説明

射出装置

【課題】射出シリンダを減速させるタイミングに到達した後からの応答性を向上させることができる射出装置を提供すること。
【解決手段】射出装置において、射出シリンダ17の第2室17fにはアキュムレータ22が接続されるとともに、射出装置には射出シリンダ17を減速させる減速機構Gが設けられている。減速機構Gは、射出シリンダ17の第2ロッド17dと一体移動する作動部材41と、射出シリンダ17に対する作動油の排出用の流路に設けられるとともに、作動部材41の移動に連動して流路を可変に絞る絞り部材44と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非圧縮性流体の流体圧によって作動する射出シリンダにより成形材料を型部内に射出、充填する射出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、成形機の射出装置は、射出シリンダにより射出プランジャをスリーブ内において前進させ、スリーブ内の成形材料(例えば金属材料)を型部間に形成されたキャビティに押し出すことにより、成形材料をキャビティに射出・充填する。射出・充填工程は、低速工程、高速工程及び増圧工程からなる。
【0003】
射出装置においては、高速工程で高速移動する射出シリンダを減速させた後、増圧工程に移行するようになっている。しかし、高速工程で射出シリンダの減速が不十分になると、射出シリンダに一体の射出プランジャが型部に勢いよく衝突してしまい、キャビティに過大な圧力(サージ圧力)が作用してしまう。このような過大な圧力が作用することを防止するため、射出装置には射出シリンダを減速させる減速機構が設けられている(特許文献1参照。)。
【0004】
図8に示すように、特許文献1に開示の射出装置において、射出シリンダ80のピストンロッド80aには、カップリング81を介して射出プランジャ82が連結されている。カップリング81にはL字状のストライカ83が連結されるとともに、このストライカ83には磁化部と非磁化部を一定間隔おきに配置してなる磁気スケール83aが取り付けられている。また、射出シリンダ80は液圧回路80bを介して図示しない作動油タンクに接続されるとともに、液圧回路80bには流量制御弁80cが設けられ、この流量制御弁80cはパルスモータ80dによって駆動される。
【0005】
また、特許文献1に開示の射出装置には、磁気スケール83aの磁気信号を検出する磁気センサ84、及び磁気センサ84で検出した磁気信号を計数して射出プランジャ82のストローク信号に変換する位置検出器85が設けられている。さらに、射出装置には、位置検出器85からのストローク信号を速度信号に変換する速度検出器86、及び速度検出器86からの速度信号を加速度信号に変換する加速度検出器87が設けられている。
【0006】
加えて、射出装置には、加速度信号に基づき速度が落ち始める点を検出する判断回路88、流量制御弁80cの弁開度を設定する弁開度設定器89、射出速度変更のための位置設定器90、及び流量制御弁80cを制御する制御指令発生器91が設けられている。
【0007】
そして、特許文献1においては、射出プランジャ82の移動にストライカ83が連動し、そのストライカ83に一体の磁気スケール83aの磁気信号が磁気センサ84で検出される。すると、位置検出器85、速度検出器86、加速度検出器87、判断回路88、弁開度設定器89、及び位置設定器90からの信号に基づき、制御指令発生器91がパルスモータ80dに制御指令を出力する。その結果、流量制御弁80cの弁開度が制御され、液圧回路80bから射出シリンダ80に導入される作動油量が調整される。これにより、射出シリンダ80の移動速度が制御され、上述のような減速が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭60−76267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献1においては、ストライカ83の移動が磁気センサ84で検出され、射出シリンダ80を減速させるタイミングに到達すると、各器機85〜90での信号の入出力を経て流量制御弁80cの弁開度が制御された後に、ようやく射出シリンダ80の減速が開始される。よって、特許文献1においては、射出シリンダ80を減速させるタイミングに到達した後の応答性が悪いという問題があった。
【0010】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、射出シリンダを減速させるタイミングに到達した後からの応答性を向上させることができる射出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、非圧縮性流体の流体圧によって作動する射出シリンダにより成形材料を型部内に射出、充填する射出装置に関する。この射出装置には、前記射出シリンダの作動室に接続された前記流体圧の蓄圧手段と、前記射出シリンダを減速させる減速機構と、が設けられており、前記減速機構が、前記射出シリンダのロッドと一体移動する作動部材と、前記射出シリンダに対する前記非圧縮性流体の供給用の流路又は排出用の流路に設けられるとともに、前記作動部材の移動に連動可能、かつ前記流路を可変に絞る絞り部材と、前記絞り部材を移動可能に収容する収容部材と、を有する。前記流路には、前記収容部材の供給ポートが接続されるとともに、前記収容部材には前記供給ポートに連通する排出ポートが形成されており、前記絞り部材には、前記供給ポートから前記排出ポートに向けた前記非圧縮性流体の流路を絞る絞り部が形成されている。
【0012】
これによれば、射出の工程において、作動部材は射出シリンダのロッドと一体移動しており、射出シリンダを減速させるタイミングに到達すると、作動部材の移動に連動して収容部材内で絞り部材が移動する。すると、絞り部材の絞り部によって、供給ポートから排出ポートに向けた非圧縮性流体の流路が絞られる。非圧縮性流体の供給用の流路が絞られる場合は、射出シリンダに作用する作動圧が減少し、排出用の流路が絞られる場合は、非圧縮性流体の排出速度が低下する結果、射出シリンダが減速される。よって、絞り部材の動作を、射出シリンダそのものに連動させることで、絞り部材の動作を射出シリンダに同期させることができ、しかも流路を絞る動作、すなわち射出シリンダの減速を機械的に行うことができる。したがって、射出シリンダを減速させる動作が、センサや各種器機での信号の入出力を経てバルブの開度を制御した後に実行される場合と比べると、減速タイミングに到達した後の応答性を向上させることができる。
【0013】
また、前記絞り部材には、前記流路を遮断する遮断部が形成されていてもよい。
これによれば、型部からの反力が射出シリンダのロッドに作用しても、射出シリンダと蓄圧手段とを連通させる流路は、絞り部材の遮断部によって遮断される。したがって、非圧縮性流体の流路を遮断する構成を簡単に構成することができる。
【0014】
また、前記絞り部材は、前記作動部材と接触している状態で前記作動部材と連動可能であり、前記作動部材と連動される前の状態と、前記作動部材により連動された後の状態とを取り、前記収容部材には、前記絞り部材を連動する前の位置に復帰させる復帰手段が設けられていてもよい。
【0015】
これによれば、復帰手段により絞り部材を連動する前の位置に復帰させることができる。よって、例えば、絞り部材を手動で復帰させる場合と比べると、射出装置に関する操作の煩わしさを軽減することができる。
【0016】
また、前記収容部材には、前記絞り部材を移動させるための非圧縮性流体の給排を行う給排機構が接続されていてもよい。
これによれば、作動部材に絞り部材を連動させる際、給排機構からの非圧縮性流体の供給により、絞り部材の動作を補助し、絞り部により流路を精度良く絞る位置へ絞り部材を移動させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、射出シリンダを減速させるタイミングに到達した後からの応答性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態の射出装置を示す模式図。
【図2】第1の実施形態の減速機構を示す模式図。
【図3】射出装置における射出圧力及び射出速度の変化を示すグラフ。
【図4】作動シリンダ及びパイロットシリンダが作動した状態を示す模式図。
【図5】射出シリンダが作動した状態を示す模式図。
【図6】減速機構が作動した状態を示す模式図。
【図7】(a)〜(c)は第2の実施形態の減速機構を示す模式図。
【図8】背景技術を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図6にしたがって説明する。
図1に示すように、型部Kは、固定金型12と、可動金型13とから形成されるとともに、固定金型12及び可動金型13は、図示しない型締装置により型開閉及び型締がなされる。射出装置11は、型部K内に形成されたキャビティ14に、成形材料としての金属材料を射出・充填する装置である。そして、型部K内に射出された金属材料は、凝固後に取り出されることにより、所望の成形品となる。
【0020】
固定金型12には、キャビティ14に連通する射出スリーブ15が設けられるとともに、この射出スリーブ15内には射出プランジャ16が摺動可能に設けられている。射出プランジャ16は、両ロッド形の射出シリンダ17の一方のロッドである第1ロッド17aに連結されている。射出シリンダ17のシリンダチューブ17b内には、第1ロッド17aと一体のピストン17cが移動可能に収容されるとともに、このピストン17cにおける第1ロッド17aの反対側には第2ロッド17dが一体に設けられている。シリンダチューブ17b内は、ピストン17cによって第1ロッド17a側の作動室である第1室17eと、その反対側の作動室である第2ロッド17d側の第2室17fとに区画されている。
【0021】
図2に示すように、射出シリンダ17のシリンダチューブ17bには、第2室17fに連通する供給ポート17kが形成されるとともに、この供給ポート17kには、蓄圧手段としてのアキュムレータ22が接続されている。アキュムレータ22には非圧縮性流体としての作動油が蓄圧されている。そして、このアキュムレータ22からの作動油が供給ポート17kを介して第2室17fに供給されており、ピストン17cには型部Kに向けて、流体圧として油圧が作用し、この油圧によって第1ロッド17a及び第2ロッド17dが型部Kに向けて移動可能になっている。一方、シリンダチューブ17bには、第1室17eに連通する排出ポート17gが形成されている。
【0022】
図1に示すように、射出シリンダ17の第2ロッド17dには、制御ユニットSが機械的に連結されている。詳細に説明すると、第2ロッド17dの先端には、継手23を介してボール螺子よりなる回転軸24の一端が連結されるとともに、この継手23により、第2ロッド17dに対し回転軸24が相対回転可能に支持されている。また、回転軸24にはナット25が螺合されるとともに、このナット25は、射出装置11のハウジング(図示せず)に移動不能及び回転不能に固定されている。このため、第2ロッド17dが前後進動作すると、ナット25に対し回転軸24がその軸方向へ前後進動作するとともに回転する。
【0023】
回転軸24の他端には回転部材としてのブレーキディスク26が回転軸24と一体回転可能に連結されている。このブレーキディスク26の厚み方向の前後には、第1ブレーキパッド27aと第2ブレーキパッド27bが対向して配置されている。第1ブレーキパッド27a及び第2ブレーキパッド27bは、それぞれ連動してブレーキディスク26に対し近接又は離隔する方向へ移動可能になっている。そして、第1及び第2ブレーキパッド27a,27bが、ブレーキディスク26に押し付けられることで、第1ブレーキパッド27aと第2ブレーキパッド27bが回転するブレーキディスク26に摺接して、ブレーキディスク26に対して摩擦抵抗を発生させるようになっている。
【0024】
第2ブレーキパッド27bには、作動シリンダ30の作動ロッド30aの先端が連結されている。作動シリンダ30において、シリンダチューブ30b内には、作動ロッド30aと一体のピストン30cが収容されるとともに、このピストン30cによってシリンダチューブ30b内が、作動ロッド30aが延出する側の作動側ロッド室30dと、その反対側の作動側ヘッド室30eとに区画されている。
【0025】
この作動シリンダ30には、第1給排油路31a及び第2給排油路31bを介してパイロットシリンダ32が接続されている。このパイロットシリンダ32のシリンダチューブ32b内には、ピストン32cが収容されるとともに、このピストン32cにはパイロットロッド32aが一体に設けられている。また、シリンダチューブ32b内は、ピストン32cによってパイロットロッド32aが延出する側のパイロット側ロッド室32dと、その反対側のパイロット側ヘッド室32eとに区画されている。
【0026】
そして、パイロットシリンダ32のパイロット側ロッド室32dは、第1給排油路31aを介して作動シリンダ30の作動側ロッド室30dが接続されるとともに、パイロットシリンダ32のパイロット側ヘッド室32eは、第2給排油路31bを介して作動シリンダ30の作動側ヘッド室30eが接続されている。また、ロッド室30dとパイロット側ロッド室32d、及び作動側ヘッド室30eとパイロット側ヘッド室32eには非圧縮性流体としての作動油が封入されるとともに、第1及び第2給排油路31a,31bによって閉回路が形成されている。
【0027】
また、作動シリンダ30のシリンダ径は、パイロットシリンダ32のシリンダ径より大きくなっている。そして、作動シリンダ30とパイロットシリンダ32のシリンダ径の差と、第1及び第2給排油路31a,31bとから作動シリンダ30における作動ロッド30aの推力を増幅させる増幅回路が構成されている。
【0028】
パイロットロッド32aの先端は、駆動用ナットN1に対し接離可能になっている。この駆動用ナットN1は駆動用ボールネジB1に螺合されるとともに、駆動用ボールネジB1は、駆動用モータM1によって正逆両方向へ回転可能になっている。駆動用モータM1が回転すると、その回転速度で駆動用ボールネジB1が回転するとともに、駆動用ボールネジB1に螺合された駆動用ナットN1は所望する移動速度で移動するようになっている。
【0029】
そして、駆動用ボールネジB1は、駆動用ナットN1が駆動用ボールネジB1の軸方向へ前進動作(直線移動)するとともに、パイロットロッド32aが駆動用ナットN1に追従して前進動作するようになっている。すると、パイロット側ロッド室32dの作動油が第1給排油路31aを介して作動側ロッド室30dに排出されるとともに、作動側ヘッド室30eの作動油が第2給排油路31bを介してパイロット側ヘッド室32eに排出され、作動ロッド30aと一体の第2ブレーキパッド27bがブレーキディスク26から離隔されるようになっている。
【0030】
また、本実施形態において、ブレーキディスク26、第1ブレーキパッド27a、第2ブレーキパッド27b、作動シリンダ30、第1及び第2給排油路31a,31b、及びパイロットシリンダ32は、ハウジングH内に収容されてユニット化されている。また、ハウジングH内においては、回転軸24、ブレーキディスク26、作動シリンダ30、第1ブレーキパッド27a、第2ブレーキパッド27b、及びパイロットシリンダ32はブレーキユニットBUとして一体化されており、このブレーキユニットBUはハウジングH内で前後進動作可能に収容されている。
【0031】
ここで、射出装置11の射出時における作動パターン(射出パターン)を、図3にしたがって説明する。
射出装置11は、低速工程、高速工程、及び増圧工程の3工程で作動させる。低速工程は、射出の初期段階の工程であって、射出スリーブ15内に供給された金属材料をキャビティ14に押し出す際に、射出プランジャ16を作動させる工程である。
【0032】
高速工程は、低速工程の次に行われる工程であって、射出スリーブ15の射出プランジャ16を低速工程時よりも高速で作動させる工程である。この高速工程の終盤では射出プランジャ16の速度が徐々に減速されていく。そして、射出プランジャ16の速度がほぼゼロに近づくと、増圧工程に移行する。増圧工程は、高速工程の次に行われる射出の最終段階の工程であって、射出スリーブ15の射出プランジャ16の型部Kに向けた前進方向の力によりキャビティ14内の金属材料を増圧する工程である。
【0033】
これらの各工程では、図3に示すように、射出装置11に要求される作動パターンが相違する。すなわち、射出プランジャ16は、高速工程において、そのほとんどが低速工程よりも速い速度で作動させることが必要である一方で、増圧工程においては速度を必要としない。また、射出プランジャ16は、増圧工程において低速工程及び高速工程よりも高い圧力を付与するように作動させることが必要である一方で、低速工程及び高速工程において増圧工程時ほどの圧力を付与するように作動させる必要はない。
【0034】
次に、本実施形態の減速機構Gについて説明する。
図2に示すように、射出シリンダ17の第2ロッド17dには、L字状に形成された作動部材41が第2ロッド17dと一体移動可能に連結されている。作動部材41は、第2ロッド17dの軸方向に対し直交して延びる連結部41aを介して第2ロッド17dに連結されている。また、作動部材41には、連結部41aに直交し、かつ第2ロッド17dの軸方向に沿って延びる腕部41bが形成されている。
【0035】
射出シリンダ17の外面(図1では下面)には収容部材42が取り付けられている。この収容部材42のシリンダチューブ42aには、供給ポート42bが形成されるとともに、この供給ポート42bは、射出シリンダ17の排出ポート17gに連通している。そして、射出シリンダ17の第1室17eから排出された作動油は、排出ポート17g及び供給ポート42bを介して収容部材42内に流入するようになっている。また、シリンダチューブ42aにおいて、供給ポート42bと対向する位置には排出ポート42cが形成されている。そして、射出シリンダ17から収容部材42内に流入した作動油は排出ポート42cから収容部材42外へ排出されるようになっている。よって、収容部材42は、射出シリンダ17に対する作動油の排出用の流路上に設けられている。
【0036】
この収容部材42において、シリンダチューブ42aの一端は蓋部材43が接合されて閉鎖されるとともに、他端は開放されている。また、シリンダチューブ42a内には、流路を可変に絞る円柱状の絞り部材44が移動可能に収容されている。この絞り部材44の一端と蓋部材43との間には、コイルバネよりなる復帰部材45(復帰手段)が介装されるとともに、この復帰部材45により絞り部材44はシリンダチューブ42aの他端側に向けて付勢可能になっている。そして、絞り部材44を復帰部材45に抗して型部K側に押圧すると、復帰部材45が収縮する分だけ絞り部材44は型部K側へ移動する。一方、絞り部材44に対する押圧を解除すると、復帰部材45の収縮状態からの復帰力により、絞り部材44は型部Kと反対側へ移動するようになっている。
【0037】
また、絞り部材44の他端側は、シリンダチューブ42aの他端から外部に突出している。さらに、絞り部材44の周面には、供給ポート42bから排出ポート42cに作動油を流すための通路形成凹部44aが、絞り部材44の軸方向に沿った一部を凹ませて形成されている。そして、通路形成凹部44aが、供給ポート42bと排出ポート42cの間に位置するときは、供給ポート42bから収容部材42内に流入した作動油は、通路形成凹部44aを流れて排出ポート42cから収容部材42外へ排出されるようになっている。絞り部材44の軸方向に沿った断面において、通路形成凹部44aの断面積は、供給ポート42b及び排出ポート42cの通路断面積と同じになっている。このため、供給ポート42bから通路形成凹部44aを介して排出ポート42cへ作動油が流れるとき、作動油は通路形成凹部44aで絞られることなく流れる。
【0038】
さらに、絞り部材44の周面において、通路形成凹部44aよりも軸方向他端寄りには、絞り部としての絞り形成凹部44bが形成されるとともに、この絞り形成凹部44bは通路形成凹部44aよりも浅く形成されている。そして、絞り形成凹部44bが、供給ポート42bと排出ポート42cの間に位置するときは、供給ポート42bから収容部材42内に流入した作動油は、絞り形成凹部44bを流れて排出ポート42cから収容部材42外へ排出されるようになっている。
【0039】
絞り部材44の軸方向に沿った断面において、絞り形成凹部44bの断面積は、供給ポート42b及び排出ポート42cの通路断面積より小さく、かつ通路形成凹部44aの断面積より小さくなっている。このため、供給ポート42bから通路形成凹部44aを介して排出ポート42cへ作動油が流れるとき、作動油は絞り形成凹部44bで絞られて流れる。
【0040】
そして、絞り部材44が型部K側に押圧されず、復帰部材45によってシリンダチューブ42aの他端側に付勢された状態では、通路形成凹部44aが供給ポート42b及び排出ポート42cに対向するように絞り部材44が配置されている。また、絞り形成凹部44bは、供給ポート42b及び排出ポート42cよりもシリンダチューブ42aの他端側に位置している。
【0041】
絞り部材44の他端に対しては、高速工程時に、減速開始のタイミング(図3の時間T3)で作動部材41における腕部41bの先端が当接するようになっている。そして、アキュムレータ22からの油圧により、ピストン17cが移動するとともに、第2ロッド17dが移動すると、作動部材41は第2ロッド17dに連動して移動する。この作動部材41の移動により、絞り部材44が復帰部材45に向けて押圧され、絞り部材44はシリンダチューブ42aの一端側(型部K側)に向けて移動するようになっている。よって、作動部材41における腕部41bの長さ、復帰部材45のバネ力、及び絞り部材44の長さは、減速開始のタイミング(時間T3)で作動部材41の腕部41bが絞り部材44に接触するように調整されている。つまり、絞り部材44は、作動部材41との接触後、作動部材41に連動可能になっている。
【0042】
図2に示すように、シリンダチューブ42aの排出ポート42cには給排機構Tが接続されるとともに、この給排機構Tは、第1室17eに作動油を供給するとともに、収容部材42を介して第1室17eから作動油を排出する。給排機構Tは、油タンク18と、油タンク18内の作動油を汲み上げるポンプ19と、第1室17eとポンプ19とを接続する油路20に設けられた電磁切換弁21と、からなる。電磁切換弁21は、ポンプ19によって油タンク18から汲み上げた作動油を第1室17eへ供給可能とする第1位置21aと、第1室17e内の作動油を油タンク18に排出可能とする第2位置21bとに切換可能になっている。
【0043】
以下、本実施形態の射出装置11の作用を説明する。
最初に、低速工程について説明する。
図1に示すように、低速工程の開始前、射出スリーブ15の射出プランジャ16、射出シリンダ17の第1ロッド17a及び第2ロッド17d、作動シリンダ30の作動ロッド30a、パイロットシリンダ32のパイロットロッド32aは、図1に示すような所定の初期位置に位置している。なお、初期位置に位置する各ロッド17a,17d,30a,32aは、射出スリーブ15内に供給される金属材料に対して射出圧を付与していない(図3の時間T1)。
【0044】
また、電磁切換弁21は、射出シリンダ17における第1室17eの作動油が油タンク18に戻らないよう第1位置21aに切り換えられている。そして、第2室17fにはアキュムレータ22からの作動油が供給されるとともに、ピストン17cには、射出プランジャ16の推力を出力させるために必要なエネルギーが油圧として作用している。
【0045】
また、初期位置において、駆動用モータM1は停止し、駆動用ナットN1が停止しており、この駆動用ナットN1に対し、パイロットシリンダ32のパイロットロッド32aが押し付けられるとともに、このパイロットシリンダ32からの油圧が増幅回路によって増幅されて作動シリンダ30のピストン30cに作用している。そして、増幅された油圧により、作動ロッド30aに一体の第2ブレーキパッド27bがブレーキディスク26に押し付けられるとともに、第2ブレーキパッド27bに連動して第1ブレーキパッド27aもブレーキディスク26に押し付けられている。よって、ブレーキユニットBUにより、ブレーキディスク26の回転が規制されるとともに、このブレーキディスク26に一体の回転軸24の回転も規制されている。
【0046】
このため、回転軸24に一体の第2ロッド17dは、その移動が規制されている。したがって、アキュムレータ22からの油圧により移動可能な状態にある射出シリンダ17のピストン17cは、第2ロッド17dを介して移動が規制されている。なお、ピストン17cは、その移動が規制されつつもアキュムレータ22からの油圧が作用しており、即座に移動可能な状態で待機している。
【0047】
さらに、図2に示すように、減速機構Gにおいては、絞り部材44が型部K側に押圧されず、復帰部材45によってシリンダチューブ42aの他端側に付勢されている。このため、減速機構Gでは、通路形成凹部44aが供給ポート42b及び排出ポート42cに対向するように絞り部材44が配置されている。
【0048】
そして、固定金型12と可動金型13の型締め、及び射出スリーブ15への金属材料の供給などの成形準備が完了すると、射出装置11による低速工程を開始する。低速工程において、射出シリンダ17の第1ロッド17a(射出プランジャ16)は、図3に示す射出速度V1で移動する。同時に、電磁切換弁21は第2位置21bに切り換えられる。
【0049】
図4に示すように、駆動用モータM1が駆動されると、駆動用ボールネジB1は、駆動用ナットN1が前進動作するように回転する。すると、駆動用ナットN1に押し付けられていたパイロットシリンダ32のパイロットロッド32aが、駆動用ナットN1から一旦、離間するとともに、駆動用ナットN1に追従して前進動作する。
【0050】
そして、このパイロットロッド32aの前進動作により、パイロット側ロッド室32dの作動油が第1給排油路31aを介して作動側ロッド室30dに排出されるとともに、作動側ヘッド室30eの作動油が第2給排油路31bを介してパイロット側ヘッド室32eに排出される。すると、作動ロッド30aはシリンダチューブ30bに没入する方向へ移動し、この作動ロッド30aと一体の第2ブレーキパッド27bがブレーキディスク26から離隔されるとともに、第2ブレーキパッド27bに連動して第1ブレーキパッド27aもブレーキディスク26から離隔される。このとき、第1ロッド17a及び第2ロッド17dが緩やかに前進動作するとともに、ブレーキディスク26及び回転軸24が緩やかに回転する。
【0051】
すると、図5に示すように、ブレーキユニットBUにより、移動が規制されていたピストン17cが、アキュムレータ22からの油圧を受けて、第1室17eに向けて上記の射出速度V1で前進動作する。この前進動作に伴いピストン17cに一体の第1ロッド17aも射出速度V1で前進動作する。その結果、第1ロッド17aに連結された射出プランジャ16がキャビティ14に向けて射出速度V1で前進動作する。この射出プランジャ16の前進動作により、射出スリーブ15内の金属材料はキャビティ14内に射出される。
【0052】
同時に、第1室17eの作動油は、排出ポート17gから射出シリンダ17外へ排出されるとともに、供給ポート42bから収容部材42内に流入する。このとき、絞り部材44は、作動部材41によって押圧されておらず、作動油は、絞り部材44の通路形成凹部44aを流れるため、通路形成凹部44aで絞られることなく、排出ポート42cを介して収容部材42外へ排出される。その後、作動油は、第2位置21bにある電磁切換弁21を介して油タンク18へ排出される。
【0053】
また、第1ロッド17a、第2ロッド17d、及び回転軸24を介して連結されたブレーキユニットBUも前進動作すると、射出プランジャ16が前進動作する。そして、射出プランジャ16が、低速工程の終了位置に到達すると(図3の時間T2)、低速工程から高速工程に移行する。高速工程において、射出プランジャ16は、図3に示す射出速度V2で移動する。
【0054】
すると、上記と同様に射出装置11が作動し、高速工程が行われる。高速工程においては、第1ロッド17a及び第2ロッド17dが高速で前進動作するとともに、ブレーキディスク26及び回転軸24が高速で回転する。そして、高速工程において、射出プランジャ16を減速させるタイミングに到達すると(図3の時間T3)、減速機構Gが作動する。
【0055】
図6に示すように、第2ロッド17dが前進動作すると、この第2ロッド17dに一体の作動部材41も前進動作(移動)し、作動部材41における腕部41bが絞り部材44の他端に当接し、さらに、第2ロッド17dの前進動作(移動)によって作動部材41が絞り部材44を押圧する。すると、絞り部材44は、作動部材41の移動に連動し、復帰部材45のバネ力に抗して型部K側へ移動する。すると、絞り部材44において、供給ポート42b及び排出ポート42cと対向する部位が、通路形成凹部44aから絞り形成凹部44bに切り換えられる。
【0056】
このため、第1室17eから排出された作動油は、収容部材42の供給ポート42bから収容部材42内の絞り形成凹部44bを流れ、第1室17eから排出される作動油の量が絞られる(流量が減少する。)。その結果、収容部材42の排出ポート42cを介して収容部材42外へ排出される作動油量が減少し、ピストン17cが減速される。よって、ピストン17cに一体の第1ロッド17aも減速される結果、射出プランジャ16も減速される。なお、収容部材42外へ排出された作動油は、第2位置21bにある電磁切換弁21を介して油タンク18へ排出される。
【0057】
その後、射出プランジャ16が、高速工程時において前進動作させる位置に到達すると(図3の時間T4)、高速工程が終了し、増圧工程に移行する。
最後に、増圧工程において、射出プランジャ16が付与する圧力が、図3に示す射出圧Pとなる。すると、上記と同様に射出装置11が作動し、増圧工程が行われる。増圧工程においては、パイロットロッド32aが、駆動用ナットN1に接触することなく、アキュムレータ22の油圧力が第1ロッド17aを介して射出プランジャ16に与えられる。
【0058】
その後、キャビティ14内の金属材料が凝固したならば、射出シリンダ17の第1ロッド17aを後進動作させる。このとき、電磁切換弁21は第1位置21aに切り換えられる。そして、ポンプ19が駆動され、ポンプ19が汲み上げた作動油を射出シリンダ17の第1室17eへ供給する。これにより、射出シリンダ17の第1ロッド17aが後進動作し、射出プランジャ16も後進動作するとともに、第2室17fの作動油がアキュムレータ22に戻される。また、第2ロッド17dも後進動作するため、絞り部材44が復帰部材45のバネ力により、作動部材41に押圧される前の位置に復帰する。すなわち、供給ポート42b及び排出ポート42cに対し、絞り部材44の通路形成凹部44aが対向する位置に絞り部材44は復帰する。その後、固定金型12と可動金型13を型開きすることにより、型部Kから成形品が取り出される。
【0059】
上記第1の実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)射出装置11において、射出シリンダ17の第2ロッド17dに作動部材41を一体移動可能に連結するとともに、射出シリンダ17からの作動油の排出用の流路に収容部材42を設けた。また、射出シリンダ17から排出された作動油を収容部材42内を流れるようにするとともに、収容部材42内に作動油の流路を絞る絞り部材44を設けた。そして、射出シリンダ17と一体移動する作動部材41に絞り部材44を連動させて、射出シリンダ17から排出される作動油量を絞り部材44の絞り形成凹部44bで絞るようにした。よって、絞り部材44の動作を、射出シリンダ17そのものに連動させることで、絞り部材44の動作を射出シリンダ17に同期させることができ、しかも流路を絞る動作を機械的に行うことができる。このため、射出シリンダ17を減速させるタイミング(時間T3)に到達したのに同期して絞り部材44を機械的に動作させて射出シリンダ17を減速させることができる。よって、射出シリンダ17を減速させる動作が、センサや各種機器での信号の入出力を経てバルブの開度を制御した後に実行される場合と比べると、減速タイミングに到達した後の応答性を向上させることができ、さらに、タイミング調整を正確かつ確実に行うことができる。
【0060】
(2)射出シリンダ17と一体移動する作動部材41に絞り部材44を連動させ、射出シリンダ17の移動に同期して機械的に射出シリンダ17の移動速度を減速させるようにした。このため、射出シリンダ17の減速のために、流量制御弁、この流量制御弁を駆動させるモータ、各種信号の入出力機器を必要とせず、射出装置11の構成が簡単にできる。
【0061】
(3)高速工程において、減速させるタイミング(時間T3)に到達すると、絞り部材44が移動し、供給ポート42bに対向配置されていた通路形成凹部44aが絞り形成凹部44bに切り換えられる。このため、作動油の流路断面積が急激に小さくなり、射出シリンダ17の移動速度を急激に減速させることができる。
【0062】
(4)射出シリンダ17に収容部材42を連結し、射出シリンダ17の排出ポート17gに、収容部材42の供給ポート42bを接続し、この収容部材42内に絞り部材44を移動可能に収容した。よって、収容部材42内に作動油の流路が形成され、この流路を、作動部材41に連動した絞り部材44の絞り形成凹部44bによって絞ることができる。したがって、射出シリンダ17を減速するために、射出シリンダ17からの作動油の流路を絞る構成を簡単に構成することができる。
【0063】
(5)収容部材42内には復帰部材45が設けられ、この復帰部材45により絞り部材44を作動部材41により押圧される前の状態に復帰させることができる。よって、射出シリンダ17を後進動作させた後、絞り部材44を手動で復帰させる場合と比べると、射出装置11に関する操作の煩わしさを軽減することができる。
【0064】
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施形態を図7にしたがって説明する。また、第1の実施形態と同一構成については同一符号を付すなどし、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0065】
図7(a)〜(c)に示すように、減速機構Gにおいて、射出シリンダ17の供給ポート17kに収容部材51の排出ポート51aが連通するように、射出シリンダ17の外面(上面)に収容部材51が取り付けられるとともに、収容部材51の供給ポート51bにアキュムレータ22が接続されている。すなわち、射出シリンダ17に対する作動油の供給用の流路上に収容部材51が設けられている。また、収容部材51のシリンダチューブ51c内に収容された絞り部材52には、絞り部52aが形成されている。この絞り部52aは、円弧状に絞り部材52の周面を切り欠いて形成されている。よって、絞り部52aは、絞り部材52の軸方向一端から他端に向かうに従い徐々に深さが深くなった後、徐々に深さが浅くなるように形成されている。さらに、絞り部材52において、絞り部52aより軸方向他端側は、供給ポート51bからの作動油を遮断する遮断部52bとなっている。
【0066】
収容部材51内において、絞り部材52の一端にはピストン53が一体移動可能に連結されるとともに、収容部材51内にはピストン53が移動可能に収容されている。また、収容部材51内には、ピストン53によって絞り部材52が延出する側の第1作動室54aと、反対側の第2作動室54bとに区画されている。第1作動室54a及び第2作動室54bには、作動油を給排する給排機構Rが接続されている。給排機構Rは、油タンク55と、油タンク55内の作動油を汲み上げるポンプ56と、第1作動室54a又は第2作動室54bとポンプ56とを接続する油路57に設けられた電磁切換弁58と、からなる。
【0067】
電磁切換弁58は、ポンプ56によって油タンク55から汲み上げた作動油を第1作動室54aへ供給可能とし、かつ第2作動室54bの作動油を油タンク55へ排出可能とする第1位置58aを取り得る。また、電磁切換弁58は、ポンプ56によって油タンク55から汲み上げた作動油を第2作動室54bへ供給可能とし、かつ第1作動室54aの作動油を油タンク55へ排出可能とする第2位置58bを取り得る。
【0068】
絞り部材52の他端側は収容部材51外へ突出している。また、第2ロッド17dに連結された作動部材50は、第2ロッド17dに直交するように延びている。そして、第2ロッド17dの移動に伴い、作動部材50により絞り部材52の他端が押圧され、絞り部材52が収容部材51の奥に向けて移動する。
【0069】
さて、図7(a)に示すように、射出装置11の初期位置では、絞り部材52が作動部材50によって押圧されず、絞り部52a全体が排出ポート51a及び供給ポート51bに対向するように配置されている。また、給排機構Rにおける電磁切換弁58は第1位置58aに切り換えられている。そして、図7(b)に示すように、高速工程において減速のタイミングに到達すると、作動部材50によって絞り部材52が押圧される。このとき、第1作動室54aには給排機構Rの油タンク55より作動油が供給され、絞り部材52のピストン53に油圧が作用する。このため、この油圧により絞り部材52の移動が補助される。
【0070】
そして、絞り部52aがずれていき、供給ポート51bに対向する絞り部52aの深さが徐々に浅くなっていくとともに、供給ポート51bに対し遮断部52bの一部が対向配置される。このため、アキュムレータ22から第2室17fに供給される作動油の量が、絞り部52aにより絞られる(流量が減少する。)。その結果、ピストン17cに作用する油圧が減少し、ピストン17cが減速される。よって、ピストン17cに一体の第1ロッド17aも減速される結果、射出プランジャ16も減速される。
【0071】
図7(c)に示すように、高速工程から増圧工程に移行した状態では、絞り部材52は、作動部材50の押圧の際の慣性、及び油タンク55からの油圧により、収容部材51内を移動し、供給ポート51bと対向する位置には遮断部52bが位置することとなり、絞り部材52によって供給ポート51bが遮断される。そして、アキュムレータ22からの作動油の供給流路は遮断部52bによって遮断される。
【0072】
したがって、上記第2の実施形態によれば、第1の実施形態の(1)〜(3)と同様の効果に加え、以下のような効果を得ることができる。
(6)絞り部材52の軸方向に沿って絞り部52aに連続して遮断部52bを形成した。このため、増圧工程時に、型部Kからの反力が第1ロッド17aを介してピストン17cに作用しても、第1室17eとアキュムレータ22とを連通させる流路は、絞り部材52の遮断部52bによって遮断されている。このため、型部Kからの反力により、ピストン17cが移動することが防止できる。
【0073】
(7)収容部材51の第1作動室54a及び第2作動室54bに給排機構Rを接続した。そして、第2ロッド17dに連動した作動部材50により絞り部材52を押圧する際、給排機構Rから第1作動室54aへの作動油の供給により、絞り部材52の移動を補助することができる。その結果、絞り部材52を確実に移動させて絞り部52aにより、アキュムレータ22から供給される作動油量を絞ることができ、射出シリンダ17を確実に減速させることができる。
【0074】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 第1及び第2の実施形態において、絞り部材44又は絞り部材52を初期状態で型部K側に配置し、射出動作の開始時に、通路形成凹部44a又は絞り部52aが流路上に位置するように、絞り部材44,52を給排機構T,Rにより移動させる構成としてもよい。
【0075】
○ 第1の実施形態において、射出シリンダ17と収容部材42との間にバルブを設け、このバルブの開閉により射出シリンダ17の動作開始及び停止を制御してもよい。
○ 第2の実施形態において、アキュムレータ22と収容部材51との間にバルブを設け、このバルブの開閉により射出シリンダ17の動作開始及び停止を制御してもよい。
【0076】
○ 第1及び第2の実施形態において、第2ロッド17dに、第2ロッド17dと連結及び離脱可能な連結機構を設けてもよい。この場合、初期状態では第2ロッド17dと連結機構とを連結させておき、射出シリンダ17の動作開始時に第2ロッド17dを連結機構から離脱させることで射出シリンダ17の動作開始及び停止を制御することができる。
【0077】
○ 第2の実施形態において、給排機構Rは無くてもよい。
○ 第2の実施形態において、絞り部52aを、第1の実施形態のように深さの異なる凹部を連設して形成してもよい。
【0078】
○ 第1の実施形態において、絞り部を、第2の実施形態のように円弧状に形成してもよい。
○ 第1の実施形態では、絞り部材44を連動する前の位置に復帰させるため、コイルバネよりなる復帰部材45を採用したが、油圧回路を収容部材42に接続し、この油圧回路を用いた作動油の供給により絞り部材44を復帰させてもよい。
【0079】
○ 射出装置11は、樹脂材料をキャビティ14内に射出して樹脂成形品を製造する射出装置に適用してもよい。
○ パイロットロッド32aは、駆動用ナットN1に機械的に接続してもよく、又はパイロットロッド32aと駆動用ナットN1を一体部品としてもよい。
【符号の説明】
【0080】
G…減速機構、K…型部、T,R…給排機構、11…射出装置、17…射出シリンダ、17d…ロッドとしての第2ロッド、17f…作動室としての第2室、17g…排出用の流路としての排出ポート、22…蓄圧手段としてのアキュムレータ、41,50…作動部材、42,51…収容部材、51b…供給用の流路としての供給ポート、44,52…絞り部材、44b…絞り部としての絞り形成凹部、45…復帰手段としての復帰部材、52a…絞り部、52b…遮断部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非圧縮性流体の流体圧によって作動する射出シリンダにより成形材料を型部内に射出、充填する射出装置において、
前記射出シリンダの作動室に接続された前記流体圧の蓄圧手段と、
前記射出シリンダを減速させる減速機構と、
が設けられており、
前記減速機構が、
前記射出シリンダのロッドと一体移動する作動部材と、
前記射出シリンダに対する前記非圧縮性流体の供給用の流路又は排出用の流路に設けられるとともに、前記作動部材の移動に連動可能、かつ前記流路を可変に絞る絞り部材と、
前記絞り部材を移動可能に収容する収容部材と、
を有し、
前記流路には、前記収容部材の供給ポートが接続されるとともに、前記収容部材には前記供給ポートに連通する排出ポートが形成されており、
前記絞り部材には、前記供給ポートから前記排出ポートに向けた前記非圧縮性流体の流路を絞る絞り部が形成されていることを特徴とする射出装置。
【請求項2】
前記絞り部材には、前記流路を遮断する遮断部が形成されている請求項1に記載の射出装置。
【請求項3】
前記絞り部材は、前記作動部材と接触している状態で前記作動部材と連動可能であり、前記作動部材と連動される前の状態と、前記作動部材により連動された後の状態とを取り、前記収容部材には、前記絞り部材を連動する前の位置に復帰させる復帰手段が設けられている請求項1又は請求項2に記載の射出装置。
【請求項4】
前記収容部材には、前記絞り部材を移動させるための非圧縮性流体の給排を行う給排機構が接続されている請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の射出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−86398(P2013−86398A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230017(P2011−230017)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】