説明

建設機械

【課題】 熱交換装置とキャブとの間を簡単な構成、簡単な作業で確実に遮ることにより、キャブ内の作業環境を良好にする。
【解決手段】 キャブ21の後面部21Bに対面するモータ駆動式熱交換装置28の前仕切板29の内側端部29Aに、この前仕切板29と左補強用縦板8との間の隙間30を遮蔽するように隔壁37を設ける構成とする。これにより、モータ駆動式熱交換装置28を通過して加熱された冷却風がキャブ21側に流通する経路となる隙間30は、隔壁37によって遮ることができる。従って、隔壁37は、前仕切板29を利用して設けることができるから、小さな板体により形成でき、前仕切板29に簡単に取付けることができる。また、僅かな範囲の隙間30は、隔壁37によって確実に遮蔽することができ、温度上昇や風切り音等の騒音を抑えて作業環境を良好にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル、油圧クレーン等として好適に用いられる建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械としての油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回装置を介して旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより構成されている。
【0003】
また、上部旋回体は、旋回フレームと、該旋回フレームの後側に搭載され油圧ポンプを駆動するエンジンと、前記旋回フレームの左前側に設けられオペレータが搭乗するキャブと、前記エンジンの左側に設けられ該エンジンに駆動される冷却ファンによって加熱された流体を冷却するエンジン駆動式熱交換装置と、前記キャブの後側に位置して前記フレームに設けられ駆動モータに駆動される冷却ファンによって加熱された流体を冷却する熱交換装置とを備えている。
【0004】
ここで、熱交換装置は、加熱された液体を冷却風によって冷却するものであるから、該熱交換装置を通過した冷却風は高温になってしまう。そして、高温の冷却風がキャブ側に流れると、キャブ内の温度が上昇し、また冷却風が流れるときの風切り音や冷却ファン等の動作音も伝わってしまう。
【0005】
そこで、油圧ショベルには、モータ駆動式の熱交換装置とキャブとの間にガイド部材を設け、このガイド部材により熱交換装置を通過して高温になった冷却風がキャブ側に流れるのを防止したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、他の油圧ショベルには、キャブと反対側の右側に配置した熱交換器から高温になった冷却風がキャブ側に流れるを防止するために、キャブの後面から右側面を覆うようにガイド部材を設けたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−130161号公報
【特許文献2】特開2000−120106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した特許文献1によるガイド部材は、熱交換装置とキャブの後面を全幅に亘って覆うように左,右方向の広範囲に設けている。また、特許文献2によるガイド部材は、キャブの後面から右側面に亘る広範囲に設けている。このため、各特許文献のガイド部材は、非常に大きくなる上に、キャブと熱交換装置、タンクとの間の狭い場所に取付けたり、取外したりしなくてはならず、組立時、メンテナンス時の作業性が悪くなるという問題がある。
【0009】
しかも、特許文献2によるガイド部材は、熱交換装置から直接的にキャブに向かう冷却風を遮ることができるものの、周囲に大きな隙間があるから、周囲の部材に反射したり、回り込む冷却風を遮ることができず、温度上昇や騒音に関する作業環境を改善することができない。
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、熱交換装置とキャブとの間を簡単な構成、作業で確実に遮ることができ、キャブ内の作業環境を向上できるようにした建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による建設機械は、底板上に左,右方向に間隔をもって前,後方向に延びる左,右の補強用縦板が立設されたフレームと、該フレームの後側に搭載され油圧ポンプを駆動するエンジンと、前記フレームの前側に位置して前記各補強用縦板のうち左,右方向の一方の補強用縦板の外側に隣接して設けられたキャブと、該キャブの後側に位置して前記フレームに設けられ駆動モータに駆動される冷却ファンによって加熱された流体を冷却する熱交換装置とを備えている。
【0012】
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記熱交換装置は、前記キャブの後面に対面するように左,右方向に延びて前記フレーム上に立設された前仕切板と、該前仕切板の後側に間隔をもって立設された後仕切板と、前記前仕切板と後仕切板との間に前,後方向に延びて設けられた熱交換器と、外部から該熱交換器に向けて冷却風を吸込む前記モータ駆動式冷却ファンとにより構成し、前記熱交換装置の前仕切板には、前記熱交換装置を通過した冷却風が前記キャブ側に流通する経路を遮るために、前記前仕切板と前記キャブに隣接した前記一方の補強用縦板との間を遮蔽するように隔壁を設ける構成としたことにある。
【0013】
請求項2の発明は、前記隔壁は、左,右方向の一側が前記前仕切板に固着され、左,右方向の他側が自由端となって前記一方の補強用縦板に隣接して上,下方向に延びた板体としたことにある。
【0014】
請求項3の発明は、前記一方の補強用縦板と前記キャブとの間には、前記一方の補強用縦板の上側を乗り越えてキャブに向かう風を遮るために、前記一方の補強用縦板の上側に沿って前記隔壁から前側に向けて延びる延長隔壁を設ける構成としたことにある。
【0015】
請求項4の発明は、前記左,右の補強用縦板間には、前記一方の補強用縦板の上側を乗り越えてキャブに向かう風を遮るために、前記隔壁と左,右方向に並ぶ位置で各補強用縦板間を閉塞する並列隔壁を設ける構成としたことにある。
【0016】
請求項5の発明は、前記隔壁には、前記一方の補強用縦板との間の隙間を遮蔽し消音効果を高めるための吸音部材を設ける構成としたことにある。
【0017】
請求項6の発明は、前記吸音部材には、前記キャブ内に設けられた各種電気機器に接続される電気配線を通すための電気配線通し孔を設ける構成としたことにある。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、隔壁は、キャブの後面に対面するように左,右方向に延びてフレーム上に立設された熱交換装置の前仕切板を利用して設けることができる。これにより、隔壁は、前仕切板とキャブに隣接した一方の補強用縦板との間の僅かな範囲を遮蔽すればよいから、冷却風がキャブ側に流れないように確実に遮蔽することができる。また、隔壁は、例えば小さな板体によって構成することができる。さらに、隔壁は、建設機械の製造ラインとは異なる広い作業場所で熱交換装置を組立てるときに、簡単な作業で取付けることができる。
【0019】
この結果、隔壁は、前仕切板と一方の補強用縦板との間の僅かな範囲を確実に遮蔽することができるから、加熱された冷却風がキャブ側に流れるのを防止でき、キャブ内の温度上昇や騒音を抑えて作業環境を良好にすることができる。また、隔壁は、熱交換装置の前仕切板に簡単な作業で取付けることができるから、製造作業、メンテナンス作業等の作業性を向上することができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、隔壁は、上,下方向に延びた板体として形成しているから、左,右方向の一側を前仕切板に固着することにより、左,右方向の他側を自由端とした状態で一方の補強用縦板に隣接して設けることができ、1枚の板体によって前仕切板と一方の補強用縦板との間の隙間を遮蔽することができる。また、隔壁は、前仕切板のうち一方の補強用縦板に隣接した端部近傍に設けているから、この端部近傍と一方の補強用縦板との間の僅かな隙間を覆うだけでよい。これにより、隔壁は、上,下方向に延びる小さな板体等によって形成することができるから、製造作業、取付作業等を容易に行うことができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、左,右の補強用縦板間には、熱交換装置によって加熱された冷却風や、エンジン、各種油圧機器等によって加熱された風が熱風となって流通する。この熱風の一部は、一方の補強用縦板の上側を乗り越えてキャブ側に流れようとする。しかし、一方の補強用縦板とキャブとの間には、一方の補強用縦板の上側に沿って隔壁から前側に向けて延びる延長隔壁を設けているから、この延長隔壁によって補強用縦板を乗り越えてキャブに向かう風を遮ることができる。これにより、キャブ内の作業環境をより一層良好にすることができる。
【0022】
請求項4の発明によれば、左,右の補強用縦板間には、熱交換装置によって加熱された冷却風や、エンジン、各種油圧機器等によって加熱された風が熱風となって流通する。この熱風の一部は、一方の補強用縦板の上側を乗り越えてキャブ側に流れようとする。しかし、左,右の補強用縦板間には、隔壁と左,右方向に並ぶ位置で各補強用縦板間を閉塞する並列隔壁を設けているから、この並列隔壁によって補強用縦板を乗り越えてキャブに向かう風を遮ることができる。これにより、キャブ内の作業環境をより一層良好にすることができる。
【0023】
請求項5の発明によれば、隔壁には、一方の補強用縦板との間の隙間を遮蔽し消音効果を高めるための吸音部材を設けているから、この吸音部材は、隔壁と一方の補強用縦板との隙間を確実に閉塞することができ、熱風や騒音を効果的に遮ることができる。しかも、吸音部材は、キャブ内に伝わる騒音を遮るばかりではなく、消音することもできるから、作業環境をより一層良好にすることができる。
【0024】
請求項6の発明によれば、吸音部材には、キャブ内に設けられた各種電気機器に接続される電気配線を通すための電気配線通し孔を設けているから、キャブ内に騒音が伝わるのを抑えつつ、キャブ内の各種電気機器に向けて電気配線を通すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施の形態に適用される油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】上部旋回体を建屋カバー等を省略して示す拡大平面図である。
【図3】旋回フレームを単体で示す外観斜視図である。
【図4】上部旋回体の前側部分を拡大して示す外観斜視図である。
【図5】旋回フレームとモータ駆動式熱交換装置と隔壁とを示す要部拡大の斜視図である。
【図6】モータ駆動式熱交換装置と隔壁とを拡大して示す外観斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態による延長隔壁が設けられた上部旋回体の前側部分を示す外観斜視図である。
【図8】旋回フレームとモータ駆動式熱交換装置と隔壁と延長隔壁とを示す要部拡大の斜視図である。
【図9】モータ駆動式熱交換装置と隔壁と延長隔壁とを拡大して示す外観斜視図である。
【図10】前仕切板の一部と隔壁と延長隔壁とを示す要部拡大の斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態による並列隔壁が設けられた上部旋回体の前側部分を示す外観斜視図である。
【図12】旋回フレームとモータ駆動式熱交換装置と隔壁と並列隔壁とを示す要部拡大の斜視図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態による吸音部材が設けられた隔壁を旋回フレームとキャブとモータ駆動式熱交換装置と一緒に示す要部拡大の斜視図である。
【図14】モータ駆動式熱交換装置と隔壁と吸音部材とを拡大して示す外観斜視図である。
【図15】前仕切板、電気配線の一部と隔壁と吸音部材とを示す要部拡大の斜視図である。
【図16】隔壁と吸音部材とを分解した状態で示す斜視図である。
【図17】第1の変形例による隔壁と延長隔壁を示す要部拡大の斜視図である。
【図18】第2の変形例によるモータ駆動式熱交換装置と隔壁と複数の吸音部材とを示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態に係る建設機械として、クローラ式の油圧ショベルを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0027】
図1ないし図6は本発明の第1の実施の形態を示している。図1において、1は建設機械としてのクローラ式の油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4と、該上部旋回体4の前側に俯仰動可能に設けられ、土砂の掘削作業等を行なう作業装置5とにより大略構成されている。ここで、旋回装置3は、上部旋回体4の中央寄りに配設された旋回モータ3A(図2参照)を回転駆動することにより、下部走行体2上で上部旋回体4を旋回動作させるものである。
【0028】
6は上部旋回体4の旋回フレームである。この旋回フレーム6は、図2、図3等に示す如く、前,後方向に延びる厚肉な平板からなり旋回装置3が取付けられる底板7と、左,右方向に所定の間隔をもって該底板7上に立設され前,後方向に延びた左補強用縦板8,右補強用縦板9と、該左補強用縦板8から左側方に張出して設けられた複数の左張出しビーム10と、前記右補強用縦板9から右側方に張出して設けられた複数の右張出しビーム11と、前記各左張出しビーム10の突出端側に固着されて前,後方向に延びた断面D型の左サイドフレーム12と、前記各右張出しビーム11の突出端側に固着されて前,後方向に延びた断面D型の右サイドフレーム13と、左補強用縦板8の左側に位置し底板7と左サイドフレーム12の左前部側に設けられたキャブ支持部14とにより強固な支持構造体として構成されている。
【0029】
ここで、左,右の補強用縦板8,9は、前側部位が上側に突出した取付部8A,9Aとなり、該各取付部8A,9Aの後側部位が斜め下側に湾曲して延びた湾曲部8B,9Bとなっている。また、各湾曲部8B,9Bから後側は緩やかに傾斜して延びている。そして、各取付部8A,9Aには作業装置5の基端側が俯仰動可能に取付けられ、各取付部8A,9Aの後端部には後述のカウンタウエイト16が取付けられている。また、左,右の補強用縦板8,9のうち、例えばキャブ21に隣接した一方の補強用縦板としての左補強用縦板8には、図3、図5に示すように、配管、配線等を通すための複数の連通開口8Cが形成されている。
【0030】
さらに、左,右の補強用縦板8,9間の前側位置には、取付部8A,9Aを連結する断面く字状の連結部材15が設けられ、該連結部材15の前側部位は門型状に開口し、その下端は底板7に固着されている。これにより、連結部材15は、底板7に対する取付部8A,9Aの取付強度を高めている。
【0031】
次に、上述のように構成された旋回フレーム6に搭載される各種の機器類について説明する。
【0032】
16は旋回フレーム6の後部に設けられたカウンタウエイトで、該カウンタウエイト16は、作業装置5との重量バランスをとるもので、左,右の補強用縦板8,9の後部に取付けられている。
【0033】
17はカウンタウエイト16の前側に位置して旋回フレーム6の後部に設けられたエンジンを示している(図2参照)。このエンジン17は、左,右の補強用縦板8,9を跨ぐように横置き状態で旋回フレーム6の後側位置に防振状態で搭載されている。また、エンジン17の左側には、当該エンジン17によって回転駆動するエンジン駆動式の冷却ファン17Aが設けられている。
【0034】
一方、エンジン17には、例えば吸気の流量を増大させる過給機17B(ターボチャージャ)が設けられ、該過給機17Bは後述するエンジン駆動式熱交換装置22のインタクーラ27に接続されている。また、エンジン17の右側には、作業装置5のアクチュエータ等に圧油を供給するための油圧ポンプ18が取付けられている。
【0035】
19は油圧ポンプ18の前側に位置して旋回フレーム6の右補強用縦板9の右側に搭載された作動油タンク、20は該作動油タンク19の前側に隣接して配設された燃料タンクをそれぞれ示している。
【0036】
21は旋回フレーム6の左前側に位置してキャブ支持部14に搭載されたキャブである。このキャブ21は、オペレータが搭乗するもので、その内部にはオペレータが着座する運転席、走行用の操作レバー、作業用の操作レバー等(いずれも図示せず)が配設されている。また、キャブ21は、前面部21A、後面部21B、左側面部21C、右側面部21Dおよび天井面部21Eによってボックス状に形成され、その右側面部21Dは、左補強用縦板8に所定の間隔寸法をもって隣接している。この場合の所定の間隔寸法とは、キャブ21が左,右方向に揺れても左補強用縦板8、作業装置5に干渉しない範囲で接近した寸法となっている。
【0037】
次に、油圧ショベル1で用いる流体が加熱されたときに、この流体を冷却するために設けられた2つの熱交換装置について説明する。
【0038】
まず、22は旋回フレーム6上に位置してエンジン17の左側に直列に並べて設けられたエンジン駆動式熱交換装置を示している(図2参照)。このエンジン駆動式熱交換装置22は、冷却すべき流体となるエンジン17によって加熱されたエンジン冷却水、過給機17Bによって加熱された吸気(吸入空気)の熱交換を行ってこれらの流体を冷却するものである。そして、エンジン駆動式熱交換装置22は、後述の各仕切板23,24、ラジエータ26、インタクーラ27等により大略構成されている。
【0039】
23は前側に位置して左,右方向に延びるように旋回フレーム6に立設された前仕切板、24は該前仕切板23の後側に間隔をもって立設された後仕切板をそれぞれ示している。また、各仕切板23,24は、前,後方向に延びる上側連結板25によって箱体状に連結されている。これにより、エンジン駆動式熱交換装置22の外形をなす前仕切板23、後仕切板24および上側連結板25は、後述のラジエータ26とインタクーラ27とを冷却風の流れ方向が左,右方向となるように取囲んでいる。そして、各仕切板23,24は、右側にエンジン17の冷却ファン17Aが収まるように、下側部分が後側に位置する左張出しビーム10等にボルト止めされている。
【0040】
26は冷却ファン17Aと対面するように各仕切板23,24間に設けられた熱交換器としてのラジエータで、該ラジエータ26は、各仕切板23,24間の前側寄りに配置されている。また、ラジエータ26は、加熱されたエンジン冷却水を冷却するもので、エンジン17のウォータジャケットに接続されている。
【0041】
27は各仕切板23,24間に位置してラジエータ26の後側に並列に配設された熱交換器としてのインタクーラである。このインタクーラ27は、過給機17Bを通って温度上昇(膨張)した吸気を冷却(収縮)してエンジン17に戻すものである。このインタクーラ27は、過給機17Bとエンジン17の吸気側に接続されている。
【0042】
そして、エンジン駆動式熱交換装置22は、エンジン17の冷却ファン17Aを回転駆動することにより、建屋カバー39の外部からラジエータ26、インタクーラ27に向けて冷却風を吸込むことができ、それぞれを流れる流体を冷却することができる。
【0043】
28はキャブ21の後側に位置して旋回フレーム6に設けられたモータ駆動式熱交換装置を示している。このモータ駆動式熱交換装置28は、冷却すべき流体となる加熱された作動油の熱交換を行って冷却するもので、エンジン駆動式熱交換装置22の前側位置に別個に配設されている。また、モータ駆動式熱交換装置28は、左補強用縦板8の左側でキャブ21の後面部21Bに隣接する位置に配設されている。そして、モータ駆動式熱交換装置28は、図5、図6に示す如く、後述の前仕切板29、後仕切板31、オイルクーラ34、駆動モータ35、モータ駆動式冷却ファン36等により大略構成されている。
【0044】
29はキャブ21の後面部21Bに対面するように左,右方向に延びて旋回フレーム6上に立設された前仕切板である。この前仕切板29は、例えば金属板の周縁部を折曲げることにより強度をもったパネルとして形成されている。そして、前仕切板29は、その下側部分が左張出しビーム10等にボルト止めされている。
【0045】
ここで、前仕切板29は、左,右方向の右側に位置する内側端部29Aが左補強用縦板8に隣接している。この内側端部29Aは、図5に示すように、左補強用縦板8と僅かに離間しているから、内側端部29Aと左補強用縦板8との間には隙間30が形成されている。この隙間30は、オイルクーラ34を通過して加熱された冷却風がキャブ21側に流れるときの経路となる。しかし、前仕切板29の内側端部29Aには、後述の隔壁37を取付けることができ、この隔壁37によって隙間30を閉塞することができる。
【0046】
31は前仕切板29の後側に間隔をもって立設された後仕切板で、該後仕切板31は、前仕切板29とほぼ同様に、例えば左,右方向に延びて旋回フレーム6上に立設された金属製パネルからなり、下側部分が左張出しビーム10等にボルト止めされている。
【0047】
32は各仕切板29,31の外側(左側)に位置して該各仕切板29,31間を連結する連結板、33は各仕切板29,31の内側(右側)に位置して該各仕切板29,31間を連結して設けられたモータブラケットをそれぞれ示している。このモータブラケット33の中央位置には、後述の駆動モータ35が取付けられている。これにより、各仕切板29,31、連結板32およびモータブラケット33は箱体状をなし、後述のオイルクーラ34を冷却風の流れ方向が左,右方向となるように取囲んでいる。
【0048】
34は各仕切板29,31間の外側寄りに位置して前,後方向に延びて設けられた熱交換器としてのオイルクーラである。このオイルクーラ34は、下部走行体2、旋回装置3、作業装置5等のアクチュエータから作動油タンク19に戻される高温な作動油を冷却するものである。
【0049】
35はモータブラケット33の中央位置に取付けられた電動モータ、油圧モータ等の駆動モータである。また、36はオイルクーラ34の右側に対面して設けられたモータ駆動式冷却ファン(図2参照)を示している。このモータ駆動式冷却ファン36は、駆動モータ35の回転軸に取付けられ、該駆動モータ35によって回転駆動されることにより、建屋カバー39の外部からオイルクーラ34に向けて冷却風を吸込むものである。
【0050】
そして、モータ駆動式熱交換装置28は、駆動モータ35によって冷却ファン36を回転駆動することにより、建屋カバー39の外部から吸込んだ冷却風をオイルクーラ34に供給し、このオイルクーラ34を流れる作動油を冷却することができる。このときに、オイルクーラ34を通過して加熱された冷却風は、左補強用縦板8に当たった後に、その一部が左補強用縦板8を伝って前側に流れ、隙間30を通ってキャブ21側に流れようとする。しかし、第1の実施の形態では、前仕切板29の内側端部29Aに後述の隔壁37等を取付けることにより、隙間30を閉塞する構成としている。
【0051】
次に、加熱された冷却風等が隙間30を通ってキャブ21側に流れるのを防止するために設けられた隔壁37について述べる。
【0052】
37はモータ駆動式熱交換装置28の前仕切板29に設けられた隔壁を示し、該隔壁37は、前仕切板29のうち左補強用縦板8に隣接した端部近傍となる内側端部29Aに上,下方向に沿って設けられている。また、隔壁37は、モータ駆動式熱交換装置28を通過した冷却風がキャブ21側に流通する経路、即ち、前仕切板29の内側端部29Aと左補強用縦板8との隙間30を遮蔽するものである。このために、隔壁37は、前仕切板29のほぼ全高に亘って上,下方向に延びた長尺な長方形状の板体として形成されている。
【0053】
そして、上,下方向に延びた板体からなる隔壁37は、左,右方向の一側となる外側端部37Aがボルト38を用いて前仕切板29の内側端部29Aに取付けられている。これにより、隔壁37は、左,右方向の他側となる内側端部37Bが自由端となって左補強用縦板8に隣接している。一方、モータ駆動式熱交換装置28を旋回フレーム6に取付けたときには、図5に示すように、隔壁37の内側端部37Bを左補強用縦板8に近接させることができ、前仕切板29と左補強用縦板8との隙間30を確実に閉塞することができる。従って、左補強用縦板8に沿って前側に流れようとする加熱された冷却風は、隔壁37によってキャブ21側への流れを止めることができる。
【0054】
39はキャブ21とカウンタウエイト16との間に位置して旋回フレーム6上に設けられた建屋カバーである(図1、図2、図4参照)。この建屋カバー39は、エンジン17、油圧ポンプ18、エンジン駆動式熱交換装置22、モータ駆動式熱交換装置28等を覆うものである。また、建屋カバー39は、各熱交換装置22,28等の左側を覆う左側面カバー39Aと、油圧ポンプ18、作動油タンク19等の右側を覆う右側面カバー39Bと、後側に位置してエンジン17、油圧ポンプ18の上側を覆うエンジンカバー39Cと、左側に位置してモータ駆動式熱交換装置28の上側を覆う熱交換装置カバー39Dと、エンジンカバー39Cの前側で作動油タンク19、燃料タンク20と熱交換装置カバー39Dとの間に配置され、旋回モータ3A等の上側を覆う中央カバー39Eとにより大略構成されている。ここで、中央カバー39Eの前端部は、各補強用縦板8,9の湾曲部8B,9Bの上側位置、また隔壁37の後側の近傍位置に配置されている。
【0055】
第1の実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、この油圧ショベル1の動作について説明する。
【0056】
まず、オペレータは、キャブ21に搭乗して運転席に着座する。この状態で走行用の操作レバーを操作することにより、下部走行体2を駆動して油圧ショベル1を前進または後退させることができる。また、運転席に着座したオペレータは、作業用の操作レバーを操作することにより、旋回装置3と作業装置5とを動作させて土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0057】
また、油圧ショベル1の稼動時にエンジン駆動式熱交換装置22は、エンジン17によって冷却ファン17Aを回転させることにより、外部からラジエータ26、インタクーラ27に向けて冷却風を吸込み、それぞれを流れる流体を冷却することができる。
【0058】
一方、モータ駆動式熱交換装置28は、モータ駆動式冷却ファン36を駆動モータ35で回転させることにより、外部からオイルクーラ34に向けて冷却風を吸込み、作動油を冷却することができる。このときに、オイルクーラ34を通過して加熱された冷却風の一部は、図5中の矢示の如く、左補強用縦板8を伝って前側に流れ、隙間30を通ってキャブ21側に流れようとする。
【0059】
然るに、第1の実施の形態によれば、キャブ21の後面部21Bに対面するモータ駆動式熱交換装置28の前仕切板29には、該前仕切板29と左補強用縦板8との間の隙間30を遮蔽するように隔壁37を設ける構成としている。これにより、モータ駆動式熱交換装置28を通過して加熱された冷却風がキャブ21側に流通する経路を遮ることができる。
【0060】
従って、隔壁37は、キャブ21の後面部21Bに対面するように左,右方向に延びて旋回フレーム6上に立設されたモータ駆動式熱交換装置28の前仕切板29を利用して設けることができる。これにより、隔壁37は、前仕切板29と左補強用縦板8との間の僅かな隙間30を遮蔽すればよいから、この隙間30を冷却風がキャブ21側に流れないように確実に遮蔽することができる。また、隔壁37は、例えば金属板を折り曲げただけの単純で小さな板体によって構成することができる。
【0061】
さらに、前仕切板29にボルト止めした隔壁37は、油圧ショベル1の製造ラインとは異なる広い作業場所でモータ駆動式熱交換装置28を組立てるときに、簡単な作業で取付けることができる。
【0062】
この結果、隔壁37は、前仕切板29と左補強用縦板8との間の僅かな隙間30を確実に遮蔽することができるから、加熱された冷却風がキャブ21側に流れるのを防止でき、キャブ21内の温度上昇や冷却風が流通するときの風切り音等の騒音を抑えて作業環境を良好にすることができる。
【0063】
また、隔壁37は、前仕切板29に片持ち状態で取付けた上,下方向に延びる板体として形成しているから、金属板によって簡単に形成することができる。これにより、隔壁37は、安価に製造することができる上に、容易に取扱うことができる。
【0064】
さらに、隔壁37は、モータ駆動式熱交換装置28の前仕切板29に対し、広い場所で簡単に取付けることができるから、製造作業、メンテナンス作業等の作業性を向上することができる。
【0065】
次に、図7ないし図10は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、一方の補強用縦板とキャブとの間には、一方の補強用縦板の上側を乗り越えてキャブに向かう風を遮るために、一方の補強用縦板の上側に沿って隔壁から前側に向けて延びる延長隔壁を設ける構成としたことにある。なお、第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0066】
図7、図8において、41は左補強用縦板8とキャブ21の右側面部21Dとの間に位置して隔壁37に設けられた延長隔壁を示している。この延長隔壁41は、左補強用縦板8の上側を乗り越えてキャブ21に向かう風を遮るものである。また、延長隔壁41は、図9、図10に示すように、前,後方向に延びる長方形状の板体からなり、その基端部は左側に折曲げられて取付部41Aとなっている。
【0067】
そして、延長隔壁41は、取付部41Aを隔壁37の内側端部37Bの上側部位にボルト42を用いて取付けられている。これにより、延長隔壁41は、左補強用縦板8の左端面に近接する位置を該左補強用縦板8の湾曲部8Bの上側に沿って隔壁37から前側に向けて延びている。
【0068】
従って、延長隔壁41は、左,右の補強用縦板8,9間から左補強用縦板8の上側を乗り越えてキャブ21側に流れようとする加熱された冷却風、エンジン17等によって加熱された熱風を遮ることができる。
【0069】
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態では、左補強用縦板8とキャブ21との間には、左補強用縦板8の上側に沿って隔壁37から前側に向けて延びる延長隔壁41を設ける構成としている。これにより、左補強用縦板8の上側を乗り越えてキャブ21に向かう加熱された風は、延長隔壁41によって遮ることができ、キャブ21内の作業環境をより一層良好にすることができる。
【0070】
次に、図11および図12は本発明の第3の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、左,右の補強用縦板間には、一方の補強用縦板の上側を乗り越えてキャブに向かう風を遮るために、隔壁と左,右方向に並ぶ位置で各補強用縦板間を閉塞する並列隔壁を設ける構成としたことにある。なお、第3の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0071】
図11において、51は第2の実施の形態による延長隔壁41に代えて設けられた第3の実施の形態による並列隔壁を示している。この並列隔壁51は、左補強用縦板8の上側を乗り越えてキャブ21に向かう風を遮るもので、隔壁37の右側に並ぶ位置で各補強用縦板8,9間を閉塞している。また、並列隔壁51は、左補強用縦板8と右補強用縦板9との間に亘る幅寸法をもった板体からなり、その上側の取付部51Aが建屋カバー39の中央カバー39Eの前端にボルト53により取付けられている。
【0072】
さらに、並列隔壁51の左端部51Bは、図12に示すように、ステップ状に形成され、このステップ形状により左端部51Bは、隔壁37、左補強用縦板8の湾曲部8B、左補強用縦板8の右端面に対して隙間なく当接することができる。この上で、並列隔壁51は、その下側を底板7から上側に離れた位置に配置することにより、下側を熱風の逃し口52として該熱風を前側に逃がすことができる。
【0073】
かくして、このように構成された第3の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態では、左,右の補強用縦板8,9間に、隔壁37と左,右方向に並ぶ位置で各補強用縦板8,9間を閉塞する並列隔壁51を設けている。これにより、並列隔壁51は、左補強用縦板8の上側を乗り越えてキャブ21に向かう風を遮ることができる。この場合、並列隔壁51は、左,右の補強用縦板8,9間を全幅に亘って遮蔽しているから、キャブ21側に熱風が流れるのを確実に防止でき、キャブ21内の作業環境をより一層良好にすることができる。
【0074】
次に、図13ないし図16は本発明の第4の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、隔壁を、左,右方向の一側が前仕切板に固着され、左,右方向の他側が自由端となって一方の補強用縦板に隣接して上,下方向に延びた板体として形成すると共に、吸音部材には、キャブ内に設けられた各種電気機器に接続される電気配線を通すための電気配線通し孔を設ける構成としたことにある。なお、第4の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0075】
図13、図14において、61は第1の実施の形態による隔壁37に代えて用いられた第4の実施の形態による隔壁を示している。この隔壁61は、第1の実施の形態による隔壁37とほぼ同様に、図15に示す如く、前仕切板29のほぼ全高に亘って上,下方向に延びた長尺な長方形状の板体として形成され、その外側端部61Aがボルト62を用いて前仕切板29の内側端部29Aに取付けられている。しかし、第4の実施の形態による隔壁61は、内側端部61Bの下部に電気配線64を避けるための切欠き部61Cが形成されている点で第1の実施の形態による隔壁37と相違している。
【0076】
63は左補強用縦板8寄りとなる内側に位置して隔壁61に設けられた吸音部材を示している。この吸音部材63は、隔壁61と左補強用縦板8との間の隙間30を確実に閉塞して熱風や騒音を遮るものである。また、吸音部材63は、例えば弾性を有する樹脂材料、その一例としては、ポリウレタン(ウレタン樹脂)に発泡剤を加えて重合させた発泡ポリウレタン(ウレタンフォーム)等により形成されている。この場合、発泡ポリウレタンは、多数の微細空間をもった多孔質材であるから、弾性や柔軟性を有し、これらの性質による消音効果を期待することができる。
【0077】
そして、吸音部材63は、上,下方向に長尺な短冊状の板体として形成され、その下側には、図16に示すように、厚さ方向(前,後方向)に貫通して電気配線通し孔63Aが形成されている。この電気配線通し孔63Aには、図15に示すように、切り込み部63A1を介し、キャブ21内に設けられた各種電気機器に接続される複数本の電気配線64を挿通することができる。このときに、隔壁61には電気配線64を避けるように切欠き部61Cを形成しているから、電気配線64が金属製の隔壁61に接触するのを防止することができる。
【0078】
ここで、吸音部材63は、左補強用縦板8側に張出すように隔壁61の内側端部61Bに固着されている。これにより、吸音部材63は、隔壁61をモータ駆動式熱交換装置28の前仕切板29に取付けるときに、内側の張出し部分63Bを左補強用縦板8に押付けて変形させることにより該左補強用縦板8に密着させることができる。
【0079】
かくして、このように構成された第4の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第4の実施の形態によれば、隔壁61には、左補強用縦板8との間の隙間30を遮蔽するように、高い消音効果を有する吸音部材63を設けている。
【0080】
この結果、吸音部材63は、隔壁61と左補強用縦板8との隙間30を確実に閉塞することができ、熱風や騒音を効果的に遮ることができる。しかも、吸音部材63は、キャブ21内に伝わる騒音を遮るばかりではなく、高い消音効果によって騒音を消すこともできるから、静粛性を高めて作業環境をより一層良好にすることができる。
【0081】
また、吸音部材63は、弾性を有する樹脂材料からなり、左補強用縦板8側に張出した状態で設けているから、隔壁61をモータ駆動式熱交換装置28の前仕切板29に取付けるときに、吸音部材63の張出し部分63Bを左補強用縦板8に押し付けることにより、変形させて該左補強用縦板8に密着させることができる。これにより、吸音部材63は、隔壁61と左補強用縦板8との隙間30を確実に閉塞することができ、熱風や騒音を効果的に遮ることができる。
【0082】
また、吸音部材63は、左補強用縦板8に押付けることで変形することができるから、この変形によって前仕切板29に対する隔壁61の取付精度を緩和することができ、組立作業性の向上、製造コストの低減等を図ることができる。しかも、発泡ポリウレタン等からなる吸音部材63は、所望の形状に簡単に加工することができ、安価に製造できる。
【0083】
さらに、吸音部材63には、キャブ21内に設けられた各種電気機器に接続される各電気配線64を通すための電気配線通し孔63Aを設けているから、キャブ21内に騒音が伝わるのを抑えつつ、キャブ21内の各種電気機器に向けて各電気配線64を通すことができる。
【0084】
なお、第2の実施の形態では、延長隔壁41の取付部41Aを、隔壁37の内側端部37Bの上側部位にボルト42を用いて取付ける構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図17に示す第1の変形例のように、隔壁71と延長隔壁72とを1枚の板体により形成し、前仕切板29に取付ける構成としてもよい。
【0085】
また、第3の実施の形態では、隔壁37と並列隔壁51とは別個に設ける構成としている。しかし、本発明はこれに限るものではなく、隔壁37と並列隔壁51とを1枚の板体から一体形成する構成としてもよい。
【0086】
また、第4の実施の形態では、弾性を有する樹脂材料(発泡ポリウレタン等)からなる吸音部材63を隔壁61に設ける構成としている。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図18に示す第2の変形例のように、隔壁61の上部まで延びた吸音部材81を該隔壁61に取付け、その他の吸音部材82,83,84を、前仕切板29,後仕切板31,モータブラケット33等に取付ける構成としてもよい。この場合には、吸音部材81〜84を設けた分だけ騒音を低減することができる。また、第2、第3の実施の形態に吸音部材を設ける構成としてもよい。
【0087】
また、第4の実施の形態では、吸音部材63を弾性を有する樹脂材料(発泡ポリウレタン等)によって形成した場合を例示した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば吸音部材を表面に消音効果をもった凹凸を形成してなる樹脂材料、木材等によって構成してもよい。
【0088】
一方、各実施の形態では、モータ駆動式熱交換装置28の後側となる左側位置にエンジン駆動式熱交換装置22を配置した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこの構成に限らず、例えばエンジン駆動式熱交換装置22をエンジン17の右側位置に配置する構成としてもよい。
【0089】
さらに、実施の形態では、建設機械として、クローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルに適用してもよい。それ以外にも、油圧クレーン、ホイールローダ、ブルドーザ等の他の建設機械にも広く適用することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 油圧ショベル(建設機械)
6 旋回フレーム
7 底板
8 左補強用縦板
9 右補強用縦板
17 エンジン
18 油圧ポンプ
21 キャブ
21A 前面部
21B 後面部
21C 左側面部
21D 右側面部
22 エンジン駆動式熱交換装置
28 モータ駆動式熱交換装置
29 前仕切板
29A 内側端部(一方の補強用縦板に隣接した端部近傍)
30 隙間
31 後仕切板
34 オイルクーラ(熱交換器)
35 駆動モータ
36 モータ駆動式冷却ファン
37,61,71 隔壁
37A,61A 外側端部
37B,61B 内側端部
41,72 延長隔壁
51 並列隔壁
63,81,82,83,84 吸音部材
63A 電気配線通し孔
63B 張出し部分
64 電気配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板上に左,右方向に間隔をもって前,後方向に延びる左,右の補強用縦板が立設されたフレームと、該フレームの後側に搭載され油圧ポンプを駆動するエンジンと、前記フレームの前側に位置して前記各補強用縦板のうち左,右方向の一方の補強用縦板の外側に隣接して設けられたキャブと、該キャブの後側に位置して前記フレームに設けられ駆動モータに駆動される冷却ファンによって加熱された流体を冷却する熱交換装置とを備えてなる建設機械において、
前記熱交換装置は、前記キャブの後面に対面するように左,右方向に延びて前記フレーム上に立設された前仕切板と、該前仕切板の後側に間隔をもって立設された後仕切板と、前記前仕切板と後仕切板との間に前,後方向に延びて設けられた熱交換器と、外部から該熱交換器に向けて冷却風を吸込む前記モータ駆動式冷却ファンとにより構成し、
前記熱交換装置の前仕切板には、前記熱交換装置を通過した冷却風が前記キャブ側に流通する経路を遮るために、前記前仕切板と前記キャブに隣接した前記一方の補強用縦板との間を遮蔽するように隔壁を設ける構成としたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記隔壁は、左,右方向の一側が前記前仕切板に固着され、左,右方向の他側が自由端となって前記一方の補強用縦板に隣接して上,下方向に延びた板体である請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記一方の補強用縦板と前記キャブとの間には、前記一方の補強用縦板の上側を乗り越えてキャブに向かう風を遮るために、前記一方の補強用縦板の上側に沿って前記隔壁から前側に向けて延びる延長隔壁を設ける構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記左,右の補強用縦板間には、前記一方の補強用縦板の上側を乗り越えてキャブに向かう風を遮るために、前記隔壁と左,右方向に並ぶ位置で各補強用縦板間を閉塞する並列隔壁を設ける構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械。
【請求項5】
前記隔壁には、前記一方の補強用縦板との間の隙間を遮蔽し消音効果を高めるための吸音部材を設ける構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械。
【請求項6】
前記吸音部材には、前記キャブ内に設けられた各種電気機器に接続される電気配線を通すための電気配線通し孔を設ける構成としてなる請求項5に記載の建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−69189(P2011−69189A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186008(P2010−186008)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】