説明

弾球遊技機

【課題】弾球遊技機の当否抽選等に用いる乱数の抽出処理に関する不具合を防止すること。
【解決手段】遊技制御プログラムに従って遊技の制御を行なう遊技制御手段を備え、遊技制御手段には遊技制御プログラムとは別系統の制御により当否抽選に用いる乱数を生成する乱数生成部を設ける。遊技制御手段は遊技制御プログラムに従い、乱数生成部により生成された乱数を取り込むことが可能な状態にあるか否かを判定する乱数取込判定処理と、これにより乱数の取り込みが可能な状態であることを確認すると、乱数を所定の記憶領域に取り込む乱数取込処理を実行せしめる一方、乱数を取り込み可能な状態であると確認されない場合には、前記所定の記憶領域に、当否抽選で当りとならないハズレ乱数を取り込むハズレ乱数取込処理を実行せしめるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は弾球遊技機、特に遊技を司る遊技制御プログラムとは異なる制御により当否抽選に用いる乱数を生成する構成を備えた弾球遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
弾球遊技機は一般に、CPUを備えた制御装置でプログラム制御されている。遊技の制御プログラムは2msまたは4ms毎に割込(INT)処理を行うことによって、各種乱数値の更新、各種スイッチからの入力判定、当否判定、特別図柄表示器の表示制御、演出制御基板への表示指示、賞球制御基板への賞球の払出指示など、遊技の制御に係る様々な処理を実行する構成となっている。
【0003】
特別図柄などの当否抽選を行なう弾球遊技機では、当否判定にて用いられる大当たり判定用乱数として、前記割込(INT)処理を行う毎にプログラム上で更新されるソフトウェア乱数を用いるのが一般的であるが、近年、ソフトウェア乱数よりも著しく更新速度が早く、不正防止効果が期待できるとして半導体集積回路で構成したハード面で生成せしめるハードウェア乱数を採用することが行われている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
この種のハードウェア乱数を用いた構成は前記ソフトウェア乱数を用いた構成と同様に、遊技の制御プログラムの割込(INT)処理内で始動口への遊技球の入球を確認するとハードウェア乱数を取り込む。この場合、CPUのプログラム処理とハードウェア乱数の発生のタイミングとが異なるので、CPUはハードウェア乱数を取り込むことが可能な状態か否かの乱数情報をポーリングし、ハードウェア乱数を取り込むことが可能な状態と確認した後にハードウェア乱数を大当たり判定用乱数記憶領域へ取り込むことが行なわれる。そして、前記記憶領域へ取り込まれたハードウェア乱数の数値に基づいて当否抽選の判定が行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−061087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来のハードウェア乱数を用いる弾球遊技機では、ハードウェア乱数を取り込む際に前記制御プログラムのポーリングによりハードウェア乱数の発生を確認してから取り込まなければならず、ノイズ等により前記ハードウェア乱数が生成されたか否かといった乱数情報の読み取りが困難となり、ハードウェア乱数の確認ができないなど、不測の事態が生じた際にポーリングの処理から抜け出すことができず、遊技制御のプログラム処理が先に進めなくなるといった不具合(CPUのフリーズ状態)が生じるおそれがある。この状態に至ると、確変、時短、開放延長などの各種機能の作動状況を表す遊技状態等をバックアップすることができない。
前記不具合を解消して正常な遊技を行うためにはCPUを再起動しなければならない。しかしながら、遊技状態がバックアップされていないため、再起動すると元の遊技状態に戻すことができず、確変状態から通常確率に戻るなど遊技者に不利益を与える可能性がある。
そこで本発明は、ハードウェア乱数の取り込みに関するCPUのフリーズを防止し、不測の事態となっても遊技状態をバックアップすることができ、CPUの再起動を行っても元の遊技状態に戻して、遊技者に不利益を与えることのない弾球遊技機を提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の弾球遊技機は、遊技盤上に発射した遊技球が所定の遊技領域に入球すると当否抽選を行い、該抽選の結果に応じて遊技者にとって賞球の獲得に有利な特別遊技を実行可能とする弾球遊技機において、
遊技制御プログラムを実行することにより前記当否抽選を含む遊技進行の制御を行なう遊技制御手段と、
前記遊技制御手段に設けられ、前記遊技制御プログラムとは別系統の制御により、前記当否抽選に用いる乱数を生成する乱数生成部を備え、
前記遊技制御手段は、前記遊技制御プログラムに従い、前記乱数生成部へ向けて乱数の取り込みを要求した後に、前記乱数生成部から前記乱数を取り込むことが可能な状態にあるか否かを判定する乱数取込判定処理と、
該乱数取込判定処理により前記乱数を取り込むことが可能な状態にあることが確認された場合に前記乱数を所定の記憶領域に取り込む乱数取込処理と、
前記乱数取込判定処理により前記乱数を取り込むことが可能な状態にあることが確認されない場合に実行され、前記所定の記憶領域に、前記当否抽選で当りとならないハズレ乱数を取り込むハズレ乱数取込処理とを有する構成とする。
【0008】
ここで、当否抽選で当りとならないハズレ乱数は、特別遊技(例えば、大入賞口又は普通電動役物等の開放を伴う賞球の獲得に有利な遊技)を生起しない乱数であれば良く、固定値としても変動値としても何ら差し支えない。
請求項1に記載の弾球遊技機によれば、不測の事態、例えば乱数が生成されていないなど、乱数を取り込むことが可能な状態にあることが確認できなくても、従来構造のようにポーリング処理を継続するのではなく、乱数を取り込む所定の記憶領域に、当否抽選がハズレとなるハズレ乱数を取り込むようにしたので、遊技制御手段がフリーズすることなく遊技を継続することができる。
【0009】
請求項2に記載の弾球遊技機は、請求項1に記載の弾球遊技機において、
前記遊技制御手段は、前記ハズレ乱数取込処理が実行される回数を計数し、実行回数が所定の回数に達した場合に、前記乱数生成部のエラーとみなすエラー判定処理と、
エラー判定時に実行され、エラー発生を報知するエラー報知処理とを有する構成とする。
【0010】
ここで、ハズレ乱数取込処理が実行される回数は、乱数取込判定処理により乱数が取り込める状態にあることが確認されない回数としても何ら差し支えない。
請求項2に記載の弾球遊技機によれば、乱数生成部からの乱数の取り込みがなされず、ハズレ乱数の取り込みが続けて行われると、乱数生成部に不具合が生じている可能性が高いため、その旨をエラーとして報知することができ、ハズレ乱数の取り込みが続くことにより生じる遊技者の損害を抑えることができる。
【0011】
請求項3に記載の弾球遊技機は、請求項1または2に記載の弾球遊技機において、
前記遊技制御手段は、前記ハズレ乱数取込処理が実行される回数を計数し、実行回数が所定の回数に達した場合に、前記乱数生成部のエラーとみなすエラー判定処理と、
エラー判定時に実行され、現在の遊技状態を維持するためのバックアップ処理へ移行するバックアップ移行処理とを有する構成とする。
【0012】
ここで、ハズレ乱数取込処理が実行される回数は、乱数取込判定処理により乱数が取り込める状態にあることが確認されない回数としても何ら差し支えない。
請求項3に記載の弾球遊技機によれば、乱数生成部からの乱数の取り込みがなされず、ハズレ乱数の取り込みが続けて行われると、乱数生成部に不具合が生じている可能性が高い。この場合、弾球遊技機を再起動することにより前記不具合が解消される可能性があり、再起動にあたって、従来のように遊技制御手段がフリーズしていないので、事前に確変、時短、開放延長などの各種機能の作動状況を表す遊技状態等のバックアップ処理へ移行させることができ、再起動後に元の遊技状態に戻すことで遊技者に不利益を与えることがない。
【0013】
請求項4に記載の弾球遊技機は、請求項1ないし3に記載の弾球遊技機において、
前記遊技制御手段は、電源の投入処理と、該電源の投入処理の後に繰り返し実行される基本処理とを有し、
該基本処理は、停電の発生を検出する停電検出処理を含み、停電を検出するとその時点の遊技状態を維持する前記バックアップ処理を実行せしめるようになし、
上記基本処理の実行毎に、前記停電検出処理と前記乱数取込判定処理とを実行せしめ、
前記乱数取込判定処理により前記乱数を取り込むことが可能な状態にあることが確認されない場合には、前記ハズレ乱数取込処理および前記エラー判定処理を実行し、
かつ前記エラー判定処理でエラー判定がなされた時には、前記バックアップ移行処理により、停電検出時と同様に前記停電検出処理から前記バックアップ処理を実行せしめる構成とした弾球遊技機。
実行せしめる構成とする。
【0014】
請求項4に記載の弾球遊技機によれば、電源の投入処理の後に繰り返し実行される基本処理で、停電検出を行うとともに、乱数取込判定処理およびエラー判定処理を行なうことができ、基本処理を有効に利用できる。
【0015】
請求項5に記載の弾球遊技機は、請求項1ないし3に記載の弾球遊技機において、
前記遊技制御手段は、電源の投入処理と、該電源の投入処理の後に繰り返し実行される基本処理とを有し、
該基本処理は、停電の発生を検出する停電検出処理を含み、停電を検出するとその時点の遊技状態を維持する前記バックアップ処理を実行せしめるようになし、
上記基本処理の実行毎に、前記停電検出処理と前記乱数取込判定処理とを、前記乱数取込判定処理により前記乱数を取り込むことが可能な状態にあることが確認されるまで両処理を繰り返し実行せしめ、
前記乱数取込判定処理により前記乱数を取り込むことが可能な状態にあることが確認されない場合には、前記ハズレ乱数取込処理および前記エラー判定処理を実行し、
かつ前記エラー判定処理でエラー判定がなされた時には、前記バックアップ移行処理により、停電検出時と同様に前記停電検出処理から前記バックアップ処理を実行せしめる構成とした弾球遊技機。
実行せしめる構成とする。
【0016】
請求項5に記載の弾球遊技機によれば、電源の投入処理の後に繰り返し実行される基本処理において、停電検出処理と乱数取込判定処理とを、乱数を取り込むことが可能な状態が確認されるまで両処理を繰り返し実行せしめるようにしたので、エラー発生時には迅速にバックアップ処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を適用した弾球遊技機の正面図である。
【図2】前記弾球遊技機の遊技盤の正面図である。
【図3】前記弾球遊技機の背面図である。
【図4】前記弾球遊技機の電気構成図である。
【図5】前記弾球遊技機の主制御装置(遊技制御手段)で実行される遊技処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図6】前記主制御装置で実行される割込(NMI)処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図7】前記主制御装置で実行される割込(INT)処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図8】前記主制御装置で実行される始動入賞処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図9】前記主制御装置で実行されるエラー判定処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図10】前記弾球遊技機の保留記憶に関する説明図である。
【図11】本発明を適用した他の弾球遊技機の主制御装置で実行される遊技処理1の制御内容を示すフローチャートである。
【図12】前記主制御装置で実行される始動入賞処理1の制御内容を示すフローチャートである。
【図13】本発明を適用した更に他の弾球遊技機の主制御装置で実行される遊技処理2の制御内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を適用した弾球遊技機たるパチンコ機を説明する。図1に示すように、パチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて構成の各部を保持する構造としてある。外枠51には、左側の上下の位置に設けたヒンジ53を介して、板ガラス61が嵌め込まれた前枠(ガラス枠)52および後述の内枠が開閉可能に設けてある。
前枠52の板ガラス61の奥には前記内枠に保持された遊技盤10(図2)が設けてある。
【0019】
前枠52の上部の左右両側位置および外枠51の下部の左右両側位置にはそれぞれスピーカ66が設置してあり、これらにより遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また前枠52には遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ65のほか、遊技の異常を報知するLED類が設けてある。
前枠52の下半部には上皿55と下皿63とが一体に形成してある。下皿63の右側には発射ハンドル64が設けてあり、該発射ハンドル64を時計回りに操作することにより発射装置が作動して、上皿55から供給された遊技球が遊技盤10に向けて発射される。
【0020】
下皿63は上皿55から溢れた賞球を受ける構成で、球抜きレバーの操作により下皿63に溜まった遊技球を遊技店に備えられた別箱(ドル箱)に移すことができる。下皿63の左側には演出ボタン67が設けてある。
【0021】
本パチンコ機50はいわゆるCR機であって、プリペイドカードの読み書きを行うプリペイドカードユニット(CRユニット)56が付属しており、パチンコ機50には下皿63の左側に貸出ボタン57、精算ボタン58および残高表示器59が設けてある。
尚、図1の39は、前枠52および前記内枠を外枠51にロックするシリンダ錠であり、該シリンダ錠39に所定の鍵を挿入し、鍵を時計回りに操作して前記内枠を開放するようになし、反時計まわりの操作により前枠52を開放する。
【0022】
図2に示すように、遊技盤10には外レール11と内レール12とによって囲まれた略円形の遊技領域13が形成されている。遊技領域13には、その中央部にセンターケース14が装着されており、センターケース14の左右両側には普通図柄の始動ゲート(通過口)21と、それらの下方には風車20が設置されている。
【0023】
センターケース14の直下には入球口たる普通入賞口24があり、その直下位置にはチューリップ式普通電動役物からなる特別図柄の始動口22が設置されている。
始動口22は特別図柄(以下、単に特図という)の抽選を実行する始動口である。始動口22の電動役物は、遊技球が始動ゲート21を通過したことに起因して実行される普通図柄(以下、単に普図という)の抽選で当りとなると所定の時間(約2.6秒)開放する。そして、始動口22に遊技球が入球すると複数種類の乱数が抽出され、特図の保留記憶として記憶される。
前記保留記憶として、「大当り判定用乱数」、「特図決定用乱数1」、「特図決定用乱数2」、「リーチ決定用乱数」、「変動パターン決定用乱数」などが記憶される(図10参照)。尚、保留記憶は最大4つ記憶される。
【0024】
始動口22の左右両側位置には普通入賞口24が配されている。また、始動口22の下方には、開閉板にて開閉される大入賞口25が配され、盤面最下部にはアウト口28が設けられている。
尚、遊技盤10の遊技領域13には、多数の遊技釘が植設されている。
【0025】
センターケース14は中央に演出図柄表示装置15(全体の図示は省略)のLCDパネルが配設されている。該LCDパネルの外周には特図を表示する特図表示装置16、特図の保留記憶を表示する特図保留数表示装置17、普図を表示する普図表示装置18、普図の保留記憶を表示する普図保留数表示装置19が配設してある。
またセンターケース14には、周知のものと同様にワープ入口、ワープ樋、ステージなどが設けられている。
【0026】
図3に示すように、パチンコ機50の裏側は、前記遊技盤10を脱着可能に取付ける内枠70が収納されている。内枠70は、前記前枠52と同様に、一方の側縁(図3の右側)の上下位置が前記外枠51にヒンジ結合され開閉可能に設置されている。内枠70には、遊技球流下通路が形成されており、上方(上流)から球タンク71、タンクレール72、払出ユニット73が設けられ、払出ユニット73の中には払出装置が設けられている。この構成により、遊技盤1の入賞口に遊技球が入賞すれば球タンク71からタンクレール72を介して所定個数の遊技球(賞球)が払出装置73により払出球流下通路を通り前記上皿55に払い出される。また、本実施形態では前記賞球を払い出す払出装置73により貸出ボタンの操作で払い出される貸球も払い出す構成としてある。
また、パチンコ機50の裏側には、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83、発射制御装置84、電源基板85が設けられている。演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83はサブ制御装置に該当する。
【0027】
主制御装置80、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83は遊技盤1に設けられ、払出制御装置81、発射制御装置84、電源基板85は内枠70に設けられている。図3では発射制御装置84が描かれていないが、払出制御装置81の下に設けてある。
【0028】
また、球タンク71の右側には、外部接続端子板78が設けてあり、外部接続端子板78により、遊技状態や遊技結果を示す信号が図示しないホールコンピュータへ送られる。尚、従来はホールコンピュータへ信号を送信するための外部接続端子板には、盤用(遊技盤側から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)と枠用(枠側(前枠52、内枠70、外枠51)から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)の2種類を用いているが、本実施形態では、ひとつの外部接続端子板78を介して遊技状態や遊技結果を示す信号をホールコンピュータへ送信する。
【0029】
図4は本パチンコ機50の電気的構成を示すもので、パチンコ機50は、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83および発射制御装置84を備え、これらは電気的に接続されている。
主制御装置80は、CPU80b、ROM、RWM(RAM)、図略の入力ポート、出力ポート等を備え、主制御装置80のCPU80b、ROMおよびRWMは、パッケージされた一体型のMPU(マイクロプロセッシングユニット、)80aとして構成されている。MPU80aは遊技進行の制御を行なう遊技制御手段である。またMPU80aにはそのパッケージ内に後述するハードウェア乱数生成回路80cも設けられている。
【0030】
主制御装置80は、裏配線中継端子板および外部接続端子板78を介して遊技施設のホールコンピュータと電気的に接続される。主制御装置80には、裏配線中継端子板や遊技盤中継端子板を介して、前枠(ガラス枠)52および内枠70が開放しているか否か検出するガラス枠開放SW(スイッチ)、内枠開放SW、特図の始動口22への入球を検出する特図始動口SW、普図始動ゲート21への入球を検出する普図始動SW、大入賞口25への入球を検出するカウントSW、普通入賞口24への入賞球を検出する左、右入賞口SW等の検出信号が入力される。
【0031】
主制御装置80は、MPU80aのCPU80bがROMの遊技制御プログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成し、払出制御装置81や、演出中継端子板を介してサブ制御装置たるサブ統合制御装置83および演出図柄制御装置82にコマンドを出力する。また図柄表示装置中継端子板を介して特図表示装置16、特図保留数表示装置17、普図表示装置18および普図保留数表示装置19の表示制御を直接行なう。
また主制御装置80は、大入賞口25の開閉駆動する大入賞口ソレノイドを制御して大入賞口を開放作動せしめる。また特図の始動口22を開閉する普電役物ソレノイドの作動を制御する。
【0032】
主制御装置80のMPU80aには、CPU80bのプログラム処理により各種の乱数(ソフトウェア乱数)を抽出する乱数カウンタを備え、該乱数カウンタにより生成されたソフトウェア乱数は「特図決定用乱数1」、「特図決定用乱数2」、「リーチ決定用乱数」、「変動パターン決定用乱数」などの抽出に用いられる。
【0033】
またMPU80aには、CPU80bのプログラム処理とは別系統の制御であって、半導体集積回路で構成したハード面で乱数(ハードウェア乱数)を生成するハードウェア乱数生成回路(乱数生成部)80cを備え、前述したようにハードウェア乱数生成回路80cもMPU80aのパッケージ内に設けられている。ここで、MPUの外部にハードウェア乱数生成回路を設けた場合にはハードウェア乱数生成回路とMPUとの間で乱数値を不正に読み取ることは容易であるが、これに比べてMPU80aにハードウェア乱数生成回路80cを内蔵したことで不正な読み取りを困難としている。
【0034】
ハードウェア乱数生成回路80cは、「0〜65535」の範囲のハードウェア乱数を生成する構成である。ハードウェア乱数生成回路80cは、CPU80bにより取込レジスタがセット(取込要求)されると、生成したハードウェア乱数を乱数レジスタにセットする。このようにハードウェア乱数が乱数レジスタにセットされると、乱数情報としてラッチレジスタに「1」がセット(取込許可)される。前記ラッチレジスタが「1」となると乱数レジスタの値(乱数値)を安全(確実)に取り込むことが可能となる。
ハードウェア乱数は数値が「0」から「65535」まで一巡する周期で数値が重複することはない。数値が一巡する周期は回路内部のクロックにより設定され、例えば前記クロックが10.0MHzの場合の周期は約6.5msとなる。
このようにハードウェア乱数生成回路80cによれば、前述の不正な読込みが困難であること、生成されるハードウェア乱数の範囲を広くできること、かつハードウェア乱数の更新処理が、後述の「割込(INT)処理」ごとに更新されるソフトウェア乱数に比べて非常に早く更新できることから、乱数予想が困難となる。よってハードウェア乱数は「大当り判定用乱数」に用いる。
【0035】
次に、払出制御装置81は、詳細の図示は省略するがCPU、ROM、RWM(RAM)、入力ポート、出力ポート等を備えている。払出制御装置81には、球タンクが空状態になったことを検出する球切れSW、遊技球が払い出されたことを検出する払出SW、遊技球貯留皿が満杯状態になったことを検出する満杯SW等の検出信号が入力される。主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて払出モータを稼働させて遊技球を払い出させる。また、CRユニットと電気的に接続され、精算表示装置59を介して球貸および精算SW57,58による貸出要求、精算要求の操作信号を受け付け、CRユニットとデータを送受し、貸出要求信号に応じて払出モータを稼働させて貸球を払い出させ、CRユニットに挿入されているプリペイドカードの残高表示を制御する。
【0036】
発射制御装置84は、詳細の図示は省略するがCPU、ROM、RWM(RAM)、入力ポート、出力ポート等を備えている。発射制御装置84には、発射停止SW、発射ハンドルに遊技者が接触(操作)していることを検出するタッチSW等の検出信号が入力される。払出制御装置81を介して主制御装置80から送られてくるコマンド(タッチSWの信号や遊技状況を反映している)、発射ハンドルの回動信号および発射停止SWの信号に基づいて発射モータを制御して遊技球を発射および停止させ、タッチランプの点灯を制御する。
【0037】
サブ統合制御装置83は、詳細の図示は省略するがCPU、ROM、RWM(RAM)、入力ポート、出力ポート等を備えている。サブ統合制御装置83には、音量調節SWや演出ボタン67などの検出信号が入力される。主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて、スピーカ66を駆動して音声を出力することや、各種LEDや各種ランプ65の点灯、消灯等を制御する。更に演出図柄制御装置82へキャラクタなどを表示する擬似演出や普通図の擬似図柄の表示態様のコマンドを送信する。
【0038】
演出図柄制御装置82は、詳細の図示は省略するがCPU、ROM、RWM(RAM)、入力ポート、出力ポート等を備えている演出図柄制御装置82には、LCDパネルユニットや付属ユニットと共に演出図柄表示装置15を構成している。演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から送られてくるコマンドに応じてLCDパネルの表示を制御する。
【0039】
次にパチンコ機50の作動を説明する。
パチンコ機50は、始動口22への入球により前記各種乱数を抽出し、これら乱数に基づいて特図の当否抽選を行い、特図表示装置16および演出図柄表示装置15の図柄変動を開始する。前記抽選結果が大当りであれば、各表示装置15,16に大当り図柄を確定表示した後、賞球の獲得に有利な大当り遊技を実行する。尚、演出図柄表示装置15には特図表示装置16に表示される特図に対応する擬似図柄や演出を表示する。
またパチンコ機50は、前記確定された大当り図柄に基づき、大当り遊技終了後の遊技状態が確変状態や時短状態などに移行する。これら確変や時短などの遊技状態に関する情報は電源遮断時に遊技情報として記憶される。
【0040】
図5ないし図9にパチンコ機50の主制御装置80(MPU80aのCPU80b)が実行する各プログラム処理のフローチャートを示し、各処理を詳細に説明する。
図5は、パチンコ機50の電源基板85に設けられた電源スイッチを操作することにより電源が各制御装置に供給され、主制御装置80に電源が供給された際に実行される「遊技処理」である。尚、「遊技処理」は、CPU80bにより電源投入直後に実行される図示しないセキュリティーチェック後に行われる処理である
【0041】
まず「遊技処理」は電源スイッチのON操作により主制御装置80に電源が供給され、電源の電圧が上昇して所定の電圧に達した際に電源基板85(給電監視回路)から主制御装置80にリセット信号が出力され、前記セキュリティーチェックが実行された後に、「電源投入時処理」においてRWM初期値設定処理が行われる(S100)。
その後、電源基板85のRWMクリアスイッチが操作されているか否かの確認を行い(S101)、操作されていなければ(S101:no)、RWM保証値が正常にバックアップされたことを示す「1」であるか否かを確認する(S102)。
RWM保証値が「1」であれば(S102:yes)、SUM値作成処理を実行し(S103)、SUM値が記憶情報に問題がないことを示す「0」であるか否か確認する(S104)。
SUM値が0であれば(S104:yes)、電源復帰処理を実行し(S105)、電源遮断時の遊技情報(遊技状態)に基づいて遊技を再開することとなる。
【0042】
前記S101の処理でRWMクリアスイッチが操作されている場合(S101:yes)、前記S102の処理でRWM保証値が「1」でない場合(S102:no)、または前記S104の処理でSUM値が「0」でない場合(S104:no)には、RWMに記憶された遊技情報をクリアするRWM消去処理(S106)を実行する。
【0043】
「電源投入時処理」に続く「基本処理」において、通常割込信号(INT信号)の受信を禁止する割込禁止処理を実行し(S110)、停電が検出されたか否かを示す停電検出フラグが「0」であるか確認し(S111)、停電検出フラグが「0」であれば(S111:yes)、初期値乱数更新処理(S112)を実行し、通常割込信号(INT信号)の受信を許可する割込許可処理(S113)を実行した後、S110処理へ戻る。そしてINT信号またはNMI信号を受信しない限り、前記S110〜S113の処理を繰り返し実行する。
【0044】
S111処理で停電検出フラグが「0」でなければ(S111:no)、「バックアップ処理」に移行して、RWMに記憶したSUM値を作成するSUM値作成処理を実行し(S120)、RWM保証値にRWMのバックアップが正常に行われたことを示す「1」をセットし(S121)、RWMに記憶された遊技情報が破壊されないようにRWM書込禁止処理(S122)を実行し、電源(バッテリーバックアップ用の電源(VBB)は除く)が供給されなくなるまで無限ループ処理を実行する。
【0045】
図6は、前記「遊技処理」または後述の「割込(INT)処理」などの各処理を実行中に停電検出に関するNMI信号を受信した際に、主制御装置80にて実行される割込(NMI)処理である。
S200の処理では、電源の電圧が下降して所定の電圧に達した際に電源基板85(停電監視回路)から出力されるNMI信号を主制御装置80が受信すると、実行しているプログラムのアドレスをRWMに記憶するレジスタ退避処理を行い、停電検出フラグを「1」にセットし(S201)、S202でRWMに記憶したアドレスに復帰するレジスタ復帰処理(S202)を実行する。
【0046】
前記「遊技処理」のS113の処理により割込(INT)信号の受信を許可されたときにINT信号を受信していると、図7に示す「割込(INT)処理」へと移行する。
ここで「INT信号」とは、MPU80aの内部または外部に設けられたクロック回路により所定時間毎(例えば2msまたは4ms毎)に定期的に入力される信号のことである。尚、MPU80a内部にクロック回路が形成されている場合は、入力や受信という表現ではなくなるが、ここではMPU80aの内外問わず、入力や受信という表現を用いることとする。
【0047】
図7に示すように、「割込(INT)処理」では、先ず前記各種のソフトウェア乱数の値を更新するためのソフトウェア乱数更新処理(S300)、INT割込の回数を計数するタイマ更新処理(S301)、各種スイッチ等から入力される信号または払出制御装置51から入力されるコマンドを処理する各種の入力処理(S302)、特別図柄に関する表示制御や各種選択等をするための特別図柄遊技処理(S303)、普通図柄に関する表示制御や各種選択等をするための普通図柄遊技処理(S304)を実行する。
【0048】
次にINT割込回数を加算し(S305)、加算後の割込回数が「1」であるか確認し(S306)、割込回数が「1」であれば(S306:yes)、サブ統合装置83へ各種コマンドを送信するための演出コマンド送信処理(S307)を実行する。
一方、割込回数が「1」でなければ(S306:no)、割込回数をクリアし(S308)、払出制御装置81へ各種コマンドを送信するための賞球コマンド送信処理(S309)を実行する。
S307またはS309の処理に続いて、普通電役ソレノイドや大入賞口ソレノイド等の駆動やホールコンピュータ等への情報出力等をするための各種出力処理(S310)を実行する。
【0049】
図8は「割込(INT)処理」(図7)の入力処理(S302)のサブルーチンである「始動入賞処理」を示す。S400の処理では、始動口入力ビットが始動口22への遊技球の入球が検出されたことを示す「1」であるか確認し(S400)、始動口入力ビットが「1」であれば(S400:yes)、記憶された保留記憶の数が最大値でないか確認する(S401)。
保留記憶の数が最大値でなければ(S401:yes)、ハードウェア乱数生成回路80cからCPU80bへのハードウェア乱数の取り込みを要求するための取込レジスタをセットする(S402)。
【0050】
次のS403の処理では、各種のソフトウェア乱数の取り込み処理を行う。
続くS404の処理では、ハードウェア乱数が乱数レジタスにセットされたことを示すラッチレジスタが「1」であるか否か確認する。ラッチレジスタが「1」であり、ハードウェア乱数が乱数レジスタにセットされ、ハードウェア乱数を取り込むことが可能な状態にあることを確認すると(S404:yes)、ハードウェア乱数を乱数レジスタからRWMの大当り判定用乱数の記憶領域へ取り込む(S405)。続くS406の処理では、後述の未セット回数をクリアする。なお、前記S402,S404の処理はハードウェア乱数の乱数取込判定処理であり、前記S405の処理は乱数取込処理である。
【0051】
一方、前記取込レジスタを設定(S402)してハードウェア乱数を要求しても、ノイズの影響や故障(破損)など何らかの不具合により取込レジスタが「1」とできない状態や、ラッチレジスタが「1」とならない状態となるおそれがある。いずれの場合であっても、S404の処理でラッチレジスタが「1」とならず、ハードウェア乱数が乱数レジスタにセットされたことを確認できないため(S404:no)、エラー判定処理(S407)を実行する。
【0052】
図9に示すように、「エラー判定処理」は、先ず、ハードウェア乱数の要求に対してハードウェア乱数が乱数レジスタにセットされない状態を未セット回数として計数するようにし、該未セット回数を加算する(S500)。
続くS501の処理はハズレ乱数取込処理であり、大当り判定用乱数の記憶領域に、ハードウェア乱数の代わりに、前記当否抽選の結果がハズレとなるように予め設定されたハズレ値を取り込む処理を行う。なお、ここでは予め設定されたハズレ値を取り込む処理としているが、必ずハズレ値となることを満たしていればどのような値であってもよく、複数の中から選択された値としても何ら差し支えない。
【0053】
続くS502の処理では、ハードウェア乱数の未セット状態が連続して発生し、未セット回数が所定の回数に達したか否かを確認する。未セット回数が所定数でなければ(S502:no)リターンする。
ハードウェア乱数の未セット状態が続くと、ハードウェア乱数生成回路80cに故障などの不具合が生じている可能性があり、未セット回数が所定数に達すると(S502:yes)、ハードウェア乱数生成回路80cにエラーが発生したとみなす。
そしてS503の処理はエラー報知処理であり、主制御装置80から演出図柄制御装置82やサブ統合制御装置83へエラーが発生したことを示すコマンドを送信する。これにより各種のランプや音声および演出図柄表示装置15でエラー表示がなされる。またこの処理で主制御装置80はホールコンピュータにエラー情報を通信する。
【0054】
S504の処理では、ハードウェア乱数生成回路80cのエラーは停電と同等とみなし、バックアップ処理を実行するため停電検出フラグを「1」にセットし、リターンする。S504はバックアップ移行処理である。
ここで、S502の比較に用いられる所定数は、ノイズの影響によって生じたものをエラーとして扱う可能性を低くするためにノイズ幅を考慮し、少なくとも複数回(3〜5回程度)とすることが望ましいが、数値を大きくすればするほど遊技者に不利益を与えることも考慮する必要がある。
【0055】
図8に戻って、S408の処理では、S403の処理で取り込んだソフトウェア乱数、S405の処理で大当り判定用乱数記憶領域へ取り込んだハードウェア乱数、または「エラー判定処理」(図9)のS501の処理で大当り判定用乱数記憶領域へ取り込んだハズレ値を保留記憶として記憶する。そして主制御装置80からサブ統合制御装置83を介して演出図柄制御装置82へ保留数信号を送信(S409)し、特図保留数表示装置17を直接制御して保留数を表示すると共に、演出図柄制御装置82により演出図柄表示装置15に保留数を表示させる。
【0056】
記憶された保留記憶は、「割込(INT)処理」(図7)の特別図柄遊技処理(S404)で当否判定、大当り図柄の決定、リーチや変動パターンの決定に用いられる。
【0057】
前記「エラー判定処理」(図9)において、ハードウェア乱数生成回路80cにエラーが発生したとみなし、停電検出フラグに「1」をセット(S404)した場合は、「割込(INT)処理」が終了して「遊技処理」(図5)の基本処理に戻った時、該基本処理の停電検出フラグの確認処理(S111)から「バックアップ処理」に移行して、エラー検出時の遊技状態を記憶しておき、電源遮断後の再起動を待つことになる。
【0058】
本実施形態のパチンコ機50によれば、CPU80bからハードウェア乱数生成回路80cにハードウェア乱数の取り込みを要求したが、何らかの不具合によりハードウェア乱数生成回路80cの乱数レジスタにハードウェア乱数がセットされて取り込みが可能な状態であると確認できなかった場合、従来のパチンコ機のように前記ハードウェア乱数の確認がされるまで待つのではなく、本来、ハードウェア乱数を取り込む大当り判定用乱数記憶領域に、当否抽選がハズレとなるハズレ値を取り込むようにしたので、CPU80bがフリーズすることなく遊技を進めることができる。
【0059】
更に、ハードウェア乱数を取り込めない状態(ハードウェア乱数の未セット状態)が連続して発生すると、当否抽選もハズレが続くため遊技者の不利となるうえ、ハードウェア乱数生成回路80cに何等かの不具合が発生している可能性がある。そこで、ハードウェア乱数が取り込めない状態が連続して発生すると、エラーとみなし、エラー表示を行なって遊技者に遊技を停止させるように報知することができる。更に、エラー発生時には停電検出と同様の手順によるバックアップ処理により遊技停止時の遊技状態を記憶するようにしたので、電源遮断を伴う再起動後に前記遊技停止時の遊技状態を確保することができる。従って、確変中や時短中にエラーが生じても、再起動後に不具合が解消されている場合には確変機能や時短機能が維持されるので遊技者の不利益とならない。
【0060】
前述の実施形態では、「割込(INT)処理」(図7)の入力処理(S302)のサブルーチンである「始動入賞処理」において、ハードウェア乱数をハードウェア乱数生成回路80cの乱数レジスタから大当り判定用乱数記憶領域へ取り込む処理を行なう構成としたが、これに限らず、図11に示すように「遊技処理1」の「基本処理」で行う構成としてもよい。
【0061】
図11に示す「遊技処理1」において、「電源投入時処理」と「バックアップ処理」は先の実施形態の「遊技処理」と同じで説明を省略する。
「遊技処理1」の「基本処理」では、先ず、通常割込信号(INT信号)の受信を禁止する割込禁止処理を実行する(S130)。次に、ハードウェア乱数生成回路80cの取込レジスタをセットして、ハードウェア乱数を乱数レジスタにセットするように要求する(S131)。
【0062】
続いて停電検出フラグがセットされているか否か確認し(S132)、停電検出フラグがセットされていれば(S132:no)、「バックアップ処理」を実行する。
停電検出フラグがセットされていなければ(S132:yes)、続くS133の処理では、ラッチレジスタがセットされたか否か確認する。前記S131,S133の処理はハードウェア乱数の乱数取込判定処理である。
【0063】
ラッチレジスタがセットされていなければ(S133:no)、S134の処理で先の実施形態と同様に「エラー判定処理」(図9)を実行する。この処理によれば、RWMの大当り判定用乱数記憶領域にハズレ値を取り込む。更にハードウェア乱数生成回路80cにエラーが生じたとみなせば、前記停電検出フラグの確認処理(S132)を経て「バックアップ処理」を行う。
ここで、先の実施形態とは、「エラー判定処理」(図9)のS502の判定に用いられる所定数が大きく異なる。先の実施形態では、始動口入力ビットが1であり、かつラッチレジスタがセットされていないときに実行されていたために少ない回数で対応することができたが、本実施形態では実行される回数が多いため、3000〜5000回程度とすることが望ましく、このような数値としても、先の実施形態とは異なり遊技者に多大な不利益を与える危惧はない。(ノイズの影響よって生じたものをエラーとして扱わないようにしないのであれば、先の実施形態と同様に3〜5回程度としても問題ない。)
【0064】
S133の処理でラッチレジスタが「1」であり、ハードウェア乱数が乱数レジスタにセットされたことを確認すると(S133:yes)、ハードウェア乱数を乱数レジスタから大当り判定用乱数の記憶領域へ取り込み(S135)、未セット回数をクリアする(S136)。前記S135の処理は乱数取込処理である。
【0065】
続いて初期値乱数更新処理(S137)を実行し、通常割込信号(INT信号)の受信を許可する割込許可処理(S138)を実行した後にS130処理へ戻り、INT信号またはNMI信号を受信しない限り、前記S130〜S138の処理を繰り返し実行する。
【0066】
前記大当り判定用乱数の記憶領域へ取り込んだハードウェア乱数は、図12に示す「始動入賞処理1」により、始動口22への入球に起因して保留記憶として記憶される。「始動入賞処理1」は、「割込(INT)処理」(図6)の入力処理(S302)のサブルーチンである。
「始動入賞処理1」では、始動口入力ビットにより始動口への入球が検出されたことを確認し(S420:yes)、保留記憶の数が最大値でなければ(S421:yes)、各種のソフトウェア乱数の取り込み処理を行う(S422)。
【0067】
続くS423の処理では、S422の処理で取り込んだソフトウェア乱数、「遊技処理1の基本処理」で大当り判定用乱数記憶領域へ取り込んだハードウェア乱数、または「エラー判定処理」(図9)のS501の処理で大当り判定用乱数記憶領域へ取り込んだハズレ値を保留記憶として記憶する。そして、大当り判定用乱数領域をクリアし(S424)、特図保留数表示装置17、サブ統合制御装置83および演出図柄制御装置82へ特図保留数信号を送信する(S425)。
【0068】
本実施形態によれば、先の実施形態と同様な作用効果が得られる上、ハードウェア乱数の取込処理を「遊技処理の基本処理」で好適に処理することができる。
【0069】
更にハードウェア乱数を「遊技処理の基本処理」で取り込むようにする場合、次のように構成してもよい。図13に示す「遊技処理2の基本処理」において、通常割込信号(INT信号)の受信を禁止する割込禁止処理を実行し(S140)、続いて初期値乱数更新処理(S141)を実行し、次に、ハードウェア乱数生成回路80cの取込レジスタをセットして、ハードウェア乱数を乱数レジスタにセットするように要求する(S142、乱数取込判定処理)。
【0070】
続いて停電検出フラグにより停電が検出されたか否か確認し(S143)、停電が検出されれば(S143:no)、「バックアップ処理」を実行する。
停電が検出されなければ(S143:yes)、続くS144の処理では、ラッチレジスタによりハードウェア乱数が乱数レジスタにセットされたか否か確認する(乱数取込判定処理)。
【0071】
ラッチレジスタが「1」であり、ハードウェア乱数が乱数レジスタにセットされたことを確認すると(S144:yes)、未セット回数をクリアし(S145)、乱数レジスタからハードウェア乱数を大当り判定用乱数の記憶領域へ取り込む(S146、乱数取込処理)。そして、通常割込信号(INT信号)の受信を許可する割込許可処理(S147)を実行した後にS140の処理へ戻る。
【0072】
一方、S144の処理でハードウェア乱数が確認できなければ(S144:no)、S148の処理で先の実施形態と同様に「エラー判定処理」(図9)を実行し、大当り判定用乱数記憶領域にハズレ値を取り込む。
「エラー判定処理」の終了後には停電検出フラグにより停電が検出されたか確認する処理(S143)に戻る。従って、ラッチレジスタが「1」となってハードウェア乱数が乱数レジスタにセットされたことが確認されるか、または「エラー判定処理」によりエラーが発生したとみなして停電検出フラグに「1」がセットされるまで、S143,S144,S148の処理を順に繰り返し実行することとなる。
【0073】
本実施形態によれば、先の実施形態と同様の作用効果が得られる上、ハードウェア乱数が乱数レジスタにセットされなければ、セットされるまで或いはエラーとみなされるまで、停電検出の確認処理、ハードウェア乱数の確認処理、エラー判定処理が繰り返されるので、エラー発生時には前記停電検出の確認処理から迅速にバックアップ処理に移行でき、再起動に備えて遊技状態を維持するのに有利である。
【0074】
尚、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまに実施できることは勿論である。前述の実施形態では、ハードウェア乱数が取り込めずエラーとみなしたとき、エラー表示とともにバックアップ処理を実行する構成としたが、エラー表示のみでバックアップを行わない構成でもよい。この場合、再起動をかけるために電源を遮断したときにバックアップがなされるので再起動後に元の遊技状態に戻せる。
また、一つの始動口と一つの特図を備えたパチンコ機に本発明を適用したが、これに限らず、例えば、複数の始動口と複数の特図を有し、各々の特図に対応して当否抽選を行うパチンコ機等に適用してもよく、特図の代わりに普図を用いて主とした遊技を行うパチンコ機(所謂普通機、一般電役機)等に特図と普図とを読み換えて適用してもよい。
更に、所定時間毎の割込信号をINT信号として、電源基板85による停電検出時の信号をNMI信号として、各々記載しているが、主制御装置80のMPU80aのXINT端子やXNMI端子に入力されたものに限定されるものではなく、入力端子(ポート)に入力される信号やMPU80a内部の信号であっても、同義の信号であれば読み換え可能なことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0075】
10 遊技盤
15 演出図柄表示装置
16 特別図柄表示装置
22 始動口
50 パチンコ機(弾球遊技機)
80 主制御装置
80a MPU(遊技制御手段)
80b CPU
80c ハードウェア乱数生成回路(乱数生成部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤上に発射した遊技球が所定の遊技領域に入球すると当否抽選を行い、該抽選の結果に応じて遊技者にとって賞球の獲得に有利な特別遊技を実行可能とする弾球遊技機において、
遊技制御プログラムを実行することにより前記当否抽選を含む遊技進行の制御を行なう遊技制御手段と、
前記遊技制御手段に設けられ、前記遊技制御プログラムとは別系統の制御により、前記当否抽選に用いる乱数を生成する乱数生成部を備え、
前記遊技制御手段は、前記遊技制御プログラムに従い、前記乱数生成部へ向けて乱数の取り込みを要求した後に、前記乱数生成部から前記乱数を取り込むことが可能な状態にあるか否かを判定する乱数取込判定処理と、
該乱数取込判定処理により前記乱数を取り込むことが可能な状態にあることが確認された場合に前記乱数を所定の記憶領域に取り込む乱数取込処理と、
前記乱数取込判定処理により前記乱数を取り込むことが可能な状態にあることが確認されない場合に実行され、前記所定の記憶領域に、前記当否抽選で当りとならないハズレ乱数を取り込むハズレ乱数取込処理とを有する構成したことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の弾球遊技機において、
前記遊技制御手段は、前記ハズレ乱数取込処理が実行される回数を計数し、実行回数が所定の回数に達した場合に、前記乱数生成部のエラーとみなすエラー判定処理と、
エラー判定時に実行され、エラー発生を報知するエラー報知処理とを有する構成とした弾球遊技機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の弾球遊技機において、
前記遊技制御手段は、前記ハズレ乱数取込処理が実行される回数を計数し、実行回数が所定の回数に達した場合に、前記乱数生成部のエラーとみなすエラー判定処理と、
エラー判定時に実行され、現在の遊技状態を維持するためのバックアップ処理へ移行するバックアップ移行処理とを有する構成とした弾球遊技機。
【請求項4】
請求項1ないし3に記載の弾球遊技機において、
前記遊技制御手段は、電源の投入処理と、該電源の投入処理の後に繰り返し実行される基本処理とを有し、
該基本処理は、停電の発生を検出する停電検出処理を含み、停電を検出するとその時点の遊技状態を維持する前記バックアップ処理を実行せしめるようになし、
上記基本処理の実行毎に、前記停電検出処理と前記乱数取込判定処理とを実行せしめ、
前記乱数取込判定処理により前記乱数を取り込むことが可能な状態にあることが確認されない場合には、前記ハズレ乱数取込処理および前記エラー判定処理を実行し、
かつ前記エラー判定処理でエラー判定がなされた時には、前記バックアップ移行処理により、停電検出時と同様に前記停電検出処理から前記バックアップ処理を実行せしめる構成とした弾球遊技機。
【請求項5】
請求項1ないし3に記載の弾球遊技機において、
前記遊技制御手段は、電源の投入処理と、該電源の投入処理の後に繰り返し実行される基本処理とを有し、
該基本処理は、停電の発生を検出する停電検出処理を含み、停電を検出するとその時点の遊技状態を維持する前記バックアップ処理を実行せしめるようになし、
上記基本処理の実行毎に、前記停電検出処理と前記乱数取込判定処理とを、前記乱数取込判定処理により前記乱数を取り込むことが可能な状態にあることが確認されるまで両処理を繰り返し実行せしめ、
前記乱数取込判定処理により前記乱数を取り込むことが可能な状態にあることが確認されない場合には、前記ハズレ乱数取込処理および前記エラー判定処理を実行し、
かつ前記エラー判定処理でエラー判定がなされた時には、前記バックアップ移行処理により、停電検出時と同様に前記停電検出処理から前記バックアップ処理を実行せしめる構成とした弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−30725(P2011−30725A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179043(P2009−179043)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(395018239)株式会社高尾 (550)
【Fターム(参考)】