説明

往復動ポンプ、往復動ポンプ装置

【課題】ダイヤフラムポンプよりも空気が混入し難く、圧力脈動が小さく、シリンジポンプに近い高圧を発生できるコンパクトな往復動ポンプ、往復動ポンプ装置を提供すること。
【解決手段】ケース11と、該ケース内11に配置され軸方向に往復動する傘状機能体12と、該傘状機能体12の柄部12bに設けられ外周部が該ケース11内周面に摺接する磁性体13と、該ケースの外周部に設けた磁力発生器14とを備え、ケースは一端が吸込口15、他端が吐出口16となっており、傘状機能体12は吐出口16側に移動するときは径方向に拡幅してその外周面が該ケース11の内周面に摺接し、吸込口15側に移動するときは径方向に収縮してその外周面が該ケース11の内周面から離間する拡幅収縮部12aを備えた往復動ポンプ10。
【選択図】図1

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は往復動ポンプ、及び該往復動ポンプを複数台に直列に接続し多段構成としてポンプ装置に係り、特に医薬品製造プロセスや医療用で使用される微小流量の液体を取り扱うのに好適な往復動ポンプ、及び往復動ポンプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品製造プロセスや医療用で使用される微小流量の流体を取り扱うポンプには、シリンジポンプやダイヤフラムポンプが多く用いられている。シリンジポンプは、言わば注射器のピストンをアクチュエータで制御する構成のポンプであり、極めて高い定流量性を有しており、複数の薬液を正確な割合で混合する場合などに有効である。
【0003】
ダイヤフラムポンプはシリンジポンプほど高圧、高い定流量性は無いが、遠心ポンプなどの非容積式ポンプに比べると定流量性が高く、大きさもコンパクトである。ダイヤフラムポンプの従来技術としては特許文献1に開示されたもの等が知られており、ダイヤフラム部の上流側に吸込逆止弁、下流側に吐出逆止弁を備えたものが一般的である。
【特許文献1】特開2004−346886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シリンジポンプは、液を補充する必要があり、この液を補充する際にポンプを一旦停止する必要があるため、長時間連続的に液を供給する医薬製造プロセスなどに使用する場合には、ポンプとアクチュエータが巨大なものとなってしまうという不都合があった。例えば、毎分流量5ミリリットルで液体を500時間連続して供給する場合は、シリンジポンプの容量は150リットル以上必要となる。
【0005】
また、ダイヤフラムポンプは圧力脈動を伴うため、圧力脈動を嫌う用途ではアキュムレータ等を配管系に設ける必要がある。また、特に微小流量で使用する場合には、液体中に空気が混入すると逆止弁の機能が阻害されて流量が不安定になる等の懸念があった。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、ダイヤフラムポンプよりも空気が混入し難く、圧力脈動が小さく、シリンジポンプに近い高圧を発生できるコンパクトな往復動ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、内部に円柱状空間が形成されたケースと、該ケース内に配置され軸方向に往復動する傘状機能体と、該傘状機能体に設けられた磁性体と、該ケースの外周部に設けた前記磁性体に作用し前記傘状機能体をケース内軸方向に移動させる磁気を発生する磁力発生器とを備え、前記ケースは一端が吸込口、他端が吐出口となっており、前記傘状機能体は前記ケース内を前記吐出口側に移動するときは径方向に拡幅し、前記吸込口側に移動するときは径方向に収縮する拡幅収縮部を備えたことを特徴とする往復動ポンプにある。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の往復動ポンプにおいて、前記傘状機能体の拡幅収縮部を薄肉の高分子材料で構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の往復動ポンプにおいて、前記磁性体を外周がケース内周面に摺接する環状の磁性体リングとし、該磁性体リングの外周に前記ケース軸方向に流体が通る凹溝を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の往復動ポンプにおいて、前記傘状機能体の前記ケース軸方向位置によって、該傘状機能体が移動する速度を変化させるように、前記磁力発生器が発生する磁力を制御する制御手段を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記請求項1乃至3に記載の往復動ポンプを複数台備え、該複数台の往復動ポンプを互いに前記ケーシング吐出口に吸込口を接続して直列に構成したことを特徴とする往復動ポンプ装置にある。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載された往復動ポンプ装置において、前記各往復動ポンプの傘状機能体の前記ケーシング軸方向の動きを連携制御して、流体の圧力脈動を低減する制御手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、傘状機能体はダイヤフラムポンプのダイヤフラムと逆止弁を兼ねた機能を持っており、ケース内部の円柱状空間の内径は往復動ポンプに接続されるチューブの内径と同一に設計することにより、往復動ポンプを横置き状態にしても空気が溜まる空間がないことから、部品点数の少ない簡単な構造で、且つダイヤフラムポンプより空気の混入に強く、圧力脈動が小さく、シリンジポンプに近い高圧を発生できるコンパクトな往復動ポンプを提供することができる。特に、液体の粘性の影響が大きくなる、例えば毎分数ミリリットル以下の微小流量を扱うシステムに好適な往復動ポンプを提供できる。また、粘性の大きな液体を扱う用途、例えば人工心臓にも応用が可能である。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、傘状機能体の拡幅収縮部を薄肉の高分子材料で構成したので、該高分子材料に例えば厚さが50マイクロメートル以下のフッ素樹脂膜を用いることにより高可撓性、高伸縮性を備えた構成とすることができる。また、傘機能体の拡幅収縮部をこのような高可撓性・伸縮性を備えた柔かい材料とすることで、圧力脈動を小さく抑えることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、磁性体を外周がケース内周面に摺接する環状の磁性体リングとしたので、該磁性体リングが軸受の作用を奏し、ポンプ内部には縦置き・横置きのいずれの場合でも空気が溜まる空間がなく、空気の混入に強い構成となる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、傘状機能体のケース軸方向位置によって、該傘状機能体が移動する速度を変化させるように、磁力発生器が発生する磁力を制御する制御手段を設けたので、例えばポンプ後流側に圧力脈動を検知する圧力センサを設け、傘状機能体の各位置における移動速度をフィードバック制御することで、圧力脈動を最小化することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、複数台の往復動ポンプを互いにケーシング吐出口に吸込口を接続して直列に構成したので、ポンプを直列多段化することが容易で、高い圧力で使用する場合にも定流量性を確保することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、直列に接続した各往復動ポンプの傘状機能体のケーシング軸方向の動きを連携制御して、流体の圧力脈動を低減する制御手段を設けたので、各傘状機能体の移動方向や移動速度或いは位相をずらすことにより、圧力脈動を最小化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基いて説明する。図1は本発明に係る往復動ポンプの構成例を示す図で、図1(a)は側断面図、図1(b)は(a)のA−A断面図である。図示するように、本往復動ポンプ10は、内部に円柱状空間が形成されたケース11と、該ケース11内に配置された傘状機能体12と、傘状機能体12の柄部に設けられた磁性体13とを備えている。また、磁性体13に磁力を作用させ傘状機能体12をケース11内の軸方向(矢印B方向)に移動させるための磁力発生器14をケース11の外周に設けている。
【0020】
傘状機能体12は拡幅収縮部12aと柄部12bとからなる。拡幅収縮部12aは傘状機能体12がケース11の軸方向の一方向(図1(a)では左方向)に移動するときは径方向に拡幅し(図1(a)の一点鎖線で示す)、他方向に移動するときは径方向に収縮する(図1(a)の実線で示す)ようになっている。即ち、傘状機能体12の拡幅収縮部12aはケース11一端の吸込口15の方向に移動すると径方向に収縮し、その外周面がケース11の内周面より離間し、他端の吐出口16の方向に移動すると径方向に拡幅し、その外周面がケース11の内周面に摺接するようになっている。また、柄部12bに設けた磁性体13は図1(b)に示すように磁性体からなるリング状でその中央部に傘状機能体12の柄部12bが嵌合し、その外周がケース11の内周面に摺接するようになっている。これにより、リング状の磁性体13とケース11の内周面の間は傘状機能体12が移動するときの軸受を構成する。また、リング状の磁性体13の外周にはケース11の軸方向に複数個(図では4個)の凹溝13aが設けられ、これが液体流路となっている。
【0021】
ケース11の材料は磁力を透過する材料であり、具体的にはフッ素樹脂等の高性能樹脂やガラス、或いはジルコニア等のセラミック材料を使用している。また、ケース11の吸込口15側の端部には内径を拡大した内径拡大部17aを有する雌型フランジ17が設けられ、吐出口16側の端部近傍には吸込口15の反対側に円筒状の突出部18aを有する雄型フランジ18が設けられている。該雄型フランジ18の円筒状の突出部18aの外周にはOリング挿入溝18bが形成されている。傘状機能体12の拡幅収縮部12aは可撓性・伸縮性に富む薄肉の高分子材料、具体的には厚さが50マイクロメートル以下フッ素樹脂やゴム材などで作られている。
【0022】
往復動ポンプ10を上記のように構成することにより、傘状機能体12をケース11内を吐出口16側に移動させると、その拡幅収縮部12aは径方向に拡幅しその外周面がケース11の内周面に摺接するため、ケース11内の液体は吐出口16側に押し出される。反対に傘状機能体12を吸込口15側に移動させると、その拡幅収縮部12aは径方向に収縮しその外周面はケース11の内周面から離間する。そしてリング状の磁性体13の外周に設けた凹溝13a及び拡幅収縮部12a外周面とケース11内周面の間の間隙を液体が通ることにより、傘状機能体12はケース11内の液体に抵抗されることなく、吸込口15側に移動できる。このように傘状機能体12をケース11内で軸方向に往復動させることにより、液体は吸込口15から吸込まれ、吐出口16から吐き出される。
【0023】
傘状機能体12の柄部12bには上記のように外周がケース11の内周面に摺接するリング状の磁性体13が嵌め込まれて固定され、磁性体13とケース内周面との間で軸受を構成しているので、往復動ポンプ10の内部には縦置き、横置きのいずれの場合でも空気が溜まることはない。また、傘状機能体12がケース11内を吐出口16側に移動するとき、拡幅収縮部12aの外周面がケース11の内周面に摺接して移動するから、内周面に気泡や異物が付着しても速やかに排除される(掻き取られる)。また、傘状機能体12の拡幅収縮部12aは可撓性・伸縮性に富む薄肉の高分子材料、例えば上記のように厚さが50マイクロメートル以下のフッ素樹脂やゴム材等で構成することにより、吐出口16から吐き出される液体の圧力脈動を小さく抑えることができる。
【0024】
リング状の磁性体13は、例えばフェライト磁石や一般の金属を母材とし、軸受としての機能を付与させるため樹脂を表面にコーティングするなどして構成される。また、磁性体13としては磁石材料を樹脂で固めリング状に形成したものでもよい。また、本実施形態例で傘状機能体12と磁性体13を別部品としているが、磁性を持った高分子系の複合材料で傘状機能体12の柄部12bとリング状の磁性体13を一体に形成することも可能である。磁性体13を磁石として形成した場合には、傘状機能体12の移動に、磁力発生器14の発生磁力による引力のみならず、斥力も利用することが可能となる。
【0025】
ケース11の外周部には上記のように、磁力発生器14が設けられている。この磁力発生器14は図示しない外部からの電力の供給によって、任意の時刻に、ケース11の軸方向の任意の位置をN極又はS極に磁化することができるように構成されている。これにより、磁性体13に磁力が作用し傘状機能体12を軸方向の任意の位置に、任意の速度で移動させることができる。傘状機能体12のケース11の軸方向位置によって、傘状機能体12が移動する速度を変化させるように、磁力発生器14が発生する磁力を制御する制御手段(図示せず)を設けることにより、例えば往復動ポンプ10の後流側に圧力脈動を検知する圧力センサを設け、傘機能体12の各位置における移動速度をフィードバック制御することで、圧力脈動を最小化することが可能となる。
【0026】
図2は上記構成の往復動ポンプ10のケース11の吸込口15側と吐出口16側にチューブ19、20を接続した場合の側断面構成を示す図であり、図2(a)は傘状機能体12がケース11の吐出口16側に移動した状態を、図2(b)は傘状機能体12がケース11の吸込口15側に移動した状態をそれぞれ示す。チューブ19及びチューブ20はそれぞれその内径が往復動ポンプ10のケース11の内径と同一のチューブである。
【0027】
チューブ19の端部には雄型フランジ21が固定されており、該雄型フランジ21の円筒状突起部21aの外周に設けたOリング挿入溝21bにOリング22を挿入し、該円筒状突起部21aを往復動ポンプ10の雌型フランジ17の内径拡大部17aに挿入して雌型フランジ17と雄型フランジ21を結合(雌型フランジ17と雄型フランジ21を挟み込んで結合)することにより、チューブ19の端部を往復動ポンプ10の吸込口15に接続する。また、チューブ20の端部には内径拡大部23aを有する雌型フランジ23が固定されており、往復動ポンプ10の雄型フランジ18の円筒状の突出部18aのOリング挿入溝18bにOリング24を挿入し、該円筒状の突出部18aを雌型フランジ23の内径拡大部23aに挿入して雌型フランジ23と雄型フランジ18を結合することにより、チューブ20の端部を往復動ポンプ10の吐出口16に接続する。
【0028】
上記のように往復動ポンプ10の吸込口15及び吐出口16に接続するチューブ19及びチューブ20をそれぞれその内径が往復動ポンプ10のケース11の内径と同一とすることにより、チューブ19及びチューブ20の内部、及び往復動ポンプ10の内部に空気の溜まる空間がなく空気が溜まらない構造となる。
【0029】
図3は上記構成の往復動ポンプを複数台(図では2台)直列に接続してポンプ装置を構成した場合の側断面構成を示す図である。図示するように、往復動ポンプ10−1の吐出口16側の雄型フランジ18の円筒状の突出部18aの外周に設けたOリング挿入溝18bにOリング24を挿入し、該円筒状の突出部18aを復動ポンプ10−2の吸込口15側の雌型フランジ17の内径拡大部17aに挿入し、雄型フランジ18と雌型フランジ17を結合することにより、復動ポンプ10−1と復動ポンプ10−2を直列に接続したポンプ装置100を構成する。図3では復動ポンプ10−1の傘状機能体12がケース11の吸込口15側に移動し、往復動ポンプ10−2の傘状機能体12がケース11は吐出口16側に移動した場合を示す。
【0030】
上記のように複数台(図では2台)の往復動ポンプ10を互いにケーシング吐出口16と吸込口15を接続して直列に構成することにより、往復動ポンプ10を直列多段化してポンプ装置100を構成することが容易であり、且つ高い圧力で使用する場合にも定流量性を確保することができるポンプ装置100が実現できる。また、このように往復動ポンプ10を直列多段化してポンプ装置100を構成した場合、各往復動ポンプ10の傘状機能体12のケース11の軸方向の動きを連携制御して、流体の圧力脈動を低減する制御手段(図示せず)を設けることにより、各傘状機能体12の移動方向や移動速度或いは位相をずらすことにより、圧力脈動を最小化することができる。
【0031】
図4は、磁力発生器14と制御部30の一構成例を示す図で、磁力発生器14はケース11の外周に軸方向に並べられた複数の電磁石14aを備えている。また、電磁石14aは図5に示すように周方向に複数個、望ましくは3個以上備えられていて、ケース11を取り囲むように配置されている。各々の電磁石14aは制御部30のスイッチング部31に接続されており、制御部30のマイクロコンピュータ(図示せず)等がスイッチング部31に指令を与えることで、各々の電磁石14aに流れる電流のオン/オフ、正/逆を制御する。
【0032】
例えば、図4においてオンとする電磁石を左端から右端へ、そして、右端から左端へと往復移動させるような制御を行えば、それに伴って傘状機能体12も往復運動を行う。制御部30では電磁石14aのスイッチングのタイミングを変更することにより、往復動の周期や位相、更には各位相における移動速度を任意に制御することができる。なお、ケース11の軸方向同一個所の円周方向に備えられた複数の電磁石14aは同一のタイミングでスイッチングするようにするのが望ましい。
【0033】
また、傘状機能体12を複数備える場合は、図4に点線で示すように、制御部30にそれぞれの磁力発生器14に対応したスイッチング部31を備えていることが望ましい。そうすることで、それぞれの傘状機能体12を独立に任意の往復動周期、位相で制御することが可能になる。このように、傘状機能体12の往復運動の周期や位相、更には各位相における移動速度を任意に制御できることにより、圧力脈動の少ない最適な往復動運動を実現することができる。
【0034】
また、往復動ポンプ10の後流側に圧力センサ25を設け、その圧力検出信号を制御部30に送ることにより、傘状機能体12の往復運動に対するフィードバック制御が可能になり、例えば、圧力が急減に上がるようなときは、傘状機能体12の吐出口16方向への移動速度を低下させるなど、圧力脈動をなくすような制御をすることができる。
【0035】
また、磁性体13はケース11に摺接する構造に限られず、磁性体13の外径がケース11の内径より小さいものであってもよい。例えば、図6に示すようにケース11の中心部軸方向に円柱状の案内部材26を設置し、傘状機能体12の中心部軸方向に設けた貫通穴にこの案内部材26を通すことにより、傘状機能体12の軸中心をケース11の軸中心に位置させることができる。案内部材26は、傘状機能体12の往復運動に対して範囲外の位置でステイ27によりケース11内に固定されている。
【0036】
また、磁性体13をケース11内径よりも小さい径をもつ円筒形とし、ケース11を周方向に取り囲むように配置された電磁石等の磁力発生器14により、磁性体13に対して均等に磁力をかけるようにすれば、磁性体13をケース11の中心付近(水平配置の際も、小型であるため重力の影響はそれほど大きくなく、液中であれば更に浮力によって相殺さるため、中心付近になる。)に保持することができる。この際、磁力による斥力を利用するようにした方がよい。磁性体13とケース11や案内部材26との接触がなくなるため、磨耗等による動作不良や搬送液中への不純物の混入という問題を抑制することができる。
【0037】
また、傘状機能体12が吐出口16方向に移動する際、必ずしもケース11に摺接する必要はなく、吐出口16側に移動するときは径方向に拡幅し、吸込口15側に移動するときは径方向に収縮しさえすれば液の移動は可能である。傘状機能体12をケース11内周に摺接させないようにすれば磨耗による往復動ポンプ10の性能の低下を抑制することができるが、液移送の効率、気泡、不純物等の掻き出し効果を向上させるには、拡幅した際の傘状機能体12の最大径がケース11の内周面との間の隙間ができるだけ小さくなるようにするのが望ましい。
【0038】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、上記往復動ポンプは液体を取り扱うポンプとして説明したが、本発明に係る往復動ポンプで取り扱う流体は液体に限定されるものではなく、例えば各種ガス等の気体でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る往復動ポンプの構成例を示す図で、図1(a)は側断面図、図1(b)は(a)のA−A断面図である。
【図2】本発明に係る往復動ポンプの吸込口及び吐出口にチューブを接続した構成例を示す側断面図である。
【図3】本発明に係る往復動ポンプを複数台直列に接続したポンプ装置の構成例を示す側断面図である。
【図4】本発明に係る往復動ポンプの磁力発生器と制御部の一構成例を示す図である。
【図5】本発明に係る往復動ポンプの磁力発生器のケース外周の配置状態を示す図である。
【図6】本発明に係る往復動ポンプの構成例を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0040】
10 往復動ポンプ
11 ケース
12 傘状機能体
13 磁性体
14 磁力発生器
15 吸込口
16 吐出口
17 雌型フランジ
18 雄型フランジ
19 チューブ
20 チューブ
21 雄型フランジ
22 Oリング
23 雌型フランジ
24 Oリング
25 圧力センサ
26 案内部材
27 ステイ
30 制御部
31 スイッチング部
100 ポンプ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に円柱状空間が形成されたケースと、該ケース内に配置され軸方向に往復動する傘状機能体と、該傘状機能体に設けられた磁性体と、該ケースの外周部に設けた前記磁性体に作用し前記傘状機能体をケース内軸方向に移動させる磁気を発生する磁力発生器とを備え、
前記ケースは一端が吸込口、他端が吐出口となっており、
前記傘状機能体は前記ケース内を前記吐出口側に移動するときは径方向に拡幅し、前記吸込口側に移動するときは径方向に収縮する拡幅収縮部を備えたことを特徴とする往復動ポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載の往復動ポンプにおいて、
前記傘状機能体の拡幅収縮部を薄肉の高分子材料で構成したことを特徴とする往復動ポンプ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の往復動ポンプにおいて、
前記磁性体を外周面がケース内周面に摺接する環状の磁性体リングとし、該磁性体リングの外周に前記ケース軸方向に流体が通る凹溝を設けたことを特徴とする往復動ポンプ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の往復動ポンプにおいて、
前記傘状機能体の前記ケース軸方向位置によって、該傘状機能体が移動する速度を変化させるように、前記磁力発生器が発生する磁力を制御する制御手段を設けたことを特徴とする往復動ポンプ。
【請求項5】
前記請求項1乃至3に記載の往復動ポンプを複数台備え、
該複数台の往復動ポンプを互いに前記ケーシング吐出口に吸込口を接続して直列に構成したことを特徴とする往復動ポンプ装置。
【請求項6】
請求項5に記載された往復動ポンプ装置において、
前記各往復動ポンプの傘状機能体の前記ケーシング軸方向の動きを連携制御して、流体の圧力脈動を低減する制御手段を設けたことを特徴とする往復動ポンプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−2824(P2007−2824A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−187439(P2005−187439)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】