説明

廃蛍光管の処理方法および、その処理装置

【課題】 廃蛍光管を効率良く、分断破砕処理するとともに、蛍光粉の洗浄をエアーブローによって乾式洗浄処理を行う廃蛍光管の処理方法および、その処理装置を提供する。
【解決手段】 廃蛍光管1を搬送手段2によって搬送し、前記搬送手段2の搬送路の両側に設けられた上下一対の回転刃23,23によって、前記廃蛍光管1を両端の口金部1aとガラス管1bとに分断し、かつ、該ガラス管1bを破砕するとともに、前記破砕されたガラス管1bの破砕片を、それぞれ周面を網目状に構成した内筒61と外筒62で同心円筒状に形成し、かつ投入側を高く配置した回転籠60の内筒61と外筒62との間に投入し、該回転籠60を回転駆動するとともに、回転している該回転籠60内の破砕片にエアーを吹き付けて、前記破砕片に付着している蛍光物質あるいは水銀等を前記エアーによって洗浄除去して、ガラスカレットを生産する廃蛍光管の処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直管式の廃蛍光管を効率良く、分断破砕処理するとともに、蛍光粉等の洗浄をエアーブローによって乾式洗浄処理を行う廃蛍光管の処理方法および、その処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、蛍光灯に用いられているガラス管は、高品質であり、リサイクル処理を行えば上質なガラスとして再利用可能となる。
従来、廃蛍光管を処理する施設には、収集業者あるいは自治体が収集した廃蛍光管が大量に運ばれてくる。
これらの廃蛍光管には、ガラス管の内面に蛍光物質が塗布されており、また、微量とはいえ有害な水銀がガラス管に付着しているので、これらの蛍光物質あるいは水銀、鉛等が付着した状態ではガラス管をリサイクルすることができない。
【0003】
そこで、処理施設では、リサイクルの前処理として、かかる蛍光物質や水銀、鉛等の除去を行う必要がある。これらを除去するために、従来、洗浄液を用いて洗い流す湿式洗浄が一般的に行われていた。
【特許文献1】特開平11−319620号公報
【特許文献2】特開平11−319621号公報
【特許文献3】特開平10−211442号公報
【特許文献4】特開2008−36456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、湿式洗浄では、洗浄液の水処理設備や、リサイクルするために、洗浄後のガラスを乾燥する設備が必要であり、また、それに伴う排ガスの処理設備も必要であったため、処理施設にとっては、様々な設備に必要なコストがかかっていた。
他方、蛍光管のリサイクルについて、進んでいる外国の装置の導入も成されており、それらの中には、前述したような湿式ではなく、乾式のものもあった。
しかし、かかる乾式の装置は、直管型の蛍光灯の両端にある口金部を切除すると同時に、片側から圧縮エアーを吹き付け、反対側より管内に存在する蛍光粉と水銀を吸い取る構造になっており、大量処理に適していないものであった。
また、廃蛍光管のガラスくずをトロンメル型の回転ドラム内でガラスと口金類を分別し、さらに別の回転ドラムで蛍光物質あるいは水銀をサイクロン型の集塵機で吸い取る方式の分別機も知られている(特許文献4参照)。
しかしながら、特許文献4に記載の先行技術では、蛍光管として、直管式の蛍光管に限らず、サークライン等、各種の蛍光管に適用するため、予め口金部分とガラス管部分とを分離しない状態で用いるため、分別に時間を要し、作業性が悪く、高品質のカレットを得ることは困難であった。一般的に、蛍光灯の種類は成形品のうち40W型が大半を占めるため、このような廃蛍光管としても40W型が圧倒的に多いという現実がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決し、廃蛍光管を効率良く、分断破砕処理するとともに、蛍光粉の洗浄をエアーブローによって乾式洗浄処理を行う廃蛍光管の処理方法および、その処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、廃蛍光管を搬送手段によって搬送し、前記搬送手段の搬送路の両側に設けられた上下一対の回転刃によって、前記廃蛍光管を両端の口金部とガラス管とに分断し、かつ、該ガラス管を破砕するとともに、前記破砕されたガラス管の破砕片を、それぞれ周面を網目状に構成した内筒と外筒で同心円筒状に形成し、かつ投入側を高く配置した回転籠の内筒と外筒との間に投入し、該回転籠を回転駆動するとともに、回転している該回転籠内の破砕片にエアーを吹き付けて、前記破砕片に付着している蛍光物質あるいは水銀等を前記エアーによって洗浄除去して、ガラスカレットを生産することにある。
また、本発明は、前記内筒の軸線に沿って、前記回転籠内の破砕片にエアーを吹き付ける吹出しノズルの配管を設けるとともに、該ノズルの向きを少なくとも水平よりも下向きに配置して前記破砕片に付着している蛍光物質あるいは水銀等を前記回転籠の下方側に排出させることにある。
さらに、本発明は、廃蛍光管を搬送する搬送手段と、前記搬送手段の搬送路の両側に設けられ、かつ前記廃蛍光管の両端口金部とガラス管とを分断する上下一対の回転刃を有する破砕機と、この破砕機の下流側搬送路に設けられ、前記破砕されたガラス管の破砕片が投入される回転籠を、ケーシング内に投入側を高く配置して設け、かつ該回転籠を、それぞれ周面を網目状に構成した内筒と外筒で同心円筒状に形成し、該回転籠の軸線に沿って、前記ガラス管の破砕片にエアーを吹き付ける吹出しノズルを設けたエアーブロー装置を備えるとともに、前記エアーによって除去された前記破砕片に付着している蛍光物質あるいは水銀等と、該蛍光物質あるいは水銀等を前記エアーによって除去されたガラスカレットを分別回収する容器を前記回転籠の下部側に並設したことにある。
またさらに、本発明は、前記回転籠の前記内筒の軸線に沿って、前記吹出しノズルの配管を設けるとともに、該ノズルの向きを少なくとも水平よりも下向きに配置し、前記回転籠の下方に前記エアーによって除去された前記破砕片に付着している蛍光物質あるいは水銀等を収集するホッパーと、前記破砕片に付着している蛍光物質あるいは水銀等を前記エアーによって除去された、ガラスカレットを収集するホッパーを前記破砕片の投入側から排出側に向けて並設したことにある。
また、本発明は、前記搬送手段に、一定間隔で廃蛍光管を搬送するコンベアを用いるとともに、前記廃蛍光管の搬送間隔に対応するピッチで、前記廃蛍光管の両端口金部を破断する前記一対の回転刃の挟持部を設けたことにある。
【発明の効果】
【0007】
本発明の効果として、請求項1によれば、両端の口金部を破断したガラス管を破砕し、この破砕片を回転籠に収容して、エアーを吹き付けて、破砕片に付着している蛍光物質あるいは水銀等を前記エアーによって洗浄除去して、ガラスカレットを生産するので、高品質のガラスカレットを効率良く生産することができる。
請求項2によれば、内筒の軸線上に吹出しノズルの配管を設け、ノズルの向きを少なくとも水平よりも下向きに配置したので、破砕片にエアーを吹き付けて破砕片に付着している蛍光物質あるいは水銀等の飛散を防ぎ、蛍光物質あるいは水銀等を効率良く回収することができる。
請求項3によれば、簡単な構成で、両端の口金部を除去できるとともに、ガラス管の破砕片を回転籠に収容して、破砕片に付着している蛍光物質あるいは水銀等をエアーによって洗浄除去できるので、高品質のガラスカレットを効率良く生産することができる。
請求項4によれば、内筒の軸線上に前記吹出しノズルの配管を設けるとともに、該ノズルの向きを少なくとも水平よりも下向きに配置したので、破砕片に付着している蛍光物質あるいは水銀等の飛散を防止して洗浄除去し、高品質のガラスカレットを効率良く生産することができる。
請求項5によれば、搬送手段に、一定間隔で廃蛍光管を搬送するコンベアを用いるとともに、前記廃蛍光管の搬送間隔に対応するピッチで、前記廃蛍光管の両端口金部を破断する前記一対の回転刃の挟持部を設けたので、効率良く廃蛍光管の両端口金部を除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
図1ないし図4は、40W型の直管式の廃蛍光管に適用した両端カット破砕機で、いわゆるスターホイール型の破砕機である。図5は両端カット破砕機の切断刃を示す図である。図6ないし図8は、ガラス管の破砕片に付着している蛍光物質あるいは水銀をエアーによって乾式洗浄処理を行うエアーブロー装置である。
【0010】
図1ないし図4において、蛍光管の両端カット破砕機は、蛍光管1の搬送を行う搬送手段としての搬送コンベア2と、搬送コンベア2によって搬送されてきた蛍光管1の両端口金部1aとガラス管1bとを破断して分離処理する破断装置3を備えている。
【0011】
搬送コンベア2は、減速機を備えたギヤードモータ等の駆動モータ11と、左右各一対のスプロケット12、12と、これら前後のスプロケット12、12相互間に掛けられたチェーンコンベア13とで構成されている。前記左右のスプロケット12、12および12、12相互間は、それぞれシャフト14で連結されており、これらシャフト14の両端部は、それぞれ軸受け15を介して支持枠16に回転自在に支持されている。一方のシャフト14の片側端部には、駆動用ギヤードモータ11から動力が伝達されるスプロケット19が装着されている。前記駆動用ギヤードモータ11には、出力軸にスプロケット17が装着されており、このスプロケット17に、チェーン18を介して前記スプロケット19が連結されている。前記両側のチェーンコンベア13には、それぞれ各チェーン要素13aに、搬送方向の上面に角形の凹部13bを形成したプレート13cが装着されており、この両側のチェーンコンベア13の各プレート13cの凹部13bに、掛け渡すようにして、それぞれ蛍光管1を配置して、一定間隔で蛍光管1を搬送路に沿って搬送するようにしている。
【0012】
前記スプロケット12が設けられた一方のシャフト14の他方側端部には、破断装置駆動用スプロケット20が装着されている。この破断装置駆動用スプロケット20は、チェーン21を介して破断装置3を駆動する従動用スプロケット22に連結されている。
【0013】
前記破断装置3は、搬送コンベア2と同期して駆動されるもので、左右両側と中間位置にそれぞれ設けられた上下一対の回転刃23,23で構成されている。これら回転刃23,23は、図5に示すように、円周方向に凹凸状の切断部を有する、いわゆるスターホイールと呼ばれるもので、切断部は一定の厚み、例えば4〜5mm程度を有し、互いに挟持するようにして噛み合うことで、蛍光管1の口金部1aとガラス管1bとを分断するようにカットするものである。図示例では、前記回転刃23,23は、40W型の蛍光管1の長さに合わせて左右両側と中間位置に3箇所、幅方向に設けられて、40W型の蛍光管1の口金部1aおよび蛍光管1の中央部の位置をカットするものである。左右両側の回転刃23,23の距離を調節することで、30W型の蛍光管に適用することができる。
前記回転刃23,23の刃の厚みは、任意でよく、蛍光管1の搬送ピッチに対応するピッチで歯を設けた、例えばスプロケットで構成することもできる。これら回転刃23,23を支持するシャフト24,24は、一定間隔で、前記支持枠16に軸受け(図示せず)を介して回転自在に支持されている。下部側のシャフト24の片側には、前記従動用スプロケット22が装着されて、回転動力が伝達されている。前記回転刃23,23を支持するシャフト24,24の他方側には、互いに噛合した歯車25,25がそれぞれ装着されて、シャフト24の回転をシャフト24に伝達し、前記回転刃23,23を互いに噛み合う方向に回転させている。
【0014】
前記スプロケット12が設けられた他方のシャフト14には、チェーンコンベア13の張力を調整するための張力調整装置26が設けられている。この張力調整装置26は、前後のスプロケット12、12相互間の距離を調整可能に構成されており、支持枠16に対して、前記他方のシャフト14を移動可能に構成している。この張力調整装置26は、スプロケット12のシャフト14を支持するプレート27に、蛍光管1の搬送方向の長孔27aを形成し、この長孔27aにねじ28を介して支持枠16に固定したものである。このプレート27の位置を、ねじ28を緩めることで長孔27aの位置をずらして、スプロケット12の位置を蛍光管1の搬送方向に移動させてチェーンコンベア13の張力を調整するものである。調整ねじ29は、支持枠16に取付けられており、ねじ部を伸縮させてプレート27の端部を押して、プレート27の位置を調整するものである。
【0015】
前記回転刃23,23は、周囲をカバー30で覆われており、下方には、蛍光管1の両端口金部1aとガラス管1bの破砕片を集めるホッパー31、32が幅方向に設けられ、各ホッパー31、32の下方には収集容器33,34がそれぞれ配置されている。口金部1aを集める外側の収集容器33は、幅方向にそれぞれ2箱ずつ並べられており、これら収集容器33は、内側が低くなるように幅方向に傾斜させて配列された多数のローラ35群に載せられて、配置されており、内側の収集容器33が一杯になると、収集容器33を引き出して、次の収集容器33を内側に移動させて収集容器33の交換を行うように構成されている。
【0016】
次に、図6ないし図8は、いわゆるトロンメル方式を採用したエアーブロー装置で、支持枠5に支持されている。エアーブロー装置本体6は、ケーシング50内に、二重構造の回転籠60が配置され、この回転籠60を回転駆動する駆動機構70と、回転籠60内の破砕片にエアーを噴射するエアーブロー機構80とを備えている。図6ないし図8では、外形のみ記載し、内部が見えるように表している。また、回転籠60の後述する内筒および外筒の周囲に展張された網は、外した状態で記載している。
【0017】
前記支持枠5の一端には、図6に示すようにエアーブロー装置本体6の一端を支持する軸支部5aが設けられ、支持枠5の他端には、上記軸支部5aを中心とする円弧状の線に沿って多数の取付孔5bが幅方向に設けられている。エアーブロー装置本体6は、ガラス管の破砕片を投入する側、後述する開閉口54が設けられた一端を前記支持枠5の軸支部5aに支持され、エアーブロー装置本体6の他端側が前記支持枠5の取付孔5bに、軸支されている。こうして、エアーブロー装置本体6は、開閉口54を設けた一端側に対して他端側が下がるように傾斜させた状態で組み付けられている。
この取付孔5bのいずれかにエアーブロー装置本体6の他端を例えばボルトを介して軸支することで、エアーブロー装置本体6を設定角度で傾斜させて取付けることができる。この取付孔5bはエアーブロー装置本体6を、0度から、例えば2度ずつ変更可能に設定して、約30度までの範囲内の任意の角度で取付けることができる。この調整角度は必要に応じて、3度ずつで、4あるいは5度ずつ変更可能にすることができる。
前記ケーシング50は、図9(a)ないし図9(d)に示すように、略密閉構造に形成され、上部に半円筒状のカバー部51を設け、下部側に大型のホッパー52と小型のホッパー53を軸方に並設している。ケーシング50の一端には、ガラス管1bの破砕片が投入される開閉口54が設けられ、ケーシング50の他端には、駆動機構70が設けられている。ケーシング50の一端側の内面の両側には、前記回転籠60の先端部外周面を支持する一対のローラ55が幅方向に設けられている。
【0018】
前記駆動機構70は、ギヤードモータ71と、ギヤードモータ71の回転を前記回転籠60に伝達する伝達機構で構成されている。
伝達機構は、前記ギヤードモータ71の出力軸に装着されたスプロケット72と、このスプロケット72にチェーン73を介して連結されたスプロケット74で構成され、このスプロケット74に装着された回転軸75が前記ケーシング50内に配置された、回転籠60を支持している。回転軸75は、軸受け76を介してケーシング50に支持されており、この回転軸75に放射状に設けられた支持ロッド77を介して前記回転籠60が支持されている。前記回転籠60は、軸受け76によって回転軸75を、前記ローラ55によって先端部外周面を回転自在に支持されている。
【0019】
前記回転籠60は、図10(a)(b)(c)に示すように、円筒状に形成された枠体の周囲に、図11(a)および図12(a)に示すように、網体を展張して、内筒61と外筒62を形成し、これら内筒61と外筒62を同心円筒状に配置して二重構造の回転籠60を形成している。
前記外筒62は図11(a)ないし図11(d)に示すように、円筒状の筒体62aの両端に端板62b、62cが設けられ、一端に設けられた端板62bには、ガラス管1bの破砕片を投入する開口部62dが設けられている。また、他端に設けられた端板62cには前記回転軸75を挿通する孔62eが設けられている。前記端板62bの外周にはリング63が設けられ、このリング63の外周面が、前記ケーシング50の一端側の内面の両側に設けられたローラ55によって支持されている。前記外筒62の内部には、軸方向に沿って回転軸75が挿通され、回転軸75に設けられた支持ロッド77を介して筒体62aの内面が支持されている。前記回転籠60は、内筒61よりも外筒62の網目の方が細かい網目に設定されている。
【0020】
前記内筒61は、図12(a)(b)に示すように、円筒状の筒体61aの両端に端板61bが設けられ、前記外筒62よりも軸方向の長さを僅かに短く形成されている。端板61bの中央には、回転軸75およびエアーブロー機構80の配管81を挿通する開口穴61cが形成されている。エアーブロー機構80の配管81は図13に示すように回転軸75に沿って軸方向に配設され、配管81の長手方向に一定間隔で設けられたエアーノズル82からエアーが吹出される。エアーブロー機構80は、例えば図示しない制御部からの指示に基づきコンプレッサーを作動してエアーを吹き出すように構成されている。
【0021】
図14は、作動状態のエアーブロー装置を示したもので、支持枠5に支持されたエアーブロー装置本体6は、支持枠5に対して、ガラス管の破砕片の投入側を高く、排出側を低く、軸方向に一定角度で傾斜して配置されている。この傾斜角度は、前記したように、0度から例えば2度ずつ変更可能にして約30度以下の角度で設置することができる。したがって、エアーブロー機構80の配管81は、エアーノズル82の向きが軸方に僅かに手前側下方向に向けてエアーが吹き出されることになる。
【0022】
次に、上記蛍光管の両端カット破砕機と、エアーブロー装置の動作を、図面を参照しながら説明する。
【0023】
まず、蛍光管の両端カット破砕機の動作を説明すると、両側のチェーンコンベア13の両側のプレート13cの凹部13bにそれぞれ蛍光管1を配置して、一定間隔で蛍光管1を搬送する。搬送コンベア2によって搬送されてきた蛍光管1は、破断装置3に入り、上下一対の回転刃23,23で、蛍光管1の両側の口金部1aおよび蛍光管1の中央部の位置をカットする(図1ないし図4参照)。
カットされた蛍光管1の両端口金部1aとガラス管1bは、両端口金部1aがホッパー31を通して収集容器33に集められ、ガラス管1bが破砕片としてホッパー32に集められる(図3参照)。
【0024】
次に、ホッパー32に集められたガラス管1bの破砕片は、搬送手段で自動的に搬送しても良く、また、個別に一定量ずつ供給容器7に集めてエアーブロー装置に供給する。
【0025】
エアーブロー装置には、例えば、図6ないし図8に示すように供給容器7に入れた破砕片を、ケーシング50の開閉口54から回転籠60の開口部62dを通して、内筒61と外筒62の間に投入する。そして、ケーシング50の開閉口54を閉じて内部を略密閉し、開閉口54側が高くなるようにケーシング50を支持枠5に対して一定角度傾斜させる。そして、ギヤードモータ71を作動して、回転軸75を駆動し、内筒61と外筒62からなる回転籠60を回転させる。一方、回転籠60の回転とともに、図13に示すように、エアーブロー機構80を作動し、内筒61の内側に配管された配管81の長手方向に一定間隔で設けられたエアーノズル82から内筒61の下方側に向けてエアーを吹出す。こうして、内筒61と外筒62の間に投入されたガラス管1bの破砕片に付着していた蛍光物質あるいは水銀、鉛等をエアーによって吹き飛ばし乾式洗浄処理を行う。そして、蛍光物質、水銀、鉛および細かいガラスの粉末は、外筒62の網体から外側に排出され、ホッパー52から外部に配置された容器に集められる。そして、これら蛍光物質、水銀、鉛が除去された高品質のカレットは回転籠60の傾斜とともに回転籠60の先端側に移動しながら外筒62の網体から外部に排出され、ホッパー53を通して下部側の容器に集められる。これら、高品質のカレットは、ソーダガラスとしてリサイクルすることができる。一般に、高品質のカレットとは、蛍光管の金属部、樹脂部、シール部の鉛ガラス、ステム部分の混入率を0%とし、水銀(Hg)含有率1ppm未満、鉛(Pb)含有率100ppm未満のガラスカレットである。
【0026】
図15は、廃蛍光管1の切断から乾式洗浄までを自動で行うようにした配置図で、前記した構造を有する蛍光管の両端カット破砕機Aとエアーブロー装置Bとの間を搬送コンベア90で連携させたものである。搬送コンベア90の途中には、粗破砕機91を配置してガラス管の破砕片をさらに細かく破砕してからエアーブロー装置Bに供給するようにしている。両端カット破砕機Aに蛍光管1を供給するために蛍光管コンテナ用テーブルリフト92を用いて蛍光管1の供給を連続的に行うことができる。
【0027】
以上のように、上記実施の形態による廃蛍光管の処理方法によれば、両端の口金部1aを破断したガラス管1bを破砕し、この破砕片を内筒61と外筒62からなる回転籠60に収容して、エアーブロー機構80を作動し、内筒61の内側に配管された配管81の長手方向に一定間隔で設けられた吹き出しノズル82から内筒61の下方側に向けてエアーを吹出して、破砕片に付着している蛍光物質あるいは水銀等を前記エアーによって洗浄除去して、ガラスカレットを生産するので、蛍光物質あるいは水銀等が含まれない高品質のガラスカレットを効率良く生産することができる。
また、前記回転籠60内の内筒61の軸線に沿って、破砕片にエアーを吹き付ける吹出しノズル82の配管81を設けるとともに、該ノズル82の向きを少なくとも水平よりも下向きに配置したので、破砕片にエアーを吹き付けて破砕片に付着している蛍光物質あるいは水銀等の飛散を防ぎ効率良く回収することができる。
さらに、廃蛍光管1の両端の口金部1aとガラス管1bとを予め分離してから乾式洗浄を行うことができるので、破砕片に付着している蛍光物質あるいは水銀等を前記エアーによって効率良く洗浄除去して、高品質のカレットを量産することができる。
上記実施の形態による廃蛍光管の処理装置によれば、連続して搬送されてくる蛍光管を破断装置3によって連続して両端の口金部1aとガラス管1bとに分離できるので、ガラス管1bの破砕片のみを効率良く生産することができる。これによって、大量のガラス管1bの破砕片のみをエアーブロー装置に連続して供給することができるので、高品質のカレットを量産することができる。また、エアーブロー装置は、破砕片に付着している蛍光物質あるいは水銀等を効率良くエアー洗浄できることから、高品質のガラスカレットを生産することができる。本発明の廃蛍光管の処理装置では、蛍光物質あるいは水銀等はエアーブロー装置の下部側手前にある大型のホッパーから回収され、ガラスカレットはエアーブロー装置の下部側先にある小型のホッパーから効率良く回収される。
【0028】
なお、本発明は、上記実施の形態のみに限定されるものではなく、例えば、上記実施の形態では、40W型の蛍光管について適用したが、両側の一対の回転刃23,23相互間の距離を調整することにより、30W型あるいはその他の直管式の蛍光管に適用することができる。その他、本発明の要旨を変更しない範囲内で適宜変更して実施し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態による両端カット破砕機を示す正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1のA−A線部分断面図である。
【図4】図1のB−B線部分断面図である。
【図5】図1の破断装置の回転刃を示す概念図である。
【図6】エアーブロー装置を示す正面図である。
【図7】図6の平面図である。
【図8】図6の右側面図である。
【図9】図6のケーシングを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図である。
【図10】図6の回転籠を示し、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図である。
【図11】図10の外筒を示し、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図、(d)は(a)のC−C線断面図である。
【図12】図10の内筒を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【図13】エアーブロー機構の配管を示す概念図である。
【図14】エアーブロー装置の作動時の傾斜させた状態を示す概念図である。
【図15】廃蛍光管の切断から乾式洗浄までを自動で行うようにした配置図である。
【符号の説明】
【0030】
1 (廃)蛍光管
1a 口金部
1b ガラス管
2 搬送コンベア
3 破断装置
5 支持枠
6 エアーブロー装置本体
11 駆動モータ
12、12スプロケット
13 チェーンコンベア
16 支持枠
23,23回転刃
26 張力調整装置
29 調整ねじ
30 カバー
31、32 ホッパー
33,34 収集容器
35 ローラ
50 ケーシング
52,53 ホッパー
54 開閉口
60 回転籠
61 内筒
62 外筒
70 駆動機構
71 ギヤードモータ
75 回転軸
80 エアーブロー機構
81 配管
82 エアーノズル
90 搬送コンベア
91 粗破砕機
92 蛍光管コンテナ用テーブルリフト
A 両端カット破砕機
B エアーブロー装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃蛍光管を搬送手段によって搬送し、前記搬送手段の搬送路の両側に設けられた上下一対の回転刃によって、前記廃蛍光管を両端の口金部とガラス管とに分断し、かつ、該ガラス管を破砕するとともに、前記破砕されたガラス管の破砕片を、それぞれ周面を網目状に構成した内筒と外筒で同心円筒状に形成し、かつ投入側を高く配置した回転籠の内筒と外筒との間に投入し、該回転籠を回転駆動するとともに、回転している該回転籠内の破砕片にエアーを吹き付けて、前記破砕片に付着している蛍光物質あるいは水銀等を前記エアーによって洗浄除去して、ガラスカレットを生産することを特徴とする廃蛍光管の処理方法。
【請求項2】
前記内筒の軸線に沿って、前記回転籠内の破砕片にエアーを吹き付ける吹出しノズルの配管を設けるとともに、該ノズルの向きを少なくとも水平よりも下向きに配置して前記破砕片に付着している蛍光物質あるいは水銀等を前記回転籠の下方側に排出させることを特徴とする請求項1に記載の廃蛍光管の処理方法。
【請求項3】
廃蛍光管を搬送する搬送手段と、前記搬送手段の搬送路の両側に設けられ、かつ前記廃蛍光管の両端口金部とガラス管とを分断する上下一対の回転刃を有する破砕機と、この破砕機の下流側搬送路に設けられ、前記破砕されたガラス管の破砕片が投入される回転籠を、ケーシング内に投入側を高く配置して設け、かつ該回転籠を、それぞれ周面を網目状に構成した内筒と外筒で同心円筒状に形成し、該回転籠の軸線に沿って、前記ガラス管の破砕片にエアーを吹き付ける吹出しノズルを設けたエアーブロー装置を備えるとともに、前記エアーによって除去された前記破砕片に付着している蛍光物質あるいは水銀等と、該蛍光物質あるいは水銀等を前記エアーによって除去されたガラスカレットを分別回収する容器を前記回転籠の下部側に並設したことを特徴とする廃蛍光管の処理装置。
【請求項4】
前記回転籠の前記内筒の軸線に沿って、前記吹出しノズルの配管を設けるとともに、該ノズルの向きを少なくとも水平よりも下向きに配置し、前記回転籠の下方に前記エアーによって除去された前記破砕片に付着している蛍光物質あるいは水銀等を収集するホッパーと、前記破砕片に付着している蛍光物質あるいは水銀等を前記エアーによって除去された、ガラスカレットを収集するホッパーを前記破砕片の投入側から排出側に向けて並設したことを特徴とする請求項3に記載の廃蛍光管の処理装置。
【請求項5】
前記搬送手段に、一定間隔で廃蛍光管を搬送するコンベアを用いるとともに、前記廃蛍光管の搬送間隔に対応するピッチで、前記廃蛍光管の両端口金部を破断する前記一対の回転刃の挟持部を設けたことを特徴とする請求項4に記載の廃蛍光管の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−36146(P2010−36146A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204043(P2008−204043)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(598017217)野村興産株式会社 (10)
【Fターム(参考)】