説明

建設機械の計測表示機構

【課題】 建設機械本体の姿勢を算定して建設機械の周辺状況と共に表示手段に正しく表示することができる建設機械の計測表示機構を提供する。
【解決手段】 下部走行体及び上部旋回体を有する車体と地中を掘削する作業機とを備えた建設機械に使用され一対のGPS受信機43,44での計測結果に基づいて作業機のモニタポイントの三次元位置を計測して、車体等を建設機械の周辺状況と共にモニタ46aに表示してオペレータに伝達する建設機械の計測表示機構において、GPS受信機43,44での計測結果に基づいて上部旋回体の姿勢に係る値を演算する旋回体の姿勢演算手段と、この上部旋回体の姿勢演算手段で演算された上部旋回体の姿勢に係る値の水平方向の成分の変化に基づいて上部旋回体に対する下部走行体の姿勢に係る値を演算する走行体の姿勢演算手段を車載コンピュータ46に設けて、車体をモニタ46aに表示する場合に下部走行体及び上部旋回体の各姿勢を表示できるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行体及びこの走行体上に設置された旋回体を有する建設機械本体とこの旋回体に設置され地中を掘削する作業機とを備えた建設機械に使用され、作業機に設定されたモニタポイントの三次元位置を計測して作業機及び建設機械本体を建設機械周辺の地勢等の建設機械の周辺状況と共に表示手段に表示できるようにした建設機械の計測表示機構に関し、特に、建設機械としての油圧ショベルや浚渫船に使用して有用なものである。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルのような掘削用の建設機械により掘削作業を行う建設施工現場では、掘削用の建設機械に設置した作業機に計測点としてのモニタポイントを予め設定し、作業機による作業時にこのモニタポイントに係る三次元位置を計測するようにした装置が最近多用されるようになっている。このモニタポイントの代表例としては、例えば、油圧ショベルのバケット先端の位置を挙げることができる。この種の装置では、こうしたモニタポイントの三次元位置に関する計測結果に基づいて、作業機により掘削して形成される地形を割り出してこの地形の各点の三次元位置を算出し、これより、掘削して形成される地形すなわち出来形に関する情報を取得するようにしている。
【0003】
建設機械で掘削作業を実施する際には、未掘削状態の施工予定区域における多数の計測点について三次元位置を計測して、各計測点の水平位置に対応する高さのデータすなわち原地形の三次元のデータを取得する。また、掘削して最終的に形成することを予定している地形すなわち目標地形について各点の三次元の位置を設定して目標地形の三次元のデータを作成する。その上で、作業機に設定したモニタポイントの三次元位置を計測することにより前記の出来形に関する情報を取得すれば、この情報を逐次関係者に伝達して前記の原地形のデータや目標地形のデータと対比できるようにすることにより、掘削作業の進捗状況を把握して施工の管理を容易に行うことができるとともに、オペレータの掘削作業を支援することもできる。
【0004】
作業機での作業時にこうした出来形に関する情報を取得する建設機械では、オペレータの掘削作業を支援するため、作業機に設定したモニタポイントの三次元位置を計測し、その過程で得られたデータを活用しながら作業機や建設機械本体を建設機械周辺の地勢等の建設機械の周辺状況と共に表示手段に表示してオペレータに伝達できるようにした機構を設けている。本明細書では、こうした機構を「建設機械の計測表示機構」と称している。本発明は、この建設機械の計測表示機構を改良しようとするものである。
【0005】
建設機械にこの種の機構を設けた技術は、これまで種々の技術が提案されているが、ここでは、特許文献1に記載の技術を従来の技術として位置付けてその技術内容を以下に概説する。その際、特許文献1で使用している用語や符号を括弧内に付記しながら、本発明と関連する部分の技術内容を中心に説明する。
【0006】
この特許文献1に記載の従来の技術では、GPSアンテナ(45,46)の設置位置を検出する三次元位置計測手段(三次元位置センサ30)での計測結果とフロント角度センサ(角度センサ27,28,29)での計測結果とに基づいて作業機(47)のモニタポイントとしてのバケット先端(44a)の位置(Pgt)を演算により計測するようにしている。そして、このバケット先端の位置とメモリに記憶された目標地形(3次元目標地形51)のデータとに基づいて、バケット先端が移動すべき目標地形上の交線(58)を演算し、この交線とバケット(44)との相対的な位置関係を、特許文献1の図6に図示のように表示手段(グラフィックインターフェース24)のモニタ画面(表示画面24a)に表示してオペレータを支援するようにしている。また、この種の画像中に建設機械(油圧ショベル40)を表示してオペレータを支援するようにしたモニタ画面が特許文献1の図8及び図9に図示されている。
【特許文献1】特開2001ー98585号公報(第6−10頁、第1−10図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この特許文献1の図8に係る記述をみると、建設機械(油圧ショベル40)全体を表示手段のモニタ画面に表示して上部旋回体(車体41)に対する作業機の現在姿勢をモニタ画面から認識できるようにしてもよい旨が記載されている。また、特許文献1の図9に係る記述をみると、モニタ画面にこうしたことを表示することに加えて、作業機のモニタポイント(バケット先端44a)の動作範囲を表示してもよい旨が記載されている。
【0008】
特許文献1には、このように作業機の姿勢を表示手段に表示することについては言及されているものの、上部旋回体と下部走行体(履帯49)とで構成された建設機械本体の姿勢(水平方向の姿勢)すなわち上部旋回体及び下部走行体のそれぞれの姿勢を表示手段に表示することについては何も言及されておらず、また、これらの姿勢を算定する手法についても言及されていない。こうしたことから、特許文献1に記載の従来の技術では、建設機械全体を表示手段に表示する場合に、上部旋回体及び下部走行体のそれぞれの姿勢を、実際の姿勢が分かるように正しく表示することについては、着眼していないと断じることができる。このことは、図8及び図9の何れもが、上部旋回体や下部走行体の水平方向の姿勢を識別しにくい図面であることからも明白である。
【0009】
建設機械のオペレータは、表示手段のモニタ画面を見ながら掘削作業を行うが、上部旋回体が旋回しているにもかかわらず上部旋回体と下部走行体との姿勢が一致してしているというように、表示手段に表示される上部旋回体及び下部走行体の各姿勢が実際の姿勢と合致していないと、例えば、下部走行体について走行操作をした場合に、オペレータがモニタ画面を見て予測した走行方向とは異なる方向へ下部走行体が走る危険性がある。建設機械の設置スペースが狭い崖のような作業場所で作業をしている場合においてこうした事態が発生すると、最悪の場合には、建設機械が崖下に転落することもことも起こり得て作業を安全に行うことができない。そのため、建設機械を慎重に操作することがオペレータに要求され、掘削作業の作業効率の低下を招くこととなる。
【0010】
ところで、建設機械の中には、台船に旋回体を旋回可能に設置し、この旋回体にバックホーのような作業機を搭載して、この作業機のバケットで水底を掘削して浚渫作業を行う浚渫船のようなものもある。この浚渫船は、台船を係留して停止させた状態で浚渫作業を行うが、台船は、水上を走ることができるので、本明細書では、この台船も、油圧ショベルの下部走行体と同様に「走行体」と称する。こうした浚渫船では、オペレータがバケットによる水底の掘削状況を目視できないことから、作業機のモニタポイントの三次元位置を計測して出来形に関する情報を取得し、この情報から得られる水底の掘削状況を表示手段に表示してオペレータに伝達するための計測表示機構を付設している。
【0011】
こうした浚渫船でも、オペレータは、表示手段を見ながら浚渫作業を行うが、表示手段に表示される走行体としての台船及び旋回体の各姿勢が実際の姿勢と合致していないと、例えば、水底の掘削土砂を船内の所定の放土場所に放土する場合に予定外の場所に放土する危険性があり、浚渫の際の掘削作業の作業効率の低下を招くこととなる。以上述べたように、建設機械本体が走行体と旋回体とで構成された建設機械に使用される建設機械の計測表示機構にあっては、建設機械本体の姿勢を、実際の姿勢が分かるように建設機械の周辺状況と共に正しく表示することが必要であり、そうしないと、オペレータに混乱をもたらして、作業の安全面及び効率面で問題が生じることとなる。
【0012】
本発明は、こうした従来の技術にみられる問題を解決するために創作されたものであって、その目的は、建設機械本体の姿勢を算定して建設機械の周辺状況と共に表示手段に正しく表示することができる建設機械の計測表示機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、こうした目的を達成するため、次のように構成した。
【0014】
走行体及びこの走行体上に旋回可能に設置されて旋回駆動される旋回体を有する建設機械本体とこの旋回体に設置され地中を掘削する作業機とを備えた建設機械に使用され、旋回体上の異なる計測点を計測する複数の三次元位置計測手段での計測結果に基づいて作業機に設定されたモニタポイントの三次元位置を計測して、作業機及び建設機械本体を建設機械周辺の地勢等の建設機械の周辺状況と共に表示手段に表示してオペレータに伝達できるようにした建設機械の計測表示機構において、
複数の三次元位置計測手段での計測結果に基づいて旋回体の姿勢に係る値を演算する旋回体の姿勢演算手段を設けるとともに、この旋回体の姿勢演算手段で演算された旋回体の姿勢に係る値の水平方向の成分の変化に基づいて旋回体に対する走行体の姿勢に係る値を演算する走行体の姿勢演算手段を設けて、建設機械本体を表示手段に表示する場合に走行体及び旋回体の各姿勢を表示できるように構成した。
【0015】
本発明に係る建設機械の計測表示機構は、作業機や建設機械本体を建設機械周辺の地勢等の建設機械の周辺状況と共に表示手段に表示してオペレータに伝達できるようにするものである。こうした計測表示機構を構成する場合、旋回体の姿勢演算手段と走行体の姿勢演算手段とを設けて前記のように構成しているので、作業機のモニタポイントの位置を計測するために従来設けられていた複数の三次元位置計測手段をそのまま活用して、これらの計測結果に基づいて旋回体の姿勢を旋回体の姿勢演算手段で算定することができ、さらには、この旋回体の姿勢演算手段での計測結果に基づいて旋回体に対する走行体の姿勢を走行体の姿勢演算手段で算定することができる。本建設機械の計測表示機構では、このように建設機械本体の姿勢をなす旋回体及び走行体の双方の姿勢を算定して表示手段に表示できるように構成しているので、建設機械本体の実際の姿勢を建設機械の周辺状況と共に表示手段に正しく表示することができる。
【発明の効果】
【0016】
以下の説明から明らかなように、本発明に係る建設機械の計測表示機構にあっては、前記の「課題を解決するための手段」の項に示したように構成しているので、建設機械本体の姿勢を算定して建設機械の周辺状況と共に表示手段に正しく表示することができる。その結果、建設機械のオペレータは、表示手段を見ながら安心して作業を行うことができ、掘削作業の作業効率の低下を招くことがない。
【0017】
本建設機械の計測表示機構では、作業機のモニタポイントの位置を計測するための三次元位置計測手段をそのまま活用して旋回体や走行体の姿勢に係る値を演算することができるので、既存の三次元位置計測手段を二重に活用することができて有効に利用することができる。旋回体の姿勢すなわち旋回体の旋回角度を検出するのに、通常、旋回体と走行体との接続部に旋回角度センサを取り付けており、そのため、その接続部を改造して旋回角度センサを取り付けるという難作業を必要として構造の複雑化やコストアップを招くが、本建設機械の計測表示機構では、既存の三次元位置計測手段を利用して旋回体の旋回角度を演算で求めることができるので、こうした問題は生じない。
【0018】
掘削作業中、時には走行体を旋回して走行させることもあり、これに伴って、旋回体も走行体と共に旋回するが、この旋回体の旋回は、旋回体に対する走行体の姿勢の変化ではないので、走行体の姿勢演算手段での演算結果に、こうした走行旋回による旋回体の旋回が影響しないようにすることが望ましい。本発明に係る建設機械の計測表示機構を具体化する場合に、特に、特許請求の範囲の請求項2に記載のように具体化すれば、旋回体が旋回駆動されていると旋回体の駆動判定手段で判定されたときに初めて旋回体に対する走行体の姿勢に係る値が走行体の姿勢演算手段で演算されるので、建設機械を掘削作業中に走行旋回させても、建設機械本体の姿勢を正しく算定することができる。
【0019】
旋回体に対する走行体の姿勢に係る値を走行体の姿勢演算手段で演算するたびに、若干の誤差が生じて累積して行くので、走行体の姿勢演算手段での演算結果がこうした累積誤差の影響を受けないようにすることが望ましい。本発明に係る建設機械の計測表示機構を具体化する場合に、特に、特許請求の範囲の請求項3に記載のように具体化すれば、オペレータが走行体の姿勢と旋回体の姿勢とを一致させるように操作した後、走行体の姿勢演算手段で演算された旋回体に対する走行体の姿勢に係る値を走行体の姿勢リセット手段で初期値に適宜リセットすることにより、建設機械本体の姿勢を累積誤差に影響されないように正しく算定することができる。
【0020】
特に、建設機械本体の姿勢を算定して表示手段に表示する場合、正しく算定して表示することに加えて、オペレータに分かりやすいように表示することが望ましい。本発明に係る建設機械の計測表示機構を具体化する場合に、特に、特許請求の範囲の請求項4に記載のように具体化すれば、走行体及び旋回体の各姿勢の相互関係や作業機等が鳥瞰図で表示手段に表示されるので、特に、上部旋回体及び下部走行体のそれぞれの姿勢が正しく表示されることに加えて、オペレータが各姿勢の相互関係を識別しやすいように表示され、かつ、作業機の姿勢も分かるように表示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明が実際上どのように具体化されるのかを図1乃至図11に基づいて説明することにより、本発明を実施するための望ましい形態を明らかにする。
【0022】
まず、図1乃至図5に基づき、本発明に係る建設機械の計測表示機構を具現するためのシステムの一例について説明する。図1は、本発明に係る建設機械の計測表示機構を使用した建設機械の一例を示す斜視図、図2は、図1の建設機械の油圧アクチュエータを駆動するための油圧回路を示す油圧回路図、図3は、図1の建設機械の油圧アクチュエータを操作する油圧パイロット圧を送るための油圧回路を示す油圧回路図、図4は、本発明を具体化して構成した建設機械の計測表示機構の一例を示すブロック図、図5は、図4の建設機械の計測表示機構に関連して設置された管理事務所内に配備されたシステムの一例を示すブロック図である。
【0023】
本発明を具体化して構成した以下に述べる建設機械の計測表示機構は、すでに述べた従来の技術に係る機構と同様、走行体及びこの走行体上に旋回可能に設置されて旋回駆動される旋回体を有する建設機械本体と、この旋回体に設置され地中を掘削する作業機とを備えた建設機械に使用される。そして、こうした建設機械本体や作業機を備えた建設機械に使用することにより、従来の技術に係る装置と同様、旋回体上の異なる計測点を計測する複数の三次元位置計測手段での計測結果に基づいて作業機に設定されたモニタポイントの三次元位置を計測して、作業機及び建設機械本体を建設機械周辺の地勢等の建設機械の周辺状況と共に表示手段に表示してオペレータに伝達できるようにする。ここでは、こうした計測表示機構を使用する建設機械が油圧ショベルである場合を例にして、以下の説明を行う。
【0024】
図1の建設機械について説明すると、1は掘削作業等を行う自走式の建設機械としての油圧ショベル、2は上部旋回体3を設置するための基台となり作業現場を走行することが可能な下部走行体、3はこの下部走行体2上に旋回可能に搭載された旋回フレームとこの旋回フレームの上部に設置された諸装置とからなる上部旋回体、4は土砂の掘削作業や積載作業等を行うための油圧ショベル1のフロント作業機、5は後端部が上部旋回体3の前部に垂直方向に回動(傾動)可能に軸着されて設置されたブーム、6は後端部がこのブーム5の前端部に垂直方向に回動(揺動)可能に軸着されたアーム、7はこのアーム6の前端部に垂直方向に回動可能にかつ着脱可能に軸着されたバケット、8は伸縮させてブーム5を垂直方向に回動させるように駆動するブームシリンダ、9は同じく伸縮させてアーム6を回動させるように駆動するアームシリンダ、10は同じく伸縮させてバケット7を回動させるように駆動するバケットシリンダである。
【0025】
油圧ショベル1は、大別すると、クローラベルトにより走行する下部走行体2と、運転室11や油圧駆動・制御用の機器等の諸装置を旋回フレーム上に設置して構成された上部旋回体3と、この上部旋回体3(旋回フレーム)に設置されたフロント作業機4とからなり、種々の作業を行うが、主たる作業として地山の掘削作業を行う。下部走行体2は、スプロケットで駆動されるエンドレスチェーン状のクローラベルトを左右に備えており、左右のスプロケットは、それぞれ、図1及び図2に示す左走行モータ106及び図2に示す右走行モータ107で回転駆動される。また、上部旋回体3は、図2に示す旋回モータ105で旋回駆動され、下部走行体2に対して姿勢を変える。本明細書では、下部走行体2のような走行体及び上部旋回体3のような旋回体を設けて構成さた車体の部分を建設機械本体と称している。フロント作業機4は、ブーム5、アーム6及びバケット7と、これらをそれぞれ回動させるように駆動するためのブームシリンダ8、アームシリンダ9及びバケットシリンダ10とを設けて構成され、運転室11の右側に設置される。
【0026】
11は後述する表示手段としてのモニタ46aが設置され下部走行体2やフロント作業機4の操縦等、油圧ショベルの操縦を行う運転室、21はブーム5の回動角度(ブーム角度)を検出するブーム角度センサ、22はブーム5に対するアーム6の回動角度(アーム角度)を検出するアーム角度センサ、23はアーム6に対するバケット7の回動角度(バケット角度)を検出するバケット角度センサ、24は上部旋回体3のピッチ方向(前後方向)の傾斜角度(ピッチ角度)を検出する傾斜角度センサ、31,32は後述する建設機械側(計測表示機構200側、図4参照)のGPS受信機43,44の無線アンテナ、33は後述するGPS受信機55(図5参照)で作成した補正データに係る信号を受信する建設機械側の無線機41の無線アンテナ、34は後述する建設機械側の送信用の無線機47(図4参照)の無線アンテナである。
【0027】
ブーム角度センサ21、アーム角度センサ22、バケット角度センサ23及び傾斜角度センサ24は、後述するように、フロント作業機4に設定したモニタポイントに係る三次元位置を計測するために設けている。図1には図示していないが、油圧ショベル1には、以上述べた計器のほか、オペレータにより操作される後述する走行体角度リセットスイッチ28(図4参照)を運転室11に設けている。また、図4に示す計測表示機構200が設置されることと関連して、こうした走行体角度リセットスイッチ28に加えて旋回パイロット圧力センサ27(図4参照)を設けている。これらについては、計測表示機構200について説明をする際に詳述する。
【0028】
油圧ショベル1に設置されたブームシリンダ8、アームシリンダ9及びバケットシリンダ10等の油圧アクチュエータを駆動、操作するための油圧回路について、図2及び図3に基づき説明する。
【0029】
まず、図2の油圧回路の基本的な骨組みについて説明すると、101,102は図示しないエンジンで駆動されブームシリンダ8、アームシリンダ9等の油圧ショベルの種々の油圧アクチュエータを駆動するための圧油を発生する可変容量型の油圧ポンプ、103は以下に述べる種々の弁やこれらの周辺の管路の集合体として形成されてユニットをなす弁装置、103j,103kはそれぞれ油圧ポンプ101,102で発生した圧油が送られるセンターバイパス管路、111,112はそれぞれ油圧ポンプ101,102から吐出した圧油をセンターバイパス管路103j,103kへ送る吐出管路、103mは可変容量型の油圧ポンプ101,102の吐出圧力の最大値を決定するメインリリーフ弁、103nはセンターバイパス管路103j,103kの圧油を作動油タンクに戻すための共通の油路であるタンク管路である。
【0030】
センターバイパス管路103jには、油圧ショベル1の各種油圧アクチュエータの運動を制御するためのセンタバイパス型の方向制御弁103a〜103dからなる第1の方向制御弁群が位置し、センターバイパス管路103kには、同じく各種油圧アクチュエータの運動を制御するためのセンタバイパス型の方向制御弁103e〜103iからなる第2の方向制御弁群が位置している。これらの方向制御弁103a〜103d及び方向制御弁103e〜103iは、中立位置に操作したときに、それぞれ、油圧ポンプ101及び油圧ポンプ102の圧油をセンタバイパス管路103j及びセンタバイパス管路103kにより下流側に流通させ、タンク管路103nを経て作動油タンクに戻す。これらの方向制御弁103a〜103iは、図3に示す操作装置135における操作パイロット装置138,139、操作装置136における操作パイロット装置140,141、操作装置137における操作パイロット装置142,143及び操作パイロット装置144を操作することにより、対応する各方向制御弁103a〜103iの信号受け部に油圧パイロット圧が送られて中立位置から右位置又は左位置に切り換えられる。
【0031】
図2の油圧回路について、図3に図示の事項を引用しながら具体的に説明すると、103aは油圧ポンプ101から左走行モータ106へ供給される圧油の流れや流量を切り換えて同モータ11の運動を制御する左走行用の方向制御弁、103bは油圧ポンプ101からバケットシリンダ10へ供給される圧油の流れや流量を切り換えて同シリンダ10の運動を制御するバケット用の方向制御弁、103cは油圧ポンプ101からブームシリンダ8へ供給される圧油の流れや流量を切り換えて同シリンダ8の運動を制御するブーム用の第1の方向制御弁、103dは油圧ポンプ101からアームシリンダ9へ供給される圧油の流れを切り換えて同シリンダ9の運動を制御するアーム用の第2の方向制御弁、106は下部走行体2の左のスプロケットを回転駆動する既述の左走行モータである。
【0032】
左走行用の方向制御弁103aは、操作パイロット装置138の操作ペダル138cの操作方向により操作パイロット圧TR3,TR4がそれぞれ左右の信号受け部に送られて中立位置から左右の位置に切り換えられ、これにより、センターバイパス管路103jから左走行モータ106へ供給される油圧ポンプ101の圧油の流れを切り換えて同走行モータ106を正逆所望の方向に回転させることができる。その場合、操作ペダル138cの操作量に応じてこの方向制御弁103aの開口量を調節することにより、左走行モータ106の回転速度を制御することができる。
【0033】
バケット用の方向制御弁103bは、操作パイロット装置140の操作レバー140cの操作方向により操作パイロット圧BKC,BKDがそれぞれ左右の信号受け部に送られて中立位置から左右の位置に切り換えられ、左位置に切り換えられたときには、センターバイパス管路103jの圧油をバケットシリンダ10のボトム側に供給するとともに、これのロッド側の圧油をタンク管路103nに排出し、これによりバケットシリンダ10を伸長させることができる。また、右位置に切り換えられたときには、センターバイパス管路103jの圧油をバケットシリンダ10のロッド側に供給するとともに、これのボトム側の圧油をタンク管路103nに排出し、これによりバケットシリンダ10を縮小させることができる。その場合、操作レバー140cの操作量に応じて開口量を調節することにより、バケットシリンダ10の伸縮する速度を制御することができる。
【0034】
ブーム用の第1の方向制御弁103cは、操作パイロット装置141の操作レバー140cの操作方向により操作パイロット圧BOU,BODがそれぞれ左右の信号受け部に送られて中立位置から左右の位置に切り換えられ、左位置に切り換えられたときには、センタバイパス管路103jの圧油をブームシリンダ8のボトム側に供給するとともに、これのロッド側の圧油をタンク管路103nに排出し、これによりブームシリンダ8を伸長させることができる。また、右位置に切り換えられたときには、センタバイパス管路103jの圧油をブームシリンダ8のロッド側に供給するとともに、これのボトム側の圧油をタンク管路103nに排出し、これによりブームシリンダ8を縮小させることができる。その場合、操作レバー140cの操作量に応じて開口量を調節することにより、ブームシリンダ8の伸縮する速度を制御することができる。なお、アーム用の第2の方向制御弁103dについては、後述するアーム用の第1の方向制御弁103fの説明の際に説明する。
【0035】
103eは油圧ポンプ102から旋回モータ105へ供給される圧油の流れや流量を切り換えて同モータ105の運動を制御する旋回モータ用の方向制御弁、103fは油圧ポンプ101,102からアームシリンダ9へ供給される圧油の流れや流量を切り換えて同シリンダ9の運動を制御するアーム用の第1の方向制御弁、103gは油圧ポンプ102からブームシリンダ8へ供給される圧油の流れや流量を切り換えて同シリンダ8の運動を制御するブーム用の方向制御弁、103hはアタッチメント駆動用油圧アクチュエータ108の運動を制御する予備の方向制御弁、103iは油圧ポンプ102から右走行モータ107へ供給される圧油の流れや流量を切り換えて同モータ11の運動を制御する右走行用の方向制御弁、103k’はセンタバイパス管路103kと分岐し油圧ポンプ102の圧油が送られる分岐管路、103pはセンタバイパス管路103jの圧油をアーム用の第1の方向制御弁103fの流入側において分岐管路103k’の圧油と合流させるための合流管路、105は旋回体3を旋回駆動する既述の旋回モータ、107は下部走行体2の右のスプロケットを回転駆動する既述の右走行モータ、108はアタッチメントとしての作業具を駆動するアタッチメント駆動用油圧アクチュエータである。
【0036】
旋回モータ用の方向制御弁103eは、操作パイロット装置143の操作レバー142cの操作方向により操作パイロット圧SW1,SW2がそれぞれ左右の信号受け部に送られて中立位置から左右の位置に切り換えられ、これにより、センターバイパス管路103kから旋回モータ105へ供給される油圧ポンプ102の圧油の流れを切り換えて旋回モータ105を正逆所望の方向に回転させることができる。その場合、操作レバー142cの操作量に応じて開口量を調節することにより、旋回モータ105の回転速度を制御することができる。
【0037】
アーム用の第1の方向制御弁103fは、操作パイロット装置142の操作レバー142cの操作方向により操作パイロット圧ARD,ARCがそれぞれ左右の信号受け部に送られて中立位置から左右の位置に切り換えられ、左位置に切り換えられたときには、分岐管路103k’の圧油をアームシリンダ9のロッド側に供給するとともに、これのボトム側の圧油をタンク管路103nに排出し、これによりアームシリンダ9を縮小させることができる。また、右位置に切り換えられたときには、分岐管路103k’の圧油をアームシリンダ9のボトム側に供給するとともに、これのロッド側の圧油をタンク管路103nに排出し、これによりアームシリンダ9を伸長させることができる。その場合、操作レバー142cの操作量に応じて開口量を調節することにより、アームシリンダ9の伸縮する速度を制御することができる。
【0038】
前述したアーム用の第2の方向制御弁103dは、こうして操作レバー142cを操作してアーム用の第1の方向制御弁103fを切り換えると、この切換え操作に連動して切り換えられ、操作レバー142cの操作方向により操作パイロット圧ARD,ARCがそれぞれ左右の信号受け部に送られて中立位置から左右の位置に切り換えられる。そして、左位置に切り換えられたときには、センタバイパス管路103jの圧油がタンク管路103nに逃げるのを阻止してその圧油を合流管路に103pに導くとともに、ロッド側よりも容量の多いアーム用の第1の方向制御弁103fのボトム側の圧油を、第2の方向制御弁103dを通じてもタンク管路103nに排出させることができるようにする。
【0039】
また、このアーム用の第2の方向制御弁103dが右位置に切り換えられたときには、センタバイパス管路103jの圧油がタンク管路103nに逃げるのを阻止してその圧油を合流管路に103pに導くとともに他の圧油の流れも阻止する。したがって、操作パイロット装置142の操作レバー142cを操作してアーム用の第1の方向制御弁103fを切り換えたときには、左右の何れの位置に切り換えたときでも、センタバイパス管路103jの圧油が分岐管路103k’の圧油と合流して、第1の方向制御弁103fを通じてアームシリンダ9のボトム側及びロッド側の何れかに供給されることとなる。
【0040】
ブーム用の第2の方向制御弁103gは、操作パイロット装置141の操作レバー140cによる前述のブーム用の第1の方向制御弁103cの操作と連動して中立位置から左右何れかの位置に切り換えられ、これにより、ブームシリンダ8へ供給される油圧ポンプ102の圧油の流れを切り換えるが、その作用は、ブーム用の第1の方向制御弁103cの作用と変わらない。したがって、ブームシリンダ8は、油圧ポンプ101,102の圧油を同時に供給することにより、所望の速度で伸縮させることができる。
【0041】
予備の方向制御弁103hは、操作パイロット装置144の操作ペダル144cの操作方向により操作パイロット圧AU1,AU2がそれぞれ左右の信号受け部に送られて中立位置から左右の位置に切り換えられる。そして、アタッチメント駆動用油圧アクチュエータ108が例えば図3に図示の油圧シリンダのようなものである場合において左位置に切り換えられたときには、分岐管路103k’の圧油をのロッド側に供給するとともに、これのボトム側の圧油をタンク管路103nに排出し、これによりアタッチメント駆動用油圧アクチュエータ108を縮小させることができる。また、右位置に切り換えられたときには、分岐管路103k’の圧油をアタッチメント駆動用油圧アクチュエータ108のボトム側に供給するとともに、これのロッド側の圧油をタンク管路103nに排出し、これによりアタッチメント駆動用油圧アクチュエータ108を伸長させることができる。
【0042】
右走行用の方向制御弁103iは、操作パイロット装置139の操作ペダル139cの操作方向により操作パイロット圧TR1,TR2がそれぞれ左右の信号受け部に送られて中立位置から左右の位置に切り換えられ、これにより、センターバイパス管路103kから右走行モータ107へ供給される油圧ポンプ102の圧油の流れを切り換えて同走行モータ107を正逆所望の方向に回転させることができる。その場合、操作ペダル139cの操作量に応じて開口量を調節することにより、右走行モータ107の回転速度を制御することができる。
【0043】
以上述べた種々の方向制御弁103a〜103iを操作するための図3の油圧回路について説明すると、左走行モータ106の操作パイロット装置138は、油圧パイロット圧を出力する一対のパイロット弁(減圧弁)138a,138bと、上下に揺動操作され揺動方向によりパイロット弁138a,138bの一方から揺動量に応じた油圧パイロット圧を出力させる操作ペダル138cとを設けて構成されている。また、右走行モータ107の操作パイロット装置139も、同様の一対のパイロット弁139a,139bと操作ペダル139cとを設けて構成されている。
【0044】
バケットシリンダ10の操作パイロット装置140は、油圧パイロット圧を出力する一対のパイロット弁140a,140bと、傾動操作され傾動方向によりパイロット弁140a,140bの一方から傾動量に応じた油圧パイロット圧を出力させる操作レバー140cとを設けて構成されている。ブームシリンダ8の操作パイロット装置141は、同様の一対のパイロット弁141a,141bと、バケットシリンダ10の操作パイロット装置140と共用される操作レバー140cとを設けて構成されている。
【0045】
同様に、アームシリンダ9の操作パイロット装置142は、一対のパイロット弁142a,142bと油圧パイロット圧を出力させる操作レバー142cとを設けて構成され、旋回モータ105の操作パイロット装置143は、一対のパイロット弁143a,143bと、アームシリンダ9の操作パイロット装置142と共用される操作レバー142cとを設けて構成されている。アタッチメント駆動用油圧アクチュエータ108の操作パイロット装置144は、一対のパイロット弁144a,144bと操作ペダル144cとを設けて構成されている。
【0046】
第1の方向制御弁群の方向制御弁103a〜103dを操作する操作パイロット装置138,140,141,142の一対のパイロット弁138a・138b,140a・140b,141a・141b,142a・142bにそれぞれ接続された一対の出力ラインには、それぞれ、高圧の方の油圧パイロット圧を選択するシャトル弁151,153,154,155が接続されている。そして、シャトル弁151,153で選択された高圧の方の各油圧パイロット圧は、シャトル弁158により更に高圧の方の油圧パイロット圧が選択されてシャトル弁161に導かれる。また、シャトル弁154,155で選択された高圧の方の各油圧パイロット圧は、シャトル弁159により更に高圧の方の油圧パイロット圧が選択されてシャトル弁161に導かれる。
【0047】
これらのシャトル弁161に導かれた油圧パイロット圧は、シャトル弁161により高圧の方の油圧パイロット圧が選択されて油圧ライン171に導かれ、かくして、パイロット弁138a・138b,140a・140b,141a・141b,142a・142bが出力する油圧パイロット圧の中から最高圧力のものが選択されて油圧ライン171に送られることとなる。この油圧ライン171に送られた油圧パイロット圧は、可変容量型の油圧ポンプ101をポジティブ制御するための油圧パイロット圧PP1として用いられる。
【0048】
第2の方向制御弁群の方向制御弁103e〜103iを操作する操作パイロット装置139,141,142,143,144の一対のパイロット弁139a・139b,141a・141b,142a・142b,143a・143b,144a・144bにそれぞれ接続された一対の出力ラインには、それぞれ、高圧の方の油圧パイロット圧を選択するシャトル弁152,154,155,156,157が接続されている。そして、シャトル弁154,155で選択された高圧の方の各油圧パイロット圧は、シャトル弁159で更に高圧の方の油圧パイロット圧が選択されてシャトル弁162に導かれる。また、シャトル弁156,157で選択された高圧の方の各油圧パイロット圧は、シャトル弁160で更に高圧の方の油圧パイロット圧が選択されてシャトル弁162に導かれる。
【0049】
これらのシャトル弁162に導かれた油圧パイロット圧は、シャトル弁162で更に高圧の方の油圧パイロット圧が選択されてシャトル弁163に導かれる。一方、シャトル弁152で選択された高圧の方の各油圧パイロット圧もシャトル弁163に導かれ、両シャトル弁152,162で選択された高圧の方の各油圧パイロット圧は、シャトル弁163により更に高圧の方の油圧パイロット圧が選択されて油圧ライン172に導かれる。かくして、パイロット弁139a・139b,141a・141b,142a・142b,143a・143b,144a・144bが出力する油圧パイロット圧の中から最高圧力のものが選択されて油圧ライン172に送られることとなる。この油圧ライン172に送られた油圧パイロット圧は、可変容量型の油圧ポンプ102をポジティブ制御するための油圧パイロット圧PP2として用いられる。
【0050】
この図3の油圧回路では、こうした可変容量型の油圧ポンプ101,102をポジティブ制御するための回路を設けるほか、旋回モータ105の操作パイロット装置143の一対のパイロット弁143a,143bが出力する油圧パイロット圧の中から、シャトル弁156で選択された高圧の方の油圧パイロット圧を導くための油圧ライン173を特別に設けている。この油圧ライン173に導かれた油圧パイロット圧は、旋回パイロット圧力センサ27により旋回パイロット圧力Psとして検出される。この油圧ライン173は、後の説明から分かるように、本発明を具体化する上で有用なパイロット管路である。
【0051】
次に、図4に基づき、計測表示機構200の具体的な仕組みについて説明する。
【0052】
図4において、21,22,23は既述のフロント角度センサ(ブーム角度センサ、アーム角度センサ、バケット角度センサ)、24は上部旋回体3のピッチ角度を検出する既述の傾斜角度センサ、27は前記油圧ライン173に導かれた油圧パイロット圧を検出して旋回パイロット圧力Psを検出する旋回パイロット圧力センサ、28は本発明を具体化する上で有用な後に詳述する走行体角度リセットスイッチである。
【0053】
旋回パイロット圧力センサ27は、旋回モータ用の方向制御弁103eを切換え操作するための操作パイロット装置143の操作パイロット圧SW1,SW2のうちの高い方の圧力を検出することにより、旋回モータ105を実際に駆動させているか否かを判定するためのものである。したがって、こうした手段に代えて、旋回モータ用の方向制御弁103eから旋回モータ105への圧油の供給路の圧力を検出したり、操作パイロット装置143の操作レバーを旋回モータ105の操作専用のものにしてこれの動作を検出したりする等の手段を用いることもできる。本発明に係る計測表示機構200では、上部旋回体3に対する下部走行体2の姿勢に係る値(図7における走行体角度θrn)を演算により求めるが、走行体角度リセットスイッチ28は、こうした演算を繰り返すことにより生じる累積誤差を、前記下部走行体2の姿勢に係る値を後述する方法でリセットして解消するために設けたものである。
【0054】
41は無線アンテナ33が付設され管理事務所51(図5参照)で生成された補正データに係る信号を受信する無線機、42は無線機41で受信した補正データを一対のGPS受信機43,44に分配する分配機、43,44はGPSアンテナ31,32がそれぞれ付設され各GPSアンテナ31,32の三次元位置をそれぞれ計測するGPS受信機(図2ではGPS−A,GPS−Bと略記)である。
【0055】
GPS受信機43,44は、GPS衛星の信号を受信して、その信号に基づいてGPSアンテナ31,32の三次元位置をそれぞれリアルタイムに計測する。そして、これらの計測結果に基づいて上部旋回体3の三次元の位置(例えば旋回フレーム上面と旋回中心軸線との交点(後述する図7中の原点O3)のような基準点となる上部旋回体3の位置)が演算により計測される。GPSアンテナ31とGPS受信機43、GPSアンテナ32とGPS受信機44は、それぞれ1セットのGPSを構成し、各GPSアンテナ31,32は、図1に示すように、上部旋回体3の旋回中心から外れた上部旋回体3後部の左右に配置される。ところで、GPS衛星の信号に基づいて計測されたGPSアンテナ31,32の三次元位置の計測値には、ある程度の誤差が不可避的に生じるため、ここでは、こうした誤差を補正して高精度の計測を行い得るようにしている。そのため、管理事務所51から送られた補正データを無線機41で受信してGPS受信機43,44に入力するようにしていが、この点の詳細については後述する。
【0056】
45はGPS受信機43,44の計測値及び各種センサの検出結果等に関する種々のデータや走行体角度リセットスイッチ28の操作信号が入力されて集約されるコントローラ、46はこのコントローラ45から送られた種々のデータに基づいて、フロント作業機4のモニタポイントに係る三次元位置を演算する図8に示す演算を行ったり上部旋回体3に対する下部走行体3の姿勢に係る値(走行体角度θrn)を演算する図10に示す演算を行ったりする運転室11内の車載コンピュータ、46aはこれらの演算結果に基づいて作成された掘削作業の支援資料等の種々の資料を表示する車載コンピュータ46のモニタ、47は無線アンテナ34が付設され車載コンピュータ46での演算により得られた種々のデータを管理事務所51へ送信する無線機、48はオペレータにより携帯され運転室11内の車載コンピュータ46や管理事務所51内のサーバコンピュータ58(図5参照)とのデータの授受を行うICカードである。
【0057】
コントローラ45は、フロント角度センサ21,22,23及び傾斜角度センサ24の角度の検出値に関するデータ、旋回パイロット圧力センサ27の圧力の検出値に関するデータ、走行体角度リセットスイッチ28の操作信号並びにGPS受信機43,44によるGPSアンテナ31,32の三次元位置の計測値に関するデータを整理して、順次、車載コンピュータ46に送る働きをする。この車載コンピュータ46は、これらのデータや操作信号に基づいて種々の演算を行い、これに伴って種々の演算手段を備えているが、そのうち、本発明に直接関係する手段は、フロント作業機4のモニタポイントに係る三次元位置を演算により計測する手段(以下「モニタポイントの計測手段」という。)と、上部旋回体3の姿勢に係る値を演算する手段(以下「旋回体の姿勢演算手段」という。)と、上部旋回体3に対する下部走行体2の姿勢に係る値(図7に示す走行体角度θrn)を演算する手段(以下「走行体の姿勢演算手段」という。)である。
【0058】
モニタポイントの計測手段は、フロント角度センサ21,22,23、傾斜角度センサ24の角度の検出値及びGPS受信機43,44によるGPSアンテナ31,32の三次元位置の計測値に関するデータに基づいて、フロント作業機4に予め設定したモニタポイント(ここに示す例では、後述するようにバケット7に設定している。)に係る三次元位置を演算する。こうしたモニタポイントに係る三次元位置を車載コンピュータ46で演算する手法については、図6乃至図8に基づいて後に詳述する。
【0059】
こうした演算を行う過程で得られるGPS受信機43,44でのGPSアンテナ31,32の三次元位置の計測値に関するデータに基づいて上部旋回体3の姿勢(上部旋回体3の方向)に係る値を演算で求めることができる。車載コンピュータ46は、こうした演算を行うため旋回体の姿勢演算手段を備えているが、走行体の姿勢演算手段は、この旋回体の姿勢演算手段で演算された上部旋回体3の姿勢に係る値の水平方向の成分の変化に基づいて、上部旋回体3に対する下部走行体2の姿勢に係る値である後述する走行体角度θrnを演算する。本発明に係る計測表示機構200は、こうした走行体角度θrnを演算することにより、下部走行体2及び上部旋回体3のそれぞれの姿勢(水平面上での下部走行体2及び上部旋回体3のそれぞれの方向)をフロント作業機4や油圧ショベル1の周辺状況と共に車載コンピュータ46のモニタ46aに正しく表示できるように構成している。これらの点については、図8乃至図11に基づいて後に詳述する。
【0060】
車載コンピュータ46は、こうした演算を行うほか、当然のことながら、GPS受信機43,44によるGPSアンテナ31,32の三次元位置の各計測値に関するデータに基づいて油圧ショベル1の位置を演算する。無線機47は、以上述べたフロント作業機4のモニタポイントに係る三次元位置や油圧ショベル1の位置や姿勢に関するデータ等、車載コンピュータ46での演算により得られた所定のデータを管理事務所51へ送信する。
【0061】
ICカード48には、施工予定区域における原地形のデータや最終的な出来形である目標地形のデータが記憶されており、オペレータは、作業を開始するに際し、ICカード48を車載コンピュータ46に接続してこれらのデータを入力する。この車載コンピュータ46では、フロント作業機4のモニタポイントに係る三次元位置の計測結果から割り出した出来形に関するデータと油圧ショベル1の位置や姿勢に関するデータとICカード48から入力した原地形及び目標地形に関するデータとに基づき、現在の作業状況をオペレータに伝達するための適宜の支援情報を作り出して車載コンピュータ46のモニタ46aに表示する。その場合、支援情報として、下部走行体2及び上部旋回体3のそれぞれの姿勢も、モニタ46aに併せて表示する。オペレータは、作業が終了したときには、このICカード48を車載コンピュータ46に接続して、車載コンピュータ46で得られた出来形に関するデータや所定のデータをICカード48に記録する。
【0062】
図5に基づき、こうした計測表示機構200に付帯して設置された管理事務所51について説明する。
【0063】
図5において、51はGPSによる位置計測の精度を高めるための補正データや掘削作業の管理や支援に役立つ資料等の種々の情報を生成する管理事務所、55はGPSアンテナ52が付設されGPS衛星の信号を受信して補正データを生成するGPS受信機、56は無線アンテナ53が付設されこのGPS受信機55で生成された補正データを計測表示機構200の無線機41へ送信する無線機、57は無線アンテナ54が付設され計測表示機構200の無線機47からのデータを受信する無線機、58はこの無線機57で受信したデータを記憶し同データに基づいて油圧ショベル1やフロント作業機4の位置や姿勢を表示したり掘削作業を管理したりするためのデータ等を演算してモニタ画面に表示することができるサーバコンピュータである。
【0064】
管理事務所51は、例えば、当該建設工事に係る施工会社の管理者等が管理し、GPS衛星の信号を受信して、GPS受信機43,44によるGPSアンテナ31,32の三次元位置の計測を高精度で実施できるようにするための補正データを生成する。また、計測表示機構200で生成された基礎的な各種データや原地形及び目標地形に関するデータを保存し、これらのデータに基づいて、施工を管理するための管理データやオペレータの掘削作業の遂行に役立つデータ等、種々の資料を作成する。無線アンテナ52とGPS受信機55は、1セットのGPSを構成し、補正データを生成するために設置される。
【0065】
すでに述べたように、GPS衛星の信号に基づいてGPSアンテナ31,32の三次元位置をGPS受信機43,44で計測したときに若干の誤差が生じるため、管理事務所51では、周知の手法で補正データを生成する。その手法について概説すると、管理事務所51では、GPS受信機55の無線アンテナ52の実際の地球上の三次元位置(緯度、経度、高度)を予め正確に測定して確定した上で、別途、GPS衛星の信号に基づいてこの無線アンテナ52の三次元位置をGPS受信機55により計測する。そうすると、GPS受信機55による無線アンテナ52の位置の計測結果が同アンテナ52の実際の正確な位置に対してどの程度の誤差があるのかを求めることができるので、この誤差に基づいて補正データを生成することができる。
【0066】
この補正データは、無線機56を通じて計測表示機構200の無線機41へ一定周期で送信されてGPS受信機43,44にそれぞれ入力される。このGPS受信機43,44では、同受信機43,44での計測結果を補正データで補正してGPSアンテナ31,32の三次元位置を高精度でリアルタイムに計測するRTK(リアルタイム・キネマティック)計測を行う。こうしたRTK計測により、GPSアンテナ31,32の三次元位置を約±1〜2cmの精度で計測することができる。
【0067】
無線機57には、計測表示機構200からのフロント作業機4のモニタポイントに係る三次元位置や油圧ショベル1の位置及び姿勢に関するデータを受信してサーバコンピュータ58に入力されるが、サーバコンピュータ58では、これらのデータを保存するとともに、これらのデータに基づいて種々の資料を作成して同コンピュータ58のモニタ画面に表示し、これにより、油圧ショベル1による掘削作業の状態を管理事務所51で看視することができる。また、サーバコンピュータ58には、予め計測された原地形に関するデータや予め設定された目標地形に関するデータが記憶されている。このサーバコンピュータ58には、ICカード48が接続できるようになっており、原地形及び目標地形に関するデータをICカード48へ入力したり、車載コンピュータ46からICカード48へ入力された当該オペレータの施工領域に係る出来形等に関する所定のデータを出力したりすることができるようになっている。
【0068】
次に、フロント作業機4のモニタポイントに係る三次元位置を演算するためのモニタポイントの計測手段や油圧ショベル1の位置及び姿勢を演算するための計測手段について、図6乃至図9を用いて説明する。
【0069】
図6は、グローバル座標系の概要を示す斜視図、図7は、フロント作業機のモニタポイントと油圧ショベルの位置及び姿勢とを演算するために使用する座標系を示す斜視図、図8は、フロント作業機のモニタポイントの位置と油圧ショベルの位置及び姿勢とを演算する手順を示す流れ図、図9は、車載コンピュータ及びサーバコンピュータのモニタ画面に表示される画像の一例を示す鳥瞰図である。
【0070】
フロント作業機4のモニタポイントの位置と油圧ショベル1の位置及び姿勢に関する計測値は、ここに示す例では最終的にグローバル座標系で算出する。このグローバル座標系で算出した値は、必要に応じて、わが国で慣用されているローカル平面直角座標系や他の適宜の座標系の値に変換することもできる。ここに例示するグローバル座標系は、GPSにおいて高さの基準として用いている準拠楕円体に設定した座標系である。このグローバル座標系の概念を図6に基づいて概説する。
【0071】
同図において、GはGPSで用いている準拠楕円体であり、グローバル座標系Σ0(後述する図5でこの座標系に符号Σ0を付している。)の原点O0は、準拠楕円体Gの中心に設定されている。このグローバル座標系Σ0のx0軸方向は、赤道A及び子午線Bの交点Cと準拠楕円体Gの中心とを通る線上に位置し、z0軸方向は、準拠楕円体Gの中心から南北に延ばした線上に位置し、y0軸方向は、x0軸とz0軸とに直交する線上に位置している。GPSでは、地球上の位置を緯度と経度と準拠楕円体Gに対する高さとで表すので、こうしたグローバル座標系Σ0を使用することにより、GPSでの三次元位置の計測値に関するデータをグローバル座標系Σ0の値に簡単に変換することができる。こうした変換を行うための演算式は、よく知られているので、ここでは説明を省略する。
【0072】
以上を確認の上、計測表示機構200の車載コンピュータ46により、フロント作業機4のモニタポイントに係る三次元位置を演算したり、油圧ショベル1の位置及び姿勢を演算したりする手法を図7及び図8に基づいて説明する。
【0073】
フロント作業機4のモニタポイントに係る三次元位置を演算する手法について以下に説明する際に、ここでは、そのモニタポイントをバケット7の先端に一個所設定した場合を例にして説明するが、モニタポイントは、後述するように、バケット7の先端以外のフロント作業機4の個所や複数個所に設定することもできる。その場合にも、以下に説明する手法に準じてモニタポイントに係る三次元位置を演算することができる。
【0074】
図7において、Σ0は、準拠楕円体Gの中心に原点O0を有するグローバル座標系、Σ3は、油圧ショベル1の上部旋回体3に固定され、上部旋回体3の基盤をなす旋回フレームにおける上面と上部旋回体3の旋回中心軸線との交点に原点O3を有する上部旋回体座標系、Σ7は、バケット7に固定され、バケット7の先端(フロント作業機4のモニタポイント)に中心O7を有するバケット先端座標系である。図7中、Ocは、下部走行体2が接地している地面と上部旋回体3の旋回中心軸線との交点である。なお、フロント作業機4に複数のモニタポイントを設定して各モニタポイントに係る三次元位置を演算する場合には、各モニタポイントをそれぞれ中心とするバケット先端座標系Σ7に準じた座標系を複数設定して、以下の手法に準じて演算すればよい。
【0075】
各GPSアンテナ31,32に対する上部旋回体座標系Σ3の原点O3の位置関係は、距離xga,xgb,yga,ygb,zga,zgbが定まっていて既知であることから、グローバル座標系Σ0での上部旋回体座標系Σ3の位置及び姿勢は、グローバル座標系Σ0でのGPSアンテナ31,32の三次元位置と油圧ショベル1(上部旋回体3)のピッチ角度θ2とが分かれば、演算により求めることができる。このうち、グローバル座標系Σ0での上部旋回体座標系Σ3の姿勢は、上部旋回体3の姿勢すなわちグローバル座標系Σ0での上部旋回体3の方向を意味するから、上部旋回体3の姿勢の水平方向の成分の変化に基づいて、上部旋回体3に対する下部走行体2の姿勢を演算により求めることができる。
【0076】
この点は、本発明に直接関係する事項であるので、その詳細は、図10に基づいて後に説明する。以上の演算を行う場合において、GPS受信機43,44によるGPSアンテナ31,32の三次元位置の計測結果に基づいて旋回体の姿勢(グローバル座標系Σ0での上部旋回体座標系Σ3の姿勢)に係る値を演算するような手段を、本明細書では「旋回体の姿勢演算手段」と称する。また、この旋回体の姿勢演算手段で演算された上部旋回体3の姿勢に関する水平方向の成分の変化に基づいて上部旋回体3に対する下部走行体2の姿勢に係る値(例えば走行体角度θrn)を演算するような手段を、本明細書では「「走行体の姿勢演算手段」と称する。
【0077】
更に言及すると、上部旋回体座標系Σ3の原点O3に対する前記の交点Ocの位置関係は、距離αcが定まっていて既知であることから、上部旋回体座標系Σ3での下部走行体2の位置及び姿勢は、後述する走行体角度θrnのような上部旋回体3に対する下部走行体2の姿勢に係る値が分かれば、演算で求めることができる。すでに述べたことから明らかなように、走行体角度θrnは、GPS受信機43,44によるGPSアンテナ31,32の三次元位置の計測結果に基づいて演算により求めることができることから、結局、GPS受信機43,44によるGPSアンテナ31,32の三次元位置の計測値と傾斜角度センサ24によるピッチ角度θ2の検出値とが得られれば、油圧ショベル1の位置及び姿勢(上部旋回体3の位置及び姿勢と下部走行体2の姿勢、下部走行体2の位置は上部旋回体3の位置と同じ。)を演算により求めることができる。
【0078】
一方、上部旋回体座標系Σ3の原点O3に対するブーム5の基端の位置関係は、距離α3,α4,β4、ブーム5の寸法α5、アーム6の寸法α6及びバケット7の寸法α7が定まっていて既知であることから、上部旋回体座標系Σ3でのバケット先端座標系Σ7の位置及び姿勢は、ブーム角度θ5とアーム角度θ6とバケット角度θ7とが分かれば、演算により求めることができる。そして、前記したように、グローバル座標系Σ0での上部旋回体座標系Σ3の位置及び姿勢は、グローバル座標系Σ0でのGPSアンテナ31,32の三次元位置と油圧ショベル1のピッチ角度θ2に基づいて求めることができるので、結局、GPS受信機43,44によるGPSアンテナ31,32の三次元位置の計測値と傾斜角度センサ24によるピッチ角度θ2の検出値とフロント角度センサ21,22,23によるブーム角度θ5、アーム角度θ6及びバケット角度θ7の各検出値とが得られれば、モニタポイントとしてのバケット7の先端位置を演算により求めることができる。
【0079】
以上のことから、GPS受信機43,44によるGPSアンテナ31,32の三次元位置の計測値とフロント角度センサ21,22,23によるブーム角度θ5、アーム角度θ6及びバケット角度θ7の各検出値と傾斜角度センサ24によるピッチ角度θ2の検出値とを車載コンピュータ46に入力して、これらの計測値や検出値を取捨選択しながら用いて車載コンピュータ46で座標変換演算を行うことにより、油圧ショベル1の位置及び姿勢やバケット7の先端位置をグローバル座標系Σ0の値で求めることができる。
【0080】
図8に基づき、上部旋回体3に対する下部走行体2の姿勢を始めとする油圧ショベル1の位置及び姿勢とバケット7の先端位置(モニタポイントの位置)とを演算する手順について説明する。
【0081】
油圧ショベル1で作業を開始すると、GPS受信機43,44によるGPSアンテナ31,32の三次元位置の計測値が車載コンピュータ46に入力される。そして、車載コンピュータ46では、まず、ステップS10において、GPSアンテナ31の三次元位置の計測値をグローバル座標系Σ0の値0P1に変換する。同様にして、ステップS20において、GPSアンテナ32の三次元位置の計測結果もグローバル座標系Σ0の値0P2に変換する。次いで、ステップS30において、傾斜角度センサ24によるピッチ角度θ2の検出値を車載コンピュータ46に入力する。
【0082】
しかる後、ステップS40において、車載コンピュータ46では、記憶装置に予め記憶されている、各GPSアンテナ31,32に対する上部旋回体座標系Σ3の原点O3の位置関係を特定するための距離xga,xgb,yga,ygb,zga,zgbのデータを使用しながら、ステップS10,S20でそれぞれ求めたグローバル座標系Σ0でのGPSアンテナ31,32の三次元位置の値0P1,0P2とステップS30で入力したピッチ角度θ2の検出値とに基づいて、上部旋回体座標系Σ3の位置及び姿勢を演算によりグローバル座標系Σ0の値0Σ3で求める。この演算は、座標変換であって、一般的な数学的手法により行うことができる。以上により、油圧ショベル1の位置や姿勢の一つである上部旋回体3の位置や姿勢をグローバル座標系Σ0で求めることができる。また、こうして求めた前記のグローバル座標系Σ0の値0Σ3は、後述するように、油圧ショベル1の姿勢の他の一つである下部走行体2の姿勢とバケット7の先端位置とを演算するためのデータとしても利用される。
【0083】
次に、ステップS50において、GPS受信機43,44によるGPSアンテナ31,32の三次元位置の計測結果に基づいて、走行体角度θrnを、後述する図10に示す手法により演算し、この走行体角度θrnの演算値とステップS40で求めたグローバル座標系Σ0の値0Σ3とに基づいて、下部走行体2の姿勢3P4を演算によりグローバル座標系Σ0で求める。また、ステップS60において、フロント角度センサ21,22,23によるブーム角度θ5、アーム角度θ6及びバケット角度θ7の各検出値を車載コンピュータ46に入力する。そして、記憶装置に予め記憶されている、上部旋回体座標系Σ3の原点O3に対するブーム5の基端の位置関係を特定するための距離α3,α4,β4及び寸法α5,α6,α7のデータを使用しながら、そのブーム角度θ5、アーム角度θ6及びバケット角度θ7の各検出値に基づいて、バケット7の先端位置3P7を演算により上部旋回体座標系Σ3で求める。この演算は、座標変換であって、一般的な数学的手法により行うことができる。
【0084】
しかる後、ステップS70に移行し、前段のステップS60において上部旋回体座標系Σ3で求めたバケット7の先端位置3P7とステップS40で求めたグローバル座標系Σ0の値0Σ3とに基づいて、グローバル座標系Σ0でのバケット7の先端位置0P7を演算によりで求める。次いで、ステップS80に移行し、油圧ショベル1の操縦時の外観及び出来形に関するデータに基づいて油圧ショベル1及び出来形を画像化し、更新された出来形を含む地形に係る画像を、油圧ショベル1に係る画像と重ね合わせて車載コンピュータ46のモニタ46aに表示する。また、下部走行体2の姿勢を始めとする油圧ショベル1の位置や姿勢に関するデータやバケット7の先端位置に関するデータ等、こうした画像を作成するための素となるデータを無線機47により管理事務所51の無線機57へ送信され、管理事務所51のサーバコンピュータ58でも同様の画像を表示する。
【0085】
図9は、目標地形や出来形等の地形100に油圧ショベル1を併せて表示したモニタ画面の画像の一例を示し、こうした画像は、車載コンピュータ46やサーバコンピュータ58のモニタ画面に表示する。この計測表示機構200では、車体(建設機械本体)を表示手段としてのモニタ46aに表示する場合に、グローバル座標系Σ0での下部走行体2及び上部旋回体3のそれぞれの姿勢(走行体及び旋回体のそれぞれの方向)が表示されるので、上部旋回体3に対する下部走行体2の姿勢も把握することができ、車体の姿勢が地形100等の油圧ショベル1の周辺状況と共に正しく表示される。
【0086】
図9では、下部走行体2及び上部旋回体3の各姿勢の相互関係やフロント作業機4を地形100と共に鳥瞰図で表示手段に表示しているので、特に、下部走行体2及び上部旋回体3のそれぞれの姿勢が正しく表示されることに加えて、オペレータが下部走行体2及び上部旋回体3の各姿勢の相互関係を識別しやすいように表示され、かつ、フロント作業機4の姿勢も分かるように表示される。ここに示す例では、油圧ショベル1と地形100とを鳥瞰図で表示しているが、平面図で表示するようにしてもよく、その場合には、フロント作業機4の姿勢は識別しにくくなるが、上部旋回体3の各姿勢の相互関係は、一層識別しやすいように表示される。こうした平面図での表示を補完するため、側面図を併せて表示するようにしてもよく、地形100に関するデータに代えて、又は地形100に関するデータと共に地図データを表示するようにしてもよい。
【0087】
前述したように、この計測表示機構200では、旋回体の姿勢演算手段で演算された上部旋回体3の姿勢に係る値の水平方向の成分の変化に基づいて上部旋回体2に対する下部走行体2の姿勢に係る値を走行体の姿勢演算手段で演算するが、この走行体の姿勢演算手段の仕組みを、図10及び図11等を用いて説明する。図10は、図4の計測表示機構の車載コンピュータにおける走行体の姿勢演算手段の作用を説明するための流れ図、図11は、図1の建設機械において走行体角度リセットスイッチをオンにするときの建設機械の姿勢を示す平面図である。
【0088】
車体が下部走行体2と上部旋回体3とを備えた油圧ショベル1にあっては、油圧ショベル1の運転開始時に、通常、図11に示すように上部旋回体3が下部走行体2に対して水平面上で同じ方向を向くように重なり合って、両者の姿勢が一致しているが、運転の開始後、油圧ショベル1で種々の作業を行うと、上部旋回体3は、下部走行体2に対し旋回して姿勢を変化させ、下部走行体2の姿勢とは一致しなくなる。こうした上部旋回体3の姿勢の変化は、これまで、下部走行体2と上部旋回体3との接続部に取り付けた旋回角度センサにより計測していた。
【0089】
この計測表示機構200では、こうした旋回角度センサを備えてはいないが、作業機のモニタポイントの三次元位置を計測するためにGPS受信機43,44を上部旋回体3に設けていて、上部旋回体3には、上部旋回体3上の異なる計測点を計測する三次元位置計測手段を複数(必要最少限の二つ)設けている。こうしたことから、本計測表示機構200では、旋回体の姿勢演算手段を特設することにより、このモニタポイントを計測するためのGPS受信機43,44を活用して、上部旋回体3の姿勢の変化を、グローバル座標系Σ0での計測値により直接的に計測することができるように構成している。
【0090】
これに対し、下部走行体2は、こうした三次元位置計測手段を備えていないので、その姿勢を直接的に計測することができず、このままでは、車体を表示手段に表示する場合に上部旋回体3の姿勢は表示できても、下部走行体2の姿勢を表示することができない。こうしたことから、本計測表示機構200では、走行体の姿勢演算手段を特設することにより、上部旋回体3に対する下部走行体2の姿勢に係る値を演算して、下部走行体2の姿勢を、上部旋回体3の姿勢を基準にしてグローバル座標系Σ0での計測値により間接的に計測することができるように構成している。ここでは、走行体の姿勢演算手段により演算される上部旋回体3に対する下部走行体2の姿勢に係る値として、走行体角度θrnを採用して演算するようにしている。走行体角度θrnとは、下部走行体2の方向(方向線)が上部旋回体2の方向(方向線)に対してなす角度のことであり、上部旋回体3が図11のように下部走行体2と重なり合っているときには、走行体角度θrnはゼロである。
【0091】
以上を確認の上、図10に基づき、走行体の姿勢演算手段の作用を説明する。油圧ショベルの運転を開始すると、車載コンピュータ46では、まず、ステップS51において、旋回パイロット圧力Psが予め設定した閾値(しきい値)以上であるか否かを判定し、これにより、オペレータが旋回モータ105を実際に駆動させているか否かを判定する。この旋回パイロット圧力Psは、旋回モータ105を駆動するように旋回モータ用の方向制御弁103eを切り換え操作するための油圧パイロット圧のことであり、図3の説明で述べたように、油圧ライン173に導かれた油圧パイロット圧のことである。この旋回パイロット圧力Psは、図4に示す旋回パイロット圧力センサ27により検出される。
【0092】
このステップS51での判定の結果、旋回パイロット圧力Psが閾値以上でないと判定されてNOのときには、後述するステップS54に移行する。また、旋回パイロット圧力Psが閾値以上であると判定されてYESのときには、旋回モータ105を駆動するための図3の操作レバー142cによる旋回操作を行っているものと判断してステップS52に移行する。ステップS52に移行すると、車載コンピュータ46では、上部旋回体3に関する旋回方向への角度の変化の量である旋回体角度変化を演算する。この旋回体角度変化は、図7における上部旋回体座標系Σ3のx3軸の前回値x3−preと現在値x3との内積(前回値x3−preで特定された姿勢のx3軸と現在値x3で特定された姿勢のx3軸とで挟まれた角度)により求め、その値を旋回体変化角度とする。
【0093】
次いで、ステップS53に移行し、車載コンピュータ46では、
現在の走行体角度=前回の走行体角度+旋回体変化角度の計算式に従って現在の走行体角度を演算する。こうして、上部旋回体3の姿勢に係る値の水平方向の成分の変化(x3軸の方向に係る値の変化)に基づいて上部旋回体2に対する下部走行体2の姿勢に係る値を演算で求めることができる。かくして、車体をモニタ46aに表示する場合に、上部旋回体3の姿勢だけではなく、下部走行体2の姿勢も表示することができる。
【0094】
次いで、ステップS54に移行し、走行体角度リセットスイッチ28がオンになっているか否を判定する。この走行体角度リセットスイッチ28は、こうした演算を繰り返すことにより生じる走行体角度θrnの演算結果に係る累積誤差を解消するために設けたものである。図11に基づきその用法について説明すると、この走行体角度リセットスイッチ28をオンにするときには、上部旋回体3を、図11のように下部走行体2と重なり合った状態すなわち標準状態に操作してからオンにする。そうすると、走行体角度θrnは、上部旋回体3がこの標準状態に整えられた状態で初期値(通常ゼロ)にリセットされ、前記累積誤差は解消される。
【0095】
このステップS54での判定の結果、走行体角度リセットスイッチ28がオンになっていないと判定されたときには、車載コンピュータ46は、ステップS53で演算された現在の走行体角度θrnに係るデータを記憶装置に記憶するとともに、このデータを使用して油圧ショベル1の画像を作成して下部走行体2及び上部旋回体3の双方の姿勢をモニタ46aに表示する。また、走行体角度リセットスイッチ28がオンになっていると判定されたときには、ステップS55に移行して走行体角度θrnを初期値(=0)にリセットされる。その結果、車載コンピュータ46は、この走行体角度θrn=0のデータを使用して油圧ショベル1の画像を作成し、モニタ46aには、上部旋回体3が標準状態に操作された油圧ショベル1を表示することとなる。以後、油圧ショベルの運転期間中、こうした過程を微小な周期で繰り返す。
【0096】
本建設機械の計測表示機構200は、以上述べたとおり、フロント作業機4や車体を油圧ショベル1の地勢等の油圧ショベル1の周辺状況と共に車載コンピュータ46のモニタ46aに表示してオペレータに伝達できるようにするものである。こうした計測表示機構200を構成する場合、車載コンピュータ46に旋回体の姿勢演算手段と走行体の姿勢演算手段とを設けて前記のように構成しているので、フロント作業機4のモニタポイントの位置を計測するために従来設けられていた複数の三次元位置計測手段としてのGPS受信機43,44をそのまま活用して、これらの計測結果に基づいて上部旋回体3の姿勢を旋回体の姿勢演算手段で算定することができ、さらには、この旋回体の姿勢演算手段での計測結果に基づいて上部旋回体3に対する下部走行体2の姿勢を走行体の姿勢演算手段で算定することができる。
【0097】
本建設機械の計測表示機構200では、このように、車体の姿勢をなす下部走行体2及び上部旋回体3の双方の姿勢を算定して表示手段としてのモニタ46aに表示できるように構成しているので、車体の実際の姿勢を油圧ショベル1の周辺状況と共にモニタ46aに正しく表示することができる。その結果、油圧ショベル1のオペレータは、モニタ46aを見ながら安心して作業を行うことができて、掘削作業の作業効率の低下を招くことがない。
【0098】
また、本建設機械の計測表示機構200では、フロント作業機4のモニタポイントの位置を計測するためのGPS受信機43,44をそのまま活用して下部走行体2や上部旋回体3の姿勢に係る値を演算することができるので、既存のGPS受信機43,44を二重に活用することができて有効に利用することができる。上部旋回体3の姿勢すなわち上部旋回体3の旋回角度を検出するのに、通常、下部走行体2と上部旋回体3との接続部に旋回角度センサを取り付けており、そのため、その接続部を改造して旋回角度センサを取り付けるという難作業を必要として構造の複雑化やコストアップを招くが、本建設機械の計測表示機構200では、既存のGPS受信機43,44を利用して上部旋回体3の旋回角度を演算で求めることができるので、こうした問題は生じない。
【0099】
掘削作業中、時には下部走行体2を旋回して走行させることもあり、これに伴って、上部旋回体3も下部走行体2と共に旋回するが、この上部旋回体3の旋回は、上部旋回体3に対する下部走行体2の姿勢の変化ではないので、走行体の姿勢演算手段での演算結果に、こうした走行旋回による上部旋回体3の旋回が影響しないようにすることが望ましい。本建設機械の計測表示機構200では、旋回パイロット圧力Psが閾値以上であるか否かを判定する旋回体の駆動判定手段を設けて、上部旋回体3が旋回駆動されているとこの駆動判定手段で判定されたときに初めて上部旋回体3に対する下部走行体2の姿勢に係る値が走行体の姿勢演算手段で演算されるので、油圧ショベル1を掘削作業中に走行旋回させても、車体の姿勢を正しく算定することができる。
【0100】
前述したように、上部旋回体3に対する下部走行体2の姿勢に係る値を走行体の姿勢演算手段で演算するたびに、若干の誤差が生じて累積して行くので、走行体の姿勢演算手段での演算結果がこうした累積誤差の影響を受けないようにすることが望ましい。本建設機械の計測表示機構200では、特に、走行体の姿勢リセット手段としての前述の走行体角度リセットスイッチ28を付設しているので、オペレータが下部走行体2の姿勢と上部旋回体3の姿勢とを一致させるように操作した後、走行体の姿勢演算手段で演算された上部旋回体3に対する下部走行体2の姿勢に係る値を走行体角度リセットスイッチ28で初期値に適宜リセットすることにより、車体の姿勢を累積誤差に影響されないように正しく算定することができる。
【0101】
特に、車体の姿勢を算定して表示手段に表示する場合、正しく算定して表示することに加えて、オペレータに分かりやすいように表示することが望ましい。本建設機械の計測表示機構200では、下部走行体2及び上部旋回体3の各姿勢の相互関係やフロント作業機4等が鳥瞰図でモニタ46aに表示されるので、特に、下部走行体2及び上部旋回体3のそれぞれの姿勢が正しく表示されることに加えて、オペレータが各姿勢の相互関係を識別しやすいように表示され、かつ、フロント作業機4の姿勢も分かるように表示される。
【0102】
以上、本発明を油圧ショベル1に具体化した例を示したが、建設機械本体が走行体と旋回体を有する建設機械であれば、他の建設機械にも適用することができる。したがって、走行体としての台船に旋回体を旋回可能に設置してバックホーのような作業機で浚渫作業を行う既述の浚渫船のような建設機械にも当然適用することができる。以上述べた例は、オペレータが油圧ショベル1の運転室11で操縦する油圧ショベル1の例であるが、本発明は、遠隔操作される油圧ショベルにも具体化することができ、その場合には、車体の姿勢が油圧ショベルの周辺状況と共に正しく表示された表示手段を見ながら遠隔操作により安心して作業を行うことができる。
【0103】
ところで、最近は、建設機械としてのクローラ式の油圧ショベルをベースマシンとした地雷処理機が開発されている。この地雷処理機は、事前に埋設位置を探知した地雷に表示手段を見ながら近付いて、この地雷をロータリカッタ等の処理具により破壊しようとするものである。本発明をこうした地雷処理機に具体化すれば、表示手段には、上部旋回体の姿勢だけではなく、下部走行体の姿勢も表示されるので、この表示手段を見ながら、下部走行体を、地雷に接触させないように適切に接近させることができて、地雷の除去作業を安全かつ効率的に実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明に係る建設機械の計測表示機構を使用した建設機械の一例を示す斜視図である。
【図2】図1の建設機械の油圧アクチュエータを駆動するための油圧回路を示す油圧回路図である。
【図3】図1の建設機械の油圧アクチュエータを操作する油圧パイロット圧を送るための油圧回路を示す油圧回路図である。
【図4】本発明を具体化して構成した建設機械の計測表示機構の一例を示すブロック図である。
【図5】図5は、図4の建設機械の計測表示機構に関連して設置された管理事務所内に配備されたシステムの一例を示すブロック図である。
【図6】グローバル座標系の概要を示す斜視図である。
【図7】フロント作業機のモニタポイントと油圧ショベルの位置及び姿勢とを演算するために使用する座標系を示す斜視図である。
【図8】フロント作業機のモニタポイントの位置と油圧ショベルの位置及び姿勢とを演算する手順を示す流れ図である。
【図9】車載コンピュータ及びサーバコンピュータのモニタ画面に表示される画像の一例を示す鳥瞰図である。
【図10】図4の計測表示機構の車載コンピュータにおける走行体の姿勢演算手段の作用を説明するための流れ図である。
【図11】図1の建設機械において走行体角度リセットスイッチをオンにするときの建設機械の姿勢を示す平面図である。
【符号の説明】
【0105】
1 油圧ショベル
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 フロント作業機
5 ブーム
6 アーム
7 バケット
8 ブームシリンダ
9 アームシリンダ
10 バケットシリンダ
11 運転室
21 ブーム角度センサ
22 アーム角度センサ
23 バケット角度センサ
24 傾斜角度センサ
27 パイロット圧力センサ
28 走行体角度リセットスイッチ
43,44 GPS受信機
46 車載コンピュータ
46a (車載コンピュータ46の)モニタ
105 旋回モータ
103c 旋回モータ用の方向制御弁
143 旋回モータの操作装置
173 旋回パイロット圧の油圧ライン
200 計測表示機構
Ps 旋回パイロット圧力
θrn 走行体角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体及びこの走行体上に旋回可能に設置されて旋回駆動される旋回体を有する建設機械本体とこの旋回体に設置され地中を掘削する作業機とを備えた建設機械に使用され、旋回体上の異なる計測点を計測する複数の三次元位置計測手段での計測結果に基づいて作業機に設定されたモニタポイントの三次元位置を計測して、作業機及び建設機械本体を建設機械周辺の地勢等の建設機械の周辺状況と共に表示手段に表示してオペレータに伝達できるようにした建設機械の計測表示機構において、複数の三次元位置計測手段での計測結果に基づいて旋回体の姿勢に係る値を演算する旋回体の姿勢演算手段を設けるとともに、この旋回体の姿勢演算手段で演算された旋回体の姿勢に係る値の水平方向の成分の変化に基づいて旋回体に対する走行体の姿勢に係る値を演算する走行体の姿勢演算手段を設けて、建設機械本体を表示手段に表示する場合に走行体及び旋回体の各姿勢を表示できるように構成したことを特徴とする建設機械の計測表示機構。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械の計測表示機構において、建設機械が発する信号に基づいて旋回体が旋回駆動されているか否を判定する旋回体の駆動判定手段を付設し、旋回体が旋回駆動されていると旋回体の駆動判定手段で判定されたときに、走行体の姿勢演算手段により旋回体に対する走行体の姿勢に係る値を演算するように構成したことを特徴とする建設機械の計測表示機構。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の建設機械の計測表示機構において、走行体の姿勢演算手段で演算された旋回体に対する走行体の姿勢に係る値を、走行体の姿勢と旋回体の姿勢とが一致しているときの初期値にリセットすることができる走行体の姿勢リセット手段を付設したことを特徴とする建設機械の計測表示機構。
【請求項4】
請求項1、請求項2又は請求項3に記載の建設機械の計測表示機構において、走行体及び旋回体の各姿勢の相互関係と作業機と建設機械周辺の地勢等の建設機械の周辺状況とを鳥瞰図で表示手段に表示するように構成したことを特徴とする建設機械の計測表示機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−214236(P2006−214236A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−30669(P2005−30669)
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】