説明

小型車両用のトップアッセンブリー

【課題】輸送後容易に装着され得ることが可能な小型車両用のトップアッセンブリーを提供する。
【解決手段】小型車両用のトップアッセンブリーであって、屋根部材62とフロントストラット64とリヤーストラット66とからなり、前記フロント及びリヤーストラットは前記屋根部材に枢着され、前記屋根部材及びフロント及びリヤーストラットの各々は、フロント及びリヤーストラットが引き出された状態で固定することのできる構造となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にゴルフカー、その他各種ユーティリティー車両といった小型原動機付車両に関するものである。より具体的には本発明はこの様な原動機付車両のトップに関する。
【背景技術】
【0002】
小型原動機付車両は各種用途に使用されている。この様な原動機付き車両の一例がゴルフカーである。ゴルフカー用として多様なトップが設計され提案されてきた。過去、このようなトップはいろいろな名前で呼ばれてきたが、例えば屋根、カノピー、傘、トップ等である。一般的に、これらトップは車両の乗員を太陽光、雨、その他の悪天候から保護するために設計されている。
【0003】
典型的なトップには、一般的に通常縦に伸びる四本のスタンダード又はストラットにより支持されたやはり通常水平に伸びるアッパーと言われる部分がある。トップの前部は大抵フロントスタンダードの二歩の足により支持されているが、この足は時としてU字形を取ることがある。一方、トップの後部は二本の独立したスタンダードにより支持されることがある。(例えば特許文献1)スタンダードは全て何らかの形で車両のフレームに設置されるので、車両のフレームはこのトップの負荷を支持できるようになっている。
【0004】
ゴルフカーといった小型原動付車両にトップを組み立てるに当っては、時としてスタンダードをまずトップの下面に組みつけることが必要となる。スタンダードが挿入され取付位置に固定された後、トップは車両の上に持ち上げられる。トップがほぼ規定位置に設置されるとスタンダードはボルト又はその他の締め付け部品により車両に固定される。時としてスタンダードがまずゴルフカーに組み立てられ、その後トップがこのスタンダードに固定されることもある。
【0005】
一般的にトップはこのように組み立てられるので、車両の輸送時トップ、フレーム(スタンダード、等)、締め付け部品は組み付けられていない。これらの部品は、例えば、ディーラーにより車両の最終セットアップの時に初めて組み立てられ車両に取り付けられる。結果としてこのセットアップはディーラーその他のスタッフに対して長い装着時間と費用という負荷をもたらしている。更に、締め付け部品は紛失したり、工場と装着現場との間で容易に他の部品に紛れてしまう事もある。
【特許文献1】米国特許第5,031,713号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような問題に鑑み、小型原動機付車両のよりよいトップが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のトップの設計の1つの特徴として、トップは輸送後容易に装着され得ることが望ましい。例えば、輸送前にストラットがすでにトップに取り付けられて輸送すると便利である。また、大量輸送の便宜上、ストラットは出来れば折りたたみが出来、またトップには大量輸送において多くのトップにより占められるスペースを削除するために複数台の積み重ねが出来るように足が設けられていることが望ましい。
【0008】
本発明の一つの局面は、小型車両のためのトップアッセンブリーに関するものである。トップアッセンブリーは一個の屋根部材、この屋根部材にピボットを介して接続された一個のフロントストラットと一個のリヤーストラットからなる。この屋根部材、フロントストラット、それにリヤーストラットは、フロントストラット及びリヤーストラットを伸ばした位置で固定できるように確固とした構造を取っている。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明では、ゴルフカーなどの小型車両のトップは屋根部材とこの屋根部材にピボットを介して取り付けられた一組のストラットを持つ。これらのストラットは輸送または保管の時には折りたたむことができる。このトップはまた輸送及び保管のために積み重ねることができる特徴を持っている。
【0010】
本発明では、トップは輸送後容易に装着され得る。例えば、輸送前にストラットがすでにトップに取りつけられて輸送される。また、大量輸送の便宜上、ストラットは折りたたみができ、またトップには大量輸送において多くのトップにより占められるスペースを削減するために複数台の積み重ねができるように足が設けられている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
上述の特徴及びその他の特徴、また本発明の局面及び利点を本発明の好ましい実施例の図面に関連して説明する。この実施例は本発明を分かり易く説明することが目的であって、本発明をこの実施例に限定するものではない。図面は22図からなる。
【0012】
図1では本発明の特定機能、局面及び利点に基づいて配置、構成されたトップを持つゴルフカーを示している。ゴルフカーが描かれている理由はこのトップがこのような車両に対して特別な利点を持っているからである。このトップなATV、ユーティリティー車、その他にも使用可能である。それ故、本発明の範囲はこの特許請求の範囲の中で明確に言明しない限りゴルフカーに限定することを意図していない。
【0013】
参照番号30により全体を示されているゴルフカーは、一般的に二個の前輪32と二個の後輪34に支えられた一個のフレームアッセンブリー(図示されていない)から成り立っている。構成によっては、一個の前輪32を持つこともある。前輪32はフレームアッセンブリーに対して前輪32の舵取り動作が出来るようにフレームアッセンブリーを支持しており、また後輪34は一般的に一定方向に取り付けられている。
【0014】
複数のボディーパネルを持つボディー36はフレームアッセンブリーに取り付けられている。特に化粧成形カウル38は、フレームアッセンブリーの前部及びフロントサスペンション部品を覆っている、成形サイドパネル40はフレームアッセンブリーの中央部より後部を覆い、シートクッション44を支える上部表面42を持つことが特徴である。多くの場合、サイドパネル40は車体にピボットを介して取り付けられサイドパネル40の下に設置されたエンジンルームに置かれるモーターまたはエンジンへの到達を可能としている。ゴルフカー30は、両側面が解放となっていることが望ましいので参照番号46により全体を示されているように、通り抜け運転席構造をとる。通り抜け構造はユーザーの車両への乗降の便宜を提供する。
【0015】
シートクッション44に加えてシートバック48があるが、これは成形スチール又はアルミニューム管ででき、その足がフレームアッセンブリーの一部にある取り付け部より上に突き出す形のシートバックサポート50により支持されることが望ましい。このシートクッション44の図ではその両側に曲げパイプサイドレール52が取り付けられている。
【0016】
車体の後部54は伝統的乗用車のようにカバーが作られていない。その替わり、この部分はシートバック48の後ろに水平なデッキを設置してゴルフバッグを縦に載せられることが望ましい。バッグはシートバックサポート50の曲げられた延長部に取り付けられたバッグサポート56で直立に支持される。
【0017】
これまでに説明してきたゴルフカー車輪はどちらかというと伝統的と考えられる。それゆえ、今後ゴルフカーの構造に関してその詳細が欠如している場合はそのような詳細は本技術に関する通常の技術を持つものであれば理解可能であると考えられるので、このほかの適切な構成又は実施も可能である。
【0018】
更に図1に関して述べるが、トップアッセンブリー60は二本のフロントルーフサポート支柱またはストラット64、二本のリヤールーフサポート支柱又はストラット66により支持される一個の屋根部材62を含んでいる。ストラット64、66はほぼ長方形の断面を持つ押し出しパイプ材で構成されることが望ましい。ストラット64、66は屋根部材62にピボットを介して取り付けられると有利である。特に、ストラット64、66は後述するように屋根部材62の下面にピボットを介して取り付けると良い。
【0019】
フロントストラット64は、各々平行に車両のボディー36の両側に離して設置される。本図ではフロントストラット64は1本のU字形の部品より形成されている。U字形を形成する足の上端部は屋根部材62にピボットを介して接続し、U字形の中央部は車両30に適当な方法で固定されている。本図ではこのU字形ストラットの中央部には二つの穴が開けられており、この穴にフレームアッセンブリーに接続した取りつけ支柱が勘合する。
【0020】
リヤーストラット66も同様に、各々平行に、車両のボディーの両側に離して設置されることが望ましい。本図ではリヤーストラットは互いに独立部品である。更に、図1及び4に示しているようにリヤーストラット66はそれがシートバックサポート50に沿って延びるように曲げ部を持つことが好ましい。本図の構成ではリヤーストラットはシートバックサポート50に固定されているが、シートバックサポート50はフレームに適当な方法で確実に取り付けられているのである。
【0021】
屋根部材62はかなり剛性であるが、それでいて軽量材質で成形されることが望ましい。屋根部材62は樹脂ベース材料の成形であったり、熱成型品、又ガス・アシスト射出成形又は構造用発砲であったりする。屋根部材62は一般に本図に示したように長方形の外周67からなる。外周67としてはその他の形状も可能である。本図では外周67は運転者又は同乗者を十分に保護する意図を達成しているが、構成によっては、本書には示していないが、この外周が座席の後ろに置いた物品(例えばゴルフバック)を保護していることもある。
【0022】
図2を見ると、屋根部材62の下面68が描かれている。二本の前足70と二本の後ろ足72が下面68に取り付けられている。本図の構成では、足70、72は後述するが屋根部材62と一体で成形されている。また、別の構成では足70、72は別々に成形し溶接、合着、機械的取り付け具、構造的接合など、その他のいかなる適切な方法で取り付ければよい。図1では、足70、72はフロントストラット64及びリヤーストラット66の設置位置を決めている。
【0023】
再度図2に関して説明するが、足70、72は縦にスロット様構造を持つことが望ましい。言い換えると、足70、72は各々縦に伸びる壁を持ち、これらが屋根部材62の下面68と共に溝を作り出している。このスロット状の溝はストラットが取りつけ位置に伸ばされたとき摩擦勘合をするように作られることが望ましい。別の構成では、このスロット状の溝に折り畳まれた時にストラットがいくらかの水平運動を出来るようにしている。
【0024】
図4を見ると、後ろ足72の壁が良く理解できる。これはこの構成の前足70についても同様である。壁74はほぼ縦方向に伸びている。壁74は相互にほぼ平行に伸びることが望ましい。こうすることにより壁74は縦方向の溝76を作り出す。すでに述べたが、この溝76はリヤーストラット66が伸びきった位置から(図15にこの状態を示す)折り畳まれた位置(図18にこの状態を示す)に移動できるような寸法と構成を持つことが好ましい。一つの特に望ましい実施例としては、壁74はリヤーストラット66が伸びきった状態となったときに摩擦勘合をするようにスペースを空けておくと良い。このような構造にすると車両動作中のカタカタ音を削減することが出来るし、また屋根部材62のゴルフカー30に対するバランスとしてより確実な取り付けが出来る。このような構成では、溝76の前方部分は摩擦勘合するようにサイジングする必要なく、リヤーストラット66は伸びきった状態でないときはもっと自由に動くことが出来るのである。前足70に関しては、溝の後方部分は摩擦勘合するようにサイジングする必要ななく、フロントストラット64は伸びきった状態でないときはもっと自由に動くことが出来るのである。
【0025】
壁74はその車両前方方向の部分よりも車両後方の部分のほうが高くなるように高さにテーパーを設けることが望ましい。このテーパーはガセット構造を作り出し、足70、72とトップ68の接続を補強する。特に、この構造は後方への補強となる。上述したように、前足70も同様に作られた壁76によって形成されるが、この壁76は後方から前方へではなく前方から後方へテーパーする。壁76にテーパーを掛けると壁76がゴルフカー30の内側に入る量を削減し、屋根部材62の成形に使用する材料を削減することが出来る。従って屋根部材62の全体重量を減らすことが出来る。更に、壁76にテーパーを掛けると後に説明する輸送のために積み重ねられた場合、屋根部材62と壁が接触する可能性を低減する。
【0026】
更に図4について説明する。後ろ足72の各々の壁74には少なくとも二つ軸を形成するように少なくとも二つ穴78を持たせることが望ましい。この穴78はリヤーストラット66に開けられた穴と一致するので例えばボルト、ピン、ロッドといった締め付け具80によってストラット66を伸びきった状態で固定することが出来るのである。また、後述するが、構成によっては第三の穴を壁74に開け、ストラットを下ろした(折り畳んだ)状態で固定することも出来る。前足70を形成する壁76もまた同様に同じ様な締め付け具84を受け入れる同様にあけられた穴82を持っている。
【0027】
図2と図4で、足70と72はさらにテーパーの掛かった横方向の壁により支持されることが望ましい。この説明に関して、まず後ろ足72についてこの壁の説明をする。図4に示すように、壁86は各々の足72の内側に設置される。この壁86は内側のテーパーに掛かることが望ましい。このようなテーパーは材料と重量の節約となる。更に、この壁の存在は足72の横方向での補強となる。
【0028】
特に好ましい構成では、壁86は完全にテーパートせず、その代わり壁86は適当な高さまでテーパーし後ろ足72の壁74の内側に広がる。この壁86は情報ホルダー(図示されていない)の設置位置となる。図で示したこのような構成では、壁86に後部情報ホルダー(図示されていない)を取り付けることが出来る。構成によっては、この情報ホルダーを取り付けるための穴が開けられていたり、情報ホルダーは取り付け位置に磁石で取り付けられたり、接着されることもある。
【0029】
再度図2に関してであるが、前足70の各々は横に広がる壁88を持つことが好ましい。この壁88は足70の間を完全につなげても良いし、また図のように足70の間でごく一部のみの壁としても良い。この図では壁88は各々の足からほんの少し内側に入ったところでテーパーが消えている。これもトップを形成する材料の削減と屋根部材62の全体重量の削減である。
【0030】
壁88につながらない図に示すような構成では、情報ホルダーフランジ90を前足70の中間、屋根部材62端部より内側に設置することができる。この情報ホルダーフランジ90と横につながった後部壁86により、図に示す構成の屋根部材62は情報ホルダー取り付け箇所を提供し、この構成では情報ホルダーは屋根部材62の縦方向に分離されている。更に、図に示すような取り付け位置にすると各々二つの情報ホルダーを設置できる利点がある。このような構成にするとフロントとリヤーの取り付け位置に四つの情報ホルダーを設置することが出来る。前部壁88が繋がる構造ではこの繋がった前部壁88が前部情報ホルダー取り付け部となるのでこの情報ホルダーフランジ90は削除することが出来る。
【0031】
次は図5についてであるが、ここで屋根部材62の他の機能を説明する。図に示されているように、屋根部材62はその中央部分が上方向に突き出している構造が好ましい。この突きだし100は横の広がりと図1に示されているような後ろ方向へのテーパーを持っている構造が良い。この図に示されている突きだし100は屋根部材62に関して上方向に伸びており、屋根部材62の外周部67の内側で屋根部材62の一部として形成されている。
【0032】
この突きだし100の前部には取り付けパッド102がある。この取り付けパッド102はアンテナ(図には示されていない)の最低一個、RFアンテナ(送信機)その他のアンテナを取り付けるものである。このような目的であるので、取り付けパッド102は一般的に平面であり、この取り付けパッド102は屋根部材62の前方に位置する方がよい。また、この取り付けパッド102が突きだし100の前方でしかも中央に位置すると更によい。この位置は後述するが屋根部材62の下に取り付けられる電子部品の近くにパッド102を位置付ける点で有利である。
【0033】
この取り付けパッド102の前方外周には、少し上向きのリップ103を設置するとよい。このリップ103は取り付けパッドの水平面より僅かに上方向に突き出て、アンテナの取り付け部、RFアンテナ(送信機)その他のアンテナの取り付け部を小枝その他の障害物から遮り、取り付けられた部品が屋根部材62から落ちてしまう可能性を削減するのである。このリップ103の高さは後部に行くにしたがってテーパーする方がよい。構成によってはリップ103のテーパーが取り付けパッド102の後部で取り付けパッド102と同じ高さとなることもある。
【0034】
図2を見ると二つのアクセサリー取り付けパッド104が屋根部材62の下側に設けられている。現在の好ましい構成ではこのアクセサリー取り付けパッド104は突き出し100の中に屋根部材62の下側よりも垂直に高い位置となっている。このアクセサリー取り付けパッド104は電子機器、例えばGPS受信機及び表示システム、CBラジオその他の送受信機などのアクセサリーの取り付け箇所を提供するので、アクセサリーを突きだしの中に取り付けることによりこれらを高い位置に取り付けられるための車両の運転者の視界に対し、また車両内の頭上高に対して影響を少なくするのである。
【0035】
出来ればこのアクセサリー取りつけパッド104はアンテナ取り付けパッド102の両側にあることが好ましい。そうするとアンテナ及び送信機への接続が必要なときにはこれを短距離で実施することができるのである。もう一つの好ましい構成では、アクセサリー取り付けパッド104は取り付けパッド102の縦方向中心に対して同じである。この図ではアクセサリー取り付けパッド104の各々はコーナーからコーナーに伸び、互いに交差しXパターンを作る二つの壁を持つ四角い箱状の構造を持つ。この他にどのような適当な構造を用いてもよい。例えば、中実の四角形パッド、円筒状パッド、直方体パッド、その他の形状でもよい。
【0036】
次に図5−9について説明すると、屋根部材62はよりよい雨樋システムを持つことが好ましい。本書に示されている発明の好ましい構成に含まれている雨樋システムは、周到に設計された排水口と形状によりほぼ全ての雨水を取り除くことが出来る。
【0037】
一般的に屋根部材62はその側面の少なくとも一部及び後部に沿ってU字形のガター110を備えている。図5を見ると、この図による屋根部材62の外周67を形成する四つの側面のうち三つの側面に沿ってガター110が設置されている。この構成ではガター110は第一縦方向部分112、第二縦方向部分114、それと横に横断する部分116により構成されている。この二つの縦方向部分、112、114は一般的に各々平行に設置される。横断部分116は、この図によると、縦方向部分112と114を越えて延びており、そのため横断部分116は屋根部材62の両側面に二つの出口118を形成している。また、構成によっては前部の横断ガターを取り付けることも可能である。
【0038】
後部壁部又はトップの角部でなくガター110の二つの出口118がトップの縦方向の延びる側面に位置する利点がある。出口118をゴルフカーの両側面に設置することにより、ここから流れ落ちる水が屋根部材62の中央下部に置かれるゴルフクラブにかかる可能性を少なくするのである。また、これまでの構成に対して大きな変化はないようであるが、この構造は図9及び13で明らかなように一個のつながったリヤーパネル119を提供することにより屋根部材62の美観を大きく向上しているのである。この一個につながったリヤーパネル119は構成によっては製造番号を入れることも出来るが、見た目に連続の線を作ることができるのでこれまでの構成よりも美的に快いものとなっている。このリヤーパネル119には、メーカーのロゴを入れるための拡大部121を設けることができ、またこの拡大部121は後で詳細に説明するトップの積み重ねに際して大きな干渉をもたらさない限りさらに下向きに拡大することもできる。
【0039】
図6ではガター110の縦方向部分112、114は後方に向って傾斜している。この傾斜は真の水平面に対して0.5度から10度の下降傾斜が望ましいが、より望ましくは1度から2度の間である。今回の望ましい構成では傾斜角は約1.4度である。この構成ではゴルフカー30がその正面を谷底に向ける形で緩やかな傾斜地に傾斜した場合でも、この傾斜角で充分に水を車両後方へ排除することができる。
【0040】
ガター110の横断部分116は屋根部材62のクラウンの関係上外側方向に下降傾斜がつけられている。前項同様、この角度は関係車両が傾斜地に駐車したときでも充分に排水できることが望ましい。一例では、この傾斜は曲面により達成されている(例、円弧)。
【0041】
横断部分116はまた二つの後部積み重ね用パッド120に接続している。この後部積み重ね用パッド120は後述する理由により設定された。この後部積み重ね用パッド120は、そのへこみ部周囲に作られたポケット部に溜まる水の量を最小限とするために車両後部に向って若干下降傾斜を持つことが望ましい。構成によっては後部積み重ね用パッド120のそれぞれに独立の排水口を設けることもあるが、この場合排水口の構造及び位置を適切にしないと排水がゴルフクラブ保管部位に流れることがあるのであまり望ましいとはいえない。
【0042】
また二つの前部積み重ね用パッド122も設けられている。この図では前部積み重ね用パッド122は、ガター110の縦方向部分112及び114から分離しているが、構成によっては前部積み重ね用パッド122がガター110に一体化されることもできる。しかし、本図では前部積み重ね用パッド122のへこみ部に排水口124が設けられている。
【0043】
図8に示した実施例では排水口124の各々はそれぞれ前足70の一部に沿って開口している。更によい構成では、排水口124は前足70の車両前進側に沿って開口するので前足70は排水口124とゴルフカー運転者の中間に位置することになる。このようにすると排水口124を通って流れてくる水は親水力により前足70とフロントストラット64上を伝って流れ落ちることになる。この特性を増大するために排水口124は左右に拡大されている。更に好ましくは、この排水口124が足70の側面寸法に沿い足70の近くに真っ直ぐなエッジを持つとよい。特に望ましい構成としてはこの排水口124が長方形であることである。
【0044】
更に図7に関して、前部積み重ね用パッド122の底壁126は前部積み重ね用パッド122を形成するへこみ部に水が溜まる可能性を低減するために、僅かに前方に向けて傾斜が付けられている。できれば底壁126は真の水平に対して1度から45度の傾斜であることが望ましい。また更に望ましくはこの部分の傾斜は5度から20度の間がよい。一つの好ましい構成として本図に示したものは7.3度の傾斜である。この構成では関連車両がその車両前部を谷底に向けて緩やかな傾斜地に駐車した場合でも充分に水を車両前部より排水することができる。また、この構成では底壁の傾斜は後述する積み重ねの際に与える影響を最小限とする。
【0045】
図2を見ると二つのハンドル130が図示された屋根部材62の下面68に取りつけられている。これらハンドル130は好ましくは単一の構成として屋根部材62と一体で成形されるのがよい。このような一体構造は生産コストを削減する。とはいうものの場合によってはハンドル130は別に成形され適当な方法で屋根部材62に取り付けられることもある。例えば、ある構成ではハンドル130は屋根部材62の下面68に形成されたボスねじ付き取りつけ具にて屋根部材62に取り付けられることもある。どのような取り付け方法をとろうとも、ハンドル130は屋根部材62によって充分に隠蔽されるようなサイズ及び位置に取り付けられなくてはならない。言い換えると、図11に示すようにハンドル130は屋根部材を横から見たときに目に入らないようにすべきである。構成によりハンドル130の全高1/8くらいが屋根部材62の外周67上最も低い位置から突き出すこともある。
【0046】
次に図12を見てみると、この図では横に設置されたハンドル130が示されている。これらハンドル130はできれば屋根部材62の外周67の内側に位置されることが望ましい。このような位置にあると、大抵このハンドル130を握るライダーの手が前部屋根部材62の外周67の内側に位置することとなる。本図にて示されているように、ハンドル130は屋根部材62の前足70(屋根部材62に対するフロントストラット64の取り付け箇所)を含んで延びる垂直で長さ方向の面L1の内側に取り付けられることが好ましい。更に好ましい構成としては、図にも示されているが90%パーセンタイルの男性がゴルフカーの運転席または助手席に正しく座ったとき、このとき通常外側の肩関節が面L1と一致する、その男性の外側の肩関節の内側にハンドル130が設置される。更にもっと望ましい構成として、正しく座っている90%パーセンタイルの男性の首と肩の線の交点を通る面とこの面の間にハンドル130が設置されているとよい。しかしながら、また別の構成では正しく座った90%パーセンタイルの男性をニ分割するように延びるほぼ垂直で長さ方向の面の内側にハンドル130を設置することも出来る。これまでに述べた全ての取り付け位置は実質的にライダーの外側の腕を外周67の内側に維持するように適切な腕の位置を作り出すことができる。
【0047】
次に図13について述べる。ここではハンドル130の長さ方向での設置について説明する。一つの実施例ではハンドル130は運転者の肩関節を通り左右方向に延びるほぼ垂直で横方向の面T1のやや前方に設置されている。更に好ましい例としては、ハンドル130の握り部分の中央が運転者の胸を通り延びるほぼ垂直な面T2に沿うように設置されることである。このほかの実施例ではハンドル130がもっと車両前部に取りつけられることもある。これら全ての位置は実質的にライダーの外側の腕を屋根部材62の内側に維持するように適切な腕の位置を作り出すことができる。
【0048】
図10ではハンドル130はほぼ垂直で長さ方向の面R1に対して角度を持たせるとよい。本図に示す構成では角度αはこの面R1とハンドルの長さ方向に延びるほぼ垂直な面H1によって作られる角である。この角度αはほぼゼロ度から45度の間であればよい。ある構成ではこの角度αは15度と35度の範囲である。また、特に好ましい構成ではこの角度αは約23度である。この角度では車両よりの乗降に際してハンドルを握ることは難しくまた不快に感じるのでそのようなハンドルの使用を抑制することができる。また、この角度はライダーの外側の腕を屋根部材62の内側に維持するように適切な腕の位置を作り出すことができる。
【0049】
図14から18について述べると、トップの一例としてトップが屋根部材62、それに本図に示されているように前足70及び後ろ足72において屋根部材62にピボットを介して接続されたストラット64、66を持つフロントストラット64、及びリヤーストラット66より構成されている。このピボットによる接続は輸送または保管時にストラットを折りたたみ(図17を参照)、また装着時には引き出す(図14を参照)ことを可能としている。
【0050】
図14を見るとストラット64、66は装着位置まで引き出されている。この位置で、ストラット64、66は再度折りたたまれないように適当な方法で固定することができる。既に検討をしたが、本図に示す構成では初めのねじ付きファスナーによりピボット位置を決定させ、次のねじ付きファスナーによりストラットを装着用引き出し位置に固定する。
【0051】
ストラットを折りたたむ時はU字形のフロントストラットを最初(図15を参照)に折りたたむことが好ましい。このフロントストラットは完全に折りたたまれると屋根部材62の下面68に収まる。本図で表された構成ではフロントストラット64はガター110の長さ方向部分112、114の底面に収納するのである。また他の構成では、フロントストラット64が正しく折たたまれた場合これを支持するためのリブが下面68に付けられることもある。
【0052】
フロントストラットが折りたたまれたならば、リヤーストラット66は本図のフロントストラット64を形成するU字形部の曲げ部分上に折りたたむことができる。このようにしてリヤーストラット66は図に示されているようにフロントストラット64を折りたたまれた状態で固定することができるのである。その他の構成では、フロントストラット64リヤーストラット66をその折りたたまれた状態で固定することができる。
【0053】
リヤーストラット66は適当な方法で固定すればよい。本図に示された実施例ではインシュロック140がハンドル130と各々のストラット66を固定している。この固定された位置ではストラット66の最端部のみが屋根部材62の下面68に接触するようにすべきである。屋根部材62を傷付ける可能性を低減するためにリヤーストラット66の最端部に設置する発泡その他の適当な材料(図には示していない)によるカバーを用いるとよい。図17に示されているように、リヤーストラット66とフロントストラット64をインシュロック140で固定することもできる。このような接続はハンドリング及び輸送中にストラット64、66が不用意に伸び出すことに対する二重の保険となるのである。他の構成ではハンドリング及び輸送において傷つきや騒音を削減するためにストラット64と66の接触部に接触防止パッド(図には示されていない)を取りつけることもできる。このようにストラット64と66が二重に固定された場合、フロントストラット64はリヤーストラット66から吊下げられているので(図19を参照)屋根部材62の下面68に接触するのはリヤーストラット66の最端部のみであるので好都合である。
【0054】
今ひとつの構成では屋根部材62に対して少なくともリヤーストラット66のみを固定するために機械的なクリップ(図には示されていない)を使用することもある。また、他の場合はこの機械的クリップが屋根部材62と一体で成形されることもある。このような機械的なクリップは三本の指を持っており、外側の指はストラットの片側を押さえ、真ん中の指はストラットの反対側を押さえるが、この指はストラットを離すときには曲がりストラットの邪魔にならないような構造となっている。このほかの機械的クリップも利用できる。更に、足70、72に穴を追加したり、または屋根部材62の下面68のほかの構造を形成することによりここからねじ付きファスナーを差込むこともできる。輸送に当っては、追加のファスナーの袋をストラットの一つにテープで止めたり、その他何らかの方法で固定することが必要である。例えば、特に好ましい実施例としてはこの袋をU字形のフロントストラット64の中央部分にテープで止めることもできる。
【0055】
ストラット64、66を開くにはまずストラット64と66の締付けを解き、それから開くことになる。一般的には開く時は折りたたむ時の手順を逆に実施すればよい。一旦開かれるとストラット64、66は開かれた状態で固定することができる。開かれた状態で固定されると、トップは車両に取り付けることができる。
【0056】
図19から22について説明すると、図に示されているトップ60は積み重ねが出来るように設計されている。特にトップ60は輸送、保管のために積み重ねることができる。一つの実施例では2個から12個のトップ60を積み重ねることもできる。また、他の実施例では3個から10個のトップ60を積み重ねることができる。本発明の望ましい実施例では輸送のために約7個のトップ60を積み重ねている。しかしまたその他の構成ではトップを積み重ね、これをラッピングまたはその他の方法で固定して輸送することもある。
【0057】
トップ60が積み重ねられると、その足70と72は下のトップ60の積み重ね用パッド120、122(図20−22を参照)に接触する。好ましくは、足70、72の下方向への突き出しと折りたたまれたストラット64、66の固定技術によって一つのトップのストラット64、66とその下のトップ60の上面とが接触する可能性は非常に小さい(図19)。更に望ましい構成は二つの隣り合うトップ60の接触は積み重ね用パッド120、122、及び足70、72に限ることである。このようにすれば一つのトップ60が他のトップ60を傷付ける可能性が非常に小さくなるのである。
【0058】
本発明はある特定の実施例の形で説明したが、この方面での技術に関する普通の知識がある者にとって明かなその他の実施例も本発明の範囲に入る。このように、本発明の精神及び原理から逸脱することなく多様な変形及び修正が可能である。例えば、いろいろな部品が必要に応じて位置を変えることができる。また本発明の趣旨を実現するためには全ての特徴、局面、利点を盛り込む必要ない。それゆえ、本発明の範囲は次に述べる請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の特定機能、局面、利点により配置、構成されたトップを持つゴルフカーの側面図。
【図2】前面右側より見たトップの屋根部材下面の透視図。
【図3】車両へ装着するためにフレームサポートアッセンブリーを取り付け位置にセットした屋根部材の下面の前部透視図。
【図4】屋根部材の下面の後部の透視図であり、トップの取りつけ用足とトップのフレームサポートアッセンブリーの一部となる二本のリヤーストラットを示す。
【図5】屋根部材の正面図
【図6】屋根部材を車両前部左側より見た透視図。
【図7】フロントパッドと水抜き穴を説明するために屋根部材の前部左角部を拡大した透視図。
【図8】図7の水抜き穴を説明するための屋根部材及び左フロントストラットの透視図。
【図9】水抜き構造の一部とトップの後部足を説明するための屋根部材を車両後部左側より見た透視図。
【図10】左ハンドルの好ましい取り付け位置及び方向を説明するためにトップの一部の底を拡大した説明図。
【図11】側面から見た場合ハンドルが隠れる構造となっていることを説明するための屋根部材の側面図。
【図12】一般的な男性が彼の外側の手でハンドルを握っている状態のゴルフカーの背面図。
【図13】図12の男性が彼の外側の手でハンドルを握っている状態のゴルフカーの側面図。
【図14】ストラットが完全に伸ばされたトップの透視図。
【図15】フロントストラットが折りたたまれるか又は伸ばされようとしているトップの透視図。
【図16】フロントストラットが折りたたまれ、一方のリヤーストラットは折りたたまれてこの状態で固定され、他方のリヤーストラットは折りたたまれるか又は伸ばされようとしているトップの透視図。
【図17】ストラットが輸送のために折りたたまれ、固定された状態のトップの透視図。
【図18】輸送のために固定するときはリヤーストラットの下部先端が屋根部材の下面に接触しないことが好ましく、またリヤーストラットが折りたたまれたフロントストラットを固定することが好ましい状態を説明するためのトップの側面概略図。
【図19】積み重ねられた二つのトップであり、正しく積み重ねられた場合、折りたたまれたストラットがその下の屋根部材の上部表面に接触しないことが好ましい状態を示す説明図。
【図20】積み重ねられた二つのトップを後部より見た図であり、上のトップの前足が下のトップのフロントパッドに接触している状態を示す説明図。
【図21】輸送のために三つのトップが積み重ねられた状態の側面図。
【図22】輸送のために三つのトップが積み重ねられた状態の背面図。
【符号の説明】
【0060】
30:ゴルフカー、32:前輪、34:後輪、36:ボディ、40:サイドパネル、50:シートバックサポート、60:トップアッセンブリー、62:屋根部材、64:フロントストラット、66:リヤーストラット、67:外周、68:下面、70:前足、72:後ろ足、74:壁、76:壁、86:後部壁、88:前部壁、90:情報ホルダーフランジ、100:突きだし、102:取り付けパッド103:リップ、104:取り付けパッド、110:ガター、118:出口、120:後部積み重ね用パッド、122:前部積み重ね用パッド、124:排水口、130:ハンドル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小型車両用のトップアッセンブリーであって、屋根部材とフロントストラットとリヤーストラットとからなり、前記フロント及びリヤーストラットは前記屋根部材に枢着され、前記屋根部材及びフロント及びリヤーストラットの各々は、フロント及びリヤーストラットが引き出された状態で固定することのできる構造となった小型車両用のトップアッセンブリー。
【請求項2】
請求項1記載の小型車両用のトップアッセンブリーであって、前記固定する構造はフロントストラット及びリヤーストラットが引き出された時に整合する穴より成る小型車両用のトップアッセンブリー。
【請求項3】
請求項2記載の小型車両用のトップアッセンブリーであって、前記固定する構造は更に前記整合した穴を通ることの出来るネジ付きファスナーを有する小型車両用のトップアッセンブリー。
【請求項4】
請求項1記載の小型車両用のトップアッセンブリーであって、前記屋根部材にはフロントストラット及びリヤーストラットがピボットを枢着された下方に伸びる足を備えている小型車両用のトップアッセンブリー。
【請求項5】
請求項4記載の小型車両用のトップアッセンブリーであって、屋根部材は更に上面と前記下方の伸びた足と整合する位置でこの上面に形成された接触パッドより成り、前記足が接触パッド上に位置した時に1つの屋根部材が別の屋根部材上に重なるトップアッセンブリー。
【請求項6】
請求項5記載の小型車両用のトップアッセンブリーであって、屋根部材はその上面に形成された排水システムを持ち、前記接触パッドはこの排水システムに接続している小型車両用のトップアッセンブリー。
【請求項7】
請求項1記載の小型車両用のトップアッセンブリーであって、屋根部材は更に上面を持ち、この上面にアンテナ取り付けパッドが設置されている小型車両用のトップアッセンブリー。
【請求項8】
請求項7記載の小型車両用のトップアッセンブリーであって、保護リップにより少なくともこのアンテナ取り付けパッドの一部を囲んでいる小型車両用のトップアッセンブリー。
【請求項9】
請求項7記載の小型車両用のトップアッセンブリーであって、屋根部材は更に下面を有し、前記上面のアンテナ取り付けパッド取り付け位置近くの前記下面に設けられた少なくとも一つのアクセサリー取りつけパッドを備えた小型車両用のトップアッセンブリー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−195399(P2008−195399A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−132960(P2008−132960)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【分割の表示】特願2003−43005(P2003−43005)の分割
【原出願日】平成15年2月20日(2003.2.20)
【出願人】(503069115)ヤマハ モーター マニュファクチャリング コーポレーション オブ アメリカ (2)
【Fターム(参考)】