説明

平面表示装置

【課題】 半透過型の平面表示装置において、フリッカが少ない良好な表示を得る。
【解決手段】 平面表示装置において、透過電極と走査線Gnとの間の寄生容量CgAと、透過電極に対する全寄生容量CloadAと、画素電極15b、17bと走査線Gnとの間の寄生容量CgBと、画素電極15b、17bに対する全寄生容量CloadBとを、CgA/CloadA=CgB/CloadBの関係式が成り立つように設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平面表示装置としては、液晶を用いる液晶表示装置が様々な分野で使用されている。液晶表示装置は、薄型で軽量及び低消費電力であるため、携帯情報端末、コンピュータ及びテレビ等に用いられている。
【0003】
この液晶表示装置は、複数の画素電極を有するアレイ基板、各画素電極に共通して対向する共通電極を有する対向基板、及びアレイ基板と対向基板との間に保持された液晶層等を備えている。なお、共通電極には、一定の共通電圧Vcomが印加される。
【0004】
このような液晶表示装置の中には、室内外での良好な表示を得るため、様々な半透過型の液晶表示装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。この半透過型の液晶表示装置の中には、複数の透過画素を有する透過領域と複数の反射画素を有する反射領域とを備える液晶表示装置や、複数の透過画素を有する透過領域と複数の半透過画素を有する半透過領域とを備える液晶表示装置等が開発されている。
【0005】
透過画素は、画素電極として光が透過する透過電極を有する透過部から構成されており、反射画素は、画素電極として光を反射する反射電極を有する反射部から構成されている。また、半透過画素は、画素電極の一部として透過電極を有する透過部及び画素電極の一部として反射電極を有する反射部から構成されている。
【0006】
このような半透過型の液晶表示装置は、室内等の暗い場所において、透過部によりバックライトからの光を表示に使用する透過型の液晶表示装置として機能し、室外等の明るい場所において、反射部により外光を反射させて表示に使用する反射型の液晶表示装置として機能する。これにより、明るい場所では、バックライトを用いずに画像を表示することが可能になるため、消費電力を大幅に削減することができる。
【0007】
一般的に、半透過型の液晶表示装置では、良好な表示特性を得るため、反射部の液晶層は透過部の液晶層より薄く形成されており、反射部の液晶容量は透過部の液晶容量より大きくなる。このため、反射部を有する反射画素や半透過画素の全寄生容量CloadBは、透過画素の全寄生容量CloadAに比べて大きくなる(CloadB>CloadA)。
【特許文献1】特開2002−303863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述したように透過画素の全寄生容量CloadAと、反射画素や半透過画素の全寄生容量CloadBとが異なるため、フリッカ(ちらつき)率が最小になる最適な共通電圧Vcomの電圧値は各部で異なってしまう。このため、透過画素の透過部、半透過画素の透過部又は反射部のどれか1つに対応する最適な電圧値に共通電圧Vcomを設定した場合には、他の部分のフリッカが悪化してしまう。
【0009】
通常、図9に示すように、共通電圧Vcomは、主表示領域を構成する透過画素の透過部(図9中の実線A1)のフリッカ率が最小になるように最適な電圧値V101に設定される。これにより、透過領域のフリッカは十分に抑えられる。このとき、半透過画素の透過部(図9中の点線B1)及び反射部(図9中の点線B2)のフリッカ率は大きく、特に反射部のフリッカ率は非常に大きくなる。このため、半透過領域のフリッカは悪化してしまう。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、半透過型の平面表示装置において、フリッカが少ない良好な表示を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、平面表示装置において、基板上の第1表示領域及び第2表示領域に互いに交差させて設けられた複数の走査線及び複数の信号線と、第1表示領域内の複数の走査線及び複数の信号線に交差点毎に複数のトランジスタを介してそれぞれ設けられ、光が透過する複数の透過電極と、第2表示領域内の複数の走査線及び複数の信号線に交差点毎に複数のトランジスタを介してそれぞれ設けられ、光を反射する反射電極を少なくとも一部に有する複数の画素電極と、複数の透過電極及び複数の画素電極に共通して対向する共通電極と、複数の透過電極及び複数の画素電極と共通電極との間に設けられた表示層と、を備え、透過電極と走査線との間の寄生容量CgAと、透過電極に対する全寄生容量CloadAと、画素電極と走査線との間の寄生容量CgBと、画素電極に対する全寄生容量CloadBとは、CgA/CloadA=CgB/CloadBの関係式が成り立つように設定されていることである。
【0012】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴では、寄生容量CgA、全寄生容量CloadA、寄生容量CgB及び全寄生容量CloadBを、CgA/CloadA=CgB/CloadBの関係式が成り立つように設定することによって、共通電極に印加する共通電圧を第1表示領域のフリッカが最小になる最適な電圧値に設定した場合でも、第2表示領域のフリッカが十分に抑えられる。
【0013】
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、平面表示装置において、基板上の第1表示領域及び第2表示領域に互いに交差させて設けられた複数の走査線及び複数の信号線と、第1表示領域内の複数の走査線及び複数の信号線に交差点毎に複数のトランジスタを介してそれぞれ設けられ、光が透過する複数の透過電極と、第2表示領域内の複数の走査線及び複数の信号線に交差点毎に複数のトランジスタを介してそれぞれ設けられ、光を反射する反射電極を少なくとも一部に有する複数の画素電極と、複数の透過電極及び複数の画素電極に共通して対向する共通電極と、複数の透過電極及び複数の画素電極と共通電極との間に設けられた表示層と、を備え、透過電極と走査線との間の寄生容量CgAと、透過電極に対する全寄生容量CloadAと、画素電極と走査線との間の寄生容量CgBと、画素電極に対する全寄生容量CloadBとは、CgA/CloadA<CgB/CloadBの関係式が成り立つように設定されており、走査線に印加する電圧の振幅をΔVとすると、((CgB/CloadB)−(CgA/CloadA))×ΔV≦200mVの関係式が成り立つように設定されていることである。
【0014】
本発明の実施の形態に係る第2の特徴では、寄生容量CgA、全寄生容量CloadA、寄生容量CgB及び全寄生容量CloadBを、CgA/CloadA<CgB/CloadBの関係式及び((CgB/CloadB)−(CgA/CloadA))×ΔV≦200mVの関係式が成り立つように設定することによって、共通電極に印加する共通電圧を第1表示領域のフリッカが最小になる最適な電圧値に設定した場合でも、第2表示領域のフリッカが十分に抑えられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、半透過型の平面表示装置において、フリッカが少ない良好な表示を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態について図1ないし図7を参照して説明する。
【0017】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る平面表示装置1は、複数の画素電極2を有するアレイ基板3、各画素電極2に共通して対向する共通電極4を有する対向基板5、及びアレイ基板3と対向基板5との間にシール材6により設けられた表示層7等を備えている。表示層7は、例えば液晶材料により液晶層として形成されている。また、各画素電極2上及び共通電極4上には、液晶分子の配向方向を規定する配向膜8a、8bが設けられている。アレイ基板3の下方には、光を照射するバックライト等の光源9が設けられている。なお、共通電極4には、一定の共通電圧Vcomが印加される。
【0018】
図2に示すように、この平面表示装置1は、第1表示領域である主表示領域として透過型の透過領域Raと、第2表示領域である副表示領域として半透過型の半透過領域Rbとを備えている。透過領域Raは、光源9からの光だけを表示に利用する領域である。一方、半透過領域Rbは、光源9からの光及び外光(例えば太陽光等)の両方を表示に利用する領域である。透過領域Ra及び半透過領域Rbの各表示領域は、液晶の配向状態の変化により画像を表示する領域である。
【0019】
図3ないし図6に示すように、透過領域Ra及び半透過領域Rbのアレイ基板3上には、複数の走査線Gn及び複数の信号線Smがマトリクス状に交差させて設けられており、さらに、複数の補助容量線Cnが各走査線Gnに対応させて同数だけ設けられている。なお、各走査線Gn及び各信号線Smは、それぞれ駆動回路(図示せず)に接続されている。
【0020】
図3及び図4に示すように、透過領域Raには、複数の透過画素11aが各走査線Gn及び各信号線Smの交差点毎にそれぞれ設けられている。
【0021】
透過画素11aは、走査線Gn及び信号線Smに接続されたトランジスタ12a、そのトランジスタ12aに接続された透過部13a及び補助容量14a等により構成されている。透過部13aは画素容量として機能する。なお、透過部13aは光源9からの光を透過させて表示に用いる部分である。
【0022】
トランジスタ12aは、例えば3端子を有する薄膜トランジスタである。このトランジスタ12aは、そのゲート電極を走査線Gnに接続し、そのソース電極を信号線Smに接続し、さらに、そのドレイン電極を透過部13a及び補助容量14aに接続することにより設けられている。
【0023】
透過部13aは、トランジスタ12aに接続された画素電極2であって光が透過する透過電極15a、その透過電極15aに対向する共通電極4、及び、透過電極15aと共通電極4との間に設けられた表示層7等から構成されている。透過電極15aは、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)等の透明導電性材料により形成されている。
【0024】
補助容量14aは、トランジスタ12aと補助容量線Cnとの間に接続されている。この補助容量14aは、透過電極15aに印加された電圧を保持するための容量である。なお、補助容量14aとしては、例えばコンデンサ(キャパシタ)を用いる。
【0025】
図5及び図6に示すように、半透過領域Rbには、複数の半透過画素11bが各走査線Gn及び各信号線Smの交差点毎にそれぞれ設けられている。
【0026】
半透過画素11bは、走査線Gn及び信号線Smに接続されたトランジスタ12b、そのトランジスタ12bに接続された透過部13b、反射部16b及び補助容量14b等により構成されている。透過部13b及び反射部16bは画素容量として機能する。なお、透過部13bは光源9からの光を透過させて表示に用いる部分である。また、反射部16bは外光を反射して表示に用いる部分である。
【0027】
トランジスタ12bは、例えば3端子を有する薄膜トランジスタである。このトランジスタ12bは、そのゲート電極を走査線Gnに接続し、そのソース電極を信号線Smに接続し、さらに、そのドレイン電極を透過部13b、反射部16b及び補助容量14bに接続することにより設けられている。
【0028】
透過部13bは、トランジスタ12bに接続された画素電極2の一部であって光が透過する透過電極15b、その透過電極15bに対向する共通電極4、及び、透過電極15bと共通電極4との間に設けられた表示層7等から構成されている。透過電極15bは、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)等の透明導電性材料により形成されている。
【0029】
反射部16bは、トランジスタ12bに接続された画素電極2の一部であって光を反射する反射電極17b、その反射電極17bに対向する共通電極4、及び、反射電極17bと共通電極4との間に設けられた表示層7等から構成されている。反射電極17bは、アルミニウム(Al)等の光反射可能な導電性材料により形成されている。なお、半透過領域Rbにおける1つの画素電極2は、透過電極15bと反射電極17bとにより構成されている。
【0030】
補助容量14bは、トランジスタ12bと補助容量線Cnとの間に接続されている。この補助容量14bは、透過電極15b及び反射電極17bに印加された電圧を保持するための容量である。なお、補助容量14bとしては、例えばコンデンサ(キャパシタ)を用いる。
【0031】
ここで、共通電極4と反射電極17bとの間の距離(セルギャップ)は、例えば反射電極17bに対向させて段差部等を設けることにより、共通電極4と透過電極15a、15bとの間の距離に比べ短く設定されている。これにより、反射部16bの表示層7の厚さは透過部13a、13bの表示層7の厚さより薄くなる。したがって、反射部16bの表示層7を往復して透過する外光の位相差(リタデーション)と、光源9から透過部13a、13bの表示層7を一方向に通過する光の位相差との差が小さくなるので、平面表示装置1の表示特性を向上させることができる。
【0032】
このような平面表示装置1は、室内等の暗い場所において、透過画素11a及び半透過画素11bの透過部13a、13bにより光源9からの光を表示に使用する透過型の液晶表示装置として機能し、室外等の明るい場所において、半透過画素11bの反射部16bにより外光を反射させて表示に使用する反射型の液晶表示装置として機能し、透過領域Ra及び半透過領域Rbに画像を表示する。このとき、平面表示装置1は、透過電極15a、15b及び反射電極17bと共通電極4との間への電圧印加により、透過部13a、13b及び反射部16bの表示層7の透過光量を変化させる。
【0033】
次に、共通電極4に印加する共通電圧Vcomの設定について説明する。なお、走査線Gnには、振幅がΔVであるゲート電圧が駆動回路により供給される。
【0034】
図4に示すように、透過画素11aの全寄生容量CloadAは、CloadA=ClcA+CsA+CgA+CdA(ClcA:透過部13aの容量、CsA:補助容量14a、CgA:透過電極15aと走査線Gnとの間の寄生容量、CdA:透過電極15aと信号線Smとの間の寄生容量)となる。
【0035】
図6に示すように、半透過画素11bの全寄生容量CloadBは、CloadB=ClcB+CsB+CgB+CdB(ClcB:透過部13bの容量+反射部16bの容量、CsB:補助容量14b、CgB:透過電極15b及び反射電極17bと走査線Gnとの間の寄生容量、CdB:透過電極15b及び反射電極17bと信号線Smとの間の寄生容量)となる。ここで、透過部13bの容量をClcB1とし、反射部16bの容量をClcB2とすると、ClcB=ClcB1+ClcB2となる。
【0036】
ここで、透過画素11aでのゲート突き抜け電圧ΔVgAは、ΔVgA=CgA/CloadA×ΔV(ΔV:ゲート電圧の振幅)となる。また、半透過画素11bでのゲート突き抜け電圧ΔVgBは、ΔVgB=CgB/CloadB×ΔV(ΔV:ゲート電圧の振幅)となる。このゲート突き抜け電圧ΔVgA、ΔVgBの分だけ共通電圧Vcomは変動する。
【0037】
そこで、透過画素11aの透過部13a及び半透過画素11bの透過部13bの両方に共通する最適な共通電圧Vcomの電圧値を設定するためには、ゲート突き抜け電圧ΔVgAとゲート突き抜け電圧ΔVgBとを同じにする必要がある(ΔVgA=ΔVgB)。
【0038】
このため、透過電極15aと走査線Gnとの間の寄生容量CgAと、透過画素2aの全寄生容量CloadAと、透過電極15b及び反射電極17bと走査線Gnとの間の寄生容量CgBと、半透過画素2bの全寄生容量CloadBとは、ΔVgA=ΔVgBの関係式が成り立つように、すなわちCgA/CloadA=CgB/CloadBの関係式が成り立つように設定されている。
【0039】
このとき、各部の様々な設計値等が変更される。例えば、寄生容量CgA及び寄生容量CgBは、ゲート電極及びソース電極の面積や配置、走査線Gnの線幅、使用する材料等を変更することにより設定される。なお、寄生容量CgA及び寄生容量CgBは、トランジスタ12a、12bのアレイ構造上、主にゲート電極とソース電極の重なり部分によって形成される。
【0040】
ここで、通常、主表示領域である透過領域Raは、副表示領域である半透過領域Rbより大きいので、透過領域Raのフリッカを主として抑える必要がある。このため、図7に示すように、共通電圧Vcomは、透過画素11aの透過部13a(図7中の実線A1)のフリッカ率が最小になる最適な電圧値V1に設定される。このように共通電圧Vcomが、透過画素11aに最適な電圧値V1に設定された場合でも、半透過領域Rbの透過部13b(図7中の点線B1)のフリッカ率及び反射部16b(図7中の点線B2)のフリッカ率は十分に小さくなる。これにより、透過領域Raのフリッカを十分に抑えるとともに、半透過領域Rbのフリッカを抑えることが可能になる。
【0041】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、透過電極15aと走査線Gnとの間の寄生容量CgAと、透過画素11aの全寄生容量CloadAと、透過電極15b及び反射電極17bと走査線Gnとの間の寄生容量CgBと、半透過画素11bの全寄生容量CloadBとを、CgA/CloadA=CgB/CloadBの関係式が成り立つように設定することによって、ゲート突き抜け電圧ΔVgAとゲート突き抜け電圧ΔVgBが同じになるので、透過画素11aの透過部13aのフリッカ率が最小になる最適な電圧値V1に設定した場合でも、半透過画素11bの透過部13bのフリッカ率及び反射部16bのフリッカ率は十分に小さくなる。これにより、透過領域Ra及び半透過領域Rbのどちらの領域でもフリッカを十分に抑えることが可能になるので、フリッカが少ない良好な表示を得ることができる。
【0042】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態について図8を参照して説明する。
【0043】
本発明の第2の実施の形態は、基本的に第1の実施の形態と同様である。第2の実施の形態では、第1の実施の形態との相違点について説明する。なお、第1の実施の形態で説明した部分と同一部分は同一符号で示し、その説明は省略する。
【0044】
半透過画素11bにおいては、透過部13bの最適な共通電圧Vcomの電圧値と反射部16bの最適な共通電圧Vcomの電圧値とが異なる。反射部16bの最適な共通電圧Vcomの電圧値は、一般的に透過部13bの最適な共通電圧Vcomの電圧値より200mV程度高くなる。
【0045】
第2の実施の形態では、透過電極15aと走査線Gnとの間の寄生容量CgAと、透過画素11aの全寄生容量CloadAと、透過電極15b及び反射電極17bと走査線Gnとの間の寄生容量CgBと、半透過画素11bの全寄生容量CloadBとは、CgA/CloadA<CgB/CloadBの関係式及び((CgB/CloadB)−(CgA/CloadA))×ΔV≦200mVの関係式が成り立つように設定されている。
【0046】
これにより、図8に示すように、透過画素11aの透過部13a(図8中の実線A1)のフリッカ率が最小になる最適な電圧値V2を、半透過画素11bの透過部13b(図8中の点線B1)のフリッカ率が最小になる最適な電圧値Vaと反射部16b(図8中の点線B2)のフリッカ率が最小になる最適な電圧値Vbとの間に設定することが可能になる。
【0047】
なお、ClcAはClcBより小さいので、CloadA<CloadBの関係式は成立している。このため、寄生容量CgAと寄生容量CgBとをCgA<CgBの関係式が成り立つように設定することにより、CgA/CloadA<CgB/CloadBの関係式が成立される。
【0048】
ここで、通常、主表示領域である透過領域Raは、副表示領域である半透過領域Rbより大きいので、透過領域Raのフリッカを主として抑える必要がある。このため、図8に示すように、共通電圧Vcomは、透過画素11aの透過部13a(図8中の実線A1)のフリッカ率が最小になる最適な電圧値V2に設定される。このように共通電圧Vcomが、透過画素11aに最適な電圧値V2に設定された場合でも、半透過領域Rbの透過部13b(図8中の点線B1)のフリッカ率及び反射部16b(図8中の点線B2)のフリッカ率は確実に小さくなる。これにより、透過領域Raのフリッカを十分に抑えるとともに、半透過領域Rbのフリッカを抑えることが可能になる。
【0049】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、透過電極15aと走査線Gnとの間の寄生容量CgAと、透過画素11aの全寄生容量CloadAと、透過電極15b及び反射電極17bと走査線Gnとの間の寄生容量CgBと、半透過画素11bの全寄生容量CloadBとを、CgA/CloadA<CgB/CloadBの関係式及び((CgB/CloadB)−(CgA/CloadA))×ΔV≦200mVの関係式が成り立つように設定することによって、透過画素11aの透過部13aのフリッカ率が最小になる最適な電圧値V1に設定した場合でも、半透過画素11bの透過部13bのフリッカ率及び反射部16bのフリッカ率は十分に小さくなる。これにより、透過領域Ra及び半透過領域Rbのどちらの領域でもフリッカを十分に抑えることが可能になるので、フリッカが少ない良好な表示を得ることができる。
【0050】
(他の実施の形態)
なお、本発明は、前述の実施の形態に限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【0051】
例えば、前述の実施の形態においては、表示層7として液晶材料により形成された液晶層を用いているが、これに限るものではなく、例えば発光体により形成された発光層を用いて、平面表示装置1を有機ELディスプレイとして形成するようにしてもよい。
【0052】
また、前述の実施の形態においては、第2表示領域として半透過領域Rbを設けているが、これに限るものではなく、例えば半透過領域Rbにかえて全反射領域を設けるようにしてもよい。すなわち、半透過領域Rbの画素電極2を透過電極15b及び反射電極17bにより構成しているが、これに限るものではなく、例えば、半透過領域Rbの画素電極2を反射電極17bだけで構成するようにしてもよい。この場合には、画素電極2が反射電極17bを全体に有していることから、第2表示領域は全反射領域となるので、半透過領域Rbを用いる場合に比べより消費電力を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る平面表示装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1に示す平面表示装置の概略構成を示す平面図である。
【図3】図1及び図2に示す平面表示装置の透過領域の概略構成を拡大して示す平面図である。
【図4】図3に示す透過領域の概略構成を示す回路図である。
【図5】図1及び図2に示す平面表示装置の半透過領域の概略構成を拡大して示す平面図である。
【図6】図5に示す半透過領域の概略構成を示す回路図である。
【図7】図1及び図2に示す平面表示装置における共通電圧Vcomとフリッカ率との関係を示す説明図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る平面表示装置における共通電圧Vcomとフリッカ率との関係を示す説明図である。
【図9】先行技術に係る平面表示装置における共通電圧Vcomとフリッカ率との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0054】
1 平面表示装置
2 画素電極
3 基板(アレイ基板)
4 共通電極
7 表示層
12a、12b トランジスタ
15a、15b 透過電極
17b 反射電極
Ra 第1表示領域(透過領域)
Rb 第2表示領域(半透過領域)
Gn 走査線
Sm 信号線



【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の第1表示領域及び第2表示領域に互いに交差させて設けられた複数の走査線及び複数の信号線と、
前記第1表示領域内の前記複数の走査線及び前記複数の信号線に交差点毎に複数のトランジスタを介してそれぞれ設けられ、光が透過する複数の透過電極と、
前記第2表示領域内の前記複数の走査線及び前記複数の信号線に交差点毎に複数のトランジスタを介してそれぞれ設けられ、光を反射する反射電極を少なくとも一部に有する複数の画素電極と、
前記複数の透過電極及び前記複数の画素電極に共通して対向する共通電極と、
前記複数の透過電極及び前記複数の画素電極と前記共通電極との間に設けられた表示層と、
を備え、
前記透過電極と前記走査線との間の寄生容量CgAと、前記透過電極に対する全寄生容量CloadAと、前記画素電極と前記走査線との間の寄生容量CgBと、前記画素電極に対する全寄生容量CloadBとは、CgA/CloadA=CgB/CloadBの関係式が成り立つように設定されていることを特徴とする平面表示装置。
【請求項2】
基板上の第1表示領域及び第2表示領域に互いに交差させて設けられた複数の走査線及び複数の信号線と、
前記第1表示領域内の前記複数の走査線及び前記複数の信号線に交差点毎に複数のトランジスタを介してそれぞれ設けられ、光が透過する複数の透過電極と、
前記第2表示領域内の前記複数の走査線及び前記複数の信号線に交差点毎に複数のトランジスタを介してそれぞれ設けられ、光を反射する反射電極を少なくとも一部に有する複数の画素電極と、
前記複数の透過電極及び前記複数の画素電極に共通して対向する共通電極と、
前記複数の透過電極及び前記複数の画素電極と前記共通電極との間に設けられた表示層と、
を備え、
前記透過電極と前記走査線との間の寄生容量CgAと、前記透過電極に対する全寄生容量CloadAと、前記画素電極と前記走査線との間の寄生容量CgBと、前記画素電極に対する全寄生容量CloadBとは、CgA/CloadA<CgB/CloadBの関係式が成り立つように設定されており、前記走査線に印加する電圧の振幅をΔVとすると、((CgB/CloadB)−(CgA/CloadA))×ΔV≦200mVの関係式が成り立つように設定されていることを特徴とする平面表示装置。
【請求項3】
前記画素電極は前記反射電極を全体に有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の平面表示装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−78813(P2007−78813A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−263708(P2005−263708)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】