説明

射出成形機

【課題】金型の型開き時に金型キャビティ面に塵埃が付着しないように、清浄エアを効果的に金型に通風させる射出成形機を提供する。
【解決手段】金型8の開閉方向に直交する方向から清浄エア10を金型8へ送風する射出成形機1において、前記金型8の開閉方向に平行となるように設けた安全扉11の下部すなわち清浄エア10の清浄エア源9から最も遠い部分に、金型8の開閉方向に設けた複数の蓋付き長孔である鎧戸状の通風孔12を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学製品等の成形において成形品に塵埃等が含有されることを防止する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野における従来技術は特許文献1に開示されている。特許文献1は、溶融した樹脂材料を一対の金型間に形成されるキャビティ内に射出し、この樹脂材料を冷却固化することにより樹脂製のディスク基板を製造するディスク基板の製造装置において、上部及び下部に開口部が設けられ、上記一対の金型が配設されるディスク基板成形部と、上記ディスク基板成形部に対して清浄なエアーを供給するエアー供給部とを備え、上記エアー供給部からの清浄なエアーが、上記ディスク基板成形部の上部に設けられた開口部から上記ディスク基板成形部内に供給され、上記ディスク基板成形部内の上記一対の金型が配設された箇所を通過して、上記ディスク基板成形部の下部に設けられた開口部から上記ディスク基板成形部外に排出されるように構成されている。
【0003】
しかしながら、ディスク基板の成形においては、金型からの成形品の取出しを金型の上方または側方からのアクセスによる取出機で実施するので、上記ディスク基板成形部の下部に開口部を設ける必要はない。そのため、ディスク基板成形部の下部を閉鎖したり、ディスク基板成形部の下部に金型の温調器等を設置することがある。このような場合、ディスク基板成形部の下方への清浄なエアーの流れが阻害されて、金型に塵埃が付着し成形品に塵埃が含有されることとなるのである。
【0004】
【特許文献1】特開2000−202862号公報(0019、第3、第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した問題を解決すべくなされたものであって、清浄エアを効果的に金型に通風させる射出成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、金型の開閉方向に直交する方向から清浄エアを金型へ送風する射出成形機において、前記金型の開閉方向に平行となるように設けた安全扉に通風孔を設けた射出成形機に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の射出成形機によれば、清浄エアが金型の開閉方向に直交する方向から安全扉の側方へ容易に通風するので、金型に清浄エアが効果的に作用して塵埃が金型に付着することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図面に基づいて、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明を実施する射出成形機の正面図である。図2は、図1において開放した金型部分のA−A断面図である。
【0009】
射出成形機1は、金型8を開閉し圧締する型締装置2と、金型8に溶融材料を射出・充填する射出装置3とからなる。型締装置2は、金型8の固定型6を取付ける固定盤4と、金型8の可動型7を取付ける可動盤5と、固定盤4との間にタイバ13で架設された図示しない駆動装置とからなる。駆動装置はトグルや油圧シリンダ等からなり、可動盤5をタイバ13に摺動させて固定盤4に接近・離隔して金型8を開閉させるとともに、金型8を圧締する。型締装置2と射出装置3は架台15の上面に載置される。可動盤5が固定盤4から離隔して金型8が開き金型開放部14が形成されているとき、金型8の下方の架台15上面は閉鎖されているか、又は、開放されていても金型8用の温調器等の機器が設置されている。したがって、金型開放部14から下方には通風路はない。なお、図1は金型8の型開閉が水平に行われる横型の射出成形機1について例示したが、金型の型開閉が垂直に行われる縦型の射出成形機にも本発明が適用されることは言うまでもない。
【0010】
安全扉11は、前記金型開放部14にアクセスできないように金型開放部14を運転員から遮断するものである。安全扉11は、金型8の開閉方向に移動可能となっており、金型8の型閉じ及び圧締中は閉鎖し、型開き中は開放する。しかしながら、連続成形時には、成形品は金型8から取出機等により自動的に取出されるので、安全扉11を開く必要はない。したがって、安全扉11は、主に、手動成形時や金型8の保守点検時に開放される。そのため、安全扉11に代えて開閉移動不可ではあるが容易に着脱可能とした安全柵とすることもある。このような安全扉11や安全柵は金型8の開閉方向に平行となるように固定盤4の前後両側面に設けられる。上記した目的のものを総称して安全扉という。
【0011】
安全扉11は、その上方すなわち金型8の開閉方向に直交する方向に、清浄エア源9が設けられ、清浄エア源9から最も遠い部分である安全扉11の下部に通風孔12を有する。通風孔12は、金型8の開閉方向に設けた複数の蓋付き長孔である鎧戸状のものが好ましいが、指等が侵入できない程度に小さい多数の穿孔であってもよい。通風孔12を設ける位置は安全扉11の下部であって下端近傍に集中させることが好ましい。また、安全扉11は、その外周及び外縁部が金属板で、その中央部が透明板であるが、通風孔12はそれらのいずれの部分に設けてもよい。
【0012】
清浄エア源9は、その中に清浄エアの生成と送風に要する機器が一体となっているものが好適に用いられるが、清浄エアの生成と送風に要する機器を射出成形機1から離隔した場所に他の射出成形機と共用に有し、ダクトのみを射出成形機1の金型開放部14に開口するように構成したものでもよい。
【0013】
清浄エア源9から送風された清浄エア10は、金型開放部14に流入し、図2に矢印で示すように、金型8の開放された表面に沿って流動し、通風孔12から流出する。そのため、金型8が型開きする瞬間に金型8の周囲の空気を吸引してそれに混入していた塵埃が金型8のキャビティ面に付着することを防止し、成形品に塵埃が含有されるという不良を防止することができる。
【0014】
この発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を付加して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を実施する射出成形機の正面図である。
【図2】図1において開放した金型部分のA−A断面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 射出成形機
2 型締装置
3 射出装置
4 固定盤
5 可動盤
6 固定型
7 可動型
8 金型
9 清浄エア源
10 清浄エア
11 安全扉
12 通風孔
13 タイバ
14 金型開放部
15 架台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型の開閉方向に直交する方向から清浄エアを金型へ送風する射出成形機において、
前記金型の開閉方向に平行となるように設けた安全扉に通風孔を設けたことを特徴とする射出成形機。
【請求項2】
前記通風孔は、前記安全扉において前記清浄エアの清浄エア源から最も遠い部分に設けた請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
前記通風孔は、鎧戸状である請求項1又は2に記載の射出成形機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−56191(P2006−56191A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−242340(P2004−242340)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(000155159)株式会社名機製作所 (255)
【Fターム(参考)】