説明

建設機械の操作レバー装置およびコンソール

【課題】操作レバーの揺動に伴うワイヤハーネスの局部的な曲げ作用を抑えることができ、これによってワイヤハーネスの局部的な劣化を未然に防ぐことができる建設機械の操作レバー装置およびコンソールを提供する。
【解決手段】操作レバー32の揺動に伴いその操作レバー32の中間結合部材37のハーネス取出口37cが描く円弧状軌跡を含む円周42に側面視で沿うようにワイヤハーネス41をその操作レバー32の後方に向けて配線し、側面視で操作レバー32の最後退位置と円周42における操作レバー32の後退方向の一番遠い位置との間にハーネスガイド51,52を配置する。このような構成の操作レバー装置27を、サスペンション装置21上に設置される基台22上でオペレータシート23と共に取り付けられるコンソール筐体25に装備することで、オペレータシート23と同一の振動系のコンソール24を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばホイールローダのような建設機械における作業機等の操作に供する建設機械の操作レバー装置およびコンソールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建設機械のコンソールに装備される操作レバー装置として、前後方向に揺動自在に設けられる複数の操作レバーと、各操作レバーに付設される操作スイッチとを備えて構成されるものがある。この操作レバー装置においては、各操作レバーに対応してその操作量を検出するレバー操作量検出器が設けられている。
【0003】
コンソールのコンパクト化を図るために、互いに隣接するレバー操作量検出器の間の隙間を小さく、あるいは零にした場合、操作スイッチからのワイヤハーネスを、レバー操作量検出器の側方を通して配線することが難しくなるという問題がある。
【0004】
このような問題を解決し得るものとして、例えば特許文献1にて提案されている操作レバー装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−330661号公報
【0006】
特許文献1に係る操作レバー装置においては、操作スイッチからのワイヤハーネスが操作レバーの後方に向けて配線されている。また、ワイヤハーネスの外径よりも大きい孔を有するブラケットが操作レバーの後方に配置されている。これにより、操作レバーの揺動に伴って、ワイヤハーネスがブラケットの孔内を滑って長さ方向に繰り出されたり繰り込まれたりして案内される。
この操作レバー装置によれば、ブラケットに設けられた孔によってワイヤハーネスの径方向への移動が拘束された状態でワイヤハーネスが長さ方向に案内される。このため、ワイヤハーネスが小さい曲率で強く曲げられることがなくなる。したがって、断線を未然に防ぐことができ、長期に亘って安定的に使用することができる。
【0007】
しかしながら、特許文献1に係る操作レバー装置では、ワイヤハーネスが小さい曲率で強く曲げられることはなくなるものの、操作レバーの揺動に伴って、操作レバーとブラケットとの間におけるワイヤハーネスが局部的に繰り返し屈曲されるため、ワイヤハーネスが局部的に劣化する恐れがあるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述のような問題点に鑑みてなされたもので、操作レバーの揺動に伴うワイヤハーネスの局部的な曲げ作用を抑えることができ、これによってワイヤハーネスの局部的な劣化を未然に防ぐことができる建設機械の操作レバー装置およびコンソールを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明による建設機械の操作レバー装置は、
前後方向に揺動自在な操作レバーと、
前記操作レバーに付設される操作スイッチと、
前記操作スイッチに接続されるワイヤハーネスと、
前記ワイヤハーネスを案内するハーネスガイドと、
を備える建設機械の操作レバー装置において、
前記操作レバーの揺動に伴いその操作レバーの所定部位が描く円弧状軌跡を含む円周に側面視で沿うように前記ワイヤハーネスをその操作レバーの後方に向けて配線し、
側面視で前記操作レバーの最後退位置と前記円周における前記操作レバーの後退方向の一番遠い位置との間に前記ハーネスガイドを配置する
ことを特徴とするものである(第1発明)。
【0010】
本発明において、前記ハーネスガイドは、側面視で前記円周における前記操作レバーの後退方向の一番遠い位置に配置されるのが好ましい(第2発明)。
【0011】
本発明において、前記操作レバーの基部を覆う外装カバーが設けられるとともに、この外装カバーと前記操作レバーとの隙間を塞ぐ目隠しカバーが設けられ、前記目隠しカバーに、前記ワイヤハーネスを保持するハーネス保持部材が設けられるのが好ましい(第3発明)。
【0012】
次に、本発明による建設機械のコンソールは、
サスペンション装置を介して設置される基台にオペレータシートと共に取り付けられるコンソール筐体に、第1発明〜第3発明のいずれかの発明に係る建設機械の操作レバー装置が装備されてなることを特徴とするものである(第4発明)。
【発明の効果】
【0013】
第1発明においては、操作レバーの揺動に伴いその操作レバーの所定部位が描く円弧状軌跡と側面視で略同じ曲率でワイヤハーネスが操作レバーの後方に向けて配線される。また、側面視でその円弧状軌跡を含む円周における操作レバーの最後退位置と操作レバーの後退方向の一番遠い位置との間にハーネスガイドが配置される。このハーネスガイドによってワイヤハーネスが側面視でその円弧状軌跡と略同じ曲率を一定に保持した状態で長さ方向に繰り出されたり繰り込まれたりして案内される。このため、操作レバーとハーネスガイドとの間において、操作レバーの揺動に伴うワイヤハーネスの局部的な曲げ作用が抑えられることになる。したがって、ワイヤハーネスに局部的に繰り返し加わる曲げ作用に起因するワイヤハーネスの局部的な劣化を未然に防ぐことができるという効果がある。
【0014】
第2発明においては、操作レバーの揺動に伴いその操作レバーの所定部位が描く円弧状軌跡を含む円周における側面視で操作レバーの後退方向の一番遠い位置にハーネスガイドが配置される。これにより、操作レバーの揺動に伴うワイヤハーネスの局部的な曲げ作用を抑える効果を最大限に得ることができる。
【0015】
第3発明においては、操作レバーと外装カバーとの隙間を塞ぐ目隠しカバーにワイヤハーネスを保持するハーネス保持部材が設けられる。これにより、操作レバーの後退時にワイヤハーネスがハーネスガイドを通して後方へと繰り込まれる際に、ワイヤハーネスがハーネスガイドとの摩擦力に起因して撓むのを目隠しカバーに設けられたハーネス保持部材によって防ぐことができる。
【0016】
第4発明においては、サスペンション装置上においてコンソールとオペレータシートとが基台を介して同一の振動系とされる。これにより、振動系が異なることによる操作レバーの操作ミスを未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る建設機械の操作レバー装置およびコンソールを具備するホイールローダの左側面図
【図2】本発明の一実施形態に係る建設機械の操作レバー装置およびコンソールが装備された運転席ユニットの全体斜視図
【図3】図2のA矢視図
【図4】図3のB−B線断面図
【図5】本実施形態の建設機械の操作レバー装置を後方左側から見た全体斜視図
【図6】図4のC−C線断面図
【図7】図5のD部拡大図(a)および図6のE−E線断面図(b)
【図8】ハーネスガイドの全体斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明による建設機械の操作レバー装置およびコンソールの具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、ホイールローダの運転席ユニットに配備されるコンソールに組み付けの操作レバー装置に本発明が適用された例である。しかし、これに限定されるものではなく、ホイールローダ以外の例えばブルドーザ等を含む建設機械に装備される操作レバー装置にも本発明が適用されるのは言うまでもない。また、以下の説明において、前後左右方向は、特段の断りがない限り、運転席(オペレータシート)に着座したオペレータを基準とする前後左右方向に一致させている。
【0019】
<ホイールローダの概略説明:図1参照>
図1に示されるホイールローダ1は、左右の前車輪2を有する前部車体3と、左右の後車輪4を有する後部車体5とを備えている。
前部車体3と後部車体5とは、センタヒンジ6によって連結されている。これにより、前部車体3と後部車体5とがセンタヒンジ6を中心として左右方向に屈折自在とされている。
【0020】
<前部車体の装備品の説明:図1参照>
前部車体3には、左右方向に所定間隔を存して配される一対のリフトアーム7が図示されないリフトシリンダによって起伏自在に取り付けられている。また、前部車体3には、一対のリフトアーム7の間に位置するようにダンプシリンダ8が取り付けられている。
一対のリフトアーム7の前後方向中間部は、ビーム部材9によって結合されている。このビーム部材9には、ベルクランク装置10が装着されている。
一対のリフトアーム7の先端部には、掘削・積込用のバケット11が回動可能に取り付けられている。このバケット11とダンプシリンダ8とはベルクランク装置10を介して連結されている。そして、ダンプシリンダ8が圧油の作用によって伸縮されると、バケット11が回動されるようになっている。
【0021】
<後部車体の装備品の概略説明:図1参照>
後部車体5の骨組を構成する後部車体フレーム12には、前から順に、運転室を構成するキャブ13、作動油を貯留する作動油タンク14、エンジン等を収容する動力室15、および冷却ファン装置等を収容する後部外装カバー16がそれぞれ搭載されている。
【0022】
<キャブの概略説明:図1,2参照>
図2に示されるように、キャブ13は、後部車体フレーム12(図1参照)上に図示されない所要のマウントを介して設置される床部材17に、上方からキャブ本体18が被せられるように組み付けられて構成されている。このキャブ13において、床部材17の略中央部には、運転席ユニット19が設置されている。
【0023】
<運転席ユニットの概略説明:図2参照>
運転席ユニット19は、床部材17上に固定される台座20を備えている。この台座20上には、サスペンション装置21を介して基台22が設置されている。この基台22は、オペレータシート23を載せる主板状部22aと、コンソール24を載せるために右側に張り出された張出板状部22bとにより構成されている。
基台22の主板状部22a上には、図示されないレール部材を介してオペレータシート23が前後方向に移動調節可能に取り付けられている。また、基台22の張出板状部22b上には、やはり図示されないレール部材を介してコンソール24が前後方向に移動調節可能に取り付けられている。
【0024】
<コンソールの説明:図2参照>
コンソール24は、本体部分を構成するコンソール筐体25に、各種のスイッチ類26や、操作レバー装置27、アームレスト装置28などが一纏めに配設されて構成されている。ここで、スイッチ類26は、コンソール筐体25の右側部に配置されている。操作レバー装置27は、コンソールの筐体25の前部に配置されている。アームレスト装置28は、コンソール筐体25の中間部から後部に亘って配置されている。
【0025】
<操作レバー装置の概略説明:図3、図4、図5参照>
図4に示されるように、操作レバー装置27は、コンソール筐体25の骨組を構成するコンソール筐体フレーム29に固定されるレバー装置支持フレーム30に組み付けられている。この操作レバー装置27は、図3および図5に示されるように、3本の操作レバー31,32,33を備えている。一番右側にリフトアーム用の操作レバー31、真ん中にバケット用の操作レバー32、一番左側にオプション用の操作レバー33がそれぞれ配置されている。
なお、これら操作レバー31,32,33は、基本的に同じ構造のものである。このため、以下においては、代表として、バケット用の操作レバー32に関して説明することとし、この操作レバー32に関する説明をもってその他の操作レバー31,33に関する説明を行ったものとすることとする。
【0026】
<バケット用の操作レバーの説明:図4参照>
図4に示されるように、バケット用の操作レバー32は、中立位置にあるときに前傾状態で起立され、その中立位置から前後方向に揺動自在にレバー操作量検出器34に支持されている。この操作レバー32は、鉛直線に対し所定角度前方に傾斜が付されて真っ直ぐに伸びる支柱部材35と、手指で握ることのできるグリップ部材36とを有している。
グリップ部材36は、支柱部材35に対し前方にオフセットさせた位置に配されている。グリップ部材36の下端部と支柱部材35の上端部とは中間結合部材37によって結合されている。
支柱部材35の下端部には、左右方向の水平軸線Oを有する軸部材38が接続されている。
【0027】
<レバー操作量検出器の説明:図1、図4参照>
図4に示されるように、レバー操作量検出器34は、操作レバー32の前後方向の進退操作量を検出するものである。このレバー操作量検出器34は、検出器本体34aと、ブーツ34bとにより構成されている。
検出器本体34aは、ボルト39によってレバー装置支持フレーム30に固定されている。この検出器本体34aには、操作レバー32の軸部材38をその水平軸線Oの回りに回転自在に支持する図示されない軸受部材が組み込まれている。また、この検出器本体34aには、操作レバー32における軸部材38の回転角を検出する図示されない回転角センサが内蔵されている。なお、この回転角センサから出力される角度検出信号に基づいて所定の演算が図示されないコントローラによって行われ、その演算結果に基づいてバケット11(図1参照)の回動操作が行われるようになっている。
ブーツ34bは、ゴム等の可撓性部材で構成され、操作レバー32の支柱部材35の上端部を除く部分を囲むようにして検出器本体34aの上面に装着され、検出器本体34aの内部にゴミ等の異物が侵入するのを防ぐ役目をする。
【0028】
<操作スイッチの説明:図4、図5参照>
図4および図5に示されるように、操作レバー32のグリップ部材36には、所要個数の押し釦型の操作スイッチ40a,40bが付設されている。本例では、グリップ部材36において、その頂部に操作スイッチ40aが、その左側部に操作スイッチ40bがそれぞれ配置されている。ここで、操作スイッチ40a,40bとしては、例えば、走行速度段をシフトダウンさせるキックダウンスイッチや、走行速度段を現在の速度段に維持させるホールドスイッチなどが挙げられる。なお、以下において、操作スイッチ40aと操作スイッチ40bとを総称して、単に「操作スイッチ40」と称することとする。
【0029】
<ワイヤハーネスの説明:図4、図5、図6、図7(b)参照>
図6に示されるように、一端部が操作スイッチ40に接続されるワイヤハーネス41は、操作レバー32におけるグリップ部材36の内部から中間結合部材37に設けられたハーネス挿通孔37aに挿通されている。また、図7(b)に示されるように、ワイヤハーネス41は、中間結合部材37の裏面にハーネス挿通孔37aから左後方に向けて斜めに刻まれたハーネスガイド溝37bを介して、中間結合部材37の左側面に設けられたハーネス取出口37cから取り出されている。さらに、図4に示されるように、このワイヤハーネス41は、操作レバー32の揺動に伴いその操作レバー32の中間結合部材37のハーネス取出口37cが描く円弧状軌跡を含む円周42に側面視で沿うように操作レバー32の後方に向けて配線されている。
なお、図5に示されるように、このワイヤハーネス41の他端部にはコネクタ43が接続されており、このコネクタ43とコントローラ(図示省略)とは、他のワイヤハーネス(図示省略)を介して接続されている。
【0030】
<ハーネスガイドの配置説明:図4参照>
図4に示されるように、操作レバー装置は27、ワイヤハーネス41を案内する第1のハーネスガイド51および第2のハーネスガイド52をそれぞれ備えている。
第1のハーネスガイド51は、側面視で円周42における操作レバー32の後退方向の一番遠い位置に配され、レバー装置支持フレーム30に設けられるブラケット53に取り付けられている。
第2のハーネスガイド52は、側面視で操作レバー32の最後退位置と円周42における操作レバー32の後退方向の一番遠い位置との間で、第1のハーネスガイド51の下方位置に配され、コンソール筐体フレーム29に設けられるブラケット54に取り付けられている。
【0031】
<ハーネスガイドの構造説明:図4、図8参照>
図8に示されるように、各ハーネスガイド51,52は、ブラケット53,54(図4参照)に掛け止められる掛止片55によってブラケット53,54に押し当て状態で保持されるベース部56を備えている。このベース部56には、一端部から他端部に向かって略Cの字状の弾性復元力を有するクランプ片57が他端側を自由端状態として延設されている。また、このベース部56の他端部には、クランプ片57の他端部との隙間を塞ぐようにストッパ片58が設けられている。
【0032】
<ハーネス組込作業、ハーネス案内作用の説明:図5、図8参照>
図8に示されるように、ハーネスガイド51,52に図5に示されるようにワイヤハーネス41を組み込み際には、まずクランプ片57の他端部に設けられた引掛け片57aに手指を掛けてクランプ片57とベース部56との間を広げるようにクランプ片57を外側に撓ませる。次いで、クランプ片57とベース部56との間にワイヤハーネス41を挿入し、その後、引掛け片57aから手指を離す。すると、自身の弾性復元力にてクランプ片57はワイヤハーネス41をクランプした状態で元の形状に戻り、図5に示されるように、ワイヤハーネス41がハーネスガイド51,52に組み込まれる。
このようにしてハーネスガイド51,52に組み込まれたワイヤハーネス41は、ハーネスガイド51,52に設けられたクランプ片57とストッパ片58とによってワイヤハーネス41の径方向への移動が制限された状態で長さ方向に案内される。
【0033】
<外装カバー、目隠しカバー、シール部材の説明:図3、図4、図6参照>
図4に示されるように、コンソール筐体25には、操作レバー32の基部を含むレバー操作量検出器34の全体を覆う外装カバー60が装着されている。
図3に示されるように、外装カバー60には、操作レバー32が挿通可能なスリット60aが穿設されている。このスリット60aは、操作レバー32の前後方向のストローク長さよりも長い長方形状の長孔である。
図4に示されるように、操作レバー32の中間結合部材37には、操作レバー32の前後方向のストローク全域において、外装カバー60と操作レバー32との隙間、つまりスリット60a(図3参照)を塞ぐことのできる目隠しカバー61が装着されている。
目隠しカバー61は、操作レバー32の揺動に伴いその操作レバー32の中間結合部材37が描く円弧状軌跡と同じ曲率で湾曲された平面視長方形状の屈曲板金部材で構成されている。
図3および図6に示されるように、スリット60aの内周縁には、外装カバー60と目隠しカバー61とをシールするゴム製のシール部材62が装着されている。
【0034】
<ハーネス保持部材の説明:図6、図7(a)(b)参照>
図6に示されるように、目隠しカバー61には、ワイヤハーネス41を保持するハーネス保持部材として機能する把持片63および結束バンド64がそれぞれ設けられている。
把持片63は、図7(b)に示されるように、中間結合部材37のハーネス取出口37cよりもやや後側に配置されている。この把持片63は、図6に示されるように、目隠しカバー61の左側縁からワイヤハーネス41を抱きかかえることができるような断面コの字形の屈曲形状に形成されている。
図6および図7(b)に示されるように、把持片63の後端部には、左外側に斜めに折り曲げられてなる外折曲部63aが形成されている。これにより、ワイヤハーネス41が左外側に移動しようとしたときに、把持片63の外折曲部63aがワイヤハーネス41を傷付けることなくその移動を規制することができる。
図7(a)に示されるように、結束バンド64は、目隠しカバー61の左後側の角部に設けられた丸孔61aを通してワイヤハーネス41を取り巻くようにして目隠しカバー61に装着されている。
こうして、図5に示されるように、目隠しカバー61に設けられた把持片63および結束バンド64により、ワイヤハーネス41を目隠しカバー61の湾曲形状に沿って確実に保持することができ、言い換えれば操作レバー32の揺動に伴いその操作レバー32の中間結合部材37におけるハーネス取出口37cが描く円弧状軌跡にそってワイヤハーネス41を確実に保持することができる。
【0035】
<本実施形態の操作レバー装置の作用効果の説明:図4、図7(b)参照>
本実施形態の操作レバー装置27においては、図4に示されるように、操作レバー32の揺動に伴いその操作レバー32の中間結合部材37におけるハーネス取出口37c(図7(b)参照)が描く円弧状軌跡と側面視で略同じ曲率でワイヤハーネス41が操作レバー32の後方に向けて配線される。このワイヤハーネス41を案内するために、第1のハーネスガイド51と第2のハーネスガイド52とが設けられる。
第1のハーネスガイド51は、側面視で円周42における操作レバー32の後退方向の一番遠い位置に配され、レバー装置支持フレーム30に設けられるブラケット53に取り付けられている。
第2のハーネスガイド52は、側面視で操作レバー32の最後退位置と円周42における操作レバー32の後退方向の一番遠い位置との間で、第1のハーネスガイド51の下方位置に配され、コンソール筐体フレーム29に設けられるブラケット54に取り付けられている。
これらハーネスガイド51,52によってワイヤハーネス41が側面視でその円弧状軌跡と略同じ曲率を一定に保持した状態で長さ方向に繰り出されたり繰り込まれたりして案内される。このため、操作レバー32とハーネスガイド51,52との間において、操作レバー32の揺動に伴うワイヤハーネス41の局部的な曲げ作用が抑えられることになる。したがって、ワイヤハーネス41に局部的に繰り返し加わる曲げ作用に起因するワイヤハーネス41の局部的な劣化を未然に防ぐことができるという効果がある。
なお、側面視で円周42における操作レバー32の後退方向の一番遠い位置に第1のハーネスガイド51が配されるので、言い換えれば操作レバー32の中間結合部材37におけるハーネス取出口37cからの後方への相対距離が最も大きい位置に第1のハーネスガイド51が配されるので、操作レバー32の揺動に伴うワイヤハーネス41の局部的な曲げ作用を抑える効果は第1のハーネスガイド51によるものが最も大きいと言える。
【0036】
<本実施形態の操作レバー装置の作用効果の説明:図5参照>
また、図5に示されるように、目隠しカバー61には、ワイヤハーネス41を保持するハーネス保持部材としての把持片63および結束バンド64がそれぞれ設けられる。これにより、操作レバー32の後退時にワイヤハーネス41がハーネスガイド51,52を通して後方へと繰り込まれる際に、ワイヤハーネス41がハーネスガイド51,52との摩擦力に起因して撓むのを確実に防ぐことができる。
【0037】
<本実施形態のコンソールの作用効果の説明:図2参照>
また、図2に示されるように、本実施形態のコンソール24は、基台22上にオペレータシート23と共に取り付けられている。基台22は、キャブ13の床部材17上にサスペンション装置21を介して設置されている。このため、サスペンション装置21上においてコンソール24とオペレータシート23とが基台22を介して同一の振動系とされる。これにより、振動系が異なることによる操作レバー32の操作ミスを未然に防ぐことができる。
【0038】
以上、本発明の建設機械の操作レバー装置およびコンソールについて、一実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の建設機械の操作レバー装置は、操作レバーの揺動に伴うワイヤハーネスの局部的な曲げ作用を抑えることができ、これによってワイヤハーネスの局部的な劣化を未然に防ぐことができるという特性を有していることから、ホイールローダやブルドーザ等の建設機械に装備されるコンソールの操作レバー装置としての用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 ホイールローダ(建設機械)
13 キャブ
17 床部材
21 サスペンション装置
22 基台
23 オペレータシート
24 コンソール
25 コンソール筐体
27 操作レバー装置
32 操作レバー
37 中間結合部材
37c ハーネス取出口
40 操作スイッチ
41 ワイヤハーネス
42 円周
51,52 ハーネスガイド
60 外装カバー
61 目隠しカバー
63 把持片(ハーネス保持部材)
64 結束バンド(ハーネス保持部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に揺動自在な操作レバーと、
前記操作レバーに付設される操作スイッチと、
前記操作スイッチに接続されるワイヤハーネスと、
前記ワイヤハーネスを案内するハーネスガイドと、
を備える建設機械の操作レバー装置において、
前記操作レバーの揺動に伴いその操作レバーの所定部位が描く円弧状軌跡を含む円周に側面視で沿うように前記ワイヤハーネスをその操作レバーの後方に向けて配線し、
側面視で前記操作レバーの最後退位置と前記円周における前記操作レバーの後退方向の一番遠い位置との間に前記ハーネスガイドを配置する
ことを特徴とする建設機械の操作レバー装置。
【請求項2】
前記ハーネスガイドは、側面視で前記円周における前記操作レバーの後退方向の一番遠い位置に配置される請求項1に記載の建設機械の操作レバー装置。
【請求項3】
前記操作レバーの基部を覆う外装カバーが設けられるとともに、この外装カバーと前記操作レバーとの隙間を塞ぐ目隠しカバーが設けられ、
前記目隠しカバーに、前記ワイヤハーネスを保持するハーネス保持部材が設けられる請求項1または2に記載の建設機械の操作レバー装置。
【請求項4】
サスペンション装置を介して設置される基台にオペレータシートと共に取り付けられるコンソール筐体に、請求項1〜3のいずれかに記載の建設機械の操作レバー装置が装備されてなることを特徴とする建設機械のコンソール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−137812(P2012−137812A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287779(P2010−287779)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】