説明

導波路、マイクロプリズムおよび微小機械光変調器を含むディスプレイ

【課題】導波路、マイクロプリズムおよび微小機械光変調器を含むディスプレイを提供する。
【解決手段】光を生成するための光源25と、光を受け取り、かつ、内部全反射によって光が伝搬する方向に一様に分散させるための光導波路21と、光導波路の下部表面の反対側に傾斜した光射出ファセットとを備えた、間隔を隔てた複数のマイクロプリズム32と、間隔を隔てたマイクロプリズムどうしの間に配置された、複数の傾斜光変調器とを備え、マイクロプリズムの個々の光射出ファセットから射出する光線の大部分が、個々の傾斜光変調器が第1の位置に位置している場合には観察者に向かって導かれ、あるいは個々の傾斜光変調器が第2の位置に位置している場合には光吸収体に吸収されるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互関連出願の参照)
2007年12月19日に出願された米国特許出願公開第12/004115号明細書、2009年8月13日に出願された米国特許出願公開第12/583156号明細書、2010年5月28日に出願された米国特許出願公開第12/802037号明細書、2008年12月18日に出願された国際公開第2008/087471号パンフレットが、参考文献として本明細書に包含されている。
【0002】
(技術分野)
本発明は一般にディスプレイに関する。より詳細には、本発明は、光導波路、光源および複数の電気機械画素を備えたディスプレイに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、液晶ディスプレイは、フラットパネルディスプレイ市場を支配している。従来技術による液晶ディスプレイは、通常、照明のためのバックライトアセンブリ、光偏光子、カラーフィルタおよび中性密度フィルタ、ならびに薄膜トランジスタバックプレーンを備えた能動マトリックス液晶層を備えている。従来技術による典型的な液晶ディスプレイ(LCD)の総合光効率は、主として、バックライトアセンブリからの光を偏光子、カラーフィルタおよび中性密度フィルタのいくつかの層を通過させなければならないため、10%未満である。LCDが抱えている他の問題は、液晶の応答時間が遅く、そのために動画像を表示する際に好ましくない可視動アーチファクトが生じることである。
【0004】
最近、LCDに対する有効な代替として、光導波路に基づく微小機械フラットパネルディスプレイが提案された。これらのディスプレイは、典型的には、電気的に駆動される微小機械画素のマトリックスがその上に構築される平行な表面を備えたプレーナ型導波路からなっている。光源からの光は、導波路の1つまたは複数の側面から導波路に導入され、内部全反射によって導波路内に拘束される。光は、エバネッセント波に結合させることによって、あるいはプレーナ型導波路の表面を変形させることによって導波路の平らな表面から抽出され、それにより画像が生成される。画像を表示するために画素を同時に活性化させる際の固有の光漏話問題が存在している。1つの画素の状態によって他の画素の輝度が変化する。光漏話問題に対する解決法の1つは、画素を連続的に活性化させることである。そのためには極めて高速の微小機械アクチュエータが必要であるが、光効率が著しく低下することになる。カラー画像またはグレースケール画像を表示することは、一般的には実際的ではない。もう1つの共通の問題は、光の方向を観察者に向けて変えるためにミラー表面を使用することに関連している。同じミラー表面によって周辺光が反射して観察者に向かって戻るため、周辺光のレベルが高い場合、コントラストが著しく低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の第1の目的は、光導波路をベースとする従来技術によるディスプレイに典型的に見られる光漏話問題を効果的に解決するディスプレイを提供することである。本発明の第2の目的は、高いレベルの周辺光で動作するハイコントラスト文字ディスプレイを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態では、第1の目的は、光源と、光導波路とを備えたディスプレイを提供することによって達成される。光導波路は、複数の光出口に光を分散させる。個々の光出口で、画素は、光を観察者または光吸収体に選択的に導くことによって光を変調する。
【0007】
本発明の実施形態によれば、第2の目的は、観察表面の大部分が光吸収コーティングで被覆されたディスプレイを提供することによって達成される。
【0008】
本発明の第2の目的は、光効率、画像品質およびコストの点でLCDと比肩し得るディスプレイを提供することである。光が内部全反射によって光路の大部分を移動するディスプレイを提供することによって高い光効率が達成され、また、高度に反射性のマイクロミラーからの反射がより少なくてすむようにすることによって光が変調される。高速で有効な光変調器を提供することによって、改善された画像品質が達成される。
【0009】
本発明の第1の目的ならびに第2の目的は、添付の図面に示され、かつ以降の本明細書に記載されている新規なディスプレイによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のディスプレイの概略斜視図である。
【図2】図1の線2−2に沿って取った横断面図である。
【図3】図2の3−3で示されている領域の拡大図である。
【図4】本発明のディスプレイの一代替形態の概略横断面図である。
【図5】図4の5−5で示されている領域の拡大図である。
【図6】本発明のディスプレイの一代替形態の概略斜視図である。
【図7】図6の線6−6に沿って取った横断面図である。
【図8】図7の8−8で示されている領域の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面、とりわけ図1および2を参照すると、本発明のディスプレイの一形成が一括して数表示20で示されている。図1に最も良好に示されているように、ディスプレイ20には、ここでは、概ね長方形の形をした、断面が実質的にくさび形である光導波路21が含まれている。導波路21は、好ましいことには、値が約1.45と約1.6の間である屈折率n1を有するアクリル材料または他の光学的に透明な材料から構築されており、かつ、平行な側表面28および29によって結合された平行な第1および第2の末端表面26および27を備えている(図1参照)。また、導波路21には、主上部表面30および上部表面30と共に収斂する下部表面31が含まれている。図1に概略的に示されている下部表面31は、平らな表面であり、上部表面30との間に、値が約0.1度と約2.0度の間である角度22を形成している(図2)。また、下部表面31は、導波路21の上部表面30との間に可変角度を形成する湾曲した表面であってもよく、あるいは表示光の一様性を制御するための複数の階段状ファセットを含むことも可能である。上部表面30には複数の実質的に等しく間隔を隔てたマイクロプリズム32が構築されており、図1に概略的に示されているように側表面28と29の間に延在している。マイクロプリズム32は、リソグラフィを使用して、値が約1.45と約1.6の間である屈折率n2を有するUV硬化ポリマーから成形し、あるいは構築することができる。LED光源25は、導波路21の幅の広い方の縁26の近傍に設置されており、また、複数の傾斜マイクロミラー33は、マイクロプリズム32どうしの間に構築されている。図2には、1列の傾斜マイクロミラーが33a、33bおよび33cで示されている。また、図1には、カバーアセンブリ34の断面が示されている。カバーアセンブリ34のより詳細な構造が図3に示されている。
【0012】
次に図面の図3を参照すると、多層オプティカルコーティングがより詳細に示されている。第1の層は、金属または多層誘電材料を使用して導波路21の上部表面30に構築された光反射層35である。光反射層35は、複数の光反射領域36および光透過領域37が形成されるようにパターン化されている。第2の光学層は、値が約1.3と約1.4の間である屈折率n3を有するフッ素樹脂または他の実質的に透明な材料から形成された光透過層39である。光透過層39は、図3に示されているように、導波路21の上部表面30の光透過領域37にのみ形成されている。また、光透過層39は、光反射層35と導波路21の上部表面30の間に形成された連続層であってもよい。第3の光学層は、光反射層35の上に形成された光吸収層40であり、この光吸収層40は、光反射層35を部分的に覆うようにパターン化されている。光反射層35の上部表面には、光吸収層40の代わりにブラックオキサイド層を形成することも可能である。
【0013】
図3にはさらにマイクロプリズム32が示されている。個々のマイクロプリズム32は、光透過層39を介して導波路21の上部表面30に光結合された光入射ファセット41、および導波路21の上部表面30に対して傾斜し、導波路21の上部表面30との間に、値が約45度と約65度の間である角度23を形成している光射出ファセット42を備えている。マイクロプリズム32の第3のファセット43の上には反射ミラー膜が堆積し、光反射ファセット47を形成している。この光反射ファセット47は、同じく導波路21の上部表面30に対して傾斜しており、導波路21の上部表面30との間に、値が約30度と約50度の間である角度24を形成している。
【0014】
また、図3には、本発明のこの形態のマイクロミラーの各々の構造を代表している複数の傾斜マイクロミラー33bのうちの1つが示されている。マイクロミラー33bは、薄いアルミニウム合金弾性膜を備えており、この薄いアルミニウム合金弾性膜は、マイクロプリズム32の光射出ファセット42の上部部分に貼り付けられており、導波路21の上部表面30に対して実質的に平行の軸50の周りで2つの方向に傾斜している。
【0015】
図3には、さらに、マイクロプリズム32の上部ファセットに貼り付けられたカバーアセンブリ34が示されている。カバーアセンブリ34は、ガラスまたは他の実質的に透明な材料でできた基板44を備えている。基板44の下部表面46には、導電性光吸収膜でできた、あるいは導体層を含む多層膜でできた光吸収層51が構築されている。光吸収層51は、マイクロミラー33の真上に配置された複数の光吸収領域49および表示光射出領域48が形成されるようにパターン化されている。カバーアセンブリ34には、さらに、基板44の上部表面45に形成された光整形拡散板52が含まれている。
【0016】
周辺光を吸収するために、マイクロミラー33の上部表面にブラックオキサイド層を形成することができ、また、パターン化された光吸収層51を透明な導体に置き換えることができる。そのようにすることにより、パターン化された光吸収層51とマイクロミラー33を整列させる要求事項が除去される。
【0017】
本発明のこの形態では、傾斜マイクロミラー33は静電引力によって動作している。導電性光反射層35および導電性光吸収層51は、傾斜マイクロミラー33のための固定電極として作用している。
【0018】
導電性光反射層35とマイクロミラー33の間に適切な電圧が印加されると、マイクロミラーは、静電引力によって下に向かって傾斜する。導電性光吸収層51とマイクロミラー33の間に適切な電圧が印加されると、マイクロミラーは、静電引力によって上に向かって傾斜する。
【0019】
マイクロミラーのスティクションを防止するためには、マイクロミラーの縁とランディング表面の間に微小ギャップ58(図2)が必要である。この微小ギャップ58は、ランディング表面に微小スペーサを構築するか、あるいはマイクロミラーの縁全体がランディング表面に接触しないよう、マイクロミラーの微小部分を縁に沿って延在させることによって実現することができる。
【0020】
図面の図2に最も良好に示されているように、導波路21の幅の広い方の縁26から入射した光線55は、内部全反射によって上部表面30および下部表面31で反射し、上部表面30に対する法線に向かって角度が変化する。光線55は、入射角が導波路21の屈折率n1および光透過層39の屈折率n3によって画定される臨界角38未満になると、光透過領域37を通って導波路21から射出する(図3)。光透過層39を通過した光線は、光入射ファセット41からマイクロプリズム32に入射し、マイクロプリズムの屈折率n2によって画定される角度が変化する。光線は、光射出ファセット42を通ってマイクロプリズムから射出する。
【0021】
光線は、傾斜マイクロミラーの位置に応じて吸収され、あるいは観察者に向かって導かれる。傾斜マイクロミラーがマイクロミラー33b(図2)のようにアップ位置に位置している場合、マイクロプリズム32の光射出ファセット42から射出した光線の大部分は、マイクロミラーの下部表面で反射し、光反射ファセット47で反射して観察者に向かって導かれる。マイクロミラーがマイクロミラー33aおよび33cのように下に向かって傾斜すると、マイクロプリズム32の光射出ファセット42から射出した光線の大部分は、マイクロミラーの下部表面で反射し、光吸収層40で吸収される。
【0022】
マイクロミラーがダウン位置に傾斜している場合に、ギャップ58からの光の漏れを防止するために、ディスプレイ20は、光線がマイクロプリズム32の光射出ファセット42から射出することができる、導波路21の上部表面30に対する最小角度を制限している。この最小角度は、屈折率n1、n2、n3および角度23によって画定される。
【0023】
次に図面の図4を参照すると、本発明のディスプレイの他の実施形態の横断面図が数表示70で一括して示されている。この最後の実施形態は、いくつかの点で図面の図1および2に示されている実施形態に類似しており、同様のコンポーネントを識別するために図4には同様の番号が使用されている。
【0024】
ディスプレイ70はフルカラーディスプレイであり、個々の画素が、赤、緑および青のサブピクセルからなっており、また、白色光源から、あるいは導波路21内で混合されるRGB光源からRGBカラーを分離するための二色性フィルタが個々の画素に含まれている。
【0025】
ディスプレイ70には、光導波路21および導波路21の幅の広い方の縁26の近傍に設置されたLED光源25が含まれている。また、ディスプレイ70には、値が約1.45と約1.6の間である屈折率n4を有するガラスなどの実質的に透明な材料から構築された基板72が含まれている。基板72の下部表面74は、値が約1.3と約1.4の間である屈折率n3を有する実質的に透明な材料から形成された光学層71を介して導波路21の上部表面30に光結合されている。
【0026】
複数の等しく間隔を隔てたマイクロプリズム32は、基板72の上部表面73に構築されており、また、傾斜マイクロミラー33は、マイクロプリズム32どうしの間に構築されている。この場合も、カバーアセンブリ34は、マイクロプリズム32の上部ファセットに貼り付けられている。
【0027】
次に図面の図5を参照すると、多層オプティカルコーティングがより詳細に示されている。第1の光学層は、基板72の上部表面73に形成された二色性フィルタ75である。第2の光学層は、二色性フィルタ75の上に構築された金属製の光反射層35である。光反射層35は、複数の光反射領域36および光透過領域37が形成されるようにパターン化されている。第3の光学層は、光反射層35の上に形成された光吸収層40であり、この光吸収層40は、光反射層35を部分的に覆うようにパターン化されている。
【0028】
また、図5にはマイクロプリズム32が示されている。個々のマイクロプリズム32は、二色性フィルタ75を介して導波路21の上部表面30に光結合された光入射ファセット41、基板72および光学層71を備えている。また、個々のマイクロプリズム32には光射出ファセット42が含まれており、また、マイクロプリズム32の第3のファセット43の上にはミラー膜が堆積し、光反射ファセット47を形成している。
【0029】
また、図5には、図3に関連して上で説明した複数のマイクロミラー33のうちの1つおよびカバーアセンブリ34が示されている。
【0030】
図面の図4に最も良好に示されているように、導波路21の幅の広い方の縁26から入射した光線55は、内部全反射によって上部表面30および下部表面31で反射し、上部表面30に対する法線に向かって角度が変化する。光線55は、入射角が導波路21の屈折率n1および光透過層71の屈折率n3によって画定される臨界角38未満になると、上部表面30を通って導波路21から射出し、かつ、光透過層71を通って基板72に入射する(図5)。二色性フィルタは、光透過領域37のRGBカラーをマイクロプリズム32中に選択的に通過させる。また、光は、光射出ファセット42を通ってマイクロプリズム32から射出する。この場合も、光線は、傾斜マイクロミラーの位置に応じて吸収され、あるいは観察者に向かって導かれる。
【0031】
次に図面の図6、7および8を参照すると、本発明のディスプレイの他の実施形態が一括して数表示80で示されている。
【0032】
この場合も、ディスプレイ80には、光導波路21、導波路21の幅の広い方の縁26の近傍に設置された光源25が含まれており、また、マイクロプリズム32は上部表面30に構築されており、図6に概略的に示されているように導波路21の側表面28と29の間に延在している。ディスプレイ80には、さらに、マイクロプリズム32とマイクロプリズム32の間に構築された複数の傾斜マイクロシャッタ81が含まれている。図7には、1列の傾斜マイクロシャッタが81a、81bおよび81cで示されている。また、図6には、カバーアセンブリ84の断面が示されている。カバーアセンブリ84のより詳細な構造が図8に示されている。
【0033】
次に図面の図8を参照すると、多層オプティカルコーティングがより詳細に示されている。第1の層は、金属または多層誘電材料を使用して導波路21の上部表面30に構築された光反射層35である。光反射層35は、複数の光反射領域36および光透過領域37が形成されるようにパターン化されている。第2の光学層は、値が約1.3と約1.4の間である屈折率n3を有するフッ素樹脂または他の実質的に透明な材料から形成された光透過層39である。光透過層39は、図8に示されているように、導波路21の上部表面30の光透過領域37にのみ形成されている。また、光透過層39は、光反射層35と導波路21の上部表面30の間に形成された連続層であってもよい。第3の光学層は、光反射層35の上の誘電材料から形成された光吸収層82であり、この光吸収層82は、光反射層35を部分的に覆うようにパターン化されている。光反射層35の上部表面には、光吸収層82の代わりにブラックオキサイド層を形成することも可能である。また、光吸収層82を光吸収膜に置き換え、導波路21の下部表面31の下方に配置することも可能である。
【0034】
図8にはさらにマイクロプリズム32が示されている。個々のマイクロプリズム32は、光透過層39を介して導波路21の上部表面30に光結合された光入射ファセット41、および導波路21の上部表面30に対して傾斜し、導波路21の上部表面30との間に、値が約45度と約65度の間である角度23を形成している光射出ファセット42を備えている。マイクロプリズム32には、さらに、光射出ファセット42の反対側に傾斜したファセット43、および光入射ファセット41に対して概ね平行の上部ファセット47が含まれている。
【0035】
また、図8には、本発明のこの形態のマイクロシャッタの各々の構造を代表している複数の傾斜マイクロシャッタ81bのうちの1つが示されている。マイクロシャッタ81bは、薄いアルミニウム合金弾性膜を備えており、この薄いアルミニウム合金弾性膜は、マイクロプリズム32の上部ファセット47に貼り付けられており、導波路21の上部表面30に対して実質的に平行の軸85の周りで2つの方向に傾斜している。光を吸収するために、マイクロシャッタ81の表面にブラックオキサイド層またはブラックポリマー膜を形成することができる。
【0036】
図8には、さらに、スペーサ83(図7参照)を使用して導波路21の上部表面30に貼り付けられたカバーアセンブリ84が示されている。カバーアセンブリ84の構造は、上で説明したカバーアセンブリ34の構造と同様である。
【0037】
本発明のこの形態では、傾斜マイクロシャッタ81は静電引力によって動作している。導電性光反射層35および導電性光吸収層51は、傾斜マイクロシャッタ81のための固定電極として作用している。
【0038】
導電性光反射層35とマイクロシャッタ81の間に適切な電圧が印加されると、マイクロシャッタは、静電引力によって下に向かって傾斜する。導電性光吸収層51とマイクロシャッタ81の間に適切な電圧が印加されると、マイクロシャッタは、静電引力によって上に向かって傾斜する。
【0039】
マイクロシャッタのスティクションを防止するためには、マイクロシャッタの縁とランディング表面の間に微小ギャップが必要である。この微小ギャップは、摩擦が小さい材料でできた微小スペーサをランディング表面に構築するか、あるいはマイクロシャッタの縁全体がランディング表面に接触しないよう、マイクロシャッタの微小部分を縁に沿って延在させることによって実現することができる。さらに、マイクロシャッタの上のブラックポリマーコーティングを非粘着材料から形成することも可能である。
【0040】
図面の図7に最も良好に示されているように、導波路21の幅の広い方の縁26から入射した光線55は、内部全反射によって上部表面30および下部表面31で反射し、上部表面30に対する法線に向かって角度が変化する。光線55は、入射角が導波路21の屈折率n1および光透過層39の屈折率n3によって画定される臨界角38未満になると、光透過領域37を通って導波路21から射出する(図8)。光透過層39を通過した光線は、光入射ファセット41からマイクロプリズム32に入射し、マイクロプリズムの屈折率n2によって画定される角度が変化する。光線は、光射出ファセット42を通ってマイクロプリズムから射出する。
【0041】
光線は、傾斜マイクロシャッタの位置に応じて吸収され、あるいは観察者に向かって導かれる。
【0042】
傾斜マイクロシャッタがマイクロシャッタ81b(図7)のようにアップ位置に位置している場合、マイクロプリズム32の光射出ファセット42から射出した光線の大部分は、マイクロシャッタ81の光吸収体コーティングに吸収される。マイクロシャッタ81の下部表面で反射した光は、すべて、光吸収層40に吸収されることになる。
【0043】
マイクロシャッタがマイクロシャッタ81aおよび81cのように下に向かって傾斜すると、マイクロプリズム32の光射出ファセット42から射出した光線の大部分は、表示光射出領域48を通ってディスプレイ80から射出し、観察者に向かって導かれる。
【0044】
上で説明したディスプレイは、赤外光源、可視光源および紫外光源、ならびにそれらの組合せで動作する。
【0045】
ディスプレイパネルの個々の画素は、ディスプレイのサイズおよび解像度に応じていくつかの傾斜光変調器を含むことができる。個々の光変調器のサイズが小さいため、必要な静電駆動電圧を低くすることができる。
【0046】
また、画素毎の光変調器をグループ化することも可能であり、固定電極と選択されたグループの光変調器の間に適切な電圧を印加することにより、異なるレベルの光を変調することができる。これによって、ディスプレイのアドレス指定制約が緩和される。例えば、個々の画素は、1つ、2つおよび4つの数量にグループ化された7つの光変調器を含むことができ、これらを選択的にアドレス指定して8つのレベルの光を変調することができる。さらに、パルス幅変調ディスプレイに固有の一時的アーチファクトが抑制される。
【0047】
効率を改善し、かつ、光の散乱を抑制するために、2つの異なる材料の間を光が透過する表面に様々な無反射コーティングを加えることができる。
【0048】
青色のための低域通過フィルタおよび赤色のための高域通過フィルタを備えた二色性層を重畳するように光反射領域36に形成することができる。
【0049】
マイクロミラーの製造を単純化するために、マイクロプリズムを下部セクションおよび上部セクションに分割することができ、また、マイクロプリズムの下部セクションが形成された後の平らな表面にマイクロミラーを形成することができる。
【0050】
以上、本発明について、特許制定法の要求事項に従って詳細に説明したが、当業者には、特定の要求事項または条件に合致するために、何の困難もなく個々の部品またはそれらに関連するアセンブリに変更および修正を加えることができよう。このような変更および修正は、特許請求の範囲に示されている本発明の範囲および精神から逸脱することなく実施することができる。
【符号の説明】
【0051】
20、70、80 ディスプレイ
21 光導波路
22 光導波路の上部表面と下部表面の間の角度
23 光導波路の上部表面と光射出ファセットの間の角度
24 光導波路の上部表面と光反射ファセットの間の角度
25 LED光源(光源)
26、27 光導波路の末端表面
28、29 光導波路の側表面
30 光導波路の上部表面
31 光導波路の下部表面
32 マイクロプリズム
33 傾斜マイクロミラー
33a、33b、33c 1列の傾斜マイクロミラー
34、84 カバーアセンブリ
35 光反射層
36 光反射領域
37 光透過領域
38 導波路の屈折率n1および光透過層の屈折率n3によって画定される臨界角
39 光透過層
40、82 光吸収層
41 光入射ファセット
42 光射出ファセット
43 第3のファセット(光射出ファセットの反対側に傾斜したファセット)
44、72 基板
45、73 基板の上部表面
46、74 基板の下部表面
47 光反射ファセット(光入射ファセット41に対して概ね平行の上部ファセット)
48 表示光射出領域
49 光吸収領域
50、85 導波路の上部表面に対して実質的に平行の軸
51 光吸収層
52 光整形拡散板
55 光線
58 微小ギャップ
71 光学層(光透過層)
75 二色性フィルタ
81 傾斜マイクロシャッタ
81a、81b、81c 1列の傾斜マイクロシャッタ
83 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)光を生成するための光源と、
(b)前記光を受け取り、かつ、分散させるための光導波路であって、屈折率n1、上部表面、および間隔を隔てた、前記上部表面と共に収斂している下部表面を有する光導波路と、
(c)間隔を隔てた複数のマイクロプリズムであって、個々のマイクロプリズムが、屈折率n2と、前記屈折率n2および前記屈折率n1より小さく、かつ、1より大きい屈折率n3を有する光学層を介して前記光導波路の前記上部表面に光結合された光入射ファセットと、前記光導波路の前記上部表面の上方に配置され、かつ、前記光導波路の前記下部表面の反対側に傾斜した光射出ファセットとを備えた、間隔を隔てた複数のマイクロプリズムと、
(d)複数の傾斜光変調器であって、個々の傾斜光変調器が、前記光導波路の前記上部表面に対して実質的に平行の傾斜軸を有し、かつ、前記間隔を隔てたマイクロプリズムどうしの間に配置された、複数の傾斜光変調器と
を備え、前記マイクロプリズムの個々の前記光射出ファセットから射出する光線の大部分が、個々の傾斜光変調器が第1の位置に位置している場合には観察者に向かって導かれ、あるいは前記個々の傾斜光変調器が第2の位置に位置している場合には光吸収体に吸収されるディスプレイ。
【請求項2】
鏡面光反射下部表面および光吸収上部表面を有する金属から構築され、前記光導波路の前記上部表面の近傍に配置された光反射層をさらに含む、請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項3】
前記光学層が前記光反射層と前記光導波路の前記上部表面との間に形成された、請求項2に記載のディスプレイ。
【請求項4】
個々の前記傾斜光変調器が静電力によって駆動され、前記光反射層が前記傾斜光変調器のための固定電極として機能する、請求項2または3に記載のディスプレイ。
【請求項5】
個々の前記傾斜光変調器が前記傾斜軸から2つの方向に傾斜している、請求項1から4のいずれかに記載のディスプレイ。
【請求項6】
前記複数の傾斜光変調器が複数のグループに分割され、個々の前記グループの光変調器が静電力によって同時に傾斜する、請求項1から5のいずれかに記載のディスプレイ。
【請求項7】
実質的に透明な基板と、光吸収層と、前記実質的に透明な基板の上に形成された光整形拡散板層とを備えたカバーアセンブリをさらに含む、請求項1から6のいずれかに記載のディスプレイ。
【請求項8】
個々の前記マイクロプリズムの前記光射出ファセットが、前記光導波路の前記上部表面に対して約45度と約65度の間の角度を形成する、請求項1から7のいずれかに記載のディスプレイ。
【請求項9】
前記屈折率n1が約1.45と1.6の間であり、前記屈折率n2が約1.45と1.6の間であり、前記屈折率n3が約1.3と1.4の間である、請求項1から8のいずれかに記載のディスプレイ。
【請求項10】
個々の前記マイクロプリズムの前記光入射ファセットが、二色性フィルタを介して前記光導波路の前記上部表面に光結合されている、請求項1から9のいずれかに記載のディスプレイ。
【請求項11】
個々の前記傾斜光変調器が、前記マイクロプリズムのうちの選択された1つに貼り付けられている、請求項1から10のいずれかに記載のディスプレイ。
【請求項12】
前記光学層がフルオロポリマーから構築され、個々の前記マイクロプリズムがUV硬化ポリマーから構築されている、請求項1から11のいずれかに記載のディスプレイ。
【請求項13】
個々の前記傾斜光変調器が光吸収表面を含む、請求項1から12のいずれかに記載のディスプレイ。
【請求項14】
前記マイクロプリズムの各々の第3のファセットの上に形成された光反射ファセットをさらに含み、個々の前記傾斜光変調器が、鏡面光反射下部表面および光吸収上部表面を備えた、請求項1から12のいずれかに記載のディスプレイ。
【請求項15】
前記マイクロプリズムの各々の前記第3のファセットが、前記光導波路の前記上部表面に対して約30度と約50度の間の角度を形成する、請求項14に記載のディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−59679(P2011−59679A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−180901(P2010−180901)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(510220574)
【Fターム(参考)】