説明

密閉キャビティ形成のためのフリップチップハイブリダイゼーション方法、およびこのような方法によって得られるシステム

【課題】密閉キャビティ形成のためのフリップチップハイブリダイゼーション方法、およびこのような方法によって得られるシステムを提供する。
【解決手段】一方が他方の上に置かれ、その間に充填材料に埋め込まれた少なくとも1つの密閉キャビティが形成される、少なくとも1つの第1および第2マイクロ電子部品を含むマイクロ電子アセンブリの製造方法であって、側壁を用いてキャビティを規定する段階と、側壁と共同して充填材料に対するバイパスダクトを形成できる妨害物を形成する段階と、前記第1部品および前記第2部品のフリップチップハイブリダイゼーションを実施する段階と、前記2つのハイブリッド化部品の間に液体形態の充填材料を注入する段階と、を含む、マイクロ電子アセンブリの製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フリップチップハイブリダイゼーション技術による2つの部品の接続に関する。
【0002】
本発明は故に、いわゆる“チップオンチップ”、“チップオンウエハ”および“ウエハオンウエハ”アセンブリに、特に適用される。
【背景技術】
【0003】
フリップチップハイブリダイゼーションは、互いに独立に作られるが相補的に動作する2つのマイクロ電子部品を組み立てるのに現在使用されており、それらは例えば単位検出素子のアレイおよびそのリード回路などであり、より一般的には、はんだバンプとの電気機械的接続部を形成することによって、または延性金属パッドに硬質金属インサートを挿入することによって組み立てる。
【0004】
このようなハイブリダイゼーションは通常、2つのハイブリッド化部品間の空間を、通常エポキシ樹脂である保護材料で充填することによって完了するが、この操作はアンダーフィリングと呼ばれる。
【0005】
充填材料は確かに、通常同一の熱膨張係数を有しない第1および第2電子部品間の熱膨張差を吸収することができ、2つの部品間の相互接続部を例えば湿潤環境などの悪環境から保護し、ショックおよび振動に対する機械的保護を提供する。
【0006】
充填材料は多くの利点を有するが、それは如何なるタイプのハイブリッド化部品にも適用できるわけではない。確かに、部品の1つまたは両方の部品はまた、それらが充填材料に埋め込まれた場合に操作できない電子回路を、その表面上に有することがある。これは例えば、電子チップ、特にボロメータ検知器またはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)タイプの回路などの光検知回路、あるいは再び特定の電気的接続部に対して、概してあてはまる。
【0007】
さらに、例えば非常に低い熱伝導性を有する環境を必要とするボロメータ検知器などの幾つかの回路では特に、操作できるようにするために低圧または真空が必要である。このような場合、最先端のアンダーフィリング操作では、それが前記回路を埋め込むという意味を含むため、不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、アンダーフィリング操作を実施することおよび、アンダーフィリングに使用される充填材料内に埋め込まれる密閉キャビティを作り出すことの両方を可能にする、2つのマイクロ電子部品を組み立てる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、本発明は、一方が他方の上に置かれ、その間に充填材料に埋め込まれた少なくとも1つの密閉キャビティが形成される、少なくとも1つの第1および第2マイクロ電子部品を含むマイクロ電子アセンブリの製造方法を提供し、その方法は、
−ベントとして用いられる開口部を除いて前記第1部品の所定の領域のまわりに広がる閉鎖フレームを形成する側壁を用いて、前記キャビティを規定する段階と、
−前記閉鎖フレーム内および前記ベントと向かい合って、前記側壁と共同して充填材料に対するバイパスダクトまたはラインを形成できる妨害物を形成する段階と、
−前記第1および前記第2部品のフリップチップハイブリダイゼーションを実施する段階であって、前記第2部品の表面は、前記少なくとも1つのキャビティを形成するために前記第1部品上に形成された前記側壁の上端または終端上にある、段階と、
−前記2つのハイブリッド化部品の間に液体形態の充填材料を注入する段階であって、前記少なくとも1つのキャビティを埋め込み、前記充填材料が固化するときに前記ベントの閉塞によってそれを密閉する、段階と、
を含む。
【0010】
本発明によると、バイパスダクトの長さは、ベントの位置への前記充填材料の提供と前記充填材料が固化する瞬間の間に充填材料が移動する距離より大きい。
【0011】
本明細書で“側面(lateral)”との用語は、第1および第2部品の互いに配置された表面と垂直な方向に関する。
【0012】
本明細書で“液体”との用語は、第1および第2部品の間の空間を充填するために前記材料が流れることができる材料の相に関し、その材料は選択された用途に応じて様々な粘度を有する可能性がある。
【0013】
言い換えると、キャビティは、バイパスダクトを用いてキャビティとつながるベントの位置でのみ開いている外側の“囲い(enclosure)”を最初に形成することによって作り出される。
【0014】
バイパスダクトは、2つの機能を有する:
−その第1の機能は、ベントと組み合わせて、フリップチップハイブリダイゼーション操作の間にキャビティを外側とつながる状態にすることである。このようなつながりのない場合、つまり、キャビティを規定する側壁が完全に閉鎖され、故に何れのベントも与えられない場合、またフリップチップハイブリダイゼーションが真空下で実施されない場合、第1部品上の第2部品の取り付けは、キャビティにおいて超過気圧を引き起こすことがあり、それは機械的にハイブリッド化アセンブリを弱くし、および/またはボロメータ検知器およびMEMSベースの回路などの特定の回路の操作に悪影響を及ぼすことがある。さらに、あるフリップチップハイブリダイゼーションの間、脱酸素流(deoxidation flow)が電気相互接続部の質を保証するために使用されるが、それは一旦相互接続部が形成された時にキャビティにおける酸性ガス放出を運び去ることができること、故にキャビティにアクセスできることを必要とする。
−その第2の機能は、キャビティへの充填材料の浸透を防ぐことである。確かに、バイパスダクトはベントとキャビティ内部との間の充填材料の移動を長くし、故に、ダクトにおける液体材料の流れ時間により、前記材料に固化する時間を与える。加えて、2つのハイブリッド化部品を隔てる空間の十分な充填を得るために、アンダーフィリング操作は通常低い粘度の材料を必要とすることに、留意すべきである。バイパスがない場合、液体形態の充填材料は故に、それが固化によって停止する前にキャビティ内部に浸透する。
【0015】
充填材料自体がその固化により前記ベントを堅く閉鎖するため、アンダーフィリングを実施する前に例えばグルーの滴によって、側壁内に形成されたベントを堅く閉鎖する必要は必ずしもないことにもまた、留意すべきである。
【0016】
最終的に、バイパスダクトは、特に液体充填材料の流速に応じて、故にその粘度、その固化時間、または前記固化が開始する時間に応じて、最適化され得る多数の形状および長さを有することができることを理解すべきである。固化によって停止される前に充填材料がキャビティに浸透しないことを確実にするために、十分に長いバイパスダクトを規定することもまた可能である。
【0017】
部品のハイブリダイゼーションおよび充填材料の注入がこの特定の順番で実施される必要はないこと、また例えば、充填材料が第2部品の取り付け前に第1部品上に堆積され、その後第2部品が取り付けられることがあることもまた、理解すべきである。
【0018】
本発明の特定の実施形態によると、前記少なくとも1つのキャビティの形成は、
−第1ベントを除いて閉鎖フレームを形成する外側壁と、
−こうして形成された前記フレームに関して内側にあり、前記第1ベントと前記領域との間にバイパスダクトを規定する側壁と、
を前記第1部品の表面に形成することによって生じる。
【0019】
言い換えると、この実施形態によると、バイパスダクトは2つの同心円状のフレームによって規定されるか、または少なくとも別のフレームを囲む1つのフレームによって規定される。
【0020】
別の特定の実施形態によると、キャビティの少なくとも一部または全部のそれぞれに付随する外側および内側壁は、キャビティのまわりで入れ子になり、フレーム毎の1つのベントを除いて閉鎖された少なくとも2つのフレームのアセンブリを形成し、フレーム毎のベントはそれを含む最も近いフレームのベントの反対側に配置されている。この配置は、キャビティの周囲に実質的に対称なアセンブリを規定する側壁を有すると同時に、バイパスに取り込まれる表面積を減少させることができ、故にその表面にもたらされる応力が対称であり、熱サイクルの間均一にもたらされるという意味を含む。
【0021】
別の実施形態によると、キャビティの少なくとも一部または全部のそれぞれに付随する外側および内側壁は、第2ベントによってキャビティに向かって開かれたらせん状のダクトを形成する。同一の伝播表面積に対し、例えば前の実施形態と比較して、この実施形態は伝播時間を2倍とすることができる。
【0022】
本発明の実施形態によると、液体形態の充填材料は例えば、熱または照射によって架橋可能なポリマーであり、その固化は前記ポリマーの架橋によって実施される。特に、例えばUVを伴う照射によって架橋可能なポリマーでは、固化は故に非常に素早く、UV照射の流束量(fluence)を増大することによって充填材料の前進を制御可能に停止することができる。同様に、熱によって架橋可能なポリマーでは、最低ポリマー架橋温度より高い温度、例えばエポキシ樹脂に対して100°Cより高い温度が15分間加えられる場合、その前進を制御可能に停止することが可能である。
【0023】
本発明の実施形態によると、第1ベントはキャビティの外側フレームと実質的に同じ位置に形成され、充填材料はキャビティの第1ベントと反対側の位置に注入される。故に、ハイブリッド化部品間への液体充填材料の注入時間と、キャビティの囲いまたは外側フレームのベントの前面へのこの材料の提供時間との間に遅れが存在する。この遅れはそして、例えば真空条件の生成、または作業プラットフォームの変更などの特定の操作を実施するのに使用されることができる。
【0024】
本発明の実施形態によると、バイパスダクトの長さは、液体形態の充填材料の流速によって決定される。これにより特に、バイパスダクトの長さを最小化することができ、故に各キャビティに与えられる表面積を減少させ、側壁の形成に使用される材料の量を減少させることができる。
【0025】
本発明の実施形態によると、少なくとも充填材料の注入は低圧下、および例えば真空などで実施され、それはキャビティに低圧下または真空を提供する。代わりに、その注入は制御された雰囲気下で実施されるが、それは特に、例えば希ガスまたは中性ガスなどの特定の回路の操作に適したガスから成る。
【0026】
本発明はまた、他方の上部に一方を取り付け、その間に充填材料に埋め込まれた密閉キャビティが形成される、第1および第2マイクロ電子部品を含むマイクロ電子アセンブリを目的としており、前記アセンブリは上述のタイプの方法によって得られる。
【0027】
本発明の実施形態によると、密閉キャビティは、マイクロ電子、光電子、または光回路、および特に高感度検知素子、電子チップ、MEMSタイプ回路、または電気コネクタを含む。
【0028】
実施形態によると、第1マイクロ電子部品または第2マイクロ電子部品はキャップである。
【0029】
本発明の前述のおよび他の特徴および利点は、添付の図面に関連して、以下の非限定的な特定の実施形態の説明において詳細に論じられるが、ここで、同一の参照符号は同一のまたは類似の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による密閉キャビティに含まれることを目的とした回路を含む基板上に側壁を作る段階の上面図である。
【図2】本発明による密閉キャビティに含まれることを目的とした回路を含む基板上に側壁を作る段階の、軸A-Aに沿った断面図である。
【図3】図1および2に描かれたアセンブリ上にキャップを取り付ける段階の、軸A-Aに沿った断面図である。
【図4】一旦アンダーフィリング操作が実施されたハイブリッド化アセンブリの上面図であり、ここではキャップが透明で示されている。
【図5】一旦アンダーフィリング操作が実施されたハイブリッド化アセンブリの断面図である。
【図6】本発明による、アンダーフィリング操作のための充填材料の注入を示す実施形態の図面である。
【図7】液体充填材料の存在下における、キャビティおよびそのバイパスダクトの上面図である。
【図8】本発明によるバイパスダクトの他の実施形態の図面である。
【図9】本発明によるバイパスダクトの他の実施形態の図面である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1から6を参照して、例えば図面では3×3配列のMEMS回路であるMEMS回路を集合的に形成するのに適用される本発明の実施形態の方法が、ここに記載される。
【0032】
MEMSをベースとする回路は例えば、その上に接触してまたは接触せずにMEMS12が形成される基板10を含む。この操作では、MEMS12は、低圧、真空、または制御された雰囲気下に置かれることを必要とする。これを達成するために、MEMS回路は密閉キャビティで囲まれる。MEMS回路はそれ自体周知であり、以下ではさらに説明しない。アンダーフィリング操作において充填材料で覆われる密閉キャビティを提供する必要があることのみ、留意するべきである。
【0033】
図1および2に示すように、その方法は、各MEMS回路12のまわりに側壁14、16を形成する段階から始まり、
・第1ベント18を除いて閉鎖された外側フレーム14と、
・外側フレーム14の内側にあり、第2ベント20を除いて閉鎖されたフレーム16であって、第1ベント18および第2ベント20がMEMS回路12の両側に配置されている、フレーム16と、
を形成する。
【0034】
外側フレーム14および内側フレーム16はこうして、第1ベント18の位置に提供された任意の液体を、第2ベント20を通ってMEMS回路12が配置されている中央領域に浸透するように導くバイパスダクト22をともに規定し、それによって流れ距離、故にこの中央領域に液体が浸透するのにかかる時間を長くする。
【0035】
本方法では、キャップ24が側壁14、16の上端に置かれ、キャップ24が前記壁で密閉されるように、各MEMS回路12に対する個別のキャップ24のハイブリダイゼーションが続く。本方法のこの段階において第1ベント18を除いて密封であるキャビティ26が、MEMS回路12に対してこうして形成される(図3)。
【0036】
フレーム14、16は例えば、インジウムなどで作られたはんだバンプによる電気機械相互接続部に用いられるようなはんだ材料のビーズを堆積することによって形成される。キャップ24のハイブリダイゼーションはこうして、例えば熱圧着または再溶融を実施し、確実にキャップを側壁14、16に接続し、故にMEMS回路12を含むキャビティを密封する。
【0037】
代わりに、キャップ24には例えば、延性材料で作られ、基板10上に堆積されたビーズ内に挿入される中実または中空金属インサートが備わっており、キャップ24を密閉する。本願によると、キャップ24はまた、それ自体周知なMEMS回路12と電気的相互接続部を形成することができる。
【0038】
本方法では次に、アンダーフィリング段階(図4および5)が続く。液体形態の充填材料28、有利に例えば架橋オーブンで架橋可能なエポキシ樹脂などの架橋可能なポリマーが、基板10とキャップ24との間に注入される。充填材料28は次いで、部品10、24の間の空間を完全に充填するように流れ、前記材料28の固化はキャビティ26へのその如何なる浸透の前に得られる。前記キャビティはこうして充填材料28で覆われる。さらに、材料28は第1ベント18を充填し、故にキャビティ26を完全に密閉する。
【0039】
代わりに、充填材料が部品10とキャップ24との間に挟まれ、毛管による進行を可能にするように、充填材料はキャップ24の取り付け前に、液体形態で部品10に堆積され、その後前記キャップが、MEMS回路12と同じ高さの壁14、16に取り付けられる。
【0040】
図6の例では、充填材料28が、キャップ24の取り付けの前または後に、その第1ベント18と反対側の各キャビティ26に対して、ハイブリッド化部品10、24の間に滴形態で注入される。充填材料28はそして、毛管によってハイブリッド化部品10、24の間に進む。
【0041】
図7を参照して、キャビティ26に付随するバイパスダクト22の長さを選択する方法がここで説明される。
【0042】
この図面に描かれるように、充填材料28は毛管によって、矢印で示すように、その注入位置からキャビティ26の第1ベント18に到達するまで流れる。次いで充填液体28は、毛管によって、バイパスダクト22を速度V で移動する。速度V は、ダクト22の断面積S によって、充填材料28の粘度μ によって、およびその温度T によって決定される。この速度は、判断されるダクト、材料、および温度に対する試験デバイスで、容易に計算され、または測定されることができることに留意すべきである。特に、これらの3つのパラメータが一定である場合、ダクト22における流速V は一定である。
【0043】
従って、L が第1ベント18と第2ベント20との間のダクト22の長さである場合、それを固化する手段が何も実施されなければ、充填材料は第1ベント18を通り抜けて浸透した後tmig = L/V 秒で第2ベント20に到達する。
【0044】
例えば充填材料を完全に固化するのに必要な時間tsolid が分かっている場合、ダクトの長さは例えば、tsolid < tmig となるように選ばれ、L > tsolid × V である。
【0045】
ダクトの断面積S および/または充填材料28の粘度μ を定めることによって移動時間 tmig を定めることもまた可能であることに留意すべきである。充填材料を固化するのに必要な時間に応じてダクト22の寸法を定めることもまた可能である。特に、短いダクト22および/または小さな断面積のダクトは、充填材料28をより早く固化する場合に選択され得る。
【0046】
バイパスダクト22が2つの入れ子になったフレームを用いて形成される特定の実施形態が記載された。
【0047】
もちろん、他の実施形態が可能である。特に、2つを超えるフレームが互いに入れ子になり得、例えば図8に示すように、3つのフレーム14、16、30が入れ子になり、フレーム毎のベントは最も近い外側フレームのベントと反対側に配置される。従って、フレームが多くなるほど、バイパスダクトは長くなり、充填材料が堆積される時間とキャップが取り付けられる時間との間においてより多くの時間が利用可能になり、数百を超える回路がハイブリッド化される場合に有利になる。確かに、多数の回路をハイブリッド化する必要がある場合、第1チップへのグルーの堆積と最終チップへのグルーの堆積との間に、時間“tpd”が経過する。従って、第1チップおよび最終チップにおいて、グルーがバイパスダクトに残留し、キャビティに到達しないことを確保すべきであり、ここで第1チップは長時間(=tpd)グルーの進行を“見ている”。
【0048】
同様に、図9に示すように、単一のらせん状にねじれた壁34が外側フレームおよびバイパスダクトを形成するのに使用されることがあり、それは最小の表面積で長いバイパスダクトを形成することを可能にする。
【0049】
本発明によるMEMS回路の集合的な製造方法の応用が記載された。もちろん本発明は、密閉キャビティで閉鎖される必要がある他のタイプの回路に適用される。例えば回路は、IRCMOSタイプの赤外線検知回路、またはより一般的には、任意の密閉タイプの光、ガスセンサー、OLED、LCDまたは他のタイプのミニディスプレイ、バイオチップ、撮像装置、または任意の波長のエミッター、冷却または非冷却赤外線撮像装置などであり得る。
【0050】
数値的な例として、20°Cの気温で2500cpsに等しい粘度を有するエポキシ樹脂に対し、並びに350平方マイクロメートルに等しいバイパスダクトの一定の断面積S に対し、速度V は毎分0.5ミリメートルに等しいとして測定されている。このエポキシ樹脂の完全な固化の時間は、80°Cの架橋オーブンで、略30分である。
【0051】
tsolid × V = 15 mmより大きいダクト長さL を選択することによって、第2ベント20、つまり回路を含む密閉キャビティに到達する前に、エポキシ樹脂はバイパスダクト22で固化される。
【0052】
例えば15マイクロメートルステップを有する500単位検知素子×500単位検知素子のアレイを備えたIRCMOSタイプの検知回路に相当する、7.5ミリメートルの辺長を有する前述のタイプの回路の実質的に正方形であるアレイに対し、7マイクロメートルの高さを有し、50マイクロメートル隔てられた側壁が選択され、350平方マイクロメートルの断面積S が故に、バイパスダクト22に対して規定される。
【0053】
例えば図7で示されるような、2つの入れ子になったフレームを含む実施形態では、外側フレーム14および内側フレーム16が、a に等しい辺長とe に等しい幅を有する第1および第2ベントを有する四角形である場合、長さL はL = 2a − e に等しい。10ミリメートルの辺長と2ミリメートルのベントを有する四角形を選択することによって、ダクトの長さは18ミリメートル、つまりエポキシ樹脂がその完全な固化を伴って移動できる最大15ミリメートルより大きい距離に等しいため、材料はキャビティ26内に浸透する前にダクト22において停止する。
【0054】
10ミリメートルに等しい辺長を有し、2つのループを形成するために四角いらせん状にねじれた側壁34を含む実施形態では、ダクトの長さは40ミリメートル、つまり再び、前述の15ミリメートルより大きな長さに等しい。
【0055】
幾つかの個別のキャップの取り付けが記載された。もちろん本発明はまた、単一部品から成る単一キャップの取り付けに適用される。
【0056】
さらに、充填材料を堆積する単一の段階が記載された。代わりに、充填材料は段階的に堆積され、つまり第1の堆積が密閉キャビティを形成するために実施され、第1の堆積がこの空間を完全に充填しない場合、ハイブリッド化部品間の空間を完全に充填するための1つまたは幾つかの他の連続した堆積が続く。
【0057】
さらに、充填材料の量はまた、ハイブリッド化部品間の空間を完全に充填する代わりに、キャビティのまわりの容積のみを充填するように選択されることができ、それは最小量の充填材料が使用されるため、キャビティがその後個別化される場合に有利である。
【0058】
もちろん本発明は、当業者が容易に気付く様々な変更、修正、および改善を有する可能性がある。このような変更、修正、および改善はこの開示の一部であると意図され、本発明の精神および範囲内であると意図される。従って、前述の記載は単に例示の目的であり、制限することを意図していない。本発明は、以下の特許請求の範囲およびその同等物で規定されるようにのみ制限される。
【符号の説明】
【0059】
10 基板
12 MEMS
14、16、30 フレーム
18、20 ベント
22 バイパスダクト
24 キャップ
26 キャビティ
28 充填材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方が他方の上に置かれ、その間に充填材料(28)に埋め込まれた少なくとも1つの密閉キャビティ(26)が形成される、少なくとも1つの第1マイクロ電子部品(10)および第2マイクロ電子部品(24)を含むマイクロ電子アセンブリの製造方法であって、
−ベント(18)として用いられる開口部を除いて前記第1部品(10)の所定の領域のまわりに広がる閉鎖フレームを形成する側壁(14)を用いて、前記キャビティを規定する段階と、
−前記閉鎖フレーム内および前記ベントと向かい合って、前記側壁と共同して充填材料に対するバイパスダクトまたはライン(22)を形成できる妨害物(16)を形成する段階と、
−前記第1部品(10)および前記第2部品(24)のフリップチップハイブリダイゼーションを実施する段階であって、前記第2部品の表面は、前記少なくとも1つのキャビティ(26)を形成するために前記第1部品上に形成された前記側壁の上端または終端上にある、段階と、
−前記2つのハイブリッド化部品の間に液体形態の前記充填材料(28)を注入する段階であって、前記少なくとも1つのキャビティを埋め込み、前記充填材料(28)が固化するときに前記ベント(18)の閉塞によってそれを密閉する、段階と、を含み、
前記バイパスダクト(22)の長さは、前記ベント(18)の位置への前記充填材料の提供と前記充填材料が固化する瞬間の間に前記充填材料(28)が移動する距離より大きい、マイクロ電子アセンブリの製造方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのキャビティ(26)の形成は、
−第1ベント(18)を除いて閉鎖フレームを形成する外側壁(14)と、
−こうして形成された前記フレームに関して内側にあり、前記第1ベントと前記領域との間にバイパスダクト(22)を規定する側壁(16)と、
を前記第1部品(10)の表面に形成することによって生じる、請求項1に記載のマイクロ電子アセンブリの製造方法。
【請求項3】
前記キャビティ(26)の少なくとも一部または全部のそれぞれに付随する前記外側壁(14)および内側壁(16; 16, 30)は、前記キャビティ(26)のまわりで入れ子になり、フレーム毎の1つのベント(18, 20; 18, 20, 32)を除いて閉鎖された少なくとも2つのフレームのアセンブリを形成し、前記フレーム毎のベントはそれを含む最も近いフレームの前記ベントと反対側に配置されている、請求項2に記載のマイクロ電子アセンブリの製造方法。
【請求項4】
前記キャビティ(26)の少なくとも一部または全部のそれぞれに付随する前記外側および内側壁(34)は、第2ベントによって前記キャビティに向かって開かれたらせん状のダクトを形成する、請求項2または3に記載のマイクロ電子アセンブリの製造方法。
【請求項5】
液体形態の前記充填材料(28)は架橋可能なポリマーであり、前記固化は前記ポリマーの架橋によって実施される、請求項1から4の何れか1項に記載のマイクロ電子アセンブリの製造方法。
【請求項6】
前記第1ベント(18)は前記キャビティ(26)の前記外側フレームと実質的に同じ位置に形成され、前記充填材料(28)はそれぞれの前記キャビティの前記第1ベント(18)と反対側の位置に注入される、請求項1から5の何れか1項に記載のマイクロ電子アセンブリの製造方法。
【請求項7】
前記バイパスダクト(22)の長さは、液体形態の前記充填材料(28)の流速によって決定される、請求項1から6の何れか1項に記載のマイクロ電子アセンブリの製造方法。
【請求項8】
少なくとも前記充填材料(28)の注入は、低圧、真空、または制御された雰囲気下で実施される、請求項1から7の何れか1項に記載のマイクロ電子アセンブリの製造方法。
【請求項9】
前記領域は、電子、光学、光電子部品またはMEMSの受け手となることを目的とする、請求項1から8の何れか1項に記載のマイクロ電子アセンブリの製造方法。
【請求項10】
他方の上部に一方を取り付け、その間に充填材料(28)に埋め込まれた密閉キャビティ(26)が形成される、第1および第2マイクロ電子部品を含むマイクロ電子アセンブリであって、前記アセンブリは請求項1から9の何れか1項に記載の方法によって得られる、マイクロ電子アセンブリ。
【請求項11】
前記密閉キャビティ(26)は、マイクロ電子回路、および特に高感度な検知素子、MEMSタイプの回路、または電気コネクタを含む、請求項10に記載のマイクロ電子アセンブリ。
【請求項12】
前記第1マイクロ電子部品または第2マイクロ電子部品はキャップである、請求項10または11に記載のマイクロ電子アセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−16801(P2013−16801A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−145357(P2012−145357)
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【出願人】(502124444)コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ (383)
【Fターム(参考)】