導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイ、および導電性ゴムローラの製造方法
【課題】導電性ゴムローラの周方向における電気抵抗のムラを小さくすることが可能な導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイを提供する。
【解決手段】外ダイ穴57と、供給口50と、を備えた外ダイ22と、外ダイ穴57に配置され、芯金ガイド穴31と、マニホールド61と、を備えたマンドレル21と、外ダイ穴57における芯金ガイド穴31の下端開口部よりも下側に配置され、ダイス穴56を備えたダイス23と、を有し、マニホールド61に沿った流れ方向および軸方向に沿った流れ方向の各々に対して垂直な切断面における展開部流路51の断面積が、ダイス口54の断面積から芯金13の断面積を差し引いた押出し断面積の4.1倍以上6.9倍以下であり、展開部流路51の長さが、供給口50の上端部における外ダイ穴57の口径の0.5倍以上1倍以下である。
【解決手段】外ダイ穴57と、供給口50と、を備えた外ダイ22と、外ダイ穴57に配置され、芯金ガイド穴31と、マニホールド61と、を備えたマンドレル21と、外ダイ穴57における芯金ガイド穴31の下端開口部よりも下側に配置され、ダイス穴56を備えたダイス23と、を有し、マニホールド61に沿った流れ方向および軸方向に沿った流れ方向の各々に対して垂直な切断面における展開部流路51の断面積が、ダイス口54の断面積から芯金13の断面積を差し引いた押出し断面積の4.1倍以上6.9倍以下であり、展開部流路51の長さが、供給口50の上端部における外ダイ穴57の口径の0.5倍以上1倍以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芯金にゴム組成物を被覆してなる導電性ゴムローラを押出し成形するための導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイ、および導電性ゴムローラの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴム等の熱硬化性の未加硫のゴム組成物を押出し機によりローラ状に押出して成形するためのダイには、クロスヘッドダイがある。クロスヘッドダイは、スクリュー軸とダイがある角度を持って配置されている。そのため、ダイ内に空気や芯金を通すことができ、ローラ状になったゴム組成物の内部に芯金などを通すことも可能である。これにより、ゴム層の押出し工程に芯金の被覆工程を組み込めるため、工程の簡略化ができるなどの利点がある(特許文献1参照)。
【0003】
クロスヘッドダイの一般的な構造としては、略円筒状の外ダイ穴と、外ダイ穴とある角度をもったゴム組成物を供給するための供給口と、を有した外ダイに、軸方向に芯金を通過させるための芯金ガイド穴を持った略円筒状のマンドレルが挿入されている。このとき、外ダイとマンドレルとの隙間に供給口と連通したゴム組成物の流路が形成される。マンドレルの先端から芯金の押出し出口方向には、ある距離を離れた位置に導電性ゴムローラを成形するために円形状断面のダイス口をもつダイスが配置されている。
【0004】
ここで、上記のような構成のクロスヘッドダイ内部におけるゴム組成物の流れについて説明する。まず、押出し機より供給口に供給されたゴム組成物は、外ダイ穴の内面とマンドレルの外周面とに囲まれた展開部流路を通過する。展開部流路では、流路が押出し機のスクリュー軸方向から曲折されることによって、ゴム組成物の流れは管状から環状流に変換される。展開部流路により環状流に変換されたゴム組成物の流れは、外ダイ穴の内面とマンドレルの外周面との隙間に形成された環状断面を有した環状流路を通過する。その後、ゴム組成物は、マンドレルの先端から押出された芯金と接触し、その芯金と一体となってダイスを通過する。このようにして、芯金がゴム組成物で被覆された導電性ローラが成形される。
【0005】
上述したようなゴム組成物の流路を有するクロスヘッドダイにおいては、流路が曲折するため、周方向の流れが不均一になりやすい。その結果、成形時における導電性ゴムローラの周方向の肉厚が不均一になりやすい。そのため、成形後のローラ研磨時においても肉厚が不均一となる。すると、導電性ゴムローラの周方向における電気抵抗値が大きく変化するので、周方向における電気抵抗のムラが発生しやすくなる。このような肉厚の不均一を抑制する手段として、マンドレルの外周面を加工することによって形成された展開部流路がある。具体的には、複数のマニホールドを有した流路や、マニホールドとプリランドを組み合わせた流路や、スパイラル状の溝を用いたスパイラル状流路などがある。これらの流路を展開部流路として使用することで、ゴム組成物の周方向における流れが不均一になりにくくしている。
【0006】
しかし、上述したようにマンドレルの外周面を加工することによって形成された展開部流路は複雑な形状となる。そのため、流路の滞留箇所の増加や、流路の断面積、表面積、長さの増加をもたらすことが多くなる。その結果、ゴム組成物の滞留時間の増加により、滞留したゴム組成物の熱損傷が大きくなる傾向がある。このような滞留したゴム組成物の熱損傷の影響は、ウェルドラインによって、周方向の電気抵抗のムラとして発生する。すなわち、ゴム組成物の滞留は、流路の壁面付近で発生することが多く、滞留したゴム組成物はウェルドラインに沿って流れる傾向にある。よって、熱損傷により電気抵抗が変化したゴム組成物がウェルドラインに沿って軸方向に連続して流れるために、電気抵抗の周方向のムラを発生させる。
【0007】
この熱損傷の影響は、導電性ゴムローラのゴム組成物として使用される電子導電系ゴムにおいて顕著である。電子導電系ゴムは、導電性充填材を分散させることによって導電性を得ており、温湿度による環境依存性が小さく、原料ゴムに安価な材料が使用できるとういうメリットがある反面、導電性充填材の分散による電気抵抗のバラツキが大きいことが知られている。さらに、分散だけではなく、押出し、研磨等の加工方法、加工条件による電気抵抗の変化もあり、熱風炉における加熱時間によっても電気抵抗が大きく変化することから、熱損傷による電気抵抗の変化が大きいことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−329639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、マンドレルの外周面を加工することより複雑な形状となった展開部流路にゴム組成物を流して導電性ゴムローラを成形する場合、ゴム組成物の滞留時間が増加し、その結果ゴム組成物が熱損傷しやすくなる。この場合、特に、電子導電系ゴムを使用した導電性ゴムローラでは、熱損傷により周方向における電気抵抗のムラが発生しやすくなる。
【0010】
そこで本発明は、導電性ゴムローラの周方向における電気抵抗のムラを小さくすることが可能な導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイ、および導電性ゴムローラの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明による導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドは、内部を軸方向に貫通する外ダイ穴と、前記外ダイ穴の下端開口部よりも上側で前記外ダイ穴に通じ前記軸方向に対して垂直に開口している供給口と、を備えた外ダイと、前記外ダイ穴に配置され、内部を前記軸方向に貫通し前記外ダイ穴と同軸の芯金ガイド穴を備えたマンドレルであって、該マンドレルの外周面を前記供給口と対向する位置から前記外ダイ穴の下端開口部側へ向かって延びているマニホールドと、を備えたマンドレルと、前記外ダイ穴における前記芯金ガイド穴の下端開口部よりも下側に配置され、内部を前記軸方向に貫通し前記外ダイ穴と同軸で前記芯金ガイド穴に通じているダイス穴を備えたダイスと、を有し、前記供給口から流入したゴム組成物を、前記マニホールドの表面と前記外ダイ穴の内面とで囲まれた展開部流路にて前記マニホールドに沿った流れ方向および前記軸方向に沿った流れ方向の各々に流した後に前記ダイス穴に送り込むとともに、芯金を前記芯金ガイド穴から前記ダイス穴に送り込み、前記ダイス穴にて前記芯金を前記ゴム組成物で被覆した導電性ゴムローラを成形し、成形した導電性ゴムローラを前記ダイス穴の下端開口部である円形のダイス口から押出す導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイにおいて、前記マニホールドに沿った流れ方向および前記軸方向に沿った流れ方向の各々に対して垂直な切断面における前記展開部流路の断面積が、前記ダイス口の前記軸方向に垂直な切断面における断面積から前記芯金の前記軸方向に垂直な切断面における断面積を差し引いた押出し断面積の4.1倍以上6.9倍以下であり、前記軸方向における前記供給口の下端部から前記軸方向における前記展開部流路の終端部までの前記展開部流路の長さが、前記軸方向における前記供給口の上端部における前記外ダイ穴の口径の0.5倍以上1.0倍以下である、ことを特徴とする。
【0012】
また、上記目的を達成するための本発明による導電性ゴムローラの製造方法は、内部を軸方向に貫通する外ダイ穴と、前記外ダイ穴の下端開口部よりも上側で前記外ダイ穴に通じ前記軸方向に対して垂直に開口している供給口と、を備えた外ダイと、前記外ダイ穴に配置され、内部を前記軸方向に貫通し前記外ダイ穴と同軸の芯金ガイド穴を備えたマンドレルであって、該マンドレルの外周面を前記供給口と対向する位置から前記外ダイ穴の下端開口部側へ向かって延びているマニホールドと、を備えたマンドレルと、前記外ダイ穴における前記芯金ガイド穴の下端開口部よりも下側に配置され、内部を前記軸方向に貫通し前記外ダイ穴と同軸で前記芯金ガイド穴に通じているダイス穴を備えたダイスと、を有する導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイを用いて、芯金がゴム組成物で被覆された導電性ゴムローラを製造する方法において、前記ゴム組成物を前記供給口から流入し、流入したゴム組成物を、前記マニホールドの表面と前記外ダイ穴の内面とで囲まれた展開部流路にて前記マニホールドに沿った流れ方向および前記軸方向に沿った流れ方向の各々に流した後に前記ダイス穴に送り込むとともに、前記芯金を前記芯金ガイド穴から前記ダイス穴に送り込み、前記ダイス穴にて前記芯金を前記ゴム組成物で被覆することによって前記導電性ゴムローラを成形し、成形した導電性ゴムローラを前記ダイス穴の下端開口部である円形のダイス口より押出す工程を有し、前記マニホールドに沿った流れ方向および前記軸方向に沿った流れ方向の各々に対して垂直な切断面における前記展開部流路の断面積を、前記ダイス口の前記軸方向に垂直な切断面における断面積から前記芯金の前記軸方向に垂直な切断面における断面積を差し引いた押出し断面積の4.1倍以上6.9倍以下にするとともに、前記軸方向における前記供給口の下端部から前記軸方向における前記展開部流路の終端部までの前記展開部流路の長さを、前記軸方向における前記供給口の上端部における前記外ダイ穴の口径の0.5倍以上1.0倍以下にする、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、展開部流路の断面積および長さが適正化される。そのため、クロスヘッドダイにおけるゴム組成物の滞留時間が短縮されるので、ゴム組成物の熱損傷の低減が可能となる。これにより、導電性ゴムローラの周方向における電気抵抗のムラを小さくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1の導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイの断面図である。
【図2】図1に示す導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイの要部を示す断面図である。
【図3】図2に記載の切断線X−Xに沿った断面図である。
【図4】実施形態1の導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイに設けられているマンドレルの外形図である。
【図5】図2に記載の切断線A−A〜切断線E−Eに沿った各断面図である。
【図6】図2に示すクロスヘッドダイに形成される展開部流路の断面積を説明するための図である。
【図7】実施形態2の導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイの断面図である。
【図8】図7に記載の切断線Y−Yに沿った断面図である。
【図9】実施形態2の導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイに設けられているマンドレルの外形図である。
【図10】図7に記載の切断線F−F〜切断線J−Jに沿った各断面図である。
【図11】図7に示すクロスヘッドダイに形成される展開部流路の断面積を説明するための図である。
【図12】従来の導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態1)
図1は、本実施形態の導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイの断面図である。さらに詳しくは、図1は、押出し機1から供給されるゴム組成物11と芯金供給装置6から送られてくる芯金13とをクロスヘッドダイ20の中でクロスさせて共押出しする工程の断面図である。
【0016】
本実施形態では、まず、押出し機1のゴム投入口(図示せず)からゴム組成物11を短冊状もしくはリボン巻き状で投入する。押出し機1のシリンダ2内でスクリュー3が回転することにより、ゴム組成物11はシリンダ2の先端部に接続されたクロスヘッドダイ20に向かって徐々に押出されていく。シリンダ2やスクリュー3には、温度を一定に保つために温水が循環させてある。温水の温度は押出しするゴム組成物の種類によって決まるが、本実施形態では30℃から100℃の範囲内とする。スクリュー3によって押出されてきたゴム組成物11は、スクリュー3の先に設置したブレーカープレート4を通ることでその流れが整流される。その後、ゴム組成物11は、供給口50を通じてクロスヘッドダイ20の外ダイ穴57に流入する。なお、ブレーカープレート4にメッシュ(図示せず)を取り付けることで、ゴム組成物11の中の異物等を除去することもできる。クロスヘッドダイ20にも、温水を循環させることで温度制御がなされている。
【0017】
クロスヘッドダイ20では、外ダイ22の外ダイ穴57にマンドレル21を挿入することで、展開部流路51と、展開部流路51に連続する環状流路52とが形成されている。これにより、供給口50から供給されるゴム組成物11は、展開部流路51で管状流から環状流に展開された後に、環状流路52を通過して、押出し出口55に向かう方向である押出し出口方向103に設置されたダイス穴56に送り込まれる。このダイス穴56を備えたダイス23は、外ダイ穴57におけるマンドレル21よりも下側に配置された偏肉調整部24に設置されており、マンドレル21から押出される芯金13の中心軸に対するダイス穴56の中心軸を調整することができる。なお、マンドレル21の先端にニップル26が設置されているが、ニップル26はマンドレル21と一体であってもよい。
【0018】
一方、芯金13は、芯金供給装置6の芯金送りローラ7によってクロスヘッドダイ20の上端部に設置された芯金ガイド25の芯金供給口30からマンドレル21の中へ送り込まれる。本実施形態において、芯金13にはゴム組成物11と接着するための接着剤32が、芯金13の両端を除いて塗布されている。芯金供給口30から流入した芯金13は、芯金供給口30に連通する芯金ガイド穴31を流れる。芯金ガイド穴31は、マンドレル21の内部をその軸方向に貫通し、その内径が芯金13の外径に対して0.01〜0.02mm大きい。芯金13は、芯金ガイド穴31からダイス穴56に連続的に送り込まれる。なお、本実施形態では芯金ガイド25とマンドレル21とは別部材であるが一体であってもよい。また、芯金13へのキズを防止するために、芯金ガイド25およびマンドレル21の各々は樹脂製であってもよい。
【0019】
芯金ガイド穴31からダイス穴56に送り込まれた芯金13は、外ダイ穴57からダイス穴56に送り込まれたゴム組成物11にダイス穴56にて被覆される。このとき、芯金13とゴム組成物11が共にダイス23で外径を制御されながらゴムローラ形状に成形される。その後、成形された導電性ゴムローラ12が外ダイ穴57の下端開口部である円形のダイス口54から押出される。ダイス口54から押出された導電性ゴムローラ12の外径は、ゴム組成物11の押出し量を一定とした場合には、ダイス口54の口径と芯金13の供給速度により決定される。なお、本実施形態では、芯金13は円柱状であり、材質は導電性であればよいが金属製であることが望ましい。
【0020】
次に、クロスヘッドダイ20の要部の構成について説明する。図2は、図1に示す導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイの要部を示す断面図である。図2では、マンドレル21と芯金13以外のものを断面図で示す。また、図3は、図2に記載の切断線X−Xに沿った断面図である。
【0021】
本実施形態のクロスヘッドダイ20において、外ダイ22は、外ダイ穴57と、供給口50と、を備えている。外ダイ穴57は、外ダイ22の内部を軸方向に貫通している。供給口50は、軸方向における外ダイ穴57の下端開口部よりも上側で外ダイ穴57に通じ軸方向に対して垂直に開口している。
【0022】
外ダイ穴57に配置されているマンドリル21は、芯金ガイド穴31と、マニホールド61と、を備えている。芯金ガイド穴31は、マンドリル21の内部を軸方向に貫通し外ダイ穴57と同軸である。マニホールド61は、マンドリル21の外周面を供給口50と対向する位置から外ダイ穴57の下端開口部側に向かって延びている。
【0023】
外ダイ穴57における芯金ガイド穴31の下端開口部よりも下側に配置されるダイス23は、ダイス穴56を備える。ダイス穴56は、ダイス23の内部を軸方向に貫通し外ダイ穴57と同軸で芯金ガイド穴31に通じている。ここで、図4を参照しながらマンドレル21の外形について詳しく説明する。
【0024】
図4は、本実施形態の導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイに設けられているマンドレルの外形図である。図4(a)は、本実施形態のマンドレル21の斜視図である。図4(b)は、図4(a)に示すマンドレル21を下から見た下面図である。図4(c)は、図4(a)に示すマンドレル21を横から見た側面図である。図4(d)は、図4(a)に示すマンドレル21を上から見た上面図である。図4に示すように、マンドレル21の外周面には一対のプリランド62付きマニホールド61が形成されている。一対のプリランド62付きマニホールド61は、各々がマンドレル21の外周面で互いに連続し、マンドレル21の中心軸と供給口の中心軸を含む面に対して面対称となっている。マンドレル21が外ダイ22の外ダイ穴57に挿入されると、一対のプリランド付きマニホールド61の表面と外ダイ穴57の内面とで囲まれた展開部流路51が形成される。本発明では、この展開部流路51に特徴がある。この展開部流路51では、供給口50から供給されたゴム組成物11の流れは2種類ある。流れの一方は、マニホールド61に沿って2分割された後マンドレル21の外周面を周方向に180°流れた後に合流する流れである。流れの他方は、プリランド62と外ダイ22との隙間にプリランド幅W(図3参照)の環状断面を有する軸方向に沿った流れである。この展開部流路51によって、押出し出口方向103(図1参照)への環状流に変換されたゴム組成物11は、ダイス23で芯金13と一体となってダイス口54から押し出される。本発明では、クロスヘッドダイ20におけるゴム組成物11の滞留時間を短縮するためには、展開部流路51の断面積および展開部流路51の長さが重要な要素であることを見出した。ここで、この展開部流路51の断面積および展開部流路51の長さについて説明する。
【0025】
まず、展開部流路51の断面積について説明する。図5は、図2に記載の切断線A−A〜切断線E−Eに沿った各断面図である。また、図6は、図2に示すクロスヘッドダイに形成される展開部流路の断面積を説明するための図である。図6(a)は、図5の各断面に示された展開部流路51について外ダイ穴57の周方向を平面状に展開して示した展開図である。図6(b)は、図6(a)に記載の切断線A−Aに沿った断面図である。図6(c)は、図6(a)に記載の切断線B−Bに沿った断面図である。図6(d)は、図6(a)に記載の切断線C−Cに沿った断面図である。
【0026】
図6(a)では、横軸は図5(a)に記載の角度を示し、縦軸は、外ダイ穴57の軸方向における位置を示している。図5(a)に記載の角度は、外ダイ穴57(芯金ガイド穴31)の中心軸から見て鉛直方向上側を0°とし、供給口50が配置されている方向を90°としている。本実施形態では、図5の各断面図に示された展開部流路51を図6(a)の座標系に変換すると、展開部流路51は供給口50を中心とした扇状として示される。
【0027】
本実施形態では、展開部流路51の断面積は、マニホールド61に沿った流れ方向の流れ方向P1(図6(a)参照)および外ダイ穴57の軸方向に沿った流れ方向P2(図6(a)参照)の各々に対して垂直な切断面における断面積としている。この展開部流路51の断面積の一例が、図6(b)〜(d)に示されている。なお、本実施形態では、図6(b)〜(d)にそれぞれ示された展開部流路51の断面積が一定になるように、軸方向における展開部流路51の終端部に向けてマニホールド61の深さが調整されている。
【0028】
本実施形態では、上述した展開部流路51の断面積が、押出し断面積に対して4.1倍以上6.9倍以下としている。なお、押出し断面積とは、外ダイ穴57の軸方向に垂直な断面で見たときの、ダイス口54の断面積から芯金13の断面積を差し引いた断面積である。
【0029】
次に、展開部流路51の長さについて説明する。本発明では、展開部流路51の長さLは、図2に示すように、外ダイ穴57の軸方向における供給口50の下端部から前記軸方向における展開部流路51の終端部までの長さとしている。本実施形態では、この展開部流路51の長さLは、外ダイ穴57の軸方向における供給口50の上端部における外ダイ穴57の口径d1(図2参照)に対して0.5倍以上1.0倍以下である。
【0030】
上記のように展開部流路51の断面積および展開部流路51の長さを規定することによって、供給口50から供給されたゴム組成物11を安定した環状流に変換することが可能となる。そのため、ゴム組成物11の滞留時間を低減することが可能となる。よって、ゴム組成物11の熱損傷の低減が可能となるため、ウェルドラインの影響も小さくなる。これにより、導電性ゴムローラ12の周方向における電気抵抗のムラを小さくすることが可能となる。
【0031】
なお、展開部流路51の断面積及び長さについては、上述した通りではあるが、使用する押出し機やゴム組成物に基づいて補正することができる。具体的には、ダイス口54における圧力と供給口50における圧力との差であるクロスヘッドダイ20の圧損を、押出し機1の最大押出し圧力以下にすればよい。クロスヘッドダイ20の圧損は、導電性ゴムローラ12の押出し速度と、使用するゴム組成物11の粘度と、クロスヘッドダイ20の流路形状、芯金13の外径、芯金13の送り速度により求めることができる。
【0032】
ゴム組成物11が被覆した芯金13はダイス23から押出され、その芯金13の後端と、後続の芯金13の先端とは、切断刃8によって切断される。その後、引取り機(図示せず)によって引き取られて、導電性ゴムローラ12が1本ずつ得られる。
【0033】
(実施形態2)
図7は、本実施形態の導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイの要部を示す断面図である。図7では、マンドレル41と芯金13以外のものを断面図で示す。また、図8は、図7に記載の切断線Y−Yに沿った断面図である。なお、実施形態1で説明したクロスヘッドダイ20と同様の構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0034】
本実施形態のクロスヘッドダイ40は、マンドレル41の外形が実施形態1のクロスヘッドダイ20のマンドレル21と相違する。これに伴い、展開部流路42および環状流路43の形状も展開部流路51および環状流路51とそれぞれ異なる。ここで、図9を参照しながらマンドレル41の外形について詳しく説明する。
【0035】
図9は、本実施形態の導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイに設けられているマンドレルの外形図である。図9(a)は、本実施形態のマンドレル41の斜視図である。図9(b)は、図9(a)に示すマンドレル41を下から見た下面図である。図9(c)は、図9(a)に示すマンドレル21を横から見た側面図である。図9(d)は、図9(a)に示すマンドレル21を上から見た上面図である。図9に示すように、マンドレル41の外周面には、2条マニホールド44が形成されている。2条マニホールド44は、一対の第1の部分44aと、一対の第2の部分44bと、を有している。一対の第1の部分44aは、マンドレル41の外周面を供給口50に対向する位置から周方向に各々反対に90°延びている。一対の第2の部分44bは、一対の第1の部分44aの各々に個別に連続し展開部流路42の終端部まで外ダイ穴57の軸方向に延びている。本実施形態では、この2条マニホールド44が形成されたマンドレル41が外ダイ22の外ダイ穴57に挿入されたとき、2条マニホールド44の表面と外ダイ穴57の内面とで囲まれた展開部流路42が形成される。展開部流路42では、供給口50から流入したゴム組成物11は、一対の第1の部分44aに沿って流れた後、一対の第2の部分44bに沿って流れる。すなわち、本実施形態では、外ダイ穴57の軸方向に沿った流れ方向は、一対の第2の部分44bに沿った流れ方向となる。ここで、この展開部流路42の断面積および展開部流路42の長さについて説明する。
【0036】
まず、展開部流路42の断面積について説明する。図10は、図7に記載の切断線F−F〜切断線J−Jに沿った各断面図である。また、図11は、図7に示すクロスヘッドダイに形成される展開部流路の断面積を説明するための図である。図11には、図10の各断面に示された展開部流路42について外ダイ穴57の周方向を平面状に展開して示した展開図と、その展開図に記載された切断線A1−A1〜B2−B2に沿った断面図S1〜S4と、が示されている。
【0037】
図11では、図6(a)と同様に、横軸は図10(a)に記載の角度を示し、縦軸は外ダイ穴57の軸方向における位置を示している。図10に記載の角度は、外ダイ穴57(芯金ガイド穴31)の中心軸から見て鉛直方向上側を0°とし、供給口50が配置されている方向を90°としている。図10の各断面図で示された展開部流路42を図11の座標系に変換すると、展開部流路42は、供給口50から周方向に各々反対に90°回転する方向の流路のあとに、外ダイ穴57の軸方向の流路を備えた形状となっている。本実施形態では、展開流路42の断面積は、流れ方向に垂直な切断面における断面積であるので、第1の部分に対してはS1とS3の合計であり、第2の部分に対してはS2とS4の合計である。S1、S3は、一対の第1の部分44aに沿った流れ方向P1に対して垂直な切断面における断面積である。S2、S4は、一対の第2の部分44bに沿った流れ方向、すなわち軸方向に沿った流れ方向P2に垂直な切断面における断面積である。本実施形態では、S1とS3の合計値、及びS2とS4の合計値が、それぞれ押出し断面積に対して4.1倍以上6.2倍以下としている。なお、押出し面積とは、実施形態1と同様に、外ダイ穴57の軸方向に垂直な断面で見たときの、ダイス口54の断面積から芯金13の断面積を差し引いた断面積である。
【0038】
次に、展開部流路42の長さについて説明する。本発明では、展開部流路42の長さLは、実施形態1と同様に、外ダイ22の軸方向における供給口50の下端部から前記軸方向における展開部流路42の終端部までの長さとしている。本実施形態では、この展開部流路51の長さLは、外ダイ穴57の軸方向における供給口50の上端部における外ダイ穴57の口径d1(図7参照)に対して0.5倍以上1.0倍以下である。
【0039】
上記のように展開部流路42の断面積および展開部流路42の長さを規定することによって、実施形態1と同様に、供給口50から供給されたゴム組成物11を安定した環状流に変換することが可能となる。そのため、ゴム組成物11の滞留時間を低減することが可能となる。よって、ゴム組成物11の熱損傷の低減が可能となるため、ウェルドラインの影響も小さくなる。これにより、導電性ゴムローラ12の周方向における電気抵抗のムラを小さくすることが可能となる。
【0040】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0041】
(実施例1)
本実施例においては、実施形態1で説明した導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイ20を用いて導電性ゴムローラを押出し成形により製作した。
【0042】
まず、本実施例で使用したゴム組成物11について説明する。弾性体材料として、EPT−4045(三井石油化学株式会社製)を100部、酸化亜鉛2種(ハクスイテック株式会社製)を5部、ステアリン酸(日本油株式会社製)を1部、PEG#400(日本油株式会社製)を1部用いた。導電性材料として、ケッチェンブラックEC−600JD(ケッチェンブラッブインターナショナル株式会社製)を8部、シーストSO(東海カーボン株式会社製)を30部用いた。可塑剤として、ダイアナプロセスオイルPW−380(出光株式会社製)を60部用いた。脱水剤として、VESTA BS(井上石灰工業株式会社製)を4部用いた。他の添加剤として、ノクセラーM(大内新興化学工業株式会社製)を1部、ノクセラーTET(大内新興化学工業株式会社製)を1部、ノクセラーTRA(大内新興化学工業株式会社製)を1部、サンファックス200S(鶴見化学工業株式会社製)を1部用いた。
【0043】
次に、本実施例で用いる導電性ローラ成形用のクロスヘッドダイ20の詳細な形状について説明する。ダイス口54の口径d2は8.8mmであり、芯金13の外径d3は6mmである(図2参照)。これにより、押出し断面積は、32.5mm2(3.14×(8.8×8.8−6×6)/4)である。外ダイ穴57の口径d1は30mmである(図2参照)。展開部流路51の長さLは30mmであり、展開部流路51の断面積は223mm2である。本実施例では、展開部流路51の断面積は、押出し断面積に対して6.9倍以下(223/32.5)となっている。また、展開部流路51の長さLは、外ダイ穴57の口径d1に対して1.0倍(30/30)となっている。その他のクロスヘッドダイ20の形状としては、ダイス口54の長さは、10mmである。供給口50の口径d4は14mmである(図2参照)。環状流路52には、長さが1mmで断面積が176mm2の環状断面の流路と、長さが12mmで最大断面積327mm2の環状断面を有したテーパ状の流路とを設けた。成形の条件は、下記のように設定した。
【0044】
押出し本数:導電性ゴムローラ2000本連続押出し
芯金:全長252mm、外径φ6.0mm
導電性ゴムローラ:押出し外径 平均φ8.7狙い
押出し機:三葉製作所製φ70mm、L/D20
スクリュー回転数:8.0rpm
ダイス径:φ8.8mm
押出し速度(1本の押出しに必要な時間):5秒
本実施例では、上記の未加硫のゴム組成物11を押出し機1で押出し加工すると同時に、連続的に芯金13をクロスヘッドダイ20のマンドレル21の芯金ガイド穴31通過させることによって、芯金13の外周にゴム組成物11を被覆させる。そして、先行する芯金13の後端部と後続の芯金13の先端部との間を切断刃8で切断することによって、1本の導電性ゴムローラ12が成形される。その後、導電性ゴムローラ12を170℃で30分間熱風炉に投入して加硫を行う。加硫後の導電性ゴムローラの両端部10mmを突切り加工を行って芯金13を露出させ、ゴム部を直径8.5mmまで研磨して形状を整え、導電性ゴムローラを作製した。
【0045】
(実施例2)
本実施例における導電性ゴムローラは、展開部流路51の断面積を押出し断面積に対して5.5倍とし、展開部流路51の長さLを外ダイ穴57の口径d1に対して0.5倍とする点を除いて実施例1と同様にして製造する。
【0046】
(実施例3)
本実施例においては、実施形態2で説明した導電性ローラ成形用のクロスヘッドダイ40を使用して、実施例1と同様のゴム組成物11から導電性ゴムローラを押出し成形した。
【0047】
本実施例において、ダイス口54の口径d2および芯金13の外径d3は実施例1と同じサイズである(図7参照)。したがって、押出し断面積は、32.5mm2である。また、外ダイ穴51の口径d1も実施例1と同じ30mmである。展開部流路42の断面積は、押出し断面積に対して6.2倍である。展開部流路42の長さLは30mmであり、外ダイ穴57の口径d1に対して1.0倍(30/30)となっている。その他のクロスヘッドダイ40の形状としては、ダイス口54の長さは、10mmである。供給口50の口径d4は14mmである(図7参照)。環状流路43の形状は、実施例1の環状流路52と同様である。また、成形の条件は、実施例1と同じである。
【0048】
(実施例4)
本実施例における導電性ゴムローラは、展開部流路42の断面積を押出し断面積に対して4.1倍とし、展開部流路42の長さLを外ダイ穴57の口径d1に対して0.5倍とする点を除いて実施例3と同様にして製造する。
【0049】
(比較例1)
本比較例においては、図12示す従来の導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイ120を使用して、実施例1と同様のゴム組成物11から導電性ゴムローラを押出し成形した。
【0050】
図12に示すクロスヘッドダイ120において、ダイス口154の口径d2は8.8mmであり、芯金13の外径d3は6mmである。これらの寸法は、各実施例と同じである。これにより、押出し断面積も、各実施例と同じ32.5mm2である。外ダイ151の外ダイ穴157の口径d1は70mmである。マンドレル121の外周面には、マンドレル21と同様に、一対のプリランド162付きマニホールド161が形成されている。また、展開部流路151のプリランド幅wは約3mmである。展開部流路151の断面積は、展開部流路51と同じ方法で算出でき、その値は710mm2である。したがって、本比較例では、展開部流路151の断面積は押出し断面積に対して21.8倍(710/32.5)である。また、展開部流路151の長さLは60mmであり、外ダイ穴157の口径d1に対して0.86倍(60/70)である。その他のクロスヘッドダイ120の形状としては、ダイス口154の長さは、10mmである。供給口150口径d4は30mmである(図12参照)。環状流路152には、長さが90mmで最大断面積1725mm2の環状断面のテーパ流路を設けた。成形の条件は、実施例1と同じである。
【0051】
(評価)
各実施例および比較例で製造された導電性ゴムローラについて、押出し本数が400本間隔で、周方向の電流値を測定し、以下のように、電気抵抗のムラを計算した。具体的には、円柱状の金属ドラムに両端500g荷重で導電性ゴムローラを当接させ、金属ドラムを回転させた状態で、導電性ゴムローラと金属ドラムとの間に200Vの電圧を印加し、測定周期50msecで電流を測定する。そして、電流値の最大値を最小値で除算した値によって電気抵抗のムラを評価する。
【0052】
以上の実施例および比較例における測定結果をそれぞれ下記の表1に示す。なお、表1の展開部流路の断面積は、押出し断面積に対する倍率を示す。展開部流路の長さは、外ダイ穴の口径に対する倍率を示す。
【0053】
【表1】
【0054】
表1より、導電性ゴムローラの周方向における電気抵抗のムラに関して、各実施例で製造された導電性ゴムローラは、押出し本数が増えても安定した数値とすることが可能であった。よって、各例実施例のクロスヘッドダイで導電性ゴムローラを成形すると、ゴム組成物の滞留時間が短縮されるので、ゴム組成物の熱損傷の低減が可能となる。これにより、周方向における電気抵抗のムラを小さくできると考えられる。
【0055】
一方、比較例で製造された導電性ゴムローラは、押出本数が増加するにつれて、周方向における電気抵抗のムラが大きくなっていることがわかる。
【0056】
以上の結果より、本発明のクロスヘッドダイ20、40により、周方向における電気抵抗のムラが小さい導電性ゴムローラを成形することができる。
【0057】
なお、流路の圧力損失を考慮すると、クロスヘッドダイ20、40に形成される各流路に関係する寸法の範囲は、以下のような範囲が好適である。外ダイ穴の口径d1の範囲は、25mm〜35mmが望ましい。供給口50の口径の範囲は、10〜16mmが望ましい。環状流路52、43については、展開部流路51、42から芯金13までを滑らかに連結するように環状断面を有したテーパ流路を設けることが望ましい。芯金13の直径d3の範囲は4〜10mmが望ましく、導電性ゴムローラ12の外径の範囲は7mm〜12mmが望ましい。
【符号の説明】
【0058】
11 ゴム組成物
13 芯金
20、40、120 クロスヘッドダイ
21 マンドレル
22 外ダイ
23 ダイス
31 芯金ガイド穴
50 供給口
51 展開部流路
54 ダイス口
56 ダイス穴
57 外ダイ穴
61 マニホールド
【技術分野】
【0001】
本発明は、芯金にゴム組成物を被覆してなる導電性ゴムローラを押出し成形するための導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイ、および導電性ゴムローラの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴム等の熱硬化性の未加硫のゴム組成物を押出し機によりローラ状に押出して成形するためのダイには、クロスヘッドダイがある。クロスヘッドダイは、スクリュー軸とダイがある角度を持って配置されている。そのため、ダイ内に空気や芯金を通すことができ、ローラ状になったゴム組成物の内部に芯金などを通すことも可能である。これにより、ゴム層の押出し工程に芯金の被覆工程を組み込めるため、工程の簡略化ができるなどの利点がある(特許文献1参照)。
【0003】
クロスヘッドダイの一般的な構造としては、略円筒状の外ダイ穴と、外ダイ穴とある角度をもったゴム組成物を供給するための供給口と、を有した外ダイに、軸方向に芯金を通過させるための芯金ガイド穴を持った略円筒状のマンドレルが挿入されている。このとき、外ダイとマンドレルとの隙間に供給口と連通したゴム組成物の流路が形成される。マンドレルの先端から芯金の押出し出口方向には、ある距離を離れた位置に導電性ゴムローラを成形するために円形状断面のダイス口をもつダイスが配置されている。
【0004】
ここで、上記のような構成のクロスヘッドダイ内部におけるゴム組成物の流れについて説明する。まず、押出し機より供給口に供給されたゴム組成物は、外ダイ穴の内面とマンドレルの外周面とに囲まれた展開部流路を通過する。展開部流路では、流路が押出し機のスクリュー軸方向から曲折されることによって、ゴム組成物の流れは管状から環状流に変換される。展開部流路により環状流に変換されたゴム組成物の流れは、外ダイ穴の内面とマンドレルの外周面との隙間に形成された環状断面を有した環状流路を通過する。その後、ゴム組成物は、マンドレルの先端から押出された芯金と接触し、その芯金と一体となってダイスを通過する。このようにして、芯金がゴム組成物で被覆された導電性ローラが成形される。
【0005】
上述したようなゴム組成物の流路を有するクロスヘッドダイにおいては、流路が曲折するため、周方向の流れが不均一になりやすい。その結果、成形時における導電性ゴムローラの周方向の肉厚が不均一になりやすい。そのため、成形後のローラ研磨時においても肉厚が不均一となる。すると、導電性ゴムローラの周方向における電気抵抗値が大きく変化するので、周方向における電気抵抗のムラが発生しやすくなる。このような肉厚の不均一を抑制する手段として、マンドレルの外周面を加工することによって形成された展開部流路がある。具体的には、複数のマニホールドを有した流路や、マニホールドとプリランドを組み合わせた流路や、スパイラル状の溝を用いたスパイラル状流路などがある。これらの流路を展開部流路として使用することで、ゴム組成物の周方向における流れが不均一になりにくくしている。
【0006】
しかし、上述したようにマンドレルの外周面を加工することによって形成された展開部流路は複雑な形状となる。そのため、流路の滞留箇所の増加や、流路の断面積、表面積、長さの増加をもたらすことが多くなる。その結果、ゴム組成物の滞留時間の増加により、滞留したゴム組成物の熱損傷が大きくなる傾向がある。このような滞留したゴム組成物の熱損傷の影響は、ウェルドラインによって、周方向の電気抵抗のムラとして発生する。すなわち、ゴム組成物の滞留は、流路の壁面付近で発生することが多く、滞留したゴム組成物はウェルドラインに沿って流れる傾向にある。よって、熱損傷により電気抵抗が変化したゴム組成物がウェルドラインに沿って軸方向に連続して流れるために、電気抵抗の周方向のムラを発生させる。
【0007】
この熱損傷の影響は、導電性ゴムローラのゴム組成物として使用される電子導電系ゴムにおいて顕著である。電子導電系ゴムは、導電性充填材を分散させることによって導電性を得ており、温湿度による環境依存性が小さく、原料ゴムに安価な材料が使用できるとういうメリットがある反面、導電性充填材の分散による電気抵抗のバラツキが大きいことが知られている。さらに、分散だけではなく、押出し、研磨等の加工方法、加工条件による電気抵抗の変化もあり、熱風炉における加熱時間によっても電気抵抗が大きく変化することから、熱損傷による電気抵抗の変化が大きいことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−329639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、マンドレルの外周面を加工することより複雑な形状となった展開部流路にゴム組成物を流して導電性ゴムローラを成形する場合、ゴム組成物の滞留時間が増加し、その結果ゴム組成物が熱損傷しやすくなる。この場合、特に、電子導電系ゴムを使用した導電性ゴムローラでは、熱損傷により周方向における電気抵抗のムラが発生しやすくなる。
【0010】
そこで本発明は、導電性ゴムローラの周方向における電気抵抗のムラを小さくすることが可能な導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイ、および導電性ゴムローラの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明による導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドは、内部を軸方向に貫通する外ダイ穴と、前記外ダイ穴の下端開口部よりも上側で前記外ダイ穴に通じ前記軸方向に対して垂直に開口している供給口と、を備えた外ダイと、前記外ダイ穴に配置され、内部を前記軸方向に貫通し前記外ダイ穴と同軸の芯金ガイド穴を備えたマンドレルであって、該マンドレルの外周面を前記供給口と対向する位置から前記外ダイ穴の下端開口部側へ向かって延びているマニホールドと、を備えたマンドレルと、前記外ダイ穴における前記芯金ガイド穴の下端開口部よりも下側に配置され、内部を前記軸方向に貫通し前記外ダイ穴と同軸で前記芯金ガイド穴に通じているダイス穴を備えたダイスと、を有し、前記供給口から流入したゴム組成物を、前記マニホールドの表面と前記外ダイ穴の内面とで囲まれた展開部流路にて前記マニホールドに沿った流れ方向および前記軸方向に沿った流れ方向の各々に流した後に前記ダイス穴に送り込むとともに、芯金を前記芯金ガイド穴から前記ダイス穴に送り込み、前記ダイス穴にて前記芯金を前記ゴム組成物で被覆した導電性ゴムローラを成形し、成形した導電性ゴムローラを前記ダイス穴の下端開口部である円形のダイス口から押出す導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイにおいて、前記マニホールドに沿った流れ方向および前記軸方向に沿った流れ方向の各々に対して垂直な切断面における前記展開部流路の断面積が、前記ダイス口の前記軸方向に垂直な切断面における断面積から前記芯金の前記軸方向に垂直な切断面における断面積を差し引いた押出し断面積の4.1倍以上6.9倍以下であり、前記軸方向における前記供給口の下端部から前記軸方向における前記展開部流路の終端部までの前記展開部流路の長さが、前記軸方向における前記供給口の上端部における前記外ダイ穴の口径の0.5倍以上1.0倍以下である、ことを特徴とする。
【0012】
また、上記目的を達成するための本発明による導電性ゴムローラの製造方法は、内部を軸方向に貫通する外ダイ穴と、前記外ダイ穴の下端開口部よりも上側で前記外ダイ穴に通じ前記軸方向に対して垂直に開口している供給口と、を備えた外ダイと、前記外ダイ穴に配置され、内部を前記軸方向に貫通し前記外ダイ穴と同軸の芯金ガイド穴を備えたマンドレルであって、該マンドレルの外周面を前記供給口と対向する位置から前記外ダイ穴の下端開口部側へ向かって延びているマニホールドと、を備えたマンドレルと、前記外ダイ穴における前記芯金ガイド穴の下端開口部よりも下側に配置され、内部を前記軸方向に貫通し前記外ダイ穴と同軸で前記芯金ガイド穴に通じているダイス穴を備えたダイスと、を有する導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイを用いて、芯金がゴム組成物で被覆された導電性ゴムローラを製造する方法において、前記ゴム組成物を前記供給口から流入し、流入したゴム組成物を、前記マニホールドの表面と前記外ダイ穴の内面とで囲まれた展開部流路にて前記マニホールドに沿った流れ方向および前記軸方向に沿った流れ方向の各々に流した後に前記ダイス穴に送り込むとともに、前記芯金を前記芯金ガイド穴から前記ダイス穴に送り込み、前記ダイス穴にて前記芯金を前記ゴム組成物で被覆することによって前記導電性ゴムローラを成形し、成形した導電性ゴムローラを前記ダイス穴の下端開口部である円形のダイス口より押出す工程を有し、前記マニホールドに沿った流れ方向および前記軸方向に沿った流れ方向の各々に対して垂直な切断面における前記展開部流路の断面積を、前記ダイス口の前記軸方向に垂直な切断面における断面積から前記芯金の前記軸方向に垂直な切断面における断面積を差し引いた押出し断面積の4.1倍以上6.9倍以下にするとともに、前記軸方向における前記供給口の下端部から前記軸方向における前記展開部流路の終端部までの前記展開部流路の長さを、前記軸方向における前記供給口の上端部における前記外ダイ穴の口径の0.5倍以上1.0倍以下にする、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、展開部流路の断面積および長さが適正化される。そのため、クロスヘッドダイにおけるゴム組成物の滞留時間が短縮されるので、ゴム組成物の熱損傷の低減が可能となる。これにより、導電性ゴムローラの周方向における電気抵抗のムラを小さくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1の導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイの断面図である。
【図2】図1に示す導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイの要部を示す断面図である。
【図3】図2に記載の切断線X−Xに沿った断面図である。
【図4】実施形態1の導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイに設けられているマンドレルの外形図である。
【図5】図2に記載の切断線A−A〜切断線E−Eに沿った各断面図である。
【図6】図2に示すクロスヘッドダイに形成される展開部流路の断面積を説明するための図である。
【図7】実施形態2の導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイの断面図である。
【図8】図7に記載の切断線Y−Yに沿った断面図である。
【図9】実施形態2の導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイに設けられているマンドレルの外形図である。
【図10】図7に記載の切断線F−F〜切断線J−Jに沿った各断面図である。
【図11】図7に示すクロスヘッドダイに形成される展開部流路の断面積を説明するための図である。
【図12】従来の導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態1)
図1は、本実施形態の導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイの断面図である。さらに詳しくは、図1は、押出し機1から供給されるゴム組成物11と芯金供給装置6から送られてくる芯金13とをクロスヘッドダイ20の中でクロスさせて共押出しする工程の断面図である。
【0016】
本実施形態では、まず、押出し機1のゴム投入口(図示せず)からゴム組成物11を短冊状もしくはリボン巻き状で投入する。押出し機1のシリンダ2内でスクリュー3が回転することにより、ゴム組成物11はシリンダ2の先端部に接続されたクロスヘッドダイ20に向かって徐々に押出されていく。シリンダ2やスクリュー3には、温度を一定に保つために温水が循環させてある。温水の温度は押出しするゴム組成物の種類によって決まるが、本実施形態では30℃から100℃の範囲内とする。スクリュー3によって押出されてきたゴム組成物11は、スクリュー3の先に設置したブレーカープレート4を通ることでその流れが整流される。その後、ゴム組成物11は、供給口50を通じてクロスヘッドダイ20の外ダイ穴57に流入する。なお、ブレーカープレート4にメッシュ(図示せず)を取り付けることで、ゴム組成物11の中の異物等を除去することもできる。クロスヘッドダイ20にも、温水を循環させることで温度制御がなされている。
【0017】
クロスヘッドダイ20では、外ダイ22の外ダイ穴57にマンドレル21を挿入することで、展開部流路51と、展開部流路51に連続する環状流路52とが形成されている。これにより、供給口50から供給されるゴム組成物11は、展開部流路51で管状流から環状流に展開された後に、環状流路52を通過して、押出し出口55に向かう方向である押出し出口方向103に設置されたダイス穴56に送り込まれる。このダイス穴56を備えたダイス23は、外ダイ穴57におけるマンドレル21よりも下側に配置された偏肉調整部24に設置されており、マンドレル21から押出される芯金13の中心軸に対するダイス穴56の中心軸を調整することができる。なお、マンドレル21の先端にニップル26が設置されているが、ニップル26はマンドレル21と一体であってもよい。
【0018】
一方、芯金13は、芯金供給装置6の芯金送りローラ7によってクロスヘッドダイ20の上端部に設置された芯金ガイド25の芯金供給口30からマンドレル21の中へ送り込まれる。本実施形態において、芯金13にはゴム組成物11と接着するための接着剤32が、芯金13の両端を除いて塗布されている。芯金供給口30から流入した芯金13は、芯金供給口30に連通する芯金ガイド穴31を流れる。芯金ガイド穴31は、マンドレル21の内部をその軸方向に貫通し、その内径が芯金13の外径に対して0.01〜0.02mm大きい。芯金13は、芯金ガイド穴31からダイス穴56に連続的に送り込まれる。なお、本実施形態では芯金ガイド25とマンドレル21とは別部材であるが一体であってもよい。また、芯金13へのキズを防止するために、芯金ガイド25およびマンドレル21の各々は樹脂製であってもよい。
【0019】
芯金ガイド穴31からダイス穴56に送り込まれた芯金13は、外ダイ穴57からダイス穴56に送り込まれたゴム組成物11にダイス穴56にて被覆される。このとき、芯金13とゴム組成物11が共にダイス23で外径を制御されながらゴムローラ形状に成形される。その後、成形された導電性ゴムローラ12が外ダイ穴57の下端開口部である円形のダイス口54から押出される。ダイス口54から押出された導電性ゴムローラ12の外径は、ゴム組成物11の押出し量を一定とした場合には、ダイス口54の口径と芯金13の供給速度により決定される。なお、本実施形態では、芯金13は円柱状であり、材質は導電性であればよいが金属製であることが望ましい。
【0020】
次に、クロスヘッドダイ20の要部の構成について説明する。図2は、図1に示す導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイの要部を示す断面図である。図2では、マンドレル21と芯金13以外のものを断面図で示す。また、図3は、図2に記載の切断線X−Xに沿った断面図である。
【0021】
本実施形態のクロスヘッドダイ20において、外ダイ22は、外ダイ穴57と、供給口50と、を備えている。外ダイ穴57は、外ダイ22の内部を軸方向に貫通している。供給口50は、軸方向における外ダイ穴57の下端開口部よりも上側で外ダイ穴57に通じ軸方向に対して垂直に開口している。
【0022】
外ダイ穴57に配置されているマンドリル21は、芯金ガイド穴31と、マニホールド61と、を備えている。芯金ガイド穴31は、マンドリル21の内部を軸方向に貫通し外ダイ穴57と同軸である。マニホールド61は、マンドリル21の外周面を供給口50と対向する位置から外ダイ穴57の下端開口部側に向かって延びている。
【0023】
外ダイ穴57における芯金ガイド穴31の下端開口部よりも下側に配置されるダイス23は、ダイス穴56を備える。ダイス穴56は、ダイス23の内部を軸方向に貫通し外ダイ穴57と同軸で芯金ガイド穴31に通じている。ここで、図4を参照しながらマンドレル21の外形について詳しく説明する。
【0024】
図4は、本実施形態の導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイに設けられているマンドレルの外形図である。図4(a)は、本実施形態のマンドレル21の斜視図である。図4(b)は、図4(a)に示すマンドレル21を下から見た下面図である。図4(c)は、図4(a)に示すマンドレル21を横から見た側面図である。図4(d)は、図4(a)に示すマンドレル21を上から見た上面図である。図4に示すように、マンドレル21の外周面には一対のプリランド62付きマニホールド61が形成されている。一対のプリランド62付きマニホールド61は、各々がマンドレル21の外周面で互いに連続し、マンドレル21の中心軸と供給口の中心軸を含む面に対して面対称となっている。マンドレル21が外ダイ22の外ダイ穴57に挿入されると、一対のプリランド付きマニホールド61の表面と外ダイ穴57の内面とで囲まれた展開部流路51が形成される。本発明では、この展開部流路51に特徴がある。この展開部流路51では、供給口50から供給されたゴム組成物11の流れは2種類ある。流れの一方は、マニホールド61に沿って2分割された後マンドレル21の外周面を周方向に180°流れた後に合流する流れである。流れの他方は、プリランド62と外ダイ22との隙間にプリランド幅W(図3参照)の環状断面を有する軸方向に沿った流れである。この展開部流路51によって、押出し出口方向103(図1参照)への環状流に変換されたゴム組成物11は、ダイス23で芯金13と一体となってダイス口54から押し出される。本発明では、クロスヘッドダイ20におけるゴム組成物11の滞留時間を短縮するためには、展開部流路51の断面積および展開部流路51の長さが重要な要素であることを見出した。ここで、この展開部流路51の断面積および展開部流路51の長さについて説明する。
【0025】
まず、展開部流路51の断面積について説明する。図5は、図2に記載の切断線A−A〜切断線E−Eに沿った各断面図である。また、図6は、図2に示すクロスヘッドダイに形成される展開部流路の断面積を説明するための図である。図6(a)は、図5の各断面に示された展開部流路51について外ダイ穴57の周方向を平面状に展開して示した展開図である。図6(b)は、図6(a)に記載の切断線A−Aに沿った断面図である。図6(c)は、図6(a)に記載の切断線B−Bに沿った断面図である。図6(d)は、図6(a)に記載の切断線C−Cに沿った断面図である。
【0026】
図6(a)では、横軸は図5(a)に記載の角度を示し、縦軸は、外ダイ穴57の軸方向における位置を示している。図5(a)に記載の角度は、外ダイ穴57(芯金ガイド穴31)の中心軸から見て鉛直方向上側を0°とし、供給口50が配置されている方向を90°としている。本実施形態では、図5の各断面図に示された展開部流路51を図6(a)の座標系に変換すると、展開部流路51は供給口50を中心とした扇状として示される。
【0027】
本実施形態では、展開部流路51の断面積は、マニホールド61に沿った流れ方向の流れ方向P1(図6(a)参照)および外ダイ穴57の軸方向に沿った流れ方向P2(図6(a)参照)の各々に対して垂直な切断面における断面積としている。この展開部流路51の断面積の一例が、図6(b)〜(d)に示されている。なお、本実施形態では、図6(b)〜(d)にそれぞれ示された展開部流路51の断面積が一定になるように、軸方向における展開部流路51の終端部に向けてマニホールド61の深さが調整されている。
【0028】
本実施形態では、上述した展開部流路51の断面積が、押出し断面積に対して4.1倍以上6.9倍以下としている。なお、押出し断面積とは、外ダイ穴57の軸方向に垂直な断面で見たときの、ダイス口54の断面積から芯金13の断面積を差し引いた断面積である。
【0029】
次に、展開部流路51の長さについて説明する。本発明では、展開部流路51の長さLは、図2に示すように、外ダイ穴57の軸方向における供給口50の下端部から前記軸方向における展開部流路51の終端部までの長さとしている。本実施形態では、この展開部流路51の長さLは、外ダイ穴57の軸方向における供給口50の上端部における外ダイ穴57の口径d1(図2参照)に対して0.5倍以上1.0倍以下である。
【0030】
上記のように展開部流路51の断面積および展開部流路51の長さを規定することによって、供給口50から供給されたゴム組成物11を安定した環状流に変換することが可能となる。そのため、ゴム組成物11の滞留時間を低減することが可能となる。よって、ゴム組成物11の熱損傷の低減が可能となるため、ウェルドラインの影響も小さくなる。これにより、導電性ゴムローラ12の周方向における電気抵抗のムラを小さくすることが可能となる。
【0031】
なお、展開部流路51の断面積及び長さについては、上述した通りではあるが、使用する押出し機やゴム組成物に基づいて補正することができる。具体的には、ダイス口54における圧力と供給口50における圧力との差であるクロスヘッドダイ20の圧損を、押出し機1の最大押出し圧力以下にすればよい。クロスヘッドダイ20の圧損は、導電性ゴムローラ12の押出し速度と、使用するゴム組成物11の粘度と、クロスヘッドダイ20の流路形状、芯金13の外径、芯金13の送り速度により求めることができる。
【0032】
ゴム組成物11が被覆した芯金13はダイス23から押出され、その芯金13の後端と、後続の芯金13の先端とは、切断刃8によって切断される。その後、引取り機(図示せず)によって引き取られて、導電性ゴムローラ12が1本ずつ得られる。
【0033】
(実施形態2)
図7は、本実施形態の導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイの要部を示す断面図である。図7では、マンドレル41と芯金13以外のものを断面図で示す。また、図8は、図7に記載の切断線Y−Yに沿った断面図である。なお、実施形態1で説明したクロスヘッドダイ20と同様の構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0034】
本実施形態のクロスヘッドダイ40は、マンドレル41の外形が実施形態1のクロスヘッドダイ20のマンドレル21と相違する。これに伴い、展開部流路42および環状流路43の形状も展開部流路51および環状流路51とそれぞれ異なる。ここで、図9を参照しながらマンドレル41の外形について詳しく説明する。
【0035】
図9は、本実施形態の導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイに設けられているマンドレルの外形図である。図9(a)は、本実施形態のマンドレル41の斜視図である。図9(b)は、図9(a)に示すマンドレル41を下から見た下面図である。図9(c)は、図9(a)に示すマンドレル21を横から見た側面図である。図9(d)は、図9(a)に示すマンドレル21を上から見た上面図である。図9に示すように、マンドレル41の外周面には、2条マニホールド44が形成されている。2条マニホールド44は、一対の第1の部分44aと、一対の第2の部分44bと、を有している。一対の第1の部分44aは、マンドレル41の外周面を供給口50に対向する位置から周方向に各々反対に90°延びている。一対の第2の部分44bは、一対の第1の部分44aの各々に個別に連続し展開部流路42の終端部まで外ダイ穴57の軸方向に延びている。本実施形態では、この2条マニホールド44が形成されたマンドレル41が外ダイ22の外ダイ穴57に挿入されたとき、2条マニホールド44の表面と外ダイ穴57の内面とで囲まれた展開部流路42が形成される。展開部流路42では、供給口50から流入したゴム組成物11は、一対の第1の部分44aに沿って流れた後、一対の第2の部分44bに沿って流れる。すなわち、本実施形態では、外ダイ穴57の軸方向に沿った流れ方向は、一対の第2の部分44bに沿った流れ方向となる。ここで、この展開部流路42の断面積および展開部流路42の長さについて説明する。
【0036】
まず、展開部流路42の断面積について説明する。図10は、図7に記載の切断線F−F〜切断線J−Jに沿った各断面図である。また、図11は、図7に示すクロスヘッドダイに形成される展開部流路の断面積を説明するための図である。図11には、図10の各断面に示された展開部流路42について外ダイ穴57の周方向を平面状に展開して示した展開図と、その展開図に記載された切断線A1−A1〜B2−B2に沿った断面図S1〜S4と、が示されている。
【0037】
図11では、図6(a)と同様に、横軸は図10(a)に記載の角度を示し、縦軸は外ダイ穴57の軸方向における位置を示している。図10に記載の角度は、外ダイ穴57(芯金ガイド穴31)の中心軸から見て鉛直方向上側を0°とし、供給口50が配置されている方向を90°としている。図10の各断面図で示された展開部流路42を図11の座標系に変換すると、展開部流路42は、供給口50から周方向に各々反対に90°回転する方向の流路のあとに、外ダイ穴57の軸方向の流路を備えた形状となっている。本実施形態では、展開流路42の断面積は、流れ方向に垂直な切断面における断面積であるので、第1の部分に対してはS1とS3の合計であり、第2の部分に対してはS2とS4の合計である。S1、S3は、一対の第1の部分44aに沿った流れ方向P1に対して垂直な切断面における断面積である。S2、S4は、一対の第2の部分44bに沿った流れ方向、すなわち軸方向に沿った流れ方向P2に垂直な切断面における断面積である。本実施形態では、S1とS3の合計値、及びS2とS4の合計値が、それぞれ押出し断面積に対して4.1倍以上6.2倍以下としている。なお、押出し面積とは、実施形態1と同様に、外ダイ穴57の軸方向に垂直な断面で見たときの、ダイス口54の断面積から芯金13の断面積を差し引いた断面積である。
【0038】
次に、展開部流路42の長さについて説明する。本発明では、展開部流路42の長さLは、実施形態1と同様に、外ダイ22の軸方向における供給口50の下端部から前記軸方向における展開部流路42の終端部までの長さとしている。本実施形態では、この展開部流路51の長さLは、外ダイ穴57の軸方向における供給口50の上端部における外ダイ穴57の口径d1(図7参照)に対して0.5倍以上1.0倍以下である。
【0039】
上記のように展開部流路42の断面積および展開部流路42の長さを規定することによって、実施形態1と同様に、供給口50から供給されたゴム組成物11を安定した環状流に変換することが可能となる。そのため、ゴム組成物11の滞留時間を低減することが可能となる。よって、ゴム組成物11の熱損傷の低減が可能となるため、ウェルドラインの影響も小さくなる。これにより、導電性ゴムローラ12の周方向における電気抵抗のムラを小さくすることが可能となる。
【0040】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0041】
(実施例1)
本実施例においては、実施形態1で説明した導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイ20を用いて導電性ゴムローラを押出し成形により製作した。
【0042】
まず、本実施例で使用したゴム組成物11について説明する。弾性体材料として、EPT−4045(三井石油化学株式会社製)を100部、酸化亜鉛2種(ハクスイテック株式会社製)を5部、ステアリン酸(日本油株式会社製)を1部、PEG#400(日本油株式会社製)を1部用いた。導電性材料として、ケッチェンブラックEC−600JD(ケッチェンブラッブインターナショナル株式会社製)を8部、シーストSO(東海カーボン株式会社製)を30部用いた。可塑剤として、ダイアナプロセスオイルPW−380(出光株式会社製)を60部用いた。脱水剤として、VESTA BS(井上石灰工業株式会社製)を4部用いた。他の添加剤として、ノクセラーM(大内新興化学工業株式会社製)を1部、ノクセラーTET(大内新興化学工業株式会社製)を1部、ノクセラーTRA(大内新興化学工業株式会社製)を1部、サンファックス200S(鶴見化学工業株式会社製)を1部用いた。
【0043】
次に、本実施例で用いる導電性ローラ成形用のクロスヘッドダイ20の詳細な形状について説明する。ダイス口54の口径d2は8.8mmであり、芯金13の外径d3は6mmである(図2参照)。これにより、押出し断面積は、32.5mm2(3.14×(8.8×8.8−6×6)/4)である。外ダイ穴57の口径d1は30mmである(図2参照)。展開部流路51の長さLは30mmであり、展開部流路51の断面積は223mm2である。本実施例では、展開部流路51の断面積は、押出し断面積に対して6.9倍以下(223/32.5)となっている。また、展開部流路51の長さLは、外ダイ穴57の口径d1に対して1.0倍(30/30)となっている。その他のクロスヘッドダイ20の形状としては、ダイス口54の長さは、10mmである。供給口50の口径d4は14mmである(図2参照)。環状流路52には、長さが1mmで断面積が176mm2の環状断面の流路と、長さが12mmで最大断面積327mm2の環状断面を有したテーパ状の流路とを設けた。成形の条件は、下記のように設定した。
【0044】
押出し本数:導電性ゴムローラ2000本連続押出し
芯金:全長252mm、外径φ6.0mm
導電性ゴムローラ:押出し外径 平均φ8.7狙い
押出し機:三葉製作所製φ70mm、L/D20
スクリュー回転数:8.0rpm
ダイス径:φ8.8mm
押出し速度(1本の押出しに必要な時間):5秒
本実施例では、上記の未加硫のゴム組成物11を押出し機1で押出し加工すると同時に、連続的に芯金13をクロスヘッドダイ20のマンドレル21の芯金ガイド穴31通過させることによって、芯金13の外周にゴム組成物11を被覆させる。そして、先行する芯金13の後端部と後続の芯金13の先端部との間を切断刃8で切断することによって、1本の導電性ゴムローラ12が成形される。その後、導電性ゴムローラ12を170℃で30分間熱風炉に投入して加硫を行う。加硫後の導電性ゴムローラの両端部10mmを突切り加工を行って芯金13を露出させ、ゴム部を直径8.5mmまで研磨して形状を整え、導電性ゴムローラを作製した。
【0045】
(実施例2)
本実施例における導電性ゴムローラは、展開部流路51の断面積を押出し断面積に対して5.5倍とし、展開部流路51の長さLを外ダイ穴57の口径d1に対して0.5倍とする点を除いて実施例1と同様にして製造する。
【0046】
(実施例3)
本実施例においては、実施形態2で説明した導電性ローラ成形用のクロスヘッドダイ40を使用して、実施例1と同様のゴム組成物11から導電性ゴムローラを押出し成形した。
【0047】
本実施例において、ダイス口54の口径d2および芯金13の外径d3は実施例1と同じサイズである(図7参照)。したがって、押出し断面積は、32.5mm2である。また、外ダイ穴51の口径d1も実施例1と同じ30mmである。展開部流路42の断面積は、押出し断面積に対して6.2倍である。展開部流路42の長さLは30mmであり、外ダイ穴57の口径d1に対して1.0倍(30/30)となっている。その他のクロスヘッドダイ40の形状としては、ダイス口54の長さは、10mmである。供給口50の口径d4は14mmである(図7参照)。環状流路43の形状は、実施例1の環状流路52と同様である。また、成形の条件は、実施例1と同じである。
【0048】
(実施例4)
本実施例における導電性ゴムローラは、展開部流路42の断面積を押出し断面積に対して4.1倍とし、展開部流路42の長さLを外ダイ穴57の口径d1に対して0.5倍とする点を除いて実施例3と同様にして製造する。
【0049】
(比較例1)
本比較例においては、図12示す従来の導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイ120を使用して、実施例1と同様のゴム組成物11から導電性ゴムローラを押出し成形した。
【0050】
図12に示すクロスヘッドダイ120において、ダイス口154の口径d2は8.8mmであり、芯金13の外径d3は6mmである。これらの寸法は、各実施例と同じである。これにより、押出し断面積も、各実施例と同じ32.5mm2である。外ダイ151の外ダイ穴157の口径d1は70mmである。マンドレル121の外周面には、マンドレル21と同様に、一対のプリランド162付きマニホールド161が形成されている。また、展開部流路151のプリランド幅wは約3mmである。展開部流路151の断面積は、展開部流路51と同じ方法で算出でき、その値は710mm2である。したがって、本比較例では、展開部流路151の断面積は押出し断面積に対して21.8倍(710/32.5)である。また、展開部流路151の長さLは60mmであり、外ダイ穴157の口径d1に対して0.86倍(60/70)である。その他のクロスヘッドダイ120の形状としては、ダイス口154の長さは、10mmである。供給口150口径d4は30mmである(図12参照)。環状流路152には、長さが90mmで最大断面積1725mm2の環状断面のテーパ流路を設けた。成形の条件は、実施例1と同じである。
【0051】
(評価)
各実施例および比較例で製造された導電性ゴムローラについて、押出し本数が400本間隔で、周方向の電流値を測定し、以下のように、電気抵抗のムラを計算した。具体的には、円柱状の金属ドラムに両端500g荷重で導電性ゴムローラを当接させ、金属ドラムを回転させた状態で、導電性ゴムローラと金属ドラムとの間に200Vの電圧を印加し、測定周期50msecで電流を測定する。そして、電流値の最大値を最小値で除算した値によって電気抵抗のムラを評価する。
【0052】
以上の実施例および比較例における測定結果をそれぞれ下記の表1に示す。なお、表1の展開部流路の断面積は、押出し断面積に対する倍率を示す。展開部流路の長さは、外ダイ穴の口径に対する倍率を示す。
【0053】
【表1】
【0054】
表1より、導電性ゴムローラの周方向における電気抵抗のムラに関して、各実施例で製造された導電性ゴムローラは、押出し本数が増えても安定した数値とすることが可能であった。よって、各例実施例のクロスヘッドダイで導電性ゴムローラを成形すると、ゴム組成物の滞留時間が短縮されるので、ゴム組成物の熱損傷の低減が可能となる。これにより、周方向における電気抵抗のムラを小さくできると考えられる。
【0055】
一方、比較例で製造された導電性ゴムローラは、押出本数が増加するにつれて、周方向における電気抵抗のムラが大きくなっていることがわかる。
【0056】
以上の結果より、本発明のクロスヘッドダイ20、40により、周方向における電気抵抗のムラが小さい導電性ゴムローラを成形することができる。
【0057】
なお、流路の圧力損失を考慮すると、クロスヘッドダイ20、40に形成される各流路に関係する寸法の範囲は、以下のような範囲が好適である。外ダイ穴の口径d1の範囲は、25mm〜35mmが望ましい。供給口50の口径の範囲は、10〜16mmが望ましい。環状流路52、43については、展開部流路51、42から芯金13までを滑らかに連結するように環状断面を有したテーパ流路を設けることが望ましい。芯金13の直径d3の範囲は4〜10mmが望ましく、導電性ゴムローラ12の外径の範囲は7mm〜12mmが望ましい。
【符号の説明】
【0058】
11 ゴム組成物
13 芯金
20、40、120 クロスヘッドダイ
21 マンドレル
22 外ダイ
23 ダイス
31 芯金ガイド穴
50 供給口
51 展開部流路
54 ダイス口
56 ダイス穴
57 外ダイ穴
61 マニホールド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を軸方向に貫通する外ダイ穴と、前記外ダイ穴の下端開口部よりも上側で前記外ダイ穴に通じ前記軸方向に対して垂直に開口している供給口と、を備えた外ダイと、前記外ダイ穴に配置され、内部を前記軸方向に貫通し前記外ダイ穴と同軸の芯金ガイド穴を備えたマンドレルであって、該マンドレルの外周面を前記供給口と対向する位置から前記外ダイ穴の下端開口部側へ向かって延びているマニホールドとを備えたマンドレルと、前記外ダイ穴における前記芯金ガイド穴の下端開口部よりも下側に配置され、内部を前記軸方向に貫通し前記外ダイ穴と同軸で前記芯金ガイド穴に通じているダイス穴を備えたダイスと、を有し、前記供給口から流入したゴム組成物を、前記マニホールドの表面と前記外ダイ穴の内面とで囲まれた展開部流路にて前記マニホールドに沿った流れ方向および前記軸方向に沿った流れ方向の各々に流した後に前記ダイス穴に送り込むとともに、芯金を前記芯金ガイド穴から前記ダイス穴に送り込み、前記ダイス穴にて前記芯金を前記ゴム組成物で被覆した導電性ゴムローラを成形し、成形した導電性ゴムローラを前記ダイス穴の下端開口部である円形のダイス口から押出す導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイにおいて、
前記マニホールドに沿った流れ方向および前記軸方向に沿った流れ方向の各々に対して垂直な切断面における前記展開部流路の断面積が、前記ダイス口の前記軸方向に垂直な切断面における断面積から前記芯金の前記軸方向に垂直な切断面における断面積を差し引いた押出し断面積の4.1倍以上6.9倍以下であり、前記軸方向における前記供給口の下端部から前記軸方向における前記展開部流路の終端部までの前記展開部流路の長さが、前記軸方向における前記供給口の上端部における前記外ダイ穴の口径の0.5倍以上1.0倍以下である、ことを特徴とする導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイ。
【請求項2】
前記マニホールドは、前記マンドレルの外周面で互いに連続し前記マンドレルの中心軸と供給口の中心軸を含む面に面対称な一対のプリランド付きマニホールドであり、
前記展開部流路の断面積が、前記押出し断面積の5.5倍以上6.9倍以下である、請求項1に記載の導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイ。
【請求項3】
前記マニホールドは、前記マンドレルの外周面を前記供給口に対向する位置から周方向に各々反対に90°延びている一対の第1の部分と、前記一対の第1の部分の各々に個別に連続し前記終端部まで前記軸方向に延びている一対の第2の部分と、を有する2条マニホールドであり、
前記展開部流路の断面積が、前記押出し断面積の4.1倍以上6.2倍以下である、請求項1に記載の導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイ。
【請求項4】
内部を軸方向に貫通する外ダイ穴と、前記外ダイ穴の下端開口部よりも上側で前記外ダイ穴に通じ前記軸方向に対して垂直に開口している供給口と、を備えた外ダイと、前記外ダイ穴に配置され、内部を前記軸方向に貫通し前記外ダイ穴と同軸の芯金ガイド穴を備えたマンドレルであって、該マンドレルの外周面を前記供給口と対向する位置から前記外ダイ穴の下端開口部側へ向かって延びているマニホールドと、を備えたマンドレルと、前記外ダイ穴における前記芯金ガイド穴の下端開口部よりも下側に配置され、内部を前記軸方向に貫通し前記外ダイ穴と同軸で前記芯金ガイド穴に通じているダイス穴を備えたダイスと、を有する導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイを用いて、芯金がゴム組成物で被覆された導電性ゴムローラを製造する方法において、
前記ゴム組成物を前記供給口から流入し、流入したゴム組成物を、前記マニホールドの表面と前記外ダイ穴の内面とで囲まれた展開部流路にて前記マニホールドに沿った流れ方向および前記軸方向に沿った流れ方向の各々に流した後に前記ダイス穴に送り込むとともに、前記芯金を前記芯金ガイド穴から前記ダイス穴に送り込み、前記ダイス穴にて前記芯金を前記ゴム組成物で被覆することによって前記導電性ゴムローラを成形し、成形した導電性ゴムローラを前記ダイス穴の下端開口部である円形のダイス口より押出す工程を有し、
前記マニホールドに沿った流れ方向および前記軸方向に沿った流れ方向の各々に対して垂直な切断面における前記展開部流路の断面積を、前記ダイス口の前記軸方向に垂直な切断面における断面積から前記芯金の前記軸方向に垂直な切断面における断面積を差し引いた押出し断面積の4.1倍以上6.9倍以下にするとともに、前記軸方向における前記供給口の下端部から前記軸方向における前記展開部流路の終端部までの前記展開部流路の長さを、前記軸方向における前記供給口の上端部における前記外ダイ穴の口径の0.5倍以上1.0倍以下にする、ことを特徴とする導電性ゴムローラの製造方法。
【請求項1】
内部を軸方向に貫通する外ダイ穴と、前記外ダイ穴の下端開口部よりも上側で前記外ダイ穴に通じ前記軸方向に対して垂直に開口している供給口と、を備えた外ダイと、前記外ダイ穴に配置され、内部を前記軸方向に貫通し前記外ダイ穴と同軸の芯金ガイド穴を備えたマンドレルであって、該マンドレルの外周面を前記供給口と対向する位置から前記外ダイ穴の下端開口部側へ向かって延びているマニホールドとを備えたマンドレルと、前記外ダイ穴における前記芯金ガイド穴の下端開口部よりも下側に配置され、内部を前記軸方向に貫通し前記外ダイ穴と同軸で前記芯金ガイド穴に通じているダイス穴を備えたダイスと、を有し、前記供給口から流入したゴム組成物を、前記マニホールドの表面と前記外ダイ穴の内面とで囲まれた展開部流路にて前記マニホールドに沿った流れ方向および前記軸方向に沿った流れ方向の各々に流した後に前記ダイス穴に送り込むとともに、芯金を前記芯金ガイド穴から前記ダイス穴に送り込み、前記ダイス穴にて前記芯金を前記ゴム組成物で被覆した導電性ゴムローラを成形し、成形した導電性ゴムローラを前記ダイス穴の下端開口部である円形のダイス口から押出す導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイにおいて、
前記マニホールドに沿った流れ方向および前記軸方向に沿った流れ方向の各々に対して垂直な切断面における前記展開部流路の断面積が、前記ダイス口の前記軸方向に垂直な切断面における断面積から前記芯金の前記軸方向に垂直な切断面における断面積を差し引いた押出し断面積の4.1倍以上6.9倍以下であり、前記軸方向における前記供給口の下端部から前記軸方向における前記展開部流路の終端部までの前記展開部流路の長さが、前記軸方向における前記供給口の上端部における前記外ダイ穴の口径の0.5倍以上1.0倍以下である、ことを特徴とする導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイ。
【請求項2】
前記マニホールドは、前記マンドレルの外周面で互いに連続し前記マンドレルの中心軸と供給口の中心軸を含む面に面対称な一対のプリランド付きマニホールドであり、
前記展開部流路の断面積が、前記押出し断面積の5.5倍以上6.9倍以下である、請求項1に記載の導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイ。
【請求項3】
前記マニホールドは、前記マンドレルの外周面を前記供給口に対向する位置から周方向に各々反対に90°延びている一対の第1の部分と、前記一対の第1の部分の各々に個別に連続し前記終端部まで前記軸方向に延びている一対の第2の部分と、を有する2条マニホールドであり、
前記展開部流路の断面積が、前記押出し断面積の4.1倍以上6.2倍以下である、請求項1に記載の導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイ。
【請求項4】
内部を軸方向に貫通する外ダイ穴と、前記外ダイ穴の下端開口部よりも上側で前記外ダイ穴に通じ前記軸方向に対して垂直に開口している供給口と、を備えた外ダイと、前記外ダイ穴に配置され、内部を前記軸方向に貫通し前記外ダイ穴と同軸の芯金ガイド穴を備えたマンドレルであって、該マンドレルの外周面を前記供給口と対向する位置から前記外ダイ穴の下端開口部側へ向かって延びているマニホールドと、を備えたマンドレルと、前記外ダイ穴における前記芯金ガイド穴の下端開口部よりも下側に配置され、内部を前記軸方向に貫通し前記外ダイ穴と同軸で前記芯金ガイド穴に通じているダイス穴を備えたダイスと、を有する導電性ゴムローラ成形用のクロスヘッドダイを用いて、芯金がゴム組成物で被覆された導電性ゴムローラを製造する方法において、
前記ゴム組成物を前記供給口から流入し、流入したゴム組成物を、前記マニホールドの表面と前記外ダイ穴の内面とで囲まれた展開部流路にて前記マニホールドに沿った流れ方向および前記軸方向に沿った流れ方向の各々に流した後に前記ダイス穴に送り込むとともに、前記芯金を前記芯金ガイド穴から前記ダイス穴に送り込み、前記ダイス穴にて前記芯金を前記ゴム組成物で被覆することによって前記導電性ゴムローラを成形し、成形した導電性ゴムローラを前記ダイス穴の下端開口部である円形のダイス口より押出す工程を有し、
前記マニホールドに沿った流れ方向および前記軸方向に沿った流れ方向の各々に対して垂直な切断面における前記展開部流路の断面積を、前記ダイス口の前記軸方向に垂直な切断面における断面積から前記芯金の前記軸方向に垂直な切断面における断面積を差し引いた押出し断面積の4.1倍以上6.9倍以下にするとともに、前記軸方向における前記供給口の下端部から前記軸方向における前記展開部流路の終端部までの前記展開部流路の長さを、前記軸方向における前記供給口の上端部における前記外ダイ穴の口径の0.5倍以上1.0倍以下にする、ことを特徴とする導電性ゴムローラの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図10】
【図11】
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【公開番号】特開2011−230485(P2011−230485A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105523(P2010−105523)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】
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