説明

弾性表面波装置

圧電基板が焦電性を復活しないようにした弾性表面波装置及び該装置の製造方法を提供する。 パッケージ22内に収納される弾性表面波素子10の圧電基板12は、抵抗率が1.0×10Ω・cm以上1.0×1013Ω・cm以下である。パッド15a,15b,15c,16a,16b,16cと外部電極との間の電気的接続部分に用いるはんだ材26とパッケージ22とキャップ23との間を封止する封止材28との少なくとも一方の融点が300℃以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性表面波装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RF(radio frequency)用途の弾性表面波フィルタ(SAWフィルタ)は、広帯域、低ロス要求が強いため、圧電基板には電気機械結合係数の大きなタンタル酸リチウム(LiTaO)やニオブ酸リチウム(LiNbO)が利用されている。これらの圧電基板は焦電性を有するため、温度変化により発生した焦電荷が励振電極に蓄積すると、電極間で放電を起こして電極を破壊する。このような電極の焦電破壊を防ぐため、製造工程において、各電極を導体にて電気的に接続して同電位とし、放電を防止する方法が採用されている。この導体は後に除去される。そのため、製造工程は複雑である。また、最終的に各電極を電気的に切り離すため、その後においては、焦電による電極の破壊を防ぐことができない。さらに、弾性表面波フィルタを携帯端末などの基板に実装する工程での加熱により焦電荷が発生し、他の電子部品の故障原因となる可能性も懸念されていた。
【0003】
ところで、特許文献1には、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウムについて、表面電荷の蓄積は、結晶構造の調節により減少することが開示されている。
【特許文献1】特開平11−92147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような材料の圧電基板を用いると、焦電荷が蓄積しないので、電極の焦電破壊を防止することができ、焦電性が問題とならないと考えられる。したがって、各電極を電気的に接続するなどの焦電破壊対策のための工程も省略することができると考えられる。
【0005】
しかし、実際には、焦電性が問題とならないはずの圧電基板であっても、圧電基板が焦電性を復活し、焦電荷による問題が発生することがある。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑み、圧電基板が焦電性を復活しないようにした弾性表面波装置及び該装置の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下のように構成した弾性表面波装置を提供する。
【0008】
弾性表面波装置は、圧電基板上に、少なくとも励振電極と該励振電極に接続されたパッドとを有する、弾性表面波素子と、外部に露出する外部電極を有し、前記パッドと前記外部電極との間が電気的に接続された状態で前記弾性表面波素子を収納するパッケージと、前記弾性表面波素子を覆い、前記パッケージとの間を封止材で封止されるキャップとを備える。前記圧電基板は、抵抗率が1.0×10Ω・cm以上1.0×1013Ω・cm以下である。前記封止材の融点が300℃以下である。
【0009】
上記構成において、圧電基板の抵抗率が1.0×1013Ω・cm以下であれば、抵抗率が1.0×1015Ω・cm程度である従来の圧電基板に比べ、時定数が1/100以下となり、焦電荷は1/100以下の時間で消える。例えば、焦電荷が問題となるリフロー工程において、リフロー炉の温度は、通常、数時間かけて最高温度に達するので、昇温中に焦電荷が発生したとしても蓄積されない。したがって、圧電基板の焦電性が問題とならないようにすることができる。
【0010】
一方、圧電基板の抵抗率が1.0×10Ω・cm以上であれば、寄生抵抗が約1.0×10Ω以上となり、例えばRF用弾性表面波フィルタのインピーダンスである50Ω〜数百Ωと比較しても5桁以上大きいので、挿入損失に全く影響しない。したがって、弾性表面波装置の電気的特性の劣化は生じない。
【0011】
ところで、抵抗率が1.0×10Ω・cm以上1.0×1013Ω・cm以下であり焦電性が問題とならないはずの圧電基板であっても、高温になると焦電性を回復するという性質があり、約350℃を越えると、圧電基板は急激に焦電性を回復することが分かった。はんだ材や封止材に、融点が300℃を越える従来の一般的なはんだを用いると、製造工程中に圧電基板が高温となって焦電性を回復し、問題を引き起こす。
【0012】
上記構成のように、封止材の融点を300℃以下にすれば、製造工程中において、急激に焦電性を回復する温度(約350℃)よりも圧電基板の温度を低くして、圧電基板の焦電性の回復を防止することができる。
【0013】
好ましくは、前記パッドと前記外部電極との間の電気的接続部分にはんだ材を含み、該はんだ材の融点が300℃以下である。
【0014】
上記構成のように、はんだ材の融点を300℃以下にすれば、製造工程中において、急激に焦電性を回復する温度(約350℃)よりも圧電基板の温度を低くして、圧電基板の焦電性の回復を防止することができる。
【0015】
好ましくは、前記封止材と前記はんだ材の少なくとも一方は、AgSn合金又はAuSn合金からなる。
【0016】
AgSn合金又はAuSn合金は、300℃以下の融点とすることが容易である。また、環境問題から使用が規制されつつあるPbを、含まないようにすることができる。
【0017】
好ましくは、前記圧電基板は、LiTaO又はLiNbOからなる。
【0018】
LiTaOやLiNbOは、例えば酸素還元処理により、圧電性を保ったまま、抵抗率を1.0×10Ω・cm以上1.0×1013Ω・cm以下にすることができる。
【0019】
また、本発明は、上記課題を解決するために、以下の構成の弾性表面波装置の製造方法を提供する。
【0020】
弾性表面波装置の製造方法は、圧電基板上に、少なくとも励振電極と該励振電極に接続されたパッドとを有する、弾性表面波素子と、外部に露出する外部電極を有し前記弾性表面波素子を収納するパッケージとを備え、前記パッドと前記外部電極との間を電気的に接続する工程と、前記パッケージをキャップで封止する工程とを備えた、タイプのものである。前記圧電基板は、抵抗率が1.0×10Ω・cm以上1.0×1013Ω・cm以下である。前記パッドと前記外部電極との間を電気的に接続する工程、または前記パッケージを前記キャップで封止する工程は、不活性ガスの雰囲気で行われる。
【0021】
抵抗率が1.0×10Ω・cm以上1.0×1013Ω・cm以下の焦電性が問題とならないはずの圧電基板が焦電性を回復するのは、空気中の酸素と加熱とによる圧電基板の再酸化が原因であることが分かった。
【0022】
上記構成のように、不活性ガスの雰囲気において、弾性表面波素子のパッドの接続とパッケージの封止とを行えば、圧電基板の温度が高くなっても、圧電基板は焦電性を回復しない。そのため、パッドと外部電極との間の電気的接続部分のはんだ材や、パッケージとキャップとの間を封止する封止材の融点を、特に低くする必要はない。例えば、融点が300℃を越える一般的なはんだなどであっても、はんだ材や封止材に用いることができる。
【0023】
また、弾性表面波装置内に収納された弾性表面波素子が不活性ガスの雰囲気に保たれるため、弾性表面波装置を携帯端末などのプリント基板に実装するとき、リフロー工程において高温となっても、弾性表面波素子は焦電性を回復することはない。したがって、弾性表面波装置は、実装するときに厳しい温度管理が必要ないので、実装が容易である。
【0024】
好ましくは、前記不活性ガスは、Nである。
【0025】
は、他の不活性ガスに比べ、低コストであり、入手も容易である。
【0026】
好ましくは、前記パッドと前記外部電極との接続方法が、超音波振動及び熱を加えるAuバンプ接合であり、前記加熱温度が300℃以下である。
【0027】
パッドと外部電極との間を電気的に接続する工程において、急激に焦電性を回復する温度(約350℃)よりも圧電基板の温度を低くすることができるので、不活性ガスの雰囲気でなくても、圧電基板の焦電性の回復を防止することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の弾性表面波装置及び該装置の製造方法によれば、圧電基板が焦電性を復活しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
[図1]弾性表面波素子を模式的に示した外観図である。(実施例)
[図2]弾性表面波装置の構成を示す断面図である。(実施例)
[図3]弾性表面波装置の構成を示す断面図である。(変形例)
[図4]圧電基板の温度と誘起電圧との関係を示すグラフである。(実施例、従来例)
【符号の説明】
【0030】
10,10x 弾性表面波素子
12,12x 圧電基板
15a,15b,15c,15x パッド
16a,16b,16c,16x 励振電極
17a,17b,17c,17x パッド
22 パッケージ
24 キャップ
26 バンプ(はんだ材)
28 封止材
32 パッケージ
34 キャップ
38 封止材
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、実施例を図1〜図4を参照しながら説明する。
【0032】
図1の外観図に示すように、弾性表面波素子10は、圧電基板12の片面に、櫛型(又はすだれ状)の励振電極16a,16b,16cと、反射器14,18と、励振電極16a,16b,16cにそれぞれ接続されたボンディングパッド15a,15b,15c,17a,17b,17cとが配置されている。
【0033】
圧電基板12には、酸素還元処理されたニオブ酸リチウム(LiNbO)又はタンタル酸リチウム(LiTaO)を用いる。このような圧電基板10は、還元処理により、圧電性を保ったまま抵抗率を1.0×1013Ω・cm以下に下げることができ、焦電荷の蓄積を防止することができる。
【0034】
圧電基板12の抵抗率は、1.0×10Ω・cm以上1.0×1013Ω・cm以下とする。
【0035】
圧電基板12の抵抗率が1.0×1013Ω・cm以下であれば、抵抗率が1.0×1015Ω・cm程度である従来の圧電基板に比べ、時定数が1/100以下となり、焦電荷は1/100以下の時間で消える。例えば、焦電荷が問題となるはんだリフロー工程において、リフロー炉の温度は、通常、数時間かけて最高温度に達するので、昇温中に焦電荷が発生したとしても蓄積されない。したがって、圧電基板の焦電性が問題とならないようにすることができる。
【0036】
一方、圧電基板12の抵抗率が1.0×10Ω・cm以上であれば、寄生抵抗が約1.0×10Ω以上となり、例えばRF用弾性表面波フィルタのインピーダンスである50Ω〜数百Ωと比較しても5桁以上大きいので、挿入損失に全く影響しない。したがって、弾性表面波装置の電気的特性の劣化は生じない。
【0037】
なお、圧電基板12の抵抗率は、圧電基板12の表裏に測定用の電極パッドを付け、その電極パッド間の抵抗値を測定し、その結果に基づいて算出した値をいう(JIS C 2141)。つまり、厚み方向の抵抗率を見ていることになる。以下においても、同じである。
【0038】
図2に示すように、弾性表面波素子10は、外部に露出する外部電極(図示せず)を有するパッケージ22の中空空間23内に収納し、フリップチップボンディングする。すなわち、ボンディングパッド15a,15b,15c,17a,17b,17cを、対応するパッケージ22側のバンプ26に直接対向するように、弾性表面波素子10の位置を合わせ、熱及び圧力を加えることにより、接合する。バンプ26は、外部電極(図示せず)と電気的に接続されているので、ボンディングパッド15a,15b,15c,17a,17b,17cは、バンプ26を介して外部電極(図示せず)と電気的に接続された状態となる。
【0039】
バンプ26は、300℃以下で接続可能なはんだ材であり、例えばAgSn合金又はAuSn合金などである。ただし、Auなどであっても、300℃以下の加熱において、超音波振動と加重を印加することでAuバンプを接合させることができる。
【0040】
フリップチップボンディング後、パッケージ22にキャップ24をかぶせて、弾性表面波素子10を覆い、パッケージ22とキャップ24との間を、封止材28で封止する。封止材28は、例えば、パッケージ22又はキャップ24に予め配置しておき、キャップ24をパッケージ22に重ねた状態で加熱して溶融することにより、パッケージ22とキャップ24との間を封止する。
【0041】
封止材28には、融点が300℃以下であるもの、例えばAgSn合金又はAuSn合金など、従来の一般的に用いられるはんだに比べ、融点が低いものを用いる。
【0042】
例えば、バンプ26や封止材28には、96.5重量%のSnと3.5重量%のAgとからなるAgSn合金を用いる。このAgSn合金は、融点が221℃で、共晶組成である。融点が300℃以下のものであれば、その他の組成のAgSn合金やAuSn合金であってもよい。
【0043】
融点が300℃以下であれば、従来のPbを主成分とするはんだも使用可能である。もっとも、環境への影響から、Pbを含まないようにすることが、好ましい。
【0044】
バンプ26や封止材28の融点を従来よりも下げることにより、弾性表面波素子10をフリップチップボンディングするときの温度や、封止材28でキャップ24とパッケージ22の間を封止するときの温度を、300℃前後まで又はそれ以下に低くすることができる。これにより、圧電基板12の温度上昇を抑えることができるので、圧電基板12が焦電性を復活しないようにすることができる。これについては、詳しくは後述する。
【0045】
次に、弾性表面波素子をワイヤボンディングによって接合した変形例について、図3を参照しながら説明する。
【0046】
図3に示すように、弾性表面波素子10xは、前述の弾性表面波素子10と略同様に構成され、圧電基板12xの片面に、櫛型(又はすだれ状)の励振電極16xや、励振電極16xに接続されたパッド15x,17xなどが配置されている。圧電基板12xの抵抗率は1.0×10Ω・cm以上1.0×1013Ω・cm以下であり、焦電荷の蓄積を防止することができる。
【0047】
弾性表面波素子10xは、チップ固定材35によりパッケージ32の中空空間33内に固定し、ワイヤボンディングする。すなわち、弾性表面波素子10xの接続電極15x,17xとパッケージ32側の端子(図示せず)との間を、ボンディングワイヤ37で接続する。接続するボンディングワイヤ37の端部を加圧し、超音波振動又は熱を加え、あるいはその両方により、接合する。
【0048】
弾性表面波素子10xをパッケージ32に収納し、ワイヤボンディングした後、パッケージ32にキャップ34をかぶせ、封止材38で封止する。封止材38は、融点が300℃以下であるもの、例えばAgSn合金又はAuSn合金を用いる。
【0049】
バンプ26や封止材28、あるいは封止材38の融点が300℃以下であれば、圧電基板12,12xの温度上昇を抑えることにより、焦電性の復活を防止することができる。これについて、図4を参照しながら、説明する。
【0050】
図4は、1時間のアニール処理後に圧電基板のウエハ表面に誘起した電位を測定した結果を示す。横軸はアニール処理温度、縦軸は誘起電圧である。図中、「従来例」は、還元処理をしていない従来の一般的なタンタル酸リチウム(LiTaO)圧電基板を空気中で熱処理した場合を示す。「空気中」は、本実施例の還元処理したタンタル酸リチウム(LiTaO)圧電基板を空気中で熱処理した場合を示す。「窒素雰囲気」は、本実施例の還元処理したタンタル酸リチウム(LiTaO)圧電基板を、窒素(N)の雰囲気で熱処理した場合を示す。ウエハ表面に誘起した電位は、圧電基板の焦電性によるものであり、誘起電圧の値が大きいほど、電極の焦電破壊などが起こりやすい。
【0051】
図4から、還元処理した圧電基板であっても、空気中でアニール処理すると焦電性が復活してしまい、アニール処理温度が約350℃以上になると急激に焦電性が復活することが分かる。500℃では、もともと焦電性をもつ圧電基板とほぼ同レベルの電位となり、完全に焦電性が回復してしまうことが分かる。これは、空気中の酸素と熱とにより、圧電基板の再酸化が進むためである。窒素雰囲気のアニール処理では、圧電基板は焦電性をほとんど復活しない。
【0052】
弾性表面波装置の製造には、加熱を要する製造工程がいくつか存在するので、還元処理した圧電基板を用いる場合には、加熱温度は低く、酸素は少なく保つと、焦電性の復活を防止できる。
【0053】
封止は、金属のキャップを溶接する方法と、はんだ接合が一般的である。溶接では、局所的に温度が1000℃近くになるため、製品内部も高温となる。これに対し、はんだ接合では、はんだの融点の350℃程度の加熱で封止が可能であるため、圧電基板の再酸化防止としては、はんだ接合が効果的である。
【0054】
その場合でも、温度が350℃を超えると、圧電基板の焦電性は急激に復活する。封止材に融点の低いAgSn合金やAuSn合金などを用いれば、封止温度は300℃前後まで、又はそれ以下に低くできるので、圧電基板の焦電性復活の防止に効果的である。
【0055】
ところで、従来、弾性表面波素子をフリップチップボンディングにより接合する場合、バンプのはんだ材や、パッケージとキャップとの間を封止する封止材には、融点が高い高温はんだを用いている。その理由は、弾性表面波装置をプリント基板に実装するときに、バンプのはんだ材や封止材の再溶融が発生しないように、バンプのはんだ材や封止材の融点は、プリント基板に実装するために用いるはんだの融点より高くする必要があったからである。
【0056】
従来のはんだ封止する工程では、Pbを主成分とする高温はんだが用いられ、封止リフロー炉の温度条件はピーク温度が330℃〜360℃に設定されていた。従来の高温はんだの例としては、Pbが82重量%、Snが12重量%、Agが1重量%、Sbが5重量%のものがあり、このはんだは固相線が238℃、液相が265℃である。固相線以下では固体、固相線と液相線の間では固液が共存している。
【0057】
本実施例では、バンプのはんだ材あるいは封止材のはんだとして、従来のはんだより相対的に融点の低いものを使用しているため、プリント基板実装においては、それより融点の低い低温はんだによる実装、あるいは導電ペイントによる実装が必要となる。
【0058】
次に、第2実施例の弾性表面波装置について、説明する。
【0059】
第2実施例の弾性表面波装置は、第1実施例の弾性表面波装置と略同様に構成され、以下では相違点について説明する。
【0060】
第2実施例の弾性表面波装置は、窒素雰囲気で、弾性表面波素子をパッケージにフリップチップボンディング又はワイヤボンディングし、パッケージの封止を行う。これにより、弾性表面波装置のパッケージ内が窒素で満たされ、弾性表面波素子が窒素雰囲気に保たれる。
【0061】
図4からも明らかであるように、窒素雰囲気であれば、加熱温度が高くなっても、圧電基板の焦電性復活防止に効果がある。したがって、バンプのはんだ材や封止材の融点は、300℃以下に限定しなくてもよい。
【0062】
基板を数時間高温にさらすようなプロセスでは、窒素雰囲気とすることが、圧電基板の焦電性復活防止に非常に効果的である。したがって、本実施例の弾性表面波装置を携帯端末などのプリント基板に実装するとき、リフロー工程で高温になっても、圧電基板は焦電性を復活しない。そのため、弾性表面波装置の焦電荷が他の部品の故障原因となるような不具合を防止することができる。
【0063】
なお、本発明の弾性表面波装置は、上記各実施例に限定されるものではなく種々の変更を加えて実施することができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電基板上に、少なくとも励振電極と該励振電極に接続されたパッドとを有する、弾性表面波素子と、
外部に露出する外部電極を有し、前記パッドと前記外部電極との間が電気的に接続された状態で前記弾性表面波素子を収納するパッケージと、
前記弾性表面波素子を覆い、前記パッケージとの間を封止材で封止されるキャップとを備え、
前記圧電基板は、抵抗率が1.0×10Ω・cm以上1.0×1013Ω・cm以下であり、
前記封止材の融点が300℃以下であることを特徴とする、弾性表面波装置。
【請求項2】
前記パッドと前記外部電極との間の電気的接続部分にはんだ材を含み、該はんだ材の融点が300℃以下であることを特徴とする、請求項1に記載の弾性表面波装置。
【請求項3】
前記封止材と前記はんだ材の少なくとも一方は、AgSn合金又はAuSn合金からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の弾性表面波装置。
【請求項4】
前記圧電基板は、LiTaO又はLiNbOからなることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の弾性表面波装置。
【請求項5】
圧電基板上に、少なくとも励振電極と該励振電極に接続されたパッドとを有する、弾性表面波素子と、
外部に露出する外部電極を有し前記弾性表面波素子を収納するパッケージとを備え、
前記パッドと前記外部電極との間を電気的に接続する工程と、
前記パッケージをキャップで封止する工程とを備えた、弾性表面波装置の製造方法において、
前記圧電基板は、抵抗率が1.0×10Ω・cm以上1.0×1013Ω・cm以下であり、
前記パッドと前記外部電極との間を電気的に接続する工程、または前記パッケージを前記キャップで封止する工程は、不活性ガスの雰囲気で行われることを特徴とする、弾性表面波装置の製造方法。
【請求項6】
前記不活性ガスは、Nであることを特徴とする、請求項5に記載の弾性表面波装置の製造方法。
【請求項7】
前記パッドと前記外部電極との接続方法が、超音波振動及び熱を加えるAuバンプ接合であり、前記加熱温度が300℃以下であることを特徴とする、請求項5に記載の弾性表面波装置の製造方法。

【国際公開番号】WO2005/091500
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【発行日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515308(P2006−515308)
【国際出願番号】PCT/JP2005/002294
【国際出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】