説明

弾球遊技機

【課題】遊技者の持ち球1球に対する期待値が変らず、遊技者の不利益を軽減することのできる弾球遊技機を実現すること。
【解決手段】遊技盤に設けられた始動口への入球に応じて始動記憶を記憶する始動記憶手段と、前記始動記憶に基づいて当否抽選を実行する当否抽選手段と、前記当否抽選の結果が当選であれば賞球の獲得に有利な特別遊技に移行せしめる特別遊技実行手段と、払い出されていない賞球を持ち球として記憶する持ち球記憶手段とを備えた弾球遊技機において、前記当否抽選の当選確率を設定変更可能とする確率設定変更手段を設ける。確率設定変更手段は、遊技が行なわれておらず、始動記憶手段の始動記憶が記憶されておらず、かつ持ち球記憶手段の持ち球記憶が記憶されていないことを条件とし、遊技の合間に当選確率の設定変更を実行可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤に遊技球を発射して遊技を行う弾球遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、弾球遊技機たるパチンコ機では、遊技盤に発射された遊技球が特定の始動口に入球するのを起因に当否抽選を行い、抽選結果を図柄表示装置への特別図柄の確定表示により報知せしめ、抽選結果が大当りであれば開閉可能な大入賞口を開放して賞球の獲得に有利な特別遊技(大当り遊技)に移行するものがある。またこの種のパチンコ機では、当選時の大当り図柄に基づき、前記特別遊技の終了後に、前記当否抽選の当選確率を高確率とする確変遊技へと移行する構成である。
【0003】
パチンコ機は、メーカーや機台の種類に応じて当否抽選の当選確率が異なり、当選確率は高いが1度の大当りでの賞球獲得が少なくギャンブル性の低いものから、当選確率は低いが大当りでの賞球獲得が多くギャンブル性の高いものがあり、遊技者は自分の好みに応じて機台の選択が可能である。
更に従来のパチンコ機には、より遊技者の選択幅を広げ、初心者からベテランまで多くの遊技者が楽しめる遊技性を持たせることを目的に、遊技店の従業員や遊技者が大当りの当選確率を設定変更可能としたものが開示されている(例えば特許文献1参照)。
尚、特許文献1に開示されたパチンコ機では、当選確率の設定変更のほか、大当り遊技のラウンド数、大当り遊技の終了後に確変遊技となる割合、確変遊技を終了するリッミタ等の設定変更が可能とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−57583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の当選確率を設定変更可能としたパチンコ機では、確率の設定変更と始動口への入賞との関係で遊技処理の混乱を回避するため、低確率状態で、遊技球の発射停止状態で、かつ始動入賞がない状態のときに設定変更が可能としてある。
しかしながら、従来のパチンコ機では、未払い賞球の記憶があるなど遊技者の持ち球があるときに当選確率の設定変更が可能である。遊技者の持ち球があるときに確率の設定変更がなされると、持ち球である遊技球1球に対して賞球を獲得可能な期待値が変化してしまう。例えば遊技初心者は前記期待値が低くギャンブル性の低い遊技を好み、この遊技中に当選確率の設定変更により前記期待値が高くギャンブル性の高い遊技になると、初心者にとっては予定外の投資をしてしまい不利益を被るといった問題点があった。
そこで本願発明は、上記事情に鑑み、当選確率の設定変更により持ち球の遊技球1球に対する期待値が変らず、遊技者の不利益を軽減する弾球遊技機を実現することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、遊技盤に遊技球を発射して遊技を行う遊技機であって、遊技盤に設けられた始動口への入球に応じて始動記憶を記憶する始動記憶手段と、前記始動記憶に基づいて当否抽選を実行する当否抽選手段と、前記当否抽選の結果が当選であれば賞球の獲得に有利な特別遊技に移行せしめる特別遊技実行手段と、払い出されていない賞球を持ち球として記憶する持ち球記憶手段とを備えた弾球遊技機において、
前記当否抽選の当選確率を設定変更可能とする確率設定変更手段を設け、
該確率設定変更手段は、遊技が行なわれておらず、前記始動記憶手段の始動記憶が記憶されておらず、かつ前記持ち球記憶手段の持ち球記憶が記憶されていないことを条件に前記当選確率の設定変更を実行可能とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、遊技が行なわれていないこと、始動記憶が記憶されていないこと、かつ持ち球記憶が記憶されていないことを条件に、確率設定変更手段による特別遊技の当選確率の設定変更を可能としたので、当選確率の設定変更後に遊技を開始するためには遊技者は新たに遊技球(持ち球)を購入しなければならず、持ち球である遊技球1球に対する期待値が変わることを防ぐ。よって、遊技球1球に対する期待値が低く目でギャンブル性の低い遊技を好む遊技初心者にとって、確率設定変更手段より前記期待値およびギャンブル性の高い遊技とならず、遊技初心者に予定外の投資をさせずにすむなど、遊技者の不利益を軽減できる。
尚、請求項1において、払い出されない賞球とは、遊技機の上皿、下皿が満杯等で遊技者の手元に払い出されない賞球、およびパチンコ機の内部に所定数の遊技球が封入され、これら封入された遊技球を循環的に使用して遊技を行なう封入式のパチンコ機における賞球を含む。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の弾球遊技機において、
前記特別遊技への移行時に予め設定された特定事項を満たしていれば前記当否抽選の当選確率を高確率に向上せしめる確変手段を備え、
前記確率設定変更手段は、前記高確率に向上した確変状態であっても前記条件を満たしているときは、前記当選確率の設定変更を実行可能とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、当選確率の設定変更を行うタイミングの制約が少ない。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2のいずれかに記載の弾球遊技機において、
前記確率設定変更手段は、前記条件を満たすとともに、遊技球を貯留する上皿に遊技球が貯留されていないときに前記当選確率の設定変更を実行可能とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、遊技球1球の期待値を変えない構成として有効である。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の弾球遊技機において、
前記確率設定変更手段は、遊技球を貯留する下皿に遊技球が貯留されていないことを条件に前記当選確率の設定変更を実行可能とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、より遊技球1球の期待値を変えない構成として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用した第1の実施形態の弾球遊技機の正面図である。
【図2】前記弾球遊技機の遊技盤の正面図である。
【図3】前記弾球遊技機の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】前記弾球遊技機が用いられる遊技用システムの全体の構成を示すブロック図である。
【図5】前記弾球遊技機の主制御装置で実行されるメインルーチンの制御内容を示すフローチャートである。
【図6】前記主制御装置で実行される特別図柄の始動入賞確認処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図7】前記主制御装置で実行される当否判定処理の制御内容を示す第1のフローチャートである。
【図8】前記当否判定処理の制御内容を示す第2のフローチャートである。
【図9】前記当否判定処理の制御内容を示す第3のフローチャートである。
【図10】前記当否判定処理の制御内容を示す第4のフローチャートである。
【図11】前記主制御装置で実行される特別遊技処理の制御内容を示す第1のフローチャートである。
【図12】前記特別遊技処理の制御内容を示す第2のフローチャートである。
【図13】前記特別遊技処理の制御内容を示す第3のフローチャートである。
【図14】前記当選確率の設定値の説明図である。
【図15】前記主制御装置で実行される当選確率の設定変更処理1の制御内容を示すフローチャートである。
【図16】本発明を適用した第2の実施形態の弾球遊技機の電源投入時に実行される電源投入処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図17】本発明を適用した第3の実施形態の弾球遊技機の正面図である。
【図18】前記弾球遊技機の電気構成図である。
【図19】前記弾球遊技機の主制御装置で実行される当選確率の設定変更処理2の制御内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
弾球遊技機遊技たるパチンコ機として、その内部に所定数の遊技球が封入され、これら封入された遊技球を循環的に使用して遊技を行なう封入式のパチンコ機がある。この種のパチンコ機は遊技者が遊技球を直接手にすることはなく、遊技者が有する遊技球の持ち球の数が表示され、該持ち球の数に基づいて遊技を行う。
以後、該封入式パチンコ機に本発明を適用した第1の実施形態を説明する。図1に示すように、パチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて構成の各部を保持する構造としてある。外枠51には、左側の上下の位置に設けたヒンジ53を介して、板ガラス61が嵌め込まれた前枠(ガラス枠)52および内枠(図略)が開閉可能に設けてある。
前枠52の板ガラス61の奥には前記内枠に保持された遊技盤10(図2)が設けてある。
【0016】
前枠52の上部の左右両側位置にはそれぞれスピーカ66が設置してあり、これらにより遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また前枠52には遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ65のほか、遊技の異常を報知するLED類が設けてある。
前枠52の下半部には操作部55が設けてある。操作部55の右下方位置には発射ハンドル64が設けてあり、該発射ハンドル64を時計回りに操作することにより発射装置が作動して、遊技球が遊技盤10に向けて発射される。
【0017】
パチンコ機50の左側部にはICカード処理装置90が付設してある。遊技者は、遊技者所有の後述する遊技カードをICカード処理装置90に挿入して所定の球貸し処理を行うことにより、遊技者に持ち球が付与され、パチンコ機50での遊技が可能となる。
パチンコ機50には操作部55の右側に引落ボタン57、返却ボタン58および清算表示器59が設けてある。また操作部55の中央部には演出ボタン67とその外周を囲むジョグダイヤル68が設けてある。
尚、図1の39は、前枠52および前記内枠を外枠51にロックするシリンダ錠であり、該シリンダ錠39に所定の鍵を挿入し、鍵を時計回りに操作して前記内枠を開放するようになし、反時計まわりの操作により前枠52を開放する。
【0018】
図2に示すように、遊技盤10には外レール11と内レール12とによって囲まれた略円形の遊技領域13が形成されている。遊技領域13には、その中央部から右半部を覆うように大型のセンターケース14が装着されている。センターケース14は中央に演出図柄表示装置15(全体の図示は省略)のLCDパネルが配設されている。またセンターケース14には、周知のものと同様にワープ入口、ワープ樋、ステージなどが設けられている。
センターケース14の左側には普通図柄の始動ゲート(通過口)21と、その下方に風車20が設置されている。
【0019】
センターケース14の直下には第1の特別図柄始動口22Aがあり、その直下位置にはチューリップ式普通電動役物からなる第2の特別図柄の始動口22Bが設置されている。
【0020】
第1の特別図柄始動口22Aは第1の特別図柄(以下、単に第1特図という)の抽選を実行する始動口である。第1特図始動口22Aは上方へ向けて開放し、常時、遊技球が入球可能な入球口(入賞口)であり、第1特図始動口22Aに遊技球が入球すると複数種類の乱数が抽出され、第1特図の保留記憶(始動記憶)として記憶される。
【0021】
第2の特別図柄始動口22Bは第2の特別図柄(以下、単に第2特図という)の抽選を実行する始動口である。第2特図始動口22Bの普通電動役物(以下、単に普電役物という)は、遊技球が始動ゲート21を通過したことに起因して実行される普通図柄(以下、単に普図という)の抽選で当りとなると所定の時間開放する。そして、第2特図始動口22Bに遊技球が入球すると複数種類の乱数が抽出され、第2特図の保留記憶(始動記憶)として記憶される。
【0022】
第1および第2特図始動口22A,22Bの左側位置には複数の普通入賞口24が配されている。また、第2特図始動口22Bの下方には、開閉板にて開閉される大入賞口25が配され、盤面最下部にはアウト口28が設けられている。
尚、遊技盤10の遊技領域13には、多数の遊技釘が植設されている。
【0023】
また遊技盤10の右下端部には、レール12の外部に、第1特図表示装置16A、第2特図表示装置16B、第1特図保留数表示装置17A、第2特図保留数表示装置17B、普通図柄表示装置18、普図保留数表示装置19が設けてある。
【0024】
図3は本パチンコ機50の電気的構成を示すもので、主制御装置80、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83および発射制御装置84においては、詳細の図示は省略するが、これらの制御装置は何れもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えている。また、主制御装置80には各種の乱数を抽出する乱数カウンタ等も備わっている。
【0025】
主制御装置80は、裏配線中継端子板および外部接続端子板78を介して遊技施設の台管理装置と電気的に接続される。主制御装置80には、裏配線中継端子板や遊技盤中継端子板を介して、前枠(ガラス枠)52や内枠が開放しているか否か検出する枠開放SW(スイッチ)、後述する当選確率の設定変更を行う設定装置87、第1特図始動口22Aへの入球を検出する第1始動口SW、第2特図始動口22Bへの入球を検出する第2始動口SW、普図始動ゲート21への入球を検出する普図始動SW、大入賞口25への入球を検出するカウントSW、普通入賞口24への入賞球を検出する左入賞口SW等の検出信号が入力される。
【0026】
また主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成し、発射制御装置84や、演出中継端子板を介してサブ制御装置たるサブ統合制御装置83および演出図柄制御装置82にコマンドを出力し、更には図柄表示装置中継端子板を介して第1および第2特図表示装置16A,16B、第1および第2特図保留数表示装置17A,17B、普通図柄表示装置18および普図保留数表示装置19の表示制御を行なう。
主制御装置80は、大入賞口25の開閉駆動する大入賞口ソレノイドを制御して大入賞口25を開放作動せしめる。また第2特図始動口22Bを開閉する普電役物ソレノイドの作動を制御する。
【0027】
また、主制御装置80はICカード管理装置90と電気的に接続され、精算表示装置59を介して引落および返却SW57,58による貸出要求、精算要求の操作信号を受け付け、ICカード管理装置90とデータを送受信し、持ち球の付与、返却などの制御を行う。
主制御装置80は持ち球数を記憶する専用の記憶手段を有する。更に該記憶手段には、大入賞口25への入球や普通入賞口24への入球により発生した賞球を持ち球に加算して記憶する。該記憶手段は特許請求の範囲に記載の持ち球記憶手段に相当する。
【0028】
発射制御装置84は、発射停止SW、発射ハンドルに遊技者が接触(操作)していることを検出するタッチSW等の検出信号が入力される。主制御装置80から送られてくるコマンド(タッチSWの信号や遊技状況を反映している)、発射ハンドルの回動信号および発射停止SWの信号に基づいて発射モータを制御して遊技球を発射および停止させ、タッチランプの点灯を制御する。
【0029】
サブ統合制御装置83は、音量調節SWや演出ボタン67、ジョグダイヤル68などの検出信号が入力される。主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて、スピーカ66を駆動して音声を出力することや、各種LEDや各種ランプ65の点灯、消灯等を制御する。更に演出図柄制御装置82へキャラクタなどを表示する擬似演出や特図の擬似図柄の表示態様のコマンドを送信する。
演出図柄制御装置82は、LCDパネルユニットや付属ユニットと共に演出図柄表示装置15を構成している。演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から送られてくるコマンドに応じてLCDパネルの表示を制御する。
【0030】
前記の当選確率の設定変更を行う設定装置87は、設定用のキースイッチ等を有する構成である。設定装置87は、通常、遊技場の係員が操作するものであり、パチンコ機の裏面側に設置されている。設定装置87は特許請求の範囲に記載の確率設定変更手段に対応する。
尚、設定装置87は遊技者により操作可能な構成でもよく、この場合は、パチンコ機の前面側に設置する。
【0031】
図4は封入式のパチンコ機50を用いた遊技用のシステム構成を示す。
パチンコ機50は、ICカード管理装置90とともに遊技機設置島97に設置されている。遊技機設置島97には複数のパチンコ機50およびICカード管理装置90が設けられている。また遊技機設置島97は遊技場98において複数設けられている。
【0032】
封入式のパチンコ機50では遊技を行うのに遊技カードを必要とする。遊技カードとは、この遊技用システムに加盟している遊技場であれば全国どこの遊技場であっても共通に使用可能なICカードのことである。この遊技カードには、球貸しに使用可能なカード残高や、遊技で得た持ち球などの各種情報が記録されている。
【0033】
遊技カードは、例えば遊技場98に設置されているICカード発行加算機30で購入することができる。購入した遊技カードには、投入金額に応じたカード残高の他、識別用のカード発行番号や使用可能な遊技場のコードなどが記録されている。
【0034】
遊技者がICカード発行加算機30で遊技カードを購入し、またはカード残高の加算更新操作を行えば、売上情報がICカード発行加算機30からホール用管理コンピュータ91とカード管理コンピュータ92へ送信される。ホール用管理コンピュータ91は、遊技場98の経営に役立てるために所有している管理コンピュータである。一方、カード管理コンピュータ92は、遊技場98で使用された遊技カードに記録されている当該遊技場における各種情報を管理するための管理コンピュータであり、ICカード処理装置90へ挿入された遊技カードの照合を行う。このカード管理コンピュータ92は、全国で使用される遊技カードを管理するカード管理センター93の管理配下にあり、カード管理コンピュータ92で更新される各種情報は、定期的にカード管理センター93へ送信される。
【0035】
遊技者が遊技カードをICカード処理装置90へ挿入して所定の球貸操作を行えば、遊技カードから所定額が減算されるのと引換えに遊技者に所定数の持ち球が付与され、その持ち球数がパチンコ機50の主制御装置80の前記記憶手段に記憶され、更に表示により示される。また、遊技カードの引落額に関する引落額情報がカード管理コンピュータ92へ送信される。
【0036】
遊技者が付与された持ち球を使用してパチンコ機50で遊技を行えば、遊技状態に応じて発生するさまざまな情報がパチンコ機50から台管理装置94へ送信される。例えば、遊技球が発射される毎に利益球数情報が台管理装置94へ送信される。また、発射された遊技球が所定の入賞口へ入賞して遊技者に持ち球が付与されれば、それに応じて不利益球数情報が台管理装置94へ送信される。遊技状態に応じていわゆる大当りが発生すれば、大当り情報が台管理装置94へ送信される。このように、パチンコ機50の遊技状況を表わすための各種情報を遊技情報と呼ぶ。パチンコ機50から送信されるさまざまな遊技情報は台管理装置94において各遊技情報の種類毎に集計され、管理される。なお、台管理装置94は、パチンコ機50毎に設けられており、対応するパチンコ機50の遊技情報を管理している。
【0037】
台管理装置94は、対応するパチンコ機50が設置されている遊技機設置島97に設けられた島管理装置95と接続されている。島管理装置95は、遊技機設置島97毎に設けられており、遊技機設置島97に設置されている複数のパチンコ機50に関する遊技情報を管理する。具体的には、遊技機設置島97に設置されたパチンコ機50と対応して設けられている台管理装置94より各パチンコ機50の遊技情報を受信してパチンコ機50毎にその遊技情報を管理している。さらに島管理装置95は、ホール用管理コンピュータ91と接続され、ホール用管理コンピュータ91へ各パチンコ機50の遊技情報を送信する。ホール用管理コンピュータ91は、島管理装置95より送信される遊技情報を受信して各パチンコ機50の遊技情報を管理する。このようにパチンコ機50の遊技情報は、ホール用管理コンピュータ91,島管理装置95,台管理装置94により階層的に管理されている。
【0038】
情報開示装置96には、遊技者の操作によりさまざまな情報を表示させることが可能である。遊技者が遊技を行っているパチンコ機50の遊技情報を表示させるための所定の操作を行えば、パチンコ機50の遊技情報が台管理装置94から情報開示装置96へ送信され、情報開示装置96でその遊技情報が表示される。
【0039】
持ち球を有した状態で遊技を終了した遊技者が、所定のカード返却操作を行えば、持ち球の数が遊技可能持ち球として遊技カードに記録される。また、カード管理コンピュータ92はカード番号別にこの遊技可能持ち球を記憶する。カード返却操作を行った遊技者が他のパチンコ機50で再び遊技を開始するために自己の遊技カードを他のパチンコ機50に対応したICカード処理装置90へ挿入すれば、そのカードに対応した遊技可能持ち球が読出される。これにより、遊技者は前のパチンコ機50における遊技で獲得した持ち球を使用して再遊技できる。
【0040】
景品処理装置31では、遊技カードに記録されているカード残高等を所定の景品と交換するための操作を行うことができる。
この景品処理装置31で所定の景品交換操作を行えば、景品交換用レシートが発行され、サービスカウンタなどで、景品交換用レシートと引換えに所望の景品が遊技者に手渡されることとなる。
【0041】
次にパチンコ機50の作動を説明する。
パチンコ機50は、始動ゲート21への入球により普図の当否抽選を行い、普図表示装置18の図柄変動を開始する。前記抽選結果が当りであれば、表示装置18に普図の当り図柄を確定表示して前記普電役物を開放する。これにより第2特図始動口22Bへの入球が可能となる。
第1特図始動口22Aへの入球があると、第1特図の当否抽選を行い、第1特図表示装置16A、および演出図柄表示装置15の図柄変動を開始する。抽選結果が大当りであれば、各表示装置15,16Aに大当り図柄を確定表示して大入賞口25の開放を伴う大当り遊技(特別遊技)を実行する。
同様に第2特図始動口22Bに入球があると第2特図の当否抽選を行い、第2特図表示装置16Bおよび演出図柄表示装置15の図柄変動を開始する。抽選結果が大当りであれば、各表示装置15,16Bに大当り図柄を確定表示して大入賞口25の開放を伴う大当り遊技(特別遊技)を実行する。尚、演出図柄表示装置15には第1又は第2特図に対応する擬似図柄や演出を表示する。
図柄変動中に第1又は第2特図始動口22A,22Bへの入球があると、入球に応じて第1又は第2特図の保留記憶がなさる。第2特図の保留記憶があるときは、第1特図よりも優先的に第2特図の変動、当否抽選が実行される。
大当り遊技終了後は、大当り時の図柄に応じて当選確率が高確率となる確変状態、および/又は特別図柄の変動時間が短縮されるとともに普電役物(第2特図始動口22B)の開放時間が延長される時短状態に移行可能である。
【0042】
図5を参照して主制御装置80で実行されるプログラム処理の「メインルーチン」の概要を説明する。「メインルーチン」は本処理(S100〜S111,S115)と残余処理(S112)とで構成され、2ms周期又は4ms周期の割り込み信号に起因して開始され、最初に正常割り込みか否かを判断する(S100)。この判断はRAMの特定アドレスに特定の数値が書き込まれているか否かに基づいて行われ、ここで否定判断(no)なら初期設定(S115)を実行する。前述の正常割り込みか否かを判断するための数値は、この初期設定の一環としてRAMに書き込まれる。
【0043】
正常割り込みなら(S100:yes)、初期乱数更新処理(S101)、大当り判定用乱数の更新処理(S102)、大当り図柄決定用乱数の更新処理(S103)、普図の当り判定用乱数の更新処理(S104)、普図の当り図柄決定用乱数の更新処理(S105)、特図のリーチに関するリーチ判定用乱数の更新処理(S106)、特図の変動パターンに関する変動パターン決定用乱数の更新処理(S107)、入賞確認処理(S108)、当否判定処理(S109)、各出力処理(S110)、不正監視処理(S111)を行って、次に割り込み信号が入力されるまでの残余時間内には初期乱数更新処理(S112)をループ処理する。
【0044】
次に、本発明に関わりの深い入賞確認処理(S108)、当否判定処理(S109)、および各出力処理(S110)の一部のサブルーチンについて説明する。
図6に示す「始動入賞確認処理」は前記入賞確認処理(S108)のサブルーチンである。先ず、第1特図始動口22Aへの入球があるか確認し(S200)、入球があり(S200:yes)、第1特図の保留記憶が満杯でなければ(S201:no)、S202の処理で第1特図に関する複数種類の乱数(大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数など)が抽出され、第1特図の保留記憶として主制御装置80のメモリに記憶される(最大4つ)。そして、第1特図保留表示装置17Aの表示制御、および演出図柄制御装置82やサブ統合制御装置83へ第1特図保留数のコマンドを送信する。
【0045】
続いて、S203の処理で第2特図始動口22Bへの入球があるか確認し、入球があり(S203:yes)、第2特図の保留記憶が満杯でなければ(S204:no)、S205の処理で第2特図に関する複数種類の乱数(大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数など)が抽出され、第2特図の保留記憶として主制御装置80のメモリに記憶される(最大4つ)。そして、第2特図保留表示装置17Bの表示制御、および演出図柄制御装置82やサブ統合制御装置83へ第2特図保留数のコマンドを送信する。前記S202、S205の処理は特許請求の範囲に記載の始動記憶手段に相当する。
【0046】
図7ないし図11は「当否判定処理」のフローチャートを示す。図7に示すように「当否判定処理」は、大入賞口25を開放させるための特別電動役物が作動中か確認し、作動していなければ(S300:no)、図柄(第1又は第2特図)が変動中か確認し、変動中でなければ(S301:no)、第1又は第2特図の確定図柄が表示されているか確認する(S302)。尚、特別電動役物が作動中(S300:yes)であれば「特別遊技処理」に移行する。
【0047】
S302の処理で確定図柄が表示中でなければ(S302:no)、図8に示すように、第2特図の保留記憶があるか確認する(S310)。第2特図の保留記憶があれば(S310:yes)、第2特図の保留記憶数を減算し、第2特図の保留記憶のシフト処理を行う(S311)。該シフト処理により第2特図の保留記憶のうち最も古い保留記憶が当否判定の対象となる。
第2特図の保留記憶がなければ(S310:no)、S312で第1特図の保留記憶があるか確認し、第1特図の保留記憶があれば(S312:yes)、第1特図の保留記憶数を減算し、第1特図の保留記憶のシフト処理を行う(S313)。これにより第1特図の保留記憶のうち最も古い保留記憶が当否判定の対象となる。
このように第2特図の保留記憶を第1特図の保留記憶よりも先に確認することで、第1特図の当否抽選(当否判定)よりも第2特図の当否抽選を優先して実行するようにしている。第2特図または第1特図の保留記憶がどちらもなければ(S312:no)、「特別遊技処理」に移行する。
【0048】
次にS314の処理で、確変フラグを確認して現在の遊技状態が確変中(高確率)であるか確認する(確変フラグが1であれば確変中)。確変中であれば(S314:yes)、確変時の当否判定用テーブルと前記当否判定の対象となる保留記憶の大当り判定用乱数とを対比して大当りか否か当否判定を行う(S315)。
確変中でなければ(S314:no)、通常確率(低確率)の当否判定用テーブルと前記大当り判定用乱数とを対比して大当りか否か当否判定を行う(S316)。
【0049】
続くS317の処理では、S315又はS316の処理の当否判定が大当りか否かの確認を行う。前記S317の処理は特許請求の範囲に記載の当否抽選手段に相当する。
大当りであれば(S317:yes)、S318の処理において、前記当否判定の対象となる保留記憶の大当り図柄決定用乱数に基づいて大当り図柄を決定する。
続くS319の処理では、前記当否判定の対象となる保留記憶の変動パターン決定用乱数に基づいて当り変動パターンを決定する。
【0050】
S320の処理では、前記決定された大当り図柄に基づいて大当り遊技の態様(大入賞口25の開放態様)が割当てられる。例えば、大入賞口25の28秒の開放を15ラウンド行うといった態様や、大入賞口25の6.0秒の開放を2ラウンド行うといった態様などが割当てられる。
またこの処理では、前記大当り図柄と当否判定時の遊技状態(確変状態、時短状態)に基づいて、大当り遊技終了後に確変を付与するか否か、時短を付与するか否かといった特典遊技状態の設定を行う。更に確変、時短を付与する場合はその制限回数も設定する。制限回数は、例えば、第1および第2特図の当否抽選回数をカウントし、そのカウント値が所定値に達すると確変、時短を終了するように設定する。尚、大当り図柄のうち確変とする図柄を確変図柄という。
【0051】
前記S317の処理で大当りでなくハズレであれば(S317:no)、S321の処理において、前記当否判定の対象となる保留記憶の変動パターン決定用乱数に基づいてハズレ変動パターン決定処理を行い、続くS322の処理でハズレ設定処理を行う。
【0052】
S320の大当り設定処理又はS322のハズレ設定処理の後、S323の処理では、第1特図表示装置16A又は第2特図表示装置16Bの図柄変動開始制御を行い、演出図柄制御装置82およびサブ統合制御装置83へ図柄の変動開始コマンドを送信し、「特別遊技処理」へ移行する。変動開始コマンドには特図の変動パターン、大入賞口開放遊技抽選などの各抽選結果が含まれる。
【0053】
図7のS301の処理で第1特図又は第2特図の変動中のときは(S301:yes)、図9に示すように、図柄の変動時間が経過したことを確認すると(S330:yes)、確定図柄表示処理(S331)において、第1特図表示装置16A又は第2特図表示装置16Bの特図の変動終了、演出図柄制御装置82およびサブ統合制御装置83へ擬似図柄の変動表示を終了させるようにコマンドを送信し、「特別遊技処理」へ移行する。
【0054】
図7のS302の処理で第1特図又は第2特図の確定図柄を表示中であれば(S302:yes)、図10に示すように、確定図柄表示時間が終了したか確認する(S340)。確定図柄表示時間が終了していなければ(S340:no)、「特別遊技処理」へ移行する。
一方、確定図柄表示時間が終了したことを確認すると(S340:yes)、確定図柄表示終了設定処理(S341)により第1特図表示装置16A又は第2特図表示装置16Bの第1特図又は第2特図の確定図柄表示を終了させ、演出図柄制御装置82およびサブ統合制御装置83へ第1特図又は第2特図に対応する擬似図柄の確定表示を終了させるようにコマンドを送信する。
【0055】
続いて第1特図又は第2特図の図柄が大当りになる組合せであるか確認し(S342)、大当りになる組合せであったときは(S342:yes)、確変フラグが1であれば(S343:yes)、確変フラグに0をセットする(S344)。次に、時短フラグが1であれば(S345:yes)、時短フラグに0をセットする(S346)。
【0056】
S347の処理では条件装置の作動を開始させ、S348の処理では役物連続作動装置の作動を開始させる。条件装置は大当り遊技で役物連続作動装置の作動に必要な装置であり、役物連続作動装置は特別電動役物を連続して作動させる装置である。
そして大当り開始演出処理(S349)により演出図柄制御装置82およびサブ統合制御装置83へ大当り演出を開始させるようにコマンドを送信し、「特別遊技処理」に移行する。
【0057】
S342の処理で、大当りになる組合せでなければ(S342:no)、確変フラグが1か確認し(S350)、確変フラグが1であり(S350:yes)、確変カウンタが0であれば(S351:yes)、確変フラグを0にセットする(S352)。
続く処理で時短フラグが1であり(S353:yes)、時短カウンタが0であれば(S353:yes)、時短フラグを0にセットする(S355)。
続くS356の状態指定コマンド送信処理では、遊技状態を示す確変フラグや時短フラグの情報等を含む状態指定コマンドを、演出図柄制御装置82およびサブ統合制御装置83へ送信する。その後、「特別遊技処理」へ移行する。
【0058】
図11に示すように、「特別遊技処理」は、先ず、役物連続作動装置が作動中か確認し(S500)、作動中であれば(S500:yes)、S501の処理で大入賞口25が開放中か確認する。尚、S500で役物連続作動装置が作動中でなければ(S500:no)、リターンする。
S501の処理で大入賞口が開放中でなければ(S501:no)、インターバル中か確認し(S502)、インターバル中でなければ(S502:no)、大当り終了演出中か確認し(S503)、大当り終了演出中でなければ(S503:no)、大当り開始演出時間が経過したか確認し(S504)、大当り開始演出時間が経過していれば(S504:yes)、S505の大入賞口開放処理で大入賞口25を開放してリターンする。
【0059】
S501の処理で大入賞口開放中であれば(S501:yes)、図12に示すように、大入賞口25に規定入賞数である9個の入賞があったか否かの確認(S510)、または大入賞口25の開放時間が終了したか否かを確認して(S511)、いずれか確認できれば大入賞口25を閉鎖し(S512)、大当りインターバル処理を実行して(S513)、リターンする。大当りインターバル処理では、演出図柄制御装置82およびサブ統合制御装置83へ大当りのインターバル演出を開始させるようにコマンドを送信する。
【0060】
図11のS502の処理でインターバル中であれば(S502:yes)、図12のS514の処理で大当りインターバル時間が経過したか確認し、経過していれば(S514:yes)、最終ラウンドかどうか確認し(S515)、最終ラウンドであれば、(S515:yes)、大当り終了演出の処理(S516)を実行し、この処理で演出図柄制御装置82およびサブ統合制御装置83に大当り終了コマンドを送信し、大当り遊技を終了してリターンする。
一方、最終ラウンドでなければ、(S515:no)、大入賞口25の開放処理(S517)を実行してリターンする。
【0061】
図11のS503の処理で大当り終了演出中であれば(S503:yes)、図13に示すように、大当り終了演出時間の終了時間が経過したか確認し(S520)、経過していれば(S520:yes)、役物連続作動装置の作動を停止する処理(S521)を実行し、条件装置の作動を停止する処理(S522)を実行する。
【0062】
続く、S523の処理では前記S320の処理(図8)で設定された大当り設定の内容を参照し、確変回数(確変カウンタ)の設定処理(S524)、時短回数(時短カウンタ)の設定処理(S525)を行う。次に、変動テーブルの設定処理を行う(S526)。
【0063】
更に、大当り遊技終了後の遊技状態が確変、時短であれば、確変フラグに1をセットし(S527)、時短フラグに1をセットする(S528)。確変フラグに1をセットすることにより特別遊技終了後に確変状態に移行し、時短フラグに1をセットすることにより特別遊技終了後に時短状態に移行する。
その後、演出図柄制御装置82およびサブ統合制御装置83へ大当り遊技終了のコマンドを送信するとともに(S529)、前記高確率遊技状態か否か、開放延長か否かの情報を状態指定コマンドして送信する(S530)。後にリターンする構成としてある。尚、前記S505、S517の処理は特許請求の範囲に記載の特別遊技実行手段に、S527の処理は確変手段に相当する。
【0064】
次に、特図の当選確率の設定変更について説明する。
当選確率の設定変更は、遊技の流れで大当り遊技の終了後に発生する前記確変とは異なり、通常遊技における当選確率(低確率)から根本的に設定変更する。本実施形態では、図14に示すように、例えば予め複数種類の設定値「1〜6」を設けておき、各設定値に応じて、低確率、確変図柄の割合、確変時の高確率が決められており、ひとつの設定値を選択することにより当選確率の設定変更がなされる。尚、確変図柄の割合は大当りから確変する割合である。
例えば「設定値1」では、低確率を「1/430」とし、確率が低い分、確変図柄の割合を「7/15」として、大当りにより確変し易いように設定してある。
一方、「設定値5」では、低確率を「1/250」とし、確率が高い分、確変図柄の割合を「2/15」として、大当りにより確変し難いようにしてある。更に大当りが発生しやすい分、高確率は「設定値1」のそれよりも低い確率に設定してある。
また「設定値6」では、低確率が「1/200」で確率がかなり高い分、確変の設定はない。
【0065】
図15は本パチンコ機50の主制御装置で実行される「確定設定変更処理1」を示す。この処理では先ず、現在、遊技が行われているか確認する(S600)。遊技中であれば(S600:yes)、リターンする。
一方、遊技中でなければ(S600:no)、第1又は第2の特図始動口22A,22Bへの入球があったことを示す第1又は第2特図の保留記憶(始動記憶)があるか否か確認する(S601)。
【0066】
S601の処理で始動記憶があれば(S601:yes)、リターンする。
一方、始動記憶がなければ(S601:no)、主制御装置80の前記記憶手段に持ち球(賞球)の記憶があるか否か確認する(S602)。
【0067】
S602の処理で持ち球記憶があれば(S602:yes)、リターンする。
一方、持ち球記憶がなければ(S602:no)、設定装置87において特図の当選確率の設定変更操作が行われたか否か確認する(S603)。
【0068】
S603の処理で特図の当選確率の設定変更操作が行われていなければ(S603:no)、リターンする。
一方、設定変更操作が行われていれば(S603:yes)、設定装置87から設定値を読込み処理を行い(S604)、読込んだ設定値に基づいて特図の当選用の低確率、確変図柄の割合および高確率の設定変更処理が行なわれる(S605)。設定変更された低確率、確変図柄の割合および高確率は主制御装置80の記憶媒体に記憶される。前記S605の処理は特許請求の範囲に記載の確率設定変更手段に相当する。
【0069】
その後、主制御装置80からサブ統合制御装置83や外部接続端子を介して台管理装置94へ向けて、当選確率の設定変更をおこなったこと、および新たに設定された当選確率を送信する(S606)。これにより設定変更を受信したサブ統合制御装置83や台管理装置94は各種の表示装置により当選確率の設定変更がおこなわれたこと、および新たな当選確率を表示せしめる。以降の遊技において設定変更された低確率、確変図柄の割合および高確率が遊技に反映されることとなる。
【0070】
本実施形態によれば、パチンコ機の内部に所定数の遊技球が封入され、これら封入された遊技球を循環的に遊技盤に発射して遊技を行なう構成で、遊技盤に設けられた特図始動口への入球に応じて始動記憶を記憶する始動記憶手段と、前記始動記憶に基づいて特図の当否抽選を実行する当否抽選手段と、前記当否抽選の結果が当選であれば賞球の獲得に有利な特図の特別遊技に移行せしめる特別遊技実行手段と、払い出されていない賞球を持ち球として記憶する持ち球記憶手段とを備えた封入式のパチンコ機において、前記特図の当否抽選の当選確率を設定変更可能とする確率設定変更手段を設け、該確率設定変更手段は、遊技が行なわれておらず、前記始動記憶手段の始動記憶が記憶されておらず、かつ前記持ち球記憶手段の持ち球記憶が記憶されていないことを条件に前記当選確率の設定変更を実行可能とした。よって、当選確率を設定変更するには遊技者の持ち球を無くさなければならず、かつ設定変更後に遊技を開始するには、遊技者は新たに遊技球(持ち球)を購入しなければならず、持ち球の遊技球1球に対する期待値が変わることを防ぐ。これにより、持ち球の遊技球1球に対する期待値が低くギャンブル性の低い遊技を好む遊技初心者にとって、設定変更手段より前記期待値およびギャンブル性の高い遊技とならず、遊技初心者に予定外の投資をさせずにすむなど、遊技者の不利益を軽減できる。
【0071】
本実施形態では、遊技状態が確変状態であっても、設定装置87により特図の当選確率を設定変更可能な構成としてある。この場合、設定装置87でセットされた設定値に基づいて、低確率、確変図柄の割合および高確率が各々設定変更される。勿論、設定変更は「設定変更処理1」(図15)のS600、S601、S602の条件を満たしていなければならず、設定変更後に遊技を開始するには遊技者は新たに購入した持ち球にて遊技を行うこととなるので、持ち球の遊技球1球に対する期待値が変化することはない。
【0072】
前記第1の実施形態では、特図の当選確率の設定変更を遊技の合間に処理する構成としたが、この他に電源投入時に当選確率の設定変更を行うようにしてもよい。以降に第2の実施形態として電源投入時に当選確率の設定変更を行う構成を説明する。
本実施形態は、前記第1の実施形態のパチンコ機50に、図16に示す電源投入処理を行う構成としたものである。本実施形態の基本構成は第1の実施形態のそれと同一である。
【0073】
図16に示すように、主制御装置80は、電源投入時、セキュリティチェックが完了しRAMへのアクセスが許可されると(S800)、RAMクリア信号がオンか否か(S801)、バックアップフラグがオンか否か(S802)に基づいてパチンコ機を初期状態から起動する(S803〜S811)か、パチンコ遊技機を電源遮断前の状態から起動する(S812〜S813)かを判断する。
【0074】
S801の処理でRAMクリア信号がONであったり(S801:yes)、S802の処理でバックアップフラグがONでなければ(S802:no)、スタックの設定処理(S803)、RAMの作業領域のクリア処理(S804)を実行し、作業領域を初期化する(S805)。続いて、演出図柄表示装置15へ、初期画面を表示する旨のコマンドデータを送信し(S806)、サブ統合制御装置83へ、各種LED、ランプの初期装飾を表示すべき旨のコマンドデータを送信する(S807)。
【0075】
次にS808の処理で、設定装置87から設定値の読込み処理を行い、読込んだ設定値に基づいて特図の当選用の低確率、確変図柄の割合および高確率の設定変更処理を行なう(S809)。設定変更された低確率、確変図柄の割合および高確率は主制御装置80の記憶媒体に記憶される。
【0076】
その後、主制御装置80からサブ統合制御装置83や外部接続端子を介して台管理装置94へ向けて、当選確率の設定変更をおこなったこと、および新たに設定された当選確率を送信する(S810)。これにより設定変更を受信したサブ統合制御装置83や台管理装置94は各種の表示装置により当選確率の設定変更がおこなわれたこと、および新たな当選確率を表示せしめる。
以降、通常時の処理となる(S811)。
【0077】
S802の処理でバックアップフラグがONであれば(S802:yes)、電源遮断前の記憶内容をRAMが保持しているということであり、電源復帰時処理が実行され(S812)、バックアップされたパチンコ遊技機の状態を示す情報に基づいて停電発生により中断された遊技進行プログラムが再開される(S813)。
【0078】
本実施形態によれば、前記第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。また、電源投入時でかつRAMクリア時に当選確率の設定変更処理を行うので、遊技場が営業開始する時点で所望の確率に設定することができる。
【0079】
図17ないし図19に基づいて第3の実施形態を説明する。本実施形態のパチンコ機50Aは、図17に示すように、上皿62および下皿63を備え、CRユニット56から購入した遊技球を上皿62にセット、これらの遊技球を遊技盤に発射して遊技を行うものである。上皿62には精算表示装置59、球貸SW57および精算SW58が設けてある。遊技が進行して賞球により上皿62が満杯となると、賞球が下皿63に払出され、下皿63の満杯となると賞球の払出しが停止され、未払いの賞球は持ち球として持ち球記憶手段に記憶される。
【0080】
図18に示すように、本パチンコ機は払出制御装置81を備え、これに関連して払出中継端子板を貸して球切れSW、払出モータ、払出SW、満杯SW等が設けられている。本パチンコ機では主制御装置80が外部接続端子板78を介して
遊技場のホールコンピュータと設続されている。尚、他の電気的構成は前記第1の実施形態のパチンコ機のそれとほぼ同一である。
【0081】
本パチンコ機の遊技の制御に関するソフト面でもその基本構成は前記第1の実施形態のパチンコ機のそれとほぼ同一で、相違点を中心に説明する。
本パチンコ機では、特図の当選確率の設定変更処理において、主制御装置80により図19に示す「確率設定変更処理2」が実行される。
【0082】
「確率設定変更処理2」では、先ず、現在、遊技が行われているか確認し(S610)、遊技中であれば(S610:yes)、リターンする。
一方、遊技中でなければ(S610:no)、第1又は第2の特図始動口22A,22Bへの入球があったことを示す第1又は第2特図の保留記憶(始動記憶)があるか否か確認する(S611)。
【0083】
S611の処理で始動記憶があれば(S611:yes)、リターンする。
一方、始動記憶がなければ(S611:no)、主制御装置80の前記記憶手段に持ち球(賞球)の記憶があるか否か確認する(S612)。
【0084】
S612の処理で持ち球記憶があれば(S612:yes)、リターンする。
一方、持ち球記憶がなければ(S612:no)、上皿62に設けられたセンサにより上皿62に遊技球があるか否か確認する(S613)。
【0085】
S613の処理で上皿62に遊技球があれば(S613:yes)、リターンする。
一方、上皿62に遊技球がなければ(S613:no)、下皿63に設けられたセンサにより下皿63に遊技球があるか否か確認する(S614)。
【0086】
S614の処理で下皿63に遊技球があれば(S614:yes)、リターンする。
一方、下皿63に遊技球がなければ(S614:no)、設定装置87において特図の当選確率の設定変更操作が行われたか否か確認する(S615)。
【0087】
S615の処理で特図の当選確率の設定変更操作が行われていなければ(S615:no)、リターンする。
一方、設定変更操作が行われていれば(S615:yes)、設定装置87から設定値を読込み処理を行い(S616)、読込んだ設定値に基づいて特図の当選用の低確率、確変図柄の割合および高確率の設定変更処理が行なわれる(S617)。設定変更された低確率、確変図柄の割合および高確率は主制御装置80の記憶媒体に記憶される。
【0088】
その後、主制御装置80からサブ統合制御装置83や外部接続端子を介して台管理装置94へ向けて、当選確率の設定変更をおこなったこと、および新たに設定された当選確率を送信する(S618)。これにより設定変更を受信したサブ統合制御装置83や台管理装置94は各種の表示装置により当選確率の設定変更がおこなわれたこと、および新たな当選確率を表示せしめる。以降の遊技において設定変更された低確率、確変図柄の割合および高確率が遊技に反映されることとなる。
【0089】
本実施形態によれば、第1の実施形態地同様な作用効果が得られる。特に、上皿および下皿に遊技球がないことも条件に当選確率の設定変更を可能としたので、設定変更後に遊技を開始するには、遊技者が遊技球を購入しなければならず、遊技球1球に対する期待値が変わることがない。
【0090】
尚、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまに実施できることは勿論である。例えば、前記演出ボタン67やジョグダイヤル68を当選確率の設定変更の設定装置として用いてもよいし、前記情報開示装置に設定装置を設けてもよい。
【符号の説明】
【0091】
10 遊技盤
22A 第1特別図柄始動口(始動口)
22B 第2特別図柄始動口(始動口)
50,50A パチンコ機(弾球遊技機)
80 主制御装置(始動記憶手段、当否抽選手段、特別遊技実行手段、持ち球記憶手段、確率設定変更手段、確変手段)
87 設定装置(確率設定変更手段)
62 上皿
63 下皿




【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤に遊技球を発射して遊技を行う遊技機であって、遊技盤に設けられた始動口への入球に応じて始動記憶を記憶する始動記憶手段と、前記始動記憶に基づいて当否抽選を実行する当否抽選手段と、前記当否抽選の結果が当選であれば賞球の獲得に有利な特別遊技に移行せしめる特別遊技実行手段と、払い出されていない賞球を持ち球として記憶する持ち球記憶手段とを備えた弾球遊技機において、
前記当否抽選の当選確率を設定変更可能とする確率設定変更手段を設け、
該確率設定変更手段は、遊技が行なわれておらず、前記始動記憶手段の始動記憶が記憶されておらず、かつ前記持ち球記憶手段の持ち球記憶が記憶されていないことを条件に前記当選確率の設定変更を実行可能としたことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の弾球遊技機において、
前記特別遊技への移行時に予め設定された特定事項を満たしていれば前記当否抽選の当選確率を高確率に向上せしめる確変手段を備え、
前記確率設定変更手段は、前記高確率に向上した確変状態であっても前記条件を満たしているときは、前記当選確率の設定変更を実行可能とした弾球遊技機。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれかに記載の弾球遊技機において、
前記確率設定変更手段は、前記条件を満たすとともに、遊技球を貯留する上皿に遊技球が貯留されていないときに前記当選確率の設定変更を実行可能とした弾球遊技機。
【請求項4】
請求項3に記載の弾球遊技機において、
前記確率設定変更手段は、遊技球を貯留する下皿に遊技球が貯留されていないことを条件に前記当選確率の設定変更を実行可能とした弾球遊技機。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−85674(P2012−85674A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232391(P2010−232391)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(395018239)株式会社高尾 (550)
【Fターム(参考)】