説明

希土類金属−Ba2Cu3O7−δ薄膜の製造のための組成物及び方法

希土類金属Ba2Cu3O7膜を生成する組成物及び方法が記載される。組成物は、バリウム(Ba)金属有機化合物、1又はそれより多い希土類金属有機化合物を含み、組成物は、ハロゲンも含む。例えば、組成物は、ハロゲン化された有機溶媒を含む。組成物はまたほぼ230℃よりも大きい沸点を有する溶媒を含む。前駆体溶液は、また、水を生成するために、ハロゲン化された溶媒と反応しない低粘度溶媒を含む。高粘度化合物は、より厚い膜の形成を可能とするために含まれることもある。得られた前駆体溶液は、基板上に堆積され、50℃/分よりも大きい加熱速度で熱分解され、滑らかな、剪断膜を生成するために結晶化される。100nmよりも大きい厚さの膜は、4×10A/cmの輸送Jc値を用いて、77°Kでさまざまな基板上で生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(連邦支援の研究に関する陳述)
本発明は、サンディアコーポレーションと米国エネルギー省との間で、契約番号第DE-AC04-94AL85000号に基づいて行なわれた。米国政府は、本発明の特定の権利を有する。
【0002】
本明細書に用いられる表題のセクションは、組織的目的のためだけであり、本明細書に記載される主題を制限するものとは決して解釈されない。
【背景技術】
【0003】
(分野)
本出願は、一般的に、希土類金属酸化物の膜を生成する方法に関する。
【0004】
(背景技術)
Cu又はAg等の金属導体の電気抵抗が小さくても、米国で生成される全ての電力の少なくとも20%は、顧客に到達する前に失われる。ある可能な解決法は、高い電力伝送ケーブル薄い超伝導テープに織り込まれる薄い超伝導テープを開発することである。YBa2Cu3O7-δ(YBCO)は、使用可能な潜在的材料である。YBCOは、c軸配向エピタキシャルYBCO薄膜に対し、単結晶基板及びバッファ付金属基板上で77°Kにて、106A/cm2の輸送電流密度(Jc)を有する。
【0005】
化学溶液堆積法(CSD)は、低価格で、YBCOの長尺テープを製作する技術である。エクスサイツCSD法は、容易で、浸漬被覆、ウェブ被覆、又はスプレー被覆による連続プロセスに適している。(McIntyre et al., Appl. Phys., 1990, 68, 4183-4187; Nonaka et al., Jpn. J. Appl. Phys. Pt. 2, 1988, 27, L867-L869; Manabe et al., Physica C, 1997, 276, 160-166;及びYamagaiwa et al., J. Cryst. Growth, 2001, 229, 353-357.) McIntyre等は、CSDにより、高品質なYBCO薄膜を生成する標準的な方法を開発した。方法は、トリフルオロ酢酸における、Ba、Y及びCu炭酸塩の分解を含む。溶液が乾燥され、その後メタノールで希釈される。77Kで3×106 A/cm2よりも大きい値の輸送電流密度(Jc)を有する高品質の純粋相YBCO膜は、この方法により製造されてきた。
【0006】
McIntyre et al及び他の同様の変更により記載される方法において、トリフルオロ酢酸金属の分解、特にCu-トリフルオロ酢酸塩は、空気又はO2において、発熱性を有する。直ちに熱せられると、膜における有機物の制御不可能な分解が生じ、これにより、膜の一体性が破壊される。その結果、熱分解ステージ(典型的に、8−12時間要する)が、分解を制御するのに必要となる。水蒸気が、炉頂ガスに対してしばしば加えられ、熱分解の間にCuの損失を妨げるのを助け、これにより適切な陽イオンの化学量論が維持される。1.5時間の熱分解ステージ(Dawley et al., J. Master. Res., 2001, 16, 13-16 and Dawley et al., IEEE Trans. Appl. Superconductivity, 2001, 2873-2876)を必要とするのだが、低pO2(0.2-1% O2)熱分解は、効果的に有機物の分解及びCSD YBCO薄膜の組成物を効果的に制御することが可能である。本明細書において、熱分解ステージは、熱処理工程として定義され、この場合、基板に堆積後に膜に存在する有機種は、少なくとも部分的に熱手段により分解される。この方法により加工された膜は、空気又はO2において熱分解された膜に対して、電気的等価特性を有した。しかしながら、この方法により処理された膜の膜形態は、McIntyre et al.の滑らかな、剪断膜とは異なり、「鉛筆型迷路(pencil maze)」パターンを有することがわかった。鉛筆型迷路パターンを有する膜の構造において、ピークの高さは、谷よりも数倍大きく、鉛筆型構造の形成は、さらなる連続的な層の堆積を妨げるため、多層によるより厚い膜を生成するにはほとんどの乗り越えられない障害である。電力のほとんどの利用で、十分に厚い超伝導層とするには、ほぼ10−20層が必要とされる。
【0007】
従って、減少された処理時間で、YBCO等のような希土類金属の、滑らかで、純粋相の、エピタキシャル膜の加工が可能である化学溶液堆積法の必要性が存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】McIntyre et al., Appl. Phys., 1990, 68, 4183-4187
【非特許文献2】Nonaka et al., Jpn. J. Appl. Phys. Pt. 2, 1988, 27, L867-L869
【非特許文献3】Manabe et al., Physica C, 1997, 276, 160-166
【非特許文献4】Yamagaiwa et al., J. Cryst. Growth, 2001, 229, 353-357.
【非特許文献5】Dawley et al., J. Master. Res., 2001, 16, 13-16
【非特許文献6】Dawley et al., IEEE Trans. Appl. Superconductivity, 2001, 2873-2876
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
組成物が提供され、該組成物は、バリウム金属有機化合物と、1又はそれより多い希土類金属有機化合物と、銅金属有機化合物と、大気圧にて230℃よりも高い沸点を有する、高沸点溶媒を備える組成物であって、組成物はさらに、ハロゲン化された有機溶媒を備え、及び/又は、1又はそれより多いバリウム金属有機化合物、1又はそれより多い希土類金属有機化合物及び銅金属有機化合物は、ハロゲンを備え、組成物における高沸点溶媒の希土類金属に対するモル比は、1−10:1であり、組成物におけるバリウムの希土類金属に対するモル比は、2.1:1未満であり、組成物における銅のバリウムに対するモル比は、3:2より大きいことを特徴とする。
【0010】
δは0から1を含む、希土類金属BaCu3O7-δ膜を生成する方法が提供され、該方法は、a)上記で説明された組成物を、基板上に被覆する工程と、b)有機物分解を引き起こすために、組成物を、少なくとも50℃/分の速度で、その後、加熱する工程を備え、これにより、基板上に熱分解された前駆体を形成し、方法はさらに、c)熱分解された前駆体を、その後、希土類金属BaCu3O7-δ膜に反応させる工程を備えることを特徴とする。
【0011】
組成物がまた提供され、該組成物は、バリウム金属有機化合物と、1又はそれより多い希土類金属有機化合物と、銅金属有機化合物を備え、組成物はさらに、ハロゲン化された有機溶媒を備え、及び/又は、1又はそれより多いバリウム金属有機化合物、1又はそれより多い希土類金属有機化合物及び銅金属有機化合物は、ハロゲンを備え、組成物は、大気圧にて230℃よりも高い沸点を有する、高沸点溶媒と、20℃で、10センチポイズ未満の粘度を有する低粘度溶媒を備え、低粘度溶媒は、H2Oを形成するためのハロゲン化された有機溶媒と反応しないことを特徴とする。
【0012】
δは0から1を含む、希土類金属BaCu3O7-δ膜を生成する方法がまた提供され、該方法は、a)上記で説明された組成物を、基板上に被覆する工程と、b)有機物分解を引き起こすために、組成物を、少なくとも50℃/分の速度で、その後、加熱する工程を備え、これにより、基板上に熱分解された前駆体を形成し、方法はさらに、熱分解された前駆体を、その後、希土類金属BaCu3O7-δ膜に反応させる工程を備えることを特徴とする。
【0013】
本教示のこれらと他の特徴は、本明細書において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、SrTiO3で被覆されたNiW基板上の、DEA-含有溶液からできている、1400-nmの厚さを有するc-軸配向YBCO膜の電子顕微鏡の画像を示す。
【図2】図2は、真空晶析された、CeO2/La2Zr2O7で被覆されたNi0.95W0.05基板のTFA-DEA-アセトン前駆体で生成されたエピタキシャルYBCO膜のX線回折のファイルを示す。
【図3】図3は、真空晶析された、SrTiO3で被覆されたNi0.95W0.05基板のTFA-DEA-アセトン前駆物質で生成されたエピタキシャルYBCO膜のX線回折のファイルを示す。
【図4A】図4Aは、X線回折の極点図であり、NiW基板の2軸配向組織を示す。
【図4B】図4Bは、X線回折の極点図であり、その後に続くSrTiO3の2軸配向組織を示す。
【図4C】図4Cは、X線回折の極点図であり、YBCOの2軸配向組織を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
当業者は、以下に述べる図面は、説明的な目的のためだけであり、図面は、本教示の内容を制限することは決して意図されていない。
【0016】
本明細書を理解する目的において、本明細書中の「or(又は)」の使用は、別段の定めをした場合を除き、又は「and/or(及び/又は)」が明らかに不明瞭の場合を除き、「and/or(及び/又は)」を意味する。別段の定めをした場合を除き、又は「one or more(1又はそれより多い)」が明らかに不明瞭の場合を除き、本明細書中「a」の使用は、「one or more(1又はそれより多い)」ことを意味する。「comprise(備える)」、「comprises(備える)」、「comprising(備える)」、「include(含む)」、「includes(含む)」及び「including(含む)」の使用は、代替可能であり、制限を意図するものではない。さらに、1又はそれより多い実施形態の記載が「comprising(備える)」の用語を用いる場合、当業者は、いくつかの例において、実施形態が「consisting essentially of(から基本的に成る)」及び/又は「consist of(から成る)」という表現を用いて代替的に示されることを理解する。本発明の教示内容が動作可能である限り、いくつかの実施形態において、特定の動作を実行するための順序又は工程の順序は、重要でないことがまた理解されるべきである。さらに、いくつかの実施形態において、2又はそれより多い工程又は動作は、同時に行うことが可能である。
【0017】
YBa2Cu3O7-δ(YBCO)等の複合酸化物を生成するための溶液ベースの堆積方法は、複数の要素を組み入れ、局所的化学量論の適切な制御及び広い面積での堆積を可能とするように、以前に開発されてきた。しかしながら、利用可能な方法は、滑らかで、純粋相(phase-pure)の、エピタキシャルのC軸配向のYBa2Cu3O7-δ(YBCO)膜の加工を行うのに、一般的に少なくとも12−24時間を要する。
【0018】
YBCO膜を生成するための化学溶液堆積法(CSD)において、前駆体溶液がバリウム金属有機化合物を、ハロゲン化された有機溶媒において溶解し、その後イットリウム(Y)金属有機化合物及び銅(Cu) 金属有機化合物を加えることで、準備される。他の希土類金属有機化合物は、イットリウム金属有機化合物の代わりに、又はイットリウム金属有機化合物に組み合わせることのいずれかが用いられ、所望の化合物を有する酸化物膜を生成する。使用される他の希土類金属化合物は、Gd、Sm及びNdの化合物を含むが、これらに限定されない。あらゆる金属有機化合物の有機部分の例は、限定することではないが、カルボン酸塩、ネオデカン酸塩(neodeconates)、アルコキシド、アミド、アセチルアセトネート、酒石酸塩、クエン酸塩、ラクトン、アルデヒド、アミン及びヒドロキシエーテルを含む。ハロゲン化された有機溶媒は、限定することではないが、第1級、第2級及び第3級アルコール、ケトン、脂肪族ケトン、芳香族炭化水素、複素環、ヒドロキシエステル、グリコール及びカルボン酸を含み、この場合、1又はそれより多い結合された水素原子は、フッ素、臭素、ヨウ素又は塩素などのハロゲン原子で置換される。ハロゲン化された有機溶媒は、トリフルオロ酢酸(TFA)などの酸である。溶媒が、堆積プロセスの間に、CSD膜から除去されると、膜は、容易に外的又は内的応力に調節することが不可能である。低い分圧のO2プロセスの場合、膜からのCu損失がCu前駆体の揮発度により最も高くなると、最も高い応力状態が生じやすい。
【0019】
ジエタノールアミン(沸点247℃)、トリエタノールアミン(沸点335℃)及びグリセリン(沸点290℃)などの高沸点溶媒が前駆体溶液に加えられ、鉛筆型迷路構造の形成を妨げ、熱分解後に滑らかな、剪断膜が形成される。例えばメタノール(沸点68℃)、エタノールアミン(沸点171℃)、アセチルアセトン(沸点141℃)、エチレングリコール(沸点198℃)、ホルムアミド(沸点211℃)及びプロパンジオール(沸点213℃)などのほぼ230℃未満の沸点を有する溶媒を含む、様々な低沸点溶媒が溶媒に加えられる。
【0020】
ジエタノールアミンは、高品質の材料を生成する高い沸点を有するだけでなく、Cu前駆体を複雑化させるようであり、これにより、熱分解の間の、溶解、分解及びCu前駆体の安定性を支援する。DEA含有溶液でできている結晶化されたYBCO膜は、さまざまな基板上で、77°Kにて4×106の輸送Jc値を有する、純位相YBCOであり、優れた超伝導特性を示す。
【0021】
ある実施形態において、YBCO膜の前駆体溶液は、Ba酢酸塩(ほぼ99%純粋)を、トリフルオロ酢酸(TFA)中、ほぼ60-70℃の温度で、溶解することで作られる。Y酢酸四水和物(ほぼ99.9%純粋)及び無水酢酸Cu(ほぼ99%純粋)はその後、酢酸/TFA前駆体溶液をもたらすために加えられる、低粘度溶媒(例えば、アセトン)がその後前駆体溶液を形成するために加えられる。
【0022】
低粘度溶媒(例えばアセトン)が前駆体溶液を希釈するために加えられる。いくつかの実施形態によると、低粘度溶媒は、ハロゲン化された溶媒とは反応せず、水を生成する(例えば、エステル化反応)。例えば、TFAを用いるYBCOプロセスにおける低粘度溶媒として以前に使用されていたメタノールは、TFAと反応し、水を形成する[トリフルオロ酢酸(CF3COOH)+メタノール(CH3OH)→トリフルオロ酢酸メチル(CF3COOCH3)+H20]。水を生成するハロゲン化された有機溶媒と反応しない他の溶媒は、第1級、第2級及び第3級アルコール、ケトン、脂肪族ケトン、芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン及びピリジンのような複素環溶媒、ヒドロキシエステル、及びグリコールを含むアセトンの代わりに用いられる。
【0023】
得られる前駆体溶液は、その後、基板上に堆積される。例となる基板は、限定することではないが、(100)LAO及び(100)SrTiO3緩衝化された(100)Ni(単結晶又は2軸配向の組織化された基板のような多結晶Ni)を含む。他の可能な基板又は緩衝層材料は、結晶格子定数又は結晶構造内の結晶面を有する、酸化物、窒化物及び金属を含み、この場合、c軸配向YBCOは、緩衝層又は基板材料の表面に平行して、ヘテロエピタキシャルの方法で成長される。金属の基板上の緩衝層の構造は、ドープされた又はドープされていないアルミン酸、チタン酸塩、ジルコニウム酸塩、マンガン酸塩、ニオブ酸塩、希土類酸化物、マグネシウム酸化物及びこれらの組合せからなる。基板又は緩衝層の材料の例は、MgO、HO2O3、Gd2O3、Er2O3、La2Zr2O7、La0.7Sr0.3MnO3、BaZrO3、CeO2、NaNbO3、Y2O3ZrO2、III-V族窒化物、Ni、Ag及びCuを含む。
【0024】
連続溶液堆積プロセス(Continous solution deposition process)が用いられる。連続堆積方法は、限定することではないが、浸漬被覆、エアロゾル噴霧及びスプレーを含む。
【0025】
過剰な溶液は、その後、フォトレジスト回転塗布器などの一般的な技術を用いて、除去される。
【0026】
被覆された基板は、その後加熱され(例えば、100℃以上にまで)、乾燥する。可能な加熱方法は、限定することではないが、ホットプレート上の堆積、オーブン内での堆積又は赤外線(IR)加熱を含む。
【0027】
堆積直後の膜は、その後熱分解される。例えば、堆積直後の膜は、迅速な、低pO2プロセス(Dawley et al. J. Mater. Res., 2001, 16, 13-16)を用いて、ほぼ250−400℃まで熱分解される。堆積直後の膜は、またほぼ300−400℃まで、空気中で熱分解される。
【0028】
熱分解された膜は、その後昇温(例えば、ほぼ700−900℃まで、ほぼ30分)で結晶化される。湿潤な(例えば、ほぼ20℃の露点)0.1%-100%の酸素(窒素又はArのような希ガスであるバランス)雰囲気が、炉頂ガスを室温の水を介して泡立てることで、結晶化に用いられる。膜は、膜の完全な酸化を達成するために冷却の間、定温で保持される。
【0029】
熱分解及び結晶化に用いられる絶対圧力は、大気圧である。全プロセス時間は、膜を、堆積直後の状態から完全に結晶化されたYBCOにするのに要する期間で定義され、そのプロセス時間は、ほぼ1.5から3.5時間である。結晶化は、また大気圧(例えば、0.1atm未満の圧力)未満の圧力で実行される。
【0030】
Cu Kα x線回折(XRD)、ラマン分光法、走査電子顕微鏡法、波応力測定技術及び表面形状測定装置技術を用いた、上述のプロセスによるYBCO膜の連続的分析は、純粋相、滑らかなYBCO膜が、500nmまでの厚さを有して生成されることを示した。
【0031】
77°KでのYBCO層などの輸送Jc値は、4×106A/cm2と同じ高さである。DEAを用いずに生成されたYBCO膜と比較すると、膜の結晶品質は、より高い超電導転移温度(Tc)に基づいて、改善された。
【0032】
いくつかの実施形態において、YBCO前駆体溶液は、ハロゲン化された有機溶媒のトリフルオロ酢酸(TFA)中、Ba酢酸を60−70℃まで溶解することで、作成される。Y酢酸四水和物及び無水酢酸Cuが、その後続けて加えられ、1:2:(3+x)(Y:Ba:Cu)モル比を有する0.6M(モル YBCO/リットル)溶液をもたらし、この場合、xは溶液(ほぼ0.1モル)に加えられたCuの余分な量を示す。ジエタノールアミンと、水を生成するために、TFAと反応しないアセトンなどの低粘度溶媒が、その後加えられ、最終的なYBCO前駆体溶液(0.15-0.3M)を生成する。
【0033】
YBCO膜の迅速な加工のための、この溶液の化学調合物は、標準的な(低沸点溶媒、より遅い熱分解率、エステル化反応の影響を受けやすい)TFAベースの溶液手段とは区別される。
【0034】
前駆体溶液は、その後、1時間につき、10から90メートルと同じ高さの比率で、さまざまな可撓性を有するテープ基板上(例えば、SrTiO3被覆されたNiW及びCeO2/La2Zr2O7被覆されたNiW)に、堆積化される。膜は、10から90メートル/時間で前駆体溶液の液体リーザバを介して、酸化物で被覆された金属基板を浸漬被覆させ、その後、ほぼ325℃(例えば、それぞれ6分から40秒の滞留時間)で、1メートルの炉を介してテープを引張ることで、堆積される。熱分解の間の加熱速度は、ほぼ100℃/分である。膜は、その後高い加熱速度(例えば、2から30分の740−780℃)を用いて、湿度70ppm O2/balの下で、結晶化される。N2雰囲気は、全圧力1から70トールまでである。乾燥したO2下において、冷却の間、525℃及び700トール、525℃で、30分の保持を用いることで、YBCOの完全な酸化物をもたらす。熱分解及び結晶化ステージでの絶対圧力は、大気圧である。
【0035】
得られたYBCO膜の厚さは、溶液モル濃度に応じて、200から350nmまでである。これらの膜の厚さ及び2−30分の反応時間での、YBCOの反応率は、30オングストローム/秒から2オングストローム/秒に及ぶ。これらの膜のJc値は、適切な幾何学的因子で、限界状態モデルを用いて計算される。
【0036】
金属酢酸塩、トリフルオロ酢酸、非エステル化溶媒(即ち、TFAと反応しない溶媒)及びDEA添加剤からなるYBCO前駆体溶液は、迅速に浸漬被覆され(例えば、<2分)、>290℃まで加熱され、その後、>10オングストローム/秒の率で結晶化され、低pO2雰囲気の熱分解を用いて、高品質の、滑らかなYBCO膜を加工する。DEA添加剤は、膜において生じた緩和した応力勾配(relaxing stress gradient)により、膜から留めるのを妨げる。応力勾配は、低pO2環境において、Cu有機金属種の昇華によるものである。
【0037】
実験は、本明細書に記載される方法の使用が、空気又は他の酸化雰囲気で熱分解された膜の熱分解挙動に対して劇的な影響を与えることを示した。実際に、本明細書に記載される方法を用いることで、膜の一体性を損失することなく、そして、結晶時に超電導特性を全く減少させることなく、空気中で非常に速い熱分解(例えば、DEAなどの高沸点溶媒を用いない場合で、秒対時間)が可能である。
【0038】
示差熱分析(DTA)及び熱重量分析(TGA)データは、DEAを用いずに、及びDEAを用いて、同一の前駆体溶液から加工された乾燥したYBCOゲルのために獲得される。熱分解プロセスは、2のゲルとははっきりと異なる。DEAを用いないゲルのDTAは、単一の発熱を示し、ほぼ同時に3の金属(Y、Ba、Cu)フルオロ酢酸塩の熱分解を示す。有機物分解の開始は、ほぼ240℃であり、このことは、Cuフルオロ酢酸塩の分解と一致する。しかしながら、320℃までに完了し、この温度は、Y又はBaフルオロ酢酸での予期された分解温度(即ち、それぞれ350℃及び450℃)よりもはるかに下回っている。TGAは、240℃と320℃との間の際に、単一の重量損失のみを観察し、より高温ではさらなる重量損失はない。この観察は、Cuフルオロ酢酸の分解が、低温でY及びBフルオロ酢酸塩の分解の触媒作用をおこすことを示唆している。
【0039】
DEAで加工されたYBCO前駆体ゲルは、2の発熱を示す。第1発熱は、240℃で生じ、このことは、Cuフルオロ酢酸塩の分解と一致する。TGAは、分解開始すると、急速な重量損失を観察する。Cuフルオロ酢酸塩の分解反応は、270℃までに完了する。270℃から320℃までで、DTAは、著しい反応を示さない。しかしながら、ゲルは、重量損失を続ける。DEAの沸点が268℃であるので、この重量損失は、DEAの蒸発によるものであると考えられる。第2分解反応は、320℃で開始し、400℃で完了する。単一及び対の陽イオンゲルのその後の分析は、第2発熱が、おそらくY及びBaフルオロ酢酸塩の熱分解によるものであることを示す。Y及びBaは、隔離された酸化フッ化物種としてではなく、混合された(Ba、Y)(O、F)の酸化フッ化物種として、分解は単一発熱として生じる。
【0040】
DTA/TGAデータは、DEAのYBCO溶液への追加が、熱分解挙動に対して劇的に影響を与えることを示す。下部の化学的性質を理解するために、DEAを追加した生成物の単結晶の分離を試みることは、DEA中に形成される化合物の溶解度及び結晶化を可能とするのに用いられる他の典型的な化合物の溶解度の不足により、成功しなかった。しかしながら、ほぼCu化合物と考えられるものの単結晶アナログは、追加的溶媒として熱分解を使用することで、溶液から結晶化された。強いルイス塩基の性質により、他の弱い配位された種(すなわち、DEA)と置換することが可能である。したがって、Cu金属中心上の六角形状の熱分解分子の位置は、DEA溶媒分子の配位部位と考えられる位置を示す。この推定は、Cuフルオロ酢酸塩のフーリエ変換赤外分光(FTIR)スペクトルと、Cuフルオロ酢酸塩/DEAサンプルとの比較により、支持されるものであり、カルボン酸塩及びDEA伸張での著しい変化を示し、DEAがCu金属中心に結合することを示す。
【0041】
ピリジン付加物の構造は、CuDEA化合物がCuフルオロ酢酸塩単独よりもより大きい分子量を有することを示し、このことは、揮発度を減少させる。さらに、DEA分子の二座の性質は、架橋の相互作用(即ち、オリゴマー化)を支持し、これによりさらに、化合物の分子量を増加させ、従って、揮発度を減少する。化学量論的YBa2Cu3O7-δ膜を形成するために、DEAを用いない溶液は、約10mol%を超えたCuフルオロ酢酸塩を必要とするのみであり、一方、溶液を含有するDEAは、Y:Ba:Cu=1:2:3を有する膜を形成するために、約3mol%を超えたCuフルオロ酢酸塩を必要とするのみである。
【0042】
DEA追加の3つの効果は、膜の品質を促進する。第一に、Cuフルオロ酢酸塩に沿ったDFAの配位は、Cu昇華を抑えるようであり、これにより、Y:Ba:Cu=1:2:3の化学量論をより再現可能である。第2に、DEAの存在が、Cuフルオロ酢酸塩の分解の発熱性質を減少させ、これにより、Y及びBaフルオロ酢酸分解の触媒作用が、240℃ではなく、別々に320−400℃で生じ、このことは、Cuフルオロ酢酸熱分解と一致する。第3に、DEAの高沸点(268℃)により、膜は、応力緩和が可能であり、及びより滑らかで、より低い応力膜となる。これらの3の効果を組み合わせることは、空気中でYBCOのより迅速な熱分解を可能にすると考えられる。これは、膜の熱分解を制御するために、長い熱分解のランプ時間、低いpO2雰囲気又は水蒸気を必要とすることなく、空気中で、緩衝化した金属テープ上のYBCO前駆体膜の約2m/分の連続的浸漬被覆が可能であった。
【0043】
120秒未満の膜のJc値は、ほぼ一定で、それぞれ727°及び7°Kで3MA/cm2及び25 MA/cm2である。Jcは、120秒より大きい熱分解時間を減少する。180秒の熱分解では、77°Kで2MA/cm2未満にまでJcを30%減少する。300秒の熱分解後に結晶化された膜はさらに、77°Kで0.9MA/cm2未満にまでJcを減少する(70%減少)。これらの結果は、上述したように、より長い熱分解時間での、a軸配向YBCOグレインの形成及び増加と一致する。
【0044】
CSDアプローチを用いたYBCOで被覆されたコンダクタの主要な2つの問題は、処理時間と膜の厚さである。本明細書に記載される方法は、熱分解ステージを、多くの時間から数秒へと劇的に減少させるのに用いられる。このような短い熱分解ステージを用いて、被覆させたコンダクタを生成するためのエクスサイツでの溶液堆積は、スパッタリング及び電子ビームなどのエクスサイツでの他の溶液堆積法、パルスレーザ堆積法等のインサイツ処理と直接的に比較される。この場合、堆積及び/結晶化ステージは、被覆されたコンダクタの加工のほとんどの時間の重点的部分である。
【0045】
厚さ(>1μm)で、YBCOなどの複雑な酸化物の高品質な層を堆積及び結晶化するための溶液堆積法の必要性が相変わらず存在する。YBCO膜の厚さは、多層を用いて増加される。しかしながら、本明細書に記載される方法により、方法は、より厚くそして、より早く成長することが可能である。
【0046】
非常に迅速な熱分解により、YBCOの迅速な多層化が可能である。膜は、1又はそれより多い連続層の適用前に、20秒間325℃で熱分解される。2MA/cm2≧Jc値は、350nmの厚さまでの単一被覆膜において測定され、電流の線形増加が、1.5μmになるまでの膜の厚さを有する多層サンプルが観察される。
【0047】
いくつかの実施形態において、高粘度化合物が溶液調製に加えられ、より厚い膜の生成を可能とする。高粘度化合物の例は限定することではないが、ポリビニルピロリドン(PVP)、トリスヒドロキシメチルエタン(THME)、1,3-プロパンジオール、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ビスヒドロキシメチルプロピオン酸、ポリエチレングリコール(PEG)及びエチルセルロースを含む。高粘度化合物は、望ましくは融解点を有し、容易に堆積され、そして、比較的低い反応性を有する。
【0048】
いくつかの実施形態において、比較的厚い膜は、化学溶液ベースの堆積法(CSD)のプロセスを用いて生成される。例えば、YBCO膜のための前駆体溶液は、ハロゲン化された有機溶媒においてバリウム(Ba)金属有機化合物を溶解し、その後、イットリウム(Y)金属有機化合物及び銅(Cu)金属有機化合物を加えることで、準備される。あらゆる金属有機化合物の有機部分は、限定することではないが、カルボン酸塩、ネオデカン酸塩(neodeconates)、アルコキシド、アミド、アセチルアセトネート、酒石酸塩、クエン酸塩、ラクトン、アルデヒド、アミン及びヒドロキシエーテルを含む。ハロゲン化された有機溶媒は、限定することではないが、第1級、第2級及び第3級アルコール、ケトン、脂肪族ケトン、芳香族炭化水素、複素環、ヒドロキシエステル、グリコール及びカルボン酸を含み、この場合、1又はそれより多い結合された水素原子は、フッ素、臭素、ヨウ素又は塩素などのハロゲン原子で置換される。ハロゲン化された有機溶媒は、TFAなどの酸である。溶媒が堆積プロセスの間にCSD膜から除去されるので、膜はゲルネットワークが形成されると、より剛性になる。
【0049】
ゲルネットワークが確立されると、膜は容易に外部応力又は内部応力に調節することは不可能である。Dawley et alにより記載された低部分圧O2プロセスの場合、膜からのCu損失が最も高いと、最も高い応力状態が、Cu前駆体揮発度により、生じやすい。ジエタノールアミン(沸点247℃)、トリエタノールアミン(沸点335℃)及びグリセリン(沸点290℃)などの高沸点溶媒が加えられ、鉛筆型迷路構造の形成を妨げて、熱分解後に滑らかな、剪断膜が形成される。例えばメタノール(沸点68℃)、エタノールアミン(沸点171℃)、アセチルアセトン(沸点141℃)、エチレングリコール(沸点198℃)、ホルムアミド(沸点211℃)及びプロパンジオール(沸点213℃)などのほぼ230℃未満の沸点を有する溶媒を含む、様々な低沸点溶媒がYBCO溶液に加えられる。
【0050】
あらゆる場合において、230℃未満の沸点の溶媒が加えられると、鉛筆型迷路構造が得られた。230℃よりも高い沸点の溶媒が加えられると、滑らかな剪断膜が得られる。ある実施形態において、高粘度化合物が加えられ、薄膜前駆体溶液が生成される。前駆体溶液は、その後、基板上に堆積され、第2熱処理の間、空気中で乾燥及び熱分解するために、加熱される。アニールの結晶化が、YBCO膜を所望のペロブスカイト相に変更するために実行され、100nmよりも大きい厚さを有する膜を準備する。
【0051】
いくつかの実施形態において、前駆体溶液は、蒸留され、ハロゲン化された有機溶媒及び水を含む他の低沸点溶媒(例えば、沸点<230℃)を除去する。得られたゲルは、その後、アルコールなどの有機溶媒中、再び溶解され、高粘度化合物が加えられる。任意で膜応力における更なる削減が、トリエタノールアミンなどのDEAより高い沸点を有するもう1つ別の溶媒を加えることで達成される。以前に記載したように、溶液は、その後基板上に堆積され、乾燥され、熱分解され、アニールされ、1−2ミクロン以上の厚さを有するYBCO膜を準備する。図1は1400nmの厚さの、c軸配向YBCO膜の電子顕微鏡画像であり、該膜は、NiW基板で被覆されたSrTiO3上の溶液を含有するDEAからできている。
【0052】
連続的な浸漬被覆及びアニールを用いて、上述の方法は、図2及び図3に示されるように、金属基板テープ上の様々な緩衝層アーキテクチャ上で、高度に配向されたYBCO膜をもたらす。図2は、真空結晶のx線回折ファイルを示す。TFA−DEA−アセトン前駆体は、エピタキシャルYBCO膜由来であり、該膜は、CeO2/La2Zr2O7で被覆されたNi0.95W0.05基板上にある。図3は、真空結晶のx線回折ファイルを示す。TFA−DEA−アセトン前駆体は、エピタキシャルYBCO膜由来であり、該膜は、SrTiO3で被覆されたNi0.95W0.05基板上にあり、この場合、YBCO及びSrTiO3は、30メートル/時間で被覆された。
【0053】
図4A、図4B、図4Cは、X線回折の極点図であり、NiW基板の2軸配向組織(図4A)及びそれに続くSrTiO3の2軸配向組織(図4B)及びYBCOの2軸配向組織(図4C)を示す。YBCO膜は、0.5MA/cm2よりも大きいJcを有する。膜は、好適な面内及び面外グレイン配向を有する多結晶膜である。被覆されたコンダクタのためのYBCOの場合、YBCOのc軸配向[(001)面]は、基板の表面に平行に成長する。各個別のグレインのa及びb軸配向はまた、各隣接したグレインに配向される。この種の組織は、グレインとグレインとの電流の最も効果的な伝達を提供する。
【0054】

以下の例を考慮すると、本発明の教示内容の観点が、更に理解されるが、このことは、本発明の範囲を限定するとは解釈されない。
【0055】
YBCO膜DEA添加物との低pO2熱分解
YBCO溶液は、TFA中、Ba酢酸塩(99%純粋)を60−70℃で溶解することで準備された。Y酢酸四水和物(99.9%純粋)その後無水Cu酢酸(99%純粋)が加えられ、1:2:3(Y:Ba:Cu)モル比を有する0.6M(YBCO/Lのモル)溶液をもたらした。ジエタノールアミン(DEA)及び2−プロパノールが加えられ、0.3M溶液を形成した。溶液の準備は、2−プロパノールで、<0.3Mに希釈することで完了され、膜の厚さを制御した。標準的に刊行されているTFAベースの手段(McIntyre et al., 1992)では12時間以上要していたことと比較すると、典型的な溶液合成は、ほぼ30分であった。
【0056】
YBCO溶液は、LaAlO3(LAO)及び(100)SrTiO3緩衝化した(100)Ni基板上に堆積された。膜堆積プロセスは、0.2ミクロンでフィルタされたシリンジを介して、一般的に基板表面をYBCO前駆体溶液で浸し、その後、過剰な溶液を除去する。(100)LAO及び緩衝化した(100)Ni上に堆積された膜の回転条件は、ほぼ30秒で、ほぼ4000rpmであった。被覆された基板はほぼ100−125℃にまで加熱され、乾燥された。一連の堆積直後の膜は、ほぼ250℃‐400℃の熱分解温度及び、0.2%-100% O2/平衡N2のpO2で、炉において、熱分解された。等温保持時間及びランプ率は、それぞれ、0から20分及び3から10℃/分であった。熱分解工程の時間はほぼ1−1.5時間であった。800℃までのアニールの結晶化は、0.1ミクロンまでの厚さのYBCO膜における強固な磁束ピン止めで最適化された。100から400nmの厚さを有する膜が準備された。熱分解及び結晶化稼動の絶対圧力は、大気圧で維持された(630トール)。4×106A/cm2までの輸送Jc値は、さまざまな基板上に獲得された。全プロセス時間は、ほぼ3.0-3.5時間であった。膜堆積、熱分解及び結晶パラメータは、当業者により変更され、高品質膜の生成を維持する。
【0057】
例2.YBCO膜DEA添加物との空気中の迅速な熱分解
YBCO溶液は、TFA中、60℃から70℃で、Ba酢酸塩(99%純粋)で溶解することで、準備された。Y酢酸四水和物(99.9%純粋)、そしてその後、無水Cu酢酸塩(99%純粋)が加えられことで、1:2:3(Y:Ba:Cu)のモル比を有する0.6M(YBCO/Lのモル)溶液をもたらした。ジエタノールアミン及び2-プロパノールアミンが加えられ、0.3M溶液を形成した。溶液の準備は、2プロパノールで、<0.3Mにまで希釈することで完了され、これにより、最終的に膜の厚さを変更した。標準的に刊行されているTFAベースの手段(McIntyre et al., 1992)では12時間以上要していたことと比較すると、典型的な溶液合成は、ほぼ30分であった。
【0058】
YBCO溶液は、(100)LaAlO3(LAO)及び(100)SrTiO3緩衝化された(100)Ni基板上に堆積された。膜の堆積プロセスは、一般的に基板表面をYBCO前駆体溶液で浸し、その後、過剰な溶液を除去した。LAO及び緩衝化した(100)Ni上に堆積された膜の回転条件は、ほぼ30秒で、ほぼ4000rpmであった。被覆された基板はほぼ100−125℃にまで加熱され、乾燥された。空気中での20−300秒間の第2の300‐400℃の熱処理が、熱分解ステージとして、供給された。800℃までのアニールの結晶化が、0.1ミクロンまでの厚さのYBCO膜における強固な磁束ピン止めで最適化された。100から400nmの厚さを有する膜が準備された。熱分解及び結晶化稼動の絶対圧力は、大気圧で維持された(630トール)。4×106A/cm2までの輸送Jc値は、さまざまな基板上で獲得された。全プロセス時間は、ほぼ1.5-2.0時間であった。膜堆積、熱分解及び結晶パラメータは、当業者により変更され、高品質膜の生成を維持する。
【0059】
例3.〜0.25μmのYBCO膜DEA及びPVP添加剤との空気中での迅速な熱分解
YBCO溶液は、TFA中、Ba酢酸塩(99%純粋)を60−70℃で溶解することで準備された。Y酢酸四水和物(99.9%純粋)その後無水Cu酢酸(99%純粋)が加えられ、1:2:3(Y:Ba:Cu)モル比を有する0.6M(YBCO/Lのモル)溶液をもたらした。ジエタノールアミン(DEA)及び2−プロパノール又はアセトンが加えられ、0.3M溶液を形成した。ポリビニルピロリドン(PVP)がその後、加えられ、溶液の粘度を増加し、膜応力を緩和する手段を提供した。典型的な溶液合成は、ほぼ30分であった。
【0060】
YBCO溶液は、〈100〉LaAlO3(LAO)、CeO2/YSZ/Y2O3/Ni-W及び〈100〉SrTiO3緩衝化された〈100〉Ni/Ni-W基板に堆積された。膜の堆積プロセスは、0.2ミクロンでフィルタされたシリンジを介して、一般的に基板表面をYBCO前駆体溶液で浸し、その後、過剰な溶液を除去した。LAO及び緩衝化した金属テープ上に堆積された膜の回転条件は、ほぼ30秒で、ほぼ4000rpmであった。被覆された基板はほぼ100−125℃にまで加熱され、乾燥された。空気中での20−300秒間の第2の300‐400℃の熱処理が、熱分解ステージとして、供給された。10−1000ppmのO2における、740−825℃までのアニールの結晶化が、YBCO膜を所望のペロブスカイト相に変更するために実行された。100から250nmまでの厚さを有する膜が準備された。熱分解及び結晶化稼動の絶対圧力は、大気圧で維持された(630トール)。4×106A/cm2までの輸送Jc値は、さまざまな基板上に獲得された。全プロセス時間は、ほぼ2.0-3.0時間であった。膜堆積、熱分解及び結晶パラメータは、当業者により変更され、高品質膜の生成を維持する。
【0061】
例4.>0.25μmのYBCO膜DEA及びPVP添加剤との空気中での迅速な熱分解
YBCO溶液は、TFA中、Ba酢酸塩(99%純粋)を60−70℃で溶解することで準備された。Y酢酸四水和物(99.9%純粋)その後無水Cu酢酸(99%純粋)が加えられ、1:2:3(Y:Ba:Cu)モル比を有する0.6M(YBCO/Lのモル)溶液をもたらした。ジエタノールアミンが加えられた。溶液がその後蒸留され、TFA及び水などの他の低沸点溶液を除去した。溶媒の除去することで、青みを帯びたゲルをもたらした。ゲルはその後、メタノールに再び溶解され、ポリビニルピロリドン(PVP)がその後、加えられ、溶液の粘度を増加した。さらなる膜応力の減少は、トリエタノールアミンなどのDEAよりも高い沸点の溶液を加えることで達成された。
【0062】
YBCO溶液は、〈100〉LaAlO3(LAO)、CeO2/YSZ/Y2O3/Ni-W及び〈100〉SrTiO3緩衝化された〈100〉Ni/Ni-W基板に堆積された。膜の堆積プロセスは、0.2ミクロンでフィルタされたシリンジを介して、一般的に基板表面をYBCO前駆体溶液で浸し、その後、過剰な溶液を除去した。LAO及び緩衝化した金属テープ上に堆積された膜の回転条件は、ほぼ30秒で、ほぼ4000rpmであった。被覆された基板はほぼ100−125℃にまで加熱され、乾燥された。空気中での20−300秒間の第2の300‐400℃の熱処理が、熱分解ステージとして、供給された。10−1000ppmのO2における、740−825℃までのアニールの結晶化が、YBCO膜を所望のペロブスカイト相に変更するために実行された。0.25から2.1μmまでの厚さを有する膜が準備された。2×106A/cm2までの輸送Jc値は、さまざまな基板上で獲得された。膜堆積、熱分解及び結晶パラメータは、当業者により変更され、高品質膜の生成を維持する。
【0063】
例5.YBCO膜緩衝化された金属テープ上の連続被覆装置におけるDEA添加剤との空気中での迅速な熱分解
YBCO溶液は、TFA中、Ba酢酸塩(99%純粋)を60−70℃で溶解することで準備された。Y酢酸四水和物(99.9%純粋)その後無水Cu酢酸(99%純粋)が加えられ、1:2:3(Y:Ba:Cu)モル比を有する0.6M(YBCO/Lのモル)溶液をもたらした。ジエタノールアミン(DEA)及び2−プロパノール又はアセトンが加えられ、0.3M溶液を形成する。溶液の準備は、2−プロパノールを用いて、<0.3Mに希釈することで、完了し、これにより、最終膜の厚さを変更させた。標準的に刊行されているTFAベースの手段(McIntyre et al., 1992)では12時間以上要していたことと比較すると、典型的な溶液合成は、ほぼ30分であった。
【0064】
膜堆積プロセスは、連続被覆装置で実行され、該連続被覆装置は、2のワインディングユニット、被覆ユニット及び乾燥及び熱分解のための加熱ユニットを備える。基板では、緩衝化された金属基板テープ(幅10mm、厚さ0.8mm)が用いられる。2軸配向の組織化された金属基板テープは、Ni-W-合金(5at%W)からなり、緩衝層システムは、2のジルコニウム酸ランタン(各130nmの厚さ)と1のセリウム酸化物層(30nmの厚さ)からなる。セリウム酸化物は、10at%まで銅にドープされ、これにより、表面の粗さを減少させ、表面密度を増大させる。
【0065】
基板テープは、テフロンホイールで被覆浴を経たテープに50m/hのスピードを与えることによる浸漬被覆技術で被覆される。被覆後、テープは1.2mの長さを超えて、300℃の均一な温度プロファイルを有する加熱ゾーンを経て進む。したがって、熱分解時間は、ほぼ60秒である。加熱ゾーンの空気は、5℃の水露点を有する湿り窒素において、20%の酸素である。
【0066】
800℃までのアニールの結晶化は、0.2ミクロンまでの厚さのYBCO膜における強固な磁束ピン止めで最適化された。熱分解及び結晶化稼動の絶対圧力は、大気圧で維持された(630トール)。4×106A/cm2までの輸送Jc値は、さまざまな基板上に獲得された。全プロセス時間は、ほぼ1.5-2.0時間であった。膜堆積、熱分解及び結晶パラメータは、当業者により変更され、高品質膜の生成を維持する。
【0067】
例6.YBCO膜2の被膜を有する緩衝化された金属テープ上の連続被覆装置におけるDEA添加剤との空気中での迅速な熱分解
YBCO溶液は、TFA中、Ba酢酸塩(99%純粋)を60−70℃で溶解することで準備された。Y酢酸四水和物(99.9%純粋)その後無水Cu酢酸(99%純粋)が加えられ、1:2:3(Y:Ba:Cu)モル比を有する0.6M(YBCO/Lのモル)溶液をもたらした。ジエタノールアミン(DEA)及び2−プロパノールが加えられ、0.3M溶液を形成した。溶液の準備は、2−プロパノールを用いて、<0.3Mに希釈することで、完了し、これにより、最終膜の厚さを変更させた。標準的に刊行されているTFAベースの手段(McIntyre et al., 1992)では12時間以上要していたことと比較すると、典型的な溶液合成は、ほぼ30分であった。
【0068】
膜堆積プロセスは、連続被覆装置で実行され、該連続被覆装置は、2のワインディングユニット、被覆ユニット及び乾燥及び熱分解のための加熱ユニットを備える。基板では、緩衝化された金属基板テープ(幅10mm、厚さ0.8mm)が用いられる。2軸配向の組織化された金属基板テープは、Ni-W-合金(5at%W)からなり、緩衝層システムは、2のジルコニウム酸ランタン(各130nmの厚さ)と1のセリウム酸化物層(30nmの厚さ)からなる。セリウム酸化物は、10at%まで銅にドープされ、これにより、表面の粗さを減少させ、表面密度を増大させる。
【0069】
基板テープは、テフロンホイールで被覆浴を経たテープに50m/hのスピードを与えることによる浸漬被覆技術で被覆される。被覆後、テープは1.2mの長さを超えて、300℃の均一な温度プロファイルを有する加熱ゾーンを経て進む。したがって、熱分解時間は、ほぼ60秒である。加熱ゾーンの空気は、5℃の水露点を有する湿り窒素において、20%の酸素である。
【0070】
第1被覆と熱分解の後に、テープは、同一のプロセスパラメータ及び同一の被膜溶液を用いることで、第2時間、被覆及び熱分解された。第2被覆及びアニールにより、ほぼ2倍の厚さの層をもたらした。
【0071】
800℃までのアニールの結晶化は、0.4ミクロンまでの厚さのYBCO膜における強固な磁束ピン止めで最適化された。熱分解及び結晶化稼動の絶対圧力は、大気圧で維持された(630トール)。4×106A/cm2までの輸送Jc値は、さまざまな基板上に獲得された。全プロセス時間は、ほぼ2.0-2.5時間であった。膜堆積、熱分解及び結晶パラメータは、当業者により変更され、高品質膜の生成を維持する。
【0072】
例7.YBCO膜連続被覆装置におけるDEA添加剤との空気中での迅速な熱分解、及び1又は2の被膜を有する緩衝化された金属テープ上のYBCOの真空結晶
YBCO溶液は、TFA中、Ba酢酸塩(99%純粋)を60−70℃で溶解することで準備された。Y酢酸四水和物(99.9%純粋)その後無水Cu酢酸(99%純粋)が加えられ、1:2:3(Y:Ba:Cu)モル比を有する0.6M(YBCO/Lのモル)溶液をもたらした。ジエタノールアミン(DEA)及びアセトンが加えられ、0.3M溶液を形成した。溶液の準備は、アセトンを用いて、<0.3Mに希釈することで、完了し、これにより、最終膜の厚さを変更させた。標準的に刊行されているTFAベースの手段(McIntyre et al., 1992)では12時間以上要していたことと比較すると、典型的な溶液合成は、ほぼ30分であった。
【0073】
膜堆積プロセスは、連続被覆装置で実行され、該連続被覆装置は、2のワインディングユニット、被覆ユニット及び乾燥及び熱分解のための加熱ユニットを備える。基板では、緩衝化された金属基板テープ(幅10mm、厚さ0.8mm)が用いられる。2軸配向の組織化された金属基板テープは、Ni-W-合金(5at%W)からなり、緩衝層システムは、Ni-W合金上に立方体集合組織を用いて成長した、3のSrTiO3層(全厚さが300nm)からなる。
【0074】
基板テープは、テフロンホイールで被覆浴を経たテープに30m/hのスピードを与えることによる浸漬被覆技術で被覆される。被覆後、テープは0.5mの長さを超えて、310℃の均一な温度プロファイルを有する加熱ゾーンを経て進む。したがって、熱分解時間は、ほぼ60秒である。加熱ゾーンの空気は、25℃の水露点を有する湿り窒素において、20%の酸素である。
【0075】
780℃までのアニールの結晶化は、0.35ミクロンまでの厚さのYBCO膜における強固な磁束ピン止めに最適化された。熱分解及び結晶化稼動の絶対圧力は、減少された圧力で維持され(1トール)、文献中の1から2時間と比較すると、結晶化時間は12分であった。1.7×106A/cm2までの輸送Jc値は、さまざまな基板上に獲得された。
【0076】
2の層で被覆された膜は、文献中の4時間と比較すると(膜の厚さと時間との2次関係、副生成物の拡散律速成長を示し、x=(2Dt)1/2であり、この場合xは膜の厚さであり、Dは効果的な拡散速度であり、tは時間である)、24分以内で結晶化される(膜の厚さと成長時間との線形関係は、ガス流の律速成長を示す)。膜の堆積、熱分析及び結晶化パラメータは、当業者により変更され、高品質膜の生成を維持する。
【0077】
前述の明細書は、本発明の原理を、説明目的で提供される例を用いて教示するが、当業者はこの開示を読むことで、形式及び詳細の様々な変更が本発明の実際の範囲から逸脱することなく製造可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バリウム金属有機化合物と、
1又はそれより多い希土類金属有機化合物と、
銅金属有機化合物と、
大気圧にて230℃よりも高い沸点を有する、高沸点溶媒を備える組成物であって、
前記組成物はさらに、ハロゲン化された有機溶媒を備え、及び/又は、
1又はそれより多い前記バリウム金属有機化合物、1又はそれより多い前記希土類金属有機化合物及び前記銅金属有機化合物は、ハロゲンを備え、
前記組成物における高沸点溶媒の希土類金属に対するモル比は、1−10:1であり、
前記組成物におけるバリウムの希土類金属に対するモル比は、2.1:1未満であり、前記組成物における銅のバリウムに対するモル比は、3:2より大きいことを特徴とする、組成物。
【請求項2】
前記1又はそれより多い希土類金属化合物は、イットリウム金属有機化合物を備えることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物における高沸点溶媒の希土類金属に対するモル比は、2−3:1であることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
20℃で、10センチポイズ未満の粘度を有する低粘度溶媒をさらに備えることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記低粘度溶媒はアセトンであることを特徴とする、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物は、ハロゲン化された有機溶媒を備え、前記低粘度溶媒は、H2Oを形成するために前記ハロゲン化された有機溶媒と反応しないことを特徴とする、請求項4記載の組成物。
【請求項7】
前記高沸点溶媒は、ジエタノールアミンであることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
前記銅金属有機化合物は、銅とジエタノールアミンの複合体であることを特徴とする、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
前記バリウム金属有機化合物は、トリフルオロ酢酸バリウムであり、前記希土類金属化合物は、希土類金属トリフルオロ酢酸であることを特徴とする、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物は、ハロゲン化された有機溶媒を含まないことを特徴とする、請求項8記載の組成物。
【請求項11】
前記バリウム金属有機化合物は、酢酸バリウムであり、前記1又はそれより多い希土類金属有機化合物は、1又はそれより多い希土類金属酢酸であり、前記銅金属有機化合物は、酢酸銅であり、前記組成物は、ハロゲン化された有機溶媒を備えることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
前記ハロゲン化された有機溶媒はトリフルオロ酢酸であることを特徴とする、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物におけるハロゲンのバリウムに対するモル比は、6−180:1であることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物におけるハロゲンのバリウムに対するモル比は、35−45:1であることを特徴とする、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物における銅のバリウムに対するモル比は、3−3.8:2であることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物におけるバリウムの希土類金属に対するモル比は、2:1−1.5であることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物における低粘度溶媒のバリウムに対するモル比は、1−75:1であることを特徴とする、請求項4記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物における低粘度溶媒のバリウムに対するモル比は、15−35:1であることを特徴とする、請求項4記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物は、ハロゲン化された有機溶媒を備え、前記ハロゲン化された有機溶媒は、ハロゲン化された第1級、第2級及び第3級アルコール、ハロゲン化されたケトン、ハロゲン化された脂肪族ケトン、ハロゲン化された芳香族炭化水素、ハロゲン化された複素環、ハロゲン化されたヒドロキシエーテル、ハロゲン化されたグリコール及びハロゲン化されたカルボン酸からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項20】
前記低粘度溶媒は、アルコール、ケトン、芳香族炭化水素、複素環化合物、ヒドロキシエステル及びグリコールの群から選択されることを特徴とする、請求項4記載の組成物。
【請求項21】
前記高沸点溶媒は、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びグリセリンの群から選択されることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項22】
前記組成物はさらに、前記組成物の粘度を増大させる剤をさらに備えることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項23】
前記組成物の前記粘度を増大させる剤は、ポリビニルピロリドン(PVP)、トリスヒドロキシメチルエタン(THME)、1,3-プロパンジオール、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ビスヒドロキシメチルプロピオン酸、ポリエチレングリコール(PEG)及びエチルセルロースからなる群から選択されることを特徴とする、請求項22記載の組成物。
【請求項24】
希土類金属BaCu3O7-δ膜を生成する方法であって、
δは0から1を含み、
前記方法は、
a)請求項1乃至請求項23のいずれか1つで記載された組成物を、基板上で被覆する工程と
b)有機物分解を引き起こすために、前記組成物を、少なくとも50℃/分の速度で、その後、加熱する工程を備え、これにより、前記基板上に熱分解された前駆体を形成し、
前記方法はさらに、
c)前記熱分解された前駆体を、その後、希土類金属BaCu3O7-δ膜に反応させる工程を備えることを特徴とする、方法。
【請求項25】
前記熱分解された前駆体を、希土類金属BaCu3O7-δ膜に反応させる工程は、前記熱分解された前駆体を1気圧未満、又は0.1気圧未満で反応させる工程を備えることを特徴とする、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記熱分解された前駆体を、希土類金属BaCu3O7-δ膜に反応させる工程の前に、前記基板上に多数の熱分解された前駆体の層を形成するために、少なくとも1度a)及びb)を繰り返す工程を備えることを特徴とする、請求項24記載の方法。
【請求項27】
前記基板は、ドープされた又はドープされていないアルミン酸、チタン酸塩、ジルコニウム酸塩、マンガン酸塩、ニオブ酸塩、希土類酸化物、マグネシウム酸化物及びこれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする、請求項24記載の方法。
【請求項28】
前記基板は、(100)LAO、(100)SrTiO3緩衝化された(100)Ni、MgO、HO2O3、Gd2O3、Er2O3、La2Zr2O7、La0.7Sr0.3MnO3、BaZrO3、CeO2、NaNbO3、Y2O3ZrO2、III-V族窒化物、Ni、Ag及びCuからなる群から選択されることを特徴とする、請求項24記載の方法。
【請求項29】
組成物を基板上に被覆する工程は、前記基板上に前記組成物を、浸漬被覆、エアロゾル噴霧、スプレー又はプリントを行う工程を備えることを特徴とする、請求項24記載の方法。
【請求項30】
組成物を基板上に被覆する工程は、インクジェットプリント又はスクリーンプリントを行う工程を備えることを特徴とする、請求項29記載の方法。
【請求項31】
有機物分解を引き起こすために、前記組成物を加熱する工程は、300秒未満の間、前記組成物を400℃未満の温度に、加熱する工程を備えることを特徴とする、請求項24記載の方法。
【請求項32】
前記熱分解された前駆体を、希土類BaCu3O7-δ膜に反応させる工程は、前記熱分解された前駆体を900℃未満の温度に加熱する工程を備えることを特徴とする、請求項24記載の方法。
【請求項33】
前記熱分解された前駆体を形成するために前記組成物を加熱する工程と、前記熱分解された前駆体を、希土類BaCu3O7-δ膜に反応する工程は、30分未満に実行されることを特徴とする、請求項24記載の方法。
【請求項34】
前記希土類BaCu3O7-δ膜は、ほぼ100nmよりも大きい厚さを有することを特徴とする、請求項24記載の方法。
【請求項35】
前記希土類BaCu3O7-δ膜は、ほぼ1×106 A/cm2よりも大きい、77°Kでの輸送Jc値を有することを特徴とする、請求項24記載の方法。

【図1】
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【図4B】
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【図4C】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【公表番号】特表2011−528316(P2011−528316A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518819(P2011−518819)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/050393
【国際公開番号】WO2010/009044
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(511014493)ゼナジー パワー インク. (1)
【出願人】(511014563)サンディア コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】