説明

工作機械

【課題】コンパクトな構造及び改善された機械強度を有する工作機械を提供する。
【解決手段】垂直な1つの前壁3とこれに対して直角に配設された2つの側壁2,2’とを有する支柱1を有する1つの機械フレームと、前壁3に配設された1つの工作物保持装置8と、工具14,14’を有する少なくとも1つの工具ホルダ10とを有し、前壁3が、仮想平面E内に位置する、軸状の工作物7を加工するための工作機械において、垂直ガイド5と工作物保持装置8が、仮想平面Eの向かい合う両側に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸状の工作物を加工するための工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、このような工作機械が公知である。
【0003】
特許文献1は、軸状の工作物の両端部の加工をするための垂直加工機械を開示する。挟持された工作物を回転させるために2つの挟持装置が設けられている。少なくとも一方の挟持装置が、中央部挟持装置として形成されている。挟持装置も、工具回転台を有する2つのクロスキャリッジも、機械フレームの前方の垂直な壁に取り付けられている。これから、強制的に、垂直なキャリッジガイドから挟持装置に比較的大きい間隔が生じ、これにより、機械フレームが、比較的幅広になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国実用新案第20 2007 012 887号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、コンパクトな構造及び改善された機械強度を有する請求項1の上位概念による工作機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の特徴によって解決される。
【0007】
有利な形成は、従属請求項に記載されている。
【0008】
以下で、実施例により本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】操作側から見た工具回転台を有する工作機械
【図2】万力を有する端部加工機械
【図3】相手スピンドルを有する工作機械
【図3a】図3による工作機械での端部加工
【図3b】図3による工作機械での端部加工
【図3c】図3による工作機械での端部加工
【図3d】Y軸を有する工作機械
【図4】研磨機械
【図5】図4による研磨機械の平面図
【図6】同期研磨をするための4軸研磨機械
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、工作機械を概略図で示す。機械フレームは、正方形の横断面、垂直な側壁2,2’及び同様に垂直な前壁3を有する支柱1として形成されている。前壁3は、仮想平面E内に位置し、側壁2は、仮想平面F内に位置し、この仮想平面F内に、垂直キャリッジ4用の垂直ガイド5が、垂直方向(Z軸)配設されている。駆動は、モータ6と図示されてないボールネジスピンドルを介して行なわれる。垂直キャリッジ4のところで、水平キャリッジ15が、ガイドレール16上を水平方向(X軸)に可動に案内されている。そこで、工具ホルダ10が、水平な旋回軸17を中心として回転可能に支承されている。工具ホルダ10は、工具14,14’及びグリッパ11を支持する。工作物保持装置8が、前壁3に配設されている。工作物保持装置8は、レール19上を移動可能な工作物スピンドル9と心押台22を有する。工作物スピンドル9は、モータ6’によって垂直方向に移動することができる。搬送装置26は、未加工の工作物7をローディング位置20に搬送し、加工後の工作物7をローディング位置から引き離す。ローディングのため、グリッパ11は、工作物7をローディング位置20から取り出し、工作物スピンドルに供給する。側壁2を有する仮想平面Fは、前壁3を有する仮想平面Eに対して直角に配設されている。
【0011】
図2による工作機械は、端部加工機械を示す。この場合、工作物7は、万力29に挟持される。工具ホルダ10に対して点対称に、機械の右側に、第2の工具ホルダ10’が設けられている。この第2の工具ホルダ10’は、垂直キャリッジ4’を介して側壁2’に沿って垂直ガイド5’上を垂直方向に移動可能で、水平キャリッジ15’を介して水平なX方向に移動可能である。点対称に配設することにより、工作物7は、両端面を同時に加工することができる。工作物7が端部加工機械において万力29に不動に挟持されているのに対して、図3による工作機械では、回転駆動される工作物7が、その外周面とその端部を、2つの固定部内で加工することができる。このため、工作物スピンドル9に相手スピンドル18が付設されている。有利なことに、両工具14,14’が、点対称に配設されている。これにより、これら工具は、工作物スピンドル9もしくは相手スピンドル18に対して同軸に配設され、同様に工作物の両端部を同時に加工することができる。有利なことに、工具ホルダ10に心押センタ28が設けられている。従って、工作物7は、加工が相手スピンドル18での挟持を許容しない場合に、支持することができる。端部の加工をするため、工作物7は、まず、工作物スピンドル9に挟持され、下に向かって突出する端部が、工具14によって加工される(図3a)。次に、工作物スピンドル9が、下に向かって移動し(図3b)、工作物7を相手スピンドル18に引き渡す。工作物スピンドル9が、再び元の位置に達した後、工具ホルダ10が、水平方向に旋回軸17を中心として、工具14が相手スピンドル18に対して同軸に配設されるまで旋回する。次に、上に向かって相手スピンドル18から突出する工作物7の端部を加工することができる(図3c)。図3dからわかるように、側壁2,2’に沿って垂直に移動可能なキャリッジは、有利なことにY軸を備えることができる。このため、垂直キャリッジ4,4’がベッドキャリッジとして形成されている。垂直キャリッジ4,4’は、フレームとは反対側に、Y軸キャリッジ33用のY軸ガイド32を支持する。Y軸キャリッジ33上で、水平キャリッジ15が、ガイドレール16上を水平方向(X軸)に可動に案内されている。水平キャリッジ15に、工具ホルダ10が、それぞれ垂直な旋回軸17を中心として回転可能に支承されている。機械フレームが、平行な側壁2,2’を有する支柱1として形成されているので、Y軸ガイドと工作物保持装置8は、前壁3が位置する仮想平面Eの向かい合う両側に配設することができる。この配設により、工作物に対する工具係合部と機械フレーム間の間隔が、決定的に短縮される。従って、力の流れを改善し、機械強度を明らかに向上させることができる。
【0012】
図4による研磨機械の場合も、端部加工をするための工作機械の場合のように、それぞれ2つの垂直キャリッジ4,4’と水平キャリッジ15,15’が、支柱1の側壁2,2’に沿って垂直方向に垂直ガイド5,5’上を移動可能である。研磨ディスク25を有する研磨スピンドル台24は、水平キャリッジ15’でガイドレール16上を水平方向に工作物7に対して送り調整可能である。工作物7の向かい合う側で、研磨スピンドル台24に多機能ユニット23が付設されている。この多機能ユニット23は、水平キャリッジ15に、垂直な旋回軸17を中心として回転可能に支承されている。多機能ユニット23には、色々なユニットが配設されている。工作物7の支持及びインプロセス測定をするため、1つの自己調心式の固定振れ止め21と2つのセンサ12が設けられている。センサ12は、固定振れ止め21に対して同軸に配設されているので、研磨中に工作物直径を走査することができ、同時に固定振れ止め21による支持が行なわれる。加えて、研磨ディスク25は、ドレッシングユニット13によってドレッシングすることができる。図1でのように、グリッパ11によるローディング及びアンローディングが行なわれる。
【0013】
図5は、研磨機械を平面図で示す。支柱1の側壁2,2’に沿って、垂直キャリッジ4,4’が、ガイドシュー27内で、垂直ガイド5,5’上を垂直方向に制御移動可能である。前壁3に、工作物保持装置8が心押台22と共に配設されている。良好な見通しのために、工作物スピンドル9とセンサ12は、ここでは図示されていない。支柱1の両側壁2,2’への垂直キャリッジ4,4’の配設と、前壁3への工作物保持装置の配設は、特に高剛性の機械構造を生じさせる。それにもかかわらず、研磨機械は、最もコンパクトで、僅かな設置スペースしか要求しない。加えて、この研磨機械は、色々な工具14を有する多機能ユニット23と固定振れ止め21によって複雑な加工ステップを実施することができるので、柔軟に使用可能である。グリッパ11、センサ12及びドレッシングユニット13が、共に、2軸方向に移動可能な多機能ユニット23に配設されているので、全部で4つの直線制御軸しか必要ない。ローディング及びアンローディングのため、グリッパ11は、工作物7をローディング位置20から取り出し、工作物スピンドル9に供給する。この場合、水平キャリッジは、ガイドレール16に沿って移動し、工具ホルダ10は、旋回軸16を中心として旋回する。
【0014】
図6は、同期研磨をするための4軸の研磨機械に関する。この場合、2つの研磨スピンドル台24,24’が鏡面対称に配設されており、それぞれ垂直キャリッジ4,4’及び水平キャリッジ15,15’上をX方向及びZ方向に移動可能である。この配設により、例えばクランクシャフトの主軸受30を研磨することができる。同様に、中央に挟持されたクランクシャフトのクランクピン31も、揺動ストローク法により加工することができる。
【符号の説明】
【0015】
1 支柱
2,2’ 側壁
3 前壁
4,4’ 垂直キャリッジ
5,5’ 垂直ガイド
6,6’ モータ
7 工作物
8 工作物保持装置
9 工作物スピンドル
10,10’ 工具ホルダ
11 グリッパ
12 センサ
13 ドレッシングユニット
14,14’ 工具
15,15’ 水平キャリッジ
16 ガイドレール
17 旋回軸
18 相手スピンドル
19 レール
20 ローディング位置
21 固定振れ止め
22 心押台
23 多機能ユニット
24,24’ 研磨スピンドル台
25,25’ 研磨ディスク
26 搬送装置
27 ガイドシュー
28 心押センタ
29 万力
30 主軸受
31 クランクピン
32 Y軸ガイド
33 Y軸キャリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直な1つの前壁(3)とこれに対して直角に配設された2つの側壁(2,2’)とを有する支柱(1)を有する1つの機械フレームと、前壁(3)に配設された1つの工作物保持装置(8)と、工具(14,14’)を有する少なくとも1つの工具ホルダ(10)とを有し、少なくとも1つの工具ホルダ(10)が、機械フレームに対して相対的に垂直方向(Z軸)及び水平方向(X軸)に移動可能であり、工作物(7)への工具(14,14’)への係合が、前壁(3)の前でのみ行なわれ、工具ホルダ(10)が、垂直キャリッジ(4)と共に、側壁(2)の垂直ガイド(5)に沿って制御されつつ可動に案内され、垂直キャリッジ(4)の水平キャリッジ(15)上の水平ガイドレール(16)上をX方向に前壁(3)に対して平行に案内され、前壁(3)が、仮想平面(E)内に位置する、軸状の工作物(7)を加工するための工作機械において、
垂直ガイド(5)と工作物保持装置(8)が、仮想平面(E)の向かい合う両側に配設されていることを特徴とする工作機械。
【請求項2】
端部の加工をするために、工作物保持装置(8)として万力(29)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
回転駆動される工作物(7)を加工するために、工作物保持装置(8)として心押台(22)を有する工作物スピンドル(9)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の工作機械。
【請求項4】
回転駆動される工作物(7)を加工するために、工作物保持装置(8)として相手スピンドル(18)を有する工作物スピンドル(9)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の工作機械。
【請求項5】
工具ホルダ(10)が、水平な旋回軸(17)を中心として回転可能に水平キャリッジ(15)に支承されていること、工具(14’)が、相手スピンドル(18)に対して同軸に駆動可能であることを特徴とする請求項4に記載の工作機械。
【請求項6】
回転駆動される工作物(7)を研磨するために、前壁(3)に配設された工作物スピンドル(9)及び心押台(22)と、第2の垂直キャリッジ(4’)及び第2の水平キャリッジ(15’)と、研磨ディスク(25)を有する研磨スピンドル台(24)とを有し、研磨スピンドル台(24)が、垂直キャリッジ(4’)と共に側壁(2’)の垂直ガイド(5’)に沿って移動可能であり、垂直キャリッジ(4’)の水平キャリッジ(15’)上の水平ガイドレール(16)上をX方向に前壁(3)に対して平行に案内され、工具ホルダ(10)として、グリッパ(11)と固定振れ止め(21)とを有する多機能ユニット(23)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の工作機械。
【請求項7】
固定振れ止め(21)に、少なくとも1つのセンサ(12)が付設されていることを特徴とする請求項6に記載の工作機械。
【請求項8】
研磨ディスク(25)のドレッシングをするために、多機能ユニット(23)にドレッシングユニット(13)が設けられていることを特徴とする請求項6又は7に記載の工作機械。
【請求項9】
回転駆動される工作物(7)を研磨するために、前壁(3)に配設された工作物スピンドル(9)及び心押台(22)と、第2の垂直キャリッジ(4’)及び第2の水平キャリッジ(15’)と、2つの研磨ディスク(25,25’)を有する2つの研磨スピンドル台(24,24’)とを有し、研磨スピンドル台(24,24’)が、機械フレームに対して相対的に垂直方向(Z軸)及び水平方向(X軸)に移動可能であり、一方の研磨スピンドル台(24)が、垂直キャリッジ(4’)と共に一方の側壁(2’)の垂直ガイド(5’)に沿って移動可能で、他方の研磨スピンドル台(24’)が、垂直キャリッジ(24)と共に他方の側壁(2)の垂直ガイド(5)に沿って移動可能であり、両研磨スピンドル台(24,24’)が、水平キャリッジ(15,15’)上の水平レール(16)上をX方向に前壁(3)に対して平行に案内されていることを特徴とする請求項1に記載の工作機械。
【請求項10】
Y軸を有し、垂直キャリッジ(4,4’)が、ベッドキャリッジとしてY方向キャリッジ(33)用のY方向ガイド(32)として形成され、水平キャリッジ(15)が、Y軸の方向に可動に案内され、Y方向ガイド(32)と工作物保持装置(8)が、仮想平面(E)の向かい合う両側に配設されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の工作機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−27973(P2013−27973A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−166663(P2012−166663)
【出願日】平成24年7月27日(2012.7.27)
【出願人】(502323988)エマーク・ホールディング・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (13)
【Fターム(参考)】