説明

対象物検出システム、作動装置制御システム、車両、対象物検出方法

【課題】 単一視点のカメラを用いて乗員席上の対象物に関する情報を検出する対象物検出システムにつき、当該カメラの合理的な視野設定を行うのに有効な技術を提供する。
【解決手段】 車両に搭載される対象物検出システム100では、カメラ112の視野内に助手席上の対象物全体が入る一方、運転席上の対象物については、その一部がカメラ112の視野内に入るように視野設定する構成とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される乗員情報検出システムに係り、詳しくは車両乗員席上の対象物に関する情報を検出する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラ等の撮像手段を用いて、車両乗員席上の着座物に関する情報を検出する種々の技術が知られている。例えば、下記特許文献1には、車両乗員の前方に設置した単一のカメラを用い、当該車両乗員の位置を検出しようとする乗員検知装置の構成が開示されている。
【特許文献1】特開2003−294855号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記特許文献1に記載の乗員検知装置のように、カメラを用いて車両乗員に関する情報を検出する場合には、カメラの視野角が広がるほどにレンズの明るさが低下し、且つ中央部に比べ周辺部に歪みが生じることが知られている。従って、一台のカメラを用いて一度に多くの車両乗員を検出しようとすると、レンズの特性上の画像の暗さや歪みが原因となって車両乗員に関する情報の検出精度が低下し、このような場合には高価なカメラが必要とされる。かといって、検出精度向上を図るべく視野角の狭いカメラを用いると、今度は検出可能な車両乗員の数が限られてしまい、所望の数の車両乗員に関する情報を検出するのが難しいという問題がある。具体的には、視野角が限られた一台のカメラで助手席を検出することが可能であるものの、当該カメラで運転席と助手席の両方の席を一度に検出することは難しい場合があり、このような場合には複数のカメラが必要とされる。そこで、この種の検出システムの設計に際しては、低コスト化を図るべくカメラの視野角を抑えるとともに、対象物に関する所望の情報を精度良く検出するのに有効な視野設定を行う技術が求められている。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、単一視点のカメラを用いて車両乗員席上の対象物に関する情報を検出する対象物検出システムにつき、当該カメラの合理的な視野設定を行うのに有効な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するために、本発明が構成される。本発明は、典型的には自動車において、車両乗員席上の対象物に関する情報を検出する対象物検出システムに適用されるが、自動車以外の車両、例えば航空機、船舶、電車、バス等に関する対象物検出システムの構築技術に対しても同様に、本発明を適用することが可能である。
【0005】
(本発明の第1発明)
前記課題を解決する本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりの対象物検出システムである。
請求項1に記載のこの対象物検出システムは、車両乗員席上の対象物に関する情報を検知するシステムであって、特にカメラ及び処理手段を少なくとも備える。ここでいう「対象物」には、車両乗員、車両乗員以外の載置物、チャイルドシートやジュニアシートなどが包含される。また、本発明において「対象物に関する情報」には、対象物の有無、大きさ、位置、姿勢などが広く包含される。対象物が車両乗員である場合には、車両乗員の有無、車両乗員の大きさ(体格クラス)、車両乗員の位置、車両乗員の各身体部位の位置や形状、車両乗員の姿勢などが、対象物に関する情報として挙げられる。
【0006】
本発明のカメラは、車室内にて車両後方へと向かう単一視点に関する画像を得る手段(撮像手段ないし撮影手段)として構成される。このカメラの視点に関しては、前席よりも前方位置から車両後方へと向かう場合や、前席よりも後方位置から車両後方へと向かう場合が想定される。ここでいう「単一視点」とは、カメラの設置箇所が単一、すなわち一台のカメラが一箇所に設定されている態様をあらわすものである。従って、単一視点に関する画像を得るこのカメラとしては、単眼C−MOS3Dカメラや複眼ステレオ3Dカメラ、更には2Dカメラを用いることができる。本発明では、この単一視点に関する画像を得るカメラによって、車両乗員席上の対象物の画像が得られることとなる。このとき、対象物の立体画像によって、当該対象物の有無、大きさ、位置、姿勢などを認識する場合には、単眼C−MOS3Dカメラや複眼ステレオ3Dカメラを用いることができ、当該対象物の有無や外形(外郭)のみを検出すれば足りる場合には、2Dカメラを用いることができる。
【0007】
本発明の処理手段は、カメラにより得られた画像に基づいて、車両乗員席上の対象物に関する情報を導出する処理を行う手段として構成される。この処理手段によって、車両乗員席上の対象物に関する情報が導出されることとなる。本発明では、この処理手段が、品質の良い画像を得るためのカメラの制御や、撮影した画像を加工分析するための画像処理制御を行う画像処理機能や、演算制御ソフトウエア、補正用のデータや前処理用のバッファーフレームメモリー、認識演算のための定義データや基準パターンを記録(記憶)する記憶機能等を備える。
【0008】
特に本発明では、上記カメラの構成に関し、当該カメラの視野は、単一視点から運転席の乗員の助手席側肩部の領域を通って車両後方へと延在する第1の視線と、当該単一視点から助手席の乗員のドア側肩部の領域を通って車両後方へと延在する第2の視線とによって区画される領域を含む構成とされる。この場合、カメラの視野は、第1の視線と第2の視線とによって区画される領域を含んでいればよく、当該領域と合致するような設定や、当該領域を含んだ上で当該領域よりも広い設定とされ得る。このような視野において、助手席上の対象物の一例である助手席乗員は視野範囲に存在する。また、このような視野において、運転席上の対象物の一例である運転席乗員の助手席側肩部が視野内に存在する。すなわち、本発明では、カメラの視野内に助手席上の対象物全体が入る一方、運転席上の対象物については、その一部がカメラの視野内に入る構成とされる。
【0009】
なお、「運転席の乗員の助手席側肩部」とは、運転席の各部位のうち、着座した乗員の中心から助手席側(車内側)の肩部分が位置する領域として規定される。従って、運転席が右側の場合(右ハンドル車の場合)には、運転席の各部位のうち、着座した乗員の左肩部分が位置する領域が、ここでいう「運転席の乗員の助手席側肩部」に相当する。これに対し、運転席が左側の場合(左ハンドル車の場合)には、運転席の各部位のうち、着座した乗員の右肩部分が位置する領域が、ここでいう「運転席の乗員の助手席側肩部」に相当する。当該領域は、運転席の各部位のうち、車内側端部に概ね合致する。
また、「助手席の乗員のドア側肩部」とは、助手席の各部位のうち、着座した乗員の中心からドア側(車外側)の肩部分が位置する領域として規定される。従って、運転席が右側の場合(右ハンドル車の場合)には、助手席の各部位のうち、着座した乗員の左肩部分が位置する領域が、ここでいう「助手席の乗員のドア側肩部」に相当する。これに対し、運転席が左側の場合(左ハンドル車の場合)には、助手席の各部位のうち、着座した乗員の右肩部分が位置する領域が、ここでいう「助手席のドア席側乗員肩部」に相当する。当該領域は、助手席の各部位のうち、ドア側端部に概ね合致する。
また、本発明において「肩部」ないし「肩部分」とは、乗員の首のつけ根から肩までの範囲として規定される。
【0010】
ところで、カメラを用いて対象物に関する情報を検出する場合には、カメラの視野角が広がるほどにレンズの明るさが低下し、且つ中央部に比べ周辺部に歪みが生じることが知られている。従って、一台のカメラを用いて一度に多くの対象物を検出しようとすると、レンズの特性上の画像の暗さや歪みが原因となって検出精度が低下し、このような場合には高価なカメラが必要とされる。かといって、検出精度を向上させるべく視野角の狭いカメラを用いると、今度は検出可能な対象物の数が限られてしまい、所望の数の対象物を検出するのが難しい。そこで、本発明では、カメラの視野内に助手席上の対象物全体が入る一方、運転席上の対象物については、その一部がカメラの視野内に入るように視野設定している。すなわち、本発明では、カメラ全体の視野角を極力抑えるとともに、限られたこの視野を、運転席上の対象物よりも助手席上の対象物に多く振分けるように設定している。
【0011】
このような視野設定によれば、カメラの視野角を抑えることで、低コスト化を図るとともに対象物の検出精度を向上させることができ、しかも限られた視野を助手席上の対象物に多く振分けることによって、運転席上の対象物よりも助手席上の対象物に関する情報を多く取得することが可能となる。これは、対象物を車両乗員で考えた場合、運転席に着座する乗員は基本的に成人であるのに対し、助手席に着座する乗員は子供から大人から多岐にわたるため、運転席側よりも助手席側の方の検出情報を増やすのが合理的であると考えに基づいている。
従って、請求項1に記載の対象物検出システムのこのような構成によれば、カメラの視野角を抑えることで、低コスト化を図るとともに対象物の検出精度を向上させることができ、しかも限られた視野を有効活用することによって対象物に関する所望の情報を得ることができる、カメラの合理的な視野設定を行うことが可能となる。
【0012】
なお、本発明の対象物検出システムによって検出された、対象物に関する情報は、車両乗員を拘束するべく作動する乗員拘束手段、例えばエアバッグ装置、シートベルト装置や、警報デバイス(表示出力、音声出力など)などに関する制御において好適に用いられる。また、本発明は、「単一視点」に関し、車両乗員席上の単一視点設定を行う単一のカメラを用いる構成を少なくとも有していれば足り、その他の目的で使用される別のカメラや視点についての設置を妨げるものではない。
【0013】
(本発明の第2発明)
前記課題を解決する本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりの対象物検出システムである。
請求項2に記載のこの対象物検出システムでは、請求項1に記載のカメラの視野中心を通る視線が、助手席の乗員の運転席側肩部の領域に概ね合致する構成とされる。ここで、カメラの視野中心領域は、レンズの特性上、画像の暗さや歪みが発生しにくい領域である。また、「助手席の乗員の運転席側肩部」とは、助手席の各部位のうち、着座した乗員の中心から運転席側(車内側)の肩部分が位置する領域として規定される。従って、右ハンドル車の場合には、助手席の各部位のうち、着座した乗員の右肩部分の位置する領域が、ここでいう「助手席の乗員の運転席側肩部」に相当する。これに対し、左ハンドル車の場合には、助手席の各部位のうち、着座した乗員の左肩部分の位置する領域が、ここでいう「助手席の乗員の運転席側肩部」に相当する。当該領域は、助手席の各部位のうち、車内側端部に概ね合致する。
【0014】
対象物を助手席乗員で考えた場合、助手席のこの乗員の運転席側肩部の領域が、カメラの視野中心を通る視線に概ね合致する構成は、当該助手席乗員の半身がカメラの視野中心領域にある構成とほぼ一致するものであり、これによって当該助手席乗員に関する情報の検出精度を高めることができる。これは、人体の立体的な形状は左右がほぼ対称であるため、少なくとも車両乗員の半身の画像を精度良く検出すれば、当該車両乗員の全体についても同様に検出精度の高い情報が得られるという考えに基づいている。
従って、請求項2に記載の対象物検出システムのこのような構成によれば、対象物に関する所望の情報を更に精度良く検出することが可能となる。
【0015】
(本発明の第3発明)
前記課題を解決する本発明の第3発明は、請求項3に記載されたとおりの対象物検出システムである。
請求項3に記載のこの対象物検出システムでは、請求項1または請求項2に記載のカメラの視野は、平面視に関する視野角が概ね110度を下回るように設定される。
請求項3に記載の対象物検出システムのこのような構成によれば、カメラの視野角を概ね110度を下回るような設定とすることによって、平均的な大きさや明るさの安価なレンズを使用することができ、システムのコスト低減を図ることが可能となる。
【0016】
(本発明の第4発明)
前記課題を解決する本発明の第4発明は、請求項4に記載されたとおりの対象物検出システムである。
請求項4に記載のこの対象物検出システムでは、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の処理手段は、第1の視線及び第2の視線によって区画される視野を有するカメラにより得られた画像に基づいて、運転席上の対象物及び助手席上の対象物の各々半分ずつを検出し、これによって当該対象物の有無、大きさ、位置、姿勢のうちの少なくとも1つを判別する構成とされる。典型的には、対象物の有無を判別した上で、対象物が有ると判別した場合に、更に対象物の大きさ、位置、姿勢のうちの少なくとも1つを判別することができる。
請求項4に記載の対象物検出システムのこのような構成によれば、運転席上の対象物及び助手席上の対象物の各々半分ずつを検出することによって当該対象物の有無、大きさ、位置、姿勢のうちの少なくとも1つを判別することが可能となるため合理的である。
【0017】
(本発明の第5発明)
前記課題を解決する本発明の第5発明は、請求項5に記載されたとおりの対象物検出システムである。
請求項5に記載のこの対象物検出システムは、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の構成において、乗員席上の対象物は、少なくともカメラから当該対象物の表面までの距離または当該対象物の立体形状で認識される。
請求項5に記載の対象物検出システムのこのような構成によれば、乗員席上の対象物を、少なくともカメラから当該対象物の表面までの距離または当該対象物の立体形状で認識することが可能となる。
【0018】
(本発明の第6発明)
前記課題を解決する本発明の第6発明は、請求項6に記載されたとおりの作動装置制御システムである。
請求項6に記載のこの作動装置制御システムは、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の対象物検出システム、作動装置、駆動制御手段を少なくとも備える。本発明の作動装置は、対象物検出システムの処理手段にて導出された情報に基づいて作動する装置であり、当該作動装置には、警報出力を行う警報装置、エアバッグやシートベルトにより乗員を拘束するべく作動する乗員拘束装置、或いは乗員の姿勢に合わせて調節される装置(例えば、シートのヘッドレストの高さを調節するもの)などが包含される。本発明の駆動制御手段は、作動装置を駆動制御する手段として構成される。
このような構成によれば、対象物検出システムの処理手段による対象物の検出結果に応じた適正な態様で作動装置を駆動制御することで、作動装置のきめ細かい制御が可能となる。
【0019】
(本発明の第7発明)
前記課題を解決する本発明の第7発明は、請求項7に記載されたとおりの車両である。
請求項7に記載のこの車両は、エンジン走行系統、電装系統、駆動制御装置、対象物検出手段を少なくとも備える。エンジン走行系統は、エンジン及び車両の走行に関与する系統として構成される。電装系統は、車両に使われる電機部品に関与する系統として構成される。駆動制御装置は、エンジン走行系統及び電装系統の駆動制御を行う機能を有する装置として構成される。対象物検出手段は、車両乗員席上の対象物に関する情報を検出する手段として構成される。本発明では、この対象物検出手段が、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の対象物検出システムを用いて構成される。
このような構成によれば、カメラの合理的な視野設定を行うことが可能な対象物検出システムを搭載する車両が提供されることとなる。
【0020】
(本発明の第8発明)
前記課題を解決する本発明の第8発明は、請求項8に記載されたとおりの対象物検出方法である。
請求項8に記載のこの対象物検出方法は、車室内にて車両後方へと向かう単一視点に関する画像を得るカメラを用い、車両乗員席上の対象物に関する情報を検出する方法とされる。この対象物検出方法では、特にカメラの設定に関し、単一視点から運転席の乗員の助手席側肩部を通って車両後方へと延在する第1の視線と、当該単一視点から助手席の乗員のドア側肩部を通って車両後方へと延在する第2の視線とによって区画される領域を含む視野を設定し、これによって運転席上の対象物よりも助手席上の対象物に対し視野を多く振分ける。この方法に際しては、請求項1に記載の対象物検出システムの構成要素であるカメラと同様のカメラを用いることができる。
従って、請求項8に記載の対象物検出方法によれば、カメラの視野角を抑えることで、低コスト化を図るとともに対象物の検出精度を向上させることができ、しかも限られた視野を有効活用することによって対象物に関する所望の情報を得ることが可能となる。
【0021】
(本発明の第9発明)
前記課題を解決する本発明の第9発明は、請求項9に記載されたとおりの対象物検出方法である。
請求項9に記載のこの対象物検出方法では、請求項8に記載のカメラの設定に関し、当該カメラの視野中心を通る視線が、助手席の乗員の運転席側肩部の領域に概ね合致する設定とする。この方法に際しては、請求項2に記載の対象物検出システムの構成要素であるカメラと同様のカメラを用いることができる。
従って、請求項9に記載の対象物検出方法によれば、対象物に関する所望の情報を更に精度良く検出することが可能となる。
【0022】
(本発明の第10発明)
前記課題を解決する本発明の第10発明は、請求項10に記載されたとおりの対象物検出方法である。
請求項10に記載のこの対象物検出方法では、請求項8または請求項9に記載のカメラの設定に関し、視野の平面視に関する視野角を概ね110度を下回る設定とする。この方法に際しては、請求項3に記載の対象物検出システムの構成要素であるカメラと同様のカメラを用いることができる。
従って、請求項10に記載の対象物検出方法によれば、カメラの視野角を概ね110度を下回るような設定とすることによって、平均的な大きさや明るさの安価なレンズを使用することができ、システムのコスト低減を図ることが可能となる。
【0023】
(本発明の第11発明)
前記課題を解決する本発明の第11発明は、請求項11に記載されたとおりの対象物検出方法である。
請求項11に記載のこの対象物検出方法は、請求項8〜請求項10のいずれかに記載の方法において、第1の視線及び第2の視線によって区画される視野を有するカメラにより得られた画像に基づいて、運転席上の対象物及び助手席上の対象物の各々半分ずつを検出し、これによって当該対象物の有無、大きさ、位置、姿勢のうちの少なくとも1つを判別する方法とされる。
従って、請求項11に記載の対象物検出方法を用いれば、運転席上の対象物及び助手席上の対象物の各々半分ずつを検出することによって当該対象物の有無、大きさ、位置、姿勢のうちの少なくとも1つを判別することが可能となるため合理的である。
【0024】
(本発明の第12発明)
前記課題を解決する本発明の第12発明は、請求項12に記載されたとおりの対象物検出方法である。
請求項12に記載のこの対象物検出方法は、請求項8〜請求項11のいずれかに記載の方法において、乗員席上の対象物を、少なくともカメラから当該対象物の表面までの距離または当該対象物の立体形状で認識する方法とされる。
従って、請求項12に記載の対象物検出方法を用いれば、乗員席上の対象物を、少なくともカメラから当該対象物の表面までの距離または当該対象物の立体形状で認識することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、単一視点のカメラを用いて車両乗員席上の対象物に関する情報を検出する対象物検出システムにつき、特にカメラの視野内に助手席上の対象物全体が入る一方、運転席上の対象物については、その一部がカメラの視野内に入るように視野設定することによって、当該カメラの合理的な視野設定を行うことが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。まず、図1〜図3を参照しながら、本発明における「対象物検出システム(対象物検出手段)」の一実施の形態である対象物検出システム100につき説明する。
【0027】
本実施の形態に係る車両搭載用の対象物検出システム100の構成が図1に示される。
図1に示すように、本実施の形態の対象物検出システム100は、本発明における「車両」としての自動車車両にて、車両乗員をはじめ車内の対象物に関する情報を検出するために搭載されるものであり、撮影手段110及び制御手段120を主体に構成されている。更に、この対象物検出システム100は、車両側の駆動制御装置であるECU200及び乗員拘束手段210とともに、車両事故発生の際に車両乗員の拘束を図る乗員拘束装置(本発明における「作動装置制御システム」に対応)を構成する。当該車両は、特に図示しないものの、エンジン及び車両の走行に関与する系統であるエンジン走行系統、車両に使われる電機部品に関与する系統である電装系統、エンジン走行系統及び電装系統の駆動制御を行う駆動制御装置(ECU200)を備える。
【0028】
本実施の形態の撮影手段110は、撮影デバイスとしてのカメラ112及びデータ転送回路を含む構成とされる。カメラ112は、C−MOS又はCCD(電荷結合素子)を用いたうえで、光センサをアレイ状(格子状)に配置した3D(3次元画像)式のカメラ(「モニター」といもいう)として構成される。このカメラ112によって、対象物までの距離が複数回計測されて立体表面形状が検出され、当該対象物の有無、大きさ、位置、姿勢などの認識に用いられる。すなわち、対象物の認識に、少なくともカメラ112から対象物表面までの距離情報、ないしカメラ112によって検出された対象物の立体情報を用いることができる。このカメラ112として、単眼C−MOS3Dカメラや複眼ステレオ3Dカメラを用いることができる。対象物の有無や外形(外郭)のみを検出する場合には、3Dカメラにかえて2Dカメラを用いることもできる。
【0029】
なお、本実施の形態のカメラ112は、自動車のインナーリヤビューミラー周辺部、サイドミラー周辺部、ダッシュボードの左右センター部分などに適宜埋め込み状に設置されるとともに、1または複数の車両乗員席の向きに取り付けられる。このカメラ112を用いて、運転席、助手席、後席などの車両乗員席上の対象物に関する情報が、周期的に複数回、計測されることとなる。また、特に図示しないものの、本実施の形態の対象物検出システム100には、車両バッテリの電力をこのカメラ112に供給する電源装置が搭載されている。このカメラ112によるこの撮影は、例えばイグニッションキーがON状態になったとき、あるいは運転席内に装着された着座センサ(図示省略)が、当該運転席に着座した車両乗員を検知したときに開始されるように設定される。
【0030】
本実施の形態の制御手段120は、更に画像処理手段130、演算手段(MPU)150、記憶手段170、入出力手段190、また特に図示しないものの周辺装置等を少なくとも備える。この制御手段120は、カメラ112により得られた画像に基づいて、車両乗員席上の対象物に関する情報を導出する処理を行う手段であり、本発明における「処理手段」を構成している。
【0031】
画像処理手段130は、品質の良い画像を得るためのカメラ制御や、カメラ112によって撮影した画像を加工分析するための画像処理制御を行う手段として構成される。具体的には、カメラ制御においては、フレームシート、シャッター時間、感度調整、精度補正が行われ、ダイナミックレンジや輝度、ホワイトバランスなどが調整される。また、画像処理制御においては、画像の回転補正やレンズ歪み補正、フィルター演算、差分演算などの画像前処理演算と、形状判定やトラッキングなどの画像認識処理演算が実行される。
【0032】
本実施の形態の演算手段150は、対象物情報抽出部152を少なくとも備える。この対象物情報抽出部152は、画像処理手段130からの情報に基づいて、対象物に関する情報を抽出する処理を行う。具体的には、対象物の有無、大きさ、位置、姿勢などに関する情報、車両乗員に関しては、乗員の有無、乗員の大きさ(体格クラス)、頭、肩乃至上体の位置、アウトオブポジション(OOP)等が抽出(導出)される。
【0033】
本実施の形態の記憶手段170は、演算制御ソフトウエアに加えて、補正用のデータや前処理用のバッファーフレームメモリー、認識演算のための定義データや基準パターン、演算手段150の処理結果などを記録(記憶)する手段として構成される。
【0034】
本実施の形態の入出力手段190は、車両全体に関する制御を行うECU200との間で、車両に関する情報、周辺の交通状況に関する情報、天候や時間帯に関する情報などが入力され認識結果を出力する。車両に関する情報の例としては、車両ドアの開閉、シートベルトの装脱着、ブレーキの作動、車速、ステアリング操舵角度などがある。本実施の形態では、この入出力手段190から出力された情報に基づいて、ECU200が作動装置である乗員拘束手段210に対し駆動制御信号を出力する構成とされる。この乗員拘束手段210としては、エアバッグやシートベルトにより乗員を拘束するべく作動する装置などがあげられる。この乗員拘束手段210が、本発明における「作動装置」に相当し、この乗員拘束手段210を駆動制御するECU200が、本発明における「駆動制御手段」に相当する。また、この乗員拘束手段210に加えて、警報出力(表示出力、音声出力など)を行う警報装置や、乗員の姿勢に合わせて調節される装置(例えば、シートのヘッドレストの高さを調節するもの)などの駆動を、ECU200によって制御する構成を採用することもできる。
【0035】
ここで、上記構成のカメラ112の視野設定に関し、図2及び図3を参照しながら具体的に説明する。本実施の形態のカメラ112の視野114を平面視にて示すのが図2であり、図2中のa−a線矢視図が図3に示される。なお、これら図2及び図3では、運転席が右側の場合(右ハンドル車の場合)について示している。
【0036】
図2及び図3に示すように、本実施の形態のカメラ112は、前席よりも前方位置から車両後方へと向かう単一視点に関する画像を得るカメラであり、本発明における「車室内にて車両後方へと向かう単一視点に関する画像を得るカメラ」に相当する。このカメラ112の視野114は、単一視点から運転席S1の乗員左肩部領域(図2中の乗員左肩部領域A)を通って車両後方へと延在する視線(図2中の第1の視線L1)と、当該単一視点から助手席S2の乗員左肩部領域(図2中の乗員左肩部領域B)を通って車両後方へと延在する視線(図2中の第2の視線L2)とによって区画される領域を含む設定とされる。この場合、カメラ112の視野は、第1の視線L1と第2の視線L2とによって区画される領域を含んでいればよく、当該領域と合致するような設定や、当該領域を含んだ上で当該領域よりも広い設定とされ得る。また、このカメラ112の視点に関しては、前席よりも前方位置から車両後方へと向かう場合や、例えば車両乗員が前席を車両前方へスライドさせた際に、前席よりも後方位置から車両後方へと向かう場合が想定される。
【0037】
運転席S1の乗員左肩部領域Aは、運転席S1に乗員が着座したときに当該乗員の肩部分が位置する領域として規定される。当該領域は、運転席S1の各部位のうち、車内側端部に概ね合致する。同様に、助手席S2の乗員左肩部領域Bは、助手席S2に乗員が着座したときに当該乗員の肩部分が位置する領域として規定される。当該領域は、助手席S2の各部位のうち、ドア側端部に概ね合致する。この運転席S1の乗員左肩部領域Aは、着座した乗員C1の中心から助手席側(車内側)の肩部分が位置する領域であり、この乗員左肩部領域Aが本発明における「運転席の乗員の助手席側肩部の領域」に相当する。また、助手席S2の乗員左肩部領域Bは、着座した乗員C2の中心からドア側(車外側)の肩部分が位置する領域であり、この乗員左肩部領域Bが本発明における「助手席の乗員のドア側肩部の領域」に相当する。
なお、運転席が左側の場合(左ハンドル車の場合)には、カメラ112の視野114は、単一視点から運転席S1の乗員右肩部領域を通って車両後方へと延在する第1の視線L1と、当該単一視点から助手席S2の乗員右肩部領域を通って車両後方へと延在する第2の視線L2とによって区画される設定とされる。
【0038】
また、本実施の形態では、この視野114の平面視に関する視野角θが、概ね110度を下回るように設定される。カメラ112の視野角θをこのような設定にすることによって、平均的な大きさや明るさの安価なレンズを使用することができ、システムのコスト低減を図ることが可能となる。カメラ112の照明として赤外線照明を用いる場合には、視野角θを抑えることによって照射範囲が狭くなり、これにより照射光量及び消費電力の低減効果が高まることとなる。
【0039】
ここで、カメラ112のこのような視野114の設定は、システムのコスト低減を図るべく視野角θを抑えたうえで、この限られた視野を有効利用しようとする技術思想に基づくものである。本実施の形態では、運転席に着座する乗員は基本的に成人であるのに対し、助手席に着座する乗員は子供から大人から多岐にわたるため、運転席側よりも助手席側の方の検出情報を増やすのが合理的であると考え、運転席側よりも助手席側の視野の振分け割合が多くなるように設定している。
【0040】
具体的には、カメラ112の視野114に関し、助手席S2上の乗員C2は視野範囲となる。しかも、カメラ112の視野中心を通る視線(図2中の視線L3)が、助手席S2の乗員右肩部領域(図2中の乗員右肩部領域C)に概ね合致する構成とされ、乗員C2の右半身はカメラ112の視野中心領域に存在することとなる。この視野中心領域は、レンズの特性上、画像の暗さや歪みが発生しにくい領域とされる。また、助手席S2の乗員右肩部領域Cは、助手席S2に乗員が着座したときに当該乗員の肩部分が位置する領域として規定される。当該領域は、助手席S2の各部位のうち、車内側端部に概ね合致する。この助手席S2の乗員右肩部領域Cは、着座した乗員C2の中心から運転席側(車内側)の肩部分が位置する領域であり、この乗員右肩部領域Cが、本発明における「助手席の乗員の運転席側肩部の領域」に相当する。
【0041】
従って、乗員C2に関しては、乗員C2の上体の全体が視野範囲に含まれるため、乗員C2に関する情報(乗員の有無、乗員の大きさ(体格クラス)、頭、肩乃至上体の位置、姿勢等)を検出することができる。しかも、乗員C2の右半身がカメラ112の視野中心領域にあることから、乗員C2に関する情報の検出精度を高めることができる。これは、人体の立体的な形状は左右がほぼ対称であるため、少なくとも乗員の半身の画像を精度良く検出すれば、当該乗員の全体についても同様に検出精度の高い情報が得られるという考えに基づくものである。その上、本実施の形態の視野設定によれば、乗員C2についてはシート座面に対して前に移動しても視野に含まれるので、確実に乗員C2を検出することができる。この場合、乗員C2に関する各種の情報のうちの少なくとも1つの情報を検出(判別)することができ、典型的には乗員C2の有無を判別した上で、当該乗員が有ると判別した場合に、更に当該乗員に関する他の情報のうちの少なくとも1つを判別することができる。
【0042】
また、カメラ112の視野114に関し、運転席S1上の乗員C1の左肩部が視野114内に存在することとなる。これにより、乗員C1に関しては、当該乗員C1が成人であるという前提に基づき、当該乗員C1の上体の全体を検出することなく左肩部の位置のみを検出することで、ステアリングホイール(ハンドル)に対する乗員C1の上体の前後位置を検出することができる。このような構成により、運転席S1の前後位置を検出するシートスライドセンサ等、既存のセンサの機能をこのカメラ112によって置き換えることができる。そのうえ、シートスライドセンサとの併用によって、上体に加えて腰の位置も検出することができ、これによって利用価値の高い乗員情報を取得することが可能となる。また、検出した肩と腰の位置から座高を求めることができるので、乗員の体格も検出することが可能となる。
【0043】
また、運転席S1上の乗員C1は、アクセルやブレーキの位置にあわせて運転席S1の前後位置を調節する場合が多く、体格が相対的に大きい人は運転席S1の前後位置を後方へと調節する一方、体格が相対的に小さい人は運転席S1の前後位置を前方へと調節する。したがって乗員C1の上体の前後位置を検出することによって、乗員の大きさ(体格クラス)を間接的に検出することが可能となる。
【0044】
更に、カメラ112の視野114に関し、当該視野114には後席S3が存在し、且つ後席S3にカメラ112の視野中心領域(レンズの特性上、画像の暗さや歪みが発生しにくい領域)近傍が及ぶこととなる。従って、後席S3に向かう照明強度を必要以上に上げることなく精度良く乗員C3に関する情報、例えば乗員C3の有無、大きさ(体格クラス)、位置、姿勢、乗員C3が大人か子供か等を検出することができる。この場合、乗員C3に関する各種の情報のうちの少なくとも1つの情報を検出(判別)することができ、典型的には乗員C3の有無を判別した上で、当該乗員C3が有ると判別した場合に、更に当該乗C3員に関する他の情報のうちの少なくとも1つを判別することができる。
【0045】
そして、上記構成の対象物検出システム100によって検出された情報は、連続的或いは一定時間毎に図1中のECU200に伝送され、このECU200によって乗員拘束手段210が駆動制御される。例えば、エアバッグ装置やシートベルト装置からなる乗員拘束手段210による拘束能力(乗員拘束態様)が、乗員の有無、体格、位置、姿勢などに応じて変わるように制御される。具体的には、助手席S2上の乗員C2に関する情報として、当該乗員C2の大きさや位置の情報に基づいて体格クラスを推定し、推定した体格クラスに応じてエアバッグやシートベルトのエネルギー吸収能力を可変としたり、エアバッグ展開速度を可変としたりすることで、拘束能力(乗員拘束態様)を変える制御を行う。また、運転席S1上の乗員C1に関する情報として、当該乗員C1の位置の情報に基づいて体格クラスを推定し、推定した体格クラスに応じてエアバッグやシートベルトのエネルギー吸収能力を可変としたり、エアバッグ展開速度を可変としたりすることで、拘束能力(乗員拘束態様)を変える制御を行う。
【0046】
なお、本実施の形態によれば、車両乗員席上における乗員の有無を検出することで、乗員がいる場合にのみ乗員拘束手段210を作動させる制御が可能となるため、乗員拘束手段210の不要な作動を抑止することができる。また、前席(運転席S1及び助手席S2)や、後席S3における乗員の有無を検出した場合には、警報出力(表示出力、音声出力など)を行う警報装置を用いて、シートベルトを装着していない乗員に対し着用を促す制御を行うこともできる。
【0047】
以上のように、本実施の形態の対象物検出システム100を用いれば、カメラ112の視野角を抑えることで、低コスト化を図るとともに車両乗員の検出精度を向上させることができ、しかも限られた視野を助手席C2上の乗員C2に多く振分けることによって、運転席C1上の乗員C1よりも助手席C2上の乗員C2に関する情報を多く取得することができる、カメラ112の合理的な視野設定を行うことが可能となる。
また、本実施の形態の対象物検出システム100を用いれば、カメラ112の視野中心を通る視線L3が、助手席S2の乗員右肩部領域C3に概ね合致する構成を用いることによって、乗員C2の右半身がカメラ112の視野中心領域に位置することとなり、これによって当該乗員C2に関する所望の情報を更に精度良く検出することが可能となる。
また、本実施の形態の対象物検出システム100を用いれば、カメラ112の視野角を概ね110度を下回るような設定とすることによって、平均的な大きさや明るさの安価なレンズを使用することができ、システムのコスト低減を図ることが可能となる。
また、本実施の形態の対象物検出システム100を用いれば、当該対象物検出システムの検出結果に応じた適正な態様で乗員拘束手段210を駆動制御することで、乗員拘束手段210のきめ細かい制御が可能となる。
また、本実施の形態によれば、カメラ112の合理的な視野設定を行うことが可能な対象物検出システム100を搭載する車両10が提供される。
【0048】
(他の実施の形態)
なお、本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0049】
本発明では、カメラ112を介して検出される対象物には、車両乗員のほか、車両乗員以外の載置物、チャイルドシートやジュニアシートなどが包含される。この場合、対象物に関する情報としては、対象物の有無、大きさ、位置、姿勢などがある。
【0050】
また、上記実施の形態では、自動車に装着される対象物検出システムの構成について記載したが、自動車をはじめ、航空機、船舶、電車、バス、トラック等の各種の車両に装着される対象物検出システムの構成に対し本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本実施の形態に係る車両搭載用の対象物検出システム100の構成を示す図である。
【図2】本実施の形態のカメラ112の視野114を平面視にて示す図である。
【図3】図2中のa−a線矢視図である。
【符号の説明】
【0052】
10…車両
100…対象物検出システム
110…撮影手段
112…カメラ
120…制御手段
130…画像処理手段
150…演算手段(MPU)
152…対象物情報抽出部
170…記憶手段
190…入出力手段
200…ECU
210…乗員拘束手段
C1,C2,C3…乗員
S1…運転席
S2…助手席

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両乗員席上の対象物に関する情報を検出する対象物検出システムであって、
車室内にて車両後方へと向かう単一視点に関する画像を得るカメラと、
前記カメラにより得られた画像に基づいて、乗員席上の対象物に関する情報を導出する処理を行う処理手段と、
を備え、
前記カメラの視野は、前記単一視点から運転席の乗員の助手席側肩部の領域を通って車両後方へと延在する第1の視線と、当該単一視点から助手席の乗員のドア側肩部の領域を通って車両後方へと延在する第2の視線とによって区画される領域を含む構成であることを特徴とする対象物検出システム。
【請求項2】
請求項1に記載の対象物検出システムであって、
前記カメラの視野中心を通る視線が、前記助手席の乗員の運転席側肩部の領域に概ね合致する構成であることを特徴とする対象物検出システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の対象物検出システムであって、
前記カメラの視野は、平面視に関する視野角が概ね110度を下回るように設定されることを特徴とする対象物検出システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の対象物検出システムであって、
前記処理手段は、前記第1の視線及び第2の視線によって区画される視野を有する前記カメラにより得られた画像に基づいて、運転席上の対象物及び助手席上の対象物の各々半分ずつを検出し、これによって当該対象物の有無、大きさ、位置、姿勢のうちの少なくとも1つを判別することを特徴とする対象物検出システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の対象物検出システムであって、
前記乗員席上の対象物は、少なくとも前記カメラから当該対象物の表面までの距離または当該対象物の立体形状で認識されることを特徴とする対象物検出システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の対象物検出システムと、
前記対象物検出システムの処理手段にて導出された、車両乗員席上の対象物に関する情報に基づいて作動する作動装置と、
前記作動装置を駆動制御する駆動制御手段と、
を備えることを特徴とする作動装置制御システム。
【請求項7】
エンジン走行系統と、電装系統と、前記エンジン走行系統及び電装系統の駆動制御を行う駆動制御装置と、車両乗員席上の対象物に関する情報を検出する対象物検出手段と、を有し、
前記対象物検出手段は、請求項1〜5のいずれかに記載の対象物検出システムを用いて構成されることを特徴とする車両。
【請求項8】
車室内にて車両後方へと向かう単一視点に関する画像を得るカメラを用い、車両乗員席上の対象物に関する情報を検出する対象物検出方法であって、
前記カメラの設定に関し、前記単一視点から運転席の乗員の助手席側肩部の領域を通って車両後方へと延在する第1の視線と、当該単一視点から助手席の乗員のドア側肩部の領域を通って車両後方へと延在する第2の視線とによって区画される領域を含む視野を設定し、これによって運転席上の対象物よりも助手席上の対象物に対し前記視野を多く振分けることを特徴とする対象物検出方法。
【請求項9】
請求項8に記載の対象物検出方法であって、
前記カメラの設定に関し、当該カメラの視野中心領域を通る視線が、前記助手席の乗員の運転席側肩部の領域に概ね合致する設定とすることを特徴とする対象物検出方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の対象物検出方法であって、
前記カメラの設定に関し、前記視野の平面視に関する視野角を概ね110度を下回る設定とすることを特徴とする対象物検出方法。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれかに記載の対象物検出方法であって、
前記第1の視線及び第2の視線によって区画される視野を有する前記カメラにより得られた画像に基づいて、運転席上の対象物及び助手席上の対象物の各々半分ずつを検出し、これによって当該対象物の有無、大きさ、位置、姿勢のうちの少なくとも1つを判別することを特徴とする対象物検出方法。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれかに記載の対象物検出方法であって、
前記乗員席上の対象物を、少なくとも前記カメラから当該対象物の表面までの距離または当該対象物の立体形状で認識することを特徴とする対象物検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−276576(P2007−276576A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−103595(P2006−103595)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(306009581)タカタ株式会社 (812)
【Fターム(参考)】