説明

帳票データ管理システム

【課題】 紙で印刷した帳票を電子化して、電子帳票管理プログラムに登録する作業を自動化できるようにするシステムを提供すること。また、帳票を印刷するときに使用した電子データを再利用して、帳票を検索するために必要な情報を正確に入力するシステムを提供すること。
【解決手段】 印刷する帳票に対して、帳票管理情報と印刷に使用した電子データへのアクセス情報を、二次元シンボルとして帳票に印字し、印刷した帳票の二次元シンボルから取得した情報と印刷した帳票を関連付けて帳票管理をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙へ出力された帳票を電子的に管理するための帳票データ管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子帳簿保存法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)の施行(1998年7月)により、自己が一貫して電子計算機を使用して作成した帳簿、書類であれば、電子データで保存管理することが認められる事となったが、紙で受け取った領収書や、一旦印刷して紙面で承認作業を行なった帳票は、電子データで保存管理することが認められていなかった。
しかし、2004年11月に成立したe文書法(民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律)が2005年4月に施行されたことにより、従来は電子管理できなかった紙の帳票も、一定の要件を満たせば電子化したデータが原本として認められ、保存管理することが可能となった。今後は、紙の帳票を電子化して管理し、電子化したデータを利用する機会が増えていくと考えられる。
【0003】
図7は、印刷した帳票を電子化して管理する場合のシステムの構成図であり、印刷帳票71、スキャナ装置72、帳票イメージデータ73、検索文字列入力部74、電子帳票管理プログラム75、電子帳票閲覧プログラム76から構成されている。
このような電子帳票管理システムでは、印刷帳票71を、スキャナ装置72で読み取り、帳票イメージデータ73を作成し、電子帳票管理プログラム75へ登録する。電子帳票管理プログラム75は、電子帳票閲覧プログラム76から指定された検索条件に合致する帳票を取り出すことができる検索性を備えている必要がある。印刷帳票71に関連付けられる検索文字列は、文字列入力部74において手作業で入力するか、OCR(Optical Character Reader)を用いて帳票内の文字データを抽出して入力する。
なお、本発明に関連する公知技術文献としては下記の特許文献1、特許文献2がある。
【特許文献1】特開2002−298069
【特許文献2】特開2004−213061
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、印刷した帳票を電子化して利用するためには、指定した検索条件に合致する帳票データを取り出すことができる帳票管理システムが必要となる。
しかし、帳票ごとに検索文字列を手入力する従来の構成では、データを入力する際に、適切な検索文字列を帳票一枚ずつ調べる必要があるため、帳票登録作業を自動化できずコストの負担が大きいという問題がある。
また、帳票に関連付ける検索文字列の正確性の面でも問題がある。
OCRで帳票内の文字列を抽出して検索に用いる手法は、帳票内の文字データに対して全文検索を行なうことは可能だが、例えば「指定した金額以上の領収書を検索する」といったデータの形式を意識した検索ができない。
また、OCRでも読み取りミスがあるため、正しく文字列が認識されているかを確認しなければならず、その確認作業のためにコストが増大する。
帳票の作成から承認作業まで、全て電子化して管理されているシステムでは、帳票データからテキストデータだけを抽出して、分析、加工などに2次利用することができる。
しかし、一度印刷した帳票を電子管理するシステムでは、帳票データは全てイメージとして管理されているため、帳票データの2次利用をすることが困難である。
【0005】
本発明の目的は、紙で印刷した帳票を電子化して、電子帳票管理プログラムに登録する作業を自動化することができる帳票データ管理システムを提供することにある。
また、帳票を印刷するときに使用した電子データを再利用して、帳票を検索するために必要な情報を正確に入力することができる帳票データ管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、紙へ印刷する帳票に対して、対象の帳票を識別するための管理情報を第1の二次元シンボルとして作成する手段と、印刷する帳票の電子データをデータベースに登録する手段と、前記データベースから帳票の電子データを取得するためのアクセス情報を第2の二次元シンボルとして作成する手段と、作成した前記第1、第2の二次元シンボルを対象の帳票に印字して印刷する手段と、前記第1の二次元シンボルから帳票の管理情報を取得して、スキャナ装置で作成した帳票のイメージデータと関連付けて電子帳票管理プログラムに登録する手段と、前記第2の二次元シンボルから前記データベースアクセスするための情報を取得して、印刷に使用した帳票の電子データを取得する手段と、取得した電子データと帳票のイメージデータとを関連付けて電子帳票管理プログラムに登録する手段とを備えたことを特徴とする。
また、前記データベースに登録する帳票データを暗号化する手段と、暗号化された帳票データを復号するためのキー情報を前記第1の二次元シンボルに付与する手段と、前記第1の二次元シンボルに格納するデータを帳票受領者の公開鍵で暗号化する手段と、前記第1の二次元シンボルに格納してあるデータを、帳票受領者の秘密鍵で復号する手段と、暗号化された帳票データを前記第1の二次元シンボル内の複号キーを用いて複号する手段をさらに備えたことを特徴とする。
また、一帳票に印字された複数の第1の二次元シンボルを識別するために、格納する情報をタグ形式で作成する手段と、固有の識別番号を付加する手段と、データを分割する手段をさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、紙で印刷した帳票を電子化して登録する際に、必要な管理情報を帳票印刷時に二次元シンボルとして印字し、帳票登録時に情報を取得することができる。よって、手作業で検索文字列の入力や確認をする必要がなくなるので、印刷帳票を電子帳票管理プログラムへ登録したいときに、オートフィーダー付のスキャナ装置を用いて、自動化して登録するといった事が可能となる。
また、紙で配布された帳票に対応する電子データを、データベースサーバから取得することで、帳票データからテキストデータを正確に抜き出して、分析、加工することができ、帳票データの効率的な二次利用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施する場合の一形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明に係る帳票データ管理システムの実施の形態を示すブロック図である。
この実施形態の帳票データ管理システムにおいては、印刷する帳票の書式データ11と、帳票のテキストデータ12を帳票印刷プログラム13へ入力する。
また、帳票を検索するために必要な検索文字列20を、帳票印刷プログラム13に対して入力する。検索文字列20は、帳票のテキストデータ12から入力するか、任意の文字列を入力する。
帳票印刷プログラム13は、図2で示すデータ形式に従って、印刷する帳票を検索するために必要な情報と、印刷する帳票の元となる電子データを取得するための情報を、二次元シンボルに変換して帳票に印字し、印刷帳票15を作成する。
なお、図2のデータ形式については後述する。
【0009】
二次元シンボル情報を暗号化しない場合、印刷帳票15を保持しているものは誰でも、帳票管理情報と電子データを取得することが可能となる。特定の受領者のみ、データにアクセスできるようにするためには、二次元シンボルを暗号化する必要がある。
二次元シンボルを暗号化する場合は、帳票受領者が、二次元シンボル暗号化キー1Aを公開して、帳票印刷プログラム13が、その暗号化キー1Aを用いて暗号化する。
二次元シンボルは、例えば図6で示すようなQR(Quick Response)コードシンボル60のイメージを用いて、帳票内の定められた範囲に印字する。1つの二次元シンボルでデータを格納できない場合は、データを分割して複数個の二次元シンボルに分けて印字する。
【0010】
帳票印刷プログラム13が、印刷時に作成した帳票の電子データを、その帳票を識別するための値と関連付けて、データベースサーバ14に暗号化して登録する。識別値は二次元シンボルに印字する。
印刷帳票15は、配布、閲覧、承認の過程を経た後再び電子化して管理される。
【0011】
印刷帳票15を、スキャナ装置16に入力して帳票イメージデータ17を作成し、電子帳票管理プログラム18へ登録する。
電子帳票管理プログラム18は、帳票イメージデータ17内に存在する二次元シンボルの情報から、帳票管理情報を読み取り、帳票イメージデータ17と関連付けてデータベースサーバ14が管理するデータベース141に登録する。
また、二次元シンボルの情報から、印刷帳票15の元となる電子データへのアクセス情報を取得し、データベースサーバ14にアクセスして、データベース141から帳票データを取得する。
取得した帳票データは暗号化されているため復号化し、帳票イメージデータ17と関連付けて電子帳票管理プログラム18へ登録する。
【0012】
電子帳票閲覧プログラム19は、指定の検索条件に合致する帳票イメージデータ17を電子帳票管理プログラム18から取得する。
帳票内のデータを検索する、又は書き出しする場合は、帳票イメージデータ17に関連付けられている帳票の電子データを利用して機能を実現する。
【0013】
図2は、二次元シンボルとして格納するXML形式(Extensible Markup Language)のデータである。idタグ201,204は、二次元シンボルの識別情報を格納する。本手法で作成した二次元シンボルであることを指定するための固定値を指定するcodeタグ202と、同一帳票における二次元シンボルの順序番号を指定するseq_numタグ203を含む。
accessタグ205は、データベースサーバ14に接続するための情報と、データベースサーバ14から取得する帳票の識別値を格納する。データベースサーバ14のIPアドレスを指定するhostタグ206と、データベースサーバ14のポート番号を指定するportタグ207と、対象帳票を印刷する時に割り当てられた帳票識別値を指定するdocument_idタグ208と、暗号化された帳票データを復号化するためのキー情報を指定するdecryptタグ209を含む。
searchタグ210は、帳票の管理情報を格納するためのタグである。帳票管理情報の文字属性として、文字列(word)、数値(number)、日付(date)のいずれかを指定するtypeタグ211と、帳票管理情報の名称を指定するnameタグ212と、帳票管理情報のデータ内容を指定するdataタグ213を含む。
【0014】
図3は、帳票印刷プログラム13が、二次元シンボルに埋め込むXMLデータを作成するフローチャートである(ステップ301)。
はじめに、二次元シンボルの順序番号を保持する変数seq_numを「1」に初期化し(ステップ302)、二次元シンボルを識別するためのidタグ201の情報を設定し(ステップ303)、データベースサーバ14へ接続するためのaccessタグ205の情報を設定する(ステップ305)。
次に、帳票管理情報を格納するためのsearchタグ2103を、設定する個数分だけ繰り返し実行する(ステップ306、308)。
二次元シンボルに格納できるデータ量を超えてしまい格納できない場合は(ステップ307)、該当する二次元シンボルの作成を完了し(ステップ309)、二次元シンボルの順序番号をインクリメントして(ステップ310)、新しい二次元シンボルにデータを設定する。
2個目以降の二次元シンボルにはaccessタク゛205の情報は設定しない(ステップ304)。
【0015】
図4は、帳票イメージデータ17から、二次元シンボルのデータを取得するフローチャートである(ステップ401)。
電子帳票プログラム18は、帳票イメージデータ17の指定の位置に存在する二次元シンボルを読み取り(ステップ402、ステップ403、ステップ404)、XMLデータ形式で解析する(ステップ407)。データの解析に失敗した場合は(ステップ405)、処理をスキップする(ステップ406)。
同様に、idタグ201が存在しないか、不正値だったときも処理をスキップする(ステップ409、ステップ410)。
二次元シンボルは複数個存在する可能性があるので、位置をずらしながら、認識できる二次元シンボルが無くなるまで処理を繰り返す。
【0016】
図5は、帳票印刷プログラム13が、二次元シンボルデータと、データベースサーバ14へ格納する帳票データを暗号化するフローチャートと、電子帳票管理プログラム18が、暗号化されたデータを取得して復号するフローチャートである。
帳票印刷プログラム13は、印刷する帳票データを作成し(ステップ502)、帳票データを暗号化して(ステップ503)データベースサーバ14のデータベース141へ格納し、暗号化したデータを復号するキー情報を二次元シンボルに格納する(ステップ504)。
次に、帳票受信者の公開鍵を取得し、二次元シンボル情報を暗号化する(ステップ505、ステップ506)。
電子帳票管理プログラム18は、二次元シンボル情報を取得し(ステップ508)、情報が暗号化されていれば、受信者が保有する秘密鍵を用いて情報を復号する(ステップ509)。二次元シンボル情報から、帳票データの復号キーを取得し(ステップ510)、帳票データを復号する(ステップ511)。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態を示す例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態において二次元シンボルに埋め込むXML形式のデータを示す図である。
【図3】本発明の実施例において二次元シンボルに埋め込むXMLデータを作成する処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例において帳票のイメージデータから二次元シンボルのデータを取得する処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例において、二次元シンボルと帳票データの暗号化と復号化の処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例において、二次元シンボルの一例を示す図である。
【図7】印刷した帳票を電子化して管理する場合の一般的なシステム構成図である。
【符号の説明】
【0018】
11 帳票の書式データ
12 帳票のテキストデータ
13 帳票印刷プログラム
14 データベースサーバ
15 印刷帳票
16 スキャナ装置
17 帳票イメージデータ
18 電子帳票管理サーバ
19 電子帳票閲覧プログラム
20 検索文字列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙へ印刷する帳票に対して、対象の帳票を識別するための管理情報を第1の二次元シンボルとして作成する手段と、印刷する帳票の電子データをデータベースに登録する手段と、前記データベースから帳票の電子データを取得するためのアクセス情報を第2の二次元シンボルとして作成する手段と、作成した前記第1、第2の二次元シンボルを対象の帳票に印字して印刷する手段と、前記第1の二次元シンボルから帳票の管理情報を取得して、スキャナ装置で作成した帳票のイメージデータと関連付けて電子帳票管理プログラムに登録する手段と、前記第2の二次元シンボルから前記データベースアクセスするための情報を取得して、印刷に使用した帳票の電子データを取得する手段と、取得した電子データと帳票のイメージデータとを関連付けて電子帳票管理プログラムに登録する手段とを備えたことを特徴とする帳票データ管理システム。
【請求項2】
前記データベースに登録する帳票データを暗号化する手段と、暗号化された帳票データを復号するためのキー情報を前記第1の二次元シンボルに付与する手段と、前記第1の二次元シンボルに格納するデータを帳票受領者の公開鍵で暗号化する手段と、前記第1の二次元シンボルに格納してあるデータを、帳票受領者の秘密鍵で復号する手段と、暗号化された帳票データを前記第1の二次元シンボル内の複号キーを用いて複号する手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の帳票データ管理システム。
【請求項3】
一帳票に印字された複数の第1の二次元シンボルを識別するために、格納する情報をタグ形式で作成する手段と、固有の識別番号を付加する手段と、データを分割する手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の帳票データ管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−11560(P2007−11560A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−189774(P2005−189774)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】