封止ギャップを封止するシール及びこのタイプのシールの製造方法
【課題】本発明は、ばねが少なくとも一つの爪要素を有し、それによってばね要素がシールボディに連結されるシールに関する。
【解決手段】第1の部品(102)と第2の部品(108)の間の封止ギャップ(112)を封止するシールであって、少なくとも一つの封止部分(130,134)を含むシールボディ(128)と、封止部分(130,134)を封止される部品(102,108)の少なくとも一方に対して付勢する少なくとも一つのばね要素(152)と、を備え、ばね要素(152)は少なくとも部分的にシールボディ(128)の受容スペース(140)内に配置され、ばね要素(152)は少なくとも一つの爪要素(168)を有し、それによってばね要素(152)がシールボディ(128)に連結される。
【解決手段】第1の部品(102)と第2の部品(108)の間の封止ギャップ(112)を封止するシールであって、少なくとも一つの封止部分(130,134)を含むシールボディ(128)と、封止部分(130,134)を封止される部品(102,108)の少なくとも一方に対して付勢する少なくとも一つのばね要素(152)と、を備え、ばね要素(152)は少なくとも部分的にシールボディ(128)の受容スペース(140)内に配置され、ばね要素(152)は少なくとも一つの爪要素(168)を有し、それによってばね要素(152)がシールボディ(128)に連結される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の部品と第2の部品の間の封止ギャップを封止するシールに関し、シールは少なくとも一つの封止部分を有するシールボディと、封止する部品の一つに封止部分を付勢する少なくとも一つのばね要素を備え、ばね要素は少なくとも部分的に、好ましくは実質的に完全にシールボディの受容スペース内に配置されるシールに関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプのシールは従来から知られている。特に、このタイプのシールはElringKlingen Kunstofftechnik GmbH社、74321 Bietigheim-Bissingen, Germanyから商品名“ばね補助リップシール”で市販されている。
【0003】
ばね要素が受容スペースから意図せずに出てしまわないように確保するために、これらの公知のシールのシールボディにはいわゆる保持ラグが設けられており、ばね要素が受容スペースに進入するときこのラグを通過し、ラグには切り込みが形成されていてばね要素の背後で掛け金のように働いて、受容スペース内にばね要素が保持ラグによって保持されるようになる。
【0004】
しかし、保持ラグを作るためには余分な旋削作業工程が必要であり、そのために別の旋削工具が必要になる。この旋削工具は比較的デリケートであるため、非常に速く摩耗し、特にシールボディの材料に含まれる充填材のために速く摩耗する。旋削工具の摩耗のため、保持ラグは完全に旋削されなくなる。その結果、望ましくないけば片が生じ、シールを使用している間にそれがシールボディから脱離してシールの密封性に問題を生じたり、シールを含むアセンブリに問題が生じたりする(例えば、ノズルやフィルタのつまりを生ずる)。
【0005】
したがって、旋削工具を比較的頻繁に交換する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、始めに述べたようなタイプのシールであって、単純な構成を有し、容易に製造でき、それにもかかわらずばね要素を受容スペースに確実に保持することができるシールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、本発明によって、ばねが少なくとも一つの爪要素を有し、それによってばね要素がシールボディに連結されるという請求項1の特徴を備えたシールによって達成される。
【0008】
したがって、本発明は、ばね要素がシールボディの受容スペースから意図せずに離れることがもはや不可能であるようにばね要素自身がシールボディとポジティブに及び/又は非ポジティブに連結するという考え方に基づいている。
【0009】
したがって、本発明に係わるシールでは、シールボディに保持ノーズを設けることはもはや必要ない。
【0010】
その結果、保持ラグの製造のために、工具の急速な摩耗と高いコスト出費を伴うシールボディの面倒な数値制御による機械加工の必要はなくなる。さらに、保持ラグに望ましくないけばが形成される危険もなくなる。
【0011】
本発明によるシールのばね要素はシールボディに確保される。
【0012】
基本的に、シールの使用条件の下で安定などんな適当な材料もシールボディの製造に使用できる。
【0013】
特に、シールボディはプラスチック材料を用いることができ、好ましくは実質的に完全にプラスチック材料から製造できる。
【0014】
可能なプラスチック材料としては、特にフッ素ポリマー物質があげられる。
【0015】
シールボディがポリテトラフルオロエチレン物質及び/又はポリテトラフルオロエチレン化合物を含み、好ましくは実質的に完全に上述の材料の一つから成る場合、腐食性のある環境におけるシール要素の使用に特に有利である。
【0016】
ここでポリテトラフルオロエチレン化合物とは、ポリテトラフルオロエチレン物質と一つ以上の充填剤の混合物を意味するものとする。
【0017】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)という語は、本明細書と添付された特許請求の範囲において、ポリテトラフルオロエチレンのフッ素原子のいくつかが置換元素で置換された改質ポリテトラフルオロエチレン物質も指す。
【0018】
保持ラグを製造するためのデリケートな旋削工具の必要がなくなったので、本発明よるシールのシールボディにPTFE化合物、特に高度に充填された(言い換えると、高い割合で充填剤を含む)、機械加工が難しいPTFE化合物を用いても、シールボディの製造に要するCNC工具コストが大きく増加することはない。
【0019】
あるいはまた、又はそれに加えて、シールボディは融解加工性TFE(テトラフルオロエチレン)コポリマー又は融解加工性TFEコポリマーの化合物を含む、好ましくは実質的に完全にこのタイプの融解加工性TFEコポリマー又はこのタイプの融解加工性TFEコポリマーの化合物から形成されることも考えられる。
【0020】
適当な融解加工性TFEコポリマーは、詳しくはEP 1 263 877 B1に記載されている。
【0021】
TFE及びフッ素化コモノマーから作られる融解加工性TFEコポリマーは、好ましくは1モル%未満の比率で用いられる。
【0022】
コモノマーは、好ましくは以下のものから選択される。
ヘキサフルオロプロピレン、
パーフルオロアルキルビニルエーテル(特に、パーフルオロエチルビニルエーテル及びパーフルオロプロピルビニルエーテル)、
パーフルオロ(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール)。
【0023】
シールのある特別な形態では、シールボディは射出成形部品として、好ましくは融解加工性TFEコポリマー又は融解加工性TFEコポリマーの化合物から構成される。
【0024】
シールボディがばね要素を受容スペースに保持するための保持用突起を含まない、特に保持ラグを含まない場合、射出成形されたシールボディは射出成形ツールから容易に取り出すことができる形態になるので、シールボディは特に容易に射出成形部品として製造できる。
【0025】
ばね要素は一つ以上の爪要素を有し、それは好ましくはばね要素の拡がったウエブ部材上に配置されている。
【0026】
爪要素によって、シールボディと連結されたばねは自動的に受容スペースに中心が位置する。したがって、ばね要素はシールボディ上に組み立てられた後ではもはや受容スペースの境界壁に対して動かず、好ましくは受容スペース内で、封止される異なる部品に当接するシールボディの互いに対向する封止部分に実質的に同じ付勢力を及ぼすように位置する。その結果、それぞれのふっしされる部品に対して封止部分の封止リップがきわめて一様な接触圧力を及ぼすことができ、本発明によるシールのきわめて良い流体密閉性を達成することができる。
【0027】
さらに、シールボディの受容スペースにばね要素が自動的に中心位置を合わせるということは、ばね要素の周方向で封止部分にばね要素が及ぼす付勢力が実質的に一定であるということを意味する。これはまた、シールの周縁方向での封止リップの接触圧を一様化することになり、それは本発明によるシールの流体密閉性を高め、漏れの危険を減らす。
【0028】
これに反し、ばね要素が保持ラグによってのみ受容スペースに保持されるばね補助リップシールの場合、ばね要素の後部はシールボディの溝形状とばね形状の許容誤差の集積のために溝基部で動くことができ、ばね要素は内側封止部分上又は外側封止部分上のどちらかに落ち着くようになる。その結果、ばね要素はシールボディの互いに対向する封止部分に異なる付勢力を及ぼすことになり、その結果、封止される部品に対して異なる封止力を及ぼすことになる。
【0029】
さらに、保持ラグだけによってシールボディの受容スペースに保持されるばね要素は受容スペースを形成する溝の中心に自動的に位置せず、したがってシールボディの封止部分で異なる封止リップ接触圧力が発生し、そのために漏れが生ずる可能性がある。
【0030】
これらの欠点は、ばね要素がシールボディと連動している本発明によるシールによって解消又は少なくとも軽減される。
【0031】
シールボディ上の保持ラグが不要になったので、シールボディ上にばね要素を組み立てるさいにこのタイプの保持ラグが損傷する危険性ももはやなくなる。保持ラグの損傷のためにけばが新たに発生する可能性もなくなる。さらに、保持ラグの欠陥のためにばね要素が受容スペースから外れてシールの故障を引き起こす危険ももはやなくなる。
【0032】
本発明のある好ましい形態では、ばね要素は蛇行する形状のベースボディを備えることが想定される。
【0033】
少なくとも一つの爪要素はばね要素のベースボディ上に配置された少なくとも一つの突起を有する。
【0034】
シールボディが円環状である場合、少なくとも一つの爪要素が好ましくはばね要素のベースボディの周縁方向部分に配置され、それが実質的にシールボディの周縁方向に延びる。
【0035】
シールボディの受容スペースはシールボディの外部空間への開口で開くことができる。このタイプの開口によって、シールの組立のさいにばね要素を少なくとも部分的にシールボディの受容スペースに導入することができる。
【0036】
さらに、シールボディの受容スペースは、開口に対向する側で端壁又は溝ベースによって閉じることができる。
【0037】
ばね要素は好ましくは少なくとも2つの爪要素を有し、それらは受容スペースの開口から実質的に同じ間隔で配置される。その結果、受容スペースに対してばね要素が自動的にきわめて正確に中心の位置合わせが達成される。
【0038】
あるいはまた、又はそれに加えて、ばね要素が少なくとも2つの爪要素を有し、それらは受容スペースの開口から異なる距離で配置されるように設定することもできる。これによると、ばね要素、シールボディ、及び/又はシールの長手方向又は軸方向でシールボディに対してばね要素が及ぼす付勢力のきわめて一様な分布が達成される。
【0039】
本発明のある好ましい形態では、シールボディは第1の部品に対して用いる第1の封止部分、例えば径方向外側の封止部分、及び第2の部品に対して用いる第2の封止部分、例えば径方向内側の封止部分、を備え、シールが組み立てられた状態で、ばね要素は第1の封止部分を第1の部品に、第2の封止部分を第2の部品に付勢するように設定される。
【0040】
この場合、ばね要素が第1の封止部分と連動する少なくとも一つの爪要素を有し、第2の封止部分と連動する少なくとも一つの爪要素を有することが有利である。
【0041】
これによってばね要素を2つの封止部分にきわめて確実に固定することができる。
【0042】
あるいはまた、又はそれに加えて、ばね要素が少なくとも2つの爪要素を有し、それらが2つの封止部分のうち同じものと連動するように設定することもできる。
【0043】
ばね要素は、好ましくは少なくとも一つの爪要素を有し、それが受容スペースの境界壁でシールボディと連動する。これによってばね要素を受容スペース内でシールボディに確保することができる。
【0044】
あるいはまた、又はそれに加えて、ばね要素が少なくとも一つの爪要素を有し、それが受容スペースの外側でシールボディと連動するように設定してもよい。このようにして、ばね要素をシールボディに確保することが受容スペースの外側で達成される。
【0045】
受容スペースの外側でばね要素をシールボディに確保することは、特に、シールボディが受容スペースに隣接して配置された端面を有し、ばね要素の少なくとも一つの爪要素がこの端面でシールボディと連結されることで達成される。
【0046】
本発明によるシールのある好ましい形態では、シールボディには何もばね要素を受容スペースに保持する保持突起、特に保持ラグ、がないという設定になっている。
【0047】
本発明はさらに、第1の部品と第2の部品の間の封止ギャップを封止するシールを製造する方法に関する。
【0048】
本発明の別の目的は、容易に実行可能であり、シールのシールボディの受容スペースに(少なくとも部分的に)確実に保持されるばね要素を有するシールを製造するこのタイプの方法を提供することである。
【0049】
この目的は、本発明によって、第1の部品と第2の部品の間の封止ギャップを封止するシールを製造する方法であって、
少なくとも一つの封止部分と受容スペースを有するシールボディを生成するステップと、
少なくとも一つの爪要素を有するばね要素を生成するステップと、
ばね要素をシールボディの受容スペースに少なくとも部分的に導入し、ばね要素を少なくとも一つの爪要素によってシールボディと連結させるステップと、
を含む方法によって達成される。
【0050】
本発明によるこの方法の具体的な形態は、本発明によるシールに関連してすでに上で記載されている。
【0051】
本発明によるシールのばね要素は特別な、拡げられた連結ウエブ部材を有することができる。
【0052】
ばね要素はシールボディの受容スペースに単純に圧し込むことができ、好ましくは保持ラグを有せず、拡げられたウエブ部材によってシールボディと、特にシールボディの受容スペース内で、ばね要素がシールボディからもはや離れることができないように連結される。
【0053】
シールボディの受容スペースは、好ましくは円環状に、特に円環の溝として構成される。
【0054】
ばね要素はシールボディと片側で又は両側で連結される。
【0055】
本発明によるシールは、特に互いに対して動くことが可能な2つの部品の間の封止ギャップを封止する動的シールとして適当である。
【0056】
第1の部品の第2の部品に対する相対的な動きは、この場合、直線運動及び/又は回転運動を含む。
【0057】
本発明によるシールは、特にロッドシール(rod seal)、又はピストンシール(piston seal)として、又はラジアルシャフト封止リングとして用いることができる。
【0058】
ばね要素は、好ましくは弾力ある金属材料、好ましくはばね鋼材料、を含み、特に実質的に完全にこのタイプの弾力ある金属材料から形成される。
【0059】
本発明のその他の特徴と利点は、実施形態についての以下の説明と図示の対象である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】第1の部品と、第2の部品と、第1の部品と第2の部品の間の封止ギャップを封止するシールと、を含むアセンブリの概略断面図である。
【図2】図1のアセンブリのシールを通る概略径方向断面図である。
【図3】図1と2のシールのばね要素のばね要素プレフォームを示す概略平面図である。
【図4】図1と2のシールのばね要素を示す概略部分斜視図である。
【図5】シールの第2の実施形態を切断した概略径方向断面図であり、ばね要素は少なくとも2つの爪要素を有し、それが異なる軸方向位置でシールのシールボディの第1の封止部分と連結され、少なくとも一つの爪要素は第1の封止部分に対向する第2の封止部分と連結されている。
【図6】図5のシールのばね要素のばね要素プレフォームを示す平面図である。
【図7】図5のシールのばね要素を示す概略部分斜視図である。
【図8】第1の部品と、第2の部品と、第1の部品と第2の部品の間の封止ギャップを封止するシールの第3の実施形態を含むアセンブリの概略断面図であり、シールのばね要素が少なくとも一つの爪要素によって第1の封止部分に連結され、少なくとも一つの爪要素によってシールボディの第1の封止部分に対向する第2の封止部分に連結されている。
【図9】シールの第4の実施形態を切断した概略径方向断面図であり、シールのばね要素が少なくとも一つの爪要素によって第1の封止部分に連結され、少なくとも一つの爪要素によって第2の封止部分に連結されている。
【図10】シールの第5の実施形態を切断した概略径方向断面図であり、ばね要素が少なくとも一つの爪要素によって第1の封止部分に連結され、少なくとも一つの爪要素によって第2の封止部分に連結されている。
【図11】シールの第6の実施形態を切断した概略径方向断面図であり、ばね要素が少なくとも一つの爪要素によって第1の封止部分に連結されるが、対向する第2の封止部分に連結されない。
【図12】シールの第7の実施形態を切断した概略径方向断面図であり、ばね要素が少なくとも一つの爪要素によって第1の封止部分に連結され、少なくとも一つの爪要素によって第2の封止部分に連結されている。
【図13】シールの第8の実施形態を切断した概略径方向断面図であり、ばね要素が少なくとも一つの爪要素によって第1の封止部分に連結され、その爪要素はばね要素が配置される受容スペースの開口に面するばね要素の一端に配置され、ばね要素はまた少なくとも一つの爪要素によって第2の封止部分に連結され、その爪要素も受容スペースの開口に面するばね要素の一端に配置されている。
【図14】シールの第9の実施形態を切断した概略径方向断面図であり、ばね要素が少なくとも2つの爪要素によって第1の封止部分に連結され、2つの爪要素は異なる軸方向位置に配置され、ばね要素はまた少なくとも一つの爪要素によって第2の封止部分に連結されている。
【図15】シールの第10の実施形態を切断した概略径方向断面図であり、ばね要素が少なくとも一つの爪要素によって第1の封止部分の端面に連結され、少なくとも一つの爪要素によって第2の封止部分の端面に連結されている。
【図16】図15のシールのばね要素を切断した概略径方向断面図である。
【図17】シールの第11の実施形態を切断した概略径方向断面図であり、シールは、2つの第1の封止部分と、2つの第2の封止部分と、シールボディと連結される2つのばね要素とを有する二重シールとして構成されている。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1に部分的に示されているアセンブリ100は、基部104とシールホルダー106を含む組み立てられる第1の部品102と、例えば、第1の部品102によって円環状に囲まれた第2の部品108と、第1の部品102と第2の部品108の間の封止ギャップ112を封止するシール110を備える。
【0062】
シールホルダー106は、この実施形態では基部104と一体で構成することもできる。
【0063】
第2の部品108は、少なくとも部分的には実質的に円筒状であり長手軸114と内側半径rを有する(図1参照)。
【0064】
第2の部品108を円環状に取り巻いている第1の部品102の基部104は、半径がRiの段付きスルーチャンネル116と半径がRaの離隔部分120を有する。
【0065】
狭い部分118と離隔部分120はアセンブリ100の径方向126に延びる円環状の端面124を有する段122で互いに会合する。
【0066】
シール110はスルーチャンネル116の離隔部分120に配置される。
【0067】
シールは径方向断面が実質的にU字型のシールボディ128を有する。
【0068】
シールボディ128は、シールボディ128の径方向外側脚部を形成し、シール110が組み立てられた状態で第1の封止リップ132によって第1の部品102に、特にシールホルダー106に、封止する仕方で当接する第1の封止部分130と、シールボディ128の径方向内側脚部を形成し、シール110が組み立てられた状態で第2の封止リップ136によって第2の部品102に当接する第2の封止部分134と、第1の封止部分130の一端と第2の封止部分134の一端を結合する円環状のウエブ138を含む。
【0069】
シールボディ128の2つの封止部分130と134は受容スペース140によって、詳しく言うと円環状の溝142の形の受容スペース140によって互いから隔てられており、受容スペース140はシールボディ128の開いた端面144の開口145からアセンブリ100とシール110の軸方向146に沿ってシールボディ128に進入して延びて溝のベース148で終止し、ベース148は径方向126に実質的に延び、軸方向146ではやはり径方向に126に実質的に延びているシールボディ128の閉じた端面150から間隔をあけている。
【0070】
シールボディ128は、好ましくは適当なプラスチック材料から一体で製造される。
フッ素ポリマー、例えばPTFE又はPTFE化合物、特に改質PTFE又は改質PTFE化合物、が特に適当なプラスチック材料として考えられる。
【0071】
実質的に回転対称なシールボディ128は、特に、実質的に円筒状のベースボディから旋削用機械で加工して製造できる。
【0072】
あるいはまた、シールボディ128は、特に、融解加工性TFEコポリマー又は融解加工性TFEコポリマーの化合物から射出成形によって製造することもできる。
【0073】
第1の部品102に対して及び第2の部品108に対して封止リップ132又は136で流体密閉性の封止を実現するために必要な接触圧力を発生できるようにするため、シール110はさらに受容スペースに配置されるばね要素152を備える。
【0074】
図1,2及び4で最も良く分かるように、ばね要素152はベースボディ154を備え、それは例えば蛇行する形状で外側周方向部分156はシール110が組み立てられた状態で実質的にシールボディ128の周方向158に延びて第1の封止部分130の(径方向)内側で受容スペース140の外側境界壁160に当接し、内側周方向部分162はシール110が組み立てられた状態で実質的にシールボディ128の周方向158に延びて第2の封止部分134の(径方向)外側で受容スペース140の内側境界壁164に当接する。
【0075】
一方ではそれぞれ周方向158で互いを追従する外側周方向部分156と、他方ではばね要素152の内側周方向部分162は結合ウエブ部材162によって互いに結合され、それらは図1,2及び4で最も良く分かるように、径方向断面で実質的にU字状に曲げられる。
【0076】
ばね要素152は多数の外側周方向部分156と内側周方向部分162、特にそれぞれ少なくとも10個の外側周方向部分156と内側周方向部分162、好ましくはそれぞれ少なくとも20個の外側周方向部分156と内側周方向部分162、を、対応する数の結合ウエブ部材166と共に含む。
【0077】
ばね要素152をシールボディ128の受容スペース140にシンプルで確実な仕方で保持するために、ばね要素152は複数の、例えば2つ以上の、好ましくは4つ以上の爪要素168を備え、シールボディ128にばね要素152を組み立てたときにそれらの爪がシールボディ128に、ばね要素152の爪要素168がシールボディ128に食い込んで固定される形で連結される。
【0078】
図1,2及び4で最も良く分かるように、ばね要素152の例えば4つの爪要素168の各々はばね要素152のベースボディ154の径方向外側周方向部分156aのそれぞれに配置される。
【0079】
これに関連して、爪要素168が設けられる後方外側周方向部分156aは、ばね要素152の結合ウエブ部材166がそれを中心にして曲がるばね要素152の曲率半径が最小になるばね要素152の波頂線170に前方外側周方向部分156bよりも近くに配置され、前方外側周方向部分156bはシール110が組み立てられた状態で受容スペース140の開口145に近く配置されている。
【0080】
これは、後方外側周方向部分156aを周方向158で隣接する内側周方向部分162に結合する結合ウエブ部材166a が波頂線170からさらに遠くにあるばね要素152の他の前方外側周方向部分156bにおけるより短くなっていることで達成される。
【0081】
例えば図4で見られるように、爪要素168は外側周方向部分156aから突出する2つの突起172を含み、その間に中間スペース174が配置されていてもよい。
【0082】
しかし、基本的には突起172は中間スペースなしに直接互いに隣接して配置することもできるであろう。
【0083】
さらに、爪要素168あたりの突起172の数は基本的に望むように変えることができる。したがって、各爪要素168は特にただ一つの突起172を有することも、2つより多くの突起172,例えば3つの突起172を有してもよい。
【0084】
爪要素168を、爪要素168が連結される受容スペース140の境界壁160に付勢して爪要素1568が当該境界壁160に進入しやすくするために、爪要素168,爪要素168が配置されるばね要素152の後方外側周方向部分156a、及びシール110が組み立てられた状態にあるとき受容スペース140の外側境界壁160に向き合う後方外側周方向部分156aに結合されるばね要素152の結合ウエブ部材166の径方向外側部分176は、シール110が組み立てられたときにシール110及びアセンブリ100の軸方向146に一致するばね要素152の軸方向146に対して鋭角αで傾いている。
【0085】
軸方向146は受容スペース140の溝ベース148から開口145の方に向いている。
【0086】
ばね要素152は好ましくは弾力ある金属材料から、特にばね鋼材料から形成される。
【0087】
さらに、ばね要素152の材料は好ましくは高品位の鋼材料である。このタイプの材料は特に腐食性媒質中で用いるのに適するからである。
【0088】
ばね要素152は図3に平面図で示されているばね要素プレフォーム178を成形して製造される。
【0089】
ばね要素プレフォーム178は、出発物質、特に鋼シート、のブランクから図示の輪郭のばね要素プレフォーム178を切り離すことによって得られる。
【0090】
最初は実質的に平坦であるばね要素プレフォーム178において、結合ウエブ部材168は実質的に径方向でばね要素プレフォーム178の中心180に向いており、ばね要素プレフォーム178におけるばね要素152の外側周方向部分156a、156b及び内側周方向部分162は周方向158に向いている。
【0091】
ばね要素プレフォーム178におけるばね要素152の波頂線170は中心180のまわりで円の形で外側周方向部分156と内側周方向部分162の間の実質的に中央に延びている。
【0092】
シール110のばね要素152は図3に示されたばね要素プレフォーム178から、結合ウエブ部材166を波頂線170のまわりで曲げて、外側周方向部分156と内側周方向部分162が軸方向146と実質的に平行に向くように、又は軸方向146に対して小さな鋭角で傾いて、爪要素168が配置される後方外側周方向部分156aが軸方向146に対して角度α(例えば約20゜から約40゜までの範囲にある)で傾くようにする(図4参照)。
【0093】
この成形工程の後、ばね要素152がシールボディ128の受容スペース140に導入され、特に圧入され、ばね要素152の拡がったウエブ部材182を形成する結合ウエブ部材166aの外側に向いた外側部分176によってばね要素152は自動的に円環状受容スペース140の中心に位置する。
【0094】
拡がったウエブ部材182上に配置された爪要素168はその突起172によって受容スペース140の外側境界壁に食い込み、ばね要素152は爪要素168によってシールボディ128と連結されて、ばね要素152はもはやシールボディ128から離れることができず、受容スペース140からもはや出ることができなくなる。
【0095】
受容スペース140におけるばね要素152の自動的な位置合わせとシールボディ128とのばね要素152の連結を確実にするために、ばね要素152は複数の爪要素168を、特に3つ以上の爪要素168を、好ましくは4つ以上の爪要素168を有し、爪要素168は好ましくはばね要素152の周方向158に沿って実質的に等距離に分布する(特に図3参照)。
【0096】
ばね要素152は爪要素168による連結でシールボディ128の受容スペース140に確保されるので、ばね要素152をシールボディ128の受容スペース140の領域で受容スペース140に保持するために保持ラグやその他のアンダーカットを設けることは必要なくなる。
【0097】
このタイプの保持ラグがばね要素152をシールボディ128の受容スペース140に組み立てるときに損傷し、アセンブリ100の機能を損なうようなけば片及び/又はばりが発生する危険性は、シールボディ128における保持ラグが省略されるために回避される。
【0098】
さらに、シールボディ128の製造のさいにデリケートな旋削工具による別の旋削作業を行う必要も、シールボディ128の保持ラグが省略されるために不要になる。
【0099】
したがって、シールボディ128は、特に、機械加工が難しい高充填PTFEから形成することができる。
【0100】
シールボディ128の保持ラグが省略されるため、シールボディ128は射出成形によってシンプルな仕方で製造することができ、保持ラグなしの仕上がりシールボディ128を射出成形工具から容易に取り出すことができる。
【0101】
特に、シールボディ128はしたがって融解加工性TFEコポリマー又は融解加工性TFEコポリマーの化合物から射出成形によって製造できる。
【0102】
さらに、ばね要素152はまた爪要素168によって保持ラグなしにシールボディ128にしっかりと保持されるので、シール110の使用中にばね要素152がシールボディ128に対して移動する又は受容スペース140の外へ出てしまう危険性はなくなる。
【0103】
爪要素168によってばね要素152がシールボディ128の受容スペース140に正確に恒久的に定位されるため、ばね要素152は、第1の封止リップ132を有する第1の封止部分130及び第2の封止リップ136を有する第2の封止部分134に対してきわめて一定な周方向の弾性的な付勢力を及ぼし、したがってきわめて一定の封止リップ圧力及びシール110のきわめて高い流体密閉性が達成される。
【0104】
アセンブリ100が組み立てられたとき、シール110は、第1の部品102と第2の部品108の間のシールボディ128の受容スペース140にばね要素152が挿入された状態で配置される。
【0105】
それに関連して、シール110のシールボディ128は、第1の封止リップ132を有する第1の封止部分130の変形によって第1の部品102の封止面184に、特にシールホルダー106の径方向内側周縁面に当接し、第2の封止リップ136を有する第2の封止部分134の変形によって第2の部品の封止面186に、特に円筒状の第2の部品108の周縁面に当接する(第1の封止部分130と第2の封止部分134のこの変形は、したがって図1の概略図では考慮されていらず、このためこの概略図では、第1の封止リップ132と第1の部品102及び第2の封止リップ136と第2の部品108が重なっている)。
【0106】
アセンブリ100が組み立てられた状態にあるとき、第1の封止部分130は実質的に外側半径Rを有し、第2の封止部分134は内側半径rを有する。
【0107】
さらに、組み立てられた状態で、シールボディ128は好ましくはその閉じた端面150によって第1の部品102の基部104の端面124に当接する。
【0108】
第1の封止リップ132と第2の封止リップ136における封止によって、アセンブリ100が組み立てられた状態で、シール110は第1の媒質スペース188と第2の媒質スペース190を実質的に流体密閉的に互いから隔離する。
【0109】
したがって、媒質スペース188と190は、アセンブリ100を使用しているとき、異なる流体媒質によって、例えば空気、燃料又はオイル、によって満たすことができる。
【0110】
好ましくは、アセンブリ100を使用しているとき、第2の部品108は第1の部品102に対して可動である。
【0111】
それに関連して、第2の部品108は、第1の部品102に対して長手軸114のまわりで回転可能である、及び/又は長手軸114の方向に、言い換えると軸方向146で、又は軸方向146と反対方向に移動可能である。
【0112】
この場合、シール110は好ましくは第1の部品102に対して静止したままである。
【0113】
しかしながら、基本的にはシール110は、第1の部品102に対して第2の部品108と共に移動するような仕方で第2の部品に結合すると想定できる。
【0114】
シール110が第1の部品102に対して静止している用に配置されるとき、第1の部品102に当接するシール110の第1の封止部分130は静的な封止部分であり、第2の部品108に当接するシール110の第2の封止部分134は動的な封止部分である。
【0115】
例えば、第1の媒質スペース188をエンジンオイルで満たし、第2の媒質スペース190を別の液体、例えば、特に石油で満たすこともできる。
【0116】
アセンブリ100は高圧ポンプの部品、特に内燃機関に燃料を噴射する高圧ポンプの部品を構成するものであってもよい。
【0117】
図5から7までに示されたシール110の第2の実施形態は、図1から4までに示された第1の実施形態とは、爪要素168がばね要素152の個々の外側周方向部分156だけでなく、ばね要素152の内側周方向部分162にも設けられているという点が異なる。
【0118】
さらに、爪要素168は、異なる長さの結合ウエブ部材166に結合された外側周方向部分156a及び156bに設けられており、したがってこれらのいろいろな外側周方向部分156はばね要素152の異なる軸方向位置にある(言い換えると、ばね要素152の軸方向146に関して異なる位置にある)。
【0119】
後方外側周方向部分156aに配置された爪要素は以下で爪要素168aと呼び、前方外側周方向部分156bに配置された爪要素は以下で爪要素168bと呼び、前方内側周方向部分162bに配置された爪要素は以下で爪要素168cと呼ぶ。
【0120】
図6で最もよく見られるように、特に、すべての後方外側周方向部分156aと、すべての前方外側周方向部分156bと、すべての内側周方向部分162には、それぞれ爪要素168が設けられていると想定できる。
【0121】
図7で最もよく見られるように、後方外側周方向部分156a上の爪要素168aは正確に図1から4までに示された第1の実施形態と同じに構成されている。
【0122】
前方外側周方向部分156b上の爪要素168bは、いずれの場合もそれぞれの前方外側周方向部分156bのベンドライン192のまわりで外側へ曲げられた部分194として構成され、それぞれの外側へ曲げられた部分194はばね要素152の軸方向146に対して鋭角β、例えば約20゜から約40゜の範囲の鋭角βだけ傾いている。
【0123】
これらの爪要素168bの各々は外側へ曲げられた部分194から突出する複数の、例えば2つの、突起172を含み、いずれもその間に配置された中間スペース174を含む。
【0124】
内側周方向部分162上に配置された爪要素168cは、この実施形態では、それぞれベンドラインのまわりで内側へ曲げられた部分198,言い換えるとばね要素152の長手軸114の方へ曲げられた部分198として構成される。
【0125】
これらの内側へ曲げられた部分198はばね要素152の軸方向146に対して鋭角γ、例えば約20゜から約40゜の範囲にある鋭角γだけ傾いている。
【0126】
内側周方向部分162上の爪要素168cは、図7に示されるように、内側周方向部分162の内側へ曲げられた部分198だけを含み、同様に外側周方向部分156a又は156b上の爪要素168aと168bが内側へ曲げられたそれぞれの部分198から突出する一つ以上の突起を含む。
【0127】
シール110のばね要素152は図6に示されたばね要素プレフォーム178から、結合ウエブ部材166を成形し、前方外側周方向部分156の外側へ曲げられた部分194をベンドライン192のまわりに曲げ、内側周方向部分162の内側へ曲げられた部分198をベンドライン196のまわりに曲げることで作られる。
【0128】
これらの成形工程の後、ばね要素152はシールボディ128の受容スペース140に導入され、そこでばね要素152は外側周方向部分156aと156b上の爪要素168aと168bによって受容スペース140の外側境界壁160と連結され、内側周方向部分162上の爪要素168cによって受容スペース140の内側境界壁164と連結される。
【0129】
受容スペース140の2つの互いに対向する境界壁160と164への爪要素168によるばね要素152の連結、そしてばね要素152の異なる軸方向位置に、したがって受容スペース140の開口145からの異なる間隔に、そして受容スペースの溝ベース148からの異なる間隔に配置された爪要素によるばね要素152の連結によって、シールボディ128へのばね要素152のきわめて確実な保持とシールボディ128上のばね要素152のきわめて信頼できる位置合わせが達成される。
【0130】
それに関連して、外側周方向部分156の総数に対する後方外側周方向部分156aの比率は基本的には望むように選ぶことができる。
【0131】
図6に示された実施形態では、後方外側周方向部分156aの数は、例えば、4つであり、後方外側周方向部分156aの数は前方外側周方向部分156bの数よりも小さい。
【0132】
しかし、後方外側周方向部分156aの数も、基本的には前方外側周方向部分156bの数より大きくてもよい。
【0133】
その他の点では、図5から7までに示されたシール110の第2の実施形態は、構造に関しても、機能の仕方、及び製造の仕方に関しても図1から4までに示された実施形態1と合致しており、それについてはここまでの記述を参照されたい。
【0134】
図8に示されたアセンブリ100の別の実施形態で、シール110の第3の実施形態は、図1から4までの第1の実施形態とは、第3の実施形態のシールボディ128は、第1の封止部分130、第2の封止部分134、及びウエブ138のほかに、第1の封止部分130の径方向外側に配置された保持部分200を含み、上記保持部分は軸方向146に突出する突起202を含むという点で異なっている。シール110が組み立てられた状態で、この突起はシールホルダー106と基部104の端面124の間の中間スペースに配置され、シールホルダー106に対して軸方向に絞られ、封止圧力が高まる(この絞りは図8の概略図には示されていない)。その結果、シールボディ128が全体として第1の部品102に対して径方向にずれないように固定される。
【0135】
さらに、シール110のこの実施形態では、シールボディ128に別のワイパーリップ206が設けられ、シール110が組み立てられた状態ではそれが第2の部品108の封止面186に、言い換えると特に円筒状の第2の部品108の周縁面に、当接する。
【0136】
第1の媒質スペース188からのごみ粒子はこの別のワイパーリップ206によって第2の封止部分134から遠ざけられる。
【0137】
ワイパーリップ206は、特に、記憶ワイパーリップとして構成できる。言い換えると、用いるフッ素ポリマー材料、特にPTFE又はPTFE化合物材料、融解加工性TFEコポリマー又は融解加工性TFEコポリマー化合物、の記憶作用によって関連する封止面186に付勢されるワイパーリップとして構成できる。
【0138】
この記憶作用は、最初に、第2の部品108の外径よりも小さな内径で記憶ワイパーリップを機械加工して作成し、その記憶ワイパーリップを、室温又は高温で変形して、第2の部品108を記憶ワイパーリップに通してガイドすることができるようにする。アセンブリ100を使用中にそれが加熱されると記憶ワイパーリップのPTFE含有材料が逆に変形して元の形の方に戻る。この、いわゆる“プラスチック記憶効果” によってワイパーリップ206は封止面186の方へ付勢され、アセンブリ100が使用される間、ワイパーリップ206の摩耗の過程で絶えず再調整されて第2の部品108に突き当たるようになり、ワイパーリップ206の十分なワイパー効果が確保される。
【0139】
さらに、図8に示されたシール110の実施形態では、第2の封止部分134は、単一の封止リップだけでなく、複数の、例えば2つ又は3つの、軸方向146で互いに追従する第2の封止リップ136aと136bを有すると共に、アセンブリ100が組み立てられた状態で、実質的に円筒状の接触面208は第2の部品108の封止面186に載っている。
【0140】
第1の漏れ貯蔵スペース210が前方の第2の封止リップ136aと後方の第2の封止リップ136bの間に形成され、第2の漏れ貯蔵スペース212が後方の第2の封止リップ136bと第二の封止部分134の接触面208の間に形成される。
【0141】
シール110が組み立てられた状態にあるとき、前方の第2の封止リップ136a、後方の第2の封止リップ136b及び第二の封止部分134の接触面208は第2の部品の封止面186に当接する。第2の媒質スペース190から第1の媒質スペース188への媒質の漏れはこの三重の又は(3つの第2の封止リップが用いられる場合)四重の封止によって著しく減少する。
【0142】
アセンブリ100の使用中に第2の部品108がシール110に対して軸方向146と逆向きに動くとき、第2の媒質スペース190から漏れた液体は第2の封止部分134の漏れ貯蔵スペース210と212に収容され、第2の部品108が軸方向146に戻る動きのさい、特に第2の部品108に配置されたピストンの戻りストロークのさいに媒質スペース190に押し戻される。
【0143】
シール110のばね要素152は、この実施形態でも、図1から7までに示された実施形態と同様に、後方外側周方向部分156aに配置された後方外側爪要素168aを有し、それによってばね要素152はシールボディ128の受容スペース140の外側境界壁160に連結される。
【0144】
それに加えて、ばね要素152は、この第3の実施形態では、ばね要素152の後方内側周方向部分162aに配置された後方内側爪要素168dを有し、それが受容スペース140の内側境界壁164と連結されている。
【0145】
図8から見られるように、後方外側爪要素168aと後方内側爪要素168dは実質的にばね要素152の同じ軸方向位置に、言い換えると軸方向146に沿って同じ位置に、配置されている。
【0146】
受容スペース140の溝ベース148はこの実施形態では曲がっていてもよく、特に波頂線170の領域でばね要素152の曲率に適合させることができる。
【0147】
その他の点では、図8に示されたシール110の第3の実施形態は、図1から7までに示された実施形態と構造、機能の仕方、及び製造の仕方で合致しており、それについてはここまでの記述を参照されたい。
【0148】
図9に示されたシール110の第4の実施形態は、図1から4までに示された第1の実施形態とは、シール110のばね要素152が、ばね要素152の後方外側周方向部分156aに配置されてシールボディ128の受容スペース140の後方境界壁160と連結される少なくとも一つの後方外側爪要素168aを有するだけでなく、その他に後方内側周方向部分162aに配置されてシールボディ158の受容スペース140の内側境界壁164と連結される少なくとも一つの後方内側爪要素168dを有する点が異なっている。
【0149】
その他の点では、図9に示されたシール110の第4の実施形態は、図1から4までに示された第1の実施形態と、構造、機能の仕方、及び製造の仕方で合致しており、それについてはここまでの記述を参照されたい。
【0150】
図10に示されたシール110の第5の実施形態は、図9に示された第4の実施形態とは、この実施形態の爪要素168aと168dは、ばね要素152の軸方向146に対して、爪要素168aと168dが軸方向146と鋭角αではなく直角又は鈍角α’を成すほど後方に曲げられている(図10参照)という点が異なっている。
【0151】
その結果、シールボディ128の受容スペース140におけるばね要素152のきわめてしっかりした保持が達成される。
【0152】
その他の点では、図10に示されたシール110の第5の実施形態は、図9に示された第4の実施形態と、構造、機能の仕方、及び製造の仕方で合致しており、それについてはここまでの記述を参照されたい。
【0153】
図11に示されたシール110の第6の実施形態は、図1から4までに示された第1の実施形態とは、実質的には、後方外側爪要素168aがばね要素152の前方外側周方向部分156bの前方エッジにより近く配置されている点だけが異なっている。
【0154】
さらに、この実施形態におけるシールボディ128の溝ベース148は(図9と10による実施形態と同様に)曲がっていてもよく、特にばね要素152の波頂線170の領域におけるばね要素152の曲率に適合させることができる。
【0155】
その他の点では、図11に示されたシール110の第6の実施形態は、図1から4までに示された第1の実施形態と、構造、機能の仕方、及び製造の仕方で合致しており、それについてはここまでの記述を参照されたい。
【0156】
図12に示されたシール110の第7の実施形態は、図10に示された第5の実施形態とは、ばね要素152の後方外側爪要素168aと後方内側爪要素168dが非常に後方に配置されているためにこれらの爪要素168a、168dの端がばね要素152の軸方向146で波頂線170の後ろにあるという点が異なっている。その結果、爪要素168a、168dがシールボディ128の受容スペース140の外側境界壁160又は内側境界壁164に食い込んでそこでしっかりと固定するのがきわめて容易になる。
【0157】
その他の点では、図12に示されたシール110の第7の実施形態は、図10に示された第5の実施形態と、構造、機能の仕方、及び製造の仕方に関して合致しており、それについてはここまでの記述を参照されたい。
【0158】
図13に示されたシール110の第8の実施形態は、図10に示された第5の実施形態とは、ばね要素152が、後方外側爪要素168aと後方内側爪要素168dではなく、ばね要素152の前方外側周方向部分156b上に配置され、シールボディ128の受容スペース140の外側境界壁160と連結される前方外側爪要素168bと、ばね要素152の前方内側周方向部分162b上に配置され、シールボディ128の受容スペース140の内側境界壁164と連結される前方内側爪要素168cを有するという点が異なっている。
【0159】
その他の点では、図13に示されたシール110の第8の実施形態は、図10に示された第5の実施形態と、構造、機能の仕方、及び製造の仕方に関して合致しており、それについてはここまでの記述を参照されたい。
【0160】
図14に示されたシール110の第9の実施形態は、図5から7までに示された第2の実施形態とは、第9の実施形態における爪要素168a、168b及び168cがばね要素152の軸方向146と成す角αが第2の実施形態におけるよりも大きいという点だけが異なる。
【0161】
さらに、第9の実施形態における受容スペース140の溝ベース148は、図12に示される第7の実施形態及び図13に示される第8の実施形態と同様に、曲がっていてもよく、特に波頂線170の領域におけるばね要素152の曲率に適合させることができる。
【0162】
その他の点では、図14に示されたシール110の第9の実施形態は、図5から7までに示された第2の実施形態と、構造、機能の仕方、及び製造の仕方で合致しており、それについてはここまでの記述を参照されたい。
【0163】
図15と16に示されたシール110の第10の実施形態は、図13に示された第8の実施形態と、前方外側爪要素168bと前方内側爪要素168cはシールボディ128の受容スペース140の境界壁160又は164と連結されず、その代わりにシールボディ128の開かれた端面144と連結される点が異なっている。この実施形態では、ばね要素152はしたがって部分的にシールボディ128の受容スペース140から外へ受容スペース140の開口145を通って延びている。
【0164】
その他の点では、図15と16に示されたシール110の第10の実施形態は、図13に示された第8の実施形態と、構造、機能の仕方、及び製造の仕方で合致しており、それについてはここまでの記述を参照されたい。
【0165】
図17に示されたシール110の第11の実施形態は、図8に示された第3の実施形態と、シール110はこの第11の実施形態では二重シールとして構成され、1つではなく2つの第2の封止部分134aと134bを含み、それらは軸方向146で互いに間隔をあけて第2の部品108に対して封止するためのそれぞれの第2の封止リップ136aと136bを有し、1つではなく2つの第1の封止部分130aと130bを含み、それらは第1の部品102に対して封止するためのそれぞれの第1の封止リップ132を有する。
【0166】
二重シールとして構成されるシール110は、特に、軸方向146に対して直角方向に向き円筒状の接触面を通るシール110の横断中心面214に関して実質的に鏡面対象であってよい。
【0167】
この実施形態のシールボディ128は2つの受容スペース140aと140bを有し、それらは各々第1の封止部分130a、130bと対向する第2の封止部分134a又は134bの間に配置され、それぞれのばね要素152a、152bは少なくとも部分的にそれぞれの受容スペース140a、140bに受容される。
【0168】
シール110のばね要素152a、152bの各々は、この実施形態でも図8に示された実施形態と同様に、後方外側周方向部分156a上に配置された後方外側爪要素168aを有し、それによってシールボディ128のそれぞれの受容スペース140a、140bの外側境界壁160に連結される。
【0169】
これに加えて、ばね要素152a、152bの各々は、この実施形態でも図8に示された実施形態と同様に、それぞれのばね要素152a、152bの後方内側周方向部分162a上に配置された後方内側爪要素168dを有し、それによってそれぞれの受容スペース140a、140bの内側境界壁164に連結される。
【0170】
図17から見られるように、後方外側爪要素168aと後方内側爪要素168dは実質的にそれぞれのばね要素152a、152bの同じ軸方向位置に、言い換えると軸方向146に沿って同じ位置に配置されている。
【0171】
受容スペース140a、140bの溝ベース148は、この実施形態では曲がっていてもよく、特に波頂線170の領域でそれぞれのばね要素152a、152bの曲率に適合させることができる。
【0172】
図17に示されたアセンブリ100では、第1の部品102を一体で形成することができ、図8のシールボディ128の保持部分200はこの実施形態では省略できる。
【0173】
さらに、アセンブリ100が、シール110の第1の部品102から遠い方の側に配置された、好ましくは弾力ある、保持リング216を備えるように構成し、シールボディ128は保持リング216と第1の部品102の端面124の間でポジティブロック嵌合で保持され、軸方向に移動できないように構成できる。
【0174】
図8の実施形態のワイパーリップ206は図17の第11の実施形態では省略できる。また、別にこのタイプのワイパーリップ206を2つの第2の封止部分134a、134bの一方の自由端に配置することもできるであろう。
【0175】
その他の点では、図17に示されたシール110の第11の実施形態は、図8に示された第3の実施形態と、構造、機能の仕方、及び製造の仕方で合致しており、それについてはここまでの記述を参照されたい。
【符号の説明】
【0176】
102 第1の部品
108 第2の部品
112 封止ギャップ
128 シールボディ
130,134 封止部分
140 受容スペース
145 開口
152 ばね要素
154 ベースボディ
160,164 境界壁
168 爪要素
172 突起
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の部品と第2の部品の間の封止ギャップを封止するシールに関し、シールは少なくとも一つの封止部分を有するシールボディと、封止する部品の一つに封止部分を付勢する少なくとも一つのばね要素を備え、ばね要素は少なくとも部分的に、好ましくは実質的に完全にシールボディの受容スペース内に配置されるシールに関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプのシールは従来から知られている。特に、このタイプのシールはElringKlingen Kunstofftechnik GmbH社、74321 Bietigheim-Bissingen, Germanyから商品名“ばね補助リップシール”で市販されている。
【0003】
ばね要素が受容スペースから意図せずに出てしまわないように確保するために、これらの公知のシールのシールボディにはいわゆる保持ラグが設けられており、ばね要素が受容スペースに進入するときこのラグを通過し、ラグには切り込みが形成されていてばね要素の背後で掛け金のように働いて、受容スペース内にばね要素が保持ラグによって保持されるようになる。
【0004】
しかし、保持ラグを作るためには余分な旋削作業工程が必要であり、そのために別の旋削工具が必要になる。この旋削工具は比較的デリケートであるため、非常に速く摩耗し、特にシールボディの材料に含まれる充填材のために速く摩耗する。旋削工具の摩耗のため、保持ラグは完全に旋削されなくなる。その結果、望ましくないけば片が生じ、シールを使用している間にそれがシールボディから脱離してシールの密封性に問題を生じたり、シールを含むアセンブリに問題が生じたりする(例えば、ノズルやフィルタのつまりを生ずる)。
【0005】
したがって、旋削工具を比較的頻繁に交換する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、始めに述べたようなタイプのシールであって、単純な構成を有し、容易に製造でき、それにもかかわらずばね要素を受容スペースに確実に保持することができるシールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、本発明によって、ばねが少なくとも一つの爪要素を有し、それによってばね要素がシールボディに連結されるという請求項1の特徴を備えたシールによって達成される。
【0008】
したがって、本発明は、ばね要素がシールボディの受容スペースから意図せずに離れることがもはや不可能であるようにばね要素自身がシールボディとポジティブに及び/又は非ポジティブに連結するという考え方に基づいている。
【0009】
したがって、本発明に係わるシールでは、シールボディに保持ノーズを設けることはもはや必要ない。
【0010】
その結果、保持ラグの製造のために、工具の急速な摩耗と高いコスト出費を伴うシールボディの面倒な数値制御による機械加工の必要はなくなる。さらに、保持ラグに望ましくないけばが形成される危険もなくなる。
【0011】
本発明によるシールのばね要素はシールボディに確保される。
【0012】
基本的に、シールの使用条件の下で安定などんな適当な材料もシールボディの製造に使用できる。
【0013】
特に、シールボディはプラスチック材料を用いることができ、好ましくは実質的に完全にプラスチック材料から製造できる。
【0014】
可能なプラスチック材料としては、特にフッ素ポリマー物質があげられる。
【0015】
シールボディがポリテトラフルオロエチレン物質及び/又はポリテトラフルオロエチレン化合物を含み、好ましくは実質的に完全に上述の材料の一つから成る場合、腐食性のある環境におけるシール要素の使用に特に有利である。
【0016】
ここでポリテトラフルオロエチレン化合物とは、ポリテトラフルオロエチレン物質と一つ以上の充填剤の混合物を意味するものとする。
【0017】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)という語は、本明細書と添付された特許請求の範囲において、ポリテトラフルオロエチレンのフッ素原子のいくつかが置換元素で置換された改質ポリテトラフルオロエチレン物質も指す。
【0018】
保持ラグを製造するためのデリケートな旋削工具の必要がなくなったので、本発明よるシールのシールボディにPTFE化合物、特に高度に充填された(言い換えると、高い割合で充填剤を含む)、機械加工が難しいPTFE化合物を用いても、シールボディの製造に要するCNC工具コストが大きく増加することはない。
【0019】
あるいはまた、又はそれに加えて、シールボディは融解加工性TFE(テトラフルオロエチレン)コポリマー又は融解加工性TFEコポリマーの化合物を含む、好ましくは実質的に完全にこのタイプの融解加工性TFEコポリマー又はこのタイプの融解加工性TFEコポリマーの化合物から形成されることも考えられる。
【0020】
適当な融解加工性TFEコポリマーは、詳しくはEP 1 263 877 B1に記載されている。
【0021】
TFE及びフッ素化コモノマーから作られる融解加工性TFEコポリマーは、好ましくは1モル%未満の比率で用いられる。
【0022】
コモノマーは、好ましくは以下のものから選択される。
ヘキサフルオロプロピレン、
パーフルオロアルキルビニルエーテル(特に、パーフルオロエチルビニルエーテル及びパーフルオロプロピルビニルエーテル)、
パーフルオロ(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール)。
【0023】
シールのある特別な形態では、シールボディは射出成形部品として、好ましくは融解加工性TFEコポリマー又は融解加工性TFEコポリマーの化合物から構成される。
【0024】
シールボディがばね要素を受容スペースに保持するための保持用突起を含まない、特に保持ラグを含まない場合、射出成形されたシールボディは射出成形ツールから容易に取り出すことができる形態になるので、シールボディは特に容易に射出成形部品として製造できる。
【0025】
ばね要素は一つ以上の爪要素を有し、それは好ましくはばね要素の拡がったウエブ部材上に配置されている。
【0026】
爪要素によって、シールボディと連結されたばねは自動的に受容スペースに中心が位置する。したがって、ばね要素はシールボディ上に組み立てられた後ではもはや受容スペースの境界壁に対して動かず、好ましくは受容スペース内で、封止される異なる部品に当接するシールボディの互いに対向する封止部分に実質的に同じ付勢力を及ぼすように位置する。その結果、それぞれのふっしされる部品に対して封止部分の封止リップがきわめて一様な接触圧力を及ぼすことができ、本発明によるシールのきわめて良い流体密閉性を達成することができる。
【0027】
さらに、シールボディの受容スペースにばね要素が自動的に中心位置を合わせるということは、ばね要素の周方向で封止部分にばね要素が及ぼす付勢力が実質的に一定であるということを意味する。これはまた、シールの周縁方向での封止リップの接触圧を一様化することになり、それは本発明によるシールの流体密閉性を高め、漏れの危険を減らす。
【0028】
これに反し、ばね要素が保持ラグによってのみ受容スペースに保持されるばね補助リップシールの場合、ばね要素の後部はシールボディの溝形状とばね形状の許容誤差の集積のために溝基部で動くことができ、ばね要素は内側封止部分上又は外側封止部分上のどちらかに落ち着くようになる。その結果、ばね要素はシールボディの互いに対向する封止部分に異なる付勢力を及ぼすことになり、その結果、封止される部品に対して異なる封止力を及ぼすことになる。
【0029】
さらに、保持ラグだけによってシールボディの受容スペースに保持されるばね要素は受容スペースを形成する溝の中心に自動的に位置せず、したがってシールボディの封止部分で異なる封止リップ接触圧力が発生し、そのために漏れが生ずる可能性がある。
【0030】
これらの欠点は、ばね要素がシールボディと連動している本発明によるシールによって解消又は少なくとも軽減される。
【0031】
シールボディ上の保持ラグが不要になったので、シールボディ上にばね要素を組み立てるさいにこのタイプの保持ラグが損傷する危険性ももはやなくなる。保持ラグの損傷のためにけばが新たに発生する可能性もなくなる。さらに、保持ラグの欠陥のためにばね要素が受容スペースから外れてシールの故障を引き起こす危険ももはやなくなる。
【0032】
本発明のある好ましい形態では、ばね要素は蛇行する形状のベースボディを備えることが想定される。
【0033】
少なくとも一つの爪要素はばね要素のベースボディ上に配置された少なくとも一つの突起を有する。
【0034】
シールボディが円環状である場合、少なくとも一つの爪要素が好ましくはばね要素のベースボディの周縁方向部分に配置され、それが実質的にシールボディの周縁方向に延びる。
【0035】
シールボディの受容スペースはシールボディの外部空間への開口で開くことができる。このタイプの開口によって、シールの組立のさいにばね要素を少なくとも部分的にシールボディの受容スペースに導入することができる。
【0036】
さらに、シールボディの受容スペースは、開口に対向する側で端壁又は溝ベースによって閉じることができる。
【0037】
ばね要素は好ましくは少なくとも2つの爪要素を有し、それらは受容スペースの開口から実質的に同じ間隔で配置される。その結果、受容スペースに対してばね要素が自動的にきわめて正確に中心の位置合わせが達成される。
【0038】
あるいはまた、又はそれに加えて、ばね要素が少なくとも2つの爪要素を有し、それらは受容スペースの開口から異なる距離で配置されるように設定することもできる。これによると、ばね要素、シールボディ、及び/又はシールの長手方向又は軸方向でシールボディに対してばね要素が及ぼす付勢力のきわめて一様な分布が達成される。
【0039】
本発明のある好ましい形態では、シールボディは第1の部品に対して用いる第1の封止部分、例えば径方向外側の封止部分、及び第2の部品に対して用いる第2の封止部分、例えば径方向内側の封止部分、を備え、シールが組み立てられた状態で、ばね要素は第1の封止部分を第1の部品に、第2の封止部分を第2の部品に付勢するように設定される。
【0040】
この場合、ばね要素が第1の封止部分と連動する少なくとも一つの爪要素を有し、第2の封止部分と連動する少なくとも一つの爪要素を有することが有利である。
【0041】
これによってばね要素を2つの封止部分にきわめて確実に固定することができる。
【0042】
あるいはまた、又はそれに加えて、ばね要素が少なくとも2つの爪要素を有し、それらが2つの封止部分のうち同じものと連動するように設定することもできる。
【0043】
ばね要素は、好ましくは少なくとも一つの爪要素を有し、それが受容スペースの境界壁でシールボディと連動する。これによってばね要素を受容スペース内でシールボディに確保することができる。
【0044】
あるいはまた、又はそれに加えて、ばね要素が少なくとも一つの爪要素を有し、それが受容スペースの外側でシールボディと連動するように設定してもよい。このようにして、ばね要素をシールボディに確保することが受容スペースの外側で達成される。
【0045】
受容スペースの外側でばね要素をシールボディに確保することは、特に、シールボディが受容スペースに隣接して配置された端面を有し、ばね要素の少なくとも一つの爪要素がこの端面でシールボディと連結されることで達成される。
【0046】
本発明によるシールのある好ましい形態では、シールボディには何もばね要素を受容スペースに保持する保持突起、特に保持ラグ、がないという設定になっている。
【0047】
本発明はさらに、第1の部品と第2の部品の間の封止ギャップを封止するシールを製造する方法に関する。
【0048】
本発明の別の目的は、容易に実行可能であり、シールのシールボディの受容スペースに(少なくとも部分的に)確実に保持されるばね要素を有するシールを製造するこのタイプの方法を提供することである。
【0049】
この目的は、本発明によって、第1の部品と第2の部品の間の封止ギャップを封止するシールを製造する方法であって、
少なくとも一つの封止部分と受容スペースを有するシールボディを生成するステップと、
少なくとも一つの爪要素を有するばね要素を生成するステップと、
ばね要素をシールボディの受容スペースに少なくとも部分的に導入し、ばね要素を少なくとも一つの爪要素によってシールボディと連結させるステップと、
を含む方法によって達成される。
【0050】
本発明によるこの方法の具体的な形態は、本発明によるシールに関連してすでに上で記載されている。
【0051】
本発明によるシールのばね要素は特別な、拡げられた連結ウエブ部材を有することができる。
【0052】
ばね要素はシールボディの受容スペースに単純に圧し込むことができ、好ましくは保持ラグを有せず、拡げられたウエブ部材によってシールボディと、特にシールボディの受容スペース内で、ばね要素がシールボディからもはや離れることができないように連結される。
【0053】
シールボディの受容スペースは、好ましくは円環状に、特に円環の溝として構成される。
【0054】
ばね要素はシールボディと片側で又は両側で連結される。
【0055】
本発明によるシールは、特に互いに対して動くことが可能な2つの部品の間の封止ギャップを封止する動的シールとして適当である。
【0056】
第1の部品の第2の部品に対する相対的な動きは、この場合、直線運動及び/又は回転運動を含む。
【0057】
本発明によるシールは、特にロッドシール(rod seal)、又はピストンシール(piston seal)として、又はラジアルシャフト封止リングとして用いることができる。
【0058】
ばね要素は、好ましくは弾力ある金属材料、好ましくはばね鋼材料、を含み、特に実質的に完全にこのタイプの弾力ある金属材料から形成される。
【0059】
本発明のその他の特徴と利点は、実施形態についての以下の説明と図示の対象である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】第1の部品と、第2の部品と、第1の部品と第2の部品の間の封止ギャップを封止するシールと、を含むアセンブリの概略断面図である。
【図2】図1のアセンブリのシールを通る概略径方向断面図である。
【図3】図1と2のシールのばね要素のばね要素プレフォームを示す概略平面図である。
【図4】図1と2のシールのばね要素を示す概略部分斜視図である。
【図5】シールの第2の実施形態を切断した概略径方向断面図であり、ばね要素は少なくとも2つの爪要素を有し、それが異なる軸方向位置でシールのシールボディの第1の封止部分と連結され、少なくとも一つの爪要素は第1の封止部分に対向する第2の封止部分と連結されている。
【図6】図5のシールのばね要素のばね要素プレフォームを示す平面図である。
【図7】図5のシールのばね要素を示す概略部分斜視図である。
【図8】第1の部品と、第2の部品と、第1の部品と第2の部品の間の封止ギャップを封止するシールの第3の実施形態を含むアセンブリの概略断面図であり、シールのばね要素が少なくとも一つの爪要素によって第1の封止部分に連結され、少なくとも一つの爪要素によってシールボディの第1の封止部分に対向する第2の封止部分に連結されている。
【図9】シールの第4の実施形態を切断した概略径方向断面図であり、シールのばね要素が少なくとも一つの爪要素によって第1の封止部分に連結され、少なくとも一つの爪要素によって第2の封止部分に連結されている。
【図10】シールの第5の実施形態を切断した概略径方向断面図であり、ばね要素が少なくとも一つの爪要素によって第1の封止部分に連結され、少なくとも一つの爪要素によって第2の封止部分に連結されている。
【図11】シールの第6の実施形態を切断した概略径方向断面図であり、ばね要素が少なくとも一つの爪要素によって第1の封止部分に連結されるが、対向する第2の封止部分に連結されない。
【図12】シールの第7の実施形態を切断した概略径方向断面図であり、ばね要素が少なくとも一つの爪要素によって第1の封止部分に連結され、少なくとも一つの爪要素によって第2の封止部分に連結されている。
【図13】シールの第8の実施形態を切断した概略径方向断面図であり、ばね要素が少なくとも一つの爪要素によって第1の封止部分に連結され、その爪要素はばね要素が配置される受容スペースの開口に面するばね要素の一端に配置され、ばね要素はまた少なくとも一つの爪要素によって第2の封止部分に連結され、その爪要素も受容スペースの開口に面するばね要素の一端に配置されている。
【図14】シールの第9の実施形態を切断した概略径方向断面図であり、ばね要素が少なくとも2つの爪要素によって第1の封止部分に連結され、2つの爪要素は異なる軸方向位置に配置され、ばね要素はまた少なくとも一つの爪要素によって第2の封止部分に連結されている。
【図15】シールの第10の実施形態を切断した概略径方向断面図であり、ばね要素が少なくとも一つの爪要素によって第1の封止部分の端面に連結され、少なくとも一つの爪要素によって第2の封止部分の端面に連結されている。
【図16】図15のシールのばね要素を切断した概略径方向断面図である。
【図17】シールの第11の実施形態を切断した概略径方向断面図であり、シールは、2つの第1の封止部分と、2つの第2の封止部分と、シールボディと連結される2つのばね要素とを有する二重シールとして構成されている。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1に部分的に示されているアセンブリ100は、基部104とシールホルダー106を含む組み立てられる第1の部品102と、例えば、第1の部品102によって円環状に囲まれた第2の部品108と、第1の部品102と第2の部品108の間の封止ギャップ112を封止するシール110を備える。
【0062】
シールホルダー106は、この実施形態では基部104と一体で構成することもできる。
【0063】
第2の部品108は、少なくとも部分的には実質的に円筒状であり長手軸114と内側半径rを有する(図1参照)。
【0064】
第2の部品108を円環状に取り巻いている第1の部品102の基部104は、半径がRiの段付きスルーチャンネル116と半径がRaの離隔部分120を有する。
【0065】
狭い部分118と離隔部分120はアセンブリ100の径方向126に延びる円環状の端面124を有する段122で互いに会合する。
【0066】
シール110はスルーチャンネル116の離隔部分120に配置される。
【0067】
シールは径方向断面が実質的にU字型のシールボディ128を有する。
【0068】
シールボディ128は、シールボディ128の径方向外側脚部を形成し、シール110が組み立てられた状態で第1の封止リップ132によって第1の部品102に、特にシールホルダー106に、封止する仕方で当接する第1の封止部分130と、シールボディ128の径方向内側脚部を形成し、シール110が組み立てられた状態で第2の封止リップ136によって第2の部品102に当接する第2の封止部分134と、第1の封止部分130の一端と第2の封止部分134の一端を結合する円環状のウエブ138を含む。
【0069】
シールボディ128の2つの封止部分130と134は受容スペース140によって、詳しく言うと円環状の溝142の形の受容スペース140によって互いから隔てられており、受容スペース140はシールボディ128の開いた端面144の開口145からアセンブリ100とシール110の軸方向146に沿ってシールボディ128に進入して延びて溝のベース148で終止し、ベース148は径方向126に実質的に延び、軸方向146ではやはり径方向に126に実質的に延びているシールボディ128の閉じた端面150から間隔をあけている。
【0070】
シールボディ128は、好ましくは適当なプラスチック材料から一体で製造される。
フッ素ポリマー、例えばPTFE又はPTFE化合物、特に改質PTFE又は改質PTFE化合物、が特に適当なプラスチック材料として考えられる。
【0071】
実質的に回転対称なシールボディ128は、特に、実質的に円筒状のベースボディから旋削用機械で加工して製造できる。
【0072】
あるいはまた、シールボディ128は、特に、融解加工性TFEコポリマー又は融解加工性TFEコポリマーの化合物から射出成形によって製造することもできる。
【0073】
第1の部品102に対して及び第2の部品108に対して封止リップ132又は136で流体密閉性の封止を実現するために必要な接触圧力を発生できるようにするため、シール110はさらに受容スペースに配置されるばね要素152を備える。
【0074】
図1,2及び4で最も良く分かるように、ばね要素152はベースボディ154を備え、それは例えば蛇行する形状で外側周方向部分156はシール110が組み立てられた状態で実質的にシールボディ128の周方向158に延びて第1の封止部分130の(径方向)内側で受容スペース140の外側境界壁160に当接し、内側周方向部分162はシール110が組み立てられた状態で実質的にシールボディ128の周方向158に延びて第2の封止部分134の(径方向)外側で受容スペース140の内側境界壁164に当接する。
【0075】
一方ではそれぞれ周方向158で互いを追従する外側周方向部分156と、他方ではばね要素152の内側周方向部分162は結合ウエブ部材162によって互いに結合され、それらは図1,2及び4で最も良く分かるように、径方向断面で実質的にU字状に曲げられる。
【0076】
ばね要素152は多数の外側周方向部分156と内側周方向部分162、特にそれぞれ少なくとも10個の外側周方向部分156と内側周方向部分162、好ましくはそれぞれ少なくとも20個の外側周方向部分156と内側周方向部分162、を、対応する数の結合ウエブ部材166と共に含む。
【0077】
ばね要素152をシールボディ128の受容スペース140にシンプルで確実な仕方で保持するために、ばね要素152は複数の、例えば2つ以上の、好ましくは4つ以上の爪要素168を備え、シールボディ128にばね要素152を組み立てたときにそれらの爪がシールボディ128に、ばね要素152の爪要素168がシールボディ128に食い込んで固定される形で連結される。
【0078】
図1,2及び4で最も良く分かるように、ばね要素152の例えば4つの爪要素168の各々はばね要素152のベースボディ154の径方向外側周方向部分156aのそれぞれに配置される。
【0079】
これに関連して、爪要素168が設けられる後方外側周方向部分156aは、ばね要素152の結合ウエブ部材166がそれを中心にして曲がるばね要素152の曲率半径が最小になるばね要素152の波頂線170に前方外側周方向部分156bよりも近くに配置され、前方外側周方向部分156bはシール110が組み立てられた状態で受容スペース140の開口145に近く配置されている。
【0080】
これは、後方外側周方向部分156aを周方向158で隣接する内側周方向部分162に結合する結合ウエブ部材166a が波頂線170からさらに遠くにあるばね要素152の他の前方外側周方向部分156bにおけるより短くなっていることで達成される。
【0081】
例えば図4で見られるように、爪要素168は外側周方向部分156aから突出する2つの突起172を含み、その間に中間スペース174が配置されていてもよい。
【0082】
しかし、基本的には突起172は中間スペースなしに直接互いに隣接して配置することもできるであろう。
【0083】
さらに、爪要素168あたりの突起172の数は基本的に望むように変えることができる。したがって、各爪要素168は特にただ一つの突起172を有することも、2つより多くの突起172,例えば3つの突起172を有してもよい。
【0084】
爪要素168を、爪要素168が連結される受容スペース140の境界壁160に付勢して爪要素1568が当該境界壁160に進入しやすくするために、爪要素168,爪要素168が配置されるばね要素152の後方外側周方向部分156a、及びシール110が組み立てられた状態にあるとき受容スペース140の外側境界壁160に向き合う後方外側周方向部分156aに結合されるばね要素152の結合ウエブ部材166の径方向外側部分176は、シール110が組み立てられたときにシール110及びアセンブリ100の軸方向146に一致するばね要素152の軸方向146に対して鋭角αで傾いている。
【0085】
軸方向146は受容スペース140の溝ベース148から開口145の方に向いている。
【0086】
ばね要素152は好ましくは弾力ある金属材料から、特にばね鋼材料から形成される。
【0087】
さらに、ばね要素152の材料は好ましくは高品位の鋼材料である。このタイプの材料は特に腐食性媒質中で用いるのに適するからである。
【0088】
ばね要素152は図3に平面図で示されているばね要素プレフォーム178を成形して製造される。
【0089】
ばね要素プレフォーム178は、出発物質、特に鋼シート、のブランクから図示の輪郭のばね要素プレフォーム178を切り離すことによって得られる。
【0090】
最初は実質的に平坦であるばね要素プレフォーム178において、結合ウエブ部材168は実質的に径方向でばね要素プレフォーム178の中心180に向いており、ばね要素プレフォーム178におけるばね要素152の外側周方向部分156a、156b及び内側周方向部分162は周方向158に向いている。
【0091】
ばね要素プレフォーム178におけるばね要素152の波頂線170は中心180のまわりで円の形で外側周方向部分156と内側周方向部分162の間の実質的に中央に延びている。
【0092】
シール110のばね要素152は図3に示されたばね要素プレフォーム178から、結合ウエブ部材166を波頂線170のまわりで曲げて、外側周方向部分156と内側周方向部分162が軸方向146と実質的に平行に向くように、又は軸方向146に対して小さな鋭角で傾いて、爪要素168が配置される後方外側周方向部分156aが軸方向146に対して角度α(例えば約20゜から約40゜までの範囲にある)で傾くようにする(図4参照)。
【0093】
この成形工程の後、ばね要素152がシールボディ128の受容スペース140に導入され、特に圧入され、ばね要素152の拡がったウエブ部材182を形成する結合ウエブ部材166aの外側に向いた外側部分176によってばね要素152は自動的に円環状受容スペース140の中心に位置する。
【0094】
拡がったウエブ部材182上に配置された爪要素168はその突起172によって受容スペース140の外側境界壁に食い込み、ばね要素152は爪要素168によってシールボディ128と連結されて、ばね要素152はもはやシールボディ128から離れることができず、受容スペース140からもはや出ることができなくなる。
【0095】
受容スペース140におけるばね要素152の自動的な位置合わせとシールボディ128とのばね要素152の連結を確実にするために、ばね要素152は複数の爪要素168を、特に3つ以上の爪要素168を、好ましくは4つ以上の爪要素168を有し、爪要素168は好ましくはばね要素152の周方向158に沿って実質的に等距離に分布する(特に図3参照)。
【0096】
ばね要素152は爪要素168による連結でシールボディ128の受容スペース140に確保されるので、ばね要素152をシールボディ128の受容スペース140の領域で受容スペース140に保持するために保持ラグやその他のアンダーカットを設けることは必要なくなる。
【0097】
このタイプの保持ラグがばね要素152をシールボディ128の受容スペース140に組み立てるときに損傷し、アセンブリ100の機能を損なうようなけば片及び/又はばりが発生する危険性は、シールボディ128における保持ラグが省略されるために回避される。
【0098】
さらに、シールボディ128の製造のさいにデリケートな旋削工具による別の旋削作業を行う必要も、シールボディ128の保持ラグが省略されるために不要になる。
【0099】
したがって、シールボディ128は、特に、機械加工が難しい高充填PTFEから形成することができる。
【0100】
シールボディ128の保持ラグが省略されるため、シールボディ128は射出成形によってシンプルな仕方で製造することができ、保持ラグなしの仕上がりシールボディ128を射出成形工具から容易に取り出すことができる。
【0101】
特に、シールボディ128はしたがって融解加工性TFEコポリマー又は融解加工性TFEコポリマーの化合物から射出成形によって製造できる。
【0102】
さらに、ばね要素152はまた爪要素168によって保持ラグなしにシールボディ128にしっかりと保持されるので、シール110の使用中にばね要素152がシールボディ128に対して移動する又は受容スペース140の外へ出てしまう危険性はなくなる。
【0103】
爪要素168によってばね要素152がシールボディ128の受容スペース140に正確に恒久的に定位されるため、ばね要素152は、第1の封止リップ132を有する第1の封止部分130及び第2の封止リップ136を有する第2の封止部分134に対してきわめて一定な周方向の弾性的な付勢力を及ぼし、したがってきわめて一定の封止リップ圧力及びシール110のきわめて高い流体密閉性が達成される。
【0104】
アセンブリ100が組み立てられたとき、シール110は、第1の部品102と第2の部品108の間のシールボディ128の受容スペース140にばね要素152が挿入された状態で配置される。
【0105】
それに関連して、シール110のシールボディ128は、第1の封止リップ132を有する第1の封止部分130の変形によって第1の部品102の封止面184に、特にシールホルダー106の径方向内側周縁面に当接し、第2の封止リップ136を有する第2の封止部分134の変形によって第2の部品の封止面186に、特に円筒状の第2の部品108の周縁面に当接する(第1の封止部分130と第2の封止部分134のこの変形は、したがって図1の概略図では考慮されていらず、このためこの概略図では、第1の封止リップ132と第1の部品102及び第2の封止リップ136と第2の部品108が重なっている)。
【0106】
アセンブリ100が組み立てられた状態にあるとき、第1の封止部分130は実質的に外側半径Rを有し、第2の封止部分134は内側半径rを有する。
【0107】
さらに、組み立てられた状態で、シールボディ128は好ましくはその閉じた端面150によって第1の部品102の基部104の端面124に当接する。
【0108】
第1の封止リップ132と第2の封止リップ136における封止によって、アセンブリ100が組み立てられた状態で、シール110は第1の媒質スペース188と第2の媒質スペース190を実質的に流体密閉的に互いから隔離する。
【0109】
したがって、媒質スペース188と190は、アセンブリ100を使用しているとき、異なる流体媒質によって、例えば空気、燃料又はオイル、によって満たすことができる。
【0110】
好ましくは、アセンブリ100を使用しているとき、第2の部品108は第1の部品102に対して可動である。
【0111】
それに関連して、第2の部品108は、第1の部品102に対して長手軸114のまわりで回転可能である、及び/又は長手軸114の方向に、言い換えると軸方向146で、又は軸方向146と反対方向に移動可能である。
【0112】
この場合、シール110は好ましくは第1の部品102に対して静止したままである。
【0113】
しかしながら、基本的にはシール110は、第1の部品102に対して第2の部品108と共に移動するような仕方で第2の部品に結合すると想定できる。
【0114】
シール110が第1の部品102に対して静止している用に配置されるとき、第1の部品102に当接するシール110の第1の封止部分130は静的な封止部分であり、第2の部品108に当接するシール110の第2の封止部分134は動的な封止部分である。
【0115】
例えば、第1の媒質スペース188をエンジンオイルで満たし、第2の媒質スペース190を別の液体、例えば、特に石油で満たすこともできる。
【0116】
アセンブリ100は高圧ポンプの部品、特に内燃機関に燃料を噴射する高圧ポンプの部品を構成するものであってもよい。
【0117】
図5から7までに示されたシール110の第2の実施形態は、図1から4までに示された第1の実施形態とは、爪要素168がばね要素152の個々の外側周方向部分156だけでなく、ばね要素152の内側周方向部分162にも設けられているという点が異なる。
【0118】
さらに、爪要素168は、異なる長さの結合ウエブ部材166に結合された外側周方向部分156a及び156bに設けられており、したがってこれらのいろいろな外側周方向部分156はばね要素152の異なる軸方向位置にある(言い換えると、ばね要素152の軸方向146に関して異なる位置にある)。
【0119】
後方外側周方向部分156aに配置された爪要素は以下で爪要素168aと呼び、前方外側周方向部分156bに配置された爪要素は以下で爪要素168bと呼び、前方内側周方向部分162bに配置された爪要素は以下で爪要素168cと呼ぶ。
【0120】
図6で最もよく見られるように、特に、すべての後方外側周方向部分156aと、すべての前方外側周方向部分156bと、すべての内側周方向部分162には、それぞれ爪要素168が設けられていると想定できる。
【0121】
図7で最もよく見られるように、後方外側周方向部分156a上の爪要素168aは正確に図1から4までに示された第1の実施形態と同じに構成されている。
【0122】
前方外側周方向部分156b上の爪要素168bは、いずれの場合もそれぞれの前方外側周方向部分156bのベンドライン192のまわりで外側へ曲げられた部分194として構成され、それぞれの外側へ曲げられた部分194はばね要素152の軸方向146に対して鋭角β、例えば約20゜から約40゜の範囲の鋭角βだけ傾いている。
【0123】
これらの爪要素168bの各々は外側へ曲げられた部分194から突出する複数の、例えば2つの、突起172を含み、いずれもその間に配置された中間スペース174を含む。
【0124】
内側周方向部分162上に配置された爪要素168cは、この実施形態では、それぞれベンドラインのまわりで内側へ曲げられた部分198,言い換えるとばね要素152の長手軸114の方へ曲げられた部分198として構成される。
【0125】
これらの内側へ曲げられた部分198はばね要素152の軸方向146に対して鋭角γ、例えば約20゜から約40゜の範囲にある鋭角γだけ傾いている。
【0126】
内側周方向部分162上の爪要素168cは、図7に示されるように、内側周方向部分162の内側へ曲げられた部分198だけを含み、同様に外側周方向部分156a又は156b上の爪要素168aと168bが内側へ曲げられたそれぞれの部分198から突出する一つ以上の突起を含む。
【0127】
シール110のばね要素152は図6に示されたばね要素プレフォーム178から、結合ウエブ部材166を成形し、前方外側周方向部分156の外側へ曲げられた部分194をベンドライン192のまわりに曲げ、内側周方向部分162の内側へ曲げられた部分198をベンドライン196のまわりに曲げることで作られる。
【0128】
これらの成形工程の後、ばね要素152はシールボディ128の受容スペース140に導入され、そこでばね要素152は外側周方向部分156aと156b上の爪要素168aと168bによって受容スペース140の外側境界壁160と連結され、内側周方向部分162上の爪要素168cによって受容スペース140の内側境界壁164と連結される。
【0129】
受容スペース140の2つの互いに対向する境界壁160と164への爪要素168によるばね要素152の連結、そしてばね要素152の異なる軸方向位置に、したがって受容スペース140の開口145からの異なる間隔に、そして受容スペースの溝ベース148からの異なる間隔に配置された爪要素によるばね要素152の連結によって、シールボディ128へのばね要素152のきわめて確実な保持とシールボディ128上のばね要素152のきわめて信頼できる位置合わせが達成される。
【0130】
それに関連して、外側周方向部分156の総数に対する後方外側周方向部分156aの比率は基本的には望むように選ぶことができる。
【0131】
図6に示された実施形態では、後方外側周方向部分156aの数は、例えば、4つであり、後方外側周方向部分156aの数は前方外側周方向部分156bの数よりも小さい。
【0132】
しかし、後方外側周方向部分156aの数も、基本的には前方外側周方向部分156bの数より大きくてもよい。
【0133】
その他の点では、図5から7までに示されたシール110の第2の実施形態は、構造に関しても、機能の仕方、及び製造の仕方に関しても図1から4までに示された実施形態1と合致しており、それについてはここまでの記述を参照されたい。
【0134】
図8に示されたアセンブリ100の別の実施形態で、シール110の第3の実施形態は、図1から4までの第1の実施形態とは、第3の実施形態のシールボディ128は、第1の封止部分130、第2の封止部分134、及びウエブ138のほかに、第1の封止部分130の径方向外側に配置された保持部分200を含み、上記保持部分は軸方向146に突出する突起202を含むという点で異なっている。シール110が組み立てられた状態で、この突起はシールホルダー106と基部104の端面124の間の中間スペースに配置され、シールホルダー106に対して軸方向に絞られ、封止圧力が高まる(この絞りは図8の概略図には示されていない)。その結果、シールボディ128が全体として第1の部品102に対して径方向にずれないように固定される。
【0135】
さらに、シール110のこの実施形態では、シールボディ128に別のワイパーリップ206が設けられ、シール110が組み立てられた状態ではそれが第2の部品108の封止面186に、言い換えると特に円筒状の第2の部品108の周縁面に、当接する。
【0136】
第1の媒質スペース188からのごみ粒子はこの別のワイパーリップ206によって第2の封止部分134から遠ざけられる。
【0137】
ワイパーリップ206は、特に、記憶ワイパーリップとして構成できる。言い換えると、用いるフッ素ポリマー材料、特にPTFE又はPTFE化合物材料、融解加工性TFEコポリマー又は融解加工性TFEコポリマー化合物、の記憶作用によって関連する封止面186に付勢されるワイパーリップとして構成できる。
【0138】
この記憶作用は、最初に、第2の部品108の外径よりも小さな内径で記憶ワイパーリップを機械加工して作成し、その記憶ワイパーリップを、室温又は高温で変形して、第2の部品108を記憶ワイパーリップに通してガイドすることができるようにする。アセンブリ100を使用中にそれが加熱されると記憶ワイパーリップのPTFE含有材料が逆に変形して元の形の方に戻る。この、いわゆる“プラスチック記憶効果” によってワイパーリップ206は封止面186の方へ付勢され、アセンブリ100が使用される間、ワイパーリップ206の摩耗の過程で絶えず再調整されて第2の部品108に突き当たるようになり、ワイパーリップ206の十分なワイパー効果が確保される。
【0139】
さらに、図8に示されたシール110の実施形態では、第2の封止部分134は、単一の封止リップだけでなく、複数の、例えば2つ又は3つの、軸方向146で互いに追従する第2の封止リップ136aと136bを有すると共に、アセンブリ100が組み立てられた状態で、実質的に円筒状の接触面208は第2の部品108の封止面186に載っている。
【0140】
第1の漏れ貯蔵スペース210が前方の第2の封止リップ136aと後方の第2の封止リップ136bの間に形成され、第2の漏れ貯蔵スペース212が後方の第2の封止リップ136bと第二の封止部分134の接触面208の間に形成される。
【0141】
シール110が組み立てられた状態にあるとき、前方の第2の封止リップ136a、後方の第2の封止リップ136b及び第二の封止部分134の接触面208は第2の部品の封止面186に当接する。第2の媒質スペース190から第1の媒質スペース188への媒質の漏れはこの三重の又は(3つの第2の封止リップが用いられる場合)四重の封止によって著しく減少する。
【0142】
アセンブリ100の使用中に第2の部品108がシール110に対して軸方向146と逆向きに動くとき、第2の媒質スペース190から漏れた液体は第2の封止部分134の漏れ貯蔵スペース210と212に収容され、第2の部品108が軸方向146に戻る動きのさい、特に第2の部品108に配置されたピストンの戻りストロークのさいに媒質スペース190に押し戻される。
【0143】
シール110のばね要素152は、この実施形態でも、図1から7までに示された実施形態と同様に、後方外側周方向部分156aに配置された後方外側爪要素168aを有し、それによってばね要素152はシールボディ128の受容スペース140の外側境界壁160に連結される。
【0144】
それに加えて、ばね要素152は、この第3の実施形態では、ばね要素152の後方内側周方向部分162aに配置された後方内側爪要素168dを有し、それが受容スペース140の内側境界壁164と連結されている。
【0145】
図8から見られるように、後方外側爪要素168aと後方内側爪要素168dは実質的にばね要素152の同じ軸方向位置に、言い換えると軸方向146に沿って同じ位置に、配置されている。
【0146】
受容スペース140の溝ベース148はこの実施形態では曲がっていてもよく、特に波頂線170の領域でばね要素152の曲率に適合させることができる。
【0147】
その他の点では、図8に示されたシール110の第3の実施形態は、図1から7までに示された実施形態と構造、機能の仕方、及び製造の仕方で合致しており、それについてはここまでの記述を参照されたい。
【0148】
図9に示されたシール110の第4の実施形態は、図1から4までに示された第1の実施形態とは、シール110のばね要素152が、ばね要素152の後方外側周方向部分156aに配置されてシールボディ128の受容スペース140の後方境界壁160と連結される少なくとも一つの後方外側爪要素168aを有するだけでなく、その他に後方内側周方向部分162aに配置されてシールボディ158の受容スペース140の内側境界壁164と連結される少なくとも一つの後方内側爪要素168dを有する点が異なっている。
【0149】
その他の点では、図9に示されたシール110の第4の実施形態は、図1から4までに示された第1の実施形態と、構造、機能の仕方、及び製造の仕方で合致しており、それについてはここまでの記述を参照されたい。
【0150】
図10に示されたシール110の第5の実施形態は、図9に示された第4の実施形態とは、この実施形態の爪要素168aと168dは、ばね要素152の軸方向146に対して、爪要素168aと168dが軸方向146と鋭角αではなく直角又は鈍角α’を成すほど後方に曲げられている(図10参照)という点が異なっている。
【0151】
その結果、シールボディ128の受容スペース140におけるばね要素152のきわめてしっかりした保持が達成される。
【0152】
その他の点では、図10に示されたシール110の第5の実施形態は、図9に示された第4の実施形態と、構造、機能の仕方、及び製造の仕方で合致しており、それについてはここまでの記述を参照されたい。
【0153】
図11に示されたシール110の第6の実施形態は、図1から4までに示された第1の実施形態とは、実質的には、後方外側爪要素168aがばね要素152の前方外側周方向部分156bの前方エッジにより近く配置されている点だけが異なっている。
【0154】
さらに、この実施形態におけるシールボディ128の溝ベース148は(図9と10による実施形態と同様に)曲がっていてもよく、特にばね要素152の波頂線170の領域におけるばね要素152の曲率に適合させることができる。
【0155】
その他の点では、図11に示されたシール110の第6の実施形態は、図1から4までに示された第1の実施形態と、構造、機能の仕方、及び製造の仕方で合致しており、それについてはここまでの記述を参照されたい。
【0156】
図12に示されたシール110の第7の実施形態は、図10に示された第5の実施形態とは、ばね要素152の後方外側爪要素168aと後方内側爪要素168dが非常に後方に配置されているためにこれらの爪要素168a、168dの端がばね要素152の軸方向146で波頂線170の後ろにあるという点が異なっている。その結果、爪要素168a、168dがシールボディ128の受容スペース140の外側境界壁160又は内側境界壁164に食い込んでそこでしっかりと固定するのがきわめて容易になる。
【0157】
その他の点では、図12に示されたシール110の第7の実施形態は、図10に示された第5の実施形態と、構造、機能の仕方、及び製造の仕方に関して合致しており、それについてはここまでの記述を参照されたい。
【0158】
図13に示されたシール110の第8の実施形態は、図10に示された第5の実施形態とは、ばね要素152が、後方外側爪要素168aと後方内側爪要素168dではなく、ばね要素152の前方外側周方向部分156b上に配置され、シールボディ128の受容スペース140の外側境界壁160と連結される前方外側爪要素168bと、ばね要素152の前方内側周方向部分162b上に配置され、シールボディ128の受容スペース140の内側境界壁164と連結される前方内側爪要素168cを有するという点が異なっている。
【0159】
その他の点では、図13に示されたシール110の第8の実施形態は、図10に示された第5の実施形態と、構造、機能の仕方、及び製造の仕方に関して合致しており、それについてはここまでの記述を参照されたい。
【0160】
図14に示されたシール110の第9の実施形態は、図5から7までに示された第2の実施形態とは、第9の実施形態における爪要素168a、168b及び168cがばね要素152の軸方向146と成す角αが第2の実施形態におけるよりも大きいという点だけが異なる。
【0161】
さらに、第9の実施形態における受容スペース140の溝ベース148は、図12に示される第7の実施形態及び図13に示される第8の実施形態と同様に、曲がっていてもよく、特に波頂線170の領域におけるばね要素152の曲率に適合させることができる。
【0162】
その他の点では、図14に示されたシール110の第9の実施形態は、図5から7までに示された第2の実施形態と、構造、機能の仕方、及び製造の仕方で合致しており、それについてはここまでの記述を参照されたい。
【0163】
図15と16に示されたシール110の第10の実施形態は、図13に示された第8の実施形態と、前方外側爪要素168bと前方内側爪要素168cはシールボディ128の受容スペース140の境界壁160又は164と連結されず、その代わりにシールボディ128の開かれた端面144と連結される点が異なっている。この実施形態では、ばね要素152はしたがって部分的にシールボディ128の受容スペース140から外へ受容スペース140の開口145を通って延びている。
【0164】
その他の点では、図15と16に示されたシール110の第10の実施形態は、図13に示された第8の実施形態と、構造、機能の仕方、及び製造の仕方で合致しており、それについてはここまでの記述を参照されたい。
【0165】
図17に示されたシール110の第11の実施形態は、図8に示された第3の実施形態と、シール110はこの第11の実施形態では二重シールとして構成され、1つではなく2つの第2の封止部分134aと134bを含み、それらは軸方向146で互いに間隔をあけて第2の部品108に対して封止するためのそれぞれの第2の封止リップ136aと136bを有し、1つではなく2つの第1の封止部分130aと130bを含み、それらは第1の部品102に対して封止するためのそれぞれの第1の封止リップ132を有する。
【0166】
二重シールとして構成されるシール110は、特に、軸方向146に対して直角方向に向き円筒状の接触面を通るシール110の横断中心面214に関して実質的に鏡面対象であってよい。
【0167】
この実施形態のシールボディ128は2つの受容スペース140aと140bを有し、それらは各々第1の封止部分130a、130bと対向する第2の封止部分134a又は134bの間に配置され、それぞれのばね要素152a、152bは少なくとも部分的にそれぞれの受容スペース140a、140bに受容される。
【0168】
シール110のばね要素152a、152bの各々は、この実施形態でも図8に示された実施形態と同様に、後方外側周方向部分156a上に配置された後方外側爪要素168aを有し、それによってシールボディ128のそれぞれの受容スペース140a、140bの外側境界壁160に連結される。
【0169】
これに加えて、ばね要素152a、152bの各々は、この実施形態でも図8に示された実施形態と同様に、それぞれのばね要素152a、152bの後方内側周方向部分162a上に配置された後方内側爪要素168dを有し、それによってそれぞれの受容スペース140a、140bの内側境界壁164に連結される。
【0170】
図17から見られるように、後方外側爪要素168aと後方内側爪要素168dは実質的にそれぞれのばね要素152a、152bの同じ軸方向位置に、言い換えると軸方向146に沿って同じ位置に配置されている。
【0171】
受容スペース140a、140bの溝ベース148は、この実施形態では曲がっていてもよく、特に波頂線170の領域でそれぞれのばね要素152a、152bの曲率に適合させることができる。
【0172】
図17に示されたアセンブリ100では、第1の部品102を一体で形成することができ、図8のシールボディ128の保持部分200はこの実施形態では省略できる。
【0173】
さらに、アセンブリ100が、シール110の第1の部品102から遠い方の側に配置された、好ましくは弾力ある、保持リング216を備えるように構成し、シールボディ128は保持リング216と第1の部品102の端面124の間でポジティブロック嵌合で保持され、軸方向に移動できないように構成できる。
【0174】
図8の実施形態のワイパーリップ206は図17の第11の実施形態では省略できる。また、別にこのタイプのワイパーリップ206を2つの第2の封止部分134a、134bの一方の自由端に配置することもできるであろう。
【0175】
その他の点では、図17に示されたシール110の第11の実施形態は、図8に示された第3の実施形態と、構造、機能の仕方、及び製造の仕方で合致しており、それについてはここまでの記述を参照されたい。
【符号の説明】
【0176】
102 第1の部品
108 第2の部品
112 封止ギャップ
128 シールボディ
130,134 封止部分
140 受容スペース
145 開口
152 ばね要素
154 ベースボディ
160,164 境界壁
168 爪要素
172 突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部品(102)と第2の部品(108)の間の封止ギャップ(112)を封止するシールであって、
少なくとも一つの封止部分(130,134)を含むシールボディ(128)と、
封止部分(130,134)を封止される部品(102,108)の少なくとも一方に対して付勢する少なくとも一つのばね要素(152)と、を備え、
ばね要素(152)は少なくとも部分的にシールボディ(128)の受容スペース(140)内に配置され、
ばね要素(152)は少なくとも一つの爪要素(168)を有し、爪要素(168)によってばね要素(152)がシールボディ(128)に連結されることを特徴とするシール。
【請求項2】
ばね要素(152)は、蛇行する形状のベースボディ(154)を有することを特徴とする請求項1に記載のシール。
【請求項3】
少なくとも一つの爪要素(168)は、ばね要素(152)のベースボディ(154)に配置された少なくとも一つの突起(172)を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のシール。
【請求項4】
シールボディ(128)は円環状であり、少なくとも一つの爪要素(168)は、ばね要素(152)のベースボディ(154)の周方向部分(156,162)上に配置され、シールボディ(128)の実質的に周方向(158)に延びていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のシール。
【請求項5】
シールボディ(128)の受容スペース(140)が、開口(145)でシールボディ(128)の外部空間に開いていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のシール。
【請求項6】
ばね要素(152)が少なくとも2つの爪要素(168)を有し、2つの爪要素(168)は受容スペース(140)の開口(145)から実質的に同じ間隔に配置されていることを特徴とする請求項5に記載のシール。
【請求項7】
ばね要素(152)が少なくとも2つの爪要素(168)を有し、2つの爪要素(168)は受容スペース(140)の開口(145)から異なる間隔に配置されていることを特徴とする請求項5又は6に記載のシール。
【請求項8】
シールボディ(128)は第1の部品(102)に対して用いられる第1の封止部分(130)と、第2の部品(108)に対して用いられる第2の封止部分(134)とを備え、シール(110)が組み立てられた状態にあるとき、ばね要素(152)は第1の封止部分(130)を第1の部品(102)に対して、第2の封止部分(134)を第2の部品(108)に対して付勢することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のシール。
【請求項9】
ばね要素(152)は、第1の封止部分(130)と連結される少なくとも一つの爪要素(168a、168b)を有し、第2の封止部分(134)と連結される少なくとも一つの爪要素(168c、168d)を有することを特徴とする請求項8に記載のシール。
【請求項10】
ばね要素(152)は、少なくとも2つの爪要素(168a、168b;168c、168d)を有し、2つの爪要素は2つの封止部分(130、134)の一つと連結されることを特徴とする請求項8又は9に記載のシール。
【請求項11】
ばね要素(152)は、少なくとも一つの爪要素(168)を有し、爪要素が受容スペース(140)の境界壁(160,164)でシールボディ(128)と連結されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のシール。
【請求項12】
ばね要素(152)は、少なくとも一つの爪要素(168)を有し、爪要素が受容スペース(140)の外側でシールボディ(128)と連結されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のシール。
【請求項13】
シールボディ(128)は受容スペース(140)に隣接して配置された端面(144)を有し、少なくとも一つの爪要素(168)がこの端面(144)でシールボディ(128)と連結されることを特徴とする請求項12に記載のシール。
【請求項14】
シールボディ(128)が、ばね要素(152)を受容スペース(140)に保持するための保持突起を有しないことを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載のシール。
【請求項15】
シールボディ(128)は、ポリテトラフルオロエチレン物質、ポリテトラフルオロエチレン化合物、改質ポリテトラフルオロエチレン物質、及び/又は改質ポリテトラフルオロエチレン化合物を含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載のシール。
【請求項16】
シールボディ(128)は、融解加工性テトラフルオロエチレンコポリマー又は融解加工性テトラフルオロエチレンコポリマーの化合物を含むことを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載のシール。
【請求項17】
シールボディ(128)は、シールボディ(128)の軸方向(146)で互いに間隔をあけた少なくとも2つの封止部分(130a、130b、134a、134b)を含むことを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載のシール。
【請求項18】
第1の部品(102)と第2の部品(108)の間の封止ギャップ(112)を封止するシール(110)を製造する方法であって、
少なくとも一つの封止部分(130,134)と受容スペース(140)とを含むシールボディ(128)を生成するステップと、
少なくとも一つの爪要素(168)を含むばね要素(152)を生成するステップと、
ばね要素(152)を受容スペース(140)に少なくとも部分的に導入し、ばね要素(152)を少なくとも一つの爪要素(168)によってシールボディ(128)と連結するステップと、
を含む方法。
【請求項1】
第1の部品(102)と第2の部品(108)の間の封止ギャップ(112)を封止するシールであって、
少なくとも一つの封止部分(130,134)を含むシールボディ(128)と、
封止部分(130,134)を封止される部品(102,108)の少なくとも一方に対して付勢する少なくとも一つのばね要素(152)と、を備え、
ばね要素(152)は少なくとも部分的にシールボディ(128)の受容スペース(140)内に配置され、
ばね要素(152)は少なくとも一つの爪要素(168)を有し、爪要素(168)によってばね要素(152)がシールボディ(128)に連結されることを特徴とするシール。
【請求項2】
ばね要素(152)は、蛇行する形状のベースボディ(154)を有することを特徴とする請求項1に記載のシール。
【請求項3】
少なくとも一つの爪要素(168)は、ばね要素(152)のベースボディ(154)に配置された少なくとも一つの突起(172)を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のシール。
【請求項4】
シールボディ(128)は円環状であり、少なくとも一つの爪要素(168)は、ばね要素(152)のベースボディ(154)の周方向部分(156,162)上に配置され、シールボディ(128)の実質的に周方向(158)に延びていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のシール。
【請求項5】
シールボディ(128)の受容スペース(140)が、開口(145)でシールボディ(128)の外部空間に開いていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のシール。
【請求項6】
ばね要素(152)が少なくとも2つの爪要素(168)を有し、2つの爪要素(168)は受容スペース(140)の開口(145)から実質的に同じ間隔に配置されていることを特徴とする請求項5に記載のシール。
【請求項7】
ばね要素(152)が少なくとも2つの爪要素(168)を有し、2つの爪要素(168)は受容スペース(140)の開口(145)から異なる間隔に配置されていることを特徴とする請求項5又は6に記載のシール。
【請求項8】
シールボディ(128)は第1の部品(102)に対して用いられる第1の封止部分(130)と、第2の部品(108)に対して用いられる第2の封止部分(134)とを備え、シール(110)が組み立てられた状態にあるとき、ばね要素(152)は第1の封止部分(130)を第1の部品(102)に対して、第2の封止部分(134)を第2の部品(108)に対して付勢することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のシール。
【請求項9】
ばね要素(152)は、第1の封止部分(130)と連結される少なくとも一つの爪要素(168a、168b)を有し、第2の封止部分(134)と連結される少なくとも一つの爪要素(168c、168d)を有することを特徴とする請求項8に記載のシール。
【請求項10】
ばね要素(152)は、少なくとも2つの爪要素(168a、168b;168c、168d)を有し、2つの爪要素は2つの封止部分(130、134)の一つと連結されることを特徴とする請求項8又は9に記載のシール。
【請求項11】
ばね要素(152)は、少なくとも一つの爪要素(168)を有し、爪要素が受容スペース(140)の境界壁(160,164)でシールボディ(128)と連結されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のシール。
【請求項12】
ばね要素(152)は、少なくとも一つの爪要素(168)を有し、爪要素が受容スペース(140)の外側でシールボディ(128)と連結されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のシール。
【請求項13】
シールボディ(128)は受容スペース(140)に隣接して配置された端面(144)を有し、少なくとも一つの爪要素(168)がこの端面(144)でシールボディ(128)と連結されることを特徴とする請求項12に記載のシール。
【請求項14】
シールボディ(128)が、ばね要素(152)を受容スペース(140)に保持するための保持突起を有しないことを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載のシール。
【請求項15】
シールボディ(128)は、ポリテトラフルオロエチレン物質、ポリテトラフルオロエチレン化合物、改質ポリテトラフルオロエチレン物質、及び/又は改質ポリテトラフルオロエチレン化合物を含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載のシール。
【請求項16】
シールボディ(128)は、融解加工性テトラフルオロエチレンコポリマー又は融解加工性テトラフルオロエチレンコポリマーの化合物を含むことを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載のシール。
【請求項17】
シールボディ(128)は、シールボディ(128)の軸方向(146)で互いに間隔をあけた少なくとも2つの封止部分(130a、130b、134a、134b)を含むことを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載のシール。
【請求項18】
第1の部品(102)と第2の部品(108)の間の封止ギャップ(112)を封止するシール(110)を製造する方法であって、
少なくとも一つの封止部分(130,134)と受容スペース(140)とを含むシールボディ(128)を生成するステップと、
少なくとも一つの爪要素(168)を含むばね要素(152)を生成するステップと、
ばね要素(152)を受容スペース(140)に少なくとも部分的に導入し、ばね要素(152)を少なくとも一つの爪要素(168)によってシールボディ(128)と連結するステップと、
を含む方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−40683(P2013−40683A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−180091(P2012−180091)
【出願日】平成24年8月15日(2012.8.15)
【出願人】(503103316)エルリンククリンガー アクチェンゲゼルシャフト (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月15日(2012.8.15)
【出願人】(503103316)エルリンククリンガー アクチェンゲゼルシャフト (13)
【Fターム(参考)】
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