説明

導波路型光回路

【課題】本発明の目的は、電気配線パターンに起因する応力による不要なTE/TM偏光間結合を抑制し、良好な光学特性を有する導波路型光回路を提供することである。
【解決手段】本発明の導波路型光回路は、導波路近傍に電気配線を備える導波路型光回路において、導波路近傍の前記電気配線を前記導波路に対して対称の配線パターンとすることを特徴とする。これにより、導波路コア付近の応力の主軸方向を水平とし、複屈折主軸を導波路に垂直な投影面(XY投影面)内において傾斜させず、不要なTE/TM偏光間の結合を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導波路型光回路に係り、より詳細には電気回路を備えた導波路型光回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在の通信網には、通信障害時や需要に応じて柔軟に経路を切り替えるための光スイッチや、1本の光ファイバーに多数のチャンネルを波長多重/分離するための合分波器など、各種光部品が多数使用されている。これら光部品を実現する手段には各種の方法があるが、導波路を使用した光回路は、小型集積可能であり、可動部分を有さずに構造的に安定であり信頼性に優れる、また、リソグラフィー技術により量産性に優れる、といった多くの特徴を有するため、多くの光部品に使用されている。
【0003】
導波路を使用した光回路では、しばしば、動的な動作を実現するために電気的な回路を備える場合がある。例えば、石英系導波路では、可変移相器を実現するために導波路コア近傍に微小ヒータを設けている。石英系導波路は、熱光学効果により屈折率が変化するので、ヒータ通電により導波路温度を局所的に加熱することで移相量を制御する。図1に、石英系導波路101における移相器100の構成例を示す。シリコン基板105上に作製された埋め込み型導波路コア107直上のクラッド106の表面に熱光学移相ヒータである薄膜ヒータ102が形成されている。また、この薄膜ヒータ102に給電するための給電パッド104を備える電気配線103もクラッド106の表面に形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
移相器100は、干渉計回路に組み込むことにより様々な応用回路を生み出すことができる。図2に、マッハツェンダー干渉計(MZI)に移相器を組み込んで実現した光スイッチ200を示す。MZIは、2個の50%方向性結合器202とこれを連結する2本のアーム導波路からなり、2本のアーム導波路の長さは、通常、等長若しくは動作波長の半波長分の光路長差のいずれかで設計される。ここでは、上側が短アーム、下側が長アームとして半波長の光路長差を設けている。MZIの少なくとも一方のアーム導波路には図1に示した移相器100が装備されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
入力1に入射された信号光は、公知の干渉原理により、移相器100が未動作時(Off時)に出力1へ導かれる。移相器において半波長分の移相量πを発生させて上記の半波長分の光路長差を打ち消した時(On時)には、信号光は出力2へ導かれる。移相器100で発生させる移相量がOnとOffの中間値を取る場合には、各経路の出力(すなわち透過率)は、移相量に応じてアナログ的に変化する。
【0006】
このような石英系導波路を使用した光回路の製造方法としては、例えば、火炎堆積(FHD)法等のガラス膜堆積技術と反応性イオンエッチング(RIE)等の微細加工技術の組み合わせが使用されている。具体的には、シリコン基板203上に下部クラッド層204となるガラス膜を堆積/透明化し、引き続き、屈折率がクラッド層204よりもやや高いコア層を堆積/透明化する。そして、光導波回路となるコアパターン205を微細加工技術によりパターン化し、上部クラッド層204となるガラス膜を堆積/透明化することで埋め込み型の光導波路が得られる。最後に、上部クラッド表面に薄膜ヒータ206や電気配線207となる金属を真空蒸着法等で堆積し、これを微細加工技術でパターン化し、熱光学移相器を形成する。
【0007】
【特許文献1】特許第3703013号明細書(第13図)
【特許文献2】特許第3555842号明細書(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような電気的な回路を備えた導波路型光回路では、電気配線パターンに起因する応力が発生しており、この応力が光弾性効果を介して、その周囲に屈折率の変動および複屈折率の変動を引き起こしていた。特に、導波路を伝搬する光が感じる複屈折主軸が、導波路に垂直な投影面内において基板に対して傾斜した場合、TE偏光とTM偏光の間で意図しない結合が生じるため、干渉計回路によっては所望の光学特性が得られないという問題があった。
【0009】
例えば極端な事象として、図2に示す光スイッチ200において、複屈折主軸の方向208が傾斜した場合に、入力されたTE偏光の光が、偏光結合により、上側アーム導波路では偏光面が半時計回りに45度回転し、下側アーム導波路では偏光面が時計回りに45度回転したとする。すると、各々の偏光面が直交関係になるので、出力側の方向性結合器202で干渉は起きなくなる。つまり、移相器100を動作させてもスイッチ動作ができなくなる。
【0010】
上記の例は非常に極端な例であるが、アナログ的な動作を行った場合、即ち可変減衰器として動作させた場合に、減衰量に偏光依存性が生じるといった問題はしばしば生じていた。
【0011】
本発明は、このような問題を鑑みてなされたもので、その目的とするところは、電気配線パターンに起因する応力による不要なTE/TM偏光間結合を抑制し、良好な光学特性を有する導波路型光回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、導波路近傍に電気配線を備える導波路型光回路において、導波路近傍の前記電気配線を前記導波路に対して対称の配線パターンとすることを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、前記導波路型光回路が複数の導波路から成る光干渉計であり、前記導波路が該光干渉計中の導波路であることを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、前記導波路が移相器を備え、前記電気配線が該移相器に接続されていることを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、前記複数の導波路の一方の移相器及び該移相器に接続される前記電気配線を備え、前記複数の導波路の他方に非駆動のダミー移相器及びダミー電気配線のいずれか又は両方を備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、前記複数の導波路の一方の移相器及び該移相器に接続される前記電気配線を備え、該電気配線は、前記複数の導波路の他方にもパターン配置されていることを特徴とする。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、前記導波路型光回路は、前記移相器の周囲にクラッド溝を配置し、前記ダミー移相器は、該クラッド溝のある領域に断線ギャップを有することを特徴とする。
【0018】
また、請求項7に記載の発明は、前記導波路型光回路の導波路に沿う方向の前記電気配線が前記複数の導波路を覆うパターンであることを特徴とする。
【0019】
また、請求項8に記載の発明は、前記導波路型光回路は、入力側と出力側の2つのカプラを備える光干渉計であり、前記電気配線が前記2つのカプラを覆うパターンであることを特徴とする。
【0020】
また、請求項9に記載の発明は、前記電気配線の対称性を確保する範囲が25μm以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電気配線を導波路近傍では導波路に対して左右対称のパターンとしたため、電気配線パターンから発生する導波路に対する応力の主軸を導波路に直交する平面において傾斜させないことにより、複屈折主軸は導波路に垂直な投影面内において基板に対して必ず垂直、又は、水平になる。従って、電気配線パターンに起因する応力による不必要なTE/TM偏光間結合は生じず、これによる光学特性の低下も生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
光回路を構成する導波路には様々な種類があるが、以下に述べる形態では、複雑な光回路を実現する手段として最もよく使用されるシリコン基板上の石英系導波路をベースにした光回路を例にして説明する。
【0023】
図3に、本願発明の基本形態の電気配線パターンを使用した移相器300を示す。本発明の電気配線パターン303では、ヒータ302端から給電パッド304側だけでなく給電パッド304には繋がらない反対方向にも配線を引き回しており、電気配線303が導波路301近傍では導波路301に対して実質的に対称、即ち導波路を含むYZ平面に対して対称の形状になっている点が、従来の配線パターンと大きく異なる。
【0024】
図1に示す従来の配線パターン103では、ヒータ102端から給電パッド104側のみ配線を引き回していたため、導波路101上部が電気配線103のエッジとなっていた。配線金属とクラッドガラスのように異種材料が接合している場合、各々の材料の熱膨張係数が異なる等の理由で、通常それぞれの材料に応力が発生する。特にパターンのエッジ部分では応力の加わり方が、場所に応じて複雑に変化するため、一般に、応力の主軸が傾く。また、配線のパターン化の際、RIE等のエッチングでパターン化を行うと、エッチングにより配線だけでなくクラッドも若干エッチングされる場合がある。即ち、上部クラッドの表面が、配線パターンエッジに沿った段差を持つ。シリコン基板上に作製される石英系導波路では、製法上、クラッドやコアのガラス膜に強い水平方向の圧縮応力が加わっている。膜が一様であれば、その応力分布も均一となるが、表面に段差を持つなどその構造に変化がある場合、構造力学の分野でよく知られているように、その段差周囲には複雑な分布を持つ応力が加わり、やはり、応力の主軸が傾く。その為、配線パターンのエッジ部分では、この応力主軸の傾きに対応して、図1の断面図B−B´に示すように複屈折主軸108も基板に対して傾き、その結果、TE/TM偏光間の結合が生じていた。
【0025】
図4は、応力による偏光変換の様子を直接調べるために行ったクロスニコル観測の結果400を示す図である。サンプルは、シリコン基板401上に作製した石英系導波路(但し、観測した部分には、導波路コアはなくクラッド402のみ)にメタル配線403をクラッド402表面にパターン化し、導波路断面の見るために薄くスライスしたものである。この断面にTM偏光の光を当て、透過光のTE偏光を検光してクロスニコル観測を行っている。即ち、TM偏光が偏光結合によってTE偏光に変換されている場所が明るく見える。図に示すように、配線のエッジ付近で偏光変換が起きていることが分かる。
【0026】
一方、図3に示すように本発明の配線パターン303では、ヒータ302端から給電パッド304側の反対方向にも配線を引き回しており、この長さが十分長ければ、電気配線303が導波路301近傍では導波路301に対して実質的に対称であると見なせるので、導波路コア307付近の応力の主軸方向は水平となる。従って、複屈折主軸308も導波路301に垂直な投影面(XY投影面)内においては、図3の断面図B−B´に示すように基板に対して必ず垂直となり傾かないので、TE/TM偏光間の結合が生じることは無い。
【0027】
図4に示すクロスニコル観測結果は、配線エッジ404から概ね25μmの範囲で特に強く偏光変換が生じていることを示している。よって、少なくともこの領域には干渉計中の導波路を配置しないようにした方が良い。25μmを超える領域であっても直ぐに偏光変換がゼロとなる領域になるわけではないので、配置上許されるのであれば、更に余裕を持って十分離れた位置に導波路を配置するようにした方が好ましい。
【0028】
尚、導波路方向(Z方向)で見てみると、図3に示す移相器300の電気配線303の配線パターンでも導波路301上にエッジがあるが、この部分で生じる応力の主軸の傾きはYZ平面内での傾きとなり、これに対応した複屈折主軸308の傾きはYZ平面内に現れ、XY投影面内では複屈折主軸はやはり必ず垂直になる。従って、TE/TM偏光間の結合が生じることは無い。
【0029】
図5は、本発明の配線パターンの別の例を示す図である。図5(a)は、ヒータ端において導波路方向に直交する配線(直交部配線)501が直接接続されているのではなく、導波路方向に沿った延長部の配線502を介して直交部の配線に接続されている配線パターン500を示し、図5(b)は、ヒータ端において電気配線511を台形の形状とした配線パターン510を示し、図5(c)は、ヒータ端において電気配線521を長方形の形状とした配線パターン520を示す。これらの配線パターン500,510,520は、電気配線が導波路近傍では導波路に対して実質的に対称、即ち導波路を含むYZ平面に対して対称のパターンになっている点が本願発明のポイントとして基本形態と共通している。本形態の場合、導波路上部近傍に配線のエッジがあるため、応力の分布は基本形態と比べて幾らか複雑にはなるが、パターンが導波路に対して対称であるため、導波路コア付近の応力の主軸方向は水平方向(X方向)となる点には変わりはない。従って、図3に示す基本形態と同様に、複屈折主軸の向き503,513,523はXY投影面では基板に対して必ず垂直になるので、TE/TM偏光間結合が生じることは無い。
【0030】
次に、本発明をMZI型光スイッチの移相器へ適用した場合の実施形態について、詳しく述べる。
図6に、本発明の第1の実施形態による導波路型光回路の一例としてMZI型光スイッチ600を示す。基本的なスイッチの構成は、図2に示す従来の光スイッチ200と同じであるが、熱光学移相ヒータ606の電気配線607に本発明の配線パターンを適用した点が従来の光スイッチと異なる。
【0031】
図2に示す従来の光スイッチ200では、熱光学移相ヒータ206からの配線を導波路に沿った方向(Z軸±方向)に引き出してから、給電パッドの方向(X軸−方向)に配線を引き出している。多連のスイッチでは多数の配線を引き出すために、通常、このように、一旦、Z軸方向へ配線を引き出す。このような配線パターンでは、図2に示すように2本のアーム導波路が、方向性結合器202に接続されるまでの間に、比較的、長い領域に亘って配線エッジ付近の下を通る。そのため、複屈折主軸202が傾いた導波路201を光が長い距離に亘り伝搬するので、前述したようなTE/TM偏光間結合が特に生じ易くなっていた。
【0032】
一方、本発明の配線パターンを使用した第1の実施形態では、図6に示すように、電気配線607を、一旦、導波路601を横切る方向(X軸±方向)に引き出した後にZ軸方向へ引き出しており、且つ、最初のX軸±方向に引き出す部分の電気配線607が導波路601に対して実質的に対称のパターンになっている。その為、導波路601が配線エッジ付近の下は通らないので、干渉計回路中でTE/TM偏光間の結合が生じることは無く、偏光間結合に起因する光学特性の低下を抑制することができる。
【0033】
尚、光スイッチで切り替え動作を行うにはアーム導波路間の位相差を制御できれば良いので、移相器は両方のアーム導波路に備える必要はなく、片方のアーム導波路(通常、短アーム側)にのみ備えれば良いことが多い。片方のアーム導波路のみに限定した方が、電気配線の量も半減するので、回路レイアウト上も有利である。
【0034】
しかしながら、電気配線直下や熱光学移相ヒータ直下の導波路では、前述のように応力により屈折率の変動および複屈折率の変動が生じているので、一方のアーム導波路のみ移相器を備える、即ち、一方のアーム導波路のみ電気配線や熱光学移相ヒータを装荷すると両アームでこれら変動の均衡が崩れる。この屈折率変動の不均衡は位相誤差となって現れ、複屈折率変動の不均衡はTE/TM偏光での位相ずれ、即ち、動作の偏光依存性となって現れ、いずれも本願発明での課題と同じく光学特性の劣化になる。従って、一方のアーム導波路の移相器しか駆動しない場合であっても、他方のアーム導波路にもダミーの熱光学移相ヒータ及びダミーの配線を備え、応力による屈折率変動および複屈折率変動の両アーム均衡を保つ構成にした方が好ましい。
【0035】
図7に、以上を踏まえた片方のアーム導波路の移相器のみ駆動する場合の構成を備えるMZI型光スイッチ700を本発明の第2の実施形態として示す。尚、本実施形態では、電気配線を更に削減するために、図の左側の配線を共通電気配線701として1つの配線に纏めている。駆動側のアーム導波路の熱光学移相ヒータ703の左側はこの共通電気配線に接続され、右側は第一の実施形態と同じように個別の電気配線702に接続されている。非駆動側のアーム導波路のダミー熱光学移相ヒータ704の左側は共通電気配線701に接続され、右側は給電パッド未接続となっているダミー電気配線705が接続されている。このように、ダミーの熱光学移相ヒータ704は駆動できない構成になっているが、共通電気配線701に接続されていることで電位が不定にならないようになっている。図に示すように、配線パターンは、駆動側/ダミー側のいずれも、電気配線が干渉計部分の導波路近傍では導波路に対して実質的に対称のパターンになっている。
【0036】
このような対称配線パターン、及び、ダミー移相器704を備えた構成により、TE/TM偏光間の結合が生じることがないのはもちろんのこと、両アーム間での屈折率の変動および複屈折率の変動の不均衡に因る位相誤差や偏光依存性を招くことなく、良好な光学特性を得ることができると共に、効果的に電気配線数を削減することができる。
【0037】
図8に、本発明の第3の実施形態による導波路型光回路の一例としてMZI型光スイッチ800を示す。本実施形態は第2の実施形態に類似しているが、駆動側のアーム導波路の熱光学移相ヒータ803に接続している個別電気配線802において、給電パッド側の反対方向に延ばした電気配線が、非駆動側のアーム導波路を通り超えて、非駆動側のアーム導波路から見ても電気配線が導波路近傍では導波路に対して実質的に対称と見なせるところまで延伸している点が、第2の実施形態と大きく異なる。
【0038】
第2の実施形態では、給電パッド側の反対方向に延ばした個別電気配線702は、非駆動側のアーム導波路のダミー移相器704からの電気配線と分離する都合上、最大でもMZIのほぼ中心位置までの延伸に留まっていた。アーム導波路の間隔が十分広いMZIであれば、導波路から見て十分離れた位置に配線のエッジを配置することが可能であるが、アーム導波路の間隔が狭いMZIでは十分離れた位置にエッジを配置することが難しい。
【0039】
一方、本実施形態では、非駆動側のアーム導波路を通り超える所まで大きく延伸しているので、比較的アーム導波路の間隔が狭いMZIにおいても、駆動側のアーム導波路のから見ても非駆動側のアーム導波路から見てもいずれも電気配線が導波路近傍では導波路に対して実質的に対称に配線を配置することが可能になっている。
【0040】
本実施形態でも、第2の実施形態と同様に、熱光学移相ヒータ803は、共通電気配線801と接続され、さらに熱光学移相ヒータ803からの応力による屈折率変動および複屈折率変動の両アーム均衡を取るために他方のアーム導波路にもダミーの熱光学移相ヒータ804を設け、共通電気配線801と接続するものとしたほうが良い。ダミー熱光学移相ヒータ804は一部にギャップ805を設けることで非駆動としている。このギャップ805は僅かであるが、厳密には駆動側と非駆動側において上記変動のアーム均衡を崩しているので、これが問題になる場合には、図8に示すように個別電気配線802の右側にギャップ分の長さのダミー熱光学移相ヒータ806を追加して設け、ダミーの熱光学移相ヒータ804,806のトータル長を駆動側と非駆動側で揃えれば良い。
【0041】
図9に、本発明の第4の実施形態による導波路型光回路の一例としてMZI型光スイッチ900を示す。本実施形態は第3の実施形態に近い構成をしているが、熱光学移相ヒータ903,904の周辺に断熱のためのクラッド溝905が掘られており、ダミー熱光学移相ヒータ904の非駆動のためのギャップがこのクラッド溝905のある領域に設けられている点が第3の実施形態と大きく異なる。
【0042】
クラッド溝905は、熱拡散を低減し熱光学移相ヒータ903の駆動電力を低減させる断熱溝として作用すると共に、熱光学移相ヒータ903からの応力開放溝としても作用する。この応力開放溝により熱光学移相ヒータからの応力による屈折率変動および複屈折率変動が低減されるので、本実施形態では熱光学移相ヒータ903,904のトータル長が駆動側と非駆動側でギャップ分異なり揃っていないにも拘らず、両アームの光学特性上の不均衡は殆ど生じない。従って、第3の実施形態で追加した個別電気配線802右側のダミー熱光学移相ヒータ806は不要になり、その分、素子長を短くすることができる。
【0043】
図10に、本発明の第5の実施形態による導波路型光回路の一例としてMZI型光スイッチ1000を示す。本実施形態は第4の実施形態に類似しているが、個別電気配線1002が、駆動側のアーム導波路のから見ても非駆動側のアーム導波路から見てもいずれも電気配線が導波路近傍では導波路に対して実質的に対称と見なせる幅太の配線で導波路に沿った方向(Z軸方向)に引き出してから、給電パッドの方向(X軸方向)に配線を引き出している点が第4の実施形態と大きく異なる。
【0044】
第4の実施形態では、熱光学移相ヒータ903及びダミーの熱光学移相ヒータ904に接続している個別電気配線902を、一旦、導波路を横切る方向(X軸方向)に引き出した後にZ軸方向へ引き出して、その後、給電パッドの方向(X軸方向)に引き出している。このZ軸方向へ引き回している部分の配線は、電気配線のエッジからの応力が無視できる程に十分にMZIの導波路から離れた場所に配置される必要があると同時に、配線抵抗が問題にならないようにある程度の幅を有する必要がある。その為、応力が無視できる距離をL、配線抵抗が問題にならない許容最小配線幅をW、配線と配線のギャップをG、そしてMZIのアーム導波路間隔をSとすると、多連の光スイッチのピッチは、最小でS+2L+W+Gとなる。
【0045】
一方、本実施形態では、Z軸方向へ引き出している幅太部分の配線のエッジが導波路から最も近い配線エッジになる。従って、導波路からこの幅太部分の配線のエッジまでの距離がLとなる。W<S+2Lの場合(即ちS+2Lが配線抵抗の問題にならない十分な幅である場合)、幅太部分の配線幅はS+2Lとなり、多連の光スイッチのピッチは最小でS+2L+Gとなる。一方、W≧S+2Lの場合、幅太部分の配線幅はWとなり、多連の光スイッチのピッチは最小でW+Gとなる。いずれにしても、第4の実施形態よりも密なピッチで光スイッチを配置することができるので、より小型なスイッチチップを設計することが可能となる。また、W<S+2Lである場合、幅太部分の配線幅が許容最小配線幅Wよりも太い配線幅(S+2L)になるので、多少なりとも配線抵抗による不要な電力消費を低減することができる。
【0046】
次に、本発明をMZI型合分波器の周波数特性調整用の移相器へ適用した場合の実施形態について、詳しく述べる。
図11に、本発明の第6の実施形態による導波路型光回路の一例としてMZI型光合分波器1100を示す。本光合分波器1100も、これまでの実施形態で述べてきた光スイッチとほぼ同じように、2個の50%方向性結合器1102とこれを連結する長アーム側導波路1106と短アー側導波路1107の2本のアーム導波路からなるMZI構成を基本としているが、2本のアーム導波路1106,1107の光路長差(=実効屈折率neff・導波路長差ΔL)が光スイッチと比べると大きい値が設定されている。入力1からの信号光は、公知の干渉原理により、周波数fe(=m・c/{neff・ΔL}; c:光速、m:正の整数)の信号光は出力2へ、周波数fo(={m−0.5)・c/{neff・ΔL})の信号光は出力1へ、分波される。また、入出力を逆にすれば、周波数feの信号光と周波数foの信号光を合波することができる。このように、図11に示す合分波器1100は、偶数チャンネルの光feと奇数チャンネルの光foを合分波できるのでインターリーブフィルターとも呼ばれる。
【0047】
合分波器では、通常、光スイッチのような動的な動作が無いので、2本のアーム導波路に移相器を備える必要性は必ずしもない。しかしながら、作製誤差等に因り導波路の実効屈折率がずれ、2本のアーム導波路間に位相誤差が生じた場合に、この位相誤差を補正するために移相器が使用される。
【0048】
本実施形態でも、光スイッチでの実施形態と同様、熱光学移相ヒータ1105の電気配線に本発明の配線パターンを適用した点が従来の合分波器の構成と異なる。図11に示すように、電気配線は、共通電気配線1103と、個別電気配線1104とを備え、導波路1101に対して実質的に対称のパターンになっている。また、この対称パターンは、熱光学移相ヒータ1105に接続されている部分だけでなく、配線の引き回し上、干渉計を横切っている部分(図中、一点鎖線の楕円で示した箇所)でも、同様に導波路1101に対して実質的に対称のパターンになっている。その為、導波路1101が配線エッジ付近の下は通らないので、干渉計回路中でTE/TM偏光間の結合が生じることは無く、偏光間結合に起因する光学特性の低下を抑制することができる。即ち、干渉計中の導波路1101を横切る際は、導波路に対して実質的に対称なパターンで横切ることが重要である。
【0049】
尚、ここでは合分波干渉計の例としてMZI型において説明をしたが、本願発明の適用は、これに限定されるものではなく、例えば、リング共振器型やマイケルソン干渉計型に関しても有効である。
【0050】
また、以上の実施形態では、2光束の干渉計からなる光スイッチや光合分波器に関して具体的に説明してきたが、不必要な偏光変換が特性に影響を与えることは、多光束の干渉計、例えばアレイ導波路格子(AWG)などにおいても同様である。従って、多光束の干渉計に関しても電気配線を備える場合には、本発明の方針に則った配線パターンとすることにより、配線パターンに起因する応力による偏光変換を抑制することができ、上述の実施形態同様、光学特性の低下を防ぐことができることは言うまでもない。
【実施例1】
【0051】
可変減衰機能付き光スイッチ
本発明の実施例1として、図7に示した本発明の第2の実施形態による可変減衰機能付き光スイッチ700を、シリコン基板上の石英系導波路を使用して従来同様の製法により作製した。2本のアーム導波路の長さには、動作波長の半波長分の光路長差が設けられており、短い方のアーム導波路には、駆動側として熱光学移相器ヒータ703を設け、長い方のアーム導波路には、非駆動側としてダミーの熱光学移相器ヒータ704を設けている。
【0052】
導波路のコアとクラッドの比屈折率差は0.75%である。アーム導波路の間隔は250μmである。個別電気配線702、ダミー電気配線705の幅は100μm、個別電気配線702とダミー電気配線705のギャップは50μmである。MZIの内側X方向に伸ばしている電気配線の長さは、個別電気配線702、ダミー電気配線705共に100μmである。MZI外側X方向の電気配線の長さは、ダミー電気配線705側で100μm、個別電気配線702側で150μm(つまり、駆動側アーム導波路から、Z方向に引き回している個別配線のエッジまでの距離が150μm)である。ダミー電気配線705と隣接光スイッチの個別電気配線のキャップは50μmである。尚、導波路コア中心から上部クラッド表面までの距離は約15μmである。
【0053】
作製した本発明の実施例1の可変減衰機能付き光スイッチにおいて、クロス経路における10dB減衰時の偏光依存損失(PDL)は約0.3dBであった。比較のために電気配線を図2に示す従来構成の配線パターンで作製した可変減衰機能付き光スイッチ200における10dB減衰時の偏光依存損失は約0.6dBであった。このように、本発明の配線パターンを使用することにより減衰時の偏光依存損失が大きく改善された。
【実施例2】
【0054】
可変減衰機能付き多連光スイッチ
本発明の実施例2として作製した多連の可変減衰機能付き光スイッチ1200の構成を図12に示す。本実施例は、図10に示す第5の実施形態をベースに構成した。本実施例も、2本のアーム導波路の長さには動作波長の半波長分の光路長差が設けられており、短い方のアーム導波路には、駆動側として熱光学移相器ヒータ1205を設け、長い方のアーム導波路には、非駆動側としてダミーの熱光学移相器ヒータ1206を設けている。
【0055】
熱光学移相ヒータ1205,1206と、共通電気配線1201及び個別電気配線1202との接続部には、図5(a)に示した導波路1203方向に沿った延長部の配線を設けた構成を採用している。これは、熱光学移相ヒータ1205で発生させた熱が、配線を伝わって非駆動側のアーム導波路に回り込むのを防ぐためである。
【0056】
尚、本実施例では、ダミー熱光学移相ヒータ1206を非駆動とするための断線ギャップは、ダミー熱光学位相ヒータ1206中に設けた。しかしながら、応力開放溝としても作用するクラッド溝1207は熱光学移相ヒータ1205,1206だけでなく、この延長配線部の周辺にも形成されているので、断線ギャップを延長配線部に設けても特性上の問題はないので、こちらで断線ギャップを設けてもよい。
【0057】
さて、クロス経路(入力1→出力2)のMZIの透過率Tは、入力側と出力側の方向性結合器の結合率が同じ値k(=0〜1)である場合、移相器の移相量をφとすると、T=4・k・(1−k)・cos2((φ−π)/2)となる。従って、移相器の未駆動時(OFF時)は、結合率kの値に拘らず必ずT=0となる。このMZIの性質は、作製誤差によって方向性結合器1204の結合率が設計値の50%(k=0.5)からずれても、入力側と出力側の方向性結合器1204の結合率が同じ値kでさえあれば、高消光比のスイッチ動作を得られることを意味するために、非常に好ましい性質である。
【0058】
前述したように、電気配線1201,1202からの応力は導波路1203の屈折率の変動および複屈折率の変動を起こすので、方向性結合器1204においては、これら変動が結合率の変動や結合率の偏光依存性の変動を引き起こす。従って、入力側と出力側で方向性結合器1204の上面に電気配線の有無が異なると、入力側と出力側で結合率が僅かながら異なってくる。今回の実施例では、このようなことを防ぐために、共通電気配線1201は、方向性結合器1204の上部も覆うように配置し、個別電気配線1202に関しても、幅太配線を方向性結合器1204の上部を覆うように配置した。
【0059】
本実施例の可変減衰機能付き光スイッチ1200も、実施例1と同様、シリコン基板上の石英系導波路を用いて作製した。導波路のコアとクラッドの比屈折率差は1.5%である。アーム導波路の間隔Sは100μm、Z方向に引き出している幅太の配線の幅は400μm、即ちアーム導波路から幅太配線のエッジまでの距離Lは150μmとした。導波路コア中心から上部クラッド表面までの距離は約15μmである。また、配線間のギャップGは100μmとした。ダミー熱光学移相器を非駆動とするための断線ギャップは、クラッド溝1207のある領域の丁度真ん中の位置にギャップ幅50μmで設けた。
【0060】
作製した本発明の可変減衰機能付き光スイッチ1200において、クロス経路における10dB減衰時の偏光依存損失(PDL)は約0.2dBであった。比較のために電気配線を図2に示す従来構成の配線パターンで作製した可変減衰機能付き光スイッチ200における10dB減衰時の偏光依存損失は約0.5dBであった。本実施例でも本発明の配線パターンを使用することにより減衰時の偏光依存損失が大きく改善された。
【実施例3】
【0061】
二重MZI型多連可変減衰器
実施例3(A)、(B)として作製した二重MZI型の多連の可変減衰器1300,1400の構成をそれぞれ、図13及び図14に示す。本実施例は、MZI型スイッチ素子を二重に接続した構成になっており、前段MZI型スイッチ1303,1403/後段MZI型スイッチ素子1304,1404のそれぞれが減衰動作するので、2倍の消光比が得られる、即ち2倍の減衰量動作が可能な構成になっている。それぞれのMZI型スイッチ素子の構成は実施例2と同じ構成になっている。本実施例では、それぞれのMZI型スイッチ素子への配線を削減するために、図13に示す実施例3(A)の構成では、共通電気配線1301及び個別電気配線1302からの電気配線を並列接続に、図14に示す実施例3(B)の構成では、共通電気配線1401及び個別電気配線1402からの電気配線を直列接続にして、前段MZI型スイッチ1303,1403/後段MZI型スイッチ素子1304,1404を同時に駆動している。
【0062】
尚、本可変減衰器は、1入力1出力の回路になっているが、前段/後段MZI型スイッチ素子から未接続となっている導波路を入出力ポートに引き出すことで切り替えスイッチの機能を持たせることもできる。
【0063】
本実施例の可変減衰器1300,1400も、実施例1,2と同様、シリコン基板上の石英系導波路を使用して作製した。導波路のコアとクラッドの比屈折率差は1.5%である。アーム導波路の間隔Sは80μm、クラッド溝の幅は約60μmである。ダミー熱光学移相器を非駆動とするための断線ギャップは、クラッド溝のある領域の丁度真ん中の位置にギャップ幅20μmで設けた。
【0064】
並列接続の実施例3(A)では、Z方向に引き出している幅太の配線の幅は220μm、即ちアーム導波路から幅太配線のエッジまでの距離は70μmである。並列接続するための各MZI素子の脇を通している幅細の配線部の配線幅は50μm、幅太や幅細の配線間の最小ギャップは40μmとした。
【0065】
直列接続の実施例3(B)では、Z方向に引き出している幅太の配線の幅は300μm、即ちアーム導波路から幅太配線のエッジまでの距離は110μmである。幅太の配線間のギャップは50μmとした。
【0066】
作製した本発明の可変減衰器1300,1400において、20dB減衰時の偏光依存損失(PDL)は、実施例3(A)で約0.3dB、実施例3(B)で約0.2dBであった。比較のために電気配線を図2に示す従来構成の配線パターンで作製した可変減衰器200における20dB減衰時の偏光依存損失は約0.9dBであった。本実施例でも本発明の配線パターンを使用することにより減衰時の偏光依存損失が大きく改善された。
【0067】
以上、3つの実施例並びに実施形態では、シリコン基板上の石英系導波路をベースとした光回路で実現したが、これは信頼性に優れ、光ファイバーとの接続親和性が高く、また、生産技術としても確立された技術で量産に向くためである。しかしながら、他の材料系の導波路、例えば、シリコン導波路や、ニオブ酸リチウム(LN)導波路や高分子導波路等でも、機能性を付加するために電気配線を備えたことに因る応力が特性に影響を及ぼす場合には、本発明の指針に従い、電気配線のパターンを工夫することにより、本実施例等で示した効果が同様に得られることに変わりは無いことを付記しておく。
【0068】
また、以上の実施例並びに実施形態では、MZIを構成するカプラに方向性結合器を使用したが、これに限定するものではなく、例えば、マルチモード干渉(MMI)カプラを使用しても、もちろん良い。また、1×2カプラや2×1カプラにおいては、1×2分岐器や2×1合流器を使用しても良い。但し、これらを同一のMZI中に混在して使用する場合には、位相特性が方向性結合器と異なるので、その分を光路長差として補正して使用する必要がある。いずれにしても、本発明の電気配線パターンの工夫により、不要な偏光結合が抑制されていることに変わりは無い。
【0069】
また、以上の例では、偏光間結合を抑制する配線パターンについて、干渉計中の導波路に対して説明してきたが、これは干渉計で偏光間結合が生じると上述のように光学特性への影響が大きいためである。しかしながら、偏光間結合を抑制する必要のある導波路は干渉計中の導波路に限定されるものではなく、例えば、入出力ポート間で偏光を保持したい場合には、干渉計以外の導波路型光回路、例えば、スプリッタ(分岐器)、コンバイナ(合流器)、遅延線などにおいても本発明の適用が有効であることは言うまでもない。また、干渉計光回路の入出力導波路部分など、干渉計外の導波路においても同様で偏光を保持したい場合には、本発明の適用が有効である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】従来の電気配線パターンを備える導波型光回路である移相器100を示す図である
【図2】従来の電気配線パターンを備える導波型光回路であるMZI型光スイッチ200を示す図である。
【図3】本発明の電気配線パターンを備える導波型光回路である移相器300を示す図である。
【図4】配線エッジ付近のクロスニコル観察結果を示す図である。
【図5】本発明の導波路型光回路の別の電気配線パターン例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態による導波路型光回路の一例としてMZI型光スイッチ600を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態による導波路型光回路の一例としてMZI型光スイッチ700を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施形態による導波路型光回路の一例としてMZI型光スイッチ800を示す図である。
【図9】本発明の第4の実施形態による導波路型光回路の一例としてMZI型光スイッチ900を示す図である。
【図10】本発明の第5の実施形態による導波路型光回路の一例としてMZI型光スイッチ1000を示す図である。
【図11】本発明の第6の実施形態による導波路型光回路の一例としてMZI型光合分波器1100を示す図である。
【図12】本発明の実施例2の導波路型光回路である可変減衰機能付き多連光スイッチ1200を示す図である。
【図13】本発明の実施例3(A)の導波路型光回路である並列接続された二重MZI型多連可変減衰器を示す図である。
【図14】本発明の実施例3(B)の導波路型光回路である直列接続された二重MZI型多連可変減衰器を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
300 移相器
301,601,1101 導波路
302,606,703,803,903,1105 熱光学移相ヒータ
303,607 電気配線
304 給電パッド
305,603 基板
306,604 グラッド
307,605 導波路コア
308,608 複屈折主軸の方向
600,700,800,900,1000 MZI型光スイッチ
602,1102 方向性結合器
701,801,901,1001,1103 共通電気配線
702,802,902,1002,1104 個別電気配線
704,804,806,904 ダミー熱光学移相ヒータ
705 ダミー電気配線
805 ギャップ
905 クラッド溝
1100 MZI型光合分波器
1106 長アーム側導波路
1107 短アーム側導波路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波路近傍に電気配線を備える導波路型光回路において、導波路近傍の前記電気配線を前記導波路に対して対称の配線パターンとすることを特徴とする導波路型光回路。
【請求項2】
前記導波路型光回路が複数の導波路から成る光干渉計であり、前記導波路が該光干渉計中の導波路であることを特徴とする請求項1に記載の導波路型光回路。
【請求項3】
前記導波路が移相器を備え、前記電気配線が該移相器に接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の導波路型光回路。
【請求項4】
前記複数の導波路の一方の移相器及び該移相器に接続される前記電気配線を備え、前記複数の導波路の他方に非駆動のダミー移相器及びダミー電気配線のいずれか又は両方を備えることを特徴とする請求項3に記載の導波路型光回路。
【請求項5】
前記複数の導波路の一方の移相器及び該移相器に接続される前記電気配線を備え、該電気配線は、前記複数の導波路の他方にもパターン配置されていることを特徴とする請求項3に記載の導波路型光回路。
【請求項6】
前記導波路型光回路は、前記移相器の周囲にクラッド溝を配置し、前記ダミー移相器は、該クラッド溝のある領域に断線ギャップを有することを特徴とする請求項4に記載の導波路型光回路。
【請求項7】
前記導波路型光回路の導波路に沿う方向の前記電気配線が前記複数の導波路を覆うパターンであることを特徴とする請求項5に記載の導波路型光回路。
【請求項8】
前記導波路型光回路は、入力側と出力側の2つのカプラを備える光干渉計であり、前記電気配線が前記2つのカプラを覆うパターンであることを特徴とする請求項7に記載の導波路型光回路。
【請求項9】
前記電気配線の対称性を確保する範囲が25μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の導波路型光回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−162933(P2009−162933A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341066(P2007−341066)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】