説明

就寝中の乳幼児を監視する方法

コントローラに第1の複数のピクセルの位置情報を信号送出することによって、幼児の参照イメージを生成する、突然死症候群に関連する幼児の危険度の高い動きを検出する方法。第1の複数のピクセルは参照イメージを生成するコントローラに保持される。幼児の第2の電子イメージがそのコントローラに信号送出される第2の複数のピクセルを生成している。このコントローラは、その幼児が危険度の高い動きをしたかどうかを決定するために、第1の複数のピクセルと第2の複数のピクセルとの相関関係を検出することにより、第2の電子イメージを第1の電子イメージと比較する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2003年7月22日出願の米国仮特許出願番号 60/489,199の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
乳幼児突然死症候群(SIDS)は、健康に見える幼児の、死後の医学的調査後も原因不明の、突然の予期せぬ死である。SIDSは病気として認識されないばかりか、生きている乳児に対して診断されたことも無い。しかしながら、記録によるとSIDS死は幼児がうつぶせに寝ていたときに起こる。うつぶせの幼児は、幼児死の専門家から見るとSIDSに起因する死に至る危険の高い姿勢にあると考えられている。それは、うつぶせの姿勢は無呼吸期間(呼吸停止)を導くことがあるからである。幼児は無呼吸状態から蘇生することもあるが、SIDS事故のほとんどは幼児の世話をする人が寝ている夜に起こる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
SIDS事故を究明し、早期検出を行う技術的解決策を提供する試みがなされた。その一例は、米国特許第4,350,166号明細書「無呼吸検出器」で、呼吸する幼児から発せられる二酸化炭素に特有な長波赤外線輻射を検出することにより、潜在的なSIDSリスクを特定しようとするものである。しかしながら、このタイプの検出器は単に幼児が呼吸を止めたことを検出するだけで、それではSIDS事故が起きることを防ぐには遅すぎる。さらに、幼児の体温が赤外線輻射をゆがめることもある。その他の例としては、米国特許第6,492,634号明細書「幼児突然死症候群用光学モニター」があげられ、これは幼児に当てられたレーザービームやLED(光放出ダイオード)の動きをモニターが追跡するものである。この装置も単に幼児の呼吸パターンを追跡するものであり、レーザービームの動き、あるいは動かないことによって示された幼児の呼吸が停止した時に、アラームを作動させるに過ぎない。それゆえに、幼児の呼吸パターンが中断する前の幼児の危険度の高い動きを検出することが出来るSIDS検出器を供給することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
突然死症候群に関連する幼児の危険度の高い動きを検出する方法が開示されている。幼児の参照イメージは、コントローラーに第1の複数のピクセルの位置の信号として送られる。その複数のピクセルの位置は、参照イメージを生成する為にそのコントローラーに保持される。幼児の第2の電子イメージは、コントローラーに第2の複数のピクセルの位置との信号として送られる。その第2の電子イメージは、第1の複数のピクセルと第2の複数のピクセルとの相関関係を検出することにより、第1の電子イメージと比較され、幼児に無呼吸が起きる前に危険度の高い動きを特定する。
【0005】
本発明に掛かる危険度の高い幼児の動きを検出する方法は、幼児に有害な呼吸パターンが発生する前に、危難信号を発生し送出することが出来る。呼吸の不規則性に基づいて幼児の問題を特定する従来技術の検出システムとは違い、世話をする人は呼吸の不規則性が幼児を危険にさらす前にその幼児の世話をすることが出来る。前述のとおり、幼児はうつ伏せで寝ているときに危険な状態にあると信じられている。本発明的概念によれば、就寝中幼児が横腹を下にした後で完全にひっくり返ったということを検出することが出来る。幼児がひっくり返ったり横に寝た場合には、世話をする人に就寝時無呼吸に陥る前に行動をとるよう危難信号を発生し送出する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の他の有用な点は添付図面と共に詳細な説明を参照することによってよりよく理解され、すぐに賛賞されるであろう。
【0007】
第1図に見られるとおり、本発明に係る集成体の好ましい実施例は10として表されている。この集成体10は、幼児14が寝る就寝面すなわちベビーベッド12と協働する。
【0008】
ビジョンシステムすなわちカメラ16は幼児14の上方に設置され、好ましくは幼児14の全体像を映し出す。このカメラ16は、好ましくは壁18に取り付けられるが、必要に応じてベビーベッド12に取り付けられる。2台以上のカメラ16を、生成される幼児のイメージを向上させる為に、取り付けることも出来る。さらに下記に詳細に説明されるように、カメラ16は連続した幼児のイメージを生成し、これらのイメージをプロセッサ20に伝達する。しかしながら、他の実施例によると、カメラはRFか同等の送信機を含み、生成される幼児14のイメージを遠隔プロセッサ20に送ることも出来る。
【0009】
技術の進歩及びカメラ16によって、受信したイメージから有意な数のピクセルを生成できる高解像度イメージが作られる。そのイメージをプロセッサに送出することにより、カメラ16は、カメラ18から伝達する連続したイメージにおける微妙な変化を、コンピューターアルゴリズムを通してプロセッサ20に記録し検出するようにする。
【0010】
多数のピクセルを供給する高解像度イメージの生成が可能なカメラ16は、電荷結合カメラ、高ダイナミックレンジカメラ、アクティブピクセルカメラ、並びにCMOS(相補型金属酸化物半導体)カメラ及び他の等価物を含む。これらの個々のカメラは、連続して作成されるイメージ間でのピクセルにおける変化をプロセッサ20が測定するのに用いられる多数のピクセルを生成するために必要な高解像度を提供する。カメラ16によって生成される幼児14のイメージを強調するためには、赤外線伝達装置22が必要になるであろう。夜間のように十分な光量が得られないときは、赤外線伝達装置22は特に適切である。そうでなければ、電磁輻射を検出可能なカメラ16も十分な解像度を提供することができる。
【0011】
プロセッサ20はこれから詳細に説明されるように、プロセッサ20によって幼児の危険度の高い動きを検出するための遠隔信号装置24に電子的に結合されている。信号装置24は、プロセッサ20にワイヤーで直結されるか、プロセッサ20からRFか同等な伝送路を通じて受信されるようになっている。好ましくは、幼児14の世話をする人が常に信号装置24の到達範囲内にあるように多数の信号装置24が住居内に分散配置されている。信号装置24は、必要であれば幼児14の世話をする人に幼児の危険度の高い動きが検出されたときを知らせるための光学または音声伝達装置であってもよい。
【0012】
まず、幼児14の動きの分析をプロセッサ20が始める為の原点となる参照イメージを最初に生成する。幼児14の動きを分析するのに必要なコンピューターアルゴリズムを実行するために要求される必要ピクセルを供給する参照イメージ26を作成する為には種々の技術がある。
【0013】
最初の参照イメージ26を作成する手法としては、SIDSがリスクとなる年齢の幼児の大きさと特徴を有する人形あるいはテストダミーを使う。カメラ16は人形が仰向けに眠っているように置かれた時の、人形の顔イメージ(好ましくは体のイメージも)を撮影する。カメラ16から得たピクセルの高解像度を通してプロセッサ20は、たとえば幼児の目、鼻、口及び胸部といった種々の特徴を特定できる。
【0014】
人形やダミーを使って参照イメージ26を作る代わりに、集成体10によってモニターされるときのようにして幼児14を使うこともできる。この場合には、、幼児14の成長につれて、幼児の睡眠パターンや潜在的な危険度の高い動きをより正確に分析する為の追加参照イメージを生成することもできる。
【0015】
幼児14の正面に対する別の参照イメージは、幼児14の横顔、両耳や肩などの横の特徴を写した参照イメージである。このケースの場合、幼児14はすでにSIDSに関して言えばもっとも危険な睡眠位置と考えられているうつ伏せになるように動き始めている。どういう場合でも、参照イメージがプロセッサ20に記録され、それによって幼児14の危険度の高い動きを分析し検出するのに必要な複数のピクセルを生成する。
【0016】
第2図に示されているとおり、幼児がベビーベッドに就寝の為に寝かせられたら、第2の電子イメージ28が生成される。カメラ16は幼児14の寝ている位置に対応した第2の複数のピクセルの位置をプロセッサ20に信号送出する。
【0017】
第2イメージ28に対応した第2の複数のピクセルは、プロセッサ20によって、ブロック30で説明されるとおり、参照イメージ26と第2イメージ28との相関を求めるための統計分析を行うコンピュータアルゴリズムを用いて、参照イメージ26に対して比較される。例えば、第2イメージ28が参照イメージ26によって特定される幼児14の特徴を含んでいる場合には、ブロック32で説明されるように、プロセッサ20はカメラ16に対して幼児の睡眠パターンをモニターするように、寝ている幼児14のイメージを所定期間連続的に伝達することを継続するように信号送出する。一方、参照イメージ26が幼児14の横面に関して作成されている場合には、第2イメージ28は例えば幼児14の横顔、耳または肩といった特徴と比較されることになる。
【0018】
プロセッサ20が、顔が下になったり幼児14の横寝といった危険の高い位置に幼児14が動いたと検知したときには、34で特定するようにアラームを鳴らす状況となり、危難信号30が作成されかつ複数の遠隔場所24に伝達され36、幼児14の世話をする人に知らせる。プロセッサ20が幼児が危険な動きをしていると判定されない場合には、カメラ16はプロセッサ20が参照イメージ26に対して比較する連続イメージを作成し続けている。好ましくは、カメラ16は、イメージを一秒の何分の一の時間でイメージを作成するとともに、早い瞬き、不自然な呼吸、痙攣のような動きのような現象の検出も行い、幼児14の世話をする人に対して危難信号を送るようにする36。
【0019】
本発明は、実施例として詳細に説明されたが、ここで用いられている用語は限定すると言うよりはむしろ描写すると言う単語として使われているということが理解されるべきである。
【0020】
明らかに、上記の教えに従って本発明の多くの改変や変更が可能である。それゆえに、参照番号は単に便宜上用いられたものであり、いかなる場合であっても限定するようなものではなく、添付された特許請求の範囲の中で本発明は詳細に特定された形以外での実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る乳幼児突然死症候群検知システムと一緒の睡眠中の幼児を表す略図を示す。
【図2】本発明に係る乳幼児突然死証拠群方法に使われた論理パターンのフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳幼児突然死症候群に関連した幼児の危険度の高い動きを検出する方法であって、
コントローラに第1の複数のピクセルの位置を信号送出することにより、幼児の第1の電子イメージを生成し、
上記複数のピクセルの位置を記憶することによって、参照イメージを生成し、
第2の複数のピクセルの位置を上記コントローラに信号送出することによって、その幼児の第2の電子イメージを生成し、
上記第1の複数ピクセルと上記第2の複数ピクセルの相関関係を検出することによって上記第2の電子イメージを上記第1の電子イメージと比較し、これによって危険度の高い動きを特定するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
連続した電子イメージを生成し、所定期間にわたってその幼児の動きをモニターするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記第1の複数のピクセルが上記第2の複数のピクセルと実質的に同じであったならば危難信号を生成するステップをさらに含む、上記請求項2に記載の方法。
【請求項4】
上記危難信号を離れた場所に伝達するステップをさらに含む、上記請求項2に記載の方法。
【請求項5】
不可視光波をその幼児に照射することによって上記第1と第2の電子イメージを強調するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
上記第1と第2の電子イメージを生成するステップは、さらに上記不可視光波を受信することによって規定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
その幼児を静的背景の電子イメージにより生成された静止ピクセルから見分けるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
上記第1と第2の電子イメージを生成するステップは、さらに上記第1と第2の電子イメージを生成するカメラを供給することにより規定される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
上記カメラを供給するステップは、さらに電荷結合カメラを供給することにより規定される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
上記カメラを供給するステップは、さらに高ダイナミックレンジカメラを供給することにより規定される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
上記カメラを供給するステップは、さらにアクティブピクセルカメラを供給することにより規定される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
上記カメラを供給するステップは、さらに補完型金属酸化物半導体カメラを供給することにより規定される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
上記第1と第2の電子イメージを作成するステップは、さらに電磁輻射を検知することによって上記第1と第2の電子イメージを得ることにより規定される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
乳幼児突然死症候群になろうとする幼児の危険度を予知する方法であって、
参照イメージを生成し、
コントローラに上記参照イメージを保持し、
その幼児の動的イメージを生成し、
その幼児の上記動的イメージを上記コントローラに伝達し、そして
上記警告状況が存在するかどうかを決定するために、上記動的イメージと上記参照イメージとを比較し、
上記警告状況が存在すれば、離れた場所に警報を伝達する、ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
上記連続した動的イメージを作成することによって所定期間のその幼児の動きを決定するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
上記参照イメージを生成するステップは、さらに人形のイメージを生成することにより規定される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
非可視光波をその幼児に照射することによって上記動的電子イメージを強調するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項18】
上記動的イメージを生成する上記ステップは、さらに非可視光波を受信することにより規定される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
その幼児を静的背景の電子イメージにより生成された静止ピクセルから見分けるステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
上記参照及び上記動的電子イメージを生成する上記ステップは、さらに上記第1と第2の電子イメージを生成するカメラを供給することにより規定される請求項14に記載の方法。
【請求項21】
上記カメラを供給するステップは、さらに電荷結合型カメラを供給することにより規定される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
上記カメラを供給するステップは、さらに高ダイナミックレンジカメラを供給することにより規定される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
上記カメラを供給するステップは、さらにアクティブピクセルカメラを供給することにより規定される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
上記カメラを供給する上記ステップは、さらにCMOSカメラを供給することにより規定される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
上記動的電子イメージを生成する上記ステップは、さらに電磁輻射を検知することによって上記電子イメージを作成することにより規定される、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−534032(P2007−534032A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521219(P2006−521219)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/023494
【国際公開番号】WO2005/010535
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(505217675)ロンジョ カンパニー (2)
【Fターム(参考)】