説明

建設機械

【課題】 複数種類のキャノピで脚体を共通化することにより、部品数を削減し、組立作業性を向上する。
【解決手段】 左,右の脚体16,17には、上側に向けて段階的に小径となる大径段部19Aと小径段部19Bとを有した嵌合突部19を設ける構成とした。従って、各脚体16,17は、嵌合突部19の大径段部19Aに2柱式キャノピ15の大径な支柱20を外側から嵌合して取付けることができる。また、小径段部19Bには、3柱式キャノピ31、4柱式キャノピ41の小径な後支柱32,42を外側から嵌合して取付けることができる。これにより、複数種類のキャノピ15,31,41で脚体16,17を共通化することができるから、部品数を削減して、組立作業性を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル等の建設機械に関し、特に、運転席に着座したオペレータの上方を覆うキャノピを備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、キャノピを備えた形式の建設機械の代表的な機種として油圧ショベル等が知られている。この油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前側に上,下方向に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより大略構成されている。
【0003】
ここで、上部旋回体は、前側に作業装置が取付けられる旋回フレームと、前記旋回フレーム上に設けられオペレータが着座する運転席と、前記旋回フレームの後側に設けられ前記作業装置との重量バランスをとるカウンタウエイトと、前記運転席の上方を覆うように設けられたキャノピとにより大略構成されている。
【0004】
また、油圧ショベルのキャノピには、運転席の後側に位置して上,下方向に延びる2本の支柱を有し、この2本の支柱の上部に前側に張出してルーフを備えた2柱式キャノピがある(例えば、特許文献1参照)。また、運転席の後側に位置して上,下方向に延びる2本の後支柱と床板の前部に位置して上,下方向に延びる1本の前支柱とを有し、これらの支柱の上部にルーフを備えた3柱式キャノピがある(例えば、特許文献2参照)。さらに、キャノピには、2本の後支柱と2本の前支柱を有する4柱式キャノピがある。
【0005】
【特許文献1】特開2002−206255号公報
【特許文献2】特開平11−336126号公報
【0006】
また、特許文献1による2柱式キャノピは、運転席の後側に位置してエンジンカバーに取付けられた脚部と、該脚部に嵌合して取付けられ上方に延びる支柱と、運転席の上方を覆うように該支柱の上部に前側に張出して設けられたルーフとにより構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1の発明による2柱式キャノピは、ルーフを片持ち状態で支持している2本の支柱が容易に変形しないように、強度を有する直径寸法の大きな太いパイプ部材を用いて形成している。一方、特許文献2による3柱式キャノピは、3本の支柱によってルーフを両持ち状態で支持することにより十分な強度を得ることができるから、2柱式キャノピの支柱よりも直径寸法の小さな細いパイプ部材を用いて形成することができる。また、4柱式キャノピも3柱式キャノピと同様に、支柱を細いパイプ部材を用いて形成することができる。このように、2柱式キャノピに用いる支柱の直径寸法と3柱式キャノピ、4柱式キャノピに用いる支柱の直径寸法とは異なっている。
【0008】
従って、特許文献1による2柱式キャノピのように、3柱式キャノピ、4柱式キャノピを脚体を用いて旋回フレーム側に取付ける構成とした場合、2柱式キャノピ、3柱式キャノピ、4柱式キャノピの支柱を取付ける脚体は、直径寸法が異なる支柱毎に用意しなくてはならない。このために、部品数が増大し、組立作業性も低下するという問題がある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、複数種類のキャノピで脚体を共通化することにより、部品数を削減し、組立作業性を向上できるようにした建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による建設機械は、支持構造体をなして作業装置が取付けられるフレームと、該フレーム上に設けられオペレータが着座する運転席と、前記フレーム側の取付対象物に取付けられ該運転席の上方を覆うキャノピとを備え、前記キャノピは、前記運転席の後側に位置して前記取付対象物に取付けられる脚体と、下側が該脚体に取付けられて上方に延び上側に前記運転席の上方に位置してルーフが取付けられた支柱とからなる。
【0011】
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記脚体は、前記取付対象物に固定される取付ベースと、該取付ベースから上側に向けて段階的に小径となる複数の段部を有し前記支柱の下端部が外側から嵌合する嵌合突部とにより構成し、前記嵌合突部には、複数種類のキャノピを構成する前記支柱の下端側がいずれかの段部に選択的に嵌合する構成としたことにある。
【0012】
請求項2の発明によると、前記嵌合突部の各段部は、上方からみて同心円状に配置する構成としたことにある。
【0013】
請求項3の発明によると、前記嵌合突部は、前記各段部間を滑らかな円弧状に形成したことにある。
【0014】
請求項4の発明によると、前記フレーム側の取付対象物は、前記作業装置との重量バランスをとるために前記フレームの後側に設けられたカウンタウエイトであり、前記キャノピの脚体は、該カウンタウエイトに取付ける構成としたことにある。
【0015】
請求項5の発明によると、前記キャノピは、大径な2本の支柱によりルーフを支持する2柱式キャノピと、小径な2本の後支柱と前支柱によりルーフを支持する3柱式または4柱式キャノピとを用意し、前記2柱式キャノピの大径な支柱は、前記脚体の嵌合突部の大径段部に外側から嵌合し、3柱式または4柱式キャノピの小径な後支柱は、前記嵌合突部の小径段部に外側から嵌合して取付けることにより、前記脚体を複数種類のキャノピで共通部品として用いる構成としたことにある。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、キャノピの脚体には取付ベースに嵌合突部を設け、該嵌合突部には、上側に向けて段階的に小径となる複数の段部を設ける構成としている。従って、例えば2柱式キャノピに用いる直径寸法(内径寸法)の大きな太い支柱は、嵌合突部の下側に位置する直径寸法が大きな段部に外側から嵌合(外嵌)させることにより、高い取付強度をもって確実に取付けることができる。一方、3柱式キャノピ、4柱式キャノピに用いる直径寸法(内径寸法)の小さな細い支柱は、嵌合突部の上側に位置する直径寸法が小さな段部に嵌合することにより、太い支柱と同様に、高い取付強度をもって確実に取付けることができる。
【0017】
この結果、2柱式キャノピと3柱式キャノピ、4柱式キャノピとに共通の脚体を用いることができるから、複数種類のキャノピで脚体を共通化することができ、部品数を削減し、組立作業性を向上することができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、嵌合突部の各段部は、上方からみて同心円状に配置しているから、異なる段部に嵌合するいずれの支柱も嵌合突部と同軸に配置することができ、見栄えを良好にすることができる。また、嵌合突部と支柱とを固着するための溶接を全周に亘って均一に施すことができ、溶接強度を高めることができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、嵌合突部は、各段部間を滑らかな円弧状に形成しているから、一部に応力が集中するのを防止でき、嵌合突部の強度および該嵌合突部に対する支柱の取付強度を高めることができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、旋回フレームの後側に取付けられた強度部材となるカウンタウエイトを利用し、該カウンタウエイトに対して脚体を取付けることができ、キャノピを安定的に設けることができる。
【0021】
請求項5の発明によれば、脚体に2柱式キャノピの大径な支柱を取付ける場合には、脚体の嵌合突部の下側に位置する大径段部を選択し、該大径段部に大径な支柱を外側から嵌合することにより、共通の脚体に大径な支柱を取付けることができる。一方、脚体に3柱式または4柱式キャノピの小径な支柱を取付ける場合には、嵌合突部の上側に位置する小径段部に小径な支柱を外側から嵌合することにより、共通の脚体に小径な支柱を取付けることができる。これにより、1つの脚体を2柱式キャノピと3柱式、4柱式キャノピとで共用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に係る建設機械として小型なクローラ式の油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図16に従って詳細に説明する。
【0023】
図1において、1はキャノピ仕様の油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前側に揺動および俯仰動可能に設けられた作業装置4と、前記下部走行体2の前側に設けられた排土装置5とにより大略構成されている。
【0024】
ここで、油圧ショベル1は、作業現場の環境、作業内容等に伴う顧客のニーズに対応するために、複数種類のキャノピ15,31,41を取付けることができる。即ち、図1に示す後述の2柱式キャノピ15と、図2に示す3柱式キャノピ31と、図3に示す4柱式キャノピ41との中から選択し、上部旋回体3に取付けることができる構成となっている。そして、油圧ショベル1の上部旋回体3は、後述の旋回フレーム6、エンジン7、カウンタウエイト8、運転席12等とキャノピ15,31,41のいずれかとを含んで構成されている。
【0025】
6は上部旋回体3の支持構造体をなす旋回フレームを示している。この旋回フレーム6は、図4に示す如く、厚肉な鋼板等を用いて形成された底板6Aと、該底板6A上に前,後方向に延びるように立設された左,右の縦板6Bと、該各縦板6Bの左,右両側に前,後方向に延びて設けられた左,右のサイドフレーム6Cと、前記縦板6Bとサイドフレーム6Cとを接続する複数本の張出しビーム6Dと、前記各縦板6Bの前端部に設けられ、スイング式の作業装置4を支持する支持ブラケット6Eとにより大略構成されている。
【0026】
7は旋回フレーム6の後側に搭載されたエンジンである(図1ないし図3中に点線で図示)。このエンジン7は、油圧ポンプ(図示せず)を駆動するもので、左,右方向に延在する横置き状態に配置されている。
【0027】
8はエンジン7の後側に位置して旋回フレーム6の後部に取付けられたカウンタウエイトである。このカウンタウエイト8は、作業装置4との重量バランスをとるもので、左,右方向の中央部が後方に突出する円弧状の重量物として形成されている。また、カウンタウエイト8は、後述するキャノピ15,31,41を取付ける旋回フレーム6側の取付対象物となるものである。さらに、カウンタウエイト8の上面部8Aには、図5に示す如く、左,右方向に離間して2個のボルト穴8Bがそれぞれ形成され、該各ボルト穴8Bには、後述の脚体16,17を固定するためのボルト22が螺着される。
【0028】
9はエンジン7の上部前側を覆うように設けられたシートベースで(図1等に図示)、該シートベース9上には、後述の運転席12が取付けられている。また、10は前記シートベース9の前側に敷設された床板、11は前記シートベース9の左,右両側等を覆う外装カバーを示している。
【0029】
12は旋回フレーム6上となるシートベース9上に取付けられた運転席である。この運転席12は、オペレータが着座するものである。また、運転席12の左,右両側には、作業装置4等を操作する左,右の作業操作レバー13が配設されている。さらに、運転席12の前側には、床板10の前部に位置して下部走行体2を走行させる走行操作レバー14が配設されている。
【0030】
次に、上部旋回体3に選択して取付けることができる3種類のキャノピ15,31,41について説明する。図1、図5〜図12に示す2柱式キャノピ15は、運転席12の後側に位置する2本の支柱20によりルーフ21を支持する構成となっている。また、図2、図13〜図15に示す3柱式キャノピ31は、運転席12の後側に位置する2本の後支柱32A,32Bと床板10の前部に位置する1本の前支柱32Eとによりルーフ33を支持する構成となっている。さらに、図3、図16に示す4柱式キャノピ41は、運転席12の後側に位置する2本の後支柱42A,42Bと床板10の前部に位置する2本の前支柱42E,42Fとによりルーフ43を支持する構成となっている。ここで、2柱式キャノピ15、3柱式キャノピ31および4柱式キャノピ41は、ルーフ21,33,43の支持構造が異なるものの、後述する左,右の脚体16,17を共通部品として用いている。
【0031】
15は上部旋回体3に設けられる2柱式キャノピを示している。この2柱式キャノピ15は、図6および図7に示す如く、後述の脚体16,17、支柱20およびルーフ21により構成されている。
【0032】
16は運転席12の後側に位置するカウンタウエイト8の左側に取付けられる左脚体、17はカウンタウエイト8の右側に取付けられる右脚体である。そして、左脚体16と右脚体17は、2柱式キャノピ15の他にも、後述の3柱式キャノピ31、4柱式キャノピ41の一部として使用される共通部品を構成している。なお、左脚体16と右脚体17とは、左,右方向でほぼ対称となるように形成されており、それぞれの構成がほぼ同一であることから、右脚体17には、左脚体16と同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0033】
即ち、左脚体16は、図9ないし図12に示す如く、取付対象物となるカウンタウエイト8に取付けられる取付ベース18と、該取付ベース18から後側に緩やかに傾斜しつつ上向きに延びた嵌合突部19とからなり、取付ベース18と嵌合突部19とは鋳造等により一体成形されている。また、取付ベース18には、該左脚体16をカウンタウエイト8に取付ける後述のボルト22が挿通する2個のボルト挿通穴18Aが形成されている。
【0034】
また、嵌合突部19の上部は、上側に向けて段階的に小径となる段付円筒状に形成されている。これにより、嵌合突部19の上部は、下側が直径寸法の大きな大径段部19Aとなり、上側が直径寸法の小さな小径段部19Bとなっている。また、大径段部19Aの下側位置は下側テーパ面19Cとなり、大径段部19Aと小径段部19Bとの間は上側テーパ面19Dとなっている。さらに、大径段部19Aから小径段部19Bまでの角隅部19E〜19Hは、応力の集中を避けるために滑らかな凸円弧状または凹円弧状に形成されている。
【0035】
さらに、大径段部19Aと小径段部19Bとは、上方からみて同心円状に配置され、これにより、大径段部19Aに外側から嵌合(外嵌)する後述の2柱式キャノピ15の支柱20も、小径段部19Bに外嵌する後述の3柱式キャノピ31の後支柱32も、嵌合突部19と同軸に配置することができる。
【0036】
20は2柱式キャノピ15の支柱を示している。この支柱20は、下側が脚体16,17に取付けられて上方に延び、上側に運転席12の上方を覆う後述のルーフ21が取付けられている。また、支柱20は、中空なパイプ部材に所望の曲げ加工を施すことにより形成されている。そして、支柱20は、図6、図7に示す如く、運転席12の左後側に位置して左脚体16から上側に延びる左支柱20Aと、運転席12の右後側に位置して右脚体17から上側に延びる右支柱20Bと、各支柱20A,20Bの上部から運転席12の上方に向け屈曲して前側に延びたルーフ取付部20C,20Dとにより構成されている。
【0037】
また、例えば左支柱20Aは、図8に示す如く、下端側の外嵌部20A1が嵌合突部19の大径段部19Aに外側から嵌合し、この嵌合状態で例えば全周に亘って溶接を施すことにより、左脚体16に対して一体的に固着されている。また、右支柱20Bも、左支柱20Aと同様にして、右脚体17に対して一体的に固着されている。
【0038】
ここで、支柱20は、後側に位置する2本の左支柱20A,右支柱20Bだけを用い、後述のルーフ21を片持ち状態で強固に支持しなくてはならない。このために、左支柱20A,右支柱20Bは、直径寸法(内径寸法)が大きな太いパイプ部材を用いて形成している。
【0039】
21は支柱20の上側位置に設けられたルーフで、該ルーフ21は、運転席12に着座したオペレータの上方を覆うものである。また、ルーフ21は、支柱20のルーフ取付部20C,20D上に取付けられ、これにより、支柱20の上部に前側に張出した片持ち状態で取付けられている。
【0040】
そして、2柱式キャノピ15は、左,右の脚体16,17に支柱20の左支柱20A,右支柱20Bを溶接すると共に、上側のルーフ取付部20C,20D上にルーフ21を取付けることにより組立てることができる。また、このように組立てられた2柱式キャノピ15は、図5に示す如く、左,右の脚体16,17をカウンタウエイト8の上面部8Aに配置し、この状態で取付ベース18のボルト挿通穴18Aに挿通したボルト22をカウンタウエイト8のボルト穴8Bに螺着することにより、カウンタウエイト8に強固に取付けることができる。
【0041】
次に、31は2柱式キャノピ15に代えて上部旋回体3に設けることができる3柱式キャノピを示している(図2参照)。この3柱式キャノピ31は、図13および図14に示す如く、2柱式キャノピ15と共通の部品となる前述の脚体16,17と、後述の支柱32、ルーフ33とにより構成されている。
【0042】
32は3柱式キャノピ31の支柱を示している。この支柱32は、図15に示す如く、運転席12の左後側に位置して左脚体16から上側に延びる左後支柱32Aと、運転席12の右後側に位置して右脚体17から上側に延びる右後支柱32Bと、各支柱32A,32Bの上部から運転席12の上方に向け屈曲して前側に延びた左,右のルーフ取付部32C,32Dと、右側のルーフ取付部32Dの前端から屈曲して下向きに延び、その下端部が床板10の前部に取付けられる右前支柱32Eとにより大略構成されている。また、支柱32は、前述した2柱式キャノピ15の支柱20とほぼ同様に、中空なパイプ部材に所望の曲げ加工を施すことにより形成されている。
【0043】
しかし、3柱式キャノピ31の支柱32は、2本の後支柱32A,32Bと1本の右前支柱32Eとの合計3本をもって後述のルーフ33を両持ち状態で支持することができる。従って、支柱32は、2本だけでルーフ21を片持ち支持している2柱式キャノピ15の支柱20に比較し、直径寸法(内径寸法)が小さな細いパイプ部材を用いて形成することができる。
【0044】
このように直径寸法(内径寸法)が小さな細いパイプ部材を用いて形成される支柱32は、左後支柱32A,右後支柱32Bの下端部の外嵌部32A1,32B1を嵌合突部19の小径段部19Bに嵌合し、この嵌合状態で例えば全周に亘って溶接を施すことにより、脚体16,17に対して一体的に固着されている。
【0045】
33は支柱32の上側に設けられたルーフで、該ルーフ33は、運転席12に着座したオペレータの上方を覆うものである。また、ルーフ33は、左,右のルーフ取付部32C,32D上に取付けられ、これにより、3本の支柱32A,32B,32Eに両持ち状態で支持されている。
【0046】
そして、3柱式キャノピ31は、左,右の脚体16,17に支柱32の左後支柱32A,右後支柱32Bを溶接すると共に、ルーフ取付部32C,32D上にルーフ33を取付けることにより組立てることができる。また、このように組立てられた3柱式キャノピ31は、左,右の脚体16,17をカウンタウエイト8の上面部8Aに取付け、右前支柱32Eを床板10の前部に取付けることにより、カウンタウエイト8、床板10に強固に取付けることができる。
【0047】
次に、41は2柱式キャノピ15、3柱式キャノピ31に代えて上部旋回体3に設けることができる4柱式キャノピを示している(図3参照)。この4柱式キャノピ41は、図16に示す如く、2柱式キャノピ15、3柱式キャノピ31と共通の部品となる前述の脚体16,17と、後述の支柱42、ルーフ43とにより構成されている。
【0048】
42は4柱式キャノピ41の支柱を示している。この支柱42は、運転席12の左後側に位置して左脚体16から上側に延びる左後支柱42Aと、運転席12の右後側に位置して右脚体17から上側に延びる右後支柱42Bと、各支柱42A,42Bの上部から運転席12の上方に向け屈曲して前側に延びた左,右のルーフ取付部42C,42Dと、左,右のルーフ取付部42C,42Dの前端から屈曲して下向きに延び、その下端部が床板10の前部に取付けられる左前支柱42E,右前支柱42Fとにより大略構成されている。
【0049】
ここで、4柱式キャノピ41の支柱42は、2本の後支柱42A,42Bと2本の前支柱42E,42Fとの合計4本をもって後述のルーフ43を両持ち状態で支持することができる。これにより、支柱42は、3柱式キャノピ31の支柱32とほぼ同様に、直径寸法(内径寸法)が小さな細いパイプ部材を用いて形成することができる。
【0050】
43は支柱42の上側に設けられたルーフで、該ルーフ43は、運転席12に着座したオペレータの上方を覆うものである。また、ルーフ43は、左,右のルーフ取付部42C,42D上に取付けられ、これにより、4本の支柱42A,42B,42E,42Fに両持ち状態で支持されている。
【0051】
そして、4柱式キャノピ41は、左,右の脚体16,17に支柱42の左後支柱42A,右後支柱42Bを溶接すると共に、ルーフ取付部42C,42D上にルーフ43を取付けることにより組立てることができる。また、このように組立てられた4柱式キャノピ41は、左,右の脚体16,17をカウンタウエイト8の上面部8Aに取付け、左,右の前支柱42E,42Fを床板10の前部に取付けることにより、カウンタウエイト8、床板10に強固に取付けることができる。
【0052】
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
【0053】
まず、本実施の形態による油圧ショベル1は、作業現場の環境、作業内容等に伴う顧客のニーズに対応するために、複数種類のキャノピ15,31,41の中から選択したものを取付けることができる。この場合に、各キャノピ15,31,41には、左,右の脚体16,17を共通部品として用いることにより、部品数を削減し、誤組付け等を防止することができる。
【0054】
そして、油圧ショベル1を組立てたら、オペレータは、運転席12に着座して走行操作レバー14を操作することにより、下部走行体2を走行させることができる。また、左,右の作業操作レバー13を操作することにより、作業装置4等を動作させて土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0055】
このように構成される本実施の形態によれば、2柱式キャノピ15を、カウンタウエイト8に取付けられる左,右の脚体16,17と、該左,右の脚体16,17に上側に延びて取付けられる支柱20と、該支柱20の上側位置に設けられたルーフ21とにより構成し、前記各脚体16,17には、上側に向けて段階的に小径となる大径段部19Aと小径段部19Bとを有した嵌合突部19を設ける構成としている。
【0056】
従って、2柱式キャノピ15に用いる直径寸法(内径寸法)の大きな太い支柱20は、嵌合突部19の下側に位置する直径寸法が大きな大径段部19Aに外側から嵌合(外嵌)することにより、高い取付強度をもって確実に取付けることができる。一方、3柱式キャノピ31、4柱式キャノピ41に用いる直径寸法(内径寸法)の小さな細い後支柱32A,32B、42A,42Bは、嵌合突部19の上側に位置する直径寸法が小さな小径段部19Bに外側から嵌合することにより、太い支柱20と同様に、高い取付強度をもって確実に取付けることができる。
【0057】
この結果、2柱式キャノピ15と3柱式キャノピ31、4柱式キャノピ41とには共通の脚体16,17を用いることができるから、複数種類のキャノピ15,31,41で脚体16,17を共通化することができる。これにより、従来ではキャノピ毎に必要であった脚体の種類を1種類にすることができるから、部品数を削減でき、組立作業性を向上することができる。また、組立作業時の誤組付けを防止することができる。
【0058】
また、嵌合突部19の大径段部19Aと小径段部19Bは、上方からみて同心円状に配置しているから、大径段部19Aに嵌合する大径な支柱20も、小径段部19Bに嵌合する小径な後支柱32A,32B、42A,42Bも嵌合突部19と同軸に配置することができる。これにより、嵌合突部19に対して各支柱20,32,42を同軸に配置でき、取付状態での見栄えを良好にすることができる。また、嵌合突部19に対して各支柱20,32,42を正確に位置決めすることにより、全周に亘って均一な溶接を施すことができ、溶接強度を高めることができる。
【0059】
また、嵌合突部19の各段部19A,19B、テーパ面19C,19D間に形成された各角隅部19E〜19Hは、滑らかな凸円弧状または凹円弧状に形成している。これにより、一部に応力が集中するのを防止でき、嵌合突部19の強度および該嵌合突部19に対する支柱20,32,42の取付強度を高めることができる。
【0060】
一方、キャノピ15,31,41を構成する共通の脚体16,17は、旋回フレーム6側のカウンタウエイト8に取付ける構成とした。これにより、強度部材となるカウンタウエイト8の上部にキャノピ15,31,41を強固に取付けることができる。
【0061】
なお、実施の形態では、キャノピ15,31,41の支柱20,32,42を中空なパイプ部材を用いて形成し、脚体16,17の嵌合突部19に外側から嵌合させる構成とした場合を例示した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば支柱を中実な棒状体から形成し、脚体16,17の嵌合突部19に嵌合する下端部だけを筒状に形成する構成としてもよい。
【0062】
また、実施の形態では、各脚体16,17の嵌合突部19は、大径段部19Aと小径段部19Bとの2段階に縮径することにより、大径な支柱20と小径な後支柱32A,32B、42A,42Bとの2種類を取付けられるようにした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば嵌合突部を、大径段部と中径段部と小径段部との3段階に縮径することにより、直径寸法(内径寸法)が異なる3種類の支柱を取付ける構成としてもよい。
【0063】
さらに、実施の形態では、キャノピを備えた建設機械としてクローラ式の油圧ショベル1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、キャノピを備えている建設機械であれば、例えばホイール式の油圧ショベル、ホイールローダ等の他の建設機械にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態に適用される油圧ショベルを2柱式キャノピを取付けた状態で示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態に適用される油圧ショベルを3柱式キャノピを取付けた状態で示す正面図である。
【図3】本発明の実施の形態に適用される油圧ショベルを4柱式キャノピを取付けた状態で示す正面図である。
【図4】旋回フレームとカウンタウエイトとを拡大して示す外観斜視図である。
【図5】カウンタウエイトに対する2柱式キャノピの取付状態を示す分解斜視図である。
【図6】2柱式キャノピを示す正面図である。
【図7】2柱式キャノピを示す斜視図である。
【図8】嵌合突部の大径段部に2柱式キャノピの支柱を溶接した状態を示す要部拡大の断面図である。
【図9】左脚体を単体で拡大して示す正面図である。
【図10】左脚体を単体で拡大して示す左側面図である。
【図11】左脚体を単体で拡大して示す斜視図である。
【図12】左脚体を図9中の矢示XII−XII方向からみた断面図である。
【図13】3柱式キャノピを示す正面図である。
【図14】3柱式キャノピを示す斜視図である。
【図15】嵌合突部の小径段部に3柱式キャノピの後支柱を溶接した状態を示す要部拡大の断面図である。
【図16】4柱式キャノピを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 作業装置
6 旋回フレーム
7 エンジン
8 カウンタウエイト(取付対象物)
10 床板
12 運転席
15 2柱式キャノピ
16 左脚体
17 右脚体
19 嵌合突部
19A 大径段部
19B 小径段部
19C 下側テーパ面
19D 上側テーパ面
19E〜19H 角隅部
20,32,42 支柱
20A 左支柱
20B 右支柱
20C,32C,42C 左ルーフ取付部
20D,32D,42D 右ルーフ取付部
21,33,43 ルーフ
31 3柱式キャノピ
32A,42A 左後支柱
32B,42B 右後支柱
32E,42F 右前支柱
41 4柱式キャノピ
42E 左前支柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造体をなして作業装置が取付けられるフレームと、該フレーム上に設けられオペレータが着座する運転席と、前記フレーム側の取付対象物に取付けられ該運転席の上方を覆うキャノピとを備え、前記キャノピは、前記運転席の後側に位置して前記取付対象物に取付けられる脚体と、下側が該脚体に取付けられて上方に延び上側に前記運転席の上方に位置してルーフが取付けられた支柱とからなる建設機械において、
前記脚体は、前記取付対象物に固定される取付ベースと、該取付ベースから上側に向けて段階的に小径となる複数の段部を有し前記支柱の下端部が外側から嵌合する嵌合突部とにより構成し、
前記嵌合突部には、複数種類のキャノピを構成する前記支柱の下端側がいずれかの段部に選択的に嵌合する構成としたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記嵌合突部の各段部は、上方からみて同心円状に配置する構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記嵌合突部は、前記各段部間を滑らかな円弧状に形成してなる請求項1または2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記フレーム側の取付対象物は、前記作業装置との重量バランスをとるために前記フレームの後側に設けられたカウンタウエイトであり、前記キャノピの脚体は、該カウンタウエイトに取付ける構成としてなる請求項1,2または3に記載の建設機械。
【請求項5】
前記キャノピは、大径な2本の支柱によりルーフを支持する2柱式キャノピと、小径な2本の後支柱と前支柱によりルーフを支持する3柱式または4柱式キャノピとを用意し、
前記2柱式キャノピの大径な支柱は、前記脚体の嵌合突部の大径段部に外側から嵌合し、3柱式または4柱式キャノピの小径な後支柱は、前記嵌合突部の小径段部に外側から嵌合して取付けることにより、前記脚体を複数種類のキャノピで共通部品として用いる構成としてなる請求項1,2,3または4に記載の建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−297841(P2007−297841A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−126616(P2006−126616)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】