説明

容量性負荷駆動回路

【課題】容量性負荷の静電容量と回路抵抗値とから決定される回路時定数が変化することによって生じる容量性負荷の充電速度または放電速度の変化を防止し、所望の駆動波形を得ることが可能な容量性負荷駆動回路を提供する。
【解決手段】容量性負荷駆動回路は、容量性負荷である複数の駆動素子と、複数のコンデンサーと、前記複数のコンデンサーに電力を供給する電源と、前記複数のコンデンサーと前記複数の駆動素子間の接続を切替える切替え手段と、前記切替え手段を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記複数の駆動素子に対して印加される電荷容量の予測値に基づいて、前記切替え手段の接続状態を維持することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容量成分を有する電気負荷を駆動する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
容量性の負荷を駆動するアプリケーションの一例として、圧電素子を負荷としたインクジェットプリンター、また二つの電極間にある液晶物質を駆動する液晶ディスプレイ等がある。容量性の負荷は電荷の充放電を行うことで駆動されるが、従来は放電時にグランドに接続して電荷を全て棄てていたので、消費電力が大きいという課題があった。このため、容量性負荷に充電した電荷の一部を再利用しながら駆動する容量性負荷駆動回路が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−285441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、提案されている技術では、容量性負荷に任意の電圧波形を印加する場合に、容量性負荷の静電容量と回路抵抗値とから決定される回路時定数が変化すると、負荷の充電および放電速度が変化し、負荷に所望の波形を印加できないという課題がある。より詳細な課題の説明のために、一例として圧電素子を負荷とするインクジェットプリンターの駆動回路に特許文献1に示す回路を用いた場合を考える。
インクジェットプリンターのヘッドは複数のノズルで形成されており、任意の画像を形成できるように、前述した複数のノズルから個別にインクの吐出制御が可能なように構成されている。
【0005】
具体的な構成例として、ノズル毎に個別のスイッチと、容量性負荷である圧電素子が用意されており、インクを吐出させたいノズルに関してのみスイッチをオン状態にし、スイッチの先にある圧電素子に所望の駆動波形を印加する仕組みとなっている。この場合、一つの画像形成中に頻繁にスイッチのオンオフ状態が変化するため、その度に接続されている圧電素子の数、すなわち負荷の容量値が変化する。これにより、容量性負荷の静電容量と、回路抵抗値とから決定される回路時定数が変化し、容量性負荷の充電速度、または放電速度が変化するため、所望する駆動波形が得られなくなってしまう。
【0006】
前述したように、インクジェットプリンターは印刷する画像によって任意の駆動波形を形成し、その駆動波形を圧電素子に印加することで吐出するノズル数、つまり、駆動する圧電素子の数を変化させる。圧電素子に印加される駆動波形が変化する度に負荷容量が変化するため、所望する駆動波形が得られなければ、インクジェットプリンターの場合には高精度な画像形成ができないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例に係る容量性負荷駆動回路は、噴射口に設けられた複数の駆動素子に電圧を印加して該複数の駆動素子を駆動することにより、該噴射口から流体を噴射する流体噴射装置の容量性負荷駆動回路であって、
前記複数の駆動素子は、印加される電圧が上昇すると該電圧に応じた電荷を蓄え、該印加される電圧が降下すると蓄えた電荷を放出する素子であり、
複数のコンデンサーと、
前記複数のコンデンサーに電力を供給する電源と、
前記複数のコンデンサーと前記複数の駆動素子間の接続を切替える切替え手段と、
前記切替え手段を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記複数の駆動素子に対して印加される電荷容量の予測値に基づいて、前記切替え手段の接続状態を維持することを特徴とする。
【0009】
[適用例2]上記適用例に記載の容量性負荷駆動回路において、前記切替え手段の接続状態を維持することは、前記複数の駆動素子に対して印加される電荷容量の予測値に基づいて、接続される必要のあるコンデンサー数のうち、最終個目のコンデンサーを容量性負荷に接続した時の前記スイッチの接続状態を維持するように制御することであることを特徴とする。
【0010】
[適用例3]本適用例に係る容量性負荷駆動回路は、噴射口に設けられた複数の駆動素子に電圧を印加して該複数の駆動素子を駆動することにより、該噴射口から流体を噴射する流体噴射装置の容量性負荷駆動回路であって、
前記複数の駆動素子は、印加される電圧が上昇すると該電圧に応じた電荷を蓄え、該印加される電圧が降下すると蓄えた電荷を放出する素子であり、
複数のコンデンサーと、
前記複数のコンデンサーに電力を供給する電源と、
前記複数のコンデンサーと前記複数の駆動素子間の接続を切替える切替え手段と、
前記切替え手段を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記複数の駆動素子に対して印加される電荷容量の予測値に基づいて、前記複数の駆動素子に印加される電圧が、所定電圧になるまでスイッチの接続状態を維持するように制御することを特徴とする容量性負荷駆動回路。
【0011】
[適用例4]上記適用例に記載の容量性負荷駆動回路において、前記切替え手段の接続状態を維持することは、前記複数の駆動素子に対して印加される電荷容量の予測値に基づいて、前記切替え手段の接続状態を維持する時間を制御することを特徴とする。
【0012】
上記適用例に記載の容量性負荷駆動回路によれば、容量性負荷である複数の駆動素子と、複数のコンデンサーと、前記複数のコンデンサーに電力を供給する電源と、前記複数のコンデンサーと前記複数の駆動素子間の接続を切替える切替え手段と、前記切替え手段を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記複数の駆動素子に対して印加される電荷容量の予測値に基づいて、前記切替え手段の接続状態を維持することを特徴とするものである。
すなわち、駆動素子に印加する駆動波形において、少なくとも駆動波形の極大電位(波高値)、及び極小電位を出す際には、切替え手段による負荷とコンデンサーの接続状態を、負荷の電圧変化が飽和するまで維持するように制御する。
これにより、任意の波形を駆動する際に負荷容量値が大きい場合でも、待機時に負荷の電位を安定的に基準電位に設定することが可能となり、例えばインクジェットプリンターに用いる場合には安定的なインクの吐出状態を実現することが可能となり、高精度な画像形成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1の容量性負荷駆動回路を示す回路図。
【図2】実施例1の容量性負荷駆動回路(簡易例)を示す回路図。
【図3】切替え手段が圧電素子に所望の駆動波形を印加する場合のスイッチシーケンス例を示すシーケンス図。
【図4】コンデンサーと容量性負荷との接続例を示す回路図。
【図5】コンデンサーと容量性負荷との他の接続例を示す回路図。
【図6】図5で示す回路における充電時間−電圧特性を示すグラフ。
【図7】負荷容量値が大きくなった場合の負荷の電圧波形の変化の例を示す図。
【図8】スイッチシーケンスを用いた場合の、負荷の電圧波形の変化の例を示す図。
【図9】基準がグランドレベル以外である場合の駆動波形及び切替え手段のシーケンス例を示すシーケンス図(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態の一例について、図面を基に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1に示すように、本実施例の容量性負荷駆動回路はN個の電源1、N個のコンデンサー2、N個のコンデンサーと容量性負荷との接続を選択的に切替え可能な切替え手段3、切替え手段3を制御する制御手段4により構成されている。ここで、電源は複数であっても、単一の電源を分圧器により分圧しても、あるいは単一の電源を用いて充電したコンデンサーの接続を、並列、直列に切替える。
【0016】
本実施例では説明の簡易化のため、図2に示すようにN=3の状態の回路を用いて実施例の説明を行う。
また本実施例では図2に示すように、容量性負荷として複数のスイッチ25及び各スイッチ毎に接続された圧電素子26で構成されたアクチュエーター27を接続する場合を考える。
【0017】
アクチュエーター27は、スイッチ25の制御によって接続される圧電素子の数が変化するため、負荷容量が変動する。このようなアクチュエーターを用いるアプリケーションの一例として、インクジェットプリンターが挙げられる。図2に示すように、複数の電源21は21a、21b、21cの三つの電源で構成され、各電源はそれぞれ異なる電圧を出力する。
本実施例では、21aからは5V、21bからは10V、21cからは15Vの電圧を出力するものとする。以上三つの電源21a、21b、21cの出力には、それぞれコンデンサー22a、22b、22cを接続する。コンデンサー22a、22b、22cはそれぞれ5V、10V、15Vに充電される。
【0018】
またこれらのコンデンサーは、選択的に負荷と接続できるように切替え手段23を介してアクチュエーター27に接続される。本実施例では切替え手段23の構成例として、コンデンサー22a、22b、22cのそれぞれにスイッチ23a、23b、23cを接続し、各スイッチのもう一方の端子を共通にして負荷であるアクチュエーター27を接続するものとする。さらに、アクチュエーター27から電荷をグランドに放電できるように、一方の端子がグランド、他方の端子がアクチュエーター27に接続されたスイッチ23gを用意する。
【0019】
次に図3を用いて、図2に示す回路を用いて圧電素子26に所望の駆動波形を印加する場合の切替え手段23のスイッチシーケンス例を説明する。
図3に示すように、圧電素子26にグランドから15Vの電圧を印加して充電する場合を考える。最初、切替え手段23ではスイッチ23gのみがオンになっており、負荷である圧電素子26はグランドレベルに電位が設定される。次に所望のタイミングで切替え手段23の状態を、スイッチ23aのみがオンとなるように設定する。この状態で、負荷である圧電素子26の電位がコンデンサー21aと同等レベルまで上昇するための条件を検討する。図4に示すように、コンデンサー42a’(電位は5[V]、容量はCa[F]とする)と容量性負荷46(電位は0[V]、容量はCL[F]とする)が、スイッチ43a’を介して接続されている回路を考える。
【0020】
この場合、スイッチ43a’を閉じる前のコンデンサー42a’の電荷量Q1はQ1=5・Caとなる。一方負荷8は電位がゼロであるので、その電荷量をQ2とすると、Q2=0である。従って、図4に示す系の総電荷量Qは、Q=Q1+Q2=5・Caである。
次に、図4においてスイッチ43a’を閉じた場合を考える。このとき、コンデンサー42a’または負荷46の電位が等電位(X[V]とする)になるまで、コンデンサー43a’の電荷が負荷46に移動する。電荷移動後のコンデンサー42a’の電荷量Q1’はQ1’=X・Ca、また負荷8の電荷量Q2’はQ2’=X・CLであるので、総電荷量QはQ=Q1’+Q2’=X(Ca+CL)となる。
【0021】
ここで、電荷の移動前後で総電荷量Qの値は変わらないので、スイッチ43a’の開閉前後の総電荷量は同じであるから、5・Ca=X(Ca+CL)となり、Xについて解くとX=5・Ca/(Ca+CL)[V]となる。従ってスイッチ43a’を閉じた後の負荷46の電圧Xが、スイッチ43a’を閉じる前のコンデンサー42a’の電圧(5V)と同等になるためには、コンデンサー42a’の容量Caが負荷46の容量CLよりも十分に大きい必要がある。
【0022】
ここで、図2に示すアクチュエーター27の総容量値は変動するため、実際にはコンデンサー22a’の容量はアクチュエーター27の取り得る最大負荷容量値よりも十分に大きな値にしておくことが必要となる。アクチュエーター27の最大負荷容量値をCL[F]とした場合、例えばコンデンサー22a’の容量がCLの100倍であれば、スイッチ23a’を閉じた後のアクチュエーター27の電圧X[V]はX=5・100(100+1)=4.95[V]となり、ほぼスイッチ23a’を閉じる前のコンデンサー22a’の電位と同等になる。
【0023】
同様の考えを基に、本実施例では図2に示すコンデンサー22a、22b、22cの容量値を、負荷であるアクチュエーター27の取り得る最大負荷容量値の100倍程度の値とする。
このような条件の基で、図2におけるスイッチ23a、23b、23cを図3に示すようなシーケンスで、順次自スイッチだけがオンになるように切替えていくと、圧電素子26には段階的にコンデンサー22a、22b、22cから電荷が分配され、さらにその電圧はコンデンサー22a、22b、22cとほぼ同等の値に、階段状に上昇していく。
【0024】
このとき、コンデンサー22a、22b、22cに蓄えられていた電荷量は、スイッチ23a、23b、23cがオンされる前に比べて一旦減少する。次に図2および図3に示すように、圧電素子26を15Vからグランドレベルまで充電する場合を考える。図2および図3に示すように、スイッチ23cのみがオンされている状態から、順次スイッチ23b、23a、23gを自スイッチだけがオンになるように切替えていく。すると圧電素子26から段階的にコンデンサー22b、22aに電荷が回収され、回収されなかった電荷は最後にグランドに棄てられる。さらにその電圧はコンデンサー22b、22a、グランドレベルとほぼ同等の値に、階段状に下降していく。
【0025】
ここで、アクチュエーター27の電圧が図3に示すように、ほぼ等電位間隔で階段状に上昇、下降した場合、負荷の電位上昇時にコンデンサー22a、22bから分配されて減少した電荷は、負荷の電位下降時にほぼ同じ分だけコンデンサー22a、22bに電荷が回収されるため、図3に示すような波形を負荷に形成した際には、系のエネルギー損失はコンデンサー23cのエネルギー減少分のみとなる。
【0026】
しかしながら、現実的には図4に示したような等価回路を実現するのは困難であり、実際には図5に示すような抵抗成分58を含んだ等価回路となる。この抵抗成分58の例としては、図2を用いた場合、スイッチ23やスイッチ26のオン抵抗、回路の線分抵抗、負荷であるアクチュエーター27内の抵抗等である。図5のような回路で考えた場合、スイッチ53a”をオンにしてコンデンサー52a”から容量性負荷56に電荷を分配した際の充電時間−電圧特性は、図6に示すようなものとなる。
【0027】
ここで、回路の時定数はτ=R・CL(Ca>>CL)と表現する。従って図6に示すように、図2に示すような容量値が変動するような負荷(アクチュエーター7)を駆動する場合、回路の時定数が変化するために、負荷容量値変動によって負荷への電荷充電速度が変化し、負荷の容量値が大きくなるにつれて所望の駆動波形をアクチュエーター27に印加することが出来なくなる可能性がある。
【0028】
図7に、負荷容量値が大きくなった場合の負荷の電圧波形の変化の例を示す。図7より、負荷容量が大きくなるにつれて所定の時間内に負荷の電位が所望の値まで到達せず、所望の駆動波形を印加できなくなることが分かる。一例としてインクジェットプリンターの場合、一つの画像を形成する間に頻繁に負荷容量値が変化するため、特に負荷容量値が大きくなった場合に所望の駆動波形が形成できないと、十分な画質が得られないという課題が生じる。そこで図8に示すようなスイッチシーケンスを用いることで課題を解決する。
【0029】
以下、そのシーケンスについて詳細に説明する。圧電素子の駆動特性を安定させるための一手段として、圧電素子に印加する駆動波形の電位差を一定にすることが重要であると考えられる。そこで本実施例では、圧電素子に印加する駆動波形において、少なくとも駆動波形の極大電位(波高値)、及び極小電位を出す際には、切替え手段による負荷とコンデンサーの接続状態を、負荷の電圧変化が飽和するまで維持するように制御する。
【0030】
図8に示す駆動波形の場合、極大電位は15V、極小電位はグランドレベルであるので、図2に示す切替え手段のうちスイッチ23cまたは23gのみをオンとした時には、負荷の電圧変化が飽和するまでスイチ23cまたは23gのオン状態を維持するように制御する。このような制御を行うことで、所望の電位差の駆動波形を負荷に印加することが可能となる。
【0031】
また図8において、駆動波形の極大及び極小電位以外の電位を形成する時、すなわちスイッチ23aまたは23bのみをオン状態にする場合に関しても、負荷の電位変化が飽和するまでスイッチのオン状態を維持してもよい。ただし、回路時定数が大きいほど駆動波形の波高値までの立ち上がり時間、及び波高値からの立下り時間が長くなるため、負荷容量が大き過ぎる場合には圧電素子の駆動特性が変化してしまう恐れがある。従って、望ましくは駆動波形の極大電位及び極小電位を出す際にのみ、切替え手段の接続状態を負荷の電圧変化が飽和するまで維持するように制御するのがよい。
【実施例2】
【0032】
次に、図2に示す回路において負荷であるアクチュエーター27に駆動波形を印加する際に、ある波形を形成する時の最初と最後の基準がグランドレベル以外である場合を考える。
【0033】
図9に、基準がグランドレベル以外である場合の駆動波形及び切替え手段23のシーケンス例を示す。ただし本実施例中では、負荷とコンデンサー22aを切替え手段23で接続し、負荷の電位変化が飽和した時点での電位を基準レベルと定義する。
この場合、図2に示すシステムに電源を入れて稼動させた直後に、グランドレベルから前記基準レベルまで負荷の電位を上昇させ、待機状態にする必要がある。負荷が図2に示すような負荷変動が起こりうるアクチュエーター27であった場合、全圧電素子を待機状態にする、すなわち基準レベルまで上昇させるために、全スイッチ25がオンする状態となる。
【0034】
この時、アクチュエーター27の負荷容量値は最大となるので、前記回路時定数が最大となり、負荷の充電に時間がかかる。そこで本実施例では待機状態に持っていく場合に、少なくとも負荷の電圧を基準レベルにする際の切替え手段の状態、すなわち図9の場合におけるスイッチ23aのみがオンの状態を、負荷の電圧変化が飽和するまで維持するように制御する。
【0035】
また、この待機状態から任意の波形を形成した後について考える。本実施例では任意の波形を形成する前と後は必ず負荷の電位を前記基準レベルにすることを前提とする。従って図9に示すように、任意の波形を形成した後に関しても、前記任意の波形を形成していた間にオンしていた負荷のスイッチ25はオンにしておく。そして、任意の波形を形成した最後には必ず基準レベルを負荷に形成するための手順、すなわち本実施例中では図2に示すスイッチ23aをオン状態にする手順を入れ、かつオン状態のスイッチ25の先に接続されている全圧電素子26の電位が、前記基準電位の値に飽和するまでスイッチ23aのオン状態を維持するように制御する。
【0036】
このように制御することで、任意の波形を駆動する際に負荷容量値が大きい場合でも、待機時に負荷の電位を安定的に基準電位に設定することが可能となる。
【0037】
なお、前述の実施例では、N個の電源1、N個のコンデンサー2、N個のコンデンサーと容量性負荷との接続を選択的に切替え可能な切替え手段3、切替え手段3を制御する制御手段4により構成され、N=3の状態の容量性負荷駆動回路を一例に用いて説明したが、電源1については単数であってもよい。例えば、一つの電源に、複数のコンデンサーが直列に接続された構成でもよい。また、直列に接続した一部のコンデンサーを他のコンデンサー対して並列に接続された状態に切り替える構成としてもよい。
このような構成の容量性負荷駆動回路によれば、前述の効果に加え、電源数が少なくなるため容量性負荷駆動回路電源の大型化も防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0038】
1、21、21a、21b、21c…電源、2、22、22a。22b、22c…コンデンサー、3、23…切替え手段、4…制御手段、7…アクチュエーター、8…負荷、23a、23b、23c、23g…切替え手段としてのスイッチ、25…負荷としてのスイッチ、26…圧電素子、27…アクチュエーター、42…コンデンサー、43…スイッチ、46…負荷、52…コンデンサー、53…スイッチ、56…容量性負荷、58…抵抗成分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射口に設けられた複数の駆動素子に電圧を印加して該複数の駆動素子を駆動することにより、該噴射口から流体を噴射する流体噴射装置の容量性負荷駆動回路であって、
前記複数の駆動素子は、印加される電圧が上昇すると該電圧に応じた電荷を蓄え、該印加される電圧が降下すると蓄えた電荷を放出する素子であり、
複数のコンデンサーと、
前記複数のコンデンサーに電力を供給する電源と、
前記複数のコンデンサーと前記複数の駆動素子間の接続を切替える切替え手段と、
前記切替え手段を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記複数の駆動素子に対して印加される電荷容量の予測値に基づいて、前記切替え手段の接続状態を維持することを特徴とする容量性負荷駆動回路。
【請求項2】
前記切替え手段の接続状態を維持することは、前記複数の駆動素子に対して印加される電荷容量の予測値に基づいて、接続される必要のあるコンデンサー数のうち、最終個目のコンデンサーを容量性負荷に接続した時の前記スイッチの接続状態を維持するように制御することであることを特徴とする請求項1に記載の容量性負荷駆動回路。
【請求項3】
噴射口に設けられた複数の駆動素子に電圧を印加して該複数の駆動素子を駆動することにより、該噴射口から流体を噴射する流体噴射装置の容量性負荷駆動回路であって、
前記複数の駆動素子は、印加される電圧が上昇すると該電圧に応じた電荷を蓄え、該印加される電圧が降下すると蓄えた電荷を放出する素子であり、
複数のコンデンサーと、
前記複数のコンデンサーに電力を供給する電源と、
前記複数のコンデンサーと前記複数の駆動素子間の接続を切替える切替え手段と、
前記切替え手段を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記複数の駆動素子に対して印加される電荷容量の予測値に基づいて、前記複数の駆動素子に印加される電圧が、所定電圧になるまでスイッチの接続状態を維持するように制御することを特徴とする容量性負荷駆動回路。
【請求項4】
前記切替え手段の接続状態を維持することは、前記複数の駆動素子に対して印加される電荷容量の予測値に基づいて、前記切替え手段の接続状態を維持する時間を制御することであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の容量性負荷駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−218745(P2011−218745A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92922(P2010−92922)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】