封緘装置
【課題】搬送幅方向に厚さが変化する内容物を封入された状態でも、封筒を、斜行することなく、かつ、詰まることなく正確に搬送方向に真っ直ぐに搬送し、かつ、糊付け作業や折り目形成作業が、精度良く実施できる封緘装置を提供する。
【解決手段】搬送ローラ機構、たとえば第2の搬送ローラ機構12は、駆動ローラ41と、該駆動ローラ41に対して離間及び接近可能な押さえローラ42と、を備えている。前記押さえローラ42は、搬送方向と直交する搬送幅方向に間隔をおいて複数個備えられ、これら複数の押さえローラ42は、前記駆動ローラ41に対して、個々独立した状態で接近離間可能に構成されると共に、個々独立したばね47により個別に駆動ローラ41側に付勢されている。
【解決手段】搬送ローラ機構、たとえば第2の搬送ローラ機構12は、駆動ローラ41と、該駆動ローラ41に対して離間及び接近可能な押さえローラ42と、を備えている。前記押さえローラ42は、搬送方向と直交する搬送幅方向に間隔をおいて複数個備えられ、これら複数の押さえローラ42は、前記駆動ローラ41に対して、個々独立した状態で接近離間可能に構成されると共に、個々独立したばね47により個別に駆動ローラ41側に付勢されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便箋、書類あるいは冊子等の内容物が封入された封筒を、封緘する封緘装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手作業による封緘作業に対し、自動的に糊を塗布し、フラップに折り目を形成し、フラップを折り畳んで封筒本体側に貼着する封緘装置は開発されている(特許文献1及び2)。
【0003】
上記封緘装置は、たとえば、封筒を供給する封筒供給部と、フラップに折り目を形成する折り目形成部と、フラップに糊を塗布する糊塗布部と、フラップを折り畳んで封筒本体に貼着する封止部とを備えると共に、封筒を搬送する複数の搬送ローラ機構を備えている。
【0004】
図20は従来の封緘装置の搬送ローラ機構の一例を示しており、駆動ローラ200と、該駆動ローラ200に対して上方から対向する押さえローラ201とを備え、該押さえローラ201は、駆動ローラ200に対して接近離間可能に保持ケース205に保持されると共に、ばね203により駆動ローラ200側に付勢されている。両ローラ200、201間で封筒Nを挟持し、電動モータ等の駆動源により駆動ローラ200を回転させることにより、封筒Nを搬送する。
【0005】
駆動ローラ200の搬送幅方向Wの寸法D1は、封緘対象となる各種大きさの封筒Nのうち、最大寸法のものに対応できる程度に設定され、また、押さえローラ201の搬送幅方向Wの寸法D2も、前記駆動ローラ200の幅D1と略同程度の寸法に設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−151518号公報
【特許文献2】特開平9−175089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図20に示す従来の封緘装置の搬送ローラ機構において、内容物の厚さが、封筒Nの搬送幅方向Wの全幅に亘って略均一であれば、押さえローラ201は、封筒Nの略全幅に亘って略均等に当接し、これにより、封筒Nを搬送方向に真っ直ぐと搬送することができる。
【0008】
ところが、図21に示すように、内容物の厚さが搬送幅方向Wに変化している場合には、最も厚くなっている箇所N1に相当する高さ(ローラ間隔)まで押さえローラ201が駆動ローラ200から離間するので、押さえローラ201は殆ど箇所N1のみで封筒Nを挟持し、残りの薄い部分では封筒Nを挟持しない。この状態で駆動ローラ200が回転すると、封筒Nが斜行する可能性が極めて大きい。そして封筒Nが斜行すると、糊付け位置や折り目の形成位置あるいは方向が狂ったり、搬送途中で封筒が詰まったりすることがある。
【0009】
本発明の目的は、搬送幅方向に厚さが変化する内容物を封入された状態でも、封筒を、斜行することなく、かつ、詰まることなく正確に搬送方向に真っ直ぐに搬送し、かつ、糊付け作業や折り目形成作業が、精度良く実施できる封緘装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、未封緘状態の封筒を一枚ずつ供給する封筒供給部と、供給された前記封筒の所定箇所に糊を塗布する糊塗布部と、糊が塗布された前記封筒のフラップに折り目を形成する折り目形成部と、前記フラップを折り畳んで封筒本体側に貼着する封止部と、封筒を搬送する複数の搬送ローラ機構と、を備えた封緘装置において、前記各搬送ローラ機構は、駆動ローラと、該駆動ローラに対して接近離間可能な押さえローラと、を備えており、前記複数の搬送ローラ機構のうち、少なくとも一つの搬送ローラ機構は、搬送方向と直交する搬送幅方向に間隔をおいて複数の前記押さえローラを備え、これら複数の押さえローラは、前記駆動ローラに対して、個々独立した状態で接近離間可能に構成されると共に、個々独立したばねにより個別に駆動ローラ側に付勢されている。
【0011】
本発明は、上記封緘装置において、次のような構成を採用することができる。
(a)搬送幅方向に間隔をおいて配置された前記複数の押さえローラは、前記封筒供給部の封筒出口側に配置され、対応する前記駆動ローラとの間で挟持した封筒との摩擦により、封筒供給部の封筒を一枚ずつ分離して供給する、捌き用の押さえローラである。
【0012】
(b)搬送幅方向に間隔をおいて配置された前記複数の押さえローラは、前記糊塗布部による糊塗布時及び前記折り目形成部による折り目形成時の封筒を、所定の搬送方向位置で停止保持する位置決め用の押さえローラである。
【0013】
(c)搬送幅方向に間隔をおいて配置された前記複数の押さえローラは、好ましくは3個以上並設されている。
【発明の効果】
【0014】
(1)本発明によると、内容物を封入した封筒の搬送時、内容物の厚さが搬送幅方向に変化していても、搬送幅方向に間隔をおいた複数箇所で、確実に封筒を挟持して搬送できるので、封筒の斜行を防止することができ、これにより、搬送途中の封筒の詰まりを防止できると共に、糊塗布作業及び折り目形成作業を精度良く実施することができる。
【0015】
(2)搬送幅方向に間隔をおいて配設した複数の押さえローラを個々に作動させる構造を、捌きローラ機構に採用することにより、封筒供給部に積載されている封筒を、確実に、一枚ずつ分離でき、かつ、斜行せずに搬送できる。
【0016】
(3)搬送幅方向に間隔をおいて配設した複数の押さえローラを個々に作動させる構造を、糊塗布時及び折り目形成時の封筒の停止保持用の位置決め用ローラ機構に採用することにより、前記工程時に、確実に封筒を所定位置に保持でき、糊付け及び折り目形成作業精度をさらに向上させることができる。
【0017】
(4)前記複数の押さえローラを3個以上並設することより、封筒の厚さが搬送幅方向に複雑に変化していても、確実に封筒を挟持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る封緘装置の全体斜視図である。
【図2】図1の封緘装置の内部の平面図である。
【図3】図2のIII-III断面図である。
【図4】図2の矢印IV方向に見た封緘装置の側面図である。
【図5】図3のV-V断面拡大図である。
【図6】捌きローラ機構(第1の搬送ローラ機構)の部分拡大斜視図である。
【図7】図3のVII-VII断面拡大図である。
【図8】図7に示す搬送ローラ機構の部分拡大斜視図である。
【図9】図3のIX-IX断面図である。
【図10】図3のX-X断面図である。
【図11】図10の矢印XI方向に見た拡大側面図である。
【図12】図3のXII-XII断面拡大図である。
【図13】搬送幅方向に厚さが変化する内容物を収納した封筒を挟持した状態を示す図12と同じ部分の断面拡大図である。
【図14】封緘作業前の封筒の一例を示す斜視図である。
【図15】捌き及び搬送工程時の封筒の状態を示す斜視図である。
【図16】糊塗布工程時の封筒の状態を示す斜視図である。
【図17】折り目形成工程時の封筒の状態を示す斜視図である。
【図18】封止工程時の封筒の状態を示す斜視図である。
【図19】封止部の変形例を示す斜視図である
【図20】従来の搬送ローラ機構の断面図である。
【図21】搬送幅方向に厚みが変化する内容物を収納した封筒を挟持した状態を示す図20と同じ部分の断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[封緘装置全体の構成]
図1乃至図4は、本願発明に係る封緘装置の全体の構成を示しており、これら図面に基づいて、まず封緘装置全体の概略を説明する。
【0020】
斜視図である図1において、封筒Nの搬送経路は、往路と復路を有する往復式(あるいはスイッチバック式)となっており、往路の搬送方向を矢印F1で示し、復路の搬送方向を矢印F2で示している。また、説明の都合上、往路搬送方向F1側を装置の「前側」と称し、搬送方向F1(及びF2)と直交する搬送幅方向Wを、適宜、装置の「左右方向」と称して説明する。
【0021】
封緘装置は、本体ケース4の後側の上段に、未封緘状態の封筒Nを積載する封筒供給部2が設けられ、下段に、封緘後に排出される封筒Nを積載する封筒受け部3が設けられている。本体ケース4の搬送幅方向Wの一端部側には、操作パネル5が設けられている。
【0022】
図2は装置内部の平面図、図3は図2のIII-III断面図、図4は図2の矢印IV方向に見た側面図であり、図3において、本体ケース4内には、後側から順に、第1の搬送ローラ機構としての役目も果たす捌きローラ機構11、第2の搬送ローラ機構12、第3の搬送ローラ機構としての役目も果たす封止部13、糊塗布部14、折り目形成部15、及び第4の搬送ローラ機構としての役目も果たす位置決め用ローラ機構16が配設されている。
【0023】
(封筒供給部2)
図2において、封筒供給部2は、多数の封筒を積載する供給台21と、左右一対の側ガイド板22と、供給台21に形成された開口から上方に突出する複数の供給ローラ23を備えており、該供給ローラ23の表面には、搬送幅方向Wに延びる多数の切り込み溝が形成されている。側ガイド板22は、封筒の大きさに応じて、搬送幅方向Wの位置が調節自在である。供給台21の中央部には、供給台21上の封筒の有無を検出する光透過式封筒検出センサー28が設けられている。
【0024】
図3において、封筒供給部2には、積載された封筒Nが浮き上がるのを防止するために、厚肉平板状の樹脂製錘29が備えられており、この樹脂製錘29は、前記光透過式封筒検出センサー28の検出作動を阻害しないように、透明の樹脂材料でできている。
【0025】
図4において、各供給ローラ23の回転軸23aは、ギヤ伝達機構24及び第1のベルト伝達機構25を介して、第1の駆動モータ26に連結し、該第1の駆動モータ26により、総ての供給ローラ23が同期回転するようになっている。
【0026】
(捌きローラ機構11)
図5は第1の搬送ローラ機構としての役目も果たす捌きローラ機構11の断面図、図6は捌きローラ機構11の部分拡大斜視図であり、図5において、捌きローラ機構11は、往路搬送経路の下側に配置された駆動ローラ31と、該駆動ローラ31の上側に配置された捌きローラ(押さえローラ)32とから構成されており、駆動ローラ31は、搬送幅方向Wに間隔おいて4個配設され、捌きローラ32も、搬送幅方向Wに間隔をおいて、前記各駆動ローラ31に対応する位置に4個配設されている。
【0027】
4個の駆動ローラ31は共通の一本の駆動軸33(仮想線で示す)に固着されており、該駆動軸33は、本体ケース4の左右側壁35に回転自在に支持されると共に、軸方向の一端が前記ギヤ伝達機構24に連結されている。すなわち、4個の駆動ローラ31は、共通の駆動軸33により一体的に回転し、且つ、図4のように、ギヤ伝達機24を介して前記供給ローラ23とも同期回転するように構成されている。
【0028】
一方、図5の4個の捌きローラ32は、独立した4本のローラ支軸34に、ワンウエイクラッチ35を介して、一方向のみ回転可能にそれぞれ支持されており、各ローラ支軸34は、それぞれローラホルダー36に固定されている。各捌きローラ32の搬送幅方向Wの寸法は、駆動ローラ31の搬送幅方向Wの寸法よりも小さくなっており、また、各捌きローラ32の外周面は、搬送幅方向Wの両端部につば部を有する断面コの字状に形成されている。
【0029】
図6において、駆動ローラ31は、封筒を往路搬送方向F1に送り出すように、駆動軸33と共に矢印A1方向に回転駆動される。
【0030】
捌きローラ32のローラ支軸34は、ローラホルダー36の前下端部に支持されており、捌きローラ32は、前記ワンウエイクラッチ35の作用により、ローラ支軸34回りに矢印B2方向へのみ回転可能で、矢印B1方向へは回転しないように構成されている。ローラホルダー36は、その後下端部が、揺動支軸38に揺動自在に支持されており、これにより、各捌きローラ32及びローラ支軸34は、個々独立して、揺動支軸38回りに上下方向に揺動可能となっている。すなわち、駆動ローラ31に対し、4個の捌きローラ32は、個々独立して上下方向に接近離間自在となっている。
【0031】
各ローラホルダー36の後上端部には、コイルばね37の後端部がそれぞれ係止され、このばね37は前方に延び、前端部が本体ケース4に固定された固定壁39に係止されている。すなわち、ローラホルダー36の後上端部と前方の固定壁39との間にばね37を張設することにより、各ローラホルダー38を揺動軸38回りに駆動ローラ31側へ矢印C1方向に付勢し、駆動ローラ31に当接させている。
【0032】
(第2の搬送機構12)
図7は第2の搬送ローラ機構12の断面図、図8は第2の搬送ローラ機構12の部分拡大斜視図であり、図7において、第2の搬送ローラ機構12は、往路搬送経路の下側に配置された駆動ローラ41と、該駆動ローラ41の上側に配置された押さえローラ42とから構成されており、駆動ローラ41は、搬送経路の搬送幅方向Wの略全幅に亘るように形成され、押さえローラ42は、搬送幅方向Wに間隔おいて4個配設されている。
【0033】
駆動ローラ41の駆動軸(仮想線で示す)43は、本体ケース4の左右側壁35に回転自在に支持されると共に、軸方向の一端が、第2のベルト伝達機構45に連結されている。
【0034】
4個の押さえローラ42の各ローラ支軸44は、それぞれローラホルダー46に回転自在に支持されている。
【0035】
図4において、駆動軸43が連結される第2のベルト伝達機構45は、第2の駆動モータ49に連結されている。
【0036】
図8において、駆動ローラ41は、封筒を往路搬送方向F1に送り出すように、駆動軸43と共に矢印A1方向に回転駆動される。
【0037】
押さえローラ42のローラ支軸44は、ローラホルダー46の前下端部に回動自在に支持され、ローラホルダー46の後下端部は、揺動支軸48に揺動自在に支持されており、これにより、各押さえローラ42は、揺動支軸48回りに、個々独立して上下方向に揺動可能となっている。すなわち、駆動ローラ41に対し、4個の押さえローラ42は、上下方向に個々に接近離間自在となっている。
【0038】
各ローラホルダー46の後上端部には、それぞれコイルばね47の一端部が係止され、このばね47は前方に延び、ばねの前端部が固定壁39に係止されている。すなわち、ローラホルダー46の後上端部と前方の固定壁39との間にばね47を張設することにより、各ローラホルダー46を揺動軸48回りに駆動ローラ41側へ矢印C1方向に付勢し、駆動ローラ41に当接させている。
【0039】
(封止部13)
図9は封止部13の断面図であり、往路兼復路の搬送経路の下側に配置された駆動ローラ51と、該駆動ローラ51の上側に配置された押さえローラ52とから構成されており、駆動ローラ51及び押さえローラ52は、共に搬送経路の搬送幅方向Wの略全幅に亘るように形成され、押さえローラ52は、表面が弾力性を有するウレタンゴムで形成されている。駆動ローラ51の駆動軸53は、左右側壁35に回転自在に支持されている。
【0040】
押さえローラ52が固着されたローラ支軸54の軸方向の両端部は、固定型の保持ケース56に上下方向移動可能に支持されると共に、圧縮ばね57により下方に付勢され、駆動ローラ51に圧接している。
【0041】
図3において、封止部13は、前記駆動ローラ51と押さえローラ52とのローラ対を、前後に間隔をおいて2対備えており、前後のローラ対の間には、光透過式の封筒検出センサー58が設けられている。下側の各駆動ローラ51の駆動軸53は、図4に示すように、第3のベルト伝達機構55を介して第3の駆動モータ56に連結しており、第3の駆動モータ56の正逆回転の切り換えにより、矢印A1及びA2のいずれにも回転するようになっている。すなわち、封筒の搬送方向を、往路搬送方向F1と復路搬送方向F2とに切り換え自在となっている。
【0042】
図2において、前記封筒検出センサー58は、搬送幅方向Wに間隔をおいて一対配置されており、封筒の後端(あるいは前端)の通過を検出することにより、封筒の通過の有無に加え、左右の検出センサー58の検出タイミングの相違による封筒の斜行と、折り目形成部15及び糊塗布部14における封筒停止位置を決めるためのカウント開始位置を、検出する。
【0043】
(糊塗布部14)
図10は糊塗布部14及び折り目形成部15の断面図、図11は糊塗布部14及び折り目形成部15の拡大側面図であり、図10において、糊塗布部14は、搬送幅方向Wに延びる上下のガイドレール61,62に移動可能に支持されたスライダー63と、該スライダー63に昇降可能に支持されたカセットホルダー64と、該カセットホルダー64に着脱自在に装着されたテープ糊カセット65と、テープ糊カセット65の下方に配置された糊付け台66と、を備えている。前記ガイドレール61,62は、保持ケース60の左右側壁に支持されている。スライダー63は、ガイドレール62と平行に敷設されたベルト式駆動機構67に連結され、カセットホルダー64は、スライダー63内に配置された昇降用駆動モータ68に連結されている。なお、図10は、カセットホルダー64のカバー部材75(図11参照)を取り外して示してある。
【0044】
テープ糊カセット65内には、未使用のテープ糊71が巻かれた供給リール72と、使用後のテープを巻き取る巻き取りリール73とが設けられ、テープ糊カセット65の下端部には、加圧ローラ75が回転自在に設けられている。
【0045】
テープ糊71は、テープ本体の表面に剥離自在に糊を付着させたものであり、供給リール72から下方に延びて加圧ローラ75に巻き掛けられ、上方にUターンし、巻き取りリール73に巻き取られる。供給リール72は、テープ糊を供給する回転方向X1にのみ回転するようになっている。また、供給リール72と巻き取りリール73とは、周知のインク消し用の修正テープ機構と同様に、回転する供給リール72からのテープ糊71の引き出し量に応じて、巻き取りリール73が巻き取り方向Y1に回転するように、ギヤ式連動機構により連動している。
【0046】
図11において、前記テープ糊カセット65は、前記カバー部材75内に収納されており、該カバー部材75の前壁を開くことにより、テープ糊カセット75を取り替えることができるようになっている。前記保持ケース60には、前記ベルト式駆動機構67を駆動するためのスライド用駆動モータ79が設けられている。
【0047】
前記保持ケース60は、手動により、前後方向位置が変更可能となっており、これにより、後述する折り目形成部15の根元(折り目形成位置)M1に対する糊付領域M2の前後方向位置(距離)を、封筒のフラップの大きさ等に合わせて変更できるようになっている。
【0048】
図16は、糊塗布部14による糊付け工程を示しており、テープ糊カセット65は、搬送幅方向Wの一端部側の上昇位置(作動開始位置)P0から下降し、下降位置P1において加圧ローラ75がテープ糊71を糊付け台66の上面に押し付け、次に、テープ糊カセット65を搬送幅方向Wの他端部側に移動することにより、加圧ローラ75を摩擦により回転させつつ、テープ糊71の糊を封筒NのフラップNaに塗布して行く。そして、搬送幅方向Wの他端終了位置P2まで至った後は、位置P3まで上昇し、該位置P3から搬送幅方向Wに移動して前記作業開始位置P0に戻る。
【0049】
(折り目形成部15)
図11において、折り目形成部15は、前記糊塗布部14の糊付け台66の往路搬送方向F1側に隣接するように配置された下型81と、該下型81に上方から対向する上型82とを備えており、下型81には、略V字状の折り目形成用凹部81aが形成され、上型82は、前記凹部81aに嵌入可能な厚板状に形成されている。前記上型82は、昇降可能な昇降フレーム83の上端部に固着されている。
【0050】
図10において、前記昇降フレーム83は、搬送幅方向Wに延びると共に、搬送幅方向Wの両端部から下方に延びる側壁部83aを一体に有しており、両側壁部83aの下端部には、連結バー85を介して左右一対のスライドボス86が形成され、両スライドボス86は、左右一対のガイドロッド87に昇降自在に嵌合している。
【0051】
前記連結バー85は、左右一対のリンク88を介してクランク軸90に連結され、該クランク軸90は伝達ギヤ91を介して折り目形成用の駆動モータ92に連結されている。 すなわち、折り目形成用の駆動モータ92を回転することにより、クランク軸90及びリンク88を介して、連結バー85及びスライドボス86を昇降させ、これにより、昇降フレーム83及び上型82を昇降させる。
【0052】
上記折り目形成用の駆動モータ92はステッピングモータであり、図17の折り目形成工程図に示すように、上型82は、上昇位置K0から下降して、封筒Nに軽く接触する中間位置K1で一旦停止し、この中間位置K1で封筒を押さえた状態で、前記図16の糊付け作業を行い、その後、図17の最下位置K2まで下降して、フラップNaの根元(折り目形成位置)M1に折り目を形成するように、運転が制御される。
【0053】
(位置決め用ローラ機構16)
図3において、第4の搬送ローラ機構としての役目も果たす位置決め用ローラ機構16は、折り目形成部15の前側に配置されており、搬送経路の下側に配置された駆動ローラ101と、駆動ローラ101に上方から対向する押さえローラ102とから構成されている。
【0054】
前記駆動ローラ101と押さえローラ102とのローラ対は、前後方向に一定間隔をおいて2対設けられている。
【0055】
図12は、図3のXII-XII断面拡大図であり、駆動ローラ101は、搬送幅方向Wに間隔おいて4個配設され、押さえローラ102も、搬送幅方向Wに間隔をおいて、前記各駆動ローラ101に対応する位置に4個配設されている。
【0056】
4個の駆動ローラ101は共通の一本の駆動軸103に固着されており、該駆動軸103は、図4のように本体ケース4の左右側壁35に回転自在に支持されると共に、軸方向の一端が前記第3のベルト伝達機構55に連結されている。すなわち、位置決め用ローラ機構16の2本の駆動軸103は、第3のベルト伝達55を介して前記封止部13の駆動軸53と、同一方向に、かつ、同期回転するように構成されている。
【0057】
一方、図12において、4個の押さえローラ102の各ローラ支軸104は、それぞれ軸受105に回転自在に支持され、各軸受105は、それぞれ断面コの字形状のローラホルダー106に形成された上下方向に長い長孔106a(一部のみ符号を付してある)に、上下方向移動可能、かつ、回転不能に支持されている。そして、各軸受105の上面と各ローラホルダー106の上壁との間にばね107が縮設され、各ばね107により、各押さえローラ102を、個々独立した状態で下方の駆動ローラ101側に付勢している。
【0058】
前記4個のローラホルダー106は、それらの上壁が共通のコの字状の支持ケース108の上壁に固着されている。
【0059】
すなわち、各押さえローラ102は、個々独立して駆動ローラ101に対して接近離間可能となっており、かつ、個々独立したばね107により、駆動ローラ101側に付勢されているのである。
【0060】
なお、図3において、位置決め用ローラ機構16にも、封筒の有無を検出するための光透過式封筒検出センサー110が配置されている。
【0061】
[封緘作業]
まず、封緘作業の概略を図3により説明すると、封筒供給部2に積載された封筒Nは、供給ローラ23の回転により、最下位から往路搬送方向F1に供給され、捌きローラ機構11により、確実に一枚ずつに分離され、第2の搬送ローラ機構12により、封止部13へと搬送される。第3の搬送ローラ機構の役目も果たす封止部13により、さらに往路搬送方向F1へ搬送され、糊塗布部14及び折り目形成部15を通り、封筒Nの大部分が位置決め用ローラ機構16の上下のローラ101,102に挟持され、かつ、封筒Nの後端フラップが糊塗布部14の糊受け台66上に至った所定位置で、停止される。
【0062】
上記停止状態において、糊塗布部14により、封筒Nのフラップに糊が塗布され、折り目形成部15によりフラップに折り目が形成される。その後、位置決め用ローラ機構16の各ローラ101,102及び封止部のローラ51,52が反転することにより、封筒Nは復路搬送方向F2に搬送され、封止部13のローラ51,52間を通過することにより、フラップが封筒本体に貼着され、封筒受け部3に排出される。
【0063】
図14乃至図18により、各作業工程を詳しく説明する。
図14は、供給前の封筒Nの状態であり、開いた状態のフラップNaが後端に位置し、かつ、フラップNaの糊付け面が上方に向いた状態で、封筒供給部2の供給台21上に積載される。
【0064】
図15は捌き工程及び搬送工程を示しており、捌きローラ機構11では、駆動ローラ31と捌きローラ32との間で封筒Nが挟持されており、駆動ローラ31が矢印A1方向に回転するのに対し、捌きローラ32は矢印B1方向へは回転しない。これにより、たとえ、封筒Nが重送されて来た場合でも、下側の封筒Nのみを供給し、上側の封筒Nを停止する。すなわち、一枚ずつ封筒を分離する。
【0065】
第2の搬送ローラ機構12では、駆動ローラ41が矢印A1方向に回転すると共に押さえローラ42が矢印B1方向に回転することにより、封筒Nは、速やかに往路搬送方向F1に搬送される。
【0066】
捌きローラ機構11による捌き工程及び第2の搬送ローラ機構12による搬送工程において、仮に、封筒Nの内容物の厚さが搬送幅方向Wに変化している場合であっても、各捌きローラ32及び各押さえローラ42は、搬送幅方向Wに間隔をおいて4個配置され、個々独立して駆動ローラ31,41に対して接近離間可能であり、かつ、図5乃至図8に示すように、個々独立したばね37及び47により駆動ローラ31,41側に付勢されているので、搬送幅方向Wに全幅に亘り確実に封筒Nを挟持し、斜行することなく、搬送することができる。
【0067】
図16は糊付け工程、図17は折り目形成工程を示しており、図16において、封筒NのフラップNaが糊塗布部14の糊受け台66に位置し、かつ、フラップNaの根元(折り目形成位置)M1が折り目形成部14に位置するように、封筒Nは位置決め用ローラ機構16のローラ101,102により所定位置に停止保持される。そして、まず、折り目形成部15の上型82が図17の中間位置K1まで下降し、フラップNaの根元を軽く押さえることによりフラップNaを水平状態に安定させると共に、図16のように糊付け台66に押さえ付け、続いて、糊塗布部14のテープ糊カセット65が下降位置P1まで下降し、反対側の糊付け終了位置P2まで搬送幅方向Wに移動することにより、フラップNaの上面(糊付領域M2)に糊を塗布する。
【0068】
糊付け工程終了後、図17において、折り目形成部15の上型82は、中間位置K1からさらに最下位置K2まで下降し、これにより、フラップNaの根元M1に折り目を形成し、フラップNaを上方へ傾斜させる。
【0069】
これらの糊付け及び折り目形成工程において、位置決め用ローラ機構16の押さえローラ102は、図12に示すように、搬送幅方向Wに間隔をおいて4個配置され、個々独立して駆動ローラ101に対して接近離間可能であり、かつ、個々のばね107により、駆動ローラ101側にそれぞれ付勢されているので、封筒Nの搬送幅方向Wに全幅に亘り、確実に封筒Nを挟持し、所定位置に保持しておくことができる。
【0070】
したがって、たとえ、図13のように、封筒Nの内容物の厚さが搬送幅方向Wに変化している場合でも、各押さえローラ102は、最も高い箇所N1のみではなく、搬送幅方向Wの全幅に亘って、確実に封筒を保持することができる。
【0071】
前記糊付け工程及び折り目形成工程が終了すると、図16及び図17において、位置決め用ローラ機構16の各ローラ101,102は、矢印A2及び矢印B2方向に反転し、封筒Nを復路搬送方向F2に搬送する。
【0072】
図18は封止工程を示しており、封止部13の駆動ローラ51及び押さえローラ52も矢印A2及びB2方向に反転しており、両ローラ51,52間に前記折れ曲がったフラップNaが挿入され、これにより、フラップNaが封筒本体側に完全に重なるように折り畳まれると共に、貼着される。
【0073】
貼着後の封筒Nは、図1及び図3の前記封筒受け部3に排出され、積載される。
【0074】
[その他の実施の形態]
(1)図19は、封止部13の押さえローラ52の変形例であり、前側の押さえローラ52を、たとえば搬送幅方向Wに間隔をおいて4個配設し、後側の押さえローラ52を、搬送幅方向Wに間隔をおいて3個配設し、かつ、後側の押さえローラ52が前側の押さえローラ52間に位置するように配置している。
【0075】
勿論、搬送幅方向Wに並設された各押さえローラ52は、図12の位置決め用の押さえローラと同様に、個々独立した状態で、ばねにより駆動側に付勢された構成とする。
【0076】
このように構成すると、搬送幅方向Wに厚さが変化する内容物を封入した封筒であっても、搬送幅方向Wの全幅に亘って確実にフラップNaを封筒本体に貼着できる。
【0077】
(2)封筒供給部の錘29は、前記実施の形態では、透明樹脂板を用いたが、不透明の樹脂あるいは金属を利用することもできる。この場合、光透過式の封筒検出センサーの機能を阻害しないように、封筒検出センサーに対応する位置に切欠きあるいは孔を形成する。
【0078】
(3)本発明は、第1の搬送ローラ機構の役目も果たす捌きローラ機構11,第2の搬送ローラ機構12,第3の搬送ローラ機構の役目も果たす封止部13及び第4の搬送ローラ機構の役目も果たす位置決め用ローラ機構16のうち、少なくとも一つのローラ機構において、捌きローラあるいは押さえローラを、搬送幅方向に複数配設する構成を含むものである。
【0079】
(4)前記実施の形態では、糊塗布部14において糊(粘着剤)を塗布しているが、封筒NのフラップNaに予め乾燥糊(乾燥接着剤)を塗布しておき、糊塗布部14において、水を供給することにより、前記乾燥糊に水分を付与し、接着機能を発揮させる構成とすることもできる。
【0080】
(5)また、前記実施の形態では、搬送経路が往路と復路とを有する往復式の封緘装置を説明したが、一つの搬送方向のみを有する貫通式の搬送経路を有する封緘装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0081】
2 封筒供給部
11 捌きローラ機構(第1の搬送ローラ機構)
12 第2の搬送ローラ機構
13 封止部(第3の搬送ローラ機構)
14 糊塗布部
15 折り目形成部
16 位置決め用ローラ機構(第4の搬送ローラ機構)
31,31,51,101 駆動ローラ
32 捌きローラ(押さえローラの一例)
42,52、102 押さえローラ
37,47、107 ばね
N 封筒
Na フラップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、便箋、書類あるいは冊子等の内容物が封入された封筒を、封緘する封緘装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手作業による封緘作業に対し、自動的に糊を塗布し、フラップに折り目を形成し、フラップを折り畳んで封筒本体側に貼着する封緘装置は開発されている(特許文献1及び2)。
【0003】
上記封緘装置は、たとえば、封筒を供給する封筒供給部と、フラップに折り目を形成する折り目形成部と、フラップに糊を塗布する糊塗布部と、フラップを折り畳んで封筒本体に貼着する封止部とを備えると共に、封筒を搬送する複数の搬送ローラ機構を備えている。
【0004】
図20は従来の封緘装置の搬送ローラ機構の一例を示しており、駆動ローラ200と、該駆動ローラ200に対して上方から対向する押さえローラ201とを備え、該押さえローラ201は、駆動ローラ200に対して接近離間可能に保持ケース205に保持されると共に、ばね203により駆動ローラ200側に付勢されている。両ローラ200、201間で封筒Nを挟持し、電動モータ等の駆動源により駆動ローラ200を回転させることにより、封筒Nを搬送する。
【0005】
駆動ローラ200の搬送幅方向Wの寸法D1は、封緘対象となる各種大きさの封筒Nのうち、最大寸法のものに対応できる程度に設定され、また、押さえローラ201の搬送幅方向Wの寸法D2も、前記駆動ローラ200の幅D1と略同程度の寸法に設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−151518号公報
【特許文献2】特開平9−175089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図20に示す従来の封緘装置の搬送ローラ機構において、内容物の厚さが、封筒Nの搬送幅方向Wの全幅に亘って略均一であれば、押さえローラ201は、封筒Nの略全幅に亘って略均等に当接し、これにより、封筒Nを搬送方向に真っ直ぐと搬送することができる。
【0008】
ところが、図21に示すように、内容物の厚さが搬送幅方向Wに変化している場合には、最も厚くなっている箇所N1に相当する高さ(ローラ間隔)まで押さえローラ201が駆動ローラ200から離間するので、押さえローラ201は殆ど箇所N1のみで封筒Nを挟持し、残りの薄い部分では封筒Nを挟持しない。この状態で駆動ローラ200が回転すると、封筒Nが斜行する可能性が極めて大きい。そして封筒Nが斜行すると、糊付け位置や折り目の形成位置あるいは方向が狂ったり、搬送途中で封筒が詰まったりすることがある。
【0009】
本発明の目的は、搬送幅方向に厚さが変化する内容物を封入された状態でも、封筒を、斜行することなく、かつ、詰まることなく正確に搬送方向に真っ直ぐに搬送し、かつ、糊付け作業や折り目形成作業が、精度良く実施できる封緘装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、未封緘状態の封筒を一枚ずつ供給する封筒供給部と、供給された前記封筒の所定箇所に糊を塗布する糊塗布部と、糊が塗布された前記封筒のフラップに折り目を形成する折り目形成部と、前記フラップを折り畳んで封筒本体側に貼着する封止部と、封筒を搬送する複数の搬送ローラ機構と、を備えた封緘装置において、前記各搬送ローラ機構は、駆動ローラと、該駆動ローラに対して接近離間可能な押さえローラと、を備えており、前記複数の搬送ローラ機構のうち、少なくとも一つの搬送ローラ機構は、搬送方向と直交する搬送幅方向に間隔をおいて複数の前記押さえローラを備え、これら複数の押さえローラは、前記駆動ローラに対して、個々独立した状態で接近離間可能に構成されると共に、個々独立したばねにより個別に駆動ローラ側に付勢されている。
【0011】
本発明は、上記封緘装置において、次のような構成を採用することができる。
(a)搬送幅方向に間隔をおいて配置された前記複数の押さえローラは、前記封筒供給部の封筒出口側に配置され、対応する前記駆動ローラとの間で挟持した封筒との摩擦により、封筒供給部の封筒を一枚ずつ分離して供給する、捌き用の押さえローラである。
【0012】
(b)搬送幅方向に間隔をおいて配置された前記複数の押さえローラは、前記糊塗布部による糊塗布時及び前記折り目形成部による折り目形成時の封筒を、所定の搬送方向位置で停止保持する位置決め用の押さえローラである。
【0013】
(c)搬送幅方向に間隔をおいて配置された前記複数の押さえローラは、好ましくは3個以上並設されている。
【発明の効果】
【0014】
(1)本発明によると、内容物を封入した封筒の搬送時、内容物の厚さが搬送幅方向に変化していても、搬送幅方向に間隔をおいた複数箇所で、確実に封筒を挟持して搬送できるので、封筒の斜行を防止することができ、これにより、搬送途中の封筒の詰まりを防止できると共に、糊塗布作業及び折り目形成作業を精度良く実施することができる。
【0015】
(2)搬送幅方向に間隔をおいて配設した複数の押さえローラを個々に作動させる構造を、捌きローラ機構に採用することにより、封筒供給部に積載されている封筒を、確実に、一枚ずつ分離でき、かつ、斜行せずに搬送できる。
【0016】
(3)搬送幅方向に間隔をおいて配設した複数の押さえローラを個々に作動させる構造を、糊塗布時及び折り目形成時の封筒の停止保持用の位置決め用ローラ機構に採用することにより、前記工程時に、確実に封筒を所定位置に保持でき、糊付け及び折り目形成作業精度をさらに向上させることができる。
【0017】
(4)前記複数の押さえローラを3個以上並設することより、封筒の厚さが搬送幅方向に複雑に変化していても、確実に封筒を挟持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る封緘装置の全体斜視図である。
【図2】図1の封緘装置の内部の平面図である。
【図3】図2のIII-III断面図である。
【図4】図2の矢印IV方向に見た封緘装置の側面図である。
【図5】図3のV-V断面拡大図である。
【図6】捌きローラ機構(第1の搬送ローラ機構)の部分拡大斜視図である。
【図7】図3のVII-VII断面拡大図である。
【図8】図7に示す搬送ローラ機構の部分拡大斜視図である。
【図9】図3のIX-IX断面図である。
【図10】図3のX-X断面図である。
【図11】図10の矢印XI方向に見た拡大側面図である。
【図12】図3のXII-XII断面拡大図である。
【図13】搬送幅方向に厚さが変化する内容物を収納した封筒を挟持した状態を示す図12と同じ部分の断面拡大図である。
【図14】封緘作業前の封筒の一例を示す斜視図である。
【図15】捌き及び搬送工程時の封筒の状態を示す斜視図である。
【図16】糊塗布工程時の封筒の状態を示す斜視図である。
【図17】折り目形成工程時の封筒の状態を示す斜視図である。
【図18】封止工程時の封筒の状態を示す斜視図である。
【図19】封止部の変形例を示す斜視図である
【図20】従来の搬送ローラ機構の断面図である。
【図21】搬送幅方向に厚みが変化する内容物を収納した封筒を挟持した状態を示す図20と同じ部分の断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[封緘装置全体の構成]
図1乃至図4は、本願発明に係る封緘装置の全体の構成を示しており、これら図面に基づいて、まず封緘装置全体の概略を説明する。
【0020】
斜視図である図1において、封筒Nの搬送経路は、往路と復路を有する往復式(あるいはスイッチバック式)となっており、往路の搬送方向を矢印F1で示し、復路の搬送方向を矢印F2で示している。また、説明の都合上、往路搬送方向F1側を装置の「前側」と称し、搬送方向F1(及びF2)と直交する搬送幅方向Wを、適宜、装置の「左右方向」と称して説明する。
【0021】
封緘装置は、本体ケース4の後側の上段に、未封緘状態の封筒Nを積載する封筒供給部2が設けられ、下段に、封緘後に排出される封筒Nを積載する封筒受け部3が設けられている。本体ケース4の搬送幅方向Wの一端部側には、操作パネル5が設けられている。
【0022】
図2は装置内部の平面図、図3は図2のIII-III断面図、図4は図2の矢印IV方向に見た側面図であり、図3において、本体ケース4内には、後側から順に、第1の搬送ローラ機構としての役目も果たす捌きローラ機構11、第2の搬送ローラ機構12、第3の搬送ローラ機構としての役目も果たす封止部13、糊塗布部14、折り目形成部15、及び第4の搬送ローラ機構としての役目も果たす位置決め用ローラ機構16が配設されている。
【0023】
(封筒供給部2)
図2において、封筒供給部2は、多数の封筒を積載する供給台21と、左右一対の側ガイド板22と、供給台21に形成された開口から上方に突出する複数の供給ローラ23を備えており、該供給ローラ23の表面には、搬送幅方向Wに延びる多数の切り込み溝が形成されている。側ガイド板22は、封筒の大きさに応じて、搬送幅方向Wの位置が調節自在である。供給台21の中央部には、供給台21上の封筒の有無を検出する光透過式封筒検出センサー28が設けられている。
【0024】
図3において、封筒供給部2には、積載された封筒Nが浮き上がるのを防止するために、厚肉平板状の樹脂製錘29が備えられており、この樹脂製錘29は、前記光透過式封筒検出センサー28の検出作動を阻害しないように、透明の樹脂材料でできている。
【0025】
図4において、各供給ローラ23の回転軸23aは、ギヤ伝達機構24及び第1のベルト伝達機構25を介して、第1の駆動モータ26に連結し、該第1の駆動モータ26により、総ての供給ローラ23が同期回転するようになっている。
【0026】
(捌きローラ機構11)
図5は第1の搬送ローラ機構としての役目も果たす捌きローラ機構11の断面図、図6は捌きローラ機構11の部分拡大斜視図であり、図5において、捌きローラ機構11は、往路搬送経路の下側に配置された駆動ローラ31と、該駆動ローラ31の上側に配置された捌きローラ(押さえローラ)32とから構成されており、駆動ローラ31は、搬送幅方向Wに間隔おいて4個配設され、捌きローラ32も、搬送幅方向Wに間隔をおいて、前記各駆動ローラ31に対応する位置に4個配設されている。
【0027】
4個の駆動ローラ31は共通の一本の駆動軸33(仮想線で示す)に固着されており、該駆動軸33は、本体ケース4の左右側壁35に回転自在に支持されると共に、軸方向の一端が前記ギヤ伝達機構24に連結されている。すなわち、4個の駆動ローラ31は、共通の駆動軸33により一体的に回転し、且つ、図4のように、ギヤ伝達機24を介して前記供給ローラ23とも同期回転するように構成されている。
【0028】
一方、図5の4個の捌きローラ32は、独立した4本のローラ支軸34に、ワンウエイクラッチ35を介して、一方向のみ回転可能にそれぞれ支持されており、各ローラ支軸34は、それぞれローラホルダー36に固定されている。各捌きローラ32の搬送幅方向Wの寸法は、駆動ローラ31の搬送幅方向Wの寸法よりも小さくなっており、また、各捌きローラ32の外周面は、搬送幅方向Wの両端部につば部を有する断面コの字状に形成されている。
【0029】
図6において、駆動ローラ31は、封筒を往路搬送方向F1に送り出すように、駆動軸33と共に矢印A1方向に回転駆動される。
【0030】
捌きローラ32のローラ支軸34は、ローラホルダー36の前下端部に支持されており、捌きローラ32は、前記ワンウエイクラッチ35の作用により、ローラ支軸34回りに矢印B2方向へのみ回転可能で、矢印B1方向へは回転しないように構成されている。ローラホルダー36は、その後下端部が、揺動支軸38に揺動自在に支持されており、これにより、各捌きローラ32及びローラ支軸34は、個々独立して、揺動支軸38回りに上下方向に揺動可能となっている。すなわち、駆動ローラ31に対し、4個の捌きローラ32は、個々独立して上下方向に接近離間自在となっている。
【0031】
各ローラホルダー36の後上端部には、コイルばね37の後端部がそれぞれ係止され、このばね37は前方に延び、前端部が本体ケース4に固定された固定壁39に係止されている。すなわち、ローラホルダー36の後上端部と前方の固定壁39との間にばね37を張設することにより、各ローラホルダー38を揺動軸38回りに駆動ローラ31側へ矢印C1方向に付勢し、駆動ローラ31に当接させている。
【0032】
(第2の搬送機構12)
図7は第2の搬送ローラ機構12の断面図、図8は第2の搬送ローラ機構12の部分拡大斜視図であり、図7において、第2の搬送ローラ機構12は、往路搬送経路の下側に配置された駆動ローラ41と、該駆動ローラ41の上側に配置された押さえローラ42とから構成されており、駆動ローラ41は、搬送経路の搬送幅方向Wの略全幅に亘るように形成され、押さえローラ42は、搬送幅方向Wに間隔おいて4個配設されている。
【0033】
駆動ローラ41の駆動軸(仮想線で示す)43は、本体ケース4の左右側壁35に回転自在に支持されると共に、軸方向の一端が、第2のベルト伝達機構45に連結されている。
【0034】
4個の押さえローラ42の各ローラ支軸44は、それぞれローラホルダー46に回転自在に支持されている。
【0035】
図4において、駆動軸43が連結される第2のベルト伝達機構45は、第2の駆動モータ49に連結されている。
【0036】
図8において、駆動ローラ41は、封筒を往路搬送方向F1に送り出すように、駆動軸43と共に矢印A1方向に回転駆動される。
【0037】
押さえローラ42のローラ支軸44は、ローラホルダー46の前下端部に回動自在に支持され、ローラホルダー46の後下端部は、揺動支軸48に揺動自在に支持されており、これにより、各押さえローラ42は、揺動支軸48回りに、個々独立して上下方向に揺動可能となっている。すなわち、駆動ローラ41に対し、4個の押さえローラ42は、上下方向に個々に接近離間自在となっている。
【0038】
各ローラホルダー46の後上端部には、それぞれコイルばね47の一端部が係止され、このばね47は前方に延び、ばねの前端部が固定壁39に係止されている。すなわち、ローラホルダー46の後上端部と前方の固定壁39との間にばね47を張設することにより、各ローラホルダー46を揺動軸48回りに駆動ローラ41側へ矢印C1方向に付勢し、駆動ローラ41に当接させている。
【0039】
(封止部13)
図9は封止部13の断面図であり、往路兼復路の搬送経路の下側に配置された駆動ローラ51と、該駆動ローラ51の上側に配置された押さえローラ52とから構成されており、駆動ローラ51及び押さえローラ52は、共に搬送経路の搬送幅方向Wの略全幅に亘るように形成され、押さえローラ52は、表面が弾力性を有するウレタンゴムで形成されている。駆動ローラ51の駆動軸53は、左右側壁35に回転自在に支持されている。
【0040】
押さえローラ52が固着されたローラ支軸54の軸方向の両端部は、固定型の保持ケース56に上下方向移動可能に支持されると共に、圧縮ばね57により下方に付勢され、駆動ローラ51に圧接している。
【0041】
図3において、封止部13は、前記駆動ローラ51と押さえローラ52とのローラ対を、前後に間隔をおいて2対備えており、前後のローラ対の間には、光透過式の封筒検出センサー58が設けられている。下側の各駆動ローラ51の駆動軸53は、図4に示すように、第3のベルト伝達機構55を介して第3の駆動モータ56に連結しており、第3の駆動モータ56の正逆回転の切り換えにより、矢印A1及びA2のいずれにも回転するようになっている。すなわち、封筒の搬送方向を、往路搬送方向F1と復路搬送方向F2とに切り換え自在となっている。
【0042】
図2において、前記封筒検出センサー58は、搬送幅方向Wに間隔をおいて一対配置されており、封筒の後端(あるいは前端)の通過を検出することにより、封筒の通過の有無に加え、左右の検出センサー58の検出タイミングの相違による封筒の斜行と、折り目形成部15及び糊塗布部14における封筒停止位置を決めるためのカウント開始位置を、検出する。
【0043】
(糊塗布部14)
図10は糊塗布部14及び折り目形成部15の断面図、図11は糊塗布部14及び折り目形成部15の拡大側面図であり、図10において、糊塗布部14は、搬送幅方向Wに延びる上下のガイドレール61,62に移動可能に支持されたスライダー63と、該スライダー63に昇降可能に支持されたカセットホルダー64と、該カセットホルダー64に着脱自在に装着されたテープ糊カセット65と、テープ糊カセット65の下方に配置された糊付け台66と、を備えている。前記ガイドレール61,62は、保持ケース60の左右側壁に支持されている。スライダー63は、ガイドレール62と平行に敷設されたベルト式駆動機構67に連結され、カセットホルダー64は、スライダー63内に配置された昇降用駆動モータ68に連結されている。なお、図10は、カセットホルダー64のカバー部材75(図11参照)を取り外して示してある。
【0044】
テープ糊カセット65内には、未使用のテープ糊71が巻かれた供給リール72と、使用後のテープを巻き取る巻き取りリール73とが設けられ、テープ糊カセット65の下端部には、加圧ローラ75が回転自在に設けられている。
【0045】
テープ糊71は、テープ本体の表面に剥離自在に糊を付着させたものであり、供給リール72から下方に延びて加圧ローラ75に巻き掛けられ、上方にUターンし、巻き取りリール73に巻き取られる。供給リール72は、テープ糊を供給する回転方向X1にのみ回転するようになっている。また、供給リール72と巻き取りリール73とは、周知のインク消し用の修正テープ機構と同様に、回転する供給リール72からのテープ糊71の引き出し量に応じて、巻き取りリール73が巻き取り方向Y1に回転するように、ギヤ式連動機構により連動している。
【0046】
図11において、前記テープ糊カセット65は、前記カバー部材75内に収納されており、該カバー部材75の前壁を開くことにより、テープ糊カセット75を取り替えることができるようになっている。前記保持ケース60には、前記ベルト式駆動機構67を駆動するためのスライド用駆動モータ79が設けられている。
【0047】
前記保持ケース60は、手動により、前後方向位置が変更可能となっており、これにより、後述する折り目形成部15の根元(折り目形成位置)M1に対する糊付領域M2の前後方向位置(距離)を、封筒のフラップの大きさ等に合わせて変更できるようになっている。
【0048】
図16は、糊塗布部14による糊付け工程を示しており、テープ糊カセット65は、搬送幅方向Wの一端部側の上昇位置(作動開始位置)P0から下降し、下降位置P1において加圧ローラ75がテープ糊71を糊付け台66の上面に押し付け、次に、テープ糊カセット65を搬送幅方向Wの他端部側に移動することにより、加圧ローラ75を摩擦により回転させつつ、テープ糊71の糊を封筒NのフラップNaに塗布して行く。そして、搬送幅方向Wの他端終了位置P2まで至った後は、位置P3まで上昇し、該位置P3から搬送幅方向Wに移動して前記作業開始位置P0に戻る。
【0049】
(折り目形成部15)
図11において、折り目形成部15は、前記糊塗布部14の糊付け台66の往路搬送方向F1側に隣接するように配置された下型81と、該下型81に上方から対向する上型82とを備えており、下型81には、略V字状の折り目形成用凹部81aが形成され、上型82は、前記凹部81aに嵌入可能な厚板状に形成されている。前記上型82は、昇降可能な昇降フレーム83の上端部に固着されている。
【0050】
図10において、前記昇降フレーム83は、搬送幅方向Wに延びると共に、搬送幅方向Wの両端部から下方に延びる側壁部83aを一体に有しており、両側壁部83aの下端部には、連結バー85を介して左右一対のスライドボス86が形成され、両スライドボス86は、左右一対のガイドロッド87に昇降自在に嵌合している。
【0051】
前記連結バー85は、左右一対のリンク88を介してクランク軸90に連結され、該クランク軸90は伝達ギヤ91を介して折り目形成用の駆動モータ92に連結されている。 すなわち、折り目形成用の駆動モータ92を回転することにより、クランク軸90及びリンク88を介して、連結バー85及びスライドボス86を昇降させ、これにより、昇降フレーム83及び上型82を昇降させる。
【0052】
上記折り目形成用の駆動モータ92はステッピングモータであり、図17の折り目形成工程図に示すように、上型82は、上昇位置K0から下降して、封筒Nに軽く接触する中間位置K1で一旦停止し、この中間位置K1で封筒を押さえた状態で、前記図16の糊付け作業を行い、その後、図17の最下位置K2まで下降して、フラップNaの根元(折り目形成位置)M1に折り目を形成するように、運転が制御される。
【0053】
(位置決め用ローラ機構16)
図3において、第4の搬送ローラ機構としての役目も果たす位置決め用ローラ機構16は、折り目形成部15の前側に配置されており、搬送経路の下側に配置された駆動ローラ101と、駆動ローラ101に上方から対向する押さえローラ102とから構成されている。
【0054】
前記駆動ローラ101と押さえローラ102とのローラ対は、前後方向に一定間隔をおいて2対設けられている。
【0055】
図12は、図3のXII-XII断面拡大図であり、駆動ローラ101は、搬送幅方向Wに間隔おいて4個配設され、押さえローラ102も、搬送幅方向Wに間隔をおいて、前記各駆動ローラ101に対応する位置に4個配設されている。
【0056】
4個の駆動ローラ101は共通の一本の駆動軸103に固着されており、該駆動軸103は、図4のように本体ケース4の左右側壁35に回転自在に支持されると共に、軸方向の一端が前記第3のベルト伝達機構55に連結されている。すなわち、位置決め用ローラ機構16の2本の駆動軸103は、第3のベルト伝達55を介して前記封止部13の駆動軸53と、同一方向に、かつ、同期回転するように構成されている。
【0057】
一方、図12において、4個の押さえローラ102の各ローラ支軸104は、それぞれ軸受105に回転自在に支持され、各軸受105は、それぞれ断面コの字形状のローラホルダー106に形成された上下方向に長い長孔106a(一部のみ符号を付してある)に、上下方向移動可能、かつ、回転不能に支持されている。そして、各軸受105の上面と各ローラホルダー106の上壁との間にばね107が縮設され、各ばね107により、各押さえローラ102を、個々独立した状態で下方の駆動ローラ101側に付勢している。
【0058】
前記4個のローラホルダー106は、それらの上壁が共通のコの字状の支持ケース108の上壁に固着されている。
【0059】
すなわち、各押さえローラ102は、個々独立して駆動ローラ101に対して接近離間可能となっており、かつ、個々独立したばね107により、駆動ローラ101側に付勢されているのである。
【0060】
なお、図3において、位置決め用ローラ機構16にも、封筒の有無を検出するための光透過式封筒検出センサー110が配置されている。
【0061】
[封緘作業]
まず、封緘作業の概略を図3により説明すると、封筒供給部2に積載された封筒Nは、供給ローラ23の回転により、最下位から往路搬送方向F1に供給され、捌きローラ機構11により、確実に一枚ずつに分離され、第2の搬送ローラ機構12により、封止部13へと搬送される。第3の搬送ローラ機構の役目も果たす封止部13により、さらに往路搬送方向F1へ搬送され、糊塗布部14及び折り目形成部15を通り、封筒Nの大部分が位置決め用ローラ機構16の上下のローラ101,102に挟持され、かつ、封筒Nの後端フラップが糊塗布部14の糊受け台66上に至った所定位置で、停止される。
【0062】
上記停止状態において、糊塗布部14により、封筒Nのフラップに糊が塗布され、折り目形成部15によりフラップに折り目が形成される。その後、位置決め用ローラ機構16の各ローラ101,102及び封止部のローラ51,52が反転することにより、封筒Nは復路搬送方向F2に搬送され、封止部13のローラ51,52間を通過することにより、フラップが封筒本体に貼着され、封筒受け部3に排出される。
【0063】
図14乃至図18により、各作業工程を詳しく説明する。
図14は、供給前の封筒Nの状態であり、開いた状態のフラップNaが後端に位置し、かつ、フラップNaの糊付け面が上方に向いた状態で、封筒供給部2の供給台21上に積載される。
【0064】
図15は捌き工程及び搬送工程を示しており、捌きローラ機構11では、駆動ローラ31と捌きローラ32との間で封筒Nが挟持されており、駆動ローラ31が矢印A1方向に回転するのに対し、捌きローラ32は矢印B1方向へは回転しない。これにより、たとえ、封筒Nが重送されて来た場合でも、下側の封筒Nのみを供給し、上側の封筒Nを停止する。すなわち、一枚ずつ封筒を分離する。
【0065】
第2の搬送ローラ機構12では、駆動ローラ41が矢印A1方向に回転すると共に押さえローラ42が矢印B1方向に回転することにより、封筒Nは、速やかに往路搬送方向F1に搬送される。
【0066】
捌きローラ機構11による捌き工程及び第2の搬送ローラ機構12による搬送工程において、仮に、封筒Nの内容物の厚さが搬送幅方向Wに変化している場合であっても、各捌きローラ32及び各押さえローラ42は、搬送幅方向Wに間隔をおいて4個配置され、個々独立して駆動ローラ31,41に対して接近離間可能であり、かつ、図5乃至図8に示すように、個々独立したばね37及び47により駆動ローラ31,41側に付勢されているので、搬送幅方向Wに全幅に亘り確実に封筒Nを挟持し、斜行することなく、搬送することができる。
【0067】
図16は糊付け工程、図17は折り目形成工程を示しており、図16において、封筒NのフラップNaが糊塗布部14の糊受け台66に位置し、かつ、フラップNaの根元(折り目形成位置)M1が折り目形成部14に位置するように、封筒Nは位置決め用ローラ機構16のローラ101,102により所定位置に停止保持される。そして、まず、折り目形成部15の上型82が図17の中間位置K1まで下降し、フラップNaの根元を軽く押さえることによりフラップNaを水平状態に安定させると共に、図16のように糊付け台66に押さえ付け、続いて、糊塗布部14のテープ糊カセット65が下降位置P1まで下降し、反対側の糊付け終了位置P2まで搬送幅方向Wに移動することにより、フラップNaの上面(糊付領域M2)に糊を塗布する。
【0068】
糊付け工程終了後、図17において、折り目形成部15の上型82は、中間位置K1からさらに最下位置K2まで下降し、これにより、フラップNaの根元M1に折り目を形成し、フラップNaを上方へ傾斜させる。
【0069】
これらの糊付け及び折り目形成工程において、位置決め用ローラ機構16の押さえローラ102は、図12に示すように、搬送幅方向Wに間隔をおいて4個配置され、個々独立して駆動ローラ101に対して接近離間可能であり、かつ、個々のばね107により、駆動ローラ101側にそれぞれ付勢されているので、封筒Nの搬送幅方向Wに全幅に亘り、確実に封筒Nを挟持し、所定位置に保持しておくことができる。
【0070】
したがって、たとえ、図13のように、封筒Nの内容物の厚さが搬送幅方向Wに変化している場合でも、各押さえローラ102は、最も高い箇所N1のみではなく、搬送幅方向Wの全幅に亘って、確実に封筒を保持することができる。
【0071】
前記糊付け工程及び折り目形成工程が終了すると、図16及び図17において、位置決め用ローラ機構16の各ローラ101,102は、矢印A2及び矢印B2方向に反転し、封筒Nを復路搬送方向F2に搬送する。
【0072】
図18は封止工程を示しており、封止部13の駆動ローラ51及び押さえローラ52も矢印A2及びB2方向に反転しており、両ローラ51,52間に前記折れ曲がったフラップNaが挿入され、これにより、フラップNaが封筒本体側に完全に重なるように折り畳まれると共に、貼着される。
【0073】
貼着後の封筒Nは、図1及び図3の前記封筒受け部3に排出され、積載される。
【0074】
[その他の実施の形態]
(1)図19は、封止部13の押さえローラ52の変形例であり、前側の押さえローラ52を、たとえば搬送幅方向Wに間隔をおいて4個配設し、後側の押さえローラ52を、搬送幅方向Wに間隔をおいて3個配設し、かつ、後側の押さえローラ52が前側の押さえローラ52間に位置するように配置している。
【0075】
勿論、搬送幅方向Wに並設された各押さえローラ52は、図12の位置決め用の押さえローラと同様に、個々独立した状態で、ばねにより駆動側に付勢された構成とする。
【0076】
このように構成すると、搬送幅方向Wに厚さが変化する内容物を封入した封筒であっても、搬送幅方向Wの全幅に亘って確実にフラップNaを封筒本体に貼着できる。
【0077】
(2)封筒供給部の錘29は、前記実施の形態では、透明樹脂板を用いたが、不透明の樹脂あるいは金属を利用することもできる。この場合、光透過式の封筒検出センサーの機能を阻害しないように、封筒検出センサーに対応する位置に切欠きあるいは孔を形成する。
【0078】
(3)本発明は、第1の搬送ローラ機構の役目も果たす捌きローラ機構11,第2の搬送ローラ機構12,第3の搬送ローラ機構の役目も果たす封止部13及び第4の搬送ローラ機構の役目も果たす位置決め用ローラ機構16のうち、少なくとも一つのローラ機構において、捌きローラあるいは押さえローラを、搬送幅方向に複数配設する構成を含むものである。
【0079】
(4)前記実施の形態では、糊塗布部14において糊(粘着剤)を塗布しているが、封筒NのフラップNaに予め乾燥糊(乾燥接着剤)を塗布しておき、糊塗布部14において、水を供給することにより、前記乾燥糊に水分を付与し、接着機能を発揮させる構成とすることもできる。
【0080】
(5)また、前記実施の形態では、搬送経路が往路と復路とを有する往復式の封緘装置を説明したが、一つの搬送方向のみを有する貫通式の搬送経路を有する封緘装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0081】
2 封筒供給部
11 捌きローラ機構(第1の搬送ローラ機構)
12 第2の搬送ローラ機構
13 封止部(第3の搬送ローラ機構)
14 糊塗布部
15 折り目形成部
16 位置決め用ローラ機構(第4の搬送ローラ機構)
31,31,51,101 駆動ローラ
32 捌きローラ(押さえローラの一例)
42,52、102 押さえローラ
37,47、107 ばね
N 封筒
Na フラップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
未封緘状態の封筒を一枚ずつ供給する封筒供給部と、供給された前記封筒の所定箇所に糊を塗布する糊塗布部と、糊が塗布された前記封筒のフラップに折り目を形成する折り目形成部と、前記フラップを折り畳んで封筒本体側に貼着する封止部と、封筒を搬送する複数の搬送ローラ機構と、を備えた封緘装置において、
前記各搬送ローラ機構は、駆動ローラと、該駆動ローラに対して接近離間可能な押さえローラと、を備えており、
前記複数の搬送ローラ機構のうち、少なくとも一つの搬送ローラ機構は、搬送方向と直交する搬送幅方向に間隔をおいて複数の前記押さえローラを備え、
これら複数の押さえローラは、前記駆動ローラに対して、個々独立した状態で接近離間可能に構成されると共に、個々独立したばねにより個別に駆動ローラ側に付勢されている、封緘装置。
【請求項2】
請求項1に記載の封緘装置において、
搬送幅方向に間隔をおいて配置された前記複数の押さえローラは、前記封筒供給部の封筒出口側に配置され、対応する前記駆動ローラとの間で挟持した封筒との摩擦により、封筒供給部の封筒を一枚ずつ分離して供給する、捌き用の押さえローラである、封緘装置。
【請求項3】
請求項1に記載の封緘装置において、
搬送幅方向に間隔をおいて配置された前記複数の押さえローラは、前記糊塗布部による糊塗布時及び前記折り目形成部による折り目形成時の封筒を、所定の搬送方向位置で停止保持する位置決め用の押さえローラである、封緘装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の封緘装置において、
搬送幅方向に間隔をおいて配置された前記複数の押さえローラは、3個以上並設されている、封緘装置。
【請求項1】
未封緘状態の封筒を一枚ずつ供給する封筒供給部と、供給された前記封筒の所定箇所に糊を塗布する糊塗布部と、糊が塗布された前記封筒のフラップに折り目を形成する折り目形成部と、前記フラップを折り畳んで封筒本体側に貼着する封止部と、封筒を搬送する複数の搬送ローラ機構と、を備えた封緘装置において、
前記各搬送ローラ機構は、駆動ローラと、該駆動ローラに対して接近離間可能な押さえローラと、を備えており、
前記複数の搬送ローラ機構のうち、少なくとも一つの搬送ローラ機構は、搬送方向と直交する搬送幅方向に間隔をおいて複数の前記押さえローラを備え、
これら複数の押さえローラは、前記駆動ローラに対して、個々独立した状態で接近離間可能に構成されると共に、個々独立したばねにより個別に駆動ローラ側に付勢されている、封緘装置。
【請求項2】
請求項1に記載の封緘装置において、
搬送幅方向に間隔をおいて配置された前記複数の押さえローラは、前記封筒供給部の封筒出口側に配置され、対応する前記駆動ローラとの間で挟持した封筒との摩擦により、封筒供給部の封筒を一枚ずつ分離して供給する、捌き用の押さえローラである、封緘装置。
【請求項3】
請求項1に記載の封緘装置において、
搬送幅方向に間隔をおいて配置された前記複数の押さえローラは、前記糊塗布部による糊塗布時及び前記折り目形成部による折り目形成時の封筒を、所定の搬送方向位置で停止保持する位置決め用の押さえローラである、封緘装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の封緘装置において、
搬送幅方向に間隔をおいて配置された前記複数の押さえローラは、3個以上並設されている、封緘装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−12094(P2012−12094A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151820(P2010−151820)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【Fターム(参考)】
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