説明

対物レンズユニットおよび表面検査装置

【課題】環境温度の変化に伴う誤検出を防止した対物レンズユニットを提供する。
【解決手段】非晶質の材料を用いたレンズを含む複数のレンズG1〜G13からなる対物レンズ51と、対物レンズ51を保持する鏡筒部材とを備え、鏡筒部材の材料の線膨張係数をα1とし、複数のレンズG1〜G13のうち非晶質の材料を用いたレンズの材料の線膨張係数をα2とし、非晶質の材料を用いたレンズの外径をDとし、非晶質の材料を用いたレンズの材料の光弾性定数をβとし、非晶質の材料を用いたレンズ内の開口数が最大となる光路長をLとしたとき、複数のレンズG1〜G13における全ての非晶質の材料を用いたレンズが条件式|(α1−α2)×D×β×L|<12000を満足している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光を利用して半導体ウェハや液晶基板等の表面を検査する表面検査装置に関し、さらに詳しくは、このような表面検査装置に用いられる対物レンズユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハ(以下、ウェハと称する)の表面に形成されたパターンの良否を判定する方法として、走査型電子顕微鏡(以下、SEMと称する)を用いた観察により断面形状を検査する方法が種々提案されている。SEMによる断面形状の検査は、被検査基板(試料)上のパターンに照射した電子線を当該パターンの断面方向に走査し、パターンからの反射電子や二次電子を検出、解析して、走査した部分の断面形状を求める方法で行われる。上記の走査をパターン上の何点かで行うことにより、パターン全体の形状の良否を判定する。
【0003】
SEMによる検査方法は、パターン上に電子線を照射して走査する作業を何回も繰り返し行うため、パターンの形状を求めるのに膨大な時間を要してしまう。また、観察倍率が高いため、上述のように、ウェハ上の全てのパターン形状を求めるのは困難であり、何点かをサンプリングしてウェハ全体の良否を判定する。その結果、サンプリングされたパターン以外の部分に欠陥があっても見逃されてしまう。また、レジストパターンでは、電子線を照射すると加速電圧によって電子線がレジストに吸収、チャージされてパターンの目減りが起こる。場合によっては、放電が発生してパターンが倒れてしまい、その後の工程で不都合が生じるため、加速電圧や観察倍率を色々と変えながら最適な観察条件を求める必要がある。それゆえ、さらに計測に時間を要してしまう。
【0004】
また、パターンの良否を判定するその他の方法として、スキャトロメータによるCD計測やオーバーレイのインライン検査技術等がある。分光スキャトロメータは、波長の関数として固定角度にて散乱光の特性を調べる。なお通常は、キセノン、重水素、またはキセノンアーク灯のようなハロゲン系光源である広帯域光源を使用する。また、固定角度は、垂直入射か斜め入射でよい。角度分解スキャトロメータは、入射角の関数として固定波長にて散乱光の特性を調べる。なお通常は、単一波長の光源としてレーザーを使用する。
【0005】
角度分解スキャトロメータでの問題は、1回に1つの波長しか検出しないことである。したがって、複数の波長があるスペクトルは、その波長を時間分割多重化して検出しなければならず、スペクトルの検出および処理に時間を要するため、データの全取得時間が増加してしまう。また、分光スキャトロメータでは、小さい格子を入射角の小さい広がりで照明しなければならないので、拡張光源からの光量が無駄になる。その結果、光検出器に達する光のレベルが低くなって、データの取得時間が長くなり、スループットにマイナスの影響を及ぼす。また、データの取得時間を短くすると、検査結果が安定しないことがある。
【0006】
このような事情に鑑みて、微細パターンの線幅変化を構造性複屈折量変化として検出する方法(以下、APM‐PER検査法と称する)が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この方法では、微細パターンを直線偏光で集光照明すると、その反射光が微細パターンでの構造性複屈折によって楕円偏光となる。これにより、(偏光子と)クロスニコル状態の検光子を通過する光量がパターンの線幅に応じて変化するので、その変化量を瞳像観察により計測する。この方法であれば、線幅と階調値(瞳像における光量)との関係を図8に示すように検出することができる。すなわち、瞳像における階調値を計測して、図8に基づくデータテーブルを参照することで、微細パターンの線幅換算値を求めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2008/015973号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このようなAPM‐PER検査法による計測では、環境温度が変化すると、対物レンズを介して検光子を通過する光量が変化するため、検査精度が低下するおそれがあった。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、環境温度の変化に伴う誤検出を防止した対物レンズユニットおよび表面検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的達成のため、本発明に係る対物レンズユニットは、非晶質の材料を用いたレンズを含む複数のレンズからなる対物レンズと、前記対物レンズを保持する鏡筒部材とを備え、前記鏡筒部材の材料の線膨張係数をα1とし、前記複数のレンズのうち前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の線膨張係数をα2とし、前記非晶質の材料を用いたレンズの外径をDとし、前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の光弾性定数をβとし、前記非晶質の材料を用いたレンズ内の開口数が最大となる光路長をLとしたとき、前記複数のレンズにおける全ての前記非晶質の材料を用いたレンズが次式
|(α1−α2)×D×β×L|<12000
の条件を満足している。
【0011】
なお、前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の直接応力光定数をc1とすると、次式
|(α1−α2)×D×c1×L|<12000
の条件を満足している。
【0012】
また、前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の横応力光定数をc2とすると、次式
|(α1−α2)×D×c2×L|<12000
の条件を満足している。
【0013】
また、本発明に係る対物レンズユニットは、非晶質の材料を用いたレンズを含む複数のレンズからなる対物レンズと、前記対物レンズを保持する鏡筒部材とを備え、前記複数のレンズのうち前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の線膨張係数をα2とし、前記非晶質の材料を用いたレンズに接合したレンズの材料の線膨張係数をα3とし、前記非晶質の材料を用いたレンズの外径をDとし、前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の光弾性定数をβとし、前記非晶質の材料を用いたレンズ内の開口数が最大となる光路長をLとしたとき、前記複数のレンズにおける全ての前記非晶質の材料を用いたレンズが次式
|(α3−α2)×D×β×L|<12000
の条件を満足している。
【0014】
なお、前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の直接応力光定数をc1とすると、次式
|(α3−α2)×D×c1×L|<12000
の条件を満足している。
【0015】
また、前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の横応力光定数をc2とすると、次式
|(α3−α2)×D×c2×L|<12000
の条件を満足している。
【0016】
また、本発明に係る対物レンズユニットは、非晶質の材料を用いたレンズを含む複数のレンズからなる対物レンズと、前記対物レンズを保持する鏡筒部材とを備え、前記鏡筒部材の材料の線膨張係数をα1とし、前記複数のレンズのうち前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の線膨張係数をα2とし、前記非晶質の材料を用いたレンズに接合したレンズの材料の線膨張係数をα3とし、前記非晶質の材料を用いたレンズの外径をDとし、前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の光弾性定数をβとし、前記非晶質の材料を用いたレンズ内の開口数が最大となる光路長をLとしたとき、前記複数のレンズにおける全ての前記非晶質の材料を用いたレンズが次式
(|α1−α2|+|α3−α2|)×D×|β|×L<20000
の条件を満足している。
【0017】
なお、前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の直接応力光定数をc1とすると、次式
(|α1−α2|+|α3−α2|)×D×|c1|×L<20000
の条件を満足している。
【0018】
また、前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の横応力光定数をc2とすると、次式
(|α1−α2|+|α3−α2|)×D×|c2|×L<20000
の条件を満足している。
【0019】
また、本発明に係る表面検査装置は、表面に所定の繰り返しパターンが形成された基板を支持するステージと、対物レンズおよび前記対物レンズを前記ステージと対向するように保持する鏡筒部材を有した対物レンズユニットと、前記ステージに支持された前記基板の表面に、落射照明により前記対物レンズを介して直線偏光を照射する照明部と、前記照明光が照射された前記基板の表面からの反射光を、前記対物レンズを介して受光し、前記対物レンズの瞳面もしくは瞳面と共役な面において、前記対物レンズに受光された前記反射光のうち前記直線偏光の偏光方向と略垂直な偏光成分を検出する検出部と、前記検出部に検出された前記偏光成分の情報に基づいて、前記繰り返しパターンにおける欠陥の有無を検査する検査部とを備え、前記対物レンズユニットが本発明に係る対物レンズユニットになっている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、環境温度の変化に伴う誤検出を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】対物レンズの詳細を示す図である。
【図2】表面検査装置の概要を示す図である。
【図3】(a)、(b)ともに瞳像の分割の例を示す図である。
【図4】ウェハの表面を示す図である。
【図5】温度変動によるリタデーション変化量の一例を示す図である。
【図6】実施形態における(4)式の算出例を示す表である。
【図7】実施形態における(7)式の算出例を示す表である。
【図8】線幅と階調値との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本実施形態に係る表面検査装置1を図2に示している。この表面検査装置1は、ウェハ5を支持するステージ10と、対物レンズユニット50およびハーフミラー12と、ステージ10に支持されたウェハ5の表面にハーフミラー12および対物レンズユニット50を介して照明光を照射する照明部20と、照明光が照射されてウェハ5の表面で反射した反射光を対物レンズユニット50およびハーフミラー12を介して検出する検出部30と、データ処理部45とを備えて構成される。
【0023】
対物レンズユニット50は、対物レンズ51と、この対物レンズ51をステージ10と対向するように保持する鏡筒部材52とを有して構成される。対物レンズ51は、図1に示すように、ウェハ5側から順に並んだ、像側に凸のメニスカスレンズである第1レンズG1と、像側に凸のメニスカスレンズである第2レンズG2と、凹レンズである第3レンズG3と、凸レンズである第4レンズG4と、凸レンズである第5レンズG5と、凹レンズである第6レンズG6と、凸レンズである第7レンズG7と、物体側(ウェハ5側)に凸のメニスカスレンズである第8レンズG8と、凸レンズである第9レンズG9と、凸レンズである第10レンズG10と、凹レンズである第11レンズG11と、凸レンズである第12レンズG12と、凹レンズである第13レンズG13とから構成される。なお、第1〜第13レンズG1〜G13のうち、第5レンズG5および第9レンズG9の材料は結晶質の蛍石であり、残りのレンズの材料は非晶質のガラス材となっている。また、鏡筒部材52の材料は真鍮となっている。なお、図2において、対物レンズ51の記載は簡略化している。
【0024】
図2に示すように、照明部20は、光源側から順に、例えば白色LEDやハロゲンランプ等の光源21と、コンデンサレンズ22と、干渉フィルタを含む均一化照明ユニット23と、開口絞り24と、第1視野絞り25と、リレーレンズ26と、偏光子27とを有して構成され、光軸上にこの順に並んで配置されている。このような照明部20において、光源21から射出された光は、コンデンサレンズ22および均一化照明ユニット23を介して、開口絞り24および第1視野絞り25を通過し、リレーレンズ26によってコリメートされる。リレーレンズ26によりコリメートされた光は、偏光子27を透過し、ハーフミラー12で下方へ反射した後、対物レンズ51を介してステージ10上に載置されたウェハ5の表面に導かれる。
【0025】
なお、開口絞り24および第1視野絞り25はそれぞれ、開口部の形状(特に、光軸と開口部とを結ぶ直線方向の径の大きさ)および光軸と直交する面内での開口部の位置を変化させることが可能な構造となっている。そのため、開口絞り24の開口部の形状および位置を変化させると、ウェハ5の表面に照射される照明光の開口角が変化し、第1視野絞り25の開口部の形状および位置を変化させると、ウェハ5の表面における照明領域の大きさ(照明の範囲)を変化させることができる。
【0026】
また、開口絞り24および対物レンズ51の瞳面は、リレーレンズ26を挟んで、それぞれこのリレーレンズ26の焦点距離の略2倍の位置に配置されている。そのため、開口絞り24の開口部の像が対物レンズ51の瞳面上もしくはその近傍に結像され、さらに、対物レンズ51で集光されてウェハ5の表面に照射される。すなわち、開口絞り24と対物レンズ51の瞳面とは共役関係になっている。また、照明部20の光軸は、ハーフミラー12で検出部30の光軸と略一致するように配置され、ステージ10上のウェハ5を同軸落射照明するように構成されている。
【0027】
ここで、同軸落射照明の光軸をZ軸とし、Z軸と垂直な面内において当該Z軸を通り互いに直交する軸をそれぞれX軸およびY軸とすると、ステージ10は、X軸、Y軸、Z軸方向に移動可能で、かつZ軸と平行な軸の回りに回転可能に構成されている。また、偏光子27は、図2の紙面と垂直な方向(X軸方向)に振動する直線偏光を出射させるように設定されている。同軸落射照明によりウェハ5の表面に照射された照明光(直線偏光)は、ウェハ5の表面で反射して再び対物レンズ51に戻り、ハーフミラー12を透過して検出部30に入射することができる。
【0028】
検出部30は、ウェハ5側から順に、検光子31と、第1結像レンズ32と、ハーフプリズム33と、第2結像レンズ34と、第2視野絞り35と、2つの撮像素子41,42とを有して構成され、光軸上にこの順に並んで配置されている。このような検出部30において、ハーフミラー12を透過したウェハ5からの反射光は、検光子31を透過して第1結像レンズ32で集光され、ハーフプリズム33に入射する。ハーフプリズム33は、一部の光を透過させ、残りの光を反射させるものであり、このハーフプリズム33で反射した光は、第2撮像素子42に達してウェハ5の像が結像される。一方、ハーフプリズム33を透過した光は、さらに第2結像レンズ34で集光され、第2視野絞り35に達してウェハ5の像が結像されるとともに、第1撮像素子41に達して対物レンズ51の瞳像が結像される。
【0029】
第1撮像素子41は、対物レンズ51の瞳面の像(瞳像)を検出する位置、すなわち対物レンズ51の瞳面と共役な位置に配置されており、対物レンズ51の瞳面の像を撮像(検出)して、検出信号をデータ処理部45に出力する。第2撮像素子42は、ウェハ5の像を検出する位置、すなわちウェハ5の表面と共役な位置に配置されており、ウェハ5の像を撮像(検出)して、検出信号をデータ処理部45に出力する。なお、第2視野絞り35は、ウェハ5の表面と共役な位置に配置されており、光軸(Z軸)に対してX軸およびY軸方向に移動可能な開口形状を有している。第1撮像素子41および第2撮像素子42でそれぞれ検出された像は、データ処理部45を介して画像表示装置46で観察することができる。したがって、第2撮像素子42により検出された像を画像表示装置46で観察すると、ウェハ5上のどの位置に照明光が照射されているかを確認することができる。また、データ処理部45には、後述するデータテーブルが記憶された記憶部47が電気的に接続されている。
【0030】
また、偏光子27と検光子31とは、クロスニコルの条件を満足するように設定されている。このため、ウェハ5表面の繰り返しパターン6(図4を参照)で偏光主軸が回転しない限り、検出される光量がほぼ零となる。
【0031】
以上のように、本実施形態の表面検査装置1は、ウェハ5表面の微細な繰り返しパターン6(図4を参照)の線幅変化を構造性複屈折量変化として検出するように構成される。構造性複屈折を有するパターンからの反射光は、ウェハ5表面のパターン形状および下層構造に応じて、入射光(直線偏光)の振動面に平行な成分と垂直な成分との間で位相差と振幅が変化し、楕円偏光になる。このため、本実施形態の表面検査装置1では、偏光子27による直線偏光でウェハ5表面の微細な繰り返しパターン6を集光照明し、この微細な繰り返しパターン6で楕円偏光化した反射光がクロスニコル状態の検光子31を透過する光量の変化を、瞳像を用いて計測する。すなわち、ウェハ5の表面に照射された直線偏光は、楕円偏光となり反射して検光子31を透過し、第1撮像素子41の撮像面に結像される瞳像内に輝度および色相の変化が生じるので、これを計測してウェハ5の表面検査を行う。
【0032】
具体的な検査方法としては、例えば、本実施形態の表面検査装置1により正常なパターンを有するウェハ(基準となるウェハであって、以下「基準ウェハ」と称する)の瞳像(基準像)を撮像取得し、次に検査対象となるウェハ5の瞳像(検出像)を撮像取得して、データ処理部45で基準像と検出像との画素毎の輝度(階調値)の差を比較し、ある画素においてその差が所定の閾値を超えたときに欠陥があると判定するようにしてもよい。なお、比較する画素は、全画素でなくてもよく、光軸を通る所定の線上(放射方向)の画素のみを比較対象としてもよい。また、欠陥があると、反射光の対称性が崩れ、瞳像の光軸に対して対称な部分同士の輝度または色相に差が出てくるので、この差を検出することにより欠陥を検出することができる。
【0033】
また、本実施形態の表面検査装置1は、前述したように、開口絞り24の開口部の位置を変化させることにより、ウェハ5に照射される照明光の開口角を変化させることができる。すなわち、第1撮像素子41で撮像される瞳像において、光軸上が開口角0°に相当し、瞳像の周辺部に行くほどこの開口角が大きくなる。そのため、瞳像を、ウェハ5への入射角が45°である場合に対応する円の内側と外側の領域に分け、この各領域における基準像と検出像との差を検出して、その結果に基づいて欠陥の有無を検査するようにしてもよい。
【0034】
また例えば、図3(a)に示すように、瞳像60を、中心部の円状の領域Eと、その周りの領域を中心から放射状に広がる4つの領域A,B,C,Dとに分割して、これら5つの各領域A〜Eにおける基準像と検出像との差を検出して、その結果に基づいて欠陥を検出するようにしてもよい。あるいは、図3(b)に示すように、瞳像60を、中心部の円状の領域Iと、その周辺部分に中心部の領域Iを囲むように同心円状に配置される8つの円状の領域A〜Hとに分割して、これら9つの各領域A〜Iにおける基準像と検出像との差を検出して、その結果に基づいて欠陥を検出するようにしてもよい。
【0035】
なお、このような欠陥の検出方法として、対物レンズ51の瞳面の像の比較を用いているのは、単なるウェハ5の表面の画像では、繰り返しパターン6(図4を参照)のピッチが表面検査装置1の分解能以下となり、欠陥があっても光学的に検出できないからである。また、第2視野絞り35の開口部の位置や形状が可変に構成されているのは、ウェハ5における適当な位置および大きさの領域の情報を検出可能とするためである。さらに、開口絞り24により照明σ(照明のNA/対物レンズのNA)が可変とされており、適当な明るさでウェハ5を照明することができる。
【0036】
以上に説明したように、基準像と検出像との階調値を比較することにより検査対象のウェハ5の欠陥を検出することができるが、図8に示すような関係を有する階調値と線幅とを対応付けたデータテーブルを記憶部47に記憶しておけば、検出像の階調値からウェハ5の表面に形成された繰り返しパターン6(図4を参照)の線幅を算出することができる。これにより、ウェハ5毎の線幅の数値管理を行うことができる。
【0037】
ところで、図4に示すように、ウェハ5の表面には、複数の半導体チップのための繰り返しパターン6が焼き付けられている。そのため、本実施形態の表面検査装置1によるウェハ5の検査は、ウェハ5表面の複数の検査点に対して行われる。例えば図5の場合、検査開始点P1から検査を開始し、順次隣接する検査点P2,P3,…で検査を行いながら検査終了点Peまで繰り返し検査が行われる。そのため、前述したように、検査開始前に基準ウェハを用いて当該基準ウェハの表面に形成された基準パターンの瞳像(基準像)を撮像取得し、次にウェハ5表面の各検査点において検出像を撮像取得して、各検査点での検出像と基準像とをそれぞれ比較するという手順をとると、その間に環境温度が変化した場合に、各像の階調値が変化して正確な検査ができないおそれがある。
【0038】
本実施形態の表面検査装置1では、ウェハ5以外のいずれかの光学部材において、温度変化によるリタデーション(retardation:位相差)が発生すると、クロスニコル状態になっている検光子31を透過する光量が変化するため、階調値をもとに線幅換算すると線幅誤差が発生し、線幅の計測精度が低下してしまう。すなわち、環境温度が変化すると、線幅の計測精度が低下してしまう。例えば、図8に示すようなデータテーブルを使用する場合、環境温度が基準温度から+1℃上昇すると、階調値と線幅との相関に約12階調の差が生じて、線幅換算で約0.8nmの誤差が発生してしまう。
【0039】
原因は、環境温度の変化によって対物レンズ51内のレンズ膨張により応力歪が発生することで、対物レンズ51内部を通過する光にリタデーションが生じることにある。これにより、対物レンズ51に入射した直線偏光(照明光)は、ウェハ5に到達する前に楕円偏光に変化し、クロスニコル状態になっている検光子31を透過する光量が変化することになる。そのため、ウェハ5の検査開始時点と検査終了時点での温度差や、基準ウェハの撮像時の環境温度とウェハ5の検査時の環境温度の差等によって、検査の信頼性が低下してしまう。
【0040】
これに対し、本実施形態においては、対物レンズ51を通る光が環境温度変化による影響を受けないように、対物レンズ51の設計を行っている。環境温度の影響を最小限に抑えるには、対物レンズ51で生じる応力歪を小さくすることが重要である。そのためには、各レンズG1〜G13が受ける応力を小さくして、受けた応力により発生する歪を小さくする必要がある。各レンズG1〜G13が受ける応力を小さくするには、鏡筒部材52の材料の線膨張係数と各レンズG1〜G13の材料の線膨張係数が近いことが好ましい。
【0041】
なお、各レンズG1〜G13が受ける応力は、鏡筒部材52の内径(すなわち、各レンズG1〜G13の外径)に比例する。すなわち、応力をσとし、鏡筒部材52の材料の線膨張係数をα1とし、各レンズG1〜G13の材料の線膨張係数をα2とし、各レンズG1〜G13の外径をDとしたとき、σ∝(α1−α2)×Dとなる。また、主応力をそれぞれσ1,σ2,σ3とし、主応力方向の電場が感じる屈折率をそれぞれn1,n2,n3とし、応力を受けていない状態での屈折率をn0とし、直接応力光定数をc1とし、横応力光定数をc2としたとき、レンズがある応力を受けた場合の屈折率は、次の(1)式のように表わすことができる。
【0042】
【数1】

【0043】
σ3方向に光が進む場合、電場の向きはσ1方向とσ2方向となる。レンズにσ1方向の応力がかかった場合、次の(2)式のようになる。
【0044】
n2−n1=(c2−c1)×σ1=β×σ1 …(2)
【0045】
ここで、比例係数βは光弾性定数であり、一般にカタログ等に記載されているのはこの数字である。
【0046】
レンズで生じるリタデーションδは、屈折率差n2−n1に光路長Lをかけたものとなるので、次の(3)式のようになる。
【0047】
δ=(n2−n1)×L …(3)
【0048】
したがって、上述の(1)式〜(3)式を考慮すると、対物レンズ51に使用されるレンズの材料および鏡筒部材52の材料は、次の(4)式を満足することが好ましい。
【0049】
|(α1−α2)×D×β×L|<12000 …(4)
【0050】
なお、結晶質の材料を用いたレンズでは結晶構造の向きも影響するため、蛍石等の等軸晶系の材料の場合、屈折率の変化は、いわゆるピエゾ光学係数を用いて表わされるが、結晶軸の方向すなわちレンズの組み付け方向によって変化してしまう。そのため、材料が蛍石である第5レンズG5および第9レンズG9については、(4)式および以下に説明する(5)式〜(12)式を考慮しない。また、光路長Lは、各レンズ内での開口数が最大となる場合における光路長である。
【0051】
また、(4)式のように光弾性定数βに依存するのは、光線がレンズ内を光軸と平行に通り、かつ応力がレンズの径方向に作用する場合である。一般には、光線の通る方向も応力の作用する方向も様々であるため、直接応力光定数c1および横応力光定数c2を考慮して、次の(5)式または(6)式を満足することが好ましい。
【0052】
|(α1−α2)×D×c1×L|<12000 …(5)
|(α1−α2)×D×c2×L|<12000 …(6)
【0053】
本実施形態のような複数のレンズG1〜G13からなる対物レンズ51では、レンズ同士が接合する構成も多用されるが、互いに接合したレンズの線膨張係数が異なっても、温度変化による応力が発生する。本実施形態においては、第3レンズG3と第4レンズG4が接合され、第8レンズG8と第9レンズG9が接合され、第10レンズG10と第11レンズG11が接合され、第12レンズG12と第13レンズG13が接合されている。また、第5レンズG5、第6レンズG6、および第7レンズG7がこの順でそれぞれ接合されている。このとき、前述の場合と同様に、各レンズG1〜G13が受ける応力は、各レンズG1〜G13の外径に比例する。すなわち、応力をσとし、各レンズG1〜G13の材料の線膨張係数をα2とし、対象となるレンズに接合したレンズ(本実施形態においては、便宜上、適宜接合レンズと称する)の材料の線膨張係数をα3とし、各レンズG1〜G13の外径をDとしたとき、σ∝(α3−α2)×Dとなる。
【0054】
したがって、前述の場合と同様に、対物レンズ51に使用されるレンズの材料は、次の(7)式を満足することが好ましい。
【0055】
|(α3−α2)×D×β×L|<12000 …(7)
【0056】
なお、光弾性定数βおよび光路長Lは、前述の場合と同様である。そのため、前述の場合と同様に、直接応力光定数c1および横応力光定数c2を考慮して、次の(8)式または(9)式を満足することが好ましい。
【0057】
|(α3−α2)×D×c1×L|<12000 …(8)
|(α3−α2)×D×c2×L|<12000 …(9)
【0058】
さらに、鏡筒部材52と各レンズG1〜G13の線膨張係数による影響および、互いに接合したレンズの線膨張係数による影響の両方を小さくするには、前述の(4)式に(7)式を加えて考慮した次の(10)式を満足することが好ましい。
【0059】
(|α1−α2|+|α3−α2|)×D×|β|×L<20000 …(10)
【0060】
また同様に、直接応力光定数c1および横応力光定数c2を考慮すると、次の(11)式または(12)式を満足することが好ましい。
【0061】
(|α1−α2|+|α3−α2|)×D×|c1|×L<20000 …(11)
(|α1−α2|+|α3−α2|)×D×|c2|×L<20000 …(12)
【0062】
従来の100倍の対物レンズにおいて、熱構造解析を行うことにより応力分布を求め、この応力分布から屈折率分布を算出して、固有偏光軸に対するリタデーションをシミュレートした結果を図5に示す。この図5では、光線がレンズ内を最大NA=0.9で通った場合に、環境温度が1℃変化したときの各レンズでのリタデーションの変化量(nm)を示している。なお、シミュレーションに使用した従来の対物レンズのレンズ群の構成は、図1に示したレンズ構成と同じである。
【0063】
また、(4)式の算出例を図6に示す。図6に示すように、(4)式の上限値を超えたレンズ、具体的には、第3レンズG3、第6レンズG6、および第8レンズG8では、図5のシミュレーション結果におけるリタデーションの変化量も大きく、(4)式等とリタデーションの変化量に相関があることがわかる。さらに、(7)式の算出例を図7に示す。図7に示すように、(7)式の上限値を超えたレンズ、すなわち、第3レンズG3、第6レンズG6、および第8レンズG8では、図5のシミュレーション結果におけるリタデーションの変化量も大きく、(7)式等とリタデーションの変化量に相関があることがわかる。
【0064】
したがって、(4)式〜(12)式をそれぞれ満足するように対物レンズ51を設計することで、従来の対物レンズで発生するリタデーションの変化を抑えることができる。なお、リタデーションは個々のレンズ同士で相殺する場合もあるが、各レンズにおけるリタデーションの変化量をそれぞれ小さくすることにより、レンズごとに温度差が生じた場合でも、トータルの(すなわち、対物レンズ51での)リタデーションの変化量を小さくすることができる。
【0065】
この結果、本実施形態によれば、温度変動によるリタデーション変化量が少ないレンズ系を実現することができる。したがって、環境温度の変化に伴う誤検出を防止することができ、高精度な検査が可能となる。
【0066】
なお、上述の実施形態において、環境温度の変化として1℃の変化を例に説明を行っているが、これに限られるものではなく、例えば、2℃の変化や3℃の変化であってもよい。
【0067】
また、上述の実施形態において、ウェハ5の表面を検査しているが、これに限られるものではなく、例えば、ガラス基板の表面を検査することも可能である。
【0068】
また、上述の実施形態において、表面検査装置1に取り付けられた対物レンズ51(対物レンズユニット50)を例に説明を行っているが、これに限られるものではなく、例えば偏光顕微鏡等、偏光を取り扱う光学機器に取り付けられる対物レンズにおいても適用可能である。
【0069】
また、上述の実施形態において、対物レンズ51が13枚のレンズG1〜G13から構成されているが、これに限られるものではなく、装置によって例えば10枚や15枚等でもよく、非晶質の材料を用いたレンズを含む複数のレンズから構成されていればよい。
【符号の説明】
【0070】
1 表面検査装置
5 ウェハ 6 繰り返しパターン
10 ステージ 20 照明部
30 検出部 45 データ処理部(検査部)
50 対物レンズユニット
51 対物レンズ 52 鏡筒部材
G1 第1レンズ G2 第2レンズ
G3 第3レンズ G4 第4レンズ
G5 第5レンズ G6 第6レンズ
G7 第7レンズ G8 第8レンズ
G9 第9レンズ G10 第10レンズ
G11 第11レンズ G12 第12レンズ
G13 第13レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶質の材料を用いたレンズを含む複数のレンズからなる対物レンズと、
前記対物レンズを保持する鏡筒部材とを備え、
前記鏡筒部材の材料の線膨張係数をα1とし、前記複数のレンズのうち前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の線膨張係数をα2とし、前記非晶質の材料を用いたレンズの外径をDとし、前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の光弾性定数をβとし、前記非晶質の材料を用いたレンズ内の開口数が最大となる光路長をLとしたとき、前記複数のレンズにおける全ての前記非晶質の材料を用いたレンズが次式
|(α1−α2)×D×β×L|<12000
の条件を満足することを特徴とする対物レンズユニット。
【請求項2】
非晶質の材料を用いたレンズを含む複数のレンズからなる対物レンズと、
前記対物レンズを保持する鏡筒部材とを備え、
前記鏡筒部材の材料の線膨張係数をα1とし、前記複数のレンズのうち前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の線膨張係数をα2とし、前記非晶質の材料を用いたレンズの外径をDとし、前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の直接応力光定数をc1とし、前記非晶質の材料を用いたレンズ内の開口数が最大となる光路長をLとしたとき、前記複数のレンズにおける全ての前記非晶質の材料を用いたレンズが次式
|(α1−α2)×D×c1×L|<12000
の条件を満足することを特徴とする対物レンズユニット。
【請求項3】
非晶質の材料を用いたレンズを含む複数のレンズからなる対物レンズと、
前記対物レンズを保持する鏡筒部材とを備え、
前記鏡筒部材の材料の線膨張係数をα1とし、前記複数のレンズのうち前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の線膨張係数をα2とし、前記非晶質の材料を用いたレンズの外径をDとし、前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の横応力光定数をc2とし、前記非晶質の材料を用いたレンズ内の開口数が最大となる光路長をLとしたとき、前記複数のレンズにおける全ての前記非晶質の材料を用いたレンズが次式
|(α1−α2)×D×c2×L|<12000
の条件を満足することを特徴とする対物レンズユニット。
【請求項4】
非晶質の材料を用いたレンズを含む複数のレンズからなる対物レンズと、
前記対物レンズを保持する鏡筒部材とを備え、
前記複数のレンズのうち前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の線膨張係数をα2とし、前記非晶質の材料を用いたレンズに接合したレンズの材料の線膨張係数をα3とし、前記非晶質の材料を用いたレンズの外径をDとし、前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の光弾性定数をβとし、前記非晶質の材料を用いたレンズ内の開口数が最大となる光路長をLとしたとき、前記複数のレンズにおける全ての前記非晶質の材料を用いたレンズが次式
|(α3−α2)×D×β×L|<12000
の条件を満足することを特徴とする対物レンズユニット。
【請求項5】
非晶質の材料を用いたレンズを含む複数のレンズからなる対物レンズと、
前記対物レンズを保持する鏡筒部材とを備え、
前記複数のレンズのうち前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の線膨張係数をα2とし、前記非晶質の材料を用いたレンズに接合したレンズの材料の線膨張係数をα3とし、前記非晶質の材料を用いたレンズの外径をDとし、前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の直接応力光定数をc1とし、前記非晶質の材料を用いたレンズ内の開口数が最大となる光路長をLとしたとき、前記複数のレンズにおける全ての前記非晶質の材料を用いたレンズが次式
|(α3−α2)×D×c1×L|<12000
の条件を満足することを特徴とする対物レンズユニット。
【請求項6】
非晶質の材料を用いたレンズを含む複数のレンズからなる対物レンズと、
前記対物レンズを保持する鏡筒部材とを備え、
前記複数のレンズのうち前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の線膨張係数をα2とし、前記非晶質の材料を用いたレンズに接合したレンズの材料の線膨張係数をα3とし、前記非晶質の材料を用いたレンズの外径をDとし、前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の横応力光定数をc2とし、前記非晶質の材料を用いたレンズ内の開口数が最大となる光路長をLとしたとき、前記複数のレンズにおける全ての前記非晶質の材料を用いたレンズが次式
|(α3−α2)×D×c2×L|<12000
の条件を満足することを特徴とする対物レンズユニット。
【請求項7】
非晶質の材料を用いたレンズを含む複数のレンズからなる対物レンズと、
前記対物レンズを保持する鏡筒部材とを備え、
前記鏡筒部材の材料の線膨張係数をα1とし、前記複数のレンズのうち前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の線膨張係数をα2とし、前記非晶質の材料を用いたレンズに接合したレンズの材料の線膨張係数をα3とし、前記非晶質の材料を用いたレンズの外径をDとし、前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の光弾性定数をβとし、前記非晶質の材料を用いたレンズ内の開口数が最大となる光路長をLとしたとき、前記複数のレンズにおける全ての前記非晶質の材料を用いたレンズが次式
(|α1−α2|+|α3−α2|)×D×|β|×L<20000
の条件を満足することを特徴とする対物レンズユニット。
【請求項8】
非晶質の材料を用いたレンズを含む複数のレンズからなる対物レンズと、
前記対物レンズを保持する鏡筒部材とを備え、
前記鏡筒部材の材料の線膨張係数をα1とし、前記複数のレンズのうち前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の線膨張係数をα2とし、前記非晶質の材料を用いたレンズに接合したレンズの材料の線膨張係数をα3とし、前記非晶質の材料を用いたレンズの外径をDとし、前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の直接応力光定数をc1とし、前記非晶質の材料を用いたレンズ内の開口数が最大となる光路長をLとしたとき、前記複数のレンズにおける全ての前記非晶質の材料を用いたレンズが次式
(|α1−α2|+|α3−α2|)×D×|c1|×L<20000
の条件を満足することを特徴とする対物レンズユニット。
【請求項9】
非晶質の材料を用いたレンズを含む複数のレンズからなる対物レンズと、
前記対物レンズを保持する鏡筒部材とを備え、
前記鏡筒部材の材料の線膨張係数をα1とし、前記複数のレンズのうち前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の線膨張係数をα2とし、前記非晶質の材料を用いたレンズに接合したレンズの材料の線膨張係数をα3とし、前記非晶質の材料を用いたレンズの外径をDとし、前記非晶質の材料を用いたレンズの材料の横応力光定数をc2とし、前記非晶質の材料を用いたレンズ内の開口数が最大となる光路長をLとしたとき、前記複数のレンズにおける全ての前記非晶質の材料を用いたレンズが次式
(|α1−α2|+|α3−α2|)×D×|c2|×L<20000
の条件を満足することを特徴とする対物レンズユニット。
【請求項10】
表面に所定の繰り返しパターンが形成された基板を支持するステージと、
対物レンズおよび前記対物レンズを前記ステージと対向するように保持する鏡筒部材を有した対物レンズユニットと、
前記ステージに支持された前記基板の表面に、落射照明により前記対物レンズを介して直線偏光を照射する照明部と、
前記照明光が照射された前記基板の表面からの反射光を、前記対物レンズを介して受光し、前記対物レンズの瞳面もしくは瞳面と共役な面において、前記対物レンズに受光された前記反射光のうち前記直線偏光の偏光方向と略垂直な偏光成分を検出する検出部と、
前記検出部に検出された前記偏光成分の情報に基づいて、前記繰り返しパターンにおける欠陥の有無を検査する検査部とを備え、
前記対物レンズユニットが請求項1から9のいずれか一項に記載の対物レンズユニットであることを特徴とする表面検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−123397(P2011−123397A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282560(P2009−282560)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】