寿命を伸長するための栄養システム及び方法
本明細書では、食餌摂取量を変えることなく、カロリー制限による生理学的、生化学的及び遺伝子発現効果を模倣するための食餌処方物及び方法が開示される。この処方物は、(1)抗酸化活性、(2)糖化損傷の阻害、(3)体重及び脂肪の低減、(4)高インスリン感受性及び低血中インスリン/グルコースの促進、及び(5)抗炎症活性、のうちの3種以上に属する種々の所望の作用を体内で発揮する栄養素の組合せを含む。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
[0001] 本出願は、2006年2月1日に出願された米国仮出願第60/764056号(参照されることによりその内容全体が本明細書に組み込まれる。)の利益を主張するものである。
【発明の分野】
【0002】
[0002] 本発明は、動物における健康及び長寿の栄養支持の分野に関する。より具体的には、本発明は、食餌摂取量を変化させることなく、カロリー制限による生理学的、生化学的及び遺伝子発現効果を模倣するための食餌処方物及び方法を提供する。
【発明の背景】
【0003】
[0003] 特許、公開出願及び学術論文を含む様々な刊行物が、本明細書の全体を通じて引用される。これらの刊行物の各々は、その全体が、参照されることにより本明細書に組み込まれる。
【0004】
[0004] 任意のレベルよりも十分に低いカロリー摂取量の制限は、げっ歯類、霊長類等の哺乳類を含む数多くの動物種において、寿命を延ばし、加齢に伴う多くの状態の発症を低減又は遅延させ、ストレス抵抗を改善し、機能低下を減速させることが示されている(例えば、D.K.Ingram他(2004) Ann.N.Y.Acad.Sci.1019:412〜423参照)。実際に、ヒトのカロリー制限(CR)による寿命伸長効果について評価するために、臨床試験が開始されている。しかし、ヒトでも動物でも同様に、CRは、必要とされる制限の程度及び長さのせいで、ほとんどの個体において、寿命を伸長するための実行可能な戦略となるということはなさそうである。この理由により、食餌摂取量を実質的に変化させることなくCR効果を模倣することが可能な物質(例えば、医薬品、栄養物質)の特定に、研究の焦点が当てられている。
【0005】
[0005] CRの生理学的又は生化学的効果の1つ又は複数を模倣することができ(例えば、上記Ingram他、2004参照)、或いはある組織及び器官でのCR関連の遺伝子発現プロファイルを模倣することができる(例えば、Spindlerの米国特許第6406853号;米国特許公開第2003/0124540号)薬剤の特定に努力が向けられている。後者に関しては、CR関連遺伝子を分析し、遺伝子発現プロファイリングに基づいてCR模倣物質をスクリーニングすると謳われている方法が記述されている(Spindler他、米国特許公開第2004/0180003号、第2004/0191775号、及び第2005/0013776号)。
【0006】
[0006] 例えば、CRは、様々な研究で、次の効果の1つ又は複数を発揮することが観察されている。(1)酸化的ストレス及び酸化的損傷の低下(例えば、Weindruch、Scientific American Jan. 1996、46〜52);(2)糖化損傷の低下(Novelli他(1998)、J.Gerontol.A.Biol.Sci.Med.Sci. 53:B94〜101);(3)体重及び体脂肪分の減少(Bertrand他(1980)、J.Gerontol. 35:827〜835);(4)インスリン感受性の増大と血中グルコース及び血中インスリンレベルの低下(Lane他(1995)、Am.J.Physiol. 268:E941〜E948;Kemnitz他(1994)、Am.J.Physiol. 266:E540〜E547);及び(5)慢性炎症の低下(Chung他(2002)、Microsc.Res.Tech. 59:264〜272)。この点に関して、パルミチン酸、オレイン酸等の長鎖遊離脂肪酸及びこれらのCoA誘導体の投与によって、1つ又は複数の生化学的パラメータでCRの効果が模倣されることが報告されている(Chacon、米国特許公開第2002/0173450号)。カルノシン(β−アラニル−L−ヒスチジン)は、長寿命の組織に存在することが報告されており、抗酸化剤、フリーラジカル捕捉剤及び抗糖化剤としての機能を通じて老化を遅延させると言われている(Hipkiss 1998)、Int.J.Cell Biol. 30:863〜868;Hipkiss & Brownson(2000)、Cell Mol.Life Sci. 57:747〜753)。
【0007】
[0007] Pitha他(米国特許公開第2002/0035071号)は、2−デオキシ−D−グルコース、5−チオ−D−グルコース、マンノヘプツロース、3−O−メチルグルコース、1−5−無水−D−グルシトール、2,5−無水−D−マンニトール等、グルコース代謝を遮断する薬剤を投与することによって、CR関連の有益な生物学的結果が得られたことを報告している。
【0008】
[0008] Malnoe他(国際公開第02/071874号パンフレット;米国特許公開第2005/0100617号)は、遺伝子発現に対するCRの効果を模倣することができると言われている、哺乳類への投与用の食品組成物について記述している。この組成物は、抗酸化剤と、エネルギー代謝を刺激する物質(カルニチン、カルニチン誘導体等)とを含有する。
【0009】
[0009] Young他(国際公開第01/17366号パンフレット)は、カルシウム源、抗酸化剤を含有し、任意選択でプレバイオティクス又はプロバイオティクス微生物、亜鉛源及びグルタミンを含有する栄養組成物を投与することによって、高齢のペットの寿命を伸長する方法について記述している。
【0010】
[0010] Cupp他(米国特許公開第2005/0123643号)は、オイルブレンド、抗酸化剤、リノール酸源を含有し、任意選択でプレバイオティクス(イヌリン、フルクトオリゴ糖等)を含有する栄養組成物を投与することによって、高齢のペットの寿命を改善する方法について記述している。
【0011】
[0011] 上述の方法及び薬剤が利用可能であるにもかかわらず、個体が、カロリー摂取量を実質的に変化させることを要せずに、CRの効果を模倣することが可能な方法及び組成物は依然として求められている。
【発明の概要】
【0012】
[0012] 本発明の一態様は、カロリー制限による少なくとも1つの長寿促進効果を模倣することによって寿命を伸長させる成分の次の5カテゴリー、のうちの異なるカテゴリーに各々が属する少なくとも3種の成分を含む食餌処方物を特徴とする。(a)抗酸化剤、(b)抗糖化剤、(c)体重又は体脂肪の低減剤、(d)高インスリン感受性又は低血中インスリン若しくは低血中グルコースの促進剤、(e)抗炎症剤。
【0013】
[0013] ある実施形態において、抗酸化剤は、例えば、ビタミンC、ポリフェノール、プロアントチアニジン、アントシアニン、バイオフラボノイド、セレン源(例えば、亜セレン酸ナトリウム、セレン酸ナトリウム又はL−セレノメチオニン)、α−リポ酸、グルタチオン、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、没食子酸エピガロカテキン、没食子酸エピカテキン、又はシステイン、の1種又は複数を含んでもよい水溶性物質である。他の実施形態では、抗酸化剤は、例えば、ビタミンE、γ−トコフェロール、α−カロテン、β−カロテン、ルテイン、ゼアキサンチン、レチナール、アスタキサンチン、クリプトキサンチン、天然混合カロテノイド、リコペン、又はレスベラトロール、の1種又は複数を含んでもよい脂溶性物質である。別の実施形態では、処方物は、脂溶性及び水溶性抗酸化剤の両方、例えば、ビタミンE、ビタミンC、天然カロテノイド、セレン源及びリコペンを含有する。
【0014】
[0014] 抗糖化剤は、カロシン又はアミノグアニジンの1種又は複数を含むことができる。体重又は体脂肪の低減剤は、共役リノール酸、L−カルニチン、アセチル−L−カルニチン、ピルビン酸塩、多価不飽和脂肪酸、中鎖脂肪酸、中鎖トリグリセリド、又は大豆イソフラボン及びその代謝物、の1種又は複数を含むことができる。高インスリン感受性又は低血中インスリン若しくは血中グルコースの促進剤は、クロム源、シナモン、シナモン抽出物、シナモン及びウィッチヘーゼルに由来のポリフェノール、コーヒー豆抽出物、クロロゲン酸、カフェイン酸、亜鉛源、又はブドウ種子抽出物、の1種又は複数を含むことができる。
【0015】
[0015] 抗炎症剤は、ω−3−脂肪酸源又はクルクミン源の1種又は複数を含むことができる。詳細な実施形態では、ω−3−脂肪酸源は、α−リノレン酸、エイコサペンタン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、亜麻仁、クルミ、キャノーラ油、小麦胚芽、又は魚油、の少なくとも1種でもよい。別の詳細な実施形態では、クルクミン源は、(1,7−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ヘプタ−1,6−ジエン−3,5−ジオン;1−(4−ヒドロキシフェニル)−7−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ヘプタ−1,6−ジエン−3,5−ジオン;1,7−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタ−1,6−ジエン−3,5−ジオン)、デメトキシクルクミン、又はビスデメトキシクルクミンである。
【0016】
[0016] ある実施形態において、処方物は、少なくとも1種の糖化損傷の阻害剤と、少なくとも1種の体重及び脂肪の低減剤と、少なくとも1種の高インスリン感受性及び低血中インスリン及びグルコースの促進剤と、を含む。そのような処方物は、少なくとも1種の抗酸化剤をさらに含んでもよい。これらは、少なくとも1種の抗炎症剤をさらに含んでもよい。
【0017】
[0017] 他の実施形態において、処方物は、少なくとも1種の抗酸化剤及び少なくとも1種の抗炎症剤を含む。
【0018】
[0018] 本発明の別の態様は、動物用飼料、栄養補助食品又はヒト用食品であり、上述の処方物を含む組成物を特徴とする。ある実施形態では、動物用飼料又は栄養補助食品は、コンパニオンアニマル、特にイヌ又はネコが摂取するように処方される。
【0019】
[0019] 本発明の別の態様は、ヒトを含む動物の寿命を伸長するための方法であって、上述の食餌処方物を含む組成物を、当該動物の寿命を伸長させるのに有効な量で動物に投与するステップを含む方法を特徴とする。ある実施形態では、動物はコンパニオンアニマル、特にイヌ又はネコである。ある実施形態では、組成物は、食餌療法の一部として、例えば、1日に1回又は複数回、1週間に1回又は複数回、或いは1カ月に1回又は複数回投与する。投与は、有効と考えられる任意の時間の長さにわたってもよく、例えば、1週間、1カ月、3カ月、又は1年若しくはそれ以上であり、動物の寿命に及んでもよい。
【0020】
[0020] 本発明の別の態様は、動物の寿命を伸長するための処方物の製造における、上述の食餌処方物の使用を特徴とする。ある実施形態では、動物はコンパニオンアニマル、特にイヌ又はネコである。
【0021】
[0021] 本発明の他の特徴及び利点は、以下の図面、詳細な説明、及び実施例を参照することにより理解されよう。
【例示的な実施形態の詳細な説明】
【0022】
[0039] 本明細書では、明瞭簡潔な仕様が記述されるように実施形態が説明されるが、実施形態は、本発明から逸脱することなく種々組み合わせ、又は分離してもよいものとする。また、そのように組み合わせ、又は分離してもよいことは理解されよう。
【0023】
[0040] 本明細書で同義に使用される「機能性成分」、「機能性薬剤」又は「機能性構成成分」という語は、次のカテゴリーのうちの1種又は複数に属する機能的な特徴又は活性を有することが知られている物質を指す。(1)酸化的ストレス又は損傷の低下;(2)抗糖化剤;(3)体重、特に体脂肪の減少;(4)インスリン感受性の刺激、又は血中グルコース及び血中インスリンの低下;及び(5)慢性炎症剤。
【0024】
[0041] 「有効量」は、特定の生物学的結果を実現するのに有効な、本明細書に記載の化合物、材料又は組成物の量を指す。そのような結果には、加齢に伴って損なわれた因子の改善、寿命の延長、加齢性疾患の発生率の低下及び/又は発症の遅延、機能低下の低減、及び老化の生化学的、分子的、細胞的、生理学的及び表現型的作用の改善が含まれるが、これらに限定されるものではない。そのような有効な活性は、例えば、本発明の組成物を個体に投与することによって実現することができる。
【0025】
[0042] 「被験体」又は「個体」は、任意の種の動物を指す。様々な実施形態において、動物は哺乳類であり、ヒトでもよい。
【0026】
[0043] 本明細書において、「栄養補助食品」は、動物の通常の食餌の他に摂取されることが意図された製品である。動物は哺乳類であり、ヒトでもよい。
【0027】
[0044] 本明細書において、「ヒトが摂取するように処方された食品」は、人間によって摂取されることが意図された任意の組成物である。
【0028】
[0045] 本明細書において、「ペットフード」又は「ペットフード組成物」という語は、動物、好ましくはコンパニオンアニマルによって摂取されることが意図された組成物を意味する。「完全かつ栄養的にバランスのとれたペットフード」は、必要な全ての既知の栄養素を、コンパニオンアニマル栄養学の分野の第一人者の推奨に基づいて、適切な量及び割合で含有するものである。したがって、そのような食品は、補足的な栄養源を添加することなく、生命を維持し、又は繁殖を促進するための食餌摂取の唯一の供給源としての機能を果たすことができる。栄養的にバランスのとれたペットフード組成物は、当技術分野で広く知られており、広く使用されている。
【0029】
[0046] 「カロリー制限」又は「カロリー的制限」は本明細書で同義に使用されるものであり、栄養不足になることのない、カロリーの低い任意の食餌療法を指す。一般に、制限は、炭水化物、脂肪及びタンパク質から得られる総カロリーに関するものである。この制限は、典型的には、任意の食物摂取に対するカロリー摂取量が約25%〜約40%であるが、これに限定されるものではない。
【0030】
[0047] 「長寿命」は、一般に、特定の種に関する平均寿命の予測値を超えた寿命を指す。「高寿命」又は「長寿命」は、当該動物が属する種の平均寿命予測値を超えた、特定の動物の寿命の任意の著しい伸長を指す。
【0031】
[0048] 「若齢」は、一般に、既知のパラメータに従って種により定義される、若齢成人期の個体、すなわち思春期又は青年期を過ぎた成熟した個体を指す。本明細書において、「加齢」又は「老齢」は、物理的又は年代的に、その平均寿命予測値の最後の30%に含まれる個体を指す。
【0032】
[0049] 本発明者らは、CRに関連したいくつかの生理学的、生化学的及び/又は遺伝子発現上の特徴を、3種以上の機能性成分の組合せを含有する処方物の投与によって模倣することができることを見出した。そのような処方物は、CRの利益を模倣できなかった単一の栄養素又は1種若しくは複数の機能性成分に焦点を当てた先の処方物及び方法に比べて、CRの模倣に有効であることが判明した。
【0033】
[0050] このように、本発明の一態様は、カロリー摂取量を制限することなくカロリー制限の効果を模倣する栄養システムを提供する。本発明の栄養システムは、次の活性のうちの3種以上に属する種々の所望の作用を体内で発揮する栄養素、の組合せの処方物及び投与を含む。(1)抗酸化活性、(2)糖化損傷の阻害、(3)体重、特に体脂肪の減少、(4)高インスリン感受性及び低血中インスリン/グルコースの促進、及び(5)抗炎症活性。
【0034】
[0051] 動物に投与した場合、本明細書に記載の栄養システムは、体重及び脂肪蓄積の変化、脂質過酸化の低減、及び生存率を含む様々な生理学的及び生化学的効果に関して、CRを模倣することが示されている。本発明者らはまた、CRの場合と同様に、この栄養システムが、体組織における遺伝子発現の加齢性変化を様々な程度まで抑制することが可能であること見出した。したがって、本明細書に記載の栄養システムは、寿命を伸長する上で有利な、CRを代替又は補完するものを提供することができる。
【0035】
[0052] 様々な実施形態では、5つの所望の機能は、機能性成分の組合せを含む処方物中で組み合わせられる。例えば、本発明を限定するものではないが、1つの製剤が、少なくとも1種の抗酸化剤、好ましくは1種の水溶性抗酸化剤及び1種の脂溶性抗酸化剤を含む。別の処方物は、糖化損傷を阻害する少なくとも1種の機能性成分、体重、特に体脂肪の低下を促進させる少なくとも1種の機能性成分、及び/又は高インスリン感受性及び低血中インスリン/グルコースを促進させる少なくとも1種の機能性成分を含む。別の処方物は、慢性炎症を低減させる少なくとも1種の機能性成分を含む。
【0036】
[0053] 処方物は、ヒトを含む霊長類に投与することができる。そのような処方物は、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコ、フェレット、鳥)、家畜(例えば、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ウマ、家禽、ラマ)等(これらに限定されるものではない)の動物に投与してもよい。組成物は、珍しい動物、特に動物園の動物、及び絶滅危惧種に投与してもよい。ある実施形態では、処方物は、少なくとも1種の抗酸化剤、好ましくは1種の水溶性抗酸化剤及び1種の脂溶性抗酸化剤を含有する。水溶性抗酸化剤には、ビタミンC、種々のベリー類(クランベリー、ブルーベリー、ビルベリー等)に由来のポリフェノール、ブドウの種子や欧州海岸松及びフランスカイガンショウ(Pinus maritime)の樹皮に由来のプロアントシアニジン及びアントシアニン、果物(特に柑橘類)及び野菜に由来のバイオフラボノイド(タキシフォリン、ナリンゲニン、ヘスペレチン、6−ヒドロキシフラバノン、2’−ヒドロキシフラバノン、4’−ヒドロキシフラバノン)、L−セレノメチオニン、α−リポ酸、グルタチオン、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、没食子酸エピガロカテキン、没食子酸エピカテキン、システインが含まれるが、これらに限定されるものではない。脂溶性抗酸化剤としては、例えば、ビタミンE(酢酸α−トコフェロール)、γ−トコフェロール、α−カロテン、β−カロテン、ルテイン、ゼアキサンチン、レチナール、アスタキサンチン、クリプトキサンチン、天然混合カロテノイド、リコペン、及びレスベラトロールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、処方物は、これらの抗酸化剤の全ての組合せを含んでもよい。
【0037】
[0054] 抗酸化剤に富む処方物では、約100〜1000mg/kg食餌が送達されるように、ビタミンE及び/又はビタミンCが提供されてもよい。より具体的な実施形態では、約200〜800mg/kg食餌、又は約300〜700mg/kg、又は約400〜600mg/kg、又は約450〜500mg/kg食餌が送達されるように、ビタミンE又はビタミンCが提供される。
【0038】
[0055] カロテノイドは、主に植物、藻類、光合成性及びいくらか非光合成性の細菌、酵母及びカビ、に見られる天然脂溶性色素群である。約600種の異なるカロテノイドが天然に生じていることが知られており(Ong&Tee.(1992)Meth.Enzymol. 213:I42〜167)、新規のカロテノイドは引き続き確認されている(Mercadante,A.(1999)「New carotenoids:recent progress」Invited Lecture 2.Abstracts of the 12th International Carotenoid Symposium、Cairns、オーストラリア、1999年7月)。カロテノイドは、その化学構造によって定義される。大部分のカロテノイドは、40炭素ポリエン鎖から得られる。この鎖は、下記式Iに示される環状末端基(環)によって終結されていてもよい。
【0039】
【化1】
【0040】
式Iは、酸素含有官能基で補足されていてもよい。例えばR1、R3、R4及びR6は、独立にH又はOHでもよく、R2及びR5は、独立にH又は=Oでもよい。環は各々、二重結合を含有してもよい。一般に、炭化水素カロテノイドはカロテンとして知られているが、これらの炭化水素の酸素化誘導体はキサントフィルとして知られている。カロテノイドの非限定的な例としては、β−カロテン、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、クリプトキサンチン及びルテインが挙げられる。
【0041】
[0056] ある実施形態では、約1〜100mg/kg食餌が送達されるように、カロテノイドが提供される。特定の実施形態では、約10〜90mg/kg食餌、又は約20〜80mg/kg、30〜70mg/kg、40〜60mg/kg、又は約50mg/kg食餌が送達されるように、カロテノイドが提供される。
【0042】
[0057] 他のカロテノイド以外に、処方物は特に、ある量の精製カロテノイド、リコペンを含んでもよい。リコペンは、下記式IIの構造を有するカロテンである。
【0043】
【化2】
【0044】
[0058] リコペンは、約1〜100mg/kg食餌、又は特定の実施形態では約10〜90、20〜80、30〜70、40〜60、又は約50mg/kg食餌が送達されるように提供されてもよい。
【0045】
[0059] 抗酸化剤に富む本発明の処方物は、セレン源を含有してもよい。微量元素であるセレンは、例えば、亜セレン酸ナトリウム、セレン酸ナトリウム等の無機セレンとして提供されてもよい。しかし、好ましい実施形態では、天然の物質で、安定であり、より容易に吸収されることから、L−セレノメチオニン((S)−(+)−2−アミノ−4−(メチルセレノ)−ブタン酸)が使用される。典型的には、セレン源は、食餌1kg当たり約0.01〜約0.4mgのセレンが送達されるように提供される。他の実施形態では、セレンは、約0.05〜約0.35mg/kg食餌、又は約0.075〜約0.3mg/kg、又は約0.1〜約0.275mg/kg、又は約0.15〜約0.25mg/kg、又は約0.2mg/kg食餌で送達される。
【0046】
[0060] 本発明の例示的な実施形態において、本明細書で「カクテルI」と呼ばれる処方物は、次の食餌を提供する。ビタミンE:500mg/kg;ビタミンC:450mg/kg;L−セレノメチオニン:0.2mg/kg;混合カロテノイド:50mg/kg;リコペン:50mg/kg。ヒトが摂取するための別の特定の実施形態では、カクテルIは、次の物質を提供する。ビタミンE:500mg/日;ビタミンC:450mg/日;L−セレノメチオニン:200μg/日;混合カロテノイド:2500IU/日;リコペン:15mg/日。
【0047】
[0061] 動物に投与する場合、このタイプのカクテルは、実施例で詳細に述べるように、体重又は身体組成に実質的に影響を及ぼすことなく、CRと同様のレベルまで生存率を改善すること、及び遺伝子発現の加齢性変化を様々な程度で有意に抑制することが示された。
【0048】
[0062] ある実施形態において、別のタイプの処方物は、機能性成分の2種又は3種のサブグループ、例えば、(a)糖化損傷の阻害剤、(b)体重、特に体脂肪の低減剤、及び(c)高インスリン感受性及び低血中インスリン/グルコースの促進剤、からなるものでもよい。糖化損傷を阻害する機能性成分には、カルノシン、アミノグアニジン等の合成抗糖化化合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。体重及び体脂肪の低減を促進させる機能性成分には、ピルビン酸塩、多価不飽和脂肪酸、中鎖脂肪酸、中鎖トリグリセリド、共役リノール酸(CLA)、大豆イソフラボン及びその代謝物、L−カルニチン、及びアセチル−L−カルニチンが含まれるが、これらに限定されるものではない。高インスリン感受性及び低血中インスリン/グルコースを促進させる機能性成分には、クロム源、シナモン、シナモン抽出物、シナモン及びウィッチヘーゼルに由来のポリフェノール、コーヒー豆抽出物、クロロゲン酸、カフェイン酸、亜鉛源、及びブドウ種子抽出物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
[0063] したがって、本発明の混合栄養処方物は、機能成分の2又は3カテゴリーの各々から選択される少なくとも1種の機能性成分を含む。いくつかの実施形態では、混合栄養処方物は、ピコリン酸クロム、ブドウ種子抽出物、亜鉛源、共役リノール酸(CLA)、L−カルニチン、アセチル−L−カルニチン、及びカルノシン、の組合せを含む。
【0050】
[0064] ピコリン酸クロムは、おおよそ次のmg/kg食餌の範囲で提供することができる。約0.1〜約1.0、約0.2〜約0.9、約0.3〜約0.8、約0.4〜約0.75、約0.45〜約0.6、又は約0.5mg/kg食餌。
【0051】
[0065] この実施形態の処方物は、例えば、プロアントシアニジン、バイオフラボノイド及びカテキン、の供給源であるブドウ種子抽出物を含有してもよい。適切な量としては、約50〜500、100〜400、150〜350、200〜300、又は約250mg/kg食餌が挙げられる。
【0052】
[0066] これらの実施形態の処方物は、例えば、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、モノメチオニン酸亜鉛、硫酸亜鉛等の亜鉛源を含有してもよい。好ましい実施形態では、処方物は、硫酸亜鉛を約100〜300、125〜275、150〜250、175〜225、又は約190mg/kg食餌の量で含有する。他の実施形態では、処方物は、モノメチオニン酸亜鉛を約25〜125、50〜100、60〜90、又は約70〜80mg/kg食餌の量で含有する。
【0053】
[0067] これらの実施形態の処方物は、代謝に影響を及ぼし、また、脂肪損失及び/又は除脂肪体重維持を促進させる1種又は複数の成分(例えば、共役リノレン酸(CLA)、L−カルニチン、アセチル−L−カルニチン、又は上述のもの)を含有してもよい。CLAは、典型的には5〜10g/kg食餌の量、より具体的には約6〜9又は7〜8g/kg食餌の量で提供される。L−カルニチンは、典型的には約100〜1000mg/kg食餌、より具体的には約200〜800、300〜700、400〜600、又は約500mg/kg食餌で供給される。アセチル−L−カルニチンは、典型的には約50〜150mg/kg食餌、より具体的には約60〜140、70〜130、80〜120、90〜110、又は約100mg/kg食餌で供給される。
【0054】
[0068] これらの実施形態の処方物は、カルノシン(β−アラニル−L−ヒスチジン)等の抗糖化剤を含有してもよい。カルノシンは、典型的には約100〜1000mg/kg食餌、より具体的には約200〜800、300〜700、400〜600、又は約500mg/kg食餌の量で提供される。
【0055】
[0069] 本発明の特定の実施形態において、本明細書で「カクテルII」と呼ばれる処方物は、食餌中に次の物質を提供する。トリピコリン酸クロム:0.5mg/kg;ブドウ種子抽出物:250mg/kg;モノメチオニン酸亜鉛:78mg/kg;CLA(65%):5000mg/kg;カルニチン:400mg/kg;アセチル−カルニチン:100mg/kg;カルノシン:500mg/kg。ヒトが摂取するための別の特定の実施形態では、カクテルIIは、次の物質を提供する。ピコリン酸クロム:120μg/日;ブドウ種子抽出物:150mg/日;硫酸亜鉛:15mg/日;CLA(65%):2000mg/日;カルニチン:2500mg/日;アセチル−カルニチン:500mg/日;カルノシン:500mg/日。
【0056】
[0070] 動物に投与する場合、このタイプのカクテルは、実施例で詳述されるように、CRの場合よりもさらに大幅に、体重及び体脂肪を著しく減少させ、筋肉組織内の脂質過酸化を低下させ、遺伝子発現の加齢性変化のパーセンテージを著しく抑制することが示された。
【0057】
[0071] 別のタイプの処方物は、慢性炎症を低減又は予防する機能性成分を含有することができる。ある実施形態では、このタイプの処方物は、ω−3脂肪酸及び/又はクルクミノイドの少なくとも1つの供給源を含有する。いくつかの実施形態では、ω−3脂肪酸源が魚油である。他の実施形態では、供給源は、これらに限定されるものではないが、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸(EPA及びDHA)等の、精製されたω−3脂肪酸の組合せである。クルクミノイドは、精製されたクルクミノイドを含んでもよく、又は複数のクルクミノイドの組合せを含有してもよい。クルクミノイドには、クルクミン(1,7−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ヘプタ−1,6−ジエン−3,5−ジオン;1−(4−ヒドロキシフェニル)−7−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ヘプタ−1,6−ジエン−3,5−ジオン;1,7−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタ−1,6−ジエン−3,5−ジオン)、デメトキシクルクミン、及びビスデメトキシクルクミンが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
[0072] いくつかの実施形態において、魚油は、10〜50、15〜40、20〜30g/kg食餌で提供され、特定の実施形態では約26g/kg食餌で提供される。クルクミノイドは、100〜1000、200〜900、300〜750、400〜600mg/kg食餌で提供され、特定の実施形態では約500mg/kg食餌で提供される。本発明の特定の実施形態では、本明細書で「カクテルIII」と呼ばれる処方物は、食餌中に次の物質を提供する。魚油:26.5g/kg;クルクミン抽出物:500mg/kg食餌。
【0059】
[0073] 他の組合せを処方してもよい。例えば、抗酸化剤に富む処方物は、カクテルIとカクテルIIとの組合せによって例示されるように、混合機能性処方物と組み合わせることができる。或いは、抗酸化剤に富む処方物は、カクテルIとカクテルIIIとの組合せ、又は3種全てのカクテルの組合せによって例示されるように、抗炎症処方物と組み合わせることができる。別の代替例は、カクテルIとカクテルIIとカクテルIIIとの組合せによって例示されるように、抗酸化剤に富む処方物を混合機能性処方物及び抗炎症処方物と組み合わせて含んでもよい。
【0060】
[0074] 好ましい実施形態では、組成物は、グレイビー、飲用水、飲料、ヨーグルト、粉末、顆粒、ペースト、懸濁液、噛み菓子、モーゼル、トリート、スナック、ペレット、丸剤、カプセル、錠剤等の送達形態の栄養補助食品である。別の好ましい実施形態では、本発明の食餌処方物は、ヒト及びペット用の食品組成物に組み込まれる。これらは、トリート(例えばビスケット)又は他の栄養補助食品と同様に、食餌所要量を供給することが意図された食物を含むことが有利である。任意選択で、食品組成物は、乾燥組成物(例えばキブル)、やや湿った組成物、湿潤組成物、又はこれらの任意の混合物にすることができる。詳細な実施形態では、栄養補助食品は、この栄養補助食品を少量で動物に投与することができるように、或いは動物に投与する前に希釈することができるように、寿命を改善するための高濃度の成分を含むことができる。栄養補助食品は、動物に投与する前に水との混合を必要としてもよい。
【0061】
[0075] 組成物は、冷蔵又は冷凍させてもよい。寿命を改善する成分は、必要とされる有益な量を得るために、組成物の他の構成成分と事前にブレンドしてもよく、ペットフード組成物の表面にコーティングしてもよく、又は、例えば、振りかけた粉末若しくはミックスを使用して、動物に提供する前に組成物に添加してもよい。
【0062】
[0076] 本発明の栄養補助食品及び組成物は、ミネラル、ビタミン、塩、香辛料、着色料、保存料等の補助物質を、任意選択で含むことができる。補助ミネラルの非限定的な例には、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、鉄、塩化物、ホウ素、銅、亜鉛、マンガン、ヨウ素、セレンが含まれる。補助ビタミンの非限定的な例には、ビタミンA、様々なBビタミン、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKが含まれる。追加の栄養補助食品は、例えば、ナイアシン、パントテン酸、イヌリン、葉酸、ビオチン、アミノ酸を含んでもよい。
【0063】
[0077] 様々な実施形態において、本発明のペットフード又はペットトリート組成物は、乾燥質量ベースで、粗製タンパク質を組成物の約15重量%〜約50重量%含むことができる。粗製タンパク質材料は、大豆、綿実、ピーナツ等の植物性タンパク質、又はカゼイン、アルブミン、食肉タンパク質等の動物性タンパク質を含んでもよい。本明細書で有用な食肉タンパク質の非限定的な例には、ポーク、ラム、ウマ、家禽、魚、及びこれらの混合物が含まれる。
【0064】
[0078] 食餌処方物及び組成物は、この組成物に対して、乾燥質量ベースで約5%〜約40%の脂肪をさらに含んでもよい。組成物は、炭水化物源をさらに含んでもよい。組成物は、当該組成物に対して乾燥質量ベースで約15重量%〜約60重量%の炭水化物を含んでもよい。そのような炭水化物の非限定的な例には、米、トウモロコシ、ソルガム、アルファルファ、大麦、大豆、カノーラ、燕麦、小麦、これらの混合物等の、穀粒又は穀草が含まれる。組成物は、他の材料(例えば、乾燥乳清等の乳製品副産物)を任意選択で含んでもよい。
【0065】
[0079] 食餌処方物及び組成物は、少なくとも1種の繊維源を含んでもよい。当業者に既知の様々な可溶性又は不溶性繊維を使用することができる。繊維源は、ビートパルプ(テンサイから)、アラビアガム、タルハガム、オオバコ、米糠、カロブ豆ガム、シトラスパルプ、ペクチン、短鎖オリゴフルクトースに付加したフルクトオリゴ糖、マンナンオリゴフルクトース、大豆繊維、アラビノガラクタン、ガラクトオリゴ糖、アラビノキシラン、又はこれらの混合物にすることができる。或いは、繊維源は、発酵性繊維にすることができる。発酵性繊維は、コンパニオンアニマルの免疫系に利益をもたらすことが、既に記述されている。発酵性繊維、又は腸内のプロバイオティクス微生物の成長を増強させるプレバイオティクス組成物をもたらす当業者に既知の他の組成物は、動物の免疫系に対して本発明により提供される利益の増強を助けるために組成物に組み込んでもよい。さらに、例えば、乳酸菌(Lactobacillus)種、ビフィズス菌(Bifidobacterium)種等のプロバイオティクス微生物を組成物に添加してもよい。
【0066】
[0080] 詳細な実施形態において、食餌処方物又は組成物は、完全かつ栄養的にバランスのとれたペットフードである。この文脈では、ペットフードは、ペットフードの処方及び製造の当業者に理解されるように、ウェットペットフード、ドライペットフード、又は中間含水率の食品でもよい。「ペットフード」は、典型的には缶又はホイルバッグで販売されるペットフードであり、典型的には約70%〜約90%の範囲の含水率を有する。「ドライペットフード」は、ウェットフードと同様の組成のペットフードであるが、典型的には約5%〜約15%という限定的な含水率を含み、したがって、例えば小さなビスケット状キブルとして提示される。組成物、食餌処方物及び栄養補助食品は、成体動物、又はより老齢期若しくは若齢期にある動物のために特に処方することができ、例えば、「子イヌ用の食品」、「子ネコ用の食品」、「成体」又は「老齢期」用の処方物である。一般に、特殊な処方物は、種々の発達段階又は年齢にある動物に適したエネルギー及び栄養所要量を含むことになる。
【0067】
[0081] 本発明の一態様は、好ましくは、完全でバランスのとれた食品と組み合わせて使用される(例えば、National Research Council、1985、Nutritional Requirements for Dogs、National Academy Press、Washington D.C.、又はAssociation of American Feed Control Officials、Official Publication 1996に記載されている)。すなわち、カロリー制限の少なくとも1つの長寿命促進効果を模倣することによって寿命を改善する少なくとも3種の成分を含む、本発明の一態様の食餌処方物又は組成物は、好ましくは高品質の商用食品として使用される。本明細書において、「高品質商用食品」は、例えば、イヌに関して国立学術研究会議の提言で述べられ、また、米国飼料検査官協会の指針で述べられているが、80%以上という重要な栄養素の消化率をもたらすように製造された食餌を指す。同様の高栄養価標準物質を、他の動物にも使用することができる。
【0068】
[0082] 当業者なら、所与の食餌処方物又は組成物に添加される寿命伸長成分の適切な量を、どのように決定すべきか理解されよう。考慮に入れることができるそのような因子には、組成物のタイプ(例えば、ペットフード組成物対栄養補助食品)、種々の動物による特定のタイプの組成物の平均摂取量、及び組成物が調製される製造条件が含まれる。組成物に添加される所与の寿命伸長成分の濃度は、動物のエネルギー及び栄養所要量に基づいて計算することが好ましい。本発明の一態様によれば、寿命伸長成分は、組成物の製造中及び/又は加工中にいつでも添加することができる。これは、ペットフード組成物又は栄養補助食品の処方物への組み込み、又はペットフード組成物又は栄養補助食品に付着されたコーティングとしての組み込みを含む(これらに限定されるものではない)。
【0069】
[0083] 組成物は、例えばWaltham Book of Dog and Cat Nutrition、Ed. ATB Edney、Chapter by A. Rainbird、表題「A Balanced Diet」、第57から74頁、Pergamon Press Oxford.に記載される、当技術分野に適した任意の方法によって作製することができる。
【0070】
[0084] 本発明の別の態様は、ヒトを含む動物の寿命を伸長するための方法であって、カロリー制限による少なくとも1つの長寿促進効果を模倣することによって寿命を伸長させる成分の5カテゴリー、すなわち、抗酸化剤、抗糖化剤、体重又は体脂肪の低減剤、抗インスリン感受性又は低血中インスリン若しくは低血中グルコースの促進剤、及び抗炎症剤、のうちの異なるカテゴリーに各々が属する少なくとも3種の成分を含む食事処方物又は組成物を、当該動物の寿命を伸長させるのに有効な量で動物に投与するステップを含む方法を特徴とする。詳細な実施形態では、組成物は、本明細書に例示されるように、ペットフード組成物又は栄養補助食品である。動物は、上述の任意の家畜又はコンパニオンアニマルを含んでもよい。ある実施形態では、動物は、イヌ、ネコ等のコンパニオンアニマルである。別の実施形態では、組成物は、ヒトが摂取するように処方された食品又は栄養補助食品であり、寿命を伸長する目的でヒトに投与され、又はヒトに摂取される。処方物は、定期的に投与され、一実施形態では毎日少なくとも1回投与される。ある実施形態では、処方物は、少なくとも約1週間、又は少なくとも約1カ月、又は少なくとも約3カ月若しくはそれ以上から、動物の寿命に至るまで、毎日の食餌療法の一部として投与される。
【0071】
[0085] 本発明の組成物は、様々な代替的な投与経路のいずれかによって被験体に投与することができる。そのような経路には、経口、鼻内、静脈内、筋肉内、胃内、経幽門、皮下及び経直腸が含まれるが、これらに限定されるものではない。食餌処方物又は組成物は、経口的に投与することが好ましい。本明細書において、「経口投与」又は「経口的に投与する」という語は、被験体が摂取し、又はヒトが、本明細書に記載の1種又は複数の組成物を動物が摂取するか、或いは人間が動物にそれを給餌することを指図されているか又は実際に給餌することを意味する。
【0072】
[0086] ヒトが、動物に対して組成物を与えようとする場合、そのような指図は、組成物の使用によって、関連の利益(例えば、動物の認知機能の強化)がもたらされるであろうことを、ヒトに指示及び/又は告知するものであってもよい。そのような指図は、口頭の指図[例えば、医師、獣医師若しくはその他の医療従事者からの口答の指示、又はラジオ若しくはテレビ媒体による指示(すなわち広告)]であっても、また、文書による指図[例えば、医師、獣医師若しくはその他の医療従事者からの文書による指示(例えば、処方箋)、営業専門家又は営業組織からの文書による指示(例えば、マーケティング冊子、パンフレット又は他の案内書)、文書媒体(例えば、インターネット、電子メール又は他のコンピューター関連媒体)、及び/又は当該組成物に付随したパッケージ(例えば、当該組成物が収納された容器上のラベル)]であってもよい。
【0073】
[0087] 投与は、必要又は所望に応じた方式で行うことができ、例えば、1カ月に1回、1週間に1回、毎日、又は1日に複数回行うことができる。同様に、投与は1日おき、1週間おき、3日ごと、3週間ごと、又は3カ月ごと、4日ごと、4週間ごと、4カ月ごと、等で行うことができる。投与は、1日複数回にすることができる。通常の栄養所要量に対するサプリメントとして利用する場合、組成物は、動物に直接投与してもよく、また、他の方法で毎日の飼料又は食品と接触させ、又は混合してもよい。毎日の飼料又は食品として利用する場合、投与は当業者に周知である。
【0074】
[0088] 投与は、動物の食餌療法の一部として実施することもできる。例えば、食餌療法は、寿命を改善する少なくとも3種の成分を含んだ組成物を、当該動物の寿命を伸長させるのに有効な量で動物に定期的に摂取させるステップを含んでもよい。定期的な摂取は、1日1回、又は1日2回、3回、4回、若しくはそれ以上の回数で毎日行うことができる。定期的な摂取の目的は、動物に、本明細書で例示される寿命改善成分の好ましい日用量を与えることである。
【0075】
[0089] 本発明の組成物の日用量は、本明細書に例示されるように、動物の体重(BW)1kg当たりの抗酸化剤、抗糖化剤、体重又は体脂肪の低減剤、高インスリン感受性又は低血中インスリン若しくは低血中グルコースの促進剤、又は抗炎症剤、のg数として決定することができる。
【0076】
[0090] 本発明の方法によれば、食餌療法の一部としての投与を含む本発明の組成物の投与は、動物の妊娠期間から成体寿命に及ぶ期間にわたることができる。
【0077】
[0091] 下記の実施例は、本発明をさらに詳細に説明するために示される。これらは本発明の例示を目的とするものであり、本発明を限定するものではない。
【0078】
[実施例1]
[0092] 給餌プロトコールは、その継続期間が11カ月であった。15月齢のマウス[C57B1/6]に、24g/wk[AIN−93M−American Institute of Nutrition(AIN)精製食餌処方物、成熟げっ歯類を維持するためのもの]を与えた(11カ月間にわたって18g/wkが与えられる、以下に指定されるカロリー制限群は除く)。処理は、下記の3種のカクテルの1種又は複数による、基本的な給餌プロトコールに対する補給からなるものであった。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
プロトコールの設計は、下記の通りであった。
【表4】
【0083】
[0093] 11カ月の給餌プロトコールの終了時、生存している全ての動物を犠牲にした。評価は、以下の実施例に記載のように、表現型の特徴と、生化学的パラメータと、筋肉、脂肪組織、及びリンパ球からの遺伝子発現プロファイルからなっていた。筋肉は、細胞が再生されない有糸分裂後組織であるので、サンプル源として選択された。したがってこの組織は、老化関連損傷及び遺伝子発現に関連する変化を反映すべきである。リンパ球は、生検等の侵襲的手順を使用することなくこの組織に接触可能であるので、代替のサンプル源として選択された。脂肪組織は、ある処理、すなわちカクテルIIを含有する食餌がマウスの脂肪パッド含量に及ぼす顕著な効果が理由で検査された。
【0084】
[実施例2]
[0094] 動物の体重を、11カ月のプロトコール中、毎週測定した。結果を図1に示す。示されるように、最も高い全体重は、対照群(食餌E)で維持され、同様の体重は、食餌A(カクテルI)及び食餌C(カクテルI及びIII)により維持された。体重の顕著な初期低下は食餌Fの動物(CR)で見られたが、プロトコールの終わりまでに、同様に低下した体重が、食餌B(カクテルI及びII)、D(カクテルI、II、及びIII)及びF(CR)が与えられた動物に見られた。
【0085】
[0095] 図2は、11カ月の食餌プロトコールにおける、動物の体重、枝肉(stripped carcass)重量及び脂肪パッド重量の変化を示す。最大の変化は、食餌B(カクテルI及びII)、D(カクテルI、II及びIII)及びF(CR)が与えられた動物で観察された。これら観察された変化のほとんどは、脂肪パッド重量の減少に起因した(図2、下部パネル)。
【0086】
[0096] プロトコールにおける動物の生存率を、下記表2−1に示す。
【表5】
【0087】
[0097] 概要: この食餌プロトコールでは、カクテルIIを含有する栄養素ブレンドによって、体重及び体脂肪が、CRを含む対照マウス及びその他全ての処理に比べて著しく低下した。除脂肪体重は、CR処理がなされたマウスの場合と同様であった。
【0088】
[0098] CRでは、生存率が最高になり(80%)、その後に、食餌B(カクテルI+II、73%)が続いた。対照マウスは最低の生存率(46%)を有していた。サンプルのサイズが小さいので、CR又はカクテルI+IIが統計的に有意な影響を寿命に与えたか否かについて決定されなかった。
【0089】
[実施例3]
[0099] 脂質過酸化は、細胞及び組織の酸化的ストレスの指標であるので、CR及び様々な食餌が筋肉中の脂質過酸化に及ぼす影響について評価した。脂肪酸酸化副産物、マロンジアルデヒド(MDA)及び4−ヒドロキシアルケナール(4−HDA)のレベルを、カクテルA〜Dを摂取したマウス、並びにAIN−93M対照食餌が与えられた若齢マウス(5月齢)及び老齢マウス(26月齢)、及びCR食餌(食餌F)によるマウスの筋肉で決定した。図3に示されるように、カクテル食餌C(カクテルI+III)が与えられたマウスは、高レベルの脂質過酸化を示すことが判明した。これらのマウスの脂質過酸化レベルは、AIN−93M対照食餌が与えられた老齢マウスで観察されたレベルに、極めて近かった。これとは対照的に、食餌A(カクテルI)、B(カクテルI+II、p<0.05)及びD(カクテルI+II+III、p<0.05)が与えられた動物は、老齢マウスよりも低いレベルの脂質過酸化を示した。確かに、食餌A、B及びDを摂取するマウスの脂質過酸化レベルは、若齢マウスで観察された過酸化レベルに最も密接に近似していた。食餌A、B及びDが与えられたマウスは、CR食餌が与えられたマウスよりも低い脂質過酸化レベルを示し、食餌B(P<0.05)及びD(p<0.05)は、若齢マウスで観察されたレベルよりも低い脂質過酸化レベルをもたらすことが見出されたことに、注目すべきである。食餌A、B(p<0.05)及びD(p<0.05)は、CRマウスよりも低い脂質過酸化レベルをもたらし、食餌B(p<0.05)及びD(p<0.05)は、若齢マウスよりも低い脂質過酸化レベルもたらした。
【0090】
[実施例4]
[0100] 筋肉の老化による著しい影響を受けた遺伝子を決定するために、また、カロリー制限及び様々な栄養素ブレンドがそのような遺伝子の発現に及ぼす効果を決定するために、マイクロアレイ分析を実施した。UniGeneデータベース(Build 107、2002年6月、国立バイオテクノロジー情報センター)から生成された配列クラスタを含むAffymetrix GeneChip(登録商標)マウス発現セット430A(Affymetric,Inc.、Santa Clara、CA)を、Affymetrix GeneChip(登録商標)オペレーティングソフトウェアを使用して分析した。データを正規化し、バックグラウンドを分析から差し引いた。
【0091】
[0101] マイクロアレイデータ分析にかけられる遺伝子は、下記の基準に従って選択した:1)若齢マウス(5月齢)で検出されなかった遺伝子を除去;2)ステューデントt検定によって決定された、若齢マウス対老齢マウスでのシグナル強度の有意差(p値が<0.05又は<0.01(両側分布));及び3)シグナル強度の変化倍率:強度が≧1.2及び≦−1.2(若齢マウスに対して、老化マウスの20%上方制御又は下方制御に相当する)。
【0092】
[0102] 次いで、様々な食餌療法の効果を、選択された遺伝子に関して評価した。マウスに、実施例1で述べた食餌A〜Fのそれぞれを与えた。所与の食餌が老化に対する予防効果をもたらすか否かについて、マイクロアレイでのシグナル強度から評価した。下式を使用して、各食餌の予防効果を決定した。
{100−[(若齢−処理)×100/(若齢−老齢)]}
【0093】
[0103] この式によれば、所与の遺伝子に関し、所与の食餌療法で観察された効果が若齢マウスで観察された効果に等しい場合、その食餌処方物は、当該遺伝子における加齢性変化を100%予防した。所与の食餌療法で観察された効果が若齢マウスで観察された効果よりも高い場合、その食餌処方物は、遺伝子発現の加齢性変化を100%超予防した。所与の食餌療法で観察された効果が若齢マウスで観察された効果よりも低く、しかし老齢マウスで観察された効果よりも高いことが判明した場合、その食餌処方物は、遺伝子発現の加齢性変化を部分的に予防した。所与の食餌療法で観察された効果が若齢マウスで観察された効果よりも低いことが判明した場合、その食餌療法は、遺伝子発現の年齢誘導変化を促進させると見なした。
【0094】
[0104] マウス筋肉組織から選択された全ての遺伝子に関するシグナル強度の平均変化を、老齢マウスを基準として、各実験用食餌が与えられたマウスに関して計算し、その結果を図4に示す。全てのカクテル食餌は、老齢マウスに対して、筋肉組織遺伝子発現の年齢関連変化を部分的に予防した。食餌B(カクテルI+II)及びC(カクテルI+III)は、平均で30%よりもわずかに低い予防をもたらしたが、食餌A(カクテルI)及びD(カクテルI+II+III)は、平均で30%よりもわずかに高い予防をもたらした。食餌Fが与えられた動物(CR食餌療法)は、遺伝子発現の年齢誘導変化の40%よりも高い予防をもたらすことが観察された。
【0095】
[0105] 実験用食餌が統計的に有意な効果(p<0.01)を発揮することが判明した筋肉組織遺伝子の数を、下記表4−1に列挙する。
【0096】
【表6】
【0097】
[0106] 老化及び老化関連疾患に至る身体の変化には、高度なストレス誘導アポトーシス、高度な炎症、高度な酸化的ストレス、損なわれたインスリン−IGF−1経路、及び損なわれたインスリン感受性が含まれる。したがって、本明細書に記載のカロリー制限及び様々な実験用食餌を、これらの変化に関連した特定の遺伝子に対するそれぞれの効果に関して評価した。
【0098】
[0107] 図5は、CR及び食餌カクテルが、マウスから得た筋肉の老化誘導アポトーシス遺伝子変化に及ぼす予防効果を示す。全てのカクテル食餌は、老齢マウスに比べ、筋肉組織のアポトーシス関連遺伝子に対して測定可能な効果を示した。
【0099】
[0108] CR及び食餌カクテルの効果を、特定のアポトーシス関連遺伝子に関しても評価した。以下の表4−2に示すように、CR及び食餌カクテルは、老化によって誘導された、アポトーシス関連遺伝子の増加に対して、予防効果を発揮した。同様に、表4−3に示すように、CR及び食餌カクテルは、老化によって誘導された、アポトーシス関連遺伝子の減少に対して、予防効果を発揮した。
【0100】
【表7】
【0101】
【表8】
【0102】
[0109] 次に、老化関連ストレス応答遺伝子変化に対する、CR及び食餌カクテルの予防効果について、マウスから得た筋肉で評価した。その結果を図6に示す。筋肉組織の老化関連ストレス応答には、誘導性熱ショックタンパク質の高度な発現、DNA損傷誘導性遺伝子の高度な発現、及び酸化的ストレス誘導性遺伝子の高度な発現が含まれる。全てのカクテル食餌は、老齢マウスに比べ、筋肉組織の老化関連ストレス応答に対して測定可能な効果を示した(図6)
【0103】
[0110] CR及び食餌カクテルの効果を、筋肉の特定のストレス応答遺伝子に関しても評価した。表4−4は、老化によって誘導された、熱ショックタンパク質の増加に対する、CR及び食餌カクテルの予防効果を示す。表4−5は、老化によって誘導された、DNA損傷誘導性遺伝子の増加に対する、CR及び食餌カクテルの予防効果を示す。表4−6は、老化によって誘導された、酸化的ストレス誘導性遺伝子の増加に対する、CR及び食餌カクテルの予防効果を示す。表4−7は、老化によって誘導された、全体的にストレス関連遺伝子の増加に対する予防効果を示す。
【0104】
【表9】
【0105】
【表10】
【0106】
【表11】
【0107】
【表12】
【0108】
[0111] 次に、老化関連炎症応答遺伝子変化に対する、CR及び食餌カクテルの予防効果を、マウスから得た筋肉で評価し、その結果を図7に示す。全てのカクテルは、老齢マウスに比べ、老化関連ストレス応答遺伝子に対して測定可能な効果を示した。
【0109】
[0112] CR及び食餌カクテルの効果を、筋肉の特定の炎症応答遺伝子に関しても評価した。以下の表4−8に示すように、CR及び食餌カクテルは、老化によって誘導された炎症/免疫関連遺伝子の増加に対し、予防効果を発揮した。同様に、表4−9に示すように、CR及び食餌カクテルは、老化によって誘導された炎症/免疫関連遺伝子の減少に対して、予防効果を発揮した。
【0110】
【表13】
【0111】
【表14】
【0112】
[0113] 本明細書に記載の年齢、CR、及び様々な食餌処方物の、インスリン受容体基質1(IRS−I)に対する全体的な効果についても評価した。IRS−1シグナル強度は、カクテル食餌のそれぞれが与えられたマウス、及びカロリー制限食餌療法が施されたマウスの、マウス筋肉組織用のマイクロアレイで決定し、これらを、対照の若齢及び老齢マウスから得た筋肉組織のIRS−1シグナル強度と比較した(図8)。カクテル食餌A(I)、C(I+III)及びD(I+II+III)が与えられたマウスは、IRS−1に関して最低シグナル強度を示したが、この強度は、対照老齢マウスで観察されたIRS−1のシグナル強度よりも少しだけ高いものであった。カクテル食餌B(I+II)が与えられたマウスは、カクテル食餌の中で最高シグナル強度を示したが、この強度は、若齢対照で観察されたシグナル強度よりも少しだけ低いものであった。食餌F(CR)のマウスは、最高の全シグナル強度を示したが、この強度は、若齢対照マウスで観察されたシグナル強度よりも高いことが測定された。
【0113】
[0114] 老化によって誘導された、筋肉IRS−1発現の低減に対する、CR及び食餌カクテルの予防効果を、図9に示すように、マウスから得た筋肉で評価した。IRS−1シグナル強度に関して観察された結果(図8)と一致して、カクテル食餌A(I)、C(I+II)及びD(I+II+III)が与えられたマウスは、老化によって誘導されたIRS−1発現の低減に対して最低の予防効果を示した(図9)。カクテルB(I+II)が与えられたマウスは、試験がなされたカクテル食餌の中でも、IRS−1発現の低減に対して最強の予防効果を示した。CR食餌が与えられたマウスは、カクテルが与えられたマウスよりも、著しく高い予防効果を示したが、この効果は事実上、若齢対照で観察された効果よりも高いものであった。
【0114】
[0115] 概要: カロリー制限は、加齢性の遺伝子発現変化の40%よりも高い予防をもたらし、老化プロセス及び老化関連疾患、例えばアポトーシス遺伝子、ストレス関連遺伝子、DNA修復、及び炎症関連遺伝子発現に関わる多くの経路で年齢誘導変化の一部を部分的に遅らせ、マウス筋肉組織では、老化によって誘導されたインスリンシグナル伝達関連遺伝子発現の減少を、完全に予防した。全てのカクテル食餌は、老齢マウスに比べ、筋肉組織遺伝子発現の加齢性変化も部分的に予防した。食餌B(カクテルI+II)及びC(カクテルI+III)は、平均で30%よりもわずかに低い予防をもたらし、食餌A(カクテルI)及びD(カクテルI+II+III)は、平均で30%よりもわずかに高い予防をもたらした。さらに、本明細書に記載の栄養素ブレンドは、老化プロセス及び老化関連疾患、例えばアポトーシス遺伝子、ストレス関連遺伝子、DNA修復、及び老化関連疾患に関わる老化によって誘導された多くの経路を、部分的に後退させた。カクテルIだけは、老化によって誘導されたIRS−1発現の低下に対して、若干の予防効果を示した。カクテルI+IIは、カクテルI単独に比べ、老化によって誘導されたIRS−1発現の低減に対してより高い予防効果を示した。
【0115】
[実施例5]
[0116] リンパ球の老化によって著しい影響を受けた遺伝子を決定するために、また、カロリー制限及び様々な栄養素ブレンドがそのような遺伝子の発現に及ぼす影響を決定するために、マイクロアレイ分析を実施した。UniGeneデータベース(Build 107、2002年6月(国立バイオテクノロジー情報センター))から生成された配列クラスタを含むAffymetrix GeneChip(登録商標)マウス発現セット430A(Affymetric,Inc.、Santa Clara、CA)を、実施例4で述べたように、Affymetrix GeneChip(登録商標)オペレーティングソフトウェアを使用して分析した。マイクロアレイデータ分析にかけられる遺伝子は、選択された遺伝子に対する様々な食餌療法の影響の評価と同様に、実施例4で述べた基準に従って選択した。
【0116】
[0117] マウス筋肉組織から選択された、全ての遺伝子に関するシグナル強度の平均変化を、老齢マウスを基準として、各実験用食餌が与えられたマウスに関して計算し、その結果を表5−1に示す。
【0117】
【表15】
【0118】
[0118] 表5−1から明らかなように、全てのカクテル食餌、並びにCRは、老齢マウスに比べ、リンパ球遺伝子発現の加齢性変化を予防した。食餌A(カクテルI)、C(カクテルI+III)及びF(CR)は、平均で40%よりもわずかに少ない予防をもたらし、食餌B(カクテルI+II)及びD(カクテルI+II+III)は、平均で40%よりもわずかに高い予防をもたらした。
【0119】
[実施例6]
[0119] 脂肪組織で老化による著しい影響を受けた遺伝子を決定するために、また、そのような遺伝子の発現に対するカロリー制限及び様々な栄養素ブレンドの効果を決定するために、マイクロアレイ分析を実施した。UniGeneデータベース(Build 107、2002年6月、国立バイオテクノロジー情報センター)から生成された配列クラスタを含むAffymetrix GeneChip(登録商標)マウス発現セット430A(Affymetric,Inc.、Santa Clara、CA)を、実施例4で述べたように、Affymetrix GeneChip(登録商標)オペレーティングソフトウェアを使用して分析した。マイクロデータ分析にかけられる遺伝子は、選択された遺伝子に対する様々な食餌療法の効果の評価と同様に、実施例4で述べた基準に従って選択された。
【0120】
[0120] 図10は、脂肪組織遺伝子発現の加齢性変化の概要を示す。図から明らかなように、様々な種々の既知又は未知の機能を示す643個の遺伝子は、老齢マウスにおいて若齢マウスとは異なる発現レベルを示した(p<0.01)。
【0121】
[0121] 脂肪組織における加齢性の遺伝子発現に対するCR又は食餌療法の影響を、図10及び表6−1に示す。
【0122】
【表16】
【0123】
[0122] 図11から明らかなように、CRと食餌A〜Dのそれぞれ(及び組合せ)は、遺伝子発現で観察される加齢性変化を、あるパーセンテージで予防した。最大の影響はCRで観察され、しかし著しい影響は、試験がなされた食餌のそれぞれでも観察された。表6−1は、機能によって影響を受けた遺伝子の崩壊を示す。
【0124】
[0123] 図12〜16は、データの種々の分析を示す。これらの分析では、特定遺伝子発現の加齢性変化に対する、CR又は4種の食餌のそれぞれの影響をプロットした。加齢性の発現変化、及びCR又は食餌に関連した発現変化を有する遺伝子のみ示した。各プロットのX軸は、老齢マウス対若齢マウスでの発現の増加又は減少倍率を示す。各プロットのY軸は、処理(CR又は食餌A〜Dの1種)の結果としての、当該遺伝子の遺伝子発現の増加又は減少倍率を示す。このように、例えば、特定の遺伝子の発現が、若齢マウスに対して老齢マウスにおいて10倍増加を示し、食餌療法の結果、6分の1の減少を示す場合、当該処理は、その特定の遺伝子の発現の加齢性変化を予防又は後退させると言える。したがって、図12〜16に示される各プロットの左上象限及び右下象限は、少なくとも部分的には、食餌の介入によって加齢性の発現変化を予防することができる遺伝子を示す。これとは対照的に、図12〜16に示される各プロットの右上象限及び左下象限は、加齢性の発現変化が食餌の介入によって影響を受けそうにない遺伝子を示す。
【0125】
[0124] 図12〜16から明らかなように、発現が老化及びそれぞれの食餌療法によって影響を受ける遺伝子の数の中で、大多数の加齢性変化は、食餌療法によって様々な程度まで予防され後退された。これらの結果は、68%(食餌D、カクテルI+II+III)から97%(CR)に及んだ。
【0126】
[0125] 上述のデータをまとめると、CRは、脂肪組織遺伝子発現の年齢関連変化の最多数を予防することが観察された。食餌A、B、C及びDも、遺伝子発現の多くの年齢関連変化の発生に、対抗していた。一例として、Pltp発現は、おそらくは全ての食餌に存在するカクテルIの影響が原因で、全ての食餌によって増大したことに留意されたい。
【0127】
[0126] タンパク質CD59aは、膜侵襲複合体の制御因子として知られている(補体カスケード)。老齢マウス対若齢マウスにおけるこの遺伝子の発現であり、また、食餌療法によって影響を受けたものについて、試験を行った。結果を表17に示す。この図から明らかなように、この遺伝子の発現は、若齢被験体に比べ、加齢被験体において1.6倍増加した。すなわち、CR及び食餌A〜Dのそれぞれは、「老齢」対照に比べてこの遺伝子の発現を減少させることができ、場合によっては、「若齢」対照で観察された値よりもさらに少ない。
【0128】
[0127] 本発明は、既に記述・例示された実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲内で変更・修正することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】食餌を与え又はCRを行った動物の重量を示す図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(201LA=カクテルI、201LB=カクテルI+II、201LC=カクテルI+III、及び201LD=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、カクテルIIを含有する2種の試験用食餌(201LB及び201LD)で維持されたマウスは、その体重が、食物摂取量を低下させることなく、CR食餌で維持されたマウスの場合に匹敵するレベルにまで低下した。
【図2】食餌を与え又はカロリー制限を行った動物の、体重(BW)、枝肉重量(SCW)又は全脂肪パッド重量の変化を示す図である。中年期のオスのマウス(C57B/L6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(201LA=カクテルI、201LB=カクテルI+II、201LC=カクテルI+III、及び201LD=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、カクテルIIを含有する2種の試験用食餌(201LB及び201LD)で維持されたマウスは、CRマウスの場合に匹敵する体重及び枝肉重量を有しており(上部パネル)、一方、カクテルIIを含有する2種の試験用食餌(201LB及び201LD)で維持されたマウスの全脂肪パッド重量は、CRマウスの場合よりも50%少なかった(下部パネル)。
【図3】それぞれ食餌を与え又はCRを行った動物での、マロニルジアルデヒド(MDA)及び4−ヒドロキシアルケナール(4−HDA)の濃度を示す図である。中年期のオスのマウス(C57B/L6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(201LA=カクテルI、201LB=カクテルI+II、201LC=カクテルI+III、及び201LD=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、筋肉脂質過酸化生成物(MDA及び4−HDA)は、カクテルI+IIIを含有する試験用食餌が与えられたマウスで最高になり、続いて対照食餌が与えられた高齢マウスであった。カクテルIのみ含有する試験用食餌は、CRマウスの場合に匹敵する程度にMDA及び4−HDAを減少させた。2種の試験用食餌(201LB及び201LD)は、若齢マウスの場合よりも低いレベルにまで、筋肉MDA及び4−HDAをさらに減少させた。
【図4】遺伝子発現に対する老化防止効果(対照と比較した%)を示す図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(201LA=カクテルI、201LB=カクテルI+II、201LC=カクテルI+III、及び201LD=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスの遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。平均老化防止効果を、各試験用食餌及びCRに関して計算した。例えば、p値が0.01未満では、合計で431個の遺伝子が老化の影響を受け、CRは、これらの老化誘導遺伝子発現の変化を、平均で43%だけ防止した。栄養カクテルI、I+II、I+III、及びI+II+IIIは、これらの老化誘導遺伝子発現の変化を、それぞれ平均で29、27、24、及び30%防止した。同様の老化防止効果は、合計で1530個の遺伝子が老化の影響を受けるp<0.05のとき、CR及び栄養の両方で観察された。
【図5】アポトーシス関連の遺伝子発現に対する老化防止効果(対照と比較した%)を示す図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(201LA=カクテルI、201LB=カクテルI+II、201LC=カクテルI+III、及び201LD=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスの遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。アポトーシスに関与する老化の影響を受けた遺伝子に対する平均老化防止効果を、p<0.01又は0.05で、各試験用食餌及びCRに関して計算した。
【図6】ストレス応答遺伝子発現に対する老化防止効果(対照と比較した%)を示す図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(201LA=カクテルI、201LB=カクテルI+II、201LC=カクテルI+III、及び201LD=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスの遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。ストレス応答に関与する老化の影響を受けた遺伝子への平均老化防止効果を、p<0.01又は0.05で、各試験用食餌及びCRに関して計算した。
【図7】炎症応答遺伝子発現に対する老化防止効果(対照と比較した%)を示す図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(201LA=カクテルI、201LB=カクテルI+II、201LC=カクテルI+III、及び201LD=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスの遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。炎症応答に関与する老化の影響を受けた遺伝子への平均老化防止効果を、p<0.01又は0.05で、各試験用食餌及びCRに関して計算した。
【図8】インスリン受容体基質−1遺伝子発現の発現に関するマイクロアレイシグナル強度を示す図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(201LA=カクテルI、201LB=カクテルI+II、201LC=カクテルI+III、及び201LD=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスの遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。IRS−1シグナル強度を、カクテル食餌のそれぞれを与えたマウス、及びカロリー制限食餌療法を施したマウスのマウス筋肉組織に関してマイクロアレイで決定し、対照の若齢マウス及び老齢マウスから得た筋肉組織のIRS−1シグナル強度と比較した。
【図9】インスリン受容体基質1遺伝子発現に対する老化防止効果(対照と比較した%)を示す図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(201LA=カクテルI、201LB=カクテルI+II、201LC=カクテルI+III、及び201LD=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスの遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。老化によって誘導されたIRS−1の低減に対する平均予防効果を、p<0.01で、各試験用食餌及びCRに関して計算した。CRは、骨格筋において、老化によって誘導されたIRS−1遺伝子発現の低減を、完全に(100%)予防し、次いでカクテルI+IIが続いた(78%)。
【図10】脂肪組織遺伝子発現の加齢性変化の概要を示す図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(201LA=カクテルI、201LB=カクテルI+II、201LC=カクテルI+III、及び201LD=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスの遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。マウス白色脂肪組織の遺伝子発現の加齢性変化をまとめる。
【図11】遺伝子発現の加齢性変化に対する食餌の影響の概要を示す図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(食餌A=カクテルI、食餌B=カクテルI+II、食餌C=カクテルI+III、及び食餌D=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスの遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。CR又は栄養カクテルによって遅くなった、マウス白色脂肪組織での老化による影響を受けた遺伝子のパーセンテージを示す。p<0.01で、CRは、老化による影響を受けた遺伝子の23%を抑制し、次いでカクテルI及びカクテルI+II(15%)であった。p<0.05、CRは、老化による影響を受けた遺伝子の42%を抑制し、次いでカクテルI+II(31%)、カクテルI(27%)、カクテルI+III(27%)、及びカクテルI+II+III(22%)であった。全ての試験用食餌は、一般に、老化による影響を受けた遺伝子の0.5(p<0.01)から1.5%(p<0.05)を抑制した。
【図12】カロリー制限(CR)によって、遺伝子発現の加齢性変化を遅延させることができることを示す分布図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(食餌A=カクテルI、食餌B=カクテルI+II、食餌C=カクテルI+III、及び食餌D=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスから得た白色脂肪組織の遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。合計で643個の遺伝子が、P<0.01で加齢に伴って著しく変化した。この「老化遺伝子」の組のうち、281個の遺伝子はP<0.05でカロリー制限(CR)により変化し、CRは、これら281個の遺伝子のうち272個について、加齢性変化を予防した。この分布図において、x軸は年齢による変化倍率を表し、y軸は、CRによる変化倍率を表す。黒丸は、CRによる発現変化がP<0.01で有意である遺伝子を表し;白丸は、CRによる発現変化がP<0.05で有意である遺伝子を表す。
【図13】食餌Aによって、遺伝子発現の加齢性変化を遅延させることができることを示す分布図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(食餌A=カクテルI、食餌B=カクテルI+II、食餌C=カクテルI+III、及び食餌D=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスから得た白色脂肪組織の遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。合計で643個の遺伝子が、P<0.01で加齢に伴って著しく変化した。この「老化遺伝子」の組のうち、187個の遺伝子はP<0.05で食餌Aにより変化し、食餌Aは、これら187個の遺伝子のうち178個について、加齢性変化を予防した。この分布図において、x軸は年齢による変化倍率を表し、y軸は、食餌Aによる変化倍率を表す。黒丸は、食餌Aによる発現変化がP<0.01で有意である遺伝子を表し;白丸は、食餌Aによる発現変化がP<0.05で有意である遺伝子を表す。
【図14】食餌Bによって、遺伝子発現の加齢性変化を遅延させることができることを示す分布図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(食餌A=カクテルI、食餌B=カクテルI+II、食餌C=カクテルI+III、及び食餌D=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスから得た白色脂肪組織の遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。合計で643個の遺伝子が、P<0.01で加齢に伴って著しく変化した。この「老化遺伝子」の組のうち、240個の遺伝子はP<0.05で食餌Bにより変化し、食餌Bは、これら240個の遺伝子のうち199個について、加齢性変化を予防した。この分布図において、x軸は年齢による変化倍率を表し、y軸は、食餌Bによる変化倍率を表す。黒丸は、食餌Bによる発現変化がP<0.01で有意である遺伝子を表し;白丸は、食餌Bによる発現変化がP<0.05で有意である遺伝子を表す。
【図15】食餌Cによって、遺伝子発現の加齢性変化を遅延させることができることを示す分布図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(食餌A=カクテルI、食餌B=カクテルI+II、食餌C=カクテルI+III、及び食餌D=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスから得た白色脂肪組織の遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。合計で643個の遺伝子が、P<0.01で加齢に伴って著しく変化した。この「老化遺伝子」の組のうち、179個の遺伝子はP<0.05で食餌Cにより変化し、食餌Cは、これら179個の遺伝子のうち171個について、加齢性変化を予防した。この分布図において、x軸は年齢による変化倍率を表し、y軸は、食餌Cによる変化倍率を表す。黒丸は、食餌Cによる発現変化がP<0.01で有意である遺伝子を表し;白丸は、食餌Cによる発現変化がP<0.05で有意である遺伝子を表す。
【図16】食餌Dによって、遺伝子発現の加齢性変化を遅延させることができることを示す分布図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(食餌A=カクテルI、食餌B=カクテルI+II、食餌C=カクテルI+III、及び食餌D=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスから得た白色脂肪組織の遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。合計で643個の遺伝子が、P<0.01で加齢に伴って著しく変化した。この「老化遺伝子」の組のうち、205個の遺伝子はP<0.05で食餌Dにより変化し、食餌Dは、これら205個の遺伝子のうち140個について、加齢性変化を予防した。この分布図において、x軸は年齢による変化倍率を表し、y軸は、食餌Dによる変化倍率を表す。黒丸は、食餌Dによる発現変化がP<0.01で有意である遺伝子を表し;白丸は、食餌Dによる発現変化がP<0.05で有意である遺伝子を表す。
【図17】CD59a遺伝子発現の加齢性変化に対する食餌の影響の概要を示す図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(食餌A=カクテルI、食餌B=カクテルI+II、食餌C=カクテルI+III、及び食餌D=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスから得た白色脂肪組織の遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。合計で643個の遺伝子が、P<0.01で加齢に伴って著しく変化した。CD59a遺伝子発現の加齢性増加は、CR及び全ての試験用食餌によって抑制された。
【関連出願】
【0001】
[0001] 本出願は、2006年2月1日に出願された米国仮出願第60/764056号(参照されることによりその内容全体が本明細書に組み込まれる。)の利益を主張するものである。
【発明の分野】
【0002】
[0002] 本発明は、動物における健康及び長寿の栄養支持の分野に関する。より具体的には、本発明は、食餌摂取量を変化させることなく、カロリー制限による生理学的、生化学的及び遺伝子発現効果を模倣するための食餌処方物及び方法を提供する。
【発明の背景】
【0003】
[0003] 特許、公開出願及び学術論文を含む様々な刊行物が、本明細書の全体を通じて引用される。これらの刊行物の各々は、その全体が、参照されることにより本明細書に組み込まれる。
【0004】
[0004] 任意のレベルよりも十分に低いカロリー摂取量の制限は、げっ歯類、霊長類等の哺乳類を含む数多くの動物種において、寿命を延ばし、加齢に伴う多くの状態の発症を低減又は遅延させ、ストレス抵抗を改善し、機能低下を減速させることが示されている(例えば、D.K.Ingram他(2004) Ann.N.Y.Acad.Sci.1019:412〜423参照)。実際に、ヒトのカロリー制限(CR)による寿命伸長効果について評価するために、臨床試験が開始されている。しかし、ヒトでも動物でも同様に、CRは、必要とされる制限の程度及び長さのせいで、ほとんどの個体において、寿命を伸長するための実行可能な戦略となるということはなさそうである。この理由により、食餌摂取量を実質的に変化させることなくCR効果を模倣することが可能な物質(例えば、医薬品、栄養物質)の特定に、研究の焦点が当てられている。
【0005】
[0005] CRの生理学的又は生化学的効果の1つ又は複数を模倣することができ(例えば、上記Ingram他、2004参照)、或いはある組織及び器官でのCR関連の遺伝子発現プロファイルを模倣することができる(例えば、Spindlerの米国特許第6406853号;米国特許公開第2003/0124540号)薬剤の特定に努力が向けられている。後者に関しては、CR関連遺伝子を分析し、遺伝子発現プロファイリングに基づいてCR模倣物質をスクリーニングすると謳われている方法が記述されている(Spindler他、米国特許公開第2004/0180003号、第2004/0191775号、及び第2005/0013776号)。
【0006】
[0006] 例えば、CRは、様々な研究で、次の効果の1つ又は複数を発揮することが観察されている。(1)酸化的ストレス及び酸化的損傷の低下(例えば、Weindruch、Scientific American Jan. 1996、46〜52);(2)糖化損傷の低下(Novelli他(1998)、J.Gerontol.A.Biol.Sci.Med.Sci. 53:B94〜101);(3)体重及び体脂肪分の減少(Bertrand他(1980)、J.Gerontol. 35:827〜835);(4)インスリン感受性の増大と血中グルコース及び血中インスリンレベルの低下(Lane他(1995)、Am.J.Physiol. 268:E941〜E948;Kemnitz他(1994)、Am.J.Physiol. 266:E540〜E547);及び(5)慢性炎症の低下(Chung他(2002)、Microsc.Res.Tech. 59:264〜272)。この点に関して、パルミチン酸、オレイン酸等の長鎖遊離脂肪酸及びこれらのCoA誘導体の投与によって、1つ又は複数の生化学的パラメータでCRの効果が模倣されることが報告されている(Chacon、米国特許公開第2002/0173450号)。カルノシン(β−アラニル−L−ヒスチジン)は、長寿命の組織に存在することが報告されており、抗酸化剤、フリーラジカル捕捉剤及び抗糖化剤としての機能を通じて老化を遅延させると言われている(Hipkiss 1998)、Int.J.Cell Biol. 30:863〜868;Hipkiss & Brownson(2000)、Cell Mol.Life Sci. 57:747〜753)。
【0007】
[0007] Pitha他(米国特許公開第2002/0035071号)は、2−デオキシ−D−グルコース、5−チオ−D−グルコース、マンノヘプツロース、3−O−メチルグルコース、1−5−無水−D−グルシトール、2,5−無水−D−マンニトール等、グルコース代謝を遮断する薬剤を投与することによって、CR関連の有益な生物学的結果が得られたことを報告している。
【0008】
[0008] Malnoe他(国際公開第02/071874号パンフレット;米国特許公開第2005/0100617号)は、遺伝子発現に対するCRの効果を模倣することができると言われている、哺乳類への投与用の食品組成物について記述している。この組成物は、抗酸化剤と、エネルギー代謝を刺激する物質(カルニチン、カルニチン誘導体等)とを含有する。
【0009】
[0009] Young他(国際公開第01/17366号パンフレット)は、カルシウム源、抗酸化剤を含有し、任意選択でプレバイオティクス又はプロバイオティクス微生物、亜鉛源及びグルタミンを含有する栄養組成物を投与することによって、高齢のペットの寿命を伸長する方法について記述している。
【0010】
[0010] Cupp他(米国特許公開第2005/0123643号)は、オイルブレンド、抗酸化剤、リノール酸源を含有し、任意選択でプレバイオティクス(イヌリン、フルクトオリゴ糖等)を含有する栄養組成物を投与することによって、高齢のペットの寿命を改善する方法について記述している。
【0011】
[0011] 上述の方法及び薬剤が利用可能であるにもかかわらず、個体が、カロリー摂取量を実質的に変化させることを要せずに、CRの効果を模倣することが可能な方法及び組成物は依然として求められている。
【発明の概要】
【0012】
[0012] 本発明の一態様は、カロリー制限による少なくとも1つの長寿促進効果を模倣することによって寿命を伸長させる成分の次の5カテゴリー、のうちの異なるカテゴリーに各々が属する少なくとも3種の成分を含む食餌処方物を特徴とする。(a)抗酸化剤、(b)抗糖化剤、(c)体重又は体脂肪の低減剤、(d)高インスリン感受性又は低血中インスリン若しくは低血中グルコースの促進剤、(e)抗炎症剤。
【0013】
[0013] ある実施形態において、抗酸化剤は、例えば、ビタミンC、ポリフェノール、プロアントチアニジン、アントシアニン、バイオフラボノイド、セレン源(例えば、亜セレン酸ナトリウム、セレン酸ナトリウム又はL−セレノメチオニン)、α−リポ酸、グルタチオン、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、没食子酸エピガロカテキン、没食子酸エピカテキン、又はシステイン、の1種又は複数を含んでもよい水溶性物質である。他の実施形態では、抗酸化剤は、例えば、ビタミンE、γ−トコフェロール、α−カロテン、β−カロテン、ルテイン、ゼアキサンチン、レチナール、アスタキサンチン、クリプトキサンチン、天然混合カロテノイド、リコペン、又はレスベラトロール、の1種又は複数を含んでもよい脂溶性物質である。別の実施形態では、処方物は、脂溶性及び水溶性抗酸化剤の両方、例えば、ビタミンE、ビタミンC、天然カロテノイド、セレン源及びリコペンを含有する。
【0014】
[0014] 抗糖化剤は、カロシン又はアミノグアニジンの1種又は複数を含むことができる。体重又は体脂肪の低減剤は、共役リノール酸、L−カルニチン、アセチル−L−カルニチン、ピルビン酸塩、多価不飽和脂肪酸、中鎖脂肪酸、中鎖トリグリセリド、又は大豆イソフラボン及びその代謝物、の1種又は複数を含むことができる。高インスリン感受性又は低血中インスリン若しくは血中グルコースの促進剤は、クロム源、シナモン、シナモン抽出物、シナモン及びウィッチヘーゼルに由来のポリフェノール、コーヒー豆抽出物、クロロゲン酸、カフェイン酸、亜鉛源、又はブドウ種子抽出物、の1種又は複数を含むことができる。
【0015】
[0015] 抗炎症剤は、ω−3−脂肪酸源又はクルクミン源の1種又は複数を含むことができる。詳細な実施形態では、ω−3−脂肪酸源は、α−リノレン酸、エイコサペンタン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、亜麻仁、クルミ、キャノーラ油、小麦胚芽、又は魚油、の少なくとも1種でもよい。別の詳細な実施形態では、クルクミン源は、(1,7−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ヘプタ−1,6−ジエン−3,5−ジオン;1−(4−ヒドロキシフェニル)−7−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ヘプタ−1,6−ジエン−3,5−ジオン;1,7−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタ−1,6−ジエン−3,5−ジオン)、デメトキシクルクミン、又はビスデメトキシクルクミンである。
【0016】
[0016] ある実施形態において、処方物は、少なくとも1種の糖化損傷の阻害剤と、少なくとも1種の体重及び脂肪の低減剤と、少なくとも1種の高インスリン感受性及び低血中インスリン及びグルコースの促進剤と、を含む。そのような処方物は、少なくとも1種の抗酸化剤をさらに含んでもよい。これらは、少なくとも1種の抗炎症剤をさらに含んでもよい。
【0017】
[0017] 他の実施形態において、処方物は、少なくとも1種の抗酸化剤及び少なくとも1種の抗炎症剤を含む。
【0018】
[0018] 本発明の別の態様は、動物用飼料、栄養補助食品又はヒト用食品であり、上述の処方物を含む組成物を特徴とする。ある実施形態では、動物用飼料又は栄養補助食品は、コンパニオンアニマル、特にイヌ又はネコが摂取するように処方される。
【0019】
[0019] 本発明の別の態様は、ヒトを含む動物の寿命を伸長するための方法であって、上述の食餌処方物を含む組成物を、当該動物の寿命を伸長させるのに有効な量で動物に投与するステップを含む方法を特徴とする。ある実施形態では、動物はコンパニオンアニマル、特にイヌ又はネコである。ある実施形態では、組成物は、食餌療法の一部として、例えば、1日に1回又は複数回、1週間に1回又は複数回、或いは1カ月に1回又は複数回投与する。投与は、有効と考えられる任意の時間の長さにわたってもよく、例えば、1週間、1カ月、3カ月、又は1年若しくはそれ以上であり、動物の寿命に及んでもよい。
【0020】
[0020] 本発明の別の態様は、動物の寿命を伸長するための処方物の製造における、上述の食餌処方物の使用を特徴とする。ある実施形態では、動物はコンパニオンアニマル、特にイヌ又はネコである。
【0021】
[0021] 本発明の他の特徴及び利点は、以下の図面、詳細な説明、及び実施例を参照することにより理解されよう。
【例示的な実施形態の詳細な説明】
【0022】
[0039] 本明細書では、明瞭簡潔な仕様が記述されるように実施形態が説明されるが、実施形態は、本発明から逸脱することなく種々組み合わせ、又は分離してもよいものとする。また、そのように組み合わせ、又は分離してもよいことは理解されよう。
【0023】
[0040] 本明細書で同義に使用される「機能性成分」、「機能性薬剤」又は「機能性構成成分」という語は、次のカテゴリーのうちの1種又は複数に属する機能的な特徴又は活性を有することが知られている物質を指す。(1)酸化的ストレス又は損傷の低下;(2)抗糖化剤;(3)体重、特に体脂肪の減少;(4)インスリン感受性の刺激、又は血中グルコース及び血中インスリンの低下;及び(5)慢性炎症剤。
【0024】
[0041] 「有効量」は、特定の生物学的結果を実現するのに有効な、本明細書に記載の化合物、材料又は組成物の量を指す。そのような結果には、加齢に伴って損なわれた因子の改善、寿命の延長、加齢性疾患の発生率の低下及び/又は発症の遅延、機能低下の低減、及び老化の生化学的、分子的、細胞的、生理学的及び表現型的作用の改善が含まれるが、これらに限定されるものではない。そのような有効な活性は、例えば、本発明の組成物を個体に投与することによって実現することができる。
【0025】
[0042] 「被験体」又は「個体」は、任意の種の動物を指す。様々な実施形態において、動物は哺乳類であり、ヒトでもよい。
【0026】
[0043] 本明細書において、「栄養補助食品」は、動物の通常の食餌の他に摂取されることが意図された製品である。動物は哺乳類であり、ヒトでもよい。
【0027】
[0044] 本明細書において、「ヒトが摂取するように処方された食品」は、人間によって摂取されることが意図された任意の組成物である。
【0028】
[0045] 本明細書において、「ペットフード」又は「ペットフード組成物」という語は、動物、好ましくはコンパニオンアニマルによって摂取されることが意図された組成物を意味する。「完全かつ栄養的にバランスのとれたペットフード」は、必要な全ての既知の栄養素を、コンパニオンアニマル栄養学の分野の第一人者の推奨に基づいて、適切な量及び割合で含有するものである。したがって、そのような食品は、補足的な栄養源を添加することなく、生命を維持し、又は繁殖を促進するための食餌摂取の唯一の供給源としての機能を果たすことができる。栄養的にバランスのとれたペットフード組成物は、当技術分野で広く知られており、広く使用されている。
【0029】
[0046] 「カロリー制限」又は「カロリー的制限」は本明細書で同義に使用されるものであり、栄養不足になることのない、カロリーの低い任意の食餌療法を指す。一般に、制限は、炭水化物、脂肪及びタンパク質から得られる総カロリーに関するものである。この制限は、典型的には、任意の食物摂取に対するカロリー摂取量が約25%〜約40%であるが、これに限定されるものではない。
【0030】
[0047] 「長寿命」は、一般に、特定の種に関する平均寿命の予測値を超えた寿命を指す。「高寿命」又は「長寿命」は、当該動物が属する種の平均寿命予測値を超えた、特定の動物の寿命の任意の著しい伸長を指す。
【0031】
[0048] 「若齢」は、一般に、既知のパラメータに従って種により定義される、若齢成人期の個体、すなわち思春期又は青年期を過ぎた成熟した個体を指す。本明細書において、「加齢」又は「老齢」は、物理的又は年代的に、その平均寿命予測値の最後の30%に含まれる個体を指す。
【0032】
[0049] 本発明者らは、CRに関連したいくつかの生理学的、生化学的及び/又は遺伝子発現上の特徴を、3種以上の機能性成分の組合せを含有する処方物の投与によって模倣することができることを見出した。そのような処方物は、CRの利益を模倣できなかった単一の栄養素又は1種若しくは複数の機能性成分に焦点を当てた先の処方物及び方法に比べて、CRの模倣に有効であることが判明した。
【0033】
[0050] このように、本発明の一態様は、カロリー摂取量を制限することなくカロリー制限の効果を模倣する栄養システムを提供する。本発明の栄養システムは、次の活性のうちの3種以上に属する種々の所望の作用を体内で発揮する栄養素、の組合せの処方物及び投与を含む。(1)抗酸化活性、(2)糖化損傷の阻害、(3)体重、特に体脂肪の減少、(4)高インスリン感受性及び低血中インスリン/グルコースの促進、及び(5)抗炎症活性。
【0034】
[0051] 動物に投与した場合、本明細書に記載の栄養システムは、体重及び脂肪蓄積の変化、脂質過酸化の低減、及び生存率を含む様々な生理学的及び生化学的効果に関して、CRを模倣することが示されている。本発明者らはまた、CRの場合と同様に、この栄養システムが、体組織における遺伝子発現の加齢性変化を様々な程度まで抑制することが可能であること見出した。したがって、本明細書に記載の栄養システムは、寿命を伸長する上で有利な、CRを代替又は補完するものを提供することができる。
【0035】
[0052] 様々な実施形態では、5つの所望の機能は、機能性成分の組合せを含む処方物中で組み合わせられる。例えば、本発明を限定するものではないが、1つの製剤が、少なくとも1種の抗酸化剤、好ましくは1種の水溶性抗酸化剤及び1種の脂溶性抗酸化剤を含む。別の処方物は、糖化損傷を阻害する少なくとも1種の機能性成分、体重、特に体脂肪の低下を促進させる少なくとも1種の機能性成分、及び/又は高インスリン感受性及び低血中インスリン/グルコースを促進させる少なくとも1種の機能性成分を含む。別の処方物は、慢性炎症を低減させる少なくとも1種の機能性成分を含む。
【0036】
[0053] 処方物は、ヒトを含む霊長類に投与することができる。そのような処方物は、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコ、フェレット、鳥)、家畜(例えば、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ウマ、家禽、ラマ)等(これらに限定されるものではない)の動物に投与してもよい。組成物は、珍しい動物、特に動物園の動物、及び絶滅危惧種に投与してもよい。ある実施形態では、処方物は、少なくとも1種の抗酸化剤、好ましくは1種の水溶性抗酸化剤及び1種の脂溶性抗酸化剤を含有する。水溶性抗酸化剤には、ビタミンC、種々のベリー類(クランベリー、ブルーベリー、ビルベリー等)に由来のポリフェノール、ブドウの種子や欧州海岸松及びフランスカイガンショウ(Pinus maritime)の樹皮に由来のプロアントシアニジン及びアントシアニン、果物(特に柑橘類)及び野菜に由来のバイオフラボノイド(タキシフォリン、ナリンゲニン、ヘスペレチン、6−ヒドロキシフラバノン、2’−ヒドロキシフラバノン、4’−ヒドロキシフラバノン)、L−セレノメチオニン、α−リポ酸、グルタチオン、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、没食子酸エピガロカテキン、没食子酸エピカテキン、システインが含まれるが、これらに限定されるものではない。脂溶性抗酸化剤としては、例えば、ビタミンE(酢酸α−トコフェロール)、γ−トコフェロール、α−カロテン、β−カロテン、ルテイン、ゼアキサンチン、レチナール、アスタキサンチン、クリプトキサンチン、天然混合カロテノイド、リコペン、及びレスベラトロールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、処方物は、これらの抗酸化剤の全ての組合せを含んでもよい。
【0037】
[0054] 抗酸化剤に富む処方物では、約100〜1000mg/kg食餌が送達されるように、ビタミンE及び/又はビタミンCが提供されてもよい。より具体的な実施形態では、約200〜800mg/kg食餌、又は約300〜700mg/kg、又は約400〜600mg/kg、又は約450〜500mg/kg食餌が送達されるように、ビタミンE又はビタミンCが提供される。
【0038】
[0055] カロテノイドは、主に植物、藻類、光合成性及びいくらか非光合成性の細菌、酵母及びカビ、に見られる天然脂溶性色素群である。約600種の異なるカロテノイドが天然に生じていることが知られており(Ong&Tee.(1992)Meth.Enzymol. 213:I42〜167)、新規のカロテノイドは引き続き確認されている(Mercadante,A.(1999)「New carotenoids:recent progress」Invited Lecture 2.Abstracts of the 12th International Carotenoid Symposium、Cairns、オーストラリア、1999年7月)。カロテノイドは、その化学構造によって定義される。大部分のカロテノイドは、40炭素ポリエン鎖から得られる。この鎖は、下記式Iに示される環状末端基(環)によって終結されていてもよい。
【0039】
【化1】
【0040】
式Iは、酸素含有官能基で補足されていてもよい。例えばR1、R3、R4及びR6は、独立にH又はOHでもよく、R2及びR5は、独立にH又は=Oでもよい。環は各々、二重結合を含有してもよい。一般に、炭化水素カロテノイドはカロテンとして知られているが、これらの炭化水素の酸素化誘導体はキサントフィルとして知られている。カロテノイドの非限定的な例としては、β−カロテン、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、クリプトキサンチン及びルテインが挙げられる。
【0041】
[0056] ある実施形態では、約1〜100mg/kg食餌が送達されるように、カロテノイドが提供される。特定の実施形態では、約10〜90mg/kg食餌、又は約20〜80mg/kg、30〜70mg/kg、40〜60mg/kg、又は約50mg/kg食餌が送達されるように、カロテノイドが提供される。
【0042】
[0057] 他のカロテノイド以外に、処方物は特に、ある量の精製カロテノイド、リコペンを含んでもよい。リコペンは、下記式IIの構造を有するカロテンである。
【0043】
【化2】
【0044】
[0058] リコペンは、約1〜100mg/kg食餌、又は特定の実施形態では約10〜90、20〜80、30〜70、40〜60、又は約50mg/kg食餌が送達されるように提供されてもよい。
【0045】
[0059] 抗酸化剤に富む本発明の処方物は、セレン源を含有してもよい。微量元素であるセレンは、例えば、亜セレン酸ナトリウム、セレン酸ナトリウム等の無機セレンとして提供されてもよい。しかし、好ましい実施形態では、天然の物質で、安定であり、より容易に吸収されることから、L−セレノメチオニン((S)−(+)−2−アミノ−4−(メチルセレノ)−ブタン酸)が使用される。典型的には、セレン源は、食餌1kg当たり約0.01〜約0.4mgのセレンが送達されるように提供される。他の実施形態では、セレンは、約0.05〜約0.35mg/kg食餌、又は約0.075〜約0.3mg/kg、又は約0.1〜約0.275mg/kg、又は約0.15〜約0.25mg/kg、又は約0.2mg/kg食餌で送達される。
【0046】
[0060] 本発明の例示的な実施形態において、本明細書で「カクテルI」と呼ばれる処方物は、次の食餌を提供する。ビタミンE:500mg/kg;ビタミンC:450mg/kg;L−セレノメチオニン:0.2mg/kg;混合カロテノイド:50mg/kg;リコペン:50mg/kg。ヒトが摂取するための別の特定の実施形態では、カクテルIは、次の物質を提供する。ビタミンE:500mg/日;ビタミンC:450mg/日;L−セレノメチオニン:200μg/日;混合カロテノイド:2500IU/日;リコペン:15mg/日。
【0047】
[0061] 動物に投与する場合、このタイプのカクテルは、実施例で詳細に述べるように、体重又は身体組成に実質的に影響を及ぼすことなく、CRと同様のレベルまで生存率を改善すること、及び遺伝子発現の加齢性変化を様々な程度で有意に抑制することが示された。
【0048】
[0062] ある実施形態において、別のタイプの処方物は、機能性成分の2種又は3種のサブグループ、例えば、(a)糖化損傷の阻害剤、(b)体重、特に体脂肪の低減剤、及び(c)高インスリン感受性及び低血中インスリン/グルコースの促進剤、からなるものでもよい。糖化損傷を阻害する機能性成分には、カルノシン、アミノグアニジン等の合成抗糖化化合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。体重及び体脂肪の低減を促進させる機能性成分には、ピルビン酸塩、多価不飽和脂肪酸、中鎖脂肪酸、中鎖トリグリセリド、共役リノール酸(CLA)、大豆イソフラボン及びその代謝物、L−カルニチン、及びアセチル−L−カルニチンが含まれるが、これらに限定されるものではない。高インスリン感受性及び低血中インスリン/グルコースを促進させる機能性成分には、クロム源、シナモン、シナモン抽出物、シナモン及びウィッチヘーゼルに由来のポリフェノール、コーヒー豆抽出物、クロロゲン酸、カフェイン酸、亜鉛源、及びブドウ種子抽出物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
[0063] したがって、本発明の混合栄養処方物は、機能成分の2又は3カテゴリーの各々から選択される少なくとも1種の機能性成分を含む。いくつかの実施形態では、混合栄養処方物は、ピコリン酸クロム、ブドウ種子抽出物、亜鉛源、共役リノール酸(CLA)、L−カルニチン、アセチル−L−カルニチン、及びカルノシン、の組合せを含む。
【0050】
[0064] ピコリン酸クロムは、おおよそ次のmg/kg食餌の範囲で提供することができる。約0.1〜約1.0、約0.2〜約0.9、約0.3〜約0.8、約0.4〜約0.75、約0.45〜約0.6、又は約0.5mg/kg食餌。
【0051】
[0065] この実施形態の処方物は、例えば、プロアントシアニジン、バイオフラボノイド及びカテキン、の供給源であるブドウ種子抽出物を含有してもよい。適切な量としては、約50〜500、100〜400、150〜350、200〜300、又は約250mg/kg食餌が挙げられる。
【0052】
[0066] これらの実施形態の処方物は、例えば、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、モノメチオニン酸亜鉛、硫酸亜鉛等の亜鉛源を含有してもよい。好ましい実施形態では、処方物は、硫酸亜鉛を約100〜300、125〜275、150〜250、175〜225、又は約190mg/kg食餌の量で含有する。他の実施形態では、処方物は、モノメチオニン酸亜鉛を約25〜125、50〜100、60〜90、又は約70〜80mg/kg食餌の量で含有する。
【0053】
[0067] これらの実施形態の処方物は、代謝に影響を及ぼし、また、脂肪損失及び/又は除脂肪体重維持を促進させる1種又は複数の成分(例えば、共役リノレン酸(CLA)、L−カルニチン、アセチル−L−カルニチン、又は上述のもの)を含有してもよい。CLAは、典型的には5〜10g/kg食餌の量、より具体的には約6〜9又は7〜8g/kg食餌の量で提供される。L−カルニチンは、典型的には約100〜1000mg/kg食餌、より具体的には約200〜800、300〜700、400〜600、又は約500mg/kg食餌で供給される。アセチル−L−カルニチンは、典型的には約50〜150mg/kg食餌、より具体的には約60〜140、70〜130、80〜120、90〜110、又は約100mg/kg食餌で供給される。
【0054】
[0068] これらの実施形態の処方物は、カルノシン(β−アラニル−L−ヒスチジン)等の抗糖化剤を含有してもよい。カルノシンは、典型的には約100〜1000mg/kg食餌、より具体的には約200〜800、300〜700、400〜600、又は約500mg/kg食餌の量で提供される。
【0055】
[0069] 本発明の特定の実施形態において、本明細書で「カクテルII」と呼ばれる処方物は、食餌中に次の物質を提供する。トリピコリン酸クロム:0.5mg/kg;ブドウ種子抽出物:250mg/kg;モノメチオニン酸亜鉛:78mg/kg;CLA(65%):5000mg/kg;カルニチン:400mg/kg;アセチル−カルニチン:100mg/kg;カルノシン:500mg/kg。ヒトが摂取するための別の特定の実施形態では、カクテルIIは、次の物質を提供する。ピコリン酸クロム:120μg/日;ブドウ種子抽出物:150mg/日;硫酸亜鉛:15mg/日;CLA(65%):2000mg/日;カルニチン:2500mg/日;アセチル−カルニチン:500mg/日;カルノシン:500mg/日。
【0056】
[0070] 動物に投与する場合、このタイプのカクテルは、実施例で詳述されるように、CRの場合よりもさらに大幅に、体重及び体脂肪を著しく減少させ、筋肉組織内の脂質過酸化を低下させ、遺伝子発現の加齢性変化のパーセンテージを著しく抑制することが示された。
【0057】
[0071] 別のタイプの処方物は、慢性炎症を低減又は予防する機能性成分を含有することができる。ある実施形態では、このタイプの処方物は、ω−3脂肪酸及び/又はクルクミノイドの少なくとも1つの供給源を含有する。いくつかの実施形態では、ω−3脂肪酸源が魚油である。他の実施形態では、供給源は、これらに限定されるものではないが、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸(EPA及びDHA)等の、精製されたω−3脂肪酸の組合せである。クルクミノイドは、精製されたクルクミノイドを含んでもよく、又は複数のクルクミノイドの組合せを含有してもよい。クルクミノイドには、クルクミン(1,7−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ヘプタ−1,6−ジエン−3,5−ジオン;1−(4−ヒドロキシフェニル)−7−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ヘプタ−1,6−ジエン−3,5−ジオン;1,7−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタ−1,6−ジエン−3,5−ジオン)、デメトキシクルクミン、及びビスデメトキシクルクミンが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
[0072] いくつかの実施形態において、魚油は、10〜50、15〜40、20〜30g/kg食餌で提供され、特定の実施形態では約26g/kg食餌で提供される。クルクミノイドは、100〜1000、200〜900、300〜750、400〜600mg/kg食餌で提供され、特定の実施形態では約500mg/kg食餌で提供される。本発明の特定の実施形態では、本明細書で「カクテルIII」と呼ばれる処方物は、食餌中に次の物質を提供する。魚油:26.5g/kg;クルクミン抽出物:500mg/kg食餌。
【0059】
[0073] 他の組合せを処方してもよい。例えば、抗酸化剤に富む処方物は、カクテルIとカクテルIIとの組合せによって例示されるように、混合機能性処方物と組み合わせることができる。或いは、抗酸化剤に富む処方物は、カクテルIとカクテルIIIとの組合せ、又は3種全てのカクテルの組合せによって例示されるように、抗炎症処方物と組み合わせることができる。別の代替例は、カクテルIとカクテルIIとカクテルIIIとの組合せによって例示されるように、抗酸化剤に富む処方物を混合機能性処方物及び抗炎症処方物と組み合わせて含んでもよい。
【0060】
[0074] 好ましい実施形態では、組成物は、グレイビー、飲用水、飲料、ヨーグルト、粉末、顆粒、ペースト、懸濁液、噛み菓子、モーゼル、トリート、スナック、ペレット、丸剤、カプセル、錠剤等の送達形態の栄養補助食品である。別の好ましい実施形態では、本発明の食餌処方物は、ヒト及びペット用の食品組成物に組み込まれる。これらは、トリート(例えばビスケット)又は他の栄養補助食品と同様に、食餌所要量を供給することが意図された食物を含むことが有利である。任意選択で、食品組成物は、乾燥組成物(例えばキブル)、やや湿った組成物、湿潤組成物、又はこれらの任意の混合物にすることができる。詳細な実施形態では、栄養補助食品は、この栄養補助食品を少量で動物に投与することができるように、或いは動物に投与する前に希釈することができるように、寿命を改善するための高濃度の成分を含むことができる。栄養補助食品は、動物に投与する前に水との混合を必要としてもよい。
【0061】
[0075] 組成物は、冷蔵又は冷凍させてもよい。寿命を改善する成分は、必要とされる有益な量を得るために、組成物の他の構成成分と事前にブレンドしてもよく、ペットフード組成物の表面にコーティングしてもよく、又は、例えば、振りかけた粉末若しくはミックスを使用して、動物に提供する前に組成物に添加してもよい。
【0062】
[0076] 本発明の栄養補助食品及び組成物は、ミネラル、ビタミン、塩、香辛料、着色料、保存料等の補助物質を、任意選択で含むことができる。補助ミネラルの非限定的な例には、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、鉄、塩化物、ホウ素、銅、亜鉛、マンガン、ヨウ素、セレンが含まれる。補助ビタミンの非限定的な例には、ビタミンA、様々なBビタミン、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKが含まれる。追加の栄養補助食品は、例えば、ナイアシン、パントテン酸、イヌリン、葉酸、ビオチン、アミノ酸を含んでもよい。
【0063】
[0077] 様々な実施形態において、本発明のペットフード又はペットトリート組成物は、乾燥質量ベースで、粗製タンパク質を組成物の約15重量%〜約50重量%含むことができる。粗製タンパク質材料は、大豆、綿実、ピーナツ等の植物性タンパク質、又はカゼイン、アルブミン、食肉タンパク質等の動物性タンパク質を含んでもよい。本明細書で有用な食肉タンパク質の非限定的な例には、ポーク、ラム、ウマ、家禽、魚、及びこれらの混合物が含まれる。
【0064】
[0078] 食餌処方物及び組成物は、この組成物に対して、乾燥質量ベースで約5%〜約40%の脂肪をさらに含んでもよい。組成物は、炭水化物源をさらに含んでもよい。組成物は、当該組成物に対して乾燥質量ベースで約15重量%〜約60重量%の炭水化物を含んでもよい。そのような炭水化物の非限定的な例には、米、トウモロコシ、ソルガム、アルファルファ、大麦、大豆、カノーラ、燕麦、小麦、これらの混合物等の、穀粒又は穀草が含まれる。組成物は、他の材料(例えば、乾燥乳清等の乳製品副産物)を任意選択で含んでもよい。
【0065】
[0079] 食餌処方物及び組成物は、少なくとも1種の繊維源を含んでもよい。当業者に既知の様々な可溶性又は不溶性繊維を使用することができる。繊維源は、ビートパルプ(テンサイから)、アラビアガム、タルハガム、オオバコ、米糠、カロブ豆ガム、シトラスパルプ、ペクチン、短鎖オリゴフルクトースに付加したフルクトオリゴ糖、マンナンオリゴフルクトース、大豆繊維、アラビノガラクタン、ガラクトオリゴ糖、アラビノキシラン、又はこれらの混合物にすることができる。或いは、繊維源は、発酵性繊維にすることができる。発酵性繊維は、コンパニオンアニマルの免疫系に利益をもたらすことが、既に記述されている。発酵性繊維、又は腸内のプロバイオティクス微生物の成長を増強させるプレバイオティクス組成物をもたらす当業者に既知の他の組成物は、動物の免疫系に対して本発明により提供される利益の増強を助けるために組成物に組み込んでもよい。さらに、例えば、乳酸菌(Lactobacillus)種、ビフィズス菌(Bifidobacterium)種等のプロバイオティクス微生物を組成物に添加してもよい。
【0066】
[0080] 詳細な実施形態において、食餌処方物又は組成物は、完全かつ栄養的にバランスのとれたペットフードである。この文脈では、ペットフードは、ペットフードの処方及び製造の当業者に理解されるように、ウェットペットフード、ドライペットフード、又は中間含水率の食品でもよい。「ペットフード」は、典型的には缶又はホイルバッグで販売されるペットフードであり、典型的には約70%〜約90%の範囲の含水率を有する。「ドライペットフード」は、ウェットフードと同様の組成のペットフードであるが、典型的には約5%〜約15%という限定的な含水率を含み、したがって、例えば小さなビスケット状キブルとして提示される。組成物、食餌処方物及び栄養補助食品は、成体動物、又はより老齢期若しくは若齢期にある動物のために特に処方することができ、例えば、「子イヌ用の食品」、「子ネコ用の食品」、「成体」又は「老齢期」用の処方物である。一般に、特殊な処方物は、種々の発達段階又は年齢にある動物に適したエネルギー及び栄養所要量を含むことになる。
【0067】
[0081] 本発明の一態様は、好ましくは、完全でバランスのとれた食品と組み合わせて使用される(例えば、National Research Council、1985、Nutritional Requirements for Dogs、National Academy Press、Washington D.C.、又はAssociation of American Feed Control Officials、Official Publication 1996に記載されている)。すなわち、カロリー制限の少なくとも1つの長寿命促進効果を模倣することによって寿命を改善する少なくとも3種の成分を含む、本発明の一態様の食餌処方物又は組成物は、好ましくは高品質の商用食品として使用される。本明細書において、「高品質商用食品」は、例えば、イヌに関して国立学術研究会議の提言で述べられ、また、米国飼料検査官協会の指針で述べられているが、80%以上という重要な栄養素の消化率をもたらすように製造された食餌を指す。同様の高栄養価標準物質を、他の動物にも使用することができる。
【0068】
[0082] 当業者なら、所与の食餌処方物又は組成物に添加される寿命伸長成分の適切な量を、どのように決定すべきか理解されよう。考慮に入れることができるそのような因子には、組成物のタイプ(例えば、ペットフード組成物対栄養補助食品)、種々の動物による特定のタイプの組成物の平均摂取量、及び組成物が調製される製造条件が含まれる。組成物に添加される所与の寿命伸長成分の濃度は、動物のエネルギー及び栄養所要量に基づいて計算することが好ましい。本発明の一態様によれば、寿命伸長成分は、組成物の製造中及び/又は加工中にいつでも添加することができる。これは、ペットフード組成物又は栄養補助食品の処方物への組み込み、又はペットフード組成物又は栄養補助食品に付着されたコーティングとしての組み込みを含む(これらに限定されるものではない)。
【0069】
[0083] 組成物は、例えばWaltham Book of Dog and Cat Nutrition、Ed. ATB Edney、Chapter by A. Rainbird、表題「A Balanced Diet」、第57から74頁、Pergamon Press Oxford.に記載される、当技術分野に適した任意の方法によって作製することができる。
【0070】
[0084] 本発明の別の態様は、ヒトを含む動物の寿命を伸長するための方法であって、カロリー制限による少なくとも1つの長寿促進効果を模倣することによって寿命を伸長させる成分の5カテゴリー、すなわち、抗酸化剤、抗糖化剤、体重又は体脂肪の低減剤、抗インスリン感受性又は低血中インスリン若しくは低血中グルコースの促進剤、及び抗炎症剤、のうちの異なるカテゴリーに各々が属する少なくとも3種の成分を含む食事処方物又は組成物を、当該動物の寿命を伸長させるのに有効な量で動物に投与するステップを含む方法を特徴とする。詳細な実施形態では、組成物は、本明細書に例示されるように、ペットフード組成物又は栄養補助食品である。動物は、上述の任意の家畜又はコンパニオンアニマルを含んでもよい。ある実施形態では、動物は、イヌ、ネコ等のコンパニオンアニマルである。別の実施形態では、組成物は、ヒトが摂取するように処方された食品又は栄養補助食品であり、寿命を伸長する目的でヒトに投与され、又はヒトに摂取される。処方物は、定期的に投与され、一実施形態では毎日少なくとも1回投与される。ある実施形態では、処方物は、少なくとも約1週間、又は少なくとも約1カ月、又は少なくとも約3カ月若しくはそれ以上から、動物の寿命に至るまで、毎日の食餌療法の一部として投与される。
【0071】
[0085] 本発明の組成物は、様々な代替的な投与経路のいずれかによって被験体に投与することができる。そのような経路には、経口、鼻内、静脈内、筋肉内、胃内、経幽門、皮下及び経直腸が含まれるが、これらに限定されるものではない。食餌処方物又は組成物は、経口的に投与することが好ましい。本明細書において、「経口投与」又は「経口的に投与する」という語は、被験体が摂取し、又はヒトが、本明細書に記載の1種又は複数の組成物を動物が摂取するか、或いは人間が動物にそれを給餌することを指図されているか又は実際に給餌することを意味する。
【0072】
[0086] ヒトが、動物に対して組成物を与えようとする場合、そのような指図は、組成物の使用によって、関連の利益(例えば、動物の認知機能の強化)がもたらされるであろうことを、ヒトに指示及び/又は告知するものであってもよい。そのような指図は、口頭の指図[例えば、医師、獣医師若しくはその他の医療従事者からの口答の指示、又はラジオ若しくはテレビ媒体による指示(すなわち広告)]であっても、また、文書による指図[例えば、医師、獣医師若しくはその他の医療従事者からの文書による指示(例えば、処方箋)、営業専門家又は営業組織からの文書による指示(例えば、マーケティング冊子、パンフレット又は他の案内書)、文書媒体(例えば、インターネット、電子メール又は他のコンピューター関連媒体)、及び/又は当該組成物に付随したパッケージ(例えば、当該組成物が収納された容器上のラベル)]であってもよい。
【0073】
[0087] 投与は、必要又は所望に応じた方式で行うことができ、例えば、1カ月に1回、1週間に1回、毎日、又は1日に複数回行うことができる。同様に、投与は1日おき、1週間おき、3日ごと、3週間ごと、又は3カ月ごと、4日ごと、4週間ごと、4カ月ごと、等で行うことができる。投与は、1日複数回にすることができる。通常の栄養所要量に対するサプリメントとして利用する場合、組成物は、動物に直接投与してもよく、また、他の方法で毎日の飼料又は食品と接触させ、又は混合してもよい。毎日の飼料又は食品として利用する場合、投与は当業者に周知である。
【0074】
[0088] 投与は、動物の食餌療法の一部として実施することもできる。例えば、食餌療法は、寿命を改善する少なくとも3種の成分を含んだ組成物を、当該動物の寿命を伸長させるのに有効な量で動物に定期的に摂取させるステップを含んでもよい。定期的な摂取は、1日1回、又は1日2回、3回、4回、若しくはそれ以上の回数で毎日行うことができる。定期的な摂取の目的は、動物に、本明細書で例示される寿命改善成分の好ましい日用量を与えることである。
【0075】
[0089] 本発明の組成物の日用量は、本明細書に例示されるように、動物の体重(BW)1kg当たりの抗酸化剤、抗糖化剤、体重又は体脂肪の低減剤、高インスリン感受性又は低血中インスリン若しくは低血中グルコースの促進剤、又は抗炎症剤、のg数として決定することができる。
【0076】
[0090] 本発明の方法によれば、食餌療法の一部としての投与を含む本発明の組成物の投与は、動物の妊娠期間から成体寿命に及ぶ期間にわたることができる。
【0077】
[0091] 下記の実施例は、本発明をさらに詳細に説明するために示される。これらは本発明の例示を目的とするものであり、本発明を限定するものではない。
【0078】
[実施例1]
[0092] 給餌プロトコールは、その継続期間が11カ月であった。15月齢のマウス[C57B1/6]に、24g/wk[AIN−93M−American Institute of Nutrition(AIN)精製食餌処方物、成熟げっ歯類を維持するためのもの]を与えた(11カ月間にわたって18g/wkが与えられる、以下に指定されるカロリー制限群は除く)。処理は、下記の3種のカクテルの1種又は複数による、基本的な給餌プロトコールに対する補給からなるものであった。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
プロトコールの設計は、下記の通りであった。
【表4】
【0083】
[0093] 11カ月の給餌プロトコールの終了時、生存している全ての動物を犠牲にした。評価は、以下の実施例に記載のように、表現型の特徴と、生化学的パラメータと、筋肉、脂肪組織、及びリンパ球からの遺伝子発現プロファイルからなっていた。筋肉は、細胞が再生されない有糸分裂後組織であるので、サンプル源として選択された。したがってこの組織は、老化関連損傷及び遺伝子発現に関連する変化を反映すべきである。リンパ球は、生検等の侵襲的手順を使用することなくこの組織に接触可能であるので、代替のサンプル源として選択された。脂肪組織は、ある処理、すなわちカクテルIIを含有する食餌がマウスの脂肪パッド含量に及ぼす顕著な効果が理由で検査された。
【0084】
[実施例2]
[0094] 動物の体重を、11カ月のプロトコール中、毎週測定した。結果を図1に示す。示されるように、最も高い全体重は、対照群(食餌E)で維持され、同様の体重は、食餌A(カクテルI)及び食餌C(カクテルI及びIII)により維持された。体重の顕著な初期低下は食餌Fの動物(CR)で見られたが、プロトコールの終わりまでに、同様に低下した体重が、食餌B(カクテルI及びII)、D(カクテルI、II、及びIII)及びF(CR)が与えられた動物に見られた。
【0085】
[0095] 図2は、11カ月の食餌プロトコールにおける、動物の体重、枝肉(stripped carcass)重量及び脂肪パッド重量の変化を示す。最大の変化は、食餌B(カクテルI及びII)、D(カクテルI、II及びIII)及びF(CR)が与えられた動物で観察された。これら観察された変化のほとんどは、脂肪パッド重量の減少に起因した(図2、下部パネル)。
【0086】
[0096] プロトコールにおける動物の生存率を、下記表2−1に示す。
【表5】
【0087】
[0097] 概要: この食餌プロトコールでは、カクテルIIを含有する栄養素ブレンドによって、体重及び体脂肪が、CRを含む対照マウス及びその他全ての処理に比べて著しく低下した。除脂肪体重は、CR処理がなされたマウスの場合と同様であった。
【0088】
[0098] CRでは、生存率が最高になり(80%)、その後に、食餌B(カクテルI+II、73%)が続いた。対照マウスは最低の生存率(46%)を有していた。サンプルのサイズが小さいので、CR又はカクテルI+IIが統計的に有意な影響を寿命に与えたか否かについて決定されなかった。
【0089】
[実施例3]
[0099] 脂質過酸化は、細胞及び組織の酸化的ストレスの指標であるので、CR及び様々な食餌が筋肉中の脂質過酸化に及ぼす影響について評価した。脂肪酸酸化副産物、マロンジアルデヒド(MDA)及び4−ヒドロキシアルケナール(4−HDA)のレベルを、カクテルA〜Dを摂取したマウス、並びにAIN−93M対照食餌が与えられた若齢マウス(5月齢)及び老齢マウス(26月齢)、及びCR食餌(食餌F)によるマウスの筋肉で決定した。図3に示されるように、カクテル食餌C(カクテルI+III)が与えられたマウスは、高レベルの脂質過酸化を示すことが判明した。これらのマウスの脂質過酸化レベルは、AIN−93M対照食餌が与えられた老齢マウスで観察されたレベルに、極めて近かった。これとは対照的に、食餌A(カクテルI)、B(カクテルI+II、p<0.05)及びD(カクテルI+II+III、p<0.05)が与えられた動物は、老齢マウスよりも低いレベルの脂質過酸化を示した。確かに、食餌A、B及びDを摂取するマウスの脂質過酸化レベルは、若齢マウスで観察された過酸化レベルに最も密接に近似していた。食餌A、B及びDが与えられたマウスは、CR食餌が与えられたマウスよりも低い脂質過酸化レベルを示し、食餌B(P<0.05)及びD(p<0.05)は、若齢マウスで観察されたレベルよりも低い脂質過酸化レベルをもたらすことが見出されたことに、注目すべきである。食餌A、B(p<0.05)及びD(p<0.05)は、CRマウスよりも低い脂質過酸化レベルをもたらし、食餌B(p<0.05)及びD(p<0.05)は、若齢マウスよりも低い脂質過酸化レベルもたらした。
【0090】
[実施例4]
[0100] 筋肉の老化による著しい影響を受けた遺伝子を決定するために、また、カロリー制限及び様々な栄養素ブレンドがそのような遺伝子の発現に及ぼす効果を決定するために、マイクロアレイ分析を実施した。UniGeneデータベース(Build 107、2002年6月、国立バイオテクノロジー情報センター)から生成された配列クラスタを含むAffymetrix GeneChip(登録商標)マウス発現セット430A(Affymetric,Inc.、Santa Clara、CA)を、Affymetrix GeneChip(登録商標)オペレーティングソフトウェアを使用して分析した。データを正規化し、バックグラウンドを分析から差し引いた。
【0091】
[0101] マイクロアレイデータ分析にかけられる遺伝子は、下記の基準に従って選択した:1)若齢マウス(5月齢)で検出されなかった遺伝子を除去;2)ステューデントt検定によって決定された、若齢マウス対老齢マウスでのシグナル強度の有意差(p値が<0.05又は<0.01(両側分布));及び3)シグナル強度の変化倍率:強度が≧1.2及び≦−1.2(若齢マウスに対して、老化マウスの20%上方制御又は下方制御に相当する)。
【0092】
[0102] 次いで、様々な食餌療法の効果を、選択された遺伝子に関して評価した。マウスに、実施例1で述べた食餌A〜Fのそれぞれを与えた。所与の食餌が老化に対する予防効果をもたらすか否かについて、マイクロアレイでのシグナル強度から評価した。下式を使用して、各食餌の予防効果を決定した。
{100−[(若齢−処理)×100/(若齢−老齢)]}
【0093】
[0103] この式によれば、所与の遺伝子に関し、所与の食餌療法で観察された効果が若齢マウスで観察された効果に等しい場合、その食餌処方物は、当該遺伝子における加齢性変化を100%予防した。所与の食餌療法で観察された効果が若齢マウスで観察された効果よりも高い場合、その食餌処方物は、遺伝子発現の加齢性変化を100%超予防した。所与の食餌療法で観察された効果が若齢マウスで観察された効果よりも低く、しかし老齢マウスで観察された効果よりも高いことが判明した場合、その食餌処方物は、遺伝子発現の加齢性変化を部分的に予防した。所与の食餌療法で観察された効果が若齢マウスで観察された効果よりも低いことが判明した場合、その食餌療法は、遺伝子発現の年齢誘導変化を促進させると見なした。
【0094】
[0104] マウス筋肉組織から選択された全ての遺伝子に関するシグナル強度の平均変化を、老齢マウスを基準として、各実験用食餌が与えられたマウスに関して計算し、その結果を図4に示す。全てのカクテル食餌は、老齢マウスに対して、筋肉組織遺伝子発現の年齢関連変化を部分的に予防した。食餌B(カクテルI+II)及びC(カクテルI+III)は、平均で30%よりもわずかに低い予防をもたらしたが、食餌A(カクテルI)及びD(カクテルI+II+III)は、平均で30%よりもわずかに高い予防をもたらした。食餌Fが与えられた動物(CR食餌療法)は、遺伝子発現の年齢誘導変化の40%よりも高い予防をもたらすことが観察された。
【0095】
[0105] 実験用食餌が統計的に有意な効果(p<0.01)を発揮することが判明した筋肉組織遺伝子の数を、下記表4−1に列挙する。
【0096】
【表6】
【0097】
[0106] 老化及び老化関連疾患に至る身体の変化には、高度なストレス誘導アポトーシス、高度な炎症、高度な酸化的ストレス、損なわれたインスリン−IGF−1経路、及び損なわれたインスリン感受性が含まれる。したがって、本明細書に記載のカロリー制限及び様々な実験用食餌を、これらの変化に関連した特定の遺伝子に対するそれぞれの効果に関して評価した。
【0098】
[0107] 図5は、CR及び食餌カクテルが、マウスから得た筋肉の老化誘導アポトーシス遺伝子変化に及ぼす予防効果を示す。全てのカクテル食餌は、老齢マウスに比べ、筋肉組織のアポトーシス関連遺伝子に対して測定可能な効果を示した。
【0099】
[0108] CR及び食餌カクテルの効果を、特定のアポトーシス関連遺伝子に関しても評価した。以下の表4−2に示すように、CR及び食餌カクテルは、老化によって誘導された、アポトーシス関連遺伝子の増加に対して、予防効果を発揮した。同様に、表4−3に示すように、CR及び食餌カクテルは、老化によって誘導された、アポトーシス関連遺伝子の減少に対して、予防効果を発揮した。
【0100】
【表7】
【0101】
【表8】
【0102】
[0109] 次に、老化関連ストレス応答遺伝子変化に対する、CR及び食餌カクテルの予防効果について、マウスから得た筋肉で評価した。その結果を図6に示す。筋肉組織の老化関連ストレス応答には、誘導性熱ショックタンパク質の高度な発現、DNA損傷誘導性遺伝子の高度な発現、及び酸化的ストレス誘導性遺伝子の高度な発現が含まれる。全てのカクテル食餌は、老齢マウスに比べ、筋肉組織の老化関連ストレス応答に対して測定可能な効果を示した(図6)
【0103】
[0110] CR及び食餌カクテルの効果を、筋肉の特定のストレス応答遺伝子に関しても評価した。表4−4は、老化によって誘導された、熱ショックタンパク質の増加に対する、CR及び食餌カクテルの予防効果を示す。表4−5は、老化によって誘導された、DNA損傷誘導性遺伝子の増加に対する、CR及び食餌カクテルの予防効果を示す。表4−6は、老化によって誘導された、酸化的ストレス誘導性遺伝子の増加に対する、CR及び食餌カクテルの予防効果を示す。表4−7は、老化によって誘導された、全体的にストレス関連遺伝子の増加に対する予防効果を示す。
【0104】
【表9】
【0105】
【表10】
【0106】
【表11】
【0107】
【表12】
【0108】
[0111] 次に、老化関連炎症応答遺伝子変化に対する、CR及び食餌カクテルの予防効果を、マウスから得た筋肉で評価し、その結果を図7に示す。全てのカクテルは、老齢マウスに比べ、老化関連ストレス応答遺伝子に対して測定可能な効果を示した。
【0109】
[0112] CR及び食餌カクテルの効果を、筋肉の特定の炎症応答遺伝子に関しても評価した。以下の表4−8に示すように、CR及び食餌カクテルは、老化によって誘導された炎症/免疫関連遺伝子の増加に対し、予防効果を発揮した。同様に、表4−9に示すように、CR及び食餌カクテルは、老化によって誘導された炎症/免疫関連遺伝子の減少に対して、予防効果を発揮した。
【0110】
【表13】
【0111】
【表14】
【0112】
[0113] 本明細書に記載の年齢、CR、及び様々な食餌処方物の、インスリン受容体基質1(IRS−I)に対する全体的な効果についても評価した。IRS−1シグナル強度は、カクテル食餌のそれぞれが与えられたマウス、及びカロリー制限食餌療法が施されたマウスの、マウス筋肉組織用のマイクロアレイで決定し、これらを、対照の若齢及び老齢マウスから得た筋肉組織のIRS−1シグナル強度と比較した(図8)。カクテル食餌A(I)、C(I+III)及びD(I+II+III)が与えられたマウスは、IRS−1に関して最低シグナル強度を示したが、この強度は、対照老齢マウスで観察されたIRS−1のシグナル強度よりも少しだけ高いものであった。カクテル食餌B(I+II)が与えられたマウスは、カクテル食餌の中で最高シグナル強度を示したが、この強度は、若齢対照で観察されたシグナル強度よりも少しだけ低いものであった。食餌F(CR)のマウスは、最高の全シグナル強度を示したが、この強度は、若齢対照マウスで観察されたシグナル強度よりも高いことが測定された。
【0113】
[0114] 老化によって誘導された、筋肉IRS−1発現の低減に対する、CR及び食餌カクテルの予防効果を、図9に示すように、マウスから得た筋肉で評価した。IRS−1シグナル強度に関して観察された結果(図8)と一致して、カクテル食餌A(I)、C(I+II)及びD(I+II+III)が与えられたマウスは、老化によって誘導されたIRS−1発現の低減に対して最低の予防効果を示した(図9)。カクテルB(I+II)が与えられたマウスは、試験がなされたカクテル食餌の中でも、IRS−1発現の低減に対して最強の予防効果を示した。CR食餌が与えられたマウスは、カクテルが与えられたマウスよりも、著しく高い予防効果を示したが、この効果は事実上、若齢対照で観察された効果よりも高いものであった。
【0114】
[0115] 概要: カロリー制限は、加齢性の遺伝子発現変化の40%よりも高い予防をもたらし、老化プロセス及び老化関連疾患、例えばアポトーシス遺伝子、ストレス関連遺伝子、DNA修復、及び炎症関連遺伝子発現に関わる多くの経路で年齢誘導変化の一部を部分的に遅らせ、マウス筋肉組織では、老化によって誘導されたインスリンシグナル伝達関連遺伝子発現の減少を、完全に予防した。全てのカクテル食餌は、老齢マウスに比べ、筋肉組織遺伝子発現の加齢性変化も部分的に予防した。食餌B(カクテルI+II)及びC(カクテルI+III)は、平均で30%よりもわずかに低い予防をもたらし、食餌A(カクテルI)及びD(カクテルI+II+III)は、平均で30%よりもわずかに高い予防をもたらした。さらに、本明細書に記載の栄養素ブレンドは、老化プロセス及び老化関連疾患、例えばアポトーシス遺伝子、ストレス関連遺伝子、DNA修復、及び老化関連疾患に関わる老化によって誘導された多くの経路を、部分的に後退させた。カクテルIだけは、老化によって誘導されたIRS−1発現の低下に対して、若干の予防効果を示した。カクテルI+IIは、カクテルI単独に比べ、老化によって誘導されたIRS−1発現の低減に対してより高い予防効果を示した。
【0115】
[実施例5]
[0116] リンパ球の老化によって著しい影響を受けた遺伝子を決定するために、また、カロリー制限及び様々な栄養素ブレンドがそのような遺伝子の発現に及ぼす影響を決定するために、マイクロアレイ分析を実施した。UniGeneデータベース(Build 107、2002年6月(国立バイオテクノロジー情報センター))から生成された配列クラスタを含むAffymetrix GeneChip(登録商標)マウス発現セット430A(Affymetric,Inc.、Santa Clara、CA)を、実施例4で述べたように、Affymetrix GeneChip(登録商標)オペレーティングソフトウェアを使用して分析した。マイクロアレイデータ分析にかけられる遺伝子は、選択された遺伝子に対する様々な食餌療法の影響の評価と同様に、実施例4で述べた基準に従って選択した。
【0116】
[0117] マウス筋肉組織から選択された、全ての遺伝子に関するシグナル強度の平均変化を、老齢マウスを基準として、各実験用食餌が与えられたマウスに関して計算し、その結果を表5−1に示す。
【0117】
【表15】
【0118】
[0118] 表5−1から明らかなように、全てのカクテル食餌、並びにCRは、老齢マウスに比べ、リンパ球遺伝子発現の加齢性変化を予防した。食餌A(カクテルI)、C(カクテルI+III)及びF(CR)は、平均で40%よりもわずかに少ない予防をもたらし、食餌B(カクテルI+II)及びD(カクテルI+II+III)は、平均で40%よりもわずかに高い予防をもたらした。
【0119】
[実施例6]
[0119] 脂肪組織で老化による著しい影響を受けた遺伝子を決定するために、また、そのような遺伝子の発現に対するカロリー制限及び様々な栄養素ブレンドの効果を決定するために、マイクロアレイ分析を実施した。UniGeneデータベース(Build 107、2002年6月、国立バイオテクノロジー情報センター)から生成された配列クラスタを含むAffymetrix GeneChip(登録商標)マウス発現セット430A(Affymetric,Inc.、Santa Clara、CA)を、実施例4で述べたように、Affymetrix GeneChip(登録商標)オペレーティングソフトウェアを使用して分析した。マイクロデータ分析にかけられる遺伝子は、選択された遺伝子に対する様々な食餌療法の効果の評価と同様に、実施例4で述べた基準に従って選択された。
【0120】
[0120] 図10は、脂肪組織遺伝子発現の加齢性変化の概要を示す。図から明らかなように、様々な種々の既知又は未知の機能を示す643個の遺伝子は、老齢マウスにおいて若齢マウスとは異なる発現レベルを示した(p<0.01)。
【0121】
[0121] 脂肪組織における加齢性の遺伝子発現に対するCR又は食餌療法の影響を、図10及び表6−1に示す。
【0122】
【表16】
【0123】
[0122] 図11から明らかなように、CRと食餌A〜Dのそれぞれ(及び組合せ)は、遺伝子発現で観察される加齢性変化を、あるパーセンテージで予防した。最大の影響はCRで観察され、しかし著しい影響は、試験がなされた食餌のそれぞれでも観察された。表6−1は、機能によって影響を受けた遺伝子の崩壊を示す。
【0124】
[0123] 図12〜16は、データの種々の分析を示す。これらの分析では、特定遺伝子発現の加齢性変化に対する、CR又は4種の食餌のそれぞれの影響をプロットした。加齢性の発現変化、及びCR又は食餌に関連した発現変化を有する遺伝子のみ示した。各プロットのX軸は、老齢マウス対若齢マウスでの発現の増加又は減少倍率を示す。各プロットのY軸は、処理(CR又は食餌A〜Dの1種)の結果としての、当該遺伝子の遺伝子発現の増加又は減少倍率を示す。このように、例えば、特定の遺伝子の発現が、若齢マウスに対して老齢マウスにおいて10倍増加を示し、食餌療法の結果、6分の1の減少を示す場合、当該処理は、その特定の遺伝子の発現の加齢性変化を予防又は後退させると言える。したがって、図12〜16に示される各プロットの左上象限及び右下象限は、少なくとも部分的には、食餌の介入によって加齢性の発現変化を予防することができる遺伝子を示す。これとは対照的に、図12〜16に示される各プロットの右上象限及び左下象限は、加齢性の発現変化が食餌の介入によって影響を受けそうにない遺伝子を示す。
【0125】
[0124] 図12〜16から明らかなように、発現が老化及びそれぞれの食餌療法によって影響を受ける遺伝子の数の中で、大多数の加齢性変化は、食餌療法によって様々な程度まで予防され後退された。これらの結果は、68%(食餌D、カクテルI+II+III)から97%(CR)に及んだ。
【0126】
[0125] 上述のデータをまとめると、CRは、脂肪組織遺伝子発現の年齢関連変化の最多数を予防することが観察された。食餌A、B、C及びDも、遺伝子発現の多くの年齢関連変化の発生に、対抗していた。一例として、Pltp発現は、おそらくは全ての食餌に存在するカクテルIの影響が原因で、全ての食餌によって増大したことに留意されたい。
【0127】
[0126] タンパク質CD59aは、膜侵襲複合体の制御因子として知られている(補体カスケード)。老齢マウス対若齢マウスにおけるこの遺伝子の発現であり、また、食餌療法によって影響を受けたものについて、試験を行った。結果を表17に示す。この図から明らかなように、この遺伝子の発現は、若齢被験体に比べ、加齢被験体において1.6倍増加した。すなわち、CR及び食餌A〜Dのそれぞれは、「老齢」対照に比べてこの遺伝子の発現を減少させることができ、場合によっては、「若齢」対照で観察された値よりもさらに少ない。
【0128】
[0127] 本発明は、既に記述・例示された実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲内で変更・修正することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】食餌を与え又はCRを行った動物の重量を示す図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(201LA=カクテルI、201LB=カクテルI+II、201LC=カクテルI+III、及び201LD=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、カクテルIIを含有する2種の試験用食餌(201LB及び201LD)で維持されたマウスは、その体重が、食物摂取量を低下させることなく、CR食餌で維持されたマウスの場合に匹敵するレベルにまで低下した。
【図2】食餌を与え又はカロリー制限を行った動物の、体重(BW)、枝肉重量(SCW)又は全脂肪パッド重量の変化を示す図である。中年期のオスのマウス(C57B/L6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(201LA=カクテルI、201LB=カクテルI+II、201LC=カクテルI+III、及び201LD=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、カクテルIIを含有する2種の試験用食餌(201LB及び201LD)で維持されたマウスは、CRマウスの場合に匹敵する体重及び枝肉重量を有しており(上部パネル)、一方、カクテルIIを含有する2種の試験用食餌(201LB及び201LD)で維持されたマウスの全脂肪パッド重量は、CRマウスの場合よりも50%少なかった(下部パネル)。
【図3】それぞれ食餌を与え又はCRを行った動物での、マロニルジアルデヒド(MDA)及び4−ヒドロキシアルケナール(4−HDA)の濃度を示す図である。中年期のオスのマウス(C57B/L6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(201LA=カクテルI、201LB=カクテルI+II、201LC=カクテルI+III、及び201LD=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、筋肉脂質過酸化生成物(MDA及び4−HDA)は、カクテルI+IIIを含有する試験用食餌が与えられたマウスで最高になり、続いて対照食餌が与えられた高齢マウスであった。カクテルIのみ含有する試験用食餌は、CRマウスの場合に匹敵する程度にMDA及び4−HDAを減少させた。2種の試験用食餌(201LB及び201LD)は、若齢マウスの場合よりも低いレベルにまで、筋肉MDA及び4−HDAをさらに減少させた。
【図4】遺伝子発現に対する老化防止効果(対照と比較した%)を示す図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(201LA=カクテルI、201LB=カクテルI+II、201LC=カクテルI+III、及び201LD=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスの遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。平均老化防止効果を、各試験用食餌及びCRに関して計算した。例えば、p値が0.01未満では、合計で431個の遺伝子が老化の影響を受け、CRは、これらの老化誘導遺伝子発現の変化を、平均で43%だけ防止した。栄養カクテルI、I+II、I+III、及びI+II+IIIは、これらの老化誘導遺伝子発現の変化を、それぞれ平均で29、27、24、及び30%防止した。同様の老化防止効果は、合計で1530個の遺伝子が老化の影響を受けるp<0.05のとき、CR及び栄養の両方で観察された。
【図5】アポトーシス関連の遺伝子発現に対する老化防止効果(対照と比較した%)を示す図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(201LA=カクテルI、201LB=カクテルI+II、201LC=カクテルI+III、及び201LD=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスの遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。アポトーシスに関与する老化の影響を受けた遺伝子に対する平均老化防止効果を、p<0.01又は0.05で、各試験用食餌及びCRに関して計算した。
【図6】ストレス応答遺伝子発現に対する老化防止効果(対照と比較した%)を示す図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(201LA=カクテルI、201LB=カクテルI+II、201LC=カクテルI+III、及び201LD=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスの遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。ストレス応答に関与する老化の影響を受けた遺伝子への平均老化防止効果を、p<0.01又は0.05で、各試験用食餌及びCRに関して計算した。
【図7】炎症応答遺伝子発現に対する老化防止効果(対照と比較した%)を示す図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(201LA=カクテルI、201LB=カクテルI+II、201LC=カクテルI+III、及び201LD=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスの遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。炎症応答に関与する老化の影響を受けた遺伝子への平均老化防止効果を、p<0.01又は0.05で、各試験用食餌及びCRに関して計算した。
【図8】インスリン受容体基質−1遺伝子発現の発現に関するマイクロアレイシグナル強度を示す図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(201LA=カクテルI、201LB=カクテルI+II、201LC=カクテルI+III、及び201LD=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスの遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。IRS−1シグナル強度を、カクテル食餌のそれぞれを与えたマウス、及びカロリー制限食餌療法を施したマウスのマウス筋肉組織に関してマイクロアレイで決定し、対照の若齢マウス及び老齢マウスから得た筋肉組織のIRS−1シグナル強度と比較した。
【図9】インスリン受容体基質1遺伝子発現に対する老化防止効果(対照と比較した%)を示す図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(201LA=カクテルI、201LB=カクテルI+II、201LC=カクテルI+III、及び201LD=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスの遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。老化によって誘導されたIRS−1の低減に対する平均予防効果を、p<0.01で、各試験用食餌及びCRに関して計算した。CRは、骨格筋において、老化によって誘導されたIRS−1遺伝子発現の低減を、完全に(100%)予防し、次いでカクテルI+IIが続いた(78%)。
【図10】脂肪組織遺伝子発現の加齢性変化の概要を示す図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(201LA=カクテルI、201LB=カクテルI+II、201LC=カクテルI+III、及び201LD=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスの遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。マウス白色脂肪組織の遺伝子発現の加齢性変化をまとめる。
【図11】遺伝子発現の加齢性変化に対する食餌の影響の概要を示す図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(食餌A=カクテルI、食餌B=カクテルI+II、食餌C=カクテルI+III、及び食餌D=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスの遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。CR又は栄養カクテルによって遅くなった、マウス白色脂肪組織での老化による影響を受けた遺伝子のパーセンテージを示す。p<0.01で、CRは、老化による影響を受けた遺伝子の23%を抑制し、次いでカクテルI及びカクテルI+II(15%)であった。p<0.05、CRは、老化による影響を受けた遺伝子の42%を抑制し、次いでカクテルI+II(31%)、カクテルI(27%)、カクテルI+III(27%)、及びカクテルI+II+III(22%)であった。全ての試験用食餌は、一般に、老化による影響を受けた遺伝子の0.5(p<0.01)から1.5%(p<0.05)を抑制した。
【図12】カロリー制限(CR)によって、遺伝子発現の加齢性変化を遅延させることができることを示す分布図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(食餌A=カクテルI、食餌B=カクテルI+II、食餌C=カクテルI+III、及び食餌D=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスから得た白色脂肪組織の遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。合計で643個の遺伝子が、P<0.01で加齢に伴って著しく変化した。この「老化遺伝子」の組のうち、281個の遺伝子はP<0.05でカロリー制限(CR)により変化し、CRは、これら281個の遺伝子のうち272個について、加齢性変化を予防した。この分布図において、x軸は年齢による変化倍率を表し、y軸は、CRによる変化倍率を表す。黒丸は、CRによる発現変化がP<0.01で有意である遺伝子を表し;白丸は、CRによる発現変化がP<0.05で有意である遺伝子を表す。
【図13】食餌Aによって、遺伝子発現の加齢性変化を遅延させることができることを示す分布図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(食餌A=カクテルI、食餌B=カクテルI+II、食餌C=カクテルI+III、及び食餌D=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスから得た白色脂肪組織の遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。合計で643個の遺伝子が、P<0.01で加齢に伴って著しく変化した。この「老化遺伝子」の組のうち、187個の遺伝子はP<0.05で食餌Aにより変化し、食餌Aは、これら187個の遺伝子のうち178個について、加齢性変化を予防した。この分布図において、x軸は年齢による変化倍率を表し、y軸は、食餌Aによる変化倍率を表す。黒丸は、食餌Aによる発現変化がP<0.01で有意である遺伝子を表し;白丸は、食餌Aによる発現変化がP<0.05で有意である遺伝子を表す。
【図14】食餌Bによって、遺伝子発現の加齢性変化を遅延させることができることを示す分布図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(食餌A=カクテルI、食餌B=カクテルI+II、食餌C=カクテルI+III、及び食餌D=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスから得た白色脂肪組織の遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。合計で643個の遺伝子が、P<0.01で加齢に伴って著しく変化した。この「老化遺伝子」の組のうち、240個の遺伝子はP<0.05で食餌Bにより変化し、食餌Bは、これら240個の遺伝子のうち199個について、加齢性変化を予防した。この分布図において、x軸は年齢による変化倍率を表し、y軸は、食餌Bによる変化倍率を表す。黒丸は、食餌Bによる発現変化がP<0.01で有意である遺伝子を表し;白丸は、食餌Bによる発現変化がP<0.05で有意である遺伝子を表す。
【図15】食餌Cによって、遺伝子発現の加齢性変化を遅延させることができることを示す分布図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(食餌A=カクテルI、食餌B=カクテルI+II、食餌C=カクテルI+III、及び食餌D=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスから得た白色脂肪組織の遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。合計で643個の遺伝子が、P<0.01で加齢に伴って著しく変化した。この「老化遺伝子」の組のうち、179個の遺伝子はP<0.05で食餌Cにより変化し、食餌Cは、これら179個の遺伝子のうち171個について、加齢性変化を予防した。この分布図において、x軸は年齢による変化倍率を表し、y軸は、食餌Cによる変化倍率を表す。黒丸は、食餌Cによる発現変化がP<0.01で有意である遺伝子を表し;白丸は、食餌Cによる発現変化がP<0.05で有意である遺伝子を表す。
【図16】食餌Dによって、遺伝子発現の加齢性変化を遅延させることができることを示す分布図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(食餌A=カクテルI、食餌B=カクテルI+II、食餌C=カクテルI+III、及び食餌D=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスから得た白色脂肪組織の遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。合計で643個の遺伝子が、P<0.01で加齢に伴って著しく変化した。この「老化遺伝子」の組のうち、205個の遺伝子はP<0.05で食餌Dにより変化し、食餌Dは、これら205個の遺伝子のうち140個について、加齢性変化を予防した。この分布図において、x軸は年齢による変化倍率を表し、y軸は、食餌Dによる変化倍率を表す。黒丸は、食餌Dによる発現変化がP<0.01で有意である遺伝子を表し;白丸は、食餌Dによる発現変化がP<0.05で有意である遺伝子を表す。
【図17】CD59a遺伝子発現の加齢性変化に対する食餌の影響の概要を示す図である。中年期のオスのマウス(C57B1/6、群当たり15匹のマウス)に、24g/週対照(201LE)又は試験用食餌(食餌A=カクテルI、食餌B=カクテルI+II、食餌C=カクテルI+III、及び食餌D=カクテルI+II+III)又は18g/週カロリー制限(CR)食餌(901LF)を与えた。与えてから11カ月後、若齢マウス、老齢マウス、CRマウス、及び4種の試験用食餌が与えられたマウスから得た白色脂肪組織の遺伝子発現プロファイルを、Affymetrixマウス430A GeneChip(登録商標)アレイで分析した。合計で643個の遺伝子が、P<0.01で加齢に伴って著しく変化した。CD59a遺伝子発現の加齢性増加は、CR及び全ての試験用食餌によって抑制された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カロリー制限による少なくとも1つの長寿促進効果を模倣することによって寿命を伸長させる成分の下記5カテゴリー、のうちの異なるカテゴリーに各々が属する少なくとも3種の成分を含む食餌処方物。
(a)抗酸化剤
(b)抗糖化剤
(c)体重又は体脂肪の低減剤
(d)高インスリン感受性又は低血中インスリン若しくは低血中グルコースの促進剤
(e)抗炎症剤
【請求項2】
抗酸化剤が水溶性である、請求項1に記載の処方物。
【請求項3】
水溶性抗酸化剤が、ビタミンC、ポリフェノール、プロアントシアニジン、アントシアニン、バイオフラボノイド、セレン源、α−リポ酸、グルタチオン、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、没食子酸エピガロカテキン、没食子酸エピカテキン、又はシステイン、の1種又は複数を含む、請求項2に記載の処方物。
【請求項4】
セレン源が、亜セレン酸ナトリウム、セレン酸ナトリウム又はL−セレノメチオニンの少なくとも1種である、請求項3に記載の処方物。
【請求項5】
抗酸化剤が脂溶性である、請求項1に記載の処方物。
【請求項6】
脂溶性抗酸化剤が、ビタミンE、γ−トコフェロール、α−カロテン、β−カロテン、ルテイン、ゼアキサンチン、レチナール、アスタキサンチン、クリプトキサンチン、天然混合カロテノイド、リコペン、又はレスベラトロール、の1種又は複数を含む、請求項4に記載の処方物。
【請求項7】
脂溶性及び水溶性抗酸化剤を含有する、請求項1に記載の処方物。
【請求項8】
抗酸化剤が、ビタミンE、ビタミンC、天然カロテノイド、セレン源及びリコペンを含む、請求項6に記載の処方物。
【請求項9】
抗糖化剤が、カルノシン又はアミノグアニジンの1種又は複数を含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項10】
体重又は体脂肪の低減剤が、共役リノール酸、L−カルニチン、アセチル−L−カルニチン、ピルベート、多価不飽和脂肪酸、中鎖脂肪酸、中鎖トリグリセリド、又は大豆イソフラボン及びその代謝物、の1種又は複数を含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項11】
高インスリン感受性又は低血中インスリン若しくは低血中グルコースの促進剤が、クロム源、シナモン、シナモン抽出物、シナモン及びウィッチヘーゼルに由来のポリフェノール、コーヒー豆抽出物、クロロゲン酸、カフェイン酸、亜鉛源、又はブドウ種子抽出物、の1種又は複数を含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項12】
抗炎症剤が、ω−3脂肪酸源又はクルクミン源の1種又は複数を含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項13】
ω−3脂肪酸源が、α−リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、亜麻仁、亜麻油、クルミ、キャノーラ油、小麦胚芽、又は魚油、の少なくとも1種である、請求項12に記載の処方物。
【請求項14】
クルクミン源が、(1,7−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ヘプタ−1,6−ジエン−3,5−ジオン;1−(4−ヒドロキシフェニル)−7−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ヘプタ−1,6−ジエン−3,5−ジオン;1,7−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタ−1,6−ジエン−3,5−ジオン)、デメトキシクルクミン、又はビスデメトキシクルクミンである、請求項12に記載の処方物。
【請求項15】
少なくとも1種の糖化損傷の阻害剤と、少なくとも1種の体重及び脂肪の低減剤と、少なくとも1種の高グルコース感受性及び低血中インスリン/グルコースの促進剤と、を含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項16】
少なくとも1種の抗酸化剤をさらに含む、請求項15に記載の処方物。
【請求項17】
少なくとも1種の抗炎症剤をさらに含む、請求項16に記載の処方物。
【請求項18】
少なくとも1種の抗酸化剤及び少なくとも1種の抗炎症剤を含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項19】
動物用飼料、栄養補助食品又はヒト用食品であり、請求項1に記載の処方物を含む組成物。
【請求項20】
コンパニオンアニマルによる摂取のために処方された動物用飼料又は栄養補助食品である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
コンパニオンアニマルがイヌ又はネコである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
動物の寿命を伸長するための方法であって、
カロリー制限による少なくとも1つの長寿促進効果を模倣することによって寿命を伸長させる成分の下記5カテゴリー、のうちの異なるカテゴリーに各々が属する少なくとも3種の成分を含む食餌処方物を、当該動物の寿命を伸長させるのに有効な量で規則的に動物に投与するステップを含む方法。
(a)抗酸化剤
(b)抗糖化剤
(c)体重又は体脂肪の低減剤
(d)高インスリン感受性又は低血中インスリン若しくは低血中グルコースの促進剤
(e)抗炎症剤
【請求項23】
前記動物がコンパニオンアニマルである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記動物がイヌ又はネコである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
食餌処方物が、動物用飼料又は栄養補助食品の一部である、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
食餌処方物が、1日当たり1回又は複数回、1週当たり1回又は複数回、或いは1カ月当たり1回又は複数回、から選択される食餌療法の一部として投与される、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
動物の寿命を伸長するための組成物の製造における食餌処方物の使用であって、
食餌処方物は、カロリー制限による少なくとも1つの長寿促進効果を模倣することによって寿命を伸長させる成分の下記5カテゴリー、のうちの異なるカテゴリーに各々が属する少なくとも3種の成分を含む使用。
(a)抗酸化剤
(b)抗糖化剤
(c)体重又は体脂肪の低減剤
(d)高インスリン感受性又は低血中インスリン若しくは低血中グルコースの促進剤
(e)抗炎症剤
【請求項28】
前記動物がコンパニオンアニマルである、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
前記動物がイヌ又はネコである、請求項28に記載の使用。
【請求項30】
食餌処方物が、動物用飼料又は栄養補助食品の一部である、請求項27に記載の使用。
【請求項31】
食餌処方物が、1日当たり1回又は複数回、1週当たり1回又は複数回、或いは1カ月当たり1回又は複数回、から選択される食餌療法の一部として投与される、請求項27に記載の使用。
【請求項1】
カロリー制限による少なくとも1つの長寿促進効果を模倣することによって寿命を伸長させる成分の下記5カテゴリー、のうちの異なるカテゴリーに各々が属する少なくとも3種の成分を含む食餌処方物。
(a)抗酸化剤
(b)抗糖化剤
(c)体重又は体脂肪の低減剤
(d)高インスリン感受性又は低血中インスリン若しくは低血中グルコースの促進剤
(e)抗炎症剤
【請求項2】
抗酸化剤が水溶性である、請求項1に記載の処方物。
【請求項3】
水溶性抗酸化剤が、ビタミンC、ポリフェノール、プロアントシアニジン、アントシアニン、バイオフラボノイド、セレン源、α−リポ酸、グルタチオン、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、没食子酸エピガロカテキン、没食子酸エピカテキン、又はシステイン、の1種又は複数を含む、請求項2に記載の処方物。
【請求項4】
セレン源が、亜セレン酸ナトリウム、セレン酸ナトリウム又はL−セレノメチオニンの少なくとも1種である、請求項3に記載の処方物。
【請求項5】
抗酸化剤が脂溶性である、請求項1に記載の処方物。
【請求項6】
脂溶性抗酸化剤が、ビタミンE、γ−トコフェロール、α−カロテン、β−カロテン、ルテイン、ゼアキサンチン、レチナール、アスタキサンチン、クリプトキサンチン、天然混合カロテノイド、リコペン、又はレスベラトロール、の1種又は複数を含む、請求項4に記載の処方物。
【請求項7】
脂溶性及び水溶性抗酸化剤を含有する、請求項1に記載の処方物。
【請求項8】
抗酸化剤が、ビタミンE、ビタミンC、天然カロテノイド、セレン源及びリコペンを含む、請求項6に記載の処方物。
【請求項9】
抗糖化剤が、カルノシン又はアミノグアニジンの1種又は複数を含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項10】
体重又は体脂肪の低減剤が、共役リノール酸、L−カルニチン、アセチル−L−カルニチン、ピルベート、多価不飽和脂肪酸、中鎖脂肪酸、中鎖トリグリセリド、又は大豆イソフラボン及びその代謝物、の1種又は複数を含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項11】
高インスリン感受性又は低血中インスリン若しくは低血中グルコースの促進剤が、クロム源、シナモン、シナモン抽出物、シナモン及びウィッチヘーゼルに由来のポリフェノール、コーヒー豆抽出物、クロロゲン酸、カフェイン酸、亜鉛源、又はブドウ種子抽出物、の1種又は複数を含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項12】
抗炎症剤が、ω−3脂肪酸源又はクルクミン源の1種又は複数を含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項13】
ω−3脂肪酸源が、α−リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、亜麻仁、亜麻油、クルミ、キャノーラ油、小麦胚芽、又は魚油、の少なくとも1種である、請求項12に記載の処方物。
【請求項14】
クルクミン源が、(1,7−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ヘプタ−1,6−ジエン−3,5−ジオン;1−(4−ヒドロキシフェニル)−7−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−ヘプタ−1,6−ジエン−3,5−ジオン;1,7−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタ−1,6−ジエン−3,5−ジオン)、デメトキシクルクミン、又はビスデメトキシクルクミンである、請求項12に記載の処方物。
【請求項15】
少なくとも1種の糖化損傷の阻害剤と、少なくとも1種の体重及び脂肪の低減剤と、少なくとも1種の高グルコース感受性及び低血中インスリン/グルコースの促進剤と、を含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項16】
少なくとも1種の抗酸化剤をさらに含む、請求項15に記載の処方物。
【請求項17】
少なくとも1種の抗炎症剤をさらに含む、請求項16に記載の処方物。
【請求項18】
少なくとも1種の抗酸化剤及び少なくとも1種の抗炎症剤を含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項19】
動物用飼料、栄養補助食品又はヒト用食品であり、請求項1に記載の処方物を含む組成物。
【請求項20】
コンパニオンアニマルによる摂取のために処方された動物用飼料又は栄養補助食品である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
コンパニオンアニマルがイヌ又はネコである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
動物の寿命を伸長するための方法であって、
カロリー制限による少なくとも1つの長寿促進効果を模倣することによって寿命を伸長させる成分の下記5カテゴリー、のうちの異なるカテゴリーに各々が属する少なくとも3種の成分を含む食餌処方物を、当該動物の寿命を伸長させるのに有効な量で規則的に動物に投与するステップを含む方法。
(a)抗酸化剤
(b)抗糖化剤
(c)体重又は体脂肪の低減剤
(d)高インスリン感受性又は低血中インスリン若しくは低血中グルコースの促進剤
(e)抗炎症剤
【請求項23】
前記動物がコンパニオンアニマルである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記動物がイヌ又はネコである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
食餌処方物が、動物用飼料又は栄養補助食品の一部である、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
食餌処方物が、1日当たり1回又は複数回、1週当たり1回又は複数回、或いは1カ月当たり1回又は複数回、から選択される食餌療法の一部として投与される、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
動物の寿命を伸長するための組成物の製造における食餌処方物の使用であって、
食餌処方物は、カロリー制限による少なくとも1つの長寿促進効果を模倣することによって寿命を伸長させる成分の下記5カテゴリー、のうちの異なるカテゴリーに各々が属する少なくとも3種の成分を含む使用。
(a)抗酸化剤
(b)抗糖化剤
(c)体重又は体脂肪の低減剤
(d)高インスリン感受性又は低血中インスリン若しくは低血中グルコースの促進剤
(e)抗炎症剤
【請求項28】
前記動物がコンパニオンアニマルである、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
前記動物がイヌ又はネコである、請求項28に記載の使用。
【請求項30】
食餌処方物が、動物用飼料又は栄養補助食品の一部である、請求項27に記載の使用。
【請求項31】
食餌処方物が、1日当たり1回又は複数回、1週当たり1回又は複数回、或いは1カ月当たり1回又は複数回、から選択される食餌療法の一部として投与される、請求項27に記載の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2009−536148(P2009−536148A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552742(P2008−552742)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【国際出願番号】PCT/EP2007/000837
【国際公開番号】WO2007/088046
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【国際出願番号】PCT/EP2007/000837
【国際公開番号】WO2007/088046
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]