説明

少なくとも2つの電力供給部を有する無機厚膜ACエレクトロルミネセンス素子、その製造方法およびその使用

少なくとも2つの平担電極を有する特定の硫化亜鉛厚膜に基づくエレクトロルミネセンス素子(EL)であって、少なくとも1つの平担電極が透明となるように設計され、各電極上で、少なくとも2つの交流電圧供給部が2つの相隔たる箇所に設けられているエレクトロルミネセンス素子について説明する。
そのエレクトロルミネセンス素子の製造方法およびその使用についても説明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内または屋外用で、好ましくは建物の外側での、設備/設置物の内または外での、陸上乗物、航空機もしくは水上乗物の中または外での、電気もしくは電子機器または装置の中または外での、あるいは広告分野における装飾素子および/または発光素子としての硫化亜鉛電気発光団厚膜に基づくエレクトロルミネセンス素子、本発明に基づくエレクトロルミネセンス素子の製造方法、および本発明に基づくエレクトロルミネセンス素子の使用に関する。
【0002】
エレクトロルミネセンス(以下「EL」とも略記)を、交流電界によって、(発光物質、発光団またはエレクトロルミネセンス蛍光体、EL蛍光体もしくは発光蛍光体とも呼ばれる)発光色素からの直接励起の発光を意味するように理解する。
【背景技術】
【0003】
エレクトロルミネセンス技術は、最近益々重要になってきている。この技術は、まぶしい部分および影がなく、また、どのような所望の寸法にも実質的に形成でき、一様な発光表面を可能にする。同時に電力消費および構造的な厚さは(ミリメートルまたはそれより小さい大きさのオーダーであり)極めて小さい。典型的な用途には、液晶ディスプレイの背景照明の他に、文字および/または画像のモチーフが設けられている透明フィルムのバックライトが含まれる。従って、透明なエレクトロルミネセンスアレンジメント、例えば、ガラスまたは透明なプラスチックに基づくエレクトロルミネセンス発光基板で、例えば、情報媒体、広告パネルとして、または装飾目的で役に立ち得るものが、従来技術で知られている。
【0004】
間にエレクトロルミネセンス蛍光体が配置されている導電性ガラスで作った2つの電極の使用に基づく硫化亜鉛エレクトロルミネセンスアレンジメントは、1950年にE.C.Payneによって米国特許第2,838,715号で既に開示されており、また、G.Destriauによる公表文献である「Philosophical Magazine」における「エレクトロルミネセンスの新しい現象および結晶格子の研究に対するその可能性」が参考文献として記載されており、それに関連して、交流電界における特定のZnSのEL現象に関する最初の発見は、Destriauによって1936年に既になされている。
【0005】
これらEL素子に用いられる発光色素は、透明な有機またはセラミックのバインダーに埋め込まれる。その出発物質は一般的には硫化亜鉛であり、それは、ドープまたは共ドープおよび調製手順次第で、種々の比較的狭いバンドの発光スペクトルを生成する。EL層に硫化亜鉛を使用する理由は、一方では、用いることができる硫化亜鉛EL色素の種類が比較的多いからである。同時に、そのスペクトル重心は発光のそれぞれの色を決定づける。多数の可能な手段によって、EL素子の発光色を所望の色のインプレッションに合わせることができる。これらの手段には、発光色素のドープおよび共ドープ、2つまたはそれより多くのEL色素の混合、1つまたはそれより多くの有機および/または無機の色変換するおよび/または色フィルタリングする色素の添加、有機および/または無機の色変換するおよび/または色フィルタリングする物質によるEL色素のコーティング、発光色素が分散しているポリマーマトリックスへの着色剤の混合、ならびに色変換するおよび/または色フィルタリングする層またはフィルムのEL素子の構造への組み込みが含まれる。一般的に用いる硫化亜鉛色素のドーピングおよび共ドーピングに応じて、典型的には50ボルト〜200ボルトの適当に高い交流電圧および50Hz〜数kHzの周波数、通常400Hz〜2kHzの範囲の周波数を適用する場合、比較的広いバンドの発光スペクトルが生じる。
【0006】
生じた発光を見ることができるように、少なくとも1つの平担(平面)電極を非常に透明に設計することが好ましい。
【0007】
このために、塗布技術および製造技術に基づいて、導電性の非常に透明なコーティングを有するガラス基板またはポリマーフィルムを用いることができる。特別な態様では、前側透明電極として薄層を1枚だけ印刷もしくはナイフコーティングする方法で、またはローラーコーティング法もしくはカーテンキャスト法もしくはスプレー法により塗布する方法で、ELコンデンサ構造体を基板に配置することもできる。原理的には、双方の平担電極を非常に透明に作ることもでき、このようにして、両側で発光を示す透明なEL素子が形成される。
【0008】
本発明の文脈において透明電極は、一般的に60%より高い、好ましくは70%より高い、特に好ましくは80%より高い、最も特に好ましくは90%より高い、可視波長領域での透過率を有する材料で作られる電極を意味するように理解する。
【0009】
実際には、平担の導電性の非常に透明な電極は無機であってよく、それを真空技術によって化学的に、電気的に、または焼成/加熱技術によって製造できる。一般的にその薄層はITO(インジウムスズ酸化物)を主とする、または薄い金属層もしくは金属酸化物層を主とする。これらは、一般的には数Ω/スクエア〜数100Ω/スクエアのシート抵抗値を有する。一般的な値は、5Ω/スクエア〜60Ω/スクエアである。それらを広範囲に用いることもでき、その場合、層の厚さは通常サブマイクロメートルの範囲である。
【0010】
しかしながら、平担の導電性の非常に透明な電極を、無機バインダーマトリックスの基材の上に形成することもできる。この場合、一般的には、それらを印刷技術、例えばスクリーン印刷によって塗布し、あるいはナイフコーティング法、ローラーコーティング法、カーテンキャスト法またはスプレー法などにより広範囲にわたって塗布する。
【0011】
常套のELコンデンサ構造体において、一般的には、高導電性後側電極をmΩ/スクエアの範囲で1箇所にて交流電源に接続し、一般的には、通常それよりは低いが高導電性の他の透明電極にその端部にて、電流接続部(以後、この電流接続部を「母線(バスバー)」と呼ぶ)を設ける。この母線に第2交流電圧接点を適用する。更に、その用いた後側電極に母線を設けることもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来技術で既知のエレクトロルミネセンス素子は、その機能に関して、まだ完全には開発および改良されていない。従って、例えば、視覚的に認識可能なビート効果と共に輝度の変化を示す従来技術で既知のエレクトロルミネセンス素子は、今のところない。例えば、印象的な光学的効果を達成すべきエレクトロルミネセンス素子にとって、このことは重要である。
【0013】
従って、本発明の目的は、視覚的に認識可能なビート効果と共に輝度の変化を示すエレクトロルミネセンス素子を提供することである。
【0014】
それに関連して、ビートは、周波数に関して互いにわずかにだけ異なる2つの振動の加法的な重ね合わせによって得られるものを意味する。ビートは、重ね合わせの原理が適用されるすべての波長において起こり、従って、電磁波においても起こる。要するに、ビートは、振幅を周期的に変化させる振動であり、類似の周波数を有する振動の重ね合わせによって得られる。振幅は、いわゆるビート周波数によって変化し、それは2つの振動の周波数の差に対応する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的を、少なくとも1つの平担電極が透明となるように設計されている、少なくとも2つの平担(平面)電極を有する特定の硫化亜鉛厚膜に基づくエレクトロルミネセンス素子によって達成する。
【0016】
また、本発明に基づくエレクトロルミネセンス素子は、少なくとも1つの電極上に、少なくとも2つの交流電圧供給部が相隔たる2つの箇所に設けられていることを特徴とする。
【0017】
本発明の文脈において、少なくとも1つの電極上に、少なくとも2つの交流電圧供給部を有するエレクトロルミネセンス素子を用い、そのそれぞれの交流電圧供給部に異なる電圧および周波数を適用する場合、その少なくとも2つの交流電圧供給部の相違または変化に対応するエレクトロルミネセンス素子の輝度挙動または輝度の変化を生む、エレクトロルミネセンス発光が生じる。その上、追加でまたは単独でも異なる周波数を適用することができ、それによって、追加でまたは単独でビート効果が生じる。
【0018】
従って、本発明に基づくエレクトロルミネセンス素子の少なくとも1つの電極上に、本発明に基づいて、1つの電極あたり少なくとも2つの供給部を設ける。異なる電圧および/または異なる周波数を適用することによって、輝度の所望の変化および/または視覚的に認識可能なビート効果を生じさせることができる。
【0019】
それに関連して、本発明の文脈において「相隔てて」なる表現は、個々の交流電圧供給部が互いに直接接触しないことを意味するように理解する。その間隔の寸法は変えることができ、達成すべき所望の視覚的な効果によって決まる。
【0020】
本発明の好ましい態様をこれから以下で説明する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
一般的には、交流電圧を印加できる母線を電極表面に設ける。視覚的な効果が個々の交流電圧供給部の間、即ち、個々の母線の間の領域において起こるため、平担電極に関連するこれら母線のアレンジメントは変化することができ、光学的に達成すべき効果によって決まる。更に、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15またはn個の交流電圧供給部のような複数の交流電圧供給部を、本発明に基づくエレクトロルミネセンス素子の平担電極に設けることができる。その上、更に多くの交流電圧供給部を、本発明に基づくエレクトロルミネセンス素子の平担電極の1つに設けることもできる。加えて、本発明に基づくエレクトロルミネセンス素子は、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15またはn個の電極のような、より多くの平担電極を有することもできる。この場合、各平担電極に複数の交流電圧供給部を同様に設けることができる。
【0022】
用いる個々の母線は、その形状および寸法に関して変化することができ、例えば、自由な幅および長さのストリップとして形成され得るが、点状または丸形もあり得る。所望の視覚的な効果に応じて母線の適当な寸法および形状を選択することは、用いる材料次第では当該技術分野の当業者にとって簡単である。
【0023】
第1の態様では、2つの対向する縁部の透明電極表面に母線を設け、今度はこれら母線に交流電圧供給部用の接続部を設けるようにして、例えば、矩形のEL素子を設計する。
【0024】
本発明に基づくエレクトロルミネセンス素子の好ましい構造において、対応する母線を高導電性の印刷可能なペーストによって形成できる。これらペーストは、例えば、不透明な銀ペースト、銅ペースト、スズペースト、亜鉛ペースト、パラジウムペースト、アルミニウムペースト、カーボンペーストまたはこれらペーストの混合物であってよい。適当な印刷ペーストは、シート抵抗に関して基本的にはどのような制限も受けない。しかしながらそれらは、通常10mΩ/スクエア以下〜数100mΩ/スクエアの範囲のシート抵抗を有する。
【0025】
母線をEL領域の外側に配置することが好ましく、好ましくは母線がEL表面全体にわたって一様なEL発光を生じさせ得るように設計する。
【0026】
特に、表面積または間隔が大きく、比較的高い抵抗を有する透明電極層の場合、母線の使用は一様なEL発光に好都合である。
【0027】
一般的には、例えば母線として印刷可能なペーストによって形成される導電性接点ストリップを、スクリーン印刷、はけ塗り、インクジェット、ナイフコーティング、ローラーによって、スプレーによって、またはディスペンサー塗布もしくは当該技術分野の当業者に既知の類似の塗布法によって、導電性の少なくともある程度(または部分的に)透明な薄いコーティングに塗布することができ、次に、一般的には炉にて熱処理して、通常基板縁部に沿って側方に塗布されるストリップを、はんだ付け、挟み付け、圧接、リベット打ち、接合または差し込み式接続によって良好に導電するように接触させることができる。
【0028】
本発明に基づくこのエレクトロルミネセンス素子を動作させるために、最も簡単な構造に必要なのは、ELインバータまたはEL電源だけである。この場合、一方の極を後側電極に接続し、もう一方の極を2つの接続部に分割し、かつ少なくとも1つの接続部または双方の接続部ともを、例えばポテンショメータのような制御ユニットを経由してそれぞれの母線に接続する。
【0029】
それに関連して、それぞれの母線の間隔を変えることができる。視覚的な効果は、個々の母線間および交流電圧供給部間に位置する本発明に基づくエレクトロルミネセンス素子の領域において実質的に起こるため、従って、その間隔は基本的に達成すべき視覚的な効果によって決まる。
【0030】
制御ユニット、即ち、例えばポテンショメータを適当に調節することによって、2つの交流電圧供給部間、即ち、母線間のEL領域において、時間的および/もしくは空間的な輝度挙動ならびに/または時間的および/もしくは空間的な輝度の変化を達成できる。
【0031】
原理的には、ポテンショメータを1つだけ必要とし、このようにしてEL輝度の変化、即ち変化可能な輝度挙動を対応する側で達成できる。
【0032】
次に、2つの制御ユニット、例えば、2つのポテンショメータを用いる場合、必要に応じて、両側で輝度の変化を達成できる。
【0033】
ポテンショメータの代わりに電子制御回路を用いることも当然でき、適当なプログラムまたはセンサにより、時間的な輝度挙動に関してそれを制御することができる。
【0034】
本発明に基づくエレクトロルミネセンス素子がEL電源を1つしか有さないことは、可能である。しかしながら、本発明の更なる変化形では、2つまたはそれより多くのEL電源、いわゆるELインバータ、即ち、直流電圧、例えば低い直流電圧を、例えばより高い交流電圧に変換する電子部品を用いることができる。それに関連して、EL領域が小さい場合、いわゆるELチップインバータを用いることもできる。特に、複数の出力極を有するELチップインバータを用いることができる。
【0035】
このようにしてEL電源の数を、供給地点または供給ラインの数に更に適合させることができる。本発明の1つの変化形において、本発明の意図では、平担電極を透明となるように設計できる。
【0036】
本発明の更なる変化形では、本発明に基づくエレクトロルミネセンス素子の平担電極を双方とも、即ち、前側電極および後側電極を透明となるように設計でき、発光が両側で達成され得る。
【0037】
第2透明電極は、例えば、通常1つのEL電源から供給され得、あるいは前側透明電極のように、2つまたはそれより多くのEL電圧極を有するように設計され得る。
【0038】
本発明に基づくエレクトロルミネセンス素子の形状、および特に個々の電極の形状は、いずれの特定の制限も受けない。それに関連して、矩形に加え、ストリップ形、三角形、多角形、丸形、楕円形または事実上任意の他の幾何学的な形状を用いることができる。ワイヤまたはチューブの形態のエレクトロルミネセンス素子を構成することもできる。
【0039】
しかしながら、間隔が最小の場合、それぞれ2つの電源の電圧差は、表面にわたる抵抗損失として反映されるため、すべての場合において、シート導電性を最大電圧差に適応させる必要がある。シート導電性が非常に高く、間隔が狭いと同時に電圧差が大きい場合、相当する散逸(または消散)または電力損失が起こる。この散逸は、本発明に基づくエレクトロルミネセンス素子の加熱を引き起こし得、場合によっては、その破壊を引き起こし得る。
【0040】
例えば、60オーム/スクエアの正方形の電極表面の場合、例えば、150ボルトおよび156ボルトの電圧、即ち、6ボルトの電圧差を適用する場合、0.1アンペアの電流が流れる。この場合、0.6ワットの電力損失があり、それは通常熱の形態で放射される、または余儀なく散逸させられる。表面がそれ相応に大きい場合、そのような電流負荷は問題でない。しかしながら、表面がそれ相応に小さい場合、そのような電流負荷は、熱的な過負荷を引き起こし得る。従って、それぞれの場合において、シート抵抗を関連する条件に適応させることが好ましい。言い換えれば、所望の視覚的な効果が起こるように、寸法およびシート抵抗を適合させる必要がある。
【0041】
本発明の更なる変化形では、2つのEL電圧を前側電極に、かつ2つのEL電圧を後側電極に繋ぐことができ、その電圧差を所定のプログラムに基づき調節することができ、あるいはセンサによって制御することができ、その場合、1つの態様では、各々の場合において、その2つの電圧を母線によって上側および下側にてならびに右側および左側で切り替える、即ち、互いに直角に切り替えることが好ましい(本発明の図1にこの構造を示す)。しかしながら更に、前側電極上のその2つのEL電圧および後側電極上のその2つのEL電圧を、例えば、本発明の図6に図示するように、それぞれの場合において、母線を用いて互いに上方に配置することも可能である。
【0042】
しかしながら、これら構造とは別のいずれかの他の適当なアレンジメントも可能である。
【0043】
それぞれの場合において、2つのEL電圧の代わりに、分岐された第2電子制御電圧を有する1つの電圧供給部を用いることももちろんできる。
【0044】
本発明の更なる態様では、少なくとも2つのEL電源を用いる場合、異なる電圧だけでなく、異なる周波数も使用することができる。異なる周波数を用いることにより、それによってビート効果を達成することができ、それに関連して、比較的低い周波数の違いは視覚的に認識できる効果に好適である。用いる周波数差は変化でき、それは所望の視覚的な効果によって決まり、それに関連して、50Hz未満の周波数が好ましく、そうでなければ視覚的な効果はもはや認識されることができないからである。
【0045】
複数のEL電圧供給部を複数の前側電極および/または複数の後側電極に用い、その電圧および周波数を制御できる場合、非常に多くの種類の視覚的な効果を達成することができる。本発明に基づいて、2つより多くの平担電極、従って例えば、3つ、4つまたは5つの平担電極をエレクトロルミネセンス素子に用いる場合、この複数の視覚的な効果をますます更に増やすことができる。
【0046】
更に、音楽ソースの大きさおよび周波数応答によって、電圧レベルおよび電圧差ならびに周波数および周波数差を制御およびシミュレーションすることができ、音楽ソースの視覚的な再現が可能である。
【0047】
更に、多数の測定可能でセンサ的に検知可能な量、例えばノイズ、煙、振動、速度、大気湿度、温度および類似の量のようなものに対する視覚的な表示器として、本発明に基づくエレクトロルミネセンス素子を用いることができる。
【0048】
本発明の更なる変化形において、本発明に基づき提供されるエレクトロルミネセンス領域は、一様に発光するように実施されるだけでなく、点状、星形、三角形、ストリップ形または実質的にあらゆる他の図柄的に選択可能な形態および形状を有することもできる。それに関連して、個々の素子は幾何学的に正確であり得、またはそれらを正確に配置でき、または不規則に配置できる。これら種々の構造的な可能性は、交流電圧供給部の多数の種々の配置の結果である。
【0049】
更に、本発明の更なる変化形では、適当な熱成形可能なフィルムおよび層を選択することによって、本発明に基づくエレクトロルミネセンス素子は三次元的形状であり得、場合によっては後側にスプレーすることができる。
【0050】
図柄的に形成したプラスチックフィルムの三次元的形成を、例えば、等方高圧成形法(HPFP)による従来技術に基づき、数秒という非常に短いサイクル時間で実施でき、それは、EP0371425にて詳細に説明されている(熱成形プラスチック成形部品の製造方法)。
【0051】
その態様では、ガラス要素を通じて検査ポートが窓要素という意味で残るように、EL領域をガラス要素内に構成することが好ましい。それに関連して、中央検査領域をEL素子が全く存在しない状態に保つことができ、あるいは例えば、中央に配置した検査領域において、ELスクリーン(グリッド)を大きな間隔で配置する。それに関して、縁部の方向へ次第に小さくなるように、EL素子間隔を選択することができる。
【0052】
本発明に基づくエレクトロルミネセンス素子は、ナノ構造を有する微粒子を更に含有し得る。
【0053】
本発明の範囲において、「ナノ構造を有する微粒子」という表現を、単層カーボンナノチューブ(SWCNTs)、多層カーボンナノチューブ(MWCNTs)、ナノホーン、ナノディスク、ナノコーン(即ち、円錐形のカバーを有する構造体)、金属ナノワイヤおよび上記微粒子の組み合わせからなる群から選択されるナノスケールの材料構造体を意味するように理解する。炭素に基づくナノ構造を有する対応する微粒子を、例えば、(単層および多層の)カーボンナノチューブ、(ヘリングボーン、プレートレット型、スクリュー型の)カーボンナノファイバなどから構成できる。
【0054】
「Kohlhenstoffnanorohrchen」は、国際的に(単層および多層の)カーボンナノチューブとも呼ばれ、「Kohlhenstoffnanofasern」は、(ヘリングボーン、プレートレット型、スクリュー型の)カーボンナノファイバとも呼ばれる。
【0055】
金属ナノワイヤに関して、WO2007/022226A2を参照し、そこで説明されるナノワイヤに関する開示は、本発明で引用することによって組み込まれる。WO2007/022226A2において説明されている高導電性の非常に透明な銀ナノワイヤは、本発明に特に適する。
【0056】
従って、本発明によれば、1つの態様において、本発明に基づくエレクトロルミネセンス素子にナノ構造を有する微粒子を用いることは可能であり、特に、EL素子の特定の層において、更には母線を形成する印刷ペーストにおいて、ナノ構造を有する微粒子を意図的に使用することは可能である。
【0057】
電極に適する導電性材料は、当該技術分野の当業者に元々知られている。交流電圧励起による厚膜EL素子を製造するために、原理的には、複数の種類の電極を用いることができる。一方で、これらには、プラスチックフィルムにスパッタした、または真空で蒸着させたインジウムスズ酸化物電極(インジウムスズ酸化物、ITO)が含まれる。それらは非常に薄く(数100Å)、比較的低いシート抵抗(約60〜600Ω)と共に高い透明性という利点を有する。
【0058】
更に、ITOもしくはATO(インジウムスズ酸化物、アンチモンスズ酸化物)を含有する印刷ペーストまたは本質的に導電性を有している透明なポリマーペーストを用いることができ、それらからスクリーン印刷によって平担電極を形成する。約5μm〜20μmの厚さのそのような電極は、(50kΩまでの)高いシート抵抗を有して、わずかしか透明性を有さない。それらを、構造表面上も含む、あらゆる所望の構造形態で大抵塗布することができる。更に、それらを比較的容易に積層させることができる。更に、ITOでないスクリーン印刷層(「ITOでない」なる用語には、インジウム−スズ酸化物(ITO)を主としないすべてのスクリーン印刷層が含まれる)を含むことができ、それは言い換えると、通常ナノスケールの導電性色素を含有する本質的に導電性を有しているポリマー層で、例えば、DuPontが提供する7162Eまたは7164なる商品名のATOスクリーン印刷ペースト、本質的に導電性を有しているポリマーシステムで、例えば、Agfaが提供するOrgacon(登録商標)システム、H.C.Starck GmbHが提供するBaytron(登録商標)(ポリ−(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−システム)、Ormeconシステムと呼ばれる有機金属(PEDT−導電性ポリマーのポリエチレン−ジオキシチオフェン)、Panipol OYが提供する導電性コーティングシステムまたは印刷インクシステム、および場合によっては、例えば、PU(ポリウレタン)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PVA(ポリビニルアルコール)を主とする高い可撓性を有するバインダーによって修飾したポリアニリンである。エレクトロルミネセンス素子の少なくともある程度透明な素子の材料として、H.C.Starck GmbHが提供するBaytron(登録商標)(ポリ−(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−システム)を用いることが好ましい。導電性ポリマーフィルムの例は、金属酸化物充填剤を有しているまたは有していない、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール(導電性ポリマーのハンドブック、1986)である。
【0059】
抵抗が大きいため、H.C.Starck GmbHが提供するBaytron(登録商標)(ポリ−(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−システム)が特に好ましい。
【0060】
更に、対応する電極材料として、スズ酸化物(NESA)ペーストも用いることができる。
【0061】
更に、上記の導電性材料を担体材料に塗布できる。適当な担体材料は、例えば、透明なガラスおよび熱可塑性フィルムである。
【0062】
これらの電極材料を、例えば、スクリーン印刷、ナイフコーティング、スパッタリング、スプレーまたははけ塗りによって、対応する担体材料(基板)に塗布することができ、次に、例えば、80℃〜120℃の低温で乾燥させることが好ましい。
【0063】
好ましい態様では、真空でまたは熱分解的に導電性コーティングの塗布を実施する。
【0064】
導電性コーティングは、金属または金属酸化物の真空でまたは熱分解的に製造した薄くて非常に透明な層であることが特に好ましく、それは0.1Ω/スクエア〜1,000Ω/スクエアのシート抵抗を有することが好ましい。
【0065】
更に、電極として導電性ガラスを用いることもできる。
【0066】
導電性および高い透明性を有するガラス、特にフロートガラスの特に好ましい種類は、高い表面硬度を有する熱分解的に製造した層であり、その電気表面抵抗は、一般的に数ミリオーム〜3000Ω/スクエアの非常に広い範囲で調節され得る。
【0067】
熱分解的にコーティングしたそのようなガラスは、非常に上手く成形されることができ、良好な引っ掻き抵抗性を有し、特に、引っ掻き傷は導電性表面層の電気的な断絶を引き起こしはしないが、シート抵抗の一般的にわずかな増加を容易に引き起こす。
【0068】
更に、熱分解的に製造した導電性表面層は拡散し、温度処理によってその表面に非常に強く固定され、その後の材料の塗布において、ガラス基板への非常に強い接着を形成し、それは本発明にとって同様に非常に利点がある。加えて、そのようなコーティングは良好な均一性を示し、従って、大きな表面にわたりほんの僅かなばらつきのシート抵抗値かしか示さない。この特性は、本発明にとって同様に利点がある。
【0069】
導電性および高い透明性を有する薄層を、実質的により効率的に、かつよりコスト効率良くガラス基板上に製造することができ、PET、PMMAまたはPCのようなポリマー基板よりも、本発明に基づくガラス基板を用いることが好ましい。一般的にある程度透明な電極のように、後側電極は平担電極であるが、透明または少なくともある程度透明である必要はない。無機または有機系導電性材料、例えば、銀のような金属から、これを一般的に形成する。他の適当な電極には、特に、ポリマーの導電性コーティングが含まれる。この場合、少なくともある程度透明な電極に関連して、先に既に記載したコーティングを用いることができる。更に、少なくともある程度透明でない、当該技術分野における当業者に既知のそれらのポリマー導電性コーティングも用いることができる。
【0070】
従って、後側電極の適当な材料を以下からなる群から選択することが好ましく、それは、銀のような金属、炭素、ITOスクリーン印刷層、ATOスクリーン印刷層、ITOでないスクリーン印刷層、言い換えると、通常ナノスケールの導電性色素を含有して本質的に導電性を有しているポリマーシステムで、例えば、DuPontが提供する7162Eもしくは7164なる商品名のATOスクリーン印刷ペースト、本質的に導電性を有しているポリマーシステムで例えば、Agfaが提供するOrgacon(登録商標)システム、H.C.Starck GmbHが提供するBaytron(登録商標)なるポリ−(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−システム、Ormeconシステムと呼ばれる有機金属(PEDT−導電性ポリマーのポリエチレン−ジオキシチオフェン)、Panipol OYが提供する導電性コーティングおよび印刷ペーストシステム、ならびに場合によって、高い可撓性を有するバインダーで例えば、PU(ポリウレタン)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PVA(ポリビニルアルコール)に基づくものによって修飾されたポリアニリンであって、そこでは、導電性を向上させるために、前記の材料に銀のような金属または炭素を添加することができる、および/またはこれら材料の層によって増大させることができる。
【0071】
本発明に基づくEL素子は、少なくとも1つの絶縁層を含むことができ、それを電極とEL層との間に配置する。
【0072】
適当な誘電体層は、当該技術分野の当業者に既知である。適当な層は、例えばチタン酸バリウムのような強い誘電作用を有する粉末をしばしば含有し、それをフルオレン含有プラスチックまたはシアノ系樹脂に分散させることが好ましい。特に適当な微粒子の例は、好ましくは1.0μm〜2.0μmの範囲のチタン酸バリウム微粒子である。充填度合が高い場合、これらは100以下の比誘電率を生じ得る。
【0073】
誘電体層は、1μm〜50μm、好ましくは2μm〜40μm、特に好ましくは5μm〜25μm、とりわけ8μm〜15μmの厚さを一般的に有する。
【0074】
更に、1つの態様において本発明に基づくEL素子は、更なる誘電体層を有することもでき、層は互いに隣り合って配置され、一体となって絶縁効果を向上させ、あるいはそれらはフローティング電極層によって分断される。第2誘電体層の使用は、第1誘電体層の品質およびピンホールの少なさによって決められてよい。
【0075】
「フローティング電極層」なる表現を、潜在的な束縛のない電極層を意味するように理解する。この場合、対向して荷電し、好ましくはそれら電極は完全には重ならないようにして2つの電極を1つの交流電圧に接続する。従って、1つの交流電圧に接続している2つの電極から電気的に離すことによって、「フローティング電極」を達成する。それら電極を1つの平担または異なる平担に配置することができ、かつそれら電極は、上、間または下に配置される第3またはそれより多くの電極と相互作用できる。発光効果が生じ得るように、それら電極の間に1つのエレクトロルミネセンス層または複数のエレクトロルミネセンス層を配置する必要がある。
【0076】
本発明に基づくEL素子は、1つのEL層または複数のEL層を含む。少なくとも1つのエレクトロルミネセンス(EL)層を、第1透明電極と誘電体層との間に一般的に配置する。それに関連して、EL層を誘電体層のすぐ隣に配置でき、あるいは場合によっては、1つまたはそれより更に多くの層を誘電体層とEL層との間に配置することができる。EL層を誘電体層のすぐ隣に配置することが好ましい。
【0077】
少なくとも1つのエレクトロルミネセンスEL層を、ある程度透明な第1電極の内側表面全体または少なくともある程度透明な第1電極の表面の1つもしくはそれより多くの部分に配置できる。発光表面を表面の複数の部分に配置する場合、その表面の部分は0.5mm〜10.0mm、好ましくは1mm〜5mmの隙間を一般的に有する。
【0078】
EL層は、中で均一に分散しているEL色素を含有するバインダーマトリックスから一般的に構成される。電極層(または場合によっては、そこに塗布される誘電体層)への良好な接着を確実なものとするように、一般的にバインダーマトリックスを選択する。それに関連して、好ましい態様では、PVB系システムまたはPU系システムを用いる。場合によっては、バインダーマトリックスは、EL色素以外に更なる添加剤を含んでもよく、それは例えば、色転換有機および/もしくは無機システム、昼間および夜間の発光効果用の着色添加剤、ならびに/またはアルミニウム薄片もしくはガラス薄片もしくはマイカプレートレットのような反射および/もしくは光吸収効果色素である。一般的に、EL層の全体組成におけるEL色素の割合(充填度)は、20〜75重量%、好ましくは50〜70重量%である。
【0079】
EL層に用いるEL色素は、1μm〜50μm、好ましくは5μm〜25μmの厚さを一般的に有する。
【0080】
少なくとも1つのEL層は、交流電流厚膜粉末エレクトロルミネセンス(AC−P−EL)発光構造体であることが好ましい。
【0081】
1947年のDestriau以来、厚膜AC−ELシステムは周知であり、それは、一般的にスクリーン印刷によってITO−PETフィルムへ塗布される。硫化亜鉛電気発光団は稼働中、特に高温かつ水蒸気雰囲気において、分解の度合いが非常に高いことに悩まされてきたため、今日では、マイクロカプセル化EL蛍光体(色素)を長寿命厚膜AC−ELランプ構造体に用いている。しかしながら、以下で説明するように、本発明に基づくEL素子にマイクロカプセル化色素を用いないことも可能である。
【0082】
本発明の文脈において、EL素子は、通常100ボルトおよび400Hzの交流電圧によって動作し、その結果、数cd/m〜数100cd/mまたはそれより大きい、いわゆる冷光を発する、厚膜ELシステムを意味するように理解する。一般的には、そのような無機厚膜交流電圧EL素子に、ELスクリーン印刷ペーストを用いる。
【0083】
そのようなELスクリーン印刷ペーストは、一般的に無機物質を主とする。適当な物質は、例えば、元素の周期表の第II族および第IV族の化合物である高純度ZnS、CdS、ZnCd1−XSであり、それに関連して、ZnSを用いることが特に好ましい。上記の物質にドープまたは付活することができ、場合によっては共ドープすることもできる。例えば、銅および/またはマンガンをドープに用いる。例えば、塩素、臭素、ヨウ素およびアルミニウムによって共付活を行なう。仮にアルカリおよび希土類物質が先の物質中に存在していたとしても、これらの濃度は一般的に非常に低い。ZnSを用いることが最も特に好ましく、それに銅および/またはマンガンをドープおよび付活することが好ましく、かつ塩素、臭素、ヨウ素および/またはアルミニウムを共付活することが好ましい。
【0084】
標準的なEL発光色は、オレンジ、緑、緑がかった青、青がかった緑および白であり、発光色の白または赤は、適当なEL蛍光体(色素)の混合によってまたは色転換によって得ることができる。一般的に色転換は、転換層の形態で、ならびに/またはスクリーン印刷インクのポリマーバインダー中および/もしくはEL色素が組み込まれているポリマーマトリックス中に、対応する染料および色素を混ぜることによって生じる。
【0085】
本発明の更なる態様では、EL層の製造に用いるスクリーン印刷マトリックスに、グレージング、カラーフィルタリングを設けるまたは色転換する染料および/もしくは色素を供給する。このようにして、発光色の白または昼夜光効果(a day−night light)が生じ得る。
【0086】
更なる態様では、420nm〜480nmの青波長領域の発光を有し、かつ色転換マイクロカプセル化をもたらした色素をEL層に用いる。このようにして、白色は発光し得る。
【0087】
1つの態様では、420nm〜480nmの青波長域の発光を有するAC−P−EL色素をEL層に用いる。更に、AC−P−ELスクリーン印刷マトリックスは、(Ba、Sr、Ca)SiO;Eu2+のようなユウロピウム(II)を付活したアルカリ土類オルトシリケート系蛍光体を主とする、あるいはYAl12:Ce3+もしくはTbAl12:Ce3+もしくはSrGaS:Eu2+もしくはSrS:Eu2+もしくは(Y、Lu、Gd、Tb)(Al、Sc、Ga)12:Ce3+もしくは(Zu、Ca、Sr)(S、Se):Eu2+のようなYAG系蛍光体を主とする、波長転換無機微粒子を含有することが好ましい。このようにして、白色発光を達成できる。
【0088】
従来技術と同じく、上記の「EL蛍光体」色素をマイクロカプセル化することができる。無機マイクロカプセル化技術のおかげで、良好な半減期を達成できる。E.I. du Pont de Nemours and Companiesが提供するEL用のELスクリーン印刷システムであるLuxprint(登録商標)を、それに関連する例として名前を挙げることができる。有機マイクロカプセル化技術および種々の熱可塑性フィルムに基づくフィルム−ラップラミネート法も原理的には適当であるが、高価であることが分かっており、耐用年数をそれほど延長させない。
【0089】
適当な硫化亜鉛マイクロカプセル化EL蛍光体(色素)は、TowandaにあるOsram Sylvania,Incからの商品名GlacierGLO(商品名)Standard, High Brite and Long Life、Durel Division of the Rogers Corporationからの商品名1PHS001(登録商標)High−Efficiency Green Encapsulated EL Phosphor、1PHS002(登録商標)High−Efficiency Blue−Green Encapsulated EL Phosphor、1PHS003(登録商標)Long−Life Blue Encapsulated EL Phosphor、1PHS004(登録商標)Long−Life Orange Encapsulated EL Phosphorを得ることができる。
【0090】
EL層中の適当なマイクロカプセル化色素の平均粒子径は、一般的に15μm〜60μmであり、好ましくは20μm〜35μmである。
【0091】
マイクロカプセル化していない微粒子EL色素、好ましくは長い耐用年数を有するものを、本発明に基づくEL素子のEL層に用いることもできる。適当なマイクロカプセル化していない微粒子硫化亜鉛EL蛍光体は、例えば、米国特許第6,248,261号およびWO 01/34723に開示されている。これらは、立方晶系格子構造を有することが好ましい。マイクロカプセル化していない色素は、好ましくは1μm〜30μmの平均粒子径を有し、より好ましくは2μm〜15μm、最も特に好ましくは5μm〜10μmである。
【0092】
特に、マイクロカプセル化していないEL色素を10μm未満のより小さい色素サイズで用いることができる。それによって、ガラス要素の透明性を増加させることができる。
【0093】
従って、カプセル化していない色素を本発明に基づく適当なスクリーン印刷インクと混ぜることができ、色素、好ましくは硫化亜鉛色素の特別な吸湿特性に注意することが好ましい。それに関連して、一方でいわゆるITO層(インジウムスズ酸化物)への良好な接着を有するバインダーまたは本質的に導電性を有しているポリマー透明層を有するバインダーを一般的には用い、そのバインダーは更に、良好な絶縁効果を有し、誘電体を強固にし、その結果、大きな電界強度における破壊強度を向上させ、加えて、硬化状態で良好な水蒸気遮蔽効果を有し、その上、蛍光体色素を保護して耐久年数を延長させる。
【0094】
EL層中の適当な色素の半減期、言い換えると、本発明に基づくEL素子の初期輝度が半分にまで下がる間の時間は、一般的に100ボルトまたは80ボルトおよび400Hzにて、400時間〜最大で5000時間であるが、通常は1000時間以下〜3500時間以下である。
【0095】
輝度値(EL発光)は、一般的には1cd/m〜200cd/m、好ましくは3cd/m〜100cd/m、発光面が広い場合には1cd/m〜20cd/mの範囲が特に好ましい。
【0096】
しかしながら、より長いまたはより短い半減期、およびより高いまたはより低い輝度値を有する色素を本発明に基づくEL素子のEL層に用いることもできる。
【0097】
本発明の更なる態様において、電気的に作動させていない発光構造体の場合において、EL素子を少なくともある程度透明にもしくは確実に透明になるように構成するために、EL層に存在する色素は、非常に小さな平均粒子径を有しているもしくはEL層にて非常に低い充填度を有している、あるいは個々のEL層を幾何学的に非常に小さく構成する、あるいは個々のEL層の間隔を非常に広く選択する。適当な色素粒子径、充填度、発光素子の大きさおよび発光素子の間隔は、先に記載されている。
【0098】
本発明に基づくEL素子は、例えば、ガラス、プラスチックフィルムなどのような基板を各電極の片側または両側に有することができる。
【0099】
本発明に基づくEL素子において、透明電極と接している少なくとも基板は、内側が図柄的に半透明にグレージングされ、被覆側が不透明であることが好ましい。
【0100】
更に、透明電極と接している基板は、ガラス転移温度Tg以下で冷延伸成形できるフィルムであることが好ましい。これは、得られたEL素子を三次元的に成形する可能性をもたらす。
【0101】
更に、後側電極と接する基板は、同様にTg以下で冷延伸成形できるフィルムであることが好ましい。これは、得られたEL素子を三次元的に成形する可能性をもたらす。
【0102】
本発明に基づくエレクトロルミネセンス素子の製造を、エレクトロルミネセンス素子を製造するための従来技術で既知の方法に基づいて実質的に実施する。
【0103】
通常、前記の発光色素ペースト(スクリーン印刷ペースト)を透明なプラスチックフィルムまたはガラスに塗布し、今度はそれが非常に透明な導電性コーティングを有し、それによって見える側の電極を形成する。次に、印刷技術および/または積層技術によって誘電体および後側電極を製造する。
【0104】
しかしながら、逆の製造プロセスも可能であり、最初に後側電極を製造し、あるいは後側電極を金属蒸着フィルムの形態で用い、この電極に誘電体を塗布する。次に、EL層およびこれに続く透明導電性上側電極を塗布する。場合によっては次に、得られたシステムに透明なカバーフィルムを積層することができ、それによって、水蒸気から保護し、機械的なダメージからも保護する。通常、スクリーン印刷またはディスペンサー塗布またはインクジェット塗布による印刷技術によって、または同様にナイフコーティング法またはロールコーティング法またはカーテンキャスト法または転写法によって、好ましくはスクリーン印刷によって、EL層を塗布する。EL層を、電極の表面に、場合によっては電極に塗布された絶縁層に塗布することが好ましい。
【0105】
一般的にはこの次に、少なくとも2つの交流電圧供給部を、少なくとも1つの平担電極上で相隔てて配置される2つの箇所に取り付ける。
【0106】
本発明の第1の特に好ましい態様において、エレクトロルミネセンス素子は、以下の層からなる(標準的な構造体):
a)少なくともある程度透明な基板である部材A、
b)その基板に塗布され以下の部材を有する、少なくとも1つのエレクトロルミネセンスアレンジメントである部材B、
ba)前側電極として、少なくともある程度透明な電極である部材BA、
bb)場合により、絶縁層である部材BB、
bc)電界によって励起可能な少なくとも1つの発光色素(電気発光団)を含有する層で、エレクトロルミネセンス層または色素層と呼ばれる部材BC、
bd)場合により、絶縁層である部材BD、
be)少なくともある程度透明であり得る後側電極である部材BE、
bf)部材BAおよび部材BE双方の電気接点用の1つの導電性トラックまたは複数の導電性トラックである部材BFであって、その1つの導電性トラックまたは複数の導電性トラックは電極BAおよび電極BEの前、後ろまたは間で塗布され得、その1つの導電性トラックまたは複数の導電性トラックは1つの加工工程で塗布されることが好ましく、その1つの導電性トラックまたは複数の導電性トラックは銀母線の形態で塗布され得、それは銀ペーストから製造されることが好ましく、場合によっては、銀母線の塗布前にグラファイト層が塗布され得る、部材BF
c)保護層である部材CAまたはフィルムである部材CB。
【0107】
絶縁層BBおよび絶縁層BDは、透明でなくて、不透明であってまたは透明であってよく、それに関連して、2つの絶縁層が存在する場合、少なくとも1つの層が少なくともある程度透明である必要がある。
【0108】
更に、1つまたはそれより多くの少なくともある程度透明な図柄的に構成される層を、基板Aの外側および/または基板Aとエレクトロルミネセンスアレンジメントとの間に配置できる。
【0109】
前記の層(部材A、BおよびC)以外に、本発明に基づくエレクトロルミネセンス素子(標準的な構造体)は、1つまたはそれより多くの反射層を有することができる。その1枚の反射層または複数の反射層を、特に以下のように配置できる:
−部材Aの外側、
−部材Aと部材BAとの間、
−部材BAと部材BBとの間、または部材BBがない場合は部材BCとの間、
−部材BDと部材BEとの間、
−部材BEと部材BFとの間、
−部材BFと部材CAまたは部材CBとの間、
−部材CAまたは部材CBの外側。
【0110】
存在する反射層を、部材BCと部材BDとの間、あるいは部材BDが存在しない場合、部材BEとの間に配置することが好ましい。
【0111】
反射層は、ガラス球体、特に中空ガラス球体を含有することが好ましい。ガラス球体の直径は、幅の範囲内で変化し得る。それらは、例えば、一般的に5μm〜3mmである寸法d50を有することができ、好ましくは10μm〜200μm、特に好ましくは20μm〜100μmである。その中空ガラス球体をバインダーに組み込むことが好ましい。
【0112】
本発明の別の態様において、エレクトロルミネセンス素子は以下の層からなる(逆の層構造体):
a)少なくともある程度透明な基板である部材A、
b)その基板に塗布され以下の部材を有する、少なくとも1つのエレクトロルミネセンスアレンジメントである部材B、
be)少なくともある程度透明であり得る後側電極である部材BE、
bb)場合により、絶縁層である部材BB、
bc)電界によって励起できる少なくとも1つの発光色素(電気発光団)を含有する層で、エレクトロルミネセンス層または色素層と呼ばれる部材BC、
bd)場合により、絶縁層である部材BD、
ba)前側電極として、少なくともある程度透明な電極である部材BA、
bf)部材BAおよび部材BEの電気接点用の1つの導電性トラックまたは複数の導電性トラックである部材BFであって、その1つの導電性トラックまたは複数の導電性トラックは電極BAおよび電極BEの前、後ろまたは間で塗布され得、その1つの導電性トラックまたは複数の導電性トラックは1つの加工工程で塗布されることが好ましく、その1つの導電性トラックまたは複数の導電性トラックは銀母線の形態で塗布され得、それは銀ペーストから製造されることが好ましく、場合によっては、銀母線の塗布前にグラファイト層が塗布され得る、部材BF、
c)少なくともある程度透明な保護層である部材CAおよび/またはフィルムである部材CB。
【0113】
更に、1つまたはそれより多くの少なくともある程度透明な図柄的に構成される層を、透明な保護層C上に、および/または透明な保護層CとELアレンジメントとの間に配置できる。特に、その図柄的に構成される層は、保護層の機能を引き継ぐことができる。
【0114】
逆の層構造体の特定の態様では、上記の構造体B、構造体Cを、基板である部材Aの前側および後側に塗布でき、あるいは同様に基板の両側に塗布できる(両側構造体)。層BA〜層BFは両側で同一であってよいが、1つまたはそれより多くの層において異なっていてよく、例えば、エレクトロルミネセンス素子は両側で均一に発し、あるいはエレクトロルミネセンス素子は、各側で異なる色および/または異なる輝度および/または異なる図柄構造を有する。
【0115】
前記の層(部材A、BおよびC)に加えて、逆の層構造体を有する本発明に基づくエレクトロルミネセンス素子は、1つまたはそれより多くの反射層を有することができる。
【0116】
特に、1つの反射層または複数の反射層を以下のように配置できる:
−部材Aの外側、
−部材Aと部材BEとの間、
−部材BEと部材BBとの間、
−部材BBと部材BCとの間、
−部材BCと部材BDとの間、
−部材BDと部材BAとの間、
−部材BAと部材BFとの間、
−部材BFと部材CAまたは部材CBとの間、
−部材CAまたは部材CBの上。
【0117】
存在する反射層を、部材BCと部材BBとの間、あるいは部材BBが存在しない場合、部材BEとの間に配置することが好ましい。
【0118】
特に明記しない限り、必要に応じて、標準的な構造体について記載した特定の態様および特徴を逆の層構造体および両側構造体に当てはめることは、当該技術分野の当業者にとって明らかなことである。
【0119】
特に、標準的な構造体および逆の構造体の双方において、2つの電極の間、即ち、部材BAと部材BEとの間の回路がショートすることを防ぐ層の厚さを、部材BCが有する場合、1つまたはそれより多くの絶縁層BBおよび/または絶縁層BDを省略できる。
【0120】
EL素子の個々の部材の特徴を以下に説明する。
【0121】
電極
本発明に基づくEL素子は、少なくともある程度透明な第1前側電極BAおよび第2電極である後側電極BEを有する。
【0122】
本発明の文脈において、「少なくともある程度透明な」なる表現を、一般的には60%より高い、好ましくは70%より高い、特に好ましくは80%より高い、とりわけ90%より高い透過率を有する材料から構成される電極を意味するように理解する。
【0123】
後側電極BEは、必ずしも透明である必要はない。
【0124】
電極に適する導電性材料は、当該技術分野の当業者に既知である。原理的には、交流電圧励起を示す厚膜EL素子を製造するために、複数の種類の電極が利用可能である。一方でこれらには、スパッタまたは蒸着によってプラスチックフィルムに塗布したインジウムスズ酸化物電極(インジウムスズ酸化物、ITO)が含まれる。それらは、非常に薄く(数100Å)、かつ比較的低いシート抵抗(約60Ω〜600Ω)と共に高い透明性という利点を有する。
【0125】
更に、ITOまたはATO(インジウム−スズ酸化物、アンチモン−スズ酸化物)を含有する印刷ペーストまたは本質的に導電性を有している透明ポリマーペーストを用いることができ、それらからスクリーン印刷によって平担電極を製造できる。あらゆる所望の構造形状に、実際には構造表面上にも、それらをほぼ塗布できる。加えて、それらは比較的良好な積層性を有する。更に、ITOでないスクリーン印刷層(「ITOでない」なる用語には、インジウム−スズ酸化物(ITO)を主としないすべてのスクリーン印刷層が含まれる)、言い換えると、通常ナノスケールの導電性色素を含有する本質的に導電性を有しているポリマー層を用いることができる。例えば、DuPontが提供する7162Eまたは7164なる商品名を有するATOスクリーン印刷ペースト、本質的に導電性を有しているポリマーシステムで例えば、Agfaが提供するOrgacon(登録商標)システム、H.C. Starck GmbHが提供するClevios(登録商標)ポリ−(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−システム、Ormeconシステムと呼ばれる有機金属(PEDT−導電性ポリマーのポリエチレン−ジオキシチオフェン)、Panipol OYが提供する導電性コーティングまたは印刷ペーストシステム、および場合によっては、例えば、PU(ポリウレタン)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PVA(ポリビニルアルコール)を主とする高い可撓性を有するバインダーによって修飾したポリアニリンを用いることができる。エレクトロルミネセンス素子の少なくともある程度透明な電極の材料として、H.C. Starck GmbHが提供するポリ−(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−システムであるClevios(登録商標)を用いることが好ましい。導電性ポリマーフィルムの例は、金属酸化物を充填したまたはしていないポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロレット(導電性ポリマーのハンドブック、1986)である。
【0126】
本発明によれば、少なくともある程度透明な電極BAを製造するための印刷ペーストの配合物に、印刷ペーストの総重量に対してそれぞれ10重量%〜90重量%、好ましくは20重量%〜80重量%、特に好ましくは30重量%〜65重量%のClevios P、Clevios PH、Clevios P AG、Clevios P HCV4、Clevios P HS、Clevios PH 500、Clevios PH 510またはそれらいずれかの混合物を用いることが好ましい。ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、エチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルアミノエタノール、水または2つ、3つもしくはそれより多くの上記化合物の混合物を、溶媒として用いることができる。印刷ペーストにおける溶媒の量は、幅広い範囲で変化し得る。例えば、ペーストの本発明に基づく1つの配合物は、55重量%〜60重量%の溶媒を含有し得るのに対し、本発明に基づく別の配合物においては、約35重量%〜45重量%の2つまたはそれより多くの溶媒の溶媒混合物を用いることができる。更に、Silquest A187、Neo Rez R986、Dynol 604および/または2つもしくはそれより多くのこれら物質の混合物を、界面活性剤添加物および接着活性剤として含有できる。これら物質の量は、印刷ペーストの総重量に対して0.1重量%〜5.0重量%、好ましくは0.3重量%〜2.5重量%である。
【0127】
配合物は、バインダーとして例えば、Bayderm Finish 85 UD、Bayhydrol PR340/1、Bayhydrol PR135またはそれらいずれかの混合物を、好ましくは約0.5重量%〜10重量%、好ましくは3重量%〜5重量%の量で含有できる。本発明に基づき用いるポリウレタン分散体は、層の乾燥後に導電層用のバインダーを形成するもので、それは水性ポリウレタン分散体が好ましい。
【0128】
本発明に基づいて、ある程度透明な電極BAを製造するための印刷ペーストの特に好ましい配合物には、以下が含まれる:
【0129】
[表1]

【0130】
[表2]

【0131】
ある程度透明な電極BA用の上記の配合物以外に、例としてここに記載する以下の使える状態にある市販の印刷ペーストを、完成した配合物として本発明に基づいて用いることもできる:Agfaが提供するOrgacon EL−P1000番台、EL−P3000番台、EL−P5000番台またはEL−P6000番台、好ましくはEL−P3000番台およびEL−P6000番台(特に形成可能用途)。
【0132】
これら電極材料を、例えば、スクリーン印刷、ナイフコーティング、スパッタ、スプレーおよび/またははけ塗りによって、対応する担体材料(基板)に塗布することができ、次にそれを、例えば、80℃〜120℃の低温で乾燥させることが好ましい。
【0133】
好ましい別の態様では、導電性コーティングの塗布を真空にてまたは熱分解的に実施する。
【0134】
別の態様において、導電性コーティングは、金属または金属酸化物の真空にてまたは熱分解的に製造した薄く非常に透明な層であることが特に好ましく、それは、好ましくは5mΩ/スクエア〜3,000Ω/スクエアのシート抵抗を有し、特に好ましくは0.1Ω/スクエア〜1,000Ω/スクエアのシート抵抗を有し、最も特に好ましくは5Ω/スクエア〜30Ω/スクエアのシート抵抗を有し、更に好ましい態様において、それは、少なくとも60%より大きい(60%より大きく100%まで)、特に76%より大きい(76%より大きく100%まで)日射透過率を有する。
【0135】
更に、電極として導電性ガラスを用いることもできる。
【0136】
導電性および高い透過性を有する特に好ましい種類のガラス、特にフロートガラスは、高い表面硬度を有する熱分解的に製造した層であり、その電気表面抵抗を、一般的に数ミリオーム〜3,000Ω/スクエアの非常に幅広い範囲で調節できる。
【0137】
熱分解的にコーティングしたそのようなガラスは、容易に成形/形成され得、また優れた引っ掻き抵抗性を有し、特に引っ掻き傷は、導電性表面層の電気的な遮断を引き起こしはしないが、シート抵抗の一般的に僅かな増加を容易に引き起こす。
【0138】
更に、後の材料塗布においてガラス基板との非常に強い接着が生じるように、熱分解的に製造される導電性表面層を、熱処理によってかなりの程度まで拡散し、表面に固定し、このことは本発明に同様に非常に利点がある。更に、そのようなコーティングは良好な均一性を有し、その結果、広い表面にわたり表面抵抗はわずかしか変化しない。この特性は、本発明にとって同様に利点がある。
【0139】
導電性および高い透明性を有する薄層を、実質的により効率的にかつコスト効率良くガラス基板上に製造することができ、PET、PMMAまたはPCのようなポリマー基板上よりも、ガラス基板上に本発明に基づいて用いることが好ましい。ガラスコーティングの場合、電気シート抵抗は、同程度の透明性を有するポリマーフィルムよりも平均して10倍以上良好で、例えば、PETフィルムでは30Ω/スクエア〜100Ω/スクエアであるのに比べて、ガラス層の場合は3Ω/スクエア〜10Ω/スクエアである。
【0140】
−少なくともある程度透明な電極の場合のように−後側電極部材BEは、平担電極であるが、透明または少なくともある程度透明である必要はない。一般的にこれを、存在するならば絶縁層に塗布する。絶縁層が存在しない場合、後側電極を、電界によって励起できる少なくとも1つの発光物質を含有する層に塗布する。別の態様では、後側電極を基板Aに塗布する。
【0141】
後側電極を、一般的には無機または有機物質を主とする導電性材料、例えば、銀のような金属から形成し、等方高圧成形法(isostatic high−pressure forming)を用いて本発明に基づく三次元的形状のシート素子を製造する場合、損傷しないそれら材料を用いることが好ましい。適当な電極は、特にポリマー導電性コーティングを更に有する。この場合、少なくともある程度透明な電極に関連して既に記載したコーティングを用いることができる。更に、当該技術分野の当業者に既知の少なくともある程度透明でないそれらポリマーの導電性コーティングを用いることができる。
【0142】
これに関連して、後側電極用の印刷ペーストの配合物は、ある程度透明な電極の配合物に一致し得る。
【0143】
しかしながらこの配合物以外に、本発明に基づいて以下の配合物を後側電極に用いることもできる。
【0144】
後側電極を製造するための印刷ペーストの配合物に、印刷ペーストの総重量に対してそれぞれ、30重量%〜90重量%、好ましくは40重量%〜80重量%、特に好ましくは50重量%〜70重量%の導電性ポリマーであるClevios P、Clevios PH、Clevios P AG、Clevios P HCV4、Clevios P HS、Clevios PH、Clevios PH 500、Clevios PH 510またはそれらいずれかの混合物を用いる。ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、エチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルアミノエタノール、水または2つ、3つもしくはそれより多くのこれら溶媒の混合物を、溶媒として用いることができる。用いる溶媒の量は幅広い範囲で変化し得る。従って、本発明に基づくペーストの1つの配合物は、55重量%〜60重量%の溶媒を含有し得るのに対し、本発明に基づく別の配合物では、約40重量%の3つの溶媒の溶媒混合物を用いる。更に、界面活性剤添加物および接着活性剤として、Silquest A187、Neo Rez R986、Dynol 604または2つもしくはそれより多くのこれら物質の混合物を用いることができ、0.7重量%〜1.2重量%の量が好ましい。その配合物は、バインダーとして、例えば、0.5重量%〜1.5重量%のUD−85、Bayhydrol PR340/1、Bayhydrol PR135またはそれらいずれかの混合物を含有できる。
【0145】
本発明に基づく更なる態様では、後側電極にグラファイトを充填できる。グラファイトを上記の配合物に添加することによって、これを達成できる。後側電極用の上記の配合物以外に、例としてここに既に記載する以下の使用できる状態の市販の印刷ペーストを、本発明に基づいて用いることもできる:Agfaが提供するOrgacon EL−P1000番台、EL−P3000番台、EL−P5000番台またはEL−P6000番台、好ましくはEL−P3000番台およびEL−P6000番台(形成可能用途)。この場合、グラファイトを添加することもできる。
【0146】
Orgacon EL−P4000番台の印刷ペースト、特にOrgacon EL−P4010およびEL−4020を、特に後側電極に用いることもできる。双方を、互いにあらゆる所望の割合で混合できる。Orgacon EL−P4010およびEL−4020は、既にグラファイトを含有している。
【0147】
購入できるグラファイトペースト、例えば、Achesonが提供するグラファイトペースト、特にElectrodag 965 SSまたはElectrodag 6017 SSを後側電極として用いることができる。
【0148】
後側電極BEを製造するための印刷ペーストの本発明に基づく特に好ましい配合物には、以下が含まれる:
【0149】
[表3]

【0150】
[表4]

【0151】
電極の導電性トラック、接続部
発光コンデンサ構造体を有する大きな面積の発光素子の場合、表面の導電性は、均一な発光密度に関して重要な役割を果たす。大きな面積を有する発光素子の場合、いわゆる母線を導電性トラックとして、即ち、部材BFとして、とりわけ半導体のLEPs(発光ポリマー)、PLEDおよび/またはOLEDシステムを有するものをしばしば用い、そこでは比較的大きな電流が流れる。この場合、非常に高い導電性を有するトラックを交差するようにして形成する。このようにして、例えば大きな表面領域を4つの小さな領域に更に分割する。それによって、発光面の中間領域における電圧降下は著しく減り、発光領域の中心部における発光密度の均一性および輝度の低下も減少する。
【0152】
本発明に基づく1つの態様において用いられる硫化亜鉛の特定のEL領域の場合、一般的には100ボルトより大きく、200ボルトを超えるまでの交流電圧を印加し、良好な誘電体または良好な絶縁体を用いる場合、非常に低い電流が流れる。従って、本発明に基づくZnS厚膜AC−EL素子では、電流負荷の問題は、半導体のLEPまたはOLEDシステムの場合よりも実質的に少なく、母線の使用は絶対に必要というわけではないが、その代わりに、大きな面積の発光素子を既に取り付けておくことができる。
【0153】
DIN A3よりも面積が小さい場合、好ましくは本発明に基づいて、銀母線を電極層BAまたは電極層BEの縁部にのみ印刷すれば十分であり:DIN A3よりも面積が大きい場合、本発明に基づいて、銀母線が少なくとも1つ追加の導電性トラックを形成することが好ましい。
【0154】
スズ、亜鉛、銀、パラジウム、アルミニウムおよび更なる適当な導電性金属またはそれらの組み合わせおよび混合物またはそれらの合金を含有する、例えば、導電性の加熱可能なペーストを用いることによって、電気接続部を製造できる。
【0155】
それに関連して、一般的には、スクリーン印刷、はけ塗り、インクジェット、ナイフコーティング、ローラー塗布、スプレーによって、またはディスペンサー塗布もしくは当該技術分野における当業者に既知の類似の塗布方法によって、導電性接点ストリップを導電性の少なくともある程度透明な薄いコーティングに塗布し、次に、炉にて一般的に熱処理し、基板縁部に沿って通常横方向に塗布するストリップを、はんだ付け、クランプによる固定または差し込み式接続によって導電するようにして、効果的に接触させることができる。
【0156】
導電性コーティング上で、非常に小さな電力のみ発生させる必要があるのであれば、スプリング接点または炭素を充填したゴム要素もしくはいわゆるゼブラゴムストリップで十分である。
【0157】
銀、パラジウム、銅または金でを充填したポリマー接着剤を主とするペーストを、導電性接着ペーストとして用いることが好ましい。例えば、z方向に導電性接着剤を有する、スズメッキした銅箔の自己接着性および導電性を有するストリップを、接触押圧によって同様に塗布できる。
【0158】
この場合一般的に、数N/cmの表面圧力を与えることによって接着層を均一に押圧し、それによって、実際の実施に応じて、0.013オーム/cm(例えば、A−8451 Heimschuhにある企業D&M Internationalが提供する、導電性銅箔テープのVE 1691)または0.005オーム(例えば、Austin、Texas USAにある3M Electrical Products Divisionが提供する1183型;1平方インチの表面積にわたって測定される5psi/3.4N/cmで維持したMIL−STD−200の方法307に基づく)または0.001オーム(例えば、3M companyが提供する1345型)、または0.003オーム(例えば、Holland Shielding Systems BV companyが提供する3202型)の値を達成する。
【0159】
しかしながら、当該技術分野の当業者に既知のすべての常套の方法、例えば、圧接、差し込み、クランプによる固定、リベット打ちまたはボルト締め/ねじ締めによって、接触を実施できる。
【0160】
誘電体層
本発明に基づくEL素子は、少なくとも1つの誘電体層である部材BDを有することが好ましく、それを、後側電極である部材BEとEL層である部材BCとの間に設ける。
【0161】
適当な誘電体層は、当該技術分野の当業者に既知である。適当な層は、例えばチタン酸バリウムのような非常に誘電的に作用する粉末をしばしば含有し、それをフルオレン含有プラスチックまたはシアノ系樹脂に分散させることが好ましい。特に適当な粒子の例は、好ましくは1.0μm〜2.0μmの範囲のチタン酸バリウム粒子である。充填度が高い場合、これらは100以下の比誘電率を生じ得る。
【0162】
誘電体層は、一般的に1μm〜50μm、好ましくは2μm〜40μm、特に好ましくは5μm〜25μm、とりわけ8μm〜15μmの厚さを有する。
【0163】
1つの態様において、本発明に基づくEL素子は、更なる誘電体層を追加で有することもでき、その層は互いの上に配置されて、一緒に絶縁効果を向上させる、あるいは、フローティング電極層が介在する。第2誘電体層の使用は、第1誘電体層の品質およびピンホールの少なさに依存し得る。
【0164】
充填剤として無機絶縁材料を用い、それは、文章から当該技術分野の当業者に既知であり、それには、例えば以下のものが含まれる:BaTiO、SrTiO、KNbO、PbTiO、LaTaO、LiNbO、GeTe、MgTiO、Bi(TiO、NiTiO、CaTiO、ZnTiO、ZnTiO、BaSnO、Bi(SnO、CaSnO、PbSnO、MgSnO、SrSnO、ZnSnO、BaZrO、CaZrO、PbZrO、MgZrO、SrZrO、ZnZrOおよびチタン酸ジルコン酸鉛を混合した結晶または2つもしくはそれより多くのこれら充填剤の混合物。本発明に基づく好ましい充填剤は、BaTiOまたはPbZrOまたはそれらの混合物で、絶縁層を製造するために用いるペーストにおいて、ペーストの総重量に対してそれぞれ、5重量%〜80重量%の充填量が好ましく、10重量%〜75重量%が好ましく、40重量%〜70重量%が特に好ましい。
【0165】
1成分または好ましくは2成分のポリウレタンシステムを、バインダーとしてこの層に用いることができ、Bayer MaterialScience AGが提供するシステムが好ましく、特に好ましくはDesmodurおよびDesmophen、またはBASF AGが提供するLupranateシリーズ、Lupranolシリーズ、PluracolシリーズもしくはLupraphenシリーズのラッカー原料;Degussa AG(Evonik)が提供するvestanateが好ましく、vestanate TおよびBが特に好ましい;あるいはDow Chemical Companyが提供するvorastarが好ましい。更に、高い可撓性を有するバインダーを用いることもでき、例えば、PMMA系バインダー、PVA系バインダーで、特にKuraray Specialities Europe GmbHが提供するmowiolおよびpovalまたはWacker AGが提供するpolyviol、あるいはPVBで、特にKuraray Specialities Europe GmbHが提供するmowital(B20H、B30T、B30H、B30HH、B45H、B60T、B60H、B60HH、B75H)、またはpioloformで、特にWacker AGが提供するpioloform BR18、BM18もしくはBT18である。
【0166】
溶媒として、例えば、エチルアセテート、ブチルアセテート、1−メトキシプロピルアセテート−2、トルエン、キシレン、solvesso 100、shellsol Aまたは2つもしくはそれより多くのこれら溶媒の混合物を用いてよい。例えばPVBをバインダーとして用いる場合、ペーストは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ジアセトンアルコール、ベンジルアルコール、1−メトキシプロパノール−2、ブチルグリコール、メトキシブタノール、dowanol、メトキシプロピルアセテート、メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、ブトキシル、グリコール酸n−ブチルエステル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサノン、ヘプタンおよび2つまたはそれより多くの上記溶媒の混合物を含有することもでき、その量は、ペーストの総重量に対して1重量%〜30重量%、好ましくは2重量%〜20重量%、特に好ましくは3重量%〜10重量%である。更に、特性を向上させるために、流動性向上剤およびレオロジー添加物のような添加物を加えることができる。流動性向上剤の例は、40:60〜60:40の混合比でブトキシルに溶解するAdditol XL480である。ペーストは、更なる添加剤として、ペーストの総重量にしてそれぞれ、0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.05重量%〜5重量%、特に好ましくは0.1重量%〜2重量%を含有することができる。ペーストにおける色素および充填剤の沈殿挙動を減少させるレオロジー添加物として、例えば、BYK 410、BYK411、BYK 430、BYK 431またはそれらいずれかの混合物を用いることができる。
【0167】
部材BBおよび/または部材BDとして絶縁層を製造するための印刷ペーストの、本発明に基づく特に好ましい配合物には、以下のものが含まれる:
【0168】
[表5]

【0169】
[表6]

【0170】
[表7]

【0171】
EL層
本発明に基づくEL素子は、少なくとも1つのEL層である部材BCを有する。少なくとも1つのEL層を、ある程度透明な第1電極の内側表面全体に、あるいは少なくともある程度透明な第1電極の表面の1つまたはそれより多くの部分に配置できる。EL層を表面の複数の部分に配置する場合、その表面の部分は、一般的に0.5mm〜10.0mm、好ましくは1mm〜5mmの相互間隔を有する。
【0172】
EL層は、一般的にEL色素が均一に分散しているバインダーマトリックスで構成される。電極層(または場合によっては、そこに塗布した誘電体層)への良好な接着を生じるように、バインダーマトリックスを一般的に選択する。好ましい実施において、この目的のために、PVB系システムまたはPU系システムを用いる。場合によっては、EL色素に加えて、バインダーマトリックスに更なる添加物、例えば、色転換有機および/または無機システム、昼間および夜間の光効果(a daytime and nighttime light effect)のための着色剤添加物、ならびに/またはアルミニウムフレーク、ガラスフレークまたはマイカプレートレットのような反射および/もしくは光吸収効果色素も存在してよい。
【0173】
EL層に用いるEL色素は、一般的に1μm〜50μm、好ましくは5μm〜25μmの厚さを有する。
【0174】
少なくとも1つのEL層であるBCは、交流電流厚膜粉末エレクトロルミネセンス(AC−P−EL)の発光構造体であることが好ましい。
【0175】
1947年のDestriau以来、厚膜AC−ELシステムは周知であり、一般的にはスクリーン印刷によってITO−PETフィルムに塗布される。硫化亜鉛電気発光団は、稼働中、特に高温および水蒸気雰囲気において、非常に高速な分解に悩まされており、今日では、一般的にマイクロカプセル化EL色素が、長寿命厚膜AC−ELランプ構造体に用いられている。しかしながら、以下で更に説明するように、本発明に基づくEL素子にマイクロカプセル化していない色素を用いることもできる。
【0176】
本発明の文脈において、EL素子を通常100ボルトおよび400Hzの交流電圧によって動作する厚膜ELシステムを意味するように理解し、このようにして、数cd/m〜数100cd/mのいわゆる低光を発する。一般的には、そのような無機厚膜交流電圧EL素子において、ELスクリーン印刷ペーストを用いる。
【0177】
一般的には、そのようなELスクリーン印刷ペーストを無機物質の基板に配置する。適当な物質は、例えば、元素の周期表の第II族および第IV族の高純度ZnS、CdS、ZnCd1−XS化合物であり、ZnSを用いることが特に好ましい。上記の物質にドープまたは付活することができ、場合によっては、共ドープすることもできる。例えば、銅および/またはマンガンをドープに用いる。例えば、塩素、臭素、ヨウ素およびアルミニウムにて共付活を実施する。上記物質中のアルカリ金属および希土類金属の濃度は、仮にこれらが存在する場合、一般的には非常に低い。ZnSを用いることが最も特に好ましく、それに銅および/またはマンガンをドープまたは付活することが好ましく、また塩素、臭素、ヨウ素および/またはアルミニウムを共付活することが好ましい。
【0178】
通常のEL発光色は黄色、オレンジ、緑、緑がかった青、青がかった緑および白であり、発光色の白または赤は、適当なEL色素の混合または色転換により得ることができる。変換層の形態で、および/またはスクリーン印刷インクのポリマーバインダー中またはEL色素が組み込まれているポリマーマトリックス中の適当な染料および色素の混合によって、色転換を一般的に実施できる。
【0179】
本発明の更なる態様では、EL層の製造に用いるスクリーン印刷マトリックスにグレージング、カラーフィルタリングもしくは色転換の染料および/もしくは色素を加える。発光色の白または昼間/夜間の光効果を、このようにして生じさせることができる。
【0180】
更なる態様では、420nm〜480nmの青波長範囲の発光を有する色転換マイクロカプセル化色素をEL層に用いる。このようにして白色を発光させることができる。
【0181】
1つの態様では、EL層の色素として、420nm〜480nmの青色波長範囲の発光を有するAC−P−EL色素を用いる。更に、AC−P−ELスクリーン印刷マトリックスは、ユウロピウム(II)付活アルカリ土類オルトケイ酸塩発光色素で、例えば、(Ba、Sr、Ca)SiO:Eu2+、またはYAG発光色素で、例えば、YAl12:Ce3+もしくはTbAl12:Ce3+もしくはSrGaS:Eu2+もしくはSrS:Eu2+もしくは(Y、Lu、Gd、Tb)(Al、Sc、Ga)12:Ce3+もしくは(Zn、Ca、Sr)(S、Se):Eu2+を主とする波長変換無機微粒子を含有することが好ましい。白色発光をこのように達成することもできる。
【0182】
従来技術と同様に、上記EL色素をマイクロカプセル化できる。無機マイクロカプセル化技術のおかげで、優れた半減期を達成できる。例として、E.I. du Pont de Nemours and Companiesが提供するEL用のELスクリーン印刷システムであるLuxprint(登録商標)をここに記載してよい。有機マイクロカプセル化技術および様々な熱可塑性フィルムに基づくフィルムラップラミネート加工も原理的には適当であるが、しかしながら、それらは高価であることが分かっており、耐用年数をあまり延長させない。
【0183】
適当な硫化亜鉛マイクロカプセル化EL発光色素は、TowandにあるOsram Sylvania,Inc.から購入可能な商品名GlacierGLO(商品名)Standard, High Brite and Long Life、およびDurel Division of the Rogers Corporationからの商品名1PHS001(登録商標)High−Efficiency Green Encapsulated EL Phosphor、1PHS002(登録商標)High−Efficiency Blue−Green Encapsulated EL Phosphor、1PHS003(登録商標)Long−Life Blue Encapsulated EL Phosphor、1PHS004(登録商標)Long−Life Orange Encapsulated EL Phosphorである。
【0184】
EL層の適当なマイクロカプセル化色素の平均粒子径は、一般的に15μm〜60μm、好ましくは20μm〜35μmである。
【0185】
マイクロカプセル化していない微粒子EL色素で、好ましくは耐用年数の長いものを、本発明に基づいてEL素子のEL層に用いることもできる。適当なマイクロカプセル化していない微粒子硫化亜鉛EL色素は、例えば、米国特許第6,248,261号およびWO01/34723にて説明されている。これらは立方晶系結晶の格子構造を有することが好ましい。マイクロカプセル化していない色素は、好ましくは1μm〜30um、特に好ましくは3μm〜25μm、最も特に好ましくは5μm〜20μmの平均粒子径を有する。
【0186】
特に、10μm以下の小さな色素寸法を有するマイクロカプセル化していないEL色素を用いることができる。それによって、ガラス要素の透明性を増大させることができる。
【0187】
従って、本発明に基づいて、カプセル化していない色素を適当なスクリーン印刷インクと混合することができ、色素、好ましくはZnS色素の特別な吸湿特性に注意することが好ましい。それに関連して、一般的にバインダーを用い、それは一方では、いわゆるITO層(インジウム−スズ酸化物層)または本質的に導電性を有しているポリマー透明層への良好な接着性を有し、また他方では、良好な絶縁効果を有して、誘電性を強化し、それによって高い電界強度における破壊強度の向上をもたらし、更に、硬化状態にて良好な水蒸気遮断効果を示し、その上、EL色素を保護し、耐用年数を延長させる。
【0188】
本発明の1つの態様では、AC−P−EL発光層にマイクロカプセル化していない色素を用いる。
【0189】
EL層の適当な色素の半減期、即ち、本発明に基づくEL素子の初期輝度が半分まで下がる時間は、一般的に100ボルトおよび400Hzならびに80ボルトおよび400Hzで、400時間〜最大で5,000時間であるが、通常は1,000時間以下〜3,500時間以下である。
【0190】
輝度値(EL発光)は、一般的に1cd/m〜200cd/m、好ましくは3cd/m〜100cd/m、特に好ましくは5cd/m〜40cd/mで;発光表面積が大きい場合、輝度値は1cd/m〜50cd/mの範囲であることが好ましい。
【0191】
しかしながら、より長いまたはより短い半減期、およびより高いまたはより低い輝度値を有する色素を、本発明に基づくEL素子のEL層に用いることもできる。
【0192】
本発明の更なる態様において、電気的に作動させていない発光構造体の場合、EL素子を少なくともある程度透明または確実に透明に構成するために、EL層に存在する色素は、非常に小さい平均粒子径を有する、またはEL層にて非常に低い充填度を有する、あるいは個々のEL層を幾何学的に非常に小さく構成する、あるいは個々の層の間隔を非常に大きく選択する。適当な色素粒子径、充填度、発光素子の寸法および発光素子の間隔は、以前に記載した。
【0193】
その層は、先のZnS結晶、場合によってはドープしたZnS結晶、好ましくは上記のようにマイクロカプセル化したZnS結晶を、ペーストの重量に対してそれぞれ、好ましくは40重量%〜90重量%、より好ましくは50重量%〜80重量%、特に好ましくは55重量%〜70重量%の量で含む。一液形ポリウレタンおよび好ましくは二液形ポリウレタンをバインダーとして用いることができる。本発明に基づく好ましいものは、Bayer MaterialScience AGが提供する高い可撓性を有する物質で、例えば、DesmophenシリーズおよびDesmodurシリーズのラッカー原料で、好ましくはDesmophenおよびDesmodur、またはBASF AGが提供するLupranateシリーズ、Lupranolシリーズ、PluracolシリーズもしくはLupraphenシリーズのラッカー原料である。溶媒として、エトキシプロピルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、Solvent naphtha 100またはこれら溶媒の2つもしくはそれより多くのいずれかの混合物を、ペーストの総重量に対してそれぞれ、好ましくは1重量%〜50重量%、好ましくは2重量%〜30重量%、特に好ましくは5重量%〜15重量%の量で用いることができる。更に、他の高い可撓性を有するバインダーは、例えば、PMMA系バインダー、PVA系バインダーで、特にKuraray Europe GmbH(今日ではKuraray Specialtiesと呼ばれる)が提供するmowiolおよびpovalまたはWacker AGが提供するpolyviol、あるいはPVBで、特にKuraray Europe GmbHが提供するmowital(B 20 H、B 30 T、B 30 H、B 30 HH、B 45 H、B 60 T、B 60 H、B 60 HH、B 75 H)、あるいはpioloformで、特にWacker AGが提供するpioloform BR18、BM18またはBT18を用いることができる。例えば、PVBのようなポリマーバインダーを用いる場合、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ジアセトンアルコール、ベンジルアルコール、1−メトキシプロパノール−2、ブチルグリコール、メトキシブタノール、dowanol、メトキシプロピルアセテート、メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、ブトキシル、グリコール酸n−ブチルエステル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンおよび2つまたはそれより多くの上記溶媒の組み合わせを、ペーストの総重量に対して、1重量%〜30重量%、好ましくは2重量%〜20重量%、特に好ましくは3重量%〜10重量%の量で更に添加できる。
【0194】
更に、流動挙動および流れを向上させるために、0.1重量%〜2重量%の添加物を含有できる。流動性向上剤の例は、40:60〜60:40の混合比でブトキシルに溶解するAdditol XL480である。更なる添加物として、ペーストの総重量に対してそれぞれ、0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.05重量%〜5重量%、特に好ましくは0.1重量%〜2重量%のレオロジー添加剤を含有でき、それは、ペースト中の色素および充填剤、例えば、BYK410、BYK411、BYK430、BYK431またはそれらいずれかの混合物の沈殿挙動を減少させる。
【0195】
部材BCとしてEL発光色素層を製造するための印刷ペーストの本発明に基づく特に好ましい配合物には、以下のものが含まれる。
【0196】
[表8]

【0197】
[表9]

【0198】
[表10]

【0199】
カバー層
エレクトロルミネセンス素子または場合によって存在する画像表示部の破壊を防ぐために、本発明に基づくEL素子は、部材Aおよび部材Bに追加して、保護層である部材CAを有する。保護層に適する材料は、当該技術分野の当業者に既知である。適当な保護層CAは、例えば、ポリカーボネートおよびバインダーを含有する保護ラッカーのような耐高温保護ラッカーである。そのような保護ラッカーの例は、ワイセンブルクにあるProellが提供するNoriphan(登録商標)HTRである。
【0200】
別の態様では、ポリウレタン、PMMA、PVAまたはPVBのような可撓性を有するポリマーの基板上に保護層を形成することもできる。Bayer MaterialScience AGが提供するポリウレタンをこの目的で用いることができる。この配合物に充填剤を提供することもできる。当該技術分野の当業者に既知のすべての充填剤がこの目的に適し、それは例えば、TiO、ZnO、リトポンなどのような無機金属酸化物を主とするもので、印刷ペーストの10重量%〜80重量%の充填度、好ましくは20重量%〜70重量%の充填度、特に好ましくは40重量%〜60重量%の充填度を有するものである。更に、配合物は、流動性向上剤およびレオロジー添加物を含有できる。溶媒として、例えば、エトキシプロピルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、Solvent naphtha 100または2つもしくはそれより多くのこれら溶媒の混合物を用いることができる。
【0201】
本発明に基づいて、保護ラッカーCAの特に好ましい配合物には、例えば以下が含まれる。
【0202】
[表11]

【0203】
[表12]

【0204】
基板
本発明に基づくEL素子は、それぞれの電極の片側または両側に、例えば、ガラス、プラスチックフィルムなどのような基板を有することができる。
【0205】
本発明に基づくEL素子において、透明電極と接する少なくとも基板は、内側が図柄的にグレージングされて半透明および不透明に覆うように構成することが好ましい。不透明な被覆構成は、高解像度図柄設計によって不透明に被覆され、および/または信号を伝達する目的で半透明に、例えば赤−緑−青という意味で、グレージングされた、広い面積を有するエレクトロルミネセンス領域を意味するように理解する。
【0206】
更に、透明電極BAと接触する基板は、ガラス転移温度Tg以下で冷延伸形成できるフィルムであることが好ましい。このようにして、得られたEL素子を三次元的に成形する可能性がもたらされる。
【0207】
更に、後側電極BEと接する基板が、同様にTg以下で冷延伸形成可能なフィルムであることが好ましい。このようにして、得られたEL素子を三次元的に成形する可能性が提供される。
【0208】
従って、EL素子は三次元的に形成することができ、曲率半径は2mmより小さくてよく、1mmより小さいことが好ましい。それに関連して、変形角度は60°より大きくてよく、好ましくは75°より大きく、特に好ましくは90°より大きく、とりわけ105°より大きい。
【0209】
更に、EL素子は三次元的に形成可能で、特に、Tgより低い温度で冷延伸形成可能で、このようにして、精密に形成した三次元デザインを与えることが好ましい。
【0210】
三次元的に成形した素子を、少なくとも一方の側に、射出成形金型にて熱可塑性材料から作ることができる。
【0211】
本発明に基づくEL素子の製造
通常、本明細書で以前に記載したペースト(スクリーン印刷ペースト)を透明なプラスチックフィルムまたはガラスに塗布し、そしてそれは非常に透明な導電性の層を有し、それによって、画像表示側の電極を形成する。次に、存在するならば誘電体、および後側電極を、印刷技術および/または積層技術によって製造する。
【0212】
しかしながら、逆の製造プロセスも可能であり、最初に後側電極を製造して、あるいは後側電極を金属蒸着フィルムの形態で使用して、この電極に誘電体を塗布する。そして、EL層および続けて透明導電性上側電極を塗布する。場合によっては次に、得られたシステムに透明なカバーフィルムを積層でき、それによって、水蒸気から保護でき、機械的なダメージからも保護できる。
【0213】
本発明の1つの態様では、導電性トラック(銀母線)を第1層として基板Aに塗布できる。しかしながら、本発明によれば、それらを2つの作業段階で、電極BAおよび電極BEのどちらにも塗布することが好ましく、それぞれの場合において、別々に電極に塗布する、あるいは1つの作業ステップで一緒に電極に塗布する。
【0214】
通常、EL層を、スクリーン印刷またはディスペンサー塗布またはインクジェット塗布による印刷技術によって塗布し、あるいはナイフコーティング法またはローラーコーティング法またはカーテンキャスト法または転写法でも塗布し、しかし好ましくはスクリーン印刷によって塗布する。EL層を、電極の表面に塗布することが好ましく、または場合によっては、後側電極に塗布した絶縁層に塗布する。
【0215】
本発明は、屋内または屋外用で、好ましくは建物の外側での、設備および設置物の内または外での、陸上乗物、航空機もしくは水上乗物の中または外での、電気もしくは電子機器の中または外での、あるいは広告領域における、装飾素子および/または発光素子として、先に記載したようなエレクトロルミネセンス素子の使用も提供する。
【0216】
それに関連して、エレクトロルミネセンス素子を、光学的に信号を伝達する素子として設計することができ、そこにおいて電圧レベル、電圧差、周波数および/または周波数差は、音楽ソースの音量レベルおよび周波数応答によって、ならびに/または電子的、センサ的および/もしくはコンピュータ制御による調整によって、制御および調節され得る。更に、本発明に基づくエレクトロルミネセンス素子を、組み合わせ安全ガラス要素または絶縁ガラス要素として設計できる。
【0217】
従って、測定可能なおよび/またはセンサ的に検知可能な量、特にノイズ、煙、振動、速度、大気湿度および/または温度に対する視覚的な表示器として、エレクトロルミネセンス素子を用いることができる。
【0218】
本発明の幾つかの実施例を、図面を活用して、以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0219】
【図1】図1は、2つの平担電極(4、5)および4つの電気接続部(15〜18)を有するEL素子(1)の平担図である。
【図2】図2は、図1に例として図示するEL素子(1)の断面A−Bの図面である。
【図3】図3は、上側電極(4)上に3つの電気接続部(23、24、25)および下側電極(5)上に1つの接続部(27)を有する、三角形状のEL素子(1)の平担図である。
【図4】図4は、図3に例として図示する三角形状のEL素子(1)の断面A−Bの図面である。
【図5】図5は、2つの平担電極(4、5)および1つの接続部(28)および1つの接続部(29)を有するEL素子の側面図である。
【図6】図6は、2つの平担電極(4、5)および2つの接続部(28)を有するEL素子の側面図(第1の図面)および平担図(第2の図面)である。
【0220】
図1は、2つの平担電極(4、5)および4つの電気接続部(15〜18)を有するEL素子(1)の平担図を示す。
【0221】
この実施例の変化形では、双方の境界縁部に母線(11〜14)を配置することができ、かつ電気接点(15〜18)を設けることができるようなシート抵抗を有する上側平担電極(4)および下側平担電極(5)を選択し、また電極(4、5)の選択したシート抵抗およびその面積に応じて、異なる電圧および周波数を適用できる。
【0222】
双方の電極(4、5)を透明となるように設計する。高導電性の透明でない電極を選択する場合、比較大きな電流が流れ、それによって、電極にダメージを与える、あるいは電圧供給が滞るため、この電極に2つの対向する縁部で異なる電圧を供給することはできない。
【0223】
重なり合っている図をシンプルにするため、例として基板(2、3)を示しており、場合によっては、同じ面積を有する基板を選択することもできる。加えて、一方の基板がもう一方の基板より大きいことも可能である。原理的には、2つの基板(2、3)の一方を省くこともできる。それぞれの電極(4、5)を、例えば、印刷技術によって正確に配置することができ、あるいはローラーコーティング法、カーテンキャスト法またはスプレー法によって塗布できる。次にしばしば、積層技術方法を用いて、熱可塑性フィルムもその上に配置する。
【0224】
図1に示す平担図において、エレクトロルミネセンス領域(6)を表面全体にわたって形成する。しかしながら、実際にはいずれの所望のデザインも実施でき、例えば、窓またはスクリーンまたは図柄的なデザインの様式で、例えば点状の様式もしくは個別の素子の形態で実施できる。
【0225】
エレクトロルミネセンス領域(6)を、被覆電極(4、5)の辺りに配置することができ、それに関連して、エレクトロルミネセンス領域は、すでに電気絶縁特性を有し得る。しかしながら、その電気絶縁特性は十分でない可能性もある。この場合、絶縁層、例えば、2つの絶縁層(19)を通常設ける。
【0226】
右側接続部(18)に印加した交流電圧よりも小さい数ボルト〜数十ボルトの交流電圧を左側接続部(17)に印加する場合、エレクトロルミネセンス領域(6)は、右側縁部にて明るい可視EL発光(9、10)を生じる。更に、上側接続部(15)に印加した「交流電圧よりも小さい数ボルト〜数十ボルトの交流電圧を下側接続部(16)に印加する場合、EL領域(6)は、上側縁部にてより明るい可視EL発光(9、10)を生じる。このように印加した交流電圧(15、16、17、18)の組み合わせにおいて、EL領域(6)の上部右側隅部は最も明るく光り、底部左側隅部は最も暗く光る。
【0227】
4つの電圧(15、16、17、18)をそれらの電圧レベルに関して時間的に異なるように調節する場合、このようにして二次元の動的な輝度領域が生じ得ることを理解できる。更に、平担EL領域(6)を種々の発光色によって設計することができ、このようにして、色の効果を生じさせることもできる。
【0228】
更に、電気接続部(15、16)および(17、18)に異なる周波数を入力する場合、いわゆるビートが生じる。
【0229】
図2は、図1に例として図示するEL素子(1)の断面A−Bを示す。この断面A−Bにおいて、下側基板(3)を、下側平担電極(5)および2つの母線(13、14)および電気接続部(17、18)と一緒に図示する。母線(13、14)は、抵抗の低いストリップ形状の接点素子で、ポリマー基板(3)の場合、高導電性ペーストまたはペーストの組み合わせによるスクリーン印刷ストリップの形態で、通常それを実現する。銀ペースト、銅ペースト、カーボンペーストまたはしばしばカーボンペーストの刷り重ねを有する銀ペーストは、常套の母線システムである。ガラス基板(3)を用いる場合、加熱可能かつはんだ付け可能な銀を主とするおよび/またはアルミニウムを主とするペーストを用いることができる。
【0230】
そして、絶縁層(19)、次にEL層(6)およびそれに続けて、基板(2)と一緒になっている上側電極(4)を、電極(5)に配置する。層(19、6)の順番を逆にすることもできる。しかしながらこの場合、必ず絶縁層(19)を非常に透明に設計する必要がある。しばしば、絶縁層(19)をスクリーン印刷技術によって塗布する。スクリーン印刷では、小さな空気の含有を避けることができないため、層(19)をしばしば二重層として形成する。上側(9)および下側(10)EL発光の典型的な場合では、絶縁層(19)はできる限り透明である必要がある。
【0231】
EL層(6)は、EL色素(7)およびバインダーマトリックス(8)を有する。ポリマー基板(2、3)を用いる場合、通常はマイクロカプセル化硫化亜鉛電気発光団色素(7)を用いる。このようにして、最大2,000時間より長い半減期を達成できる。EL素子(1)の半減期を、輝度が初期値の半分に下がる稼働時間であると理解する。
【0232】
ガラス基板(2、3)を用いる場合、ガラス基板(2、3)は、通常、水蒸気に対する優れたバリアを形成し、このようにして、EL色素(7)の水蒸気負荷を防ぐまたは最小限にまで減らすため、カプセル化していない硫化亜鉛電気発光団色素(7)を用いることもできる。
【0233】
図3は、上側電極(4)上にある3つの母線(20、21、22)の3つの電気接続部(23,24、25)および下側電極(5)上にある接続部(27)を有する、三角形のEL素子(1)の平担図である。ここでは、3つの接続部(23、24、25)の電圧値および周波数を基材電極接続部(27)と比較して変化させることができ、この場合、片側だけのEL発光(9)により、EL領域(6)にて二次元の輝度および色パターンが生じ得る。抵抗の低い不透明な電極として後側電極(5)を選択したため、電気接続部(27)用に比較的小さな母線(27)を選択できる。
【0234】
EL領域(6)を種々の方法で構成できる。それに関連して、1色のみの発光色を有するあるいは隅部毎に色が移り変わる全面積を占めるEL層(6)形成することができ、格子状の点または幾何学的な記号および符号、あるいは種々の寸法および種々の間隔で人工的に設計した素子を配置できる。それに関連して、点状アレンジメントまたは原子のようなアレンジメントを均一または不規則に配置することができ、互いに混ざり合うように素子を配置できる。
【0235】
図4は、図3に例として図示する三角形のEL素子(1)の断面A−Bを示す。この断面図では、双方の基板(2、3)は等しく誇張されている。しかしながら原理的には、基板(2、3)は、実質的にあらゆる所望の構成および形状を有し得る。更に、電気母線接点を側方縁部ラインに形成でき、あるいは点接点を縁部または実質的にあらゆる所望の内側電極表面に形成できる。すべての場合において、効率的でコスト効率が良く長寿命な電極(4、5)の接触を確保するように注意を払う必要がある。
【0236】
図5は、本発明に基づくエレクトロルミネセンス素子の変化形を示しており、上側平担電極(4)および下側平担電極(5)を設けている。双方の電極を電源(28)に接続し、ポテンショメータによって電圧差を生じさせる。
【0237】
図6では、2つの電源(28)を設けており、上側平担電極(4)上の母線および下側平担電極(5)上の母線は、それぞれの場合で、互いに平行かつ上方に配置されている(30、31、32および33)。
【符号の説明】
【0238】
参照番号のリスト
1 2つの相隔たる境界地点上に少なくとも2つの交流電圧供給部を有する特定の硫化亜鉛厚膜に基づく、エレクトロルミネセンス(EL)素子
2 上側基板
3 下側基板
4 上側平担電極
5 下側平担電極
6 EL層またはEL領域
7 EL色素
8 ELバインダーマトリックス
9 上側EL発光
10 下側EL発光
11 (上側電極の)上側母線
12 (上側電極の)下側母線
12 (下側電極の)左側母線
14 (下側電極の)右側母線
15 上側電気接続部
16 下側電気接続部
17 左側電気接続部
18 右側電気接続部
19 絶縁層:単層または二重層;透明または不透明
20 母線1
21 母線2
22 母線3
23 母線1への電気接続部
24 母線2への電気接続部
25 母線3への電気接続部
26 電気接続領域、下側電極;接点表面
27 電気接続部、下側電極
28 電源
29 ポテンショメータ
30 母線;前側電極接続部1
31 母線;前側電極接続部2
32 母線;後側電極接続部1
33 母線;後側電極接続部2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの平坦(平面)電極を有する特定の硫化亜鉛厚膜に基づくエレクトロルミネセンス素子であって、少なくとも1つの平担電極が透明となるように形成され、電極の少なくとも1つの上で、少なくとも2つの交流電圧供給部が相隔たる2つの箇所に設けられていることを特徴とする、エレクトロルミネセンス素子。
【請求項2】
少なくとも2つの交流電圧供給部の間の電圧差および/または周波数差は、電子的、センサ的および/またはコンピュータ制御的な調節によって変えることができることを特徴とする、請求項1に記載のエレクトロルミネセンス素子。
【請求項3】
交流電圧供給部は、交流電圧供給部用の接続部を設けている母線の形態であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のエレクトロルミネセンス素子。
【請求項4】
母線は、エレクトロルミネセンス表面全体にわたって一様なエレクトロルミネセンス発光を生じ得るように設計されることを特徴とする、請求項1〜請求項3の1つに記載のエレクトロルミネセンス素子。
【請求項5】
エレクトロルミネセンス素子は、プラスチックフィルムまたはガラス基板に配置されることを特徴とする、請求項1〜請求項4の1つに記載のエレクトロルミネセンス素子。
【請求項6】
エレクトロルミネセンス素子は、2つの積層された平担要素の間に配置されることを特徴とする、請求項1〜請求項5の1つに記載のエレクトロルミネセンス素子。
【請求項7】
エレクトロルミネセンス素子は、矩形、ストリップ形、丸形、多角形である、および/または意図的に設計された形状もしくは構造を備えていることを特徴とする、請求項1〜請求項6の1つに記載のエレクトロルミネセンス素子。
【請求項8】
エレクトロルミネセンス素子は透明となるように設計され、EL発光が両側で起こることを特徴とする、請求項1〜請求項7の1つに記載のエレクトロルミネセンス素子。
【請求項9】
エレクトロルミネセンス素子は三次元的形状であることを特徴とする、請求項1〜請求項8の1つに記載のエレクトロルミネセンス素子。
【請求項10】
エレクトロルミネセンス素子は、組み合わせ安全ガラス要素または絶縁ガラス要素として形成されることを特徴とする、請求項1〜請求項9の1つに記載のエレクトロルミネセンス素子。
【請求項11】
三次元的形状のエレクトロルミネセンス素子は、射出成形金型にて熱可塑性材料により連結するようにして形成されることを特徴とする、請求項1〜請求項10の1つに記載のエレクトロルミネセンス素子。
【請求項12】
請求項1〜請求項11の1つに記載の特定の硫化亜鉛厚膜に基づくエレクトロルミネセンス素子の製造方法であって、エレクトロルミネセンス素子を常套の方法によって製造し、少なくとも2つの交流電圧供給部を、平担電極の少なくとも1つに相隔てて配置された2つの箇所に接続することを特徴とする製造方法。
【請求項13】
屋内または屋外用で、好ましくは建物の外側での、設備および設置物の内または外での、陸上乗物、航空機もしくは水上乗物の中または外での、電気装置もしくは電子装置の中または外での、あるいは広告分野における、装飾素子および/または発光素子としての、請求項1〜請求項11の1つに記載のEL素子の使用。
【請求項14】
エレクトロルミネセンス素子を光学的に信号を伝達する素子として設計し、その電圧レベル、電圧差、周波数および/または周波数差が、音楽ソースの音強度および周波数応答によって制御および調節され得る、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
エレクトロルミネセンス素子を、測定可能なおよび/またはセンサ的に検知可能な量、特にノイズ、煙、振動、速度、大気湿度および/または温度に対する視覚的な表示器として用いる、請求項13または請求項14に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−532078(P2010−532078A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513940(P2010−513940)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058279
【国際公開番号】WO2009/000917
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】