説明

廃油燃焼装置及びこの廃油燃焼装置を用いた乾燥装置

【課題】 廃油を主燃料とすることで効率よく廃油を燃焼させる廃油燃焼装置を提供する。
【解決手段】 燃焼炉4と、燃焼炉4内に廃油燃料を供給する廃油燃料供給手段6と、燃焼炉4内に灯油を供給する灯油供給手段7と、燃焼炉4内に水を供給する水供給手段8と、燃焼炉4内と廃油燃料及び灯油とを加熱し、着火する着火手段5と、燃焼炉4に空気を供給する空気供給手段9と、各部の運転動作を制御する制御手段20とを備え、制御手段20は、廃油燃料を燃焼するとき、着火手段5と空気供給手段9とを所定時間運転した後に、廃油燃料を第1の流量で供給するとともに、灯油を供給し、所定時間経過後に、着火手段5を停止し、灯油の供給を停止し、第1の流量より多い第2の流量で廃油燃料を供給し、空気供給手段9及び水供給手段8から所定流量の空気及び水を供給しながら運転するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、潤滑油やエンジンオイル等の廃油を主燃料とする廃油燃焼装置に関し、さらに、この廃油燃焼装置を用いて製造現場において発生する金属加工切削屑を乾燥させる乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製鉄所や鉄工所などにおいては、使用される機械により潤滑油、絶縁油、エンジンオイル等の鉱物性の廃油が発生する。これらの廃油を有効利用する手段として、特許文献1に示すような廃油を助燃燃料として用いる燃焼装置がある。また、廃油を燃料とする燃焼装置は、廃油に含まれる不純物が原因で、燃焼炉内にカーボンスラッジが付着し、これらを除去するためのメンテナンスが大変である。
【0003】
ところで、製鉄所や鉄工所などでは、廃油に加え、鉄の製造や利用工程において、鉄を主成分とする金属加工切削屑が発生する。これらの金属加工切削屑も再利用すれば、資源の有効活用になる。
【0004】
しかしながら、これらの鉄を含む金属加工切削屑は、水分や潤滑油等の不純物が付着しており、小型の電気炉を使用して金属加工切削屑を熔解させ鉄鋼を製造する電炉法を用いる場合は、この不純物が原因で、電気炉内で金属加工切削屑が溶融する時点で炉壁に不純物がノロ状にこびりつき作業効率や電気効率の低下をまねく。また、この不純物は、所望とする鉄鋼製品に混ざるという不具合が発生したり、含まれる水分により水蒸気爆発が起こる可能性もあり、再利用に回すことが困難となっており、水分を乾燥させたり、油分をとばす乾燥工程を経る必要がある。
【0005】
【特許文献1】特開平8−334220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、廃油を主燃料とすることで効率よく廃油を燃焼させ、メンテナンス性に優れた廃油燃焼装置を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、この廃油燃焼装置を用いて金属加工切削屑を再利用できるようにすることができる乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る廃油燃焼装置は、燃焼炉と、上記燃焼炉内に廃油燃料を供給する廃油燃料供給手段と、上記燃焼炉内に廃油を燃焼する際の助燃燃料を供給する助燃燃料供給手段と、上記燃焼炉内に水を供給する水供給手段と、上記燃焼炉内と上記廃油燃料及び上記助燃燃料とを加熱し、着火する着火手段と、上記燃焼炉に空気を供給する空気供給手段と、所定のタイミングで所定時間、上記着火手段、上記廃油燃料供給手段、上記助燃燃料供給手段、上記水供給手段及び上記空気供給手段を運転するように制御する制御部とを備える。そして、上記制御手段は、上記廃油燃料を燃焼するとき、上記着火手段と上記空気供給手段とを所定時間運転した後に、上記廃油燃料を第1の流量で供給するとともに、上記助燃燃料を供給し、所定時間経過後に、上記着火手段を停止し、上記助燃燃料の供給を停止し、上記第1の流量より多い第2の流量で上記廃油燃料を供給し、上記空気供給手段及び上記水供給手段から所定流量の空気及び水を供給しながら運転するように制御することを特徴とする。
【0009】
また、上記空気供給手段は、上記燃焼炉に空気を供給する流路に水を噴射する水噴射手段を有するようにしてもよい。
【0010】
また、本発明に係る乾燥装置は、廃油を燃料とした廃油燃焼装置と、上記廃油燃焼装置と接続され、該廃油燃焼装置から噴射される炎及び燃焼熱を取り込み熱源とする乾燥炉とを備え、上記廃油燃焼装置は、燃焼炉と、上記燃焼炉内に廃油燃料を供給する廃油燃料供給手段と、上記燃焼炉内に廃油を燃焼する際の助燃燃料を供給する助燃燃料供給手段と、上記燃焼炉内に水を供給する水供給手段と、上記燃焼炉内と上記廃油燃料及び上記助燃燃料とを加熱し、着火する着火手段と、上記燃焼炉に空気を供給する空気供給手段と、所定のタイミングで所定時間、上記着火手段、上記廃油燃料供給手段、上記助燃燃料供給手段、上記水供給手段及び上記空気供給手段を運転するように制御する制御部とを有し、上記制御手段は、上記廃油燃料を燃焼するとき、上記着火手段と上記空気供給手段とを所定時間運転した後に、上記廃油燃料を第1の流量で供給するとともに、上記助燃燃料を供給し、所定時間経過後に、上記着火手段を停止し、上記助燃燃料の供給を停止し、上記第1の流量より多い第2の流量で上記廃油燃料を供給し、上記空気供給手段及び上記水供給手段から所定流量の空気及び水を供給しながら運転するように制御し、上記乾燥炉は、投入口から投入される被乾燥物を上記廃油燃焼装置からの燃焼熱によって乾燥させるとともに、上記被乾燥物を排出口まで搬送する搬送手段を有することを特徴とする。
【0011】
また、上記空気供給手段は、上記廃油燃焼装置の燃焼熱を上記乾燥炉に送るように空気を供給するダクトを有するようにしてもよい。
【0012】
また、上記搬送手段は、スパイラルコンベアからなるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の廃油燃焼装置は、廃油が燃焼しやすい雰囲気を燃焼炉内で作ってから廃油を燃焼させ、廃油を主燃料としているので、廃油を効率良く処理することができる。また、この廃油燃焼装置は、燃焼炉内に水を供給する水供給部を備えており、所定のタイミングで燃焼炉内に水を供給するので、燃焼炉内で供給された水が水蒸気爆発を起こし、燃焼炉内のカーボンスラッジの付着を抑制することができ、メンテナンス性を向上させることができる。
【0014】
また、本発明の乾燥装置は、廃油を主燃料とする廃油燃焼装置からの燃焼熱を乾燥炉に取り込み被乾燥物である金属加工切削屑を乾燥させるので、廃油を有効に活用するとともに、廃油とともに発生する金属加工切削屑を再利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る廃油燃焼装置を図面を参照して説明する。図1に示すように、廃油燃焼装置1は、基台2と、円環状の燃焼筒3と、燃焼筒3の内部に設けられた燃焼炉4と、燃焼炉4内を加熱し燃料等を着火するバーナ5と、燃焼炉4内に主燃料となる廃油を供給する廃油供給部6と、燃焼炉4内に助燃燃料となる灯油を供給する灯油供給部7と、燃焼炉4内に水を供給する水供給部8と、燃焼筒3の内部に空気を供給するブロア9と、図2において説明する装置全体の動作を制御する制御部20とから構成されている。
【0016】
基台2は、耐熱性の鋼板等からなる部材で、上部に燃焼筒3が設けられており、基台2には例えば、燃焼筒3からの炎や熱を有効に使うための熱交換器等が接続されている。
【0017】
燃焼筒3は、耐熱性の鋼板等からなり、円筒形状をした円環部3aと、円環部3aの上端を閉塞する天板3bと、円環部3aの下端の底部に設けられた支持部材3cとから構成されている。
【0018】
円環部3aは、2つの円筒形状の下円環部3a1と上円環部3a2とからなり、2つの円環部3a1、3a2を上下に重ね、重なる部分を、例えばナットとボルトなどの固定具を用いて固定することにより、全体として円筒形状に形成されている。
【0019】
また、天板3bには、3つの接続孔6a、7a、8aが設けられている。接続孔6aには、後述するポンプ6dから供給される廃油を燃焼筒3内に供給する廃油供給管6gが接続されている。また、接続孔6aには、燃焼筒3内の廃油管6cと廃油供給管6gとが連続するように接続されている。廃油供給管6gと接続された廃油管6cは、先端の廃油供給口6bから廃油を燃焼炉4内の所定の位置に供給するように構成されている。
【0020】
接続孔7aには、後述するポンプ7dから供給される灯油を燃焼筒3内に供給する灯油供給管7fが接続されている。また、接続孔7aには、灯油管7cと灯油供給管7fとが連続するように接続されている。灯油供給管7fと接続された灯油管7cは、先端の灯油供給口7bから灯油を燃焼炉4内の所定の位置に供給するように構成されている。
【0021】
接続孔8aには、後述するポンプ8dから供給される水を燃焼筒3内に供給する水供給管8fが接続されている。また、接続孔8aには、水導管8cと水供給管8fとが連続するように接続されている。水供給管8fと接続された水導管8cは、先端の水供給口8bから水を燃焼炉4内の所定の位置に供給するように構成されている。
【0022】
支持部材3cは、五徳状に形成された燃焼炉4を支持する支持部材である。また、支持部材3cは、燃焼炉4内で発生する炎を基台2に向かって噴出させる火口10になっている。なお、支持部材3cは、上述のように五徳状に形成されることに限らず、燃焼炉4を支持するとともに、基台2に向けて燃焼炉4内で発生する炎を噴出させることができる火口10となるものであればよく、例えば、網目状に形成された支持部材であってもよい。
【0023】
さらに、円環部3aの上円環部3a2には、バーナダクト5aと、ブロアダクト9aとが接続されている。
【0024】
バーナダクト5aは、バーナ5からの炎を燃焼筒3内に導くものであり、全体がL字状に形成されている。L字状のバーナダクト5aは、一端がバーナ5と接続され、他端はその開口端が燃焼筒3内の燃焼炉4の開口端に、所定の隙間5cをあけてわずかに入りこむように形成されている。
【0025】
ブロアダクト9aは、ブロア9からの空気を燃焼筒3の上部から下部にかけて万遍なく供給できるように、円環部3aの上端近傍でバーナダクト5aよりも上方に接続されている。また、ブロアダクト9aは、その流路に水を噴射する水噴射部9bを有する。水噴射部9bは、ブロアダクト9aの流路に水を噴射するノズル9cがブロアダクト9aの流路に臨むように設けられ、ポンプ9dにより水が噴射される。水噴射部9bは、ノズル9cから噴射される水によりブロアダクト9a、燃焼筒3等の熱膨張を抑え冷却する。なお、水噴射部9bは、ブロアダクト9aの流路内に水を噴射できるものであればいかなる構成のものであってもよい。
【0026】
燃焼炉4は、耐熱性の鋼板等からなり、有底筒状の形状をしており、燃焼筒3の内部に設置される。燃焼炉4は、その上部に廃油供給部6、灯油供給部7及び水供給部8が設けられている。廃油供給部6、灯油供給部7及び水供給部8から供給される廃油、灯油及び水は、燃焼炉4の底部4aに溜まる。燃焼炉4内に滴下された廃油は、燃焼炉4内で熱せられ気化し燃焼する。また、燃焼炉4内に滴下された灯油は、廃油が着火しやすくするために供給され、燃焼炉4内でバーナ5により、熱せられ気化し燃焼する。さらに、燃焼炉4内に滴下された水は、燃焼炉4の底部4aに溜まり燃焼熱によって熱せられた廃油や灯油などと反応し水蒸気爆発を起こし、廃油に含まれる不純物による燃焼炉4内面に付着したカーボンスラッジを飛ばす。
【0027】
燃焼炉4の上部には、バーナダクト5aの燃焼炉4上部にあたる部分に噴出返し防止管11が設けられている。燃焼炉4は、側面壁上部に燃焼炉4内で発生した炎が噴出す噴出孔12が多数設けられている。
【0028】
また、燃焼炉4とバーナダクト5aとの隙間5cからは、燃焼炉4内で発生する高温のガスが排出される。燃焼炉4では、火力が上がるにつれて内部で高温のガスが発生する。この高温のガスは、燃焼炉4内に溜まり、徐々に上昇していき、噴出孔12から噴出し最後に隙間5cから噴出する。隙間5cから排出された高温のガスは、燃焼筒3の内側と燃焼炉4の外側との間を通り、火口10から炎10aとともに排出される。
【0029】
噴出返し防止管11は、燃焼炉4上部のバーナダクト5aを貫通するように、バーナダクト5aと一体的に形成されている。噴出返し防止管11には、廃油管6c、灯油管7c及び水導管8cが挿通されている。噴出返し防止管11は、バーナ5の運転停止時においては、燃焼炉4で発生する炎がバーナダクト5aを通りバーナ5に到達しないようにする。また、噴出返し防止管11の下端には、噴出返し防止管11よりも小径の導入管13が取り付けられている。導入管13は、滴下された廃油、灯油及び水を燃焼炉4の底部4aに導く。また、噴出返し防止管11と導入管13との間には隙間11aが設けられている。隙間11aは、バーナ5の運転時においては、燃焼炉4の上部で、バーナダクト5aの内側と導入管13の外側の領域Aに空気を供給する。また、隙間11aは、バーナ5の運転停止時においては、ブロア9からの空気を噴出しているので、燃焼炉4の廃油燃焼によるバーナ5への噴返しを防止する。
【0030】
また、燃焼筒3は、燃焼炉4の上部近傍において、燃焼筒3の内側とバーナダクト5aの外側とにブロア9からの空気を燃焼筒3の下端に導くための空気噴出口14が設けられている。空気噴出口14は、燃焼筒3の内側側面近傍で燃焼炉4の側面より外側に設けられている。空気噴出口14から噴出された空気は、空気噴出口14が燃焼筒3の内側側面近傍で燃焼炉4の側面より外側に設けられているので、燃焼により噴出孔13から噴出す炎や高温ガスを燃焼筒3の下端の火口10に導くことができ、その際に未燃焼の燃料を燃焼させることが可能となる。
【0031】
なお、空気噴出口14は、開口部の大きさを変えることができる絞り機構を有するようにしてもよく、その絞り機構を調節することにより、通過する空気量を調節するようにする構成としてもよい。
【0032】
バーナ5は、バーナダクト5aの一端に接続されており、例えば、灯油を用いて運転される。バーナ5は、図1の矢印D1に示す方向に燃焼熱を放熱し、バーナダクト5aを介して燃焼炉4を加熱する。なお、バーナ5は、灯油を用いたものに限らず、ガス等を用いたものであってもよい。
【0033】
廃油供給部6は、燃焼炉4に主燃料としての廃油を供給するもので、ポンプ6dと第1の廃油流量調整弁6eとそれよりも流量の大きい第2の廃油流量調整弁6fと、ポンプ6dからの廃油を燃焼筒3に導く廃油供給管6gと、接続孔6aを介して廃油供給管6gと連続して接続され、先端が廃油供給口6bとなっている廃油管6cとから構成されている。ポンプ6dは、廃油を廃油供給管6gを通じて燃焼筒3内に供給するポンプである。廃油管6cは、ポンプ6dからの廃油を廃油供給口6bに供給する管であり、接続孔6aから噴出返し防止管11及び導入管13に挿通されている。また、廃油管6cは、廃油供給口6bが導入管13の開口の略中央に位置するように設けられ、導入管13にカーボンスラッジが付着するのを防いでいる。廃油供給口6bが導入管13の開口中央に確実に位置するように、例えば十字のガイドを廃油管6cの側部に設けてもよい。また、廃油供給口6bは、例えば、廃油を燃焼炉4に、重力落下式に滴下できるように、廃油管6cと同様の直径からなる。廃油供給口6bは、廃油管6cとほぼ同径に形成されているので、目詰まりすることがなく、またポンプ6dは高い圧力を必要としない。第1の廃油流量調整弁6e及び第2の廃油流量調整弁6fは、例えば、流量が異なる2つのソレノイド弁によって、廃油の流量を調整する。なお、第1の廃油流量調整弁6e及び第2の廃油流量調整弁6fは、上述に限らず、モータバルブ、電磁弁、エアーバルブなどを用いてもよい。
【0034】
灯油供給部7は、燃焼炉4に助燃燃料としての灯油を供給するもので、ポンプ7dと灯油流量調整弁7eと、ポンプ7dからの灯油を燃焼筒3に導く灯油供給管7fと、接続孔7aを介して灯油供給管7fと連続して接続され、先端が灯油供給口7bとなっている灯油管7cとから構成されている。ポンプ7dは、灯油を灯油供給管7fを通じて燃焼筒3内に供給するポンプである。灯油管7cは、ポンプ7dからの灯油を灯油供給口7bに供給する管である。灯油管7cは、接続孔7aから噴出返し防止管11の上端近傍で、わずかに噴出返し防止管11に入り込んだ位置に灯油供給口7bがくるような長さに形成されている。また、灯油供給口7bは、例えば、灯油を燃焼炉4に、重力落下式に滴下できるように、灯油管7cと同様の直径からなる。灯油供給口7bは、灯油管7cとほぼ同径に形成されているので、目詰まりすることがなく、またポンプ7dは高い圧力を必要としない。さらに、灯油供給口7bは、燃焼炉4の上方より灯油を滴下するので、灯油が飛散し、バーナ5の炎に引火しやすくなる。灯油流量調整弁7eは、例えば、ソレノイド弁によって、灯油の流量を調整する。なお、灯油流量調整弁7eは、上述に限らず、モータバルブ、電磁弁、エアーバルブなどを用いてもよい。
【0035】
水供給部8は、燃焼炉4に熱せられた廃油や灯油と水蒸気爆発を起こさせる水を供給するもので、ポンプ8dと水流量調整弁8eと、ポンプ8dからの水を燃焼筒3に導く水供給管8fと、接続孔8aを介して水供給管8fと連続して接続され、先端が水供給口8bとなっている水導管8cとから構成されている。ポンプ8dは、水を水供給管8fを通じて燃焼筒3内に供給するポンプである。水導管8cは、ポンプ8dからの水を水供給口8bに供給する管である。水導管8cは、接続孔8aから噴出返し防止管11の上端近傍で、わずかに噴出返し防止管11に入り込んだ位置に水供給口8bがくるような長さに形成されている。また、水供給口8bは、例えば、水を燃焼炉4に、重力落下式に滴下できるように、水導管8cと同様の直径からなる。水供給口8bは、水導管8cとほぼ同径に形成されているので、目詰まりすることがなく、またポンプ8dは高い圧力を必要としない。水供給部8は、燃焼炉4の上方に設けられた水供給口8bから水が燃焼炉4内に滴下されるので、燃焼炉4内で水蒸気爆発を起こし、噴出返し防止管12、導入管13、廃油供給口6bなどにカーボンスラッジが付着するのを抑える。水流量調整弁8eは、例えば、ソレノイド弁によって、水の流量を調整する。なお、水流量調整弁8eは、上述に限らず、モータバルブ、電磁弁、エアーバルブなどを用いてもよい。
【0036】
ブロア9は、ブロアダクト9aを介して燃焼筒3と接続されている。ブロア9によって供給される空気は、図1の矢印D2に示す方向に流れ、燃焼筒3の上部から下部に流れる。具体的に、ブロア9によって供給される空気は、燃焼筒3上部から噴出返し防止管11と空気噴出口14を通り火口10から排出される。噴出返し防止管11を通る空気は、導入管13との接続部に設けられた隙間11a及び導入管13内を通ることによって、効率よく燃焼炉4に空気が供給される。空気噴出口14を通る空気は、燃焼筒3の内側と燃焼炉4の外側との間を通り、火口10から排出される。空気噴出口14を通る空気は、噴出孔13や隙間5cから噴出す炎に十分な空気を供給することによって廃油の完全燃焼、つまり無煙状態を可能としている。
【0037】
制御部20は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)20aと、メモリ20bと、タイマ20cとが、バス20dを介して互いに接続されている。メモリ20bは、各部材の駆動タイミングのプログラム等が格納されている。また、タイマ20cは、各動作の開始時間をカウントする。CPU20aは、タイマ20cからの時間をカウントし、メモリ20bからのプログラムにより、各部材の動作を制御する。したがって、制御部20は、バーナ5と、ポンプ6d、7d、8dと、第1の廃油流量調整弁6eと、第2の廃油流量調整弁6fと、灯油流量調整弁7eと、水流量調整弁8eと、ブロア9と、水噴射部9bと接続されており、それぞれの出力を制御する。
【0038】
次に、このように構成された廃油燃焼装置1を用いて廃油を燃焼させる動作について説明する。図3に示すように、ステップS1において、ユーザは、廃油燃焼装置1の電源をオンにする。ステップS2において、制御部20は、バーナ5と、各ポンプ6d、7d、8dとブロア9とを運転する。
【0039】
ステップS3において、制御部20は、ステップS2のバーナ5と、各ポンプ6d、7d、8dとブロア9の運転開始から所定の時間、例えば2分間経過したかどうかを判断する。制御部20は、所定の時間経過していないと判断した場合は、ステップS3を繰り返す。また、制御部20は、所定の時間経過したと判断した場合、ステップS4に進む。ステップS3において所定時間各部を運転させるのは、バーナ5によって、燃焼炉4内を熱し、廃油が燃焼しやすい雰囲気を作るためである。
【0040】
次にステップS4において、制御部20は、灯油流量調整弁7eを開き、第1の廃油流量調整弁6eを開く。
【0041】
また、ステップS5において、制御部20は、ステップS4の灯油流量調整弁7eと第1の廃油流量調整弁6eをそれぞれ開いてから所定の時間、例えば5分間経過したかどうかを判断する。制御部20は、所定の時間経過していないと判断した場合は、ステップS5を繰り返す。また、制御部20は、所定の時間経過したと判断した場合、ステップS6に進む。ステップS5において所定時間各部を運転させるのは、バーナ5によって熱せられた燃焼炉4内において灯油が着火し、廃油が燃焼するようにするためである。
【0042】
ステップS6において、制御部20は、バーナ5とポンプ7dの運転を停止し、灯油流量調整弁7eを閉じ、第1の廃油流量調整弁6eよりも流量の多い第2の廃油流量調整弁6fを開き、水流量調整弁8eを開く。このとき、第1の廃油流量調整弁6eは開いたままである。
【0043】
かくして、廃油燃焼装置1は、第1の廃油流量調整弁6e及び第2の廃油流量調整弁6fを開き、灯油流量調整弁7eを閉じた状態、すなわち廃油のみを燃料とした状態で燃焼を行うこととなる。また、このとき、廃油燃焼装置1は、水供給部8により、燃焼炉4内に水が滴下されるので、燃焼炉4内で水蒸気爆発が起こり、燃焼炉4の内面等に付着するカーボンスラッジの付着を防ぐことができ、メンテナンス性の向上を図ることができる。また、廃油燃焼装置1は、廃油の燃焼中に、噴出返し防止管11と導入管13との隙間11aから空気の供給があるので、バーナ5への噴返しを防止することができる。
【0044】
水噴射部9bは、円環部3a等の冷却をする目的で設けられており、例えば、廃油燃焼装置1の運転開始から所定時間経過したかどうかを判断し、水の噴射を開始するように制御されている。
【0045】
続いて、廃油を燃焼中の廃油燃焼装置1の運転を停止する動作について説明する。なお、ここでいう廃油を燃焼中の廃油燃焼装置1とは、第1の廃油流量調整弁6e及び第2の廃油流量調整弁6fを開き、灯油流量調整弁7eを閉じた状態、すなわち廃油のみを燃料とした状態の燃焼のことである。
【0046】
ユーザは、図4に示すように、ステップS11において、廃油燃焼装置1の電源をオフにする。ステップS12において、制御部20は、第2の廃油流量調整弁6fを閉じ、バーナ5を運転させ、水流量調整弁8eを閉じ、ポンプ8dの運転を停止させる。ここで、制御部20が、バーナ5を再び運転するのは、廃油の不完全燃焼を防止し、無煙状態にするためである。
【0047】
次に、ステップS13において、制御部20は、第1の廃油流量調整弁6eを閉じ、ポンプ6dの運転を停止する。
【0048】
ステップS14において、制御部20は、第1の廃油流量調整弁6eを閉じ、ポンプ6dの運転の停止から所定の時間、例えば3分間経過したかどうかを判断する。制御部20は、所定の時間経過していないと判断した場合は、ステップS14を繰り返す。また、制御部20は、所定の時間経過したと判断した場合、ステップS15に進む。ステップS14において所定時間各部を運転させるのは、燃焼炉4内に供給された廃油を最後まで燃焼させるためである。
【0049】
ステップS15において、制御部20は、バーナ5の運転を停止する。
【0050】
また、ステップS16において、制御部20は、バーナ5の運転停止から所定の時間、例えば10分間経過したどうかを判断する。制御部20は、所定の時間経過していないと判断した場合は、ステップS16を繰り返す。また、制御部20は、所定の時間経過したと判断した場合、ステップS17に進む。ステップS16において所定時間各部を運転させるのは、燃焼によって加熱された燃焼筒3全体をクーリングさせるためである。
【0051】
最後に、ステップS17において、制御部20は、ブロア9の運転を停止する。
【0052】
制御部20は、上述のように、廃油燃焼装置1の運転を停止させるとき、廃油の供給を停止させるとともにバーナ5を運転させ、燃焼炉4内に残った廃油をバーナ5によって完全に燃焼させ不完全燃焼を防止し、無煙状態の燃焼をするように制御する。
【0053】
以上のように、廃油燃焼装置1は、廃油燃焼装置1の運転を開始させるとき、最初に、バーナ5のみによって燃焼炉4内を熱し、続いて、燃焼炉4に灯油と廃油の2液を供給し、着火しやすい灯油の着火によって廃油も着火されるようにし、最後に、灯油の供給をやめ、廃油の供給量を増やし、廃油のみが燃焼されるようにしている。従って、廃油燃焼装置1は、制御部20により燃焼炉4内を廃油が燃焼しやすい雰囲気にしながら廃油の供給量を増やすようにしており、廃油のみを燃料として燃焼させることができる。
【0054】
また、廃油燃焼装置1は、制御部20に廃油のみの燃焼が始まると同時に水流量調整弁8eを開くように制御させるので、燃焼炉4内に水が滴下され、水蒸気爆発が起こり、燃焼筒3内部にカーボンスラッジが付着することを防ぐことができる。
【0055】
ユーザは、火力を上げたいと所望するとき、制御部20と接続された図示しない操作部を操作し、ブロア9から噴出される空気の流量や廃油量を変化させることによって、温度を制御することもできる。
【0056】
なお、上述のように、例えば、ステップS3の状態を2分間続けることを述べたが、これに限られたものではなく、燃焼炉4の容積やバーナ5やブロア9の出力によってこの時間を長くしたり短くしてもよい。しかし、ここで示した時間は、各目的、例えば上記の場合は、燃焼炉4内を熱し、廃油が燃焼しやすい状態を作ることができる十分な時間に設定する必要がある。
【0057】
また、上述のように、流量の異なる2つの廃油流量調整弁6e、6fを設けたことを述べたが、これに限らず、流量を増減できる構成の弁等を用いるのであればよい。
【0058】
また、上述のように、制御部20は、所定時間運転させることによって廃油燃焼装置1を制御しているが、これに限らず、例えば、火口10の出口近傍の所定の位置に温度センサーを設け、その温度センサーから検出される温度に応じて、廃油の供給量を調整したり、ブロア9の供給空気量を調整することができる。
【0059】
ところで、上述した廃油燃焼装置に乾燥炉を接続し、金属加工切削屑を乾燥させる乾燥装置として用いると、廃油を有効活用できるとともに、金属加工切削屑の再利用のために金属加工切削屑を乾燥させることができる。
【0060】
次に、上述のような廃油燃焼装置に乾燥炉を接続し、金属加工切削屑を乾燥させる乾燥装置について説明する。
【0061】
図5は、本発明の乾燥装置を模式的に示した図である。乾燥装置100は、廃油燃焼装置30と、廃油燃焼装置30と接続され廃油燃焼装置30からの燃焼熱を熱源とする乾燥炉40とから構成されている。乾燥装置100は、例えば、ベルトコンベア101によって乾燥炉40の上部に設けられた投入口41bから被乾燥物である金属加工切削屑50が投入され、乾燥炉40と接続された廃油燃焼装置30からの燃焼熱によって乾燥された金属加工切削屑50が乾燥炉40の下部に設けられた排出口41dから排出される。排出された金属加工切削屑50は、例えばバケット102などに集められ、溶鉱炉などで溶融され再利用される。
【0062】
廃油燃焼装置30は、廃油燃焼装置1の基台2に代えて設けられる基台31と、廃油燃焼装置1の燃焼筒3の底部の支持部材3cに代えて設けられる内部にダクト部33aを有する支持部材33と、上述した廃油燃焼装置1の構成の他、ブロア9からの空気を火口10からの炎10aが後段の乾燥炉40に送られるエアダクト32とを備える。なお、廃油燃焼装置30において、廃油燃焼装置1と同様の構成については同様の符号を付すとともにその説明を省略する。
【0063】
廃油燃焼装置1は、図5〜図7に示すように、基台31と、円環状の燃焼筒3と、燃焼筒3の内部に設けられた燃焼炉4と、燃焼炉4内を加熱し燃料等を着火するバーナ5と、燃焼炉4内に主燃料となる廃油を供給する廃油供給部6と、燃焼炉4内に助燃燃料となる灯油を供給する灯油供給部7と、燃焼炉4内に水を供給する水供給部8と、燃焼筒3の内部に空気を供給するブロア9と、燃焼筒3の外側に設けられ、ブロア9からの空気を火口10に送り火口10からの炎10aを後段の乾燥炉40に送るエアダクト32とから構成されている。
【0064】
廃油燃焼装置30は、基台31において、後述する乾燥炉40と接続することができ、全体として廃油燃焼装置30から発生する燃焼エネルギを有効に活用することができる乾燥装置100とすることができる。
【0065】
基台31は、耐熱性の鋼板等からなる部材で、上部に燃焼筒3が設けられている。また、基台31は、内部に円環形状を有するダクト部31aが設けられており、ダクト部31aの一方の開口部31b(図7参照)はエアダクト32のダクト部32bと連通されており、他方の開口部31c(図7参照)は、後述する乾燥炉40と接続されている。基台31は、ダクト部31aと連通されたエアダクト32のダクト部32bからの空気を乾燥炉40に流通させるとともに、基台31の上部で燃焼筒3の底部の火口10から噴き出す下向きの炎をダクト部31aの流路に沿って横向きの炎10aにし、炎や燃焼熱を効率よく後述する乾燥炉40の炉本体41内の被乾燥物である金属加工切削屑50に送る。また、基台31の開口部31bには、多数の穴が設けられた整流板31dが取り付けられており、エアダクト32からの空気を整流して、基台31内のダクト部31aに流通させる。さらに、基台31の開口部31cは、基台31の内部の径よりやや小径にされ、後段の乾燥炉40に勢いよく、炎が噴出すようにされている。
【0066】
なお、基台31は、基台31を冷却するために別体のブロアを設け空冷としたり、ポンプを設け水冷とすることもできる。
【0067】
エアダクト32は、下円環部3a2よりもやや大径な円筒形状のダクト円環部32aと、ダクト円環部32aの側壁に設けられた開口部32dと基台31のダクト部31aの一方の開口部31bとを接続するダクト部32bとから構成される。また、エアダクト32は、ダクト円環部32aの側壁に設けられた開口部32cにブロア9からの空気の流路となるブロアダクト9eが接続される。エアダクト32は、ブロア9からの空気をブロアダクト9eを介してダクト円環部32aに取り込み燃焼筒3を空冷し、その空気をダクト部32bとダクト部32bに連通された基台31のダクト部31aを介して乾燥炉40に廃油燃焼装置30で発生する炎とともに送る。
【0068】
ダクト円環部32aは、下円環部3a2よりやや大径な円筒形状からなり、ダクト円環部32aの側壁のブロアダクト9aと同一平面上にブロア9からの空気がブロアダクト9eを介して流通する開口部32cと、ダクト部32bと接続される開口部32dとを有している。
【0069】
ダクト部32bは、一端がダクト円環部32aの開口部32dと接続され、他端が基台31の開口部31bと接続されており、ブロアダクト9eを介してダクト円環部32aの内側、燃焼筒3の外側の領域に流入した空気を、図7中矢印D3に示すように、基台31のダクト部31aに流出させる。
【0070】
さらに、エアダクト32は、ダクト円環部32aの側壁に火口向き制御ダクト32eと接続され、基台31の開口部31cから噴出す炎10aの向きを制御することができる。火口向き制御ダクト32eは、一端がダクト円環部32aの側壁の所定の位置に設けられた開口部32fと接続され、他端が基台31の開口部31c上部近傍と接続され、ブロア9の空気を開口部31c上部近傍から略下向きに噴出し(図7中矢印D4参照)、燃焼炉4からの炎の向きを制御することができる。
【0071】
さらに、エアダクト32は、ダクト円環部32aの底部において、パイプ状の支持部材33内に設けられたダクト部33aと連通されており、ブロア9からエアダクト32に流入する空気をダクト部33aに流通させる。支持部材33は、パイプ状の部材からなり、燃焼炉4を支持するとともに、燃焼炉4内で発生する炎を基台31のダクト部31aに噴出させる火口10となるように五徳状に形成されている。ダクト部33aは、支持部材33の内部の空洞にあたり、流入した空気を、基台31のダクト部31aに噴出させる。なお、支持部材33は、上述に限らず、燃焼炉4を支持し、基台31に向けて燃焼炉4内で発生する炎を噴出させることができる火口10となるものであるとともに、内部に空気を流通させる環状のものであればいかなるものであってもよい。
【0072】
ブロアダクト9eは、ブロアダクト9aと接続され、ブロア9からの空気をエアダクト32のダクト円環部32aに送るダクトである。
【0073】
以上のように構成された廃油燃焼装置30は、ブロア9からの空気をダクト円環部32a内を流通させ燃焼筒3を冷却する。また、廃油燃焼装置30は、ダクト円環部32aを流通したブロア9からの空気を、ダクト部32bを介して基台31のダクト部31aに流入させ、火口10の横からあてることにより、燃焼筒3内で発生する燃焼熱や炎を横向きにし、後段に接続された乾燥炉40の炉本体41内に効率よく炎や燃焼熱を供給することができる。
【0074】
次に、廃油燃焼装置30と接続される乾燥炉40について説明する。
【0075】
乾燥炉40は、図8に示すように、円筒形状の炉本体41と、炉本体41の中心軸に沿って設けられるスパイラルコンベア42と、炉本体41が固定される架台43とから構成されている。
【0076】
炉本体41は、耐熱性の鋼板等からなり、円筒形状をしており、一端41aが基台31の開口部31bと接続されており、廃油燃焼装置30からの燃焼エネルギを取り込むことができる。また、炉本体41は、炉本体41上部から被乾燥物である金属加工切削屑50を投入する投入口41bと、排気口41cと、炉本体41の下部から乾燥した金属加工切削屑50を排出する排出口41dとから構成されている。炉本体41には、その中心軸に沿って回転するスパイラルコンベア42が設けられており、このスパイラルコンベア42は炉本体41の廃油燃焼装置30が接続されていない側に取り付けられた軸44と軸受45によって支持されている。投入口41bは、炉本体41の側壁で炉本体41の一端41a側に設けられる開口部で、例えばベルトコンベアなどによって搬送される被乾燥物である金属加工切削屑50を炉本体上部より投入することができる。排気口41cは、炉本体41の側壁で投入口41bよりも炉本体41後段に設けられる開口部で、廃油燃焼装置30からの炎によって発生する高温ガスなどの気体が排出される。排出口41dは、炉本体41の側壁で排気口41cよりも炉本体41後段に設けられる開口部で、廃油燃焼装置30の炎によって乾燥され不純物が燃焼され、スパイラルコンベア42によって搬送された金属加工切削屑50が排出される。
【0077】
スパイラルコンベア42は、耐熱性の鋼板等が螺旋状に形成された部材であり、その軸44が回転することにより、投入口41bから投入された金属加工切削屑50を排出口41dに搬送する。また、スパイラルコンベア42は、所定間隔に複数の突片42aが設けられており、この突片42aは炉本体41の底部に溜まった金属加工切削屑50を掻きあげ、効率よく廃油燃焼装置30からの燃焼熱があたるように設けられている。
【0078】
軸44は、炉本体41の開口部41aとは反対側のスパイラルコンベア42の端部と接続され、この軸44に連結された駆動モータ46によって、軸44を回転させることにより、スパイラルコンベア42を駆動させる。軸44は、基台31のダクト部31aの中心軸方向と同方向に設けられ、基台31のダクト部31aの中心軸に沿って送られる炎10aを効率よく炉本体41内に取り込むことができる。
【0079】
駆動モータ46は、軸44を介してスパイラルコンベア42と接続されており、炉本体41内部の所定の箇所に設けられた温度センサ(図示しない)からの値に応じてスパイラルコンベア42の回転速度、回転量を制御できるようにする。
【0080】
以上のように構成された乾燥炉40は、駆動モータ46を回転駆動させ、スパイラルコンベア42を回転させ、投入口41bから投入された金属加工切削屑50を廃油燃焼装置30からの燃焼熱によって乾燥させるとともに、排出口41dに搬送し排出させる。
【0081】
また、乾燥炉40は、乾燥炉40の軸44が、廃油燃焼装置30の基台31の燃焼熱及び炎の流路となるダクト部31aの中心軸方向と同方向に設けられており、スパイラルコンベア42や突片42aによって金属加工切削屑50を掻き混ぜながら搬送するので、廃油燃焼装置30の基台31から噴出す炎10aを、効率よく炉本体41内の金属加工切削屑50に広範囲に亘ってあてることができ、乾燥させることができる。
【0082】
また、上述のように、廃油燃焼装置30と乾燥炉40とによって、従来廃棄していた廃油を乾燥炉40の燃料とすることができるとともに、工場などで発生する金属加工切削屑50を乾燥させることができ、再利用することができる。
【0083】
なお、基台31のダクト部31aには、エアダクト32を介して流入されるブロア9からの空気が流入し、火口10から噴出す炎を横向きの炎10aにし、後段に接続された乾燥炉40に流通させることについて述べたが、これに限らず、接続される乾燥炉の形状によっては、噴出す炎の向きを上向きの炎となるようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明を適用した廃油燃焼装置の断面図である。
【図2】本発明を適用した廃油燃焼装置のブロック図である。
【図3】本発明を適用した廃油燃焼装置において廃油を燃焼させるまでを説明したフローチャートである。
【図4】本発明を適用した廃油燃焼装置において廃油の燃焼を停止させるまでを説明したフローチャートである。
【図5】本発明を適用した他の廃油燃焼装置の装置構成を示す斜視図である。
【図6】本発明を適用した他の廃油燃焼装置の図5のX−X´における断面図である。
【図7】本発明を適用した他の廃油燃焼装置の図5のY−Y´における断面図である。
【図8】本発明を適用した廃油燃焼装置と接続される乾燥炉の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
1 廃油燃焼装置、2 基台、2a 一方の開口部、2b 他方の開口部、3 燃焼筒、3a 円環部、3a1 下円環部、3a2 上円環部、3b 天板、3c 支持部材、4 燃焼炉、5 バーナ、6 廃油供給部、6a,7a,8a 接続孔、6b 廃油供給口、6c 廃油管、6d,7d,8d ポンプ、6e 第1の廃油流量調整弁、6f 第2の廃油流量調整弁、6g 廃油供給管、7 灯油供給部、7b 灯油供給口、7c 灯油管、7e 灯油流量調整弁、7f 灯油供給管、8 水供給部、8b 水供給口、8c 水管、8e 水流量調整弁、8f 水供給管、9 ブロア、9a ブロアダクト、10 火口、11 噴出返し防止管、12 噴出孔、13 導入管、14 空気噴出口、20 制御部、20a CPU、20b メモリ、20c タイマ、20d バス、30 廃油燃焼装置、31 基台、32 エアダクト、33 支持部材、40 乾燥炉、41 炉本体、41a 開口部、41b 投入口、41c 排気口、41d 排出口、42 スパイラルコンベア、43 架台、44 軸、45 軸受、46 駆動モータ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼炉と、
上記燃焼炉内に廃油燃料を供給する廃油燃料供給手段と、
上記燃焼炉内に廃油を燃焼する際の助燃燃料を供給する助燃燃料供給手段と、
上記燃焼炉内に水を供給する水供給手段と、
上記燃焼炉内と上記廃油燃料及び上記助燃燃料とを加熱し、着火する着火手段と、
上記燃焼炉に空気を供給する空気供給手段と、
所定のタイミングで所定時間、上記着火手段、上記廃油燃料供給手段、上記助燃燃料供給手段、上記水供給手段及び上記空気供給手段を運転するように制御する制御部とを備え、
上記制御手段は、上記廃油燃料を燃焼するとき、上記着火手段と上記空気供給手段とを所定時間運転した後に、上記廃油燃料を第1の流量で供給するとともに、上記助燃燃料を供給し、所定時間経過後に、上記着火手段を停止し、上記助燃燃料の供給を停止し、上記第1の流量より多い第2の流量で上記廃油燃料を供給し、上記空気供給手段及び上記水供給手段から所定流量の空気及び水を供給しながら運転するように制御することを特徴とする廃油燃焼装置。
【請求項2】
上記空気供給手段は、上記燃焼炉に空気を供給する流路に水を噴射する水噴射手段を有することを特徴とする請求項1記載の廃油燃焼装置。
【請求項3】
廃油を燃料とした廃油燃焼装置と、上記廃油燃焼装置と接続され、該廃油燃焼装置から噴射される炎及び燃焼熱を取り込み熱源とする乾燥炉とを備え、
上記廃油燃焼装置は、上記乾燥炉に炎を噴射する燃焼炉と、上記燃焼炉内に廃油燃料を供給する廃油燃料供給手段と、上記燃焼炉内に廃油を燃焼する際の助燃燃料を供給する助燃燃料供給手段と、上記燃焼炉内に水を供給する水供給手段と、上記燃焼炉内と上記廃油燃料及び上記助燃燃料とを加熱し、着火する着火手段と、上記燃焼炉に空気を供給する空気供給手段と、所定のタイミングで所定時間、上記着火手段、上記廃油燃料供給手段、上記助燃燃料供給手段、上記水供給手段及び上記空気供給手段を運転するように制御する制御部とを有し、
上記制御手段は、上記廃油燃料を燃焼するとき、上記着火手段と上記空気供給手段とを所定時間運転した後に、上記廃油燃料を第1の流量で供給するとともに、上記助燃燃料を供給し、所定時間経過後に、上記着火手段を停止し、上記助燃燃料の供給を停止し、上記第1の流量より多い第2の流量で上記廃油燃料を供給し、上記空気供給手段及び上記水供給手段から所定流量の空気及び水を供給しながら運転するように制御し、
上記乾燥炉は、投入口から投入される被乾燥物を上記廃油燃焼装置からの燃焼熱によって乾燥させるとともに、上記被乾燥物を排出口まで搬送する搬送手段を有することを特徴とする乾燥装置。
【請求項4】
上記空気供給手段は、上記廃油燃焼装置の燃焼熱を上記乾燥炉に送るように空気を供給するダクトを有することを特徴とする請求項3記載の乾燥装置。
【請求項5】
上記搬送手段は、スパイラルコンベアからなることを特徴とする請求項3記載の乾燥装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−207954(P2006−207954A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−22309(P2005−22309)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(504004935)株式会社藤田製作所 (9)
【Fターム(参考)】