建物外壁点検装置及びシステム
【課題】建物外壁の点検作業を遠隔操作で可能であり、点検装置本体を外壁に対し確実に固定できて正確な点検作業が可能な建物外壁点検装置及びシステムを提供する。
【解決手段】建物外壁点検装置10は、建物外壁に対し欠陥の検出動作を行い点検データを得る点検装置本体11と、建物上部から吊り下げられて壁面に対向配置可能でありかつ点検装置本体を横方向に移動可能に取り付ける横部材12と、横部材を昇降させる昇降部13,14と、検出動作のときに横部材を壁面に固定可能な固定手段と、を備える。
【解決手段】建物外壁点検装置10は、建物外壁に対し欠陥の検出動作を行い点検データを得る点検装置本体11と、建物上部から吊り下げられて壁面に対向配置可能でありかつ点検装置本体を横方向に移動可能に取り付ける横部材12と、横部材を昇降させる昇降部13,14と、検出動作のときに横部材を壁面に固定可能な固定手段と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物外壁における剥離や浮きや割れ等の欠陥の有無を点検する建物外壁点検装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
超高層マンションが建設され始めてからかなり経ち、建物の維持補修の需要が増加してきている。マンション等の住宅はバルコニーが突き出しているなど、オフィスビルと比較して外壁面は複雑である場合が多い。しかしながら、住居であるため、建物外部に地上から仮設足場を建てて診断・補修作業を行うことは好まれず、また、特に超高層の場合、このような仮設足場の設置自体困難な場合がある。
【0003】
建物の外壁の診断は、タイル等の外壁材の剥離・浮き等を検知することで行われるが、このために、例えば、特許文献1,2のように剥離検知方法や剥離判定方法が提案されている。また、例えば、特許文献3,4,5のように装置本体を建物の上部から吊り下げて壁面を移動させて外壁の診断・点検を行うようにした診断装置・システムが提案されている。
【特許文献1】特開平09−178647号公報
【特許文献2】特開平09−80033号公報
【特許文献3】実開平07−34367号公報
【特許文献4】実開平05−66556号公報
【特許文献5】特開平06−130043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような状況のなかで、建物外壁において補修は人の介在が避けられないにせよ、点検作業を機械化することは、主に安全面・コスト面で有効であると予想される。
【0005】
しかし、従来の吊り下げ式の診断装置・システムによれば、装置本体をワイヤで吊り下げるため、壁に対する押し付け力はワイヤの成す角度による分力だけであり、ワイヤを長く伸ばした低層部になるほど小さくなり、また、診断・点検作業を行う際に風により装置本体が動揺するおそれがある。このように装置本体が風等により振れてしまうと、正確な診断・点検作業に支障を来してしまい、また、安全面でも好ましくない。
【0006】
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、建物外壁の点検作業を遠隔操作で可能であり、点検装置本体を外壁に対し確実に固定できて正確な点検作業が可能な建物外壁点検装置及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本実施形態による建物外壁点検装置は、建物外壁に対し欠陥の検出動作を行い点検データを得る点検装置本体と、建物上部から吊り下げられて壁面に対向配置可能でありかつ前記点検装置本体を横方向に移動可能に取り付ける横部材と、前記横部材を昇降させる昇降部と、少なくとも前記点検装置本体を前記建物側に固定可能な固定手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この建物外壁点検装置によれば、少なくとも点検装置本体を建物側に固定した状態で、点検装置本体が横部材の横方向に走行して欠陥の検出動作を行うことができるので、点検装置本体が風等で振れることがなくて正確な点検作業を行うことができる。
【0009】
上記建物外壁点検装置において前記固定手段は前記横部材を前記壁面に密着させる排気密着手段を備えることで、横部材に取り付けられた点検装置本体を固定することができる。
【0010】
また、上記建物外壁点検装置は、前記壁面と接触するように前記横部材に設けられた車輪と、前記車輪を回転可能に収容するように前記横部材に設けられたハウジングと、をさらに備え、前記固定手段は、前記ハウジング内を排気する排気手段を有し、前記排気手段により前記ハウジング内を排気することで前記ハウジングを前記壁面に密着させることにより、横部材に取り付けられた点検装置本体を固定することができる。なお、車輪は例えば横部材の両端に設けられ、車輪により横部材の高さ方向への移動・位置決めが容易にできる。
【0011】
なお、外壁の点検位置を変更するために建物外壁点検装置を移動するときは、上述の排気密着手段・排気手段を作動させない。
【0012】
本実施形態による建物外壁点検システムは、上述の建物外壁点検装置と、前記建物外壁点検装置を建物上部からワイヤにより吊り下げる荷重支持装置と、前記建物外壁点検装置を遠隔操作し制御する遠隔操作部と、を備え、少なくとも前記点検装置本体が前記固定手段により壁面に固定されて、前記点検装置本体が前記横部材の横方向に移動して前記検出動作を行うことを特徴とする。
【0013】
この建物外壁点検システムによれば、少なくとも点検装置本体を建物側に固定した状態で、点検装置本体が横部材の横方向に走行して欠陥の検出動作を行うことができるので、点検装置本体が風等で振れることがなくて正確な点検作業を行うことができるとともに、建物外壁点検装置を遠隔操作することができるので、点検作業を機械化できて安全面・コスト面で有効である。
【0014】
なお、横部材を、例えば建物のバルコニーの横長さ等の点検スパン単位に対応した横方向長さに設定することが好ましく、点検装置本体により効率よくマンション等の外壁の点検作業を行うことができる。例えば、横部材を、複数のブロックから分割可能に構成し、かかるブロックを増減することで点検スパン単位に対応した横方向長さに調整できる。
【0015】
また、前記点検装置本体を前記横部材が固定された状態で高さ方向の所定高さ範囲内で検出動作が可能に構成することが好ましく、横部材を固定して高さ方向において効率よく外壁の点検作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の建物外壁点検装置及びシステムによれば、建物外壁の点検作業を遠隔操作で可能であり、点検装置本体を外壁に確実に固定できて正確な点検作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。図1は本実施の形態による、建物に配置される建物外壁点検装置の概略的構成を示す正面図である。図2は図1の建物外壁点検装置及び建物の要部側面図である。
【0018】
図1,図2のように、建物外壁点検装置10が点検対象の建物のバルコニーB(図2)の壁面B7(図2では壁面B8)に配置されている。建物外壁点検装置10は、点検装置本体11と、点検装置本体11が図1の横方向に移動可能に取り付けられる横行桁から構成された横部材12と、横部材12の両端側に設けられた昇降部13,14と、横部材12の昇降部13,14よりもさらに両端側に一対ずつ回転自在に配置された車輪15,16と、昇降部13,14の上下に回転自在に配置された車輪17,18,19,20と、を備える。
【0019】
また、横部材12は、図1のように、複数の短い横方向長さのブロックuから分割可能に構成され、各ブロックuは結合部sで分離可能に結合されている。横部材12は、ブロックuの個数を増減することで、点検対象の建物のバルコニーBの壁面B7の横長さ(点検スパン単位)に対応した横方向長さに調整できる。このように、横部材12を分割可能に構成することで、スパン調整可能となるとともに、点検装置本体により効率よくマンション等の外壁の点検作業を行うことができる。また、横部材を分割した状態で現場に搬入できるので、運搬の軽便が可能となる。
【0020】
図1,図2に示す点検対象の建物は、各柱Cと各梁Hとから主な強度部材が構成され、居住空間JとバルコニーBとを有する住宅用マンションであって、建物外壁点検装置10により各階のバルコニーBの壁面B2〜B8(図11)が点検される。
【0021】
図2のように屋上Sに荷重支持装置50が配置され、その一端51がカウンターウェイト53に接続し、パラペットPの上部から若干突き出た他端52から昇降ワイヤ21,22が吊されている。昇降部13,14は公知のワイヤグリップ式の昇降機構を有し、昇降機構のモータ41(図11)の駆動により昇降ワイヤ21,22に沿って建物外壁点検装置10が上下に移動可能になっている。
【0022】
図1,図2のように、建物外壁点検装置10は、横部材12がバルコニーの壁面B7の横方向に沿って壁面B7に対向するように配置され、その高さ方向位置が昇降部13,14の昇降機構により調整されるが、このとき、壁面B7に接した車輪15〜20により高さ方向の位置決めが容易となる。
【0023】
また、建物外壁点検装置10の横方向位置は、屋上Sの荷重支持装置50の位置(図2の紙面高さ方向の位置)によって調整できる。また、昇降部13,14は、横部材12に対する横方向位置の調整が可能であり、点検対象の建物のバルコニーBの壁面B7の横長さ(点検スパン単位)に対応するように微調整できる。すなわち、昇降部13,14は、後述の図5,図8(a)のように、横部材12に設けられたガイドレール12bに係止されており、ガイドレール12bに沿って(図5,図8の紙面垂直方向に)移動可能であり、その位置を微調整できる。
【0024】
次に、建物外壁点検装置10の点検装置本体11について図3〜図6を参照して説明する。図3は図1,図2の点検装置本体11を建物上部からみた要部平面図である。図4は図3の点検装置本体11を建物前面からみた要部正面図である。図5は図3,図4の点検装置本体11の要部側面図である。図6は図5の点検装置本体11の高さ方向の移動範囲を説明するための側面図である。
【0025】
図3〜図6のように、点検装置本体11は、点検対象の建物外壁に対して浮きや割れ等の欠陥の検出動作(点検動作)を行うものであり、点検対象の壁面B7を撮影し壁面B7の画像データを得るカメラ11aと、壁面B7を打検するハンマ部11bと、打検時の打撃音と反響音とを集めるマイクロフォン等からなる集音部11cと、を筐体11d内に備えている。なお、このような点検装置本体11自体は、例えば、上記特許文献4(実開平05−66556号公報)から公知である。
【0026】
点検装置本体11は、点検対象の壁面B7と横部材12との間に位置し、筐体11dがその後面側に設けられた係止部11eで横部材12のガイドレール12aに係止されており、モータ43(図11)の駆動により横部材12に沿って図3,図4の横方向n、n’に移動可能になっている。
【0027】
点検装置本体11の筐体11d内において、カメラ11aとハンマ部11bと集音部11cとは、内蔵されたモータ44(図11)等からなる垂直移動機構により図5の高さ方向v、v’へ一体に移動可能になっており、図5の実線で示す位置aから高さ方向v’へ破線で示す位置b,c,d,eへと等間隔に移動し、各位置a〜eでハンマ部11bが壁面B7に対し打検を行うとともにカメラ11aが撮影を行うことで、位置a〜eの高さ方向点検範囲hで点検動作が行われる。
【0028】
建物外壁点検装置10は、図2のように、バルコニーBの壁面B7において高さ方向に図の実線の最下方位置と破線の最上方位置との間で位置決めされる。例えば、点検装置本体11は、図6のように、昇降部13,14により高さ方向において最下方位置と最上方位置と破線で示す中間位置に位置決めされ、例えば、最下方位置から高さ方向vに移動範囲gだけ移動することで中間位置に、さらに中間位置から移動範囲gだけ移動することで最上方位置に位置し、各位置(最下方位置、中間位置、最上方位置)で点検装置本体11のカメラ11aとハンマ部11bと集音部11cにより位置a〜eの高さ方向点検範囲hにおいて点検動作が行われる。これにより、バルコニーBの壁面B7において、壁面B7の高さに対応する高さ方向の点検範囲fで点検動作を行うことができる。
【0029】
また、点検装置本体11は、点検対象の壁面に対する点検装置本体11の平面位置を検出する位置センサ45(図11)を有し、カメラ11aとハンマ部11bと集音部11cとによる点検位置を把握できる構成となっている。すなわち、点検装置本体11が図6のように壁面B7で高さ方向に位置決めされると、図1のように横部材12に沿って横方向n,n’に移動しながら壁面B7の点検動作を行い、次に、垂直位置を変えて再び横方向n,n’に点検動作を行うが、得られた各点検データと壁面B7の平面位置とが位置センサ45による位置情報により対応付けられるようになっている。
【0030】
また、カメラ11aの画像データ及び集音部11cの反響音データ等の点検データは、地上の遠隔操作部55(図10)に送られて記録され解析される。
【0031】
次に、建物外壁点検装置10を建物の壁面に固定する固定手段について図7〜図9を参照して説明する。図7は図3と同様の要部平面図であり、吸着前(a)及び吸着後(b)を示す。図8は図5と同様の要部側面図であり、吸着前(a)及び吸着後(b)を示す。図9は図7の車輪とハウジングを図7と同じ方向からみた図であり、吸着前(a)及び吸着後(b)を示す。
【0032】
図7(a),図8(b)のように、横部材12の左端には車輪15を収容するハウジング31が設けられるとともに昇降部13から延びるように車輪17を収容するハウジング32及び車輪18を収容するハウジング33が設けられている。昇降部13にはバキュームポンプ42(図11)が内蔵されており、バキュームポンプからのホース30が各ハウジング31,32,33に接続され、各ハウジング31,32,33の内部が排気されて真空吸引される。
【0033】
ハウジング内の構造について図9のハウジング32を例にして説明するが、他のハウジング31,33も基本的に同様に構造となっている。すなわち、図9(a)のように、ハウジング32内にはゴム製の車輪17がハブ部36aを介して回転軸36で回転自在に構成されて、ハウジング32内から壁面B7側に若干露出するようにして収容されている。ハウジング32の壁面B7側には角筒状のゴム製のパッド37が連結されており、パッド37の先端にはパッド37よりも薄いゴム製でスカート状に広がったスカート部38が設けられている。このように、ハウジング32にゴム製のパッド37とスカート部38を取り付けることで、空気の漏れを抑制することができ、排気密着による固定を確実にできる。
【0034】
ハウジング32には、昇降部13に内蔵されたバキュームポンプから延びたホース30が接続され、ハウジング32の内部空間T内が排気されて負圧になる。なお、横部材12の右端側も上述と同様の構成となっている。
【0035】
昇降部13内のバキュームポンプ42(図11)を作動させて、ハウジング32の内部空間T内を排気し負圧にすることで、図7(b)、図8(b)、図9(b)のように、ハウジング32のパッド37が壁面B7に当接し、スカート部38が広がって壁面B7に当接し、ハウジング32から若干露出し壁面B7に当接した車輪17が壁面B7に押し付けられて、破線で示す変形部17aが凹んで変形して当接することにより、ハウジング32が壁面B7に対し排気密着して固定される。なお、この排気密着のとき、ハウジング32全体が横部材12とともに図9(b)のように壁面B7側に距離wだけ前進する。
【0036】
上述のようにして建物外壁点検装置10はバキュームポンプを用いることで建物の壁面B7に固定される。
【0037】
なお、図5の破線に示すように、左右の昇降部13,14に、斜め上方に突き出るようにしてバランスウエイト39を設けてもよく、バランスウエイト39によるモーメントで各車輪を壁面B7に押し付けることができる。バランスウエイト39により各車輪を壁面B7に固定できるとともに、真空吸引時にスカート部38と壁面B7との間の隙間をなくすことができる。
【0038】
また、車輪15〜20は、ゴム製のソリッドタイプから構成できるが、低圧タイヤから構成してもよく、低圧タイヤの場合、ハウジング内の真空吸引時に膨張変形が抑えられるような圧力やゴム厚等とすることが好ましい。
【0039】
また、バキュームポンプとホースとの間に制御バルブ59(図11)を設け、建物外壁点検装置10の高さ方向の位置により、例えば、図2のように車輪18(実線)や車輪17(破線)が壁面からずれて離れたとき、制御バルブ59を作動させて閉じることで無駄な真空吸引を防ぐことが好ましい。または、バキュームポンプを各ハウジング毎に設け、車輪が壁面からずれているハウジングのバキュームポンプを作動させないように制御してもよい。
【0040】
次に、本実施形態による建物外壁点検システムについて図10,図11を参照して説明する。図10は本実施形態による建物外壁点検システムを概略的に示す側面図である。図11は図10の建物外壁点検システムの制御系を説明するためのブロック図である。
【0041】
図10のように、建物外壁点検システム60は、点検対象の壁面に設置される図1〜図9の建物外壁点検装置10と、屋上Sに設置されて建物外壁点検装置10を昇降ワイヤ21,22により吊り下げる荷重支持装置50と、建物外壁点検装置10を地上で遠隔操作し制御する遠隔操作部55と、建物外壁点検装置10のモータやバキュームポンプ等に電力を供給する動力供給部56と、を備える。建物外壁点検装置10と、遠隔操作部55、動力供給部56との間に各種電気的接続のためにケーブル57が設けられている。
【0042】
図11のように、建物外壁点検装置10を制御するために遠隔操作部55は、各種情報信号が入力し、モータやバキュームポンプ等に制御信号を送る制御部40と、各種情報を表示するCRTや液晶パネルからなる表示部47と、点検した壁面における仕上げ材の浮きや割れ等の欠陥を検出するためにカメラ11aの画像データ及び集音部11cの反響音データ等の点検データを解析する解析部48と、モータやバキュームポンプ等の各種電源のオンオフのためのスイッチ部46と、を備える。
【0043】
制御部40は、昇降機構用モータ41,バキュームポンプ42,点検装置本体11の移動用モータ43,点検装置本体11内のカメラ11aや打検ハンマ部11b等の移動用モータ44を、スイッチ部46の操作や予め所定のシーケンスで作動するようにプログラミングされたプログラムに基づいて制御するとともに、カメラ11aや集音部11cや位置センサ45で得た点検データを解析し、その解析結果(欠陥の有無の判定結果)を表示部47に表示したり、記憶部49に記録させる。なお、点検装置本体11で得た点検データは、ケーブル57に含まれるデータ伝送ケーブルによって遠隔操作部55に送られるが、無線伝送によって送るようにしてもよい。
【0044】
次に、図1〜図11の建物外壁点検システム60による建物外壁に対する点検工程(1)〜(13)について説明する。
【0045】
(1)図2,図10のように建物屋上Sに荷重支持装置として荷重支持装置50を設置し、外壁B8〜B2に沿って地上まで昇降ワイヤ21,22を垂下する。
【0046】
(2)点検対象の例えばバルコニーの横方向長さに対応して、横部材12の横行桁のブロックuを組み合わせ、横部材12の横方向長さを設定する。例えば、図1に示すように、横部材12の横方向長さを、バルコニーの壁面B7の横方向の点検範囲kを点検装置本体11の1回の横方向走行で点検動作が完了するように設定する。
【0047】
(3)地上にて横部材12に点検装置本体11と昇降部13,14とを組み付け、昇降部13,14に昇降ワイヤ21,22を通す。このとき、昇降部13,14の横部材12に対する横方向位置を調整することでスパンの微調整を行う。
【0048】
(4)昇降部13,14の昇降機構をモータ41で動作させ、点検装置本体11を昇降ワイヤ21,22に沿って上昇させる。
【0049】
(5)点検対象を例えば、図1,図10のバルコニーの壁面B7とすると、点検装置本体11を壁面B7まで上昇させ、横部材12の両端に設けた車輪15,16及び昇降部13,14に設けた車輪17〜20を壁面B7に接して位置決め準備をする。
【0050】
(6)例えば、バルコニー高さ(図6の点検範囲f)を1.5m、点検装置本体11の移動範囲g(図6)を50cmとし、第1回目の点検動作でバルコニーの壁面B7の上三分の一のエリアを点検できるように、点検装置本体11の高さ方向位置を昇降部13,14にて調整する。これにより、点検装置本体11を例えば、図6の最上方位置に位置決める。
【0051】
(7)昇降部13,14内のバキュームポンプ42を作動させ、壁面B7に接する車輪を収容した各ハウジング31,32,33を壁面B7に密着させる。すなわち、建物外壁点検装置10の位置決め後、図7〜図9のように、バキュームポンプ42でハウジング32内を排気すると、ゴム製のスカート部38及びパッド37によりハウジング32の中の真空圧が高まり、ハウジング32が徐々に壁面B7に押し付けられるとともに、車輪17が撓むため、最終的にハウジング32はパッド37の部分を壁面B7に接した状態で固定されることで、建物外壁点検装置10を壁面B7に排気密着し固定される。
【0052】
(8)上述のようにして建物外壁点検装置10全体が固定された後に、点検装置本体11をモータ43で横部材12に沿って横方向nまたはn’へ横行させ点検動作を開始する。この点検動作では、点検装置本体11を横行させて開始位置を決め、開始位置で横行を停止して点検装置本体11の垂直移動機構をモータ44で作動させてカメラ11aやハンマ部11bを所定間隔で移動させ、設定された5点(図5,図6の縦方向位置a〜eの高さ方向点検範囲h内)の各ポイントについてハンマ部11bによるハンマリングを行い、この間、カメラ11aで連続的に画像を撮影する。
【0053】
(9)上述のハンマ部11bによる縦1列5点(位置a〜e)のハンマリングが完了したら、横部材12に沿って点検装置本体11を1列だけ横移動させる。この1列の移動量は、例えば10cmとし、1列移動後に同様に5点のハンマリング及び画像撮影を行う。
【0054】
(10)以上の繰り返しにより横部材12の横長さ範囲内で設定した図1の点検範囲k内をすべて点検した後、バキュームポンプ42を停めて固定を解除し、昇降部13,14により点検装置本体11を50cm下降させ、図6の中間位置に位置決めてから壁面B7を同様に点検する。
【0055】
(11)中間位置での点検が終了したら、同様に点検装置本体11をさらに50cm下降させてバルコニーの壁面B7の下三分の一を同様に点検する。
【0056】
(12)上述のようにして、1階分のバルコニーの壁面B7の点検が終了すると、昇降部13,14により点検装置本体11を1階高さ分上昇または下降させてから、例えば図1,図10の壁面B8またはB6を同様にして点検する。
【0057】
(13)高さ方向に全ての階のバルコニーの壁面B2〜B8(図10)の点検が終了すると、建物外壁点検装置10を地上に降ろし、屋上Sの荷重支持装置50を横方向(図2の紙面高さ方向)に移設し、次の点検スパンについて同様にして点検を行う。
【0058】
なお、上述の点検工程(8)及び(9)は、予め数値を設定することで自動運転を行うようになっている。また、点検工程(10)及び(11)における50cmの小移動についても自動運転が可能である。かかる自動運転は、図11の制御部40が所定のプログラムに従って実行することができる。また、バルコニー高さが変われば、点検動作の高さ方向の分割回数(上記例では3回)が変わる。
【0059】
以上のように、図1〜図11の建物外壁点検装置10及び建物外壁点検システム60によれば、超高層ビル・マンションの外壁でも人間が高所に行くことなく、安全に点検作業を行うことができる。また、横部材12を設置した後は、点検ポイントの縦5点の移動と横1列の移動は自動で行うことができ、省力化を実現できる。
【0060】
また、点検装置本体11を左右に設置した横部材12上を横行させることで、1回の走行で所定の点検スパンを点検できるので、作業性向上及び工期短縮を図ることができるとともに、横部材12や昇降部13,14にゴンドラのパーツの利用が可能であるため、低コストと精度の確保を実現できる。
【0061】
また、建物外壁点検装置をワイヤだけで吊り下げると、装置の壁面に対する押し付け力は、ワイヤの成す角度による分力だけとなって、ワイヤを長く伸ばした低層部になるほど小さくなるのであるが、本実施の形態では、バキュームポンプにより、壁面に接する車輪を収容した各ハウジングを壁面に密着させることで、建物外壁点検装置10を壁面に吸着させて高さ位置に関わらず確実に固定することができる。これにより、点検装置本体11で点検作業を行う際に、風により建物外壁点検装置10が動揺することがない。このように、建物外壁点検装置10に対する風による振れを抑止して点検装置本体11により正確な点検作業を行うことができる。
【0062】
また、点検装置本体11の垂直移動機構による高さ方向点検範囲h(図5,図6)は、点検装置本体11の3回以内の横行でバルコニー高さ(図6の点検範囲f)の点検が完了できるように設定することが好ましい。
【0063】
以上のように本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、本実施の形態では、バルコニーのある建物(マンション)を点検対象としたが、本発明は、これに限定されず、事務所用ビルを点検対象にできることはもちろんである。また、バルコニーのある建物において、バルコニーの壁面以外の外壁を点検できることはもちろんである。
【0064】
また、点検装置本体11に搭載するカメラ11aは、普通画像用のカメラであるが、赤外線画像カメラ(場合によってはサーモグラフィーカメラ)としてもよく、また、両者を併用するようにしてもよい。
【0065】
また、建物外壁点検装置の固定手段として、車輪のハウジング内を排気し密着させる手段を設けたが、本発明はこれに限定されず、吸着部を別に設け、かかる吸着部内を排気して真空吸引により建物外壁点検装置を建物に対し排気密着で固定するようにしてもよい。
【0066】
また、点検装置本体は、本実施の形態では、壁面を撮影する画像カメラ及び壁面を打検するハンマ部と集音部から構成したが、本発明はこれに限定されず、他の壁面点検手段から構成してもよく、例えば、壁面を機械的に振動させ、センサで振動を測定し、振動測定結果に基づいて壁面の剥離の有無を判別するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本実施の形態による、建物に配置される建物外壁点検装置の概略的構成を示す正面図である。
【図2】図1の建物外壁点検装置及び建物の要部側面図である。
【図3】図1,図2の点検装置本体11を建物上部からみた要部平面図である。
【図4】図3の点検装置本体11を建物前面からみた要部正面図である。
【図5】図3,図4の点検装置本体11の要部側面図である。
【図6】図5の点検装置本体11の高さ方向の移動範囲を説明するための側面図である。
【図7】図3と同様の要部平面図であり、吸着前(a)及び吸着後(b)を示す。
【図8】図5と同様の要部側面図であり、吸着前(a)及び吸着後(b)を示す。
【図9】図9は図7の車輪とハウジングを図7と同じ方向からみた図であり、吸着前(a)及び吸着後(b)を示す。
【図10】本実施形態による建物外壁点検システムを概略的に示す側面図である。
【図11】図10の建物外壁点検システムの制御系を説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
【0068】
10 建物外壁点検装置
11 点検装置本体
12 横部材
13,14 昇降部
15〜20 車輪
21,22 昇降ワイヤ
30 ホース
31〜33 ハウジング
37 パッド
38 スカート部
40 制御部
42 バキュームポンプ
50 荷重支持装置
55 遠隔操作部
60 建物外壁点検システム
B バルコニー
B2〜B8 壁面(建物外壁)
S 建物屋上
T 内部空間
n,n’ 横方向
v,v’ 高さ方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物外壁における剥離や浮きや割れ等の欠陥の有無を点検する建物外壁点検装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
超高層マンションが建設され始めてからかなり経ち、建物の維持補修の需要が増加してきている。マンション等の住宅はバルコニーが突き出しているなど、オフィスビルと比較して外壁面は複雑である場合が多い。しかしながら、住居であるため、建物外部に地上から仮設足場を建てて診断・補修作業を行うことは好まれず、また、特に超高層の場合、このような仮設足場の設置自体困難な場合がある。
【0003】
建物の外壁の診断は、タイル等の外壁材の剥離・浮き等を検知することで行われるが、このために、例えば、特許文献1,2のように剥離検知方法や剥離判定方法が提案されている。また、例えば、特許文献3,4,5のように装置本体を建物の上部から吊り下げて壁面を移動させて外壁の診断・点検を行うようにした診断装置・システムが提案されている。
【特許文献1】特開平09−178647号公報
【特許文献2】特開平09−80033号公報
【特許文献3】実開平07−34367号公報
【特許文献4】実開平05−66556号公報
【特許文献5】特開平06−130043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような状況のなかで、建物外壁において補修は人の介在が避けられないにせよ、点検作業を機械化することは、主に安全面・コスト面で有効であると予想される。
【0005】
しかし、従来の吊り下げ式の診断装置・システムによれば、装置本体をワイヤで吊り下げるため、壁に対する押し付け力はワイヤの成す角度による分力だけであり、ワイヤを長く伸ばした低層部になるほど小さくなり、また、診断・点検作業を行う際に風により装置本体が動揺するおそれがある。このように装置本体が風等により振れてしまうと、正確な診断・点検作業に支障を来してしまい、また、安全面でも好ましくない。
【0006】
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、建物外壁の点検作業を遠隔操作で可能であり、点検装置本体を外壁に対し確実に固定できて正確な点検作業が可能な建物外壁点検装置及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本実施形態による建物外壁点検装置は、建物外壁に対し欠陥の検出動作を行い点検データを得る点検装置本体と、建物上部から吊り下げられて壁面に対向配置可能でありかつ前記点検装置本体を横方向に移動可能に取り付ける横部材と、前記横部材を昇降させる昇降部と、少なくとも前記点検装置本体を前記建物側に固定可能な固定手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この建物外壁点検装置によれば、少なくとも点検装置本体を建物側に固定した状態で、点検装置本体が横部材の横方向に走行して欠陥の検出動作を行うことができるので、点検装置本体が風等で振れることがなくて正確な点検作業を行うことができる。
【0009】
上記建物外壁点検装置において前記固定手段は前記横部材を前記壁面に密着させる排気密着手段を備えることで、横部材に取り付けられた点検装置本体を固定することができる。
【0010】
また、上記建物外壁点検装置は、前記壁面と接触するように前記横部材に設けられた車輪と、前記車輪を回転可能に収容するように前記横部材に設けられたハウジングと、をさらに備え、前記固定手段は、前記ハウジング内を排気する排気手段を有し、前記排気手段により前記ハウジング内を排気することで前記ハウジングを前記壁面に密着させることにより、横部材に取り付けられた点検装置本体を固定することができる。なお、車輪は例えば横部材の両端に設けられ、車輪により横部材の高さ方向への移動・位置決めが容易にできる。
【0011】
なお、外壁の点検位置を変更するために建物外壁点検装置を移動するときは、上述の排気密着手段・排気手段を作動させない。
【0012】
本実施形態による建物外壁点検システムは、上述の建物外壁点検装置と、前記建物外壁点検装置を建物上部からワイヤにより吊り下げる荷重支持装置と、前記建物外壁点検装置を遠隔操作し制御する遠隔操作部と、を備え、少なくとも前記点検装置本体が前記固定手段により壁面に固定されて、前記点検装置本体が前記横部材の横方向に移動して前記検出動作を行うことを特徴とする。
【0013】
この建物外壁点検システムによれば、少なくとも点検装置本体を建物側に固定した状態で、点検装置本体が横部材の横方向に走行して欠陥の検出動作を行うことができるので、点検装置本体が風等で振れることがなくて正確な点検作業を行うことができるとともに、建物外壁点検装置を遠隔操作することができるので、点検作業を機械化できて安全面・コスト面で有効である。
【0014】
なお、横部材を、例えば建物のバルコニーの横長さ等の点検スパン単位に対応した横方向長さに設定することが好ましく、点検装置本体により効率よくマンション等の外壁の点検作業を行うことができる。例えば、横部材を、複数のブロックから分割可能に構成し、かかるブロックを増減することで点検スパン単位に対応した横方向長さに調整できる。
【0015】
また、前記点検装置本体を前記横部材が固定された状態で高さ方向の所定高さ範囲内で検出動作が可能に構成することが好ましく、横部材を固定して高さ方向において効率よく外壁の点検作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の建物外壁点検装置及びシステムによれば、建物外壁の点検作業を遠隔操作で可能であり、点検装置本体を外壁に確実に固定できて正確な点検作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。図1は本実施の形態による、建物に配置される建物外壁点検装置の概略的構成を示す正面図である。図2は図1の建物外壁点検装置及び建物の要部側面図である。
【0018】
図1,図2のように、建物外壁点検装置10が点検対象の建物のバルコニーB(図2)の壁面B7(図2では壁面B8)に配置されている。建物外壁点検装置10は、点検装置本体11と、点検装置本体11が図1の横方向に移動可能に取り付けられる横行桁から構成された横部材12と、横部材12の両端側に設けられた昇降部13,14と、横部材12の昇降部13,14よりもさらに両端側に一対ずつ回転自在に配置された車輪15,16と、昇降部13,14の上下に回転自在に配置された車輪17,18,19,20と、を備える。
【0019】
また、横部材12は、図1のように、複数の短い横方向長さのブロックuから分割可能に構成され、各ブロックuは結合部sで分離可能に結合されている。横部材12は、ブロックuの個数を増減することで、点検対象の建物のバルコニーBの壁面B7の横長さ(点検スパン単位)に対応した横方向長さに調整できる。このように、横部材12を分割可能に構成することで、スパン調整可能となるとともに、点検装置本体により効率よくマンション等の外壁の点検作業を行うことができる。また、横部材を分割した状態で現場に搬入できるので、運搬の軽便が可能となる。
【0020】
図1,図2に示す点検対象の建物は、各柱Cと各梁Hとから主な強度部材が構成され、居住空間JとバルコニーBとを有する住宅用マンションであって、建物外壁点検装置10により各階のバルコニーBの壁面B2〜B8(図11)が点検される。
【0021】
図2のように屋上Sに荷重支持装置50が配置され、その一端51がカウンターウェイト53に接続し、パラペットPの上部から若干突き出た他端52から昇降ワイヤ21,22が吊されている。昇降部13,14は公知のワイヤグリップ式の昇降機構を有し、昇降機構のモータ41(図11)の駆動により昇降ワイヤ21,22に沿って建物外壁点検装置10が上下に移動可能になっている。
【0022】
図1,図2のように、建物外壁点検装置10は、横部材12がバルコニーの壁面B7の横方向に沿って壁面B7に対向するように配置され、その高さ方向位置が昇降部13,14の昇降機構により調整されるが、このとき、壁面B7に接した車輪15〜20により高さ方向の位置決めが容易となる。
【0023】
また、建物外壁点検装置10の横方向位置は、屋上Sの荷重支持装置50の位置(図2の紙面高さ方向の位置)によって調整できる。また、昇降部13,14は、横部材12に対する横方向位置の調整が可能であり、点検対象の建物のバルコニーBの壁面B7の横長さ(点検スパン単位)に対応するように微調整できる。すなわち、昇降部13,14は、後述の図5,図8(a)のように、横部材12に設けられたガイドレール12bに係止されており、ガイドレール12bに沿って(図5,図8の紙面垂直方向に)移動可能であり、その位置を微調整できる。
【0024】
次に、建物外壁点検装置10の点検装置本体11について図3〜図6を参照して説明する。図3は図1,図2の点検装置本体11を建物上部からみた要部平面図である。図4は図3の点検装置本体11を建物前面からみた要部正面図である。図5は図3,図4の点検装置本体11の要部側面図である。図6は図5の点検装置本体11の高さ方向の移動範囲を説明するための側面図である。
【0025】
図3〜図6のように、点検装置本体11は、点検対象の建物外壁に対して浮きや割れ等の欠陥の検出動作(点検動作)を行うものであり、点検対象の壁面B7を撮影し壁面B7の画像データを得るカメラ11aと、壁面B7を打検するハンマ部11bと、打検時の打撃音と反響音とを集めるマイクロフォン等からなる集音部11cと、を筐体11d内に備えている。なお、このような点検装置本体11自体は、例えば、上記特許文献4(実開平05−66556号公報)から公知である。
【0026】
点検装置本体11は、点検対象の壁面B7と横部材12との間に位置し、筐体11dがその後面側に設けられた係止部11eで横部材12のガイドレール12aに係止されており、モータ43(図11)の駆動により横部材12に沿って図3,図4の横方向n、n’に移動可能になっている。
【0027】
点検装置本体11の筐体11d内において、カメラ11aとハンマ部11bと集音部11cとは、内蔵されたモータ44(図11)等からなる垂直移動機構により図5の高さ方向v、v’へ一体に移動可能になっており、図5の実線で示す位置aから高さ方向v’へ破線で示す位置b,c,d,eへと等間隔に移動し、各位置a〜eでハンマ部11bが壁面B7に対し打検を行うとともにカメラ11aが撮影を行うことで、位置a〜eの高さ方向点検範囲hで点検動作が行われる。
【0028】
建物外壁点検装置10は、図2のように、バルコニーBの壁面B7において高さ方向に図の実線の最下方位置と破線の最上方位置との間で位置決めされる。例えば、点検装置本体11は、図6のように、昇降部13,14により高さ方向において最下方位置と最上方位置と破線で示す中間位置に位置決めされ、例えば、最下方位置から高さ方向vに移動範囲gだけ移動することで中間位置に、さらに中間位置から移動範囲gだけ移動することで最上方位置に位置し、各位置(最下方位置、中間位置、最上方位置)で点検装置本体11のカメラ11aとハンマ部11bと集音部11cにより位置a〜eの高さ方向点検範囲hにおいて点検動作が行われる。これにより、バルコニーBの壁面B7において、壁面B7の高さに対応する高さ方向の点検範囲fで点検動作を行うことができる。
【0029】
また、点検装置本体11は、点検対象の壁面に対する点検装置本体11の平面位置を検出する位置センサ45(図11)を有し、カメラ11aとハンマ部11bと集音部11cとによる点検位置を把握できる構成となっている。すなわち、点検装置本体11が図6のように壁面B7で高さ方向に位置決めされると、図1のように横部材12に沿って横方向n,n’に移動しながら壁面B7の点検動作を行い、次に、垂直位置を変えて再び横方向n,n’に点検動作を行うが、得られた各点検データと壁面B7の平面位置とが位置センサ45による位置情報により対応付けられるようになっている。
【0030】
また、カメラ11aの画像データ及び集音部11cの反響音データ等の点検データは、地上の遠隔操作部55(図10)に送られて記録され解析される。
【0031】
次に、建物外壁点検装置10を建物の壁面に固定する固定手段について図7〜図9を参照して説明する。図7は図3と同様の要部平面図であり、吸着前(a)及び吸着後(b)を示す。図8は図5と同様の要部側面図であり、吸着前(a)及び吸着後(b)を示す。図9は図7の車輪とハウジングを図7と同じ方向からみた図であり、吸着前(a)及び吸着後(b)を示す。
【0032】
図7(a),図8(b)のように、横部材12の左端には車輪15を収容するハウジング31が設けられるとともに昇降部13から延びるように車輪17を収容するハウジング32及び車輪18を収容するハウジング33が設けられている。昇降部13にはバキュームポンプ42(図11)が内蔵されており、バキュームポンプからのホース30が各ハウジング31,32,33に接続され、各ハウジング31,32,33の内部が排気されて真空吸引される。
【0033】
ハウジング内の構造について図9のハウジング32を例にして説明するが、他のハウジング31,33も基本的に同様に構造となっている。すなわち、図9(a)のように、ハウジング32内にはゴム製の車輪17がハブ部36aを介して回転軸36で回転自在に構成されて、ハウジング32内から壁面B7側に若干露出するようにして収容されている。ハウジング32の壁面B7側には角筒状のゴム製のパッド37が連結されており、パッド37の先端にはパッド37よりも薄いゴム製でスカート状に広がったスカート部38が設けられている。このように、ハウジング32にゴム製のパッド37とスカート部38を取り付けることで、空気の漏れを抑制することができ、排気密着による固定を確実にできる。
【0034】
ハウジング32には、昇降部13に内蔵されたバキュームポンプから延びたホース30が接続され、ハウジング32の内部空間T内が排気されて負圧になる。なお、横部材12の右端側も上述と同様の構成となっている。
【0035】
昇降部13内のバキュームポンプ42(図11)を作動させて、ハウジング32の内部空間T内を排気し負圧にすることで、図7(b)、図8(b)、図9(b)のように、ハウジング32のパッド37が壁面B7に当接し、スカート部38が広がって壁面B7に当接し、ハウジング32から若干露出し壁面B7に当接した車輪17が壁面B7に押し付けられて、破線で示す変形部17aが凹んで変形して当接することにより、ハウジング32が壁面B7に対し排気密着して固定される。なお、この排気密着のとき、ハウジング32全体が横部材12とともに図9(b)のように壁面B7側に距離wだけ前進する。
【0036】
上述のようにして建物外壁点検装置10はバキュームポンプを用いることで建物の壁面B7に固定される。
【0037】
なお、図5の破線に示すように、左右の昇降部13,14に、斜め上方に突き出るようにしてバランスウエイト39を設けてもよく、バランスウエイト39によるモーメントで各車輪を壁面B7に押し付けることができる。バランスウエイト39により各車輪を壁面B7に固定できるとともに、真空吸引時にスカート部38と壁面B7との間の隙間をなくすことができる。
【0038】
また、車輪15〜20は、ゴム製のソリッドタイプから構成できるが、低圧タイヤから構成してもよく、低圧タイヤの場合、ハウジング内の真空吸引時に膨張変形が抑えられるような圧力やゴム厚等とすることが好ましい。
【0039】
また、バキュームポンプとホースとの間に制御バルブ59(図11)を設け、建物外壁点検装置10の高さ方向の位置により、例えば、図2のように車輪18(実線)や車輪17(破線)が壁面からずれて離れたとき、制御バルブ59を作動させて閉じることで無駄な真空吸引を防ぐことが好ましい。または、バキュームポンプを各ハウジング毎に設け、車輪が壁面からずれているハウジングのバキュームポンプを作動させないように制御してもよい。
【0040】
次に、本実施形態による建物外壁点検システムについて図10,図11を参照して説明する。図10は本実施形態による建物外壁点検システムを概略的に示す側面図である。図11は図10の建物外壁点検システムの制御系を説明するためのブロック図である。
【0041】
図10のように、建物外壁点検システム60は、点検対象の壁面に設置される図1〜図9の建物外壁点検装置10と、屋上Sに設置されて建物外壁点検装置10を昇降ワイヤ21,22により吊り下げる荷重支持装置50と、建物外壁点検装置10を地上で遠隔操作し制御する遠隔操作部55と、建物外壁点検装置10のモータやバキュームポンプ等に電力を供給する動力供給部56と、を備える。建物外壁点検装置10と、遠隔操作部55、動力供給部56との間に各種電気的接続のためにケーブル57が設けられている。
【0042】
図11のように、建物外壁点検装置10を制御するために遠隔操作部55は、各種情報信号が入力し、モータやバキュームポンプ等に制御信号を送る制御部40と、各種情報を表示するCRTや液晶パネルからなる表示部47と、点検した壁面における仕上げ材の浮きや割れ等の欠陥を検出するためにカメラ11aの画像データ及び集音部11cの反響音データ等の点検データを解析する解析部48と、モータやバキュームポンプ等の各種電源のオンオフのためのスイッチ部46と、を備える。
【0043】
制御部40は、昇降機構用モータ41,バキュームポンプ42,点検装置本体11の移動用モータ43,点検装置本体11内のカメラ11aや打検ハンマ部11b等の移動用モータ44を、スイッチ部46の操作や予め所定のシーケンスで作動するようにプログラミングされたプログラムに基づいて制御するとともに、カメラ11aや集音部11cや位置センサ45で得た点検データを解析し、その解析結果(欠陥の有無の判定結果)を表示部47に表示したり、記憶部49に記録させる。なお、点検装置本体11で得た点検データは、ケーブル57に含まれるデータ伝送ケーブルによって遠隔操作部55に送られるが、無線伝送によって送るようにしてもよい。
【0044】
次に、図1〜図11の建物外壁点検システム60による建物外壁に対する点検工程(1)〜(13)について説明する。
【0045】
(1)図2,図10のように建物屋上Sに荷重支持装置として荷重支持装置50を設置し、外壁B8〜B2に沿って地上まで昇降ワイヤ21,22を垂下する。
【0046】
(2)点検対象の例えばバルコニーの横方向長さに対応して、横部材12の横行桁のブロックuを組み合わせ、横部材12の横方向長さを設定する。例えば、図1に示すように、横部材12の横方向長さを、バルコニーの壁面B7の横方向の点検範囲kを点検装置本体11の1回の横方向走行で点検動作が完了するように設定する。
【0047】
(3)地上にて横部材12に点検装置本体11と昇降部13,14とを組み付け、昇降部13,14に昇降ワイヤ21,22を通す。このとき、昇降部13,14の横部材12に対する横方向位置を調整することでスパンの微調整を行う。
【0048】
(4)昇降部13,14の昇降機構をモータ41で動作させ、点検装置本体11を昇降ワイヤ21,22に沿って上昇させる。
【0049】
(5)点検対象を例えば、図1,図10のバルコニーの壁面B7とすると、点検装置本体11を壁面B7まで上昇させ、横部材12の両端に設けた車輪15,16及び昇降部13,14に設けた車輪17〜20を壁面B7に接して位置決め準備をする。
【0050】
(6)例えば、バルコニー高さ(図6の点検範囲f)を1.5m、点検装置本体11の移動範囲g(図6)を50cmとし、第1回目の点検動作でバルコニーの壁面B7の上三分の一のエリアを点検できるように、点検装置本体11の高さ方向位置を昇降部13,14にて調整する。これにより、点検装置本体11を例えば、図6の最上方位置に位置決める。
【0051】
(7)昇降部13,14内のバキュームポンプ42を作動させ、壁面B7に接する車輪を収容した各ハウジング31,32,33を壁面B7に密着させる。すなわち、建物外壁点検装置10の位置決め後、図7〜図9のように、バキュームポンプ42でハウジング32内を排気すると、ゴム製のスカート部38及びパッド37によりハウジング32の中の真空圧が高まり、ハウジング32が徐々に壁面B7に押し付けられるとともに、車輪17が撓むため、最終的にハウジング32はパッド37の部分を壁面B7に接した状態で固定されることで、建物外壁点検装置10を壁面B7に排気密着し固定される。
【0052】
(8)上述のようにして建物外壁点検装置10全体が固定された後に、点検装置本体11をモータ43で横部材12に沿って横方向nまたはn’へ横行させ点検動作を開始する。この点検動作では、点検装置本体11を横行させて開始位置を決め、開始位置で横行を停止して点検装置本体11の垂直移動機構をモータ44で作動させてカメラ11aやハンマ部11bを所定間隔で移動させ、設定された5点(図5,図6の縦方向位置a〜eの高さ方向点検範囲h内)の各ポイントについてハンマ部11bによるハンマリングを行い、この間、カメラ11aで連続的に画像を撮影する。
【0053】
(9)上述のハンマ部11bによる縦1列5点(位置a〜e)のハンマリングが完了したら、横部材12に沿って点検装置本体11を1列だけ横移動させる。この1列の移動量は、例えば10cmとし、1列移動後に同様に5点のハンマリング及び画像撮影を行う。
【0054】
(10)以上の繰り返しにより横部材12の横長さ範囲内で設定した図1の点検範囲k内をすべて点検した後、バキュームポンプ42を停めて固定を解除し、昇降部13,14により点検装置本体11を50cm下降させ、図6の中間位置に位置決めてから壁面B7を同様に点検する。
【0055】
(11)中間位置での点検が終了したら、同様に点検装置本体11をさらに50cm下降させてバルコニーの壁面B7の下三分の一を同様に点検する。
【0056】
(12)上述のようにして、1階分のバルコニーの壁面B7の点検が終了すると、昇降部13,14により点検装置本体11を1階高さ分上昇または下降させてから、例えば図1,図10の壁面B8またはB6を同様にして点検する。
【0057】
(13)高さ方向に全ての階のバルコニーの壁面B2〜B8(図10)の点検が終了すると、建物外壁点検装置10を地上に降ろし、屋上Sの荷重支持装置50を横方向(図2の紙面高さ方向)に移設し、次の点検スパンについて同様にして点検を行う。
【0058】
なお、上述の点検工程(8)及び(9)は、予め数値を設定することで自動運転を行うようになっている。また、点検工程(10)及び(11)における50cmの小移動についても自動運転が可能である。かかる自動運転は、図11の制御部40が所定のプログラムに従って実行することができる。また、バルコニー高さが変われば、点検動作の高さ方向の分割回数(上記例では3回)が変わる。
【0059】
以上のように、図1〜図11の建物外壁点検装置10及び建物外壁点検システム60によれば、超高層ビル・マンションの外壁でも人間が高所に行くことなく、安全に点検作業を行うことができる。また、横部材12を設置した後は、点検ポイントの縦5点の移動と横1列の移動は自動で行うことができ、省力化を実現できる。
【0060】
また、点検装置本体11を左右に設置した横部材12上を横行させることで、1回の走行で所定の点検スパンを点検できるので、作業性向上及び工期短縮を図ることができるとともに、横部材12や昇降部13,14にゴンドラのパーツの利用が可能であるため、低コストと精度の確保を実現できる。
【0061】
また、建物外壁点検装置をワイヤだけで吊り下げると、装置の壁面に対する押し付け力は、ワイヤの成す角度による分力だけとなって、ワイヤを長く伸ばした低層部になるほど小さくなるのであるが、本実施の形態では、バキュームポンプにより、壁面に接する車輪を収容した各ハウジングを壁面に密着させることで、建物外壁点検装置10を壁面に吸着させて高さ位置に関わらず確実に固定することができる。これにより、点検装置本体11で点検作業を行う際に、風により建物外壁点検装置10が動揺することがない。このように、建物外壁点検装置10に対する風による振れを抑止して点検装置本体11により正確な点検作業を行うことができる。
【0062】
また、点検装置本体11の垂直移動機構による高さ方向点検範囲h(図5,図6)は、点検装置本体11の3回以内の横行でバルコニー高さ(図6の点検範囲f)の点検が完了できるように設定することが好ましい。
【0063】
以上のように本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、本実施の形態では、バルコニーのある建物(マンション)を点検対象としたが、本発明は、これに限定されず、事務所用ビルを点検対象にできることはもちろんである。また、バルコニーのある建物において、バルコニーの壁面以外の外壁を点検できることはもちろんである。
【0064】
また、点検装置本体11に搭載するカメラ11aは、普通画像用のカメラであるが、赤外線画像カメラ(場合によってはサーモグラフィーカメラ)としてもよく、また、両者を併用するようにしてもよい。
【0065】
また、建物外壁点検装置の固定手段として、車輪のハウジング内を排気し密着させる手段を設けたが、本発明はこれに限定されず、吸着部を別に設け、かかる吸着部内を排気して真空吸引により建物外壁点検装置を建物に対し排気密着で固定するようにしてもよい。
【0066】
また、点検装置本体は、本実施の形態では、壁面を撮影する画像カメラ及び壁面を打検するハンマ部と集音部から構成したが、本発明はこれに限定されず、他の壁面点検手段から構成してもよく、例えば、壁面を機械的に振動させ、センサで振動を測定し、振動測定結果に基づいて壁面の剥離の有無を判別するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本実施の形態による、建物に配置される建物外壁点検装置の概略的構成を示す正面図である。
【図2】図1の建物外壁点検装置及び建物の要部側面図である。
【図3】図1,図2の点検装置本体11を建物上部からみた要部平面図である。
【図4】図3の点検装置本体11を建物前面からみた要部正面図である。
【図5】図3,図4の点検装置本体11の要部側面図である。
【図6】図5の点検装置本体11の高さ方向の移動範囲を説明するための側面図である。
【図7】図3と同様の要部平面図であり、吸着前(a)及び吸着後(b)を示す。
【図8】図5と同様の要部側面図であり、吸着前(a)及び吸着後(b)を示す。
【図9】図9は図7の車輪とハウジングを図7と同じ方向からみた図であり、吸着前(a)及び吸着後(b)を示す。
【図10】本実施形態による建物外壁点検システムを概略的に示す側面図である。
【図11】図10の建物外壁点検システムの制御系を説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
【0068】
10 建物外壁点検装置
11 点検装置本体
12 横部材
13,14 昇降部
15〜20 車輪
21,22 昇降ワイヤ
30 ホース
31〜33 ハウジング
37 パッド
38 スカート部
40 制御部
42 バキュームポンプ
50 荷重支持装置
55 遠隔操作部
60 建物外壁点検システム
B バルコニー
B2〜B8 壁面(建物外壁)
S 建物屋上
T 内部空間
n,n’ 横方向
v,v’ 高さ方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物外壁に対し欠陥の検出動作を行い点検データを得る点検装置本体と、
建物上部から吊り下げられて壁面に対向配置可能でありかつ前記点検装置本体を横方向に移動可能に取り付ける横部材と、
前記横部材を昇降させる昇降部と、
少なくとも前記点検装置本体を前記建物側に固定可能な固定手段と、を備えることを特徴とする建物外壁点検装置。
【請求項2】
前記固定手段は前記横部材を前記壁面に密着させる排気密着手段を備える請求項1に記載の建物外壁点検装置。
【請求項3】
前記壁面と接触するように前記横部材に設けられた車輪と、前記車輪を回転可能に収容するように前記横部材に設けられたハウジングと、をさらに備え、
前記固定手段は、前記ハウジング内を排気する排気手段を有し、前記排気手段により前記ハウジング内を排気することで前記ハウジングを前記壁面に密着させる請求項1または2に記載の建物外壁点検装置。
【請求項4】
請求項1,2または3に記載の建物外壁点検装置と、
前記建物外壁点検装置を建物上部からワイヤにより吊り下げる荷重支持装置と、
前記建物外壁点検装置を遠隔操作し制御する遠隔操作部と、を備え、
少なくとも前記点検装置本体が前記固定手段により壁面に固定されて、前記点検装置本体が前記横部材の横方向に移動して前記検出動作を行うことを特徴とする建物外壁点検システム。
【請求項1】
建物外壁に対し欠陥の検出動作を行い点検データを得る点検装置本体と、
建物上部から吊り下げられて壁面に対向配置可能でありかつ前記点検装置本体を横方向に移動可能に取り付ける横部材と、
前記横部材を昇降させる昇降部と、
少なくとも前記点検装置本体を前記建物側に固定可能な固定手段と、を備えることを特徴とする建物外壁点検装置。
【請求項2】
前記固定手段は前記横部材を前記壁面に密着させる排気密着手段を備える請求項1に記載の建物外壁点検装置。
【請求項3】
前記壁面と接触するように前記横部材に設けられた車輪と、前記車輪を回転可能に収容するように前記横部材に設けられたハウジングと、をさらに備え、
前記固定手段は、前記ハウジング内を排気する排気手段を有し、前記排気手段により前記ハウジング内を排気することで前記ハウジングを前記壁面に密着させる請求項1または2に記載の建物外壁点検装置。
【請求項4】
請求項1,2または3に記載の建物外壁点検装置と、
前記建物外壁点検装置を建物上部からワイヤにより吊り下げる荷重支持装置と、
前記建物外壁点検装置を遠隔操作し制御する遠隔操作部と、を備え、
少なくとも前記点検装置本体が前記固定手段により壁面に固定されて、前記点検装置本体が前記横部材の横方向に移動して前記検出動作を行うことを特徴とする建物外壁点検システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−52958(P2009−52958A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218466(P2007−218466)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000166627)五洋建設株式会社 (364)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000166627)五洋建設株式会社 (364)
【Fターム(参考)】
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