説明

専用マネー媒体、専用マネー取引システム、リーダ・ライタ装置の電子マネー取引方法およびプログラム

【課題】電子マネー媒体の汎用性を失うことなく、簡単に不正利用を防止することができる専用マネー媒体、専用マネー取引システム、リーダ・ライタ装置の電子マネー取引方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】リーダ・ライタ装置3により読み取り可能且つ情報処理可能に構成された専用マネー媒体2であって、電子マネー取引に供する鍵付きの電子マネー媒体6と、鍵を解除するための解除情報が記憶された付属媒体7と、から成ることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子マネーによる取引を行うことができる専用マネー媒体、専用マネー取引システム、リーダ・ライタ装置の電子マネー取引方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子マネーカードを利用し、買い物における支払いを電子マネーで行うシステムが知られている。このシステムは、電子マネーカードと、電子マネーによる決済を実行する電子マネー決済端末と、電子マネーカードに自動入金を行う自動入金管理装置により構成されている。この電子マネーカードには、残高情報、自動入金許可フラグ、最小残高およびカードIDが電子マネー情報として記憶されている。そして、電子マネー決済端末は、当該電子マネー情報を読み取ることにより、決済を行う(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−79821号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のような電子マネーカードには、所有者(利用者)を特定するための情報が記憶されていないことが一般的であり、これにより、個人情報や購買履歴等の漏洩を防止することができ、プライバシー保護という観点ではメリットがある。しかしながら、所有者を特定できないということは、結果的に、所持している人が誰であっても利用可能ということであり、例えば、当該電子マネーカードを紛失した場合や盗難にあった場合、容易に不正利用されてしまうという問題がある。
【0004】
本発明は、上記の問題点に鑑みたものであり、電子マネー媒体の汎用性を失うことなく、簡単に不正利用を防止することができる専用マネー媒体、専用マネー取引システム、リーダ・ライタ装置の電子マネー取引方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の専用マネー媒体は、リーダ・ライタ装置により読み取り可能且つ情報処理可能に構成された専用マネー媒体であって、電子マネー取引に供する鍵付きの電子マネー媒体と、鍵を解除するための解除情報が記憶された付属媒体と、から成ることを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、付属媒体に記憶した解除情報を用いて、電子マネー媒体の鍵を解除することで電子マネー取引を行う。電子マネー媒体および付属媒体の両方が揃わないと電子マネー取引を行うことができない、つまり電子マネー媒体単独で取引を行うことができないため、例えば、電子マネー媒体を紛失した場合や盗難にあった場合においても、不利用されてしまうことを防止することができる。また、電子マネー媒体には、所有者の個人情報等、個人を特定する情報は不要であるため、電子マネー媒体の紛失・盗難時にも個人情報が漏洩することがない。
【0007】
本発明の専用マネー媒体において、解除情報は、専用マネー媒体を用いるイベントを特定するためのイベントIDと、専用マネー媒体を用いるユーザを特定するためのユーザIDと、から成ることが好ましい。
【0008】
この構成によれば、解除情報をイベントIDおよびユーザIDとすることで、専用マネー媒体を使用できる環境が制限されるため、つまり、イベントIDが割り当てられた場所でしか使用できないため、当該専用マネー媒体が、不特定多数の場所で不正利用されることを抑止することができる。
【0009】
本発明の専用マネー媒体において、付属媒体は、専用マネー媒体を用いるユーザの個人情報を記憶する個人情報記憶部と、個人情報を表示する表示部と、を有することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、付属媒体に個人情報を記憶し、当該個人情報を表示部に表示する。これにより、付属媒体の所有者を確認することができると共に、結果的に電子マネー媒体の所有者(つまり、電子マネー取引をしたユーザ)を確認することができる。
【0011】
本発明の専用マネー媒体において、付属媒体は、専用マネー媒体を用いるユーザの個人情報を記憶する個人情報記憶部と、特定の人物の生体情報を記憶する生体情報記憶部と、生体情報を検出する生体情報検出部と、生体情報検出部により、特定の人物の生体情報を検出したとき、個人情報を表示する表示部と、を有することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、付属媒体は、生体情報を検出し、検出した生体情報と予め記憶しておいた生体情報とが一致した場合にのみ、表示部に個人情報を表示する。これにより、特定のユーザ(生体情報を登録しているユーザ)しか個人情報を確認することができないため、他のユーザ(生体情報を登録していないユーザ)に個人情報が漏洩することを防止することができる。
【0013】
本発明の専用マネー媒体において、個人情報には、電子マネー取引に関する金額情報が含まれることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、ユーザの個人情報として電子マネー取引に関する金額情報(例えば、ご祝儀の出金額等)を確認することができ、利便性が良い。
【0015】
本発明の専用マネー媒体において、付属媒体は、電子マネー取引により取引された取引金額情報を記憶する取引金額情報記憶部を有し、表示部は、個人情報と共に取引金額情報を表示することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、付属媒体は、電子マネー取引により取引された取引金額を、個人情報と共に表示部に表示する。これにより、付属媒体の所有者と取引金額を関連付けて確認することができ、利便性が良い。
【0017】
本発明の専用マネー取引システムは、鍵付きの電子マネー媒体と、鍵を解除するための解除情報が記憶された付属媒体と、から成る専用マネー媒体と、電子マネー媒体および付属媒体を読み取るリーダ・ライタ装置と、を備え、リーダ・ライタ装置は、読み取った解除情報と予め記憶された情報とを照合し、これらが一致する場合、電子マネー媒体の鍵を解除して当該電子マネー媒体に対する電子マネー取引を行うことを特徴とする。
【0018】
また、本発明のリーダ・ライタ装置の電子マネー取引方法は、鍵付きの電子マネー媒体と、鍵を解除するための解除情報が記憶された付属媒体と、から成る専用マネー媒体を用いたリーダ・ライタ装置の電子マネー取引方法であって、リーダ・ライタ装置が、電子マネー媒体および付属媒体を読み取る媒体読取ステップと、読み取った解除情報と予め記憶された情報とを照合する照合ステップと、照合の結果、解除情報と記憶された情報とが一致する場合、電子マネー媒体の鍵を解除して当該電子マネー媒体に対する電子マネー取引を行う取引ステップと、を実行することを特徴とする。
【0019】
これらの構成によれば、鍵付きの電子マネー媒体と、鍵を解除するための解除情報が記憶された付属媒体と、をリーダ・ライタ装置で読み取る。そして、読み取った情報と、リーダ・ライタ装置に予め記憶された情報とを照合し、照合の結果これらが一致する場合に電子マネー取引を行うことができる電子マネー取引システムを提供することができる。電子マネー媒体および付属媒体の両方が揃わないと電子マネー取引を行うことができないため(つまり電子マネー媒体単独で取引を行うことができないため)、例えば、電子マネー媒体を紛失した場合や盗難にあった場合においても、不利用されてしまうことを防止することができる。
【0020】
本発明のプログラムは、コンピュータに、上記に記載のリーダ・ライタ装置の電子マネー取引方法における各ステップを実行させるためのものであることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、専用マネー媒体を用いて、リーダ・ライタ装置により電子マネーの取引を実行するプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付の図面に基づいて、本発明の一実施形態に係る専用マネー媒体、専用マネー取引システム、リーダ・ライタ装置の電子マネー取引方法およびプログラムについて説明する。なお、本実施形態では、冠婚葬祭行事、特に結婚披露宴などのイベントに専用マネー取引システムを適用した例を挙げて説明する。
【0023】
図1に示すように、本発明の専用マネー取引システム1は、披露宴参加者(イベント参加者。以下、単に「参加者」と言う。)が所持する専用マネー媒体2と、専用マネー媒体2を読み取るリーダ・ライタ装置3と、披露宴等のイベントに関する情報を管理するイベント管理サーバ4と、イベント管理サーバ4にアクセスする1以上のクライアント端末5と、から構成され、リーダ・ライタ装置3、イベント管理サーバ4、およびクライアント端末5は、ネットワークNT(インターネット)を介して接続されている。
【0024】
イベント管理サーバ4は、第三者機関(例えば、式場運営会社等)が運営・管理するイベント登録サイト(所謂ウェブサイト)であり、披露宴等のイベントに関する案内情報や当該披露宴の参加者に関する個人情報を管理するものである。イベント管理サーバ4は、披露宴主催者(以下、単に「主催者」と言う。)により披露宴の登録が行われると、当該披露宴を特定するためのイベントIDを発行すると共に、当該披露宴を告知するためのイベントページを作成して提供する。また、当該披露宴の参加者を特定するための参加者ID(ユーザID)を発行する。主催者および参加者は、このイベントIDおよび参加者IDを用いて当該イベントページにアクセスする。
【0025】
クライアント端末5は、イベント管理サーバ4にアクセスするための端末であり、後述する付属媒体7に対して情報の読み書きを行うリーダ・ライタ9が接続されている。参加者は、クライアント端末5を用いて、当該披露宴のイベントページのURL、イベントIDおよび参加者IDに基づいてイベント管理サーバ4にアクセスし、事前に、自身の個人情報として、住所、氏名、電話番号、出欠情報、ご祝儀額情報(贈る予定のご祝儀金額、金額情報)およびお祝いのメッセージ等を登録する。そして、この個人情報を、イベントID、参加者IDおよびイベントページのURLと関連付けて付属媒体7に書き込む。
【0026】
なお、上述のイベントページのURL、イベントIDおよび参加者IDは、主催者が披露宴の案内状等により、事前に各参加者に通知するものとする。また、本実施形態では、クライアント端末5として、パーソナルコンピュータ(PC)を例に挙げているが、これに限るものではなく、例えば、キオクス端末やPOS端末等であっても良い。また、リーダ・ライタ9は、クライアント端末5と別体に構成されていても良いし、一体に構成されていても良い。
【0027】
専用マネー媒体2は、電子マネー媒体6と付属媒体7とから成る。電子マネー媒体6は、電子マネーの取引が可能なカード型の媒体である。この電子マネー媒体6には、電子マネーによる取引を許可するか否かを示す情報(以下、「鍵情報」と称す。)が記憶されており、当該鍵情報が「電子マネー取引許可」を示す場合、電子マネー取引を行うことができ(以下、この状態を「鍵を解除した状態」と言う)、「電子マネー取引不許可」を示す場合、電子マネー取引を行うことができない(以下、この状態を「鍵を掛けた状態」と言う)。
【0028】
付属媒体7は、電子マネー媒体6による電子マネー取引を可能にするためのものである。この付属媒体7には、イベントID、参加者ID、イベントページのURL、参加者の個人情報、および電子マネーの取引結果等が記憶されている。この内、イベントIDおよび参加者IDは、電子マネー媒体6による電子マネー取引を可能にするための情報(以下、「解除情報」と称す。)として使用される。この解除情報により、電子マネー媒体6の鍵を解除することで、電子マネーによるご祝儀の受渡し等の受付作業を行うことができる。つまり、付属媒体7と電子マネー媒体6とをセットで用いることにより電子マネー取引が可能となる。
【0029】
また、付属媒体7には、特定の人物の指紋情報(生体情報)が記憶されており、指紋認証を行うことで、付属媒体7上に個人情報や電子マネーの取引結果を表示することができる(詳細は後述する)。なお、付属媒体7にイベントID、参加者IDおよびイベントページのURLが記憶されている場合、当該付属媒体7をクライアント端末5のリーダ・ライタ9で読み取ることで、イベント管理サーバ4へアクセスすることが可能である。
【0030】
リーダ・ライタ装置3は、披露宴会場(イベント会場)内に設置され、電子マネー媒体6および付属媒体7の読み取りや電子マネー取引を行うものであり、リーダ・ライタ11と、会場内サーバ12とにより構成されている。リーダ・ライタ11は、披露宴会場内の所定の場所(例えば、受付)に2台設置され、各リーダ・ライタ11は、会場内サーバ12と接続されている。そして、電子マネー媒体6および付属媒体7と非接触通信を行うことで、個人情報、解除情報および電子マネーデータの読み取りや、電子マネーデータの書き込みを行う。なお、本実施形態では、リーダ・ライタ11を2台としているが、あくまでも一例であり、これに限るものではない。例えば、新郎側会社用、新郎側友人用、新婦側会社用、新婦側友人用等、参加者の属性別、あるいは用途別にリーダ・ライタ11を設けるようにしても良い。
【0031】
会場内サーバ12は、事前に、イベント管理サーバ4からイベントID、および各参加者の参加者IDを取得して記憶する。そして、会場内サーバ12は、付属媒体7から読み取った解除情報および記憶した上記イベントIDおよび参加者IDに基づいて、電子マネー媒体6の鍵を解除する(電子マネー媒体6を電子マネー取引可能な状態にする)。そして、当該電子マネー媒体6との間で、ご祝儀および返礼金の受渡しを電子マネーにより行う(電子マネー取引を行う)。また、イベント管理サーバ4と連携することで、参加者の出欠状況を確認することも可能である。
【0032】
ここで、図2を参照して、付属媒体7について説明する。なお、図2(a)は、付属媒体7の表面を示す図であり、図2(b)は、裏面を示す図である。図2に示すように、付属媒体7は、所謂ご祝儀袋の体裁を成しており、表示部45と、指紋センサ46(生体情報検出部)と、を備えている。また、本体内部には、付属媒体7の外周を巻回するようにアンテナ44が配置され、当該アンテナ44は、ICチップ15に接続されている。付属媒体7をご祝儀袋の体裁とすることで、披露宴においてご祝儀を贈る際、違和感無く利用することができる。
【0033】
表示部45は、電子ペーパで形成されており、付属媒体7に記憶されている個人情報および受け取ったご祝儀金額(電子マネー取引結果、取引金額情報)を表示するものである。また、指紋センサ46は、指紋情報を検出(読み取る)ものである。付属媒体7は、指紋センサ46により検出した指紋情報を認証し、認証が成功した場合にのみ、表示部45に個人情報および受け取ったご祝儀金額を表示する。これにより、付属媒体7に生体情報を登録している人物(特定の人物)しか、当該付属媒体7に記憶された個人情報およびご祝儀金額を確認することができないため、他人(生体情報を登録していない人)に当該情報が漏洩することを防止することができる。また、付属媒体7の所有者(参加者)とご祝儀金額を関連付けて確認することができ、利便性が良い。なお、図2(b)における表示部45の表示内容は一例であり、これに限るものではない。例えば、個人情報として、参加者の住所やお祝いのメッセージ等も表示するようにしても良い。
【0034】
次に、図3の制御ブロック図を参照して、専用マネー取引システム1の各構成要素の制御構成について説明する。まず、イベント管理サーバ4は、CPU21(Central Processing Unit)、ROM22(Read Only Memory)、RAM23(Random Access Memory)、HDD24(Hard Disk Drive)、通信部25の他、一般的なパーソナルコンピュータに搭載されるハードウェア構成を有している。CPU21は、ROM22に記憶された制御プログラムを起動時にRAM23にコピーし、その制御プログラムに従ってRAM23内等に保存されたデータの処理を行う。
【0035】
HDD24は、イベントページ情報記憶領域26およびイベント管理情報記憶領域27を有している。イベントページ情報記憶領域26には、当該披露宴のイベントページを構成する情報が記憶されている。イベント管理情報記憶領域27には、イベントID、参加者ID、イベントページのURL、個人情報(氏名、住所、出欠情報、ご祝儀額情報およびお祝いメッセージ等)および指紋情報が関連付けて記憶されている。なお、指紋情報は、主催者により設定(登録)されるものとする。
【0036】
通信部25は、クライアント端末5と通信を行うための通信手段として機能する。CPU21は、クライアント端末5からイベントIDおよび参加者IDを受信し、当該イベントIDおよび参加者IDに基づくイベントページへのアクセスを許可する。また、通信部25は、会場内サーバ12と通信を行うための通信手段としても機能する。CPU21は、会場内サーバ12からの要求により、自身に登録されたイベントID、および参加者IDを会場内サーバ12に送信する。
【0037】
電子マネー媒体6は、記憶部32、通信部33、アンテナ部34、および各部を制御する制御部31を有している。記憶部32は、鍵情報記憶領域36および電子マネーデータ記憶領域37を有している。鍵情報記憶領域36には、電子マネー取引の許可/不許可を示す鍵情報が記憶されている(例えば、フラグにより、許可/不許可を表す)。電子マネーデータ記憶領域37には、電子マネーデータが記憶されている。なお、電子マネーデータは、参加者自身が、予め電子マネー入金装置(図示省略)などを利用してチャージする。
【0038】
通信部33およびアンテナ部34は、リーダ・ライタ装置3(リーダ・ライタ11および会場内サーバ12)と通信を行う手段として機能する。制御部31は、通信部33およびアンテナ部34を介してリーダ・ライタ11との間で非接触通信を行い、会場内サーバ12から電子マネー取引を可能にするための要求(以下、「鍵解除要求」と称す。)を受信し、会場内サーバ12に対してその応答(以下、「鍵解除応答」と称す)を送信する。また、制御部31は、リーダ・ライタ11を介して会場内サーバ12と、電子マネーデータの送受信を行う。
【0039】
付属媒体7は、記憶部42、通信部43、アンテナ44、表示部45、指紋センサ46、計時部47、電源部48および各部を制御する制御部41を有している。なお、上述のICチップ15は、制御部41、記憶部42、通信部43、計時部47、電源部48から構成されるものである。
【0040】
通信部43およびアンテナ44は、クライアント端末5と通信を行う通信手段として機能する。制御部41は、通信部43およびアンテナ44を介してクライアント端末5のリーダ・ライタ9との間で非接触通信を行い、イベントID、参加者ID、イベントページのURL、個人情報、および指紋情報を受信する。また、制御部41は、イベント管理サーバ4にアクセスするために、クライアント端末5に対してイベントID、参加者IDおよびイベントページのURLを送信する。
【0041】
また、通信部43およびアンテナ44は、リーダ・ライタ装置3(リーダ・ライタ11および会場内サーバ12)と通信を行う手段としても機能する。制御部41は、通信部43およびアンテナ44を介してリーダ・ライタ11との間で非接触通信を行い、会場内サーバ12に対して解除情報(イベントIDおよび参加者ID)、個人情報の送信を行う。また、制御部41は、会場内サーバ12から、電子マネーによるご祝儀の取引結果(ご祝儀として受け取った金額)を受信する。
【0042】
記憶部42は、個人情報記憶領域51(個人情報記憶部)、取引情報記憶領域52(取引金額情報記憶部)および生体情報記憶領域53(生体情報記憶部)を有している。個人情報記憶領域51は、イベントID、参加者ID、イベントページのURL、個人情報およびお祝いメッセージ等が記憶されている。取引情報記憶領域52には、電子マネーによるご祝儀および返礼金の取引結果が記憶されている。また、生体情報記憶領域53には、特定の人物(本実施形態では、主催者)の指紋情報が記憶されている。
【0043】
表示部45は、上述したように、参加者の個人情報や、受け取ったご祝儀金額などを表示する表示手段として機能する。また、指紋センサ46は、上述したように、指紋情報を検出する検出手段として機能する。
【0044】
計時部47は、所謂タイマーであり、表示部45に情報を表示する時間(以下、「表示時間」と称す。)を計測するために用いられる。電源部48は、付属媒体7を動作させるための電源を供給するバッテリーであり、主に、電力供給を受けることができない状態で、指紋情報の検出および認証や表示部45への情報表示を行う際に使用される。
【0045】
クライアント端末5は、CPU61、ROM62、RAM63、通信部64、接続部65、表示部66、入力部67の他、一般的なパーソナルコンピュータに搭載されるハードウェア構成を有している。CPU61は、ROM62に記憶された制御プログラムを起動時にRAM63にコピーし、その制御プログラムに従ってRAM63内等に保存されたデータの処理を行う。
【0046】
接続部65は、リーダ・ライタ9と接続するためのインターフェースである。また、通信部64は、イベント管理サーバ4と通信を行う通信手段として機能する。CPU61は、通信部64を介してイベント管理サーバ4からイベントID、参加者ID、イベントページのURL、個人情報、および指紋情報を受信し、これら情報をリーダ・ライタ9を介して付属媒体7に送信する(書き込む)。また、付属媒体7から、イベント管理サーバ4へアクセスするためのイベントID、参加者IDおよびイベントページのURLを受信し(読み取り)、これら情報に基づいてイベント管理サーバ4上の該当するイベントページにアクセスする。
【0047】
表示部66は、アクセスしたイベントページを表示する。入力部67は、キーボードやマウスから成り、参加者の操作により、イベントページへアクセスするためのイベントID、参加者IDおよびURLを入力する。また、入力部67は、表示部66に表示したイベントページ上で、参加者の個人情報(住所、氏名、電話番号、出欠情報、ご祝儀額情報およびお祝いのメッセージ等)を入力する。
【0048】
会場内サーバ12は、CPU71、ROM72、RAM73、HDD74、接続部75、表示部76、通信部77の他、一般的なパーソナルコンピュータに搭載されるハードウェア構成を有している。CPU71は、ROM72に記憶された制御プログラムを起動時にRAM73にコピーし、その制御プログラムに従ってRAM73内等に保存されたデータの処理を行う。
【0049】
HDD74は、ID記憶領域78を有している。ID記憶領域78には、当該披露宴のイベントIDと、当該披露宴における全ての参加者の参加者IDと、参加者への返礼金の情報(以下、「返礼額情報」と称す。)と、が関連付けて記憶されている。表示部76は、参加者のご祝儀および返礼金の受け渡し結果や、ご祝儀を受け取った参加者一覧などを表示する表示手段として機能する。なお、返礼額情報は、主催者により設定される。
【0050】
接続部75は、リーダ・ライタ11と接続するためのインターフェースである。CPU71は、接続されたリーダ・ライタ11を介して付属媒体7との間で非接触通信を行い、解除情報(イベントIDおよび参加者ID)を受信する。CPU71は、この解除情報に基づいて電子マネー媒体6に対して鍵解除要求を送信し、その応答(鍵解除応答)を受信する。そして、CPU71は、電子マネー媒体6との間で電子マネーデータの送受信を行う。また、CPU71は、電子マネーの取引結果を付属媒体7に送信する。
【0051】
通信部77は、イベント管理サーバ4と通信を行うための通信手段として機能する。CPU71は、事前に、イベント管理サーバ4からイベントID、および参加者IDを受信し、これらをID記憶領域78に記憶することで、参加者に関する情報の登録を行う。また、会場内サーバ12は、イベント管理サーバ4と通信して当該披露宴の参加者の出欠状況を確認するために用いられる。
【0052】
ここで図4および図5のフローチャートを参照して、専用マネー媒体2を用いて披露宴における受付処理を行う手順(電子マネー取引方法)について説明する。なお、付属媒体7には、当該披露宴の参加者に関する情報が記憶されているものとし、会場内サーバ12には、各参加者に対する返礼額情報が記憶されているものとする。また、電子マネー媒体6には、参加者によって所定額の電子マネーデータがチャージされているものとする。
【0053】
まず、参加者により電子マネー媒体6および付属媒体7が会場内サーバ12に接続されたリーダ・ライタ11にかざされる(あるいは、タッチされる)と、リーダ・ライタ11は、電子マネー媒体6および付属媒体7を読み取る(S01、媒体読取ステップ)。この読み取りにより、会場内サーバ12は、付属媒体7に記憶されている解除情報および個人情報を取得する(S02)。次に、会場内サーバ12は、読み取った解除情報と、ID記憶領域77に記憶したイベントIDおよび参加者IDと、を照合する(S03、照合ステップ)。
【0054】
照合の結果、一致するものがなかった場合(S04;No)、会場内サーバ12は、表示部76に当該付属媒体7は使用できない旨のメッセージを表示すると共に(S05)、参加者に対してもその旨を通知し(例えば、電子音による通知等、S06)、披露宴における受付処理を終了する。一方、照合の結果、これらが一致した場合(S04;Yes)、会場内サーバ12は、電子マネー媒体6に対して鍵解除要求を送信する(S07)。電子マネー媒体6は、鍵解除情報を受信し(S08)、自身の鍵を解除する(つまり、鍵情報を「電子マネー取引許可」を示す情報にする、S09)。そして、電子マネー媒体6は、会場内サーバ12に対して鍵解除応答を送信する(S10)。これにより、電子マネー取引が可能となる。
【0055】
会場内サーバ12は、鍵解除情報を受信する(S11)。そして、会場内サーバ12は、電子マネー媒体6から電子マネーデータを読み取る(取得する、S12)。続いて、会場内サーバ12は、付属媒体7から受信したご祝儀額情報の金額が電子マネー媒体6から取得した電子マネーデータの金額より小さいか否かを判定する(S13)。電子マネーデータの金額がご祝儀額情報の金額より小さい場合(電子マネーデータの金額<ご祝儀額情報の金額の場合、S14;Yes)、会場内サーバ12は、表示部76に電子マネー取引が失敗した旨(ご祝儀の受け取りが失敗した旨)のメッセージを表示すると共に(S15)、参加者に対して電子マネー取引が失敗した旨を通知する(例えば、電子音による通知等、S16)。また、会場内サーバ12は、付属媒体7に対して当該取引結果を送信する(S17)。付属媒体7は、取引結果を受信し(S18)、この取引結果を記憶する(S19)。
【0056】
一方、電子マネーデータの金額がご祝儀額情報の金額以上である場合(電子マネーデータの金額≧ご祝儀額情報の金額の場合、S14;No)、会場内サーバ12は、電子マネーデータからご祝儀額情報の金額を減額し(S20)、このご祝儀金額を減額した電子マネーデータ(以下、「電子マネー残高」と称す。)を、電子マネー媒体6に送信する(S21)。電子マネー媒体6は、当該電子マネー残高を受信し(S22)、これを記憶部32に記憶する(S23)。そして、会場内サーバ12は、表示部76にご祝儀の受け取りが成功した旨(電子マネー取引が成功した旨)のメッセージを表示する(S24)と共に、付属媒体7に対して当該取引結果(ご祝儀に関する電子マネー取引結果)を送信する(S17)。付属媒体7は、取引結果を受信し(S18)、この取引結果を記憶する(S19)。
【0057】
続いて、会場内サーバ12は、ID記憶領域77を参照し、対象となる参加者に対する返礼額情報が有るか否かを判定する(S25)。返礼額情報がない場合(S26;No)、会場内サーバ12は、披露宴における受付処理を終了する。一方、返礼額情報がある場合(S26;Yes)、会場内サーバ12は、上述の電子マネー残高に返礼額情報の金額を加算し(S27)、この返礼金額を加算した電子マネー残高を、リーダ・ライタ11を介して電子マネー媒体6に送信する(S28)。電子マネー媒体6は、当該電子マネー残高を受信し(S22)、これを記憶部32に記憶する(S23)。また、会場内サーバ12は、表示部76に返礼金の送付が成功した旨(電子マネー取引が成功した旨)のメッセージを表示する(S29)と共に、付属媒体7に対して当該取引結果(返礼金に関する電子マネー取引結果)を送信する(S17)。付属媒体7は、取引結果を受信し(S18)、この取引結果を記憶する(S19)。
【0058】
次に、図6のフローチャートを参照して、付属媒体7を用いてご祝儀額とその贈り主(参加者)を確認する手順について説明する。なお、付属媒体7には、当該披露宴の参加者に関する情報(ご祝儀の電子マネー取引結果を含む)、および主催者の指紋情報が記憶されているものとする。
【0059】
まず、主催者が付属媒体7の指紋センサ46に指を接触させる(あるいは、近づける)と、付属媒体7(指紋センサ46)は、当該指の指紋情報を読み取る(S31)。次に、付属媒体7は、読み取った指紋情報と生体情報記憶領域53に登録(記憶)された指紋情報と、を照合することで指紋認証を行い、読み取った指紋情報の正当性を判定する(S32)。読み取った指紋情報が正当なものでない場合(指紋情報が登録されていない場合、S33;No)、付属媒体7は、指紋認証処理を終える。この場合、表示部45には何も表示されない。
【0060】
一方、読み取った指紋情報が正当なものである場合(指紋情報が登録されている場合、S33;Yes)、付属媒体7は、表示部45に、贈り主(参加者)の個人情報(氏名)と、受け取ったご祝儀金額とを表示する(S34)。続いて、付属媒体7は、計時部47により表示時間のカウント(計測)を開始する(S35)。計時部47は、所定時間が経過するまで時間をカウントする(S36;No)。そして、計時部47により所定の時間がカウントされると(所定時間が経過すると、S36;Yes)、付属媒体7は、表示部45に表示した表示内容(個人情報および受け取ったご祝儀金額)を消去する(S37)。つまり、表示部45には、指紋認証が成功してから所定時間の間のみ、個人情報およびご祝儀金額を表示する。
【0061】
以上のように、本実施形態によれば、鍵付き(鍵情報が記憶された)の電子マネー媒体6と、鍵を解除するための解除情報が記憶された付属媒体7と、を用い、付属媒体7に記憶した解除情報を用いて、電子マネー媒体6の鍵を解除することで電子マネー取引を行う。
【0062】
つまり、電子マネー媒体6および付属媒体7の両方が揃わないと電子マネー取引を行うことができない(電子マネー媒体6単独で取引を行うことができない)ため、例えば、電子マネー媒体6を紛失した場合や盗難にあった場合においても、不利用されてしまうことを防止することができる。また、電子マネー媒体6には、所有者の個人情報等、個人を特定する情報は不要であるため、電子マネー媒体6の紛失・盗難時にも個人情報が漏洩することがない。
【0063】
また、付属媒体7に記憶する解除情報をイベントIDおよび参加者IDとすることで、専用マネー媒体2(電子マネー媒体6および付属媒体7)を使用できる環境が制限されるため、つまり、イベントIDが割り当てられた場所でしか使用できないため、当該専用マネー媒体2が、不特定多数の場所で不正利用されることを抑止することができる。
【0064】
なお、本実施形態では、指紋認証をトリガとして付属媒体7の表示部45に個人情報および受け取ったご祝儀金額を表示しているが、これに限るものではなく、例えば、リーダ・ライタ11(9)による読み取りをトリガとして、付属媒体7の表示部45に個人情報および受け取ったご祝儀金額を表示しても良い。これにより、披露宴の受付において、付属媒体7の所有者とご祝儀金額とを関連付けて確認することができ、利便性が良い。
【0065】
また、本実施形態では、付属媒体7に主催者の指紋情報のみを記憶するようにしているが、これに限るものではなく、付属媒体7の所有者自身(参加者自身)の指紋情報を記憶させても良い。この場合、クライアント端末5に指紋センサ46を取り付け、参加者は、クライアント端末5を用いて個人情報として自身の指紋情報もイベントページに登録し、当該個人情報を付属媒体7に記憶することで可能となる。これにより、例えば、参加者がご祝儀としていくら包んだか(ご祝儀額情報をいくらに設定したか)を確認することができ、利便性が良い。
【0066】
また、本実施形態では、生体情報として指紋情報を例に挙げているが、これに限るものではない。
【0067】
また、本実施形態では、電子マネー媒体6をカード型の媒体としているが、これに限らず、電子マネー取引が可能な携帯情報端末(携帯電話等)でも良い。
【0068】
また、本実施形態では、ご祝儀袋の体裁の付属媒体7を例に挙げているが、これに限るものではなく、各イベントに応じた付属媒体7(例えば、葬儀の場合には、香典袋の体裁の付属媒体7等)にすることが好ましい。
【0069】
また、本実施形態のイベント管理システム1は、イベント管理サーバ4と会場内サーバ12とをネットワークで接続せずとも実現することが可能である。
【0070】
また、上述した実施例によらず、専用マネー取引システム1の装置構成や処理の各工程、および専用マネー媒体2の機器構成や処理工程等、並びにリーダ・ライタ装置3の電子マネー取引の処理工程について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本実施形態に係る専用マネー取引システムのシステム構成図である。
【図2】付属媒体の外観図である。
【図3】専用マネー取引システムの制御ブロック図である。
【図4】専用マネー媒体を用いて披露宴における受付処理を行う手順について説明するフローチャートである。
【図5】専用マネー媒体を用いて披露宴における受付処理を行う手順について説明するフローチャートである。
【図6】付属媒体を用いてご祝儀額とその贈り主(参加者)を確認する手順について説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
1…専用マネー取引システム 2…専用マネー媒体 3…リーダ・ライタ装置 6…電子マネー媒体 7…付属媒体 11…リーダ・ライタ 12…会場内サーバ 42…記憶部 45…表示部 46…指紋センサ 51…個人情報記憶領域 52…取引情報記憶領域 53…生体情報記憶領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーダ・ライタ装置により読み取り可能且つ情報処理可能に構成された専用マネー媒体であって、
電子マネー取引に供する鍵付きの電子マネー媒体と、
前記鍵を解除するための解除情報が記憶された付属媒体と、から成ることを特徴とする専用マネー媒体。
【請求項2】
前記解除情報は、
前記専用マネー媒体を用いるイベントを特定するためのイベントIDと、
前記専用マネー媒体を用いるユーザを特定するためのユーザIDと、から成ることを特徴とする請求項1に記載の専用マネー媒体。
【請求項3】
前記付属媒体は、
前記専用マネー媒体を用いるユーザの個人情報を記憶する個人情報記憶部と、
前記個人情報を表示する表示部と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の専用マネー媒体。
【請求項4】
前記付属媒体は、
前記専用マネー媒体を用いるユーザの個人情報を記憶する個人情報記憶部と、
特定の人物の生体情報を記憶する生体情報記憶部と、
前記生体情報を検出する生体情報検出部と、
前記生体情報検出部により、前記特定の人物の生体情報を検出したとき、前記個人情報を表示する表示部と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の専用マネー媒体。
【請求項5】
前記個人情報には、前記電子マネー取引に関する金額情報が含まれることを特徴とする請求項3または4に記載の専用マネー媒体。
【請求項6】
前記付属媒体は、
前記電子マネー取引により取引された取引金額情報を記憶する取引金額情報記憶部を有し、
前記表示部は、前記個人情報と共に前記取引金額情報を表示することを特徴とする請求項3または4に記載の専用マネー媒体。
【請求項7】
鍵付きの電子マネー媒体と、前記鍵を解除するための解除情報が記憶された付属媒体と、から成る専用マネー媒体と、
前記電子マネー媒体および前記付属媒体を読み取るリーダ・ライタ装置と、を備え、
前記リーダ・ライタ装置は、
読み取った前記解除情報と予め記憶された情報とを照合し、これらが一致する場合、前記電子マネー媒体の鍵を解除して当該電子マネー媒体に対する電子マネー取引を行うことを特徴とする専用マネー取引システム。
【請求項8】
鍵付きの電子マネー媒体と、前記鍵を解除するための解除情報が記憶された付属媒体と、から成る専用マネー媒体を用いたリーダ・ライタ装置の電子マネー取引方法であって、
前記リーダ・ライタ装置が、
前記電子マネー媒体および前記付属媒体を読み取る媒体読取ステップと、
読み取った前記解除情報と予め記憶された情報とを照合する照合ステップと、
前記照合の結果、前記解除情報と前記記憶された情報とが一致する場合、前記電子マネー媒体の鍵を解除して当該電子マネー媒体に対する電子マネー取引を行う取引ステップと、を実行することを特徴とするリーダ・ライタ装置の電子マネー取引方法。
【請求項9】
コンピュータに、請求項8に記載のリーダ・ライタ装置の電子マネー取引方法における各ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−26898(P2010−26898A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−189463(P2008−189463)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】