説明

導電性ポリマー発泡体、その製造方法、およびその物品

ポリマー発泡複合体を製造する方法が記載される。本方法は、第一の表面および反対側の第二の表面を有する物品を前駆体組成物から形成する工程であって、前駆体組成物が、ポリマー発泡体前駆体組成物、および複数の磁性導電性粒子を含む充填剤組成物を含む、工程と;前駆体組成物中に複数の気泡を形成するために前駆体組成物を発泡させる工程と;発泡させた前駆体組成物に磁場を印加する工程であって、磁場が、磁性導電性粒子を物品の第一の表面と反対側の第二の表面との間に相互に孤立した鎖状に整列させるのに有効な強度で有効な時間印加される、工程と;1立方フィートあたり約1〜約125ポンドの密度および1平方インチあたり60ポンドの圧力で約10−3Ω・cm〜約10Ω・cmの体積抵抗率を有するポリマー発泡複合体を得るために、ポリマー発泡体前駆体組成物を凝固させる工程とを含む。本方法により製造されるポリマー発泡複合体、ならびにそれから形成される物品も記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、導電性ポリマー発泡体およびその製造方法、ならびにポリマー発泡体を含む物品に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性ポリマー発泡体は、電気接点デバイスとして、センサにおいて、電磁干渉(EMI)/無線周波数干渉(RFI)シールドおよび/または静電散逸を必要とする用途を含めた幅広い用途において使用されている。EMI/RFIシールド能力のある例示的な材料としては、非導電性発泡体ガスケットの周囲を包む金属箔または金属化織物、および導電性材料で被覆された非導電性ガスケットが挙げられる。静電散逸に適した材料としては、例えばシリコーン、ポリウレタン、ポリオレフィンなどの様々なポリマーに添加される導電性充填剤が挙げられる。導電性充填剤を使用することの一欠点は、高導電性を実現するために十分な量の導電性充填剤の添加が、ポリマーの圧縮性および加工性に影響を及ぼすことである。その上、そのような高い充填剤レベルの使用は、ポリマーブレンドのコストを増大させる。使用者はコストと材料の品質との間で妥協を強いられる場合が多い。そのため、EMI/RFIシールドに使用するための高品質の導電性発泡体を実現することはこれまで困難であった。
【0003】
適切な導電性を維持しつつ添加される充填剤の量を最小限に抑えられるポリマー発泡体を提供することが有利となるであろう。特定の用途に望まれる発泡体の圧縮性、加工性、およびその他の物理的特性が著しく悪影響を受けないことがさらに有利となるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、当分野で、特に特定の用途に望まれる1以上の物理的特性に著しい悪影響がなく、発泡体が導電性、圧縮性および加工性を共に備えることのできる組成および方法に対する技術の必要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ポリマー発泡複合体を製造する方法は、第一の表面および反対側の第二の表面を有する物品を前駆体組成物から形成する工程であって、該前駆体組成物が、ポリマー発泡体前駆体組成物、および複数の磁性導電性粒子を含む充填剤組成物を含む、工程と;前記前駆体組成物中に複数の気泡を形成するために該前駆体組成物を発泡させる工程と;前記発泡させた前駆体組成物に磁場を印加する工程であって、該磁場が、前記磁性導電性粒子を前記物品の前記第一の表面と反対側の前記第二の表面との間に相互に孤立した鎖状に整列させるのに有効な強度で有効な時間印加される、工程と;1立方フィートあたり約1〜約125ポンドの密度、および、1平方インチあたり60ポンドの圧力で約10−3Ω・cm〜約10Ω・cmの体積抵抗率を有するポリマー発泡複合体を得るために前記ポリマー発泡体前駆体組成物を凝固させる工程とを含む。
【0006】
ポリマー発泡複合体を製造する方法は、第一の表面および反対側の第二の表面を有する物品を前駆体組成物から形成する工程であって、該前駆体組成物が、ポリマー発泡体前駆体組成物、および複数の磁性導電性粒子を含む充填剤組成物を含む、工程と;前記前駆体組成物中に複数の気泡を形成するために該前駆体組成物を発泡させる工程と;前記発泡させた前駆体組成物に磁場を印加する工程であって、該磁場が、前記磁性導電性粒子を前記物品の前記第一の表面と反対側の前記第二の表面との間に相互に孤立した鎖状に整列させるのに有効な強度で有効な時間印加され、前記発泡させる工程が該磁場を印加する前に実質的に完了している、工程と;1立方フィートあたり約1〜約125ポンドの密度、および、1平方インチあたり60ポンドの圧力で約10−3Ω・cm〜約10Ω・cmの体積抵抗率を有するポリマー発泡複合体を得るために前記ポリマー発泡体前駆体組成物を凝固させる工程とを含む。
【0007】
また、ポリマー発泡複合体を製造する方法も記載され、本方法は、前駆体組成物中に複数の気泡を形成するために該前駆体組成物を機械的に発泡させる工程であって、該前駆体組成物が、ポリマー発泡体前駆体組成物、および複数の磁性導電性粒子を含む充填剤組成物を含む、工程と;前記機械的に発泡させた前駆体組成物から第一の表面および反対側の第二の表面を有する物品を形成する工程と;前記磁性導電性粒子を前記物品の前記第一の表面と反対側の前記第二の表面との間に相互に孤立した鎖状に整列させるのに有効な強度の磁場を有効な時間印加する工程であって、前記発泡させる工程が、該磁性導電性粒子の整列を完了する前に実質的に完了している、工程と;1立方フィートあたり約1〜約125ポンドの密度、および、1平方インチあたり60ポンドの圧力で約10−3Ω・cm〜約10Ω・cmの体積抵抗率を有するポリマー発泡複合体を得るために前記ポリマー前駆体組成物を硬化させる工程とを含む。
【0008】
別の実施形態では、ポリマー発泡複合体を製造する方法は、第一の表面および反対側の第二の表面を有する物品を前駆体組成物から形成する工程であって、前記前駆体組成物が、ポリマー発泡体前駆体組成物、および複数の磁性導電性粒子を含む充填剤組成物を含む、工程と;前記前駆体組成物中に複数の気泡を形成するために該前駆体組成物を発泡させる工程と;前記発泡させた前駆体組成物に磁場を印加する工程であって、該磁場が、前記磁性導電性粒子を前記物品の前記第一の表面と反対側の前記第二の表面との間の相互に孤立した鎖状に整列させるのに有効な強度で有効な時間印加される、工程と;
前記ポリマー発泡体前駆体組成物を凝固させる工程と;1立方フィートあたり約1〜約125ポンドの密度、および、1平方インチあたり60ポンドの圧力で約10−3Ω・cm〜約10Ω・cmの体積抵抗率を有するポリマー発泡複合体を得るために、前記凝固させた発泡体の第一および/または第二の表面を、前記相互に孤立した鎖の端部を少なくとも部分的に露出させるために十分な量取り除く工程とを含む。
【0009】
ポリウレタン発泡複合体を製造する具体的な方法は、気泡を形成するために、ポリイソシアネート成分、ポリイソシアネート成分に反応性の活性水素含有成分、界面活性剤、触媒、および、複数の磁性導電性粒子を含む充填剤組成物を含む、前駆体組成物を機械的に発泡させる工程と;第一の表面および反対側の第二の表面を有する層を形成するために、泡状物質を流延する工程と;前記磁性導電性粒子を、前記層を前記第一の表面と前記第二の表面との間に、本質的に連続的にまたがる相互に孤立した鎖状に整列させるために該層を磁場に曝露する工程であって、前記発泡させる工程が、該磁場を印加するよりも前に実質的に完了している、工程と;1平方インチあたり60ポンドの圧力で約10−3Ω・cm〜約10Ω・cmの体積抵抗率を有するポリウレタン発泡複合体を生成するために前記層を硬化させる工程であって、前記第一の表面と前記第二の表面との間の距離が、前記気泡の平均径の1.5倍より大きい、工程とを含む。
【0010】
シリコーン発泡体を製造する別の具体的な方法は、第一の表面および反対側の第二の表面を有する層を形成するために、水素化物置換基を有するポリシロキサンポリマー、触媒、及び複数の磁性導電性粒子を含む充填剤組成物を含む混合物を流延する工程と;前記混合物を発泡させる工程と;前記磁性導電性粒子を、シリコーン発泡体の第一の表面と第二の反対側の表面との間に、該シリコーン発泡体を本質的に連続的にまたがる相互に孤立した鎖状に整列させるため、前記混合物を印加した磁場で硬化させる工程と;1平方インチあたり60ポンドの圧力で約10−3Ω・cm〜約10Ω・cmの体積抵抗率を有する前記シリコーン発泡複合体を生成するために、前記硬化させた発泡体の前記第一および/または前記第二の表面を、前記相互に孤立した鎖の端部を少なくとも部分的に露出させるのに十分な量取り除く工程とを含む。
【0011】
また、前述の方法により製造されるポリマー発泡複合体も記載する。
【0012】
別の実施形態では、ポリマー発泡複合体は、第一の表面および反対側の第二の表面を有するポリマー発泡体と、前記発泡体の前記第一の表面と反対側の前記第二の表面との間に相互に孤立した鎖状に整列した磁性導電性粒子とを含む、ポリマー発泡複合体であって;前記発泡体が、1立方フィートあたり約1〜約125ポンドの密度と;1平方インチあたり60ポンドの圧力で約10−3Ω・cm〜約10Ω・cmの体積抵抗率とを有する。
【0013】
上記の方法により製造されるポリマー発泡複合体を含む物品についても記載する。
【0014】
発泡体、物品、およびその製造方法は、以下の図面、詳細な説明、および実施例においてより詳細に説明される。
【0015】
開示される主題は、明細書末尾の特許請求の範囲で指し示され、明確に主張する。開示される実施形態の前述の特徴および利点は、添付した図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】例示的な導電性ポリマー発泡体の模式図である。
【0017】
【図2】本方法に従って製造された例示的な導電性ポリウレタン発泡体の断面の顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明者らは、予期せず、ポリマー発泡体において、磁性導電性粒子を発泡体の内部で磁気によって整列させることにより、ポリマー発泡複合体に高い導電性をもたらすことが可能であることを見出した。そのような磁気整列は固体ポリマーでは実証されているが、気泡質ポリマーに導電性をもたらすためにもこの技法が使用できることは予期されないことである。
【0019】
一実施形態では、発泡させた前駆体組成物を形成し、前駆体組成物中の磁性導電性粒子を磁気によって発泡体の2つの表面にまたがる相互に孤立した鎖状に整列させ、粒子の整列後の前駆体組成物のさらなる発泡を防ぎ、発泡体を形成するために前駆体組成物を硬化させるか冷却することにより優れた導電性を実現できることが見出されている。
【0020】
別の実施形態では、発泡させた前駆体組成物を形成し、前駆体組成物中の磁性導電性粒子を磁気によって発泡体の2つの表面にまたがる相互に孤立した鎖状に整列させ、発泡体を形成するために前駆体組成物を硬化させるか冷却し、磁性導電性粒子の相互に孤立した鎖の端部を少なくとも部分的に露出させるために発泡体表面の最上層を取り除くことにより高められた導電性を実現できることが見出されている。
【0021】
これらの方法により製造されるポリマー発泡体は、導電性であり、また、その圧縮性、柔軟性、圧縮永久歪耐性、気泡均一性などの1つ以上を実質的に有してもいる。これらの材料は、EMI/RFIシールドをもたらす物品の形成における使用に特に適している。
【0022】
発泡複合体を形成するために用いられる磁性導電性粒子は、導電性材料と磁性材料の両方を含み、これらは同じ材料であっても異なる材料であってもよい。例示的な導電性材料としては、例えば金、銀、ニッケル、銅、アルミニウム、クロム、コバルト、鉄などの導電性金属、ならびに前述の金属の少なくとも1つを含む酸化物または合金が挙げられる。適切な磁性材料には、強磁性体および常磁性体が含まれる。例示的な磁性材料には、鉄、ニッケル、およびコバルト、ならびにランタニド希土類元素など、ならびに前述の磁性材料の少なくとも1つの酸化物、セラミック、および合金が含まれる。一実施形態では、磁性導電性材料は非酸化性材料でもある。
【0023】
粒子は、完全に磁性導電性材料から形成されてもよいし、あるいは、磁性導電性材料を、非磁性材料、非導電性材料、または非磁性非導電性材料と共にコアまたはコーティングとして使用してもよい。例えば、導電性材料は、鉄粒子などの磁性材料を含むコアを被覆するために使用することができ、または、磁性かつ導電性材料は、ガラスマイクロバルーンを含むガラスなどの非磁性非導電性材料を被覆するために使用することもできる。銀およびニッケルコーティングが特に有用である。具体的な磁性導電性粒子としては、銀コーティングニッケル粒子、銀コーティング鉄粒子、ニッケル粒子、ならびに例えばニッケルコーティング水酸化アルミニウム(Al(OH)、「ATH」)およびニッケルコーティングガラス粒子などのニッケルコーティング粒子、特にニッケルコーティングステンレス鋼粒子が挙げられる。
【0024】
導電性、または磁性かつ導電性材料は、例えば蒸着、無電解めっきなどのコーティング技法により、コア粒子上に堆積させることができる。一実施形態では、ニッケルを水酸化アルミニウム上に堆積させるために無電解めっき工程が使用される。別の実施形態では、ニッケルコーティングを施すためにニッケルカルボニルの蒸着が使用される。導磁性粒子を用いて複合体を形成した場合に、ポリマーの所望の特性に著しく悪影響を及ぼすことなく所望のレベルの導電性を複合体に付与するように、十分な量の導電性材料を導磁性粒子上に被覆する。粒子全てが被覆される必要はなく、またコーティングがそれぞれの粒子を完全に覆う必要もない。従って、少なくとも実質的に被覆された粒子を使用してもよい。例えば、所与の粒子のバッチにおいて、粒子の総表面積の少なくとも約60%が被覆されている、特に少なくとも約70%、より具体的には少なくとも約80%、さらにより具体的には粒子の総表面積の少なくとも約90%が被覆される。コーティングの厚さは、大きくばらつき得る。一実施形態では、コーティングの厚さは、約0.004〜約0.2ミル(約0.1〜約5μm)、特に約0.02〜約0.1ミル(約0.526〜約3μm)である。
【0025】
粒子は、様々な不規則もしくは規則的な形状、例えば、球状、フレーク状、板状または棒状を有することができる。異なる形状の組合せを有する粒子を使用することもできる。球状または棒状の形状が好ましい。一実施形態では、1よりも大きいアスペクト比(長さ/幅)を有する粒子が使用される。粒径は特に限定されないが、例えば、約0.250〜約500μmの平均最大寸法を有してもよい。具体的には、粒子の平均最大寸法は、約1〜約500μm、より具体的には、約100〜約300μmであり得る。この平均サイズは、単一の充填剤、または様々な平均粒度を有する充填剤の混合物によって実現することができる。一実施形態では、粒子は球状であり、約180〜約250μmの平均径を有する。粒子間の接触面積を増大させるために、発泡性粒子(例えば、ニッケルコーティングポリ塩化ビニリデン粒子)または変形可能な粒子(例えば、ニッケルコーティングソフトビーズ)を用いることも可能である。
【0026】
粒子の表面特性を変更するために粒子を表面処理することができる。例えば、ポリマー前駆体組成物との相互作用を低下させるために、粒子を疎水性材料で被覆することができる。例示的なコーティング材料は、シラン(ポリウレタン複合体に有用であり得る)またはフルオロシリコーン(シリコーン複合体に有用であり得る)である。理論に縛られることを望むものではないが、粒子をシランまたはシリコーンで処理することにより、前駆体形成またはポリマー自体の1以上の成分による粒子の濡れが低減されると考えられる。粒子の濡れを制御することにより、粒子を覆うスキンの形成を制御することができる。
【0027】
所望の導電性を達成するために、その他の導電性充填剤をさらに使用することができ、例えばカーボンブラック、PAN繊維などのカーボン繊維、例えば金属コーティングガラス繊維、金属コーティングカーボン繊維、金属コーティング有機繊維、金属コーティングセラミック球、金属コーティングガラスビーズなどの金属コーティング繊維または球、例えばポリアニリン、ポリピロール、微粒子もしくはフィブリル形態のポリチオフェンなどの本質的に導電性のポリマー、例えば酸化錫またはインジウム錫酸化物などの導電性金属酸化物、ならびに前述の導電性充填剤の少なくとも1種を含む組合せも使用することができる。磁性導電性充填剤の導電性充填剤に対する相対比は、使用する充填剤の種類および発泡体の所望の特性によって大きく異なりうる。一般に、充填剤組成物は、それぞれ充填剤組成物の総重量に基づいて、50〜100重量パーセント(重量%)の磁性導電性材料および0〜50重量%の導電性充填剤、より具体的には75〜99重量%の磁性導電性充填剤および1〜25重量%の導電性充填剤を含んでもよい。
【0028】
導電性ポリマー発泡体の製造において使用する充填剤組成物の相対量は、ポリマーの種類、粒子の種類、意図された用途、所望の導電性、発泡体気泡構造、加工特性、および同様の要因によって異なる。一実施形態では、導電性ポリマー発泡複合体は、それぞれ導電性ポリマー発泡体の総重量に基づいて、約10〜約90重量%、特に約20〜約80重量%、さらにより具体的には、約30〜約70重量%の総充填剤含量を含む。あるいは、充填剤の量は、導電性ポリマー発泡体用の前駆体配合物の発泡前の体積パーセント(体積%)として説明されてもよい。一実施形態では、発泡体は、発泡前のポリマー発泡体前駆体配合物の、約1〜約30体積%の充填剤粒子、特に約2〜約20体積%、より具体的には約5〜約17体積%の充填剤粒子を含む。
【0029】
本明細書において用いられる「発泡体」は、気泡構造と、1立方フィートあたり約5〜約150ポンド(pcf)(80〜2402kg/m(kcm))の密度を、特に約125pcf(2002kcm)以下、より具体的には約100pcf(1601kcm)以下、さらにより具体的には約10〜約60pcf(160〜961kcm)以下の密度を有する材料である。このような発泡体は、発泡体の総体積に基づいて、約20〜約99%、特に約30%〜約95%、より具体的には約50%〜約90%の空洞率を有する。発泡体は、連続気泡であっても独立気泡であってもよい。
【0030】
発泡体において使用するポリマーは、幅広い種類の熱可塑性物質、熱可塑性物質のブレンド、または熱硬化性物質から選択することができる。使用することのできる例示的な熱可塑性物質としては、ポリアセタール、ポリアクリル酸、スチレンアクリロニトリル、ポリオレフィン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、例えば、以下に限定されるものではないが、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン11、ナイロン12などのポリアミド類、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリウレタン、エチレンプロピレンゴム(EPR)、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、シリコーン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトンなど、または前述の熱可塑性物質の少なくとも1種を含む組合せが挙げられる。
【0031】
ポリマー発泡体において使用することのできる例示的な熱可塑性物質のブレンドとしては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン/ナイロン、ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン/ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンエーテル/ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル/ナイロン、ポリスルホン/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリカーボネート/熱可塑性ウレタン、ポリカーボネート/ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタラート、熱可塑性エラストマーアロイ、ポリエチレンテレフタラート/ポリブチレンテレフタラート、スチレン−無水マレイン酸/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリエーテルエーテルケトン/ポリエーテルスルホン、スチレン−ブタジエンゴム、ポリエチレン/ナイロン、ポリエチレン/ポリアセタール、エチレンプロピレンゴム(EPR)など、または前述のブレンドの少なくとも1種を含む組合せが挙げられる。
【0032】
ポリマー発泡体において使用することのできる例示的なポリマーの熱硬化性物質としては、ポリウレタン類、エポキシ類、フェノール類、ポリエステル類、ポリアミド類、シリコーン類など、または前述の熱硬化性物質の少なくとも1種を含む組合せが挙げられる。熱硬化性物質のブレンドならびに熱可塑性物質と熱硬化性物質のブレンドを使用してもよい。
【0033】
発泡体の製造における使用で公知であるその他の添加剤、例えば、強化充填剤(例えば、織布、シリカ、ガラス粒子、およびガラスマイクロバルーン)、熱管理を提供するために使用される充填剤、または難燃性充填剤もしくは添加剤などのその他の充填剤が存在していてもよい。例示的な難燃剤としては、例えば、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ホウ素、カルシウム、ニッケル、コバルト、錫、モリブデン、銅、鉄、チタン、またはそれらの組合せを含有する金属水酸化物、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化鉄など;金属酸化物、例えば酸化アンチモン、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化錫、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングステンなど;金属ホウ酸塩、例えばホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウムなど;金属炭酸塩、例えば炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなど;メラミンシアヌレート、リン酸メラミンなど;カーボンブラック、発泡性グラファイトフレーク(例えばGRAFGUARDの商品名でGrafTech International,Ltd.より入手可能なもの)など;ナノクレイ;ならびに臭素化化合物が挙げられる。例示的な難燃性材料は、水酸化マグネシウム、ナノクレイ、および臭素化化合物である。一実施形態では、本ポリマー発泡体の難燃性は、難燃性についての特定のUnderwriter’s Laboratories(UL)規格を満たす。例えば、本ポリマー発泡体は、UL94規格のもとでV−1、好ましくはV−0の等級を有する。
【0034】
存在してもよいさらにその他の添加剤としては、染料、色素(例えば二酸化チタンおよび酸化鉄)、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線(UV)安定剤、導電性充填剤、ポリマーや架橋剤などの硬化のための触媒、ならびに前述の添加剤の少なくとも1種を含む組合せが挙げられる。
【0035】
ポリマー発泡複合体を生成するための一般的な方法において、ポリマー発泡体前駆体組成物は、磁性導電性粒子およびその他の任意選択の添加剤を含む充填剤組成物と組み合わされ、物品、例えば、第一の側面と反対側の第二の側面とを有する層を形成するために使用され、次に磁場に曝露される。層は、磁性導電性粒子を層の第一の表面から反対側の第二の表面に伸びる相互に孤立した鎖状に実質的に整列させるのに有効な強度で有効な時間、磁場に曝露される。発泡は、硬化(または熱可塑性ポリマーの場合には冷却)前の工程における任意の時点または複数の時点において行われることが可能である。任意の時点は、例えば、物品の形成前、物品の形成中、または物品の形成後;磁場への曝露前、磁場への曝露中、または磁場への曝露後;またはそれらの組合せ、例えば、物品の形成前と磁場への曝露中、または物品の形成後と磁場への曝露中、である。一部の実施形態では、発泡は、磁場への曝露前に実質的に完了していることになる。他の実施形態では、発泡は、磁場への曝露中継続することになるが、発泡と磁場への曝露の両方は同時に終わることになる。さらに他の実施形態では、発泡は、磁場への曝露後も起こり続けることになる。
【0036】
前駆体組成物を発泡させることは、機械的発泡(機械的起泡としても知られる)、ブローイング(化学的または物理的)、または、機械的発泡、化学的ブローイング、および物理的ブローイングのうちの少なくとも2つを含む組合せによる。
【0037】
ある具体的な実施形態では、前駆体組成物を発泡させることは、機械的発泡による。場合により、この実施形態では、前駆体組成物は、化学的ブローイング、物理的ブローイング、または、機械的発泡、化学的ブローイング、および物理的ブローイングを含む組合せによりさらに発泡させることができる。なお、一部の実施形態では、機械的発泡だけが使用されることは当然理解される。機械的発泡には、泡立て、混合、攪拌など、または前述の発泡方法のうちの少なくとも1種を含む組合せが含まれ得る。機械的発泡には、発泡体または泡状物質を形成するために、ガスを前駆体組成物の中へ機械的に取り込むことが含まれる。また、発泡には、気泡を分割または壊すことにより気泡サイズおよび気泡の分布を変更するために、気泡を含有する前駆体組成物をかき混ぜ、それによって気泡サイズおよび気泡サイズ分布を選択することも含まれてもよい。ブローイングは、前駆体組成物にガスを与えるための化学的もしくは物理的発泡剤(例えば、クロロフルオロカーボン)を用いて行われ、それによって気泡を形成する。ブローイングは、発泡の前または後に起こってもよいし、あるいは、発泡の前後両方に起こってもよい。
【0038】
一実施形態では、最適な導電性は、磁場への曝露前にポリマー発泡体前駆体組成物を実質的に完全に発泡させることにより実現されることが見出されている。この実施形態では、磁性導電性粒子の整列後にはさらなる発泡は起こらないか、または実質的に起こらない。理論に縛られるのではないが、磁性導電性粒子の整列後のさらなる発泡の結果、表面で粒子を覆い、表面での電気接触から粒子を効果的に絶縁する、発泡体の層または発泡体の表面のスキンがもたらされると考えられる。そのため、一実施形態では、磁場は、磁性導電性粒子を実質的に整列させるため、かつ、発泡体の表面の一面または両面で一つまたは複数の粒子の少なくとも部分的露出をもたらすための両方に有効な強度で有効な時間、印加される。これらの技法のいずれかを使用する場合、発泡体の気泡サイズに対する物品の厚さを限定する必要はない。
【0039】
別の実施形態では、ポリマー複合体発泡体の導電性は、粒子を相互に孤立した鎖の端部で露出させるために硬化または冷却した(熱可塑性物質の場合)発泡体の外表面を取り除くことにより、改善することができることが見出された。この実施形態は、磁性導電性粒子の整列後にポリマー前駆体のさらなる発泡を防ぐ必要がないため、幅広い種類の発泡および硬化もしくは冷却方法を可能にする利点を有する。例示的な工程には、バフ磨き、研削仕上げなどが含まれる。バフ磨きおよび研削仕上げは、発泡体の表面の研磨除去を伴う。その他の例示的な後工程としては、化学的除去、炎燃焼、誘電溶け落ち、およびコロナ表面処理などが挙げられる。これらの工程は、それぞれ、化学薬品、炎、放電、またはコロナを用いた発泡体表面の分解を伴う。また、加工は、スキン層を非剥離性の支持体に接着させ、その後に非剥離性の支持体とスキン層を除去することにより発泡体のスキン層を除去する接着剤剥離により達成することもできる。また、加工には、前述の後工程の方法のうちの少なくとも1種を含む組合せが含まれてもよい。
【0040】
さらに別の実施形態では、発泡体は、ポリマー発泡複合体の導電性を高めるために、高度の硬化(架橋)を有するように配合される。高度に硬化した発泡体は、硬化中に収縮する傾向があり、それにより磁性導電性粒子の相互に孤立した鎖の端部が露出する。
【0041】
粒子整列に適した磁場強度は、多様な要因によって決まり、要因としては、発泡体の粘度、発泡体の厚さ、および密度、ならびに粒子の性質が含まれる。一実施形態では、磁場強度が高いほど、より薄い発泡体に有利である。一実施形態では、磁場強度は、約50〜約2000ガウス、特に、約100〜約1500ガウス、より具体的には約125〜約1200ガウスの磁束密度を有する。
【0042】
一実施形態では、磁場は、物品、例えば層、の第一の表面および第二の表面に対して垂直な磁場の印加の結果として、層のx−y平面に対して垂直な相互に孤立した鎖状に磁性導電性粒子が組織化されるように、層方向に設けられる。図1は、導電性ポリマー発泡複合体10の断面の模式図を示す。ポリマー発泡複合体10は、中に気泡24を有するポリマー発泡体12、第一の表面14および第二の表面16を含み、また、磁性導電性粒子18を含む。磁性導電性粒子18は、ポリマー発泡複合体10の平面に垂直な、すなわち、第一の表面14および/または第二の表面16と垂直な、z軸に沿って実質的に磁場方向に整列した鎖20状に組織化される。磁性導電性粒子18は、不規則な形状の鎖20に組織化することもできるが、鎖20は実質的に磁場方向に整列する。図1に示されるように、鎖20の端部22は、発泡体12の表面14、16で露出している。そのような露出によって、ポリマー発泡複合体の導電性が高められる。一般に、鎖の端部の各粒子は、粒径の約10%〜約70%、特に粒径の約20〜約50%、表面から突出する。外表面14、16の一方または両方を物理的に除去する必要なく、結果として粒子鎖の端部を露出させるために、本明細書に開示される方法を実施することができる。例えば、発泡が磁場の印加前に完了している場合、外表面14、16の一方または両方で鎖の端部が部分的に露出するように粒子を整列させるために磁場の強度を調整することができる。
【0043】
あるいは、磁性導電性粒子は、ポリマー発泡体のx−y平面に対して直角の、所望の導電性であるz方向に対して傾斜した角度で磁場を印加した結果として、z軸に対して傾斜して整列したカラム状に組織化される。一実施形態では、この傾斜角(θ)は、z軸のいずれの側に対しても約1°〜約45°、特に約5°〜約30°、より具体的にはz軸のいずれの側に対しても約10°〜約20°である。理論に縛られるのではないが、z軸に対して傾斜して整列している相互に孤立した鎖を含む発泡体は、より圧縮性が高い可能性があり、カラムは圧縮力の方向により簡単に撓むことができるので、カラムが損なわれるかまたは破壊される可能性が低くなる。
【0044】
発泡体は、磁場への曝露中、未硬化のままにしておくこともでき;磁場への曝露前に部分的に硬化させることもでき;磁場への曝露中に部分的に硬化させることもでき、;磁場への曝露中に完全に硬化させることもでき;あるいは、磁場への曝露後に完全に硬化させることもできる。一実施形態では、発泡体は、磁場への曝露前に部分的に硬化され、磁場への曝露中に完全に硬化される。別の実施形態では、発泡体は、磁場への曝露前にまたは磁場への曝露中に部分的に硬化され、そして磁場への曝露後に完全に硬化される。
【0045】
発泡体中の気泡の直径は、用いるポリマー、発泡技法、および発泡パラメータ、ならびに同様の考慮点によって変動する。機械的発泡の有利な特徴において、気泡は、化学的または物理的ブローイングにより通常提供されるものよりも小さい平均径で生成される。例えば、50μm程度の小さい平均径を有する気泡を生成することができる。本明細書に記載される方法は、一般に、65〜1,000μm、特に10〜500μm、より具体的には50〜250μmの平均径を有する気泡を含む発泡体を生成する。
【0046】
特に有利な特徴において、ポリマー発泡複合体の厚さ(第一の表面と第二の表面との間の距離)は、ポリマー発泡複合体の平均気泡サイズよりもむしろ、粒子自体の抵抗に加えて粒子間接触抵抗により、より限定される。従って、発泡体の平均気泡サイズに基づいてポリマー複合体の厚さを調節することは、磁性導電性粒子が発泡体表面に十分に近接しているかまたは発泡体表面で露出していれば、良好な導電性を得るために必要なことではない。例示的な一実施形態では、ポリマー発泡複合体の厚さは、平均気泡直径の1〜10,000倍、特に平均気泡直径の1.5〜1,500倍、より具体的には平均気泡直径の2〜100倍、さらにより具体的には平均気泡直径の3〜10倍である。また、良好な結果は、磁性導電性粒子の平均粒度の20%より大きい、特に粒径の25%より大きい、さらにより具体的には平均粒度の30%より大きい平均気泡サイズで得られることが見出された。
【0047】
本組成物および方法は、ポリマー発泡体層の製造において特に有用である。ある具体的な実施形態では、層は、機械的に起泡させた前駆体組成物(ポリマー前駆体組成物、充填剤組成物、および任意の追加の添加剤を含む)を、支持体基板上に流延することにより形成されて、支持体基板上に配置された第一の表面および反対側の第二の表面を有する発泡体層が得られ、ここで、層の第一の表面は、基板に接触している。場合により、第二の(最上層の)支持体基板を第二の表面上に第二の表面に接触させて配置する。ブローイングによる層のさらなる発泡は、流延の前または後に行ってもよく、かつ/あるいは第二の支持体基板を配置する前または後に行ってもよい。一実施形態では、層は、第二の支持体基板を配置するよりも前に実質的に完全に発泡される。
【0048】
実際には、1つまたは複数の支持体は、供給ロールから繰り出され、硬化した発泡体から分離すると、最終的に巻き取りロールに巻き戻され得る。上部および下部支持体用の材料の選択は、所望の程度の支持および柔軟性、硬化した発泡体からの所望の程度の剥離性、コスト、および同様の考慮点などの要因によって決まる。紙、銅またはアルミニウムなどの金属の薄板、あるいは例えばポリエチレンテレフタラート、シリコーン、ポリカーボネート、PTFE、ポリイミドなどのポリマーフィルムを使用することができる。材料は、剥離塗料でコーティングしてもよい。
【0049】
一実施形態では、支持体は導電性であり、例えば銅箔などの導電層である。導電性接着剤を、導電性の支持体とポリマー発泡複合体層との間に使用してもよい。特に、導電性金属箔の使用は、寸法安定性とx−y導電性の両方をもたらすことができる。従って、一実施形態では、物品は、導電層、例えば金属層、を発泡複合体層の第一の側面上に有する。場合により、導電層の反対側の側面は、物品の導電性をさらに高めるために、発泡体の外層を除去するために後処理されてもよい。別の実施形態では、物品は、導電層、例えば金属層、を物品の第一の側面と第二の側面のそれぞれの上に有し、ここで、第二の側面は、第一の側面の反対側である。
【0050】
ある具体的な実施形態では、支持体は磁性であるか、または導電性と磁性の両方である。例示的な導電性の磁性箔は、ニッケルおよび銅を含む箔であり、例えば銅の中に10重量%のニッケルを含むOlin CuproNickel 706、または銅の中に30重量%のニッケルを含むOlin CuproNickel 715である。磁性の上部および/または下部支持体の使用は、磁性導電性粒子の相互に孤立した鎖の端部と支持体との接触を促進し、それによってポリマー発泡複合体の導電性を高める。従って、発泡体の外層の後工程による除去をせずに、あるいは、確実に粒子の整列後の発泡が起こらないようにまたは実質的に起こらないようにすることなく、高導電性のポリマー発泡複合体を実現することが可能である。
【0051】
従って、一実施形態では、物品は、発泡複合体層の第一の側面に磁性導電層を含む。第二の側面から粒子を突出させ、それによって相互に孤立した鎖の端部を完全にまたは部分的に露出させるために、非常に強い磁場を用いて粒子を整列させてもよい。鎖の端部の露出の程度は、磁場の強度を調整することによるか、または磁場を印加した後に起こる発泡の程度を制御することにより、調整することができる。これに加えて、または別の方法では、導電性磁性層の反対側の側面は、物品の導電性をさらに高めるために、発泡体の外層を取り除くように後処理される。別の実施形態では、物品は、物品の第一の側面および第二の側面の各々に導電性磁性層を含み、ここで、前記第二の側面は、第一の側面の反対側である。
【0052】
別の実施形態では、磁性導電性粒子の層は、ポリマー発泡複合体の導電性を高めるために、支持体上(導電性または導電性かつ磁性の層を含む)に配置することができる。例えば、支持体は、溶媒/ポリマー混合物中の磁性導電性粒子の層で被覆され、その後に溶媒を除去することができる。使用するポリマーの量は、粒子を少なくとも部分的に露出させたまま粒子を支持体に接着させるのに十分である。これらの粒子は、次にカラム形成のための「種」として働き、より正確なカラム設置を可能にすることができる。粒子をパターンに播種すると、カラムはパターンに従って形成される。
【0053】
一方または両方の支持体は、硬化した発泡体の表面に移動することが意図される材料、例えば、支持体から剥離できる感圧接着剤、または支持体から剥離できる導電性接着剤で被覆されてもよい。繊維ウェブまたはその他の充填剤材料は、支持体の表面に配置されてもよく、それによって最終的に硬化した発泡体の中に取り込まれる。別の実施形態では、発泡体は、支持体の一方または両方に対して硬化する。従って、一方または両方の支持体は、発泡体から分離されて巻き取りロールに巻き戻される代わりに、最終製品の一部を形成することもできる。あるいは、コンベヤーベルトを下部支持体として使用してもよい。
【0054】
発泡体層は、滑らかなまたはテクスチャー加工された表面、例えばつや消し表面、を有する支持体を用いて製造することができる。ある具体的な実施形態では、支持体は滑らかな表面を有する。滑らかな表面をもつ支持体を用いて作製されるポリマー発泡複合体は、滑らかな支持体を用いずに作製されたポリマー発泡複合体よりも実質的に一層滑らかな表面を有する。具体的には、両方とも滑らかな表面をもつ上部支持体および下部支持体を用いて作製されたポリマー発泡複合体は、表面がより滑らかで、密度がより低く、表面より上への粒子の突出がなく、かつ、より良好な封止を有し得る。テクスチャー加工された表面は、カラム形成または表面の粒子の位置を誘導するために有用であり得る。一部の実施形態では、テクスチャー加工された表面を使用することにより、粒子鎖の露出の強化をもたらすことができる。
【0055】
なお、ある具体的な実施形態では、単一の支持体だけが使用される。上述のように、発泡体の表面から磁性導電性粒子を少なくとも部分的に露出させた結果、より導電性の高い発泡体が得られることが見出された。上部支持体の使用により、粒子を絶縁するスキンの形成が促進されることが見出された。良好な導電性は、依然として実現されるが、圧縮を増大させることによってのみ実現することができる。従って、単一の下部支持体だけを用いて、上部支持体を用いずに発泡体層を形成することが有利である。
【0056】
上部支持体を使用することが望ましい場合、結果として得られる層(またはその他の物品)を、ポリマー複合体物品の表面の粒子をより良く露出させるために発泡体の外表面を取り除くことにより、ポリマー発泡複合体の導電性を増大させるように硬化後に処理することができる。例示的な除去工程には、バフ磨き、研削仕上げなどが含まれる。バフ磨きおよび研削仕上げは、発泡体の表面の研磨除去を伴う。その他の例示的な除去としては、化学的除去、炎燃焼、誘電溶け落ち、レーザー切断、コロナ表面処理などが挙げられる。これらの工程は、それぞれ、化学、炎、放電、またはコロナを用いる、発泡体の表面の分解を伴う。除去は、接着剤剥離により達成することもでき、ここで、発泡体のスキン層は、スキン層を非剥離性の支持体に接着させ、その後に非剥離性の支持体とスキン層を除去することにより除去される。また、除去には、前述の除去方法のうちの少なくとも1種を含む組合せが含まれてもよい。発泡体物品の1つ、2つ、またはすべての表面は、後処理することができる。
【0057】
発泡体の製造において使用する具体的なポリマーとしては、ポリウレタン発泡体およびシリコーン発泡体が挙げられる。当分野で公知のように、ポリマー発泡体は、発泡より前に混合される前駆体組成物から製造される。
【0058】
ポリウレタン発泡体は、流延より前に、従って磁場の印加より前に、機械的発泡により実質的に完全に発泡させることができるので、特に有用である。そのような発泡体はまた、圧縮永久歪耐性、柔軟性、靭性、および圧縮性を含む、優れた機械的性質を有するよう製造することもできる。ポリウレタン発泡体の形成のための例示的な組成物は、例えば、米国特許第5,733,945号、同第6,559,196号、および同第7,338,983号に記載されている。
【0059】
ポリウレタン発泡体は、有機ポリイソシアネート成分、ポリイソシアネート成分に反応性の活性水素含有成分、界面活性剤、および触媒を含むポリマー前駆体組成物から形成される。例示的な方法において、発泡複合体を形成することは、実質的に構造的かつ化学的に安定しているが周囲条件で加工可能な熱硬化性の泡状物質を形成するために、前駆体組成物を、例えば機械的ミキサを用いて機械的に発泡させることと;発泡させた前駆体組成物を流延することと;磁性導電性粒子を整列させるために磁場を印加することと;硬化した発泡体を形成するために泡状物質を硬化させることとを含む。一実施形態では、発泡体密度をさらに低下させるために、発泡を物理的発泡剤の泡状物質への導入とともに用いることができる。化学的または物理的発泡剤は、発泡の前または後に、好ましくは発泡の前に導入され得る。好ましい実施形態では、磁場を印加した後には、さらなる発泡は起こらないかまたは実質的に起こらない。
【0060】
適切な有機ポリイソシアネートには、次の一般式を有するイソシアネートが含まれる:
Q(NCO)
式中、iは、2以上の整数であり、Qは、iの価数を有する有機ラジカルであり、ここで、iは、2よりも大きい平均値を有する。Qは、置換もしくは非置換炭化水素基(すなわちアルキレンまたはアリーレン基)、または式Q−Z−Q(式中、Qは、アルキレンまたはアリーレン基であり、Zは、−CH−、−O−、−O−Q−S、−CO−、−S−、−S−Q−S−、−SO−、−SO−、アルキレンまたはアリーレンである)を有する基であってもよい。例示的なポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,8−ジイソシアナト−p−メタン、キシリルジイソシアネート、ジイソシアナトシクロヘキサン、フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、および粗トリレンジイソシアネートを含むトリレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフェニル)メタン、クロロフェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、またはMDIとしても知られる)およびそれらの付加物、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、イソプロピルベンゼン−α−4−ジイソシアネート、およびポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどのポリマーイソシアネートが挙げられる。
【0061】
Qはまた、iの価数を有するポリウレタンラジカルも表すことができ、その場合Q(NCO)は、プレポリマーとして知られる組成物である。そのようなプレポリマーは、化学量論的過剰の上記のポリイソシアネートと活性水素含有成分、特にポリヒドロキシル含有材料または下記のポリオールを反応させることにより形成される。一実施形態では、ポリイソシアネートを、約30パーセント〜約200パーセントの化学量論的過剰の割合で用いる。この化学量論は、ポリオール中のヒドロキシル1当量あたりのイソシアネート基の当量に基づく。用いるポリイソシアネートの量は、調製されるポリウレタンの性質によってわずかに変動する。
【0062】
活性水素含有成分は、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールを含んでもよい。適切なポリエステルポリオールは、ポリオールとジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体(例えば無水物、エステルおよびハロゲン化物など)の重縮合生成物、ポリオールの存在下でのラクトンの開環重合により得られるポリラクトンポリオール、カーボネートジエステルとポリオールの反応により得られるポリカーボネートポリオール、およびヒマシ油ポリオールを含む。重縮合ポリエステルポリオールを生成するために有用な、適切なジカルボン酸およびジカルボン酸の誘導体は、例えばグルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸およびマレイン酸などの脂肪族または脂環式ジカルボン酸;ダイマー酸;例えば、以下に限定されるものではないが、フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;三塩基酸またはピロメリット酸などのそれより多官能性のポリカルボン酸;ならびに、例えば、以下に限定されるものではないが、無水マレイン酸、無水フタル酸およびジメチルテレフタラートなどの無水物および第二のアルキルエステルである。
【0063】
さらなる活性水素含有成分は、環状エステルのポリマーである。適切な環状エステルモノマーとしては、以下に限定されるものではないが、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ゼータ−エナントラクトン、モノアルキル−バレロラクトン、例えば、モノメチル−、モノエチル−、およびモノヘキシル−バレロラクトンが挙げられる。適切なポリエステルポリオールとしては、カプロラクトン系ポリエステルポリオール、芳香族ポリエステルポリオール、エチレングリコールアジペートに基づくポリオール、および前述のポリエステルポリオールのいずれか1種類を含む混合物が挙げられる。例示的なポリエステルポリオールは、ε−カプロラクトン、アジピン酸、無水フタル酸、テレフタル酸、または、テレフタル酸のジメチルエステルから製造されるポリエステルポリオールである。
【0064】
ポリエーテルポリオールは、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびそれらの混合物などのアルキレンオキシドを、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキシレングリコール、1,10−デカンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、3−シクロヘキセン−1,1−ジメタノール、4−メチル−3−シクロヘキセン−1,1−ジメタノール、3−メチレン−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、(2−ヒドロキシエトキシ)−1−プロパノール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ブタノール、5−(2−ヒドロキシプロポキシ)−1−ペンタノール、1−(2−ヒドロキシメトキシ)−2−ヘキサノール、1−(2−ヒドロキシプロポキシ)−2−オクタノール、3−アリルオキシ−1,5−ペンタンジオール、2−アリルオキシメチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、[4,4−ペンチルオキシ)−メチル]−1,3−プロパンジオール、3−(o−プロペニルフェノキシ)−1,2−プロパンジオール、2,2’−ジイソプロピリデンビス(p−フェニレンオキシ)ジエタノール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,1,1−トリメチロールエタン、1,1,1−トリメチロールプロパン、3−(2−ヒドロキシエトキシ)−1,2−プロパンジオール、3−(2−ヒドロキシプロポキシ)−1,2−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2−(2−ヒドロキシエトキシ)−メチルペンタンジオール−1,5;1,1,1−トリス[2−ヒドロキシエトキシ)メチル]−エタン、1,1,1−トリス[2−ヒドロキシプロポキシ)−メチル]プロパン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタエリトリトール、ソルビトール、スクロース、ラクトース、α−メチルグルコシド、α−ヒドロキシアルキルグルコシド、ノボラック樹脂、リン酸、ベンゼンリン酸、トリポリリン酸およびテトラポリリン酸などのポリリン酸、三元縮合生成物などの水または多価有機成分へ化学的に加えることにより得られる。ポリオキシアルキレンポリオールを生成する際に用いるアルキレンオキシドは、通常2〜4個の炭素原子を有する。例示的なアルキレンオキシドは、プロピレンオキシドおよびプロピレンオキシドとエチレンオキシドの混合物である。上に列挙したポリオールは、それ自体、活性水素成分として使用することができる。
【0065】
適切なクラスのポリエーテルポリオールは、一般に次式により表される
R[(OC2nOH]
式中、Rは、水素または多価炭化水素基であり;aは、Rの価数に等しい整数(すなわち1または2〜6〜8)、出現するそれぞれのnは、2から4までの整数(特に3)であり、出現するそれぞれのzは、2〜約200、特に15〜約100の値を有する整数である。一実施形態では、ポリエーテルポリオールは、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールなどの1以上の混合物、あるいは、前述のポリエーテルポリオールのうちの少なくとも1種を含む組合せを含む。
【0066】
使用することのできるその他の種類の活性水素含有材料は、ポリオール中のエチレン性不飽和モノマーを重合することにより得られるポリマーポリオール組成物である。そのような組成物を生成するために適切なモノマーとしては、アクリロニトリル、塩化ビニル、スチレン、ブタジエン、塩化ビニリデン、およびその他のエチレン性不飽和モノマーが挙げられる。ポリマーポリオール組成物は、約1重量%以上、特に約5重量%以上、より具体的には約10重量%以上のポリオール中で重合したモノマーを含み、この場合の重量パーセントは、ポリオールの総量に基づく。一実施形態では、ポリマーポリオール組成物は、約70重量%以下、特に約50重量%以下、より具体的には約40重量%以下のポリオール中で重合したモノマーを含む。そのような組成物は、選択されたポリオール中のモノマーを40℃〜150℃の温度にて、フリーラジカル重合触媒、例えば過酸化物、過硫酸塩、過炭酸塩、過ホウ酸塩、およびアゾ化合物などの存在下で重合することにより適宜調製される。
【0067】
活性水素含有成分はまた、例えばヒドロキシル末端ポリ炭化水素、ヒドロキシル末端ポリホルマール、脂肪酸トリグリセリド、ヒドロキシル末端ポリエステル、ヒドロキシメチル末端パーフルオロメチレン、ヒドロキシル末端ポリアルキレンエーテルグリコール、ヒドロキシル末端ポリアルキレンアリーレンエーテルグリコール、およびヒドロキシル末端ポリアルキレンエーテルトリオールなどのポリヒドロキシル含有化合物も含み得る。
【0068】
ポリオールは、広範囲にわたって変動するヒドロキシル価を有し得る。一般に、使用する場合、その他の架橋添加剤を含むポリオールのヒドロキシル価は、約28〜約1000およびそれ以上、特に約100〜約800の量で存在する。ヒドロキシル価は、その他の架橋添加剤を含むまたは含まない、ポリオールあるいはポリオール類の混合物1グラムから調製される完全にアセチル化した誘導体の加水分解性生物の完全な中和のために使用される水酸化カリウムのミリグラム数と定義される。ヒドロキシル価は、次式によっても定義することができる:
【数1】

式中、OHは、ポリオールのヒドロキシル価であり、fは、平均官能価であり、すなわちポリオール1分子あたりのヒドロキシル基の平均数であり、M.W.は、ポリオールの平均分子量である。
【0069】
使用する場合、多数の適切な発泡剤または発泡剤の混合物が適し、特に水が適している。水は、イソシアネート成分と反応してCOガスを生じ、このCOガスにより必要なさらなるブローイングがもたらされる。一実施形態では、水を発泡剤として使用する場合、硬化反応は、触媒を選択的に用いることにより制御される。一実施形態では、分解してガスを遊離させる化合物(例えば、アゾ化合物)も使用することができる。
【0070】
特に適切な発泡剤は、水素原子含有成分を含む物理的発泡剤であり、それは単独で使用してもよいし、あるいは、物理的発泡剤相互の混合物または別の種類の発泡剤、例えば水またはアゾ化合物などとの混合物として使用してもよい。これらの発泡剤は、炭化水素、エーテル、エステルならびに部分的にハロゲン化した炭化水素、エーテルおよびエステルなどを含む、広範囲の材料から選択することができる。適切な物理的発泡剤の沸点は、約−50℃〜約100℃の間、特に約−50℃〜約50℃の間である。使用に適切な水素含有発泡剤の中には、例えば1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロ−エタン、モノクロロジフルオロメタン、および1−クロロ−1,1−ジフルオロエタンなどのHCFC類(ハロクロロフルオロ炭素類);例えば1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2,4,4−テトラフルオロブタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチルプロパン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,2,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1、1,3,3,4−ヘキサフルオロブタン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブタン、1,1,1,4,4−ペンタフルオロブタン、1,1,2,2,3、3−ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、およびペンタフルオロエタンなどのHFC類(ハロフルオロ炭素類);例えばメチル−1,1,1−トリフルオロエチルエーテルおよびジフルオロメチル−1,1,1−トリフルオロエチルエーテルなどのHFE類(ハロフルオロエーテル類);ならびに、例えばn−ペンタン、イソペンタン、およびシクロペンタンなどの炭化水素がある。
【0071】
使用する場合、水を含む発泡剤は、一般にポリウレタン液相組成物の1重量パーセント以上、特に5重量パーセント(重量%)以上を含む。一実施形態では、発泡剤は、ポリウレタン液相組成物の約30重量%以下、特に20重量%以下の量で存在する。発泡剤が、周囲温度の、または周囲温度より低い沸点を有する場合、発泡剤はその他の成分が混合されるまで圧力下で維持される。
【0072】
イソシアネート成分と活性水素含有成分の反応を触媒するために用いられる適切な触媒には、ビスマス、鉛、錫、鉄、アンチモン、ウラン、カドミウム、コバルト、トリウム、アルミニウム、水銀、亜鉛、ニッケル、セリウム、モリブデン、バナジウム、銅、マンガン、およびジルコニウム、ならびにホスフィンおよび第三級有機アミンの、有機および無機酸塩、ならびに有機金属誘導体が含まれる。例示的な触媒は、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、第一錫オクトエート、鉛オクトエート、ナフテン酸コバルト、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、1,3,5−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)−s−ヘキサヒドロトリアジン、o−およびp−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、1,4−ジアゾビシクロ[2.2.2]オクタン、N−ヒドロキシル−アルキル第四級アンモニウムカルボキシレートおよびテトラメチルアンモニウムホルメート、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウム2−エチルヘキサノエートなど、ならびに前述の触媒のいずれか1種を含む組成物である。
【0073】
一実施形態では、触媒は、金属アセチルアセトネートを含む。適切な金属アセチルアセトネートとしては、アルミニウム、バリウム、カドミウム、カルシウム、セリウム(III)、クロム(III)、コバルト(II)、コバルト(III)、銅(II)、インジウム、鉄(II)、ランタン、鉛(II)、マンガン(II)、マンガン(III)、ネオジム、ニッケル(II)、パラジウム(II)、カリウム、サマリウム、ナトリウム、テルビウム、チタン、バナジウム、イットリウム、亜鉛およびジルコニウムなどの金属に基づく金属アセチルアセトネートが挙げられる。例示的な触媒は、ビス(2,4−ペンタンジオネート)ニッケル(II)(ニッケルアセチルアセトネートまたはジアセチルアセトネートニッケルとしても知られる)およびその誘導体、例えばジアセトニトリルジアセチルアセトナトニッケル、ジフェニルニトリルジアセチルアセトナトニッケル、ビス(トリフェニルホスフィン)ジアセチルアセチルアセトナトニッケルなどである。第二鉄アセチルアセトネート(FeAA)も、その相対的な安定性、良好な触媒活性、および毒性のないことのために適切な触媒である。一実施形態では、金属アセチルアセトネートは、その後に反応に参加して最終生成物の一部となることになる、例えばジプロピレングリコール、または、その他のヒドロキシル含有成分などの適切な溶媒への事前溶解により適宜添加される。
【0074】
ポリウレタン発泡体を生成する一方法では、発泡体を生成するための成分、すなわち、イソシアネート成分、活性水素含有成分、界面活性剤、触媒、任意選択の発泡剤、導電性難燃性充填剤およびその他の添加剤が、まず一緒に混合され、次に、空気を用いた機械的発泡に供される。あるいは、これらの成分は、機械的発泡工程の間、液相に順次添加されてもよい。発泡体の気相は、最も具体的には、コストおよび入手しやすさの理由から、空気である。しかし、必要に応じて、周囲条件で気体であり、実質的に不活性であるかまたは液相のいずれの成分とも反応しない、その他の気体を使用してもよい。このようなその他の気体としては、例えば、周囲温度で通常気体である窒素、二酸化炭素、およびフルオロ炭素が挙げられる。不活性気体は、高剪断装置において、例えばHobartミキサまたはOakesミキサなどにおいて、液相の機械的発泡により液相に取り込まれる。気体は、Oakesミキサの通常の動作におけるような圧力下で導入してもよいし、Hobartミキサによるように強くかき混ぜるまたは泡立てる作用により覆っている空気中から引き込んでもよい。機械的発泡動作は、特に7〜14kg/cm(100〜200ポンド/平方インチ(psi))未満の圧力で行われる。容易に入手可能な混合装置を用いてもよく、特別な装置は一般に必要でない。液相の中に混ぜ込まれた不活性気体の量は、所望の密度の泡状物質を生成するために気体流計量装置により制御される。採用した混合装置で所望の泡状物質の密度を得るために、機械的発泡は、Oakesミキサで数秒間にわたって行われるか、またはHobartミキサで約3〜約30分行われるか、またはそれ以上の時間かかる。泡状物質は、機械的発泡動作によって現れる時に、実質的に化学的に安定し、構造的に安定しているが、周囲温度、例えば約10℃〜約40℃、で容易に加工できる。
【0075】
発泡後、反応性混合物を、ホースまたはその他の導管を通じて制御された速度で移動させて、第一の支持体上に堆積させる。便宜上、この第一の支持体は、「下部支持体」と呼ぶことができ、一般に、硬化した発泡体を容易に剥離することができるかまたはできない移動支持材である。本明細書において「表面保護層」または「上部支持体」とも呼ばれる第二の支持体を、泡状物質の上部に置くことができる。上部支持体もまた、同様に硬化した発泡体を容易に剥離することができるかまたはできない移動支持材である。上部支持体は、泡状物質とほぼ同時に適用され得る。上部支持体を適用する前に、ドクターブレードまたはその他の適切な塗布装置により、発泡体を所望の厚さの層に塗り広げることができる。あるいは、発泡体を塗り広げ、起泡させた層を所望の厚さに調節するために、上部支持体の配置を利用することができる。さらに別の実施形態では、発泡体の高さを調節するために、上部支持体の設置後にコーターを使用することができる。上部支持体の適用後に、起泡させた発泡体を物理的または化学的発泡剤の影響下でブローイングさせることができる。上記のように、ある具体的な実施形態では、上部支持体は使用されない。
【0076】
支持体および発泡体層(任意選択のブローイングの後)の集成体は、磁場に送られ、次いで場合により磁性導電性粒子を整列させるために加熱帯に送られ、その後に発泡体を硬化させる。ある具体的な実施形態では、硬化は、磁性導電性粒子の整列後に起こる。硬化は、熱膨張を避けるために周囲温度(例えば、23℃)であってもよい。あるいは、加熱帯の温度は、発泡体材料の組成に応じて、発泡体を硬化させるのに有効な範囲内で、例えば、約70℃〜約220℃で維持される。発泡体の外表面上にインテグラルスキンを形成する目的で、または、比較的重い層を発泡体に付加するために示差温度を確立することができるが、スキン形成を回避するために硬化温度を調節することが好ましい。
【0077】
発泡体を加熱し硬化した後、次にそれを冷却帯に渡して、そこでファンなどの任意の適切な冷却装置により発泡体を冷却することができる。適切な場合には、支持体を除去し、発泡体をロールに取ることができる。あるいは、発泡体を、さらなる加工、例えば上記のバフ磨きまたは研削仕上げ、または支持体層の一方または両方への積層加工(熱および圧力を用いて接着)に供することができる。
【0078】
その他の種類のポリマーも、本製造方法に使用することができる。好ましくは、そのようなポリマーは、磁場による磁性導電性粒子の整列前に、完全に、または実質的に完全に発泡させることができるものである。そうすることが不可能であるか、または実用性がない場合、そのような発泡体を後処理して発泡体の表面からスキンまたはさらなる発泡体材料を除去することができる。従って、ポリシロキサンポリマーおよび磁性導電性粒子を含むシリコーン発泡体を使用してもよい。
【0079】
一実施形態では、シリコーン発泡体は、気泡サイズを選択するために水素ガスを発泡させて遊離するという結果を伴う、ポリシロキサンポリマー前駆体組成物中の水と水素化物基との間の反応の結果として生成される。この反応は、一般に貴金属、特に白金触媒により触媒される。一実施形態では、ポリシロキサンポリマーは、25℃で約100〜1,000,000ポアズの粘度を有し、水素化物、メチル、エチル、プロピル、ビニル、フェニル、およびトリフルオロプロピルからなる群より選択される鎖置換基を有する。ポリシロキサンポリマーの末端基は、水素化物基、ヒドロキシル基、ビニル基、ビニルジオルガノシロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アリール基、オキシム基、アミノキシ基、イソプロペノキシ基、エポキシ基、メルカプト基、またはその他の公知の反応性末端基であってもよい。適切なシリコーン発泡体はまた、組合せによる粘度が上記で指定した値の範囲内にある限り、それぞれが異なる分子量を有する(例えば、二峰性または三峰性の分子量分布)、数種類のポリシロキサンポリマーを用いて生成することもできる。また、所望の発泡体を生成するために、異なる官能基または反応性基をもつ数種類のポリシロキサン系ポリマーを有することも可能である。一実施形態では、ポリシロキサンポリマーは、水1モルあたり約0.2モルの水素化物(Si−H)基を含む。
【0080】
用いるポリシロキサンポリマーの化学的性質に応じて、触媒、一般に白金または白金含有触媒を、ブローイングおよび硬化反応を触媒するために使用することができる。触媒は、例えばシリカゲル、アルミナ、またはカーボンブラックなどの不活性支持体上に堆積させることができる。一実施形態では、ヘキサクロロ白金酸、その六水和物形態、そのアルカリ金属塩、およびその有機誘導体との錯体の中から選択される担持されていない触媒が使用される。例示的な触媒は、例えば1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンなどの部分的にまたは完全に塩素原子を除去するためにアルカリ化剤で処理するかあるいは処理しないヘキサクロロ白金酸とビニルポリシロキサンの反応生成物;ヘキサクロロ白金酸と、アルコール、エーテル、およびアルデヒドとの反応生成物;ならびに、ホスフィン、ホスフィンオキシド、および例えばエチレン、プロピレン、およびスチレンなどのオレフィンとの白金キレートおよび塩化第一白金錯体である。ポリシロキサンポリマーの化学的性質に応じて、白金系触媒の代わりにジブチル錫ジラウレートなどのその他の触媒を使用することが望ましい場合もある。
【0081】
シリコーン発泡体の気孔率および密度を制御するために、様々な白金触媒阻害剤を用いてブローイングおよび硬化反応の速度を制御することもできる。例示的な阻害剤としては、ポリメチルビニルシロキサン環式化合物およびアセチレンアルコールが挙げられる。これらの阻害剤は、発泡体を破壊するような方法で発泡および硬化を妨害するべきではない。
【0082】
シリコーン発泡体を生成するために多くの場合物理的および/または化学的発泡剤が使用されるが、機械的発泡を使用することも可能である。ポリウレタンについて上記に列挙された物理的および化学的発泡剤を使用することができる。その他の例示的な化学的発泡剤としては、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタンジオール、およびシラノールが挙げられる。一実施形態では、ブローイングの方法の組合せを用いて望ましい特性を有する発泡体を得る。例えば、クロロフルオロ炭素などの物理的発泡剤を二次発泡剤として反応性混合物に添加することができ、ここで、ブローイングの主な様態は、水、アルコール、またはその他の化合物のヒドロキシル置換基と、ポリシロキサン上の水素化物置換基との間の反応の結果として放出される水素である。
【0083】
シリコーン発泡体の製造において、前駆体組成物の反応性成分は2つのパッケージに貯蔵され、一方は白金触媒を含有し、他方は水素化物基を含有するポリシロキサンポリマーを含有し、時期尚早の反応を防ぐ。導電性粒子はいずれのパッケージにも含めることが可能である。別の製造方法では、ポリシロキサンポリマーは、導電性粒子、水、必要に応じて物理的および/または化学的発泡剤、およびその他の所望の添加剤とともに押出機に導入される。次に、白金触媒を計量して押出機に入れて発泡および硬化反応を開始させ、混合物を機械的に起泡させる。液体二酸化炭素または超臨界二酸化炭素などの物理的発泡剤を水などの化学的発泡剤と併せて使用することにより、はるかに密度の低い発泡体を生じさせることができる。さらに別の方法では、液体シリコーン成分を計量し、混合し、機械的に起泡させ、泡状物質を金型または連続コーティングラインなどの装置に分配する。従って、発泡は、金型の中かまたは連続コーティングライン上のいずれかで起こり得る。
【0084】
一実施形態では、白金触媒、水素化物基を含有するポリシロキサンポリマー、導電性粒子、任意選択の物理的および/または化学的発泡剤、任意選択の白金触媒阻害剤、およびその他の所望の添加剤を含む、集成体の全体を磁場に置く。発泡は磁場への曝露前または曝露中に起こり得る。
【0085】
架橋は、ゲル化としても知られている。架橋は、発泡前または発泡後に起こり得る。また、架橋は、磁場の印加により粒子が整列する前または後に行われてもよい。一実施形態では、架橋は磁場の印加後に行われる。一実施形態では、前駆体組成物を起泡させ、場合によりブローイングさせ、次いで、プレポリマーを架橋させて発泡体をゲル化する前に磁場を印加する。
【0086】
導電性シリコーン発泡体は、導電性粒子を含まない同じシリコーン発泡体の機械的性質と同じかまたは実質的に類似する機械的性質を有し得る。
【0087】
あるいは、軟質の導電性シリコーン組成物は、1分子あたり少なくとも2つのアルケニル基を有するポリシロキサンを含む液体シリコーン組成物;組成物を硬化させるのに有効な量の少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有するポリシロキサン;触媒;および場合により約100〜約1000センチポアズの粘度を有する反応性もしくは非反応性ポリシロキサン流体を含む前駆体組成物の反応により形成することができる。適切な反応性シリコーン組成物は、硬度の低い、1:1液体シリコーンゴム(LSR)または液体射出成形(LIM)組成物である。その固有粘度は低いため、硬度の低いLSRまたはLIMを使用することにより、より多くの充填剤量の添加が促進され、軟質の発泡体が形成される。
【0088】
反応性もしくは非反応性ポリシロキサン流体は、より多量の充填剤を硬化したシリコーン組成物の中に取り込むことを可能にし、従って得られる体積抵抗率値および表面抵抗率値を低下させる。一実施形態では、ポリシロキサン流体は、硬化したシリコーンの内部にとどまり、抽出も除去もされない。反応性シリコーン流体は、従ってポリマーマトリックスの一部となり、使用中のガス発生は少なくなり、表面への移動はほとんどまたは全くなくなる。一実施形態では、非反応性シリコーン流体の沸点は、それをポリマーマトリックスに分散させた場合に、硬化中または硬化後に蒸発せず、表面へ移動しないかまたはガス発生しないほど十分に高い。
【0089】
一実施形態では、LSR系またはLIM系は、約1:1の体積比での混合に適した二液配合物として提供される。配合物の「A」部分は、2以上のアルケニル基を有する1以上のポリシロキサンを含み、約500g/分未満の押出速度を有する。適切なアルケニル基は、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、およびヘプテニルに例示され、ビニルが特に適している。アルケニル基は、分子鎖末端で、分子鎖のペンダント位で、または両方で結合することができる。2以上のアルケニル基を有するポリシロキサンのその他のケイ素結合有機基は、置換および非置換一価炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびヘキシルなどのアルキル基;フェニル、トリル、およびキシリルなどのアリール基;ベンジルおよびフェネチルなどのアラルキル基;ならびに3−クロロプロピルおよび3,3,3−トリフルオロプロピルなどのハロゲン化アルキル基に例示される。例示的な置換基は、メチルおよびフェニル基である。
【0090】
アルケニル含有ポリシロキサンは、直鎖、部分的に分枝した直鎖、分枝鎖、または網状組織分子構造を有してもよいか、あるいは、例示される分子構造をもつポリシロキサンから選択された2以上の混合物であってもよい。アルケニル含有ポリシロキサンは、トリメチルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ末端封鎖メチルビニルシロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体、ジメチルビニルシロキシ末端封鎖ジメチルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端封鎖メチルビニルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端封鎖メチルビニルフェニルシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端封鎖ジメチルビニルシロキサン−メチルビニルシロキサン共重合体、ジメチルビニルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体、ジメチルビニルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン共重合体、RSiO1/2単位およびSiO4/2単位を含むポリシロキサン、RSiO3/2単位を含むポリシロキサン、RSiO2/2単位およびRSiO3/2単位を含むポリシロキサン、RSiO2/2単位、RSiO3/2単位およびSiO4/2単位を含むポリシロキサン、ならびに前述のポリシロキサンの2以上の混合物に例示される。Rは、置換および非置換一価炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびヘキシルなどのアルキル基;フェニル、トリル、およびキシリルなどのアリール基;ベンジルおよびフェネチルなどのアラルキル基;ならびに3−クロロプロピルおよび3,3,3−トリフルオロプロピルなどのハロゲン化アルキル基を表す。但し、1分子あたりR基の少なくとも2つはアルケニルである。
【0091】
LSRまたはLIM系の「B」成分は、1分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を含み、約500g/分未満の押出速度を有する1以上のポリシロキサンを含む。水素は、分子鎖末端で、分子鎖のペンダント位で、または両方で結合することができる。その他のケイ素結合基は、非アルケニル、置換および非置換一価炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびヘキシルなどのアルキル基;フェニル、トリル、およびキシリルなどのアリール基;ベンジルおよびフェネチルなどのアラルキル基;ならびに3−クロロプロピルおよび3,3,3−トリフルオロプロピルなどのハロゲン化アルキル基に例示される有機基である。例示的な置換基は、メチルおよびフェニル基である。
【0092】
水素含有ポリシロキサン成分は、直鎖、部分的に分枝した直鎖、分枝鎖、環式、網状組織分子構造を有してもよいか、あるいは、例示される分子構造をもつポリシロキサンから選択された2以上の混合物であってもよい。水素含有ポリシロキサンは、トリメチルシロキシ末端封鎖メチル水素ポリシロキサン、トリメチルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン−メチル水素シロキサン共重合体、トリメチルシロキシ末端封鎖メチル水素シロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン−メチル水素シロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体、ジメチル水素シロキシ末端封鎖ジメチルポリシロキサン、ジメチル水素シロキシ末端封鎖メチル水素ポリシロキサン、ジメチル水素シロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン−メチル水素シロキサン共重合体、ジメチル水素シロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体、およびジメチル水素シロキシ末端封鎖メチルフェニルポリシロキサンに例示される。
【0093】
水素含有ポリシロキサン成分は、組成物を硬化させるために十分な量で、特にアルケニル含有ポリシロキサン中の1アルケニル基あたり約0.5〜約10個のケイ素結合水素原子の量で添加される。
【0094】
シリコーン組成物は、一般に成分「A」の一部として、硬化を加速させるために白金などの触媒をさらに含む。ヒドロシリル化反応触媒として公知の白金および白金化合物、例えば白金黒、アルミナ粉末担持白金、シリカ粉末担持白金、炭素粉末担持白金、ヘキサクロロ白金酸、ヘキサクロロ白金酸白金−オレフィン錯体のアルコール溶液、白金−アルケニルシロキサン錯体、ならびに、例えばメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリスチレン、シリコーンなどの熱可塑性樹脂中の、上記の白金付加反応触媒の分散体の微粒子化により得られる触媒を使用することができる。触媒の混合物も使用してもよい。本組成物を硬化するのに有効な触媒の量は、一般に、アルケニルおよび水素成分を合わせた量に基づいて白金金属の0.1〜1,000ppm(重量による)である。
【0095】
組成物は、場合により、約1000センチポアズ以下、特に約750センチポアズ以下、より具体的には約600センチポアズ以下、および最も具体的には約500センチポアズ以下の粘度を有する1以上のポリシロキサン流体をさらに含む。ポリシロキサン流体はまた、約100センチポアズ以上の粘度を有することもできる。ポリシロキサン流体成分は、組成物の粘度を低下させる目的で添加され、それによって充填剤添加量の増加、充填剤の湿潤の強化、および充填剤分布の強化のうちの少なくとも1つを可能にし、結果として抵抗値および抵抗率値の低い硬化した組成物が得られる。また、ポリシロキサン流体成分の使用により、抵抗値の温度への依存を低下させ、かつ/または抵抗値および抵抗率値の時間的な変化を低下させることができる。ポリシロキサン流体成分の使用は、流体を除去するための処理中の余分な工程に対する必要性、ならびに使用中の希釈剤の起こり得るガス発生および移動を未然に防ぐ。ポリシロキサン流体は、組成物の硬化反応、つまり、付加反応を抑制するべきではないが、硬化反応に関与してもしなくてもよい。
【0096】
非反応性ポリシロキサン流体は、約500°F(260℃)よりも高い沸点を有し、分枝鎖であっても直鎖であってもよい。非反応性ポリシロキサン流体は、置換および非置換一価炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびヘキシルなどのアルキル基;フェニル、トリル、およびキシリルなどのアリール基;ベンジルおよびフェネチルなどのアラルキル基;ならびに3−クロロプロピルおよび3,3,3−トリフルオロプロピルなどのハロゲン化アルキル基に例示されるケイ素結合非アルケニル有機基を含む。例示的な置換基はメチルおよびフェニル基である。従って、非反応性ポリシロキサン流体はRSiO1/2単位およびSiO4/2単位、RSiO3/2単位、RSiO2/2単位およびRSiO3/2単位、またはRSiO2/2単位、RSiO3/2単位およびSiO4/2単位を含んでもよく、ここで、Rは、アルキル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、アリール、フェニル、トリル、キシリル、アラルキル、ベンジル、フェネチル、ハロゲン化アルキル、3−クロロプロピル、および3,3,3−トリフルオロプロピルからなる群より選択される置換および非置換一価炭化水素基を表す。非反応性ポリシロキサンは流体であり、非常に高い沸点(約230℃(500°F)より高い)を有するので、より多量の充填剤の取り込みを可能にするが、移動またはガス発生が起こらない。例示的な非反応性ポリシロキサン流体としては、Dow Corning Corporation製のDC 200が挙げられる。
【0097】
反応性ポリシロキサン流体は、アルケニル含有ポリシロキサンおよび少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有するポリシロキサンと共硬化し、そのためにそれら自体がアルケニル基またはケイ素結合水素基を含むことができる。そのような化合物は、アルケニル含有ポリシロキサンおよび少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有するポリシロキサンに関連して上記と同じ構造を有することができるが、加えて、約1000センチポアズ(cps)以下、特に約750cps以下、より具体的には約600cps以下、および最も具体的には約500cps以下の粘度を有する。一実施形態では、反応性ポリシロキサン流体は、付加硬化反応の硬化温度よりも高い沸点を有する。
【0098】
ポリシロキサン流体成分は、より多量の導電性充填剤の添加、取り込み、および湿潤を可能にするため、かつ/または導電性粒子の取り込みを促進するため、例えば縺れを解くかつ/または分散を促進するのに有効な量存在する。一実施形態では、ポリシロキサン流体成分は、1分子あたり少なくとも2個のアルケニル基を有するポリシロキサン、組成物を硬化させるのに有効な量の少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有するポリシロキサン、および触媒を合わせた量100重量部あたり約5〜約50重量部の量が組成物に添加される。ポリシロキサン流体成分の量は、特に約5以上、より具体的には約7.5以上、さらにより具体的には約10重量部以上である。また、望ましくは、1分子あたり少なくとも2個のアルケニル基を有するポリシロキサン、組成物を硬化させるのに有効な量の少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有するポリシロキサン、および触媒を合わせた量の約50重量部以下、より具体的には約25重量部以下、より具体的には約20重量部以下のポリシロキサン流体成分である。
【0099】
シリコーン発泡体は、場合により硬化性シリコーンゲル配合物をさらに含み得る。シリコーンゲルは、わずかに架橋された流体かまたは硬化不十分なエラストマーである。シリコーンゲルは、非常に軟質で粘着性である状態から、適度に軟質で触るとわずかに粘着性がある状態までの範囲におよぶという点で独特である。ゲル配合物の使用により組成物の粘度が低下し、それによって充填剤添加量の増加、充填剤の湿潤の強化、および/または充填剤分布の強化のうちの少なくとも1つが可能となり、それによって、結果として抵抗値および抵抗率値が低く、柔軟性の増大した硬化した組成物が得られる。適切なゲル配合物は、二液硬化性配合物かまたは一液配合物のいずれかであり得る。二液硬化性ゲル配合物の成分は、LSR系について上に記載された成分に類似する(すなわち、1分子あたり少なくとも2個のアルケニル基を有する有機ポリシロキサン、および1分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する有機ポリシロキサン)。主な違いは、充填剤が存在せず、かつ、ケイ素結合水素基(Si−H)基のアルケニル基に対するモル比が、通常1未満であり、硬化したゲルの弛緩および柔軟性をもつ「架橋不十分な」ポリマーを作製するように変えることができるという事実にある。具体的には、シリコーン結合水素原子のアルケニル基に対するモル比は、約1.0以下、特に約0.75以下、より具体的には約0.6以下、および最も具体的には約0.1以下である。適切な二液シリコーンゲル配合物の例は、Dow Corning Corporationより市販されているSYLGARD(登録商標)527ゲルである。
【0100】
シリコーン発泡体は、下部支持体のみを使用して、または上記のように下部支持体と上部支持体の両方を使用して、流延し、加工することができる。
【0101】
公知のように、二液シリコーン発泡体の発泡および硬化(ゲル化)工程は、重複するか、または同時に起こる場合が多い。粒子の整列が完了するよりも前に硬化が進みすぎると、その発泡複合体の導電性は低くなる。一方、硬化を遅らせると、粒子整列後に継続している発泡をもたらす可能性がある。この場合、発泡複合体の導電性を改善するために層除去技法を用いることができる。あるいは、発泡工程と硬化工程をより良好に分離するために発泡/硬化反応を制御することができる。潜伏性触媒の使用により、硬化反応を遅らせることができ、かつ/または触媒の組合せの使用により、硬化反応を遅らせることができる。例えば、発泡を促進するための白金触媒、および発泡の後の硬化を促進する二番目の潜伏性触媒系などのような異なる触媒の組合せを使用してもよい。特定の化学的調整剤の添加を用いて、発泡反応を修正することもあり得る。あるいは、一部のシリコーンゲル配合物または強化シリコーン配合物を、機械的に起泡させるかまたは物理的にブローイングさせ(例えば、メタノール、イソプロパノール、またはベンジルアルコールなどの揮発性発泡剤を使用)、その後に硬化させることができる。繊維性充填剤(例えば、カーボンファイバ)を使用して発泡体粘度を増加させ、それによって前駆体シリコーン配合物に取り入れられ得る空気の量を増加させると同時に、流延後の泡状物質を維持することは、これらの配合物で有利であり得る。
【0102】
従って、一実施形態では、シリコーン発泡体を製造する方法は、水素化物置換基を有するポリシロキサンポリマー、触媒、及び複数の磁性導電性粒子を含む充填剤組成物を含む混合物を発泡させること;物品に、例えば、第一の表面および反対側の第二の表面を有する層を形成すること;磁性導電性粒子を発泡体の第一の表面と第二の反対側の表面との間の発泡体を本質的に連続的にまたがる、相互に孤立した鎖状に整列させること;ならびに、1平方インチあたり60ポンドの圧力で約10−3Ω・cm〜約10Ω・cmの体積抵抗率を有するシリコーン発泡複合体を生成するために発泡体を硬化させることを含む。
【0103】
当然、上記のように下部支持体と上部支持体を使用し、その後に処理してシリコーン層の一方または両方の表面の外層を除去することも可能である。
【0104】
磁気によって整列させた導電性粒子を使用することにより、より低いレベルの導電性充填剤を用いる、優れた導電性を有するポリマー発泡複合体の製造が可能となる。より低いレベルの使用により、改良された物理的特性、特に圧縮永久歪および/または柔軟性を有する発泡体がもたらされる。これらの特性により、特に電磁および/または高周波シールドあるいは静電気散逸性が望まれる場合、ポリマー発泡体を多様な物品、例えばガスケット材、電気接地パッド、電池接点用導電性バネ素子などとして使用することが許容される。これらの材料は、封止、衝撃吸収、および/またはクッション性が導電性とともに望まれる場合に使用することができる。導電性充填剤も熱伝導性であるか、または導電性充填剤と熱伝導性充填剤の両方が存在する場合には、熱伝導性を提供するために発泡体層を使用することもあり得る。一実施形態では、熱伝導性充填剤を(導電性充填剤の代わりに)用いて、熱伝導性の層をもたらすこともあり得る。
【0105】
導電性ポリマー発泡複合体は、導電層(例えば、銅箔)およびパターン化非導電性接着剤の有無にかかわらず使用されることもあり得る。公知のように、非導電性接着剤は、導電性接着剤と比較してはるかに低コストであるために望ましい。前述の物品構成は、より安価な接着剤の使用とともに、発泡体層と導電層との間の電気的接続を可能にさせる。別の実施形態では、硬化したポリマー発泡体の配合は、ポリマー発泡体に接着性をもたらすための公知の手段により調節される。導電性発泡体接着剤を実現することができる。
【0106】
本明細書に記載されるように調製されたポリマー発泡体は、改良された気泡サイズ分布、ならびに改良された導電性および/または圧縮性を含む物理的特性を有する。改良された導電性および/または物理的特性をもつポリマー発泡体は、改良された遮蔽能力および改良された封止特性を提供する。機械的発泡を用いて調製されるポリマー発泡体は、特に改良された気泡サイズ分布、ならびに改良された導電性および/または圧縮性を含む物理的特性を有する。その上、機械的発泡は、より低コストでのポリマー発泡体の製造を可能にする。
【0107】
有利な特徴において、導電性ポリマー発泡複合体(特にポリウレタンおよびシリコーン発泡複合体)は、導電性磁性充填剤を含まない同じ発泡体の機械的性質に似た機械的性質を有する。補助的な発泡剤を用いる場合、ポリマー発泡複合体は、1立方フィートあたり約1ポンド(pcf)(16kg/m(kcm))と同程度の低い嵩密度を有することができる。ポリマー発泡複合体の密度は、充填剤組成物の比重の影響を受ける。しかし、一般に、ポリマー発泡複合体は、約1〜約150pcf(16〜2402kcm)、特に約5〜約125pcf(80〜2002kcm)、より具体的には約10〜約100pcf(160〜1601kcm)、さらにより具体的には約20〜約80pcf(〜1281kcm)の密度を有する。
【0108】
磁気によって整列させた導電性粒子を使用することにより、60ポンド/平方インチ(psi、42キログラム/平方センチメートル(kg/cm))圧力で測定される約10−3Ω・cm〜約10Ω・cmの体積抵抗率を有する導電性ポリマー発泡複合体の製造が可能になる。この範囲内で、体積抵抗率は、それぞれ60psi(42k/cm)で測定して、約10−3〜約10Ω・cm、より具体的には約10−2〜10Ω・cm、および最も具体的には約10−2〜約1Ω・cmであってもよい。下の実施例に示されるように、約10−3Ω・cm〜約10Ω・cmの範囲の体積抵抗率を有するポリマー発泡複合体を得るために、特定の条件が必要である(比較例参照)。しかし、そのような抵抗率は、本明細書に開示される方法を用いて得ることができる。60psiで約100Ω・cm未満、すなわち60psiで約10−2Ω・cm〜約10Ω・cmの範囲内の体積抵抗率を有するポリマー発泡複合体を得ることはより困難であること、およびそのような値を得るには、発泡体の種類とその加工方法(例えば、機械的に発泡させる)、導電性磁性充填剤の種類(例えばニッケルコーティングステンレス鋼)、充填剤粒子の形状(例えば、球状または棒状)、および充填剤粒子の量の調整が必要であることが本発明の発明者らにより見出されている。より低い圧力で(例えば、40psiまたは20psi)100Ω・cm以下の体積抵抗率を得ることは、特に困難である。それにもかかわらず、本明細書の教示に従うことにより、20psiで約10−2Ω・cm〜約10Ω・cmの体積抵抗率を有するポリマー発泡複合体を得ることができる。
【0109】
ポリマー発泡複合体は、約50デシベル(dB)以上、特に約70dB以上、さらにより具体的には約80dB以上の量の電磁シールドを提供することができる。電磁シールドを測定する一方法は、MIL−G−83528Bに示されている。
【0110】
特定の実施形態では、ポリマー発泡複合体の体積抵抗率は、約1Ω・cm以下であり、電磁シールドは、約80dB以上である。
【0111】
発泡体は、優れた圧縮性を有する。圧縮性は、所与圧力での歪み率を測定することにより決定することができる。ポリマー発泡複合体は、100psi(7kg/cm)で10%より大きい、特に20%より大きい、より具体的には40%より大きい、さらにより具体的には50%より大きい歪み率を有する。
【0112】
ポリマー発泡複合体は、ASTM 1056に従って測定して0.007〜7kg/cm(0.1〜100psi)、特に約0.07〜約2.8kg/cm(約1〜約40psi)の25%圧縮力撓み(CFD)を有し得る。
【0113】
ポリマー発泡複合体は、約20%以上、特に約100%より大きい破断点伸びを有し得る。
【0114】
ポリマー発泡複合体は、約20%未満、特に約10%の圧縮永久歪(50%)を有し得る。
【0115】
ある具体的な実施形態では、ポリマー発泡複合体、特にポリウレタン発泡複合体は、100psi(7kg/cm)で20%より大きい歪み率、約20%以上の破断点伸び;約30%以下の圧縮永久歪(50%)、および約1〜約60pcfの密度を有する。
【0116】
別の具体的な実施形態では、ポリマー発泡複合体、特にポリウレタン発泡複合体は、100psi(7kg/cm)で40%より大きい歪み率、約100%以上の破断点伸び;約30%以下の圧縮永久歪(50%)、および約10〜約100pcfの密度を有する。
【0117】
上記の導電性発泡複合体を含む、造形、成形、または型成形された物品も提供される。発泡体は、多様な手段、例えば、切断、熱成形などにより有用な物品に成形することができる。可能性のある用途としては、例えば、コンピュータおよび事務機械、モニタ、手持ち式電子装置、携帯電話、電気コネクタ、ならびに照明器具、装飾、家庭用電気製品などの部品が挙げられる。その上、発泡体は、EMI/RFIシールドなどの用途に、かつ携帯電話などのその他の装置に使用することができる。
【0118】
例示であって限定的でない以下の実施例は、本明細書に記載される導電性ポリマー発泡複合体の一部の様々な実施形態を製造する組成および方法を説明する。
【実施例】
【0119】
実施例1〜3
以下の試験を行って、実施例1〜3の導電性を決定した。実施例中、10Ω・cmより大きい体積抵抗率を有する発泡体は比較例である。公知のように、体積抵抗率および静電シールドに関する特定の値は、特定の試験方法および条件に依存することになる。例えば、体積抵抗率およびシールド有効性は、試験中にサンプルに加えられる圧力によって変化し得ることが公知である。下のサンプルにおいて体積抵抗率を測定するために有用な電気機器および試験装置は、以下の通りである。装置は、注文加工したプレスであり、金メッキされ、2.5cm×2.5cm(1インチ×1インチ)四方で、電気接点を有する。装置は、オペレーターがサンプルの表面に加わる力を制御し、調節することができるようにするデジタルフォースゲージを装備している。電源装置は、0〜2アンペアをサンプル表面に供給する能力がある。サンプル全体の電圧低下およびオームは、HP 34420Aナノボルト/マイクロオームメータを用いて測定される。装置の電子部品を暖気運転させ、HP 34420Aの場合には、内部較正チェックを行う。サンプルを、24時間の間、試験環境の条件に平衡させる。適切な試験環境は、室温が23℃(70°F)で相対湿度50%(%RH)である。試験するサンプルを試験装置の定盤の間に置き、表面に荷重を加える。加えられた荷重は、試験するサンプルの種類に依存し、軟質の発泡体は小さい荷重を用いて試験するが、固体は、約63,279〜約210,930キログラム/平方メートル(90〜300ポンド/平方インチ)の荷重範囲を用いて試験する。荷重が加えられると、電流をサンプルに加え、サンプル厚さを通じて電圧低下を測定する。適切な試験には、4種類の異なるアンペア設定、0.5、1.0、1.6、および2.0アンペアでの測定が含まれ得る。導電性複合体に関して、4種類全てのアンペア設定について結果として得られる算出された体積抵抗率は、類似する。体積抵抗率の計算は、次の通りである:
体積抵抗率(Ω・cm)=(E/I)×(A/T)
式中、E=電圧低下(V)、I=電流(アンペア)、A=面積(cm)、およびT=厚さ(cm)である。
【0120】
(実施例1)
シリコーン発泡体中の導電性充填剤としてのニッケルおよびニッケルコーティングセラミック微小球の評価を行った。シリコーン(Dow Corning Silicone 8137)、充填剤微小球、およびシリコーン硬化抑制剤(Aldrich Chemical Co.製の1−オクチン−3−オール)を、Flaktekスピードミキサで混合し、制御された厚さのPETフィルムに流延し、調節可能な磁場に曝露されたオーブンの中に入れた。一般に、化学的にブローイングさせ硬化させた発泡体は、70〜80ミル(1778〜2032μm)の厚さを有した。
【0121】
表1の結果は、1200ガウス程度の強い磁場のもとでさえ、硬化した発泡体の厚い層では導電性が観察されなかったことを示す。
【表1】

【0122】
(実施例2)
表2は、100%ニッケル微小球を用いるさらなる試験の結果を示す。配合物を18〜40ミル(457〜1016μm)の厚さで流延して発泡体サンプルを調製した。
【表2】

【0123】
表2に示される試験において、充填剤カラム形成を観察した。しかし、発泡体は導電性でなかった。試験1〜3は、上部支持体なしで流延したが、この結果、一層品質の悪い発泡体をもたらした。試験4〜13の分析により、硬化した発泡体は、40〜120ミル(1016〜3038μm)の厚さであり、発泡体の厚さ(z方向)にまたがる2以上の気泡を有することが示された。
【0124】
(実施例3)
より薄い発泡体を、100%Ni球体または銀コーティングニッケル球体(両方ともに示されるように上部支持体を有するまたは有さない)を用いて調製した。プレミックスを冷蔵庫で冷却した。結果を表3に示す。
【表3】

【0125】
表3の結果から、上部支持体の使用が、より薄い発泡体の製造と併せて、導電性の改善につながり得ることがわかる。
【0126】
実施例4〜5
実施例4〜5では、以下の試験を行った。
体積抵抗率を測定するため、使用した装置は、Stable Micro Systems(SMS)のTA HDプラステクスチャアナライザであった。50kgのロードセルを用いて圧縮試験中の材料の抵抗性を記録した。サンプル(直径1/2インチ)を、24時間の間、試験環境の条件、ここでは室温が23℃(70°F)で相対湿度(%RH)50%に平衡させた。オーム計設定(2または20Ω)を選択し、設定に変化があればオーム計を較正した。フレームの撓みを較正し、0.5mm/秒の速度で10gの力の前負荷に達するまで予備試験を行った。試験速度は、目標の力の9.00kgに到達するまで0.01mm/秒であった。抵抗性および圧縮荷重を歪みの増加として記録した。体積抵抗率を、抵抗性測定値およびサンプル寸法に基づいて算出した。体積抵抗率の計算は上記の通りである。
【0127】
圧縮力撓み(CFD)により反映される弾性率を、最低0.6センチメートル(0.250インチ)、通常約0.9センチメートル(0.375インチ)に積み重ねられた、5×5センチメートルの打ち抜きサンプルを用いて、1回のロットまたは試験あたり2つの積み重ねを用いて、かつインストロン試験機の底部に搭載された9090kg(20,000ポンド)のセルを用いて、インストロン試験機で決定した。CFDを、ASTM D1056に従って、元の厚さの25%までサンプルを圧縮するために要する力(ポンド/平方インチ(psi))を計算することにより測定した。
【0128】
引張強さおよび伸びは、20キログラム(50ポンド)の荷重セルを装備したインストロン試験機を用い、かつ厚さおよび密度に応じて4.5〜9.0キログラムの範囲を用いて測定した。引張強さは、破断時のキログラム/平方センチメートル(kg/cm)で表される力の量を、サンプル厚さで除算し、2を乗じたものとして計算される。伸びは、伸長率として報告される。
【0129】
(実施例4)
ポリウレタン複合発泡体を、次の手順に従って調製した。
【0130】
大量のマスター配合物を、イソシアネートおよび磁性導電性粒子を除く全ての成分について秤量した。これらの成分を低速で高剪断混合エレメントとともに1分間混合した。空気連衡が起こらないように注意を払った。混合をラボトップエアミキサで行った。それより少量のバッチをこのマスター配合物から取り、合計100グラムに等しくするために所望の量の磁性導電性粒子と合わせた。これらは、250mLビーカーに収容された。目標密度によって、それより少量のバッチを混合し、正確な量のイソシアネート(約15mL)を添加した。
【0131】
50〜60pcfの密度に関して、剪断混合エレメントを使用した。ポリオールブレンドおよび充填剤を、イソシアネートの添加前1分間、及びイソシアネート添加後1.5分間混合した。混合速度は低速であった。
【0132】
約40pcfの密度に関して、「泡立て器」起泡混合エレメントを使用した。ポリオールブレンドを3分間混合し、次いでイソシアネートを添加し、さらに1.5分間混合を継続した。混合速度は低速から中速であった。
【0133】
40pcfより低い密度に関して、「泡立て器」混合エレメントも使用した。ポリオールブレンドを5分間混合し、次いでイソシアネートを添加し、さらに1.5分間混合を継続した。混合速度は高速であった。
【0134】
流延は、正確なギャップを維持する能力のあるロールオーバロールニップを有するハンドプルステーションで行った。ギャップ設定は、支持体の厚さおよび目標密度に基づいて設定した。一般に、0.052インチのギャップ設定に支持体の厚さを加えて40pcfで0.040インチの最終厚さが得られる。紙支持体を流延の前に100℃のオーブンで15分以上乾燥させた。イソシアネート添加および混合の直後に、前駆体ブレンドを、ニップを通じて支持体を引きながら支持体に注入した。引く速度は低速で一貫していた。ポリオールブレンドを注ぎ、その後に引いた場合には、結果として得られるサンプルの初めに三日月形の断面が現れた。
【0135】
定盤を320°Fの温度に設定した。磁石設定は、電圧が3、アンペア数が6であり、これにより約250のガウスが生じる。4、8および24アンペアで試験を行った。6アンペアの設定は、上部支持体が存在しない場合に発泡体の表面を貫くために全く十分な高さのカラムを形成する導電性磁性球体をもたらすと思われた。24アンペアの設定は、ポリマー発泡体の厚さよりもかなり高い約3/8インチの高さの粒子の積み重ねを生成した。1インチの高さまでの粒子の積み重ねが、これまでに生成されている。
【0136】
バフ磨きは、使用した場合、2×2インチのサンプルサイズで行った。1×2×0.250インチの磁石を用いて、サンプルを堅い平らな表面のサンディングブロック上に設置した。水の連続流とともにBeuler Handi−Met 2ロールサンダーを用いてサンプルをバフ磨きし、次のプロトコール:320グリットのサンドペーパーで6〜8回のパス、次いで400グリットのサンドペーパーで6〜8回のパス、その後600グリットのサンドペーパーで8〜10回のパス、を用いて確実にサンドペーパー表面が完全に濡れるようにした。紙タオルを用いてサンプルを軽く押さえて水気を取り、サンプルを試験用に切断し、次に70℃で15分間乾燥させた。
【0137】
ポリウレタン発泡複合体を、表2に示される直径範囲を有するニッケルコーティングステンレス鋼球体を用いて調製した。これらの発泡複合体は、指定されていない場合は上部支持体を用いずに形成した。実施例4の試験のその他の処理条件および結果を表4aおよび4bに示す。
【表4a】

【表4b】

【0138】
試験1、5、8、12、13、14、15、16、17の「a」に対する「b」は、支持体に隣接する側の表面、すなわち層の下部表面をバフ磨き(研削仕上げ)することにより実現される導電性の改良を示す。しかし、一部の例では、バフ磨きしていないサンプルがすでに良好な導電性を実現している場合には、プラス効果は小さく、言い換えれば、場合によってはバフ磨きせずに良好な性能が実現される。製品を製造するための特定の条件の制御が困難である場合には、バフ磨きまたは研削仕上げを用いてより一貫した導電性を生成することができる。
【0139】
試験1cは、1bと比較して、下部表面に加えて上面をバフ磨きまたは研削仕上げすることによりさらなる小規模の改良が可能であることを示す。
【0140】
試験5cおよび8cは、5bおよび8bと比較して、サンプルを、導電性ガスケットまたはシールドとしての商業的使用に適した良好な導電性を生じる導電性接着剤と組み合わせた結果を示す。
【0141】
試験5d、8dおよび11bは、それぞれ5a、8aおよび11aと比較して、銅箔に直接流延することにより、さらなるバフ磨きまたはその他の加工をせずにそのままで良好な導電性が生じ、特に導電性接着剤と組み合わせた場合に、導電性ガスケットまたはシールドとして、あるいは接地または接触パッドとしての使用に適していることを示す。
【0142】
試験11cは、下部(支持体)表面のコロナ処理を用いて、処理なしと比較して導電性を改良することができることを示す。
【0143】
試験1a、2、3、6、および10は、その他の点では等価なサンプルと比較して、この場合、より小さい粒径(180〜212μm)は、これらの厚さおよび条件で、より大きい粒径(212〜250μm)のものほど導電性が高くないことを示す。
【0144】
試験16aおよび17aは、14aおよび15aと比較して、高いガウスレベルでは、212〜250μmの粒径に匹敵するより大きな粒径(250〜300μm)が、不良な導電性を生じることを示す。このことは、それぞれの所望の厚さおよび所望の条件範囲に対して最適な粒径が存在することを示唆する。
【0145】
試験18および19は、これらのサンプル条件について、上部支持体の使用が最良の結果をもたらさないことを示す。しかし、これらの場合における上部支持体の使用は、一部のより圧縮性の高いサンプルを生じ、それは一部の用途に望ましい。また、これらのサンプルは非常に厚かったため、より薄くても、低密度で高度な圧縮製を有する材料を製造するために上部支持体を用いる条件を最適化すること、または粒径およびより大きい厚さのためのその他のパラメータを最適化することは、良好な導電性結果をもたらすものと考えられる。
【0146】
試験7aに対する7bは、磁場への曝露前に発泡させたサンプルを老化させることにより、不良な導電性が生じることを示す。このことは、高い比重を有する導電性かつ磁性粒子は、磁石曝露前に下部表面に沈み、従って不完全な積み重ねを生じる可能性のあることを示唆する。
【0147】
試験4、5a、7a、8a、9、11a、12a、13a、14a、および15aは、所与粒径範囲に関して、添加レベルが高いほどより良好な導電性がもたらされるが、ガウスレベル、発泡体密度および厚さが全て最終の導電性対圧縮性能に影響を及ぼし得、所望の最終特性を変化させ制御するために用いることができることを示す。
【0148】
(実施例5)
シリコーン発泡体を形成するため、シリコーン樹脂(Dow Corning Silicone 8137)、表3に示される充填剤微小球、およびシリコーン硬化抑制剤(Aldrich Chemical Co.製の1−オクチン−3−オール)を、Flaktekのスピードミキサで混合し、制御された厚さのPETフィルムに流延し、上部支持体を発泡体上に設置した。発泡体をオーブンの中に入れ、調節可能な磁場に曝露させて発泡体を硬化させた。サンプルは機械的には発泡されなかった。その上、発泡は磁場の印加後も継続した。いずれの外層の除去も行わなかった。それぞれの発泡体の調査により、発泡体の厚さは発泡体の気泡の平均高さとほぼ同じであることが示された。
【0149】
試験結果を表5に示す。
【表5】

【0150】
表5からわかるように、表4aおよび4bの試験において60psiで得られる体積抵抗率は、多くの場合において、シリコーン複合体層の厚さが発泡体中の気泡の最大直径に限定される場合に60psiで得られる体積抵抗率に匹敵する。その上、表4aおよび4bに示される組成物には、より低い圧力、例えば20psiで優れた導電性を有するものもある。従って、本明細書に記載される方法を使用することは、より広範囲の特性、厚さ、高い圧力で匹敵する体積抵抗率、および低い圧力で改良された抵抗率をもつポリマー発泡複合体の製造を可能にする。
【0151】
本明細書において用いられる用語「第一」、「第二」などは、順序、数量、または重要性を示すものではなく、一つの要素をもう一つの要素と区別するために使用される。用語「a」および「an」は、量の限定を示すものではなく、言及された対象が少なくとも1つ存在することを示す。本明細書内に開示されるすべての範囲は、記載された端点を含み、独立に組み合わせることができる。すべての参照文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。別に定義されない限り、本明細書において用いられる技術用語および科学用語は、当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。
【0152】
本発明を例示的な実施形態を参照して説明してきたが、本発明の範囲を逸脱することなく、様々な変更を行ってもよいこと、および本発明の要素の代わりに等価物を用いてもよいことが当業者には当然理解されるであろう。その上、本発明の本質的な範囲を逸脱することなく、多くの変更を行って特定の状況または材料を本発明の教示に適合させることができる。そのため、本発明は、本発明を実施するために企図される最良の形態として開示される特定の実施形態に限定されないことが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の表面および反対側の第二の表面を有する物品を前駆体組成物から形成する工程であって、該前駆体組成物が、
ポリマー発泡体前駆体組成物、および
複数の磁性導電性粒子を含む充填剤組成物
を含む、工程と;
前記前駆体組成物中に複数の気泡を形成するために該前駆体組成物を発泡させる工程と;
前記発泡させた前駆体組成物に磁場を印加する工程であって、該磁場が、前記磁性導電性粒子を前記物品の前記第一の表面と反対側の前記第二の表面との間に相互に孤立した鎖状に整列させるのに有効な強度で有効な時間印加される、工程と;
1立方フィートあたり約1〜約125ポンドの密度、および、1平方インチあたり60ポンドの圧力で約10−3Ω・cm〜約10Ω・cmの体積抵抗率を有するポリマー発泡複合体を得るために前記ポリマー発泡体前駆体組成物を凝固させる工程と
を含む、ポリマー発泡複合体を製造する方法。
【請求項2】
前記発泡させる工程が、前記磁場を印加する前に実質的に完了している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記発泡させる工程が、前記物品を形成する前の機械的発泡によるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記凝固させる工程が、前記導電性金属粒子を相互に孤立した鎖状に整列させた後に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記凝固させた発泡体の前記第一および/または第二の表面を、前記相互に孤立した鎖の端部を少なくとも部分的に露出させるのに十分な量取り除く工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記物品が層であり、該物品を形成する工程が前記ポリマー発泡体前駆体組成物を第一の支持体上に流延することを含み、前記第一の表面が、該第一の支持体上に該第一の支持体と接触して配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記凝固させた発泡体の前記第一の表面を、前記相互に孤立した鎖の端部を少なくとも部分的に露出させるのに十分な量取り除く工程をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
第二の支持体を前記層の前記第二の表面上に配置することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記凝固させた発泡体の前記第一および第二の表面を、前記相互に孤立した鎖の端部を少なくとも部分的に露出させるのに十分な量取り除く工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第一の支持体が、導電性である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記第一の支持体が、磁性であるか、または磁性かつ導電性である、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法により製造されるポリマー発泡複合体。
【請求項13】
前駆体組成物中に複数の気泡を形成するために該前駆体組成物を機械的に発泡させる工程であって、該前駆体組成物が、
ポリマー発泡体前駆体組成物、および
複数の磁性導電性粒子を含む充填剤組成物
を含む、工程と;
前記機械的に発泡させた前駆体組成物から第一の表面および反対側の第二の表面を有する物品を形成する工程と;
前記磁性導電性粒子を前記物品の前記第一の表面と反対側の前記第二の表面との間に相互に孤立した鎖状に整列させるのに有効な強度の磁場を有効な時間印加する工程であって、前記発泡させる工程が、該磁性導電性粒子の整列を完了する前に実質的に完了している、工程と;
1立方フィートあたり約1〜約125ポンドの密度、および、1平方インチあたり60ポンドの圧力で約10−3Ω・cm〜約10Ω・cmの体積抵抗率を有するポリマー発泡複合体を得るために前記ポリマー前駆体組成物を硬化させる工程と
を含む、ポリマー発泡複合体を製造する方法。
【請求項14】
第一の表面および反対側の第二の表面を有する物品を前駆体組成物から形成する工程であって、前記前駆体組成物が、
ポリマー発泡体前駆体組成物、および
複数の磁性導電性粒子を含む充填剤組成物
を含む、工程と;
前記前駆体組成物中に複数の気泡を形成するために該前駆体組成物を発泡させる工程と;
前記発泡させた前駆体組成物に磁場を印加する工程であって、該磁場が、前記磁性導電性粒子を前記物品の前記第一の表面と反対側の前記第二の表面との間に、相互に孤立した鎖状に整列させるのに有効な強度で有効な時間印加される、工程と;
前記ポリマー発泡体前駆体組成物を凝固させる工程と;
1立方フィートあたり約1〜約125ポンドの密度、および、1平方インチあたり60ポンドの圧力で約10−3Ω・cm〜約10Ω・cmの体積抵抗率を有するポリマー発泡複合体を得るために、前記凝固させた発泡体の第一および/または第二の表面を、前記相互に孤立した鎖の端部を少なくとも部分的に露出させるために十分な量取り除く工程と
を含む、ポリマー発泡複合体を製造する方法。
【請求項15】
第一の表面および反対側の第二の表面を有するポリマー発泡体と、
前記発泡体の前記第一の表面と反対側の前記第二の表面との間に相互に孤立した鎖状に整列した磁性導電性粒子と
を含む、ポリマー発泡複合体であって;
前記発泡体が、
1立方フィートあたり約1〜約125ポンドの密度と;
1平方インチあたり60ポンドの圧力で約10−3Ω・cm〜約10Ω・cmの体積抵抗率と
を有する、ポリマー発泡複合体。
【請求項16】
気泡の平均径が、約65〜約1000μmである、請求項15に記載のポリマー発泡複合体。
【請求項17】
前記相互に孤立した鎖の端部が、前記第一および第二の表面で少なくとも部分的に露出している、請求項15に記載のポリマー発泡複合体。
【請求項18】
前記ポリマー発泡複合体が、該ポリマー発泡複合体の第一の表面上に接触して配置された導電層を有する、請求項15に記載のポリマー発泡複合体。
【請求項19】
気泡を形成するために、ポリイソシアネート成分、ポリイソシアネート成分に反応性の活性水素含有成分、界面活性剤、触媒、および、複数の磁性導電性粒子を含む充填剤組成物を含む、前駆体組成物を機械的に発泡させる工程と;
第一の表面および反対側の第二の表面を有する層を形成するために、前記発泡させた前駆体組成物を流延する工程と;
前記磁性導電性粒子を、前記層を前記第一の表面と前記第二の表面との間に、本質的に連続的にまたがる相互に孤立した鎖状に整列させるために該層を磁場に曝露する工程であって、前記発泡させる工程が、該磁場を印加するよりも前に実質的に完了している、工程と;
1平方インチあたり60ポンドの圧力で約10−3Ω・cm〜約10Ω・cmの体積抵抗率を有するポリウレタン発泡複合体を生成するために前記層を硬化させる工程であって、前記第一の表面と前記第二の表面との間の距離が、前記気泡の平均径の1.5倍より大きい、工程と
を含む、ポリウレタン発泡複合体を製造する方法。
【請求項20】
第一の表面および反対側の第二の表面を有する層を形成するために、水素化物置換基を有するポリシロキサンポリマー、触媒、及び複数の磁性導電性粒子を含む充填剤組成物を含む混合物を流延する工程と;
前記混合物を発泡させる工程と;
前記磁性導電性粒子を、シリコーン発泡体の第一の表面と第二の反対側の表面との間に該シリコーン発泡体を本質的に連続的にまたがる相互に孤立した鎖状に整列させるために、前記混合物を印加した磁場で硬化させる工程と;
1平方インチあたり60ポンドの圧力で約10−3Ω・cm〜約10Ω・cmの体積抵抗率を有する前記シリコーン発泡複合体を生成するために、前記硬化させた発泡体の前記第一および/または前記第二の表面を、前記相互に孤立した鎖の端部を少なくとも部分的に露出させるのに十分な量取り除く工程と
を含む、シリコーン発泡体を製造する方法。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−530426(P2011−530426A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522038(P2011−522038)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/072240
【国際公開番号】WO2010/016834
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(599006672)ワールド プロパティーズ インク. (4)
【Fターム(参考)】