説明

射出成形機のパージ廃材排出装置

【課題】パージ廃材を受け取る容器が満杯になる前に、パージ廃材を容器から廃棄することが可能な射出成形機のパージ廃材排出装置を提供する
【解決手段】射出成形機10は、パージ作業を行った際に射出装置18のシリンダ24のノズル26の先端から射出されるパージ廃材40を受け取る容器30、容器30に受け取られたシリンダ24のノズルから射出されたパージ廃材の質量または体積を計量する計量部32、容器30をシリンダ24のノズル26から射出されたパージ廃材40を受け取る位置と射出成形機10の外に位置するパージ廃材40が廃棄される位置との間を往復移動させる容器移動用アクチュエータ34、容器30に収容されたパージ廃材40を廃棄するために、パージ廃材を受け取る容器30からパージ廃材40を押し出すパージ廃材廃棄用アクチュエータ36を備え、射出成形機10の制御装置をパージ廃材排出装置の制御装置として用いる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パージ作業時に射出成形機から排出されるパージ廃材を廃棄するための射出成形機のパージ廃材排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機の射出装置内の樹脂の種類を変更する作業において、射出装置から高温の樹脂を射出させて廃棄する作業を、パージ作業と呼ぶ(図1参照)。また、射出された樹脂をパージ廃材と呼ぶ。
射出成形機の射出装置におけるパージ作業において、射出装置から射出されたパージ廃材を、射出成形機に付属若しくは作業者が用意するパージ廃材用受皿に回収することが行われている。また、特許文献1並びに特許文献2などのように、パージ廃材受け皿を、エアシリンダ等で射出成形機外に移動させて、パージ廃材を廃棄することも行われている。この場合、射出されたパージ廃材の量がパージ廃材用受け皿の容量よりも少なければ、パージ作業が終了した後にパージ廃材用受け皿のパージ廃材を廃棄することができる。
【0003】
上述したように、射出成形機の射出装置におけるパージ工程において、射出装置から排出されたパージ廃材は、射出成形機に付属若しくは作業者が用意するパージ廃材を受け取る容器に回収する。このため作業者は、パージ廃材の量に応じてパージ工程の途中または終了時に、パージ廃材を回収・廃棄する必要がある。この作業は、パージ廃材が高温のため注意して行う必要があり、作業者の負担が大きい。これを解決するための方策として、射出装置の前方に、エアシリンダ等のアクチュエータにて移動するパージ廃材を受ける容器を配置して、射出されたパージ廃材を受け取り射出成形機外に移動させてパージ廃材を廃棄させる装置が考案されている。
ところが、この装置を用いてパージ工程終了直後にパージ廃材を排出しようとすると、パージ廃材を受け取る容器に貼りついたり装置に絡みついたりして正常な廃却動作が出来ないので、パージ廃材を冷却してある程度固化する必要がある。このため、パージ廃材の冷却を促進するための冷却装置を設けることも知られている(特許文献3,特許文献4を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−170891号公報
【特許文献2】登録実用新案第3027341号公報
【特許文献3】実開平7−27820号公報
【特許文献4】実開平6−74314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、射出されたパージ廃材の総量がパージ廃材用受け皿の容量よりも多い場合、パージの途中でパージ廃材用受け皿が溢れてしまう。このため、パージ廃材の量が多い場合には、パージ廃材がパージ廃材用受け皿から溢れないように、作業者が経験と勘を頼りにパージ回数を設定するか、機械に付きっきりで監視しなければならない。しかし、パージ1回あたりのパージ廃材の体積・重量は、射出成形機のパージ作業の設定条件によって異なることと、樹脂の種類によって射出後の性状が異なる(例:発泡性の樹脂の場合、射出後に体積が増える)ために、パージ廃材がパージ廃材用受け皿から溢れないようにパージ回数を設定するのは容易ではない。また、射出成形機に付きっきりでパージ廃材の量を監視するのは、作業者にとって負担が大きい。また、作業者を射出成形機に付きっきりで監視させることはコストがかかる。
また、従来技術では、パージ廃材を廃棄前にタイマのスイッチを入れてパージ廃材を一定時間、自然冷却または装置による強制冷却しているが、スクリュシリンダの温度設定・樹脂の種類・パージ廃材の体積・冷却方法によって最適なタイマの時間設定は異なるので、パージ条件ごとに個別にタイマを設定しなければならず、その設定が煩雑である。
上述したように、パージ廃材を受け取る容器に溜まったパージ廃材の廃棄時期を決めるのは困難であった。
よって、本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、パージ廃材を受け取る容器に溜まったパージ廃材を廃棄する最適な時期を自動的に特定することが可能な射出成形機のパージ廃材排出装置を提供することである。
より具体的には、本発明の目的は、パージ廃材を受け取る容器が満杯になる前に、パージ廃材をパージ廃材を受け取る容器から廃棄することが可能な射出成形機のパージ廃材排出装置を提供することである。
また、本発明の目的は、パージ廃材を受け取る容器上のパージ廃材の温度を測定し、廃却可能な温度に達した時点でパージ廃材を廃棄させることが可能な射出成形機のパージ廃材排出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の請求項1に係る発明は、制御装置によって制御される射出成形機に用いられるパージ廃材排出装置において、パージ廃材を受け取る容器と、前記パージ廃材を受け取る容器をパージ廃材が射出される位置と射出成形機外のパージ廃材が廃棄される位置とを移動させる移動部と、前記パージ廃材を受け取る容器に射出されたパージ廃材の質量または体積を計量する計量部と、を備え、前記計量部はパージ廃材の質量または体積を監視し、予め設定された質量または体積に達した時点で、容器満杯信号を出力することを特徴とする射出成形機のパージ廃材排出装置である。
請求項2に係る発明は、前記容器満杯信号が前記制御装置に出力されたとき、該制御装置からの駆動指令に基づき前記移動部は前記パージ廃材を受け取る容器を射出成形機外のパージ廃材が廃棄される位置へ移動させることを特徴とする請求項1に記載の射出成形機のパージ廃材排出装置である。
請求項3に係る発明は、前記パージ廃材を受け取る容器上に排出されたパージ廃材の温度を測定する温度測定装置を備え、前記容器満杯信号が前記制御装置に出力され、かつ、パージ廃材の温度が所定の温度になったとき検知信号が該制御装置に出力され、該制御装置は前記パージ廃材を受け取る容器を射出成形機外のパージ廃材が廃棄される位置へ移動させることを特徴とする請求項2に記載の射出成形機のパージ廃材排出装置である。
請求項4に係る発明は、前記容器満杯信号が出力されたとき、前記射出成形機は、パージ動作を中断することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載の射出成形機のパージ廃材排出装置である。
請求項5に係る発明は、前記計量部は、パージ1回あたりのパージ廃材の質量または体積の変化量からパージ作業の終了を判断し、パージ終了を指示する信号を前記射出成形機に出力することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1つに記載の射出成形機のパージ廃材排出装置である。
【0007】
請求項6に係る発明は、制御装置によって制御される射出成形機に用いられるパージ廃材排出装置において、パージ廃材を受け取る容器と、前記パージ廃材を受け取る容器をパージ廃材が射出される位置と射出成形機外のパージ廃材が廃棄される位置とを移動させる移動部と、前記パージ廃材を受け取る容器に射出されたパージ廃材の質量または体積に関する物理量を取得するセンサと、を備え、前記制御装置は、前記センサによって取得されたパージ廃材の質量または体積が予め設定された質量または体積に達した場合、容器満杯信号を出力する、または、前記移動部を前記パージ廃材を受け取る容器を射出成形機外のパージ廃材が廃棄される位置へ移動させ、または、パージ動作を中断させる機能を有することを特徴とする射出成形機のパージ廃材排出装置である。
請求項7に係る発明は、前記容器上に排出されたパージ廃材の温度を測定する温度測定装置を有し、前記制御装置は、前記センサによって取得されたパージ廃材の質量または体積が予め設定された質量または体積に達し、かつパージ廃材が所定の温度になった場合、容器満杯信号を出力する、または、前記移動部を前記パージ廃材を受け取る容器を射出成形機外のパージ廃材が廃棄される位置へ移動させ、または、パージ動作を中断させる機能を有することを特徴とする請求項6に記載の射出成形機のパージ廃材排出装置である。
請求項8に係る発明は、前記制御装置は、パージ1回あたりのパージ廃材の質量または体積の変化量からパージ作業の終了を判断することを特徴とする請求項6または7のいずれか1つに記載の射出成形機のパージ廃材排出装置である。
請求項9に係る発明は、射出成形機に用いられるパージ廃材排出装置において、射出装置から排出されたパージ廃材を受け取る容器と、パージ廃材を受け取る容器をパージ廃材が排出される位置から射出成形機外のパージ廃材が廃棄される位置に移動させる移動部と、該容器上に排出されたパージ廃材の温度を測定する温度測定装置と、を設けたことを特徴とする射出成形機のパージ廃材排出装置である。
請求項10に係る発明は、前記温度測定装置は非接触式温度計であることを特徴とする請求項9に記載の射出成形機のパージ廃材排出装置である。
請求項11に係る発明は、前記温度測定装置は前記容器に熱電対を貼り付けたことを特徴とする請求項9に記載の射出成形機のパージ廃材排出装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、パージ廃材を受け取る容器に溜まったパージ廃材を廃棄する最適な時期を自動的に特定することが可能な射出成形機のパージ廃材排出装置を提供でき、つまり、パージ廃材を受け取る容器が満杯になる前に、パージ廃材を受け取る容器から廃棄することが可能な射出成形機のパージ廃材排出装置を提供でき、また、廃却可能な温度に達した時点でパージ廃材を廃棄させることが可能な射出成形機のパージ廃材排出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】射出成形機におけるパージ作業を説明する図である。
【図2】本発明の計量部を備えた実施形態である射出成形機のパージ廃材排出装置の概略構成図である。
【図3】トレイ上のパージ廃材の質量を計量する計量部を説明する図である。
【図4】トレイ上のパージ廃材の体積を計量する計量部を説明する図である。
【図5】トレイ上のパージ廃材をカメラを用いて撮像した画像を画像処理し体積を測定する計量部を説明する図である。
【図6】パージ廃材を容器に受け取ることを説明する図である。
【図7】計量部でパージ廃材を受け取る容器中のパージ廃材の質量あるいは体積を監視し、一定量の質量または体積のパージ廃材を受け取ると、パージを中断し、パージ廃材を受け取る容器を射出成形機外に移動させることを説明する図である。
【図8】パージ廃材廃棄用アクチュエータにてパージ廃材を容器から強制的に廃棄することを説明する図である。
【図9】本発明の計量部を備えた実施形態においてパージ作業を行うための処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の計量部および温度計測部を備えた実施形態である射出成形機のパージ廃材排出装置の概略構成図である。
【図11】非接触温度計を用いてパージ廃材の温度を測定する例を説明する図である。
【図12】接触式温度計を用いてパージ廃材の温度を測定する例を説明する図である。
【図13】パージ廃材を、パージ廃材を受け取る容器に受け取った状態を説明する図である。
【図14】計量部でパージ廃材を受け取る容器中のパージ廃材の質量あるいは体積を監視し、一定量の質量または体積のパージ廃材を受け取ると、パージを中断し、かつ、温度計測部でパージ廃材の温度を測定し、廃棄温度に低下したらパージ廃材を受け取る容器を射出成形機外に移動させることを説明する図である。
【図15】パージ廃材廃棄用アクチュエータを駆動しパージ廃材をパージ廃材を受け取る容器から強制的に廃棄させることを説明する図である。
【図16】本発明の計量部および温度計測部を備えた実施形態におけいてパージ作業を行うための処理を示すフローチャートである。
【図17】本発明の温度計測部を備えた実施形態である射出成形機のパージ廃材排出装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、パージ廃材を受け取る容器に質量又は体積の計量手段を設置し、一定の質量又は体積に達した時点でパージ動作を中断し、容器をアクチュエータにて射出成形機外に移動させ、その位置にて動力を用いて容器から強制的にパージ廃材を廃棄させる。しかる後に容器をパージ廃材受取り位置に移動させた後にパージ動作を再開する。そして必要に応じ前記動作を繰り返す。パージ動作中、所定回数中にパージ廃材量が増加しない場合にパージ動作を完了する。
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
射出成形機10は、図1に示されるように、機台12上に型締部14と射出部16とが相対するように配置され、機台12中には射出成形機10の全体を制御する制御装置20が配置されている。型締部14は固定プラテン22、可動プラテン、リアプラテン、可動プラテンを固定プラテン22に対して前後進させ、金型の型閉じ・型締め・型開きを行う機構部およびその駆動装置などから構成される。射出部16は溶融樹脂を射出するノズル26を先端に装着したシリンダ24および該シリンダ24に内挿されるスクリュ(図示せず)を有する射出装置18、射出装置18を固定プラテン22に対して前後進させる駆動装置などからなる。
制御装置20を本発明の実施形態の制御装置として用いることができる。あるいは、本発明に係る射出成形機のパージ廃材排出装置用の制御装置を用意する実施の形態としてもよい。射出成形機10の構成は従来からのものと相違せず、本発明に係る射出成形機のパージ廃材自動排出装置が取り付けられる。
なお、本明細書では、図1で見えている射出成形機の面が操作側、図1で見えていない側が反操作側と称する。操作側には射出成形機10に各種設定をおこなう際の操作盤や射出成形機の稼働状況などを表示する表示装置が取り付けられている。
【0012】
図2は本発明に係る射出成形機のパージ廃材排出装置の概略構成図である。図2は射出成形機10のパージ廃材排出装置が配置された箇所を上側から見下ろした概略図である。射出成形機10は、パージ作業を行った際に射出装置18のシリンダ24のノズル26の先端から射出されるパージ廃材40を受け取るパージ廃材を受け取る容器30、シリンダ24に装着されたノズル26から射出されパージ廃材を受け取る容器30に受け取られたパージ廃材40の質量(重量)または体積を計量する計量部32、パージ廃材を受け取る容器30をシリンダ24のノズル26から射出されたパージ廃材40を受け取る位置と射出成形機10の外に位置するパージ廃材40が廃棄される位置との間を往復移動させる容器移動用アクチュエータ34、パージ廃材を受け取る容器30に収容されたパージ廃材40を廃棄するために、パージ廃材を受け取る容器30からパージ廃材40を押し出すパージ廃材廃棄用アクチュエータ36を備える。容器移動用アクチュエータ34としてはエアシリンダが用いられる。パージ廃材を受け取る容器30が射出装置18のシリンダ24のノズル26から射出されたパージ廃材40を受け取る位置は、ノズル26の先端と固定プラテン22の間に位置する。本実施形態では、射出成形機10の制御装置20(図1参照)をパージ廃材排出装置の制御装置として用いることができる。
【0013】
ここで、図3,図4,図5を用いて計量部32を説明する。計量部32は、図3または図4または図5に示されるパージ廃材40の量を測定するセンサ(検知スイッチ54、ひずみゲージ58、透過式光電センサ62、カメラ64)を備え、該センサからの出力信号に基づいてパージ廃材40の質量あるいは体積の値に換算する図示しない処理部を備える。
【0014】
そして、計量部32は、該センサ(検知スイッチ54、ひずみゲージ58、透過式光電センサ62、カメラ64)によって取得されたパージ廃材40の質量あるいは体積の物理情報と予め入力された設定値とを比較し、該センサによって取得されたパージ廃材40の質量あるいは体積が設定された一定の質量または体積に達した時点で、容器満杯信号を図示しないブザーや信号灯あるいは射出成形機10に出力するように構成される。予め入力された設定値は、射出成形機10の制御装置20に備わった入力装置を介して、計量部32に設定することができる。なお、検知スイッチ54の場合には、検知スイッチ54からの出力信号が直接射出成形機10の制御装置20に容器満杯信号として入力する。あるいは、検知スイッチ54、ひずみゲージ58、透過式光電センサ62、カメラ64のセンサから出力されるパージ廃材40の質量あるいは体積に関する検出信号を射出成形機10の制御装置20に入力し、該制御装置20内で計量部32の演算処理機能を担う構成としてもよい。
【0015】
図3はトレイ50上のパージ廃材40の質量を計量する計量部32を説明する図である。図3(a)において、トレイ50とバネ52と検知スイッチ54、バネ52と検知スイッチを支持する支持部材56からなる構成は、図2に示されるパージ廃材を受け取る容器30に対応する。また、図3(b)において、トレイ50、ひずみゲージ58が貼り付けられた架台60からなる構成は、図2に示されるパージ廃材を受け取る容器30に対応する。
まず、図3(a)に示される検知スイッチ54を用いる例を説明する。この例では図2に示される計量部32が支持部材56に載置されたバネ52および検知スイッチ54を備える。トレイ50は射出されたパージ廃材40を受け取る容器である。図3(a)に示されるように、トレイ50をバネ52により懸架しておき、パージ廃材40の重みによりトレイ50が沈み込む量が変化する。この沈み込む量があらかじめ設定されたパージ廃材の重み(質量)に対応する一定量に達したところで、検知スイッチ54が作動するように調整されている。検知スイッチ54が作動することにより容器満杯信号が出力される。
【0016】
次に、図3(b)に示されるひずみゲージ58を用いる例を説明する。この例では図2に示される計量部32がひずみゲージ58が貼り付けられた架台60を備える。図3(b)に示されるように、ひずみゲージ58を貼り付けた架台60にトレイ50を載せておく。パージ廃材40の重みによりひずみゲージ58のひずみ量が変化する。ひずみ量を検知することによりトレイ50が受け取ったパージ廃材40の重量(質量)を計測することができる。
【0017】
図4はトレイ50上のパージ廃材40の体積を計量する計量部32を説明する図である。図4(a)は側面図,図4(b)は上面図である。この例では、トレイ50上の所定の位置に透過式光電センサ62を配置する。透過式光電センサ62は投光部62aと受光部62bを有する。パージ廃材40が投光部62aと受光部62bを結ぶ光軸内に浸入することにより遮光され、受光部62bに投光部62aからの投光が検知されなくなることから、透過式光電センサ62はパージ廃材40を検知できる。前記所定の位置は、射出されたパージ廃材40の大きさが一定量に達すると透過式光電センサ62がこれを検知する位置である。図4では透過式光電センサ62がトレイ50上の2箇所に設けられている。これにより、パージ廃材40のトレイ50内でのパージ廃材40の大きさを検出することができる。透過式光電センサ62をトレイ50上の1箇所に設けてパージ廃材40の大きさを検知できるようにしてもよい。
【0018】
図5はトレイ50上のパージ廃材40をカメラ64を用いて取得した画像を画像処理し体積を測定する計量部を説明する図である。トレイ50が受け取ったパージ廃材40をカメラ64を用いて撮影し、撮影した画像に画像処理を行い体積を測定することができる。なお、カメラ64を用いて体積を測定する技術は公知である。
【0019】
次に、図6,図7,図8を用いて本発明に係るパージ作業の動作を説明する。パージ作業が開示される前に、パージの回数(スクリュ前後進の回数)、回転速度、スクリュ前後進のストロークは成形作業の当初に制御装置20に設定値として入力しておく。本発明の実施形態では更に、パージ廃材を受け取る容器30に溜まったパージ廃材40を射出成形機10の外に排出する条件となる質量(重量)あるいは体積を設定値として入力しておく。
【0020】
制御装置20が成形の終了後、パージ指令の確認を行う。パージ指令がなされていると、ノズルタッチの解除、射出装置18が所定のパージ位置まで後退、固定プラテン22とノズル26の先端との間に間隙が形成された後、パージ廃材40のノズル26の先端からの排出が開始される。あるいは、射出成形機10による成形作業の終了後に、パージ作業に必要なデータを制御装置20に入力して設定してもよい。つまり、射出成形機10により成形作業の終了後に、パージ作業が開示される前に、パージの回数(スクリュ前後進の回数)、回転速度、ストロークは成形作業の当初に制御装置20に設定値として入力しておく。本発明の実施形態では更に、パージ廃材を受け取る容器30に受け取られた(溜まった)パージ廃材40を射出成形機10の外に排出する条件となる質量(重量)あるいは体積を設定値として入力しておく。
図6はパージ廃材を容器に受け取ることを説明する図である。図7は計量部でパージ廃材を受け取る容器中のパージ廃材の質量や体積を監視し、一定量の質量や体積のパージ廃材を受け取ると、パージを中断し、パージ廃材を受け取る容器を射出成形機外に移動させることを説明する図である。図8はパージ廃材廃棄用アクチュエータにてパージ廃材を容器から強制的に廃棄することを説明する図である。
【0021】
図6に示されるように、パージ廃材を受け取る容器30は、射出装置18に備わったシリンダ24のノズル26の先端から排出されるパージ廃材40を受け取る。
そして、図7に示されるように、計量部32によりパージ廃材を受け取る容器30に溜まったパージ廃材40の量(質量または体積)を監視し、一定量のパージ廃材40を受け取ったら(つまり、パージ廃材を受け取る容器30に一定量のパージ廃材40が溜まったら)、パージ動作を中断する。パージ動作を中断後、容器移動用アクチュエータ34を駆動することによりパージ廃材を受け取る容器30を射出成形機10の外のパージ廃材が廃棄される位置に移動させる。なお、ここで一定量のパージ廃材40とは、パージ廃材40の予め設定された一定の質量または予め設定された一定の体積である。
そして、図8に示されるように、パージ廃材廃棄用アクチュエータ36を駆動することにより突き出し棒38を突き出し、パージ廃材を受け取る容器30からパージ廃材40を強制的に排出する。パージ廃材40の排出が終了したパージ廃材を受け取る容器30は元の射出装置18に備わったシリンダ24のノズル26の先端から排出されるパージ廃材40を受け取る位置に戻る。
【0022】
図9は本発明に係るパージ作業を行うための処理を示すフローチャートである。以下、各ステップにしたがって説明する。このフローチャートは、成形作業終了後のパージ作業終了前に設定作業を行う場合について説明している。
●[ステップSA01]パージ作業が開始される前に、パージ動作を行う際のシリンダ24の温度、スクリュ前後進の回数(つまり、パージ回数)、回転速度、ストロークを設定値として制御装置20のメモリに入力する。
●[ステップSA02]パージ廃材を受け取る容器30に受け取られたパージ廃材40を、射出成形機10の外へパージ廃材40を排出する条件となる質量(重量)あるいは体積の値を予め設定量として制御装置20のメモリに入力する。
●[ステップSA03]パージ動作を開始する。
●[ステップSA04]パージ動作の開始と共に、計量部32によりパージ廃材を受け取る容器30に受け取られたパージ廃材40の量の計測を開始する。
●[ステップSA05]パージ廃材を受け取る容器30に受け取られたパージ廃材40の量がステップSA02で設定した設定量に達したか否か判断し、設定量に達した場合(つまりYES)の場合にはステップSA06へ移行し、設定量に達していない場合(つまりNOの場合)にはステップSA07へ移行する。なお、このステップの処理は例えば、各回のパージが終わったときに行うとよい。
●[ステップSA06]パージ廃材排出工程を実行する。つまり、次の回のパージを開始しないようにパージ動作を中断し、容器移動用アクチュエータ34を駆動し、パージ廃材を受け取る容器30を射出成形機10の外に移動させ、パージ廃材廃棄用アクチュエータ36を駆動することにより、パージ廃材を受け取る容器30からパージ廃材40を排出し、パージ廃材40の排出終了後は、パージ廃材を受け取る容器30を、元のシリンダ24のノズル26から射出されるパージ廃材40を受け取る位置に戻す一連の動作を行う。
●[ステップSA07]パージ工程を実行する。つまり、次の回のパージを再開する。
●[ステップSA08]計量部32によりパージ廃材を受け取る容器30に受け取られたパージ廃材40の量の計測を開始する。
●[ステップSA09]パージ1回あたりについて、パージ廃材40の量に変化があるか否か判断し、変化がある(つまりYES)の場合にはステップSA05に戻り、変化がない(つまりNOの場合)の場合にはステップSA10に移行する。つまり、パージ1回あたりについてパージ廃材を受け取る容器30に受け取られたパージ廃材40の量が増加しているかを判断し、増加している(つまりYES)の場合にはステップSA05へ移動し、パージ廃材40の量に変化がなく増加していない(つまりNO)の場合にはステップSA10へ移行する。パージ廃材を受け取る容器30に受け取られた前回までのパージ廃材40の量と今回のパージを実行した後にパージ廃材を受け取る容器30に受け取られたパージ廃材の量を比較することによりパージ1回当たりの廃材量の変化を検出することができる。なお、1回目の処理の判断ではパージ廃材を受け取る容器30に受け取られたパージ廃材の量は0と初期設定しておく。これによって、パージ回数を実際のパージ廃材40の量より過大に設定したとしても、最適なパージ回数で終了することができる。
●[ステップSA10]パージ廃材排出工程を実行し、終了する。つまり、このパージ廃材排出工程はステップSA06で説明した一連の動作を同様に実行した後、処理を終了する。これによって、射出成形機10内のパージ廃材を受ける位置に戻ったパージ廃材を受け取る容器30にはパージ廃材40が残らない状態でパージ作業を終了することができる。
【0023】
なお、上記のフローチャートでは、ステップSA06やステップSA10において実行されるパージ廃材排出工程で、パージ廃材40が自動的に射出成形機10の外に廃棄されているが、計量部32から容器満杯信号を出力するようにし、例えば、図示しないブザーや信号灯を用いて、作業者に知らせるなどしてパージ廃材40の射出成形機10の外への廃棄を人手で行ってもよい。また、ステップSA10の実行が終了した時点で、パージ作業終了を指示する信号を射出成形機10に出力するようにしてもよいし、ブザーや信号灯を用いて、作業者に知らせるようにしてもよい。また、パージ回数をカウントしておき設定されたパージ回数に達してもステップSA09で判断されるパージ1回当たりのパージ廃材量について変化が有る場合、何らかの問題があるのでパージ作業を中断し、ブザーあるいは信号灯に出力し作業者に知らせるようにしてもよい。
【0024】
次に、パージ廃材の温度計測部を備えた本発明の実施形態について説明する。
図10は本発明の計量部および温度計量部を備えた実施形態である射出成形機のパージ廃材排出装置の概略構成図である。図10は射出成形機10のパージ廃材排出装置が配置された箇所を上側から見下ろした概略図である。本実施形態では、射出成形機10の制御装置20(図1参照)をパージ廃材排出装置の制御装置として用いることができる。
射出成形機10は、パージ作業を行った際に射出装置18のシリンダ24のノズル26の先端から射出されるパージ廃材40を受け取るパージ廃材を受け取る容器30、パージ廃材を受け取る容器30に受け取られた、シリンダ24に装着されたノズル26から射出されたパージ廃材40の質量(重量)または体積を計量する計量部32、パージ廃材を受け取る容器30をシリンダ24のノズル26から射出されたパージ廃材40を受け取る位置と射出成形機10の外に位置するパージ廃材40が廃棄される位置との間を往復移動させる容器移動用アクチュエータ34、パージ廃材を受け取る容器30に収容されたパージ廃材40を廃棄するために、パージ廃材を受け取る容器30からパージ廃材40を押し出すパージ廃材廃棄用アクチュエータ36を備える。容器移動用アクチュエータ34としてはエアシリンダが用いられる。パージ廃材を受け取る容器30が射出装置18のシリンダ24のノズル26から射出されたパージ廃材40を受け取る位置は、ノズル26の先端と固定プラテン22の間に位置する。
【0025】
計量部32は、該センサによって取得されたパージ廃材40の質量あるいは体積の物理情報と予め入力された設定値とを比較し、該センサによって取得されたパージ廃材40の質量あるいは体積が設定された一定の質量または体積に達した時点で、容器満杯信号を図示しないブザーや信号灯あるいは射出成形機10に出力するように構成される。予め入力された設定値は、射出成形機10の制御装置20に備わった入力装置を介して、計量部32に設定することができる。
なお、検知スイッチ54(図3(a)参照)の場合には、検知スイッチ54からの出力信号が直接射出成形機10の制御装置20に容器満杯信号として入力する。あるいは、検知スイッチ54、ひずみゲージ58、透過式光電センサ62、カメラ64のセンサから出力されるパージ廃材40の質量あるいは体積に関する検出信号を射出成形機10の制御装置20に入力し、該制御装置20内で計量部32の演算処理機能を担う構成としてもよい。
【0026】
温度計測部の一例である非接触式温度計70は、パージ廃材を受け取る容器30に受け取られて堆積しているパージ廃材の温度を計測する。非接触式温度計70は例えば放射温度計を用いることができる。非接触式温度計70から出力される温度計測信号は制御装置20に入力し、制御装置20はパージ廃材40の温度が所定の温度に低下したときにパージ廃材を受け取る容器30をパージ廃材が廃棄される位置に移動させる制御を行う。本実施形態では、計量部32によるパージ廃材40の質量あるいは体積の測定結果、および、温度計測部によるパージ廃材40の測定結果に基づいて、パージ廃材40をパージ廃材が排出される位置に移動させる制御がなされる。
【0027】
ここで、図11,図12を用いて温度計測部を説明する。温度計測部として放射温度計などの非接触式温度計70あるいは熱電対72などの接触式温度計が用いられる。図11にはトレイ50上に受け取られたパージ廃材40の温度を非接触式温度計70を用いて測定する例が図示されている。また、図12にはパージ廃材40を受け取るトレイ50に熱電対72が貼り付けられ、熱電対72によりパージ廃材40の温度を測定する例が図示されている。なお、前記温度計測部を、非接触式温度計70あるいは熱電対72からの出力信号に基づいて、パージ廃材40の温度が所定の温度になったとき制御装置20に検知信号を出力するようにしてもよい。
【0028】
次に、図13,図14,図15を用いて、計量部および温度計測部を備えた本発明の実施形態におけるパージ廃材の排出動作を説明する。図13はパージ廃材を、パージ廃材を受け取る容器に受け取った状態を説明する図である。図14は計量部でパージ廃材を受け取る容器中のパージ廃材の質量あるいは体積を監視し、一定量の質量または体積のパージ廃材を受け取ると、パージを中断し、かつ、温度計測部でパージ廃材の温度を測定し、廃棄温度に低下したらパージ廃材を受け取る容器を射出成形機外に移動させることを説明する図である。図15はパージ廃材廃棄用アクチュエータを駆動しパージ廃材をパージ廃材を受け取る容器から強制的に廃棄させることを説明する図である。
【0029】
図13に示されるように、パージ廃材を受け取る容器30は、射出装置18に備わったシリンダ24のノズル26の先端から排出されるパージ廃材40を受け取る。
そして、図14に示されるように、計量部32によりパージ廃材を受け取る容器30に溜まったパージ廃材40の量(質量または体積)を監視し、一定量のパージ廃材40を受け取ったら(つまり、パージ廃材を受け取る容器30に一定量のパージ廃材40が溜まったら)、パージ動作を中断する。
そして、温度計測部である非接触式温度計70によってパージ廃材40の温度を測定し、廃棄可能な温度になったら、つまり、あらかじめ設定された所定の温度になったら、容器移動用アクチュエータ34を駆動することによりパージ廃材を受け取る容器30を射出成形機10の外のパージ廃材が廃棄される位置に移動させる。
そして、図15に示されるように、パージ廃材廃棄用アクチュエータ36を駆動することにより突き出し棒38を突き出し、パージ廃材を受け取る容器30からパージ廃材40を強制的に排出する。パージ廃材40の排出が終了したパージ廃材を受け取る容器30は元の射出装置18に備わったシリンダ24のノズル26の先端から排出されるパージ廃材40を受け取る位置に戻る。
なお、一定量のパージ廃材40とは、パージ廃材40の予め設定された一定の質量または予め設定された一定の体積である。
【0030】
図16は本発明の計量部および温度計測部を備えた実施形態におけいてパージ作業を行うための処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、成形作業終了後のパージ作業終了前に設定作業を行う場合について説明している。
●[ステップSB01]パージ作業が開始される前に、パージ動作を行う際のシリンダ24の温度、スクリュ前後進の回数(つまり、パージ回数)、回転速度、ストロークを設定値として制御装置20のメモリに入力する。
●[ステップSB02]パージ廃材を受け取る容器30に受け取られたパージ廃材40を、射出成形機10の外へパージ廃材40を排出する条件となる質量(重量)あるいは体積の値、および、パージ廃材40を廃棄可能な所定の温度の値を、予め設定量として制御装置20のメモリに入力する。
●[ステップSB03]パージ動作を開始する。
●[ステップSB04]パージ動作の開始と共に、計量部32によりパージ廃材を受け取る容器30に受け取られたパージ廃材40の量の計測を開始する。
●[ステップSB05]パージ廃材を受け取る容器30に受け取られたパージ廃材40の量がステップSB02で設定した設定量に達したか否か判断し、設定量に達した場合(つまりYES)の場合にはステップSB06へ移行し、設定量に達していない場合(つまりNOの場合)にはステップSB08へ移行する。なお、このステップの処理は例えば、各回のパージが終わったときに行うとよい。
●[ステップSB06]パージ廃材40の温度を計測した値が所定の温度より低いか否か判断し、低い場合にはステップSB07へ移行し、低くない場合にはパージ廃材40の温度が所定の温度より低くなるのを待ってステップSB07へ移行する。パージ廃材40の温度は非接触式温度計70あるいは熱電対72を用いて計測する。
●[ステップSB07]パージ廃材排出工程を実行する。つまり、次の回のパージを開始しないようにパージ動作を中断し、容器移動用アクチュエータ34を駆動し、パージ廃材を受け取る容器30を射出成形機10の外に移動させ、パージ廃材廃棄用アクチュエータ36を駆動することによりパージ廃材を受け取る容器30からパージ廃材40を排出し、パージ廃材40の排出終了後は、パージ廃材を受け取る容器30を、元のシリンダ24のノズル26から射出されるパージ廃材40を受け取る位置に戻す一連の動作を行う。
●[ステップSB08]パージ工程を実行する。つまり、次の回のパージを再開する。
●[ステップSB09]計量部32によりパージ廃材を受け取る容器30に受け取られたパージ廃材40の量の計測を開始する。
●[ステップSB10]パージ1回あたりについて、パージ廃材40の量に変化があるか否か判断し、変化がある(つまりYES)の場合にはステップSB05に戻り、変化がない(つまりNOの場合)の場合にはステップSB11に移行する。つまり、パージ1回あたりについてパージ廃材を受け取る容器30に受け取られたパージ廃材40の量が増加しているかを判断し、増加している(つまりYES)の場合にはステップSB05へ移動し、パージ廃材40の量に変化がなく増加していない(つまりNO)の場合にはステップSB11へ移行する。パージ廃材を受け取る容器30に受け取られた前回までのパージ廃材40の量と今回のパージを実行した後にパージ廃材を受け取る容器30に受け取られたパージ廃材の量を比較することにより、パージ1回当たりの廃材量の変化を検出することができる。なお、1回目の処理の判断ではパージ廃材を受け取る容器30に受け取られたパージ廃材の量は0と初期設定しておく。これによって、パージ回数を実際のパージ廃材40の量より過大に設定したとしても、最適なパージ回数で終了することができる。
●[ステップSB11]パージ廃材40の温度を計測した値が所定の温度より低いか否か判断し、低い場合にはステップSB12へ移行し、低くない場合にはパージ廃材40の温度が所定の温度より低くなるのを待ってステップSB12へ移行する。
●[ステップSB12]パージ廃材排出工程を実行し、終了する。つまり、このパージ廃材排出工程はステップSB07で説明した一連の動作を同様に実行した後、処理を終了する。これによって、射出成形機10内のパージ廃材を受ける位置に戻ったパージ廃材を受け取る容器30にはパージ廃材40が残らない状態でパージ作業を終了することができる。
【0031】
なお、上記のフローチャートでは、ステップSB07やステップSB11において実行されるパージ廃材排出工程で、パージ廃材40が自動的に射出成形機10の外に廃棄されているが、計量部32から容器満杯信号を出力するようにし、かつ、温度計測部から所定の温度にパージ廃材40が低下した結果の信号を出力するようにし、例えば、図示しないブザーや信号灯を用いて、作業者に知らせるなどしてパージ廃材40の射出成形機10の外への廃棄を人手で行ってもよい。また、ステップSB12の実行が終了した時点で、パージ作業終了を指示する信号を射出成形機10に出力するようにしてもよいし、ブザーや信号灯を用いて、作業者に知らせるようにしてもよい。また、パージ回数をカウントしておき設定されたパージ回数に達してもステップSB10で判断されるパージ1回当たりのパージ廃材量について変化が有る場合、何らかの問題があるのでパージ作業を中断し、ブザーあるいは信号灯に出力し作業者に知らせるようにしてもよい。
【0032】
図17は本発明の温度計測部を備えた実施形態である射出成形機のパージ廃材排出装置の概略構成図である。図17は射出成形機10のパージ廃材排出装置が配置された箇所を上側から見下ろした概略図である。本実施形態では、射出成形機10の制御装置20(図1参照)をパージ廃材排出装置の制御装置として用いることができる。射出成形機10は、パージ作業を行った際に射出装置18のシリンダ24のノズル26の先端から射出されるパージ廃材40を受け取るパージ廃材を受け取る容器30、パージ廃材を受け取る容器30をシリンダ24のノズル26から射出されたパージ廃材40を受け取る位置と射出成形機10の外に位置するパージ廃材40が廃棄される位置との間を往復移動させる容器移動用アクチュエータ34、パージ廃材を受け取る容器30に収容されたパージ廃材40を廃棄するために、パージ廃材を受け取る容器30からパージ廃材40を押し出すパージ廃材廃棄用アクチュエータ36を備える。容器移動用アクチュエータ34としてはエアシリンダが用いられる。パージ廃材を受け取る容器30が射出装置18のシリンダ24のノズル26から射出されたパージ廃材40を受け取る位置は、ノズル26の先端と固定プラテン22の間に位置する。
【0033】
温度計測部の一例である非接触式温度計70は、パージ廃材を受け取る容器30に受け取られて堆積しているパージ廃材の温度を計測する。非接触式温度計70は例えば放射温度計を用いることができる。非接触式温度計70から出力される温度計測信号は制御装置20に入力し、制御装置20はパージ廃材40の温度が所定の温度に低下したときにパージ廃材を受け取る容器30をパージ廃材が廃棄される位置に移動させる制御を行う。
【符号の説明】
【0034】
10 射出成形機
12 機台
14 型締部
16 射出部
18 射出装置
20 制御装置
22 固定プラテン
24 シリンダ
26 ノズル

30 パージ廃材を受け取る容器
32 計量部
34 容器移動用アクチュエータ
36 パージ廃材廃棄用アクチュエータ
38 突き出し棒

40 パージ廃材

50 トレイ
52 バネ
54 検知スイッチ
56 支持部材
58 ひずみゲージ
60 架台
62 透過式光電センサ
62a 投光部
62b 受光部
64 カメラ

70 非接触式温度計
72 熱電対

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置によって制御される射出成形機に用いられるパージ廃材排出装置において、
パージ廃材を受け取る容器と、
前記パージ廃材を受け取る容器をパージ廃材が射出される位置と射出成形機外のパージ廃材が廃棄される位置とを移動させる移動部と、
前記パージ廃材を受け取る容器に射出されたパージ廃材の質量または体積を計量する計量部と、
を備え、
前記計量部はパージ廃材の質量または体積を監視し、予め設定された質量または体積に達した時点で、容器満杯信号を出力することを特徴とする射出成形機のパージ廃材排出装置。
【請求項2】
前記容器満杯信号が前記制御装置に出力されたとき、該制御装置からの駆動指令に基づき前記移動部は前記パージ廃材を受け取る容器を射出成形機外のパージ廃材が廃棄される位置へ移動させることを特徴とする請求項1に記載の射出成形機のパージ廃材排出装置。
【請求項3】
前記パージ廃材を受け取る容器上に排出されたパージ廃材の温度を測定する温度測定装置を備え、
前記容器満杯信号が前記制御装置に出力され、かつ、パージ廃材の温度が所定の温度になったとき検知信号が該制御装置に出力され、該制御装置は前記パージ廃材を受け取る容器を射出成形機外のパージ廃材が廃棄される位置へ移動させることを特徴とする請求項2に記載の射出成形機のパージ廃材排出装置。
【請求項4】
前記容器満杯信号が出力されたとき、前記射出成形機は、パージ動作を中断することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載の射出成形機のパージ廃材排出装置。
【請求項5】
前記計量部は、パージ1回あたりのパージ廃材の質量または体積の変化量からパージ作業の終了を判断し、パージ終了を指示する信号を前記射出成形機に出力することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1つに記載の射出成形機のパージ廃材排出装置。
【請求項6】
制御装置によって制御される射出成形機に用いられるパージ廃材排出装置において、
パージ廃材を受け取る容器と、
前記パージ廃材を受け取る容器をパージ廃材が射出される位置と射出成形機外のパージ廃材が廃棄される位置とを移動させる移動部と、
前記パージ廃材を受け取る容器に射出されたパージ廃材の質量または体積に関する物理量を取得するセンサと、
を備え、
前記制御装置は、前記センサによって取得されたパージ廃材の質量または体積が予め設定された質量または体積に達した場合、容器満杯信号を出力する、または、前記移動部を前記パージ廃材を受け取る容器を射出成形機外のパージ廃材が廃棄される位置へ移動させ、または、パージ動作を中断させる機能を有することを特徴とする射出成形機のパージ廃材排出装置。
【請求項7】
前記容器上に排出されたパージ廃材の温度を測定する温度測定装置を有し、
前記制御装置は、前記センサによって取得されたパージ廃材の質量または体積が予め設定された質量または体積に達し、かつパージ廃材が所定の温度になった場合、容器満杯信号を出力する、または、前記移動部を前記パージ廃材を受け取る容器を射出成形機外のパージ廃材が廃棄される位置へ移動させ、または、パージ動作を中断させる機能を有することを特徴とする請求項6に記載の射出成形機のパージ廃材排出装置。
【請求項8】
前記制御装置は、パージ1回あたりのパージ廃材の質量または体積の変化量からパージ作業の終了を判断することを特徴とする請求項6または7のいずれか1つに記載の射出成形機のパージ廃材排出装置。
【請求項9】
射出成形機に用いられるパージ廃材排出装置において、
射出装置から排出されたパージ廃材を受け取る容器と、
パージ廃材を受け取る容器をパージ廃材が排出される位置から射出成形機外のパージ廃材が廃棄される位置に移動させる移動部と、
該容器上に排出されたパージ廃材の温度を測定する温度測定装置と、
を設けたことを特徴とする射出成形機のパージ廃材排出装置。
【請求項10】
前記温度測定装置は非接触式温度計であることを特徴とする請求項9に記載の射出成形機のパージ廃材排出装置。
【請求項11】
前記温度測定装置は前記容器に熱電対を貼り付けたことを特徴とする請求項9に記載の射出成形機のパージ廃材排出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−59997(P2013−59997A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228744(P2011−228744)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】