説明

建設現場車両を制御するシステム

【課題】建設現場車両を制御するシステムを改良して、現場のできるだけ円滑な操業進行を可能にし、且つ現場工程の作業結果に関する品質を、出来る限り向上させる。
【解決手段】建設現場車両2を制御するシステム1に関し、該システム1は、複数の建設現場車両2と制御室3とを含む。データを、制御室3と建設現場車両2との間の通信チャネル7で送信できる。制御室3には、少なくとも1つのデジタルマップを格納し、該デジタルマップには、個別の道路区間に関して、各道路区間の経路に加えて、少なくとも1つの付加情報を格納する。更に、航法モジュール6を設け、該航法モジュール6を、少なくとも1つのデジタルマップを参照して、建設現場車両2に対する航法提案を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設現場車両を制御するシステムに関する。建設現場車両を、トラック、低床トラック、道路仕上げ機、フィーダ、ローラ、コンクリートミキサ、掘削機、作業車両、警備車両及び/又は乗客運搬車両、及び現場に存在する任意の更なる車両とすることができる。
【背景技術】
【0002】
これまでに、より均一な作業結果が得られるように道路表層を設けるため、如何にして建設現場をより良く監視、制御又は文書化するかについては、既に多くの提案がなされている。例えば、独国特許第DE10151942B4号は、建設車両が互いに、及び現場事務所と通信できる作業機械管理システムについて開示している。交換されるデータは、例えば、窃盗、建設プロジェクト費用、部品要求予測、サービス要求予測、気象データ又は燃料消費量についての情報に関する。独国特許第DE602004011968T2号は、現場で情報交換する更なるシステムについて記載している。同特許では、移動建設車両と現場事務所との間のデータ交換は、インターネットプロトコルによって実行される。独国特許第DE102008054481A1号は、建設車両の航法が、所謂位置温度モデルに基づくアスファルトシステムについて、記載している。このシステムでは、何処で締固め車両を採用するのが最良かを、まずアスファルト温度の見積りに基づいて、その後測定した温度に基づいて、決定する。
【0003】
米国特許出願第2004/0260504A1号によると、アスファルト関連測定データを無線通信システムで送信することができる。独国特許第DE10151942B4号は、特定の識別子を各建設車両に割り当てることを記載している。建設車両に対する別の車隊管理システムを、米国特許第6,862,521B1号から、取り出すことができる。国際特許第WO00/70150A1号では、道路仕上げ機でのアスファルト温度測定について記載している。測定温度データは、道路仕上げ機に続く、締固め機に送られる。
【0004】
独国特許第DE19744772A1号は、局所的な締固めレベルを決定して、当該領域上を何回車両で走行する必要があるかを報告することについて、記載している。独国特許第DE69416006T2号では、締固め機、例えばローラを制御する更なる変形例について、記載している。また、欧州特許第EP1897997A2号では、道路建設での締固め程度に応じて締固め用ローラの航法が行われる。建設現場とは関係のないが、車両に関して個別に交通予測を行う別の方法については、独国特許第DE102006021015A1から知られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、建設現場車両を制御するシステムを改良して、現場のできるだけ円滑な操業進行を可能にし、且つ現場工程の作業結果に関する品質を、出来る限り向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を、特許請求項1の特徴を有するシステムによって達成する。本発明の有利な更なる展開については、従属請求項で説明している。
【0007】
本発明によるシステムは、上述した1種類又は複数種類の建設現場車両を数台含む。また、本システムは制御室をさらに含む。データを、制御室から建設現場車両に、及び/又は建設現場車両から制御室に、通信チャネルを介して送信できる。更に、少なくとも1つのデジタルマップを、制御室に格納する。少なくとも1つの格納したデジタルマップに、建設現場車両によって制御する、又は建設現場車両を運転することになっている建設現場について、記録する。このデジタルマップでは、各道路区間の経路の他に、少なくとも1つの付加情報を個々の道路区間に関して格納する。更にまた、航法モジュールを設け、航法モジュールを、少なくとも1つのデジタルマップに基づいて建設現場車両に対する航法提案(ナビゲーション・レコメンデーション)を生成するように適合する。本発明の利点は、付加情報を参照して、好適な短い経路についてだけでなく、更なる若しくは他の現場関連パラメータについても、建設現場車両に対する航法提案を最適化できる点である。
【0008】
好適には、航法モジュールを、コンピュータプログラムの形で実装する。そうすることで、特に迅速且つ安全に、全関連データを検出、評価できるようになると共に、航法提案に変換可能になる。コンピュータプログラムには、(任意には可変の)規則を格納でき、該規則により、どのように、また何に重点を置いて、異なる情報が航法提案に影響を与えるようにするかを決定できる。
【0009】
航法モジュールは、制御室に実装してもよい。航法提案を制御室で生成し、その後通信チャネルを介して個別の建設車両に送信する。その代わりに、建設現場車両に航法モジュールを実装することも考えられるだろう。通信チャネルを介して、建設現場車両はデジタルマップ又は該デジタルマップに格納した情報を其々制御室から取り込み、次にその情報を車両自体の航法モジュールで航法提案に変換してもよい。
【0010】
道路区間の経路、及び/又は格納した付加情報を、デジタルマップにおいて変更可能にすると好適である。これは、道路区間及び道路区間の状態又は運転状況が変化する可能性がある本発明の基礎をなす現場工程に関して、特に有利となる。これは、道路建設、鉄道建設、空港建設、又は他の大規模な建設プロジェクトにおける現場及び対応する道路区間に関する場合に、特に当てはまる。
【0011】
原則として、現場に関連した任意の付加情報を、個別の道路区間に関してデジタルマップに格納できる。例えば、少なくとも1つの付加情報を、建設現場で操業進行中に位置が変化する仮設道路又は仮設現場進入路の座標とすることができる。同様に、それらを、仮設の一方通行道路区間の座標及び方向とすることができる。少なくとも1つの付加情報を道路区間の状況と関連させ、従って、例えば現在の道路表層、路面窪み密度、道路区間を走行する建設車両が振動する程度(例えば、車両速度に応じて)、又は氷雪の存在状況を表示すると、特に有利である。また、付加情報を、最大軸重の特性数、最大車両幅又は道路幅の特性数、カーブ半径の特性数、高さ制限の特性数、最高速度の特性数、運転時間、交通渋滞情報、及び/又は一時的な走行禁止についての情報に関するものとできる。こうした全ての情報を、主に現場に関連したものとし、出来るだけ円滑、迅速且つ支障なく建設工程を進行するに関して、建設現場車両に対する航法提案を最適化するのに利用できる。
【0012】
建設現場では、建設現場車両が農道(つまり、建設現場道路)、臨時に建設した道路の他、仮設進入路及び退出路、及び任意には建設現場領域へのあるいは該領域上での一方通行道路を使用しなければならないことがある。本発明により、航法において、そうした道路に関する情報も含むことが可能になる。
【0013】
仮設進入路は、十分には舗装されていないことが多く、そのため特定の軸重を超える大型建設現場車両用には設計されておらず、悪天候状況では制限速度内でしか走行できないか、或いは全く走行できない。時間及び費用の理由で、また隣接領域に極端に入り込まないようにするために、そうした建設現場道路の幅は制限されることが多い。その結果、建設現場車両は、そうした道路を走行可能にするために、又は互いに行き来可能にするために、仮設道路の既定最大幅を超えてはならない。従って、そうした仮設道路は一方通行のみ可能なことが多い。
【0014】
大型の建設現場車両には、仮設農道のカーブ半径は小さ過ぎることが多い。そのため、トラックやトラクタ等の大型建設現場車両が、そうした道路を走行する際に、舗装していない路側帯に入り込む危険性がある。道路区間のカーブ半径に関する特性数を考慮することで、カーブ半径に起因する交通渋滞、切り替え操縦、及びそれらから生じる遅れを防止できる。
【0015】
また、多くの現場で、例えばホースブリッジの形で、供給ラインにより道路を橋架することも見られる。そうしたホースブリッジ又は他のブリッジ構造のために、対象道路区間で許可される車高が制限されることがある。ここでも、カーブ半径が小さい道路の場合と同様に、そうした進入路を誤って横断した際に、操縦動作又は切り替え動作のために、後続の交通が妨げられる危険性がある。最悪の場合には、その過程で物や人へ損傷を及ぼすこともあり得るが、そうした損傷を、本発明のシステムで対応する情報を考慮に入れることによって軽減でき、或いは完全に回避さえできる。従って、本発明によるシステムは、現場の安全に大きく寄与し得る。
【0016】
上述した道路区間の状況、軸重、道路幅、カーブ半径等の特性数は、実際の数値とする必要はない;また、対応する情報を、別の形、例えば、カテゴリ(A、B、C、…)の形ででも格納できる。例えば、「A」を、特に良好な状況の道路区間、カーブ半径10m未満、高さ制限3.0m等を特性付けるものとし、「B」を、若干状況が悪い道路区間、カーブ半径10〜14m、高さ制限3.30m等とできる。
【0017】
付加情報が、各道路区間に現在存在している建設現場車両に関する情報を含むと、本発明によるシステムは特に効果を発揮する。そうすることで、現場の交通量を良好に分散可能にでき、その結果個々の道路区間は過度に往来が激しくはならない。これにより、個々の道路区間の交通渋滞や過度の荷重に関する危険性が軽減される。
【0018】
デジタルマップの付加情報を、割り当てた道路区間其々に関する編集可能なファイルの形で格納できる。そうすることで、各付加情報が更新可能になる、及び/又は更なる付加情報でそれを補足可能になる。
【0019】
好適には、付加情報を、建設現場車両から制御室に送信するデータを考慮に入れながら、編集可能にできる。建設現場車両で、例えば、特定の道路区間に関する付加情報が(例えば、幅、高さ制限又は一方通行道路規制が変更されたために)最新でないことが検出された場合、デジタルマップを常に最新の状態に保てるように、建設現場車両は、対応する修正情報を制御室に送信できる。
【0020】
特に、位置や時刻に関する情報を、建設現場車両から制御室に送信できることが考えられる。この位置や時刻に関する情報は、各建設現場車両が何時に特定の現場に存在している又は存在していたかについて示すものである。この位置や時刻に関する情報を検出し、処理することで、制御室で、特定の経路について、実際の状況(例えば天気や交通渋滞)を考慮しながら、実際の移動時間を計算可能になる。この移動時間の計算は、単に特定経路の長さに基づく移動時間の算定より明らかに正確である。
【0021】
本発明によるシステムは、異なる建設現場車両を検出する車両検出手段を含むことができる。かかる車両検出手段を、例えば、GNSS受信機(GNSS:全地球的航法衛星システム)の形、例えばGPSで、個々の建設現場車両に搭載して実現できる。個別の建設現場車両を識別する印を、特定の地点で検出するのに用いる読取機も、考えられる。かかる印は、無線(例えば光学的に)又は有線で(例えば、誘導的に)検出できる。印を、例えば、RFIDタグ、又はバーコード等の印刷した印とすることができる。
【0022】
本発明の有利な変形例では、複数の道路区間の状況に関する特性数を考慮に入れて、特定の建設現場車両を出来るだけ振動させない移動経路での航法提案を生成するように、航法モジュールを適合させる。各建設現場車両を、特にアスファルト材料を現場に輸送する輸送車両とすることができる。道路状況が悪いと、即ち、道路に多数のポットホールがあると、運転中に発生する振動によって、混合物が移動する際に、重い成分程軽質分から分離されるので、アスファルトが偏析する。従って、輸送車両が悪状況の道路区間で長い往路を通過する必要がある場合に、そうしたアスファルトの偏析が発生する。殆ど振動を起こさない進入路を選択することで、事実上、輸送車両でのアスファルト偏析を抑制できる。全く偏析が無い、或いは偏析が少なくとも大幅に少ないために、その後アスファルトで高品質な道路表層を作製できる。
【0023】
制御室のディスプレイ装置及び/又は建設現場車両のディスプレイ装置を、少なくとも1つのデジタルマップを表示するように設計できる。この様に、制御室のコーディネータ又は建設現場車両のドライバーは、利用可能な道路区間、それらの品質、交通渋滞等の概観を迅速に得られる。
【0024】
好適には、数台の建設現場車両の現在位置を、ディスプレイ装置で表示できる。そうすることで、オペレータは、どの道路区間が既に往来が激しい又はのろのろ運転の車両で妨害されているかを検出し、その結果それ程往来が激しくなく、妨害されていない別の経路を取ることができる。
【0025】
以下では、本発明の有利な実施形態について、図面を参照してより詳細に説明する。図面では、詳細に示す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明によるシステムの略図。
【図2】本発明によるシステムに格納したデジタルマップからの詳細図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1では、建設現場車両2を制御するための本発明によるシステム1の実施形態を図式的に示している。これらの建設現場車両を、本実施例では、特に混合敷設材を輸送するトラック2a、掘削機2b、道路仕上げ機2cとする。しかしながら、本発明によるシステム1に含む建設現場車両の台数や、建設現場車両の個々の種類については、任意とする。
【0028】
更に、システム1は制御室3を含み、該制御室3を、例えば、現場事務所、企画室、建築事務所、或いはトラック運送会社又は建設機械フリートのオペレータの事務所に配置できる。制御室3は、少なくとも1つのデジタルマップ5を格納するメモリ4を含む(図2を参照)。コンピュータプログラムの形で実装する航法モジュール6を、特定の規則に従う航法提案を生成するように設計する。制御室3の通信インタフェース、例えば、インターネット、赤外線通信、移動体通信、ブルートゥース又はその他のインタフェースを、航法モジュール6で生成した航法提案を個々の建設現場車両2に、適当な通信チャネル7を介して送信するように、設計する。建設現場車両2自体は、通信チャネル7を介して得た航法提案を受信するために、適当なトランスポンダを含む。建設現場車両2にある制御ユニットにより、航法提案を、各建設現場車両2のドライバーに対して聴覚的又は視覚的に示される航法ヒントに変換できる。
【0029】
本発明によるシステム1の各建設現場車両2には、例えばGNSS受信機(GNSS:全地球的航法衛星システム)といった車両検出手段8を備える。車両検出手段8により、各建設現場車両2の現在位置を検出し、該位置を現在時刻の情報と共に、通信チャネル7を用いて、制御室3に提供する。
【0030】
この様に、制御室3は、各建設現場車両2の現在位置について定期的に情報を受ける。
【0031】
ディスプレイ装置9、例えば、モニタを、制御室3に設ける。このディスプレイ装置9上で、メモリ4に格納したデジタルマップ5を、選択及び表示できる。ここでは、本発明によるシステム1で検出した各建設現場車両2の現在位置を、同時に表すことができる。
【0032】
測定装置10は、制御室3に結合される、又は適当なデータ伝送部を介して制御室3に接続される。測定装置10を、例えば、現在の気象データを測定し、制御室3に送信する測候所とすることができる。また、制御室3を、外部情報源12、例えばインターネットと接続することもできる。情報源11を介して、制御室3は、現在の現場に関する更なる情報を受信でき、任意には、該情報を航法モジュール6で気象データと共に処理して航法提案とする。
【0033】
図2は、制御室3のメモリ4に格納されており、ディスプレイ装置9で表示できるデジタルマップ5の表示を示している。このデジタルマップ5は、道路網12を含み、該道路網は、数カ所のジャンクション13(実施形態では、ジャンクション13a〜13e)と、ジャンクション13間を結ぶ複数の道路区間14(提示した例の道路区間14a〜14n)を含む。各道路区間14a〜14nに関して、経路と、少なくとも1つの、しかし好適には複数の付加情報15とを、デジタルマップ5に格納する。
【0034】
この付加情報15について、道路区間14d、14g、14jに関して例示的に示している。道路区間14dに関して、デジタルマップ5は、付加情報15として、現在、4台の建設現場車両が同道路区間14dに存在することを示している。この道路区間14dの道路状況はかなり悪い。それは、道路状況の特性数、又は「A」で最良道路状況を表すカテゴリにおいて「D」にのみ分類される品質(Q)によって表されている。道路状況の特性数「D」は、ポットホール等の凹凸が多く存在しており、そのために強い振動が予想される道路区間を指す。カテゴリ「H」の特性数「3.30」は、この道路区間14dが、高さ3.30m以下の建設車両のみが、例えばそれに応じた低さのアンダーパス又はブリッジ構造に従って、頻繁に通行してもよいことを表している。
【0035】
道路区間14gに関しては、現在、1台の建設現場車両が同道路区間に存在していることが表されている。警告標識で、建設現場車両1が行っている作業のため、この道路区間14gについては、場合によっては、現在通行が困難である可能性があることを示唆している。
【0036】
道路区間14jには、現在、全く建設現場車両2は存在しない。同道路区間14jの状況「Q」に対する特性数が、「A」で示されており、即ち、同道路区間14jが優良品質である。特性数「4.00」は、同道路区間14jの領域によっては、幅が4.00mしかないことを表している。
【0037】
点線で表したフィールド16は、建設現場領域を示している。同建設現場領域には、経路システム12のジャンクション13f〜13iがある。道路区間14h、14iでは、矢印で、更なる付加情報15として一方通行路規制を表している。従って、道路区間14hは現場進入路であり、道路区間14iは現場出口である。
【0038】
付加情報15を、編集可能なファイルに格納する。ここでは、単一ファイルを、デジタルマップ5全体に対して提供できる、或いは同デジタルマップ5の各細部に関して又は個別の道路区間14に関して、別々なファイルを格納できる。
【0039】
本発明によるシステム1を稼働する際には、デジタルマップ5を、制御室3のメモリ4から取得する。更に、制御室3は、通信チャネル7を介して制御室に送信される個別の建設現場車両2の位置に関する情報を得る。更にまた、制御室3は、測定装置10と外部情報源11からも情報を得る。
【0040】
航法モジュール6では、次に、特定の建設現場車両2a〜2cに対する航法提案を、デジタルマップ5を用いて生成し、通信チャネル7を用いて該建設現場車両2a〜2cに送信する。それに基づいて、建設現場車両2は走行経路を最適化できる。
【0041】
例えば、トラック2aは、ジャンクション13bに位置する混合プラントから建設現場領域16のジャンクション13hに位置する道路仕上げ機2cまで、アスファルト材料を輸送することになっている。ジャンクション13bと13hとの間のこの最短経路は、道路区間14dと14jを通る。しかしながら、航法モジュール6は、道路区間14dの状況がカテゴリ「D」であるとのみ表示しており、従って、明らかに非常に悪い状態であることを示している。道路区間14dで予想される振動は、アスファルト材料を偏析し、品質に決定的な影響を与える可能性がある。対照的に、道路区間14gでは、交通渋滞又は遅れを見込む必要がある。そのため、トラック2aの最適走行経路は、道路区間14c、14e、14h、14k、14lを通る。航法モジュールは、対応する航法提案をトラック2aに送信する。この航法提案を、トラック2aのドライバーが該提案に従い行動できるように、トラック2aの運転室にあるディスプレイ装置9で表示できる。
【0042】
移動中、建設現場車両2は、定期的に制御室3に位置情報を送信する。この位置情報と各時刻を参照して、制御モジュール3は、建設現場車両2が個別の道路区間14を通過するのに要した時間を計算できる。その結果から、次に、制御モジュール3は、どの道路区間14で建設現場車両2が特に迅速に移動可能かを予想でき、それにより航法モジュール6が航法提案で当該道路区間14を選択できる。
【0043】
デジタルマップ5は、制御室3において絶えず更新されるようにできる。そのために、個別の建設現場車両2の位置情報だけでなく、測定装置10から又は外部情報源11から得られる更なる情報を考慮に入れることができる。更に、オペレータは、特定の道路区間14に対する付加情報15を変更できると共に、更なるジャンクション13若しくは道路区間14を追加したり、既存のジャンクション13及び道路区間14を削除したりできる。この実施形態の全特徴は、個別に又は任意に組み合わせて、本発明によるシステムの成功に貢献できる。
【符号の説明】
【0044】
1 システム
2 建設現場車両
2a トラック
2b 掘削機
2c 道路仕上げ機
3 制御室
4 メモリ
5 デジタルマップ
6 航法モジュール
7 通信チャネル
8 車両検出手段
9 ディスプレイ装置
10 測定装置
11 (外部)情報源
12 外部情報源
13 ジャンクション(ジャンクション13a〜13e)
14 道路区間(道路区間14a〜14n)
15 付加情報
16 建設現場領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設現場車両(2)を制御するシステム(1)で、複数の建設現場車両(2)と制御室(3)とを含むシステム(1)であって、
通信チャネル(7)を、前記制御室(3)と前記建設現場車両(2)との間に設け、該チャネルで、前記制御室(3)と前記建設現場車両との間でデータを送信でき、
更に、前記制御室(3)には、少なくとも1つのデジタルマップ(5)を格納し、該デジタルマップ(5)には、個別の道路区間(14)に関して、前記各道路区間の経路に加えて、少なくとも1つの付加情報を格納し、
航法モジュール(6)を設け、該航法モジュールを、前記少なくとも1つのデジタルマップ(5)を参照して、前記建設現場車両(2)に対する航法提案を生成するように設計することを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記航法モジュール(6)を、コンピュータプログラムとして実装することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記航法モジュール(6)を、前記制御室(3)に及び/又は建設現場車両(2)に実装することを特徴とする、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
道路区間(14)の経路及び/又は格納した付加情報(15)を、前記デジタルマップ(5)において変更できることを特徴とする、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの付加情報(15)は、仮設道路の座標、仮設現場進入道路の座標、仮設一方通行道路区間の座標及び方向、前記道路区間(14)の状況の特性数、最大軸重の特性数、最大車両幅又は道路幅の特性数、カーブ半径の特性数、最高速度の特性数、運転時間、障害物、交通渋滞情報、及び/又は一時的な走行禁止に関する情報を含むことを特徴とする、請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記付加情報(15)は、現在前記各道路区間(14)に存在する建設現場車両(2)に関する情報を含むことを特徴とする、請求項1〜5のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記付加情報(15)を、前記割当てた道路区間(14)に関する編集可能なファイルの形で格納することを特徴とする、請求項1〜6うちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記付加情報(15)を、建設現場車両(2)から制御室(3)に送信したデータを考慮して編集できることを特徴とする、請求項1〜7のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
位置及び時刻に関する情報を、建設現場車両(2)から制御室(3)に送信できることを特徴とする、請求項1〜8のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムは、前記建設現場車両(2)を検出する車両検出手段(8)を含むことを特徴とする、請求項1〜9のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記航法モジュール(6)を、複数の道路区間(14)の状況に関する特性数を考慮に入れて、特定の建設現場車両(2)を出来るだけ振動させない移動経路に対する航法提案を生成するように設計することを特徴とする、請求項1〜10のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのデジタルマップ(5)を表示するディスプレイ装置(9)を、前記制御室(3)及び/又は建設現場車両(2)に設けることを特徴とする、請求項1〜11のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
数台の建設現場車両(2)の現在位置を、前記ディスプレイ装置(9)で表示できることを特徴とする、請求項12に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−226746(P2012−226746A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−90368(P2012−90368)
【出願日】平成24年4月11日(2012.4.11)
【出願人】(596068349)ヨゼフ フェゲーレ アーゲー (35)
【Fターム(参考)】