説明

常温硬化性保護シーラント

常温硬化性の二剤型エラストマーシーラント塗膜。該シーラントはラジカル重合性成分、酸化剤及び還元剤、場合によってはエポキシ成分、極性ワックス、及び/又はレオロジー調整剤を含む。ラジカル重合性成分はアルクアクリレート単量体と不飽和含リン単量体を25〜45重量%、3000〜9500の数平均分子量と−30℃未満の骨格Tgを持つエチレン性不飽和液状エラストマー重合体を55〜75重量%含む。エラストマー重合体は該シーラントの32〜55重量%を構成し、エポキシ成分は2〜15重量%を構成する。エラストマーシーラント塗膜はシームに腐食保護をもたらし、広い温度範囲にわたって割れのない表面を維持する。シーラント塗膜は、接合された金属部品のシーム、特に自動車のユニットボデー、ドア、フロアー、ボンネット、トランク、及びトランクリッドの製造の溶接シームに塗布するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
(クロスリファレンス)
この出願は2005年5月19日出願の米国仮特許出願第60/682733号に基づく優先権を主張し、またその出願を出典明示により援用する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は常温で硬化性である二剤型弾性シーラント塗膜に関する。本発明はまたシーラント塗膜として二剤混合物を直接金属シームに付与し、常温で硬化を生じさせ、そのシーラント塗膜の周りの未被覆金属表面に腐食プライマーを塗布し、そのプライマーを熱硬化させ、続いて例えば2コート仕上げ塗装塗料のような少なくとも一の塗料膜を塗布し硬化させることにより、金属シームを腐食から保護する方法に関する。弾性シーラント塗膜はシームに腐食保護をもたらし、広い温度範囲にわたって割れのない表面を維持する。シーラント塗膜は、接合された金属部品のシーム、特に、自動車のユニットボデー、ドア、フロアー、ボンネット、トランク、トランクリッド等々の製造の際に生じる溶接シームに塗布するのに有用である。
【0003】
(発明の背景)
自動車製造において成形金属プレス部品の接合は、以下に集合的にシームと称する様々な継ぎ目、溝、ヘム接合部等々を生じる。シームは、一般に、フロアーパン接合部、トランク、テールゲート、ルーフ、パッセンジャーコンパートメント、ホイールハウス、ショックタワー、ロッカーパネル、ファイアウォール、ドアヘムフランジにおいて生じる。これらのシームは、現在は、プライマーとボデー塗料の塗布前に、ホワイトボデーへの保護塗膜としてビニルプラスチゾル又はブチルゴムシーラントのような一般的なシーラントの薄いビードで覆われる。
【0004】
雰囲気条件下でシーラントの硬化をもたらすことは工業的に有用である。例えばTaylor等の米国特許第6858260号(2005)は、自動車へ利用した場合に熱ベークサイクル中の耐久性が向上したエポキシ化合物と一又は複数のポリオール(類)を含む紫外線硬化型シーラント組成物を開示している。光開始剤を使用する硬化エネルギーの局在化した供給源の恩恵は、複雑な形状に対して照射を行うという複雑さによって相殺されている。
【0005】
米国特許第4467071号は高温強度の欠点を克服するようにしたアクリル構造接着剤を開示している。その構造接着剤はスチレン及び/又はメタクリレート単量体(10〜90重量%、好ましくは17〜87重量%)、幾つかのタイプの高分子添加剤、例えばブタジエン単独重合体及び共重合体(1〜30重量%、好ましくは7〜27重量%)、単量体のPMMA(2〜60重量%、好ましくは5〜60重量%)、スチレン重合体(2〜60重量%、好ましくは5〜60重量%)、オレフィン性不飽和ウレタン反応生成物(10〜90重量%、好ましくは13〜83重量%)、及び官能化ブタジエン重合体からの選択物;重合性物質及び還元剤の全重量の0.1〜20、好ましくは2〜10重量%;P−OHの等価物当たり1〜5、好ましくは1.75〜4.25のエポキシド当量で存在するエポキシ樹脂を含んでいる。アクリル接着剤の変性は熱強度を改善すると見られるが、屈曲性及び0℃以下の温度での金属への接着性に関しては何も開示されていない。
【0006】
最小限の準備の金属表面、例えば電気亜鉛メッキ鋼に塗布することができ;常温で硬化し;過酷な硬化条件にさらすことができ;塗装の外観を損なわず屈曲性で0℃以下の温度で割れがないまま維持される塗装可能な腐食バリアを生じる保護シーラント塗膜を提供することは工業的に重要であろう。
【特許文献1】米国特許第6858260号明細書
【特許文献2】米国特許第4467071号明細書
【0007】
(発明の概要)
一態様では、本発明は、金属基体に十分に接着し、割れたり金属基体から剥がれたりしないで5.08cmのマンドレル(−30℃と+23℃)で180°曲がる屈曲性(可撓性、柔軟性)をもたらす非粘着性の膜まで常温で硬化可能な100%固形物の金属被覆組成物に適合せしめられるシーラントである。該シーラント組成物は、ラジカル重合性成分、酸化剤及び還元剤、及び場合によってはエポキシ成分、極性ワックス、及びチキソトロープ剤を含む。ラジカル重合性成分は、アルクアクリレート単量体と共反応性含リン単量体を25〜45重量%、3000〜9500の数平均分子量と−30℃以下のガラス転移温度(Tg)を持つ骨格重合体セグメントを有するエチレン性不飽和液状エラストマー重合体を55〜75重量%含有する。シーラント被覆組成物の32〜55重量%は液状エラストマー重合体からなり、2〜15重量%はエポキシ成分からなる。
【0008】
本発明の他の態様は、二つの容器と、別々の容器の内容物を計量ゾーンと次の混合ゾーンを通して移送する機械力を有するディスペンサ装置にある。該装置は一般的なものであり、金属基体に混合物を付与した後、数分以内に反応するA剤とB剤をそれぞれ収容する容器を含み、更なる時間の経過後に常温で付与された混合物が、保護及び化粧シーム封止材として永久的な屈曲性のある接着膜に硬化する。ディスペンサ装置はA剤とB剤に対して予め選択された体積流量比ゾーンを通して計量ゾーン内に容器内容物を移送する。体積比は、典型的には1:1から10:1の範囲に簡便に調節することができる。A剤とB剤中の成分剤の調節は、当該分野で理解されるように、予め選択された体積比になるようになされる。A剤の容器は、レドックス系の一部、チキソトロープ剤、極性ワックス、25−45重量%のアルクアクリレート単量体と共反応性含リン単量体の混合物、3000〜9500の数平均分子量と−30℃以下の骨格Tgを持つ55−75重量%のエチレン性不飽和液状エラストマー重合体の流体混合物を含む。B剤の容器は、エポキシ成分、液体担体、レドックス系の一部(例えば酸化剤)を含む。エポキシ成分はA剤及びB剤の組合わせ(体積に比例)重量の2−15重量%を占める量で存在する。
【0009】
成分の好ましい割り振りでは、本発明は、次の成分の1:1〜10:1体積比混合物を含んでなる二剤シーラント組成物である:

(A剤)
エチレン性不飽和成分 ラジカル重合物の重量% (A+B)の重量%
メタクリレート単量体 25−45重量%
不飽和液状エラストマー 55−75重量% 32−55重量%
レドックス系の還元剤分 0.20−.50mol

極性ワックス 1.5−5重量%
レオロジー調整剤 1−6重量%

(B剤) B剤の重量% (A+B)の重量%
エポキシ化合物 2−15重量%
レドックス系の酸化剤分 0.50−.80mol
任意成分無機フィラー 0−35重量%
レオロジー調整剤 1−6重量%
担体液体 20−80重量%
【0010】
(詳細な説明)
本発明に係る硬化シーラント組成物は、35000p.s.i(241.3N/mm)未満のヤング率を示す。硬化ゴムで強化したメタクリレート構造接着剤は、50000p.s.i(344.7N/mm)以上のヤング率を示し、硬化した接着剤の金属支持膜は−30℃で45°未満の曲げで割れてしまう。鋼に塗布された本発明に係る硬化シーラント組成物の膜は、割れることなく−30℃で2インチ(5.08cm)のマンドレルで180°屈曲可能である。理論に拘束されるものではないが、本発明に係るそのような各成分の割合によって、シーラントの連続重合体相が、−30℃以下のTgの骨格重合体を有する硬化エラストマーセグメントによって支配され、連続相が、硬化エポキシ及びアルクアクリレート重合物の分散した網目構造によって補強されるものと考えられる。
【0011】
本発明に係るシーラント被覆組成物は、レドックス開始剤系を使用して常温でラジカル硬化又は重合を受けるエチレン性不飽和成分を用いている。ラジカル硬化成分は、エラストマーを通常は常温で液体にする分子量の末端不飽和エラストマーと単量体の組合せを含む。単量体は、その重合物の固有の重合体ガラス転移温度を考えることにより、つまりエチレン性不飽和エラストマーとの組合せではなく、以下に記載されているようにして、アルクアクリレートから選択することができる。選択されたアルクアクリレート単量体及びホスフェート単量体混合物のガラス転移温度(Tg)は+20℃以上、より好ましくは+50℃以上である。液状エラストマーは、−30℃以下、好ましくは−50℃以下のTgを示すジエン重合体骨格を含む。全ラジカル重合性成分のなかで、シーラントの重要な屈曲性は、全ラジカル重合性成分の25−45重量%がアルクアクリレート単量体及びホスフェート単量体を構成し、30℃以下の骨格重合体Tgを有する55重量%から75重量%の不飽和エラストマーの主要成分と組み合わされる場合に得られる。
【0012】
単量体ラジカル重合性成分の少量成分は一又は複数のエチレン性不飽和メタクリレート単量体、つまりアルキル(C−C)置換アクリル酸のα、β-不飽和C−C20エステル(集合的にアルクアクリレート単量体)から構成される。代表的な一不飽和アルクアクリレートはIII式のものである:

(上式中、RはC−Cアルキル基;R'はRと同じでも異なっていてもよい置換もしくは未置換の直鎖状もしくは分枝状C−C20有機基である)。
アルクアクリレート単量体は一不飽和単量体のみか、又は一、二、三、及び/又は四官能性不飽和単量体の組合せを含みうる。他の実施態様では、アルクアクリレート単量体は二不飽和アルクアクリレートのみを含み得る。更なる代替例では、他の共重合性ビニル単量体とのアルクアクリレート単量体の組合せを使用することができる。
【0013】
アルキル基以外の特別の官能基、例えばヒドロキシ、アミド、シアノ、クロロ、及びシラン基を含む任意成分のアルクアクリレートは好ましくは用いられないが、工業的には広く利用されている。好ましい一不飽和アルクアクリレートはメタクリル酸のC−C直鎖状又は脂環式アルキルエステルである。特定のメタクリレートには、一般に、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、及びブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、2-エチルヘキシルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、4-t-ブチル-シクロヘキシルメタクリレート、2-イソプロピル5-メチルシクロヘキシルメタクリレート、3,5-ジメチルシクロヘキシルメタクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、3,4,5-トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシルメタクリレート、ボルニルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート及びテトラヒドロフルフリルメタクリレート(THFMA)が含まれる。特に好ましい重合性単量体はC−Cアルキル置換アクリレート(例えばメタクリレート、エタクリレート等)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート及びシクロヘキシルメタクリレート、−20℃以上、好ましくは+20℃以上のTgを示すと計算される選択物である。二つの別個に収容される予め包装された剤からなるキットの実施態様では、アルクアクリレート単量体を含む側又は剤は、低レベル(PPMレベル)の一般的な禁止剤、例えばよく知られたヒドロキノン類(HQ、MEHQ、DDBQ)、ナフタキノン、メチルヒドロキノン、テトラメチルヒドロキノン、tert-ブチルカテコール禁止剤等々の任意のものを含むべきである。
【0014】
場合によっては単独で又は一不飽和アルクアクリレートと混合されて用いられるジ、トリ等(集合的に多価不飽和)のアルクアクリレートには、グリコールジアクリレート、トリメチロールトリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルポリアクリレート及びポリエーテルポリメタクリレートが含まれる。種には、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート(HDODA)、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールビスメタクリルオキシカーボネート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジグリセロールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロプロパントリメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ビス(エチレングリコール)アジペートのジメタクリレート、ビス(エチレングリコール)マレエートのジメタクリレート、ビス(エチレングリコール)フタレートのジメタクリレート、ビス(テトラエチレングリコール)フタレートのジメタクリレート、ビス(テトラエチレングリコール)セバケートのジメタクリレート、ビス(テトラエチレングリコール)マレエートのジメタクリレート等々が含まれる。
【0015】
アルクアクリレート単量体と混合されて含まれるものは共反応性ホスフェート化合物である。「共反応性」とは、ホスフェート化合物がエチレン性不飽和基と共反応性であるか、又はエポキシ化合物の硬化を触媒することに加えて、硬化されるエポキシ材料中に導入されることを意味する。好ましい酸性含リン化合物はエチレン性不飽和アシッドホスフェート単量体である。ホスフェート化合物は、シーラント組成物に全ラジカル重合性物質の1重量%から10重量%、好ましくは3〜6重量%の量で使用される。より好ましい含リン化合物は、例えばメタクリロイル-P(=O)OH基を有するアシッドホスフェートのメタクリル化部分エステルである。アシッドホスフェート単量体の例は、ビニル、(メタ)アクリロイル又はアリル不飽和の一単位を有するホスフィン酸、ホスホン酸及びリン酸のモノエステルである。特に次のエチレン性不飽和アシッドホスフェート単量体が参照される:2-メタクリロイルオキシエチルホスフェート;ビス-(2-メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート;2-アクリロイルオキシエチルホスフェート;ビス(2-アクリロイルオキシエチル)ホスフェート;メチル-(2-メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート;エチルメタクリロイルオキシエチルホスフェート;メチルアクリロイルオキシエチルホスフェート;エチルアクリロイルオキシエチルホスフェートが適している;そして他の既知の例には、ビニルホスホン酸;シクロヘキセン-3-ホスホン酸;アリルホスホン酸;アリルホスフィン酸;β-メタクリロイルオキシエチルホスフィン酸;ジアリルホスフィン酸;及びアリルメタクリロイルオキシエチルホスフィン酸が含まれる。適したアシッドホスフェート単量体のあるものは、エチレン性不飽和を含んでいなくてもよいが、そのアシッド部分の触媒効果に加えてエポキシ化合物と共反応性である。エポキシとの共反応性を有するアシッドホスフェート単量体には、α-ヒドロキシブテン-2ホスホン酸;1-ヒドロキシ-1-フェニルメタン-1,1-ジホスホン酸;1-ヒドロキシ-1-メチル-1-ジスホスホン酸;1-アミノ-1フェニル-1,1-ジホスホン酸;3-アミノ-1-ヒドロキシプロパン-1,1-ジスホスホン酸;アミノ-トリス(メチレンホスホン酸);γ-アミノ-プロピルホスホン酸;γ-グリシドオキシプロピルホスホン酸;及びリン酸-モノ-2-アミノエチルエステルが含まれる。好ましいリン含有化合物は、式V

(上式中、R11は水素、1〜8、好ましくは1〜4の炭素原子を有するアルキル基、及びCH=CH-からなる群から選択され;R12は水素、1〜8、好ましくは1〜4の炭素原子を有するアルキル基からなる群から選択され;Aは-R13O-及び(R14O)からなる群から選択され、ここでR13は1〜9、好ましくは2〜6の炭素原子を含む脂肪族又は脂環式アルキレン基であり;R14は1〜7、好ましくは2〜4の炭素原子を有するアルキレン基であり;nは2〜10の整数、mは1又は2であり、m=1又は2、好ましくはm=1である)によって表すことができる構造を有している。
【0016】
用いられる好ましいアシッドホスフェートエステル化合物は、モノ-メタクリロイルオキシエチルホスフェート(モノ-メタクリルオキシエチルホスフェートとも称される)(HEMA-P)、ビス-メタクリロイルオキシエチルホスフェート、モノ-メタクリロイルオキシプロピルホスフェート、ビス-メタクリロイルオキシプロピルホスフェート、及びそれらの組合せから選択される。
【0017】
シーラント塗膜は全ラジカル重合性成分の55重量%から75重量%を占める二末端エチレン性不飽和エラストマーオリゴマーを含んでなる。末端エチレン性不飽和エラストマーはシーラント組成物のA剤及びB剤の合計の32重量%から55重量%、好ましくは35重量%から45重量%を構成している。
【0018】
代表的な末端エチレン性不飽和エラストマーオリゴマー(低分子量重合体)には、当該分野で知られている(メタ)アクリル化ポリブタジエン、ポリブタジエンジメタクリレート(PBDメタクリレート)、又はビニル末端ブタジエン共重合体が含まれる。末端不飽和エラストマーのエラストマー骨格には、ポリブタジエン、ポリイソプレン及びそれらの共重合体が含まれる。例えば(メタ)アクリル担持反応性化合物のエチレン性不飽和基は、例えばアミン(ブタジエン重合体について:ATBN)、カルボキシル(ブタジエン重合体について:CTBN)、ヒドロキシル末端基(R-45-HT)又は末端メルカプト基への単量体カップリング、及び末端ハロゲン、例えばヨウ素のように、オリゴマーの末端官能性に応じて、多くの既知の方法によってエラストマーオリゴマー末端単位に導入することができる。好ましい二末端エチレン性不飽和エラストマーはカルボキシ末端液状ブタジエン(CTB)とのグリシダルメタクリレートの反応によって調製される。他のアプローチは、ヒドロキシル末端ポリブタジエンから始まり、無水物との反応生成物、無水物の環開と末端OH基へのカップリングの後、2モル当量のグリシダルメタクリレートとの反応が続く。好ましいエチレン性不飽和液状エラストマーは、ビニル末端液状ゴム、メタクリレート末端ポリブタジエン、アクリレート末端ポリブタジエン、メタクリレート末端ポリブタジエン-アクリロニトリル共重合体、アクリレート末端ポリブタジエン-アクリロニトリル共重合体、及びそれらの混合物から選択される。「低分子量」とは、エラストマーが通常の雰囲気温度で液体であり、3000〜9500の典型的な数平均分子量を有するアルクアクリレート単量体に溶解することを意味する。低分子量エチレン性不飽和エラストマーは、本発明に係る低レベルのアルクアクリレート単量体と接触すると膨潤してゲルを形成する特徴を持つ固形の高分子エラストマーとは異なる。そのような膨潤は、シーラントとしては過度の粘度と不均一な塗布をもたらす。代表的な市販の二末端不飽和液状ブタジエン-アクリロニトリル共重合体にはHycar(登録商標)VTBN(Noveon)及びCN-301ポリブタジエンジメタクリレート(Sartomer)が含まれる。
【0019】
本発明の更なる実施態様では、シーラントは、2重量%から15重量%、好ましくは6重量%から13重量%の特定の量で、一分子(ポリエポキシド)当たり一を越えるオキシラン環を統計的に含む硬化性エポキシ官能性化合物(液状樹脂)を更に含有する。好ましいエポキシ官能性材料は一分子当たりに2つのエポキシ基を含む。一官能性エポキシ化合物を、反応性希釈剤として作用する粘度調整剤としてのポリエポキシド成分と併用することもまたできる。ここでの使用に適したエポキシ樹脂には、多価アルコールのポリグリシジルエーテル、及び多価カルボン酸のポリグリシジルエステルが含まれる。ポリグリシダルエステルは、エピクロロヒドリン又はエピブロモヒドリンのようなエピハロヒドリンを、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、及び二量体化リノール酸のような脂肪族又は芳香族多価カルボン酸と反応させることによって、得ることができる。芳香族ポリオールのポリグリシダルエーテルが好ましく、アルカリの存在下でエピハロヒドリンをポリヒドロキシフェノール化合物と反応させることによって調製される。適した出発ポリヒドロキシフェノールには、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールAとしても知られているビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1-イソブタン、4,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4-ヒドロキシフェノール)-1,1-エタン、ビス(2-ヒドロキシフェニル)-メタン、及び1,5-ヒドロキシナフタレン、及びビスフェノールAのジグリシジルエーテルが含まれる。
【0020】
市販の硬化性エポキシ材料には、例えばResolution Performance Products製のEpon(登録商標)DPL-862、Eponex(登録商標)1510及びEponex(登録商標)1513(水添ビスフェノールA-エピクロロヒドリンエポキシ樹脂);UCB Coatings製のSantolink(登録商標)LSE-120;Air Products and Chemicals製のEpodil(登録商標)757(シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル);Vantico, Hawthorne, N.Y.製のAraldite GY-6010、又はXUGY358又はPY327;Reichhold Chemicals, Durham, N.C.製のAroflint(登録商標)393及び607;及びUnion Carbide, Tarrytown, N.Y.製のERL4221が含まれる。また適したものはエポキシ材料の混合物、例えばEpon(登録商標)828(ビスフェノールA-エピクロロヒドリンエポキシ樹脂)と二官能性エポキシド反応性希釈剤との混合物である。反応性希釈剤の例には、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル及びシクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルが含まれる。他の混合物の例はビスフェノールFエポキシ樹脂、つまりResolution Epon DPL 862及びCVC, Cherry Hill, N.J.製のエポキシフェノールノボラック樹脂Epalloy(登録商標)8250;Vantigo製のAraldite(登録商標)EPN 1139;Dow Chemical製のDEN432及びDEN438である。好ましいエポキシ混合物はエポキシ樹脂前駆体とエポキシ官能性軟化剤の組合せである。適したエポキシ軟化剤はビスフェノールAのジグリシジルエーテルとCTBNの付加化合物であり、その一例はResolution Epon樹脂58005として市販されている。好ましくは、B剤は60−100重量%の硬化性(熱硬化性)エポキシ樹脂のエポキシ硬化性成分と0−40重量%のエポキシ官能性軟化剤のエポキシ硬化性成分を含有するエポキシ反応性成分(エポキシB)を含む。
【0021】
シーラントは、典型的にはよく知られている一般的なレドックス対触媒系を使用して一時間以内に雰囲気条件下で硬化する。既知のレドックス系は二剤型シーラントにおいて別個に収容され、十分な濃度のフリーラジカルを形成してラジカル重合性成分の付加重合を開始させる酸化剤と還元剤を含む。使用されるならば更なる熱が硬化速度を増大させる。硬化反応は穏やかな発熱性である。代表的な一般的酸化剤には、限定しないが、過酸化ベンゾイル及び過酸化ジアシルのような有機過酸化物、クメンヒドロペルオキシドのようなヒドロペルオキシド類、ペルオキシ安息香酸t-ブチルのようなペルエステル;メチルエチルケトンのようなケトンヒドロペルオキシド類、ナフテン酸コバルトのような遷移金属の有機塩、及び塩化スルホニルのような不安定塩素を含む化合物が含まれる。
【0022】
代表的な還元剤には、限定しないが、スルフィン酸及びアゾ化合物が含まれる。好ましい還元剤は芳香族第三級アミンである。第三級アミンには、ジイソプロピル-p-トルイジン、N,N-ジメチルアニリン、トリス(ジメチル-アミノメチル)フェノール、N,N-ジメチルアミノメチルフェノール(DMAMP)及びジメチル-p-トルイジン(DIIPT)が含まれる。更なる他の還元剤には、アゾイソ酪酸ジニトリル;α-アミノスルホン類、例えばビス(トリルスルホンメチル)アミン、ビス-(トリルスルホンメチル)エチルアミン及びビス(トリルスルホンメチル)-ベンジルアミン;及びアミンアルデヒド縮合生成物、例えばアニリン又はブチルアミンのような第一級アミン類とのブチルアルデヒドのような脂肪族アルデヒド類の縮合生成物が含まれる。
【0023】
エラストマーシーラント塗膜は本発明に係る二剤を混合して塗布され、腐食保護剤及び塗料が下塗りされる予定の未塗装金属表面に塗布するのに特に有用である。本発明は、ラジカル重合性成分(アルクアクリレート単量体及び溶解した低分子量エチレン性不飽和エラストマー)、レオロジー調整剤、及び還元剤をA剤として混合し;酸化剤、レオロジー調整剤、液体担体及びエポキシ成分をB剤として混合することによって、即座になされる。エポキシ成分はアシッドホスフェート単量体のようなエポキシ硬化剤を含まない剤に維持される。他剤において酸化剤、禁止剤及びラジカル重合性成分を混合しながら一剤において還元剤とエポキシ樹脂を混合することはあまり好ましくない。
【0024】
シーラントは1:1から10:1のA剤:B剤の体積比で塗布されるように直ぐに調整される。好ましい体積混合比は3.5:1から4.5:1であり、より好ましくは4:1の体積比が使用される。A液の粘度は10000から百万cP(10Pa-s−1000Pa-s)の範囲とでき、B液は典型的には50000−500000cP(50Pa-s−500Pa-s)とできる。
好ましくは、B液は2.0のエポキシ当量比を持つ液状エポキシ樹脂、過酸化物開始剤、無機フィラー、チキソトロープ剤、及びフタレートエステル担体流体を含有する。場合によっては、エポキシ成分重量で5−30%のエポキシド化低分子量エラストマーを用いることができる。過酸化物開始剤を溶解させB液の固形物を懸濁させるための担体については、様々な液状化合物及び液状高分子が適している。担体は一般的な可塑剤、及び/又は一官能性エポキシ材料でありうる。適切な可塑剤には、フタレートエステル、リン酸のエステル、トリメリット酸エステル、アジピン酸のエステル、並びにステアリン酸エステル、セバシン酸エステル、及びオレイン酸エステル;液状高分子、例えばポリエステル、ポリイソブチレン、ポリイソプレン重合体等が含まれ、その全てが既知で一般的なものである。
【0025】
抗垂れ性はレオロジー調整剤を使用して得ることができる。既知のレオロジー調整剤には、ポリアミンアミド類、ポリアミド類、又は不飽和多価カルボン酸が含まれる。ポリアミンアミドのカルボキシレート酸塩、長鎖カルボン酸ポリアミンアミドのリン酸塩、又は高分子量不飽和多価カルボン酸の部分アミド及びアルキルアンモニウム塩の溶液、ナノサイズのシリカ、及びポリシロキサン共重合体が適している。様々な懸濁助剤の任意の組合せ又は混合物を使用することができる。高分子レオロジー調整剤の特定の例は、BYK CHEMIE製のAnti-Terra(登録商標)高分子、例えばAnti-Terra(登録商標)-202、-204、及び-205、-P、-U-80等々と;BYK-P-105に加えて、Anti-Terra(登録商標)U及びLactimon(登録商標)タイプのものであり、全てがByk-Chemie Gmbh社から入手できる。King Industries製のDisparlon(登録商標)6500ポリアミド等がまた適している。レオロジー調整剤は米国特許第4795796号に記載されている。好ましいレオロジー調整剤はフュームドシリカである。好ましいレオロジー調整剤はCabot製のCab-O-SIL(登録商標)HS-5、又はTS-720である。レオロジー調整剤の有効範囲量は1〜6重量%である。フュームドシリカの好ましい範囲は各剤中において2−5重量%であり、最適量は垂直面に塗布した未硬化のシーラントビードのスランプ又は垂れの度合いを評価することによって即座に決定される。
【0026】
本発明の更なる実施態様では、シーラントは、シーラント組成物の全重量に対して、1重量%より多く8重量%まで、好ましくは1.5〜5重量%の量の極性ワックスを更に含有する。ワックスは表面粘着性(タック)を引き出すのに必要であるが、ワックスの極性は十分な表面湿潤能をもたらさなければならない。湿潤能は水接触角を測定することによって評価される。一般的なゴニオメータで測定して少なくとも120°の水接触角が許容できる。極性ワックスはまたアルクアクリレート単量体に混和性でなければならない。適した単量体混和性ワックスに含まれるものは、しばしば他の用語で呼ばれる長鎖脂肪酸の誘導体であり、次のいわゆる無機ワックス(例えば石炭誘導)、エステルワックス、部分的鹸化酸ワックス等々のものである。合成非極性物(例えばパラフィン、α-オレフィンワックス)の酸化及び酸処理によって、又は約140℃の融点と約7の酸価を有するN,N'-ジステアリルエチレンジアミン[110-30-5]のように、脂肪酸アミド化生成物を形成することによって、与えられたワックスの単量体混和性に影響を及ぼすことができる。
【0027】
褐炭の溶媒抽出によって誘導され、Hoeschstワックス(登録商標)の名称で提供されるモンタンワックス[CAS 8002-53-7]は適切な極性ワックスである。無機ワックスの組成は、それが抽出される材料に依存することが知られているが、通常は、そのようなワックスはロウ状物質だけでなく、様々な量の樹脂、及びアスファルトからなる。更に処理して樹脂とアスファルトを除いた精製モンタンワックスとして知られている生成物が知られている。モンタン白ロウはまたアルコールとの反応によってそのエステルに誘導体化される。モンタンのワックス成分は、長鎖(C24−C30)エステル(62−68重量%)、長鎖酸(22−26重量%)、及び長鎖アルコール、ケトン、及び炭化水素(7−15重量%)の混合物である。粗モンタンは32の酸価と92の鹸化価を有している。市販のモンタン酸エステルワックスの例にはHoechst Wax S、E、OP、及びBJ(Clariant, Basel, CH)が含まれる。
【0028】
極性ワックスは硬質ワックス、例えば酸ワックス、エステルワックス、及び部分鹸化エステルワックス、又はある種のモンタン軟質ワックスを含む軟ロウでありうる。好ましい混和性ワックスは、例えばパルミチン酸セチルのような脂肪アルコールの脂肪C−C20酸エステルの混合物を含む。好ましい極性ワックスは、20−30重量%のC14及び低級アルキル、50−55重量%のC16アルキル、及び20−25重量%のC18アルキルを含有する合成混合物である。天然の鯨ロウに基づく適した単量体混和性ワックスは、典型的には7.1重量%のC12又は低級アルキル、20.3重量%のC14アルキル、52重量%のC16アルキル及び20.6重量%のC18アルキルを含む。好ましい単量体混和性ワックスは、1.0のI.V.、2の酸価、46−49℃のキャピラリー融点仕様、109−117の鹸化価、STARFOL(登録商標)の名のAshland Chemical社製の合成ワックスであり、0.5%のC−C10、7.5重量%のC12又は低級アルキル、18重量%のC14アルキル、50重量%のC16アルキル及び24重量%のC18アルキルを含んでいると考えられる。
【0029】
場合によっては含まれる有用な一般的添加剤は、非反応性顔料(カーボンブラック)、着色料、反応性希釈剤、無機フィラー、例えば炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク及び珪灰石等々である。任意成分の添加剤は、硬化過程、特に以下に示すマンドレル屈曲能に許容できない悪影響は及ぼさない量で用いられる。
【0030】
本発明の組成物は、塗布されるまでは別個のA剤及びB剤として維持される。混合物の塗布時には、ここに示される実施態様は2分までの作用又はオープンタイムをもたらす。二剤は、ディスペンサ装置に用いられる静的混合ゾーンを通過した後に塗布することができ、又は好ましくは加圧計量ディスペンサを通じて、駆動部材が精密許容差下で剪断混合をもたらす動的混合ゾーンにポンプ移送され、混合物が、シール被覆される表面に塗布される。
【0031】
例示的な既知の接着剤塗布システムは、典型的には第一容器、第二容器、流体流制御(つまり計量)装置、及び塗布ヘッドを含む。第一容器は、それに流通可能に連通する第一供給管を持ち、流体流制御装置中の第一計量チャンバに導かれる剤の一つを含む。第二供給管は、流体流制御装置の第二計量チャンバに導かれるB剤組成物と流通可能に連通する。第一塗布管は流体流制御装置と塗布ヘッドに流通可能に連通している。第二塗布管は流体流制御装置と塗布ノズルに流通可能に連通している。A剤とB剤を収容するための左半分部分と右半分部分を塗布ヘッド内に形成してもよい。塗布ヘッドは当該分野で知られているように空気圧で作動させることができる。静的混合ノズルは塗布ヘッドの移送端に固定される。混合ノズルは一連の邪魔板又は螺旋混合部材と出口オリフィスを形成してもよい。
【0032】
塗布システムを通してA剤とB剤を噴射するために任意の適切な力を用いることができる。例えば、二つのポンプが容器から前記剤を流体流制御装置中に移送しうる。流体流制御装置は、予め選択された体積量を塗布ヘッドに移送するための、例えば移動ロッドのような、当該分野で知られている様々な定量機構を有しうる。
塗布システムの例は、例えば米国特許第5082147号;同第4869400号;同第4767026号;及び同第3664639号(全てを出典明示によりここに援用する)及び独国実用新案登録第68501010号(1985年12月5日公開)に記載されているようなカートリッジ/スタティックミキサーである。図2は米国特許第4767026号に記載されているようなカートリッジ/スタティックミキサーシステムの一実施態様を示す。
【0033】
シーラント塗膜によって実証される幾つかの性能特性のバランスを特徴付ける場合、ピーク発熱温度とピーク温度までの時間として硬化速度を測定することを含む、多くの評価を行うことができる。ASTM D 4338-97に従うマンドレル屈曲試験による屈曲試験は、名目上3mm×10mmの保護塗膜ビードを冷間圧延鋼(CRS)試験パネルに塗布し、保護塗膜を常温で硬化させた後、5.08cmマンドレルで金属パネルを折って試験サンプルを180°屈曲させることによって、なされる。屈曲試験は、常温(RT)及び−30℃での過酷なベーク条件(204℃で30分)の前後で評価される。金属へのシーラント塗膜の一次接着は、常温硬化後と上記の過酷なベーク条件後に重ね剪断強度(lap shear strength)によって評価され、接着は、シーラント膜を金属基体から引き剥がすことを試み、接着剤対凝集破壊を観察することによって評価することができる。
【0034】
本発明のシーラント塗膜によって次の更なる特性が達成される:
(i)もっぱら金属への凝集破壊を伴う少なくとも280N/cmの重ね剪断強度;
(ii)湿度レイオーバー抵抗−つまり、23℃、相対湿度80%で28日後の金属接着性の消失なし;
(iii)一時間以内での低タックレベルまでの常温硬化;
(iv)垂直面での垂れのない(自立)ビード;
(v)DOI/外観に変化のないボデー塗料への接着;
(vi)10VDAサイクル後のアンダーカット腐食のない腐食保護;
(vii)204℃(400F)での30分の塗料ベークサイクルの前後で、常温及び−30℃で割れがなく2インチ(5.08cm)マンドレルで180°屈曲する屈曲性。
【0035】
次の手順は、シーラント塗膜のA液を小規模で製造するのに適している:
1. 20%の二末端液状エラストマーをアルクアクリレート単量体の一つと混合し、極性ワックスと組合せ、還元剤を、固形物ならば微細片として加え、禁止剤及びDDBQを加える。混合物を、全ての固形分が溶解するまで50−60℃で1〜2時間(15分毎に撹拌)オーブンに配する。
2. 残りの液状エラストマーをアシッドホスフェート単量体と混合する。
3. 熱いまま十分に混合しながら、第1工程の溶液を第2工程の溶液に加える。
4. タルク又は他のフィラーを加え、完全に分散させる。
5. 還元剤を加え、混合する。
6. シリカを加え、均一になるまで混合する。
B液は、担体流体に懸濁させた過酸化物をエポキシ成分、チキソトロープ剤及び任意成分のフィラーと混合して直ぐに調製される。
【0036】
本発明に係るシーム保護塗膜は、保護塗膜下に腐食保護をもたらす。ドイツ自動車産業協会(VDAサイクル)は、1日のSS DIN50021による塩水噴霧(35℃)試験;続く4日間の凝縮水環境サイクリングKFW DIN50017;続く2日間のDIN50014による常温(18〜28℃)を一サイクルと定義している。10VDAサイクル後、ゼロか約1mmのアンダーカット腐食が許容される。ロボット条件下で制御された塗膜厚及び正確な計量並びに塗膜のレオロジーがアンダーカット腐食の度合いに効果を有している。
保護塗膜は、冷間圧延鋼、亜鉛メッキ鋼、例えばこれらとして知られているbonazinc及びelozincを含む様々な金属に塗布するために直ぐに適合化される。本発明に係る保護塗膜は、スタティックミキシングヘッド下、好ましくはスピンコア-ダイナミックミキシングヘッドを使用したロボット塗布に適合化される。
【0037】
マンドレル屈曲試験はASTM D522-93a(2001)「付着有機塗膜のマンドレル屈曲試験の標準的試験方法(Standard Test Methods for Mandrel Bend Test of Attached Organic Coatings)」に従って実施した。この試験のために、アセトンで洗浄した4”×12”×0.030”(10.1×30.4×0.076cm)の電気亜鉛メッキ金属パネル(ACT Laboratories, Hillsdale, MI 49242から入手可能な部品番号ACT E60EZG60G)に塗膜を形成した。パネルは、4:1のプランジャー(部品番号PLA050-04)を有するConProTec MIXPAC(登録)System 50(部品番号DMA51-00-10)を使用して塗膜を塗布する前にアセトンで洗浄した。ノズルには、1/8”の開口を持つ6”のスタティックミキサー(部品番号MA 6.3-21-S)を装着した。
【0038】
実施例1
パーセントは重量基準;混合比は体積基準である。
実施例1



【0039】
実施例2−5は、本発明に従って塗布されたシーラント中のラジカル重合物の組合せ(不飽和)、及びこれら成分の総重量パーセント(全体)に対する個々のラジカル重合性成分の重量パーセント割合を表にまとめている。

【0040】
実施例6−12
次の実施例はシーラントがマンドレル屈曲試験に合格できるかどうかの判定を示している。
エポキシ重量パーセントは塗布されたシーラント中のエポキシの重量パーセントを示している。マンドレル屈曲試験は、12”長の処方物ビードを鋼パネル(0.032”厚)に塗布し、常温(RT)で24時間硬化させることによって実施した。延長ベーキング/硬化を400F(204℃)で30分実施した。マンドレル屈曲性を常温(RT)と−30℃で試験した。「合格」はシーラントが割れたり金属への接着性を失うことなく撓んだことを示している。割れ又は剥がれの結果は「不合格」とみなした。初期の接着と延長ベーク後の接着を、パテナイフを使用して鋼パネルから硬化シーラントを引き剥がすかこすり取ることを試みることにより、試験した。シーラントが容易に取り除かれた場合、不合格は接着(adh)と標示した。シーラントが擦り取り後に残った場合、不合格は凝集(coh)と標示した。
実施例8−11は完全なマンドレル屈曲試験に合格した。

【0041】
次の実施例13−18は、−30℃以下の骨格Tgを有するエチレン性不飽和エラストマーの任意の量が延長熱処理の前後において180°のマンドレル屈曲に合格できるシーラントをもたらすかどうかを評価した。以下の実施例では、エポキシ樹脂前駆体(DGEBA)レベルは全シーラント組成物の10重量%で一定に保たれていた。

【0042】
許容できるシーラント塗膜を提供するためには、シーラントは204℃で30分の過酷な硬化サイクルへの暴露の前後において屈曲性を維持していなければならず、常温と−30℃での2”マンドレルでの180°屈曲後に割れを示さず又は被覆金属から剥がれてはならない。上記の結果は、32−55重量%のエチレン性不飽和低分子エラストマーと2重量%から15重量%のエポキシ材料を含む金属に塗布されるシーラントは、常温と−30℃の双方で試験した場合、過酷なベークサイクルへの暴露の前後において2”(5.08cm.)マンドレルで180°屈曲することを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジカル重合性成分、酸化剤及び還元剤を含有する常温硬化性シーラント組成物であって、
ラジカル重合性成分が、アルクアクリレート単量体と不飽和含リン単量体の少なくとも一方を25〜45重量%、3000〜9500の数平均分子量と−30℃以下の骨格Tgを持つエチレン性不飽和液状エラストマー重合体を55〜75重量%含有し、
前記エラストマー重合体が該組成物の32〜55重量%を構成するシーラント組成物。
【請求項2】
前記アルクアクリレート単量体が、アルキル(C−C)置換アクリル酸のα、β-不飽和C−C20エステルを含んでなる請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項3】
前記アルクアクリレートが、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、及びブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ボルニルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、4-t-ブチル-シクロヘキシルメタクリレート、2-イソプロピル5-メチルシクロヘキシルメタクリレート、3,5-ジメチルシクロヘキシルメタクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、3,4,5-トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシルメタクリレート、ボルニルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート及びテトラヒドロフルフリルメタクリレートからなる群から選択される請求項2に記載のシーラント組成物。
【請求項4】
前記エステル単量体が、メチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ボルニルメタクリレート、及びそれらの混合物から選択される請求項3に記載のシーラント組成物。
【請求項5】
エポキシ成分を更に含有する請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項6】
前記エポキシ成分が該シーラント組成物の2〜15重量%を構成する請求項5に記載のシーラント組成物。
【請求項7】
前記エポキシ成分が該シーラント組成物の6〜13重量%を構成する請求項6に記載のシーラント組成物。
【請求項8】
極性ワックスを更に含有する請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項9】
極性ワックスが、1.5〜5重量%の量でシーラント組成物中に存在している請求項8に記載のシーラント組成物。
【請求項10】
前記ラジカル重合性成分が、アルクアクリレート単量体と不飽和含リン単量体を含む請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項11】
レオロジー調整剤を更に含有する請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項12】
前記エチレン性不飽和液状エラストマーが、メタクリレート末端ポリブタジエン、アクリレート末端ポリブタジエン、メタクリレート末端ポリブタジエン・アクリロニトリル共重合体、アクリレート末端ポリブタジエン・アクリロニトリル、及びそれらの混合物からなる群から選択される請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項13】
前記エチレン性不飽和エラストマーが、メタクリレート末端ポリブタジエン及びアクリレート末端ポリブタジエンからなる群から選択される請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項14】
前記不飽和含リン単量体が、シーラント組成物中の全ラジカル重合性物質の1〜10重量%を占めている請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項15】
ラジカル重合性成分、酸化剤及び還元剤、及び極性ワックスを含有する常温硬化性シーラント組成物であって、
ラジカル重合性成分が、アルクアクリレート単量体と不飽和含リン単量体の少なくとも一方を25〜45重量%、3000〜9500の数平均分子量と−30℃以下の骨格Tgを持つエチレン性不飽和液状エラストマー重合体を55〜75重量%含有し、
前記エラストマー重合体が該シーラント組成物の32〜55重量%を構成するシーラント組成物。
【請求項16】
二の容器を含み、該二の容器の別々の内容物を混合ゾーンに移送するポンプを備えたディスペンサであって、一方の容器にA剤組成物があり他の前記容器にB剤組成物があり、前記B剤は常温でA剤と反応性であり、混合ゾーンに分配されるA剤とB剤の体積比を制御して混合物を形成する計量装置を備えたディスペンサであり、
前記混合物がアルクアクリレート単量体、エチレン性不飽和含リン単量体、3000〜9500の数平均分子量を持つ32〜55重量%のエチレン性不飽和エラストマー、2〜15重量%のエポキシ化合物、1.5〜5重量%の極性ワックス、1〜6重量%のレオロジー調整剤、2〜5重量%のレドックス開始剤系、及び0〜35重量%の無機フィラーを含有するディスペンサ。
【請求項17】
接合された金属部品によって形成されるシームの被覆方法において、シーラントを塗布して前記シームの領域を覆い、前記シーラントが、
ラジカル重合性成分、
2〜15重量%のエポキシ成分、
極性ワックス、
レオロジー調整剤、
酸化剤及び還元剤、
を含有し;
シーラントが、アルクアクリレート単量体と共反応性含リン単量体を25〜45重量%、3000〜9500の数平均分子量と−30℃以下の骨格Tgを持つエチレン性不飽和液状エラストマーを55〜75重量%含有するラジカル重合性成分を特徴とし、前記エラストマーが前記シーラントの32〜55重量%を構成し、前記エポキシ成分が前記シーラントの2〜15重量%を構成する方法。

【公表番号】特表2008−540811(P2008−540811A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512539(P2008−512539)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/019426
【国際公開番号】WO2006/125148
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(507381329)ロード コーポレーション (8)
【Fターム(参考)】