説明

導光シート及びこれを用いた可動接点体

【課題】主に各種電子機器の操作に使用される導光シート及びこれを用いた可動接点体に関し、光の混合や漏れを防ぎ、確実な操作が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】所定の凹凸状の発光部22の間に、片面に傾斜部24が形成された略帯状の切欠部23Aや23Bを設けると共に、この切欠部23Aや23B内に暗色の光吸収部25Aや25Bを形成することによって、切欠部23Aや23Bの幅寸法を小さく形成した場合にも、傾斜部24により印刷やインクの塗布等の安価な方法で、光吸収部25Aや25Bを容易に形成することができるため、複数の発光部22間の間隔を小さくし全体の小型化が図れると共に、光の混合や漏れを防ぎ、かつ可動接点6の反転動作を損なうことなく、確実な操作が可能な導光シート26、及びこれを用いた可動接点体29を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の操作に使用される導光シート及びこれを用いた可動接点体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、各種電子機器、特に携帯電話等の携帯端末機器においては、周囲が暗い場合でも、押釦や表示シート等の識別や操作が容易に行えるように、発光ダイオードやEL素子等を発光させて操作部の照光を行うものが増えており、これらの機器に用いられる可動接点体やスイッチにも、使い易く多様な照光を行えるものが求められている。
【0003】
このような従来の導光シートや可動接点体について、図7及び図8を用いて説明する。
【0004】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【0005】
図7は従来のスイッチの断面図、図8は同平面図であり、同図において、1は光透過性でフィルム状の基材で、この基材1下面の所定箇所には、凹凸状の複数の発光部2が設けられている。
【0006】
そして、これらの所定の発光部2の間には、例えば、発光部2Aと2B、2Cの間には、上下方向に貫通した略帯状で略L字状の切欠部1Aが、発光部2Aと2Dの間には略帯状で略矩形状の切欠部1Bが、各々設けられている。
【0007】
さらに、3Aや3Bは切欠部1Aや1B等よりもやや大きな外形形状の、フィルム状で黒色等の暗色のカバーシートで、これらが下面に塗布された接着剤(図示せず)によって、切欠部1Aや1B上面に各々貼付されると共に、中央部が切欠部1Aや1B内に押し込まれ埋設されて、導光シート4が形成されている。
【0008】
また、5はフィルム状のベースシート、6は略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点で、ベースシート5外周の所定箇所が、接着剤(図示せず)によって導光シート4下面に貼付されると共に、複数の可動接点6が発光部2下方のベースシート5下面に貼付されて、可動接点体7が構成されている。
【0009】
さらに、8は上下面に複数の配線パターン(図示せず)が形成された配線基板で、上面には略円形状の中央固定接点9Aと、これを囲む略馬蹄状または略リング状の外側固定接点9Bから形成された、複数の固定接点9が設けられている。
【0010】
そして、この配線基板8上面に可動接点体7が、各々の可動接点6の外周が外側固定接点9B上に載置され、可動接点6の下面中央が中央固定接点9Aと所定の間隙を空けて、対向するように貼付されている。
【0011】
また、10は発光ダイオード等の発光素子で、複数の発光素子10Aや10Bが導光シート4側方の配線基板8上面に実装され、基材1の端面に発光面を向けて配置されている。
【0012】
さらに、11は光透過性でフィルム状の表示シートで、下面に印刷等によって形成された遮光部11Aの所定箇所が、文字や記号等の形状にくり抜かれて複数の表示部11Bが形成され、この表示部11Bが導光シート4の発光部2上方に配置されて、スイッチが構成されている。
【0013】
そして、このように構成されたスイッチが、携帯電話等の電子機器の操作面に装着されると共に、複数の中央固定接点9Aや外側固定接点9B、複数の発光素子10が配線パターン等を介して、機器の電子回路(図示せず)に接続される。
【0014】
以上の構成において、表示シート11の所定の表示部11Bを下方へ押圧操作すると、導光シート4やベースシート5が撓んで可動接点6の略ドーム状の中央部が押圧され、所定の押圧力が加わると、可動接点6がクリック感を伴って下方へ弾性反転し、可動接点6の下面中央が中央固定接点9Aに接触することによって、中央固定接点9Aと外側固定接点9Bが、可動接点6を介して電気的に接続された状態となる。
【0015】
また、表示シート11への押圧力を解除すると、弾性復帰力によって可動接点6が上方へ弾性反転し、可動接点6の下面中央が中央固定接点9Aから離れて、中央固定接点9Aと外側固定接点9Bが電気的に切断された状態となる。
【0016】
そして、このような固定接点9の電気的接離に応じて、機器の様々な機能の切換えが行われると共に、機器の電子回路から発光素子10に電源が供給されると、複数の発光素子10Aや10Bが発光し、この光が端面から導光シート4内に入射して、基材1内を反射しながら内方へ進む。
【0017】
さらに、この光が基材1下面の複数の発光部2Aや2B等で拡散され反射して、これらの上方の表示シート11の表示部11Bを下方から照光し、複数の表示部11Bが照光されることによって、周囲が暗い場合でも、表示部11Bの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【0018】
つまり、表示シート11を押圧操作することによって導光シート4上面を押圧し、可動接点6を弾性反転させて固定接点9の電気的接離を行うと共に、発光素子10の光を端面から導光シート4内に導入し、複数の発光部2を発光させることによって、表示シート11の複数の表示部11Bを照光するように構成されている。
【0019】
また、複数の発光部2の間に切欠部1Aや1B等を設けると共に、この上面にカバーシート3Aや3B等を貼付し、これらの中央部を切欠部1Aや1B内に押し込み埋設することによって、例えば、発光素子10Aや10Bの発光色が異なる場合や、発光部2Aの箇所は消灯し、他の発光部2Bや2Cは点灯させた場合等に、これらの光がカバーシート3Aや3Bによって遮断されるように形成されている。
【0020】
すなわち、切欠部1Aや1B内に押し込み埋設された暗色のカバーシート3Aや3Bによって、発光色の異なる光が導光シート4内で混合され、複数の発光部2が混ざった発光色で照光されることや、消灯しているはずの発光部2Aが他の箇所を照光している光によって、うっすらとではあるが照光されることのないように構成されているものであった。
【0021】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2008−305655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、上記従来の可動接点体7やスイッチにおいては、切欠部1Aや1B内に、カバーシート3Aや3Bの中央部を押し込み埋設して貼付する必要があるため、製作に時間を要し手間がかかると共に、切欠部1Aや1B及びカバーシート3Aや3B等の幅を所定以上の幅寸法に形成する必要があり、複数の発光部2の間隔が大きな場合はよいが、例えば発光部2Bと2Cの間のように間隔が小さな場合には、カバーシート3Aや3B等が発光部2Bや2C等の可動接点6上に貼付され、これによって可動接点6の反転動作が損なわれてしまうため、全体の小型化を図ることも困難であるという課題があった。
【0023】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、光の混合や漏れを防ぎ、確実な操作が可能な導光シート及びこれを用いた可動接点体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0025】
本発明の請求項1に記載の発明は、所定の凹凸状の発光部の間に、片面に傾斜部が形成された略帯状の切欠部を設けると共に、この切欠部内に暗色の光吸収部を形成して導光シートを構成したものであり、切欠部の幅寸法を小さく形成した場合にも、この片面の傾斜部によって印刷やインクの塗布等の安価な方法で、切欠部内に光吸収部を容易に形成することができるため、複数の発光部間の間隔を小さくし全体の小型化が図れると共に、光吸収部によって光の混合や漏れを防ぎ、かつ可動接点の反転動作を損なうことなく、確実な操作が可能な導光シートを得ることができるという作用を有する。
【0026】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の導光シートの発光部下面に、略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を装着して可動接点体を構成したものであり、光の混合や漏れを防ぎ、確実な操作が可能なスイッチを実現することができるという作用を有する。
【発明の効果】
【0027】
以上のように本発明によれば、光の混合や漏れを防ぎ、確実な操作が可能な導光シート及びこれを用いた可動接点体を実現することができるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図6を用いて説明する。
【0029】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【0030】
また、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0031】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による可動接点体の断面図、図2は同平面図であり、同図において、21はフィルム状でポリウレタンやシリコーン、スチレン等の可撓性を有する光透過性の基材で、この基材21下面の所定箇所には、凹凸状でポリエステルやエポキシ等の白色や乳白色等の複数の発光部22が、印刷等によってドット状に形成されている。
【0032】
そして、これらの所定の発光部22の間には、例えば、発光部22Aと22B、22Cの間には、上下方向に貫通した略帯状で略L字状の切欠部23Aが、発光部22Aと22Dの間には略帯状で略矩形状の切欠部23Bが各々設けられると共に、この切欠部23Aや23Bの下面には、略円弧状の傾斜部24が各々形成されている。
【0033】
さらに、切欠部23Aや23B内には印刷等によって、カーボン等を分散したポリエステルやエポキシ等の、黒色や濃グレー色等の暗色の光吸収部25Aや25Bが形成されて、導光シート26が構成されている。
【0034】
また、5はフィルム状のベースシート、6は略ドーム状で銅合金や鋼等の導電金属薄板製の可動接点で、ベースシート5外周の所定箇所が、アクリルやシリコーン等の接着剤27によって導光シート26下面に貼付されると共に、複数の可動接点6が発光部22下方のベースシート5下面に貼付されている。
【0035】
さらに、28はポリエチレンテレフタレート等のフィルム状のセパレータで、このセパレータ28がベースシート5下面全面を覆うように貼付され、保管・搬送時に可動接点6下面に塵埃等が付着しないようにして、可動接点体29が構成されている。
【0036】
また、このように切欠部23Aや23Bの片面に傾斜部24が形成された導光シート26や、可動接点体29を製作するには、先ず、図3(a)の断面図に示すように、下面にポリエチレンテレフタレート等のフィルム状のセパレータ28Aが貼付された厚さ200μm前後の基材21に、上方からYAGレーザ等のレーザを照射し、レーザまたは基材21を移動して、幅0.1〜0.3mm前後の略帯状の切欠部23Aを形成する。
【0037】
なお、この時、このレーザ加工の熱によって切欠部23A両端上面の角が溶融し、上面の幅が0.5〜0.8mm前後となった略円弧状の傾斜部24が、切欠部23A両端上面に形成される。
【0038】
つまり、レーザ加工によって基材21に切欠部23Aを形成することで、他のプレス加工等に比べ、幅寸法の小さな略帯状の切欠部23Aを容易に形成することができると共に、この切欠部23A上面に略円弧状の傾斜部24を同時に形成できるようになっている。
【0039】
そして、次に、図3(b)に示すように、各々の材料に溶剤が添加されたインクを用いスクリーン印刷によって、切欠部23A左右の基材21上面に発光部22Aや22Bを、切欠部23A上面に暗色の光吸収部25Aを、基材21上面に接着剤27を各々形成する。
【0040】
なお、この時、切欠部23Aの幅寸法が小さいため、印刷直後は光吸収部25A下面と切欠部23Aの間には空隙が生じているが、切欠部23A両端上面には傾斜部24が形成されているため、この後の乾燥等を行うまでの間には、図3(c)に示すように、切欠部23A内に光吸収部25Aが充填されて、導光シート26が製作される。
【0041】
すなわち、切欠部23A上面に傾斜部24を設けることによって、切欠部23Aの幅寸法を小さくした場合でも、この切欠部23A内に暗色の光吸収部25Aを充填して形成することが可能なように構成されている。
【0042】
さらに、この後、図3(d)に示すように、セパレータ28Aを剥離した導光シート26を上下逆に反転し、これを下面に複数の可動接点6が貼付されたベースシート5上面に、接着剤27によって重ねて貼付して、図1に示したような可動接点体29が完成する。
【0043】
また、図4はこのような可動接点体29を用いたスイッチの断面図であり、同図において、8はポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等のフィルム状、または紙フェノールやガラス入りエポキシ等の板状の配線基板で、上下面に銅等によって複数の配線パターン(図示せず)が形成されると共に、上面には銅やカーボン等によって、略円形状の中央固定接点9Aと、これを囲む略馬蹄状または略リング状の外側固定接点9Bから形成された、複数の固定接点9が設けられている。
【0044】
そして、この配線基板8上面にセパレータ28を剥離した可動接点体29が、各々の可動接点6の外周が外側固定接点9B上に載置され、可動接点6の下面中央が中央固定接点9Aと所定の間隙を空けて、対向するように貼付されている。
【0045】
また、10は発光ダイオード等の発光素子で、複数の発光素子10が導光シート26側方の配線基板8上面に実装され、例えば図2に示すように、発光素子10Aが発光部22Aの上側方、発光素子10Bが発光部22Bの右側方に、基材21端面に発光面を向けて配置されている。
【0046】
さらに、11は光透過性でフィルム状の表示シートで、下面に印刷等によって形成された遮光部11Aの所定箇所が、文字や記号等の形状にくり抜かれて複数の表示部11Bが形成され、この表示部11Bが導光シート26の発光部22上方に配置されて、スイッチが構成されている。
【0047】
そして、このように構成されたスイッチが、携帯電話等の電子機器の操作面に装着されると共に、複数の中央固定接点9Aや外側固定接点9B、複数の発光素子10が配線パターン等を介して、機器の電子回路(図示せず)に接続される。
【0048】
以上の構成において、表示シート11の所定の表示部11Bを下方へ押圧操作すると、導光シート26やベースシート5が撓んで可動接点6の略ドーム状の中央部が押圧され、所定の押圧力が加わると、可動接点6がクリック感を伴って下方へ弾性反転し、可動接点6の下面中央が中央固定接点9Aに接触することによって、中央固定接点9Aと外側固定接点9Bが、可動接点6を介して電気的に接続された状態となる。
【0049】
また、表示シート11への押圧力を解除すると、弾性復帰力によって可動接点6が上方へ弾性反転し、可動接点6の下面中央が中央固定接点9Aから離れて、中央固定接点9Aと外側固定接点9Bが電気的に切断された状態となる。
【0050】
そして、このような固定接点9の電気的接離に応じて、機器の様々な機能の切換えが行われると共に、機器の電子回路から発光素子10に電源が供給されると、複数の発光素子10Aや10Bが発光し、この光が端面から導光シート26内に入射して、基材21内を反射しながら内方へ進む。
【0051】
さらに、この光が基材21下面の複数の発光部22Aや22B等で拡散され反射して、これらの上方の表示シート11の表示部11Bを下方から照光し、複数の表示部11Bが照光されることによって、周囲が暗い場合でも、表示部11Bの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【0052】
つまり、表示シート11を押圧操作することによって導光シート26上面を押圧し、可動接点6を弾性反転させて固定接点9の電気的接離を行うと共に、発光素子10の光を端面から導光シート26内に導入し、複数の発光部22を発光させることによって、表示シート11の複数の表示部11Bを照光するように構成されている。
【0053】
また、このような照光を行う際、複数の発光部22の間に、下面に傾斜部24が形成された切欠部23Aや23B等を設けると共に、この切欠部23Aや23B内に暗色の光吸収部25Aや25Bを形成することによって、例えば、発光素子10Aや10Bの発光色が異なる場合や、発光部22Aの箇所は消灯し、他の発光部22Bや22Cは点灯させた場合等に、これらの光が混合されたり、他の発光部へ漏れたりしないように形成されている。
【0054】
すなわち、例えば図2において、発光素子10Aの発光色が橙色、発光素子10Bの発光色が緑色であった場合には、発光素子10Aの光が入射する発光部22Aは橙色に発光して、この上方の表示部11Bは橙色に照光され、発光素子10Bの光が入射する発光部22Bは緑色に発光する。
【0055】
そして、この時、発光部22Aと22Bの間には略L字状の切欠部23Aが設けられると共に、この切欠部23A内には暗色の光吸収部25Aが形成されているため、この橙色の光と緑色の光が導光シート26内で混合されることがないようになっている。
【0056】
つまり、発光部22Aや22Bから切欠部23Aに出射した、発光素子10Aや10Bの橙色や緑色の光は、切欠部23A内に形成された光吸収部25Aによって各々吸収され、発光素子10Aの光が発光部22Bや22Dへ、発光素子10Bの光が発光部22Aや22Cへは出射しないようになっているため、これらの複数の発光部22が、橙色や緑色の光が混ざった発光色で照光されることのないように構成されている。
【0057】
あるいは、例えば発光素子10Aは消灯し、発光素子10Bのみが点灯している場合でも、発光素子10Bによって発光部22Bは緑色に発光するが、この光は光吸収部25Aによって吸収され遮断されるため、この発光素子10Bの光によって、消灯している発光部22Aや22Cが薄明るく発光することのないようになっている。
【0058】
すなわち、複数の発光部22の間の、略帯状の切欠部23Aや23B内に形成された暗色の光吸収部25Aや25Bによって、切欠部23Aや23Bに出射した発光素子10Aや10Bの光は吸収されて遮断され、他の発光部22へは入射しないため、複数の発光部22の光の混合や漏れを防止し、見易く多様な照光が行えるように構成されている。
【0059】
また、これらの切欠部23Aや23Bは、上述したようにレーザ加工によって幅寸法が小さく形成されているため、例えば発光部22Bと22Cの間のように間隔が小さな箇所にでも形成が可能であり、複数の発光部22間の間隔を小さくし全体の小型化が図れると共に、各発光部22下面の可動接点6の反転動作を損なうこともないため、確実な操作を行うことも可能なように形成されている。
【0060】
さらに、レーザ加工によって切欠部23Aや23B片面に、略円弧状の傾斜部24を設けることによって、切欠部23Aや23Bの幅寸法を小さくした場合でも、スクリーン印刷等の安価な方法で、これらに暗色の光吸収部25Aを容易に充填して形成することができるようになっている。
【0061】
なお、以上の説明では、切欠部23Aや23B片面に、スクリーン印刷によって光吸収部25Aを形成した構成について説明したが、図5の断面図に示すように、インクジェット等の他の方法によっても、光吸収部25Aの形成は可能である。
【0062】
つまり、先ず、図5(a)に示すように、下面にフィルム状のセパレータ28Aが貼付された基材21に、上方からレーザを照射し、レーザまたは基材21を移動して、略帯状の切欠部23Aを形成する。
【0063】
なお、この時、このレーザ加工の熱によって切欠部23A両端上面の角が溶融し、上述した場合と同様に、基材21上面に略円弧状の傾斜部24が形成される。
【0064】
そして、次に、図5(b)に示すように、セパレータ28Aを剥離した基材21下面に、発光部22Aや22B、接着剤27を各々印刷形成した後、この導光シート26を、図5(c)に示すように、下面に複数の可動接点6が貼付されたベースシート5上面に、接着剤27によって重ねて貼付する。
【0065】
さらに、この後、図5(d)に示すように、インクジェットによってインクを切欠部23Aに塗布して、切欠部23A内に光吸収部25Aを充填し、乾燥させて可動接点体が完成する。
【0066】
あるいは、図6(a)の断面図に示すように、先ず、上下面にフィルム状のセパレータ28Bと28Aが貼付された基材21に、上方からレーザを照射し、レーザまたは基材21を移動して、略帯状の切欠部23Aを形成する。
【0067】
なお、この時、このレーザ加工の熱によって切欠部23A両端上面の角が溶融し、セパレータ28Bと基材21上面に略円弧状の傾斜部24が形成される。
【0068】
そして、次に、図6(b)に示すように、セパレータ28Aを剥離した基材21下面に、発光部22Aや22B、接着剤27を各々印刷形成した後、この導光シート26を、図6(c)に示すように、下面に複数の可動接点6が貼付されたベースシート5上面に、接着剤27によって重ねて貼付する。
【0069】
さらに、この後、インクジェットによってインクを切欠部23Aに塗布して、切欠部23A内に光吸収部25Aを充填した後、図6(d)に示すように、セパレータ28Bを剥離して、切欠部23A内にのみ光吸収部25Aが形成された可動接点体が完成する。
【0070】
つまり、切欠部23A上面に傾斜部24を形成すると共に、上記のようにインクジェットによって光吸収部25Aを塗布形成することによって、より簡易に切欠部23A内に暗色の光吸収部25Aを形成することができる。
【0071】
このように本実施の形態によれば、所定の凹凸状の発光部22の間に、片面に傾斜部24が形成された略帯状の切欠部23Aや23Bを設けると共に、この切欠部23Aや23B内に暗色の光吸収部25Aや25Bを形成することによって、切欠部23Aや23Bの幅寸法を小さく形成した場合にも、傾斜部24により印刷やインクの塗布等の安価な方法で、切欠部23Aや23B内に光吸収部25Aや25Bを容易に形成することができるため、複数の発光部22間の間隔を小さくし全体の小型化が図れると共に、光吸収部25Aや25Bによって光の混合や漏れを防ぎ、かつ可動接点6の反転動作を損なうことなく、確実な操作が可能な導光シート26、及びこれを用いた可動接点体29を得ることができるものである。
【0072】
なお、以上の説明では、可動接点6上方の導光シート26の基材21下面に、印刷によって複数の発光部22を形成した構成について説明したが、下面ではなく基材21上面に発光部22を形成した構成としても本発明の実施は可能であり、また、印刷以外にも貼付やレーザ加工、プレス加工、成形加工等、様々な方法によって発光部22の形成は可能である。
【0073】
また、以上の説明では、下面に複数の可動接点6が貼付されたベースシート5を、導光シート26の下面に貼付した構成について説明したが、ベースシート5をなくし、導光シート26の下面に複数の可動接点6を直接貼付した構成とすれば、全体の構成部品数を減らし、可動接点体29をさらに簡易で安価なものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明による導光シート及びこれを用いた可動接点体は、光の混合や漏れを防ぎ、確実な操作が可能なものが得られ、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の一実施の形態による可動接点体の断面図
【図2】同平面図
【図3】同断面図
【図4】同スイッチの断面図
【図5】同他の実施の形態による断面図
【図6】同断面図
【図7】従来のスイッチの断面図
【図8】同平面図
【符号の説明】
【0076】
5 ベースシート
6 可動接点
8 配線基板
9 固定接点
9A 中央固定接点
9B 外側固定接点
10、10A、10B 発光素子
11 表示シート
11A 遮光部
11B 表示部
21 基材
22、22A、22B、22C、22D 発光部
23A、23B 切欠部
24 傾斜部
25A、25B 光吸収部
26 導光シート
27 接着剤
28、28A、28B セパレータ
29 可動接点体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム状の基材と、この基材の上面または下面に形成された凹凸状の複数の発光部からなり、所定の上記発光部の間に片面に傾斜部が形成された略帯状の切欠部を設けると共に、この切欠部内に暗色の光吸収部を形成した導光シート。
【請求項2】
請求項1記載の導光シートの発光部下面に、略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を装着した可動接点体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−212123(P2010−212123A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57689(P2009−57689)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】