説明

弾性表面波フィルタ及びそれを用いた通信機器

【課題】小型で通過帯域特性を向上した弾性表面波フィルタを提供することを目的としている。
【解決手段】弾性波フィルタは、圧電基板と、圧電基板上に形成された複数のIDT電極と、複数のIDT電極にそれぞれ接続される第1、及び第2の配線電極とを備えた弾性表面波フィルタであって、前記第1の配線電極は入力側のIDT電極に接続され、前記第2の配線電極は出力側のIDT電極に接続され、前記第1、及び前記第2の配線電極とは絶縁層を介して立体交差する構成であると共に、第1の配線電極501は、立体交差部において、電極幅が他よりも小さい構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性表面波フィルタ及びそれを用いた通信機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信機器の発展に伴い、特に、携帯電話等に使用されるデバイスの高性能化、小型化が期待されている。携帯電話等では、フィルタとして、弾性表面波フィルタが広く用いられており、低ロス化、及び高減衰化に加え、小型化が期待されている。
【0003】
以下、従来の弾性表面波フィルタについて説明する。図14に、従来の弾性表面波フィルタの構成を示す。弾性表面波フィルタ1400は、圧電基板1401上に、IDT電極1402、1403、1404と反射器電極1405、1406とにより構成され、IDT電極1402、1403、1404と反射器電極1405、1406は弾性表面波の伝搬方向に沿って近接配置される。IDT電極1402、1403、1404の一方の電極指は、電極パッド1407、1408、1409に配線されてそれぞれ接地端子GND、入力端子IN、接地端子GNDに接続される。IDT電極1402、1404の他方の電極指は、配線電極1410を介して電極パッド1411に接続されて出力端子OUTに接続される。IDT電極1403の他方の電極指は、電極パッド1412に配線されて接地端子GNDに接続される。以上の構成とすることにより、弾性表面波フィルタ1400は縦モード型の弾性表面波フィルタの構成となる。
【0004】
また、弾性表面波フィルタの小型化のために、配線電極の一部を互いに、絶縁体を挟んで立体交差させる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−282707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来では、電極パッドが配線電極に囲まれた構成となっており、弾性表面波フィルタのサイズが大きくなるという問題があった。また、配線電極を立体交差させた場合には、配線電極同士で容量結合が生じ、通過帯域特性が劣化するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するもので、小型で、減衰特性に優れる弾性表面波フィルタ及び通信機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来の問題を解決するために本発明は、圧電基板と、前記圧電基板上に形成された複数のIDT電極と、前記複数のIDT電極にそれぞれ接続される第1、及び第2の配線電極とを備えた弾性表面波フィルタであって、前記第1の配線電極は入力側のIDT電極に接続され、前記第2の配線電極は出力側のIDT電極に接続され、前記第1、及び前記第2の配線電極とは絶縁層を介して立体交差するとともに前記第1の配線電極は、立体交差部において、電極幅が他よりも小さい構成としたものである。
【0009】
上記構成によって、小型で、優れた減衰特性を有する弾性表面波フィルタを実現することができる。
【0010】
上記弾性表面波フィルタにおいては、前記複数のIDT電極は弾性表面波の伝搬方向に沿って近接配置されることが好ましい。
【0011】
上記構成によって、小型で、優れた減衰特性を有する縦モード型の弾性表面波フィルタを実現することができるものである。
【0012】
また、上記弾性表面波フィルタにおいては、前記絶縁層が誘電体材料により構成されていることが好ましい。
【0013】
上記構成によって、小型で、優れた減衰特性を有する弾性表面波フィルタを実現することができるものである。
【0014】
また、上記弾性表面波フィルタにおいては、前記第1、及び前記第2の配線電極の立体交差部における容量を制御することにより、通過特性における減衰極を制御することが好ましい。
【0015】
上記構成によって、減衰極周波数の制御が可能な弾性表面波フィルタを実現することができるものである。
【0016】
また、上記弾性表面波フィルタにおいては、前記容量は、立体交差部における配線電極の幅により制御されることが好ましい。
【0017】
上記構成によって、減衰極周波数の制御が可能な弾性表面波フィルタを実現することができるものである。
【0018】
また、上記弾性表面波フィルタにおいては、前記容量は、立体交差部における絶縁層の厚みにより制御されることが好ましい。
【0019】
上記構成によって、減衰極周波数の制御が可能な弾性表面波フィルタを実現することができるものである。
【0020】
また、上記弾性表面波フィルタにおいては、前記第1または前記第2の配線電極の少なくとも一方において、他の電極部との接続部の電極幅が他の部分の電極幅よりも大きいことが好ましい。
【0021】
上記構成によって、減衰特性を改善するとともに、低ロスな弾性表面波フィルタを実現することができるものである。
【0022】
また、従来の問題を解決するために本発明は、圧電基板と、前記圧電基板上に形成された第1、第2、第3のIDT電極と、反射器電極とを備えた弾性表面波フィルタであって、前記第1、第2、第3のIDT電極と反射器電極とは弾性表面波の伝搬方向に沿って近接配置される構成であって、前記第1、第2、第3のIDT電極における一方の電極指は共通化されて接地され、前記第1、第3のIDT電極における他方の電極指は第1の配線電極を介して入力端子あるいは出力端子の一方に接続され、前記第2のIDT電極における他方の電極指は第2の配線電極を介して入力端子あるいは出力端子の他方に接続され、前記第1、及び前記第2の配線電極とは絶縁層を介して立体交差するとともに前記第1の配線電極は、立体交差部において、電極幅が他よりも小さい構成としたものである。
【0023】
上記構成によって、小型で、優れた減衰特性を有する弾性表面波フィルタを実現することができるものである。
【0024】
また、従来の問題を解決するために本発明は、複数のIDT電極を弾性表面波の伝搬方向に沿って近接配置される第1の弾性表面波フィルタと、複数のIDT電極を弾性表面波の伝搬方向に沿って近接配置される第2の弾性表面波フィルタとを備え、前記第1、及び第2の弾性表面波フィルタは第1の配線電極により縦続接続され、前記第2の弾性表面波フィルタにおけるIDT電極は第2の配線電極により入力端子あるいは出力端子に接続される構成であって、前記第1、及び前記第2の配線電極とは絶縁層を介して立体交差するとともに前記第1の配線電極は、立体交差部において、電極幅が他よりも小さい構成としたものである。
【0025】
上記構成によって、小型で、優れた減衰特性を有する2段の縦続接続された弾性表面波フィルタを実現することができるものである。
【0026】
また、上記弾性表面波フィルタにおいては、前記第1の配線電極は1対の配線電極から構成され、前記1対の配線電極のそれぞれに流れる信号の電気的な位相が逆相であることが好ましい。
【0027】
上記構成によって、小型で、優れた減衰特性を有する弾性表面波フィルタを実現することができるものである。
【0028】
また、上記弾性表面波フィルタにおいては、前記第2の弾性表面波フィルタにおけるIDT電極の少なくとも一つが、平衡型の入力端子あるいは出力端子に接続されることが好ましい。
【0029】
上記構成によって、小型で、優れた減衰特性を有する平衡型の弾性表面波フィルタを実現することができるものである。
【0030】
また、本発明の通信機器は、送信フィルタと受信フィルタとを備え、前記送信フィルタまたは受信フィルタの少なくとも一方が、請求項1から3のいずれかに記載の弾性表面波フィルタにより構成したものである。
【0031】
上記構成によって、小型で、高性能な通信機器を実現することができるものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、小型で、減衰特性に優れる弾性表面波フィルタ及び通信機器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態1における弾性表面波フィルタの構成図
【図2】図1におけるA−A’の断面図
【図3】本発明の実施の形態1における弾性表面波フィルタの等価回路図
【図4】本発明の実施の形態1における弾性表面波フィルタの通過特性を示す図
【図5】本発明の実施の形態1における弾性表面波フィルタの他の構成図
【図6】本発明の実施の形態1における立体交差部の容量特性を示す図
【図7】本発明の実施の形態1における弾性表面波フィルタの通過特性を示す図
【図8】本発明の実施の形態1における弾性表面波フィルタの他の構成図
【図9】本発明の実施の形態2における弾性表面波フィルタの構成図
【図10】本発明の実施の形態2における弾性表面波フィルタの等価回路図
【図11】本発明の実施の形態2における弾性表面波フィルタの通過特性を示す図
【図12】本発明の実施の形態2における弾性表面波フィルタの他の構成図
【図13】本発明の実施の形態3における通信機器の構成図
【図14】従来の弾性表面波フィルタの構成図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0035】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における弾性表面波フィルタの構成図である。図1において、弾性表面波フィルタ100は、圧電基板101上に形成されるIDT電極102、103、104と反射器電極105、106とにより構成され、IDT電極102、103、104と反射器電極105、106は弾性表面波の伝搬方向に沿って近接配置される。IDT電極102、103、104の一方の電極指は、電極パッド107に配線され、共通化されて接地端子GNDに接続される。IDT電極102、104の他方の電極指は、配線電極108により電極パッド109に配線されて出力端子OUTに接続される。IDT電極103の他方の電極指は、配線電極110により電極パッド111に配線されて入力端子INに接続される。以上の構成とすることにより、弾性表面波フィルタ100は縦モード型の弾性表面波フィルタの構成となる。ここで、配線電極108と配線電極110とは、図2にA−A’の断面図を示すように、絶縁層112を介して立体交差する構成となる。図3に、本実施の形態における弾性表面波フィルタの等価回路図を示す。図3に示すように、入力端子と出力端子との間には立体交差部により形成される容量Cが付加された構成となる。図4に、図3で示した回路構成において容量Cを0.4pFとしたときの弾性表面波フィルタの通過特性を示す。図4において、401は本発明における弾性表面波フィルタの通過特性であり、402は比較のための容量がない従来の構成の弾性表面波フィルタの通過特性である。本実施の形態に示す構成を適用することにより、通過帯域の高周波数側の減衰特性を改善することができる。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態の構成とすることにより、立体交差部における配線電極の容量を利用して、小型で減衰特性に優れる弾性表面波フィルタを実現することができる。また、本発明の弾性表面波フィルタにおいては、従来の構成のように、電極パッド1411が出力端子OUTの配線に囲まれるような構成にする必要がなく、配線電極を簡易化できるため小型化が実現できる。また、IDT電極102、103、104を同一の側で共通の電極パッド107にて接地することができるため、接地までの寄生成分を小さくし、接地強度を強くすることができ、減衰特性の改善が実現できるものである。
【0037】
なお、本実施の形態において、立体交差部はこれに限るものではなく、図5に示すように、配線電極501の幅を、立体交差部において他の部分と異ならせて調整することにより、容量の大きさを調整でき、減衰極周波数が調整できる弾性表面波フィルタ500を実現することができる。図6に示すのは、立体交差部の面積と容量との関係を示す図である。図6において、絶縁層としては、厚みが約1000ÅのSiO2薄膜を用いている。図6より、立体交差部の面積を変化させることにより容量を制御することが可能となる。図7に示すのは、図3における容量Cの値を0.2pF、0.3pF、0.5pFと変えたときの通過特性701、702、703である。容量を大きくするにつれて、減衰極は通過帯域近傍に近づけることができる。このように、立体交差部の面積を変化させることにより、容量の大きさを制御し、減衰極周波数を調整することができる。なお、この容量の制御に関しては、絶縁層の厚みを変えることによっても可能である。
【0038】
また、図8に示すように、配線電極801の幅を、他の電極部との接続部802、803において他の部分よりも広くすることにより、接触抵抗を低減することにより、低ロスな弾性表面波フィルタ800を実現することができる。
【0039】
また、配線電極108、110は上下逆に構成されていてもかまわない。
【0040】
また、弾性表面波フィルタの構成に関してはこれに限るものではなく、弾性表面波共振器とを組み合わせた構成であってもかまわない。
【0041】
また、絶縁層に関しては、SiO2やSiN、樹脂系の材料など、絶縁性が確保でき、誘電体として機能する材料であればかまわない。特に、絶縁層としてSiO2など弾性表面波フィルタの温度補償に使用される材料を用いる場合には、絶縁層がIDT電極を覆うように構成すれば、温度特性に優れた弾性表面波フィルタを実現することができる。
【0042】
また、弾性表面波フィルタの作製に関しては、パッケージへの実装のためパッド電極の厚みを厚くするプロセスを用いる場合があり、この場合には、配線電極の形成を、パッド電極を厚くする工程等と同時に行うことにより、プロセスの工程の数を増やすことなく本発明の弾性表面波フィルタが実現できるものである。
【0043】
(実施の形態2)
以下、本発明の弾性表面波フィルタの構成について、図面を用いて説明する。
【0044】
図9は、本発明の実施の形態2における弾性表面波フィルタの構成図である。図9において、弾性表面波フィルタ900は、圧電基板901上に形成されるIDT電極902、903、904と反射器電極905、906とにより構成される第1の縦モード型の弾性表面波フィルタ907と、IDT電極908、909、910と反射器電極911、912とにより構成される第2の縦モード型の弾性表面波フィルタ913とにより構成される。このとき、IDT電極902、903、904と反射器電極905、906は弾性表面波の伝搬方向に沿って近接配置され、IDT電極908、909、910と反射器電極911、912は弾性表面波の伝搬方向に沿って近接配置される。さらに、IDT電極902、904の一方の電極指は、電極パッドに配線されてそれぞれ接地端子GNDに接続され、IDT電極903の一方の電極指は、電極パッドに配線されて入力端子INに接続される。IDT電極902、904の他方の電極指は、配線電極914、915を介して、IDT電極908、910の一方の電極指に接続され、IDT電極903の他方の電極指は、電極パッドに配線されて接地端子GNDに接続される。IDT電極909は、2つに分割されて、それぞれ分割された電極指の一方は、配線電極916、917を介して電極パッドに配線されてそれぞれ出力端子OUT1、OUT2に接続される。このとき、配線電極914、915と配線電極916、917とは、絶縁層918、919を介して立体配線される構成となる。また、IDT電極908、909、910の他方の電極指は、共通化されて接地端子GNDに接続される。以上の構成とすることにより、平衡型端子を有する2段に縦続接続された弾性表面波フィルタ900を構成することができる。
【0045】
図10に、本実施の形態における弾性表面波フィルタの等価回路図を示す。弾性表面波フィルタ900は、配線電極914、915と出力端子OUT1、OUT2との間に立体交差部により形成される容量Cが付加された構成となる。また、配線電極914、915が第2の弾性表面波フィルタ913における入力側に相当することになる。図11に、図10で示した回路構成において容量Cを0.2pFとしたときの弾性表面波フィルタの通過特性を示す。図11において、1101は本発明における弾性表面波フィルタの通過特性であり、1102は比較のための容量がない従来の構成の弾性表面波フィルタの通過特性である。本実施の形態に示す構成を適用することにより、通過帯域の高周波数側の減衰特性を改善することができる。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態の構成とすることにより、立体交差部における配線電極の容量を利用して、小型で減衰特性に優れる弾性表面波フィルタを実現することができる。また、IDT電極908、909、910を同一の側で共通の電極パッドにて接地することができるため、接地までの寄生成分を小さくし、接地強度を強くすることができ、減衰特性の改善が実現できるものである。
【0047】
なお、本実施の形態において、立体交差部はこれに限るものではなく、実施の形態1で示したように、配線電極916、917の幅を、立体交差部において他の部分と異ならせて調整することにより、容量の大きさを制御でき、減衰極周波数が調整できる弾性表面波フィルタ900を実現することができる。
【0048】
また、実施の形態1で示したように、配線電極916、917の幅を、他の電極部との接触部において他の部分よりも広くすることにより、接触抵抗を低減することにより、低ロスな弾性表面波フィルタを実現することができる。
【0049】
また、配線電極914、915と配線電極916、917は上下逆に構成されていてもかまわない。
【0050】
また、図12に示すようにIDT電極903の他方の電極指が配線電極1201を介して接地端子GNDに接続される構成とすることも可能である。このとき、配線電極1201は絶縁層1202、1203を介して配線電極914、915と立体交差する構成となる。この場合には、弾性表面波フィルタ1200において、第1と第2の弾性表面波フィルタ907、913の間に電極パッドを設ける必要がなく、さらに小型化が実現できるものである。また、配線電極1201は、立体交差部において、電極幅が他よりも小さい構成とすることにより、配線電極914、915の接地面への寄生容量を小さくすることができ、通過帯域特性を改善することができる。
【0051】
また、弾性表面波フィルタの構成に関してはこれに限るものではなく、弾性表面波共振器とを組み合わせた構成であってもかまわない。
【0052】
また、絶縁層に関しては、SiO2やSiN、樹脂系の材料など、絶縁性が確保でき、誘電体として機能する材料であればかまわない。特に、絶縁層としてSiO2など弾性表面波フィルタの温度補償に使用される材料を用いる場合には、絶縁層がIDT電極を覆うように構成すれば、小型で、帯域内特性、及び温度特性に優れた弾性表面波フィルタを実現することができる。
【0053】
また、弾性表面波フィルタの作製に関しては、パッケージへの実装のためパッド電極の厚みを厚くするプロセスを用いる場合があり、この場合には、配線電極の形成を、パッド電極を厚くする工程等と同時に行うことにより、プロセスの工程の数を増やすことなく本発明の弾性表面波フィルタが実現できるものである。
【0054】
(実施の形態3)
以下、本発明のアンテナ共用器、高周波モジュール、通信機器の構成について、図面を用いて説明する。
【0055】
図13は、本発明の実施の形態3における通信機器の構成図である。図13において、通信機器1300は、第1、第2の無線回路1301、1302と切換スイッチ1303により構成される。第1の無線回路1301は、送信フィルタ1304と受信フィルタ1305とにより構成されるアンテナ共用器1306と、送信回路1と、送信回路1より出力された送信信号を増幅する送信増幅器1307と、受信信号を増幅する受信増幅器1308と、受信信号が入力される受信回路1とにより構成される。第2の無線回路1302は、送信フィルタ1309と受信フィルタ1310とにより構成されるアンテナ共用器1311と、送信回路2と、送信回路2より出力された送信信号を増幅する送信増幅器1312と、受信信号を増幅する受信増幅器1313と、受信信号が入力される受信回路2とにより構成される。切換スイッチの一方の端子はアンテナ端子ANTに接続され、他方の2つの端子は、それぞれ第1、第2の無線回路1301、1302を構成するアンテナ共用器1306、1311に接続される。以上の構成とすることにより、通信機器1300は、第1と第2の無線回路1301、1302を有する複合機の構成となる。ここで、アンテナ共用器1306において、送信フィルタ1304または受信フィルタ1305のいずれかに、実施の形態1または2で示した弾性表面波フィルタを適用することにより、小型で通過帯域特性に優れたアンテナ共用器1306を実現することができる。また、アンテナ共用器1311において、送信フィルタ1309または受信フィルタ1310のいずれかに、実施の形態1または2で示した弾性表面波フィルタを適用することにより、小型で通過帯域特性に優れたアンテナ共用器1311を実現することができる。さらに、このようなアンテナ共用器1306または1311を用いて通信機器1300を構成することにより、小型で高性能な通信機器を実現することができる。
【0056】
なお、本実施の形態において、通信機器における無線回路の数や回路構成などはこれに限るものではない。
【0057】
さらに、本実施の形態におけるアンテナ共用器を用いれば、アンテナ共用器1306と送信増幅器1307とから構成される高周波モジュール1314として実現することも可能でありアンテナ共用器1306、1311と切換スイッチ1303とから構成される高周波モジュール1315を実現することが可能であり、小型で高性能な高周波モジュールを実現することができる。
【0058】
なお、高周波モジュールにおいて、アンテナ共用器と組み合わせるデバイスに関しては、これに限るものではなく、受信増幅器と組み合わせることも可能である。
【0059】
また、本実施の形態においては、高周波モジュール、通信機器に関して、アンテナ共用器を用いた構成となっているが、これは、実施の形態1または2の弾性表面波フィルタを用いた構成の通信機器であってもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明にかかる弾性表面波フィルタは、小型で通過帯域特性に優れ、各種電子機器に応用できる。
【符号の説明】
【0061】
100 弾性表面波フィルタ
101 圧電基板
102、103、104 IDT電極
105、106 反射器電極
107、109、111 電極パッド
108、110 配線電極
112 絶縁層
401 本実施の形態における弾性表面波フィルタの通過特性
402 従来の弾性表面波フィルタの通過特性
500 弾性表面波フィルタ
501 配線電極
701、702、703 本実施の形態における弾性表面波フィルタの通過特性
801 配線電極
802、803 他の電極部との接続部
900 弾性表面波フィルタ
901 圧電基板
902、903、904 IDT電極
905、906 反射器電極
907 第1の縦モード型フィルタ
908、909、910 IDT電極
911、912 反射器電極
913 第2の縦モード型フィルタ
914、915、916、917 配線電極
918、919 絶縁層
1101 本実施の形態における弾性表面波フィルタの通過特性
1102 従来の弾性表面波フィルタの通過特性
1201 配線電極
1202、1203 絶縁層
1300 通信機器
1301 第1の無線回路
1302 第2の無線回路
1303 切換スイッチ
1304 送信フィルタ
1305 受信フィルタ
1306 アンテナ共用器
1307 送信増幅器
1308 受信増幅器
1309 送信フィルタ
1310 受信フィルタ
1311 アンテナ共用器
1312 送信増幅器
1313 受信増幅器
1314、1315 高周波モジュール
1400 弾性表面波フィルタ
1401 圧電基板
1402、1403、1404 IDT電極
1405、1406 反射器電極
1407、1408、1409、1411、1412 電極パッド
1410 配線電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電基板と、
前記圧電基板上に形成された複数のIDT電極と、
前記複数のIDT電極にそれぞれ接続される第1、及び第2の配線電極とを備えた弾性表面波フィルタであって、
前記第1の配線電極は入力側のIDT電極に接続され、前記第2の配線電極は出力側のIDT電極に接続され、
前記第1、及び前記第2の配線電極とは絶縁層を介して立体交差する構成であると共に、
前記第1の配線電極は、立体交差部において、電極幅が他よりも小さい構成とすることを特徴とする弾性表面波フィルタ。
【請求項2】
前記複数のIDT電極は弾性表面波の伝搬方向に沿って近接配置されることを特徴とする請求項1記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項3】
前記絶縁層が誘電体材料により構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項4】
前記第1、及び前記第2の配線電極の立体交差部における容量を制御することにより、通過特性における減衰極を制御することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項5】
前記容量は、立体交差部における配線電極の幅により制御されることを特徴とする請求項4に記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項6】
前記容量は、立体交差部における絶縁層の厚みにより制御されることを特徴とする請求項4に記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項7】
前記第1または前記第2の配線電極の少なくとも一方において、他の電極部との接続部の電極幅が他の部分の電極幅よりも大きいことを特徴とする請求項1または3のいずれかに記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項8】
圧電基板と、
前記圧電基板上に形成された第1、第2、第3のIDT電極と、
反射器電極とを備えた弾性表面波フィルタであって、
前記第1、第2、第3のIDT電極と反射器電極とは弾性表面波の伝搬方向に沿って近接配置される構成であって、
前記第1、第2、第3のIDT電極における一方の電極指は共通化されて接地され、
前記第1、第3のIDT電極における他方の電極指は第1の配線電極を介して入力端子あるいは出力端子の一方に接続され、
前記第2のIDT電極における他方の電極指は第2の配線電極を介して入力端子あるいは出力端子の他方に接続され、
前記第1、及び前記第2の配線電極とは絶縁層を介して立体交差する構成であると共に、前記第1配線電極は、立体交差部において、電極幅が他よりも小さい構成とすることを特徴とする弾性表面波フィルタ。
【請求項9】
複数のIDT電極を弾性表面波の伝搬方向に沿って近接配置される第1の弾性表面波フィルタと、
複数のIDT電極を弾性表面波の伝搬方向に沿って近接配置される第2の弾性表面波フィルタとを備え、
前記第1、及び第2の弾性表面波フィルタは第1の配線電極により縦続接続され、
前記第2の弾性表面波フィルタにおけるIDT電極は第2の配線電極により入力端子あるいは出力端子に接続される構成であって、
前記第1、及び前記第2の配線電極とは絶縁層を介して立体交差する構成であると共に、前記第1の配線電極は、立体交差部において、電極幅が他よりも小さい構成とすることを特徴とする弾性表面波フィルタ。
【請求項10】
前記第1の配線電極は1対の配線電極から構成され、
前記1対の配線電極のそれぞれに流れる信号の電気的な位相が逆相であることを特徴とする請求項9に記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項11】
前記第2の弾性表面波フィルタにおけるIDT電極の少なくとも一つが、平衡型の入力端子あるいは出力端子に接続されることを特徴とする請求項10に記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項12】
前記第1の配線電極は前記圧電基板上に形成された接地端子に接続された請求項1、8、9のいずれかに記載の弾性表面波フィルタ。
【請求項13】
送信フィルタと受信フィルタとを備え、前記送信フィルタまたは受信フィルタの少なくとも一方が、請求項1から3のいずれかに記載の弾性表面波フィルタにより構成されていることを特徴とする通信機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−259516(P2011−259516A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221600(P2011−221600)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【分割の表示】特願2006−80277(P2006−80277)の分割
【原出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】