説明

平版印刷版原版

【課題】良好な耐刷性を発揮しつつ、且つ、良好な汚れ防止性を発揮でき、更には良好な機上現像性を達成しうる平版印刷版原版を提供する。
【解決手段】アルミニウム支持体上に、画像記録層を有する平版印刷版原版であって、該画像記録層が下記一般式(I)で表される化合物を0.01〜10質量%含有することを特徴とする、平版印刷版原版。


(式中、Rは炭素数2〜10の有機置換基を表し、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜10の有機置換基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平版印刷版原版に関し、特に画像記録層に特定の環状アミド化合物を含有する平版印刷版原版に関する。さらに詳しくは、高耐刷性と汚れ防止性を両立する平版印刷版原版に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、平版印刷版は、印刷過程でインキを受容する親油性の画像部と、湿し水を受容する親水性の非画像部とからなる。平版印刷は、水と油性インキが互いに反発する性質を利用して、平版印刷版の親油性の画像部をインキ受容部、親水性の非画像部を湿し水受容部(インキ非受容部)として、平版印刷版の表面にインキの付着性の差異を生じさせ、画像部のみにインキを着肉させた後、紙などの被印刷体にインキを転写して印刷する方法である。
この平版印刷版を作製するため、従来、親水性の支持体上に親油性の感光性樹脂層(画像記録層)を設けてなる平版印刷版原版(PS版)が広く用いられている。通常は、平版印刷版原版を、リスフィルムなどの原画を通した露光を行った後、画像部に対応する画像記録層を残存させ、非画像部に対応する不要な画像記録層をアルカリ性現像液又は有機溶剤含有現像液によって溶解除去し、親水性の支持体表面を露出させて非画像部を形成する方法により製版を行って、平版印刷版を得ている。
【0003】
一方、近年、画像情報をコンピュータで電子的に処理し、蓄積し、出力する、デジタル化技術が広く普及してきており、このようなデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきている。これに伴い、レーザー光のような高収斂性の輻射線にデジタル化された画像情報を担持させて、その光で平版印刷版原版を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術が注目されてきている。したがって、このような技術に適応した平版印刷版原版を得ることは、重要な技術課題の一つとなっている。
【0004】
更に、従来の平版印刷版原版の製版工程においては、露光の後、不要な画像記録層を現像液などによって溶解除去する工程が必要であるが、このような付加的に行われる湿式処理を不要化又は簡易化することも課題の一つとして挙げられている。特に、近年、地球環境への配慮から湿式処理に伴って排出される廃液の処分が産業界全体の大きな関心事となっており、上記課題解決への要請は一層強くなってきている。
これに対して、簡易な製版方法の一つとして、画像記録層の不要部分の除去を通常の印刷工程の中で行えるような画像記録層を用い、露光後、印刷機上で画像記録層の不要部分を除去して平版印刷版を得る、機上現像と呼ばれる方法が提案されている。
機上現像の具体的方法としては、例えば、湿し水、インキ溶剤又は湿し水とインキとの乳化物に溶解し又は分散することが可能な画像記録層を有する平版印刷版原版を用いる方法、印刷機のローラ類やブランケットとの接触により、画像記録層の力学的除去を行う方法、湿し水、インキ溶剤などの浸透によって画像記録層の凝集力又は画像記録層と支持体との接着力を弱めた後、ローラ類やブランケットとの接触により、画像記録層の力学的除去を行う方法が挙げられる。
【0005】
なお、本発明においては、特別な説明がない限り、「現像処理工程」とは、印刷機以外の装置(通常は自動現像機)を使用し、液体(通常はアルカリ性現像液、界面活性剤含有現像液、および、親水性ポリマー含有水溶液など)を接触させることにより、平版印刷版原版の未露光部分の画像記録層を除去し、親水性支持体表面を露出させる工程を指し、「機上現像」とは、印刷機を用いて、液体(通常は印刷インキ及び/又は湿し水)を接触させることにより、平版印刷版原版の未露光部分の画像記録層を除去し、親水性支持体表面を露出させる方法及び工程を指す。
【0006】
上述したような製版作業の簡素化、乾式化又は無処理化では、露光後の画像記録層が現像処理によって定着されていないので感光性を有し、印刷までの間にかぶってしまう可能性があるため、明室又は黄色灯下で取り扱い可能な画像記録層及び光源が好ましく用いられる。
そのようなレーザー光源としては、波長760〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザー及びYAGレーザー等の固体レーザーは、高出力かつ小型のものを安価に入手できるようになったことから、極めて有用である。また、UVレーザーも用いることができる。
このような平版印刷版原版において、汚れ防止性を持たせるための種々の添加剤が提案されている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、耐刷性と汚れ防止性とを両立することは難しい。特に、例えば特許文献2に記載されているように、特定のバインダーを使用し、UVインキによる耐刷性を持たせる際に、該耐刷性と汚れ防止性と両立させることが課題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−41206号公報
【特許文献2】特開2008−247000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、良好な耐刷性を発揮しつつ、且つ、良好な汚れ防止性を発揮でき、更には良好な機上現像性を達成しうる平版印刷版原版を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、種々の画像記録層組成物を検討した結果、特定の環状アミド化合物を含有する画像記録層を有する平版印刷版原版が、過酷条件で長期間の保存を行った場合にも、充分な耐刷性を有し、且つ、良好な汚れ防止性を実現し、更には良好な機上現像性をも実現できる予想外の効果を見出し、本発明に到達した。特にUVインキに対して高耐刷性になるような特定のポリマーを画像記録層に使用した場合に、上記効果があることを見出した。
従って本発明は、アルミニウム支持体上に、画像記録層を有する平版印刷版原版であって、該画像記録層が下記一般式(I)で表される化合物を0.01〜10質量%含有することを特徴とする、平版印刷版原版である。
【0010】
【化1】


(式中、R1は炭素数2〜10の有機置換基を表し、R2〜R7はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜10の有機置換基を表す。)
【0011】
本発明の平版印刷版原版はネガ型の平版印刷版原版とすることができ、上記画像記録層は、さらに重合開始剤及び重合性化合物を含有することができる。また、光熱変換物質を含有することができる。
本発明の平版印刷版原版はまた、別の実施態様として、画像記録層の画像露光部分が現像後に非画像部となる、画像記録層に、水に不溶であり、かつアルカリ水溶液に可溶である高分子化合物を含有するポジ型の平版印刷版原版とすることができる。水に不溶であり、かつアルカリ水溶液に可溶である高分子化合物としては、ノボラック樹脂が好ましく、また、画像記録層には光熱変換物質を含有することができる。
本発明における画像記録層の実施態様として、スルホンアミド基、マレイミド基、及びウレア構造から選ばれる少なくとも一つの構造を含有する高分子化合物を含有する態様がある。
本発明の平版印刷版原版は中間層を有することができ、よって、本発明はさらに、アルミニウム支持体上に、中間層、及び上記の画像記録層をこの順に有することを特徴とする、平版印刷版原版に向けられている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の平版印刷版原版によれば、良好な耐刷性と汚れ防止性とを両立できる平版印刷版を提供することができる。本発明の平版印刷版原版はまた、過酷条件で長期保存を行った場合にも、製版後、良好な耐刷性を維持しつつ、且つ、良好な汚れ防止性を達成できる平版印刷版を提供できる。また、本発明の平版印刷版原版によれば、優れた機上現像性を発揮でき、該平版印刷版原版を長期間保存したとしても機上現像性が悪化しない。本発明の平版印刷版原版は経時安定性の高いものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の平版印刷版原版は、ラジカル重合によるネガ型の平版印刷版原版、及び露光部が現像後に非画像部になるポジ型の平版印刷版原版のいずれにも用いることが可能である。本発明の平版印刷版原版はまた、現像処理工程を経る平版印刷版原版、印刷機上で直接現像して印刷する機上現像型平版印刷版原版のいずれにも用いることが可能である。
本発明の平版印刷版原版は、ラジカル重合によるネガ型の平版印刷版原版に用いることが好ましく、特にラジカル重合によるネガ型の機上現像型平版印刷版に用いることが好ましい。
【0014】
<一般式(I)の化合物>
本発明の平版印刷版原版の画像記録層における、下記一般式(I)の化合物の含有量は、0.01〜10質量%である。その含有量は、好ましくは0.05〜7質量%であり、更に好ましくは0.08〜5質量%であり、特に好ましくは0.10〜3質量%である。
【化2】


(式中、R1は炭素数2〜10の有機置換基を表し、R2〜R7はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜10の有機置換基を表す。)
一般式(I)において、R1は炭素数2〜10の置換基を表し、窒素原子に置換可能な基であれば任意のものを選択できるが、好ましくは、炭素数2〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基又は炭素数6〜10のアリール基である。
【0015】
1で表されるアルキル基は、炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜8、さらに好ましくは炭素数2〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基である。R1で表されるアルキル基は無置換でも、置換基を有していても良い。
1で表されるアルキル基が無置換であるとき、その具体例としては、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基などが挙げられる。
1が置換基を有する場合(すなわち、置換アルキル基である場合)、置換アルキル基のアルキル部分としては、上述した炭素数2〜10のアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましい炭素原子数の範囲についても上記アルキル基と同様である。
【0016】
1で表されるアルキル基に導入可能な置換基としては、以下に例示する非金属原子から構成される1価の置換基も挙げられる。好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N−アルキルウレイド基、N,N−ジアルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N,N−ジアリールウレイド基、N'−アルキル−N−アルキルウレイド基、N'−アルキル−N−アリールウレイド基、
【0017】
アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基(スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィイナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、
【0018】
シアノ基、ニトロ基、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基など)、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシアルコキシ基などが挙げられる。
【0019】
上記置換アルキル基の好ましい具体例としては、メトキシメチル基、メトキシカルボニルメチル基、イソプロポキシメチル基、ブトキシメチル基、s−ブトキシブチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、アセチルオキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、ピリジルメチル基、トリメチルシリルメチル基、メトキシエチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、
【0020】
カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、ホスホノブチル基、ジエチルホスホノブチル基、メチルホスホノブチル基、メチルホスホナトブチル基、ホスホノオキシプロピル基、ホスホナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基などを挙げることができる。
【0021】
1で表されるアルケニル基は炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜8、特に好ましくは炭素数2〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基を挙げることができる。R1で表されるアルケニル基は無置換でも、更に置換基を有していても良い。
1で表されるアルケニル基が無置換であるとき、その具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−オクテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−ブテニル基、アリル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチル−3−ブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基などが挙げられる。
【0022】
1で表されるアルケニル基が置換基を有する場合(すなわち、置換アルケニル基である場合)、置換アルケニル基のアルケニル部分としては、上述した炭素数2〜10のアルケニル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましい炭素原子数の範囲についても上記アルケニル基と同様である。
1で表されるアルケニル基に導入可能な置換基としては、上記置換アルキル基の説明中に記載の置換基を挙げることができる。
【0023】
1で表されるアルキニル基は、炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜8、特に好ましくは炭素数2〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキニル基を挙げることができる。R1で表されるアルキニル基は無置換でも、更に置換基を有していても良い。
1で表されるアルキニル基が無置換であるとき、その具体例としては、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基などが挙げられる。
1で表されるアルキニル基が置換基を有する場合(すなわち、置換アルキニル基である場合)、置換アルキニル基のアルキニル部分としては、上述した炭素数2〜10のアルキニル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましい炭素原子数の範囲についても上記アルキニル基と同様である。
1で表されるアルキニル基に導入可能な置換基としては、上記置換アルキル基の説明中に記載の置換基を挙げることができる。
【0024】
1で表されるアリール基は炭素数6〜10、好ましくは炭素数6〜9、特に好ましくは炭素数6〜8の無置換又は置換アリール基である。このようなアリール基の例としてフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ジメチルフェニル基、クロロフェニル基などがある。
1で表されるアリール基が置換基を有する場合(すなわち、置換アリール基である場合)、置換アリール基のアリール部分としては、上述した炭素数6〜10のアリール基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましい炭素原子数の範囲についても上記アリール基と同様である。
1で表されるアリール基に導入可能な置換基としては、上記置換アルキル基の説明中に記載の置換基を挙げることができる。また、ベンゼン環に、更にベンゼン環や、ヘテロ環が縮合して縮合環を形成していてもよい。具体例としては、フェニル基、ナフチル基などを挙げることもできる。
【0025】
1は好ましくはアルキル基であり、より具体的にはエチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが好ましく、特にエチル基、プロピル基及びブチル基が好ましい。
【0026】
2〜R7はそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜10の有機置換基を表す。R2〜R7が置換基を表すとき、炭素原子に置換可能な基であれば任意のものを選択できる。
2〜R7で表される有機置換基の例としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基、炭素数1〜10のアルキニル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のヘテロ環基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N−アルキルウレイド基、N,N−ジアルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N,N−ジアリールウレイド基、N'−アルキル−N−アルキルウレイド基、N'−アルキル−N−アリールウレイド基、
【0027】
アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィイナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、などが挙げられる。
2〜R7は互いに結合して環を形成していても良い。
【0028】
2〜R7は、好ましくは水素原子、又は炭素数1〜8のアルキル基であり、更に好ましくは水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基であり、特に好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など)である。
【0029】
一般式(I)において、R1、及びR2〜R7の特に好ましい組み合わせは、R1がエチル基、プロピル基、又はブチル基であり、R2〜R7が全て水素原子であるときである。
最も好ましくは、R1がエチル基であり、R2〜R7が全て水素原子であるときである。以下に、一般式(I)で表される化合物の好ましい例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】
【化3】


(n)は分岐していない直鎖状の基を意味する。
【0031】
【化4】

【0032】
【化5】

【0033】
【化6】

【0034】
画像記録層中の上記一般式(I)の化合物の含有量は、作成された平版印刷版原版の所定の面積を適当な溶媒で、例えばメタノールで抽出し、該抽出物を試料としてガスクロマトグラフィー法を行うことで計測し、所定の面積における含有量を求める。これを所定の面積の、画像記録層の重量で割り、含有量(%)を求める。画像記録層中の上記一般式(I)の化合物の含有量の調整は、画像記録層塗布液における該化合物の量、及び該塗布液の乾燥時間を調整することによって実施することができる。
【0035】
以下、本発明の画像記録層における他の構成成分について、詳細に説明する。
<ラジカル重合性ネガ型平版印刷版原版の画像記録層>
ラジカル重合によるネガ型の平版印刷版原版の画像記録層として使用される光重合型感光性組成物(以下「光重合性組成物」という)は、重合性化合物、具体的には付加重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物(以下、単に「エチレン性不飽和結合含有化合物」という)と、重合開始剤とを必須成分として含有し、必要に応じて、バインダーとしての高分子化合物、着色剤、可塑剤、熱重合禁止剤等の種々の化合物を含有する。
[エチレン性不飽和結合含有化合物]
光重合性組成物に含有されるエチレン性不飽和結合含有化合物は、光重合性組成物が活性光線の照射を受けた場合に、光重合開始剤の作用により付加重合し、架橋し硬化するようなエチレン性不飽和結合を有する化合物である。エチレン性不飽和結合含有化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物の中から任意に選択することができ、例えば、モノマー、プレポリマー(即ち、2量体、3量体およびオリゴマー)、これらの混合物、これらの共重合体等の化学的形態を有する。モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル系ラジカル重合性化合物、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド系ラジカル重合性化合物が挙げられる。またウレタン系ラジカル重合性化合物も好適である。
【0036】
[重合開始剤]
光重合性組成物に含有される重合開始剤としては、使用する光源の波長により、種々の重合開始剤または2種以上の重合開始剤の併用系(光開始系)を適宜選択して用いることができ、例えば、特開2001−22079号公報〔0021〕〜〔0023〕で示されている開始系が好ましい。また、オニウム塩が好ましく用いることができ、好適な具体例としては、特開2001−133969号公報の段落番号〔0030〕〜〔0033〕に記載されたものを挙げることができる。
[その他の成分]
光重合性組成物に含有される高分子化合物は、光重合性組成物の皮膜形成剤として機能するだけでなく、感光層をアルカリ現像液に溶解させる必要があるため、アルカリ水に可溶性または膨潤性であるものが使用される。上記高分子化合物としては同公報〔0036〕〜〔0063〕で示されている物が有用である。特に、エチレン性不飽和結合を側鎖に含有する高分子化合物が好ましい。
その他光重合性組成物には、同公報〔0079〕〜〔0088〕で示されている添加剤(例えば塗布性を良化するための界面活性剤)を加えることも好ましい。
[その他の層]
また、上記感光層の上に、酸素の重合禁止作用を防止するために酸素遮断性保護層を設けることが好ましい。酸素遮断性保護層に含有される重合体としては、ポリビニルアルコール又はその共重合体が挙げられる。さらにフォトポリマータイプの感光層の下層として特開2001−228608号公報〔0124〕〜〔0165〕で示されているような中間層もしくは接着層を設けるのも好ましい。
【0037】
<赤外線レーザーに感応するラジカル重合性画像記録層>
赤外線レーザーに感応する重合性ネガ型画像記録層は、(A)光熱変換物質、(B)重合開始剤、(C)エチレン性不飽和結合含有化合物、および必要により(D)バインダーとして高分子化合物とを含有する。
光熱変換物質である赤外線吸収剤が吸収した赤外線を熱に変換し、この際発生した熱により、オニウム塩等の重合開始剤が分解し、ラジカルが発生する。エチレン性不飽和結合含有化合物は、末端エチレン性不飽和結合を有する化合物から選ばれ、発生したラジカルにより連鎖的に重合反応が生起し、硬化する。
(A)光熱変換物質である赤外線吸収剤としては、例えば、前述したサーマルポジタイプの感熱層に含有される後述する光熱変換物質が挙げられるが、特にシアニン色素の具体例としては特開2001−133969号公報の段落番号〔0017〕〜〔0019〕に記載されたものを挙げることができる。
(B)重合開始剤、(C)エチレン性不飽和結合含有化合物、および必要により(D)バインダーとして高分子化合物関しては、同公報〔0036〕〜〔0060〕に詳しく記載された物が使用できる。その他の添加物としては、同公報〔0061〕〜〔0068〕で示されている添加剤(例えば塗布性を良化するための界面活性剤)を加えることも好ましい。
【0038】
<機上現像に対応したラジカル重合性画像記録層>
上記赤外線レーザーに感応するラジカル重合性画像記録層において、印刷機上で、湿し水及びインキにより現像する方式の画像記録層がある。この方式の重合性画像記録層においては、特定の(C)重合性化合物、(D)バインダーとしての高分子化合物、および必要により疎水化前駆体を使用する必要がある。
【0039】
[重合性化合物]
機上現像性に関与する親水性と耐刷性に関与する重合能のバランスに優れる点から、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ビス(アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどのイソシアヌル酸エチレンオキシド変性アクリレート類が特に好ましい。
ラジカル重合性化合物は、画像記録層の全固形分に対して、好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは25〜75質量%の範囲で使用される。
【0040】
[バインダーとしての高分子化合物]
バインダーとしての高分子化合物は、親水性基を有することが好ましい。親水性基は画像記録層に機上現像性を付与するのに寄与する。特に、架橋性基と親水性基を共存させることにより、耐刷性と現像性の両立が可能になる。
親水性基としては、たとえば、炭素数2または3のアルキレンオキシド単位を1〜100個有するアルキレンオキシド構造が好ましい。特に好ましくは、2〜12個有するアルキレンオキシド構造が好ましく、最も好ましくは、2〜8個有するアルキレンオキシド構造である。バインダーポリマーに親水性基を付与するには親水性基を有するモノマーを共重合すればよい。
なかでも好適な高分子化合物としては、特開2008−195018号公報に記載のような、画像部の皮膜強度を向上するための架橋性官能基を主鎖または側鎖、好ましくは側鎖に有しているものが挙げられる。架橋性基によってポリマー分子間に架橋が形成され、硬化が促進する。
【0041】
架橋性官能基としては、(メタ)アクリル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性不飽和基やエポキシ基等が好ましく、これらの基は高分子反応や共重合によってポリマーに導入することができる。例えば、カルボキシ基を側鎖に有するアクリルポリマーやポリウレタンとグリシジルメタクリレートとの反応、あるいはエポキシ基を有するポリマーとメタクリル酸などのエチレン性不飽和基含有カルボン酸との反応を利用できる。
バインダーポリマー中の架橋性基の含有量は、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。
バインダーポリマーは特に、皮膜性を有するポリマーが好ましく、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましい。
なお、バインダーポリマーは質量平均モル質量(Mw)が2000以上であることが好ましく、5000以上であるのがより好ましく、1万〜30万であるのがより好ましい。
【0042】
バインダーポリマーの含有量は、画像記録層の全固形分に対して、5〜90質量%であり、5〜80質量%であるのが好ましく、10〜70質量%であるのがより好ましい。この範囲で、良好な画像部の強度と画像形成性が得られる。
また、(C)重合性化合物と(D)バインダーポリマーは、質量比で0.4/1〜1.8/1となる量で用いることが好ましい。さらに好ましくは0.7/1〜1.5/1である。この範囲で本発明の効果である、耐刷性を維持したまま、機上現像性またはガム現像性を向上させる効果が顕著に発現する。
【0043】
[疎水化前駆体]
機上現像性を向上させるため、画像記録層に疎水化前駆体を用いることができる。疎水化前駆体とは、熱が加えられたときに画像記録層を疎水性に変換できる微粒子を意味する。微粒子としては、疎水性熱可塑性ポリマー微粒子、熱反応性ポリマー微粒子、疎水性化合物を内包しているマイクロカプセル、及びミクロゲル(架橋ポリマー微粒子)から選ばれる少なくともひとつの粒子が好ましい。なかでも、重合性基を有するポリマー微粒子及びミクロゲルが好ましい。
【0044】
疎水性熱可塑性ポリマー微粒子としては、1992年1月のResearch Disclosure No.33303、特開平9−123387号公報、同9−131850号公報、同9−171249号公報、同9−171250号公報及び欧州特許第931647号明細書などに記載の疎水性熱可塑性ポリマー微粒子を好適なものとして挙げることができる。
このようなポリマー微粒子を構成するポリマーの具体例としては、エチレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾール、ポリアルキレン構造を有するアクリレートまたはメタクリレートなどのモノマーのホモポリマーもしくはコポリマーまたはそれらの混合物を挙げることができる。その中で、より好適なものとして、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチルを挙げることができる。
【0045】
疎水性熱可塑性ポリマー微粒子の平均粒径は0.01〜2.0μmが好ましい。
熱反応性ポリマー微粒子としては、熱反応性基を有するポリマー微粒子が挙げられ、これらは、熱反応による架橋、及びその際の官能基変化により疎水化領域を形成する。
熱反応性基を有するポリマー微粒子における熱反応性基としては、化学結合が形成されるならば、どのような反応を行う官能基でもよいが、ラジカル重合反応を行うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基など)、カチオン重合性基(例えば、ビニル基、ビニルオキシ基など)、付加反応を行うイソシアナート基またはそのブロック体、エポキシ基、ビニルオキシ基及びこれらの反応相手である活性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基など)、縮合反応を行うカルボキシ基及び反応相手であるヒドロキシ基またはアミノ基、開環付加反応を行う酸無水物及び反応相手であるアミノ基またはヒドロキシ基などを好適なものとして挙げることができる。
【0046】
マイクロカプセルとしては、例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載のごとく、画像記録層の構成成分の全てまたは一部をマイクロカプセルに内包させたものである。なお、画像記録層の構成成分は、マイクロカプセル外にも含有させることもできる。さらに、マイクロカプセルを含有する画像記録層は、疎水性の構成成分をマイクロカプセルに内包し、親水性の構成成分をマイクロカプセル外に含有することが好ましい態様である。
架橋樹脂粒子、すなわちミクロゲルを含有する態様であってもよい。このミクロゲルは、その中及び/または表面に、画像記録層の構成成分の一部を含有することができ、特に、(C)ラジカル重合性化合物をその表面に有することによって反応性ミクロゲルとした態様が、画像形成感度や耐刷性の観点から特に好ましい。
画像記録層の構成成分をマイクロカプセル化、もしくはミクロゲル化する方法としては、公知の方法が適用できる。
上記のマイクロカプセルやミクロゲルの平均粒径は、0.01〜3.0μmが好ましい。0.05〜2.0μmがさらに好ましく、0.10〜1.0μmが特に好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。
疎水化前駆体の含有量としては、画像記録層の固形分濃度で5〜90質量%の範囲であることが好ましい。
【0047】
その他の成分として、感脂化剤、本発明以外の現像促進剤の併用、界面活性剤、着色剤、焼き出し剤、重合禁止剤、高級脂肪酸誘導体、可塑剤、無機微粒子、無機質層状化合物などを添加することができる。具体的には、特開2008−284817号公報の段落番号[0114]〜[0159]に記載の化合物及び添加量が好ましい。
【0048】
<ポジ型画像記録層>
ポジ型画像記録層とは、画像露光部分が現像される画像記録層であり、アルカリ可溶性高分子化合物と光熱変換物質とを含有する。
[アルカリ可溶性高分子化合物]
アルカリ可溶性高分子化合物は、高分子中に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体、およびこれらの混合物を包含し、特にフェノール性ヒドロキシ基(−Ar−OH)を有することが好ましく、ノボラック樹脂などが挙げられる。具体的には、例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−、p−およびm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂;ピロガロールアセトン樹脂が好ましく挙げられる。さらに詳しくは特開2001−305722号公報の〔0023〕〜〔0042〕で示されている高分子が好ましく用いられる。
本発明においては、画像記録層がノボラック樹脂を50質量%以上有することが好ましい。
【0049】
[光熱変換物質]
光熱変換物質は、露光エネルギーを熱に変換して感熱層の露光部領域の相互作用解除を効率よく行うことを可能とする。記録感度の観点から、波長700〜1200nmの赤外域に光吸収域がある顔料または染料が好ましい。染料としては。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体(例えば、ニッケルチオレート錯体)等の染料を用いることができる。中でも、シアニン染料が好ましく、特開2001−305722号公報の一般式(I)で示されたシアニン染料を挙げることができる。サーマルポジタイプの組成物中には、前記コンベンショナルポジタイプで記述した物と同様の感度調節剤、焼出剤、染料等の化合物や塗布性を良化するための界面活性剤を加えることが好ましく、詳しくは特開2001−305722号公報の〔0053〕〜〔0059〕で示されている化合物が好ましい。
【0050】
サーマルポジタイプの感熱層は単層でもよいし、特開平11−218914号公報に記載されているような2層構造として設けてもよい。
サーマルポジタイプの感熱層と支持体との間には、下塗層を設けることが好ましい。下塗層に含有される成分としては特開2001−305722号公報の〔0068〕で示された種々の有機化合物が挙げられる。
これらアルカリ可溶性高分子化合物と光熱変換物質とを含有する感熱性組成物を支持体上に設けたサーマルポジ型感熱性平版印刷版原版は赤外線レーザを用いて画像様露光された後、アルカリ性現像液で現像される。かかる現像液としては、特公昭57−7427号公報、特許第3086354号公報、特開平11−216962号公報、特開2001−51406号公報、特開2001−174981号公報、および特開2002−72501号公報記載の現像液などが好ましい例として挙げられる。
【0051】
<特定構造基を有する高分子化合物>
本発明に従って一般式(I)で表される化合物を含ませる画像記録層は、とりわけ、スルホンアミド基、マレイミド基及びウレア構造から選ばれる少なくとも一つの構造を含有する高分子化合物を用いるときに、特にUVインキを使用した場合の耐刷性と汚れ防止性を良好に両立させることができる。
すなわち、スルホンアミド基、マレイミド基及びウレア構造といった特定構造基は、一般に凝集性が高く皮膜性が高くなり、高耐刷性を示すと考えられる。一方で、凝集性が高いために、現像性が悪くなる。このようなバインダーに、上記一般式(I)の化合物を添加することで、高分子間に水素結合性の上記化合物が存在するようになり、現像性が向上し、汚れ防止性が高くなる。さらに、一般式(I)で表される化合物は、耐刷性の低下に関与することは殆どなく、特にUVインキにおける耐刷性低下を引き起こすことが極めて少ない。
本発明において画像記録層に用いることができる特定構造基を有する高分子化合物として、例えば下記(1)〜(3)に挙げる基を高分子の主鎖及び/又は側鎖中に有する樹脂が好適に挙げられる。
【0052】
(1)スルホンアミド基(−SO2NH−R)
(2)マレイミド基
(3)ウレア構造(−NR−C(=O)−NR−)
上記(1)〜(3)中、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
上記(1)〜(3)より選ばれるポリマーの中でも、(1)スルホンアミド基が、皮膜強度を十分に確保する点から最も好ましい。
【0053】
(1)スルホンアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、スルホンアミド基を有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分として構成される重合体を挙げることができる。
上記のような化合物としては、窒素原子に少なくとも一つの水素原子が結合したスルホンアミド基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物が挙げられる。中でも、アクリロイル基、アリル基、またはビニロキシ基と、置換あるいはモノ置換アミノスルホニル基または置換スルホニルイミノ基と、を分子内に有する低分子化合物が好ましく、例えば、下記一般式(i)〜一般式(v)で表される化合物が挙げられる。
【0054】
【化7】

【0055】
上記一般式(i)〜(v)中、X1、X2は、それぞれ独立に−O−または−NR7を表す。R1、R4は、それぞれ独立に水素原子又は−CH3を表す。R2、R5、R9、R12、及び、R16は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。R3、R7、及び、R13は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。また、R6、R17は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基を表す。R8 、R10、R14は、それぞれ独立に水素原子又は−CH3を表す。R11、R15は、それぞれ独立に単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。Y1、Y2は、それぞれ独立に単結合又はCOを表す。
【0056】
一般式(i)〜一般式(v)で表される化合物のうち、本発明に用いうるアルカリ可溶性樹脂としては、特に、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
【0057】
(2)マレイミド基を有するポリマーとしては、例えば、マレイミド基を有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分として構成される重合体を挙げることができる。上記のような化合物としては、下記構造式で表されるマレイミド基を分子内にそれぞれ1以上有する化合物を挙げることができる。
【0058】
【化8】

一般式(1)において、R1は任意の置換基を表す。R1は、好ましくは、水素;非置換若しくは任意に置換された(C6−C12)アリール;非置換若しくは任意に置換された(C1−C12)アルキル;非置換若しくは任意に置換された(C3−C10)シクロアルキル;非置換若しくは任意に置換されたアリールスルホンアミド基;または非置換若しくは任意に置換されたスルホンアミド基である。前記各基における任意の置換基としては、ハロゲン、アルキル、−NO2及び−OHから選択される一つ以上の置換基が好ましい。特に好ましくは、R1は、水素、フェニル、シクロヘキシル、またはヒドロキシフェニルである。
また、一般式(1)において、R2、R3も同様に、任意の置換基を表すが、好ましくは、R2及びR3は、独立に、水素、ハロゲン、(C1−C4)アルキル、及びフェニルからなる群より選択される。特に好ましくは、R2及びR3は、両者とも水素である。
【0059】
(3)ウレア構造を有するポリマーとしては、例えば、下記の構造を繰返し単位として有するポリマーをあげることができる。
【化9】


式中、R1及びR2はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はカルボキシル基、もしくはその塩を表し、R3は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基を表し、Xは2価の連結基を表し、Yは置換基を有してもよい2価の芳香族基を表す。
【0060】
具体例としては、以下のモノマーに由来する繰返し単位を有するものである。
1−(N'−(4−ヒドロキシフェニル)ウレイド)メチルアクリレート、1−(N'−(3−ヒドロキシフェニル)ウレイド)メチルアクリレート、1−(N'−(2−ヒドロキシフェニル)ウレイド)メチルアクリレート、2−(N'−(4−ヒドロキシフェニル)ウレイド)エチルアクリレート、4−(N'−(4−ヒドロキシフェニル)ウレイド)ブチルアクリレート、1−(N'−(4−ヒドロキシフェニル)ウレイド)メチルメタクリレート、1−(N'−(3−ヒドロキシフェニル)ウレイド)メチルメタクリレート、1−(N'−(2−ヒドロキシフェニル)ウレイド)メチルメタクリレート、2−(N'−(4−ヒドロキシフェニル)ウレイド)エチルメタクリレート、4−(N'−(4−ヒドロキシフェニル)ウレイド)ブチルメタクリレート、4−(N'−(3−ヒドロキシフェニル)ウレイド)ブチルメタクリレート、4−(N'−(2−ヒドロキシフェニル)ウレイド)ブチルメタクリレート、4−(N'−(3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ウレイド)ブチルメタクリレート、4−(N'−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ウレイド)ブチルメタクリレート、4−(N'−(5−ヒドロキシナフチル)ウレイド)ブチルメタクリレート、2−(N'−(4−スルファモイルフェニル)ウレイド)エチルアクリレート、2−(N'−(4−スルファモイルフェニル)ウレイド)エチルメタクリレート、2−(N'−(2−ヒドロキシ−5−スルファモイルフェニル)ウレイド)エチルメタクリレートの如きメタクリレート誘導体等が挙げられる。
【0061】
前記(1)〜(3)より選ばれる基を有する最小構成単位は、特に1種類のみである必要はなく、同一の基を有する最小構成単位を2種以上、または異なる基を有する最小構成単位を2種以上共重合させたものを用いることもできる。
上記高分子化合物において、上記のような特定構造基を有する繰り返し単位が10モル%以上含まれていることが好ましく、20モル%以上含まれていることがより好ましい。10モル%未満であると、UVインキにおける耐刷性を十分に向上させることができない傾向がある。
【0062】
上記の特定構造基を有する繰り返し単位をもたらすモノマーは、例えば、下記(m1)〜(m12)に上げるモノマーと共重合させることができる。
(m1)2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、等のアルキルアクリレート。
(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、等のアルキルメタクリレート。
(m4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(m5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
【0063】
(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(m9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(m10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(m11)N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(m12)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
【0064】
印刷機上で湿し水及びインキにより現像する場合、すなわち機上現像する場合には、特定構造基を有するポリマーバインダーにおいて、親水性基として炭素数2又は3のアルキレンオキシド単位を1〜100個有するアルキレンオキシド構造を有するアクリレートまたはメタクリレートが共重合していることが好ましい。このようなアルキレンオキシド構造は、特に好ましくは、2〜12個有するアルキレンオキシド構造が好ましく、最も好ましくは、2〜8個有するアルキレンオキシド構造である。ポリマーバインダーに親水性基を付与するには親水性基を有するモノマーを共重合すればよい。
特定構造基を有するポリマーバインダーの具体例として以下の構造が挙げられる。
【0065】
【化10】

【0066】
【化11】

【0067】
【化12】

【0068】
上記ポリマーの繰返し単位としては、特にm−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等の、スルホンアミド基を有する重合性モノマーの単独重合体或いは共重合体のものが好ましい。
また、該ポリマーバインダーの重量平均分子量は2,000以上、数平均分子量が500以上のものが好ましい。更に好ましくは、重量平均分子量が5,000〜300,000で、数平均分子量が800〜250,000であり、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜10のものである。
【0069】
画像記録層中におけるバインダーポリマーの添加量は、画像記録層全固形分中、10〜80質量%が適当であり、好ましくは20〜70質量%、特に好ましくは25〜60質量%である。
【0070】
<画像記録層の形成>
本発明における画像記録層は、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0142]〜[0143]に記載のように、本発明の一般式(I)で表される化合物、ならびに、必要に応じて上記各成分を公知の溶剤に分散または溶解して塗布液を調製し、中間層を塗設してもよい支持体上にバーコーター塗布など公知の方法で塗布し、乾燥することで形成される。
本発明における画像記録層塗布液は、取扱い性、塗布適性、乾燥性の観点から、1気圧における沸点が50℃〜130℃の有機溶剤を、含有することが好ましい。好ましい例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパン−2−イル・アセテート、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノールなどを挙げることができる。これらの中で、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノールが好ましい。これらの溶媒は、単独で用いても、複数の混合物として用いても良い。
塗布、乾燥後に得られる支持体上の画像記録層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.3〜3.0g/m2が好ましい。この範囲で、良好な感度と画像記録層の良好な皮膜特性が得られる。
【0071】
<中間層>
本発明の平版印刷版原版は、支持体と画像記録層との間に中間層を有していても良い。中間層は、高分子化合物を含有することが好ましく、該高分子化合物はアルミニウム支持体吸着性の官能基を少なくとも1種有する繰返し単位を含むことが更に好ましい。
中間層用高分子化合物としては、アルミニウム支持体吸着性の官能基の他に、親水性基、架橋性基、疎水性基の少なくとも一つを有する化合物が好ましい。中間層用高分子化合物としては、アルミニウム支持体吸着性基を有するモノマー及び親水性基を有するモノマーを共重合してなる高分子化合物であることが更に好ましく、ラジカル重合ネガ型の場合は、アルミニウム支持体吸着性基を有するモノマー、親水性基を有するモノマー、及び架橋性基を有するモノマーを共重合してなる高分子化合物であることが特に好ましい。
中間層用化合物としては、また、特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物なども好適に用いられる。
【0072】
化合物におけるアルミニウム支持体表面への吸着性に関しては、例えば、以下の方法で判断できる。
試験化合物を易溶性の溶媒に溶解させた塗布液を作製し、その塗布夜を乾燥後の塗布量が30mg/m2となるように支持体上に塗布・乾燥させる。次に、試験化合物を塗布した支持体を、易溶性溶媒を用いて十分に洗浄した後、洗浄除去されなかった試験化合物の残存量を測定して支持体吸着量を算出する。ここで残存量の測定は、残存化合物量を直接定量してもよいし、洗浄液中に溶解した試験化合物量を定量して算出してもよい。化合物の定量は、例えば、蛍光X線測定、反射分光吸光度測定、液体クロマトグラフィー測定などで実施できる。本発明においてアルミニウム支持体吸着性がある化合物とは、上記のような洗浄処理を行っても1mg/m2以上残存する化合物である。
【0073】
アルミニウム支持体の表面への吸着性基は、アルミニウム支持体表面に存在する物質(例えば、アルミニウム、アルミニウム酸化物、シリケートなど)と、相互作用(例えば、イオン結合、水素結合、配位結合、分子間力による結合)を引き起こすことができる官能基である。吸着性基としては、酸基又はカチオン性基が好ましい。
酸基の例としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基(−CO2H)、スルホン酸基(−SO3H)、硫酸エステル基(−OSO3H)、ホスホン酸基(−PO32)、リン酸エステル基(−OPO32)、−CONHSO2−、−SO2NHSO2−、−C=O-CH2-C=O−などが挙げられる。酸基は、酸解離定数(pKa)が10以下であることが好ましく、8以下であることが更に好ましく、6以下であることが特に好ましい。
酸基として、更に好ましくは、カルボキシル基、ホスホン酸基、リン酸エステル基、または、−C=O-CH2-C=O−であり、特に好ましくは、ホスホン酸基、またはリン酸エステル基である。これらの基は、単独でも2種類以上が組み合わされていてもよく、対イオンを有していてもよい。
【0074】
カチオン性基は、オニウム基、あるいはN−オキシド基であることが好ましい。オニウム基の例としては、アンモニウム基、ホスホニウム基、アルソニウム基、スチボニウム基、オキソニウム基、スルホニウム基、セレノニウム基、スタンノニウム基、ヨードニウム基が挙げられる。中でも、アンモニウム基、ホスホニウム基、及びスルホニウム基が好ましく、アンモニウム基、及びホスホニウム基が更に好ましく、アンモニウム基が最も好ましい。カチオン性基として特に好ましくは、アンモニウム基、あるいはN−オキシド基である。これらの基は、単独でも2種類以上が組み合わされていてもよく、対イオンを有していてもよい。
【0075】
中間層用高分子化合物としては、更に、親水性基を有することが好ましい。好ましい親水性基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基など)、ポリオキシアルキレン基(ポリオキシエチル基、ポリオキシプロピル基、アルキルポリオキシエチル基、アルキルポリオキシプロピル基)、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、スルホンアミド基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、およびその塩などが挙げられる。
更に好ましくは、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基など)、ポリオキシアルキレン基(ポリオキシエチル基、ポリオキシプロピル基、アルキルポリオキシエチル基、アルキルポリオキシプロピル基)、アミド基、スルホンアミド基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、およびその塩などが挙げられる。
特に好ましくは、ポリオキシアルキレン基(ポリオキシエチル基、ポリオキシプロピル基、アルキルポリオキシエチル基、アルキルポリオキシプロピル基)、スルホン酸基、およびその塩などが挙げられる。
【0076】
ポリオキシアルキレン基を有するモノマーの好ましい例としては、メタクリル酸(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル)、アクリル酸(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル)、メタクリル酸(2−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチル)、アクリル酸(2−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチル)、メタクリル酸(2−(2−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)、アクリル酸(2−(2−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)、メタクリル酸(2−(2−メトキシエトキシ)エチル)、アクリル酸(2−(2−メトキシエトキシ)エチル)、メタクリル酸(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル)、アクリル酸(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル)、メタクリル酸(2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)、アクリル酸(2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)、メタクリル酸(2−(2−メトキシエトキシ)エチル)、メタクリル酸(2−(2−ヒドロキシプロポキシ)プロピル)、アクリル酸(2−(2−ヒドロキシプロポキシ)プロピル)、メタクリル酸(2−(2−(2−ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ)プロピル)、アクリル酸(2−(2−(2−ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ)プロピル)、メタクリル酸(2−(2−(2−(2−ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ)プロポキシ)プロピル)、アクリル酸(2−(2−(2−(2−ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ)プロポキシ)プロピル)、メタクリル酸(2−(2−メトキシプロポキシ)プロピル)、アクリル酸(2−(2−メトキシプロポキシ)プロピル)、メタクリル酸(2−(2−(2−メトキシプロポキシ)プロポキシ)プロピル)、アクリル酸(2−(2−(2−メトキシプロポキシ)プロポキシ)プロピル)、メタクリル酸(2−(2−(2−(2−メトキシプロポキシ)プロポキシ)プロポキシ)プロピル)、アクリル酸(2−(2−(2−(2−メトキシプロポキシ)プロポキシ)プロポキシ)プロピル)、メタクリル酸(2−(2−メトキシプロポキシ)プロピル)などを挙げることができる。
【0077】
スルホン酸基を有するモノマーの好ましい例としては、メタリロイルオキシベンゼンスルホン酸,アクリロイルオキシベンゼンスルホン酸,アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、4−ビニルベンゼンスルホン酸、メタリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(3−アクリロイルオキシプロピル)ブチルスルホン酸、およびその塩が挙げられる。更に好ましくは、ビニルスルホン酸、4−ビニルベンゼンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、およびその塩が挙げられる。
【0078】
親水性基を有するモノマーとして特に好ましくは、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩である。
【0079】
本発明におけるラジカル重合性のネガ型平版印刷版原版に用いられる中間層用高分子化合物は、更に架橋性基を有することが好ましい。架橋性基によって画像部との密着の向上が得られる。中間層用高分子化合物に架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子の側鎖中に導入したり、高分子樹脂の極性置換基と対荷電を有する置換基とエチレン性不飽和結合を有する化合物で塩構造を形成させたりして導入することができる。
【0080】
分子の側鎖中にエチレン性不飽和結合を有する高分子化合物の例としては、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル又はアミドのポリマーであって、エステル又はアミドの残基(−COOR又は−CONHRのR)がエチレン性不飽和結合を有する高分子化合物を挙げることができる。
エチレン性不飽和結合を有する残基(上記R)の例としては、−(CH2nCR1=CR23、−(CH2O)nCH2CR1=CR23、−(CH2CH2O)nCH2CR1=CR23、−(CH2nNH−CO−O−CH2CR1=CR23、−(CH2n−O−CO−CR1=CR23、及び−(CH2CH2O)2−X(式中、R1〜R3はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基若しくはアリールオキシ基を表し、R1とR2又はR3とは互いに結合して環を形成してもよい。nは、1〜10の整数を表す。Xは、ジシクロペンタジエニル残基を表す。)を挙げることができる。
エステル残基の具体例としては、−CH2CH=CH2(特公平7−21633号公報に記載されている。)、−CH2CH2O−CH2CH=CH2、−CH2C(CH3)=CH2、−CH2CH=CH−C65、−CH2CH2OCOCH=CH−C65、−CH2CH2NHCOO−CH2CH=CH2、及び−CH2CH2O−X(式中、Xはジシクロペンタジエニル残基を表す。)が挙げられる。
アミド残基の具体例としては、−CH2CH=CH2、−CH2CH2O−Y(式中、Yはシクロヘキセン残基を表す。)、−CH2CH2OCO−CH=CH2が挙げられる。
中間層用の高分子樹脂の架橋性基を有するモノマーとしては、上記架橋性基を有するアクリル酸又はメタクリル酸のエステル又はアミドが好適である。
【0081】
中間層用高分子化合物の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、高分子樹脂1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。この範囲で、良好な感度と汚れ性の両立、及び良好な保存安定性が得られる。
【0082】
中間層用高分子化合物は、重量平均分子量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましく、また、数平均分子量が1000以上であるのが好ましく、2000〜25万であるのがより好ましい。分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10であるのが好ましい。
中間層用高分子化合物は、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよいが、ランダムポリマーであるのが好ましい。
中間層用化合物は単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
中間層用塗布液中の中間層用化合物の含有量は、好ましく0.01〜50質量%であり、更に好ましくは0.1〜40質量%であり、特に好ましくは0.5〜30質量%である。
【0083】
以下に、中間層用高分子化合物の例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化13】

【化14】

【化15】

【0084】
中間層用塗布液を支持体に塗布する方法としては、公知の種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
中間層の塗布量(固形分)は、0.1〜100mg/m2であるのが好ましく、1〜30mg/m2であるのがより好ましい。
【0085】
<支持体>
本発明の平版印刷版原版に用いられる支持体としては、公知の支持体が用いられる。なかでも、公知の方法で粗面化処理され、陽極酸化処理されたアルミニウム板が好ましい。
また、上記アルミニウム板は必要に応じて、特開2001−253181号公報や特開2001−322365号公報に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理や封孔処理、及び米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号及び同第3,902,734号の各明細書に記載されているようなアルカリ金属シリケートあるいは米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号及び同第4,689,272号の各明細書に記載されているようなポリビニルホスホン酸などによる表面親水化処理を適宜選択して行うことができる。
支持体は、中心線平均粗さが0.10〜1.2μmであるのが好ましい。
【0086】
本発明で用いる支持体には必要に応じて、裏面に、特開平5−45885号公報に記載されている有機高分子化合物、特開平5−45885号公報に記載されているケイ素のアルコキシ化合物を含むバックコート層を設けることができる。
【0087】
<保護層>
本発明の平版印刷版原版は、画像記録層の上に保護層(オーバーコート層)を設けることが好ましい。保護層は酸素遮断によって画像形成阻害反応を抑制する機能の他、画像記録層における傷の発生防止、および高照度レーザー露光時のアブレーション防止の機能を有する。
このような特性の保護層については、例えば、米国特許第3,458,311号明細書及び特公昭55−49729号公報に記載されている。保護層に用いられる酸素低透過性のポリマーとしては、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマーのいずれをも適宜選択して使用することができる。具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース誘導体、ポリ(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
【0088】
また、保護層には酸素遮断性を高めるため、特開2005−119273号公報に記載のように天然雲母、合成雲母等の無機質の層状化合物を含有することが好ましい。
また、保護層には、可撓性付与のための可塑剤、塗布性を向上させための界面活性剤、表面の滑り性を制御する無機微粒子など公知の添加物を含むことができる。また、画像記録層の説明に記載した感脂化剤を保護層に含有させることもできる。特に無機質の層状化合物を含有させる場合には、変性ポリビニルアルコール、特にスルホン酸変性のポリビニルアルコールを用いることが、無機質の層状化合物を分散させる上で、好ましい。
【0089】
保護層は、公知の方法で塗布される。保護層の塗布量としては、乾燥後の塗布量で、0.01〜10g/m2の範囲であることが好ましく、0.02〜3g/m2の範囲がより好ましく、最も好ましくは0.02〜1g/m2の範囲である。
【0090】
<製版−画像形成>
平版印刷版原版に対する画像様の露光に用いられる光源としては、レーザーが好ましい。本発明に用いられるレーザーは、特に限定されないが、波長760〜1200nmの赤外線を照射する固体レーザー及び半導体レーザー、250〜420nmの光を照射する高圧水銀灯などの紫外線、アルゴンレーザー、紫外線レーザー、半導体レーザーなどが好適に挙げられる。
赤外線レーザーに関しては、出力は100mW以上であることが好ましく、1画素当たりの露光時間は20マイクロ秒以内であるのが好ましく、また照射エネルギー量は10〜300mJ/cm2であるのが好ましい。250〜420nmの光を照射する半導体レーザーにおいては、出力は0.1mW以上であることが好ましい。いずれのレーザーにおいても、露光時間を短縮するためマルチビームレーザーデバイスを用いるのが好ましい。
これらは、画像様露光された後、現像液で現像される。好ましい現像液としては、必要に応じアルカリ剤、有機溶剤、界面活性剤、硬水軟化剤、還元剤、有機カルボン酸、無機塩、消泡剤や更に必要に応じて当業界で知られた種々の添加剤を含有した水溶液が用いられる。特に好ましい例としては、特公昭58−54341号公報、特開平8−248643号公報、特開2002−91015号公報、および特開平8−171214号公報記載の現像液などが挙げられる。
【0091】
機上現像を行う場合、露光された平版印刷版原版は、印刷機の版胴に装着される。レーザー露光装置付きの印刷機の場合には、平版印刷版原版を印刷機の版胴に装着したのち画像様に露光してもよい。
平版印刷版原版を赤外線レーザー等で画像様に露光した後、湿式現像処理工程等の現像処理工程を経ることなく印刷インキと湿し水とを供給して印刷すると、画像記録層の露光部においては、露光により硬化した画像記録層が、親油性表面を有する印刷インキ受容部を形成する。一方、未露光部においては、供給された湿し水及び/又は印刷インキによって、未硬化の画像記録層が溶解又は分散して除去され、その部分に親水性の表面が露出する。その結果、湿し水は露出した親水性の表面に付着し、印刷インキは露光領域の画像記録層に着肉して印刷が開始される。
【0092】
ここで、最初に版面に供給されるのは、湿し水でもよく、印刷インキでもよいが、湿し水が除去された画像記録層の構成成分によって汚染されることを防止する点で、最初に印刷インキを供給するのが好ましい。湿し水及び印刷インキとしては、通常の平版印刷用の湿し水と印刷インキが用いられる。
このようにして、平版印刷版原版はオフセット印刷機上で機上現像され、そのまま多数枚の印刷に用いられる。
【0093】
なお、本発明の平版印刷版原版は、湿式現像処理工程等の現像処理工程を経る態様で製版されてもよく、その場合には、前述の露光工程と、印刷工程との間に、現像処理を行う。適用する現像処理の方式は特に限定されるものではなく、画像形成層の種類によって適宜決定することができる。
【実施例】
【0094】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1〜16、及び比較例1〜4]
1.平版印刷版原版の作製
(1)支持体(1)の作製
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質JIS A 1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm3)を用いアルミニウム表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに60℃で20質量%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。
【0095】
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm2 、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0096】
次に、塩酸0.5質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃の電解液にて、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dm2の条件で、硝酸電解と同様の方法で、電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
次に、この板に15質量%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dm2で2.5g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥した。
その後、非画像部の親水性を確保するため、2.5質量%3号ケイ酸ソーダ水溶液を用いて70℃で12秒間、シリケート処理を施した。Siの付着量は10mg/m2であった。その後、水洗して、支持体(1)を得た。この基板の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
【0097】
(2)中間層の形成
次に、上記支持体上に、下記中間層用塗布液を乾燥塗布量が28mg/m2になるよう塗布して、中間層を設けた。
<中間層用塗布液>
・下記の中間層(下塗り層)用化合物(1) 0.18g
・ヒドロキシエチルイミノ二酢酸 0.10g
・メタノール 55.24g
・水 6.15g
【化16】

【0098】
(3)画像記録層の形成
上記のようにして形成された中間層上に、下記組成の画像記録層塗布液をバー塗布した後、100℃でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/m2の画像記録層を形成した。なお、下記組成中、表1に示される一般式(I)の量(含有率)は、完成された平版印刷版原版の画像記録層の質量に基づく。
上記の乾燥時間を調整することにより、一般式(I)の化合物または比較化合物の画像記録層における量(含有率)の調整を行った。
画像記録層塗布液は下記感光液(1)およびミクロゲル液(1)を塗布直前に混合し攪拌することにより得た。
<感光液(1)>
・一般式(I)の化合物又は比較化合物 (下記表1に記載の種類と量)
・高分子化合物(1)〔下記構造〕 0.108g
・特定構造基を有する高分子化合物(表1参照) 0.054g
(上述の特定構造基を有する高分子化合物の具体例(1)〜(20)より選択したもの)
・赤外線吸収剤(1)〔下記構造〕 0.030g
・ラジカル重合開始剤(1)〔下記構造〕 0.162g
・重合性化合物
トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート
(NKエステルA−9300、新中村化学(株)製) 0.192g
・低分子親水性化合物
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート 0.062g
・低分子親水性化合物(1)〔下記構造〕 0.050g
・感脂化剤 ホスホニウム化合物(1)〔下記構造〕 0.055g
・感脂化剤
ベンジル−ジメチル−オクチルアンモニウム・PF6塩 0.018g
・トリメチルグリシン 0.01g
・フッ素系界面活性剤(1)〔下記構造〕 0.008g
・メチルエチルケトン 1.091g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.609g
【0099】
<ミクロゲル液(1)>
・ミクロゲル(1) 2.640g
・蒸留水 2.425g
【0100】
上記の、高分子化合物(1)、赤外線吸収剤(1)、ラジカル重合開始剤(1)、ホスホニウム化合物(1)、低分子親水性化合物(1)、及びおよびフッ素系界面活性剤(1)、および比較用化合物C-1、C-2の構造は、以下に示す通りである。
高分子化合物(1)
【化17】

【0101】
【化18】

【化19】

【0102】
上記に記載のミクロゲル(1)は、以下のようにして合成されたものである。
<ミクロゲル(1)の合成>
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N)10g、ペンタエリスリトールトリアクリレート〔(C)成分〕(日本化薬(株)製、SR444)3.15g、およびパイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.1gを酢酸エチル17gに溶解した。水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液40gを調製した。油相成分および水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、50℃で3時間攪拌した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度を、15質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、これを前記ミクロゲル(1)とした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
【0103】
(一般式(I)の化合物又は比較用化合物の定量)
作成された平版印刷版原版100cm2をメタノールで抽出し、ガスクロマトグラフィー法により、画像記録層中の該化合物を定量し、画像記録層中のその含有量を質量%で表した。
(ガスクロマトグラフィー測定条件)
平版印刷版材料10cm*10cmを特級メタノールに浸漬し、室温で3時間攪拌して、感光層成分を抽出する。得られた試料溶液1μLをGCに注入し、絶対検量線法により定量する。
GC条件 装置 Agilent 6890 (Agilent Technologies 社製)
カラム DB-17MS 30m*0.25mmID 膜厚0.25μm(J&W Scientific社製)
オーブン温度 50℃(5分保持)→10℃/分で昇温→280℃(2分保持)
注入口温度 280℃
スプリット 10
キャリアガス He=1mL/min
検出器 FID
検出器温度 300℃
【0104】
(4)保護層(1)の形成
上記のようにして形成された画像記録層上に、さらに下記組成の保護層塗布液(1)をバー塗布した後、120℃60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.15g/m2の保護層(1)を形成した。
<保護層用塗布液(1)>
・無機質層状化合物分散液(1) 1.5g
・ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製CKS50、スルホン酸変性、
けん化度99モル%以上、 重合度300)6質量%水溶液 0.55g
・ポリビニルアルコール((株)クラレ製PVA−405、
けん化度81.5モル%重合度500)6質量%水溶液 0.03g
・日本エマルジョン(株)製界面活性剤
(エマレックス710)1質量%水溶液 8.60g
・イオン交換水 6.0g
【0105】
(無機質層状化合物分散液(1)の調製)
イオン交換水193.6gに合成雲母ソマシフME−100(コープケミカル(株)製)6.4gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)が3μmになるまで分散した。得られた分散粒子のアスペクト比は100以上であった。
【0106】
2.平版印刷版原版の評価
得られた平版印刷版原版を赤外線半導体レーザー搭載の富士フイルム(株)製Luxel PLATESETTER T−6000IIIにて、外面ドラム回転数1000rpm、レーザー出力70%、解像度2400dpiの条件で露光した。露光画像にはベタ画像及び20μmドットFMスクリーンの50%網点チャートを含むようにした。
得られた露光済み原版を現像処理することなく、(株)小森コーポレーション製印刷機LITHRONE26の版胴に取り付けた。Ecolity−2(富士フイルム(株)製)/水道水=2/98(容量比)の湿し水とValues−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、LITHRONE26の標準自動印刷スタート方法で湿し水とインキとを供給して機上現像した後、毎時10000枚の印刷速度で、特菱アート(76.5kg)紙に印刷を100枚行った。
【0107】
(A)機上現像性
上記のように印刷を行い、画像記録層の未露光部の印刷機上での機上現像が完了し、非画像部にインキが転写しない状態になるまでに要した印刷用紙の枚数を機上現像性として計測した。この枚数が少ないほど機上現像性が良好であると判断する。
(B)経時後の機上現像性
得られた平版印刷版原版を、45℃相対湿度75%に設定した恒温恒湿槽中に3日間放置した後、上記と同様にして露光し、印刷して機上現像性を求めた。
上記(A)の強制経時しない場合の機上現像枚数に近い枚数であるほど経時安定性が良好であると判断できる。
【0108】
(C)通常耐刷性
上述した機上現像性の評価を行った後、更に印刷を続けた。印刷枚数を増やしていくと徐々に画像記録層が磨耗するため印刷物上のインキ濃度が低下した。印刷物におけるFMスクリーン50%網点の網点面積率をグレタグ濃度計で計測した値が印刷100枚目の計測値よりも5%低下したときの印刷部数を刷了枚数として耐刷性を評価した。
【0109】
(D)経時後の汚れ防止性
得られた平版印刷版原版を、45℃相対湿度75%に設定した恒温恒湿槽中に3日間放置した後、上記と同様にして露光し、(C)の条件で印刷して非画像部の汚れ防止性を3段階で評価した。
汚れ防止性が実用上問題がないものを○、汚れ防止性が条件によっては問題となるものを△、汚れ防止性が悪く、実用上問題となるものを×で示した。
(E)UVインキ耐刷性
得られた露光済み原版を現像処理することなく、三菱重工業社製ダイヤIF−2印刷機のシリンダーに取り付けた。IF102湿し水2容量%水溶液(富士フイルム製)と、ベストキュアーUV−BF−WRO標準墨インキ(T&K TOKA社製)とを用い、湿し水とインキを供給した後、毎時10000枚の印刷速度で印刷を行った。
耐刷性の評価は、得られた印刷物の画像濃度が刷り始めより5%低下した枚数を刷了と判断した。
(F)UVインキ経時後の汚れ防止性
得られた平版印刷版原版を、45℃相対湿度75%に設定した恒温恒湿槽中に3日間放置した後、上記と同様にして露光し、(E)の条件で印刷して非画像部の汚れ防止性を3段階で評価した。
汚れ防止性について、実用上問題がないものを○、汚れ防止性が条件によっては問題となるものを△、汚れ防止性が悪く、実用上問題となるものを×で示した。
【0110】
【表1】

上記の結果より、本発明の平版印刷版原版が、経時後の機上現像性、耐刷性、及び汚れ防止性の点で優れたものであることが判る。
なお、実施例14においては、特定構造基を有する高分子化合物を含有しないため、高分子化合物(1)の添加量を0.162gとした。
使用した特定構造基を有する高分子化合物の分子量は、(1):Mw=55000、(7):Mw=53000、及び(20):Mw=55000である。
【0111】
[実施例17〜23及び比較例5〜8]
<サーマルネガ型平版印刷版原版>
特開2001−264991号公報の実施例1の画像形成層に、一般式(I)の化合物又は比較用化合物(表2に記載の種類と量)を追加した以外は、特開2001−264991号公報の実施例1と全く同様にして、平版印刷版原版(実施例17〜23、比較例5〜8)を作成し、非画像部の残色、密着性及び耐刷性の評価を行った。なお、表中に示される一般式(I)の量(含有率)は、完成された平版印刷版原版の画像記録層の質量に基づく。
また、経時後の汚れ防止性について以下のように評価した。
<経時後の汚れ防止性>
平版印刷版原版を、45℃相対湿度75%に設定した恒温恒湿槽中に4日間放置した後、上記と同様にして露光し、印刷して非画像部の汚れ防止性を3段階で評価した。未露光部に残色があるか現像後、平版印刷版用原版をハイデル製印刷機SOR−Mに装着し、50枚印刷した際、未露光部にインキの汚れがあるか目視で確認し、以下のように評価した。
経時後の汚れ防止性:○…実用上問題がないもの、×…実用上問題となるもの
結果を表2に示す。
本発明に従って一般式(I)の化合物を含有する画像記録層を有する平版印刷版原版は、特に耐刷性が高く、かつ、汚れ防止性とのバランスの点で優れていることがわかる。
【0112】
【表2】

非画像部の残色:○…実用上問題がないもの、△…条件によっては問題となるもの
密着性:○…実用上問題がないもの、△…条件によっては問題となるもの
【0113】
[実施例24〜30及び比較例9〜12]
<サーマルネガ型・簡易現像処理平版印刷版原版>
特開2007−316598号公報の実施例1の画像形成層に、一般式(I)の化合物又は比較用化合物(表3に記載の種類と量)を追加した以外は全く同様にして、平版印刷版原版(実施例24〜30及び比較例9〜12)を作成し、特開2007−316598号公報の実施例記載の方法により、現像性(非画像部の残膜の有無)及び耐刷性の評価を行った。なお、表中に示される一般式(I)の量(含有率)は、完成された平版印刷版原版の画像記録層の質量に基づく。
なお、経時後の汚れ防止性については、45℃相対湿度75%に設定した恒温恒湿槽中に4日間放置した後、特開2007−316598号公報[0338]記載の条件により印刷を行い、印刷物の非画像部へのインキの付着を評価し、以下のように判定した。
経時後の汚れ防止性:○…実用上問題がないもの、△…条件によっては問題となるもの
結果を表3に示す。本発明に従った画像記録層を有する平版印刷版原版は、耐刷性が高く、かつ、現像性とのバランスの点でも優れていて、また経時後の汚れ防止性にも優れていることが判る。
【0114】
【表3】

現像性 ○:残膜なし △:わずかに残膜
【0115】
[実施例31〜39及び比較例13〜15]
<サーマルポジ型平版印刷版原版>
Si:0. 06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0. 014質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理およびろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC鋳造法で作成した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ0.24mmのアルミニウム板に仕上げた。このアルミニウム板を幅1030mmにした後、以下に示す表面処理を連続的に行った。
【0116】
(a)機械的粗面化処理
比重1.12の研磨剤(ケイ砂)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。研磨剤の平均粒径は8μm、最大粒径は50μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長は50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
【0117】
(b)アルカリ剤によるエッチング処理
上記で得られた機械的粗面化処理後のアルミニウム板をカセイソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃でスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m2 溶解した。その後、スプレーによる水洗を行った。
(c)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
【0118】
(d)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10g/リットル水溶液(アルミニウムイオンを5g/リットル、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、温度80℃であった。電流密度は電流のピーク値で30A/dm2 、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で130C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0119】
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.20g/m2 溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
(f)デスマット処理
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
【0120】
(g)陽極酸化処理
二段給電電解処理法の陽極酸化装置(第一および第二電解部長各6m、第一および第二給電部長各3m、第一および第二給電電極長各2.4m)を用いて陽極酸化処理を行った。第一および第二電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも、硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度43℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
【0121】
(h)アルカリ金属ケイ酸塩処理
陽極酸化処理により得られたアルミニウム支持体を温度30℃の3号ケイ酸ソーダの1質量%水溶液の処理層中へ、10秒間、浸せきすることでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0122】
(i)下塗層の形成
上記のようにして得られたアルカリ金属ケイ酸塩処理後のアルミニウム支持体上に、下記組成の下塗液を塗布し、80℃で15秒間乾燥した。
<下塗液組成>
・下記の高分子化合物 0.3 g
・メタノール 100 g
・水 1 g
【化20】

【0123】
j)画像記録層(下層および上層)の形成
ついで、下塗層を設けた平版印刷版用支持体に、下記組成の下層用塗布液を乾燥後の塗布量が0.85g/m2となるように塗布した後、TABAI社製のPERFECT OVEN PH200をWind Controlを7に設定して用い、140℃で50秒間乾燥させた。その後、下記組成の上層用塗布液を塗布量が0.15g/m2となるように塗布した後、120℃で乾燥し、感熱性平版印刷版を得た。乾燥時間を調整することにより、一般式(I)の化合物又は比較化合物の量の調整を行った。
【0124】
<下層用塗布液>
・一般式(I)の化合物又は比較化合物 (表4に記載の種類と量)
・特定構造を有するポリマーバインダー
N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド /アクリロニトリル/メタクリル酸メチル共重合体(モノマー比=36/34/30、重量平均分子量50,000) 1.896g
・m,p−クレゾールノボラック
(m/p比=6/4、重量平均分子量4,500、
未反応クレゾール0.8質量%含有) 0.237g
・下記構造式で表されるシアニン染料A 0.109g
【化21】


・4,4'−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.063g
・テトラヒドロ無水フタル酸 0.190g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・2−メトキシ−4−(N−フェニルアミノ)
ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート 0.03g
・エチルバイオレットの対イオンを
6−ヒドロキシ−β−ナフタレンスルホンに変えたもの 0.05g
・フッ素系界面活性剤
(メガファックF−176、大日本インキ化学工業社製) 0.035g
・メチルエチルケトン 26.6g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.6g
・γ−ブチロラクトン 13.8g
【0125】
<上層用塗布液>
・m,p−クレゾールノボラック
(m/p比=6/4、重量平均分子量4,500、
未反応クレゾール0.8質量%含有) 0.237g
・上記構造式で表されるシアニン染料A 0.047g
・ステアリン酸ドデシル 0.060g
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミンヘキサフルオロホスフェート
0.030g
・フッ素系界面活性剤
(メガファックF−176、大日本インキ化学工業社製) 0.110g
・フッ素系界面活性剤
(ディフェンサMCF−312 (固形分30質量%)、大日本インキ化学工業社製)
0.120g
・メチルエチルケトン 15.1g
・1−メトキシ−2−プロパノール 7.7g
【0126】
通常インキとしてGEOS−G(N)(大日本インキ社製)を、UVインキとして、ベストキュアーUV−BF−WRO標準墨インキ(T&K TOKA社製)、を用い、汚れ性および耐刷性を以下のように評価した。
(汚れ性(非画像部の残色))
未露光部に残色があるか現像後、平版印刷版用原版をハイデル製印刷機SOR−Mに装着し、50枚印刷した際、未露光部にインキの汚れがあるか目視で確認し、以下のように評価した。
〇:インキの汚れなし。 △:条件によっては問題となるもの。
【0127】
(耐刷性評価)
印刷機として、ハイデル製印刷機SOR−Mを使用して、上質紙に印刷した。得られた印刷物のベタ画像部を観察し、本来インキが付着する画像部がかすれはじめた枚数をカウントした。枚数が多いほど耐刷性が良好であることを表わす。
【0128】
【表4】

*一般式(I)の化合物又は比較化合物の含有率は、画像記録層下層の質量に対する含有率である。
(A)** N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミドを2−(N'−(4−スルファモイルフェニル)ウレイド)エチルメタクリレートに置き換えたポリマーバインダー
(B)*** N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミドをN−(4−スルファモイルフェニル)マレイミドに置き換えたポリマーバインダー
【0129】
以上の結果からわかるように、本発明の平版印刷版原版によって、良好な耐刷性と汚れ防止性を両立できる平版印刷版を提供することができ、特に、耐刷性と汚れ防止性の両立が困難とされているUVインキによる印刷において、その両立が可能となる。本発明の平版印刷版原版はまた、過酷条件で長期保存を行った場合にも、製版後、良好な汚れ防止性を達成できる平版印刷版を提供できる。また、本発明の平版印刷版原版によれば、優れた機上現像性を発揮でき、経時保存後でも機上現像性が悪化しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム支持体上に、画像記録層を有する平版印刷版原版であって、該画像記録層が下記一般式(I)で表される化合物を0.01〜10質量%含有することを特徴とする、平版印刷版原版。
【化1】


(式中、R1は炭素数2〜10の有機置換基を表し、R2〜R7はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜10の有機置換基を表す。)
【請求項2】
該画像記録層が、さらに重合開始剤及び重合性化合物を含有する、請求項1記載のネガ型の平版印刷版原版。
【請求項3】
該画像記録層が、さらに光熱変換物質を含有する、請求項2に記載のネガ型の平版印刷版原版。
【請求項4】
該画像記録層が、水に不溶であり、かつアルカリ水溶液に可溶である高分子化合物を含有し、その画像露光部分が現像後に非画像部となる、請求項1記載のポジ型の平版印刷版原版。
【請求項5】
水に不溶であり、かつアルカリ水溶液に可溶である高分子化合物が、ノボラック樹脂であることを特徴とする請求項4に記載のポジ型の平版印刷版原版。
【請求項6】
該画像記録層が、さらに光熱変換物質を含有する請求項4又は5に記載のポジ型の平版印刷版原版。
【請求項7】
該画像記録層が、スルホンアミド基、マレイミド基、及びウレア構造から選ばれる少なくとも一つの構造を有する高分子化合物を含有する、請求項1〜6のいずれか1項記載のネガ型またはポジ型の平版印刷版原版。
【請求項8】
アルミニウム支持体上に、中間層及び画像記録層をこの順に有する、請求項1〜7のいずれか1項記載のネガ型またはポジ型の平版印刷版原版。

【公開番号】特開2010−264698(P2010−264698A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119098(P2009−119098)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】