説明

屑除去テープおよびその使用方法

非多孔性表面などの表面上に含まれる屑を接着させるためのテープおよびテープロール組立体。本発明のテープは、高接着性で低タックの接着剤コーティングを含む。本発明のテープロールは、各テープ層が隣接する下層から除去可能である複数のテープ層を含む。この接着剤コーティングは、各層の外側の表面に接着される。この接着剤コーティングによって、清浄にすべき表面上に含まれる屑が、テープロールの最外テープ層に接着し、最外テープ層が表面に実質的に接着したり、最外テープ層がテープロールから巻き出されたりすることがない。この接着剤コーティングは少なくとも約56重量%の粘着付与剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、典型的にはロール形態である屑除去テープに関し、特に非多孔性表面または非織物表面から屑を除去するためのテープに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の屑除去装置、特に繊維屑除去装置が知られている。繊維屑除去装置は、繊維屑、および毛髪などの他の小さな屑を、衣類または他の織物の表面から除去する。繊維屑除去装置の公知の形態の1つは、繊維屑除去テープであり、これは、繊維屑および他の小さな屑を表面から除去するために、ロール上にあるままで使用することができる。ロール形態においては、繊維屑除去テープは、典型的には、使用のためにテープの接着面が外向きになるように芯の上に巻き付けられる。繊維屑除去テープロールは、繊維屑および他の小さな屑を表面から除去するためにその表面に対して転動される。屑は、繊維屑除去テープの接着面に接着する。繊維屑除去テープの外側の巻付部が屑で満たされると、テープの外側の巻付部およびその外側の接着剤層をロールから取り外して廃棄する。これによって、下にあるテープの巻付部およびその外側の接着剤層が露出して、さらに屑を除去するために使用される。
【0003】
従来の繊維屑除去装置は、衣類あるいは他の柔軟性または多孔質の表面に対しては十分に機能するが、このようなローラーは、フローリング、調理台、器具表面などの非多孔性表面または非織物表面に対してはうまく機能しない傾向にある。このような非多孔性表面または非織物表面に使用した場合、繊維屑除去テープは、表面に接着してロールから巻き出される傾向にある。テープの層が屑で満たされるまで、使用者が、汚れた表面領域上で1層のテープを繰り返し転動させることができるようにするために、テープをロール上に維持する目的では、このことは不都合となる。1層のテープが表面に固着してロールから巻き出される場合は、テープをロール上に維持する目的が果たされない。逆に、非多孔性表面または非織物表面の上で転動させた場合に屑除去テープが巻き出されるのを防止するために接着強度を低下させると、そのテープは繊維屑または他の小さな屑を希望通りに除去できない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様においては、本発明は、平滑または非多孔性の表面から屑を除去するためのテープを含む。本発明のテープは、各層が、外側に面する表面上に高接着性で低タックの接着剤コーティングを有する、複数のテープ層を含むテープロール組立体中に配置することができる。このテープロール組立体が表面と接触するように配置されると、最外テープ層がロールから実質的に巻き出されることなく、接着剤コーティングによってテープロールの最外テープ層に屑が接着する。この屑除去テープは、粘着付与剤含有率が少なくとも約56重量%である高接着性で低タックの接着剤を含む。
【0005】
別の態様によると、本発明は、上述のようなテープロール組立体を使用して、清浄にすべき表面から汚染物質を除去する方法を含む。この方法は、接着剤層によって、清浄にすべき表面上にある屑がテープロールの最外テープ層に接着するように、清浄にすべき表面に沿ってテープロールを転動させるステップを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
一実施態様においては、本発明は、図1に示されるような屑除去テープ12のロール10を含む。除去すべき屑としては、小型の粒子状物質、繊維屑、ちり、ほこり、パン屑、毛髪、糸、または清浄にすべき表面上にある望ましくない他の物質を挙げることができる。ロール10は、中心軸15の周囲にある屑除去テープ12の複数の巻付部13を含む。屑除去テープ12は、バッキング14と、軸15から外側に向かう面18上の接着剤層16とを有する。
【0007】
好適なバッキング14の例としては、紙、ポリマーフィルム材料、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンまたはプロピレンのコポリマーなどのポリオレフィン、ポリ(塩化ビニル)およびポリ(塩化ビニリデン)などのハロゲン化ポリマー、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリウレタン、ならびにポリ(酢酸ビニル)および酢酸ビニルコポリマーなどが挙げられる。ポリプロピレンとしては、一軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸ポリプロピレン、同時二軸延伸ポリプロピレン、および未延伸イソタクチックポリプロピレンなどの未延伸ポリプロピレンを挙げることができる。スパンボンドポリエチレンなどの種々の不織合成ポリマーバッキングも使用することができる。バッキング材料は、堆肥化可能または分解性であってよいし、有色であってよいし、印刷されてもよいし、異なる表面テクスチャーを有したりエンボス加工したりすることもできる。
【0008】
バッキング14は、露出した外側の接着剤層16と同じまたは異なる組成の接着剤の固体層または塊状体を含むこともできる。このような実施態様においては、非接着性材料で形成されるバッキング層を必要とせずに、ロールへの巻き付けおよびロールからの巻き出しが可能となるのに十分な凝集強度を接着剤が有する。ブロッキングが発生せずに接着剤の固体層または塊状体をロールから巻き出すことができるようにするため、剥離コーティングまたは剥離ライナーを使用することができる。
【0009】
屑除去テープ12は、少なくとも1つの感圧接着剤層16を含む。接着剤層16は高接着性で低タックの感圧接着剤である。高接着性とは、清浄にすべき表面から除去すべき屑と、接着剤との間に好適な結合が形成され、屑がテープに接着することを意味する。低タックとは、屑の除去を実質的に妨害するほどには、清浄にすべき表面に接着剤が結合しないことを意味する。
【0010】
接着剤層16に適した接着剤の例としては、ホットメルトコーティング配合物、転写コーティング配合物、ソルベントコーティング配合物、およびラテックス配合物が挙げられる。感圧接着剤は、たとえば、天然ゴム、スチレンブタジエン、ブチルゴム、ポリイソブチレン、スチレン系ブロックコポリマー、エチレン−酢酸ビニルおよび関連のコポリマー、ポリ−αオレフィン、アクリル接着剤、シリコーン、ブタジエン−アクリロニトリル、ポリクロロプレン、ポリブタジエン、アタクチックポリプロピレン、または再パルプ化可能な材料を主成分とすることができ、これらは粘着技術ハンドブック第3版(Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology,Third Edition)、ドナタス・セイタス(Donatas Satas)編著、セイタス・アンド・アソシエーツ(Satas & Associates)、1999に記載されている。接着剤と接着技術入門(Adhesion and Adhesives Technology an Introduction),p.216、アルフォンサス(Alphonsus) V.ポシウス(Pocius)、ハンサー・ガードナー・パブリケーションズ・インコーポレイテッド(Hanser Gardner Publications,Inc.)、1997に記載される性質を有するような他の感圧接着剤も接着物品の接着剤層16に使用することができる。
【0011】
接着剤層16中で有用な接着剤の例としては、以下の組成物を主成分とする接着剤が挙げられる:ポリアクリレート、ポリビニルエーテル、ジエン含有ゴム、たとえば天然ゴム、ポリイソプレン、およびポリイソブチレンなど;ポリクロロプレン;ブチルゴム;ブタジエン−アクリロニトリルポリマー;熱可塑性エラストマー;ブロックコポリマー、たとえばスチレン−イソプレンブロックコポリマーおよびスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、エチレン−プロピレンジエンポリマー、ならびにスチレン−ブタジエンポリマーなど;ポリ−α−オレフィン;非晶質ポリオレフィン;シリコーン;エチレン含有コポリマー、たとえばエチレン酢酸ビニル、アクリル酸エチル、およびメタクリル酸エチル;ポリウレタン;ポリアミド;エポキシ;ポリビニルピロリドンおよびビニルピロリドンコポリマー;ポリエステル;ならびに上記のものの混合物。さらに、接着剤は、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、安定剤、顔料、拡散性粒子、硬化剤、および溶媒などの添加剤を含有することができる。
【0012】
あらゆる好適な粘着付与剤を接着剤層16中に混入することができる。好適な粘着付与剤としては、脂肪族樹脂、脂肪族/低芳香族樹脂、およびポリテルペン樹脂が挙げられ、これらは粘着技術ハンドブック第3版(Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology,Third Edition)、ドナタス・セイタス(Donatas Satas)編著、セイタス・アンド・アソシエーツ(Satas & Associates)、1999に記載されている。SISゴムに特に適した樹脂としては、エスコレズ1310(Escorez 1310)(エクソン・モービル・ケミカル(Exxon Mobil Chemical)、テキサス州ヒューストン(Houston TX))およびピコタック95(Piccotac 95)(イーストマン・ケミカル・カンパニー(Eastman Chemical Co.)、テネシー州キングスポート(Kingsport TN))が挙げられる。
【0013】
本発明の高接着性で低タックの接着剤は、少なくとも約56重量%の粘着付与剤含有率を有する。ある実施態様においては、高接着性で低タックの接着剤は約58重量%の粘着付与剤含有率を有する。ある実施態様においては、高接着性で低タックの接着剤が約60重量%の粘着付与剤含有率を有すると好都合となりうる。一般に、接着剤層の粘着付与剤含有率が高いほど、接着性が高くなりタックは低くなる。しかし、60重量%を超える粘着付与剤含有率の場合には、接着剤の混合工程およびコーティング工程において問題が発生することがある。これらの問題が発生しない場合または克服される場合には、接着剤層の所望の材料特性に依存して60重量%を超える粘着付与剤含有率を使用することができる。
【0014】
本発明の接着剤では、好ましくは、ロール10からテープ12が巻き出されるほど十分な接着は、清浄にすべき表面に対して起こらない。したがって、ロール10上の接着剤層16と清浄にすべき表面との間の接着力が、テープをロール上に維持するのに必要な接着力よりも小さいことが望ましい。本明細書に記載される接着テープは、清浄にすべき表面に対する接着剤層16の初期タックおよび接着力を低下させながら、テープの外面に屑を接着するのに十分な接着力をなお維持することによって、上記問題を解消できないとしても軽減するのに役立つ。したがって、本発明の高接着性で低タックの接着剤層は、ASTM D3121に準拠して測定したローリングボールタックが少なくとも約500mmを示すことが好ましく、より好ましくは接着剤層のローリングボールタックが少なくとも約750mmを示す。同様に、本発明の高接着性で低タックの接着剤層は、ASTM D3811−96に準拠して測定した鋼材に対する接着力が少なくとも約5N/10mmとなることが好ましい。
【0015】
一態様においては、本発明の屑除去テープは、布およびカーペット以外の表面などの非多孔性表面から屑を拾い上げるように設計されている。このような表面はほぼ平滑であり、このような平面としては、堅木の床、タイル張りの床、リノリウムの床、木材、プラスチック、セラミック、または石でできた調理台、金属表面、ならびに金属、木材、またはしっくいでできた壁または天井が挙げられるが、これらに限定されるものではない。たとえば、屑除去テープ12は、半導体クリーンルーム製造区域、あるいはその他の製造または工業用区域などに見られる平滑なステンレス鋼表面を清浄にするのに有用である。多孔質表面または織物とは対照的に、このような非多孔性表面では、ロール10の接着剤層16を表面に沿って転動させると、典型的には清浄にすべき表面の実質的な部分が接着剤と接触する。したがって、屑の除去に悪影響を与えるほど強くテープが表面に接着しないことが好都合となる。
【0016】
好ましい実施態様においては、屑除去テープ12は、接着剤層16が外側に向いた複数の巻付部13を有する芯なしロール10に成形することができる。図1に示されるように、好ましくは屑除去テープ12ロール10は、芯およびあらゆる支持材料を含む必要がない。しかし、図4および5に示されるように屑除去テープ12の巻付部13が芯の周りに巻き付けられる場合は、場合によりロール10は芯を含むことができる。ロール10は、場合によりテープ12の巻付部13の間にライナー(図示せず)を含むことができる。
【0017】
図1に示されるように、屑除去テープ12は、屑除去テープ12の第1の面18の幅および長さ全体にわたってコーティングされた接着剤層16を含む。あるいは、テープ12は、図2Aに示されるような非接着領域17および19を含むことができる。非接着領域17および19によって、使用者は、テープ12の最外巻付部13をロール10から分離しやすくなる。非接着領域17は、屑除去テープ12の長さ方向の第1の端部22に沿って延在している。他方の非接着領域19は、屑除去テープ12の第2または反対の端部24の長さに沿って延在している。テープ12は、非接着領域17または19の一方または両方を含むことができる。たとえば、非接着領域17および19は、最初に、テープの残りの部分とともに接着剤をコーティングし、続いてワックス、ラッカー、またはインクを使用して非粘着性にすることができる。あるいは、非接着領域17および19は、接着剤をコーティングせずに残すこともできる。使用者がテープの最外巻付部をロールから分離しやすくするテープ上のあらゆる好適位置に非接着領域が存在することができる。
【0018】
図2Bに示されるように屑除去テープ12は、テープの外部巻付部の使用後に廃棄するときに、屑除去テープ12のその巻付部をロール10から除去しやすくするためのミシン目26を場合により含む。これらのミシン目26は、屑除去テープ12をロール10上に巻き付ける前、またはロール10を形成した後に形成することができる。または、複数の連続する巻付部上のミシン目26は、ロール10上の同じ円周位置または異なる円周位置にあってよい。あるいは、ロール10は、米国特許第5,763,038号明細書に記載されるように、隣接する巻き付け部の長さに対して各巻き付け部の長さが徐々に増加するようなミシン目26を含むこともできる。あるいは、分離したシートを形成するため、およびテープの最外巻付部を除去しやすくするために、テープ12をロール10に形成した後、切れ目(図示せず)をロール全体に形成することもできる。たとえば、この切れ目は、端部を除いてロール10全体に延在することができるし、あるいは、ロール10の中心軸15に最も近い最内巻付部を除いてロール10全体に延在することもできる。
【0019】
図3に示されるように、場合により屑除去テープ12は剥離コーティング28を含む。剥離コーティング28は、テープの最外巻付部の使用後に廃棄するときに、テープ12のその巻付部をロール10から除去しやすくするために、バッキング14の第2の面20上に形成される。接着剤層16のバッキング14に対する接着性を増大させるためのプライマーなどの他の層をテープに加えることができる。また、接着剤の下のバッキング層の第1の面の上に印刷物を配置することができる。この印刷物は、宣伝、使用説明、またはその他の情報であってよい。また、テープは、消臭剤、香料、帯電防止材料、およびカプセル化された洗浄剤を含むことができる。また、バッキング14は、火炎処理、コロナ処理、および粗面化などの改質を行うことができる。
【0020】
図4に示されるように、ロール10は、アプリケーター30上に搭載することができる。あらゆる好適なアプリケーターをロール10に使用することができる。図4に示されるアプリケーター30は、取っ手部分32とテープ受け部分34とを備えている。屑除去テープ12のロール10を、アプリケーター30のテープ受け部分34上まで滑らせることができる。取っ手部分32は、あらゆる形状を有することができ、手に適合した人間工学的な輪郭を有することができる。取っ手部分32は、近位端36と接続端38とを有する。自由端36は、保管時にアプリケーター30をフックに掛けることができるようにするための開口部40を有することができる。
【0021】
テープ受け部分34も、遠位端42と接続端44とを含む。取っ手部分32の接続端38が、テープ受け部分34の接続端44と接続される。テープ受け部分34は、遠位端42と接続端44との間に延在するテープ受け面(図示せず)を含む。好ましくは、このテープ受け面は円筒形であり、テープロール10を支持する。しかし、テープ受け面は、テープロール10を所定の位置に維持するのに有用な平面または曲面にすることもできる。
【0022】
ロール10をアプリケーター30に取り付けやすくするために、遠位端42は、テーパー部分52を有する外部リップ50を有する。テーパー部分52は、遠位方向で直径が減少するテーパーを有する。好ましい実施態様においては、このテーパーは、中心軸15に対して約5°〜約15°の範囲の角度となることができる。このテーパーによって、テープの内部巻付部を損傷したり、ロール10が崩壊したりすることなく塩異端42上にロール10を取り付けることができる。
【0023】
ロール10が芯なしで伸縮性の場合には、わずかに大きな寸法のテーパー付き外部リップ50上に引き延ばすことができ、この外部リップは場合により圧縮性および可撓性であってよい。一実施態様においては、外部リップ50の最大直径は、テープ受け部分34の直径よりも5%を超えて大きくテープロール10の内径は、テープ受け部分34の直径よりも大きいが、外部リップ50の最大直径よりは小さい。ロール10が所定の位置に取り付けられると、テープは元の寸法に戻る。
【0024】
アプリケーターの別の実施態様が、図5において60で概略的に示されている。アプリケーター60は、取っ手部分62、テープ受け部分64、およびヨーク72を備えている。取っ手部分62は、ヨーク72の中央部分に接続され、そこから延在している。ヨーク72は、テープ受け部分64の端部82(一方のみしか示していない)と回転自在に係合する互いに離れた第1および第2の遠位端部分74および76を備える。ロール10が表面(図示せず)に触れたときに、ロール10が自由に回転できるように、ロール10がテープ受け部分64の上に配置される。
【0025】
取っ手部分62は、あらゆる形状を有することができ、手に適合した人間工学的な輪郭を有することができる。取っ手部分62は自由端66を有する。取っ手部分62の自由端66は、好ましくは中空であり、保管時にアプリケーター60をフックに掛けることができるようにするための開口部68を含む。アプリケーター60は、場合により取っ手部分の自由端66に差し込み口70を有することができる。この差し込み口70は、より長い取っ手(図示せず)にアプリケーター60を取り付けるために使用することができる。
【0026】
新しい屑除去テープロール10をアプリケーター60に取り付ける場合には、末端部分74、76を広げて、テープ受け部分64をヨーク72からはずす。次に、新しいロール10をテープ受け部分64まで滑り込ませる。この新しいテープ10およびテープ受け部分64を、ヨーク72の末端部分74、76の間に挿入する。この後、ロール10およびテープ受け部分64はヨーク72内で自由に回転することができる。
【0027】
以下の実施例と関連させて本発明の実施についてさらに説明する。この実施例は、種々の具体的で好ましい実施態様および技術の一部をさらに説明するために提供している。しかし、本発明の範囲内で多くの変形および修正が可能であることを理解されたい。
【実施例】
【0028】
テネシー州キングスポートのイーストマン・ケミカル・カンパニー(Eastman Chemical Co.,Kingsport、TN)より入手可能な100部の粘着付与剤(ピコタック(Piccotac)(登録商標)95を、4部の酸化防止剤(ニューヨーク州タリータウンのチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals,Tarrytown,NY)より入手可能な2部のイルガノックス(Irganox)(登録商標)1076、およびニュージャージー州ウエストパターソンのサイテック・インダストリーズ・インコーポレイテッド(Cytec Industries,Inc.West Patterson,NJ)より入手可能な2部のサイアノックス(Cyanox)(登録商標)LTDP)と混合することによって、樹脂プレミックスを調製した。この樹脂プレミックスに、ゴム剤、特にクレイトン(Kraton)(登録商標)1107(テキサス州ヒューストンのクレイトン・ポリマーズ(Kraton Polymers,Houston,TX)より入手可能)を加えた。この樹脂プレミックスとゴム剤とを混合して接着剤を作製した。低接着バックサイズを有する繊維屑テープフィルムの試料上にこの接着剤をホットメルトコーティングした。この試料を、30個のシート状繊維屑テープ補充ロールにした。
【0029】
リノリウムおよびカーペットの床面を試験表面として使用した。次に、上記テープロール試料について、清浄にすべき表面に対する接着傾向を試験した。少なくとも2パスの前後運動を使用して、テープロール組立体を表面に対して転動させ、1回のロールの前後運動が1パスとなる。各ストロークは、最小18インチから最大約36インチまでの長さで変動させることができた。各パスは、1パス当たり約2または3秒の比較的高速で行った。いずれかのパス中にテープが表面に接着しロール組立体から巻き出された場合に、1ポイントを割り当てた。ロール1つ当たりこの試験を5回繰り返し、毎回試験の間にロールの外側から汚れたすべてのテープを取り外した。巻き出し回数の合計を、完全に0(すべての試験で巻き出しなし)から5(各試験ごとに巻き出される)の試験等級で記録した。
【0030】
すべての試料はカーペット表面に接着せず、したがって、各試料のカーペットに対する巻き出し傾向は0であった。リノリウムフローリング表面における試験結果を表1に示している。典型的には約53重量%未満の低い粘着付与剤含有率では、テープ試料はリノリウムに接着してロールから巻き出される傾向にあった。しかし、表1に記載の結果から、配合物の粘着付与剤含有率が増加すると、巻き出し傾向が減少することが分かる。
【0031】
【表1】

【0032】
表1に示されるテープロール試料のテープ特性を表2に示す。ASTM D3330/D 3330M−96の試験方法Aに準拠し、30.5センチメートル/分の剥離力で、ステンレス鋼に対する接着力を測定した。テープロール試料は、ステンレス鋼板に適用し、180°剥離試験においてその板から剥離した。ASTM D 3811−96に準拠して巻き出し力を測定した。つかみ具を使用して、インストロン(Instron)5565引張試験機の下部クランプに芯なし屑除去テープロールを取り付けた。幅10.16cmの試料に対して30.5センチメートル/分の巻き出し速度で巻き出し試験を行った。長いローリング距離に対応させるためにさらに長いテープを使用するよう修正したASTM D3121に準拠して、テープの接着剤層側のローリングボールタックを測定した。
【0033】
【表2】

【0034】
表2に示すデータから、一定のコーティング重量において、接着剤の粘着付与剤含有率が増加すると、接着力は一般に増加し、タックは一般に減少したことが分かる。驚くべきことに、巻き出しの傾向は、試験した範囲内の接着剤コーティングの重量とは比較的独立している。
【0035】
以上の試験および試験結果は、予測的なものではなく、単に説明のみを意図しており、試験手順のばらつきによって異なる結果が得られると考えることができる。
【0036】
実施可能な説明が可能となる、本発明者によって予見されるいくつかの具体的実施態様を参照しながら、本発明を説明してきた。にもかかわらず、現在予見されていない本発明の想像上の修正が、それらの同等物を構成しうる。したがって、本発明の範囲は本明細書に記載されている詳細および構造に限定されるべきではなく、むしろ請求項およびその同等物によってのみ限定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の屑除去テープのロールの一実施態様の斜視図である。
【図2A】屑除去テープの一部の上面図である。
【図2B】屑除去テープの一部の上面図である。
【図3】屑除去テープの別の実施態様の拡大断面図である。
【図4】アプリケーターに搭載した本発明の屑除去テープのロールの斜視図である。
【図5】別のアプリケーターに搭載した本発明の屑除去テープのロールの斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
清浄にすべき表面から屑を除去するためのテープであって、
バッキングと、
少なくとも約56重量%の粘着付与剤を含む感圧接着剤層とを含み、
表面に実質的に接着することなく前記表面から屑を除去するように構成されたテープ。
【請求項2】
前記接着剤層が少なくとも約58重量%の粘着付与剤を含む、請求項1に記載のテープ。
【請求項3】
前記接着剤層が少なくとも約60重量%の粘着付与剤を含む、請求項1に記載のテープ。
【請求項4】
前記接着剤層が60重量%を超える粘着付与剤を含む、請求項1に記載のテープ。
【請求項5】
前記接着剤層の、ASTM D3121に準拠したローリングボールタック距離が少なくとも約500mmとなる、請求項1に記載のテープ。
【請求項6】
前記接着剤層の、ASTM D3121に準拠したローリングボールタック距離が少なくとも約750mmとなる、請求項1に記載のテープ。
【請求項7】
前記接着剤層の、ASTM D3121に準拠したローリングボールタック距離が少なくとも約1000mmとなる、請求項1に記載のテープ。
【請求項8】
前記接着剤層の、ASTM D3330/D3330Mに準拠したステンレス鋼に対する接着力が少なくとも約5N/10mmとなる、請求項1に記載のテープ。
【請求項9】
前記清浄にすべき表面が非多孔性表面を含む、請求項1に記載のテープ。
【請求項10】
複数のテープ層であって、各テープ層が隣接する下層から除去可能である複数のテープ層と、
各層の外側の表面に接着された接着剤コーティングとを含むテープロールであって、前記接着剤コーティングが少なくとも約56重量%の粘着付与剤を含むテープロール。
【請求項11】
前記接着剤コーティングが少なくとも約58重量%の粘着付与剤を含む、請求項10に記載のテープロール。
【請求項12】
前記接着剤コーティングが少なくとも約60重量%の粘着付与剤を含む、請求項10に記載のテープロール。
【請求項13】
前記接着剤コーティングが60重量%を超える粘着付与剤を含む、請求項10に記載のテープロール。
【請求項14】
前記接着剤コーティングの、ASTM D3121に準拠したローリングボールタック距離が少なくとも約500mmとなる、請求項10に記載のテープロール。
【請求項15】
前記接着剤コーティングの、ASTM D3121に準拠したローリングボールタック距離が少なくとも約750mmとなる、請求項10に記載のテープロール。
【請求項16】
前記接着剤コーティングの、ASTM D3121に準拠したローリングボールタック距離が少なくとも約1000mmとなる、請求項10に記載のテープロール。
【請求項17】
前記接着剤コーティングの、ASTM D3330/D3330Mに準拠したステンレス鋼に対する接着力が少なくとも約5N/10mmとなる、請求項10に記載のテープロール。
【請求項18】
清浄にすべき表面から屑を除去するためのテープロールであって、
複数のテープ層であって、各テープ層が隣接する下層から除去可能である複数のテープ層と、
各層の外側の表面に接着された、少なくとも約56重量%の粘着付与剤を含む接着剤コーティングとを含み、
前記隣接する下層から実質的に巻き出されることなく、最外テープ層の前記接着剤コーティングが、前記清浄にすべき表面から屑を除去するテープロール。
【請求項19】
前記清浄にすべき表面が非多孔性表面を含む、請求項18に記載のテープロール。
【請求項20】
前記接着剤コーティングが少なくとも約58重量%の粘着付与剤を含む、請求項18に記載のテープロール。
【請求項21】
前記接着剤コーティングが少なくとも約60重量%の粘着付与剤を含む、請求項18に記載のテープロール。
【請求項22】
前記接着剤コーティングが60重量%を超える粘着付与剤を含む、請求項18に記載のテープロール。
【請求項23】
前記接着剤コーティングの、ASTM D3121に準拠したローリングボールタック距離が少なくとも約500mmとなる、請求項18に記載のテープロール。
【請求項24】
前記接着剤コーティングの、ASTM D3121に準拠したローリングボールタック距離が少なくとも約750mmとなる、請求項18に記載のテープロール。
【請求項25】
前記接着剤コーティングの、ASTM D3121に準拠したローリングボールタック距離が少なくとも約1000mmとなる、請求項18に記載のテープロール。
【請求項26】
前記接着剤コーティングの、ASTM D3330/D3330Mに準拠したステンレス鋼に対する接着力が少なくとも約5N/10mmとなる、請求項18に記載のテープロール。
【請求項27】
清浄にすべき表面から屑を除去するためのテープロールであって、
複数のテープ層であって、各テープ層が隣接する下層から除去可能である複数のテープ層と、
各層の外側の表面に接着された、少なくとも約56重量%の粘着付与剤を含む接着剤コーティングとを含み、前記接着剤コーティングによって、前記清浄にすべき表面上に含まれる屑が最外テープ層に接着し、前記最外テープ層は、前記清浄にすべき表面に実質的に接着しないテープロール。
【請求項28】
前記清浄にすべき表面が非多孔性表面を含む、請求項27に記載のテープロール。
【請求項29】
前記接着剤コーティングが少なくとも約58重量%の粘着付与剤を含む、請求項27に記載のテープロール。
【請求項30】
前記接着剤コーティングが少なくとも約60重量%の粘着付与剤を含む、請求項27に記載のテープロール。
【請求項31】
前記接着剤コーティングが60重量%を超える粘着付与剤を含む、請求項27に記載のテープロール。
【請求項32】
前記接着剤コーティングの、ASTM D3121に準拠したローリングボールタック距離が少なくとも約500mmとなる、請求項27に記載のテープロール。
【請求項33】
前記接着剤コーティングの、ASTM D3121に準拠したローリングボールタック距離が少なくとも約750mmとなる、請求項27に記載のテープロール。
【請求項34】
前記接着剤コーティングの、ASTM D3121に準拠したローリングボールタック距離が少なくとも約1000mmとなる、請求項27に記載のテープロール。
【請求項35】
前記接着剤コーティングの、ASTM D3330/D3330Mに準拠したステンレス鋼に対する接着力が少なくとも約5N/10mmとなる、請求項27に記載のテープロール。
【請求項36】
清浄にすべき表面から汚染物質を除去する方法であって、
複数のテープ層であって、各テープ層が隣接する下層から除去可能である複数のテープ層と、
各層の外側の表面に接着された接着剤コーティングとを含み、前記接着剤コーティングが少なくとも約56重量%の粘着付与剤を含むテープロールを提供するステップと、
前記接着剤コーティングによって、前記清浄にすべき表面上に含まれる屑が前記テープロールの最外テープ層に接着するように、前記テープロールを前記清浄にすべき表面に沿って転動させるステップとを含む方法。
【請求項37】
前記最外テープ層上の前記接着剤コーティングが、前記清浄にすべき表面に対するよりも、前記下層に対して強く接着する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記接着剤コーティングが少なくとも約58重量%の粘着付与剤を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記接着剤コーティングが少なくとも約60重量%の粘着付与剤を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記接着剤コーティングが60重量%を超える粘着付与剤を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記接着剤コーティングの、ASTM D3121に準拠したローリングボールタック距離が少なくとも約500mmとなる、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記接着剤コーティングの、ASTM D3121に準拠したローリングボールタック距離が少なくとも約750mmとなる、請求項36に記載の方法。
【請求項43】
前記接着剤コーティングの、ASTM D3121に準拠したローリングボールタック距離が少なくとも約1000mmとなる、請求項36に記載の方法。
【請求項44】
前記接着剤コーティングの、ASTM D3330/D3330Mに準拠したステンレス鋼に対する接着力が少なくとも約5N/10mmとなる、請求項36に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−507346(P2007−507346A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533850(P2006−533850)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/026358
【国際公開番号】WO2005/040298
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】