説明

差動増幅器

【課題】トランジスタの温度差に起因する非直線性増幅誤差を広い周波数範囲に亘って低減する。
【解決手段】入力信号をバッファリングするトランジスタQ1,Q2と、該トランジスタQ1,Q2のコレクタ端子側にコレクタ電流に依存した電圧降下を発生させる電圧発生回路と、トランジスタQ1,Q2の出力をバッファリングするエミッタフォロワ回路と、トランジスタQ1,Q2にたすきがけ接続されると共にエミッタフォロワ回路によって駆動される第1の差動増幅回路と、エミッタフォロワ回路によって駆動される第2の差動増幅回路と、トランジスタQ1,Q2と第1の差動増幅回路との間に設けられたトランジスタQ9,Q10と、第2の差動増幅回路の出力に設けられたトランジスタQ11,Q12と、トランジスタQ1,Q2及び第1、第2の差動増幅回路のコレクタ-エミッタ間電圧を等しくするバイアス電圧をトランジスタQ9〜Q12に出力するバイアス回路とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の入力信号の差分を増幅する差動増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1の図3には、非直線性誤差を抑えた差動増幅器が開示されている。すなわち、この差動増幅器は、一対のエミッタフォロワ・トランジスタ11,12のエミッタ端子に一対の増幅トランジスタ1,2をたすきがけ接続し、当該一対の増幅トランジスタ1,2のエミッタ端子にエミッタ抵抗3,4をそれぞれ接続し、上記一対のエミッタフォロワ・トランジスタ11,12のコレクタ端子を出力端(オープンコレクタ出力)としたトランスコンダクタンス・アンプである。
【0003】
このように構成された差動増幅器は、出力電流(Iout1−Iout2)を示す式が下式に示されるように構成素子であるトランジスタの非直線性に関する項を含まないので、広い入力電圧(Vin1−Vin2)の範囲に亘り直線性に優れた差動増幅器となる。なお、この式において、REは上記エミッタ抵抗の抵抗値である。
Iout1−Iout2=(Vin1−Vin2)/RE
また、この特許文献1の図5には、増幅トランジスタ1,2等からなる差動増幅回路及び4つのカレントミラー回路21〜24からなる電力伝達回路(信号伝達回路)を設けることにより、上記差動増幅器の欠点を解消する差動増幅器が開示されている。
【特許文献1】特開2000−261261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の図3に記載された従来の差動増幅器では、一対の増幅トランジスタ1,2のコレクタ-エミッタ間電圧VCEが、入力電圧が印加されない状態において増幅トランジスタ1,2のベース-エミッタ間電圧VBEに設定されているので、入力電圧が印加された場合に増幅トランジスタ1,2が容易に飽和してしまう。すなわち、上記従来の差動増幅器は、入力電圧が大きくなると出力信号が歪み易いという問題がある。
また、特許文献1の図5に記載された従来の差動増幅器は、上記問題を解決するものであるが、電力伝達回路の構成が複雑で信号の伝播経路が長いために高速動作を実現することができないという問題がある。
【0005】
本出願人は、このような従来技術の問題点を解決することを目的とした発明として特願2007−226646を出願したが、この発明に新たな問題点が発見された。すなわち、この発明は、上記従来技術の問題点を解決することが可能であるが、回路を構成する各トランジスタのベース−エミッタ間電圧Vbeが温度依存性を有し、また各トランジスタ間で消費電力が異なることに起因して発熱状態が異なるために、利得誤差及び非直線性増幅誤差を広い周波数範囲に亘って十分に低減することができず、よって利得が広い周波数範囲に亘って平坦な差動増幅器を実現することができない。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、大振幅の入力電圧において出力信号の歪が少ないと共に、トランジスタの温度差に起因する利得誤差及び非直線性増幅誤差を広い周波数範囲に亘って低減することが可能な差動増幅器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、第1の解決手段として、入力信号をそれぞれバッファリングする一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタと、該一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタのコレクタ端子側にコレクタ電流に依存した電圧降下をそれぞれ発生させる一対の電圧発生回路と、一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタの出力をそれぞれバッファリングする一対のエミッタフォロワ回路と、一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタにたすきがけ接続されると共に、一対のエミッタフォロワ回路によってそれぞれ駆動される第1の差動増幅回路と、出力用に設けられ、一対のエミッタフォロワ回路によってそれぞれ駆動される第2の差動増幅回路と、一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタと第1の差動増幅回路との間にそれぞれ設けられた一対の第1ベース接地トランジスタと、第2の差動増幅回路の出力にそれぞれ設けられた一対の第2ベース接地トランジスタと、一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタ及び第1、第2の差動増幅回路における各々のコレクタ-エミッタ間電圧が等しくなるように設定されたバイアス電圧を一対の第1、第2ベース接地トランジスタに出力するバイアス回路とを具備する、という手段を採用する。
【0008】
第2の解決手段として、ベース端子に入力信号が印加される一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタと、該一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタのコレクタ端子にそれぞれ接続され、当該一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタのコレクタ電流に依存した電圧降下をそれぞれ発生させる一対の電圧発生回路と、ベース端子が一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタのエミッタ端子にそれぞれ接続される一対の第2エミッタフォロワ・トランジスタを備える一対のエミッタフォロワ回路と、ベース端子が一対の第2エミッタフォロワ・トランジスタのエミッタ端子にたすきがけ接続されると共にコレクタ端子が一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタのエミッタ端子にそれぞれ接続される一対の第1増幅トランジスタを備える第1の差動増幅回路と、ベース端子が一対の第1増幅トランジスタのベース端子にそれぞれ接続された一対の第2増幅トランジスタを備える第2の差動増幅回路と、一対の第1増幅トランジスタのコレクタ端子と一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタのエミッタ端子との間にそれぞれ挿入される一対の第1ベース接地トランジスタと、一対の第2増幅トランジスタのコレクタ端子と出力端との間にそれぞれ挿入される一対の第2ベース接地トランジスタと、一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタ、一対の第1増幅トランジスタ及び一対の第2増幅トランジスタにおける各々のコレクタ-エミッタ間電圧が等しくなるように設定されたバイアス電圧を一対の第1ベース接地トランジスタ及び一対の第2ベース接地トランジスタに出力するバイアス回路とを具備する、という手段を採用する。
【0009】
第3の解決手段として、上記第1の解決手段において、第1、第2の差動増幅回路と一対のエミッタフォロワ回路との間に直流電圧をシフトする電圧シフト回路が設けられる、という手段を採用する。
【0010】
第4の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、バイアス回路は、コレクタ端子とベース端子とが接続されたバイアス・トランジスタと、当該バイアス・トランジスタのコレクタ電流に依存した電圧降下を発生させる第2の電圧降下回路と、直流電圧をシフトする第2の電圧シフト回路とが直列接続された直列回路と、該直列回路に接続される定電流源とからなり、直列回路と前記定電流源との接続点をバイアス電圧の出力端とする、という手段を採用する。
【0011】
第5の解決手段として、上記第1〜第4のいずれか一の解決手段において、エミッタ端子が一対のエミッタフォロワ回路のコレクタ端子にそれぞれ接続された一対の第3エミッタフォロワ・トランジスタをさらに備え、一対の電圧発生回路は、一端が一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタのコレクタ端子にそれぞれ接続される一対の第1コレクタ抵抗と、該一対の第1コレクタ抵抗の他端にそれぞれ直列接続される一対の第2コレクタ抵抗とからなり、一対の第3エミッタフォロワ・トランジスタの各ベース端子は、一対の第1コレクタ抵抗と一対の第2コレクタ抵抗との接続点にそれぞれ接続される、という手段を採用する。
【0012】
第6の解決手段として、上記第1〜第5のいずれか一の解決手段において、第2の差動増幅回路及び一対の第2ベース接地トランジスタからなる出力回路が複数並列接続される、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、入力信号をそれぞれバッファリングする一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタと、該一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタのコレクタ端子側にコレクタ電流に依存した電圧降下をそれぞれ発生させる一対の電圧発生回路と、一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタの出力をそれぞれバッファリングする一対のエミッタフォロワ回路と、一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタにたすきがけ接続されると共に、一対のエミッタフォロワ回路によってそれぞれ駆動される第1の差動増幅回路と、出力用に設けられ、一対のエミッタフォロワ回路によってそれぞれ駆動される第2の差動増幅回路と、一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタと第1の差動増幅回路との間にそれぞれ設けられた一対の第1ベース接地トランジスタと、第2の差動増幅回路の出力にそれぞれ設けられた一対の第2ベース接地トランジスタと、一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタ及び第1、第2の差動増幅回路における各々のコレクタ-エミッタ間電圧が等しくなるように設定されたバイアス電圧を一対の第1、第2ベース接地トランジスタに出力するバイアス回路とを具備するので、第1、第2の差動増幅回路のベース電圧が上昇しても、第1、第2の差動増幅回路のコレクタが一対の第1ベース接地トランジスタのエミッタに各々接続されているので、第1、第2の差動増幅回路のコレクタ電圧は殆ど変化せず、よって従来技術よりも飽和し難い。
なお、上記第3の解決手段として規定する発明によれば、電圧シフト回路が設けられることにより第1、第2の差動増幅回路のコレクタ-エミッタ間電圧を大きくなるので、さらに飽和し難くなる。
【0014】
また、本発明によれば、上記効果に加えて、一対の電圧発生回路、一対の第1ベース接地トランジスタ、一対の第2ベース接地トランジスタ及びバイアス回路が備えらるので、一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタ及び第1、第2の差動増幅回路における各々のコレクタ-エミッタ間電圧を等しくすることが可能であり、よって一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタ及び第1、第2の差動増幅回路の消費電力を等しくして局所的な温度変化を抑制することができる。したがって、本発明によれば、トランジスタの温度差に起因する非直線性増幅誤差を広い周波数範囲に亘って低減すことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る差動増幅器Aの回路図である。この差動増幅器Aは、図示するように、一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1,Q2、一対の第1増幅トランジスタQ3,Q4、一対の第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5,Q6、一対の第2増幅トランジスタQ7,Q8、一対の第1ベース接地トランジスタQ9,Q10、一対の第2ベース接地トランジスタQ11,Q12、一対の第3エミッタフォロワ・トランジスタQ13,Q14、バイアス・トランジスタQ15、一対の第1エミッタ抵抗RE1,RE2、一対の第2エミッタ抵抗RE3,RE4、一対の第1コレクタ抵抗RC1,RC2、一対の第2コレクタ抵抗RC3,RC4、バイアス抵抗R1、コンデンサC1、一対の第1電圧シフトダイオードD1,D2(電圧シフト回路)、第2電圧シフトダイオードD3(第2の電圧シフト回路)、第1定電流源CS0、一対の第2定電流源CS1,CS2、第3定電流源CS3及び第4定電流源CS4から構成されている。
【0016】
これら回路素子のうち、一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1,Q2、一対の第1増幅トランジスタQ3,Q4、一対の第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5,Q6、一対の第2増幅トランジスタQ7,Q8、一対の第1エミッタ抵抗RE1,RE2、一対の第2エミッタ抵抗RE3,RE4、第1定電流源CS0、一対の第2定電流源CS1,CS2及び第3定電流源CS3は、本差動増幅器Aの基本回路部であるトランスコンダクタンス・アンプを構成している。
【0017】
また、これら回路沿素子のうち、一対の第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5,Q6及び一対の第2定電流源CS1,CS2は一対のエミッタフォロワ回路を構成し、一対の第1増幅トランジスタQ3,Q4、一対の第1エミッタ抵抗RE1,RE2及び第1定電流源CS0は第1の差動増幅回路を構成し、一対の第2増幅トランジスタQ7,Q8及び第3定電流源CS3は第2の差動増幅回路を構成している。さらに、一対の第1コレクタ抵抗RC1,RC2及び一対の第2コレクタ抵抗RC3,RC4は、一対の電圧発生回路を構成し、バイアス・トランジスタQ15、バイアス抵抗R1、第2電圧シフトダイオードD3及び第4定電流源CS4はバイアス回路を構成している。
【0018】
本差動増幅器Aは、これら回路素子によって構成されたトランスコンダクタンス・アンプに、一対の第1ベース接地トランジスタQ9,Q10、一対の第2ベース接地トランジスタQ11,Q12、一対の第3エミッタフォロワ・トランジスタQ13,Q14、バイアス・トランジスタQ15、一対の第1コレクタ抵抗RC1,RC2、一対の第2コレクタ抵抗RC3,RC4、バイアス抵抗R1、コンデンサC1、一対の第1電圧シフトダイオードD1,D2、第2電圧シフトダイオードD3及び第4定電流源CS4を付加することにより、トランジスタの局所的な温度変化に起因する増幅特性への影響を軽減するものである。
【0019】
また、これら付加的な回路素子のうち、バイアス抵抗R1、バイアス・トランジスタQ15、第2電圧シフトダイオードD3及び第4定電流源CS4は、一対の第1ベース接地トランジスタQ9,Q10の各ベース端子及び一対の第2ベース接地トランジスタQ11,Q12の各ベース端子にバイアス電圧を供給するバイアス回路を構成している。さらに、一対の第2増幅トランジスタQ7,Q8、一対の第2ベース接地トランジスタQ11,Q12、一対の第2エミッタ抵抗RE3,RE4及び第3定電流源CS3は、本差動増幅器Aの出力回路を構成している。
【0020】
一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1,Q2のうち、一方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1のベース端子は、本差動増幅器Aの一方の入力端であり、一方の入力信号Vin1が入力され、他方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ2のベース端子は、本差動増幅器Aの他方の入力端であり、他方の入力信号Vin2が入力される。上記一対の入力信号Vin1,Vin2は、図示しない外部バイアス回路によって設定される入力バイアス電圧Vic(直流電圧)に小振幅の交流電圧±ΔViが加算されたものである。
【0021】
また、一方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1のコレクタ端子には、一方の第1コレクタ抵抗RC1の一端とコンデンサC1の一端とが接続され、他方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ2のコレクタ端子には、他方の第1コレクタ抵抗RC2の一端とコンデンサC1の他端とが接続されている。上記一方の第1コレクタ抵抗RC1の他端には、一方の第2コレクタ抵抗RC3の一端及び一方の第3エミッタフォロワ・トランジスタQ13のベース端子が接続され、他方の第1コレクタ抵抗RC2の他端には、他方の第2コレクタ抵抗RC4の一端及び他方の第3エミッタフォロワ・トランジスタQ14のベース端子が接続されている。なお、上記コンデンサC1は、本差動増幅器Aの入力インピーダンスを調整するために付加された小静電容量のコンデンサである。
【0022】
また、一方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1のエミッタ端子には、一方の第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5のベース端子及び一方の第1ベース接地トランジスタQ9のコレクタ端子が接続され、他方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ2のエミッタ端子には、他方の第2エミッタフォロワ・トランジスタQ6のベース端子及び他方の第1ベース接地トランジスタQ10のコレクタ端子が接続されている。
【0023】
一方の第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5のエミッタ端子には、一方の第1電圧シフトダイオードD1のアノード端子が接続され、他方の第2エミッタフォロワ・トランジスタQ6のエミッタ端子には、他方の第1電圧シフトダイオードD2のアノード端子が接続されている。また、一方の第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5のコレクタ端子には、一方の第3エミッタフォロワ・トランジスタQ13のエミッタ端子が接続され、他方の第2エミッタフォロワ・トランジスタQ6のコレクタ端子には、他方の第3エミッタフォロワ・トランジスタQ14のエミッタ端子が接続されている。
【0024】
また、一方の第1電圧シフトダイオードD1のカソード端子には、一方の増幅トランジスタQ3のベース端子、一方の第2定電流源CS1の正極端及び一方の第2増幅トランジスタQ7が接続され、他方の第1電圧シフトダイオードD2のカソード端子には、他方の増幅トランジスタQ4のベース端子、他方の第2定電流源CS2の正極端及び他方の第2増幅トランジスタQ8が接続されている。上記一対の第1電圧シフトダイオードD1,D2は、直流電圧の電圧降下を目的として挿入されたものであり、何れも同一な電圧降下Vを有するショットキーダイオードである。
【0025】
一方の第1増幅トランジスタQ3のエミッタ端子には、一方の第1エミッタ抵抗RE1の一端が接続され、他方の第1増幅トランジスタQ4のエミッタ端子には、他方の第1エミッタ抵抗RE2の一端が接続されている。また、一方の第1増幅トランジスタQ3のコレクタ端子には、他方の第1ベース接地トランジスタQ10のエミッタ端子が接続され、他方の第1増幅トランジスタQ4のコレクタ端子には、一方の第1ベース接地トランジスタQ9のエミッタ端子が接続されている。
【0026】
上記一対の第1エミッタ抵抗RE1,RE2の他端には、第1定電流源CS0の正極端が共通接続されている。この第1定電流源CS0は、第1バイアス電流としての電流値I0を外部回路(つまり、一対の第1エミッタ抵抗RE1,RE2)に流す定電流源である。第1定電流源CS0及び一対の第2定電流源CS1,CS2の負極端はそれぞれ接地されている。一対の第2定電流源CS1,CS2のうち、一方の第2定電流源CS1は、第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5のバイアス電流を電流値I1に設定する定電流源であり、他方の第2定電流源CS2は、第2エミッタフォロワ・トランジスタQ6のバイアス電流を電流値I2(=I1)に設定する定電流源である。
【0027】
一方の第2増幅トランジスタQ7のエミッタ端子には、一方の第2エミッタ抵抗RE3の一端が接続され、他方の第2増幅トランジスタQ8のエミッタ端子には、他方の第2エミッタ抵抗RE4の一端が接続されている。また、一方の第2増幅トランジスタQ7のコレクタ端子には、他方の第2ベース接地トランジスタQ12のエミッタ端子が接続され、他方の第2増幅トランジスタQ8のコレクタ端子には、一方の第2ベース接地トランジスタQ11のエミッタ端子が接続されている。
【0028】
上記一対の第2エミッタ抵抗RE3,RE4の他端には、第3定電流源CS3の正極端が共通接続されている。この第3定電流源CS3は、第3バイアス電流としての電流値I3を外部回路(つまり、一対の第2エミッタ抵抗RE3,RE4)に流す定電流源であり、負極端が接地されている。なお、第1定電流源CS0の電流値I0と第3定電流源CS3の電流値I3とは、同一値に設定されている。
【0029】
一方の第2ベース接地トランジスタQ11のコレクタ端子及び他方の第2ベース接地トランジスタQ12のコレクタ端子は、本差動増幅器Aにおける一対の出力端である。一方の第2ベース接地トランジスタQ11は、出力端に出力電流(コレクタ電流)Iout2を流し、他方の第2ベース接地トランジスタQ12は、出力端に出力電流(コレクタ電流)Iout1を流す。また、一対の出力端に外部抵抗(コレクタ抵抗)が接続されることにより、一対の出力端に出力電圧Vout1,Vout2が取り出される。
【0030】
また、バイアス抵抗R1の一端には、バイアス・トランジスタQ15のベース端子とコレクタ端子とが共通接続されている。バイアス・トランジスタQ15のエミッタ端子には、第2電圧シフトダイオードD3のアノード端子が接続されている。この第2電圧シフトダイオードD3のカソード端子には、負極端が接地された第4定電流源CS4の正極端が接続されている。この第2電圧シフトダイオードD3は、直流電圧の電圧降下を目的として挿入されたものであり、図示するようにショットキーダイオードである。さらに、上記バイアス抵抗R1の他端、一対の第2コレクタ抵抗RC3,RC4の各他端、一対の第3エミッタフォロワ・トランジスタQ13,Q14の各コレクタ端子は、正極性の電源Vccに接続されている。なお、上記バイアス回路において、バイアス抵抗R1、バイアス・トランジスタQ15及び第2電圧シフトダイオードD3が直列接続されてなる直列回路の接続順序は、図1に示す順序に限定されない。
【0031】
このように構成された本差動増幅器Aは、シリコン基板上に集積回路として形成されたものである。上述した各回路素子のうち、全てのトランジスタは、図示するように全てNPNトランジスタ(バイポーラトランジスタ)としてシリコン基板上に形成される。また、各々に対をなす第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1,Q2、第1増幅トランジスタQ3,Q4、第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5,Q6、第2増幅トランジスタQ7,Q8、第1ベース接地トランジスタQ9,Q10、第2ベース接地トランジスタQ11,Q12及び第3エミッタフォロワ・トランジスタQ13,Q14は、均一な半導体特性を有するシリコン基板上に形成されるが故に同一特性を有し、また各々に対をなす第1エミッタ抵抗RE1,RE2及び第2エミッタ抵抗RE3,RE4は同様にして同一な抵抗値REを有する。さらに、各々に対をなす第1ベース接地トランジスタQ9,Q10及び第2ベース接地トランジスタQ11,Q12の各ベース端子には、バイアス回路によって同一の内部バイアス電圧VBが供給されている。
【0032】
したがって、互いに対をなす第1増幅トランジスタQ3,Q4のバイアス電流は、第1定電流源CS0が設定する第1バイアス電流の電流値Iの半分つまりI/2に設定され、また互いに対をなす第2増幅トランジスタQ7,Q8のバイアス電流は、第3定電流源CS3が設定する第3バイアス電流の電流値I3(=I)の半分、つまり上記第1増幅トランジスタQ3,Q4のバイアス電流と全く同一なI/2に設定される。
【0033】
また、互いに対をなす第1増幅トランジスタQ3,Q4には、バイアス回路から供給される同一の内部バイアス電圧VBによって駆動される一対の第1ベース接地トランジスタQ9,Q10が接続され、また互いに対をなす第2増幅トランジスタQ7,Q8には、上記一対の第1ベース接地トランジスタQ9,Q10と同様に、同一の内部バイアス電圧VBによって駆動される一対の第2ベース接地トランジスタQ11,Q12が接続されている。
【0034】
また、上記一対の第1コレクタ抵抗RC1,RC2及び一対の第2コレクタ抵抗RC3,RC4は、全て同一な抵抗値を有しており、当該抵抗値は、上記第1、第2エミッタ抵抗RE1,RE2,RE3,RE4の抵抗値RE及び一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1,Q2の無信号入力時におけるトランスコンダクタンスg(=IC0/V)によって示される(RE+1/g)に設定されている。すなわち、一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1,Q2のコレクタ端子には、各々に(RE+1/g)の2倍に相当する2(RE+1/g)が接続されている。なお、上記IC0は、一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1,Q2のバイアス電流(=I/2)であり、また上記Vは一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1,Q2の熱電圧である。
【0035】
さらに、バイアス回路が出力する内部バイアス電圧VBは、電源電圧Vccからバイアス抵抗R1、バイアス・トランジスタQ15及び第2電圧シフトダイオードD3による全電圧降下を差し引いた値であり、上述した一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1,Q2、一対の第1増幅トランジスタQ3,Q4及び一対の第2増幅トランジスタQ7,Q8の各々のコレクタ-エミッタ間電圧が等しくなるように設定されている。
【0036】
次に、このように構成された本差動増幅器Aの動作について詳しく説明する。
本差動増幅器Aには、上述したように入力バイアス電圧Vic(直流電圧)に小振幅の交流電圧±ΔViが加算された電圧が入力信号Vin1,Vin2として入力される。すなわち、このような入力信号Vin1,Vin2は、一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1,Q2のベース端子にそれぞれ入力され、当該第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1,Q2によってバッファリングされてエミッタ端子に出力される。
【0037】
そして、この第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1,Q2の出力信号は、第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5,Q6のベース端子にそれぞれ入力され、当該第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5,Q6によって再度バッファリングされた後にエミッタ端子から第1電圧シフトダイオードD1,D2を介して第1増幅トランジスタQ3,Q4のベース端子及び第2増幅トランジスタQ7,Q8のベース端子にそれぞれ入力される。
【0038】
第1増幅トランジスタQ3,Q4の入力信号は、当該第1増幅トランジスタQ3,Q4で増幅され、第1増幅トランジスタQ3,Q4のコレクタ端子から第1ベース接地トランジスタQ9,Q10を介して第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1,Q2のエミッタ端子に帰還される。
【0039】
一方、第2増幅トランジスタQ7,Q8の入力信号(電圧)は、当該第2増幅トランジスタQ7,Q8のトランスコンダクタンスに応じたコレクタ電流に変換され、本差動増幅器Aの出力端である第2ベース接地トランジスタQ11,Q12の各コレクタ端子からトランスコンダクタンス・アンプの出力電流Iout1,Iout2として外部に出力される。また、一対の出力端に所定抵抗値の外部抵抗を接続した場合、本差動増幅器Aの出力電圧Vout1,Vout2は、第2エミッタ抵抗RE3,RE4の抵抗値REと外部抵抗の抵抗値とによって規定される大きさとなる。
【0040】
すなわち、一方の入力信号Vin1は、一方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1及び第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5でバッファリングされた後、一方の第1電圧シフトダイオードD1を介して、他方の入力信号Vin2が入力される他方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ2のエミッタ端子にコレクタ端子が接続された一方の第1増幅トランジスタQ3のベース端子に入力される。また、他方の入力信号Vin2は、他方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ2及び第2エミッタフォロワ・トランジスタQ6でバッファリングされた後、他方の第1電圧シフトダイオードD2を介して、上記一方の入力信号Vin1が入力される一方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1のエミッタ端子にコレクタ端子が接続された他方の第1増幅トランジスタQ4のベース端子に入力される。
【0041】
この結果、一方の第1増幅トランジスタQ3は、ベース端子に一方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1及び第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5でバッファリングされた一方の入力信号Vin1が入力されると共に、コレクタ電流を他方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ2の動作電流として与えることにより当該他方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ2に一方の第1増幅トランジスタQ3と同一の歪みを生じさせる。
【0042】
また、他方の第1増幅トランジスタQ4は、ベース端子に他方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ2及び第2エミッタフォロワ・トランジスタQ6でバッファリングされた他方の入力信号Vin2が入力されると共に、コレクタ電流を一方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1の動作電流として与えることにより当該一方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1に他方の第1増幅トランジスタQ4と同一の歪みを生じさせる。そして、この第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1,Q2に生じる歪みは、上記第1増幅トランジスタQ3,Q4で生じる歪みを打ち消す向きに働く。
【0043】
したがって、本差動増幅器Aによれば、第1増幅トランジスタQ3,Q4の各出力電流Iout1,Iout2の差分(Iout1−Iout2)を示す式が第1増幅トランジスタQ3,Q4の非直線性(つまり、ベース-エミッタ間電圧)に関する項を含まないので、入力電圧Vin1,Vin2の差分(Vin1−Vin2)の広い範囲に亘り直線性に優れ非直線性誤差が極めて小さい差動増幅器を実現することができる。
【0044】
また、本差動増幅器Aによれば、第1増幅トランジスタQ3,Q4及び第2増幅トランジスタQ7,Q8のベース電圧が上昇しても、第1増幅トランジスタQ3,Q4のコレクタが第1ベース接地トランジスタQ9,Q10のエミッタ端子に各々接続され、また第2増幅トランジスタQ7,Q8のコレクタが第2ベース接地トランジスタQ11,Q12のエミッタ端子に各々接続されているので、第1増幅トランジスタQ3,Q4及び第2増幅トランジスタQ7,Q8のコレクタ電圧は殆ど変化せず、よって比較的飽和し難い。
またこれに加えて、第1電圧シフトダイオードD1,D2が設けられることにより第1増幅トランジスタQ3,Q4及び第2増幅トランジスタQ7,Q8のコレクタ-エミッタ間電圧が大きくなるので、さらに飽和し難くい。
【0045】
また、本差動増幅器Aでは、バイアス回路が第1ベース接地トランジスタQ9,Q10のベース端子及び第2ベース接地トランジスタQ11,Q12のベース端子に供給する内部バイアス電圧VBは、無信号時においては第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1,Q2、第1増幅トランジスタQ3,Q4及び第2増幅トランジスタQ7,Q8の各々のコレクタ-エミッタ間電圧Vceが等しくなるように設定され、差動入力時においては第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1、第1増幅トランジスタQ4及び第2増幅トランジスタQ8の各々のコレクタ-エミッタ間電圧Vceが等しくなるように、また第1エミッタフォロワ・トランジスタQ2、第1増幅トランジスタQ3及び第2増幅トランジスタQ7の各々のコレクタ-エミッタ間電圧Vceが等しくなるように設定されている。
また、本差動増幅器Aでは、無信号時においては第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1,Q2、第1増幅トランジスタQ3,Q4及び第2増幅トランジスタQ7,Q8の各々のコレクタ電流(バイアス電流)が等しくなるように設定され、差動入力時においては第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1、第1増幅トランジスタQ4及び第2増幅トランジスタQ8の各々のコレクタ電流(バイアス電流)が等しくなるように、また第1エミッタフォロワ・トランジスタQ2、第1増幅トランジスタQ3及び第2増幅トランジスタQ7の各々のコレクタ電流(バイアス電流)が等しくなるように設定されている。
【0046】
すなわち、本差動増幅器Aでは、第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1、第1増幅トランジスタQ4及び第2増幅トランジスタQ8については、コレクタ-エミッタ間電圧Vceが常に等しく、かつコレクタ電流(バイアス電流)が常に等しいので、消費電力が互いに等しく、よって温度変化も等しい。また、第1エミッタフォロワ・トランジスタQ2、第1増幅トランジスタQ3及び第2増幅トランジスタQ7については、コレクタ-エミッタ間電圧Vceが常に等しく、かつコレクタ電流(バイアス電流)が常に等しいので、消費電力が互いに等しく、よって温度変化も等しい。
【0047】
また、本差動増幅器Aでは、互いに等しい抵抗値、つまり(RE+1/g)を有する第1コレクタ抵抗RC1,RC2及び第2コレクタ抵抗RC3,RC4の接続点の電圧を第3エミッタフォロワ・トランジスタQ13,Q14に入力し、該第3エミッタフォロワ・トランジスタQ13,Q14でバッファリングして第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5,Q6のコレクタ端子にそれぞれ供給するようにしているので、第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5,Q6の各コレクタ-エミッタ間電圧Vceは、入力差動電圧が変化しても、また電源電圧Vccあるいは/及び本差動増幅器Aの入力同相電圧が変動しても常に等しい。そして、第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5,Q6の各バイアス電流I1,I2は、第2定電流源CS1,CS2によって等しい電流値に設定されている。
【0048】
すなわち、本差動増幅器Aでは、第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5,Q6の各消費電力が常に一定となるので、局所的な温度変化が発生せず、よって第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5,Q6のベース-エミッタ間電圧Vbeが変動することがない。
【0049】
したがって、本差動増幅器Aによれば、トランスコンダクタンス・アンプを構成する基本回路部のトランジスタのうち、一対の第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5,Q6については局所的な温度変化が抑制され、ベース-エミッタ間電圧Vbeを安定化することが可能であり、また一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1,Q2、一対の第1増幅トランジスタQ3,Q4及び一対の第2増幅トランジスタQ7,Q8については各々の局所的な温度変化が相互に等しく、よってベース-エミッタ間電圧Vbeの影響を打ち消し合うことが可能なので、非直線性増幅誤差が小さくかつ周波数特性が広範囲で平坦な広帯域差動増幅器を実現することができる。
【0050】
さらに、バイアス回路がバイアス・トランジスタQ15、バイアス抵抗R1、第2電圧シフトダイオードD3及び第4定電流源CS4によって構成されているので、このバイアス回路が第1ベース接地トランジスタQ9,Q10及び第2ベース接地トランジスタQ11,Q12に出力するバイアス電圧VBは、周囲温度の変動に起因する一対の第1増幅トランジスタQ3,Q4及び一対の第2増幅トランジスタQ7,Q8の各コレクタ-エミッタ間電圧Vceの変動を打ち消すように変化する。したがって、本差動増幅器Aによれば、周囲温度の変動に対して第1増幅トランジスタQ3,Q4及び第2増幅トランジスタQ7,Q8の消費電力を安定化することが可能である。
【0051】
ここで、上記各トランジスタにおける消費電力について詳説すると以下のようになる。(1)無信号入力時
Vcc=2.5V、RE=100Ω、I=4mA、VD=0.4V、Vic=1.9V、V=30mV(温度T=75°C)、無信号時の各トランジスタのベース-エミッタ間電圧Vbeを0.8Vとして計算すると、第1ベース接地トランジスタQ9,Q10のベース電位は、Vbe=0.84V、一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1,Q2及び一対の第1増幅トランジスタQ3,Q4のコレクタ-エミッタ間電圧は、Vce=0.94Vとなる。また、一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1,Q2及び一対の第1増幅トランジスタQ3,Q4のバイアス電流は、全て2mAである。
【0052】
したがって、一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1,Q2及び一対の第1増幅トランジスタQ3,Q4は、コレクタ-エミッタ間電圧とバイアス電流とが全て等しいので、同一な消費電力となる。
また、この場合において、一対の第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5,Q6のコレクタ-エミッタ間電圧は1.17V、またバイアス電流は同一に設定されているので、一対の第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5,Q6の消費電力も同一である。
【0053】
(2)小信号入力時
入力バイアス電圧Vicに小電圧+ΔViが加算された入力電圧Vin1が一方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1のベース端子に入力され、入力バイアス電圧Vicに小電圧−ΔViが加算された入力電圧Vin2が他方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ2のベース端子に入力された場合、第1増幅トランジスタQ3,Q4の各エミッタ電位の変化量ΔVe3,ΔVe4は、下式(1),(2)によって示される。
ΔVe3=+ΔVi−ΔVbe1−ΔVbe5−ΔVD−ΔVbe3 (1)
ΔVe4=−ΔVi−ΔVbe2−ΔVbe6−ΔVD−ΔVbe4 (2)
【0054】
したがって、一対の第1増幅トランジスタQ3,Q4における各エミッタ電位の変化量ΔVe3,ΔVe4の差分は、式(3)によって示される。
ΔVe3−ΔVe4=2ΔVi−(ΔVbe1−ΔVbe4)
−(ΔVbe2−ΔVbe3)−(ΔVbe5−ΔVbe6) (3)
ここで、一方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1と他方の第1増幅トランジスタQ4との消費電力の変化が等しく、他方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ2と一方の第1増幅トランジスタQ3との消費電力の変化が等しく、また一対の第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5,Q6の消費電力の変化がゼロであると仮定した場合、上式(3)において、ΔVbe1=ΔVbe4、ΔVbe2=ΔVbe3、ΔVbe5=ΔVbe6=0となり、式(3)は下式(4)のように表される。
ΔVe3−ΔVe4=2ΔVi (4)
【0055】
また、他方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ2におけるコレクタ電流の変化量(つまり、一方の第1増幅トランジスタQ3におけるコレクタ電流の変化量)はΔIi=ΔVi/RE、また一方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1におけるコレクタ電流の変化量(つまり、他方の第1増幅トランジスタQ4におけるコレクタ電流の変化量)は−ΔIi=−ΔVi/REである。また、一方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1におけるコレクタ電位の変化量ΔVc1は下式(5)によって表され、またエミッタ電位の変化量ΔVe1は下式(6)によって表される。
【0056】
ΔVc1=−2(RE+1/g)・(−ΔIi)
=2{(1+1/(RE・g)}・ΔIi (5)
ΔVe1=ΔVi−ΔVbe1=ΔVi−(1/g)・(−ΔIi)
={1+1/(RE・g)}・ΔVi (6)
一方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1におけるコレクタ-エミッタ間電圧の変化量ΔVce1は、上式(5)、(6)から式(7)のように表される。
ΔVce1={1+1/(RE・g)}・ΔVi (7)
【0057】
また、他方の第1増幅トランジスタQ4については、コレクタ電位の変化量ΔVc4は下式(8)によって、またエミッタ電位の変化量ΔVe4は下式(9)によって表される。
ΔVc4=−ΔVbe9=−(1/g)・(−ΔIi)
={1/(RE・g)}・ΔVi (8)
ΔVe4=−ΔVi (9)
したがって、他方の第1増幅トランジスタQ4におけるコレクタ-エミッタ間電圧の変化量ΔVce4は、上式(8)、(9)から式(10)のように表される。
ΔVce4={1+1/(RE・g)}・ΔVi (10)
【0058】
すなわち、式(7)及び式(10)が示すように、一方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1におけるコレクタ-エミッタ間電圧の変化量ΔVce1は、他方の第1増幅トランジスタQ4におけるコレクタ-エミッタ間電圧の変化量ΔVce4と等しい。また、一方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1と他方の第1増幅トランジスタQ4とは、コレクタ電流が何れも等しいので、両者の消費電力は常に等しい。また、このような一方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1と他方の第1増幅トランジスタQ4と同様に、他方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ2と一方の第1増幅トランジスタQ3についても両者の消費電力は常に等しい。
【0059】
したがって、一方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1におけるベース-エミッタ間電圧の変化量ΔVbe1は、他方の第1増幅トランジスタQ4におけるベース-エミッタ間電圧の変化量ΔVbe4と等しく、また他方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ2におけるベース-エミッタ間電圧の変化量ΔVbe2は、一方の第1増幅トランジスタQ3におけるベース-エミッタ間電圧の変化量ΔVbe3と等しい。よって、一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1,Q2及び一対の第1増幅トランジスタQ3,Q4について、上述したΔVbe1=ΔVbe4、ΔVbe2=ΔVbe3が成立する。
【0060】
また、一方の第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5におけるコレクタ電位の変化量ΔVc5は下式(11)で表され、エミッタ電位の変化量ΔVe5は下式(12)で表される。
ΔVc5=−(RE+1/g)・(−ΔIi)
={1+1/(RE・g)}・ΔVi (11)
ΔVe5={1+1/(RE・g)}・ΔVi (12)
すなわち、一方の第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5については、コレクタ電位の変化量ΔVc5及びエミッタ電位の変化量ΔVe5が等しい。また、一方の第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5のバイアス電流I1は一方の第2定電流源CS1によって一定値に設定されている。
【0061】
したがって、一方の第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5については消費電流が変動しない。このことは、他方の第2エミッタフォロワ・トランジスタQ6についても同様である。よって、一対の第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5,Q6の各ベース-エミッタ間電圧の変化量ΔVbe5,ΔVbe6について、上述したΔVbe5=ΔVbe6=0が成立する。
【0062】
このように、一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1,Q2及び一対の第1増幅トランジスタQ3,Q4のベース-エミッタ間電圧についてΔVbe1=ΔVbe4、ΔVbe2=ΔVbe3が成立し、また一対の第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5,Q6の各ベース-エミッタ間電圧については、ΔVbe5=ΔVbe6=0が成立する。また、これに加えて一対の第2増幅トランジスタQ7,Q8は、上記一対の第1増幅トランジスタQ3,Q4と特性がマッチングしているので、線形性の高い電流を出力する。したがって、本差動増幅器Aは、各差動対の消費電力が等しいので全体として高い線形性を有する。
【0063】
なお、本差動増幅器Aでは、各対の第1増幅トランジスタQ3,Q4及び第2増幅トランジスタQ7,Q8のコレクタ端子(出力側)に挿入した各対の第1ベース接地トランジスタQ9,Q10及び第2ベース接地トランジスタQ11,Q12の消費電力が何らかの原因で変化すると、当該各対の第1ベース接地トランジスタQ9,Q10及び第2ベース接地トランジスタQ11,Q12のベース-エミッタ間電圧Vbe9,Vbe10,Vbe11,Vbe12が変化するので、一対の第1増幅トランジスタQ3,Q4及び一対の第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5,Q6の各コレクタ電位が変化する。しかしながら、この各コレクタ電位の変化に起因する消費電力の変化は極めて微小であり、非線形性や利得(ゲイン)への影響は無視することができる。
【0064】
また、上述したように一方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1のコレクタ電位は、式(5)に示されるように、入力電圧変化ΔViの2{1+1/(RE・g)}倍だけ変化する。このために、一方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1のベース端子側から見た高周波入力インピーダンス、つまり本差動増幅器Aの高周波入力インピーダンスは、一方の第1エミッタフォロワ・トランジスタQ1のベース-コレクタ間容量に起因して負となり、高周波パルスを入力信号とした場合にリンギングが発生し易くなる。これを回避する手段として、コンデンサC1の静電容量を調整して高周波入力インピーダンスを正側に調整することが有効である。
【0065】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図2は、第2実施形態に係る差動増幅器Bの回路図である。この図2では、上記第1実施形態の差動増幅器Aと同一の回路素子には同一符号を付している。本差動増幅器Bは、上述した出力回路を2つ並列して設けたものである。すなわち、本差動増幅器Bは、一対の第2増幅トランジスタQ7,Q8、一対の第2ベース接地トランジスタQ11,Q12、一対の第2エミッタ抵抗RE3,RE4及び第4定電流源CS4からなる第1出力回路に加え、一対の第3増幅トランジスタQ16,Q17、一対の第3ベース接地トランジスタQ18,Q19、一対の第3エミッタ抵抗RE5,RE6及び第5定電流源CS5からなる第2出力回路を備える。第2出力回路は、入力端及び出力端ともに第1出力回路に並列接続されており、当該第1出力回路と全く同様な性能を有する。
【0066】
このような構成の本差動増幅器Bでは、互いに並列接続された出力回路が2つあるので、出力電流を第1実施形態の差動増幅器Aの2倍とすること、つまりトランスコンダクタンス・アンプとしての利得(ゲイン)を第1実施形態の差動増幅器Aの2倍とすることができる。また逆に、本差動増幅器Bでは、第1実施形態の差動増幅器Aの利得と同等の利得を実現しようとする場合には、出力回路のバイアス電流を1/2とすることができるので、全体としての消費電力を第1実施形態の差動増幅器Aよりも減少させることができる。
【0067】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図3は、第3実施形態に係る差動増幅器Cの回路図である。この図3では、上記第1実施形態の差動増幅器Aと同一の回路素子には同一符号を付している。本差動増幅器Cでは、一対の第2増幅トランジスタQ7,Q8のベース端子は、一対の第1電圧シフトダイオードD1,D2のアノード端子、つまり一対の第2エミッタフォロワ・トランジスタQ5,Q6のエミッタ端子にそれぞれ直接接続されて、また一対の第2ベース接地トランジスタQ11,Q12のベース端子は、第2電圧シフトダイオードD3のアノード端子、つまりバイアス・トランジスタQ15のエミッタ端子に直接接続されている。
【0068】
すなわち、本差動増幅器Cは、一対の第2増幅トランジスタQ7,Q8のベース電位が第1実施形態の差動増幅器Aにおける一対の第2増幅トランジスタQ7,Q8のベース電位よりも一対の第1電圧シフトダイオードD1,D2の電圧降下VD分だけ高くなると共に、一対の第2増幅トランジスタQ7,Q8のコレクタ電位が第1実施形態の差動増幅器Aにおける一対の第2増幅トランジスタQ7,Q8のコレクタ電位よりも第2電圧シフトダイオードD3の電圧降下VD分だけ高くなっている。
【0069】
したがって、本差動増幅器Cによれば、一対の第2ベース接地トランジスタQ11,Q12のコレクタ-エミッタ間電圧Vceが第1実施形態の差動増幅器Aよりも小さくなるので、耐圧の小さなトランジスタを使用する場合に有効である。
【0070】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記各実施形態では、各トランジスタQ1〜Q19をNPNトランジスタ(バイポーラトランジスタ)として構成したが、各トランジスタQ1〜Q19をPNPトランジスタあるいはMOS-FETとして構成しても良い。
(2)上記各実施形態では、第1電圧シフトダイオードD1,D2及び第2電圧シフトダイオードD3をショットキーダイオードとして構成したが、これら各電圧シフトダイオードは、必要に応じて他の種類のダイオード(一般的なシリコンダイオード)や抵抗であっても良い。
【0071】
(3)上記各実施形態では、第1〜第3定電流源CS0〜CS3をバイアス電流設定回路として採用したが、各トランジスタのバイアス電流を高精度に設定する必要がない場合には、第1〜第3定電流源CS0〜CS3に代えて抵抗器を用いても良い。
(4)上記第2実施形態では、2個の出力回路を備える構成を採用したが、出力回路の個数は2個に限定されるものではなく、さらに多くても良い。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1実施形態に係わる差動増幅器Aの回路図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係わる差動増幅器Bの回路図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係わる差動増幅器Cの回路図である。
【符号の説明】
【0073】
Q1,Q2…第1エミッタフォロワ・トランジスタ、Q3,Q4…第1増幅トランジスタ、Q5,Q6…第2エミッタフォロワ・トランジスタ、Q7,Q8…第2増幅トランジスタ、Q9,Q10…第1ベース接地トランジスタ、Q11,Q12…第2ベース接地トランジスタ、Q13,Q14…第3エミッタフォロワ・トランジスタ、Q15…バイアス・トランジスタ、RE1,RE2…第1エミッタ抵抗、RE3,RE4…第2エミッタ抵抗、RC1,RC2…第1コレクタ抵抗、RC3,RC4…第2コレクタ抵抗、R1…バイアス抵抗、CS0…第1定電流源、CS1,CS2…第2定電流源、CS3…第3定電流源、CS4…第4定電流源、D1,D2…第1電圧シフトダイオード(電圧シフト回路)、D3…第2電圧シフトダイオード(第2の電圧シフト回路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号をそれぞれバッファリングする一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタと、
該一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタのコレクタ端子側にコレクタ電流に依存した電圧降下をそれぞれ発生させる一対の電圧発生回路と、
前記一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタの出力をそれぞれバッファリングする一対のエミッタフォロワ回路と、
前記一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタにたすきがけ接続されると共に、前記一対のエミッタフォロワ回路によってそれぞれ駆動される第1の差動増幅回路と、
出力用に設けられ、前記一対のエミッタフォロワ回路によってそれぞれ駆動される第2の差動増幅回路と、
前記一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタと前記第1の差動増幅回路との間にそれぞれ設けられた一対の第1ベース接地トランジスタと、
前記第2の差動増幅回路の出力にそれぞれ設けられた一対の第2ベース接地トランジスタと、
前記一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタ及び前記第1、第2の差動増幅回路における各々のコレクタ-エミッタ間電圧が等しくなるように設定されたバイアス電圧を前記一対の第1、第2ベース接地トランジスタに出力するバイアス回路と
を具備することを特徴とする差動増幅器。
【請求項2】
ベース端子に入力信号が印加される一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタと、
該一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタのコレクタ端子にそれぞれ接続され、当該一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタのコレクタ電流に依存した電圧降下をそれぞれ発生させる一対の電圧発生回路と、
ベース端子が前記一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタのエミッタ端子にそれぞれ接続される一対の第2エミッタフォロワ・トランジスタを備える一対のエミッタフォロワ回路と、
ベース端子が前記一対の第2エミッタフォロワ・トランジスタのエミッタ端子にたすきがけ接続されると共にコレクタ端子が前記一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタのエミッタ端子にそれぞれ接続される一対の第1増幅トランジスタを備える第1の差動増幅回路と、
ベース端子が前記一対の第1増幅トランジスタのベース端子にそれぞれ接続された一対の第2増幅トランジスタを備える第2の差動増幅回路と、
前記一対の第1増幅トランジスタのコレクタ端子と前記一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタのエミッタ端子との間にそれぞれ挿入される一対の第1ベース接地トランジスタと、
前記一対の第2増幅トランジスタのコレクタ端子と出力端との間にそれぞれ挿入される一対の第2ベース接地トランジスタと、
前記一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタ、前記一対の第1増幅トランジスタ及び前記一対の第2増幅トランジスタにおける各々のコレクタ-エミッタ間電圧が等しくなるように設定されたバイアス電圧を前記一対の第1ベース接地トランジスタ及び前記一対の第2ベース接地トランジスタに出力するバイアス回路と
を具備することを特徴とする差動増幅器。
【請求項3】
前記第1、第2の差動増幅回路と前記一対のエミッタフォロワ回路との間に直流電圧をシフトする電圧シフト回路が設けられることを特徴とする請求項1または2記載の差動増幅器。
【請求項4】
前記バイアス回路は、
コレクタ端子とベース端子とが接続されたバイアス・トランジスタと、当該バイアス・トランジスタのコレクタ電流に依存した電圧降下を発生させる第2の電圧降下回路と、直流電圧をシフトする第2の電圧シフト回路とが直列接続された直列回路と、
該直列回路に接続される定電流源とからなり、
前記直列回路と前記定電流源との接続点をバイアス電圧の出力端とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の差動増幅器。
【請求項5】
エミッタ端子が前記一対のエミッタフォロワ回路のコレクタ端子にそれぞれ接続された一対の第3エミッタフォロワ・トランジスタをさらに備え、
前記一対の電圧発生回路は、一端が前記一対の第1エミッタフォロワ・トランジスタのコレクタ端子にそれぞれ接続される一対の第1コレクタ抵抗と、該一対の第1コレクタ抵抗の他端にそれぞれ直列接続される一対の第2コレクタ抵抗とからなり、
前記一対の第3エミッタフォロワ・トランジスタの各ベース端子は、前記一対の第1コレクタ抵抗と前記一対の第2コレクタ抵抗との接続点にそれぞれ接続される
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の差動増幅器。
【請求項6】
前記第2の差動増幅回路及び前記一対の第2ベース接地トランジスタからなる出力回路が複数並列接続されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の差動増幅器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−34786(P2010−34786A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193864(P2008−193864)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】