説明

導電部材のハンダ付け方法

【課題】各接続ハンダのハンダ量を確保し、ハンダの溶け残り及びハンダボールの生成を防止する。
【解決手段】複数の第2導電部材320のハンダ付け部321の幅方向と直交する厚さ方向の一方側に幅方向に延びる一つの棒状ハンダ100を配置し、棒状ハンダの厚さ方向の一方側に複数の第1導電部材222、230のハンダ付け部222a、230aを複数の第2導電部材のハンダ付け部に対応させてそれぞれ配置する第1工程と、複数の第1導電部材のハンダ付け部の厚さ方向の一方側に幅方向に延びる一つのヒータチップ420を配置し、ヒータチップを発熱させると共にヒータチップを複数の第1導電部材のハンダ付け部に接触させて厚さ方向の他方側に向かって押圧する第2工程とを備えた導電部材のハンダ付け方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンダ付けの技術分野に属し、複数の導電部材を、絶縁部材に設けられた複数の導電部材に一括してハンダ付けする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、所定のピッチで配列された端子同士を対向して重合わせ、重合部の間に直交して帯状の半田を介在させ、加熱により上記半田を溶融させて上記重合部を半田により接合する端子の接合方法において、上記半田に予め端子配列と同一ピッチの嵌合溝を形成し、この嵌合溝を一方の端子に嵌合し、かつ上記嵌合部分の上面に他方の端子を重ね合わせるようにした端子の接合方法を開示している。さらに、同文献は、上記半田に形成される嵌合溝の間に切欠きを形成する端子の接合方法も開示している。
【0003】
特許文献2は、細長状の絶縁ハウジングの長手幅方向に沿って複数体の導電端子が適宜のピッチ間隔で配列されているとともに、上記絶縁ハウジングの長手幅方向に沿って延在するように配置された長尺状半田材を用いて同軸ケーブル中心導体が上記各導電端子に対して一括接続された同軸ケーブル用電気コネクタを開示している。
【0004】
特許文献3は、通電により発熱する長尺状のコテ部を有し、上記コテ部のコテ先面を被接合物に加圧接触または近接させることによって上記被接合物を接合するヒータチップであって、上記コテ先面の反対側でフィン状に延びる放熱部を上記コテ部と一体に有するヒータチップを開示している。このヒータチップによれば、長尺状コテ部の全長に亘って通電中および通電終了直後の温度特性を均一化して、コテ部の長手方向で均一な接合品質を得ることができる。特許文献4も同様の構成を開示する。
【0005】
特許文献4は、被接合物に加圧接触または近接させることによって上記被接合物を接合するヒータチップであって、通電により発熱する櫛歯状のコテ部と、上記コテ部と一体に形成され、上記櫛歯状のコテ部のコテ先部の反対側でフィン状に延びる放熱部とを有するヒータチップを開示する。このヒータチップによれば、さらに、隣接する接合部間に空間がなくても、接合部以外に熱の影響を与えることなく接合が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平5−57718号公報
【特許文献2】特開2007−305452号公報
【特許文献3】特開2009−160617号公報
【特許文献4】特開2010−253503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように上記従来の棒状ハンダを用いて複数の第1の導電部材を、絶縁部材に設けられた複数の第2の導電部材に、それぞれのハンダ付け部が間隔をあけて一列に並ぶように一括してハンダ付けした場合、溶けて固まった各接続ハンダを形成するハンダの量が均一にならないことがある。その場合、ハンダ量が過小となった上記接続ハンダでは接続強度が目標値よりも低くなり、またハンダ量が過剰となった上記接続ハンダでは隣り合う接続ハンダ部の隙間が目標値よりも狭くなる。しかも、ハンダの溶け残りが生じたり、ハンダが丸まったハンダボールができることがあり、これらが放置されると製品の信頼性が充分に確保できなくなるおそれがある。
【0008】
さらに、電気コネクタのハウジングに複数のコンタクトを設けて複数の極を形成し、複数の電線の終端から露出した導体を上記複数のコンタクトに、それぞれのハンダ付け部が間隔をあけて一列に並ぶように上記棒状ハンダを用いて一括してハンダ付けする場合、上記ハウジングに、隣り合う上記コンタクトの上記ハンダ付け部の間から上記厚さ方向へ立ち上がる極間壁が設けられていると、ハンダ付けするときに高温に加熱された上記棒状ハンダから上記極間壁が熱負荷を受けて損傷することがある。
【0009】
本発明は、このような点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、第2導電部材に、長手方向に沿って厚肉部と薄肉部とが設けられた棒状ハンダと第1導電部材とを重ね、ヒータチップを発熱させて上記第1導電部材及び上記厚肉部に押圧し、又は上記薄肉部に押圧すると、上記各薄肉部が上記各厚肉部よりも先に上記長手方向に分断されて上記各厚肉部が上記各接続ハンダの大部分を形成するようにすることで、上記各接続ハンダのハンダ量を確保して上記各接続ハンダの接続強度の確保及び隣り合う接続ハンダの隙間の確保を実現することができ、またハンダの溶け残り及びハンダボールの生成を防止して製品の信頼性を向上させることができ、さらに上記極間壁のように隣り合う第1導電部材のハンダ付け部の間に例えば上記極間壁のような構造物があるときには上記第1導電部材の側の面で上記厚肉部と上記薄肉部とに段差を設ければ上記構造物が熱負荷により損傷を受けることを防止することが可能となると共に上記構造物を利用して位置決め精度が向上する導電部材のハンダ付け方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第1の導電部材のハンダ付け方法は、複数の第1導電部材を、絶縁部材に設けられた複数の第2導電部材に、それぞれのハンダ付け部が間隔をあけて幅方向に一列に並ぶように一括してハンダ付けするハンダ付け方法である。この導電部材のハンダ付け方法は、
上記複数の第2導電部材の上記ハンダ付け部の上記幅方向と直交する厚さ方向の一方側に上記幅方向に延びる一つの棒状ハンダを配置し、上記棒状ハンダの上記厚さ方向の上記一方側に上記複数の第1導電部材の上記ハンダ付け部を上記複数の第2導電部材の上記ハンダ付け部に対応させてそれぞれ配置する第1工程と、
上記複数の第1導電部材の上記ハンダ付け部の上記厚さ方向の上記一方側に上記幅方向に延びる一つのヒータチップを配置し、上記ヒータチップを発熱させると共に上記ヒータチップを上記複数の第1導電部材の上記ハンダ付け部に接触させて上記厚さ方向の他方側に向かって押圧する第2工程とを備えている。
上記棒状ハンダは、上記幅方向に沿って上記間隔をあけて設けられており、上記厚さ方向の上記一方側に上記各第1導電部材の上記ハンダ付け部の幅と同じかそれ以上の幅をもつ第1面を有すると共に上記厚さ方向の上記他方側に上記各第2導電部材の上記ハンダ付け部の幅と同じかそれ以下の幅をもつ第2面を有して上記複数の第2導電部材の上記ハンダ付け部にそれぞれ対応する複数の厚肉部と、隣り合う上記厚肉部の間に、上記厚さ方向の上記一方側の面が上記厚肉部の上記第1面に連続するようにそれぞれ設けられた薄肉部とを備え、上記厚肉部の厚さが上記薄肉部を含む他の部位の厚さよりも厚く形成されており、
上記ヒータチップは、上記幅方向に沿って上記間隔をあけて設けられており、上記厚さ方向にみて上記各厚肉部の少なくとも中央部に対応する部分から上記厚さ方向の上記他方側にそれぞれ突出する第1コテ部と、隣り合う上記第1コテ部の間に設けられ、上記第2工程において上記各第1コテ部により上記各第1導電部材の上記ハンダ付け部及び上記各厚肉部が加熱され且つ上記厚さ方向の上記他方側に向かって押圧されることで上記各薄肉部が上記厚さ方向の上記一方側に向かって変位したときに上記各薄肉部の表面に接触するようにそれぞれ設けられた第2コテ部とを備えている。
【0011】
上記第1工程において、上記複数の第2導電部材の上記ハンダ付け部の上記厚さ方向の一方側に上記棒状ハンダを配置し、上記棒状ハンダの上記厚さ方向の上記一方側に上記複数の第1導電部材の上記ハンダ付け部を上記複数の第2導電部材の上記ハンダ付け部に対応させてそれぞれ配置し、次いで上記第2工程において、上記第1導電部材の上記ハンダ付け部の上記厚さ方向の上記一方側に上記ヒータチップを配置し、上記ヒータチップを発熱させると共に上記ヒータチップを上記複数の第1導電部材の上記ハンダ付け部に接触させて上記厚さ方向の他方側に向かって押圧すると、上記棒状ハンダの上記各厚肉部及び上記各薄肉部がそれぞれ溶けて上記各第1導電部材の上記ハンダ付け部が上記各第2導電部材の上記ハンダ付け部にそれぞれハンダ付けされる。
【0012】
その場合、上記第2工程において上記ヒータチップの上記各第1コテ部により上記各第1導電部材の上記ハンダ付け部及び上記各厚肉部が加熱され且つ上記厚さ方向の上記他方側に向かって押圧されると、上記各厚肉部の変形を受けて上記各薄肉部が上記厚さ方向の上記一方側に向かって浮き上がるように変位して上記各第2コテ部に接触して溶け、上記各厚肉部よりも先に上記長手方向に分断される。そのため、上記棒状ハンダが上記各薄肉部においてそれぞれ幅方向に分離され、上記各厚肉部がそれぞれ独立する。次いで、上記独立した各厚肉部が、これに対応する上記各第1導電部材の上記ハンダ付け部と上記各第2導電部材の上記ハンダ付け部との間で溶けて固まり、上記各第1導電部材の上記ハンダ付け部と上記各第2導電部材の上記ハンダ付け部との間の上記各接続ハンダの大部分を形成することから、上記各接続ハンダのハンダ量が過不足無く確保される。そのため、上記各接続ハンダの接続強度が確保されると共に、隣り合う接続ハンダの隙間が確保される。また、上記棒状ハンダが加熱されると上記各薄肉部が上記各厚肉部よりも先に溶けるので、上記各厚肉部が溶けたときに上記各薄肉部が固体で残りにくいので、上記各接続ハンダの間にハンダの溶け残り及びハンダボールが生成されにくいことから製品の信頼性が向上する。また、上記棒状ハンダがペーストを含んでいる場合、上記棒状ハンダの加熱が始まってから比較的早い段階で上記各薄肉部が上記長手方向に分断されるので、上記棒状ハンダに含まれるペーストが上記分断された面から溶出されやすく、ガス化したペーストにより上記棒状ハンダが破裂することが抑制される。このことからも、ハンダボールが生成されにくくなり、製品の信頼性が向上する。
【0013】
さらに、隣り合う第1導電部材のハンダ付け部の間に例えば上記極間壁のような構造物があるときには、上記各構造物には隣り合う上記厚肉部の間の上記各薄肉部がそれぞれ対向する。そのため、上記棒状ハンダにおける上記第1導電部材の側の面で上記厚肉部と上記薄肉部とに段差を設ければ上記構造物から上記薄肉部を確実に離すことが可能となるので、上記構造物が熱負荷により損傷を受けることを防止することが可能となる。しかも、上記構造物の幅方向両側に上記厚肉部が嵌るので上記棒状ハンダの、上記第1導電部材の上記ハンダ付け部への位置決め精度が向上し、上記各接続ハンダのハンダ量のばらつきが低減する。
【0014】
本発明の第2の導電部材のハンダ付け方法は、複数の第1導電部材を、絶縁部材に設けられた複数の第2導電部材に、それぞれのハンダ付け部が間隔をあけて幅方向に一列に並ぶように一括してハンダ付けするハンダ付け方法である。この導電部材のハンダ付け方法は、
上記複数の第2導電部材の上記ハンダ付け部の上記幅方向と直交する厚さ方向の一方側に上記幅方向に延びる一つの棒状ハンダを配置し、上記棒状ハンダの上記厚さ方向の上記一方側に上記複数の第1導電部材の上記ハンダ付け部を上記複数の第2導電部材のハンダ付け部に対応させてそれぞれ配置する第1工程と、
上記複数の第1導電部材の上記ハンダ付け部の上記厚さ方向の上記一方側に上記幅方向に延びる一つのヒータチップを配置し、上記ヒータチップを発熱させると共に上記ヒータチップを上記複数の第1導電部材の上記ハンダ付け部に接触させて上記厚さ方向の他方側に向かって押圧する第2工程とを備えている。
上記棒状ハンダは、上記幅方向に沿って上記間隔をあけて設けられており、上記厚さ方向の上記一方側に上記各第1導電部材の上記ハンダ付け部の幅と同じかそれ以上の幅をもつ第1面を有すると共に上記厚さ方向の上記他方側に上記各第2導電部材の上記ハンダ付け部の幅と同じかそれ以下の幅をもつ第2面を有して上記複数の第2導電部材の上記ハンダ付け部にそれぞれ対応する複数の厚肉部と、隣り合う上記厚肉部の間にそれぞれ設けられた薄肉部とを備え、上記厚肉部の厚さが上記薄肉部を含む他の部位の厚さよりも厚く形成されており、
上記ヒータチップは、上記幅方向に沿って上記間隔をあけて設けられており、上記厚さ方向にみて上記各厚肉部の少なくとも中央部にそれぞれ対応する部分に設けられた第1コテ部と、上記厚さ方向にみて隣り合う上記第1コテ部の間における上記各薄肉部の少なくとも中央部に対応する部分に上記第1コテ部よりも上記厚さ方向の上記他方側にそれぞれ突出する第2コテ部とを備えている。
【0015】
上記第1工程において、上記複数の第2導電部材の上記ハンダ付け部の上記厚さ方向の一方側に上記棒状ハンダを配置し、上記棒状ハンダの上記厚さ方向の上記一方側に上記複数の第1導電部材の上記ハンダ付け部を上記複数の第2導電部材の上記ハンダ付け部に対応させてそれぞれ配置し、次いで上記第2工程において、上記第1導電部材の上記ハンダ付け部の上記厚さ方向の上記一方側に上記ヒータチップを配置し、上記ヒータチップを発熱させると共に上記ヒータチップを上記複数の第1導電部材の上記ハンダ付け部に接触させて上記厚さ方向の他方側に向かって押圧すると、上記棒状ハンダの上記各厚肉部及び上記各薄肉部がそれぞれ溶けて上記各第1導電部材の上記ハンダ付け部が上記各第2導電部材の上記ハンダ付け部にそれぞれハンダ付けされる。
【0016】
その場合、上記第2工程において上記ヒータチップの上記各第2コテ部により上記各薄肉部が加熱され且つ上記厚さ方向の上記他方側に向かって押圧されると、上記各第2コテ部が上記各薄肉部に接触して溶け、上記各厚肉部よりも先に上記長手方向に分断される。そのため、上記棒状ハンダが上記各薄肉部においてそれぞれ幅方向に分離され、上記各厚肉部がそれぞれ独立する。次いで、上記独立した各厚肉部が、これに対応する上記各第1導電部材の上記ハンダ付け部と上記各第2導電部材の上記ハンダ付け部の間で溶けて固まり、上記各第1導電部材の上記ハンダ付け部と上記各第2導電部材の上記ハンダ付け部との間の上記各接続ハンダの大部分を形成することから、上記各接続ハンダのハンダ量が過不足無く確保される。そのため、上記各接続ハンダの接続強度が確保されると共に、隣り合う接続ハンダの隙間が確保される。また、上記棒状ハンダが加熱されると上記各薄肉部が上記各厚肉部よりも先に溶けるので、上記各厚肉部が溶けたときに上記各薄肉部が固体で残りにくいので、上記各接続ハンダの間にハンダの溶け残り及びハンダボールが生成されにくいことから製品の信頼性が向上する。また、上記棒状ハンダがペーストを含んでいる場合、上記棒状ハンダの加熱が始まってから比較的早い段階で上記各薄肉部が上記長手方向に分断されるので、上記棒状ハンダに含まれるペーストが上記分断された面から溶出されやすく、ガス化したペーストにより上記棒状ハンダが破裂することが抑制される。このことからも、ハンダボールが生成されにくくなり、製品の信頼性が向上する。
【0017】
さらに、隣り合う第1導電部材のハンダ付け部の間に例えば上記極間壁のような構造物があるときには、上記各構造物には隣り合う上記厚肉部の間の上記各薄肉部がそれぞれ対向する。そのため、上記棒状ハンダにおける上記第1導電部材の側の面で上記厚肉部と上記薄肉部とに段差を設ければ上記構造物から上記薄肉部を確実に離すことが可能となるので、上記構造物が熱負荷により損傷を受けることを防止することが可能となる。しかも、上記構造物の幅方向両側に上記厚肉部が嵌るので上記棒状ハンダの、上記第1導電部材の上記ハンダ付け部への位置決め精度が向上し、上記各接続ハンダのハンダ量のばらつきが低減する。
【0018】
本発明の第3の導電部材のハンダ付け方法は、上記第1又は第2の導電部材のハンダ付け方法において、さらに、
上記棒状ハンダが、上記厚さ方向の一方側に平面が形成され、上記厚さ方向の他方側から上記厚さ方向へ凹むと共に上記幅方向及び上記厚さ方向と直交する奥行き方向へ延びる溝が一又は二以上形成されており、上記溝の上記幅方向両側に上記厚肉部がそれぞれ形成され、上記厚さ方向の一方側の面と上記溝との間に上記薄肉部が形成されている。
【0019】
このようにすれば、比較的簡単な構成で上記棒状ハンダが実現する。また、上記極間壁のように隣り合う第1導電部材のハンダ付け部の間に例えば上記極間壁のような構造物があるときには、上記棒状ハンダは上記各構造物に上記各溝がそれぞれ対応するように配置されることになり、上記各構造物から上記薄肉部を確実に離すことが可能となるので、上記構造物が熱負荷により損傷を受けることを防止することが可能となり、また上記構造物の上記幅方向両側に上記厚肉部が嵌るので上記棒状ハンダの、上記第1導電部材の上記ハンダ付け部への位置決め精度が向上し、上記各接続ハンダのハンダ量のばらつきが低減する。
【0020】
本発明の第4の導電部材のハンダ付け方法は、上記第1ないし第3のうちいずれか一つの導電部材のハンダ付け方法において、さらに、
上記薄肉部における上記幅方向の中間に、上記幅方向に向いた面で断面したときの断面積が上記薄肉部のなかで最小になる狭小部が形成されている。
【0021】
このようにすれば、上記棒状ハンダが加熱されると、上記各薄肉部のなかでも上記狭小部が先に溶けるので、上記棒状ハンダが上記各薄肉部においてそれぞれ幅方向に分離される確率が高められ、上記第1又は第2の導電部材のハンダ付け方法で得られた作用及び効果が一層確実に得られる。また、上記棒状ハンダが上記各狭小部においてそれぞれ幅方向に分離され、上記各厚肉部がそれぞれ独立するので、上記独立した各厚肉部に、上記幅方向中間で分離された上記各薄肉部の片割れが吸収される。そのため、上記各接続ハンダのハンダ量が一層正確に確保され、ばらつきが少なくなる。よって、上記各接続ハンダの接続強度の確保、及び隣り合う接続ハンダの隙間の確保が、より確実に得られ、また、上記各接続ハンダの間にハンダの溶け残り及びハンダボールが一層生成されにくくなり製品の信頼性が向上する。
【0022】
本発明の第5の導電部材のハンダ付け方法は、上記第1ないし第4のうちいずれか一つの導電部材のハンダ付け方法において、さらに、
上記厚肉部の上記第1面に、上記厚さ方向に凹んで上記第1導電部材の上記ハンダ付け部が入る受止部が形成されている。
【0023】
このようにすれば、ハンダ付けのときに上記第1の導電部材の上記ハンダ付け部を上記受止部に入れれば、上記ハンダ付け部が不用意に移動しないので、ハンダ付けの作業性が向上する。
【0024】
本発明の第6の導電部材のハンダ付け方法は、上記第1ないし第5のうちいずれか一つの導電部材のハンダ付け方法において、
上記各第1導電部材が、電線の終端から露出した導体であり、
上記絶縁部材が、複数の極を有する電気コネクタのハウジングであり、上記各第2導電部材が、上記電気コネクタの上記各極をそれぞれ構成するコンタクトであり、上記ハウジングには隣り合う上記コンタクトの上記ハンダ付け部の間から上記厚さ方向へそれぞれ立ち上がる極間壁が設けられており、
上記複数の第1導電部材、上記複数の第2導電部材、及び上記棒状ハンダを、上記棒状ハンダの上記各厚肉部の上記第1面に上記各第1導電部材の上記ハンダ付け部がそれぞれ接触すると共に上記第2面に上記各第2導電部材の上記ハンダ付け部がそれぞれ接触するように配置するときに、隣り合う上記厚肉部の間の上記各薄肉部が上記各極間壁とそれぞれ対向するように配置する。
【0025】
この導電部材のハンダ付け方法により、上記棒状ハンダを用いて上記極間壁を備えた電気コネクタの上記コンタクトの上記ハンダ付け部に電線の導体がハンダ付けされる。そして、上記棒状ハンダの上記各厚肉部の上記第1面は上記各電線の導体の上記ハンダ付け部にそれぞれ接触し上記第2面は上記各コンタクトの上記ハンダ付け部にそれぞれ接触するが、上記各極間壁には隣り合う上記厚肉部の間の上記各薄肉部がそれぞれ対向する。そのため、上記棒状ハンダにおける上記コンタクト側の面で上記厚肉部と上記薄肉部とに段差を設ければ上記極間壁から上記薄肉部を確実に離すことが可能となるので、上記極間壁が熱負荷により損傷を受けることを防止することが可能となり、また上記極間壁の幅方向両側に上記厚肉部が嵌るので上記棒状ハンダの電気コネクタへの位置決め精度が向上し、上記各接続ハンダのハンダ量のばらつきが低減する。
【発明の効果】
【0026】
本発明の第1の導電部材のハンダ付け方法は、上記第2導電部材の上記ハンダ付け部に、長手方向に沿って上記厚肉部と上記薄肉部とが設けられた上記棒状ハンダと上記第1導電部材の上記ハンダ付け部とを重ね、上記ヒータチップを発熱させて上記第1導電部材の上記ハンダ付け部及び上記厚肉部に押圧すると、上記各薄肉部が上記各厚肉部よりも先に上記長手方向に分断されて上記各厚肉部が上記各接続ハンダの大部分を形成するようにしたので、上記各接続ハンダのハンダ量を確保して上記各接続ハンダの接続強度の確保及び隣り合う接続ハンダの隙間の確保を実現することができ、またハンダの溶け残り及びハンダボールの生成を防止して製品の信頼性を向上させることができ、さらに上記極間壁のように隣り合う第1導電部材のハンダ付け部の間に例えば上記極間壁のような構造物があるときには上記第1導電部材の側の面で上記厚肉部と上記薄肉部とに段差を設ければ上記構造物が熱負荷により損傷を受けることを防止することが可能となると共に上記構造物を利用して位置決め精度を向上させることができる。
【0027】
本発明の第2の導電部材のハンダ付け方法は、上記第2導電部材の上記ハンダ付け部に、長手方向に沿って上記厚肉部と上記薄肉部とが設けられた上記棒状ハンダと上記第1導電部材の上記ハンダ付け部とを重ね、上記ヒータチップを発熱させて上記薄肉部に押圧すると、上記各薄肉部が上記各厚肉部よりも先に上記長手方向に分断されて上記各厚肉部が上記各接続ハンダの大部分を形成するようにしたので、上記各接続ハンダのハンダ量を確保して上記各接続ハンダの接続強度の確保及び隣り合う接続ハンダの隙間の確保を実現することができ、またハンダの溶け残り及びハンダボールの生成を防止して製品の信頼性を向上させることができ、さらに上記極間壁のように隣り合う第1導電部材のハンダ付け部の間に例えば上記極間壁のような構造物があるときには上記第1導電部材の側の面で上記厚肉部と上記薄肉部とに段差を設ければ上記構造物が熱負荷により損傷を受けることを防止することが可能となると共に上記構造物を利用して位置決め精度を向上させることができる。
【0028】
本発明の第3の導電部材のハンダ付け方法は、上記第1又は第2の導電部材のハンダ付け方法により得られる効果が得られることに加え、さらに、比較的簡単な構成で上記第1の棒状ハンダを実現することができ、また上記極間壁のように隣り合う第1導電部材のハンダ付け部の間に例えば上記極間壁のような構造物があるときには、上記構造物が熱負荷により損傷を受けることを防止することが可能となり、また上記第1導電部材の上記ハンダ付け部への位置決め精度が向上して上記各接続ハンダのハンダ量のばらつきを低減することができる。
【0029】
本発明の第4の導電部材のハンダ付け方法は、上記第1ないし第3のうちいずれか一つの導電部材のハンダ付け方法により得られる効果が得られることに加え、さらに、上記各接続ハンダのハンダ量が一層正確に確保され、ばらつきが少なくなるので、上記各接続ハンダの接続強度の確保、及び隣り合う接続ハンダの隙間の確保を、より確実に得ることができ、また、上記各接続ハンダの間にハンダの溶け残り及びハンダボールが一層生成されにくくなり製品の信頼性を向上することができる。
【0030】
本発明の第5の導電部材のハンダ付け方法は、上記第1ないし第4のうちいずれか一つの導電部材のハンダ付け方法により得られる効果が得られることに加え、さらに、ハンダ付けのときに上記第1の導電部材の上記ハンダ付け部が上記受止部に係止されて不用意に移動しにくくなり、ハンダ付けの作業性を向上させることができる。
【0031】
本発明の第6の導電部材のハンダ付け方法は、上記第1ないし第5のうちいずれか一つの導電部材のハンダ付け方法で得られた効果が得られることに加え、さらに、上記極間壁を備えた電気コネクタの上記コンタクトに電線の導体をハンダ付けする方法を具体的に開示することができた。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明の導電部材のハンダ付け方法の第1の実施形態及び第2の実施形態を用いて電線の導体を電気コネクタのコンタクトへ接続するときの上記電線と、上記棒状ハンダと、上記電気コネクタとを分解して示した斜視図である。
【図2】図2は、図1で示した上記電線と、上記棒状ハンダと、上記電気コネクタとを組み立てたときのこれらの斜視図である。
【図3】図3は、図2において上記棒状ハンダを長手方向に横切る断面線でもって断面した断面図である。
【図4】図4は、上記第1の実施形態及び上記第2の実施形態の導電部材のハンダ付け方法で用いた上記棒状ハンダの斜視図である。厚肉部の第1面の側からみている。
【図5】図5は、図4の上記棒状ハンダの斜視図である。上記厚肉部の第2面の側からみている。
【図6】図6は、図4の上記棒状ハンダの正面図である。
【図7】図7は、上記第1の実施形態の導電部材のハンダ付け方法で用いた熱融着装置を示す概略説明図である。
【図8】図8は、上記第1の実施形態の導電部材のハンダ付け方法で用いた熱融着装置に装着されたヒータチップを示す斜視図である。
【図9】図9は、図8の上記ヒータチップを別の角度からみた斜視図である。
【図10】図10ないし図13は、第1の実施形態の導電部材のハンダ付け方法を説明する正面図である。いずれの図も、上記ヒータチップと、上記電線と、上記棒状ハンダと、上記電気コネクタの要部とを示している。上記電線はハンダ付け部のみを表して他の部分を省略している。図10は、上記コンタクトに上記棒状ハンダと上記電線を重ねている。
【図11】図11は、上記ヒータチップを上記電線に押圧している状態を示す図10相当図である。
【図12】図12は、上記ヒータチップを上記電線に更に押圧している状態を示す図10相当図である。
【図13】図13は、ハンダ付けが完了して上記ヒータチップを上記接続ハンダから離した状態を示す図10相当図である。
【図14】図14は、第1の実施形態の導電部材のハンダ付け方法及び第2の実施形態の導電部材のハンダ付け方法で用いる棒状ハンダの第1の変形例の斜視図である。厚肉部の第1面の側からみている。
【図15】図15は、上記棒状ハンダの第1の変形例の斜視図である。上記厚肉部の第2面の側からみている。
【図16】図16は、第1の実施形態の導電部材のハンダ付け方法及び第2の実施形態の導電部材のハンダ付け方法で用いる棒状ハンダの第2の変形例の斜視図である。厚肉部の第1面の側からみている。
【図17】図17は、上記棒状ハンダの第2の変形例の斜視図である。上記厚肉部の第2面の側からみている。
【図18】図18は、第1の実施形態の導電部材のハンダ付け方法及び第2の実施形態の導電部材のハンダ付け方法で用いる棒状ハンダの第3の変形例の斜視図である。厚肉部の第1面の側からみている。
【図19】図19は、上記棒状ハンダの第3の変形例の斜視図である。上記厚肉部の第2面の側からみている。
【図20】図20は、上記棒状ハンダの第3の変形例の一部を拡大した平面図である。
【図21】図21は、第1の実施形態の導電部材のハンダ付け方法及び第2の実施形態の導電部材のハンダ付け方法で用いる棒状ハンダの第4の変形例の斜視図である。厚肉部の第1面の側からみている。
【図22】図22は、上記棒状ハンダの第4の変形例の斜視図である。上記厚肉部の第2面の側からみている。
【図23】図23は、上記棒状ハンダの第4の変形例の正面図である。
【図24】図24は、第2の実施形態の導電部材のハンダ付け方法で用いた熱融着装置を示す概略説明図である。
【図25】図25は、上記第2の実施形態の導電部材のハンダ付け方法で用いた熱融着装置に装着されたヒータチップを示す斜視図である。
【図26】図26は、図25の上記ヒータチップを別の角度からみた斜視図である。
【図27】図27ないし図30は、第2の実施形態の導電部材のハンダ付け方法を説明する正面図である。いずれの図も、上記ヒータチップと、上記電線と、上記棒状ハンダと、上記電気コネクタの要部とを示している。上記電線はハンダ付け部のみを表して他の部分を省略している。図27は、上記コンタクトに上記棒状ハンダと上記電線を重ねている。
【図28】図28は、上記ヒータチップを上記電線に押圧している状態を示す図27相当図である。
【図29】図29は、上記ヒータチップを上記電線に更に押圧している状態を示す図27相当図である。
【図30】図30は、ハンダ付けが完了して上記ヒータチップを上記接続ハンダから離した状態を示す図27相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の導電部材のハンダ付け方法の実施の形態を説明する。本発明の第1の実施形態の導電部材のハンダ付け方法は、複数の第1導電部材222、230を、絶縁部材310に設けられた複数の第2導電部材320に、第1導電部材222、230のハンダ付け部222a、230a及び第2導電部材320のハンダ付け部321が間隔をあけて後述する幅方向に一列に並ぶように一括してハンダ付けするハンダ付け方法である。このハンダ付け部222a、230a、321は、それぞれ上記第1導電部材222、230及び第2導電部材320におけるハンダ付けの対象となる部位である。図1ないし図3、及び図10ないし図13に示すように、上記第1の実施形態の場合、三種類の上記第1導電部材がある。一つ目の上記第1導電部材222は、芯線又はコアと称される導体の周囲を絶縁被覆221で覆ってなる独立した電線220における上記導体である。二つ目の上記第1導電部材222は、同様に導体の周囲を絶縁被覆221で覆ってなる電線220における上記導体である。この電線220は、芯線又はコアと称される導体よりなるドレン線と共に束ねられて導電性のシールドテープで覆われ、さらにこのシールドテープが絶縁被覆210で覆われている。そして、上記電線220と、上記ドレン線と、上記シールドテープと、上記絶縁被覆210とによりシールドケーブルを構成している。上記シールドケーブルのドレン線もまた第1導電部材であり、これが三つ目の第1導電部材230になる。上記シールドケーブルよりなる電線200が内蔵する上記電線220は二本であるが、この内蔵数は一本又は三本以上であってもよい。上記シールドケーブルよりなる電線200が内蔵する上記ドレン線は二本であるが、この内蔵数は一本又は三本以上であってもよいし、ドレン線が無くてもよい。上記独立した電線220の導体であり、また上記シールドケーブルよりなる上記電線200が内蔵する電線220の導体である上記第1導電部材222の終端は、上記電線220の終端の上記絶縁被覆221を剥き取ることで、上記絶縁被覆221の終端から露出している。また、上記シールドケーブルよりなる上記電線200の導体である上記第1導電部材230の終端は、上記電線200の終端の上記絶縁被覆210を剥き取ることで、上記絶縁被覆210の終端から露出している。また、上記絶縁部材310は、ハウジングにコンタクトを設けてなる電気コネクタ300のハウジングであり、上記第2導電部材320は上記コンタクトである。しかし、上記第1導電部材が以上で例示した独立した上記電線220の導体と、上記シールドケーブルが内蔵する上記電線220の導体と、上記シールドケーブルが内蔵する上記ドレン線のいずれかで統一されていてもよいし、これらの二つ又は三つを組み合わせていてもよい。本発明の導電部材のハンダ付け方法の対象となる電線の導体は、この実施形態によって限定解釈されることはなく、電線の終端から露出可能な導体であって、導体のハンダ付け部を間隔をあけて一列に並べることができるものであれば対象となる。また、本発明の導電部材のハンダ付け方法の対象となる第1導電部材及び第2導電部材は、いずれもハンダ付けすることができる導電性の部材であればよく、この実施形態によって限定的に解釈されることはない。一例として、第1導電部材が電子部品のリードであり、第2導電部材がプリント配線板の導体パターンである場合が挙げられる。
【0034】
以下、互いに直交する幅方向、厚さ方向、及び奥行き方向をとり、これらの方向付けを用いて説明する。上記第1の実施形態の場合、図10で説明すれば、この図の左右方向が上記幅方向であり、この図の上下方向が上記厚さ方向であり、この図の紙面に垂直な方向が上記奥行き方向であり、紙面の表側が上記奥行き方向の手前側で紙面の裏側が上記奥行き方向の奥側である。この実施形態では上記厚さ方向は上下方向に相当するが、上記厚さ方向が上記上下方向以外の方向に相当していてもよい。上記電気コネクタ300は、上記ハウジングである上記絶縁部材310と、この絶縁部材310に設けられた上記複数のコンタクトである上記複数の第2導電部材320とを備えている。上記絶縁部材310は合成樹脂により形成されているが、上記絶縁部材は絶縁性材料により形成されておればよい。上記絶縁部材310は、本体ハウジング311と、この本体ハウジング311に上記厚さ方向の一方側である上側から組み付けられるホルダハウジング312とを備えている。この実施形態では、このように絶縁部材310を上記本体ハウジング311と上記ホルダハウジング312とに分割したが、分割せずに一体にしてもよい。図1ないし図3に示すように、上記本体ハウジング311は、上記幅方向に延びる横部材とその両端から上記奥行き方向の奥側へほぼ平行に延びる二本の縦部材とにより平面視でほぼU字形に形成された本体311aと、この本体311aの上記横部材の上記奥行き方向の奥側から上記厚さ方向の他方側である下側へ延びて相手側電気コネクタ(図示省略)と嵌合することになる嵌合部311bとを備えている。上記嵌合部311bは上記相手側電気コネクタに対して上記厚さ方向に沿って嵌合し又は離脱する。上記嵌合部311bの上記厚さ方向の一方側である上側の端面は、上記横部材の上記奥行き方向の奥側において、上記厚さ方向の一方側である上側を向いた面に形成されている。上記本体311aには、上記二本の上記縦部材の対向する端面の間に、上記ホルダハウジング312を上記厚さ方向の一方側である上側から受け入れる受入部311dが形成されている。
【0035】
上記各第2導電部材320は金属によりほぼ短冊状に形成されており、上記嵌合部311bに圧入されている。上記第2導電部材は導電性材料により形成されておればよい。上記各第2導電部材320は、その広い方の面が、上記厚さ方向の一方側である上側の端部を除いて、上記嵌合部311bの上記奥行き方向奥側の面に接触している。上記各第2導電部材320の上記端部は、上記奥行き方向手前側へ折れ曲がっていて上記嵌合部311bの上記端面に接触している。上記各第2導電部材320の上記端部が上記第2導電部材320のハンダ付け部321になる。したがって、上記各第2導電部材320は上記幅方向からみてほぼL字形に形成されている。
【0036】
上記ホルダハウジング312は、ほぼ板状に形成されており、その板厚方向を上記厚さ方向にほぼ一致させている。上記ホルダハウジング312は、上記本体311aと上記厚さ方向の寸法がほぼ同じである。上記ホルダハウジング312を上記厚さ方向に沿って上記本体311aへ近づけると、上記ホルダハウジング312が上記受入部311dに嵌るようになっている。
【0037】
上記ホルダハウジング312の央部には、独立した上記電線220と、上記電線220を内蔵する上記シールドケーブルよりなる上記電線200とをそれぞれかしめるカシメシェル330が上記幅方向に並んで載置されることになる載置部312bが設けられている。上記ホルダハウジング312の上記奥行き方向奥側には、上記厚さ方向の一方側の端面からほぼU字形に凹む第1保持部が設けられており、上記独立した上記電線220及び上記シールドケーブルよりなる上記電線200をそれぞれ嵌めて保持している。上記ホルダハウジング312の上記奥行き方向手前側には、上記厚さ方向の一方側の端面からほぼU字形に凹む第2保持部が設けられており、上記独立した上記電線220と、上記シールドケーブルよりなる上記電線200の終端から引き出された上記電線220と、上記シールドケーブルよりなる上記電線200の終端から引き出された上記ドレン線よりなる上記第1導電部材230とをそれぞれ嵌めて保持している。上記シールドケーブルよりなる上記電線200の終端から引き出された上記電線220は二本まとめて上記第2保持部に保持されている。上記ドレン線よりなる上記第1導電部材230は適宜分割され、その分割されたものが単独で又は二本まとめて上記第2保持部に保持されている。上記第2保持部によるこれらの保持形態は上記電気コネクタの仕様に応じて適宜に対応されることであり、この実施形態により本発明の導電部材のハンダ付け方法が対象とする電気コネクタにおける電線の接続形態が限定解釈されることはない。
【0038】
上記嵌合部311bの上記端面には、上記幅方向に上記複数の第2導電部材320の上記端部が並んでおり、これらによって上記電気コネクタ300の複数の極が構成されている。そして、上記嵌合部311bの上記端面には、隣り合う上記第2導電部材320の上記ハンダ付け部321の間から上記厚さ方向の一方側へそれぞれ立ち上がる極間壁311fが設けられている。この極間壁311fは上記絶縁部材310と同様に合成樹脂により形成されているが、絶縁性材料により形成されておればよい。本発明の導電部材のハンダ付け方法の対象となる電気コネクタは、この実施形態によって限定解釈されることはなく、絶縁部材に複数のコンタクトが設けられていて、コンタクトのハンダ付け部が間隔をあけて一列に並んでおればよく、極間壁を備えていない電気コネクタであってもよい。
【0039】
図4ないし図6に示すように、上記棒状ハンダ100は、複数の厚肉部110と、隣り合う上記厚肉部110の間にそれぞれ設けられた薄肉部120とを備えている。上記棒状ハンダ100の長手方向は上記幅方向に一致している。そして、先に説明したように、上記幅方向、上記厚さ方向、及び上記奥行き方向は互いに直交している。上記棒状ハンダ100は上記厚さ方向からみて上記幅方向を長辺とし上記奥行き方向を短辺とする長方形に形成されているが、上記幅方向を長手方向とする棒状に形成されておれば他の形状であってもよい。上記棒状ハンダ100は上記奥行き方向からみて上記各厚肉部110の厚さが同一であり、また上記各薄肉部120の厚さが同一であるが、各厚肉部毎に又は各薄肉部毎に厚さが一致していなくてもよい。上記厚肉部110は、上記複数の第2導電部材320の上記ハンダ付け部321にそれぞれ対応して設けられている。上記厚肉部110は、上記幅方向に沿って上記間隔をあけて設けられている。この実施形態では上記間隔は一定である。しかし、上記間隔は上記複数の第2導電部材の間隔に対応して設けられるので、それに応じて決定される寸法である。したがって上記間隔が一定ではなく不揃いになることもある。図4に示すように、上記厚肉部110は、上記厚さ方向の一方側に、上記各第1導電部材222の上記ハンダ付け部222aの幅よりも大きい幅をもつ第1面111を有している。上記薄肉部120は、隣り合う上記厚肉部110の間に、上記厚さ方向の上記一方側の面が上記厚肉部110の上記第1面111に連続するようにそれぞれ設けられている。この実施形態の場合、上記第1面111の幅は、上記棒状ハンダ100の上記厚さ方向の一方側の面を極数で割って上記薄肉部120を除いた幅になっている。したがって、上記各第1面111は上記薄肉部120を介して上記幅方向に連続しており、後述するように上記棒状ハンダ100の上記厚さ方向の一方側の面は平面に形成されている。上記第1面の幅は、上記各第1導電部材の上記ハンダ付け部の幅と同じかそれ以上であればよい。図5に示すように、上記厚肉部110は、上記厚さ方向の他方側に、上記各第2導電部材320の上記ハンダ付け部321の幅よりも小さい幅をもつ第2面112を有している。上記第2面の幅は、上記各第2導電部材の上記ハンダ付け部の幅と同じかそれ以下であればよい。図6に示すように、上記第1面111の幅は上記第2面112の幅よりも大きいので、上記厚肉部110は上記奥行き方向にみて台形になるように形成されているが、これによって本発明の棒状ハンダの上記第1面と上記第2面との寸法比が限定解釈されることはない。この実施形態の場合、上記幅方向の両端にある上記厚肉部110の幅方向外側には、それぞれ上記薄肉部と類似する端部130が設けられている。この端部130は上記厚肉部110及び上記薄肉部120と奥行き方向の寸法が同一である。この端部130の上記厚さ方向の一方側は上記第1面111と面一である。上記幅方向外側とは、上記棒状ハンダ100の上記幅方向における中央よりも上記幅方向に沿って遠くなる側である。そして、上記厚肉部110の厚さが上記薄肉部120を含む他の部位の厚さよりも厚く形成されている。
【0040】
上記棒状ハンダ100の場合、上記棒状ハンダ100の上記厚さ方向の一方側に平面が形成されている。また、上記棒状ハンダ100には、上記棒状ハンダ100の上記厚さ方向の他方側から上記厚さ方向へ凹むと共に上記奥行き方向へ延びる溝140が形成されている。この溝は互いに平行になるように二以上形成されているが、一本であってもよい。また、上記溝140は直線状であるが、上記溝は上記奥行き方向に沿って延びておればよく、直線状ではなく曲線状であってもよい。そして、上記棒状ハンダ100における上記溝140の上記幅方向両側に上記厚肉部110がそれぞれ形成されている。また、上記棒状ハンダ100における上記厚さ方向の一方側の面と上記溝140との間に上記薄肉部120が形成されている。
【0041】
次に、図7により、上記熱融着装置400を説明する。上記熱融着装置400は、フレーム(図示省略)に昇降自在に設けられたヒータヘッド410を備え、このヒータヘッド4l0は、一対の電極ホルダ411と、各電極ホルダ411にそれぞれ設けられた接続部材412とを備えている。上記二つの接続部材412にヒータチップ420の両端がそれぞれが連結されていて、上記一対の電極ホルダ411の間に印加された電圧に応じて上記ヒータチップ420に電流が流れ、後述する第1コテ部422及び第2コテ部423が抵抗発熱によりジュール熱を発するようになっている。上記一対の電極ホルダ411にはヒータ電源430から電力が供給される。上記ヒータ電源430は、三相交流電圧を直流電圧に変換する三相整流回路431と、直流電力から交流電力を電気的に生成して逆変換するインバータ432と、溶接トランス433とを備えており、上記三相整流回路431の出力端子に上記インバータ432の入力端子が接続され、上記インバータの出力端子に上記溶接トランス433の一次側コイルが接続され、上記溶接トランス433の二次側コイルの両端が上記一対の電極ホルダ411にそれぞれ接続されている。上記ヒータチップ420には温度センサ441が装着されており、この温度センサ441からの出力信号と、上記溶接トランス433の電流測定回路からの出力信号とが制御部450に入力されている。上記制御部450はマイクロコンピュータを備えており、この制御部450により、上記温度センサ441からの出力信号と、上記溶接トランス433の電流測定回路からの出力信号とに基づいて、上記インバータ432のドライブ回路と上記ヒータヘッド410の作動が制御されるようになっている。上記ヒータヘッド410は、フレームに対して上記厚さ方向に沿って移動自在に設けられている。よって、上記ヒータチップ420も、フレームに対して上記厚さ方向に沿って移動自在に設けられている。そして、被加熱物に対して上記ヒータチップ420を所定の圧力でもって押しつけ、上記ヒータチップ420に所定のパターンで電流を流すことにより上記ヒータチップ420を発熱させて上記被加熱物を加熱するようにしている。以上で説明した交流波形インバータ方式の電源回路を用いる上記ヒータ電源430は一例を示したに過ぎず、上記ヒータチップ420を抵抗発熱させるための上記ヒータ電源としては、例えば単相交流形、又はその他の形式のヒータ電源を利用することができる。本発明で用いる熱融着装置は、この実施形態の上記熱融着装置400によって限定解釈されず、被加熱物に対して所定の圧力でもって押圧しつつ加熱する機能を発揮するものであればよい。
【0042】
図8及び図9に示すように、上記ヒータチップ420は、本体421と、第1コテ部422と、第2コテ部423とを備えている。上記本体421は、上記幅方向、厚さ方向、及び奥行き方向に沿って各辺を有する直方体形に形成されている。上記本体421の上記厚さ方向の他方側に、上記第1コテ部422及び第2コテ部423が設けられている。上記第1コテ部422は、上記複数の第2導電部材320の上記ハンダ付け部321にそれぞれ対応して設けられている。上記第1コテ部422は、上記幅方向に沿って上記間隔をあけて設けられている。この実施形態では上記間隔は一定である。しかし、上記間隔は上記複数の第2導電部材の間隔に対応して設けられるので、それに応じて決定される寸法である。したがって上記間隔が一定ではなく不揃いになることもある。上記第1コテ部422は、上記厚さ方向にみて上記各厚肉部110の少なくとも中央部に対応する部分に設けられている。そして、上記第1コテ部422は上記中央部に対応する部分から上記厚さ方向の上記他方側にそれぞれ突出して設けられている。この実施形態の場合、上記第1コテ部422は、上記厚さ方向にみて上記各厚肉部110の中央部に対応する部分を含んで上記第2面112に相当する範囲に設けられている。上記第1コテ部422は、上記幅方向、厚さ方向、及び奥行き方向に沿って各辺を有する直方体形に形成されており、上記厚さ方向の上記他方側の面が上記厚さ方向に向いた平面に形成されている。そして、上記第1コテ部422の上記奥行き方向の寸法は上記本体421と同一である。しかし、この実施形態によって本発明の上記第1コテ部の形状が限定解釈されることはなく、本発明の上記第1コテ部は、上記幅方向に沿って上記間隔をあけて設けられ、上記厚さ方向にみて上記各厚肉部の少なくとも中央部に対応する部分から上記厚さ方向の上記他方側にそれぞれ突出して設けられておればよい。上記第2コテ部423は、隣り合う上記第1コテ部422の間に設けられ、後述する第2工程において上記各第1コテ部422により上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230a及び上記各厚肉部110が加熱され且つ上記厚さ方向の上記他方側に向かって押圧されることで上記各薄肉部120が上記厚さ方向の上記一方側に向かって変位したときに上記各薄肉部120の表面に接触するようにそれぞれ設けられている。すなわち、上記第2工程において上記各第1コテ部422により上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230a及び上記各厚肉部110が加熱され且つ上記厚さ方向の上記他方側に向かって押圧されると、図11に示すように、上記各厚肉部110が溶融すると共に、上記各厚肉部110の内部に作用する応力によって上記各薄肉部120が上記厚さ方向の上記一方側に向かって変位する。このような上記各薄肉部120の変位は、上記各薄肉部120を、その上記厚さ方向の上記一方側の面が両側の上記厚肉部110の上記第1面111に連続するようにそれぞれ設けたため、上記押圧力を受けると上記両側の厚肉部110及びその間にある上記薄肉部120に生じた応力によって起こるものと推察される。
【0043】
そして、上記導電部材のハンダ付け方法は、第1工程と、第2工程とを備えている。上記第1工程は、図10に示すように、上記複数の第2導電部材320の上記ハンダ付け部321の上記厚さ方向の一方側に上記幅方向に延びる一つの上記棒状ハンダ100を配置し、上記棒状ハンダ100の上記厚さ方向の上記一方側に上記複数の第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aを上記複数の第2導電部材320のハンダ付け部321に対応させてそれぞれ配置する工程である。この場合、上記棒状ハンダ100の上記各第2面112が上記各第2導電部材320の上記ハンダ付け部320aに接触しており、上記棒状ハンダ100の上記各第1面111に上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aが接触している。上記第2工程は、図11から図13に示すように、上記熱融着装置400を操作して、上記複数の第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aの上記厚さ方向の上記一方側に上記幅方向に延びる一つの上記ヒータチップ420を配置し、上記ヒータチップ420を発熱させると共に上記ヒータチップ420を上記複数の第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aに接触させて上記厚さ方向の他方側に向かって押圧する工程である。上記第2工程を行うと、上記ヒータチップ420により上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aがそれぞれ加熱されて上記棒状ハンダ100の上記各厚肉部110及び上記各薄肉部120がそれぞれ溶け、図13に示すように、上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aが上記各第2導電部材320の上記ハンダ付け部321にそれぞれハンダ付けされる。上記第2工程の間、上記棒状ハンダ100が溶けるので、上記第1導電部材222、230のハンダ付け部222a、230aが上記厚さ方向の他方側へ若干沈む。図13において、170は上記棒状ハンダ100が溶けてから固まってできた接続ハンダである。
【0044】
この実施形態の場合、先に説明したように、上記各第1導電部材222、230が、独立した電線及びシールドケーブルなどの上記電線220、200の終端から露出した導体であり、上記絶縁部材310が、複数の極を有する電気コネクタ300のハウジングであり、上記各第2導電部材320が、上記電気コネクタ300の上記各極をそれぞれ構成するコンタクトであり、上記ハウジングには隣り合う上記コンタクトの上記ハンダ付け部321の間から上記厚さ方向へそれぞれ立ち上がる極間壁311fが設けられている。したがって、上記ハンダ付け方法は、上記複数の第1導電部材222、230、上記複数の第2導電部材320、及び上記棒状ハンダ100を、上記棒状ハンダ100の上記各厚肉部110の上記第1面111に上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aがそれぞれ接触すると共に上記第2面112に上記各第2導電部材320の上記ハンダ付け部321がそれぞれ接触するように配置するときに、隣り合う上記厚肉部110の間の上記各薄肉部120が上記各極間壁311fとそれぞれ対向するように配置することになる。
【0045】
したがって、上記第1実施形態の導電部材のハンダ付け方法においては、上記第1工程において、上記複数の第2導電部材320の上記ハンダ付け部321の上記厚さ方向の一方側に上記棒状ハンダ100を配置し、上記棒状ハンダ100の上記厚さ方向の上記一方側に上記複数の第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aを上記複数の第2導電部材320の上記ハンダ付け部321に対応させてそれぞれ配置し、次いで上記第2工程において、上記第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aの上記厚さ方向の上記一方側に上記ヒータチップ420を配置し、上記ヒータチップ420を発熱させると共に上記ヒータチップ420を上記複数の第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aに接触させて上記厚さ方向の他方側に向かって押圧すると、上記棒状ハンダ100の上記各厚肉部110及び上記各薄肉部120がそれぞれ溶けて上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aが上記各第2導電部材320の上記ハンダ付け部321にそれぞれハンダ付けされる。
【0046】
その場合、上記第2工程において上記ヒータチップ420の上記各第1コテ部422により上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230a及び上記各厚肉部110が加熱され且つ上記厚さ方向の上記他方側に向かって押圧されると、上記各厚肉部110の変形を受けて上記各薄肉部120が上記厚さ方向の上記一方側に向かって浮き上がるように変位して上記各第2コテ部423に接触して溶け、上記各厚肉部110よりも先に上記長手方向に分断される。そのため、上記棒状ハンダ100が上記各薄肉部120においてそれぞれ幅方向に分離され、上記各厚肉部110がそれぞれ独立する。次いで、上記独立した各厚肉部110が、これに対応する上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aと上記各第2導電部材320の上記ハンダ付け部321との間で溶けて固まり、上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aと上記各第2導電部材320の上記ハンダ付け部321との間の上記各接続ハンダ170の大部分を形成することから、上記各接続ハンダ170のハンダ量が過不足無く確保される。そのため、上記各接続ハンダ170の接続強度が確保されると共に、隣り合う接続ハンダ170の隙間が確保される。また、上記棒状ハンダ100が加熱されると上記各薄肉部120が上記各厚肉部110よりも先に溶けるので、上記各厚肉部110が溶けたときに上記各薄肉部120が固体で残りにくいので、上記各接続ハンダ170の間にハンダの溶け残り及びハンダボールが生成されにくいことから製品の信頼性が向上する。また、上記棒状ハンダ100がペーストを含んでいる場合、上記棒状ハンダ100の加熱が始まってから比較的早い段階で上記各薄肉部120が上記長手方向に分断されるので、上記棒状ハンダ100に含まれるペーストが上記分断された面から溶出されやすく、ガス化したペーストにより上記棒状ハンダ100が破裂することが抑制される。このことからも、ハンダボールが生成されにくくなり、製品の信頼性が向上する。
【0047】
さらに、隣り合う第1導電部材222、230のハンダ付け部222a、230aの間に例えば上記極間壁311fのような構造物があるときには、上記各構造物には隣り合う上記厚肉部110の間の上記各薄肉部120がそれぞれ対向する。そのため、上記棒状ハンダ100における上記第1導電部材222、230の側の面で上記厚肉部110と上記薄肉部120とに段差を設ければ上記構造物から上記薄肉部120を確実に離すことが可能となるので、上記構造物が熱負荷により損傷を受けることを防止することが可能となる。しかも、上記構造物の幅方向両側に上記厚肉部110が嵌るので上記棒状ハンダ100の、上記第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aへの位置決め精度が向上し、上記各接続ハンダ170のハンダ量のばらつきが低減する。
【0048】
本発明の導電部材のハンダ付け方法で用いた棒状ハンダは、長手方向を幅方向とし、上記幅方向と直交する厚さ方向をとったときに、上記幅方向に沿って上記間隔をあけて設けられており、上記厚さ方向の一方側に上記各第1導電部材の上記ハンダ付け部の幅と同じかそれ以上の幅をもつ第1面を有すると共に上記厚さ方向の上記他方側に上記各第2導電部材の上記ハンダ付け部の幅と同じかそれ以下の幅をもつ第2面を有して上記複数の第2導電部材の上記ハンダ付け部にそれぞれ対応する複数の厚肉部と、隣り合う上記厚肉部の間に、上記厚さ方向の上記一方側の面が上記厚肉部の上記第1面に連続するようにそれぞれ設けられた薄肉部とを備え、上記厚肉部の厚さが上記薄肉部を含む他の部位の厚さよりも厚く形成されておればよい。しかし、そのような種々の実施形態の導電部材のハンダ付け方法で用いる棒状ハンダのなかで、上記第1の実施形態の導電部材のハンダ付け方法で用いた棒状ハンダ100は、さらに、上記厚さ方向の一方側に平面が形成され、上記厚さ方向の他方側から上記厚さ方向へ凹むと共に上記幅方向及び上記厚さ方向と直交する奥行き方向へ延びる溝140が一又は二以上形成されており、上記溝140の上記幅方向両側に上記厚肉部110がそれぞれ形成され、上記厚さ方向の一方側の面と上記溝140との間に上記薄肉部120が形成されている。このようにすれば、比較的簡単な構成で本発明の導電部材のハンダ付け方法で用いた上記棒状ハンダが実現する。また、上記極間壁311fを備えた電気コネクタ300の上記コンタクトに上記電線220、200の導体をハンダ付けするためにこの棒状ハンダ100を用いる場合、この棒状ハンダ100は上記各極間壁311fに上記各溝140がそれぞれ対応するように配置されることになり、上記各極間壁311fから上記薄肉部120を確実に離すことが可能となるので、上記極間壁311fが熱負荷により損傷を受けることを防止することが可能となり、また上記極間壁311fの幅方向両側に上記厚肉部110が嵌るので上記棒状ハンダ100の上記電気コネクタ300への位置決め精度が向上し、上記各接続ハンダ170のハンダ量のばらつきが低減する。
【0049】
本発明の導電部材のハンダ付け方法は、上記複数の第1導電部材を、上記絶縁部材に設けられた上記複数の第2導電部材に、それぞれの上記ハンダ付け部が上記間隔をあけて幅方向に一列に並ぶように一括してハンダ付けするハンダ付け方法であればよい。しかし、そのような種々の実施形態の導電部材のハンダ付け方法のなかで、上記第1の実施形態の導電部材のハンダ付け方法の場合、上記各第1導電部材222、230が、電線220、200の終端から露出した導体であり、上記絶縁部材310が、複数の極を有する電気コネクタ300のハウジングであり、上記各第2導電部材320が、上記電気コネクタ300の上記各極をそれぞれ構成するコンタクトであり、上記ハウジングには隣り合う上記コンタクトの上記ハンダ付け部321の間から上記厚さ方向へそれぞれ立ち上がる極間壁311fが設けられており、上記複数の第1導電部材222、230、上記複数の第2導電部材320、及び上記棒状ハンダ100を、上記棒状ハンダ100の上記各厚肉部110の上記第1面111に上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aがそれぞれ接触すると共に上記第2面112に上記各第2導電部材320の上記ハンダ付け部321がそれぞれ接触するように配置するときに、隣り合う上記厚肉部110の間の上記各薄肉部120が上記各極間壁311fとそれぞれ対向するように配置する。この導電部材のハンダ付け方法により、上記棒状ハンダ100を用いて上記極間壁311fを備えた電気コネクタの上記コンタクトの上記ハンダ付け部321に電線220、200の導体がハンダ付けされる。そして、上記棒状ハンダ100の上記各厚肉部110の上記第1面111は上記各電線220、200の導体の上記ハンダ付け部222a、230aにそれぞれ接触し上記第2面112は上記各コンタクトの上記ハンダ付け部321にそれぞれ接触するが、上記各極間壁311fには隣り合う上記厚肉部110の間の上記各薄肉部120がそれぞれ対向する。そのため、上記棒状ハンダ100における上記コンタクト側の面で上記厚肉部110と上記薄肉部120とに段差を設ければ上記極間壁311fから上記薄肉部120を確実に離すことが可能となるので、上記極間壁311fが熱負荷により損傷を受けることを防止することが可能となり、また上記極間壁311fの幅方向両側に上記厚肉部110が嵌るので上記棒状ハンダ100の電気コネクタへの位置決め精度が向上し、上記各接続ハンダ170のハンダ量のばらつきが低減する。
【0050】
次に、上記第1の実施形態の導電部材のハンダ付け方法に用いることができる上記棒状ハンダ100の変形例を説明する。これらの変形例の棒状ハンダ100には上記第1の実施形態及びその変形例の導電部材のハンダ付け方法で用いた上記棒状ハンダ100の構成をそのまま引用し、上記変形例において上記第1の実施形態の導電部材のハンダ付け方法で用いた上記棒状ハンダ100の構成と異なる構成について追加的に説明する。
【0051】
図14及び図15は第1の変形例の棒状ハンダ100を示す。符号は上記第1の実施形態の導電部材のハンダ付け方法で用いた上記棒状ハンダ100の場合と同一の符号を用いる。上記第1の実施形態のハンダ付け方法で用いた上記棒状ハンダ100の場合、上記棒状ハンダ100の上記奥行き方向手前の端面と奥側の端面は平坦な平面に形成され、また上記棒状ハンダ100の上記厚さ方向の一方側に平面が形成され、この平面は上記厚さ方向にみた長方形に形成されており、しかも、上記棒状ハンダ100の上記厚肉部110の第2面112も平坦な平面に形成され、上記厚さ方向にみて長方形に形成されていた。これに対し、第1の変形例の棒状ハンダ100の場合、上記薄肉部120が上記奥行き方向の両側に突き出ており、上記溝140が上記奥行き方向の両側に突き出ている。そのため、上記棒状ハンダ100の上記奥行き方向手前の端面と奥側の端面は湾曲した面に形成されている。また、上記棒状ハンダ100の上記厚さ方向の一方側に平面が形成されているが、この平面は上記厚さ方向にみると上記薄肉部120で奥行き方向の寸法が大きくなっていて上記幅方向に沿って波打って形成されている。さらに、上記棒状ハンダ100の上記厚肉部110の第2面112も平坦な平面に形成されているが、上記厚さ方向にみると上記幅方向の両端が上記奥行き方向に長く形成されている。すなわち、上記第1の変形例の棒状ハンダ100は、上記幅方向に沿って上記間隔をあけて設けられており、上記厚さ方向の上記一方側に上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aの幅と同じかそれ以上の幅をもつ第1面111を有すると共に上記厚さ方向の上記他方側に上記各第2導電部材320の上記ハンダ付け部321の幅と同じかそれ以下の幅をもつ第2面112を有して上記複数の第2導電部材320の上記ハンダ付け部321にそれぞれ対応する複数の厚肉部110と、隣り合う上記厚肉部110の間に、上記厚さ方向の上記一方側の面が上記厚肉部110の上記第1面111に連続するようにそれぞれ設けられた薄肉部120とを備え、上記厚肉部110の厚さが上記薄肉部120を含む他の部位の厚さよりも厚く形成されている。そして、上記第1の変形例の上記棒状ハンダ100は、上記厚さ方向の一方側に平面が形成され、上記厚さ方向の他方側から上記厚さ方向へ凹むと共に上記幅方向及び上記厚さ方向と直交する奥行き方向へ延びる溝140が一又は二以上形成されており、上記溝140の上記幅方向両側に上記厚肉部110がそれぞれ形成され、上記厚さ方向の一方側の面と上記溝140との間に上記薄肉部120が形成されている。上記棒状ハンダ100の上記厚さ方向の一方側を平面ではなく凹凸を有する面に形成してもよい。また、上記厚肉部と上記薄肉部との間を緩やかに変化させて上記のような明確な溝を形成しないようにしてもよい。さらに、上記第1の変形例の上記棒状ハンダは、上記薄肉部120が上記奥行き方向の両側に突き出ており、上記溝140が上記奥行き方向の両側に突き出ている。その他の構成は上記第1の実施形態の上記棒状ハンダ100と同様である。第1の変形例の上記棒状ハンダ100を用いた場合の作用及び効果は、上記第1の実施形態と同様であるから説明を省略する。
【0052】
図16及び図17は第2の変形例の棒状ハンダ100を示す。符号は上記第1の実施形態の導電部材のハンダ付け方法で用いた上記棒状ハンダ100の場合と同一の符号を用いる。上記第1の実施形態のハンダ付け方法で用いた上記棒状ハンダ100の場合、上記棒状ハンダ100の上記厚さ方向の一方側に平面が形成されていた。これに対し、第2の変形例の棒状ハンダ100の場合、上記各薄肉部120が上記厚さ方向の上記一方側へU字形に盛り上がって形成されており、そのために上記棒状ハンダ100の上記厚さ方向の一方側の面が、隣り合う上記第1面111の間で上記厚さ方向の上記一方側へ突き出ている。そして、上記第1の実施形態のハンダ付け方法で用いた上記棒状ハンダ100に較べると上記溝140が上記厚さ方向に、より深く形成されている。すなわち、上記第2の変形例の棒状ハンダ100は、上記幅方向に沿って上記間隔をあけて設けられており、上記厚さ方向の上記一方側に上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aの幅と同じかそれ以上の幅をもつ第1面111を有すると共に上記厚さ方向の上記他方側に上記各第2導電部材320の上記ハンダ付け部321の幅と同じかそれ以下の幅をもつ第2面112を有して上記複数の第2導電部材320の上記ハンダ付け部321にそれぞれ対応する複数の厚肉部110と、隣り合う上記厚肉部110の間に、上記厚さ方向の上記一方側の面が上記厚肉部110の上記第1面111に連続するようにそれぞれ設けられた薄肉部120とを備え、上記厚肉部110の厚さが上記薄肉部120を含む他の部位の厚さよりも厚く形成されている。そして、上記第2の変形例の上記棒状ハンダ100は、上記厚さ方向の他方側から上記厚さ方向へ凹むと共に上記幅方向及び上記厚さ方向と直交する奥行き方向へ延びる溝140が一又は二以上形成されており、上記溝140の上記幅方向両側に上記厚肉部110がそれぞれ形成され、上記厚さ方向の一方側の面と上記溝140との間に上記薄肉部120が形成されている。上記棒状ハンダ100の上記第1面を平面に形成したが、上記第1面を凹凸を有する面に形成してもよい。また、上記厚肉部と上記薄肉部との間を緩やかに変化させて上記のような明確な溝を形成しないようにしてもよい。さらに、上記第2の変形例の上記棒状ハンダは、上記各薄肉部120が上記厚さ方向の上記一方側へU字形に盛り上がって形成されており、そのために上記棒状ハンダ100の上記厚さ方向の一方側の面が、隣り合う上記第1面111の間で上記厚さ方向の上記一方側へ突き出ている。その他の構成は上記第1の実施形態の上記棒状ハンダ100と同様である。
【0053】
上記第2の変形例の上記棒状ハンダ100を用いれば、上記第2工程において上記各第1コテ部422により上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230a及び上記各厚肉部110が加熱され且つ上記厚さ方向の上記他方側に向かって押圧されることで上記各薄肉部120が上記厚さ方向の上記一方側に向かって変位するときに、このような変位が安定的に行われ、上記第2コテ部423が上記各薄肉部120の表面に確実に接触する。第2の変形例の上記棒状ハンダ100を用いた場合のその他の作用及び効果は、上記第1の実施形態と同様であるから説明を省略する。
【0054】
図18ないし図20は第3の変形例の棒状ハンダ100を示す。符号は上記第1の実施形態の導電部材のハンダ付け方法で用いた上記棒状ハンダ100の場合と同一の符号を用いる。上記第1の実施形態では、上記棒状ハンダ100の上記奥行き方向手前の端面と奥側の端面は平坦な平面に形成されていた。これに対し、第3の変形例の上記棒状ハンダ100では、上記薄肉部120における上記幅方向の中間に、上記幅方向に向いた面で断面したときの断面積が上記薄肉部120のなかで最小になる狭小部150が形成されている。したがって、上記薄肉部120は、上記幅方向に沿って見ていくと上記狭小部150において、くびれている。すなわち、上記薄肉部120における上記幅方向の中間には、上記薄肉部120の上記奥行き方向手前側の端面から奥側へ凹む凹部151が形成されると共に、上記薄肉部120の上記奥行き方向奥側の端面から手前側へ凹む凹部151が形成されており、これらの凹部151の間に上記狭小部150が形成されている。すなわち、上記第3の変形例の棒状ハンダ100は、上記幅方向に沿って上記間隔をあけて設けられており、上記厚さ方向の上記一方側に上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aの幅と同じかそれ以上の幅をもつ第1面111を有すると共に上記厚さ方向の上記他方側に上記各第2導電部材320の上記ハンダ付け部321の幅と同じかそれ以下の幅をもつ第2面112を有して上記複数の第2導電部材320の上記ハンダ付け部321にそれぞれ対応する複数の厚肉部110と、隣り合う上記厚肉部110の間に、上記厚さ方向の上記一方側の面が上記厚肉部110の上記第1面111に連続するようにそれぞれ設けられた薄肉部120とを備え、上記厚肉部110の厚さが上記薄肉部120を含む他の部位の厚さよりも厚く形成されている。そして、上記第1の変形例の上記棒状ハンダ100は、上記厚さ方向の一方側に平面が形成され、上記厚さ方向の他方側から上記厚さ方向へ凹むと共に上記幅方向及び上記厚さ方向と直交する奥行き方向へ延びる溝140が一又は二以上形成されており、上記溝140の上記幅方向両側に上記厚肉部110がそれぞれ形成され、上記厚さ方向の一方側の面と上記溝140との間に上記薄肉部120が形成されている。上記棒状ハンダ100の上記厚さ方向の一方側を平面ではなく凹凸を有する面に形成してもよい。また、上記厚肉部と上記薄肉部との間を緩やかに変化させて上記のような明確な溝を形成しないようにしてもよい。さらに、上記第3の変形例の上記棒状ハンダ100は、上記薄肉部120における上記幅方向の中間に、上記幅方向に向いた面で断面したときの断面積が上記薄肉部120のなかで最小になる狭小部150が形成されている。その他の構成は上記第1の実施形態の上記棒状ハンダ100と同様である。
【0055】
上記第3の変形例の棒状ハンダ100が加熱されると、上記各薄肉部120のなかでも上記狭小部150が先に溶けるので、上記棒状ハンダ100が上記各薄肉部においてそれぞれ幅方向に分離される確率が高められ、上記第1の実施形態の導電部材のハンダ付け方法で用いた棒状ハンダ100で得られた作用及び効果が一層確実に得られる。また、上記棒状ハンダ100が上記各狭小部150においてそれぞれ幅方向に分離され、上記各厚肉部110がそれぞれ独立するので、上記独立した各厚肉部110に、上記幅方向中間で分離された上記各薄肉部120の片割れが吸収される。そのため、上記各接続ハンダ170のハンダ量が一層正確に確保され、ばらつきが少なくなる。よって、上記各接続ハンダ170の接続強度の確保、及び隣り合う接続ハンダ170の隙間の確保が、より確実に得られ、また、上記各接続ハンダ170の間にハンダの溶け残り及びハンダボールが一層生成されにくくなり製品の信頼性が向上する。第3の変形例の上記棒状ハンダ100を用いた場合のその他の作用及び効果は、上記第1の実施形態と同様であるから説明を省略する。
【0056】
図21ないし図23は第4の変形例の棒状ハンダ100を示す。符号は上記第1の実施形態の導電部材のハンダ付け方法で用いた上記棒状ハンダ100の場合と同一の符号を用いる。上記第1の実施形態の導電部材のハンダ付け方法では、上記厚肉部110の第1面111は平坦な平面に形成した。これに対し、第4の変形例の棒状ハンダ100では、上記厚肉部110の上記第1面111に、上記厚さ方向に凹んで上記第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aが入る受止部160を形成している。この変形例では上記受止部160は、上記奥行き方向にみて円弧状に凹んでおり、また上記厚肉部110の上記奥行き方向手前側の端面から上記奥行き方向奥側の端面までほぼ真っ直ぐに延びている。そして、上記受止部160の厚さ方向の深さは、上記第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aの上記厚さ方向の一部が入る程度に設定されている。しかし、この変形例によって上記受止部の形状が限定解釈されることはなく、上記受止部は、上記厚肉部の上記第1面に上記厚さ方向に凹んでいて上記第1導電部材の上記ハンダ付け部の一部又は全部が入るように形成されておればよい。すなわち、上記第4の変形例の棒状ハンダ100は、上記幅方向に沿って上記間隔をあけて設けられており、上記厚さ方向の上記一方側に上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aの幅と同じかそれ以上の幅をもつ第1面111を有すると共に上記厚さ方向の上記他方側に上記各第2導電部材320の上記ハンダ付け部321の幅と同じかそれ以下の幅をもつ第2面112を有して上記複数の第2導電部材320の上記ハンダ付け部321にそれぞれ対応する複数の厚肉部110と、隣り合う上記厚肉部110の間に、上記厚さ方向の上記一方側の面が上記厚肉部110の上記第1面111に連続するようにそれぞれ設けられた薄肉部120とを備え、上記厚肉部110の厚さが上記薄肉部120を含む他の部位の厚さよりも厚く形成されている。そして、上記第1の変形例の上記棒状ハンダ100は、上記厚さ方向の一方側に上記受止部160を除いて平面が形成され、上記厚さ方向の他方側から上記厚さ方向へ凹むと共に上記幅方向及び上記厚さ方向と直交する奥行き方向へ延びる溝140が一又は二以上形成されており、上記溝140の上記幅方向両側に上記厚肉部110がそれぞれ形成され、上記厚さ方向の一方側の面と上記溝140との間に上記薄肉部120が形成されている。上記棒状ハンダ100の上記厚さ方向の一方側を平面ではなく凹凸を有する面に形成してもよい。また、上記厚肉部と上記薄肉部との間を緩やかに変化させて上記のような明確な溝を形成しないようにしてもよい。さらに、上記第4の変形例の上記棒状ハンダ100は、上記厚肉部110の上記第1面111に、上記厚さ方向に凹んで上記第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aが入る受止部160が形成されている。その他の構成は上記第1の実施形態の上記棒状ハンダ100と同様である。
【0057】
上記第4の変形例の棒状ハンダ100は、ハンダ付けのときに上記第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aが上記受止部160に係止されて不用意に移動しにくくなり、ハンダ付けの作業性を向上させることができる。第4の変形例の上記棒状ハンダ100を用いた場合のその他の作用及び効果は、上記第1の実施形態と同様であるから説明を省略する。
【0058】
次に、本発明の導電部材のハンダ付け方法の第2の実施形態を説明する。この第2の実施形態の導電部材のハンダ付け方法には、以上で説明した上記第1の実施形態及びその変形例、並びに上記種々の実施形態の導電部材のハンダ付け方法の構成をそのまま引用し、上記第1の実施形態及びその変形例、並びに上記種々の実施形態の構成と異なる構成について追加的に説明する。
【0059】
本発明の第2の実施形態の導電部材のハンダ付け方法は、複数の第1導電部材222、230を、絶縁部材310に設けられた複数の第2導電部材320に、第1導電部材222、230のハンダ付け部222a、230a及び第2導電部材320のハンダ付け部321が間隔をあけて上記幅方向に一列に並ぶように一括してハンダ付けするハンダ付け方法である。複数の第1導電部材222、230、絶縁部材310、及び複数の第2導電部材320は上記第1の実施形態におけるこれらの部材とそれぞれ同一である。したがって、上記複数の第1導電部材222、230、上記絶縁部材310、及び上記複数の第2導電部材320に関する説明には、上記第1の実施形態におけるこれらの部材に関する説明をそのまま引用する。概略を説明すると、図1ないし図3、及び図27ないし図30に示すように、上記第2の実施形態の場合も、三種類の上記第1導電部材がある。一つ目の上記第1導電部材222は、芯線又はコアと称される導体の周囲を絶縁被覆221で覆ってなる独立した電線220における上記導体である。二つ目の上記第1導電部材222は、シールドケーブルに入っていて、同様に導体の周囲を絶縁被覆221で覆ってなる電線220における上記導体である。上記シールドケーブルのドレン線もまた第1導電部材であり、これが三つ目の第1導電部材230になる。また、上記絶縁部材310は、ハウジングにコンタクトを設けてなる電気コネクタ300のハウジングであり、上記第2導電部材320は上記コンタクトである。上記電気コネクタ300は、上記ハウジングである上記絶縁部材310と、この絶縁部材310に設けられた上記複数のコンタクトである上記複数の第2導電部材320とを備えている。上記絶縁部材310は、本体ハウジング311と、この本体ハウジング311に上記厚さ方向の一方側である上側から組み付けられるホルダハウジング312とを備えている。上記ホルダハウジング312の上記奥行き方向手前側には、上記厚さ方向の一方側の端面からほぼU字形に凹む第2保持部が設けられており、上記独立した上記電線220と、上記シールドケーブルよりなる上記電線200の終端から引き出された上記電線220と、上記シールドケーブルよりなる上記電線200の終端から引き出された上記ドレン線よりなる上記第1導電部材230とをそれぞれ嵌めて保持している。上記シールドケーブルよりなる上記電線200の終端から引き出された上記電線220は二本まとめて上記第2保持部に保持されている。上記ドレン線よりなる上記第1導電部材230は適宜分割され、その分割されたものが単独で又は二本まとめて上記第2保持部に保持されている。上記嵌合部311bの上記端面には、上記幅方向に上記複数の第2導電部材320の上記端部が並んでおり、これらによって上記電気コネクタ300の複数の極が構成されている。そして、上記嵌合部311bの上記端面には、隣り合う上記第2導電部材320の上記ハンダ付け部321の間から上記厚さ方向の一方側へそれぞれ立ち上がる極間壁311fが設けられている。
【0060】
上記第2の実施形態で用いる棒状ハンダ100は、上記第1の実施形態で用いた上記棒状ハンダ100と同一である。したがって、上記棒状ハンダ100に関する説明には、上記第1の実施形態における上記棒状ハンダ100に関する説明をそのまま引用する。しかし、上記第2の実施形態で用いる棒状ハンダ100の場合、上記薄肉部120の上記厚さ方向の上記一方側の面が上記厚肉部110の上記第1面111に連続している必要はなく、この間に段差があってもよい。図4ないし図6に示すように、上記棒状ハンダ100は、複数の厚肉部110と、隣り合う上記厚肉部110の間にそれぞれ設けられた薄肉部120とを備えている。上記棒状ハンダ100の長手方向は上記幅方向に一致している。そして、先に説明したように、上記幅方向、上記厚さ方向、及び上記奥行き方向は互いに直交している。上記棒状ハンダ100は上記厚さ方向からみて上記幅方向を長辺とし上記奥行き方向を短辺とする長方形に形成されているが、上記幅方向を長手方向とする棒状に形成されておれば他の形状であってもよい。上記棒状ハンダ100は上記奥行き方向からみて上記各厚肉部110の厚さが同一であり、また上記各薄肉部120の厚さが同一であるが、各厚肉部毎に又は各薄肉部毎に厚さが一致していなくてもよい。上記厚肉部110は、上記複数の第2導電部材320の上記ハンダ付け部321にそれぞれ対応して設けられている。上記厚肉部110は、上記幅方向に沿って上記間隔をあけて設けられている。この実施形態では上記間隔は一定である。しかし、上記間隔は上記複数の第2導電部材の間隔に対応して設けられるので、それに応じて決定される寸法である。したがって上記間隔が一定ではなく不揃いになることもある。図4に示すように、上記厚肉部110は、上記厚さ方向の一方側に、上記各第1導電部材222の上記ハンダ付け部222aの幅よりも大きい幅をもつ第1面111を有している。上記棒状ハンダ100の場合、上記薄肉部120は、隣り合う上記厚肉部110の間に、上記厚さ方向の上記一方側の面が上記厚肉部110の上記第1面111に連続するようにそれぞれ設けられている。しかし、上述したように、上記第2の実施形態の場合、上記薄肉部120の上記厚さ方向の上記一方側の面が上記厚肉部110の上記第1面111に連続してなくてもよいから、上記第2の実施形態で用いることができる上記棒状ハンダには、上記薄肉部の上記厚さ方向の上記一方側の面と上記厚肉部の上記第1面との間に上記厚さ方向に段差が形成された上記棒状ハンダの変形例が含まれる。この実施形態の場合、上記第1面111の幅は、上記棒状ハンダ100の上記厚さ方向の一方側の面を極数で割って上記薄肉部120を除いた幅になっている。したがって、上記各第1面111は上記薄肉部120を介して上記幅方向に連続しており、後述するように上記棒状ハンダ100の上記厚さ方向の一方側の面は平面に形成されている。上記第1面の幅は、上記各第1導電部材の上記ハンダ付け部の幅と同じかそれ以上であればよい。図5に示すように、上記厚肉部110は、上記厚さ方向の他方側に、上記各第2導電部材320の上記ハンダ付け部321の幅よりも小さい幅をもつ第2面112を有している。上記第2面の幅は、上記各第2導電部材の上記ハンダ付け部の幅と同じかそれ以下であればよい。図6に示すように、上記第1面111の幅は上記第2面112の幅よりも大きいので、上記厚肉部110は上記奥行き方向にみて台形になるように形成されているが、これによって本発明の棒状ハンダの上記第1面と上記第2面との寸法比が限定解釈されることはない。この実施形態の場合、上記幅方向の両端にある上記厚肉部110の幅方向外側には、それぞれ上記薄肉部と類似する端部130が設けられている。この端部130は上記厚肉部110及び上記薄肉部120と奥行き方向の寸法が同一である。この端部130の上記厚さ方向の一方側は上記第1面111と面一である。上記幅方向外側とは、上記棒状ハンダ100の上記幅方向における中央よりも上記幅方向に沿って遠くなる側である。そして、上記厚肉部110の厚さが上記薄肉部120を含む他の部位の厚さよりも厚く形成されている。
【0061】
上記棒状ハンダ100の場合、上記棒状ハンダ100の上記厚さ方向の一方側に平面が形成されている。また、上記棒状ハンダ100には、上記棒状ハンダ100の上記厚さ方向の他方側から上記厚さ方向へ凹むと共に上記奥行き方向へ延びる溝140が形成されている。この溝は互いに平行になるように二以上形成されているが、一本であってもよい。また、上記溝140は直線状であるが、上記溝は上記奥行き方向に沿って延びておればよく、直線状ではなく曲線状であってもよい。そして、上記棒状ハンダ100における上記溝140の上記幅方向両側に上記厚肉部110がそれぞれ形成されている。また、上記棒状ハンダ100における上記厚さ方向の一方側の面と上記溝140との間に上記薄肉部120が形成されている。
【0062】
次に、図24により、上記熱融着装置400を説明する。上記熱融着装置400は、フレーム(図示省略)に昇降自在に設けられたヒータヘッド410を備え、このヒータヘッド4l0は、一対の電極ホルダ411と、各電極ホルダ411にそれぞれ設けられた接続部材412とを備えている。上記二つの接続部材412にヒータチップ420の両端がそれぞれが連結されていて、上記一対の電極ホルダ411の間に印加された電圧に応じて上記ヒータチップ420に電流が流れ、後述する第1コテ部422及び第2コテ部423が抵抗発熱によりジュール熱を発するようになっている。上記一対の電極ホルダ411にはヒータ電源430から電力が供給される。上記ヒータ電源430は、三相交流電圧を直流電圧に変換する三相整流回路431と、直流電力から交流電力を電気的に生成して逆変換するインバータ432と、溶接トランス433とを備えており、上記三相整流回路431の出力端子に上記インバータ432の入力端子が接続され、上記インバータの出力端子に上記溶接トランス433の一次側コイルが接続され、上記溶接トランス433の二次側コイルの両端が上記一対の電極ホルダ411にそれぞれ接続されている。上記ヒータチップ420には温度センサ441が装着されており、この温度センサ441からの出力信号と、上記溶接トランス433の電流測定回路からの出力信号とが制御部450に入力されている。上記制御部450はマイクロコンピュータを備えており、この制御部450により、上記温度センサ441からの出力信号と、上記溶接トランス433の電流測定回路からの出力信号とに基づいて、上記インバータ432のドライブ回路と上記ヒータヘッド410の作動が制御されるようになっている。上記ヒータヘッド410は、フレームに対して上記厚さ方向に沿って移動自在に設けられている。よって、上記ヒータチップ420も、フレームに対して上記厚さ方向に沿って移動自在に設けられている。そして、被加熱物に対して上記ヒータチップ420を所定の圧力でもって押しつけ、上記ヒータチップ420に所定のパターンで電流を流すことにより上記ヒータチップ420を発熱させて上記被加熱物を加熱するようにしている。以上で説明した交流波形インバータ方式の電源回路を用いる上記ヒータ電源430は一例を示したに過ぎず、上記ヒータチップ420を抵抗発熱させるための上記ヒータ電源としては、例えば単相交流形、又はその他の形式のヒータ電源を利用することができる。本発明で用いる熱融着装置は、この実施形態の上記熱融着装置400によって限定解釈されず、被加熱物に対して所定の圧力でもって押圧しつつ加熱する機能を発揮するものであればよい。
【0063】
図25及び図26に示すように、上記ヒータチップ420は、本体421と、第1コテ部422と、第2コテ部423とを備えている。上記本体421は、上記幅方向、厚さ方向、及び奥行き方向に沿って各辺を有する直方体形に形成されている。上記本体421の上記厚さ方向の他方側に、上記第1コテ部422及び第2コテ部423が設けられている。上記第1コテ部422は、上記複数の第2導電部材320の上記ハンダ付け部321にそれぞれ対応して設けられている。上記第1コテ部422は、上記幅方向に沿って上記間隔をあけて設けられている。この実施形態では上記間隔は一定である。しかし、上記間隔は上記複数の第2導電部材の間隔に対応して設けられるので、それに応じて決定される寸法である。したがって上記間隔が一定ではなく不揃いになることもある。上記第1コテ部422は、上記厚さ方向にみて上記各厚肉部110の少なくとも中央部に対応する部分に設けられている。この実施形態の場合、上記第1コテ部422は、上記厚さ方向にみて上記各厚肉部110の中央部に対応する部分を含んで上記第2面112に相当する範囲に設けられている。上記第1コテ部422は、上記厚さ方向の上記他方側の面が上記厚さ方向に向いた平面に形成されている。そして、上記第1コテ部422の上記奥行き方向の寸法は上記本体421と同一である。しかし、この実施形態によって本発明の上記第1コテ部の形状が限定解釈されることはなく、本発明の上記第1コテ部は、上記幅方向に沿って上記間隔をあけて設けられ、上記厚さ方向にみて上記各厚肉部の少なくとも中央部にそれぞれ対応する部分に設けられておればよい。上記第2コテ部423は、上記厚さ方向にみて隣り合う上記第1コテ部422の間における上記各薄肉部120の少なくとも中央部に対応する部分に設けられている。上記第2コテ部423は、上記第1コテ部422よりも上記厚さ方向の上記他方側にそれぞれ突出して設けられている。上記第2コテ部423は、上記幅方向、厚さ方向、及び奥行き方向に沿って各辺を有する直方体形に形成されており、上記厚さ方向の上記他方側の面が上記厚さ方向に向いた平面に形成されている。そして、上記第2コテ部423の上記奥行き方向の寸法は上記本体421と同一である。しかし、この実施形態によって本発明の上記第1コテ部の形状が限定解釈されることはなく、本発明の上記第2コテ部は、上記厚さ方向にみて隣り合う上記第1コテ部の間における上記各薄肉部の少なくとも中央部に対応する部分に上記第1コテ部よりも上記厚さ方向の上記他方側にそれぞれ突出して設けられておればよい。上記第2コテ部423は、後述する第2工程において、上記各第2コテ部423により上記各薄肉部120が加熱され且つ上記厚さ方向の上記他方側に向かって押圧されると、上記各第2コテ部423が上記各薄肉部120に接触して溶け、上記各厚肉部110よりも先に上記長手方向に分断されるように構成されている。
【0064】
そして、上記導電部材のハンダ付け方法は、第1工程と、第2工程とを備えている。上記第1工程は、図27に示すように、上記複数の第2導電部材320の上記ハンダ付け部321の上記厚さ方向の一方側に上記幅方向に延びる一つの上記棒状ハンダ100を配置し、上記棒状ハンダ100の上記厚さ方向の上記一方側に上記複数の第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aを上記複数の第2導電部材320のハンダ付け部321に対応させてそれぞれ配置する工程である。この場合、上記棒状ハンダ100の上記各第2面112が上記各第2導電部材320の上記ハンダ付け部321に接触しており、上記棒状ハンダ100の上記各第1面111に上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aが接触している。上記第2工程は、図28から図30に示すように、上記熱融着装置400を操作して、上記複数の第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aの上記厚さ方向の上記一方側に上記幅方向に延びる一つの上記ヒータチップ420を配置し、上記ヒータチップ420を発熱させると共に上記ヒータチップ420を上記複数の第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aに接触させて上記厚さ方向の他方側に向かって押圧する工程である。上記第2工程を行うと、上記ヒータチップ420により上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aがそれぞれ加熱されて上記棒状ハンダ100の上記各厚肉部110及び上記各薄肉部120がそれぞれ溶け、図30に示すように、上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aが上記各第2導電部材320の上記ハンダ付け部321にそれぞれハンダ付けされる。上記第2工程の間、上記棒状ハンダ100が溶けるので、上記第1導電部材222、230のハンダ付け部222a、230aが上記厚さ方向の他方側へ若干沈む。図30において、170は上記棒状ハンダ100が溶けてから固まってできた接続ハンダである。
【0065】
この実施形態の場合、先に説明したように、上記各第1導電部材222、230が、独立した電線及びシールドケーブルなどの上記電線220、200の終端から露出した導体であり、上記絶縁部材310が、複数の極を有する電気コネクタ300のハウジングであり、上記各第2導電部材320が、上記電気コネクタ300の上記各極をそれぞれ構成するコンタクトであり、上記ハウジングには隣り合う上記コンタクトの上記ハンダ付け部321の間から上記厚さ方向へそれぞれ立ち上がる極間壁311fが設けられている。したがって、上記ハンダ付け方法は、上記複数の第1導電部材222、230、上記複数の第2導電部材320、及び上記棒状ハンダ100を、上記棒状ハンダ100の上記各厚肉部110の上記第1面111に上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aがそれぞれ接触すると共に上記第2面112に上記各第2導電部材320の上記ハンダ付け部321がそれぞれ接触するように配置するときに、隣り合う上記厚肉部110の間の上記各薄肉部120が上記各極間壁311fとそれぞれ対向するように配置することになる。
【0066】
したがって、上記第2実施形態の導電部材のハンダ付け方法においては、上記第1工程において、上記複数の第2導電部材320の上記ハンダ付け部321の上記厚さ方向の一方側に上記棒状ハンダ100を配置し、上記棒状ハンダ100の上記厚さ方向の上記一方側に上記複数の第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aを上記複数の第2導電部材320の上記ハンダ付け部321に対応させてそれぞれ配置し、次いで上記第2工程において、上記第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aの上記厚さ方向の上記一方側に上記ヒータチップ420を配置し、上記ヒータチップ420を発熱させると共に上記ヒータチップ420を上記複数の第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aに接触させて上記厚さ方向の他方側に向かって押圧すると、上記棒状ハンダ100の上記各厚肉部110及び上記各薄肉部120がそれぞれ溶けて上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aが上記各第2導電部材320の上記ハンダ付け部321にそれぞれハンダ付けされる。
【0067】
その場合、上記第2工程において上記ヒータチップ420の上記各第2コテ部423により上記各薄肉部120が加熱され且つ上記厚さ方向の上記他方側に向かって押圧されると、上記各第2コテ部423が上記各薄肉部120に接触して溶け、上記各厚肉部110よりも先に上記長手方向に分断される。そのため、上記棒状ハンダ100が上記各薄肉部120においてそれぞれ幅方向に分離され、上記各厚肉部110がそれぞれ独立する。次いで、上記独立した各厚肉部110が、これに対応する上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aと上記各第2導電部材320の上記ハンダ付け部321との間で溶けて固まり、上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aと上記各第2導電部材320の上記ハンダ付け部321との間の上記各接続ハンダ170の大部分を形成することから、上記各接続ハンダ170のハンダ量が過不足無く確保される。そのため、上記各接続ハンダ170の接続強度が確保されると共に、隣り合う接続ハンダ170の隙間が確保される。また、上記棒状ハンダ100が加熱されると上記各薄肉部120が上記各厚肉部110よりも先に溶けるので、上記各厚肉部110が溶けたときに上記各薄肉部120が固体で残りにくいので、上記各接続ハンダ170の間にハンダの溶け残り及びハンダボールが生成されにくいことから製品の信頼性が向上する。また、上記棒状ハンダ100がペーストを含んでいる場合、上記棒状ハンダ100の加熱が始まってから比較的早い段階で上記各薄肉部120が上記長手方向に分断されるので、上記棒状ハンダ100に含まれるペーストが上記分断された面から溶出されやすく、ガス化したペーストにより上記棒状ハンダ100が破裂することが抑制される。このことからも、ハンダボールが生成されにくくなり、製品の信頼性が向上する。
【0068】
さらに、隣り合う第1導電部材222、230のハンダ付け部222a、230aの間に例えば上記極間壁311fのような構造物があるときには、上記各構造物には隣り合う上記厚肉部110の間の上記各薄肉部120がそれぞれ対向する。そのため、上記棒状ハンダ100における上記第1導電部材222、230の側の面で上記厚肉部110と上記薄肉部120とに段差を設ければ上記構造物から上記薄肉部120を確実に離すことが可能となるので、上記構造物が熱負荷により損傷を受けることを防止することが可能となる。しかも、上記構造物の幅方向両側に上記厚肉部110が嵌るので上記棒状ハンダ100の、上記第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aへの位置決め精度が向上し、上記各接続ハンダ170のハンダ量のばらつきが低減する。
【0069】
本発明の導電部材のハンダ付け方法で用いた棒状ハンダは、長手方向を幅方向とし、上記幅方向と直交する厚さ方向をとったときに、上記幅方向に沿って上記間隔をあけて設けられており、上記厚さ方向の一方側に上記各第1導電部材の上記ハンダ付け部の幅と同じかそれ以上の幅をもつ第1面を有すると共に上記厚さ方向の上記他方側に上記各第2導電部材の上記ハンダ付け部の幅と同じかそれ以下の幅をもつ第2面を有して上記複数の第2導電部材の上記ハンダ付け部にそれぞれ対応する複数の厚肉部と、隣り合う上記厚肉部の間にそれぞれ設けられた薄肉部とを備え、上記厚肉部の厚さが上記薄肉部を含む他の部位の厚さよりも厚く形成されておればよい。しかし、そのような種々の実施形態の導電部材のハンダ付け方法で用いる棒状ハンダのなかで、上記第1の実施形態の導電部材のハンダ付け方法で用いた棒状ハンダ100は、さらに、上記厚さ方向の一方側に平面が形成され、上記厚さ方向の他方側から上記厚さ方向へ凹むと共に上記幅方向及び上記厚さ方向と直交する奥行き方向へ延びる溝140が一又は二以上形成されており、上記溝140の上記幅方向両側に上記厚肉部110がそれぞれ形成され、上記厚さ方向の一方側の面と上記溝140との間に上記薄肉部120が形成されている。このようにすれば、比較的簡単な構成で本発明の導電部材のハンダ付け方法で用いた上記棒状ハンダが実現する。また、上記極間壁311fを備えた電気コネクタ300の上記コンタクトに上記電線220、200の導体をハンダ付けするためにこの棒状ハンダ100を用いる場合、この棒状ハンダ100は上記各極間壁311fに上記各溝140がそれぞれ対応するように配置されることになり、上記各極間壁311fから上記薄肉部120を確実に離すことが可能となるので、上記極間壁311fが熱負荷により損傷を受けることを防止することが可能となり、また上記極間壁311fの幅方向両側に上記厚肉部110が嵌るので上記棒状ハンダ100の上記電気コネクタ300への位置決め精度が向上し、上記各接続ハンダ170のハンダ量のばらつきが低減する。
【0070】
本発明の導電部材のハンダ付け方法は、上記複数の第1導電部材を、上記絶縁部材に設けられた上記複数の第2導電部材に、それぞれの上記ハンダ付け部が上記間隔をあけて幅方向に一列に並ぶように一括してハンダ付けするハンダ付け方法であればよい。しかし、そのような種々の実施形態の導電部材のハンダ付け方法のなかで、上記第1の実施形態の導電部材のハンダ付け方法の場合、上記各第1導電部材222、230が、電線220、200の終端から露出した導体であり、上記絶縁部材310が、複数の極を有する電気コネクタ300のハウジングであり、上記各第2導電部材320が、上記電気コネクタ300の上記各極をそれぞれ構成するコンタクトであり、上記ハウジングには隣り合う上記コンタクトの上記ハンダ付け部321の間から上記厚さ方向へそれぞれ立ち上がる極間壁311fが設けられており、上記複数の第1導電部材222、230、上記複数の第2導電部材320、及び上記棒状ハンダ100を、上記棒状ハンダ100の上記各厚肉部110の上記第1面111に上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aがそれぞれ接触すると共に上記第2面112に上記各第2導電部材320の上記ハンダ付け部321がそれぞれ接触するように配置するときに、隣り合う上記厚肉部110の間の上記各薄肉部120が上記各極間壁311fとそれぞれ対向するように配置する。この導電部材のハンダ付け方法により、上記棒状ハンダ100を用いて上記極間壁311fを備えた電気コネクタの上記コンタクトの上記ハンダ付け部321に電線220、200の導体がハンダ付けされる。そして、上記棒状ハンダ100の上記各厚肉部110の上記第1面111は上記各電線220、200の導体の上記ハンダ付け部222a、230aにそれぞれ接触し上記第2面112は上記各コンタクトの上記ハンダ付け部321にそれぞれ接触するが、上記各極間壁311fには隣り合う上記厚肉部110の間の上記各薄肉部120がそれぞれ対向する。そのため、上記棒状ハンダ100における上記コンタクト側の面で上記厚肉部110と上記薄肉部120とに段差を設ければ上記極間壁311fから上記薄肉部120を確実に離すことが可能となるので、上記極間壁311fが熱負荷により損傷を受けることを防止することが可能となり、また上記極間壁311fの幅方向両側に上記厚肉部110が嵌るので上記棒状ハンダ100の電気コネクタへの位置決め精度が向上し、上記各接続ハンダ170のハンダ量のばらつきが低減する。
【0071】
上記第2の実施形態の導電部材のハンダ付け方法においても、先に説明した上記棒状ハンダ100の第1ないし第4の変形例を用いることができる。したがって、これらの変形例の棒状ハンダ100に関する説明には、上記第1の実施形態における上記棒状ハンダ100の変形例に関する説明をそのまま引用する。
【0072】
概略を説明すると、図14及び図15に示した第1の変形例の棒状ハンダ100は、上記幅方向に沿って上記間隔をあけて設けられており、上記厚さ方向の上記一方側に上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aの幅と同じかそれ以上の幅をもつ第1面111を有すると共に上記厚さ方向の上記他方側に上記各第2導電部材320の上記ハンダ付け部321の幅と同じかそれ以下の幅をもつ第2面112を有して上記複数の第2導電部材320の上記ハンダ付け部321にそれぞれ対応する複数の厚肉部110と、隣り合う上記厚肉部110の間に、上記厚さ方向の上記一方側の面が上記厚肉部110の上記第1面111に連続するようにそれぞれ設けられた薄肉部120とを備え、上記厚肉部110の厚さが上記薄肉部120を含む他の部位の厚さよりも厚く形成されている。ただし、上記薄肉部120の上記厚さ方向の上記一方側の面が上記厚肉部110の上記第1面111に連続していなくてもよいから、上記第2の実施形態で用いることができる上記棒状ハンダには、上記薄肉部の上記厚さ方向の上記一方側の面と上記厚肉部の上記第1面との間に上記厚さ方向に段差が形成されていてもよい。そして、上記第1の変形例の上記棒状ハンダ100は、上記厚さ方向の一方側に平面が形成され、上記厚さ方向の他方側から上記厚さ方向へ凹むと共に上記幅方向及び上記厚さ方向と直交する奥行き方向へ延びる溝140が一又は二以上形成されており、上記溝140の上記幅方向両側に上記厚肉部110がそれぞれ形成され、上記厚さ方向の一方側の面と上記溝140との間に上記薄肉部120が形成されている。上記棒状ハンダ100の上記厚さ方向の一方側を平面ではなく凹凸を有する面に形成してもよい。また、上記厚肉部と上記薄肉部との間を緩やかに変化させて上記のような明確な溝を形成しないようにしてもよい。さらに、上記第1の変形例の上記棒状ハンダは、上記薄肉部120が上記奥行き方向の両側に突き出ており、上記溝140が上記奥行き方向の両側に突き出ている。その他の構成は上記第2の実施形態の上記棒状ハンダ100と同様である。第1の変形例の上記棒状ハンダ100を用いた場合の作用及び効果は、上記第2の実施形態と同様であるから説明を省略する。
【0073】
また、図16及び図17に示した第2の変形例の棒状ハンダ100は、上記幅方向に沿って上記間隔をあけて設けられており、上記厚さ方向の上記一方側に上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aの幅と同じかそれ以上の幅をもつ第1面111を有すると共に上記厚さ方向の上記他方側に上記各第2導電部材320の上記ハンダ付け部321の幅と同じかそれ以下の幅をもつ第2面112を有して上記複数の第2導電部材320の上記ハンダ付け部321にそれぞれ対応する複数の厚肉部110と、隣り合う上記厚肉部110の間に、上記厚さ方向の上記一方側の面が上記厚肉部110の上記第1面111に連続するようにそれぞれ設けられた薄肉部120とを備え、上記厚肉部110の厚さが上記薄肉部120を含む他の部位の厚さよりも厚く形成されている。ただし、上記薄肉部120の上記厚さ方向の上記一方側の面が上記厚肉部110の上記第1面111に連続していなくてもよいから、上記第2の実施形態で用いることができる上記棒状ハンダには、上記薄肉部の上記厚さ方向の上記一方側の面と上記厚肉部の上記第1面との間に上記厚さ方向に段差が形成されていてもよい。そして、上記第2の変形例の上記棒状ハンダ100は、上記厚さ方向の他方側から上記厚さ方向へ凹むと共に上記幅方向及び上記厚さ方向と直交する奥行き方向へ延びる溝140が一又は二以上形成されており、上記溝140の上記幅方向両側に上記厚肉部110がそれぞれ形成され、上記厚さ方向の一方側の面と上記溝140との間に上記薄肉部120が形成されている。上記棒状ハンダ100の上記第1面を平面に形成したが、上記第1面を凹凸を有する面に形成してもよい。また、上記厚肉部と上記薄肉部との間を緩やかに変化させて上記のような明確な溝を形成しないようにしてもよい。さらに、上記第2の変形例の上記棒状ハンダは、上記各薄肉部120が上記厚さ方向の上記一方側へU字形に盛り上がって形成されており、そのために上記棒状ハンダ100の上記厚さ方向の一方側の面が、隣り合う上記第1面111の間で上記厚さ方向の上記一方側へ突き出ている。その他の構成は上記第2の実施形態の上記棒状ハンダ100と同様である。
【0074】
上記第2の変形例の上記棒状ハンダ100を用いれば、他の棒状ハンダ100を用いる場合に較べ、上記第2工程において上記各第2コテ部423が上記各薄肉部120に接触するタイミングが早くなり、この接触するタイミングと上記各第1コテ部422が上記各厚肉部110に接触するタイミングとの間の時間を比較的大きくとることができる。第2の変形例の上記棒状ハンダ100を用いた場合のその他の作用及び効果は、上記第2の実施形態と同様であるから説明を省略する。
【0075】
さらに、図18ないし図20に示した第3の変形例の棒状ハンダ100は、上記幅方向に沿って上記間隔をあけて設けられており、上記厚さ方向の上記一方側に上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aの幅と同じかそれ以上の幅をもつ第1面111を有すると共に上記厚さ方向の上記他方側に上記各第2導電部材320の上記ハンダ付け部321の幅と同じかそれ以下の幅をもつ第2面112を有して上記複数の第2導電部材320の上記ハンダ付け部321にそれぞれ対応する複数の厚肉部110と、隣り合う上記厚肉部110の間に、上記厚さ方向の上記一方側の面が上記厚肉部110の上記第1面111に連続するようにそれぞれ設けられた薄肉部120とを備え、上記厚肉部110の厚さが上記薄肉部120を含む他の部位の厚さよりも厚く形成されている。ただし、上記薄肉部120の上記厚さ方向の上記一方側の面が上記厚肉部110の上記第1面111に連続していなくてもよいから、上記第2の実施形態で用いることができる上記棒状ハンダには、上記薄肉部の上記厚さ方向の上記一方側の面と上記厚肉部の上記第1面との間に上記厚さ方向に段差が形成されていてもよい。そして、上記第3の変形例の上記棒状ハンダ100は、上記厚さ方向の一方側に平面が形成され、上記厚さ方向の他方側から上記厚さ方向へ凹むと共に上記幅方向及び上記厚さ方向と直交する奥行き方向へ延びる溝140が一又は二以上形成されており、上記溝140の上記幅方向両側に上記厚肉部110がそれぞれ形成され、上記厚さ方向の一方側の面と上記溝140との間に上記薄肉部120が形成されている。上記棒状ハンダ100の上記厚さ方向の一方側を平面ではなく凹凸を有する面に形成してもよい。また、上記厚肉部と上記薄肉部との間を緩やかに変化させて上記のような明確な溝を形成しないようにしてもよい。さらに、上記第3の変形例の上記棒状ハンダ100は、上記薄肉部120における上記幅方向の中間に、上記幅方向に向いた面で断面したときの断面積が上記薄肉部120のなかで最小になる狭小部150が形成されている。その他の構成は上記第2の実施形態の上記棒状ハンダ100と同様である。
【0076】
上記第3の変形例の棒状ハンダ100が加熱されると、上記各薄肉部120のなかでも上記狭小部150が先に溶けるので、上記棒状ハンダ100が上記各薄肉部においてそれぞれ幅方向に分離される確率が高められ、上記第1の実施形態の導電部材のハンダ付け方法で用いた棒状ハンダ100で得られた作用及び効果が一層確実に得られる。また、上記棒状ハンダ100が上記各狭小部150においてそれぞれ幅方向に分離され、上記各厚肉部110がそれぞれ独立するので、上記独立した各厚肉部110に、上記幅方向中間で分離された上記各薄肉部120の片割れが吸収される。そのため、上記各接続ハンダ170のハンダ量が一層正確に確保され、ばらつきが少なくなる。よって、上記各接続ハンダ170の接続強度の確保、及び隣り合う接続ハンダ170の隙間の確保が、より確実に得られ、また、上記各接続ハンダ170の間にハンダの溶け残り及びハンダボールが一層生成されにくくなり製品の信頼性が向上する。第3の変形例の上記棒状ハンダ100を用いた場合のその他の作用及び効果は、上記第2の実施形態と同様であるから説明を省略する。
【0077】
さらに、図21ないし図24に示した第4の変形例の棒状ハンダ100は、上記第4の変形例の棒状ハンダ100は、上記幅方向に沿って上記間隔をあけて設けられており、上記厚さ方向の上記一方側に上記各第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aの幅と同じかそれ以上の幅をもつ第1面111を有すると共に上記厚さ方向の上記他方側に上記各第2導電部材320の上記ハンダ付け部321の幅と同じかそれ以下の幅をもつ第2面112を有して上記複数の第2導電部材320の上記ハンダ付け部321にそれぞれ対応する複数の厚肉部110と、隣り合う上記厚肉部110の間に、上記厚さ方向の上記一方側の面が上記厚肉部110の上記第1面111に連続するようにそれぞれ設けられた薄肉部120とを備え、上記厚肉部110の厚さが上記薄肉部120を含む他の部位の厚さよりも厚く形成されている。ただし、上記薄肉部120の上記厚さ方向の上記一方側の面が上記厚肉部110の上記第1面111に連続していなくてもよいから、上記第2の実施形態で用いることができる上記棒状ハンダには、上記薄肉部の上記厚さ方向の上記一方側の面と上記厚肉部の上記第1面との間に上記厚さ方向に段差が形成されていてもよい。そして、上記第1の変形例の上記棒状ハンダ100は、上記厚さ方向の一方側に受止部160を除いて平面が形成され、上記厚さ方向の他方側から上記厚さ方向へ凹むと共に上記幅方向及び上記厚さ方向と直交する奥行き方向へ延びる溝140が一又は二以上形成されており、上記溝140の上記幅方向両側に上記厚肉部110がそれぞれ形成され、上記厚さ方向の一方側の面と上記溝140との間に上記薄肉部120が形成されている。上記棒状ハンダ100の上記厚さ方向の一方側を平面ではなく凹凸を有する面に形成してもよい。また、上記厚肉部と上記薄肉部との間を緩やかに変化させて上記のような明確な溝を形成しないようにしてもよい。さらに、上記第4の変形例の上記棒状ハンダ100は、上記厚肉部110の上記第1面111に、上記厚さ方向に凹んで上記第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aが入る上記受止部160が形成されている。その他の構成は上記第2の実施形態の上記棒状ハンダ100と同様である。
【0078】
上記第4の変形例の棒状ハンダ100は、ハンダ付けのときに上記第1導電部材222、230の上記ハンダ付け部222a、230aが上記受止部160に係止されて不用意に移動しにくくなり、ハンダ付けの作業性を向上させることができる。第4の変形例の上記棒状ハンダ100を用いた場合のその他の作用及び効果は、上記第2の実施形態と同様であるから説明を省略する。
【0079】
本発明の導電部材のハンダ付け方法は、以上で説明した各実施形態及びその変形例の特徴を組み合わせた実施形態を含んでいる。さらに、以上で説明した実施形態及びその変形例は本発明の導電部材のハンダ付け方法のいくつかの例を示したに過ぎない。したがって、これらの実施形態及びその変形例の記載によって本発明の導電部材のハンダ付け方法が限定解釈されることはない。
【符号の説明】
【0080】
100 棒状ハンダ
110 厚肉部
111 第1面
112 第2面
120 薄肉部
140 溝
150 狭小部
160 受止部
170 接続ハンダ
200 電線(シールドケーブル)
220 電線(独立した電線)
221 絶縁被覆
222 第1導電部材(導体)
222a ハンダ付け部
230 第1導電部材(ドレン線)
230a ハンダ付け部
300 電気コネクタ
310 絶縁部材(ハウジング)
311f 極間壁
320 第2導電部材(コンタクト)
321 ハンダ付け部
400 熱融着装置
410 ヒータヘッド
420 ヒータチップ
422 第1コテ部
423 第2コテ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1導電部材を、絶縁部材に設けられた複数の第2導電部材に、それぞれのハンダ付け部が間隔をあけて幅方向に一列に並ぶように一括してハンダ付けするハンダ付け方法であって、
上記複数の第2導電部材の上記ハンダ付け部の上記幅方向と直交する厚さ方向の一方側に上記幅方向に延びる一つの棒状ハンダを配置し、上記棒状ハンダの上記厚さ方向の上記一方側に上記複数の第1導電部材の上記ハンダ付け部を上記複数の第2導電部材の上記ハンダ付け部に対応させてそれぞれ配置する第1工程と、
上記複数の第1導電部材の上記ハンダ付け部の上記厚さ方向の上記一方側に上記幅方向に延びる一つのヒータチップを配置し、上記ヒータチップを発熱させると共に上記ヒータチップを上記複数の第1導電部材の上記ハンダ付け部に接触させて上記厚さ方向の他方側に向かって押圧する第2工程とを備えており、
上記棒状ハンダは、上記幅方向に沿って上記間隔をあけて設けられており、上記厚さ方向の上記一方側に上記各第1導電部材の上記ハンダ付け部の幅と同じかそれ以上の幅をもつ第1面を有すると共に上記厚さ方向の上記他方側に上記各第2導電部材の上記ハンダ付け部の幅と同じかそれ以下の幅をもつ第2面を有して上記複数の第2導電部材の上記ハンダ付け部にそれぞれ対応する複数の厚肉部と、隣り合う上記厚肉部の間に、上記厚さ方向の上記一方側の面が上記厚肉部の上記第1面に連続するようにそれぞれ設けられた薄肉部とを備え、上記厚肉部の厚さが上記薄肉部を含む他の部位の厚さよりも厚く形成されており、
上記ヒータチップは、上記幅方向に沿って上記間隔をあけて設けられており、上記厚さ方向にみて上記各厚肉部の少なくとも中央部に対応する部分から上記厚さ方向の上記他方側にそれぞれ突出する第1コテ部と、隣り合う上記第1コテ部の間に設けられ、上記第2工程において上記各第1コテ部により上記各第1導電部材の上記ハンダ付け部及び上記各厚肉部が加熱され且つ上記厚さ方向の上記他方側に向かって押圧されることで上記各薄肉部が上記厚さ方向の上記一方側に向かって変位したときに上記各薄肉部の表面に接触するようにそれぞれ設けられた第2コテ部とを備えている導電部材のハンダ付け方法。
【請求項2】
複数の第1導電部材を、絶縁部材に設けられた複数の第2導電部材に、それぞれのハンダ付け部が間隔をあけて幅方向に一列に並ぶように一括してハンダ付けするハンダ付け方法であって、
上記複数の第2導電部材の上記ハンダ付け部の上記幅方向と直交する厚さ方向の一方側に上記幅方向に延びる一つの棒状ハンダを配置し、上記棒状ハンダの上記厚さ方向の上記一方側に上記複数の第1導電部材の上記ハンダ付け部を上記複数の第2導電部材のハンダ付け部に対応させてそれぞれ配置する第1工程と、
上記複数の第1導電部材の上記ハンダ付け部の上記厚さ方向の上記一方側に上記幅方向に延びる一つのヒータチップを配置し、上記ヒータチップを発熱させると共に上記ヒータチップを上記複数の第1導電部材の上記ハンダ付け部に接触させて上記厚さ方向の他方側に向かって押圧する第2工程とを備えており、
上記棒状ハンダは、上記幅方向に沿って上記間隔をあけて設けられており、上記厚さ方向の上記一方側に上記各第1導電部材の上記ハンダ付け部の幅と同じかそれ以上の幅をもつ第1面を有すると共に上記厚さ方向の上記他方側に上記各第2導電部材の上記ハンダ付け部の幅と同じかそれ以下の幅をもつ第2面を有して上記複数の第2導電部材の上記ハンダ付け部にそれぞれ対応する複数の厚肉部と、隣り合う上記厚肉部の間にそれぞれ設けられた薄肉部とを備え、上記厚肉部の厚さが上記薄肉部を含む他の部位の厚さよりも厚く形成されており、
上記ヒータチップは、上記幅方向に沿って上記間隔をあけて設けられており、上記厚さ方向にみて上記各厚肉部の少なくとも中央部にそれぞれ対応する部分に設けられた第1コテ部と、上記厚さ方向にみて隣り合う上記第1コテ部の間における上記各薄肉部の少なくとも中央部に対応する部分に上記第1コテ部よりも上記厚さ方向の上記他方側にそれぞれ突出する第2コテ部とを備えている導電部材のハンダ付け方法。
【請求項3】
上記棒状ハンダが、上記厚さ方向の一方側に平面が形成され、上記厚さ方向の他方側から上記厚さ方向へ凹むと共に上記幅方向及び上記厚さ方向と直交する奥行き方向へ延びる溝が一又は二以上形成されており、上記溝の上記幅方向両側に上記厚肉部がそれぞれ形成され、上記厚さ方向の一方側の面と上記溝との間に上記薄肉部が形成されている請求項1又は請求項2の導電部材のハンダ付け方法。
【請求項4】
上記棒状ハンダが、上記薄肉部における上記幅方向の中間に、上記幅方向に向いた面で断面したときの断面積が上記薄肉部のなかで最小になる狭小部が形成されている請求項1ないし請求項3のうちいずれか1項の導電部材のハンダ付け方法。
【請求項5】
上記棒状ハンダが、上記厚肉部の上記第1面に、上記厚さ方向に凹んで上記第1導電部材の上記ハンダ付け部が入る受止部が形成されている請求項1ないし請求項4のうちいずれか1項の導電部材のハンダ付け方法。
【請求項6】
上記各第1導電部材が、電線の終端から露出した導体であり、
上記絶縁部材が、複数の極を有する電気コネクタのハウジングであり、上記各第2導電部材が、上記電気コネクタの上記各極をそれぞれ構成するコンタクトであり、上記ハウジングには隣り合う上記コンタクトの上記ハンダ付け部の間から上記厚さ方向へそれぞれ立ち上がる極間壁が設けられており、
上記複数の第1導電部材、上記複数の第2導電部材、及び上記棒状ハンダを、上記棒状ハンダの上記各厚肉部の上記第1面に上記各第1導電部材の上記ハンダ付け部がそれぞれ接触すると共に上記第2面に上記各第2導電部材の上記ハンダ付け部がそれぞれ接触するように配置するときに、隣り合う上記厚肉部の間の上記各薄肉部が上記各極間壁とそれぞれ対向するように配置する請求項1ないし請求項5のうちいずれか一つの導電部材のハンダ付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2012−234710(P2012−234710A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102611(P2011−102611)
【出願日】平成23年4月29日(2011.4.29)
【出願人】(390033318)日本圧着端子製造株式会社 (457)
【Fターム(参考)】