山留め壁の構築方法及び山留め壁
【課題】環境に与える影響が少なく、かつ、低コストで安全に施工できる山留め壁及びその構築方法を提供する。
【解決手段】 ソイルセメント柱列壁1は、時間の経過とともに硬化する硬化材を所定の間隔で地盤内に打設して構築されたソイルセメント柱列部1Aと、継手を有し、隣接するソイルセメント柱列部1A間の地盤内の帯水層の砂層4よりも浅い深度で不通水層の粘土層3に設置された第1の止水用鋼材9と、第1の止水用鋼材9の継手に係合されるとともに、ソイルセメント柱列部1A内に設置された第2の止水用鋼材7a、7bとを備える。
【解決手段】 ソイルセメント柱列壁1は、時間の経過とともに硬化する硬化材を所定の間隔で地盤内に打設して構築されたソイルセメント柱列部1Aと、継手を有し、隣接するソイルセメント柱列部1A間の地盤内の帯水層の砂層4よりも浅い深度で不通水層の粘土層3に設置された第1の止水用鋼材9と、第1の止水用鋼材9の継手に係合されるとともに、ソイルセメント柱列部1A内に設置された第2の止水用鋼材7a、7bとを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤内の地下水の流動阻害を防止可能な山留め壁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地下構造物を開削工法等にて構築する際は、遮水性の土留め壁が地盤内に形成され、作業領域内への地下水の浸入を防止している。しかし、土留め壁を形成することにより、地盤内の地下水の流動を阻害するので、土留め壁の下流側に地下水が流れなくなり、下流側の井戸の水位が低下したり、地盤沈下が生じるという問題点があった。そこで、土留め壁の帯水層に位置する部分に開口部を設けて、地下水を下流に通水させている。
【0003】
例えば、特許文献1には、帯水層よりも深い所定の深度までの止水壁と、帯水層よりも浅い深度までの壁とからなる土留め壁を形成するとともに、帯水層を含む地盤を凍結させて地下水の流れを遮断し、地下構造物を構築すると、凍結した地盤を解凍して地下水を下流側に通水する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ソイルセメントからなる土留め壁に、その構築時又は構築後に、所望の間隔を隔てて縦向きの作業孔を形成し、その作業孔に水等の衝撃伝達材を注入するとともにプラズマ発生用電力を供給するためのプローブを挿入し、これに電力を供給してプラズマによる衝撃波を発生させて遮水性土留め壁を破砕し、この破砕により生じた隙間を介して地下水を下流側に通水する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2000−136528号公報
【特許文献2】特開2004−124575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、帯水層を含む広い範囲の地盤を凍結するので、地盤内に生息する生き物や植物に悪影響をおよぼす可能性があるという問題点があった。さらに、広い範囲を長期間にわたって凍結しなければならないので、設備投資費及び維持管理費がかかり、施工費が高くなるという問題点もあった。
【0006】
また、特許文献2に記載の方法では、プラズマ電力を発生させるための装置が高額なので設備投資費が高くなるという問題点があった。さらに、雨天時等には周囲に漏電する可能性があるという問題点もあった。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、環境に与える影響が少なく、かつ、低コストで安全に施工できる山留め壁及びその構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明の山留め壁の構築方法は、地下水の流動阻害を防止する山留め壁の構築方法において、前記山留め壁の構築予定位置の所定の箇所の地盤内に、継手を有する第1の止水用鋼材を打設する第1の設置工程と、前記第1の止水用鋼材を打設した箇所を除く前記構築予定位置に、時間が経過すると硬化して前記山留め壁を構成する硬化材を流動状態で打設する打設工程と、継手を有する第2の止水用鋼材をその継手が前記第1の止水用鋼材の継手と係合するように、流動状態の前記硬化材内に打設する第2の設置工程と、前記第1の止水用鋼材を地下水が通水可能な所定の深度まで引き上げる引上工程とを備えることを特徴とする。(第1の発明)。
【0009】
本発明による山留め壁の構築方法によれば、第1の止水用鋼材を帯水層の存在する深度よりも浅い所定の深度まで引き上げるので、工事終了後は、地下水が帯水層を通水可能となり、土留め壁の上流側の地下水を下流側へ通水することができる。
また、第1の止水用鋼材は地盤内に設置されており、土留め壁の内部に設置されていないので、容易に引き上げることができる。
【0010】
さらに、第1及び第2の設置工程や引上工程は、一般的な土留め壁の構築時に使用される打設機やクレーン等の機械を用いて行うことができるので、新たに設備投資費がかからない。また、これらの作業は、手間がかからず短時間で施工することができるので、従来の流動阻害を防止可能な土留め壁よりも短期間で構築できる。したがって、工期が短くなり、施工費を低減することができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記係合した継手に遮水性を有する止水材を設ける止水工程を更に備えることを特徴とする。
本発明による山留め壁の構築方法によれば、第1の止水用鋼材の継手と第2の止水用鋼材の継手とが係合した継手に遮水性を有する止水材を設けるので、継手を遮水することができる。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、前記止水材は、固化することなく変形自在な性状を維持することを特徴とする。
本発明による山留め壁の構築方法によれば、止水材は、固化することなく変形自在な性状を維持するので、止水用鋼材を鉛直方向や水平方向へ移動させても、移動後の止水用鋼材の継手の形状に追随して変形し、継手を確実に遮水することができる。
【0013】
また、止水材は変形自在なので、第1の止水用鋼材を引き上げる際にも抵抗を生じることなく容易に引き上げることができる。したがって、第1の止水用鋼材を引き上げるときに第2の止水用鋼材に振動や衝突等の衝撃を与えないので、第2の止水用鋼材が埋設されている土留め壁を傷つけることがない。
【0014】
第4の発明の山留め壁は、地下水の流動阻害を防止する山留め壁であって、時間の経過とともに硬化する硬化材を所定の間隔で地盤内に打設して構築された壁部と、継手を有し、隣接する前記壁部間の地盤内の所定の帯水層よりも浅い深度に設置された第1の止水用鋼材と、継手を有し、その継手が前記第1の止水用鋼材の継手に係合されるとともに、前記壁部内に設置された第2の止水用鋼材とを備えることを特徴とする。
【0015】
第5の発明は、第4の発明において、前記係合する継手内は、固化することなく変形自在な性状を維持するとともに、遮水性を有する止水材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の山留め壁の構築方法を用いることにより、環境に与える影響が少なく、かつ、低コストで地下水の流動阻害を防止可能な土留め壁を構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の山留め壁の構築方法の好ましい実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、山留め壁であるソイルセメント柱列壁を地山に設置した場合について説明するが、本発明は、RC等の山留め壁にも適用することができる。
【0018】
図1及び図2は、それぞれ本発明の実施形態に係るソイルセメント柱列壁1を示す斜視断面図及び縦断面図である。
【0019】
図1及び図2に示すように、ソイルセメント柱列壁1は、時間の経過とともに硬化する硬化材を所定の間隔で地盤内に打設して構築されたソイルセメント柱列部1Aと、継手を有し、隣接するソイルセメント柱列部1A間の地盤内の帯水層の砂層4よりも浅い深度で不通水層の粘土層3に設置された第1の止水用鋼材9と、継手を有し、第1の止水用鋼材9の継手に係合されるとともに、ソイルセメント柱列部1A内に設置された第2の止水用鋼材7a、7bとを備える。
【0020】
ソイルセメント柱列部1Aは、粘土層3及び砂層4を貫通して不通水層の土丹層5の上部に到達するように構築されている。
【0021】
第2の止水用鋼材7a、7bは、ソイルセメント柱列部1Aとほぼ同じ深さになるように設置されている。
【0022】
第1の止水用鋼材9は、砂層4よりも浅い深度の粘土層3に設置されているので、ソイルセメント柱列壁1の上流側の地下水は、ソイルセメント柱列部1A間の砂層4を通過して下流側に流れることができる。
【0023】
第2の止水用鋼材7a、7bの継手と第1の止水用鋼材9の継手とが係合した継手部10内は、地下水がこの継手部10内を通過してソイルセメント柱列壁1で囲まれた内側、つまり、掘削予定箇所6に流入しないように止水材12で充填されている。
【0024】
本実施形態においては、第1の止水用鋼材9及び第2の止水用鋼材7a、7bとして、両端に継手を有するシートパイルを用いたが、これに限定されるものではなく、鋼管矢板、鋼矢板等を用いてもよい。
【0025】
なお、第1の止水用鋼材9は、ソイルセメント柱列壁1で囲まれた内側に地下構造物2を構築する際は、この内側への地下水の流入を防止するために粘土層3及び砂層4を貫通して土丹層5に到達するように設置されており、地下構造物2を構築した後に、砂層4の地下水を通水するために粘土層3まで引き上げたものである(詳細は後述する)。第1の止水用鋼材9の設置位置等は、設計により決定され、各現場により異なる。
【0026】
次に、上述したソイルセメント柱列壁1の構築方法について説明する。
図3〜図9は、本実施形態に係るソイルセメント柱列壁1の構築手順を示す図である。
【0027】
まず、図3に示すように、地上に設置された打設機8で、ソイルセメント柱列壁1の構築予定位置18の所定の箇所に、第1の止水用鋼材9を打設する。
第1の止水用鋼材9の打設は、その止水用鋼材の下端が土丹層5に到達するまで行う。
【0028】
次に、図4に示すように、第1の止水用鋼材9の両側の構築予定位置18に、柱列状の孔を削孔し、この孔にセメントミルクを充填して、土中に土を骨材とするソイルセメント柱列部1Aを構築する。
ソイルセメント柱列部1Aは、粘土層3及び砂層4を貫通して土丹層5の上部に到達するように構築される。
【0029】
次に、図5A及び図5Bに示すように、打設機8で、第2の止水用鋼材7aを第1の止水用鋼材9の継手と係合するように、流動状態のソイルセメント内に打設する。第2の止水用鋼材7aの打設は、第1の止水用鋼材9の一方の継手と第2の止水用鋼材7aの継手とを係合しつつ、第2の止水用鋼材7aの下端がソイルセメント柱列部1Aの下端とほぼ同じ深さに到達するまで行う。
【0030】
また、上述した第2の止水用鋼材7aと同様に、第2の止水用鋼材7bを設置する。第2の止水用鋼材7bも、第1の止水用鋼材9の他方の継手と第2の止水用鋼材7bの継手とを係合しつつ、第2の止水用鋼材7bの下端がソイルセメント柱列部1Aの下端とほぼ同じ深さに到達するまで打設する。
【0031】
次に、図6A及び図6Bに示すように、第2の止水用鋼材7a、7bの打設されているソイルセメント柱1aに隣接するソイルセメント柱1bにH型鋼11を建て込む。H型鋼11の建て込みは、H型鋼11の下端がソイルセメント柱列壁1の下端とほぼ同じ深さに到達するまで行う。
【0032】
次に、継手部10内に止水材12を充填する。図示しないが、止水材12を注入する注入管を継手部10内の孔底まで挿入し、注入管を徐々に引き上げながら管先端から継手部10内に止水材12を充填する。止水材12は継手部10内に充填され、両継手の内周面に押し付けられて密着し、止水性を発揮する。
【0033】
なお、本実施形態においては、第1の止水用鋼材9及び第2の止水用鋼材7a、7bを打設した後に、止水材を継手部10内に充填して継手部10を止水する方法について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、第2の止水用鋼材7a、7bを打設する前に、予めそれらの継手に水膨潤性遮水材を塗布し、すでに先行して地盤に打設された第1の止水用鋼材9の継手と係合するように第2の止水用鋼材7a、7bを打設し、打設した後に、水膨潤性遮水材が地中の水分を吸収して膨潤し、第1の止水用鋼材9の継手の内周面又は外周面等に密着することにより止水する方法を用いてもよい。
【0034】
止水材12は、砂と水と高膨潤性ベントナイトとを混合してなるものであり、適度の粘性を有するとともに比重が大きいので(1.8〜2.0t/m3)、充填性にも優れており、良好な施工性を有する。また、止水材12は、砂を含んでいるので、圧密されても体積が小さくなりにくく、しかも膨潤した高膨潤性ベントナイトの粒子を介して砂の粒子同士が擦れ合って、変形追随性を有するので、第1の止水用鋼材9を引き上げても(後述する)継手部10は止水性能を維持する。
【0035】
次に、図7に示すように、ソイルセメント柱列壁1Aが硬化した後に、地下構造物2の構築工事中の地下水を下流側に通水するための送水手段14をソイルセメント柱列壁1の周囲に構築し、上流側の地下水を下流側に通水する。
【0036】
送水手段14は、上流側の地下水を揚水する揚水井15と、揚水井15から揚水した地下水を下流側に復水するための復水井16と、揚水井15から揚水した地下水を復水井16に送給するための送水管17とから構成される。
【0037】
揚水井15は、図示しないが、揚水ポンプと、この揚水ポンプから吐出する吐出量を測定するための揚水流量計と、地下水位を測定するための水位計とを備えている。
復水井16には、図示しないが、復水される復水量を測定するための復水流量計と、地下水位を測定するための水位計とを備えている。
送水管17は、揚水井15と復水井16とを接続し、揚水井15から揚水される地下水を大気に触れさせることなく復水井16に送水する。ある揚水井15から揚水された地下水は送水管17を介してすべての復水井16へ復水できるように連結されている。
【0038】
次に、図8に示すように、ソイルセメント柱列壁1に取り囲まれた掘削予定箇所6を掘削して空洞部を形成し、この空洞部に地下構造物2を構築する。
【0039】
最後に、図9に示すように、第1の止水用鋼材9の下端が粘土層3内に到達するまで第1の止水用鋼材9をクレーン19で引き上げて、上流側の砂層4内の地下水が下流側に流通できるようにする。そして、揚水井15からの揚水を停止し、揚水井15の地下水位と復水井16の地下水位を比較して、ソイルセメント柱列壁1の上流側の地下水のすべてが下流側に流水していることを確認し、通水手段14を撤去する。
【0040】
以上説明した本実施形態における山留め壁の構築方法によれば、第1の止水用鋼材9を粘土層3まで引き上げるので、工事終了後は、ソイルセメント柱列壁1の上流側の地下水を下流側へ通水することができる。
【0041】
また、第1の止水用鋼材9は地盤内に設置されており、ソイルセメント柱列部1A内に設置されていないので、容易に引き上げることができる。
【0042】
さらに、第1及び第2の止水用鋼材9、7a、7bを打設する作業や第1の止水用鋼材9を引き上げる作業は、一般的な土留め壁の構築時に使用される打設機8やクレーン19等の重機を用いて行うことができるので、新たに設備投資費がかからない。また、これらの作業は、手間がかからず短時間で施工することができるので、従来の流動阻害を防止可能な土留め壁よりも短期間で構築できる。したがって、工期が短くなり、施工費を低減することができる。
【0043】
そして、継手部10内に充填される止水材12は、固化することなく変形自在な性状を維持するので、第1の止水用鋼材9を引き上げても、止水材12が移動後の第1の止水用鋼材9の継手部10の形状に追随して変形して、継手部10を確実に遮水することができる。
【0044】
また、止水材12は変形自在なので、第1の止水用鋼材9を引き上げる際にも抵抗を生じることなく容易に引き上げることができる。したがって、第1の止水用鋼材9を引き上げるときに第2の止水用鋼材7a、7bに振動や衝突等の衝撃を与えないので、第2の止水用鋼材7a、7bが埋設されているソイルセメント柱列部1Aを傷つけることがない。
【0045】
さらに、ソイルセメント柱列壁1に近接するように地下構造物2が構築されていても、この地下構造物2を損傷することなく第1の止水用鋼材9を引き上げることができる。
【0046】
なお、本実施形態においては、粘土層3と砂層4と土丹層5とからなる地盤に本発明を適用した場合について説明したが、この地層に限定されるものではなく、例えば、すべて砂層4、つまり帯水層からなる地盤であってもよい。
【0047】
また、本実施形態においては、第1の止水用鋼材9を1本のみ使用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、複数本を連結してもよく、隣接するソイルセメント柱列部1A間を通過させる地下水の通水量等に応じて適宜変更する。
【0048】
さらに、本実施形態においては、第1の止水用鋼材9及び第2の止水用鋼材7a、7bの継手の形状が略C字型の管状の場合について説明したが、この形状に限定されるものではなく、例えば、コ字型やT字型等の板状の形状でもよく、一般的な継手形状を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態に係るソイルセメント柱列壁を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係るソイルセメント柱列壁を示す縦断面図である。
【図3】本実施形態に係るソイルセメント柱列壁の構築手順を示す図である。
【図4】本実施形態に係るソイルセメント柱列壁の構築手順を示す図である。
【図5A】本実施形態に係るソイルセメント柱列壁の構築手順を示す図である。
【図5B】本実施形態に係るソイルセメント柱列壁の構築手順を示す図である。
【図6A】本実施形態に係るソイルセメント柱列壁の構築手順を示す図である。
【図6B】本実施形態に係るソイルセメント柱列壁の構築手順を示す図である。
【図7】本実施形態に係るソイルセメント柱列壁の構築手順を示す図である。
【図8】本実施形態に係るソイルセメント柱列壁の構築手順を示す図である。
【図9】本実施形態に係るソイルセメント柱列壁の構築手順を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 ソイルセメント柱列壁
1A ソイルセメント柱列部
1a、1b ソイルセメント柱
2 地下構造物
3 粘土層
4 砂層
5 土丹層
6 掘削予定箇所
7a、7b 第2の止水用鋼材
8 打設機
9 第1の止水用鋼材
10 継手部
11 H型鋼
12 止水材
14 送水手段
15 揚水井
16 復水井
17 送水管
18 構築予定位置
19 クレーン
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤内の地下水の流動阻害を防止可能な山留め壁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地下構造物を開削工法等にて構築する際は、遮水性の土留め壁が地盤内に形成され、作業領域内への地下水の浸入を防止している。しかし、土留め壁を形成することにより、地盤内の地下水の流動を阻害するので、土留め壁の下流側に地下水が流れなくなり、下流側の井戸の水位が低下したり、地盤沈下が生じるという問題点があった。そこで、土留め壁の帯水層に位置する部分に開口部を設けて、地下水を下流に通水させている。
【0003】
例えば、特許文献1には、帯水層よりも深い所定の深度までの止水壁と、帯水層よりも浅い深度までの壁とからなる土留め壁を形成するとともに、帯水層を含む地盤を凍結させて地下水の流れを遮断し、地下構造物を構築すると、凍結した地盤を解凍して地下水を下流側に通水する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ソイルセメントからなる土留め壁に、その構築時又は構築後に、所望の間隔を隔てて縦向きの作業孔を形成し、その作業孔に水等の衝撃伝達材を注入するとともにプラズマ発生用電力を供給するためのプローブを挿入し、これに電力を供給してプラズマによる衝撃波を発生させて遮水性土留め壁を破砕し、この破砕により生じた隙間を介して地下水を下流側に通水する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2000−136528号公報
【特許文献2】特開2004−124575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、帯水層を含む広い範囲の地盤を凍結するので、地盤内に生息する生き物や植物に悪影響をおよぼす可能性があるという問題点があった。さらに、広い範囲を長期間にわたって凍結しなければならないので、設備投資費及び維持管理費がかかり、施工費が高くなるという問題点もあった。
【0006】
また、特許文献2に記載の方法では、プラズマ電力を発生させるための装置が高額なので設備投資費が高くなるという問題点があった。さらに、雨天時等には周囲に漏電する可能性があるという問題点もあった。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、環境に与える影響が少なく、かつ、低コストで安全に施工できる山留め壁及びその構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明の山留め壁の構築方法は、地下水の流動阻害を防止する山留め壁の構築方法において、前記山留め壁の構築予定位置の所定の箇所の地盤内に、継手を有する第1の止水用鋼材を打設する第1の設置工程と、前記第1の止水用鋼材を打設した箇所を除く前記構築予定位置に、時間が経過すると硬化して前記山留め壁を構成する硬化材を流動状態で打設する打設工程と、継手を有する第2の止水用鋼材をその継手が前記第1の止水用鋼材の継手と係合するように、流動状態の前記硬化材内に打設する第2の設置工程と、前記第1の止水用鋼材を地下水が通水可能な所定の深度まで引き上げる引上工程とを備えることを特徴とする。(第1の発明)。
【0009】
本発明による山留め壁の構築方法によれば、第1の止水用鋼材を帯水層の存在する深度よりも浅い所定の深度まで引き上げるので、工事終了後は、地下水が帯水層を通水可能となり、土留め壁の上流側の地下水を下流側へ通水することができる。
また、第1の止水用鋼材は地盤内に設置されており、土留め壁の内部に設置されていないので、容易に引き上げることができる。
【0010】
さらに、第1及び第2の設置工程や引上工程は、一般的な土留め壁の構築時に使用される打設機やクレーン等の機械を用いて行うことができるので、新たに設備投資費がかからない。また、これらの作業は、手間がかからず短時間で施工することができるので、従来の流動阻害を防止可能な土留め壁よりも短期間で構築できる。したがって、工期が短くなり、施工費を低減することができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記係合した継手に遮水性を有する止水材を設ける止水工程を更に備えることを特徴とする。
本発明による山留め壁の構築方法によれば、第1の止水用鋼材の継手と第2の止水用鋼材の継手とが係合した継手に遮水性を有する止水材を設けるので、継手を遮水することができる。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、前記止水材は、固化することなく変形自在な性状を維持することを特徴とする。
本発明による山留め壁の構築方法によれば、止水材は、固化することなく変形自在な性状を維持するので、止水用鋼材を鉛直方向や水平方向へ移動させても、移動後の止水用鋼材の継手の形状に追随して変形し、継手を確実に遮水することができる。
【0013】
また、止水材は変形自在なので、第1の止水用鋼材を引き上げる際にも抵抗を生じることなく容易に引き上げることができる。したがって、第1の止水用鋼材を引き上げるときに第2の止水用鋼材に振動や衝突等の衝撃を与えないので、第2の止水用鋼材が埋設されている土留め壁を傷つけることがない。
【0014】
第4の発明の山留め壁は、地下水の流動阻害を防止する山留め壁であって、時間の経過とともに硬化する硬化材を所定の間隔で地盤内に打設して構築された壁部と、継手を有し、隣接する前記壁部間の地盤内の所定の帯水層よりも浅い深度に設置された第1の止水用鋼材と、継手を有し、その継手が前記第1の止水用鋼材の継手に係合されるとともに、前記壁部内に設置された第2の止水用鋼材とを備えることを特徴とする。
【0015】
第5の発明は、第4の発明において、前記係合する継手内は、固化することなく変形自在な性状を維持するとともに、遮水性を有する止水材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の山留め壁の構築方法を用いることにより、環境に与える影響が少なく、かつ、低コストで地下水の流動阻害を防止可能な土留め壁を構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の山留め壁の構築方法の好ましい実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、山留め壁であるソイルセメント柱列壁を地山に設置した場合について説明するが、本発明は、RC等の山留め壁にも適用することができる。
【0018】
図1及び図2は、それぞれ本発明の実施形態に係るソイルセメント柱列壁1を示す斜視断面図及び縦断面図である。
【0019】
図1及び図2に示すように、ソイルセメント柱列壁1は、時間の経過とともに硬化する硬化材を所定の間隔で地盤内に打設して構築されたソイルセメント柱列部1Aと、継手を有し、隣接するソイルセメント柱列部1A間の地盤内の帯水層の砂層4よりも浅い深度で不通水層の粘土層3に設置された第1の止水用鋼材9と、継手を有し、第1の止水用鋼材9の継手に係合されるとともに、ソイルセメント柱列部1A内に設置された第2の止水用鋼材7a、7bとを備える。
【0020】
ソイルセメント柱列部1Aは、粘土層3及び砂層4を貫通して不通水層の土丹層5の上部に到達するように構築されている。
【0021】
第2の止水用鋼材7a、7bは、ソイルセメント柱列部1Aとほぼ同じ深さになるように設置されている。
【0022】
第1の止水用鋼材9は、砂層4よりも浅い深度の粘土層3に設置されているので、ソイルセメント柱列壁1の上流側の地下水は、ソイルセメント柱列部1A間の砂層4を通過して下流側に流れることができる。
【0023】
第2の止水用鋼材7a、7bの継手と第1の止水用鋼材9の継手とが係合した継手部10内は、地下水がこの継手部10内を通過してソイルセメント柱列壁1で囲まれた内側、つまり、掘削予定箇所6に流入しないように止水材12で充填されている。
【0024】
本実施形態においては、第1の止水用鋼材9及び第2の止水用鋼材7a、7bとして、両端に継手を有するシートパイルを用いたが、これに限定されるものではなく、鋼管矢板、鋼矢板等を用いてもよい。
【0025】
なお、第1の止水用鋼材9は、ソイルセメント柱列壁1で囲まれた内側に地下構造物2を構築する際は、この内側への地下水の流入を防止するために粘土層3及び砂層4を貫通して土丹層5に到達するように設置されており、地下構造物2を構築した後に、砂層4の地下水を通水するために粘土層3まで引き上げたものである(詳細は後述する)。第1の止水用鋼材9の設置位置等は、設計により決定され、各現場により異なる。
【0026】
次に、上述したソイルセメント柱列壁1の構築方法について説明する。
図3〜図9は、本実施形態に係るソイルセメント柱列壁1の構築手順を示す図である。
【0027】
まず、図3に示すように、地上に設置された打設機8で、ソイルセメント柱列壁1の構築予定位置18の所定の箇所に、第1の止水用鋼材9を打設する。
第1の止水用鋼材9の打設は、その止水用鋼材の下端が土丹層5に到達するまで行う。
【0028】
次に、図4に示すように、第1の止水用鋼材9の両側の構築予定位置18に、柱列状の孔を削孔し、この孔にセメントミルクを充填して、土中に土を骨材とするソイルセメント柱列部1Aを構築する。
ソイルセメント柱列部1Aは、粘土層3及び砂層4を貫通して土丹層5の上部に到達するように構築される。
【0029】
次に、図5A及び図5Bに示すように、打設機8で、第2の止水用鋼材7aを第1の止水用鋼材9の継手と係合するように、流動状態のソイルセメント内に打設する。第2の止水用鋼材7aの打設は、第1の止水用鋼材9の一方の継手と第2の止水用鋼材7aの継手とを係合しつつ、第2の止水用鋼材7aの下端がソイルセメント柱列部1Aの下端とほぼ同じ深さに到達するまで行う。
【0030】
また、上述した第2の止水用鋼材7aと同様に、第2の止水用鋼材7bを設置する。第2の止水用鋼材7bも、第1の止水用鋼材9の他方の継手と第2の止水用鋼材7bの継手とを係合しつつ、第2の止水用鋼材7bの下端がソイルセメント柱列部1Aの下端とほぼ同じ深さに到達するまで打設する。
【0031】
次に、図6A及び図6Bに示すように、第2の止水用鋼材7a、7bの打設されているソイルセメント柱1aに隣接するソイルセメント柱1bにH型鋼11を建て込む。H型鋼11の建て込みは、H型鋼11の下端がソイルセメント柱列壁1の下端とほぼ同じ深さに到達するまで行う。
【0032】
次に、継手部10内に止水材12を充填する。図示しないが、止水材12を注入する注入管を継手部10内の孔底まで挿入し、注入管を徐々に引き上げながら管先端から継手部10内に止水材12を充填する。止水材12は継手部10内に充填され、両継手の内周面に押し付けられて密着し、止水性を発揮する。
【0033】
なお、本実施形態においては、第1の止水用鋼材9及び第2の止水用鋼材7a、7bを打設した後に、止水材を継手部10内に充填して継手部10を止水する方法について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、第2の止水用鋼材7a、7bを打設する前に、予めそれらの継手に水膨潤性遮水材を塗布し、すでに先行して地盤に打設された第1の止水用鋼材9の継手と係合するように第2の止水用鋼材7a、7bを打設し、打設した後に、水膨潤性遮水材が地中の水分を吸収して膨潤し、第1の止水用鋼材9の継手の内周面又は外周面等に密着することにより止水する方法を用いてもよい。
【0034】
止水材12は、砂と水と高膨潤性ベントナイトとを混合してなるものであり、適度の粘性を有するとともに比重が大きいので(1.8〜2.0t/m3)、充填性にも優れており、良好な施工性を有する。また、止水材12は、砂を含んでいるので、圧密されても体積が小さくなりにくく、しかも膨潤した高膨潤性ベントナイトの粒子を介して砂の粒子同士が擦れ合って、変形追随性を有するので、第1の止水用鋼材9を引き上げても(後述する)継手部10は止水性能を維持する。
【0035】
次に、図7に示すように、ソイルセメント柱列壁1Aが硬化した後に、地下構造物2の構築工事中の地下水を下流側に通水するための送水手段14をソイルセメント柱列壁1の周囲に構築し、上流側の地下水を下流側に通水する。
【0036】
送水手段14は、上流側の地下水を揚水する揚水井15と、揚水井15から揚水した地下水を下流側に復水するための復水井16と、揚水井15から揚水した地下水を復水井16に送給するための送水管17とから構成される。
【0037】
揚水井15は、図示しないが、揚水ポンプと、この揚水ポンプから吐出する吐出量を測定するための揚水流量計と、地下水位を測定するための水位計とを備えている。
復水井16には、図示しないが、復水される復水量を測定するための復水流量計と、地下水位を測定するための水位計とを備えている。
送水管17は、揚水井15と復水井16とを接続し、揚水井15から揚水される地下水を大気に触れさせることなく復水井16に送水する。ある揚水井15から揚水された地下水は送水管17を介してすべての復水井16へ復水できるように連結されている。
【0038】
次に、図8に示すように、ソイルセメント柱列壁1に取り囲まれた掘削予定箇所6を掘削して空洞部を形成し、この空洞部に地下構造物2を構築する。
【0039】
最後に、図9に示すように、第1の止水用鋼材9の下端が粘土層3内に到達するまで第1の止水用鋼材9をクレーン19で引き上げて、上流側の砂層4内の地下水が下流側に流通できるようにする。そして、揚水井15からの揚水を停止し、揚水井15の地下水位と復水井16の地下水位を比較して、ソイルセメント柱列壁1の上流側の地下水のすべてが下流側に流水していることを確認し、通水手段14を撤去する。
【0040】
以上説明した本実施形態における山留め壁の構築方法によれば、第1の止水用鋼材9を粘土層3まで引き上げるので、工事終了後は、ソイルセメント柱列壁1の上流側の地下水を下流側へ通水することができる。
【0041】
また、第1の止水用鋼材9は地盤内に設置されており、ソイルセメント柱列部1A内に設置されていないので、容易に引き上げることができる。
【0042】
さらに、第1及び第2の止水用鋼材9、7a、7bを打設する作業や第1の止水用鋼材9を引き上げる作業は、一般的な土留め壁の構築時に使用される打設機8やクレーン19等の重機を用いて行うことができるので、新たに設備投資費がかからない。また、これらの作業は、手間がかからず短時間で施工することができるので、従来の流動阻害を防止可能な土留め壁よりも短期間で構築できる。したがって、工期が短くなり、施工費を低減することができる。
【0043】
そして、継手部10内に充填される止水材12は、固化することなく変形自在な性状を維持するので、第1の止水用鋼材9を引き上げても、止水材12が移動後の第1の止水用鋼材9の継手部10の形状に追随して変形して、継手部10を確実に遮水することができる。
【0044】
また、止水材12は変形自在なので、第1の止水用鋼材9を引き上げる際にも抵抗を生じることなく容易に引き上げることができる。したがって、第1の止水用鋼材9を引き上げるときに第2の止水用鋼材7a、7bに振動や衝突等の衝撃を与えないので、第2の止水用鋼材7a、7bが埋設されているソイルセメント柱列部1Aを傷つけることがない。
【0045】
さらに、ソイルセメント柱列壁1に近接するように地下構造物2が構築されていても、この地下構造物2を損傷することなく第1の止水用鋼材9を引き上げることができる。
【0046】
なお、本実施形態においては、粘土層3と砂層4と土丹層5とからなる地盤に本発明を適用した場合について説明したが、この地層に限定されるものではなく、例えば、すべて砂層4、つまり帯水層からなる地盤であってもよい。
【0047】
また、本実施形態においては、第1の止水用鋼材9を1本のみ使用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、複数本を連結してもよく、隣接するソイルセメント柱列部1A間を通過させる地下水の通水量等に応じて適宜変更する。
【0048】
さらに、本実施形態においては、第1の止水用鋼材9及び第2の止水用鋼材7a、7bの継手の形状が略C字型の管状の場合について説明したが、この形状に限定されるものではなく、例えば、コ字型やT字型等の板状の形状でもよく、一般的な継手形状を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態に係るソイルセメント柱列壁を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係るソイルセメント柱列壁を示す縦断面図である。
【図3】本実施形態に係るソイルセメント柱列壁の構築手順を示す図である。
【図4】本実施形態に係るソイルセメント柱列壁の構築手順を示す図である。
【図5A】本実施形態に係るソイルセメント柱列壁の構築手順を示す図である。
【図5B】本実施形態に係るソイルセメント柱列壁の構築手順を示す図である。
【図6A】本実施形態に係るソイルセメント柱列壁の構築手順を示す図である。
【図6B】本実施形態に係るソイルセメント柱列壁の構築手順を示す図である。
【図7】本実施形態に係るソイルセメント柱列壁の構築手順を示す図である。
【図8】本実施形態に係るソイルセメント柱列壁の構築手順を示す図である。
【図9】本実施形態に係るソイルセメント柱列壁の構築手順を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 ソイルセメント柱列壁
1A ソイルセメント柱列部
1a、1b ソイルセメント柱
2 地下構造物
3 粘土層
4 砂層
5 土丹層
6 掘削予定箇所
7a、7b 第2の止水用鋼材
8 打設機
9 第1の止水用鋼材
10 継手部
11 H型鋼
12 止水材
14 送水手段
15 揚水井
16 復水井
17 送水管
18 構築予定位置
19 クレーン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下水の流動阻害を防止する山留め壁の構築方法において、
前記山留め壁の構築予定位置の所定の箇所の地盤内に、継手を有する第1の止水用鋼材を打設する第1の設置工程と、
前記第1の止水用鋼材を打設した箇所を除く前記構築予定位置に、時間が経過すると硬化して前記山留め壁を構成する硬化材を流動状態で打設する打設工程と、
継手を有する第2の止水用鋼材をその継手が前記第1の止水用鋼材の継手と係合するように、流動状態の前記硬化材内に打設する第2の設置工程と、
前記第1の止水用鋼材を地下水が通水可能な所定の深度まで引き上げる引上工程とを備えることを特徴とする山留め壁の構築方法。
【請求項2】
前記係合した継手に遮水性を有する止水材を設ける止水工程を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の山留め壁の構築方法。
【請求項3】
前記止水材は、固化することなく変形自在な性状を維持することを特徴とする請求項2に記載の山留め壁の構築方法。
【請求項4】
地下水の流動阻害を防止する山留め壁であって、
時間の経過とともに硬化する硬化材を所定の間隔で地盤内に打設して構築された壁部と、
継手を有し、隣接する前記壁部間の地盤内の所定の帯水層よりも浅い深度に設置された第1の止水用鋼材と、
継手を有し、その継手が前記第1の止水用鋼材の継手に係合されるとともに、前記壁部内に設置された第2の止水用鋼材とを備えることを特徴とする山留め壁。
【請求項5】
前記係合した継手内は、固化することなく変形自在な性状を維持するとともに、遮水性を有する止水材が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の山留め壁。
【請求項1】
地下水の流動阻害を防止する山留め壁の構築方法において、
前記山留め壁の構築予定位置の所定の箇所の地盤内に、継手を有する第1の止水用鋼材を打設する第1の設置工程と、
前記第1の止水用鋼材を打設した箇所を除く前記構築予定位置に、時間が経過すると硬化して前記山留め壁を構成する硬化材を流動状態で打設する打設工程と、
継手を有する第2の止水用鋼材をその継手が前記第1の止水用鋼材の継手と係合するように、流動状態の前記硬化材内に打設する第2の設置工程と、
前記第1の止水用鋼材を地下水が通水可能な所定の深度まで引き上げる引上工程とを備えることを特徴とする山留め壁の構築方法。
【請求項2】
前記係合した継手に遮水性を有する止水材を設ける止水工程を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の山留め壁の構築方法。
【請求項3】
前記止水材は、固化することなく変形自在な性状を維持することを特徴とする請求項2に記載の山留め壁の構築方法。
【請求項4】
地下水の流動阻害を防止する山留め壁であって、
時間の経過とともに硬化する硬化材を所定の間隔で地盤内に打設して構築された壁部と、
継手を有し、隣接する前記壁部間の地盤内の所定の帯水層よりも浅い深度に設置された第1の止水用鋼材と、
継手を有し、その継手が前記第1の止水用鋼材の継手に係合されるとともに、前記壁部内に設置された第2の止水用鋼材とを備えることを特徴とする山留め壁。
【請求項5】
前記係合した継手内は、固化することなく変形自在な性状を維持するとともに、遮水性を有する止水材が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の山留め壁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2009−57682(P2009−57682A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−223021(P2007−223021)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
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