配管
200,300,400 動吸振器
201,204,301,401 振動子
202,402 コイルばね
203,303,403 台座
302 板ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉容器と、
前記密閉容器内に収容され、作動流体を膨張させる作動室と、
前記作動室に前記作動流体を導く吸入管と、
バネと前記吸入管の軸方向に単振動する振動子とを含む防振装置と、
を備えた容積型膨張機。
【請求項2】
前記防振装置を前記吸入管に設けた、請求項1に記載の容積型膨張機。
【請求項3】
前記振動子の前記吸入管に垂直な断面の重心が前記吸入管の中心に一致している、請求項2に記載の容積型膨張機。
【請求項4】
前記振動子を前記吸入管が貫通する形状である、請求項2または3に記載の容積型膨張機。
【請求項5】
前記バネをコイルばねとし、前記コイルばねの中を前記吸入管が貫通する、請求項1〜4のいずれかに記載の容積型膨張機。
【請求項6】
前記作動流体が二酸化炭素である、請求項1〜5のいずれかに記載の容積型膨張機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−192149(P2007−192149A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−11973(P2006−11973)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】