弾性表面波装置及び通信装置
【課題】フェースダウン実装された弾性表面波装置において、大きな信号が入力されても耐電力性、放熱性に優れた弾性表面波装置を提供すること。
【解決手段】圧電基板1上にIDT電極2から成る弾性表面波共振子を複数配設して互いに接続し、前記弾性表面波共振子の間の領域に、少なくとも1つの放熱用パッド電極16a,16bを配置している。放熱用パッド電極16a,16bは、回路基板の導体パターンとバンプ接続体13で接続される。
【効果】放熱用パッド電極16a,16bを通して熱を集めることができ、放熱性が向上する。
【解決手段】圧電基板1上にIDT電極2から成る弾性表面波共振子を複数配設して互いに接続し、前記弾性表面波共振子の間の領域に、少なくとも1つの放熱用パッド電極16a,16bを配置している。放熱用パッド電極16a,16bは、回路基板の導体パターンとバンプ接続体13で接続される。
【効果】放熱用パッド電極16a,16bを通して熱を集めることができ、放熱性が向上する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性表面波装置、及びそれを用いた携帯電話機、車載用センサー等の通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機の段間フィルタやデュプレクサにおいては、主に誘電体フィルタが使用されてきたが、近年では高性能で小型軽量化に有利な弾性表面波装置を用いた段間フィルタやデュプレクサが使われてきている。
このような弾性表面波装置では、使用周波数の上昇傾向に伴って、入力レベルの要求が、従来の段間フィルタ用の10mWレベルから、デュプレクサなどに要求される1〜3Wレベルへと電力の範囲が広がってきている。このため、弾性表面波装置として、よりいっそうの耐電力性向上が望まれている。
【0003】
また、近年、携帯電話機で使用される周波数帯の高周波化に伴い、弾性表面波装置を構成する共振子のIDT(Inter Digital Transducer)電極の線幅は、使用する周波数に反比例して細くなっている。従来、800MHz帯では弾性表面波共振子の電極線幅が約1μm程度であったのに対して、1.9GHz帯では約0.5μmとよりいっそう細くなる。このように細い電極指を用いて弾性表面波を励振、受信する場合、信号電力が大きくなると、電極指振動の損失分の熱への変換や、電極配線抵抗によるジュール熱により、電極指とその近傍が 100 ℃ から 300 ℃まで発熱される。高温状態においては、ストレスマイグレーションと発熱の影響により、その相乗効果で電極指の破壊が助長される。さらに、高温状態になると弾性表面波装置の温度特性に影響が表れ、特性が大きく変化する。
【0004】
また、携帯電話機の段間フィルタやデュプレクサに用いられる弾性表面波装置は、各種無線通信機器の小型化に伴い、更なる小型軽量化が求められている。そのため、近年ではフリップチップ実装を用いた表面実装型やCSP(Chip Scale Package)構造の弾性表面波装置が採用されてきている。
図24に、従来の弾性表面波装置の断面図を示す。弾性表面波装置は、LiTaO3単結晶等の圧電基板101上に少なくとも1対のIDT電極102等が形成されて成る弾性表面波素子と、それを気密封止する回路基板105とからなる。圧電基板101を回路基板105の上にフェースダウン実装して、IDT電極102等を、バンプ接続体を介して回路基板105の上面に形成されたパッド電極104に接着固定する。これにより、弾性表面波素子と回路基板105の電極とを導通接続した後、封止樹脂107により気密封止している。
【0005】
フリップチップ実装構造を採用した場合、回路基板105との接続点がバンプ接続体のみで、かつ発熱した熱を放熱する空間が、回路基板105と弾性表面波素子が形成された圧電基板101の主面との間の限られた狭い空間のみである。
このようにフリップチップ実装構造を採用した場合、放熱に比較的不利な構造であるので、熱抵抗を低減する熱設計、放熱対策が課題となっている。
【0006】
このような弾性表面波装置の放熱対策に関しては、弾性表面波素子が形成された圧電基板の裏面にヒートシンク用金属片を接触させた構造や、さらに圧電基板に貫通孔を設けて金属片と導通した構造が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003-087093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記構造では、圧電基板に金属片を配置する必要があり、弾性表面波装置の小型化、低背化には不利となる。
弾性表面波装置のフェースダウン実装で、弾性表面波装置の放熱対策として、積極的に圧電基板上の電極の配置に着目した提案はなされていない。
そこで本発明は、フェースダウン実装で弾性表面装置を構成する場合、励振電極の発熱による影響を低減し、放熱性に優れ、安定した所望の特性が得られる弾性表面波装置及びこれを用いた通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の弾性表面波装置は、弾性表面波素子が回路基板上にフェースダウン実装された構造において、圧電基板の主面の、弾性表面波共振子同士の間の部位に、入出力パッド電極が形成され、前記入出力パッド電極は、バンプ接続体によって、前記回路基板の実装面の接続電極に接続されているものである。
または、前記入出力パッド電極ではなく、信号入出力機能を持たない放熱用パッド電極が前記弾性表面波共振子同士の間の部位に形成されている。
【0009】
これらの構成によれば、フェースダウン実装でありながら弾性表面波共振子で発生した熱を入出力パッド電極又は放熱用パッド電極を通して、効率良く放熱することができる。したがって、弾性表面波装置の温度特性による特性の変化が少なく、安定した特性を得ることができる。結果として、IDT電極の電極指の破壊が生じることなく、長期信頼性に優れた弾性表面波装置を提供することができる。
【0010】
前記回路基板の前記入出力パッド電極又は前記放熱用パッド電極と対向する部位に、前記接続電極に接続された貫通導体が形成されている構造では、弾性表面波共振子で発生した熱を対向する回路基板を介して効率良く放熱できる。
また、前記圧電基板の主面に、前記弾性表面波素子を取り囲んで、接地された環状電極が形成されている構造であれば、小型軽量で気密性を充分確保でき、さらに耐電力性と放熱性に優れた弾性表面波装置を提供することできる。
【0011】
また、前記圧電基板の裏面及び側面の少なくとも一方の面に金属層が形成されているとともに、前記圧電基板の裏面及び側面が封止樹脂で覆われている構造であれば、外周を金属膜と樹脂でカバーすることにより、耐湿性、気密性に優れ、素子を破壊から保護することができる。結果として、IDT電極の電極指の破壊が生じることなく、長期信頼性に優れた弾性表面波装置を提供することができる。
【0012】
本発明の弾性表面波装置は、弾性表面波素子が回路基板上にフェースダウン実装された構造において、前記弾性表面波素子は、圧電基板の主面にIDT電極及び反射器電極を有する弾性表面波共振子が複数配設され、これらの弾性表面波共振子が互いに接続されてなり、前記圧電基板の前記主面において、前記弾性表面波共振子同士の間の部位に放熱用パッド電極が形成されているとともに、前記弾性表面波素子を取り囲む環状電極が形成されているものである。
【0013】
この構造により、小型軽量で気密性を充分確保できるとともに、弾性表面波共振子で発生した熱を、放熱用パッド電極及び環状電極を通して、効率良く放熱することができ、さらに耐電力性と放熱性に優れた弾性表面波装置を提供することできる。
なお、前記放熱用パッド電極は、前記圧電基板の前記主面を介して、又は回路基板の実装面を介して、前記環状電極に接続されていることが放熱面でさらに好ましい。
【0014】
前記放熱用パッド電極は、バンプ接続体、回路基板上に形成された接続電極及び回路基板を貫く貫通導体を介して、前記回路基板の底面に形成された放熱用底面電極に接続されていることがさらに好ましい。放熱用パッド電極と貫通導体及び環状電極を利用した熱伝導経路を利用して、回路基板側への放熱性を向上させることができる。
前記放熱用電極として、前記回路基板の実装面や底面以外に、回路基板の内層に形成された放熱用内層電極を利用してもかまわない。
【0015】
また、前記回路基板の側面に形成された側面導体を通じて熱伝導パスを形成することとすれば、さらに放熱効率を上げることができる。
前記複数の弾性表面波共振子を直列及び並列に接続して、ラダー型回路を構成しても良い。ラダー型弾性表面波装置において信号が大きくなると、特に直列共振子における発熱が大きくなり問題となるが、共振子の近傍に積極的に放熱させるパッド電極を配置することにより、発生した熱を対向する回路基板を介して効率良く放熱することができる。
【0016】
以上に説明した弾性表面波装置を、通信装置のフィルタ回路部品として用いることとすれば、小型軽量で、送信電力の大きな通信装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る弾性表面波装置及び通信装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。 なお、以下の図面において、各電極の大きさや電極間の距離、電極指の本数や間隔等については、説明のために模式的に描いたものである。
弾性表面波装置は、弾性表面波素子及びこれを実装するための回路基板とから構成される。
【0018】
図1は、放熱用電極として入出力電極を利用した弾性表面波素子の配置例を示す平面図である。
なお、本明細書での「主面」とは、圧電基板の表面のIDT電極や反射器電極が形成される面のことをいう。
図1に示すように、弾性表面波素子は、タンタル酸リチウム単結晶、ニオブ酸リチウム単結晶、四ホウ酸リチウム単結晶などの圧電性の単結晶から成る圧電基板1と、圧電基板1の主面に、直列接続、並列接続等の方式で接続された励振電極であるIDT電極2a〜2gと、各IDT電極2a〜2gの弾性表面波伝搬方向両端に位置する反射器9と、IDT電極2a〜2gに接続される複数の引出し電極10a〜10fと、IDT電極2a〜2g同士を接続する内部接続電極20a,20bとを備えている。IDT電極2a〜2gと反射器電極(以下、「反射器」ともいう)9と引出し電極10a〜10fと内部接続電極20a,20bとを、保護膜(図示せず)で覆ってなる。
【0019】
ここで、IDT電極2a〜2gは、複数対の櫛歯状電極をかみ合わせたものである。
IDT電極2a,2bにつながる引出し電極10a,10bの端部には、入出力用パッド電極3a,3bが形成され、IDT電極2d,2fにつながる引出し電極10c,10eの端部と、IDT電極2e,2gにつながる引出し電極10d,10fの端部とには、接地用パッド電極4が形成されている。
【0020】
前記保護膜は、パッド電極上ではエッチングされ、パッド電極を露出させた状態で、形成されている。
図1の実施形態では、入出力用パッド電極3a,3bが、弾性表面波共振子の間の領域、すなわちIDT電極2a〜2c,2e,2g、反射器9、内部接続電極20a,20bに囲まれた領域にそれぞれ配置された構成となっている。
【0021】
IDT電極2a〜2g、反射器9、引出し電極10a〜10f、内部接続電極20a,20b、入出力用パッド電極3a,3b及び接地用パッド電極4は、例えばAl−Cuを主成分とするAl合金からなる。
その製造方法を概略説明すると、スパッタリング法、蒸着法又はCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の薄膜形成法によりAl合金薄膜を形成し、次に縮小投影露光機(ステッパー)とRIE(Reactive Ion Etching)装置を用いてフォトリソグラフィ法によりパターニングし、所定の形状を得る。その上から、CVD法又は蒸着法等の薄膜形成法により保護膜を形成する。保護膜にはSiO2膜、SiN膜、Si膜等が用いられる。
【0022】
なお、IDT電極2a〜2gは一般的には前述のようなCuを含むAl合金からなるが、Cu以外に又はCuとともにTi,Ta,Mg,W,Mb等の一種又は二種以上を含むAl合金でも構わない。例えば、Al−Ti系、Al−Mg系、Al−Cu−Mg系等のAl合金である。またそれらの合金の複数種、例えばAlCu/Cu/AlCu、Ti/AlCu、Ti/AlCu/Tiが積層された構造でも適応可能である(/は積層界面を示す)。
【0023】
IDT電極2a〜2gの形状は、互いに噛み合うように形成された櫛歯状である。電極指の対数は50〜300程度、電極指の幅は0.1〜 10 μm程度、電極指の間隔は0.1〜 10 μm程度、電極指の交差幅は10〜 200 μm程度、IDT電極2a〜2gの厚みは0.1〜 0.5 μm程度とすることが、共振器あるいはフィルタとしの所望の特性を得るうえで好適である。
【0024】
圧電基板1としては、 36 °±10°Yカット−X伝搬のLiTaO3単結晶、 64 °±10°Yカット−X伝搬のLiNbO3単結晶、 45 °±10°Xカット−Z伝搬のLi2B4O7単結晶等を採用することが、電気機械結合係数が大きく且つ群遅延時間温度係数が小さいため好ましく、特に電気機械結合係数の大きな 36 °±10°Yカット−X伝搬のLiTaO3単結晶が好ましい。また、結晶Y軸方向におけるカット角は 36 °±10°の範囲内であれば良く、その場合十分な圧電特性が得られる。
【0025】
圧電基板1の厚みは0.1〜0.5mm程度がよく、0.1mm未満では圧電基板1が脆くなり、0.5mm超では材料コストが大きくなる。
また、圧電基板1の焦電効果による電極破壊を防ぐために、還元処理を施した圧電基板1や、Fe元素が添加された圧電基板1を使用しても何ら問題ない。
また、この弾性表面波素子で分波器を構成する場合、受信用の弾性表面波素子、送信用の弾性表面波素子を、1つの圧電基板1の主面上に形成してもよい。また、それぞれ別々の圧電基板1に作成し、個々にパッケージに実装してもよい。
【0026】
図2に、放熱用電極として放熱用パッド電極を用いた他の構造の弾性表面波素子の平面図を示す。
この構造では、圧電基板1の主面に、IDT電極2a〜2gと、反射器9と、IDT電極2a〜2gに接続される複数の引出し電極10a,10b等と、IDT電極2a〜2g同士を接続する内部接続電極20a,20bと、接地用パッド電極4とを形成している点では、図1と同様である。
【0027】
図1の構造と異なるところは、図1の構造では入出力用パッド電極3a,3bが弾性表面波共振子の間の領域に配置されていたが、この図2の構造では、入出力用パッド電極3a,3bや接地用パッド電極4の他に、何にも接続されない放熱用パッド電極16a,16bが設けられ、この放熱用パッド電極16a,16bが、弾性表面波共振子の間の領域、すなわちIDT電極2a〜2c,2e,2g、反射器9、内部接続電極20a,20bに囲まれた領域に配置されている。そして、入出力用パッド電極3a,3bは、接地用パッド電極4とともに、弾性表面波共振子の外周部に配置されている。
【0028】
図3に、以上のように構成した弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置の模式的な断面図を示す。
弾性表面波素子は、圧電基板1の、IDT電極2a〜2g(総称して「IDT電極2」という)等の設けられた主面が回路基板11の上面(実装面という)に対面するようにして、フェースダウン実装されている。
【0029】
圧電基板1の主面に形成された入出力用パッド電極3a,3b(総称して「入出力用パッド電極3」という)は、回路基板11の実装面に形成された接続電極12に、バンプ接続体13を介して接続されている。
接続電極12は、回路基板11を貫通するように設けられた貫通導体19を通して、回路基板11の底面に形成された放熱用底面電極21に接続される。放熱用底面電極21は、本弾性表面波装置が搭載されるメインボードの所定の電極に接続されることはもちろんである。
【0030】
前記回路基板11は、例えば一枚のセラミック基板、又は、セラミック基板と1枚以上の枠状セラミック基板とを積層することによって作製される。なお、セラミックに代えてBTレジンなどの樹脂を用いてもよい。
回路基板11に設けられる接続電極12や放熱用底面電極21は、電解めっき又は無電解めっき法によって形成する。
【0031】
バンプ接続体13は、半田ペースト、Au−Sn合金ペースト等をスクリーン印刷等の印刷法により形成するか又はディスペンサーで塗布することにより同時に形成する。バンプ接続体13は、ここでは回路基板11側に形成される場合を示したが、弾性表面波素子側に形成してもかまわない。
貫通導体19は、回路基板11に設けた孔の中に導電性ペーストを充填した後、加熱硬化することにより形成する。
【0032】
この圧電基板1の載置された回路基板11をリフロー炉にてリフロー溶融することにより、弾性表面波素子と回路基板11とを電気的かつ機械的に接続する。そして、ポッティング法又は印刷法により弾性表面波素子の裏面及び周囲面に封止樹脂15を形成し、樹脂を加熱硬化することにより弾性表面波装置が完成する。
なお、図3において、圧電基板1と回路基板11との対向面同士の間に形成される振動空間S内に、低湿度の空気を封入し密閉するようにしてもよい。これにより、IDT電極2の酸化等による劣化を抑制でき好ましい。また、空気の代わりに、窒素ガス,アルゴンガスなどの不活性ガス等を封入し密閉すれば、より好ましい効果が得られる。
【0033】
この弾性表面波素子で発生した熱は、圧電基板1の主面に形成された入出力用パッド電極3a,3b(図1の場合)又は放熱用パッド電極16a,16b(図2の場合)から、バンプ接続体13を介して接続電極12に伝わり、さらに貫通導体19を介して回路基板11の底面に形成された放熱用底面電極21に伝わり、放熱される。
特に、本発明の実施形態では、圧電基板1の上で、入出力用パッド電極3a,3b又は放熱用パッド電極16a,16bを弾性表面波共振子の間の領域に配置したので、これらの入出力用パッド電極3a,3bや放熱用パッド電極16a,16bによって、熱を集めることが容易にでき、その収集した熱を回路基板11の底面に放熱することで、効率的な放熱を行うことができる。
【0034】
このような放熱を積極的に行う構造を採用することにより、小型軽量で、フェースダウン実装でありながら弾性表面波共振子で発生した熱を効率良く放熱することができる。したがって、温度による弾性表面波装置の特性の変化が少なく、安定した特性を得ることができる。その結果として、電極指の破壊が生じることなく、耐電力性、長期信頼性に優れた弾性表面波装置を提供することができる。
【0035】
次に、圧電基板1に環状電極を設けた弾性表面波素子の構造を説明する。
図4は、本発明の弾性表面波素子のさらに他の構造を示す平面図である。
この構造では、圧電基板1上の弾性表面波共振子の外周部に、弾性表面波共振子を取り囲むように環状電極17が形成されている。そしてIDT電極2d〜2gの接地側に接続された接地用パッド電極4がなく、IDT電極2d〜2gの接地側は環状電極17に接続されている。すなわち、接地用パッド電極4に代えて、環状電極17が接地機能を果たしている。
【0036】
この図4においても、図1と同様、入出力用パッド電極3a,3bが弾性表面波共振子の間の領域、すなわちIDT電極2a〜2c,2e,2g、反射器9、内部接続電極20a,20bに囲まれた領域に配置された構成となっている。
図5は、図4の弾性表面波素子を、回路基板11にフェースダウン実装した状態を示す断面図である。
【0037】
この構造によれば、圧電基板1を回路基板11上に載置し、弾性表面波素子の主面に形成された入出力用パッド電極3a,3bと、回路基板11の実装面に形成された接続電極12とを、バンプ接続体13を介して接続し、接続電極12を、貫通導体19を通して回路基板11の放熱用底面電極21に接続するとともに、環状電極17を、半田等からなる環状封止材18を介して回路基板11側に形成された環状導体14に接続している。
【0038】
これにより、入出力用パッド電極3a,3bで、熱を集めることが容易にでき、その熱を、貫通導体19を通して回路基板11の底面に放熱することで、効率的な熱放散を行うことができる。また、環状導体14を通して、環状電極17を接地することができるので、電磁的なノイズを遮断できるとともに、圧電基板1の主面と、回路基板11の実装面との間の間隙を気密封止しやすくなる。
【0039】
図6に他の実施形態に係る弾性表面波素子を回路基板11に実装した状態の断面図を示す。
この実施形態の図3と異なるところは、圧電基板1の主面と反対側の面(裏面という)に、スパッタリング法等により金属膜22が形成されていることである。
前記金属膜22としては、密着層となるCr、バリアメタル層となるNi、半田の濡れ性を向上させるAu等が順次積層された構造を用いることができる。
【0040】
この圧電基板1の裏面に設けた金属膜22によって、素子製造時に、温度履歴が加わっても、圧電基板1が集電破壊されるおそれが少なくなる(圧電基板1に還元処理を施したり、Fe元素を添加したりするのと同じ効果である)。
なお、金属膜22は、圧電基板1の裏面のみならず、図7に示すように、圧電基板1の側面に形成されていてもよい。
【0041】
また、以上の圧電基板1の裏面に金属膜22を形成した図6の構造や、圧電基板1の裏面及び側面に金属膜22を形成した図7の構造においても、図4と同様に、圧電基板1の、弾性表面波共振子の外周部に、弾性表面波共振子を取り囲むように環状電極17を形成し、この環状電極17を接地用電極として機能させてもよい。環状電極17が形成された弾性表面波共振子を回路基板11にフェースダウン実装することにより、圧電基板1の弾性表面波共振子の外周部に形成された環状電極17を、回路基板11側に形成された半田等からなる環状導体14に接続して、弾性表面波素子の主面と、回路基板11の実装面との間隙を気密封止した状態を断面図である図8に示す。
【0042】
図9は、本発明の他の実施形態に係る弾性表面波素子を示す平面図である。図10は、この弾性表面波素子を回路基板11に実装した状態を示す模式的な断面図である。
図9に示すように、圧電基板1の主面に、弾性表面波を発生させるための励振電極であるIDT電極2と、IDT電極2に接続される複数の引出し電極10と、IDT電極2同士を接続する内部接続電極20とが形成されたものである。弾性表面波共振子の外周部には、前記電極を取り囲むように環状電極17が形成されている。
【0043】
さらに、圧電基板1上に少なくとも1つの放熱用パッド電極16a,16b(総称するときは「放熱用パッド電極16」という)が配置されている。これらの放熱用パッド電極16は、接続電極24を通して、環状電極17に接続されている。したがって、放熱用パッド電極16で発生した熱が、接続電極24を通して、環状電極17に伝達されるようになっている。なお、この図9では、放熱用パッド電極16からつながる接続電極24は、IDT電極2eの接地電極と合体して環状電極17につながっているが、IDT電極2eの接地電極と別々に延びて、環状電極17につながっていても良い。
【0044】
図10に示すように、圧電基板1のIDT電極2等が設けられた主面が、回路基板11の実装面に対面するようにフェースダウン実装されている。
圧電基板1を回路基板11上に載置し、環状電極17を、これに対応して回路基板11上に形成された環状導体14に、バンプ接続体13を介して接続している。
環状導体14は、回路基板11を貫通する貫通導体19を介して、回路基板11の放熱用底面電極21と接続される。回路基板11中には、導体層(内層導体という)8が形成されていて、貫通導体19がこの内層導体8に接続されている。したがって、内層導体8によって熱を拡散させる効果が得られる。内層導体8の平面形状は、図示しないが、他の電極に接触しないという条件で、できるだけ広い面積にわたって形成するほうが、放熱性の点で有利なことは言うまでもない。
【0045】
このように圧電基板1を載置した回路基板11をリフロー炉にてリフロー溶融することにより、弾性表面波素子と回路基板11とが電気的かつ機械的に接続される。そして、ポッティング法又は印刷法により弾性表面波素子の裏面及び周囲面に封止樹脂15を形成し、樹脂を加熱硬化することにより弾性表面波装置が完成する。
このフェースダウン実装した弾性表面波装置の特徴は、圧電基板1の主面において、IDT電極2等を取囲む環状電極17を形成し、放熱用パッド電極16をこの環状電極17に接続したことである。環状電極17は、回路基板11の放熱用底面電極21と接続されるので、放熱用パッド電極16で集められた熱を、環状電極17を通して、内層導体8及び回路基板11の放熱用底面電極21に逃がすことが容易にできる。
【0046】
したがって、大きな信号電力が入力された場合、IDT電極2の近傍で発生する熱を、環状電極17を介して効率的に逃がすことにより、充分な放熱性が得られる。
図11は、図10の構造に加えて、放熱用パッド電極16を、バンプ接続体13を通して回路基板11の接続電極12に直接接続した構造を示す断面図である。回路基板11の接続電極12は、回路基板11を貫通する貫通導体19を介して、回路基板11中の内層導体8に接続されている。
【0047】
この構造では、放熱用パッド電極16で集められた熱は、バンプ接続体13を通して回路基板11中の内層導体8に伝達され、内層導体8を通って放熱用底面電極21に放熱される。図10の放熱経路の他に、放熱経路面積が増えるので、放熱効率がよくなる。
図12に本発明の弾性表面波装置の他の実施形態の平面図を示す。図13は、その模式的な断面図である。
【0048】
図12の弾性表面波装置は、図9の弾性表面波装置と同様に、圧電基板1の主面に放熱用パッド電極16とIDT電極2を取囲む環状電極17を設けている。
図9との違いは、圧電基板1の主面において、入出力用パッド電極3aが、放熱用パッド電極16aとともに、弾性表面波共振子の間の領域に配置され、入出力用パッド電極3bが、放熱用パッド電極16bとともに、弾性表面波共振子の間の領域に配置されていることである。これらの入出力用パッド電極3a,3bや放熱用パッド電極16a,16bによって、熱を集めることが容易にでき、その収集した熱を回路基板11の底面に放熱することで、効率的な放熱を行うことができる。
【0049】
回路基板11の実装面には、入出力用パッド電極3に対向する接続電極が形成され、この接続電極が貫通導体を通して回路基板の放熱用底面電極と接続されることは、図3と同様である。
図13〜図18は、放熱用パッド電極16からつながる放熱経路の配置例を示す断面図である。
【0050】
図13では、放熱用パッド電極16は、バンプ接続体13により、回路基板11上で接続電極23に接続されている。接続電極23は、回路基板11上で環状電極17に対向する環状導体14に接続されている。すなわち図13に示すように、放熱用パッド電極16は、回路基板11側で環状導体14と接続される。環状導体14は、貫通導体19を通して回路基板11の放熱用底面電極21と接続されることは、図10と同様である。
【0051】
この実施形態においても、放熱用パッド電極16で集められた熱を、接続電極23、環状導体14を通して、回路基板11の放熱用底面電極21に効率的に逃がすことができ、図10の実施形態と同様に、高い放熱性が得られる。
また、図14に他の変形例に係る断面図を示す。
この図14の構造においては、図13の構成に加えて、放熱用パッド電極16a,16bが、回路基板11に形成された接続電極12、貫通導体19a,19bと接続され、貫通導体19a,19bが回路基板11の放熱用底面電極21と接続されている。
【0052】
この実施形態においても、放熱用パッド電極16a,16bで集められた熱を、バンプ接続体13、接続電極12及び貫通導体19a,19bを通して、直接、回路基板11の放熱用底面電極21に効率的に逃がすことができ、図13の実施形態よりも、さらに高い放熱性が得られる。
また、図15に他の変形例に係る断面図を示す。
【0053】
この図15の構造においては、放熱用パッド電極16a,16bが、回路基板11に形成された接続電極12、貫通導体19a,19bと接続され、貫通導体19a,19bが回路基板11の放熱用底面電極21と接続されている。図14との違いは、回路基板11の底面の広い範囲にわたって放熱用底面電極21が形成されていることである。図14と同様に、回路基板11側の放熱用底面電極21を通して放熱効率を向上させることができる。
【0054】
また、図16に、さらに他の変形例に係る断面図を示す。
この図16の構造では、図13の弾性表面波装置と同様に、圧電基板1の主面に放熱用パッド電極16a,16bとIDT電極2を取囲む環状電極17を設けている。また、回路基板11の実装面において、環状電極17に対向する環状導体14が形成されているとともに、放熱用パッド電極16a,16bに対向する接続電極12が形成されている。
【0055】
図14,図15との違いは、回路基板11が積層構造を有し、回路基板11中に導体層(内層導体という)8が形成されていることである。環状導体14及び接続電極12がそれぞれ貫通導体19a,19bを通して回路基板11の内層面の内層導体8によってつながっている。
したがって、図16の構造では、放熱用パッド電極16a,16bは、回路基板11の内層面で内層導体8を通して環状導体14と接続される。環状導体14は、貫通導体19を通して回路基板11の放熱用底面電極21と接続されているので、放熱用パッド電極16a,16bで集められた熱を、バンプ接続体13、接続電極12、貫通導体19、内層導体8を通して、回路基板11の放熱用底面電極21に効率的に逃がすことができ、図13の実施形態と同様に、高い放熱性が得られる。
【0056】
図17に本発明の弾性表面波装置における他の実施形態の断面図を示す。
この弾性表面波装置は、図10の弾性表面波装置と同様に、圧電基板1の主面に放熱用パッド電極16a,16bと、環状電極17とを設けている。回路基板11には、これに対応して環状導体14が形成され、環状導体14は、回路基板11を貫通する貫通導体19を介して、回路基板11の放熱用底面電極21と接続される。
【0057】
この構造では、環状導体14が回路基板11の側面に形成した導体パターン21aに接続され、導体パターン21aは、回路基板11の放熱用底面電極21と接続されている。
側面に形成された導体パターン21aは、同様に導体ペーストを印刷して加熱硬化するか、無電解メッキにて形成される。
この構造では、回路基板11の実装面、底面だけでなく、回路基板11の側面も熱を逃がす経路に利用しているので、より放熱性を高めることができる。
【0058】
図18(a)〜(c)に本発明の弾性表面波装置における他の実施形態の断面図を示す。
この弾性表面波装置は、図10の弾性表面波装置と同様に、圧電基板1の主面に放熱用パッド電極16a,16bと、環状電極17とを設けている。回路基板11には、これに対応して環状導体14が形成され、環状導体14は、回路基板11を貫通する貫通導体19を介して、回路基板11の放熱用底面電極21と接続される。
【0059】
図18(a)の構造では、回路基板11及び封止樹脂15の側面に、回路基板11底面の放熱用底面電極21につながる熱良導体21bが被覆形成されている。熱良導体21bは、Agフィラー等を充填した樹脂を塗布した後、加熱硬化して形成される。このため、弾性表面波装置の側面も熱を逃がす経路として利用することができる。
図18(b)は、封止樹脂15の側面に、熱良導体21bを被覆形成した例を示す。熱良導体21bの存在により、熱抵抗を小さくして、封止樹脂15の側面から熱を逃がしている。
【0060】
図18(c)は、封止樹脂15の側面たけでなく、封止樹脂15の上面に熱良導体21cを被覆形成した例を示す。封止樹脂15の側面及び上面を熱を逃がす経路として利用することにより、熱良導体の面積をさらに広げることができるので、放熱性がさらに高まる。
次に、本発明の通信装置の実施形態について、携帯電話機を例にあげて説明する。
【0061】
受信回路又は送信回路の一方又は両方を備える通信装置において、本発明の弾性表面波素子を、これらの回路に含まれるバンドパスフィルタとして用いることができる。
図19に携帯電話機の高周波回路のブロック回路図を示す。携帯電話機から送信される高周波信号は、弾性表面波フィルタ41によりその不要信号が除去され、パワーアンプ42で増幅された後、アイソレータ43と弾性表面波分波器35を通り、アンテナ34から放射される。
【0062】
また、アンテナ34で受信された高周波信号は、弾性表面波分波器35で切り分けられ、ローノイズアンプ36で増幅され、弾性表面波フィルタ37でその不要信号を除去された後、アンプ38で再増幅されミキサ39で低周波信号に変換される。
本発明の弾性表面波素子を採用すれば、感度が向上した優れた通信装置を提供できる。
以上で、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施は、前記の形態に限定されるものではない。例えば、以下、弾性表面波素子は、ラダー型弾性表面波フィルタをしたが、2重モード弾性表面波共振器フィルタで構成されてもよい。
【0063】
また本発明において、圧電基板の主面において弾性表面波素子同士の間の部位に、入出力パッド電極又は放熱用パッド電極の少なくとも一方を複数形成する場合、入出力端子に最も近く接続されたIDT電極が最も発熱するので、そのIDT電極の周囲の放熱用パッド電極の面積を最も大きくする構成が好ましい。その他、本発明の範囲内で種々の変更を施すことが可能である。
【実施例】
【0064】
図4に示される弾性表面波装置を製造した。
圧電基板1として 36 °Yカット−X伝搬のLiTaO3結晶を用い、そのチップサイズは、 1.1mm ×1.5mmであった。また、回路基板11として 70mm ×70mm、厚さ 250 μmのLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics:低温同時焼成セラミックス)基板を用いた。LTCC基板には約1μm膜厚のAg電極を形成した。
【0065】
圧電基板1に、スパッタ法によりIDT電極2としてAl−Cu電極を形成した。Al−Cu電極の電極厚さは、 1800 Åであった。入出力用パッド電極3は、弾性表面波素子チップの中央で、直列腕の弾性表面波共振子の間の領域に配置した。
また、スパッタ法により圧電基板1の裏面にCr膜 1000 Å、Ni膜1μm、Au膜 1000 Åを形成した。
【0066】
回路基板11には、圧電基板1の入出力パッド電極3が当接する位置と環状電極17の位置に、環状導体14となる半田ペーストを予めスクリーン印刷法により塗布した。塗布した半田ペーストの線幅は、約 100 μmであった。同様に半田ペーストをスクリーン印刷法により圧電基板1の裏面に塗布した。圧電基板1の側面への半田印刷には、圧電基板1のサイズよりも大きなスクリーンの印刷パターンを用いて側面に塗布した。
【0067】
回路基板11の導体パターンと圧電基板1の入出力パッド電極3が当接する位置と環状電極17の位置に、フェースダウンで載置した後、リフロー炉で 240 ℃、5分間、リフロー溶融後半田を硬化させた。さらに弾性表面波素子を形成した圧電基板1の裏面上部よりエポキシ封止樹脂15をポッティングにより塗布した後、乾燥炉で 150 ℃,5分間、加熱硬化させた。最後に、回路基板11の裏面より各チップ間の分離位置でダイシングすることにより、個々のチップを形成した。以上の工程により幅 1.6mm ×2.0mm、高さ0.6mmの小型で信頼性の高いラダー型弾性表面波フィルタを完成させた。
【0068】
放熱性を評価する目的で、弾性表面波装置に信号電力が入ったときのパッド電極の配置による温度上昇の違いを、有限要素法を用いた熱解析により求めた。
図20に、本発明と同じ構造を有し、弾性表面波素子チップの中央で直列腕弾性表面波共振子の間の領域に入出力用パッド電極3を配置した場合の熱解析用モデル(モデル(a))を示す。また、本発明と比較するため、図21に、従来の弾性表面波共振子の外周部に入出力用パッド電極3を配置した場合の熱解析モデル(モデル(b))を示す。なお、外周の環状電極は、両モデルともに存在するものとして評価している。さらに、比較するための極端なモデル(モデル(c)、図示せず。)として、弾性表面波共振子以外の全ての領域にパッド電極が存在する場合も解析した。
【0069】
解析条件として、各材料の熱伝導率(W/m・k)は、LiTaO3基板が4.1、LTCC基板が3.9、半田接続材が61、エポキシ樹脂が0.5、ビア用Agが150、空気が 2.6 ×10−2を用いた。
解析方法としては、弾性表面波装置に0.4Wの信号電力を入力し、弾性表面波共振子近傍で発生した熱が、弾性表面波装置の内部を伝導し、弾性表面波装置の表面から 25 ℃の雰囲気へ伝達する過程の発熱部における温度を解析した。また、発熱部から雰囲気までの熱抵抗を計算した。結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
弾性表面波共振子近傍の発熱部における最大温度は、本発明と同様な構造のモデル(a)が 78.6 ℃、従来構造のモデル(b)が 85.7 ℃、モデル(c)が 65.7 ℃であった。発熱部から雰囲気までの熱抵抗は、モデル(a)が 134.0 ℃、モデル(b)が 151.8 ℃、モデル(c)が 101.8 ℃であった。従来構造のモデル(b)に比べて発熱部に近い位置に入出力用パッド電極3を配置したモデル(a)では、熱抵抗が12%低減している(表1より、(151.8−134.0)/151.8=0.117(11.7%)である)。また、従来構造に比較してモデル(c)では、熱抵抗が約33%低減している(表1より、(151.8−101.8)/151.8=0.329(32.9%)である)。
【0072】
以上の結果より、パッド電極は、発熱部である弾性表面波共振子にできるだけ近い弾性表面波共振子間に配置した方が、放熱性が向上することがわかる。また、モデル(a)とモデル(c)の比較より、パッド電極の面積は、できるだけ大きくかつ弾性表面波共振子間に位置するパッド電極の数が多いほど放熱性が向上することがわかる。
次に、圧電基板1の裏面、裏面と側面に金属膜22を形成したときの放熱性の評価を、弾性表面波装置に信号電力が入ったときのパッド電極の配置による温度上昇の違いについて有限要素法を用いた熱解析により求めた。
【0073】
比較するためのモデルとして、圧電基板1の裏面及び側面に金属膜22を形成しておらず、従来の弾性表面波共振子の外周部に入出力用パッド電極3を配置した場合の熱解析モデルB1を用いた。モデルB1に対して、圧電基板1の裏面の金属膜22厚みを0.05mmとしたものをモデルB2、同じく0.1mmとしたものをモデルB3、同じく0.2mmとしてものをモデルB4とし、さらに圧電基板1の裏面の金属膜22厚みが0.1mmで圧電基板1の側面にも金属膜22を形成したものをモデルB5とした。
【0074】
なお、外周の環状電極17は、全モデルともに存在するものとして評価している。解析条件として用いた各材料の熱伝導率は、前述と同じ値を用いている。
結果を図22及び表2に示す。
【0075】
【表2】
【0076】
弾性表面波共振子近傍の発熱部における最大温度は、モデルB1が 85.7 ℃、モデルB2が 75.5 ℃、モデルB3が 74.4 ℃、モデルB4が 72.7 ℃、モデルB5が 66.6 ℃であった。発熱部から雰囲気までの熱抵抗比は、金属膜22の膜厚が厚くなるほど小さくなる。モデルB2の0.1mmで、金属膜22が無いモデルB1と比べて、熱抵抗が19%減少している。また、圧電基板1の側面にも金属膜22を形成したモデルB5は、熱抵抗比が31%減少している。
【0077】
以上の結果より、圧電基板1の裏面と側面に金属膜22を形成し、所定の膜厚を堆積することにより、弾性表面波共振子で発生する熱を、効率良く放熱できることがわかる。
最後に、同様に圧電基板1の厚みと放熱性の関係の評価を、弾性表面波装置に信号電力が入ったときのパッド電極の配置による温度上昇の違いについて有限要素法を用いた熱解析により求めた。基本構造として、圧電基板1の裏面及び側面に金属膜22を形成しておらず、従来の弾性表面波共振子の外周部に入出力用パッド電極3を配置したものを用いた。圧電基板1として用いるLiTaO3基板の厚みは、モデルC1が0.25mm、モデルC2が0.35mm、モデルC3が0.45mmである。なお、外周の環状電極17は、全モデルともに存在するものとして評価している。解析条件として用いた各材料の熱伝導率は、前述と同じ値を用いている。
【0078】
結果を図23及び表3に示す。弾性表面波共振子近傍の発熱部における最大温度は、モデルC1が 85.7 ℃、モデルC2が 81.7 ℃、モデルC3が 79.0 ℃であった。発熱部から雰囲気までの熱抵抗比は、圧電基板1の膜みが厚くなるほど小さくなる。モデルC2の厚み0.45mmで、厚み0.25mのモデルC1と比べて、熱抵抗が11%減少している。
【0079】
【表3】
【0080】
以上の結果より、圧電基板1の厚みが厚いほど弾性表面波共振子で発生する熱の放熱性が向上することがわかる。
このように、本発明の構造を採用した場合、小型軽量で、耐電力性に優れ、フェースダウン実装でありながら弾性表面波共振子で発生した熱を効率良く放熱することができる弾性表面波装置を提供することができる。また、放熱を積極的に行う構造を採用しているため、弾性表面波装置の温度特性に起因する特性の変化が少なく、安定した特性を得ることができる。結果として、IDT電極2の電極指の破壊が生じることなく、長期信頼性に優れた弾性表面波装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の弾性表面波素子の電極配置例を示す平面図である。
【図2】本発明の弾性表面波素子の放熱用パッド電極を含む電極配置例を示す平面図である。
【図3】本発明の弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置を示す断面図である。
【図4】本発明の弾性表面波素子の環状電極を含む電極配置例を示す平面図である。
【図5】本発明の弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置を示す断面図である。
【図6】本発明の弾性表面波装置であって、圧電基板の裏面に金属膜が形成されている弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置を示す断面図である。
【図7】本発明の弾性表面波装置であって、金属膜が圧電基板の側面にも形成されている弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置を示す断面図である。
【図8】本発明の弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置を示す断面図である。
【図9】本発明の弾性表面波素子の放熱用パッド電極を含む電極配置例を示す平面図である。
【図10】本発明の弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置を示す断面図である。
【図11】本発明の弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置を示す断面図である。
【図12】本発明の弾性表面波素子の放熱用パッド電極を含む電極配置例を示す平面図である。
【図13】本発明の弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置を示す断面図である。
【図14】本発明の弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置を示す断面図である。
【図15】本発明の弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置を示す断面図である。
【図16】本発明の弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置を示す断面図である。
【図17】本発明の弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置を示す断面図である。
【図18】本発明の弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置を示す各断面図である。
【図19】本発明の通信装置の構成を示すブロック図である。
【図20】本発明の実施例における放熱性を評価ための熱解析に用いたモデルの入出力パッド電極位置を表す平面図である。
【図21】本発明の実施例における放熱性を評価ための熱解析に用いたモデルの入出力パッド電極位置を表す平面図である。
【図22】本発明の実施例における放熱性を熱解析により評価した圧電基板上の金属膜の厚みと熱抵抗比の関係を示す線図である。
【図23】本発明の実施例における放熱性を熱解析により評価した圧電基板の厚みと熱抵抗比の関係を示す線図である。
【図24】従来の弾性表面波装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0082】
1:圧電基板
2:IDT電極
3:入出力用パッド電極
4:接地用パッド電極
9:反射器電極
10:引出し電極
11:回路基板
12:接続電極
13:バンプ接続体
15:封止樹脂
16a,16b:放熱用パッド電極
17:環状電極
18:環状封止材
S:振動空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性表面波装置、及びそれを用いた携帯電話機、車載用センサー等の通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機の段間フィルタやデュプレクサにおいては、主に誘電体フィルタが使用されてきたが、近年では高性能で小型軽量化に有利な弾性表面波装置を用いた段間フィルタやデュプレクサが使われてきている。
このような弾性表面波装置では、使用周波数の上昇傾向に伴って、入力レベルの要求が、従来の段間フィルタ用の10mWレベルから、デュプレクサなどに要求される1〜3Wレベルへと電力の範囲が広がってきている。このため、弾性表面波装置として、よりいっそうの耐電力性向上が望まれている。
【0003】
また、近年、携帯電話機で使用される周波数帯の高周波化に伴い、弾性表面波装置を構成する共振子のIDT(Inter Digital Transducer)電極の線幅は、使用する周波数に反比例して細くなっている。従来、800MHz帯では弾性表面波共振子の電極線幅が約1μm程度であったのに対して、1.9GHz帯では約0.5μmとよりいっそう細くなる。このように細い電極指を用いて弾性表面波を励振、受信する場合、信号電力が大きくなると、電極指振動の損失分の熱への変換や、電極配線抵抗によるジュール熱により、電極指とその近傍が 100 ℃ から 300 ℃まで発熱される。高温状態においては、ストレスマイグレーションと発熱の影響により、その相乗効果で電極指の破壊が助長される。さらに、高温状態になると弾性表面波装置の温度特性に影響が表れ、特性が大きく変化する。
【0004】
また、携帯電話機の段間フィルタやデュプレクサに用いられる弾性表面波装置は、各種無線通信機器の小型化に伴い、更なる小型軽量化が求められている。そのため、近年ではフリップチップ実装を用いた表面実装型やCSP(Chip Scale Package)構造の弾性表面波装置が採用されてきている。
図24に、従来の弾性表面波装置の断面図を示す。弾性表面波装置は、LiTaO3単結晶等の圧電基板101上に少なくとも1対のIDT電極102等が形成されて成る弾性表面波素子と、それを気密封止する回路基板105とからなる。圧電基板101を回路基板105の上にフェースダウン実装して、IDT電極102等を、バンプ接続体を介して回路基板105の上面に形成されたパッド電極104に接着固定する。これにより、弾性表面波素子と回路基板105の電極とを導通接続した後、封止樹脂107により気密封止している。
【0005】
フリップチップ実装構造を採用した場合、回路基板105との接続点がバンプ接続体のみで、かつ発熱した熱を放熱する空間が、回路基板105と弾性表面波素子が形成された圧電基板101の主面との間の限られた狭い空間のみである。
このようにフリップチップ実装構造を採用した場合、放熱に比較的不利な構造であるので、熱抵抗を低減する熱設計、放熱対策が課題となっている。
【0006】
このような弾性表面波装置の放熱対策に関しては、弾性表面波素子が形成された圧電基板の裏面にヒートシンク用金属片を接触させた構造や、さらに圧電基板に貫通孔を設けて金属片と導通した構造が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003-087093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記構造では、圧電基板に金属片を配置する必要があり、弾性表面波装置の小型化、低背化には不利となる。
弾性表面波装置のフェースダウン実装で、弾性表面波装置の放熱対策として、積極的に圧電基板上の電極の配置に着目した提案はなされていない。
そこで本発明は、フェースダウン実装で弾性表面装置を構成する場合、励振電極の発熱による影響を低減し、放熱性に優れ、安定した所望の特性が得られる弾性表面波装置及びこれを用いた通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の弾性表面波装置は、弾性表面波素子が回路基板上にフェースダウン実装された構造において、圧電基板の主面の、弾性表面波共振子同士の間の部位に、入出力パッド電極が形成され、前記入出力パッド電極は、バンプ接続体によって、前記回路基板の実装面の接続電極に接続されているものである。
または、前記入出力パッド電極ではなく、信号入出力機能を持たない放熱用パッド電極が前記弾性表面波共振子同士の間の部位に形成されている。
【0009】
これらの構成によれば、フェースダウン実装でありながら弾性表面波共振子で発生した熱を入出力パッド電極又は放熱用パッド電極を通して、効率良く放熱することができる。したがって、弾性表面波装置の温度特性による特性の変化が少なく、安定した特性を得ることができる。結果として、IDT電極の電極指の破壊が生じることなく、長期信頼性に優れた弾性表面波装置を提供することができる。
【0010】
前記回路基板の前記入出力パッド電極又は前記放熱用パッド電極と対向する部位に、前記接続電極に接続された貫通導体が形成されている構造では、弾性表面波共振子で発生した熱を対向する回路基板を介して効率良く放熱できる。
また、前記圧電基板の主面に、前記弾性表面波素子を取り囲んで、接地された環状電極が形成されている構造であれば、小型軽量で気密性を充分確保でき、さらに耐電力性と放熱性に優れた弾性表面波装置を提供することできる。
【0011】
また、前記圧電基板の裏面及び側面の少なくとも一方の面に金属層が形成されているとともに、前記圧電基板の裏面及び側面が封止樹脂で覆われている構造であれば、外周を金属膜と樹脂でカバーすることにより、耐湿性、気密性に優れ、素子を破壊から保護することができる。結果として、IDT電極の電極指の破壊が生じることなく、長期信頼性に優れた弾性表面波装置を提供することができる。
【0012】
本発明の弾性表面波装置は、弾性表面波素子が回路基板上にフェースダウン実装された構造において、前記弾性表面波素子は、圧電基板の主面にIDT電極及び反射器電極を有する弾性表面波共振子が複数配設され、これらの弾性表面波共振子が互いに接続されてなり、前記圧電基板の前記主面において、前記弾性表面波共振子同士の間の部位に放熱用パッド電極が形成されているとともに、前記弾性表面波素子を取り囲む環状電極が形成されているものである。
【0013】
この構造により、小型軽量で気密性を充分確保できるとともに、弾性表面波共振子で発生した熱を、放熱用パッド電極及び環状電極を通して、効率良く放熱することができ、さらに耐電力性と放熱性に優れた弾性表面波装置を提供することできる。
なお、前記放熱用パッド電極は、前記圧電基板の前記主面を介して、又は回路基板の実装面を介して、前記環状電極に接続されていることが放熱面でさらに好ましい。
【0014】
前記放熱用パッド電極は、バンプ接続体、回路基板上に形成された接続電極及び回路基板を貫く貫通導体を介して、前記回路基板の底面に形成された放熱用底面電極に接続されていることがさらに好ましい。放熱用パッド電極と貫通導体及び環状電極を利用した熱伝導経路を利用して、回路基板側への放熱性を向上させることができる。
前記放熱用電極として、前記回路基板の実装面や底面以外に、回路基板の内層に形成された放熱用内層電極を利用してもかまわない。
【0015】
また、前記回路基板の側面に形成された側面導体を通じて熱伝導パスを形成することとすれば、さらに放熱効率を上げることができる。
前記複数の弾性表面波共振子を直列及び並列に接続して、ラダー型回路を構成しても良い。ラダー型弾性表面波装置において信号が大きくなると、特に直列共振子における発熱が大きくなり問題となるが、共振子の近傍に積極的に放熱させるパッド電極を配置することにより、発生した熱を対向する回路基板を介して効率良く放熱することができる。
【0016】
以上に説明した弾性表面波装置を、通信装置のフィルタ回路部品として用いることとすれば、小型軽量で、送信電力の大きな通信装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る弾性表面波装置及び通信装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。 なお、以下の図面において、各電極の大きさや電極間の距離、電極指の本数や間隔等については、説明のために模式的に描いたものである。
弾性表面波装置は、弾性表面波素子及びこれを実装するための回路基板とから構成される。
【0018】
図1は、放熱用電極として入出力電極を利用した弾性表面波素子の配置例を示す平面図である。
なお、本明細書での「主面」とは、圧電基板の表面のIDT電極や反射器電極が形成される面のことをいう。
図1に示すように、弾性表面波素子は、タンタル酸リチウム単結晶、ニオブ酸リチウム単結晶、四ホウ酸リチウム単結晶などの圧電性の単結晶から成る圧電基板1と、圧電基板1の主面に、直列接続、並列接続等の方式で接続された励振電極であるIDT電極2a〜2gと、各IDT電極2a〜2gの弾性表面波伝搬方向両端に位置する反射器9と、IDT電極2a〜2gに接続される複数の引出し電極10a〜10fと、IDT電極2a〜2g同士を接続する内部接続電極20a,20bとを備えている。IDT電極2a〜2gと反射器電極(以下、「反射器」ともいう)9と引出し電極10a〜10fと内部接続電極20a,20bとを、保護膜(図示せず)で覆ってなる。
【0019】
ここで、IDT電極2a〜2gは、複数対の櫛歯状電極をかみ合わせたものである。
IDT電極2a,2bにつながる引出し電極10a,10bの端部には、入出力用パッド電極3a,3bが形成され、IDT電極2d,2fにつながる引出し電極10c,10eの端部と、IDT電極2e,2gにつながる引出し電極10d,10fの端部とには、接地用パッド電極4が形成されている。
【0020】
前記保護膜は、パッド電極上ではエッチングされ、パッド電極を露出させた状態で、形成されている。
図1の実施形態では、入出力用パッド電極3a,3bが、弾性表面波共振子の間の領域、すなわちIDT電極2a〜2c,2e,2g、反射器9、内部接続電極20a,20bに囲まれた領域にそれぞれ配置された構成となっている。
【0021】
IDT電極2a〜2g、反射器9、引出し電極10a〜10f、内部接続電極20a,20b、入出力用パッド電極3a,3b及び接地用パッド電極4は、例えばAl−Cuを主成分とするAl合金からなる。
その製造方法を概略説明すると、スパッタリング法、蒸着法又はCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の薄膜形成法によりAl合金薄膜を形成し、次に縮小投影露光機(ステッパー)とRIE(Reactive Ion Etching)装置を用いてフォトリソグラフィ法によりパターニングし、所定の形状を得る。その上から、CVD法又は蒸着法等の薄膜形成法により保護膜を形成する。保護膜にはSiO2膜、SiN膜、Si膜等が用いられる。
【0022】
なお、IDT電極2a〜2gは一般的には前述のようなCuを含むAl合金からなるが、Cu以外に又はCuとともにTi,Ta,Mg,W,Mb等の一種又は二種以上を含むAl合金でも構わない。例えば、Al−Ti系、Al−Mg系、Al−Cu−Mg系等のAl合金である。またそれらの合金の複数種、例えばAlCu/Cu/AlCu、Ti/AlCu、Ti/AlCu/Tiが積層された構造でも適応可能である(/は積層界面を示す)。
【0023】
IDT電極2a〜2gの形状は、互いに噛み合うように形成された櫛歯状である。電極指の対数は50〜300程度、電極指の幅は0.1〜 10 μm程度、電極指の間隔は0.1〜 10 μm程度、電極指の交差幅は10〜 200 μm程度、IDT電極2a〜2gの厚みは0.1〜 0.5 μm程度とすることが、共振器あるいはフィルタとしの所望の特性を得るうえで好適である。
【0024】
圧電基板1としては、 36 °±10°Yカット−X伝搬のLiTaO3単結晶、 64 °±10°Yカット−X伝搬のLiNbO3単結晶、 45 °±10°Xカット−Z伝搬のLi2B4O7単結晶等を採用することが、電気機械結合係数が大きく且つ群遅延時間温度係数が小さいため好ましく、特に電気機械結合係数の大きな 36 °±10°Yカット−X伝搬のLiTaO3単結晶が好ましい。また、結晶Y軸方向におけるカット角は 36 °±10°の範囲内であれば良く、その場合十分な圧電特性が得られる。
【0025】
圧電基板1の厚みは0.1〜0.5mm程度がよく、0.1mm未満では圧電基板1が脆くなり、0.5mm超では材料コストが大きくなる。
また、圧電基板1の焦電効果による電極破壊を防ぐために、還元処理を施した圧電基板1や、Fe元素が添加された圧電基板1を使用しても何ら問題ない。
また、この弾性表面波素子で分波器を構成する場合、受信用の弾性表面波素子、送信用の弾性表面波素子を、1つの圧電基板1の主面上に形成してもよい。また、それぞれ別々の圧電基板1に作成し、個々にパッケージに実装してもよい。
【0026】
図2に、放熱用電極として放熱用パッド電極を用いた他の構造の弾性表面波素子の平面図を示す。
この構造では、圧電基板1の主面に、IDT電極2a〜2gと、反射器9と、IDT電極2a〜2gに接続される複数の引出し電極10a,10b等と、IDT電極2a〜2g同士を接続する内部接続電極20a,20bと、接地用パッド電極4とを形成している点では、図1と同様である。
【0027】
図1の構造と異なるところは、図1の構造では入出力用パッド電極3a,3bが弾性表面波共振子の間の領域に配置されていたが、この図2の構造では、入出力用パッド電極3a,3bや接地用パッド電極4の他に、何にも接続されない放熱用パッド電極16a,16bが設けられ、この放熱用パッド電極16a,16bが、弾性表面波共振子の間の領域、すなわちIDT電極2a〜2c,2e,2g、反射器9、内部接続電極20a,20bに囲まれた領域に配置されている。そして、入出力用パッド電極3a,3bは、接地用パッド電極4とともに、弾性表面波共振子の外周部に配置されている。
【0028】
図3に、以上のように構成した弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置の模式的な断面図を示す。
弾性表面波素子は、圧電基板1の、IDT電極2a〜2g(総称して「IDT電極2」という)等の設けられた主面が回路基板11の上面(実装面という)に対面するようにして、フェースダウン実装されている。
【0029】
圧電基板1の主面に形成された入出力用パッド電極3a,3b(総称して「入出力用パッド電極3」という)は、回路基板11の実装面に形成された接続電極12に、バンプ接続体13を介して接続されている。
接続電極12は、回路基板11を貫通するように設けられた貫通導体19を通して、回路基板11の底面に形成された放熱用底面電極21に接続される。放熱用底面電極21は、本弾性表面波装置が搭載されるメインボードの所定の電極に接続されることはもちろんである。
【0030】
前記回路基板11は、例えば一枚のセラミック基板、又は、セラミック基板と1枚以上の枠状セラミック基板とを積層することによって作製される。なお、セラミックに代えてBTレジンなどの樹脂を用いてもよい。
回路基板11に設けられる接続電極12や放熱用底面電極21は、電解めっき又は無電解めっき法によって形成する。
【0031】
バンプ接続体13は、半田ペースト、Au−Sn合金ペースト等をスクリーン印刷等の印刷法により形成するか又はディスペンサーで塗布することにより同時に形成する。バンプ接続体13は、ここでは回路基板11側に形成される場合を示したが、弾性表面波素子側に形成してもかまわない。
貫通導体19は、回路基板11に設けた孔の中に導電性ペーストを充填した後、加熱硬化することにより形成する。
【0032】
この圧電基板1の載置された回路基板11をリフロー炉にてリフロー溶融することにより、弾性表面波素子と回路基板11とを電気的かつ機械的に接続する。そして、ポッティング法又は印刷法により弾性表面波素子の裏面及び周囲面に封止樹脂15を形成し、樹脂を加熱硬化することにより弾性表面波装置が完成する。
なお、図3において、圧電基板1と回路基板11との対向面同士の間に形成される振動空間S内に、低湿度の空気を封入し密閉するようにしてもよい。これにより、IDT電極2の酸化等による劣化を抑制でき好ましい。また、空気の代わりに、窒素ガス,アルゴンガスなどの不活性ガス等を封入し密閉すれば、より好ましい効果が得られる。
【0033】
この弾性表面波素子で発生した熱は、圧電基板1の主面に形成された入出力用パッド電極3a,3b(図1の場合)又は放熱用パッド電極16a,16b(図2の場合)から、バンプ接続体13を介して接続電極12に伝わり、さらに貫通導体19を介して回路基板11の底面に形成された放熱用底面電極21に伝わり、放熱される。
特に、本発明の実施形態では、圧電基板1の上で、入出力用パッド電極3a,3b又は放熱用パッド電極16a,16bを弾性表面波共振子の間の領域に配置したので、これらの入出力用パッド電極3a,3bや放熱用パッド電極16a,16bによって、熱を集めることが容易にでき、その収集した熱を回路基板11の底面に放熱することで、効率的な放熱を行うことができる。
【0034】
このような放熱を積極的に行う構造を採用することにより、小型軽量で、フェースダウン実装でありながら弾性表面波共振子で発生した熱を効率良く放熱することができる。したがって、温度による弾性表面波装置の特性の変化が少なく、安定した特性を得ることができる。その結果として、電極指の破壊が生じることなく、耐電力性、長期信頼性に優れた弾性表面波装置を提供することができる。
【0035】
次に、圧電基板1に環状電極を設けた弾性表面波素子の構造を説明する。
図4は、本発明の弾性表面波素子のさらに他の構造を示す平面図である。
この構造では、圧電基板1上の弾性表面波共振子の外周部に、弾性表面波共振子を取り囲むように環状電極17が形成されている。そしてIDT電極2d〜2gの接地側に接続された接地用パッド電極4がなく、IDT電極2d〜2gの接地側は環状電極17に接続されている。すなわち、接地用パッド電極4に代えて、環状電極17が接地機能を果たしている。
【0036】
この図4においても、図1と同様、入出力用パッド電極3a,3bが弾性表面波共振子の間の領域、すなわちIDT電極2a〜2c,2e,2g、反射器9、内部接続電極20a,20bに囲まれた領域に配置された構成となっている。
図5は、図4の弾性表面波素子を、回路基板11にフェースダウン実装した状態を示す断面図である。
【0037】
この構造によれば、圧電基板1を回路基板11上に載置し、弾性表面波素子の主面に形成された入出力用パッド電極3a,3bと、回路基板11の実装面に形成された接続電極12とを、バンプ接続体13を介して接続し、接続電極12を、貫通導体19を通して回路基板11の放熱用底面電極21に接続するとともに、環状電極17を、半田等からなる環状封止材18を介して回路基板11側に形成された環状導体14に接続している。
【0038】
これにより、入出力用パッド電極3a,3bで、熱を集めることが容易にでき、その熱を、貫通導体19を通して回路基板11の底面に放熱することで、効率的な熱放散を行うことができる。また、環状導体14を通して、環状電極17を接地することができるので、電磁的なノイズを遮断できるとともに、圧電基板1の主面と、回路基板11の実装面との間の間隙を気密封止しやすくなる。
【0039】
図6に他の実施形態に係る弾性表面波素子を回路基板11に実装した状態の断面図を示す。
この実施形態の図3と異なるところは、圧電基板1の主面と反対側の面(裏面という)に、スパッタリング法等により金属膜22が形成されていることである。
前記金属膜22としては、密着層となるCr、バリアメタル層となるNi、半田の濡れ性を向上させるAu等が順次積層された構造を用いることができる。
【0040】
この圧電基板1の裏面に設けた金属膜22によって、素子製造時に、温度履歴が加わっても、圧電基板1が集電破壊されるおそれが少なくなる(圧電基板1に還元処理を施したり、Fe元素を添加したりするのと同じ効果である)。
なお、金属膜22は、圧電基板1の裏面のみならず、図7に示すように、圧電基板1の側面に形成されていてもよい。
【0041】
また、以上の圧電基板1の裏面に金属膜22を形成した図6の構造や、圧電基板1の裏面及び側面に金属膜22を形成した図7の構造においても、図4と同様に、圧電基板1の、弾性表面波共振子の外周部に、弾性表面波共振子を取り囲むように環状電極17を形成し、この環状電極17を接地用電極として機能させてもよい。環状電極17が形成された弾性表面波共振子を回路基板11にフェースダウン実装することにより、圧電基板1の弾性表面波共振子の外周部に形成された環状電極17を、回路基板11側に形成された半田等からなる環状導体14に接続して、弾性表面波素子の主面と、回路基板11の実装面との間隙を気密封止した状態を断面図である図8に示す。
【0042】
図9は、本発明の他の実施形態に係る弾性表面波素子を示す平面図である。図10は、この弾性表面波素子を回路基板11に実装した状態を示す模式的な断面図である。
図9に示すように、圧電基板1の主面に、弾性表面波を発生させるための励振電極であるIDT電極2と、IDT電極2に接続される複数の引出し電極10と、IDT電極2同士を接続する内部接続電極20とが形成されたものである。弾性表面波共振子の外周部には、前記電極を取り囲むように環状電極17が形成されている。
【0043】
さらに、圧電基板1上に少なくとも1つの放熱用パッド電極16a,16b(総称するときは「放熱用パッド電極16」という)が配置されている。これらの放熱用パッド電極16は、接続電極24を通して、環状電極17に接続されている。したがって、放熱用パッド電極16で発生した熱が、接続電極24を通して、環状電極17に伝達されるようになっている。なお、この図9では、放熱用パッド電極16からつながる接続電極24は、IDT電極2eの接地電極と合体して環状電極17につながっているが、IDT電極2eの接地電極と別々に延びて、環状電極17につながっていても良い。
【0044】
図10に示すように、圧電基板1のIDT電極2等が設けられた主面が、回路基板11の実装面に対面するようにフェースダウン実装されている。
圧電基板1を回路基板11上に載置し、環状電極17を、これに対応して回路基板11上に形成された環状導体14に、バンプ接続体13を介して接続している。
環状導体14は、回路基板11を貫通する貫通導体19を介して、回路基板11の放熱用底面電極21と接続される。回路基板11中には、導体層(内層導体という)8が形成されていて、貫通導体19がこの内層導体8に接続されている。したがって、内層導体8によって熱を拡散させる効果が得られる。内層導体8の平面形状は、図示しないが、他の電極に接触しないという条件で、できるだけ広い面積にわたって形成するほうが、放熱性の点で有利なことは言うまでもない。
【0045】
このように圧電基板1を載置した回路基板11をリフロー炉にてリフロー溶融することにより、弾性表面波素子と回路基板11とが電気的かつ機械的に接続される。そして、ポッティング法又は印刷法により弾性表面波素子の裏面及び周囲面に封止樹脂15を形成し、樹脂を加熱硬化することにより弾性表面波装置が完成する。
このフェースダウン実装した弾性表面波装置の特徴は、圧電基板1の主面において、IDT電極2等を取囲む環状電極17を形成し、放熱用パッド電極16をこの環状電極17に接続したことである。環状電極17は、回路基板11の放熱用底面電極21と接続されるので、放熱用パッド電極16で集められた熱を、環状電極17を通して、内層導体8及び回路基板11の放熱用底面電極21に逃がすことが容易にできる。
【0046】
したがって、大きな信号電力が入力された場合、IDT電極2の近傍で発生する熱を、環状電極17を介して効率的に逃がすことにより、充分な放熱性が得られる。
図11は、図10の構造に加えて、放熱用パッド電極16を、バンプ接続体13を通して回路基板11の接続電極12に直接接続した構造を示す断面図である。回路基板11の接続電極12は、回路基板11を貫通する貫通導体19を介して、回路基板11中の内層導体8に接続されている。
【0047】
この構造では、放熱用パッド電極16で集められた熱は、バンプ接続体13を通して回路基板11中の内層導体8に伝達され、内層導体8を通って放熱用底面電極21に放熱される。図10の放熱経路の他に、放熱経路面積が増えるので、放熱効率がよくなる。
図12に本発明の弾性表面波装置の他の実施形態の平面図を示す。図13は、その模式的な断面図である。
【0048】
図12の弾性表面波装置は、図9の弾性表面波装置と同様に、圧電基板1の主面に放熱用パッド電極16とIDT電極2を取囲む環状電極17を設けている。
図9との違いは、圧電基板1の主面において、入出力用パッド電極3aが、放熱用パッド電極16aとともに、弾性表面波共振子の間の領域に配置され、入出力用パッド電極3bが、放熱用パッド電極16bとともに、弾性表面波共振子の間の領域に配置されていることである。これらの入出力用パッド電極3a,3bや放熱用パッド電極16a,16bによって、熱を集めることが容易にでき、その収集した熱を回路基板11の底面に放熱することで、効率的な放熱を行うことができる。
【0049】
回路基板11の実装面には、入出力用パッド電極3に対向する接続電極が形成され、この接続電極が貫通導体を通して回路基板の放熱用底面電極と接続されることは、図3と同様である。
図13〜図18は、放熱用パッド電極16からつながる放熱経路の配置例を示す断面図である。
【0050】
図13では、放熱用パッド電極16は、バンプ接続体13により、回路基板11上で接続電極23に接続されている。接続電極23は、回路基板11上で環状電極17に対向する環状導体14に接続されている。すなわち図13に示すように、放熱用パッド電極16は、回路基板11側で環状導体14と接続される。環状導体14は、貫通導体19を通して回路基板11の放熱用底面電極21と接続されることは、図10と同様である。
【0051】
この実施形態においても、放熱用パッド電極16で集められた熱を、接続電極23、環状導体14を通して、回路基板11の放熱用底面電極21に効率的に逃がすことができ、図10の実施形態と同様に、高い放熱性が得られる。
また、図14に他の変形例に係る断面図を示す。
この図14の構造においては、図13の構成に加えて、放熱用パッド電極16a,16bが、回路基板11に形成された接続電極12、貫通導体19a,19bと接続され、貫通導体19a,19bが回路基板11の放熱用底面電極21と接続されている。
【0052】
この実施形態においても、放熱用パッド電極16a,16bで集められた熱を、バンプ接続体13、接続電極12及び貫通導体19a,19bを通して、直接、回路基板11の放熱用底面電極21に効率的に逃がすことができ、図13の実施形態よりも、さらに高い放熱性が得られる。
また、図15に他の変形例に係る断面図を示す。
【0053】
この図15の構造においては、放熱用パッド電極16a,16bが、回路基板11に形成された接続電極12、貫通導体19a,19bと接続され、貫通導体19a,19bが回路基板11の放熱用底面電極21と接続されている。図14との違いは、回路基板11の底面の広い範囲にわたって放熱用底面電極21が形成されていることである。図14と同様に、回路基板11側の放熱用底面電極21を通して放熱効率を向上させることができる。
【0054】
また、図16に、さらに他の変形例に係る断面図を示す。
この図16の構造では、図13の弾性表面波装置と同様に、圧電基板1の主面に放熱用パッド電極16a,16bとIDT電極2を取囲む環状電極17を設けている。また、回路基板11の実装面において、環状電極17に対向する環状導体14が形成されているとともに、放熱用パッド電極16a,16bに対向する接続電極12が形成されている。
【0055】
図14,図15との違いは、回路基板11が積層構造を有し、回路基板11中に導体層(内層導体という)8が形成されていることである。環状導体14及び接続電極12がそれぞれ貫通導体19a,19bを通して回路基板11の内層面の内層導体8によってつながっている。
したがって、図16の構造では、放熱用パッド電極16a,16bは、回路基板11の内層面で内層導体8を通して環状導体14と接続される。環状導体14は、貫通導体19を通して回路基板11の放熱用底面電極21と接続されているので、放熱用パッド電極16a,16bで集められた熱を、バンプ接続体13、接続電極12、貫通導体19、内層導体8を通して、回路基板11の放熱用底面電極21に効率的に逃がすことができ、図13の実施形態と同様に、高い放熱性が得られる。
【0056】
図17に本発明の弾性表面波装置における他の実施形態の断面図を示す。
この弾性表面波装置は、図10の弾性表面波装置と同様に、圧電基板1の主面に放熱用パッド電極16a,16bと、環状電極17とを設けている。回路基板11には、これに対応して環状導体14が形成され、環状導体14は、回路基板11を貫通する貫通導体19を介して、回路基板11の放熱用底面電極21と接続される。
【0057】
この構造では、環状導体14が回路基板11の側面に形成した導体パターン21aに接続され、導体パターン21aは、回路基板11の放熱用底面電極21と接続されている。
側面に形成された導体パターン21aは、同様に導体ペーストを印刷して加熱硬化するか、無電解メッキにて形成される。
この構造では、回路基板11の実装面、底面だけでなく、回路基板11の側面も熱を逃がす経路に利用しているので、より放熱性を高めることができる。
【0058】
図18(a)〜(c)に本発明の弾性表面波装置における他の実施形態の断面図を示す。
この弾性表面波装置は、図10の弾性表面波装置と同様に、圧電基板1の主面に放熱用パッド電極16a,16bと、環状電極17とを設けている。回路基板11には、これに対応して環状導体14が形成され、環状導体14は、回路基板11を貫通する貫通導体19を介して、回路基板11の放熱用底面電極21と接続される。
【0059】
図18(a)の構造では、回路基板11及び封止樹脂15の側面に、回路基板11底面の放熱用底面電極21につながる熱良導体21bが被覆形成されている。熱良導体21bは、Agフィラー等を充填した樹脂を塗布した後、加熱硬化して形成される。このため、弾性表面波装置の側面も熱を逃がす経路として利用することができる。
図18(b)は、封止樹脂15の側面に、熱良導体21bを被覆形成した例を示す。熱良導体21bの存在により、熱抵抗を小さくして、封止樹脂15の側面から熱を逃がしている。
【0060】
図18(c)は、封止樹脂15の側面たけでなく、封止樹脂15の上面に熱良導体21cを被覆形成した例を示す。封止樹脂15の側面及び上面を熱を逃がす経路として利用することにより、熱良導体の面積をさらに広げることができるので、放熱性がさらに高まる。
次に、本発明の通信装置の実施形態について、携帯電話機を例にあげて説明する。
【0061】
受信回路又は送信回路の一方又は両方を備える通信装置において、本発明の弾性表面波素子を、これらの回路に含まれるバンドパスフィルタとして用いることができる。
図19に携帯電話機の高周波回路のブロック回路図を示す。携帯電話機から送信される高周波信号は、弾性表面波フィルタ41によりその不要信号が除去され、パワーアンプ42で増幅された後、アイソレータ43と弾性表面波分波器35を通り、アンテナ34から放射される。
【0062】
また、アンテナ34で受信された高周波信号は、弾性表面波分波器35で切り分けられ、ローノイズアンプ36で増幅され、弾性表面波フィルタ37でその不要信号を除去された後、アンプ38で再増幅されミキサ39で低周波信号に変換される。
本発明の弾性表面波素子を採用すれば、感度が向上した優れた通信装置を提供できる。
以上で、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施は、前記の形態に限定されるものではない。例えば、以下、弾性表面波素子は、ラダー型弾性表面波フィルタをしたが、2重モード弾性表面波共振器フィルタで構成されてもよい。
【0063】
また本発明において、圧電基板の主面において弾性表面波素子同士の間の部位に、入出力パッド電極又は放熱用パッド電極の少なくとも一方を複数形成する場合、入出力端子に最も近く接続されたIDT電極が最も発熱するので、そのIDT電極の周囲の放熱用パッド電極の面積を最も大きくする構成が好ましい。その他、本発明の範囲内で種々の変更を施すことが可能である。
【実施例】
【0064】
図4に示される弾性表面波装置を製造した。
圧電基板1として 36 °Yカット−X伝搬のLiTaO3結晶を用い、そのチップサイズは、 1.1mm ×1.5mmであった。また、回路基板11として 70mm ×70mm、厚さ 250 μmのLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics:低温同時焼成セラミックス)基板を用いた。LTCC基板には約1μm膜厚のAg電極を形成した。
【0065】
圧電基板1に、スパッタ法によりIDT電極2としてAl−Cu電極を形成した。Al−Cu電極の電極厚さは、 1800 Åであった。入出力用パッド電極3は、弾性表面波素子チップの中央で、直列腕の弾性表面波共振子の間の領域に配置した。
また、スパッタ法により圧電基板1の裏面にCr膜 1000 Å、Ni膜1μm、Au膜 1000 Åを形成した。
【0066】
回路基板11には、圧電基板1の入出力パッド電極3が当接する位置と環状電極17の位置に、環状導体14となる半田ペーストを予めスクリーン印刷法により塗布した。塗布した半田ペーストの線幅は、約 100 μmであった。同様に半田ペーストをスクリーン印刷法により圧電基板1の裏面に塗布した。圧電基板1の側面への半田印刷には、圧電基板1のサイズよりも大きなスクリーンの印刷パターンを用いて側面に塗布した。
【0067】
回路基板11の導体パターンと圧電基板1の入出力パッド電極3が当接する位置と環状電極17の位置に、フェースダウンで載置した後、リフロー炉で 240 ℃、5分間、リフロー溶融後半田を硬化させた。さらに弾性表面波素子を形成した圧電基板1の裏面上部よりエポキシ封止樹脂15をポッティングにより塗布した後、乾燥炉で 150 ℃,5分間、加熱硬化させた。最後に、回路基板11の裏面より各チップ間の分離位置でダイシングすることにより、個々のチップを形成した。以上の工程により幅 1.6mm ×2.0mm、高さ0.6mmの小型で信頼性の高いラダー型弾性表面波フィルタを完成させた。
【0068】
放熱性を評価する目的で、弾性表面波装置に信号電力が入ったときのパッド電極の配置による温度上昇の違いを、有限要素法を用いた熱解析により求めた。
図20に、本発明と同じ構造を有し、弾性表面波素子チップの中央で直列腕弾性表面波共振子の間の領域に入出力用パッド電極3を配置した場合の熱解析用モデル(モデル(a))を示す。また、本発明と比較するため、図21に、従来の弾性表面波共振子の外周部に入出力用パッド電極3を配置した場合の熱解析モデル(モデル(b))を示す。なお、外周の環状電極は、両モデルともに存在するものとして評価している。さらに、比較するための極端なモデル(モデル(c)、図示せず。)として、弾性表面波共振子以外の全ての領域にパッド電極が存在する場合も解析した。
【0069】
解析条件として、各材料の熱伝導率(W/m・k)は、LiTaO3基板が4.1、LTCC基板が3.9、半田接続材が61、エポキシ樹脂が0.5、ビア用Agが150、空気が 2.6 ×10−2を用いた。
解析方法としては、弾性表面波装置に0.4Wの信号電力を入力し、弾性表面波共振子近傍で発生した熱が、弾性表面波装置の内部を伝導し、弾性表面波装置の表面から 25 ℃の雰囲気へ伝達する過程の発熱部における温度を解析した。また、発熱部から雰囲気までの熱抵抗を計算した。結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
弾性表面波共振子近傍の発熱部における最大温度は、本発明と同様な構造のモデル(a)が 78.6 ℃、従来構造のモデル(b)が 85.7 ℃、モデル(c)が 65.7 ℃であった。発熱部から雰囲気までの熱抵抗は、モデル(a)が 134.0 ℃、モデル(b)が 151.8 ℃、モデル(c)が 101.8 ℃であった。従来構造のモデル(b)に比べて発熱部に近い位置に入出力用パッド電極3を配置したモデル(a)では、熱抵抗が12%低減している(表1より、(151.8−134.0)/151.8=0.117(11.7%)である)。また、従来構造に比較してモデル(c)では、熱抵抗が約33%低減している(表1より、(151.8−101.8)/151.8=0.329(32.9%)である)。
【0072】
以上の結果より、パッド電極は、発熱部である弾性表面波共振子にできるだけ近い弾性表面波共振子間に配置した方が、放熱性が向上することがわかる。また、モデル(a)とモデル(c)の比較より、パッド電極の面積は、できるだけ大きくかつ弾性表面波共振子間に位置するパッド電極の数が多いほど放熱性が向上することがわかる。
次に、圧電基板1の裏面、裏面と側面に金属膜22を形成したときの放熱性の評価を、弾性表面波装置に信号電力が入ったときのパッド電極の配置による温度上昇の違いについて有限要素法を用いた熱解析により求めた。
【0073】
比較するためのモデルとして、圧電基板1の裏面及び側面に金属膜22を形成しておらず、従来の弾性表面波共振子の外周部に入出力用パッド電極3を配置した場合の熱解析モデルB1を用いた。モデルB1に対して、圧電基板1の裏面の金属膜22厚みを0.05mmとしたものをモデルB2、同じく0.1mmとしたものをモデルB3、同じく0.2mmとしてものをモデルB4とし、さらに圧電基板1の裏面の金属膜22厚みが0.1mmで圧電基板1の側面にも金属膜22を形成したものをモデルB5とした。
【0074】
なお、外周の環状電極17は、全モデルともに存在するものとして評価している。解析条件として用いた各材料の熱伝導率は、前述と同じ値を用いている。
結果を図22及び表2に示す。
【0075】
【表2】
【0076】
弾性表面波共振子近傍の発熱部における最大温度は、モデルB1が 85.7 ℃、モデルB2が 75.5 ℃、モデルB3が 74.4 ℃、モデルB4が 72.7 ℃、モデルB5が 66.6 ℃であった。発熱部から雰囲気までの熱抵抗比は、金属膜22の膜厚が厚くなるほど小さくなる。モデルB2の0.1mmで、金属膜22が無いモデルB1と比べて、熱抵抗が19%減少している。また、圧電基板1の側面にも金属膜22を形成したモデルB5は、熱抵抗比が31%減少している。
【0077】
以上の結果より、圧電基板1の裏面と側面に金属膜22を形成し、所定の膜厚を堆積することにより、弾性表面波共振子で発生する熱を、効率良く放熱できることがわかる。
最後に、同様に圧電基板1の厚みと放熱性の関係の評価を、弾性表面波装置に信号電力が入ったときのパッド電極の配置による温度上昇の違いについて有限要素法を用いた熱解析により求めた。基本構造として、圧電基板1の裏面及び側面に金属膜22を形成しておらず、従来の弾性表面波共振子の外周部に入出力用パッド電極3を配置したものを用いた。圧電基板1として用いるLiTaO3基板の厚みは、モデルC1が0.25mm、モデルC2が0.35mm、モデルC3が0.45mmである。なお、外周の環状電極17は、全モデルともに存在するものとして評価している。解析条件として用いた各材料の熱伝導率は、前述と同じ値を用いている。
【0078】
結果を図23及び表3に示す。弾性表面波共振子近傍の発熱部における最大温度は、モデルC1が 85.7 ℃、モデルC2が 81.7 ℃、モデルC3が 79.0 ℃であった。発熱部から雰囲気までの熱抵抗比は、圧電基板1の膜みが厚くなるほど小さくなる。モデルC2の厚み0.45mmで、厚み0.25mのモデルC1と比べて、熱抵抗が11%減少している。
【0079】
【表3】
【0080】
以上の結果より、圧電基板1の厚みが厚いほど弾性表面波共振子で発生する熱の放熱性が向上することがわかる。
このように、本発明の構造を採用した場合、小型軽量で、耐電力性に優れ、フェースダウン実装でありながら弾性表面波共振子で発生した熱を効率良く放熱することができる弾性表面波装置を提供することができる。また、放熱を積極的に行う構造を採用しているため、弾性表面波装置の温度特性に起因する特性の変化が少なく、安定した特性を得ることができる。結果として、IDT電極2の電極指の破壊が生じることなく、長期信頼性に優れた弾性表面波装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の弾性表面波素子の電極配置例を示す平面図である。
【図2】本発明の弾性表面波素子の放熱用パッド電極を含む電極配置例を示す平面図である。
【図3】本発明の弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置を示す断面図である。
【図4】本発明の弾性表面波素子の環状電極を含む電極配置例を示す平面図である。
【図5】本発明の弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置を示す断面図である。
【図6】本発明の弾性表面波装置であって、圧電基板の裏面に金属膜が形成されている弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置を示す断面図である。
【図7】本発明の弾性表面波装置であって、金属膜が圧電基板の側面にも形成されている弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置を示す断面図である。
【図8】本発明の弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置を示す断面図である。
【図9】本発明の弾性表面波素子の放熱用パッド電極を含む電極配置例を示す平面図である。
【図10】本発明の弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置を示す断面図である。
【図11】本発明の弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置を示す断面図である。
【図12】本発明の弾性表面波素子の放熱用パッド電極を含む電極配置例を示す平面図である。
【図13】本発明の弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置を示す断面図である。
【図14】本発明の弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置を示す断面図である。
【図15】本発明の弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置を示す断面図である。
【図16】本発明の弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置を示す断面図である。
【図17】本発明の弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置を示す断面図である。
【図18】本発明の弾性表面波素子を回路基板に実装した弾性表面波装置を示す各断面図である。
【図19】本発明の通信装置の構成を示すブロック図である。
【図20】本発明の実施例における放熱性を評価ための熱解析に用いたモデルの入出力パッド電極位置を表す平面図である。
【図21】本発明の実施例における放熱性を評価ための熱解析に用いたモデルの入出力パッド電極位置を表す平面図である。
【図22】本発明の実施例における放熱性を熱解析により評価した圧電基板上の金属膜の厚みと熱抵抗比の関係を示す線図である。
【図23】本発明の実施例における放熱性を熱解析により評価した圧電基板の厚みと熱抵抗比の関係を示す線図である。
【図24】従来の弾性表面波装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0082】
1:圧電基板
2:IDT電極
3:入出力用パッド電極
4:接地用パッド電極
9:反射器電極
10:引出し電極
11:回路基板
12:接続電極
13:バンプ接続体
15:封止樹脂
16a,16b:放熱用パッド電極
17:環状電極
18:環状封止材
S:振動空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性表面波素子が回路基板上にフェースダウン実装された構造を有する弾性表面波装置において、
前記弾性表面波素子は、圧電基板の主面にIDT電極及び反射器電極を有する弾性表面波共振子が複数配設され、これらの弾性表面波共振子が互いに接続されてなり、
前記圧電基板の前記主面において、前記弾性表面波共振子同士の間の部位に、入出力パッド電極又は放熱用パッド電極のいずれか一方又は両方が形成され、
前記入出力パッド電極又は放熱用パッド電極は、バンプ接続体を介して、前記回路基板の実装面の接続電極に接続されていることを特徴とする弾性表面波装置。
【請求項2】
前記圧電基板の主面に、前記弾性表面波素子を取り囲んで、環状電極が形成されている請求項1記載の弾性表面波装置。
【請求項3】
前記回路基板の前記入出力パッド電極又は前記放熱用パッド電極と対向する部位に、前記接続電極に接続された貫通導体が形成されている請求項1又は請求項2記載の弾性表面波装置。
【請求項4】
前記圧電基板の裏面及び側面の少なくとも一方の面に金属層が形成されているとともに、前記圧電基板の裏面及び側面が封止樹脂で覆われている請求項1から請求項3のいずれかに記載の弾性表面波装置。
【請求項5】
弾性表面波素子が回路基板上にフェースダウン実装された構造を有する弾性表面波装置において、
前記弾性表面波素子は、圧電基板の主面にIDT電極及び反射器電極を有する弾性表面波共振子が複数配設され、これらの弾性表面波共振子が互いに接続されてなり、
前記圧電基板の前記主面において、前記弾性表面波共振子同士の間の部位に放熱用パッド電極が形成されているとともに、
前記弾性表面波素子を取り囲む環状電極が形成されていることを特徴とする弾性表面波装置。
【請求項6】
前記放熱用パッド電極は、圧電基板上において、前記環状電極に接続されている請求項5記載の弾性表面波装置。
【請求項7】
前記回路基板の実装面に、前記環状電極に対向する環状導体が形成され、
前記放熱用パッド電極は、バンプ接続体及び回路基板上に形成された接続電極を介して、前記環状導体に接続されている請求項5記載の弾性表面波装置。
【請求項8】
前記放熱用パッド電極は、バンプ接続体、回路基板上に形成された接続電極及び回路基板を貫く貫通導体を介して、前記回路基板の底面に形成された放熱用底面電極に接続されている請求項7記載の弾性表面波装置。
【請求項9】
前記回路基板の実装面に、前記環状電極に対向する環状導体が形成され、
前記放熱用パッド電極は、バンプ接続体、回路基板上に形成された接続電極及び回路基板を貫く貫通導体を介して、前記回路基板の底面に形成された放熱用底面電極に接続されている請求項5記載の弾性表面波装置。
【請求項10】
前記回路基板は複数層を重ねた構造であり、
前記回路基板の実装面に、前記環状電極に対向する環状導体が形成され、
前記放熱用パッド電極は、バンプ接続体、回路基板上に形成された接続電極及び貫通導体を介して、前記回路基板の内層に形成された放熱用内層電極に接続されている請求項5記載の弾性表面波装置。
【請求項11】
前記放熱用パッド電極は、前記バンプ接続体、前記接続電極及び前記回路基板の側面に形成された側面導体を介して前記回路基板の下面に形成された放熱用底面電極に接続されている請求項5記載の弾性表面波装置。
【請求項12】
前記放熱用パッド電極は、前記バンプ接続体、前記接続電極及び前記貫通導体を介して前記回路基板の下面に形成された放熱用底面電極及び前記回路基板の側面に形成された放熱用側面電極に接続されている請求項5記載の弾性表面波装置。
【請求項13】
前記複数の弾性表面波共振子は、それらが直列及び並列に接続されたラダー型回路を構成している請求項1から請求項12のいずれかに記載の弾性表面波装置。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれかに記載の弾性表面波装置をフィルタ回路部品として用いたことを特徴とする通信装置。
【請求項1】
弾性表面波素子が回路基板上にフェースダウン実装された構造を有する弾性表面波装置において、
前記弾性表面波素子は、圧電基板の主面にIDT電極及び反射器電極を有する弾性表面波共振子が複数配設され、これらの弾性表面波共振子が互いに接続されてなり、
前記圧電基板の前記主面において、前記弾性表面波共振子同士の間の部位に、入出力パッド電極又は放熱用パッド電極のいずれか一方又は両方が形成され、
前記入出力パッド電極又は放熱用パッド電極は、バンプ接続体を介して、前記回路基板の実装面の接続電極に接続されていることを特徴とする弾性表面波装置。
【請求項2】
前記圧電基板の主面に、前記弾性表面波素子を取り囲んで、環状電極が形成されている請求項1記載の弾性表面波装置。
【請求項3】
前記回路基板の前記入出力パッド電極又は前記放熱用パッド電極と対向する部位に、前記接続電極に接続された貫通導体が形成されている請求項1又は請求項2記載の弾性表面波装置。
【請求項4】
前記圧電基板の裏面及び側面の少なくとも一方の面に金属層が形成されているとともに、前記圧電基板の裏面及び側面が封止樹脂で覆われている請求項1から請求項3のいずれかに記載の弾性表面波装置。
【請求項5】
弾性表面波素子が回路基板上にフェースダウン実装された構造を有する弾性表面波装置において、
前記弾性表面波素子は、圧電基板の主面にIDT電極及び反射器電極を有する弾性表面波共振子が複数配設され、これらの弾性表面波共振子が互いに接続されてなり、
前記圧電基板の前記主面において、前記弾性表面波共振子同士の間の部位に放熱用パッド電極が形成されているとともに、
前記弾性表面波素子を取り囲む環状電極が形成されていることを特徴とする弾性表面波装置。
【請求項6】
前記放熱用パッド電極は、圧電基板上において、前記環状電極に接続されている請求項5記載の弾性表面波装置。
【請求項7】
前記回路基板の実装面に、前記環状電極に対向する環状導体が形成され、
前記放熱用パッド電極は、バンプ接続体及び回路基板上に形成された接続電極を介して、前記環状導体に接続されている請求項5記載の弾性表面波装置。
【請求項8】
前記放熱用パッド電極は、バンプ接続体、回路基板上に形成された接続電極及び回路基板を貫く貫通導体を介して、前記回路基板の底面に形成された放熱用底面電極に接続されている請求項7記載の弾性表面波装置。
【請求項9】
前記回路基板の実装面に、前記環状電極に対向する環状導体が形成され、
前記放熱用パッド電極は、バンプ接続体、回路基板上に形成された接続電極及び回路基板を貫く貫通導体を介して、前記回路基板の底面に形成された放熱用底面電極に接続されている請求項5記載の弾性表面波装置。
【請求項10】
前記回路基板は複数層を重ねた構造であり、
前記回路基板の実装面に、前記環状電極に対向する環状導体が形成され、
前記放熱用パッド電極は、バンプ接続体、回路基板上に形成された接続電極及び貫通導体を介して、前記回路基板の内層に形成された放熱用内層電極に接続されている請求項5記載の弾性表面波装置。
【請求項11】
前記放熱用パッド電極は、前記バンプ接続体、前記接続電極及び前記回路基板の側面に形成された側面導体を介して前記回路基板の下面に形成された放熱用底面電極に接続されている請求項5記載の弾性表面波装置。
【請求項12】
前記放熱用パッド電極は、前記バンプ接続体、前記接続電極及び前記貫通導体を介して前記回路基板の下面に形成された放熱用底面電極及び前記回路基板の側面に形成された放熱用側面電極に接続されている請求項5記載の弾性表面波装置。
【請求項13】
前記複数の弾性表面波共振子は、それらが直列及び並列に接続されたラダー型回路を構成している請求項1から請求項12のいずれかに記載の弾性表面波装置。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれかに記載の弾性表面波装置をフィルタ回路部品として用いたことを特徴とする通信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2007−116628(P2007−116628A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−308737(P2005−308737)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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