説明

封緘部の糊付け検査方法及び装置

【課題】封筒におけるフラップの糊付けの良否を判定する検査方法及び装置において、封筒の種類を問わずにフラップの糊付不良部を直接検出できるようにすること
【解決手段】封筒の封緘部を内側にして円弧状に屈曲させて糊付不良部のフラップを浮き上らせ、その高さをセンサーによって検知する
【図面】図1

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】

本発明は、封筒におけるフラップの糊付けの良否を判定する検査方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】

封筒などを自動的に封緘する場合には、フラップに直接接着剤を塗布したり、あるいはフラップに予めアラビアゴムなどの親水性接着剤を塗布しておいてこれに水を塗布した後、フラップを折り返して封筒本体に接着させるようにしている。

しかしながら、水や接着剤の供給に不足や障害が生じた場合にはフラップに糊付不良部が発生し、その部分が大きい場合には、封筒の密封性が確保できない不都合がある。
【0003】

そのため、封緘の確実性を担保するため 封筒におけるフラップの糊付けの検査が行われていて、例えば、特許文献1に記載の検査方法が採用されている。
この文献には、封筒の封緘部のフラップにエアーを吹き付けて糊付不良部のフラップを捲り上げ、捲り上げによって生じた影をカメラで撮像し、そのデータを予め定めた判定基準と比較演算することによって糊付けの良否を判定する発明が開示されている。
【0004】

しかしながら、エアーの吹き付けを利用してフラップを捲り上げるために、鮮明な影の形成が困難となって正確な画像データが得られないおそれがある。とりわけフラップの端部に糊付不良部が発生すると影が極めて不鮮明なものとなる。鮮明な影が形成できても、封筒の地色によっては撮像された画像における「影」として認識されない場合があり、逆に封緘部に字やマークが印刷されているとこれらが「影」と誤認される可能性があり、検査の対象となる封筒が制約される不都合がある。

さらに、カラーセンサーを利用して画像を撮像して解析しなければならないため、検査装置自体が極めて高価なものとなる不都合もある。
【特許文献1】特開2004-53302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】

本発明は、封筒におけるフラップの糊付けの良否を判定する検査方法及び装置において、封筒の種類を問わずにフラップの糊付不良部を直接検出できるようにすることを課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】

この技術的課題を解決するための第一の技術的手段は糊付けの検査方法に関するもので、(イ)封筒の封緘部を内側にして円弧状に屈曲させて糊付不良部のフラップを浮き上らせ、(ロ)その浮き上がり高さをセンサーによって検知すること、である。
第二の技術的手段は、上記の方法において、(ハ)センサーが、屈曲状態におけるフラップの浮き上がり高さを検知すると共に、(ニ)その高さが予め設定した値を超えている部分の長さを検知すること、である。
第三の技術的手段は糊付けの検査装置に関するもので、(ホ)回転ドラムとその外側でドラムの回転方向と同方向に走行する無端ベルトとで構成した封筒搬送装置、(ヘ)搬送中に屈曲させられた封筒の糊付不良部のフラップの浮き上がり高さを検知するセンサーとで構成すること、である。
【0007】
第一の技術的手段において、封筒がその封緘部を内側にして円弧状に屈曲させられると、封緘部が完全に接着している場合にはフラップは封筒本体と共に屈曲して小さな皺状の凹凸が発生するが、糊付不良部が存在している場合にはその部分のフラップが浮き上がることになる。糊付不良部が長くなると、フラップに複数の浮き上がり部分が形成されることになる。
この浮き上がり高さをセンサーによって検知すると、糊付不良部を直接検出することができる。この場合、センサーは高さを物理的に検知するため、封筒の種類によって制約を受けることはない。
【0008】
封筒は、静止状態で屈曲させても良いが、移動させながら屈曲させようにしても良い。後者の場合には、搬送させながら連続して検査を行える利点がある。

フラップの浮き上がりを検知するに際しては、フラップと対面する側に距離センサーを配置して検知させたり、封筒と略同一面に透過センサーや反射式センサーを配置して検知させることができる。
【0009】

第二の技術的手段において、屈曲状態におけるフラップの浮き上がり高さをセンサーに検知させると共に、その高さが予め設定した値を超えている部分の長さをも検知させているから、フラップの浮き上がりの大きさが把握されて糊付不良部の長さをより正確に認識することができる。
【0010】

第三の技術的手段は上記の検査方法を実施するための装置である。

封筒搬送装置は、回転ドラムとその外側でドラムの回転方向と同方向に走行する無端ベルトとで構成されているから、ドラムとベルトとの間にドラム側にフラップを向けて封筒を臨ませると、封筒はドラムに沿って搬送されながら円弧状に屈曲させられる。

屈曲させられた封筒に糊付不良部があるとフラップは浮き上がることになるから、前記の技術的手段と同様に、封筒の種類を問わずにフラップの糊付不良部を直接検出することができる。
【発明の効果】
【0011】
フラップの糊付不良部を直接検出することができる結果、封筒本体とフラップとの糊付け状態の良否を正確に判定することができる。

また、検査装置自体は、搬送装置とセンサーとで構成されるから、公知の検査装置に比べて複雑で高価な装置を必要としない利点もある。
【実施例1】
【0012】

図1は本発明に係る検査装置の正面図、図2はその右側面図である。

水平状態で自転する回転軸1によって回転する円柱型のドラム2の下方に、ドラム2の周面に沿って、その周速度と等しい速度で走行する無端ベルト3を配置している。

ベルト3は、ローラ5、5間に掛け渡されていて、図1に示したように、内側の走行部がドラム2の下側からドラムの周面に沿って走行し、直角に方向転換して上向きに走行して反転するように構成している。なお、ローラ6はベルト3の外側の方向転換部をガイドするためのローラである。
【0013】

この実施例では、回転ドラム2は直径150mmのナイロン樹脂製のものを使用しているが、金属、木、その他の材質のものを使用するようにしても良い。また、ベルトは、合成ゴム製のものを使用しているが、布ベルト、その他公知のものを使用しても差し支えはない。

なお、この装置では封筒を横にした状態で前進させて上方へ移動させるようにしているが、封筒を直立させた状態で水平に移動させ左右いずれかの方向に屈曲させる方式を採用することもできる。
【0014】

封筒10を案内ローラ7とベルト3との間に供給すると、封筒10はそのまま前進させられて回転ドラム2とベルト3との間に臨み、徐々に屈曲させられてその先端部が上向きとなる。このとき、封筒のフラップ11に糊付不良部があると、図1、2に示したように、その部分のフラップが内側へ突出して浮き上がり部12を形成する。

なお、封筒10を供給するに際しては、フラップ11側をドラム2の外側に位置させておかなければならない。
【0015】

この実施例では、封筒10の屈曲するアールが最も小さくなる中間点に向けて距離センサー15が配置してあって、フラップの封緘部と浮き上がり部の双方の距離の差を計測させることによって、浮き上がり高さを測定するようにしている。この実施例では、距離センサーとして、キーエンス社製のレーザ変位センサーLB−040を使用した。
【0016】

図3は、センサー15が測定した封筒のフラップ11との距離、つまり浮き上がり高さの変化を示したものである。封筒10は左から右へと移動している。イは接着不良のない封緘部であり、ロは屈曲時に生じる皺である。

ハは糊付不良部であり、この測定例では、糊付不良部に二つの浮き上がりが形成されたことを示している。

この測定例では、形成された浮き上がりの高さが4mmを超えた部分の長さL1、L2を測定して糊付不良部の長さを認識させて、糊付けの良否を判定するようにしている。
【0017】

表−1は、上記検査装置を使用した試験結果を示したものである。

試験においては、A4洋封筒にA4サイズの70Kg用紙を2枚入れたものと4入れたたものとを用意し、図4に示したように、それぞれフラップ11の中央に糊付不良部ハを設けたもの(a)と、フラップの端部に糊付不良部ハを設けたもの(b)とを使用した。糊付不良部ハについては、その長さが0、20、40、60、80、100mmのものを形成し、それぞれ搬送スピードを代えて封筒を検査装置にかけた。
【0018】
(表−1)

【0019】

表1から明らかなように、糊付不良部の長さが40mmでは浮き上がりの高さ並びにその高さが4mmを超える浮き上がり部分の長さは小さいが、糊付不良部の長さが60mmになると浮き上がり高さもその部分の長さも大きくなる傾向がある。なお、フラップの端部が糊付不良部である場合には、端部が傾斜した状態で浮き上がるため浮き上がり高さも長さも大きくなる傾向となる。

表−1のデータを勘案し、封筒の素材や厚みや封入物の厚みを勘案して閾値を調整することが望ましい。
【0020】

上記検査装置においては図示を省略しているが、センサー15によって計測された値によって接着不良とされた封筒は、ドラム2を脱したところでダンパーなどを利用して移行経路を変更させ、回収することになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】検査装置の正面図
【図2】検査装置の右側面図
【図3】センサーの測定した浮き上がり高さの変化のグラフ
【図4】試験に用いた封筒の背面図
【符号の説明】
【0022】

1ドラムの回転軸、 2回転ドラム、 3無端ベルト、
5ベルト支持ローラ、 6ガイドローラ、 7、案内ローラ、
10封筒、 11フラップ、 12浮き上がり部、
15距離センサー



【特許請求の範囲】
【請求項1】
封筒の封緘部を内側にして円弧状に屈曲させて糊付不良部のフラップを浮き上らせ、センサーによってその高さを検知して糊付けの良否を判定する検査方法。
【請求項2】
センサーが、屈曲状態におけるフラップの浮き上がり高さを検知すると共に、その高さが予め設定した値を超えている部分の長さを検知する請求項1に記載の糊付け検査方法。
【請求項3】
回転ドラムとその外側でドラムの回転方向と同方向に走行する無端ベルトとで構成した封筒搬送装置、搬送中に屈曲させられた封筒の糊付不良部のフラップの浮き上がり高さを検知するセンサーとからなる糊付けの良否を判定する検査装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−62795(P2007−62795A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−251099(P2005−251099)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000155322)株式会社木下製作所 (5)
【Fターム(参考)】