説明

建築限界測定器

【課題】軽量化を図るとともに一対のレールに跨って載置させた際に電気的に短絡して導通してしまうのを回避することができる建築限界測定器を提供する。
【解決手段】一対のレールR1、R2上を通過する列車の建築限界Gを測定し得る建築限界測定器において、アルミ又はアルミ合金から成り、一対のレールに跨って載置されるとともに、その載置された状態で建築限界G位置まで延設した延設部1fを有する測定器本体1と、測定器本体1の一部に形成されるとともに、一方のレールR1の縁部R1aと当接可能とされ、当該当接箇所が建築限界Gを測定する際の基準点を成す基準部材2とを具備し、基準部材2は、当該基準部材2を挟んで両側に位置する測定器本体1を互いに絶縁し得る樹脂材から成るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のレール上を通過する列車の建築限界を測定し得る建築限界測定器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
列車がレール上を通過する際に周囲と干渉することなく安全に走行させるべく、通常、当該レールよりも外側において、列車の幅寸法に相当の余裕寸法を加えた空間が必要とされる。かかる空間を「建築限界」といい、当該建築限界内にホーム等の建築物が入り込まないよう設計する必要がある。然るに、従来より、一対のレールに跨って載置されるとともに、当該載置状態で建築限界位置まで延設した延設部を有した建築限界測定器が提案されるに至っている。
【0003】
かかる従来の建築限界測定器は、その測定器本体が木材から成り、一対のレールに跨った状態において、一方のレールの縁部(内側上縁部)と当接可能とされ、当該当接箇所が建築限界を測定する際の基準点を成す基準部材を具備していた。これにより、基準部材を一方のレールに当接させつつ一対のレールに跨って載置させれば、延設部の先端の位置が建築限界を示すこととなり、これに基づいて建築物の設計が行われることとなる。尚、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の建築限界測定器においては、その測定器本体が木材から成るものであったため、重量が大きくなってしまい持ち運びが困難であるという問題があった。然るに、測定器本体をアルミやアルミ合金から成るものとし、軽量化を図ることが考えられるが、その場合、一対のレールに跨って載置させたときに電気的に短絡して導通してしまい、信号線等に不具合を生じさせてしまう虞があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、軽量化を図るとともに一対のレールに跨って載置させた際に電気的に短絡して導通してしまうのを回避することができる建築限界測定器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、一対のレール上を通過する列車の建築限界を測定し得る建築限界測定器において、アルミ又はアルミ合金から成り、一対のレールに跨って載置されるとともに、その載置された状態で建築限界位置まで延設した延設部を有する測定器本体と、該測定器本体の一部に形成されるとともに、一方のレールの縁部と当接可能とされ、当該当接箇所が建築限界を測定する際の基準点を成す基準部材とを具備し、前記基準部材は、当該基準部材を挟んで両側に位置する前記測定器本体を互いに絶縁し得る樹脂材から成ることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の建築限界測定器において、前記測定器本体は、複数箇所で折り畳み可能とされたことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の建築限界測定器において、前記測定器本体が一対のレールに跨って載置された状態で他方のレール上に位置するとともに、絶縁性の樹脂材から成る樹脂部材を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、アルミ又はアルミ合金から成り、一対のレールに跨って載置されるとともに、その載置された状態で建築限界位置まで延設した延設部を有する測定器本体と、該測定器本体の一部に形成されるとともに、一方のレールの縁部と当接可能とされ、当該当接箇所が建築限界を測定する際の基準点を成す基準部材とを具備し、基準部材は、当該基準部材を挟んで両側に位置する測定器本体を互いに絶縁し得る樹脂材から成るので、軽量化を図るとともに一対のレールに跨って載置させた際に電気的に短絡して導通してしまうのを回避することができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、測定器本体は、複数箇所で折り畳み可能とされたので、軽量化に加え建築限界測定器の小型化を図ることができ、可搬性に富んだものとすることができる。
【0011】
請求項3の発明によれば、測定器本体が一対のレールに跨って載置された状態で他方のレール上に位置するとともに、絶縁性の樹脂材から成る樹脂部材を具備したので、測定器本体を安定してレール上に載置させることができるとともに、一対のレールに跨って載置させた際に電気的に短絡して導通してしまうのをより確実に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る建築限界測定器を示す平面図及び正面図
【図2】同建築限界測定器における延設部近傍を示す拡大図
【図3】同建築限界測定器における基準部材を示す正面図
【図4】図3におけるIV−IV線断面図
【図5】図3におけるV−V線断面図
【図6】同建築限界測定器における樹脂部材を示す正面図
【図7】同建築限界測定器を折り畳んだ状態を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る建築限界測定器は、一対のレール上を通過する列車の建築限界を測定し得るものであり、図1、2に示すように、列車が通過し得る一対のレール(一方のレールR1及び他方のレールR2)に跨って載置可能とされた長尺部材から成る測定器本体1と、該測定器本体1に形成された基準部材2及び樹脂部材3とから主に構成されている。ここで、建築限界とは、レールR1、R2よりも外側において、列車の幅寸法に相当の余裕寸法を加えた空間のことをいい、本明細書においては符号G(図2参照)で示すこととする。
【0014】
測定器本体1は、アルミ又はアルミ合金から成り、一対のレールR1、R2に跨って載置されるとともに、その載置された状態で建築限界位置まで延設した延設部(板材1g)を有するものである。具体的には、測定器本体1は、6枚のアルミ又はアルミ合金製の板材(板材1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g)を連結して成るものであり、このうち板材1a〜1fが略直線状に連結されるとともに、そこから約45度上方に傾斜しつつ延設部としての板材1gが連結して延設されている。
【0015】
板材1aと1b、板材1bと1c、板材1cと1dとの間における一方の面には蝶番a〜cがそれぞれ取り付けられており、当該板材の間における他方の面には図1の状態を維持すべくロック可能なロック部材d〜fがそれぞれ取り付けられている。また、板材1eに対して板材1fが軸C1を中心として回動可能とされるとともに、当該板材1fに対して板材1g(延設部)が軸C2を中心として回動可能とされている。尚、図中符号gは、板材1eに対して板材1fの回動を規制するロック部材、及び符号hは、板材1fに対して板材1g(延設部)の回動を規制するロック部材を示している。
【0016】
然るに、ロック部材d〜fによるロックを解除し、蝶番a〜cにて板材1a〜1dを折り曲げるとともに、ロック部材g、hによるロックを解除し、板材1f、1gを内側に折り曲げる如く回動させれば、図7で示すように、折り畳み状態とされるようになっている。即ち、本実施形態に係る測定器本体1は、複数箇所で折り畳み可能とされており、全体としてコンパクトな形態とされ得るよう構成されているのである。
【0017】
更に、板材1dと1eとの間には、基準部材2が形成されている。この基準部材2は、測定器本体1の一部に形成されるとともに、図2、3に示すように、突出部2aが一体的に形成されており、当該突出部2aの壁面2aaが一方のレールR1の縁部R1aと当接可能とされ、当該当接箇所(突出部2aの壁面2aa)が建築限界を測定する際の基準点を成すようになっている。即ち、測定器本体1を一対のレールR1、R2に跨った状態としつつ突出部2aの壁面2aaを一方のレールR1の縁部R1aに当接させた状態とすれば、延設部(板材1g)の先端1gaが建築限界Gを示すこととなるので、当該先端1gaより内側に建築物が入り込まないようにするのである。
【0018】
ここで、本実施形態においては、基準部材2は、当該基準部材2を挟んで両側に位置する測定器本体1(即ち、板材1dと1e)を互いに絶縁し得る樹脂材から成るものとされる。具体的には、基準部材2は、図4、5に示すように、例えばMCナイロンから成る樹脂材A1〜A4を複数のボルトBにて固定させたものから成り、樹脂材A1及びA2にて板材1c及び1eの端部が挟持されている。この板材1d及び1eの端面間には、樹脂材A4が介在することとなり、これら板材1dと板材1eとの間を電気的に絶縁し得るよう構成されている。
【0019】
一方、板材1aの端部(測定器本体1の端部)には、樹脂部材3が形成されている。この樹脂部材3は、図6に示すように、測定器本体1が一対のレールR1、R2に跨って載置された状態で他方のレールR2上に位置するとともに、絶縁性の樹脂材(例えば、基準部材2と同様のMCナイロン等)から成るものである。而して、樹脂部材3が他方のレールR2上面に当接するとともに、前述の如く基準部材2が一方のレールR1上面に当接することにより、図1に示すように、測定器本体1が略水平状態で一対のレールR1、R2間にて載置されるようになっている。
【0020】
上記実施形態によれば、アルミ又はアルミ合金から成り、一対のレールR1、R2に跨って載置されるとともに、その載置された状態で建築限界G位置まで延設した延設部(板材1g)を有する測定器本体1と、該測定器本体1の一部に形成されるとともに、一方のレールR1の縁部R1aと当接可能とされ、当該当接箇所が建築限界Gを測定する際の基準点を成す基準部材2とを具備し、基準部材2は、当該基準部材2を挟んで両側に位置する測定器本体1を互いに絶縁し得る樹脂材(A1〜A4)から成るので、軽量化を図るとともに一対のレール(R1、R2)に跨って載置させた際に電気的に短絡して導通してしまうのを回避することができる。
【0021】
即ち、建築限界Gの測定過程や測定前後において、板材1a〜1cの何れかの部位に他方のレールR2が直接接触した状態とされ、且つ、板材1e〜1gの何れかの部位に一方のレールR1が直接接触した状態となったとしても、基準部材2にてその両側が電気的に絶縁されているため、電気的な短絡が確実に防止され、導通による不具合(例えば信号系を誤動作させてしまう等の電気的トラブル)を確実に回避することができるのである。
【0022】
また、測定器本体1は、複数箇所で折り畳み可能とされたので、軽量化に加え建築限界測定器の小型化を図ることができ、可搬性に富んだものとすることができる。尚、折り畳みの形態は、本実施形態のものに限らず、複数箇所で折り畳み可能であれば何れの形態のものであってもよい。然るに、本実施形態においては、測定器本体1が折り畳み可能とされているが、一体のものとされ、折り畳み不可能なものであってもよい。
【0023】
更に、測定器本体1が一対のレール(R1、R2)に跨って載置された状態で他方のレールR2上に位置するとともに、絶縁性の樹脂材から成る樹脂部材3を具備したので、測定器本体1全体を略水平状態に維持して測定器本体1を安定してレール(R1、R2)上に載置させることができるとともに、一対のレール(R1、R2)に跨って載置させた際に電気的に短絡して導通してしまうのをより確実に回避することができる。
【0024】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば基準部材2における一方のレールR1に対する当接箇所(建築限界を測定する際の基準点)が他の位置にあってもよく、例えば一方のレールR1の外側縁部に当接して基準点を構成するものとしてもよい。また、基準部材2及び樹脂部材3は、絶縁性のものであれば何れの樹脂材であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
アルミ又はアルミ合金から成り、一対のレールに跨って載置されるとともに、その載置された状態で建築限界位置まで延設した延設部を有する測定器本体と、該測定器本体の一部に形成されるとともに、一方のレールの縁部と当接可能とされ、当該当接箇所が建築限界を測定する際の基準点を成す基準部材とを具備し、基準部材は、当該基準部材を挟んで両側に位置する測定器本体を互いに絶縁し得る樹脂材から成る建築限界測定器であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 測定器本体
1g 板材(延設部)
2 基準部材
3 樹脂部材
G 建築限界
R1 一方のレール
R2 他方のレール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のレール上を通過する列車の建築限界を測定し得る建築限界測定器において、
アルミ又はアルミ合金から成り、一対のレールに跨って載置されるとともに、その載置された状態で建築限界位置まで延設した延設部を有する測定器本体と、
該測定器本体の一部に形成されるとともに、一方のレールの縁部と当接可能とされ、当該当接箇所が建築限界を測定する際の基準点を成す基準部材と、
を具備し、前記基準部材は、当該基準部材を挟んで両側に位置する前記測定器本体を互いに絶縁し得る樹脂材から成ることを特徴とする建築限界測定器。
【請求項2】
前記測定器本体は、複数箇所で折り畳み可能とされたことを特徴とする請求項1記載の建築限界測定器。
【請求項3】
前記測定器本体が一対のレールに跨って載置された状態で他方のレール上に位置するとともに、絶縁性の樹脂材から成る樹脂部材を具備したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の建築限界測定器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−261864(P2010−261864A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113904(P2009−113904)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(592124344)株式会社協栄製作所 (17)
【Fターム(参考)】