説明

床下冷暖房装置

【課題】コストの安い夜間電力を活用し、ヒートポンプで生成の冷温風空気を、床下空間に供給し室内が温度ムラのない床板からのふく射熱による低コストの冷暖房を実現できる床下冷暖房装置を提供する。
【解決手段】
夜間電力を活用し、液体や冷媒を用いたヒートポンプから作られる、冷却または加熱された空気を強制循環器により、ダクトで床下空間へ供給すると共に、床板と床構造材で形成された閉鎖空間の床構造材に設けられた通気孔Aに、設置の攪拌型送風機による吸込み操作で、前記閉鎖空間を床下空間より気圧を低下させ、同時に床下空間の冷温風空気を通気孔Bから閉鎖空間に引き込み、閉鎖空間の床板や蓄熱材等を冷却または加熱し蓄熱すると共に、閉鎖空間の空気を前記攪拌型送風機で床下空間に供給し、対流、放熱させ強制循環器に戻る循環経路を形成し、閉鎖空間と床下空間に冷却または加熱された空気を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、居室に備えた冷暖房装置の昼間のエネルギー損失を低減する目的で、夜間の電力を活用し、ヒートポンプで生成した冷風や温風を床下に供給すると共に、床板と床構造材により閉鎖空間を作り、該閉鎖空間に蓄熱材を敷設し、攪拌型送風機により前記閉鎖空間に床下から冷温風を引き込み、前記床板からのふく射熱で冷暖房する閉構造建物の床下冷暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
閉構造建物の床下空間を暖房に利用する建物が普及しつつあり、例えば、コンクリートスラブに電気ヒーターを埋設し夜間電力でコンクリートに蓄熱、日中に放熱させるスラブ蓄熱暖房方式や、レンガ等を床下空間に設置し夜間電力でレンガに蓄熱、日中に放熱させるレンガ蓄熱暖房方式や、あるいは、ヒートポンプで生成した温風をダクトで床下空間内に吹き出し、床上の室内空間をふく射熱により暖房する温風方式等があるが、いずれも全面的に普及していないのが現状である。なお、本願発明に関する関連技術として下記物件がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−51859号公報
【特許文献2】特開2007−78324号公報
【特許文献3】特開2009−108654号公報
【特許文献4】実願平3−36017号公報
【0004】
上記特許文献1では、「床下を閉鎖空間とした基礎断熱住宅における床下暖房システムであって、床下空間内に温風の吹き出しダクトを備える暖房設備を設置し、前記ダクトから吹き出される温風を前記床下空間に対流させることで、床上の室内空間を暖房するよう構成された床下暖房システムにおいて、前記ダクトの温風吹き出し口の近傍に位置する土間表面に、吹き出された温風が保有する熱が地盤へ流出することを規制する断熱板を局所的に敷設したことを特徴とする床下暖房システム。」が記載されている。
【0005】
さらに特許文献2では、「冷媒を循環させる冷媒循環回路と、この冷媒循環回路の高温冷媒と水とを熱交換させて生成した温水を循環させる温水循環回路とを有するヒートポンプ装置を備え、前記ヒートポンプ装置の冷媒循環回路の高温や低温の冷媒と室内空気とを熱交換させて生成した温風や冷風を室内空間へ送り出す室内冷暖房用の室内側熱交換器と前記ヒートポンプ装置の温水循環回路の温水と床下空気とを熱交換させて生成した温風を床下空間へ送り出す床下暖房用の床下側熱交換器とを設けたことを特徴とする建物の空調システム。」が記載されている。
【0006】
さらに特許文献3では、「床下空間の上方に設置された床板と該床板の上部に敷設された床仕上板との間に略全面にわたって空気通路を形成し、前記床板には前記空気通路と前記床下空間とを連通し前記空気通路に対する空気の入口となる複数の孔が厚さ方向に貫通して形成され、且つ前記床仕上板の側面に前記空気通路と連通し該空気通路からの空気の出口となる出口通路が形成されていることを特徴とする床通気構造。」が記載されている。
【0007】
さらに特許文献4では、「電気式ヒーターを配した蓄熱体を床材の下方に設けてなる床暖房装置において、複数個の通気孔を有し少なくとも一つの通気孔にファンを取り付けてなる仕切り装置を蓄熱体と床材との間に設けてなる床暖房装置。」が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上に述べた従来の床下暖房において、
前述したコンクリートスラブ蓄熱暖房方式では、ほぼ床下全面に電気ヒータを敷設するのでコスト高になり、また自然放熱のため制御がし難く、夕方になると放熱量が不足しがちになる懸念がある。またレンガ蓄熱暖房方式では、レンガの温度が約700℃にもなり、木材の発火点(約470℃)より高温になるので、地震や強風時木材と近接すると火災の危険があり安全性に問題がある。さらに、温風方式では、ダクトから温風を吹き出しただけのため、温風は床下空間の隅々まで行き届き難いので、室内温度のバラツキが大きく、したがって温度ムラが大きくなる等の問題がある。さらに、電気式ヒーター蓄熱による床下全体の暖房方法では、多数のファンが必要で、ファンによる騒音が大きくなる問題がある。
【0009】
また、特許文献1では、床下空間全体について、暖房設備のダクトから吹き出された温風は床下空間を対流し、再び暖房設備に戻る循環経路が形成し難いと推測される。即ち床下空間は中基礎が複雑に配置されており、相当数の補助ファンを設置しないと、床下空間の広域を流通させるのは困難でありコスト高になる。またダクト吹き出し口近くの補助ファンは、最も抵抗が少なく、ショートサーキットにより温風吸込み量が多いが、一方、吹き出し口より遠い補助ファンは通風経路の抵抗が大きくなり、温風の吸込み量は少なくなると推測する。即ち床下の各区画の隅々まで温風が行き届き難く、温度のバラツキが大きくなり、そのため床上室内の温度ムラが大きくなる問題がある。
【0010】
さらに、特許文献2では、床下側の熱交換器(以下熱交換器と称す)から温風はダクトで床下空間に吹き出され、その温風は熱交換器へリターンする循環経路を形成しているが、温風はダクト吹き出し口と熱交換器を結ぶ最小抵抗の通風経路を流通する(ショートサーキット)ため、床下の隅々まで温風が行き届き難く、各区画の温度のバラツキが大きくなる。即ち、床下空間は中基礎が複雑に配置されており、温風は主に各区画の人通口を流通することになるが、人通口の数は限られており、さらに中基礎や人通口の配置により熱交換器の設置場所やダクト配管が制約を受け、さらに熱交換器の近傍が暖か過ぎになるので、床下中央部に機器を設置する等の制約があり、さらに床下暖房レベルをダクト長で変えることで各吹き出し風量を調整しているが、区画の狭いところはダクトを長くする等が必要でコストアップにつながる恐れがあり課題である。
【0011】
さらに、特許文献3では、外周基礎換気口から吸排気扇で外気を給気にすることで、床下空間2の気圧が上昇するので、この気圧の高低により床下空気が貫通孔5aから空気通路6を通じ、出口通路6aから第2の空気通路へ流入する通気構造を採用している。しかし、床下空間をプラス圧にすることが必要のために、外気の給気が多量になる恐れがあり、特に室内外温度差の大きい冬季では、この給気量の熱損失により暖房負荷が増大する。さらに24時間換気を含めた合計の給気量および排気量が増加するので、計画換気のバランスや換気経路の形成が崩れる恐れがあり、この点が課題である。
【0012】
さらに、特許文献4では、床板下に設置した部分的な床暖房で、床下空間全体の暖房はかなり多数のファンが必要で、室内はファンによる騒音が大きくなる。また蓄熱材が断熱材で囲われているので、ふく射熱が断熱材で遮断され、床板は直接ふく射熱を受けられない。さらに、ファン運転停止時は、温風による暖房ができず、さらに、ファンの上部付近は温風が集中し熱くなり、床板が乾燥して収縮し反ったりする恐れがあり課題である。
【0013】
そこで本発明は、上記の問題点を解消するため、
コストの安い夜間電力を活用し、ヒートポンプで生成の冷温風空気を、床下に供給し室内が温度ムラのない床板からのふく射熱による低コストの冷暖房を実現できる床下冷暖房装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記課題を解決するために、その発明(1)は、居室に備えた冷暖房装置の昼間のエネルギー損失を低減するための閉構造建物の床下冷暖房装置であって、夜間の電力を活用し、液体や冷媒を用いたヒートポンプから作られる、冷却または加熱された空気を強制循環器により、少なくとも一本のダクトを介して、閉鎖された床下空間に送ると共に、床板と床下に設けられた床構造材により閉鎖された閉鎖空間の前記床構造材に通気孔Aを設け、該通気孔Aに攪拌型送風機を接続し、又は通気孔Aに少なくとも1本のダクトを介し攪拌型送風機を接続し、前記攪拌型送風機の運転による吸込み操作で、前記閉鎖空間が床下より気圧が低下することで、前記床構造材に開けられた通気孔Bから床下の冷温風空気を前記閉鎖空間に引き込み、該閉鎖空間の床板及び床構造材を冷却または加熱し、前記閉鎖空間の床板及び床構造材に蓄熱すると共に、前記閉鎖空間の空気を前記通気孔Aに接続の攪拌型送風機を用いて引き出し、又は前記通気孔Aに接続の少なくとも一本のダクトを介し攪拌型送風機を用いて引き出し、前記閉鎖空間下部の床下空間に排気し、前記床下空間で対流、放熱させ、強制循環器に戻る循環経路を形成し、前記閉鎖空間と前記床下空間に冷却または加熱された空気を供給するようにしたことを特徴とする閉構造建物の床下冷暖房装置。
【0015】
その発明(2)は、前記閉鎖空間に、床下空間から引き込まれた冷温風空気による一層の冷暖房効果を計るため、前記閉鎖空間の少なくとも一区画に、蓄熱材が敷設されている上記(1)に記載の閉構造建物の床下冷暖房装置。
【0016】
その発明(3)は、前記強制循環器に接続された給気ダクトの排気風量の調整機構を給気ダクト又は、強制循環器に備えた請求項1又は2に記載の閉構造建物の床下冷暖房装置。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、上記構成から成るので以下に示す効果が期待できる。
(1)ヒートポンプを利用し、さらにコストの安い夜間電力を活用した床板、床構造材、蓄熱材、コンクリートスラブ等への蓄熱により、昼間の大幅なランニングコストが低減できる。
(2)強制循環器で生成の冷温風を床下空間へ供給すると共に、攪拌型送風機により床下から閉鎖空間内へ冷温風が引き込まれると同時に、前記攪拌型送風機で冷温風は床下空間へ供給され、対流、放熱させ強制循環器に戻る経路を循環し、閉鎖空間を含む床下空間の隅々まで行き届かせられるで、室内は、温度ムラのない床板からのふく射熱による快適な冷暖房が実現できる。
(3)日常、長時間在室するリビング等の下部閉鎖空間に蓄熱材を敷設、床下空間の冷温風を閉鎖空間に引き込み、蓄熱材を冷却又は加熱させ、床板のふく射熱により優先して冷暖房できる。さらに、冷暖房の立上りが短くでき、前記リビング等以外の床下空間も、一定の冷暖房レベルが保持できるので、例えばトイレ等もヒートショックの恐れが少なくなり、床下全体を均一に冷暖房した場合に比較し、リビング以外の床下空間の冷暖房レベルを少し下げることで、省エネルギーが計れる。
(4)従来の床構造に比べ、床板下に閉鎖空間を設け、通風を計ったので室内からの水蒸気が床下に滞留せず、床下の隅々まで温風が行き届き暖められるので、床下各部の露点が上がり結露し難くなる。
(5)冷暖房しない期間も攪拌型送風機及び強制循環器を稼動すれば、閉鎖空間や床下が通風され、高湿空気が滞留せず良好な温熱環境が形成できる。
(6)室外から床下空間に給気の必要がないので、給気による熱損失がなく省エネルギーにも優れ、また計画換気(24時間換気)の換気経路や室内気圧(負圧)等のバランスを乱すことがない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】は、本発明の実施形態を示す床下冷暖房装置を設置した住宅事例の床下縦断面図で、床構造材にALC版を使用した場合。
【図2】は、本発明の実施形態を示す床下冷暖房装置を設置した住宅事例の床下縦断面図で、床構造材に合板を使用した場合。
【図3】は、床下冷暖房装置を設置した住宅事例の模式平面図を示す。 図3(イ)は、図1及び図2のA―A平面断面図で床下基礎内部の機器及び給気ダクトの配置図を示す。 図3(ロ)は、図1及び図2のB―B平面断面図で閉鎖空間の空気流通及び床下空間に設置の機器配置関係を示す。
【図4】(イ)は、床下冷暖房装置を設置した住宅事例の模式平面図で、1階レイアウトと床下の機器配置関係及び閉鎖空間の区画を示す。図4(ロ)は、図4(イ)のP−P断面図で、区画の仕切り構造を示す。
【図5】は、攪拌型送風機の取付けおよび攪拌型送風機への閉鎖空間から空気の供給状態を示す。 図5(イ)は図1の攪拌型送風機のC詳細図で、攪拌型送風機の吸込み口をALC版の通気孔Aに取付けた断面図。 図5(ロ)は、コンクリートスラブに攪拌型送風機を設置し、該攪拌型送風機の吸込み口に排気ダクトを取付け、前記排気ダクトの他端をALC版の通気孔Aに取付けた断面図。 図5(ハ)は、図2の攪拌型送風機のD詳細図で、攪拌型送風機の吸込み口を合板の通気孔Aに取付けた断面図。 図5(ニ)は、図5(ハ)の攪拌型送風機の外観図。
【図6】は、攪拌型送風機に複数の排気ダクトを接続した場合を示す。 図6(イ)は、図6(ハ)の区画AのQ−Q断面図で、攪拌型送風機に4本の排気ダクトを接続し前記排気ダクトの他端は床構造材の4個の通気孔Aに接続、攪拌型送風機はコンクリートスラブに設置。 図6(ロ)は、図6(ハ)の区画BのR−R断面図で、攪拌型送風機に2本の排気ダクトを接続。図6(ハ)は、閉鎖空間の平面断面図でダクト、攪拌型送風機の配置と空気流通を示す。
【図7】の(イ)は、床構造材に合板を使用した閉鎖空間の図7(ロ)E−E平面図。 図7(ロ)は、図7(イ)のF−F断面図で閉鎖空間の蓄熱材Aや各部材配置及び空気の流通を示す。 図7(ハ)は、床構造材に合板を使用した閉鎖空間の図7(ニ)G−G平面図。 図7(ニ)は、図7(ハ)のH−H断面図で閉鎖空間の砂利等の各部材配置及び空気の流通を示す。 図7(ホ)は、床構造材に合板を使用し、前記合板上に砂利等の蓄熱材Bを敷設した場合の通気孔A部及び通気孔B部の構造を示す。 図7(ヘ)は、図7(ホ)のI―I平面図で、通気孔A部及び通気孔B部と砂利等の敷設状態を示す。なお、図7(ニ)及び図7(ホ)は、砂利等と蓄熱材等を併用した場合を示す。
【図8】の(イ)は、図5(ニ)のS−S断面図で攪拌型送風機から冷温風の排気及び送風の模式図。 図8(ロ)は、攪拌型送風機から床下空間への冷温風排気と対流、流通を示す模式図。
【図9】は、強制循環器の給気ダクト接続部示した図面。 図9(イ)は、図9(ロ)のM−M断面図。 図9(ロ)は、図9(イ)のJ−J視正面図。 図9(ハ)は、図9(ロ)のK−K断面図。 図9(ニ)は、給気ダクト接続部で図9(ハ)L詳細図。 図9(ホ)は、風量調整のオリフィスを設けた断面図。 図9(ヘ)は、風量調整のオリフィス部品図。
【図10】は、床構造材に合板を使用した場合で、土台と中基礎の隙間通気を示す。 図10(イ)は、土台と中基礎の隙間通気を示した平面図。 図10(ロ)は、図10(イ)のN−N縦断面図。 図10(ハ)は、図10(ロ)のO−O縦断面図で土台と中基礎の隙間通気を示す。 図10(ニ)は、床伏せ図で中基礎部の隙間通気を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0020】
本発明の床下冷暖房装置(以下「冷暖房装置」と称す)は、図1または図2に示すように、熱エネルギー効率の高い電力を利用したヒートポンプシステムで、夜間の電力を活用し、液体や気体あるいは冷媒を用いた室外設置のヒートポンプユニット20から作られる、冷却または加熱された空気を、床下に設置した熱交換器21に接続、少なくとも一本の給気ダクト40で床下空間に送ると共に、床板7と床構造材(ALC版9または合板7)8により閉鎖された閉鎖空間18の前記床構造材8に通気孔A11を設け、該通気孔Aの下部に攪拌型送風機31を接続、前記攪拌型送風機31の運転による吸込み操作で、前記閉鎖空間18が床下空間16より気圧が低下(負圧)することで、前記床構造材8に開けられた通気孔B12から床下の冷温風28空気を閉鎖空間18に引き込み、該閉鎖空間の床板7及び床構造材8及び蓄熱材24を冷却または加熱し、前記閉鎖空間18の床板7及び床構造材8及び蓄熱材24に蓄熱すると共に、前記閉鎖空間18の空気を通気孔A11に接続の攪拌型送風機31を用いて引き出し、前記閉鎖空間18下部の床下空間16に排気し、さらに前記攪拌型送風機31で前記床下空間16を対流、放熱させ、熱交換器21に戻る循環経路を形成し、前記閉鎖空間18と前記床下空間16に冷却または加熱された空気を供給するように構成されている。なお、前記熱交換器14については、事例として、(公序良俗違反につき、不掲載)に使用している室内ユニットと同様な機能のものを、床下暖房用の熱交換器21として使用が可能であり、この(公序良俗違反につき、不掲載)機器の温風温度は、約56℃と記載されており、前記閉鎖空間18内は、30℃程度に設定できれば良い。
【0021】
一方、冷暖房できるヒートポンプエアコンを使用の場合は、図1または図2に示すように、室外にエアコン室外機20、床下内にエアコン室内機21を設置して、該エアコン室外機とエアコン室内機の間に冷媒を循環させ、前段落「0020」と同様に、エアコン室外機20から作られる、冷却または加熱された空気を床下に設置したエアコン室内機21に接続、少なくとも一本の給気ダクト40で床下空間16に送ると共に、床板7と床構造材(ALC版9または合板10)8により閉鎖された閉鎖空間18の前記床構造材8に通気孔A11を設け、該通気孔Aの下部に攪拌型送風機31を接続し、前記攪拌型送風機31の運転による吸込み操作で、前記閉鎖空間18が床下空間16より気圧が低下(負圧)することで、前記床構造材8に開けられた通気孔B12から床下の冷温風28空気を閉鎖空間18に引き込み、該閉鎖空間の床板7及び床構造材8及び蓄熱材24を冷却または加熱し、前記閉鎖空間18の床板7及び床構造材8及び蓄熱材24に蓄熱すると共に、前記閉鎖空間18の空気を前記通気孔A11に接続の攪拌型送風機31を用いて引き出し、前記閉鎖空間18下部の床下空間16に排気し、さらに前記攪拌型送風機31で前記床下空間16を対流、放熱させ、エアコン室内機21に戻る循環経路を形成し、閉鎖空間18と床下空間16に冷却又は加熱された空気を供給するように構成されている。なお、前段落「0020」で述べた「熱交換器」と本段落「0021」で述べた「エアコン室内機」を総称して、以後「強制循環器21」と称する。また、前段落「0020」で述べた室外の「ヒートポンプユニット」と本段落「0021」で述べた「エアコン室外機」を総称して、以後「ヒートポンプユニット20」と称する。なお、前記エアコン室内機21については、床高が低いので、事例として、パナソニック電工の製品で、高さの低い「天袋や地袋用のエアコン室内機」の前面グリルをはずし、この箇所に図9に示したダクト接続部材43を装着すれば床下冷暖房用の強制循環器21として使用が可能である。
【0022】
次に図1または図2に示す床板下の閉鎖空間18は、浴室や玄関等を除き床下のほぼ全面に設置されており、トイレや廊下等も一定の冷暖房レベルが確保できる。なお、閉鎖空間18及び床下空間16は気圧差が必要のため、ある程度の気密性が必要で、床構造材8の継ぎ目のシール、床板7部は剛床構造、配管穴の隙間シール等の施工が必要である。さらに本冷暖房装置をより効果的にするためには、図1、図2に示すように基礎構造について、コンクリートスラブ3の下全面もしくは周囲、および布基礎1の外側または内側にプラスチック発泡系等の断熱材を設置し、熱損失を極力少なくするために一棟分全体を高気密、高断熱構造にすることが不可欠である。
【0023】
次に、図1または図2に示す閉鎖空間18のほぼ全面、または長時間在室する居間や台所キッチン等の床板下の閉鎖空間18に蓄熱材A24が敷設されている。蓄熱材A24の敷設面積については、イニシャルコスト、ランニングコスト、冷暖房効果等を考慮して決定するが、予算の少ない場合は。蓄熱材A24の敷設を取りやめて、床板7や床構造材8或いは、コンクリートスラブ3等への蓄熱のみとしても良い。さらに前記蓄熱材A24は、床構造材8に直接置くか、または蓄熱材A24が冷温風28と熱交換し易いように、床構造材8上面と20mm以上隙間をあけ設置し、前記隙間には、空気が流通し易い形状のプラスチック製等のライナー等の支持材を使用する。さらに、床下空間16から閉鎖空間18に引き込まれた冷温風28は、閉鎖空間18に敷設された蓄熱材A24の間を流通し、蓄熱材A24、床板7や床構造材8を冷却、または加熱し、蓄熱し、攪拌型送風機31により閉鎖空間の空気を床下空間16へ供給する。なお、冷暖房装置を運転停止しても蓄熱された閉鎖空間18の蓄熱材A24、床板7や床構造材8は、一定時間自然放熱され室内空間17は床板7のふく射熱により冷暖房できる。このようにコストの安価な夜間電力を活用し、昼間は自然放熱を活用した冷暖房装置は大幅なコストダウンが可能である。
【0024】
次に蓄熱材A24は、潜熱蓄熱材や水(蓄熱材)等を使用し、耐久性のある硬質プラスチック製のケース入りやプラスチック製のフイルムの袋入り等を使用する。なお、潜熱蓄熱材の材料は、硫酸ナトリウムや酢酸ナトリウム等で構成され、凝固点、融解点を適切な温度に設定する。さらに、潜熱蓄熱材は高価のため、安価な砂利、砕石、レンガ、軽量コンクリートブロック、乾燥砂等の蓄熱材B25を用いても良く、コストダウンのため、前記の蓄熱材Aと蓄熱材Bを併用しても良い。ちなみに、各蓄熱材の単位容積当たりの熱容量(蓄熱量)を比較すると、潜熱蓄熱材は水の約5倍、コンクリートの約10倍、ALC版は、約30倍で潜熱蓄熱材は、蓄熱材料としては高性能である。
【0025】
次に、図1は、床構造材8にALC版9(軽量気泡コンクリート)を使用した場合であるが、軽量コンクリートを使用しても良い。ALC版9は厚さ100mm程度で布基礎1、中基礎2、鉄鋼製の床フレーム15等で支えられている。床荷重は、床板7(表面の床仕上げ材を含む。)で受け、さらに床板7はALC版9の上面に設けられた床束A13で支える構造で、閉鎖空間18を形成する。なお、前記床束A13は、例えばフクビ化学工業製のフリーフロアーと同様な製品を採用すれば、高さ調整が容易で簡単に工事ができる。前記床束A13は、床板7の剛性にもよるが床構造材8の上に約400mm間隔に設置し、床板7を閉鎖空間高さ100mm程度にレベル調整後床仕上げ材を貼る。なお、床構造材8の通気孔B12は直径30〜50mm程度で、ALC版9の強度技術基準に従い施工する。
【0026】
次に図2は、床構造材8に合板10を使用した場合で、床下は従来構造と同様に、床構造材8は大引き5、布基礎1、中基礎2、床束B14で支えられ、さらに床板7はALC版9と同様に、合板10の上面に設けられた床束A13で支える構造で、閉鎖空間18を形成する。なお、前記床束A13は、前段落「0025」と同様の製品を使用すれば簡単に工事ができる。さらに前記床束A13は、床板7の剛性にもよるが床構造材8の上に約400mm間隔に設置し、床板7を閉鎖空間18高さ100mm程度にレベル調整後床仕上げ材を貼る。なお、床構造材8の通気孔B12は直径30〜50mm程度である。さらに、床構造材8が合板10の場合は、下面は断熱材(遮熱シートでも良い)6が貼り付けられており、閉鎖空間18の蓄熱効率を向上させている。なお、床構造材8がALC版(厚さ100mm)9の場合は、断熱性能がスチレンホームの厚さ約15mm程度に相当するので、断熱材6の設置は不要である。
【0027】
次に、強制循環器21に接続の給気ダクト40は、攪拌型送風機31の近傍で排気するまでに、ダクト部分で放熱を少なくし、閉鎖空間18の蓄熱効率をアップさせるため、保温性が良く、耐熱性に優れ、さらに作業性の良いフレキシブルの断熱ダクトが適している。
【0028】
次に、図1及び図2に示す冷暖房設備機器の運転等を制御する機器操作パネル23が、室内の壁等に取付けられており、ヒートポンプユニット20、強制循環器21、攪拌型送風機31等の機器運転、タイマーや季節による運転や、床下等に温度センサーを設け温度を感知させた自動制御等、本冷暖房装置の運転操作等を行う。
【0029】
次に図3(イ)は、図1及び図2のA―A視を示し、本冷暖房装置を基礎内部に設置した住宅事例の模式平面図で、床下内部に設置した強制循環器21に接続された給気ダクト40の排気口41を攪拌型送風機31の床下近傍に設置し、冷温風28を排気、床下へ供給する。排気された前記冷温風28は、攪拌型送風機31で攪拌されると共に、図1、図2及び図3(ロ)に示すように、床下から前記冷温風31は床構造材8の通気孔Bから閉鎖空間18へ吸い込まれ、前記閉鎖空間18内を攪拌型送風機31が設置された通気孔A11に向けて引き込まれ、床構造材8の下面に設置された前記攪拌型送風機31により排気、床下へ供給される。なお、床下空間16へ供給された冷温風28空気は、一部は再度閉鎖空間18へ吸込まれ、残りは床下空間16の広い面積を対流、放熱させ強制循環器21に戻る循環経路を形成する。さらに、放熱した冷温風28空気は、強制循環器21により再度冷却、または加熱され給気ダクト40で、攪拌型送風機31の近傍に排気され、前回と同じ経路を循環する。
【0030】
次に図3(イ)の攪拌型送風機31は、図8(イ)に示すように、シロッコファン33により吸込まれた冷温風28は、攪拌型送風機31のボリュート空気通路35により圧縮され、前記攪拌型送風機31の全周に設けられた送風機排気口37から排気、送風される。なお、前記冷温風28の送風到達距離30は、中基礎2で遮断されない限り、攪拌型送風機31から半径4m以上は届く。(図3(イ)の円形は、攪拌型送風機31から半径3mの平面距離の範囲を示す。)この住宅事例では、一棟に攪拌型送風機31を4箇所設置した場合を示すが、床下の規模、住宅の断熱性能、地域の気候条件等により設置箇所数を設定し給気ダクト40の数を増減させる。さらに住宅の規模が大きい場合、これらの一連の冷暖房装置を増設し対応する。
【0031】
次に、図3(ロ)は、図1及び図2の閉鎖空間18のB―B平面断面図で床構造材8の上面を示し、図3(イ)の床下基礎内部機器や各部材の配置と床下からの閉鎖空間18への空気を吸込む通気孔B12、閉鎖空間18から床下への空気引き出しの通気孔A11を実線で示めし、通気孔B12から通気孔A11への空気の流れを示している。さらに閉鎖空間18は、区画A、区画B、区画Cに仕切り材19で区画されており、長時間在室する居間や台所キッチン等の区画A、区画Bの床下には、攪拌型送風機31近傍に強制循環器21からの給気ダクト40の排気口41を設置し、前記区画A及び区画Bを優先して冷暖房を計っており、また区画Cの攪拌型送風機31の近傍には給気ダクト40の排気口41は設置していないが、区画Aや区画Bからの強制循環器21に戻る冷温風28が区画Cの通気孔B12から閉鎖空間18に吸込まれる。なお、閉鎖空間18の空気を吸込む通気孔B12は、床下空間16や閉鎖空間18内の空気がムラなく流通するように、通気孔A11から離れた所にバランスよく配置が必要であり、前記閉鎖空間18は完全気密ではないので、配置が悪いと通気孔A11から近い或いは、抵抗の小さい通気孔B12からの吸込み量が多くなり、通気孔A11から遠く抵抗の大きい通気孔B12からは、吸込み量が少なくなる。この傾向を改善するためには、通気孔A11から遠い通気孔B12は、孔径を大きくしたり、孔数を多くする等の対策をするが、通気孔B12の合計面積を多くすると、閉鎖空間18の気密性が悪くなるので、負圧レベルが低下し吸込み量が偏る。したがって、攪拌型送風機31の静圧や風量、通気孔B12の直径、閉鎖空間18の気密性等を含めた検証による設定が必要である。
【0032】
なお、冷温風28による必要な冷暖房熱量は、住宅の広さや断熱気密性能、室内外温度差、蓄熱材、床板、床構造材、コンクリートスラブ等の各部材蓄熱容量等から算定するが、電気料金の安価な夜間電力を活用し、昼間は各部材や蓄熱材の放熱活用や本冷暖房装置の間欠運転等でランニングコストを低減する。さらに、本冷暖房装置は一階や二階まで広範囲の冷暖房には容量不足で不経済と推測されるので、別途室内エアコンなどの冷暖房装置を設置した上で行うか、または、(公序良俗違反につき、不掲載)または、地域性や住宅の性能、居住者の住まい方等の条件により、本冷暖房装置はベース暖房と位置付けして、夜間電力を積極的に活用し、不足分を別途エアコン等の冷暖房機器を設置しランニングコストを低減する。
【0033】
次に、図4(イ)は、床下内の機器やダクト等の平面配置と床上1階レイアウトとの位置関係を示し、閉鎖空間18は台所キッチン(DK)を区画A、居間(L)を区画B、水周りその他を区画Cに仕切り材19で区画している。区画Bは、面積が広く、家族が長時間在室するので、給気ダクト40及び攪拌型送風機31も2ヶ所設置している。なお、区画Cは他の区画よりエネルギー節約のため少し冷暖房レベルを下げているが、トイレや浴室使用時のヒートショックの予防には、この方法で充分と推測する。なお、図4(ロ)は、閉鎖空間18の区画間仕切り構造を示し、仕切り材19は躯体構造を兼ねた木製の角材を使用している。
【0034】
次に、図5(イ)は、図1のC詳細図で、床構造材8のALC版9に攪拌型送風機31の設置を示し、前記ALC版9に吸込み用の通気孔A(攪拌型送風機の吸込み口と同等程度の孔径)11を設け、そこへ攪拌型送風機31の吸込み口36を設置する。前記吸込み口36には、床構造材8表面の不陸や凹凸による隙間からの空気漏れ等を防止するため、床構造材8との間に気密テープ等を挟み込む。なお、床構造材8の通気孔A11部分は、床構造材8の強度技術基準に従い強度補強等が必要であればその対策をする。さらに攪拌型送風機31の取り付け吊りボルト部には、振動防止用の防振ゴム設置し、前記吊りボルトは、床構造材8にアンカーボルトを打ち込んで設置しても良い。なお、前記攪拌型送風機31は、ケーシング34に、モーター32が装着され、該モーターには高静圧のシロッコファン33が取付けられた構成になっており、前記モーター32の電源は、AC又は、DCどちらでも良い。次に図5(ロ)は、攪拌型送風機31をコンクリートスラブ3に設置した場合を示し、攪拌型送風機31はコンクリートスラブ3に防振ゴムを挟み、送風機設置金具39を用いて設置し、攪拌型送風機31の吸込み口36と床構造材8の通気孔A11の間は、作業性の良いフレキシブルダクトで接続する。この設置方法であれば、通気孔A11と攪拌型送風機31の吸込み口36が少しずれていても簡単に接続できる。なお、フレキシブルダクトは、安価な非断熱ダクトで良く、耐久性、耐熱性があるプラスチックやアルミや金属製等の材料で構成されている。 図5(ハ)は、図2のD詳細図で、床構造材8に合板10を使用した場合の攪拌型送風機31の設置を示し、図5(イ)に準じて設置をするが合板10への取付けは、通しボルトではなく、木ネジでも良い。図5(ニ)は、図5(ハ)の攪拌型送風機の外観図を示す。なお、攪拌型送風機31は、特開2001−355598公報や、特開2003−28095公報や、特開2005−221130公報に開示された送風機の吸込み口36を床構造材8に接続するか又は、吸込み口36に排気ダクト42を接続すれば、本発明の冷暖房装置部材として使用できる。
【0035】
次に図6(イ)は、図6(ハ)の区画AのQ−Q断面図で、コンクリートスラブ3に設置された攪拌型送風機31に、チャンバー38を取付け、該チャンバーに複数(4本)の排気ダクト42を接続し前記排気ダクト42の先端は攪拌型送風機31から離れた区画隅部のALC版9の通気孔A11に接続し、閉鎖空間18から攪拌型送風機31で冷温風28を吸込むと同時に、ALC版9の通気孔B12から前記閉鎖空間18と床下の気圧差により床下空間16の空気を吸込む。前記通気孔B12は、閉鎖空間18内をムラなく冷温風28が流通するように各通気孔A11の中央付近に配置する。 なお、図3(ロ)の区画Aは、通気孔A11を中央1箇所設置しているが、この図6(ロ)区画Aでは、通気孔A11を4箇所設置して、閉鎖空間18の空気流通をより確実にしている。なお、攪拌型送風機31の吸込み口36は、コンクリートスラブ3側に設けているが、反対側でも良い。なお、床構造材8に合板10を使用した場合も、ALC版9を使用した構造に準じる。
【0036】
次に図6(ロ)は、図6(ハ)の区画BのR−R断面図で、コンクリートスラブ3に設置された1台の攪拌型送風機31に複数(2本)の排気ダクト42を接続し前記排気ダクト42の先端は前記攪拌型送風機31から離れた所のALC版9の通気孔A11に接続し、閉鎖空間18から冷温風28を吸込むと同時に、ALC版9の通気孔B12から前記閉鎖空間18と床下の気圧差により床下空間16の空気を吸込む。前記通気孔B12は、閉鎖空間18内をムラなく冷温風28が流通するように各通気孔A11から離れた区画の仕切り付近に設置する。なお、図3(ロ)の区画Bは、攪拌型送風機31を2台使用しているが、この図6(ロ)区画Bでは、1台で済むのでコスト上有利である。なお、攪拌型送風機31の吸込み口36は、コンクリートスラブ3の反対側に設けているが、同じ側でも良い。さらに、攪拌型送風機31に接続の排気ダクト42は、非断熱フレキシブルダクトで良い。
【0037】
次に、図7(ロ)は、図7(イ)のF−F断面図で床構造材8に合板10を使用した場合で、閉鎖空間18の床板7支持用の床束A13、蓄熱材等の部材配置および空気の流通を示し、蓄熱材A24はケース入りの潜熱蓄熱材又は水蓄熱材等の蓄熱材敷設を示す。合板10には、攪拌型送風機31設置用の通気孔A11と床下から閉鎖空間18に冷温風28を吸込む通気孔B12が設けられ、空気の流通状態が図7(イ)に示されている。さらに、閉鎖空間18の床束A13が蓄熱材A間の合板10上に設置されている。なお、合板10を支持する床束B14をコンクリートスラブに設置している。
【0038】
次に図7(ニ)は、図7(ハ)のH−H断面図で、床構造材8に合板10を使用した場合で、閉鎖空間18の床束A13、蓄熱材等の部材配置および空気の流通の状態を示し、蓄熱材は合板上に砂利や乾燥砂等の蓄熱材B25を敷設し、さらに潜熱蓄熱材や水蓄熱等の蓄熱材Aを併用した敷設を示す。前記砂利や乾燥砂等を使用目的は、潜熱蓄熱材は蓄熱容量が大きく優れているが高価であり、閉鎖空間の全区画に敷設するには高額になるので、例えば、図3(ロ)区画C等には、砂利や乾燥砂等を敷設しコストダウンを計ることも良い。合板10には、攪拌型送風機31設置用の通気孔A11と床下から閉鎖空間18に冷温風28を吸込む通気孔B12が設けられ、空気の流通状態が図7(ハ)に示されている。さらに、閉鎖空間18の床束A13が蓄熱材間の合板上に設置されている。次に、図7(ホ)は、蓄熱材B25として砂利や砂を使用した場合の敷設断面図で、通気孔A11、通気孔B12の通気孔周りの砂利や砂が、通気孔に滑り落ちないようにプラスチックや金属製の堰26を作る。さらに、図7(ヘ)は、図7(ホ)のI―I視の平面図を示し砂利や乾燥砂等を敷設した状態を示す。なお、床構造材8にALC版9を使用した場合も、本段落「0038」に示した砂利や乾燥砂を敷設しても良い。
【0039】
次に、図8(イ)は、攪拌型送風機31により閉鎖空間18から吸込まれた冷温風28排気の模式図を示し、攪拌型送風機の吸込み口36からシロッコファン33により吸込まれた冷温風28は、攪拌型送風機31のケーシング34のボリュート空気通路35により圧縮され、ケーシング34の側面全周に設けられた複数箇所の送風機排気口から前記冷温風28は、増速され床下へ供給される。さらに、攪拌型送風機31からの冷温風28送風の模式図を図8(ロ)に示し、閉鎖空間18から床下へ排気された冷温風28の一部は、再度通気孔B12から閉鎖空間へ引き込まれ、残りの冷温風28は、中基礎2、人通口の方向に送風され、床下空間16を攪拌および対流29しながら、強制循環器21に戻る経路を形成し再度給気ダクト40の排気口37から排気され循環する。
【0040】
さらに、本願発明の冷暖房装置により閉鎖空間18および床下空間16の隅々まで通風がされ、さらに、冬季は全床下空間16が暖められるので、床下各部の露点が上がり結露が防止され高湿環境が改善される。さらに、冷暖房しない期間も強制循環器21及び攪拌型送風機31を稼動させれば、床下空間16の空気が絶えず動くので、高湿空気が滞留せず良好な温熱環境が形成できる。さらに、夏季エアコンの除湿機能を使用すれば、床下空間16を除湿できるので高湿環境が改善される。さらに、従来のALC版9を使用した基礎断熱住宅構造では、ALC版9は断熱性が良く、また透湿抵抗が大のため、室内の水蒸気が床下へ透過し難く床板7とALC版9の間が高湿になり、結露し易くなる。またALC版9は断熱性が良いので、ALC版9直下の床下が冷え易く結露の恐れがあるが、本願発明の冷暖房装置を採用すれば、閉鎖空間18や床下空間16は空気が流通するので結露がし難くなる。
【0041】
次に、図9(イ)〜図9(ハ)は強制循環器21の外形を示し、給気ダクト40接続部を機器と一体化された製品かまたは、ダクト接続部材43を別部材にして機器本体に取り付けられている。このダクト接続部材43に取付けられたダクト継手45に給気ダクト40をダクトバンド46で固定する。なお、ダクト接続部材43およびダクト継手45は鋼板、アルミ板などの金属製やプラスチック製等の材料で製作されている。
【0042】
次に、図9(ニ)〜図9(ヘ)は、強制循環器21からの送風量調整の実施例を示す。長時間在室する居間や台所キッチン等の閉鎖空間18区画は、他の部屋に比べ冷暖房レベルを向上させる必要があるが、強制循環器21からの部屋までの遠近による給気ダクト40の排気風量は、前記給気ダクト40の圧損抵抗や部屋の広さ等の条件により、給気ダクト40の排気量を調整する必要がある。そのため強制循環器21内の排気部や、給気ダクト40部分又は給気ダクト40接続部又や排気口部に風量調整機構を組みこむ必要がある。風量調整機構は、バタフライ式等の色々な方式があるが、その一方法として、オリフィス44による風量調整を、図9(ニ)及び図9(ホ)の強制循環器21のダクト継手45部に図9(ヘ)のオリフィス44を挿入する。ダクト継手45の内径を最大φD1とすれば、図9(ヘ)のオリフィス44の内径をφD2と小さくし、ダクト内流量抵抗を増加させ風量を減少させる。なお、強制循環器21からの送風量は、ダクトの直径、ダクト長さ、曲げ数、曲げ角度、曲げ半径、オリフィス等による合計の経路抵抗により求められる。複数のダクト経路で各区画へ送風する場合、各経路の抵抗計算により、異なる内径のオリフィス44で流量抵抗を負荷すれば、それぞれの経路の設定風量がほぼ得られるので、抵抗計算のプログラムソフトを作成すれば、求めるオリフィス44の内径が選定できる。なお、前記オリフィス44は、数種類の異なる内径の部品を準備すれば、風量が調整できるが、ダクト式24時間換気のように、厳密に風量調整する必要はない。
【0043】
次に、床下各区画の空気の流通を容易にするため、図10(イ)〜図10(ニ)に示すように、中基礎2の土台4取付けアンカーボルト47位置に、高さ20mm巾100mm程度、長さ100mm程度の単独の基礎パッキン49又は、隙間通気50のできる連続の基礎パッキン49(別名ねこ土台)を挿入し、中基礎2上面と土台4下面の間に隙間を設け冷温風28が床下全体に届くようにする。本発明の冷暖房装置では、従来の人通口だけでなく、この中基礎2部の隙間通気50を付加した床下通風は、攪拌型送風機31を使用することにより、床下全体の冷暖房を効率的に行うことができる。さらに、冷温風28の対流の障害になり易い中基礎2については、強度上問題がない限り床束B14を採用する等、できるだけ単純で通風し易い構造が好ましい。
【符号の説明】
【0044】
1 布基礎
2 中基礎
3 コンクリートスラブ
6 断熱材
7 床板
8 床構造材(ALC版又は合板)
9 ALC版
10 合板
11 通気孔A
12 通気孔B
13 床束A
14 床束B
16 床下空間
17 室内空間
18 閉鎖空間
19 仕切り材
20 ヒートポンプユニット(室外ユニットおよびエアコン室外機)
21 強制循環器(室内ユニットおよびエアコン室内機)
22 液体および冷媒循環パイプ
23 室内操作パネル
24 蓄熱材A(潜熱蓄熱材や水蓄熱材等)
25 蓄熱材B(砂利、乾燥砂、砕石、レンガ等)
27 ふく射熱
28 冷温風
29 攪拌および対流
31 攪拌型送風機
33 シロッコファン
36 送風機吸込口
37 送風機排気口
40 給気ダクト
41 排気口(給気ダクト)
42 排気ダクト
43 ダクト接続部材
44 オリフィス
49 基礎パッキン

































【特許請求の範囲】
【請求項1】
居室に備えた冷暖房装置の昼間のエネルギー損失を低減するための閉構造建物の床下冷暖房装置であって、夜間の電力を活用し、液体や冷媒を用いたヒートポンプから作られる、冷却または加熱された空気を強制循環器により、少なくとも一本のダクトを介して、閉鎖された床下空間に送ると共に、床板と床下に設けられた床構造材により閉鎖された閉鎖空間の前記床構造材に通気孔Aを設け、該通気孔Aに攪拌型送風機を接続し、又は通気孔Aに少なくとも1本のダクトを介し攪拌型送風機を接続し、前記攪拌型送風機の運転による吸込み操作で、前記閉鎖空間が床下より気圧が低下することで、前記床構造材に開けられた通気孔Bから床下の前記冷温風空気を前記閉鎖空間に引き込み、該閉鎖空間の床板及び床構造材を冷却または加熱し、前記閉鎖空間の床板及び床構造材に蓄熱すると共に、前記閉鎖空間の空気を前記通気孔Aに接続の攪拌型送風機を用いて引き出し、又は前記通気孔Aに接続の少なくとも一本のダクトを介し攪拌型送風機を用いて引き出し、前記閉鎖空間下部の床下空間に排気し、前記床下空間で対流、放熱させ、強制循環器に戻る循環経路を形成し、前記閉鎖空間と前記床下空間に冷却または加熱された空気を供給するようにしたことを特徴とする閉構造建物の床下冷暖房装置。
【請求項2】
前記閉鎖空間に、床下空間から引き込まれた冷温風空気による一層の冷暖房効果を計るため、前記閉鎖空間の少なくとも一区画に、蓄熱材が敷設されている請求項1に記載の閉構造建物の床下冷暖房装置。
【請求項3】
前記強制循環器に接続された給気ダクトの排気風量の調整機構を給気ダクト又は、強制循環器に備えた請求項1又は2に記載の閉構造建物の床下冷暖房装置。






















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−96599(P2013−96599A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237567(P2011−237567)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【特許番号】特許第5070379号(P5070379)
【特許公報発行日】平成24年11月14日(2012.11.14)
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により明細書の一部または全部を不掲載とする。
【出願人】(306017623)
【出願人】(306012514)
【Fターム(参考)】